説明

塗布処理装置および塗布液吐出方法

【課題】塗布液を吐出するノズルの先端で塗布液の固化を防止することができる塗布処理装置を提供する。
【解決手段】実施形態による塗布処理装置は、ノズル22と、塗布液供給源21と、固化防止溶媒供給手段と、を備える。ノズル22は、液体を吐出する流路221と、流路221の周囲を囲むように形成される流路222と、を有する。塗布液供給源21と、ノズル22の流路221に配管31を介して塗布液45を供給する。また、固化防止溶媒供給手段は、ノズル22の流路222に配管32,33を介して塗布液45の固化を防止する固化防止溶媒を気体状または霧状の状態で供給する。そして、気体状または霧状の固化防止溶媒がノズル22の流路222から吐出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、塗布処理装置および塗布液吐出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造では、多層レジストプロセスの層間絶縁膜としてSOG(Spin On Glass)材料が使用されている。たとえばSOG膜の形成は、ノズルからウェハ上に液状のSOG材料を塗布し、ウェハを回転させてウェハ表面に拡散させ、その後、ベーキングによってSOG材料中の溶剤を飛ばすことによって行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−204992号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
SOG材料は、一般的に酸素や水などと反応しやすい。そのため、ノズルの先端から塗布液が吐出される際に、空気中の酸素や水などと反応し、ノズル先端で固化してしまうという問題点があった。
【0005】
本発明の一つの実施形態は、塗布液を吐出するノズルの先端で塗布液の固化を防止することができる塗布処理装置および塗布液吐出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一つの実施形態による塗布処理装置は、ノズルと、塗布液供給手段と、固化防止溶媒供給手段と、を備える。前記ノズルは、液体を吐出する第1の流路と、前記第1の流路の周囲を囲むように形成される第2の流路と、を有する。前記塗布液供給手段と、前記ノズルの前記第1の流路に第1の配管を介して塗布液を供給する。また、前記固化防止溶媒供給手段は、前記ノズルの前記第2の流路に第2の配管を介して前記塗布液の固化を防止する固化防止溶媒を気体状または霧状の状態で供給する。そして、前記気体状または霧状の前記固化防止溶媒が前記ノズルの前記第2の流路から吐出される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1は、第1の実施形態による塗布処理装置の構成の一例を模式的に示す図である。
【図2】図2は、第2の実施形態による塗布処理装置の構成の一例を模式的に示す図である。
【図3】図3は、第3の実施形態による塗布処理装置のノズルの構成を模式的に示す図である。
【図4】図4は、第5の実施形態による塗布処理装置の構成の一例を模式的に示す図である。
【図5】図5は、第7の実施形態による塗布処理装置の構成の一例を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に添付図面を参照して、実施形態にかかる塗布処理装置および塗布液吐出方法を詳細に説明する。なお、これらの実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0009】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態による塗布処理装置の構成の一例を模式的に示す図であり、(a)は塗布処理装置の全体構成を示す図であり、(b)はノズルの構成を示す断面図である。塗布処理装置は、塗布液の塗布対象であるウェハ100を回転可能に保持する保持部10と、保持部10上に設けられる塗布液供給部20と、を備える。保持部10は、たとえば真空チャック機構などを用いることができる。また、保持部10には、ウェハ面に垂直な軸を回転軸として、保持したウェハ100を回転可能に駆動するモータなどの駆動機構が設けられている。
【0010】
