説明

塗布容器

【課題】 キャップを開いても容器本体内を密封状態に維持する一方、塗布操作に伴い初めて塗布液が供給可能になるという機能を、現実の塗布操作において安定的かつ確実に実現させ得る塗布容器を提供する。
【解決手段】 容器本体2の口部21に中栓部材3を係合させ、開口311を弁バネ部42から閉側付勢される弁体部41で閉弁する。中栓部材に係合された塗布部材5の上面壁を、径方向のスリット状貫通溝521と周方向のスリット状貫通溝とで複数の分割片523,523に分断させる。被塗布面Kへの塗布操作に伴い作用する反力が刷毛51,51,…を介して伝達されて各分割片523がヒンジ結合部分524から折曲し、弁体部41を押して開弁させる。これにより、容器本体2から塗布液が供給開始される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被塗布面に対し、先端の刷毛を介して容器本体内の液体又ゲル状等の塗布液を塗布するための塗布容器に関し、特に、キャップを開けても容器本体内は密封状態に維持され、塗布する際に初めて塗布液の供給を可能とする技術に係る。
【背景技術】
【0002】
塗布容器として、従来、キャップを開けることで容器本体から刷毛に対する塗布液の供給が可能になるようにしたものが提案されている(例えば特許文献1又2参照)。このものでは、中栓部材に対しバネを介して塗布部材を上下動自在に装着し、キャップの閉操作により塗布部材を容器本体側に押し付けることで、中栓部材の開口が塗布部材に設けた栓体により閉状態に維持されるようにしたものであり、キャップを開操作すれば塗布部材がバネにより上動して中栓部材の開口が開かれるようにしている。
【0003】
又、塗布部材を、可撓性を有するダイヤフラムと、このダイヤフラム上に植立させた刷毛とで構成し、ダイヤフラムで中栓部材や中栓部材の開口に内嵌させた弁体を覆うようにし、塗布操作時に被塗布面から受ける圧力によりダイヤフラムを変形させて弁体を開側に押し下げることで、容器本体から塗布液の供給を可能にしようとするものも提案されている(例えば特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−138086号公報
【特許文献2】特開2000−72171号公報
【特許文献3】特開平11−319661号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、キャップを開けば塗布液が供給可能になるものでは、塗布容器が倒れると内部の塗布液が流出してしまうことになる一方、ダイヤフラムの変形で塗布液の供給を可能にしようとするものでは、実際の塗布操作が安定性・確実性に欠くものとなり、使い難いものになる、という不都合がある。
【0006】
すなわち、キャップを開けばバネで塗布部材が上動し、中栓部材の開口が開状態に変換されてしまうと、塗布操作の合間に仮置きした際などに倒れれば、内部の塗布液が開口から流出してしまうおそれがある。
【0007】
又、塗布操作に伴い被塗布面から受ける圧力(反力)でダイヤフラムを変形させ、この変形するダイヤフラムで弁体を押し下げて中栓部材の開口を開変換させようとするものでは、被塗布面からの圧力をダイヤフラムに伝達することになる刷毛はその圧力伝達に見合うようにある程度の硬さが必要である反面、ダイヤフラムはその圧力で弁体を押し下げられる程の軟らかさが必要であるというように相反する性能要求を満足させる必要があるにも拘わらず、ダイヤフラムや刷毛を共に柔軟性を有する同じ合成樹脂により一体成形しているというように、相反する性能要求を発揮し得ないおそれがある。この結果、現実の塗布操作においては、安定的かつ確実性のある使用性能が得られないおそれがある。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、キャップを開いても容器本体内を密封状態に維持する一方、塗布操作に伴い初めて塗布液が供給可能になるという機能を、現実の塗布操作において安定的かつ確実に実現させ得る塗布容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は、塗布液を収容する容器本体と、上記容器本体の口部に係合されその口部を覆う隔壁の中央に開口を形成した中栓部材と、上記中栓部材の開口に対し下から上に内嵌するように中栓部材に内装され、弁バネ部からの上向きのバネ付勢力を受けて上記開口周縁の弁座に着座して閉弁され、閉弁状態でその頭部が上記開口から上側に突出する弁体部と、上記中栓部材に係合され上記弁体部の頭部を含んで上記中栓部材の開口を覆い刷毛が上向きに突出された上面壁を有する塗布部材と、塗布部材を覆って容器本体の口部に着脱可能に取り付けられるキャップとを備えることとする。そして、上記塗布部材として、上記上面壁の刷毛が突出する領域を、径方向に延びるスリット状貫通溝によって、又は、径方向に延びるスリット状貫通溝及びこのスリット状貫通溝の端部から周方向に延びるスリット状貫通溝によって、上記弁体の頭部の上側に内周側端縁が位置するように複数の分割片に分断し、各分割片として、外周側位置においてヒンジ結合されて内周側端縁が上記弁体部の頭部を押し下げる側に折曲可能な構成とする。加えて、上記弁バネ部のバネ付勢力として、上記刷毛を被塗布面に押し当てた際に受ける反力の伝達を受けて上記上面壁が折曲することにより上記弁体部を押し下げて上記開口を開弁させるように設定することとした(請求項1)。
