説明

塗布処理装置

【課題】処理動作のタクトタイムを短縮することができ、且つ、ノズルのメンテナンス処理に起因する被処理基板の汚染を防止する。
【解決手段】被処理基板Gの幅方向に延びる吐出口を有し、前記処理ステージ上の前記基板の上方を基板搬送方向に沿って移動されると共に、前記吐出口から前記基板上に処理液を吐出するノズル31と、前記ノズルを昇降移動可能であって、前記ノズルを基板搬送方向上流側または下流側に向けて移動可能なノズル移動手段32と、基板搬送路4の下方に設けられ、前記ノズルの吐出口の状態を整えるノズルメンテナンス手段35と、前記基板搬送路において前記処理ステージの上流側または下流側に所定長さの空き区間dを出没自在に形成可能な空き区間形成手段21,22,23A、23B、30とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被処理基板に処理液を塗布する塗布処理装置に関し、特に処理動作のタクトタイムを短縮し、且つノズルのメンテナンス処理に起因する被処理基板の汚染を防止することのできる塗布処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、FPD(フラットパネルディスプレイ)の製造においては、いわゆるフォトリソグラフィ工程により回路パターンを形成することが行われている。
このフォトリソグラフィ工程では、ガラス基板等の被処理基板に所定の膜を成膜した後、処理液であるフォトレジスト(以下、レジストと呼ぶ)が塗布されレジスト膜(感光膜)が形成される。そして、回路パターンに対応して前記レジスト膜が露光され、これが現像処理され、パターン形成される。
【0003】
このようなフォトリソグラフィ工程において、被処理基板にレジスト液を塗布してレジスト膜を形成する方法として、スリット状のノズル吐出口からレジスト液を帯状に吐出し、レジストを基板上に塗布する方法がある。
この方法を用いた従来のレジスト塗布装置について、図11を用いて簡単に説明する。図11に示すレジスト塗布装置200は、X方向に長く延設されたステージ201と、このステージ201の上方に配備されるレジスト供給ノズル202と、このレジスト供給ノズル202を移動させるノズル移動手段203とを具備している。
【0004】
前記ステージ201の上面には、複数のガス噴射口210とガス吸引口211とが設けられている。基板Gは、ガス噴射口210から噴射されたガスにより、或いは、前記噴射されたガスがガス吸引口211から吸引され形成されるガス流によりステージ上に浮上するようになっている。
また、レジスト供給ノズル202には、基板の幅方向に延びる微小隙間を有するスリット状の吐出口202aが設けられ、レジスト液供給源204から供給されたレジスト液を吐出口202aから吐出するようになされている。
【0005】
また、ステージ201上に浮上する基板Gは、その左右両側が一対の基板搬送部205により保持され、基板搬送部205は、ステージ201の左右両側に敷設された一対のレール206に沿って(X方向に)移動可能となされている。
また、ステージ201上の基板搬入領域201a、及び基板搬出領域201bには、それぞれ複数の(図では4本の)昇降可能なリフトピン207が設けられ、このレジスト塗布装置200への基板Gの搬入出時に基板Gはリフトピン207上に一時的に載置されるようになっている。
【0006】
このように構成されたレジスト塗布装置200において、基板Gへのレジスト液の塗布処理は、次のように行われる。
先ず、基板搬入領域201aにおいてリフトピン207が上方に突出され、塗布処理前の基板Gが搬送ロボットのアーム(図示せず)によって前記リフトピン207上に載置される。
次いで、基板Gの左右縁部が基板搬送部205によって保持される。ここで、基板Gの下面にはガス噴射口210からのガス噴射が吹き付けられ、基板Gはステージ201上に浮上した状態となされる。
そして、リフトピン207が下降すると、基板Gは基板搬送部205によって基板処理領域201cに移動される。
【0007】
基板処理領域201cにおいては、基板Gは所定の速度でX方向に搬送される。それに対し、基板上方に配置されたレジスト供給ノズル202は、ノズル移動手段203によって基板搬送方向とは逆の方向に移動され、それと同時に基板面に対しレジスト液を吐出する。尚、この基板処理領域201cでは、ガス噴射口210から噴射されたガスがガス吸引口211に吸引されてステージ上に所定のガス流が形成されており、基板Gはそのガス流上で安定した状態で浮上搬送される。
