説明

塗布容器

【課題】容器内の薬剤残量を容易に確認でき、含浸材が洗浄可能で、蓋を密閉して繰り返し使用ができる収納塗布容器を提供すること。
【解決手段】 筒の先端に櫛歯とともに着脱自在に備えた含浸材に液剤を吐出し、頭髪に含浸材から液剤を塗り付ける塗布容器において、筒側面に設けた窓部に沿って筒内周面に凹部を形成し、収納容器の側壁面に設けた内部の液剤を示す透過部上に該収納容器を筒内に挿入する際凹部に噛み合わせられる凸部を設けて塗布容器を構成した。また、キャップの内周面を筒の外周面に密着させることとした。
これにより、筒の窓部と収納容器の透過部とを容易に組み付けられ、またずれることがなく、筒内に挿入した収納容器の液剤の残量が確認できる。筒の先端より含浸材と櫛とを取り外し、洗浄もしくは交換が容易にできる。キャップを閉めて密閉し、含浸材の乾燥や液剤の蒸発を防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、頭髪用染料、整髪剤、毛髪脱色剤などの液材を収納し、先端の含浸材に染み込ませた液剤を頭髪に塗布する塗布容器に関する。
【背景技術】
【0002】
頭髪用染料、整髪剤、毛髪脱色剤などの液剤を収納し、櫛歯の近くに液剤を吐出させ、あるいは櫛歯近傍に設けられた含浸材に液剤を染み込ませ、櫛歯で頭髪を梳いて液剤を塗布する塗布容器が知られている。かかる塗布容器は、エアゾール式の加圧容器を有するもの、液剤が二液で内部で混合するもの、液剤を単に押し出し頭髪に塗りつけるものなど用途に応じてさまざまなタイプが用いられている。
【0003】
また、液剤を一度で使い切るタイプの塗布容器と繰り返し使用するタイプの塗布容器がある。
【特許文献1】特開8−295618号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
頭髪の一部に染毛剤を塗布し部分的に毛染めするための塗布容器は、小型で扱い易く、しかも外部から染料の残量を容易に確認できることが好ましい。また、含浸材を取り外して容易に洗浄や交換できること、更に繰り返し使用するため蓋を密閉し含浸材の乾燥を防止できることが要望されている。
【0005】
本発明は、塗布液の残量が確認でき、かつ含浸材を取り外して容易に洗浄や交換ができ、しかも蓋を密閉して含浸材の乾燥を防止する塗布容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記課題を解決するため、塗布容器を次のように構成した。
【0007】
円筒状の筒の先端に櫛歯とともに含浸材を備え、該筒の底部より挿入した収納容器から前記含浸材に液剤を吐出し、前記櫛歯で梳いた頭髪に前記含浸材から液剤が塗り付けられる塗布容器において、一部に透明部分を備えた被覆体を前記筒の外周に取り付け、該透明部分により前記筒側面に窓部を設けるとともに前記筒内周面に該窓部に沿った凹部を形成し、前記収納容器の側壁面に内部の液剤を示す透過部を上下方向に設け、かつ該収納容器を筒内に挿入する際に前記凹部に噛み合わせられる凸部を前記透過部に沿って設けて塗布容器を構成した。
【0008】
下部で開閉自在に連結された2枚の櫛歯の間に含浸材を挟み、該含浸材とともに前記櫛歯を筒に着脱自在に取り付けて塗布容器を構成した。
【0009】
筒の先端に含浸材を覆って着脱自在にネジ止めされたキャップの内周面を、前記筒の外周面に気密に当接させて塗布容器を構成した。
【発明の効果】
【0010】
塗布容器は、収納容器から吐出された液剤が含浸材に染み込み、櫛歯で梳いた頭髪に含浸材から液剤が塗り付けられる。筒の窓部と収納容器の透明な透過部とを、筒の凹部と収納容器の凸部との組み合わせにより一致でき、組み立てが容易で、しかもずれることなく常に窓部を通して収納容器内の液剤が確認できる。
【0011】
含浸材を櫛歯で挟んだ状態で筒から取り外し、含浸材や櫛歯の洗浄、交換などが容易にできる。
【0012】
含浸材を覆うキャップの内周面を筒の外周面に密着させ、確実にキャップの密閉ができ、含浸材の乾燥や液剤の放散が防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1に本発明にかかる塗布容器2を示す。
【0014】