【0010】
本発明の場合、正立状態の塗布容器からキャップを除去して塗布部材の刷毛を露出させても、中栓部材の開口は弁バネ部からのバネ付勢力を受けた弁体部により閉弁され、塗布容器は密封状態に維持されている。次に、塗布容器を倒立状態にし、下向きに延びる刷毛を被塗布面に押し当てると、刷毛に作用する被塗布面からの反力が各分割片に伝達されて各分割片が折曲し、各分割片に押されて弁体部が開弁することになる。これにより、開口が開状態になって容器本体から塗布液が供給可能となる。この際、各分割片がスリット状貫通溝によって分断されてヒンジ結合によって折曲可能とされている上に、弁バネ部が被塗布面に対する塗布操作により受ける反力によって弁体部を開弁させ得るようにバネ付勢力が設定されているため、塗布操作に伴い初めて塗布液が供給可能になるという機能を、現実の塗布操作において安定的かつ確実に実現させ得るようになる。つまり、塗布操作に伴い被塗布面からの反力を各分割片に確実に伝達し得るように刷毛を比較的硬めの合成樹脂により形成すると共に、その同じ合成樹脂を用いて塗布部材全体を一体形成することが可能となり、そのようにしたとしても、上記反力により刷毛が座屈を生じて有効に反力を伝達し得なくなる事態を回避して、各分割片に対し反力を有効に伝達させて各分割片の折曲及び弁体部の開弁作動を生じさせることが可能となる。
【0011】
本発明の塗布容器において、上記各分割片の外周側位置のヒンジ結合部分において想定の折曲線に沿って凹溝を形成するようにすることができる(請求項2)。このようにすることにより、各分割片がより容易に折曲可能となり、現実の塗布操作に伴い発生する反力に基づきより一層安定的かつ確実に弁体部を開弁させて塗布液を安定的に供給可能とし得ることになる。つまり、刷毛を上記の反力伝達のために比較的硬めに形成し、同じ合成樹脂により各分割片を形成したとしても、各分割片をより容易に折曲可能にして本発明の作用を確実に実現させ得ることになる。
【0012】
又、本発明において、上記弁バネ部として、上記弁体部と、この弁体部の下方位置で上記中栓部材により支持される支持環との両者間において螺旋状に延びて両者を互いに結合させる複数の帯状バネ片を備えて構成することができる(請求項3)。このようにすることにより、弁バネ部を容易に合成樹脂成形によって形成することが可能となる上に、その螺旋の傾斜、本数や肉厚等を調整することによりバネ付勢力の程度を容易に所望のものに調整することが可能となる。このため、弁バネ部を含め全てを合成樹脂成形により形成したとしても、非操作時に弁体部を確実に閉弁状態に維持し得るバネ付勢力を発揮し得る一方、塗布操作時には弁体部を確実に開弁作動させ得るようになる。
【0013】
さらに、本発明において、上記中栓部材を容器本体の口部に対し、上記塗布部材を上記中栓部材に対し、それぞれ上から被せることで引き抜けが阻止された状態に互いに係合可能となる構成とし、加えて、少なくとも塗布部材を、その外周囲から外周側に突出する凸状係止部がキャップの内周面から内周側に突出する保持凸部をキャップの下端開口側から内奥に向けて乗り越えることで上記キャップ内に一体的に仮保持可能となる構成とすることができる(請求項4)。このように塗布部材をキャップ内に一体的に仮保持させることにより、塗布部材から突出する刷毛がキャップ内に遮蔽されて保護された状態になるため、容器本体に塗布液を充填した後に組み付けラインにて塗布部材を組み付ける際に生じるおそれのある刷毛の損傷の発生を確実に回避させることが可能となる。これにより、塗布容器に塗布液を充填して製品化するラインでの不良品除去工数等の削減や歩留まりの可及的な改善を図り得ることになる。
【0014】
この場合、さらに、上記キャップの内奥位置に、このキャップ内に仮保持された状態の上記塗布部材の内奥側の部位に当接することで、その塗布部材のそれ以上の内奥側への移動を規制するストッパを形成することができる(請求項5)。このようにすることにより、塗布液充填後にキャップを閉じる工程までは塗布部材を保持凸部とストッパとで挟み込んで正確に位置決めした状態に仮保持し得る一方、キャップを閉じる工程においてはキャップを閉操作するだけで、その閉操作力が内部に仮保持された塗布部材に対しストッパを介して組み付け力として伝達され、この組み付け力によって塗布部材が中栓部材に対し係合されて組み付けられることになる。これにより、キャップを閉じる工程を実行することによって塗布部材をも同時にかつ確実に組み付けることが可能となる。
【発明の効果】
【0015】