【0008】
基板上にレジスト膜が形成された基板Gは、基板搬送部205によって基板搬出領域201bまで搬送され、そこでリフトピン207が上昇すると共に、ガス噴射口210からのガス噴射が停止される。また、基板Gは基板搬出領域201bにおいて、リフトピン207により支持され、基板搬送部205による保持状態が解除される。
そして、レジスト膜が形成された基板Gは、搬送ロボットの搬送アーム(図示せず)により後段の処理装置に搬出される。
尚、このようなレジスト塗布装置200については、特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2010−80983号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
前記のようにレジスト塗布装置200の構成においては、ステージ201に対し基板Gを搬入出する際にリフトピン207が昇降移動され、リフトピン207上に基板Gが一時的に載置される。更には、基板搬入領域201aのリフトピン207に基板Gを載置する際、及び基板搬出領域201bのリフトピン207に載置された基板Gを搬出する際、搬送ロボットのアーム(図示せず)が駆動され、前記アームにより基板Gが搬送される。
しかしながら、そのような構成にあっては、基板処理領域201cへの基板搬入の際、及びステージ201からの基板搬出の際に、基板搬送が滞るという課題があった。そのため、基板搬入出の際に生じる被処理基板の滞留時間を低減し、処理動作のタクトタイムを短縮可能な構成が求められていた。
【0011】
前記課題を解決するものとして、従来から、コロ搬送などにより被処理基板を水平な状態で、且つ水平方向に(以後、これを平流しと記載する)搬入し、平流し搬送しながら基板幅方向に延びるノズル吐出口からレジスト液を基板上に吐出して塗布し、平流し搬送により後段に搬出する構成がある。前記構成の場合、基板搬入出の際に基板が滞留することがなく、処理動作のタクトタイムを短縮することができる。
しかしながら、そのような構成にあっては、ノズルは基板搬送方向に移動可能な構成であるため、ノズルのメンテナンス処理(ノズル吐出口に付着するレジスト液の状態を整えるプライミング処理など)を行うノズル待機部が基板搬送路上に配置される。そのため、ノズルのメンテナンス処理を行う際、ノズル吐出口に付着し乾燥したレジストのパーティクル等が下方に落ち、基板搬送路に付着して被処理基板を汚染する虞があった。
【0012】
本発明は、上記のような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、被処理基板に処理液を塗布する塗布処理装置において、処理動作のタクトタイムを短縮することができ、且つ、ノズルのメンテナンス処理に起因する被処理基板の汚染を防止することのできる塗布処理装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記した課題を解決するために、本発明に係る塗布処理装置は、被処理基板が水平に搬送される基板搬送路上に処理ステージが設けられ、前記処理ステージ上の前記基板に処理液を塗布する塗布処理装置であって、前記被処理基板の幅方向に延びる吐出口を有し、前記処理ステージ上の前記基板の上方を基板搬送方向に沿って移動されると共に、前記吐出口から前記基板上に処理液を吐出するノズルと、前記ノズルを昇降移動可能であって、且つ前記ノズルを基板搬送方向上流側または下流側に向けて移動可能なノズル移動手段と、前記基板搬送路の下方に設けられ、前記ノズルの吐出口の状態を整えるノズルメンテナンス手段と、前記基板搬送路において前記処理ステージの上流側または下流側に所定長さの空き区間を出没自在に形成可能な空き区間形成手段とを備え、前記ノズルは、前記ノズル移動手段により移動され、前記空き区間形成手段により形成された前記基板搬送路の空き区間を介して、前記ノズルメンテナンス手段にアクセスすることに特徴を有する。