塗布液供給部20は、塗布液45を貯留する塗布液供給源21と、塗布液供給源21からの塗布液45をウェハ100上に吐出するノズル22と、不活性ガス41を貯留する不活性ガス供給源23と、不活性ガス41に固化防止気体を混合する固化防止気体混合部24と、を備える。また、塗布液供給源21とノズル22との間、不活性ガス供給源23と固化防止気体混合部24との間、固化防止気体混合部24とノズル22との間は、それぞれ配管31,32,33で接続されている。
【0011】
塗布液供給源21には、SOG溶液などの塗布液45が貯留されており、所定の流量でノズル22へと供給される。SOG溶液として、平均分子量が1,500〜5,500の過水素化シラザン(パーハイドロシラザン)ポリマー[(SiH2NH)n]をジブチルエーテルなどの溶媒に分散した過水素化シラザン重合体溶液を例示することができる。また、塗布液供給源21には、塗布液45を所定の流量でノズル22に供給する供給機構が設けられている。
【0012】
不活性ガス供給源23は、ノズル22から吐出される塗布液45がノズル吐出口近傍の雰囲気中の酸素や水蒸気と接触しないように、ノズル22の先端から塗布液45の周囲に吹き付ける混合ガス44の主成分となる不活性ガス41を供給する。不活性ガス41として、N2ガスやArガスなどを例示することができる。不活性ガス供給源23には、不活性ガス41を所定の流量でノズル22に供給する供給機構が設けられている。なお、不活性ガス41中の酸素は21%以下、水分量は40%以下であることが望ましい。これは、不活性ガス41中の酸素濃度が21%よりも多く、水分量が40%よりも多い場合には、SOG溶液などの塗布液45がノズル22の先端部で反応し、固化してしまうからである。
【0013】
固化防止気体混合部24は、塗布液供給源21に貯留されている塗布液45が酸素や水蒸気と接触することによる固化を防止することができる固化防止気体43を、不活性ガス供給源23から供給される不活性ガス41に供給する。固化防止気体43として、たとえば塗布液45に使用されている溶媒を気化させたものを用いることができる。
【0014】
固化防止気体混合部24は、固化防止気体43の供給源となる固化防止溶媒42を封入する固化防止溶媒貯留槽241によって構成される。固化防止溶媒42は、上記したように、塗布液45の固化を防止することができる気体である固化防止気体43を液化させたものであり、塗布液45を構成する溶媒や各種の酸などを用いることができる。たとえば上記のSOG溶液を用いる場合には、固化防止溶媒42としてジブチルエーテルなどの溶媒を用いることができる。
【0015】
固化防止溶媒貯留槽241の上部には、不活性ガス供給源23に繋がる配管32と、ノズル22に繋がる配管33とが接続される。固化防止溶媒42は、配管32,33との接続位置よりも下に位置するように、固化防止溶媒貯留槽241内に貯留される。固化防止溶媒貯留槽241で固化防止溶媒42が気化されて、固化防止気体43となり、固化防止溶媒貯留槽241内部の固化防止溶媒42で満たされる空間以外の空間が固化防止気体43で満たされる。この固化防止溶媒貯留槽241内に、配管32から不活性ガス41が供給されると、不活性ガス41内に固化防止気体43が混合され、不活性ガス41と固化防止気体43との混合ガス44が配管33へと流出する。
【0016】
なお、固化防止溶媒42が揮発しにくいものである場合には、固化防止溶媒貯留槽241を加熱するヒータなどの加熱手段を設けたり、固化防止溶媒42を効率よく揮発させ不活性ガス41中に導入するためのバブリング手段を設けたりしてもよい。また、これらの手段を設けることで、不活性ガス41中に混合する固化防止気体43の濃度を所望の濃度に設定することも可能となる。さらに、固化防止気体混合部24は、装置の構成の制約はあるが、できるだけノズル22に近い位置に配置されることが望ましい。
【0017】
ノズル22は、図1(b)に示されるように、塗布液45が流れ、ノズル22先端から吐出する中心部の流路221と、混合ガス44が流れ、流路221の周囲を囲むように設けられる流路222と、からなる二重構造を有している。
【0018】
不活性ガス供給源23と固化防止気体混合部24との間は、配管32で接続されている。また、固化防止気体混合部24とノズル22との間は、配管33によって接続されている。ただし、配管33の途中で、塗布液供給源21とノズル22との間を接続する配管31と一体化される。すなわち、固化防止気体混合部24から配管31との接続部までは一重構造の配管であり、配管31との接続部からノズル22までは、配管33の内部に配管31が配置された二重構造の配管となる。二重構造の内部側の配管31は、ノズル22の流路221と接続され、二重構造の外部側の配管33は、ノズル22の流路222と接続される。