塗布容器2は毛髪用染料を塗布する容器であり、先端に含浸材12を備えた円筒状の筒4と、含浸材12を覆うキャップ6と、筒4の底部より内部に組み入れられ含浸材12に液剤としての染料を吐出する収納容器8等から構成されている。
【0015】
筒4は樹脂製の透明な円筒体で、外壁面に外装材としての転写フィルム25が巻回された胴部5の上部にキャップ6がネジ止めされるネジ部7を有している。
【0016】
転写フィルム25は可撓性を有する樹脂製フィルムで、少なくとも窓部32に相当する箇所に印刷を行わず透明となっており、胴部5の周面に接着、あるいは溶着されている。尚転写フィルム25は、窓部32に相当する箇所を切り欠いてもよく、またインモールド成形、あるいはそれ以外の方法により胴部5の周面に取り付けられていてもよい。
【0017】
キャップ6は内面にネジ部7に螺合する雌ネジを備え、ネジ部7にネジ止めされると内周面がネジ部7の上部外周面に気密に密着する。
【0018】
図2に塗布容器2の断面を示す。筒4の胴部5とネジ部7との境界付近には仕切壁20が筒4の内壁に設けられ、その内周縁には、開口面に支持梁27を備えた上部筒体21が設けられている。支持梁27は上部筒体21の中心で十字に交差してあり、交差部分には先端を収納容器8のバルブに対向させた軸体26が設けられている。
【0019】
また仕切壁20の下面には、上部筒体21より大径の下部筒体24が同心円状に、筒4の内壁面から所定の間隙をもって設けられている。
【0020】
ネジ部7の内側には、図5に示す円筒状の本体9が取り付けてある。本体9は、上面に傾斜した角形の開口14を有し、内部にポリエステル繊維からなる含浸部材18が取り付けられている。
【0021】
図3に含浸材12を示す。含浸材12は、ポリエステル繊維からなるフェルト状部材で、含浸性を有し、上面15が傾斜している。
【0022】
図4に、櫛歯13を左右両側に有する櫛10を示す。櫛10は、下方で脚部11により連結され、内面に突起17が形成された基板16の上面に櫛歯13を斜め上方に備え、更に脚部11の角の一方が屈曲自在で、基板16の内側に含浸材12を挟んだ状態で図6に示すように本体9の開口14に着脱自在に組み付けられる。櫛10が本体9に組み付けられると、含浸材12の下面が含浸部材18に接する。
【0023】
筒4の底部は、端縁に図1、及び図9に示すような切欠30が曲線で形成されている開放端であり、また側壁面には、転写フィルム25により底部から先端方向に向けて短冊状の透明な窓部32が形成されている。更に窓部32に沿った筒4の内周面には、図8に示すように凹部34が形成されている。
【0024】
図7に収納容器8を示す。収納容器8は、頭髪用染料などの液剤を収納する樹脂製のボトル36にジョイント38がネジ嵌合しており、筒4の底部より挿入して抜き取り不能に組み付けられる。
【0025】
ボトル36はブロー成形時に内部の染料が確認できる透過部35を側壁に縦方向に備え、更に筒4の凹部34に組み合う凸部37が透過部35上に突出形成されている。尚凸部37を含めボトル36の全体を内部の染料が確認できる樹脂材で成形してもよい。
【0026】
ジョイント38は図2に示すように、下部内面にネジ部を有しボトル36に螺合する外筒体40と、内部にバルブ28を備えた内筒体42と、バルブ28の下部を支持するシリンダ44とからなり、外筒体40の下端外周に形成された突条46が筒4の内壁に形成された突条48を越え筒4内で移動可能、かつ抜き取り不能に組み付けられている。
【0027】
シリンダ44は下方に染料の通過する空間をあけて保持部45を備え、内筒体42の外周に一体に組み付けてある。
【0028】
バルブ28は半球状の栓体31を備え、上端が軸体26の下端に対向し、下方がシリンダ44の保持部45に軸方向に移動可能に保持され、保持部45と栓体31の間に取り付けられたスプリング29に付勢されて栓体31の上面が内筒体42の内壁に形成された吐出口43の内面に密着し、吐出口43を閉鎖している。また栓体31の周縁には突片が設けられ、突片間に形成された隙間によって栓体31の周縁を越えて染料が内筒体42内を通過可能となっている。
【0029】
内筒体42の上部外周には円環部材23が筒4の下部筒体24の内壁面に液密でかつ摺動自在に組み付けてあり、下部筒体24の内壁面と収納容器8の内面とでピストンシリンダ機能の作用を生じさせている。