尚、前記空き区間形成手段は、前記基板搬送路において前記処理ステージの上流側または下流側に固定され、基板搬送方向に所定長さ延設された第1の基板搬送部と、基板搬送路において前記第1の基板搬送部の位置と、前記第1の基板搬送部に対し上流側または下流側に隣接する位置との間で移動自在に設けられ、基板搬送方向に所定長さ延設された第2の基板搬送部と、前記第2の基板搬送部を基板搬送方向に沿って移動させる第1の進退手段とを備え、前記基板搬送路において前記第2の基板搬送部が前記第1の基板搬送部の位置にあることにより、前記基板搬送路の空き区間が形成されることが望ましい。
【0014】
このように構成することにより、ノズルのプライミング処理などのメンテナンス処理を行う際、ノズル吐出口に付着し乾燥した処理液のパーティクル等が下方に落ちても、基板搬送路に付着することがなく、被処理基板の汚染を防止することができる。
【0015】
また、前記処理ステージの載置面に対し相対的に昇降可能に設けられ、上昇位置において前記基板を水平に搬送可能な第3の基板搬送部と、前記ステージの載置面に対し前記第3の基板搬送部を相対的に昇降させることにより前記基板を前記第3の搬送部上または前記ステージの載置面上に載置する第2の進退手段とをさらに備えることが望ましい。
尚、前記基板処理部において、前記ステージの載置面には、前記第2の進退手段により前記第3の基板搬送部が下降した際、前記第3の基板搬送部を収容可能な溝部が設けられていることが望ましい。
このように構成することにより、処理ステージ上が空きの状態の場合、その前後の基板搬送路上に被処理基板を滞留させずに処理ステージに対し被処理基板を搬入出することができ、処理動作のタクトタイムを短縮することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、被処理基板に処理液を塗布する塗布処理装置において、処理動作のタクトタイムを短縮することができ、且つ、ノズルのメンテナンス処理に起因する被処理基板の汚染を防止することのできる塗布処理装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、本発明に塗布処理装置の全体構成を示し、第1の状態を示す平面図である。
【図2】図2は、図1の塗布処理装置の第2の状態を示す平面図である。
【図3】図3は、図1の第1の状態に対応する側面図である。
【図4】図4は、図2の第2の状態に対応する側面図である。
【図5】図5は、図1の塗布処理装置が備える基板搬出部のコロ搬送部の一部拡大平面図である。
【図6】図6は、図1の塗布処理装置によるガラス基板に対する処理液の塗布処理の状態遷移を示す側面図である。
【図7】図6は、図6に続く状態遷移を示す側面図である。
【図8】図8は、図1の塗布処理装置によるガラス基板に対する処理液の塗布処理の流れを示すフローである。
【図9】図9は、図1の塗布処理装置が有するノズル待機部及びノズルに対するメンテナンス作業を説明するための側面図である。
【図10】図10は、図1の塗布処理装置が有するノズル待機部及びノズルに対するメンテナンス作業を説明するための図であって、図9とは異なる状態を示す側面図である。
【図11】図11は、従来のレジスト塗布装置の概略構成を説明するための斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の塗布処理装置にかかる一実施形態を、図面に基づき説明する。図1、図2は、本発明に塗布処理装置の全体構成を示す平面図であって、図1は第1の状態を示し、図2は第2の状態を示す。また、図3は、図1の第1の状態に対応する側面図であり、図4は、図2の第2の状態に対応する側面図である。
【0019】
図示する塗布処理装置100は、被処理基板である例えばガラス基板Gを載置して所定の処理を施すための基板処理部1と、基板処理部1にガラス基板Gを搬入する基板搬入部2と、基板処理部1からガラス基板Gを搬出する基板搬出部3とを備える。
基板搬入部2と基板処理部1と基板搬出部3とは、架台50上に基板搬送方向Aに沿って順に配置され、それにより基板搬送路4が形成されている。
【0020】
基板搬入部2は、基板搬送方向Aに沿って敷設されたコロ搬送部5を有している。コロ搬送部5は、ガラス基板Gの左右縁部を下方から支持し搬送するものであり、図1、図2に示すように基板搬送路4の左右両側において、それぞれ基板搬送方向Aに沿って並列に所定長さのコロ軸6が回転自在に複数設けられている。また、各コロ軸6には、基板下面を支持し搬送するためのコロ7が設けられている。
前記コロ軸6は、その一端側が係合する駆動軸8の回転によって基板Gを搬送する方向に回転動作し、基板搬送路4の左右両側に設けられた前記駆動軸8は、それぞれ駆動モータM1,M2によって回転駆動するように構成されている。