【0019】
このような構造の塗布処理装置での塗布液吐出方法について説明する。まず、固化防止気体混合部24で、固化防止溶媒42が気化された状態で、不活性ガス供給源23から不活性ガス41が固化防止気体混合部24に供給される。固化防止気体混合部24では、流れ込む不活性ガス41に固化防止気体43が混合され、混合ガス44が生成される。混合ガス44は、配管33内を流れ、最終的にノズル22の流路222から吐出される。一方、塗布液供給源21からは、塗布液45が配管31を介してノズル22の流路221から吐出される。つまり、塗布液45がノズル22から吐出される際には、塗布液45がノズル吐出口近傍の大気中の酸素や水蒸気と反応しないように、塗布液45の周囲にカーテン状に混合ガス44が流される状態となる。また、塗布液45の周囲に流される混合ガス44には、固化防止気体43が含まれているので、ノズル22先端で塗布液45が乾燥しにくくなる。特に、固化防止気体43として、塗布液45に使用されている溶媒(たとえば、上記SOG溶液の場合には、ジブチルエーテル)を用いる場合には、ノズル22から吐出された塗布液45の周囲の溶媒の濃度が上昇し、溶媒が蒸発しにくくなる。
【0020】
なお、混合ガス44は、常に供給されるものでもよいし、塗布液45を吐出するときに混合ガス44の供給を止め、塗布液45の供給が終了したときに混合ガス44を流すように制御してもよい。
【0021】
第1の実施形態では、塗布液45を吐出する際に、塗布液45の周囲を覆うように不活性ガスを吹き出す際に、不活性ガス41の流路上で、固化防止溶媒42を気化した固化防止気体43を不活性ガス41に混合して、混合ガス44を生成した。ノズル22から吹き出される混合ガス44には、塗布液45の固化を防止する気体が含まれることによって、不活性ガスのみが吹き出される場合に比して、ノズル22先端部での塗布液45が乾きにくくなるという効果を有する。また、ノズル22先端部での塗布液45の固化によるメンテナンスが不要になるという効果も有する。
【0022】
(第2の実施形態)
図2は、第2の実施形態による塗布処理装置の構成の一例を模式的に示す図である。第1の実施形態では、ノズル22に接続される配管33,34を二重配管構造とし、内部側の配管31に塗布液45が供給され、外部側の配管33に固化防止気体43を含む混合ガス44が供給されていたが、第2の実施形態では、図2に示されるように、塗布液45が供給される配管31と、固化防止気体43を含む混合ガス44が供給される配管33と、が別々にノズル22に接続される。つまり、ノズル22の流路221と塗布液供給源21とが配管31で接続され、ノズル22の流路222に接続される開口部223と固化防止気体混合部24とが配管33で接続される構造となっている。なお、第1の実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付して、その説明を省略している。
【0023】
このような構造によっても、塗布液45がノズル22から吐出される際に、その周囲が固化防止気体43を含む混合ガス44で覆われることになるので、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0024】
(第3の実施形態)
図3は、第3の実施形態による塗布処理装置のノズルの構成を模式的に示す図である。第1と第2の実施形態では、ノズル22の流路221と流路222の先端部(吐出口側端部)は同じ位置とされていたが、図3(a)に示されるように、塗布液の流路221の先端の方が、混合ガスの流路222の先端よりも突出して設けられてもよいし、逆に、図3(b)に示されるように、混合ガスの流路222の先端の方が、塗布液の流路221の先端よりも突出して設けられてもよい。図3(b)に示される構造の場合には、流路222内の混合ガス44が、ノズル22内で中心部の塗布液の流路221側に向かって流れるようになるので、流路221から吐出される塗布液が大気に暴露される虞を低減することができる。これらのノズル22を用いた塗布処理装置を用いても、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0025】
(第4の実施形態)