【0030】
次に、塗布容器2を用いた部分染毛について説明する。
【0031】
塗布容器2の先端を下に向けて収納容器8の底部を筒4内に数回押し込み、含浸材12に染料を染み込ませる。すなわち収納容器8を筒4内に押し込むことによりバルブ28が軸体26により押され吐出口43が開き、収納容器8から吐出した染料が含浸部材18を介して含浸材12に染み込む。櫛歯13で髪を梳くと、含浸材12に染み込んだ染料が頭髪に付着する。
【0032】
含浸材12の染料が減少したなら、塗布容器2の先端を下に向けて再度収納容器8を筒4内に押し込み、収納容器8から染料を吐出させ含浸材12に補充する。
【0033】
筒4の窓部32には透過部35が一致しているので、これらを通して染料の残量が確認できる。窓部32に沿って凹部34が形成され、透過部35に突部37が形成されているので、筒4の窓部32に収納容器8の透過部35を容易に一致でき、しかもそれらの位置がずれることがない。
【0034】
また、櫛10を含浸材12とともに本体9から取り外して、必要に応じて櫛10や含浸材12を洗浄したり交換して、本体9に組み付けることができる。
【0035】
染毛が終了したなら筒4にキャップ6を取り付ける。キャップ6は内面が筒4の先端に密に嵌合するので、含浸材12の乾燥や染料の蒸発を確実に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の塗布容器を示す部分断面図である。
【図2】図1に示した塗布容器の断面図である。
【図3】含浸材を示す斜視図である。
【図4】櫛を示す斜視図である。
【図5】本体を示す斜視図である。
【図6】櫛を示す正面図である。
【図7】収納容器を示す斜視図である。
【図8】塗布容器を示す底面図である。
【図9】塗布容器を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0037】
2 塗布容器
4 筒
5 胴部
6 キャップ
7 ネジ部
8 収納容器
9 本体
10 櫛
11 脚部
12 含浸材
13 櫛歯
14 開口
15 上面
16 基板
17 突起
18 含浸部材
20 仕切壁
21 上部筒体
23 円環部材
24 下部筒体
25 転写フィルム
26 軸体
27 支持梁
28 バルブ
30 切欠き
31 栓体
32 窓部
34 凹部
35 透過部
36 ボトル
37 凸部
38 ジョイント
40 外筒体
42 内筒体
43 吐出口
44 シリンダ
45 保持部
46 突条
48 突条


【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状の筒の先端に櫛歯とともに含浸材を備え、該筒の底部より挿入した収納容器から前記含浸材に液剤を吐出し、前記櫛歯で梳いた頭髪に前記含浸材から液剤が塗り付けられる塗布容器において、
一部に透明部分を備えた被覆体を前記筒の外周に取り付け、該透明部分により前記筒側面に窓部を設けるとともに前記筒内周面に該窓部に沿った凹部を形成し、
前記収納容器の側壁面に内部の液剤を示す透過部を上下方向に設け、かつ該収納容器を筒内に挿入する際前記凹部に噛み合わせられる凸部を前記透過部に沿って設けたことを特徴とする塗布容器。
【請求項2】
下部で開閉自在に連結された2枚の櫛歯の間に含浸材を挟み、該含浸材とともに前記櫛歯を筒に着脱自在に取り付けたことを特徴とする請求項1に記載の塗布容器。
【請求項3】
筒の先端に含浸材を覆って着脱自在にネジ止めされるキャップの内周面を、前記筒の外周面に気密に当接させたことを特徴とする請求項1または2に記載の塗布容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−6754(P2006−6754A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−190445(P2004−190445)
【出願日】平成16年6月28日(2004.6.28)
【出願人】(000000952)カネボウ株式会社 (120)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】