尚、この基板搬入部2には、前段の処理装置(図示せず)から例えばコロ搬送によりガラス基板Gが搬入され、基板搬入部2では、駆動モータM1、M2を駆動することによりコロ軸6を回転させ、ガラス基板Gを搬送するようになっている。
【0021】
基板処理部1は、架台50上に基板Gを載置するためのステージ部10(処理ステージ)が設けられ、その周囲にコロ搬送部11(第3の基板搬送部)が設けられている。
ステージ部10は、平面視において略長方形状であり、その基板載置面(上面)は、基板Gの被処理面が撓むことなく載置可能な大きさに形成されている。また、ステージ部10の基板載置面(上面)において、その左右縁部には、基板幅方向に所定の長さを有する複数の溝部10aが基板搬送方向に沿って並列に形成されている(図面では片側に5つの溝部10a)。この溝部10aは、ステージ部10の載置面(上面)側及び側面側から凹設され、前記コロ搬送部11が有する所定長さのコロ軸12及びそれに設けられたコロ13が収容可能な形状となされている。
【0022】
前記コロ軸12は、基板搬送路4の左右両側において、それぞれ基板搬送方向Aに沿って並列に回転自在に複数設けられている。前記コロ軸12は、その一端側が係合する駆動軸14の回転によって基板Gを搬送する方向に回転動作し、基板搬送路4の左右両側に設けられた一対の駆動軸14は、それぞれ駆動モータM3,M4によって回転駆動するように構成されている。
また、コロ搬送部11において、ステージ部10の前後側には、それぞれ基板Gの幅よりも長く形成されると共に前記一対の駆動軸14のいずれかに係合し、前記駆動モータM3,M4によって回転駆動するコロ軸15及びそれに設けられたコロ16が配置されている。
【0023】
また、図3、図4に示すように、前記コロ搬送部11は、フレーム部材17により下方から支持されている。
前記フレーム部材17は、シリンダ18aに対しピストン軸18bが進退移動するエアシリンダ18により昇降移動可能となされている。エアシリンダ18は、ステージ部10の中央部下方に配置されている。
この構成において、前記エアシリンダ18によりコロ搬送部11が上昇位置に配置されると、ステージ部10の左右両側に配置されたコロ軸12がステージ部10に対し上昇し、コロ13により基板Gを搬送可能な状態となされる。
一方、コロ搬送部11が下降位置に配置されると、前記コロ軸12は下降移動してステージ部10の溝部10a内に収容され、基板Gがステージ部10の上面に載置される状態となされる。尚、フレーム部材17とエアシリンダ18により第2の進退手段が構成されている。
【0024】
また、基板搬出部3は、図3,図4に示すようにフレーム部材19上にコロ搬送部20が設けられている。このコロ搬送部20は、基板搬送方向Aに伸縮可能に構成されている。具体的には、図2及び図5(基板搬出部3のコロ搬送部20の一部拡大平面図)に示すように、コロ搬送部20においては、基板処理部1の基板搬送方向下流側に隣接して、基板搬送方向Aに所定の長さ延びる複数(図では4本)のリニアガイドレール21が基板幅方向に並列に設けられている。
【0025】
前記複数のリニアガイドレール21は、それぞれ長板状に形成され、そのレール面が側方を臨むように立設されている。前記リニアガイドレール21のレール面には、リニアガイドレール21と略同じ長さの長板状のスライダ22が基板搬送方向Aに沿って摺動自在に係合する状態で設けられている。
また、前記リニアガイドレール21には、スライダ22との係合面とは反対側の側面に、基板搬送方向に沿って複数のコロ23Aがそれぞれ回転自在に設けられている。また、前記スライダ22には、前記リニアガイドレール21との係合面とは反対側の側面に、基板搬送方向に沿って複数のコロ23Bがそれぞれ回転自在に設けられている。前記コロ23A、23Bは、基板搬送路4の一部を構成している。
この構成によりコロ搬送部20は、コロ23A,23Bにより構成される搬送路を基板搬送方向Aに沿って伸縮させることが可能となっている。尚、リニアガイドレール21及びコロ23Aにより第1の基板搬送部が構成され、スライダ22及びコロ23Bにより第2の基板搬送部が構成される。
【0026】