第1の実施形態で、固化防止気体混合部24に加熱手段を設ける場合、不活性ガス41は加熱された固化防止気体43と混合されるので、温度が上昇する。しかし、混合ガス44の温度は固化防止気体混合部24から配管33を流れるにつれて低下していく。つまり、ノズル22の先端部から吐出される混合ガス44の温度は、固化防止気体混合部24での不活性ガス41の温度に比して低下する。そのため、ノズル22で結露する虞がある。結露が生じると、その水分によって、ノズル22から吐出される塗布液45が固化してしまう可能性がある。そこで、ノズル22に加熱手段を設け、結露を防止できる温度、たとえば固化防止気体混合部24での不活性ガス41の温度と同等の温度に制御すればよい。なお、この第4の実施形態のノズル22の構造は、第2と第3の実施形態に適用することも可能である。
【0026】
第4の実施形態では、固化防止気体混合部24に加熱手段を設けるとともに、ノズル22にも加熱手段を設けたので、ノズル22での混合ガスの温度低下による結露を防ぐことができるという効果を有する。
【0027】
(第5の実施形態)
図4は、第5の実施形態による塗布処理装置の構成の一例を模式的に示す図である。この塗布処理装置は、第1の実施形態の構成にさらに不活性ガス46を貯留する不活性ガス供給源25を備え、不活性ガス供給源25は、ノズル22と配管34を介して接続される。不活性ガス供給源25には、不活性ガス46をノズル22に供給する供給機構が設けられている。また、塗布液45と混合ガス44の供給ラインと、不活性ガス46の供給ラインとは、たとえば三方弁35によって切り替えられるように構成されている。なお、第1の実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付して、その説明を省略している。
【0028】
このような構造の塗布処理装置では、たとえば、塗布液45と混合ガス44をノズル22から所定の時間吐出した後、三方弁35によってノズル22に接続されるラインを、塗布液45と混合ガス44の供給ラインから不活性ガス46の供給ラインに切り替えて、不活性ガス46をノズル22に供給する。この不活性ガス46の供給処理によって、たとえば結露したノズル22が乾燥されるとともに、ノズル22の先端に付着した有機溶媒が除去される。所定の時間不活性ガス46を供給した後、三方弁35によってノズル22に接続されるラインを、不活性ガス46の供給ラインから塗布液45と混合ガス44の供給ラインに切り替える。このような処理を繰り返し行うことで、ノズル22の先端部を清浄な状態に保つことできる。
【0029】
第5の実施形態によれば、固化防止気体混合部24で固化防止溶媒42を気化するのに加熱手段を用いた場合にノズル22に結露が生じた場合でも、ノズル22に接続されるラインを不活性ガス46の供給ラインに切り替えるようにしたので、ノズル22を乾燥させるとともに、ノズル22に付着した塗布液45の溶媒を除去することができるという効果を有する。
【0030】
(第6の実施形態)
塗布処理装置が設置される環境では、ホコリなどのごみが浮遊している場合がある。また、不活性ガスを流していると静電気によって配管やノズルが帯電し、不活性ガス中のごみが配管やノズルに寄せ付けられてしまうこともある。そこで、上記した実施形態の不活性ガスの配管にフィルタを設けるようにしてもよい。このようにフィルタを設けることで、不活性ガスがフィルタを通過する際に、不活性ガス中からごみが除去される。すなわち、ごみが除去された不活性ガスを塗布処理装置中に流すことが可能となる。
【0031】
第6の実施形態によれば、不活性ガスの流路中にフィルタを設けたので、不活性ガス中に存在するごみがフィルタで除去される。その結果、不活性ガスが配管中を流れることによって配管やノズルが帯電しても、静電気によってごみが配管やノズルに付着することを抑えることができるという効果を有する。
【0032】
(第7の実施形態)
図5は、第7の実施形態による塗布処理装置の構成の一例を模式的に示す図である。この塗布処理装置は、第1の実施形態の構成において、固化防止気体混合部24に加熱手段242を備えるとともに、配管33に冷却手段26を備えている。冷却手段26として、たとえば配管33の外周にパイプを巻きつけ、このパイプ内に水などの冷媒を流す手段などを用いることができる。なお、第1の実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付して、その説明を省略している。
【0033】