以上、説明したように、本発明の塗布容器によれば、正立状態の塗布容器からキャップを開操作して除去して塗布部材の刷毛を露出させても、中栓部材の開口は弁バネ部からのバネ付勢力を受けた弁体部により閉弁されているため、塗布容器を密封状態に維持させることができる。その一方、塗布容器を倒立状態にし、下向きに延びる刷毛を被塗布面に押し当てる塗布操作を行うと、刷毛に作用する被塗布面からの反力によって各分割片を折曲させて弁体部を開弁させることができ、容器本体から塗布液を供給させることができるようになる。この際、各分割片をスリット状貫通溝によって分断してヒンジ結合によって折曲可能としている上に、弁バネ部のバネ付勢力を被塗布面に対する塗布操作により受ける反力によって弁体部を開弁させるように設定しているため、塗布操作に伴い初めて塗布液が供給可能になるという機能を、現実の塗布操作において安定的かつ確実に実現させることができるようになる。つまり、塗布操作に伴い被塗布面からの反力を各分割片に確実に伝達し得るように刷毛を比較的硬めの合成樹脂により形成すると共に、その同じ合成樹脂を用いて塗布部材全体を一体形成することができ、そのようにしたとしても、上記反力により刷毛が座屈を生じて有効に反力を伝達し得なくなる事態を回避して、各分割片に対し反力を有効に伝達させて各分割片の折曲及び弁体部の開弁作動を生じさせることができるようになる。
【0016】
特に、請求項2によれば、上記各分割片の外周側位置のヒンジ結合部分において想定の折曲線に沿って凹溝を形成することにより、各分割片をより容易に折曲させることができるようになり、現実の塗布操作に伴い発生する反力に基づきより一層安定的かつ確実に弁体部を開弁させて塗布液を安定的に供給させることができるようになる。つまり、刷毛を上記の反力伝達のために比較的硬めに形成し、同じ合成樹脂により各分割片を形成したとしても、各分割片をより容易に折曲させることができ、本発明の効果をより一層確実に実現させることができるようになる。
【0017】
請求項3によれば、上記弁バネ部として、螺旋状に延びて両者を互いに結合させる複数の帯状バネ片を備えて構成することにより、弁バネ部を容易に合成樹脂成形によって形成することができるようになる上に、その螺旋の傾斜、本数や肉厚等を調整することによりバネ付勢力の程度を容易に所望のものに調整することができるようになる。このため、弁バネ部を含め全てを合成樹脂成形により形成したとしても、非操作時に弁体部を確実に閉弁状態に維持し得るバネ付勢力を発揮させることができる一方、塗布操作時には弁体部を確実に開弁作動させることができるようになる。
【0018】
さらに、請求項4によれば、凸状係止部と保持凸部とによって、塗布部材をキャップ内に一体的に仮保持させることができるようなり、このようにすることにより、塗布部材から突出する刷毛をキャップ内に遮蔽して保護することができる。このため、容器本体に塗布液を充填した後に組み付けラインにて塗布部材を組み付ける際に生じるおそれのある刷毛の損傷の発生を確実に回避させることができる。これにより、塗布容器に塗布液を充填して製品化するラインでの不良品除去工数等の削減や歩留まりの可及的な改善を図ることができるようになる。
【0019】
この場合において、請求項5によれば、塗布液充填後にキャップを閉じる工程までは塗布部材を保持凸部とストッパとで挟み込んで正確に位置決めした状態に仮保持することができる一方、キャップを閉じる工程においてはキャップを閉操作するだけで、その閉操作力が内部に仮保持された塗布部材に対しストッパを介して組み付け力として伝達させることができ、この組み付け力によって塗布部材を中栓部材に対し係合させて組み付けることができるようになる。これにより、キャップを閉じる工程を実行することによって塗布部材をも同時にかつ確実に組み付けることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態を示す断面図である。
【図2】図1の部分拡大図である。
【図3】図1の分解斜視図である。
【図4】中栓を分解状態で示す拡大説明図である。
【図5】図5(a)はキャップを外した状態の上面図であり、図5(b)は図5(a)のA−A線における部分断面図である。
【図6】塗布液充填工程までなどにおけるキャップに対する塗布部材の一体化状況を示す説明図である。
【図7】図7(a)は塗布部材の一体化の際の係止突起とキャップとの状況を示す部分拡大説明図であり、図7(b)は塗布容器の塗布操作の際の係止突起とキャップとの状況を示す部分拡大説明図である。
【図8】塗布液充填工程の後のキャッピング工程などにおける状況を示す分解斜視図である。
【図9】塗布操作の際の状況を示す断面説明図である。
【図10】図9の部分拡大断面説明図である。
【図11】塗布部材について他の形態を示す図5(a)相当図である。
【図12】塗布液充填工程までなどにおけるキャップに対する一体化状況についての他の形態を示す説明図である。
【図13】図12の形態を一部切欠状態により示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0022】