また、基板幅方向に並列に配置された複数のリニアガイドレール21の先端部及び後端部の下部は、基板幅方向に延びるフレーム部材24に連結され、前記複数のリニアガイドレール21に対応する複数のスライダ22の先端部は、基板幅方向に延びるフレーム部材25に連結されている。
図5に示すように前記複数のリニアガイドレール21に対し、複数のスライダ22は、エアシリンダ30(第1の進退手段)により基板搬送方向Aに沿って前後移動するようになされている。即ち、エアシリンダ30は、ピストン軸30aとシリンダ30bとを有し、ピストン軸30aの先端がスライダ22に連結された前記フレーム部材25に接続され、シリンダ30bがリニアガイドレール21に連結された前記フレーム部材24に固定されている。
【0027】
これにより、エアシリンダ30のピストン軸30aが、シリンダ30bに対し進退動作することにより、リニアガイドレール21に対しスライダ22が基板搬送方向Aに沿って移動する。具体的には、リニアガイドレール21に対しスライダ22が前進位置にあるときは(図2、図4の伸長状態)、コロ搬送部20から後段への基板搬送が可能な状態となされる。また、リニアガイドレール21に対しスライダ22が後退位置にあるときは(図1、図3の全縮状態)、基板搬送路4に基板搬送方向Aに沿って所定長さの空き区間dが形成される。尚、前記リニアガイドレール21、スライダ22、コロ23A,23B、及びエアシリンダ30により空き空間形成手段が構成される。
【0028】
また、前記基板搬出部3において、前記リニアガイドレール21よりも基板搬送方向下流側の架台50上には、ノズル先端の吐出口の状態を整えるプライミング処理などのメンテナンス処理を行うためのノズル待機部35(ノズルメンテナンス手段)が設けられている。このノズル待機部35は、プライミング処理のためのプライミングローラなどが配置されたプライミング処理部(図示せず)、ノズル先端をシンナー等の溶剤で洗浄するノズル洗浄部(図示せず)、ノズル先端の乾燥を防ぐためにノズル先端を溶剤雰囲気に晒した状態で保持する溶剤雰囲気室(図示せず)などが配備されている。
【0029】
また、前記したように、リニアガイドレール21に対しスライダ22が後退位置にあるときは(図1、図3の全縮状態)、基板搬送路4に基板搬送方向Aに沿って所定長さの空き区間が形成されるため、その空き区間を介して上方から前記ノズル待機部35にアクセスすることが可能となっている。
一方、リニアガイドレール21に対しスライダ22が前進位置にあるときは(図2、図4の伸長状態)、前記ノズル待機部35の上方をスライダ22が覆い、完全に形成された基板搬送路4の下方に前記ノズル待機部35が位置する状態となされる。
【0030】
また、図3,図4に示すように基板搬送路4の上方には、基板幅方向に延びるスリット状の吐出口31aを有するノズル31が基板搬送路4上に設けられている(図1,2においては図示省略)。このノズル31はノズル移動手段32によって、昇降移動可能となされ、また、基板搬送方向上流側または下流側に向けて基板搬送路4上を移動可能となされている。
このノズル31は、基板処理部1の処理ステージ部10上に載置されたガラス基板Gに対し処理液を吐出し、塗布するために設けられ、ステージ部10上のガラス基板Gに対し、基板搬送方向上流側に向けて、或いは下流側に向けて処理液を吐出しながら走査可能となされている。
【0031】
続いて、このように構成された塗布処理装置100によるガラス基板Gに対する処理液の塗布処理について図6,図7の状態遷移を示す側面図、及び図8のフローに沿って説明する。
先ず、図6(a)に示すように1枚目のガラス基板G1が基板搬入部2にコロ搬送される(図8のステップS1)。このとき、基板搬出部3には基板搬送路4の空き空間dが形成され、この空き空間dを介してノズル31がノズル待機部35に配置されている。また、基板処理部1においてコロ搬送部11が上昇位置となされ、ステージ部10上を基板搬送可能な状態となされる。
【0032】
次いで、図6(b)に示すように基板処理部1にガラス基板G1が搬送され、図6(c)に示すようにコロ搬送部11が下降してガラス基板G1がステージ部10上に載置される(図8のステップS2)。
ガラス基板G1がステージ部10上に載置されると、図6(d)に示すようにノズル31は上昇移動され、図6(e)に示すようにノズル31がガラス基板G1上を基板搬送方向に走査しながら基板上に処理液を吐出する(図8のステップS3)。尚、基板搬入部2には、次のガラス基板G2が搬入される。