このような構成において、固化防止気体43を含む混合ガス44が所定の温度で固化防止気体混合部24から吐出され、配管33内を流れる。たとえば、固化防止気体混合部24における混合ガス44の温度がTA℃で固化防止気体43の濃度がA%であるものとする。この混合ガス44は配管33中を流れ、冷却手段26の設置位置に到達すると冷却される。混合ガス44が冷却されると、固化防止気体43の飽和蒸気圧が低下するので、固化防止気体43の不活性ガス41に対する濃度が上昇する。たとえば、固化防止気体混合部24での固化防止気体43の濃度がA%である場合に、配管33中の冷却手段26で所定の温度TB℃(<TA℃)に冷却されると固化防止気体43の濃度はB%(>A%)になる。
【0034】
第7の実施形態によれば、配管33の途中で混合ガス44を冷却する冷却手段26を設けたので、冷却された混合ガス44の固化防止気体43の濃度が上昇する。そして、固化防止気体43の濃度の高い混合ガス44がノズル22から吐出されると、塗布液45のノズル22先端での乾燥や固化をさらに効果的に防止することができるという効果を有する。
【0035】
なお、上記した説明で、塗布液としてのSOG溶液は、層間絶縁膜の形成やSTI(Shallow Trench Isolation)などの素子分離絶縁膜の形成に用いることができる。また、上記した説明では、塗布液としてSOG溶液を用いた場合を例に挙げて説明したが、これに限られるものではなく、レジスト液を塗布する場合にも上記した実施形態を適用することができる。
【0036】
さらに、上記した説明では、不活性ガス41に固化防止気体を混合した混合ガス44をノズル22に供給する場合を例示しているが、不活性ガス41に霧状の固化防止溶媒42を混合するようにしてもよい。この場合には、固化防止気体混合部24は、固化防止溶媒42を霧状にして不活性ガス41と混合する固化防止溶媒混合部となる。さらにまた、不活性ガス41に固化防止気体を混合するのではなく、固化防止気体のみまたは液状(たとえば霧状)の固化防止溶媒のみを、ノズル22に供給する構成としてもよい。この場合には、固化防止溶媒を気体状または液状(霧状)の状態でノズル22に供給する固化防止溶媒供給部が設けられることになる。
【0037】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0038】
10…保持部、20…塗布液供給部、21…塗布液供給源、22…ノズル、23…不活性ガス供給源、24…固化防止気体混合部、25…不活性ガス供給源、26…冷却手段、31〜34…配管、35…三方弁、41,46…不活性ガス、42…固化防止溶媒、43…固化防止気体、44…混合ガス、45…塗布液、221,222…流路、223…開口部、241…固化防止溶媒貯留槽、242…加熱手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吐出する第1の流路、および前記第1の流路の周囲を囲むように形成される第2の流路と、を有するノズルと、
前記ノズルの前記第1の流路に第1の配管を介して塗布液を供給する塗布液供給手段と、
前記ノズルの前記第2の流路に第2の配管を介して前記塗布液の固化を防止する固化防止溶媒を気体状または霧状の状態で供給する固化防止溶媒供給手段と、
を備え、前記気体状または霧状の前記固化防止溶媒が前記ノズルの前記第2の流路から吐出されることを特徴とする塗布処理装置。
【請求項2】
前記固化防止溶媒供給手段は、
前記ノズルの前記第2の流路に前記第2の配管を介して第1のガスを供給する第1のガス供給手段と、
前記固化防止溶媒を気体状または霧状の状態で前記第1のガスに混合する固化防止溶媒混合手段と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の塗布処理装置。
【請求項3】
前記固化防止溶媒混合手段は、
前記第2の配管上に設けられ、前記塗布液の固化を防止する固化防止溶媒が入れられた固化防止溶媒貯留槽と、
前記固化防止溶媒貯留槽内で前記固化防止溶媒が気化した固化防止気体を前記第1のガス供給手段からの前記第1のガスと混合して混合ガスを生成する固化防止気体混合手段と、
を備え、
前記混合ガスが前記ノズルの前記第2の流路から吐出されることを特徴とする請求項2に記載の塗布処理装置。
【請求項4】
前記固化防止気体混合手段は、前記固化防止溶媒を加熱する溶媒加熱手段をさらに備えることを特徴とする請求項3に記載の塗布処理装置。
【請求項5】
前記ノズルを加熱するノズル加熱手段をさらに備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の塗布処理装置。