図1は本発明の実施形態に係る塗布容器を示し、図2はその部分拡大図を示し、図3は分解斜視図を示す。これらの各図において、符号2は内部に塗布液が収容される容器本体、3は容器本体2の口部21を覆う中栓部材、4は中栓部材3の開口を開閉させるために中栓部材3に内装されるバネ付き弁体、5は複数の刷毛51,51,…を備え中栓部材3を覆うように取り付けられる塗布部材、6は中栓部材3や塗布部材を覆って容器本体2に取り付けられるキャップである。この塗布容器の全ての構成要素2〜6は合成樹脂により形成されている。以下、図1〜図3に図示した状態の上下関係について「上」又は「下」の用語を用いて説明する。
【0023】
容器本体2はその口部21側にかけて段階的に縮径され、口部21は少なくともキャップ6との螺合ネジ22よりも小径の筒部に形成され、口部21の開口縁近傍にはその外周面に係合凸部23が突出して形成されている。
【0024】
中栓部材3は、容器本体2の口部21を覆う隔壁31と、隔壁31の外周位置から下向き(口部21の外周面側)に僅かに突出する下側係合筒部32と、上記口部21の内径に対応する外径を有し内部にバネ付き弁体4を収容し得るように下向きに所定量だけ突出する収容筒部33と、隔壁31の上面から上向きに僅かに突出する上側係合筒部34とを備えて構成されている。隔壁31の中央位置(中心位置)には上下方向(内外方向)に貫通して供給口となる開口311(図4も併せて参照)が形成され、この開口311の下側範囲に下向き斜面を有する弁座312が形成されている。隔壁31の上面は開口311が最下位になるようにすり鉢状の斜面により構成され、上側係合筒部34の内周面及び塗布部材5の後述の内周筒部54の内周面により塗布操作時の塗布液の外周側への漏れや飛散を阻止し、かつ、塗布操作終了後に塗布容器を正立状態に戻した際に余剰の塗布液を自動的に開口311の側に導き得るようになっている。下側係合筒部32の内周面には口部21の係合凸部23と互いに係合して上下方向に対する組み付け固定が可能な係合凸部321が突出して形成され、収容筒部33の下端開口縁331には内周側に突出してバネ付き弁体4の後述の支持環421を当て止めて支持する支持段部332が形成され、上側係合筒34の外周面には塗布部材5の後述の係合凸部531と互いに係合する係合凸部341が形成されている。
【0025】
バネ付き弁体4は、開口311に対し下から上に内嵌する弁体部41と、この弁体部41を弁座312に対し上向きに押し付けて閉側付勢する弁バネ部42とが合成樹脂により一体成形されたものである。弁体部41はその基部外周面に上記弁座312に密着し得る上向き斜面により構成された弁部411を備え、かつ、閉弁状態で開口311よりも上方に突出する頭部412を備えている。弁バネ部42は、上記の支持段部332の内径よりも僅かに大径の外径を有する支持環421と、支持環421及び弁体部41の間において螺旋状に延びて両者を結合させる複数(図例では3本)の帯状バネ片422,422,…とを備えて構成されている。
【0026】
そして、中栓部材3の弁座312から支持段部332上面までの上下間隔Hnが、バネ付き弁体4の弁部411から支持環421下端までの自由状態(開放状態)における上下寸法Hsよりも所定量短く設定されており、バネ付き弁体4を中栓部材3の下端開口331から上向きに挿入して弁部411を弁座312に着座させ(図3又は図4参照)、さらに圧入させるように押し込んで支持環421を支持段部332の上面に係合させる。この状態では帯状バネ片422,422,…の上下方向寸法が強制的に縮められて外周方向に撓む結果、帯状バネ片422,422,…から弁体部41に対し弁体部41を弁座312に押し付けるように上向きのバネ付勢力が作用した状態になる。これにより、中栓部材3の開口311は閉側にバネ付勢された弁体部41で閉状態に維持されることになる。
【0027】
上記の螺旋状に延びる各帯状バネ片422,422,…は、その螺旋の傾斜、帯状バネ片422の本数やその肉厚等を調整することにより弁体部41に対する閉側のバネ付勢力の程度を容易に調整することができ、後述の如き塗布操作に伴い被塗布面K(図9又は図10参照)からの反力の伝達に基づき弁体部41を開弁作動させ得るように、そのバネ付勢力が調整・設定されている。これにより、塗布操作時の被塗布面Kからの反力に基づき容器本体2からの塗布液の供給開始を確実に実現させることができるようになる。
【0028】
塗布部材5は、刷毛51,51,…と、これら刷毛51,51,…の根本が結合され中栓部材3や弁体部41を覆う上面壁52と、上面壁52の外周側に結合される外周筒部53と、上面壁52の上記外周筒部53よりも内周側の下面位置から突出する内周筒部54とを備えて構成されている。上面壁52は、その中央寄りの領域であって所定径の円形領域が図3又は図5に示すように径方向及び周方向に延びるスリット状貫通溝521,522,522によって2つの分割片523,523に分断・分割され、各分割片523の上面全域に対し各刷毛51が適宜間隔で立設されている。