【0033】
また、ガラス基板G1への処理液の塗布処理が完了すると、図7(a)に示すように基板処理部1のコロ搬送部11が上昇位置にされ、ガラス基板G1を搬送可能な状態となされる。また、基板搬出部3においてリニアガイドレール21に対しスライダ22が前進し、コロ23Aとそれに続くコロ23Bとによるコロ搬送部20が形成される(図8のステップS4)。
これにより、図7(b)に示すように、ガラス基板G1は基板処理部1から基板搬出部3に搬送される(図8のステップS5)。また、基板搬入部2のガラス基板G2は基板処理部1に搬入される。
【0034】
また、図7(c)に示すように、ガラス基板G1が基板搬出部3から後段に搬出されると、ノズル31はノズル待機部35の上方に移動され、その後、リニアガイドレール21に対しスライダ22が後退する(図8のステップS6)。
それにより、図6(a)〜(e)に示したように空き区間dが形成されて、ノズル31は下降し、空き区間dを介してノズル待機部35にアクセスし、ノズル吐出口31aのプライミング処理などのメンテナンス処理が行われる(図8のステップS7)。
また、このとき図6(b)に示すステップの状態となり、その後、処理基板枚数が所定数に達するまで、図6(b)〜図7(c)の処理が繰り返される(図8のステップS8)。
【0035】
以上のように、本発明に係る実施の形態によれば、ガラス基板Gがコロ搬送により平流しにて基板処理部1に搬入され、基板処理部1のコロ搬送部11が下降してステージ部10上に載置され、ノズル31により基板上に処理液が塗布される。また、ステージ部10上のガラス基板Gは、再びコロ搬送部11が上昇することにより基板搬出部3に搬出される。この構成により、ステージ部10上が空きの状態の場合、その前後の基板搬入部2、及び基板搬出部3にガラス基板Gが滞留することがなく、処理動作のタクトタイムを短縮することができる。
【0036】
また、前記実施の形態によれば、ガラス基板Gに処理液を塗布する基板処理部1の基板搬送方向下流側に配置された基板搬出部3において、コロ搬送部20により形成される基板搬送路4に、基板搬送方向に沿って所定長さの空き区間dが出没自在に設けられる。また、前記コロ搬送部20により形成される基板搬送路4の下方に、ノズル待機部35が設けられ、前記空き区間dが形成されることにより、空き区間dを介してノズル31がノズル待機部35にアクセス可能となされる。
これにより、ノズル31のプライミング処理等のメンテナンス処理を行う際、ノズル吐出口に付着し乾燥したレジストのパーティクル等が下方に落ちても、基板搬送路4に付着することがなく、ガラス基板Gの汚染を防止することができる。
【0037】
尚、前記実施の形態においては、基板処理部1において、高さが固定されたステージ部10に対しコロ搬送部11を昇降移動させる構成としたが、本発明に係る塗布処理装置にあっては、それに限定されるものではなく、コロ搬送部11の高さを固定し、それに対してステージ部10を昇降移動させる構成(即ち、ステージ部10に対し相対的にコロ搬送部11が昇降移動する)としてもよい。
【0038】
また、前記実施の形態においては、基板搬出部3のコロ搬送部20からなる基板搬送路4に空き区間dを形成するものとしたが、それに限らず、基板処理部1の基板搬送方向上流側である基板搬入部2に空き区間dを形成するようにしてもよい。
その場合、基板搬入部2において、コロ搬送部5からなる基板搬送路4の下方にノズル待機部35が設けられ、前記空き区間dを介してノズル31がノズル待機部35にアクセスする構成となる。
【0039】
また、前記実施の形態においては、コロ搬送によりガラス基板Gを平流し搬送するものとしたが、ベルトコンベアにより平流し搬送する構成であってもよい。
【0040】
また、前記実施の形態に示した構成に加え、図9、図10に示すように基板搬出部3の後段に、コロ搬送部41とそれに続くコロ搬送部42を設け、前記コロ搬送部41が、コロ搬送部42側を軸に図10に示すように上方に回動する構成としてもよい。この場合、エアシリンダ43を動力源として、作業員45の操作によりコロ搬送部41が回動する構成とすることが好ましい。
この構成によれば、図10に示すように作業員45がノズル待機部35に対し容易にアクセスすることができ、ノズル待機部35に対するメンテナンス作業が容易となる。