【請求項6】
前記第2の配管の前記固化防止気体混合手段の設置位置よりも前記ノズル側に冷却手段をさらに備えることを特徴とする請求項4に記載の塗布処理装置。
【請求項7】
第2のガスを前記ノズルに第3の配管を介して供給する第2のガス供給手段と、
前記第1の配管からの前記塗布液および第2の配管からの前記気体状または霧状の前記固化防止溶媒の前記ノズルへの供給と、前記第3の配管からの前記第2のガスの前記ノズルへの供給とを切り替える切り替え手段と、
を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の塗布処理装置。
【請求項8】
前記第2の配管内にフィルタを備えることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載の塗布処理装置。
【請求項9】
前記固化防止溶媒は、前記塗布液に用いられる溶媒であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1つに記載の塗布処理装置。
【請求項10】
前記第1のガスは不活性ガスであることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1つに記載の塗布処理装置。
【請求項11】
前記第2のガスは不活性ガスであることを特徴とする請求項7に記載の塗布液処理装置。
【請求項12】
第1の配管を介して塗布液をノズルの第1の流路に供給する塗布液供給工程と、
第2の配管を介して前記塗布液の固化を防止する固化防止溶媒を気体状または霧状の状態で、前記ノズルの前記第1の流路の周囲を囲むように形成される第2の流路に供給する固化防止溶媒供給工程と、
を含み、
前記ノズルから前記塗布液を吐出する際に、前記気体状または液状の前記固化防止溶媒が前記塗布液の周囲に吹き出されることを特徴とする塗布液吐出方法。
【請求項13】
前記固化防止溶媒供給工程は、
前記ノズルの前記第2の流路に前記第2の配管を介して第1のガスを供給する第1のガス供給工程と、
前記固化防止溶媒を気体状または霧状の状態で前記第1のガスに混合する固化防止溶媒混合工程と、
を含むことを特徴とする請求項12に記載の塗布液吐出方法。
【請求項14】
前記固化防止溶媒混合工程では、前記塗布液の固化を防止する固化防止溶媒が入れられた固化防止溶媒貯留槽に前記第1のガスを供給し、前記固化防止溶媒貯留槽内で前記固化防止溶媒が気化した固化防止気体を前記第1のガスと混合して混合ガスを生成することを特徴とする請求項13に記載の塗布液吐出方法。
【請求項15】
前記固化防止溶媒混合工程では、前記固化防止溶媒を加熱して、前記第1のガスに混合する前記固化防止気体の濃度を調整することを特徴とする請求項14に記載の塗布液吐出方法。
【請求項16】
前記ノズルから前記塗布液および前記混合ガスが吐出される際に、前記ノズルを加熱することを特徴とする請求項15に記載の塗布液吐出方法。
【請求項17】
前記固化防止溶媒混合工程では、前記混合ガスが前記ノズルに到達する前に、前記混合ガスを冷却する処理をさらに行うことを特徴とする請求項15に記載の塗布液吐出方法。
【請求項18】
第3の配管を介して第2のガスを前記ノズルに供給する第2のガス供給工程をさらに含み、
前記第1の配管からの前記塗布液の供給および前記第2の配管からの前記気体状または霧状の前記固化防止溶媒の供給と、前記第3の配管からの前記第2のガスの供給と、を所定期間ごとに切り替えて行うことを特徴とする請求項12または13に記載の塗布液吐出方法。
【請求項19】
前記塗布液は、SOG溶液であり、
前記固化防止溶媒は、前記SOG溶液で前記SOG材料を分散させる溶媒であることを特徴とする請求項12〜18のいずれか1つに記載の塗布液吐出方法。
【請求項20】
前記SOG溶液は、過水素化シラザン重合体溶液であり、
前記固化防止溶媒は、ジブチルエーテルであることを特徴とする請求項19に記載の塗布液吐出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−44054(P2012−44054A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−185257(P2010−185257)
【出願日】平成22年8月20日(2010.8.20)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】