【0029】
より詳しくは、上面壁52の中央部(中心位置)を通って直径方向に延びる径方向のスリット状貫通溝521と、その各端部から周方向両側に延びる周方向の2本のスリット状貫通溝522,522とによって、上面壁52が略半円形の2つの分割片523,523に分断され、各分割片523の内周側端縁の下側位置にバネ付き弁体4の弁体部41の頭部412が位置するようになっている。又、各分割片523は、その外周側位置であって、周方向のスリット状貫通溝522、522の端部間の部分524において、上面壁52に対し弾性変形に基づき折曲可能にヒンジ結合された状態になっている。加えて、この各ヒンジ結合部分524の下面には想定の折曲線に沿って円弧状又は直線状に延びる凹溝525(図2参照)が形成されて、各分割片523が下向きに対しより折曲し易いようにされている。又、各分割片523の下面からは例えば半周分の円弧範囲で下向きに突出する脚部55が形成されている。この各脚部55は、後述の如く各分割片523の折曲変位の際に過度の変位が生じれば、中栓部材3の隔壁31の上面に当接することにより、各分割片523の過度の変位を抑制するためのストッパとしての役割を果たすようになっている。
【0030】
各刷毛51は各分割片523の上面から互いに平行に上向きに延び、例えば先端にいくほど細径になるように形成されたもので、合成樹脂成形により上面壁52と一体に形成されている。一体形成の他に、各刷毛51を直毛等の他の手段によりその根元を上面壁52に結合させるようにしてもよい。加えて、図5のB−B線断面に相当する図2に表れるように、各分割片523上の刷毛51,51,…は、ヒンジ結合部分524から径方向のスリット状貫通溝521に向けて先端の高さが徐々に高く変化するように設定されており、後述の如く塗布操作時の圧力を受けて各分割片523がヒンジ結合部分524から折曲した場合に、その折曲に伴い各分割片523上の刷毛51,51,…が互いに中央側に傾斜し、これにより、刷毛51,51,…の先端同士で略平坦でかつより密集傾向になった塗布面が構成されるようになっている。
【0031】
外周筒部53と内周筒部54との間隔はこれら両者間に対し中栓部材3の上側係合筒部34が内嵌し得るように設定され、外周筒部53の内周面には上側係合筒部34の係合凸部341と互いに係合して上下方向に対する組み付け固定が可能な係合凸部531が突出して形成されている。加えて、外周筒部53の外周面には凸状係止部として少なくとも3つ以上(図例では8つ)の係止突起532,532,…(特に図2及び図5参照)が外周側に突出するように形成されている。この係止突起532,532,…は、キャップ6の後述の保持凸部63を乗り越えて係止されることにより、塗布部材5をキャップ6内に一体的に組み付けた状態に保持し得るようになっている。
【0032】
キャップ6は、頂壁と周壁とから下方に開口し、上から中栓部材3や塗布部材5に被せてこれらを内部に収容した状態で、下端側の内周面のネジ部61により容器本体2の口部21のネジ部22にねじ込まれるようになっている。又、キャップ6は、その頂壁の下面から下向きに突出したストッパとしての筒部62を備え、筒部62の下端が上記の一体的組み付け状態における塗布部材5の上面壁52の外周側位置に当接可能となっている。さらに、キャップ6の上下方向の所定の中間位置には滑らかなカーブを描いて内周側に突出する保持凸部63(図6も併せて参照)が全周に亘り形成されている。この保持凸部63は、塗布容器内に塗布液が充填されるまでは塗布部材5をキャップ6内に一体的に組み付け保持しておくことができる一方、製品として使用者が使用する際には塗布部材5を中栓部材3に対し組み付けたままで、キャップ6を開閉操作し得るようにするものである。
【0033】
すなわち、図6に示すようにキャップ6の下端開口から塗布部材5を挿入していくと、図7(a)に示すように外周囲の各係止突起532が保持凸部63の下側に当たり、なおも塗布部材5を押し込んでいくと、各係止突起532が弾性変形して保持凸部63を乗り越え、乗り越えることにより各係止突起532が復元し、塗布部材5は保持凸部63の上側位置でキャップ6の内周面に保持されることになる。この際、上記の筒部62は、各係止突起532が保持凸部63を乗り越えることにより塗布部材5の上面壁52の上面と当接し(図6参照)、これ以上の塗布部材5の押し込みを規制することになる。加えて、筒部62が当接して塗布部材5のそれ以上の押し込み側移動が阻止されるため、後述の如く塗布液充填後にキャップ6と共に塗布部材5を中栓部材3に組み付ける際には、キャップ6を容器本体2の側に押し込めば、塗布部材5の外周筒部53と内周筒部54の間に中栓部材3の上側係合筒部34が圧入気味に押し入れられて、両者の係合凸部531,341を確実に係合させ得るようになっている。すなわち、上記筒部62は、塗布液充填後の閉キャッピング工程までは保持凸部63と共に塗布部材5をキャップ6内の所定位置に対し正確に位置決めした状態に仮保持するストッパとしての役割を果たす一方、閉キャッピング工程においてはキャップ6に加えられる閉操作力を塗布部材5に対し中栓部材3への組み付け力として伝達する組み付け力伝達部材としての役割を果たすことになる。