また、図10に示すように、ノズル待機部35において、ノズル31を保持する溶剤雰囲気室35aが前後にスライドする構成であれば、図10に示すように作業員45が容易にノズル31をメンテナンスすることができる。この場合、ノズル31を新たに交換する場合など、フレーム46に設けた電動ホイスト44等により(重量の大きい)ノズル31を持ち上げることで、作業を容易にすることができる。
【符号の説明】
【0041】
1 基板処理部
2 基板搬入部
3 基板搬出部
4 基板搬送路
5 コロ搬送部
10 ステージ部(処理ステージ)
11 コロ搬送部
17 フレーム部材(第2の進退手段)
18 エアシリンダ(第2の進退手段)
20 コロ搬送部
21 リニアガイドレール(第1の基板搬送部、空き空間形成手段)
22 スライダ(第2の基板搬送部、空き空間形成手段)
23A コロ(第1の基板搬送部、空き空間形成手段)
23B コロ(第2の基板搬送部、空き空間形成手段)
30 エアシリンダ(第1の進退手段、空き空間形成手段)
31 ノズル
31a ノズル吐出口
32 ノズル移動手段
35 ノズル待機部(ノズルメンテナンス手段)
100 塗布処理装置
d 空き空間
G ガラス基板(被処理基板)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理基板が水平に搬送される基板搬送路上に処理ステージが設けられ、前記処理ステージ上の前記基板に処理液を塗布する塗布処理装置であって、
前記被処理基板の幅方向に延びる吐出口を有し、前記処理ステージ上の前記基板の上方を基板搬送方向に沿って移動されると共に、前記吐出口から前記基板上に処理液を吐出するノズルと、
前記ノズルを昇降移動可能であって、且つ前記ノズルを基板搬送方向上流側または下流側に向けて移動可能なノズル移動手段と、
前記基板搬送路の下方に設けられ、前記ノズルの吐出口の状態を整えるノズルメンテナンス手段と、
前記基板搬送路において前記処理ステージの上流側または下流側に所定長さの空き区間を出没自在に形成可能な空き区間形成手段とを備え、
前記ノズルは、前記ノズル移動手段により移動され、前記空き区間形成手段により形成された前記基板搬送路の空き区間を介して、前記ノズルメンテナンス手段にアクセスすることを特徴とする塗布処理装置。
【請求項2】
前記空き区間形成手段は、
前記基板搬送路において前記処理ステージの上流側または下流側に固定され、基板搬送方向に所定長さ延設された第1の基板搬送部と、基板搬送路において前記第1の基板搬送部の位置と、前記第1の基板搬送部に対し上流側または下流側に隣接する位置との間で移動自在に設けられ、基板搬送方向に所定長さ延設された第2の基板搬送部と、前記第2の基板搬送部を基板搬送方向に沿って移動させる第1の進退手段とを備え、
前記基板搬送路において前記第2の基板搬送部が前記第1の基板搬送部の位置にあることにより、前記基板搬送路の空き区間が形成されることを特徴とする請求項1に記載された塗布処理装置。
【請求項3】
前記処理ステージの載置面に対し相対的に昇降可能に設けられ、上昇位置において前記基板を水平に搬送可能な第3の基板搬送部と、
前記ステージの載置面に対し前記第3の基板搬送部を相対的に昇降させることにより前記基板を前記第3の搬送部上または前記ステージの載置面上に載置する第2の進退手段とをさらに備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記事された塗布処理装置。
【請求項4】
前記基板処理部において、
前記ステージの載置面には、前記第2の進退手段により前記第3の基板搬送部が下降した際、前記第3の基板搬送部を収容可能な溝部が設けられていることを特徴とする請求項3に記載された塗布処理装置。
【請求項5】
前記基板搬送路は、コロ搬送により前記被処理基板を水平に搬送することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載された塗布処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−89900(P2013−89900A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−231654(P2011−231654)
【出願日】平成23年10月21日(2011.10.21)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】