【0034】
一方、塗布液充填後、製品として出荷されて使用者が塗布操作する際には、キャップ6を開操作しても、塗布部材5は中栓部材3の側、つまり容器本体2の側に組み付けられた状態に維持され、この状態でキャップ6の繰り返しの開閉操作が可能となる。すなわち、図7(b)に示すように、塗布部材5の係合凸部531と中栓部材3の係合凸部341とが互いに係合された後は、上下方向への引き抜き力に対しては強固な係合状態になっているため、キャップ6を開くために上向きにネジって開操作したとしても、キャップ6の保持凸部63が図7(b)の実線から一点鎖線へ、さらに一点鎖線から二点鎖線へと係止突起532を折り曲げて上向きに移動し、移動キャップ6が上向きに移動するだけで、塗布部材5は中栓部材3に組み付けられた状態に維持される。逆にキャップ6を下向きにネジって閉操作したとしても、上記とは逆に保持凸部63が係止突起532を折り曲げて下向きに移動して元の閉状態に戻ることになる。これがキャップ6の開閉操作の度に繰り返されることになる。
【0035】
上記の保持凸部63の形成位置は次のように設定すればよい。すなわち、容器本体2に対し中栓部材3を組み付け、この中栓部材に対し塗布部材5を組み付けた状態(図2参照)における塗布部材5と、容器本体2の口部21のネジ部22に最終の閉位置までねじ込まれた状態におけるキャップ6との間で、塗布部材5とキャップ6とが互いの相対位置を維持して保持されるように、保持凸部63の形成位置を設定すればよい。そして、このような相対位置を維持した状態で、キャップ6の筒部62が塗布部材5の上面壁52に略当接することになる。
【0036】
次に、以上のような塗布部材の製品として出荷されるまでの工程を説明すると、次のようになる。一般に、塗布容器自体を製造する容器メーカから、内部に充填する塗布液を製造する薬品メーカに対し、塗布容器を構成する構成要素毎にバラバラにした状態で運送され、薬品メーカにおいて容器本体に塗布液を充填した後に、同じ薬品メーカにて全ての構成要素が組み付けられて製品として出荷されることになる。
【0037】
しかしながら、このように構成要素を構成要素毎にまとめて薬品メーカに納入した場合には、薬品メーカでの塗布液充填工程の後の組み付け工程において、特に刷毛の部分に破損を招くおそれが考えられる。すなわち、自動処理により組み付ける際に、一般に、刷毛部分が形成された多数個のパーツをパーツフィーダに投入し、このパーツフィーダでの振動付与によりそのパーツを例えば倒立状態に整列させることになるものの、このパーツフィーダによる整列の際にパーツ同士の衝突により刷毛部分に曲がりや絡み合いが生じたり、破損を招いたりする可能性が高くなるという問題を抱えている。このことは、損傷を受けたパーツの組み付けラインからの除去作業に伴う手間の増加や、歩留まりの低下という大きな問題を招くことにもなる。
【0038】
本実施形態の場合、構成要素(構成部品)としては容器本体2、中栓部材3、バネ付き弁体4、塗布部材5及びキャップ6の5点となるが、図8に示すように3点の構成要素に削減し、3点にした構成要素を薬品メーカに納入し、薬品メーカでは塗布液充填後に容器本体2に対し他の2点の構成要素を組み付ける、というようにして、刷毛51,51,…の確実な保護のみならず、組み付け工数の大幅な削減を実現させている。すなわち、容器メーカにおいて、バネ付き弁体4を中栓部材3に(図8参照)、塗布部材5をキャップ6に、それぞれ予め一体的に組み付けて、構成要素として容器本体2と、バネ付き弁体4を内装した中栓部材3と、塗布部材5が仮保持されたキャップ6との3点にし、この状態で薬品メーカに納入する。薬品メーカでは、容器本体2に塗布液を充填した後、まず、バネ付き弁体4を内装した中栓部材3を容器本体2の口部21内に押し込んで係合凸部23、321同士を互いに係合状態に組み付け、次いで、その中栓部材3に対し、塗布部材5が仮保持されたキャップ6をそのまま上から被せてネジ部22に対しねじ込んで閉キャップ状態にする。これだけで製品として出荷可能な最終状態にすることができる。
【0039】
以上の場合、バネ付き弁体4が内装された中栓部材3はその開口311が弁体部41によって閉状態に維持されているため、このような中栓部材3を容器本体2に対し組み付けることで、閉キャップ工程を経る前の段階で塗布液充填後の容器本体2を完全に密封することができるようになる。このため、製品までの組み付けラインにおいて、容器本体2同士の衝突に伴う衝撃が作用したり万一の倒れ等が発生したりしたとしても、容器本体2に充填した塗布液がこぼれたり流出したりする事態の発生を完全に回避することができるようになる。その上に、塗布部材5がキャップ6内に仮保持されて刷毛51,51,…がキャップ6によって完全に遮蔽されて保護された状態になるため、塗布部材5を内装したキャップ6をパーツフィーダにより整列させたとしても、刷毛51,51,…が損傷するおそれはなく、製品としての品質を確実に維持させることができるようになる。しかも、塗布部材5がキャップ6内に仮保持された状態のままのキャップ6を容器本体2の口部21にねじ込むだけで、そのねじ込み操作に案内されて、つまり位置合わせをする必要なく、塗布部材5の外周筒部53と内周筒部54との間に中栓部材の上側係合筒部34が確実に入り込み、次いで係合凸部341,531同士が互いに係合することになる。これにより、キャップ6の閉キャップ工程によって、塗布部材5の中栓部材3に対する組み付けも同時に完了させることができるようになる。このように、薬品メーカでの塗布液充填後の組み付け工程に要する工数を大幅に削減し得る上に、歩留まり発生を可及的に削減又は消滅させることができ、さらに製品として高品質なものに維持させることができるようになる。
【0040】
次に、本実施形態の塗布容器を用いて使用者が被塗布面に対し塗布操作をする際の作動状況について説明すると、まず、正立状態の塗布容器からキャップ6を開操作して除去し、塗布部材5の刷毛51,51,…を露出した状態にする。この状態では上記の如く中栓部材3の開口311は閉状態に維持されている。次に、キャップ6を取り去った塗布容器を上下逆にして倒立状態にし、下向きに延びる状態になった刷毛51,51,…(図9参照の一点鎖線参照)を被塗布面Kに押し当てる。これにより、刷毛51,51,…には被塗布面Kから反力が作用し、この反力が刷毛51,51,…を介して各分割片523に対し伝達され、伝達された反力(圧力)によって各分割片523がヒンジ結合部分524から弁体部41の側に折曲されて(図10も併せて参照)、弁体部41の頂部を開弁側(図9,図10の上側)に押すことになる。これにより、弁体部41は弁バネ部42の閉弁側への付勢力に抗して図9又は図10の上側に押し上げられ、弁部411が弁座312から離れて両者間に上下方向の隙間が生じる、つまり開口311が開切換されることになる。
【0041】
このため、容器本体2内の塗布液は、容器本体2内から弁部411と弁座312との間の環状隙間、開口311と頭部412との間の隙間、径方向のスリット状貫通溝521を通して刷毛51,51,…の根本に供給され(図9又は図10の点線の矢印参照)、この塗布液が各刷毛51に沿って先端まで伝わって被塗布面Kに塗布されることになる。この際、刷毛51,51,…が両分割片523,523の変位に伴い斜めに傾いてそれぞれの先端が略同一平面上に揃うことになり、この刷毛51,51,…の先端によって平坦な塗布面が構成されることになる。これにより、被塗布面Kに対する塗布操作を平坦な塗布面によって効率良く行うことができるようになる。塗布操作が終了して刷毛51,51,…を被塗布面Kから離すと、反力が消滅するため、弁体部41は弁バネ部42からの復元側へのバネ付勢力を受けて閉弁状態に復元し、この弁体部41に押し戻されると共にヒンジ結合部分524,524の弾性復元力を受けて各分割片523も元の状態まで復元することになる。
【0042】
以上のように、塗布部材5においては、刷毛51,51,…が、径方向及び周方向のスリット状貫通溝521,522,522によって互いに分断されかつヒンジ結合部分524,524によってヒンジ結合された両分割片523,523上に形成されているため、被塗布面Kに対する塗布操作を行うために刷毛51,51,…を被塗布面Kに押し当てれば、その反力によって容易にしかも確実に両分割片523,523を折曲して変位させることができ、この変位の結果、開口311を開いて容器本体2から塗布液を刷毛51,51,…に対し安定的かつ確実に供給させることができるようになる。
【0043】
<他の実施形態>
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その他種々の実施形態を包含するものである。すなわち、上記実施形態では、分割片523の分割数を2つとして平面視で略半円形にしたものを示したが、これに限らず、例えば3つ以上にしてもよい。例えば図11に示すように分割数を4つとしてもよい。この場合には、径方向のものとして互いに交差する2本の直径に亘り延ばされたスリット状貫通溝521,521,…と、各貫通溝521の外周側端部のそれぞれから周方向両側に延びる4本のスリット状貫通溝522,522,522,522とで上面壁52を分割・分断し、4つの分割片523,523,523,523を形成するようにすればよい。なお、図11のC−C線における断面図が図1又は図2に示す塗布部材5の形状に相当する。
【0044】
又、スリット状貫通溝として、径方向に加え周方向に延びるものも形成しているが、これに限らず、径方向のスリット状貫通溝だけで分割片を形成するようにしてもよい。例えば、分割数が比較的多くて(例えば6分割以上)ヒンジ結合部分の長さが容易に折曲し得る程度になれば、周方向のスリット状貫通溝を省略して径方向のスリット状貫通溝だけで分割片の分割・分断を行うようにすればよい。
【0045】
さらに、上記実施形態では、キャップ6に対し塗布部材5を一体的に組み付けて仮保持可能としているが、これに限らず、塗布部材5のみならず、バネ付き弁体4を内装させた中栓部材3を含め、全ての構成要素をキャップ6内に一体的に組み付けて仮保持可能にするようにしてもよい。この場合には、例えば図12に示すように、キャップ6の内周面に対し実施形態における保持凸部63と同様形状を有しその形成位置をさらに下側の下端開口側に位置変更した保持凸部64を形成する一方、実施形態における塗布部材5の係止突起532を省略し、その代わりに中栓部材3の下側係合筒部32の下端縁から外周側に突出するように係止突起322を形成するようにすればよい。この係止突起322,322も、実施形態の係止突起532と同様に周方向に少なくとも3つ以上で同様の形状を有するように形成すればよい。
【0046】
このようにすることで、容器メーカにおいて、予め塗布部材5と、バネ付き弁体4を内装した中栓部材3とを一体的に組み付け、この組み付けた状態のものをキャップ6に対し内嵌させて仮保持させた上で、この塗布部材5とバネ付き弁体4を内装した中栓部材3とが一体的に仮保持されたキャップ6と、容器本体2との2つの構成要素を薬品メーカに対し納入することができる。そして、薬品メーカでは容器本体2に対し塗布液を充填した後に、図13にも示すように上記の一体的に保持された状態のキャップ6を塗布液充填済みの容器本体2に対し閉操作するという閉キャッピング工程を行うだけで、最終製品を完成させることができるようになる。これにより、実施形態の場合における中栓部材3の容器本体2に対する組み付け工程を削減することができ、実施形態の場合よりも組み付け工数の削減を図ることができる上に、容器メーカから薬品メーカに搬送する構成要素の数も削減させることができるようになる。
【0047】
なお、以上の係止突起322,532は周方向の一部から点状に突出するものの他に、例えば薄肉のものを周方向に所定長さに亘って突出させた係止突片の如き形状や、あるいは全周に亘って突出させた係止突縁の如き形状等の凸状係止部を採用することもできる。
【符号の説明】
【0048】
2 容器本体
3 中栓部材
4 バネ付き弁体
5 塗布部材
6 キャップ
21 口部
31 隔壁
41 弁体部
42 弁バネ部
51 刷毛
52 上面壁
62 筒部(ストッパ)
63 保持凸部
311 開口
312 弁座
322,532 係止突起(凸状係止部)
412 頭部
422 帯状バネ片
521 径方向のスリット状貫通溝
522 周方向のスリット状貫通溝
523 分割片
524 ヒンジ結合部分
525 凹溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗布液を収容する容器本体と、上記容器本体の口部に係合されその口部を覆う隔壁の中央に開口を形成した中栓部材と、上記中栓部材の開口に対し下から上に内嵌するように中栓部材に内装され、弁バネ部からの上向きのバネ付勢力を受けて上記開口周縁の弁座に着座して閉弁され、閉弁状態でその頭部が上記開口から上側に突出する弁体部と、上記中栓部材に係合され上記弁体部の頭部を含んで上記中栓部材の開口を覆い刷毛が上向きに突出された上面壁を有する塗布部材と、塗布部材を覆って容器本体の口部に着脱可能に取り付けられるキャップとを備え、
上記塗布部材は、上記上面壁の刷毛が突出する領域が、径方向に延びるスリット状貫通溝によって、又は、径方向に延びるスリット状貫通溝及びこのスリット状貫通溝の端部から周方向に延びるスリット状貫通溝によって、上記弁体の頭部の上側に内周側端縁が位置するように複数の分割片に分断され、各分割片は外周側位置においてヒンジ結合されて内周側端縁が上記弁体部の頭部を押し下げる側に折曲可能に構成され、
上記弁バネ部は、そのバネ付勢力が、上記刷毛を被塗布面に押し当てた際に受ける反力の伝達を受けて上記上面壁が折曲することにより上記弁体部を押し下げて上記開口を開弁させるように設定されている
ことを特徴とする塗布容器。
【請求項2】
請求項1に記載の塗布容器であって、
上記各分割片の外周側位置のヒンジ結合部分において想定の折曲線に沿って凹溝が形成されている、塗布容器。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の塗布容器であって、
上記弁バネ部は、上記弁体部と、この弁体部の下方位置で上記中栓部材により支持される支持環との両者間において螺旋状に延びて両者を互いに結合させる複数の帯状バネ片を備えて構成されている、塗布容器。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれかに記載の塗布容器であって、
上記中栓部材は容器本体の口部に対し、上記塗布部材は上記中栓部材に対し、それぞれ上から被せることで引き抜けが阻止された状態に互いに係合可能に構成される一方、
少なくとも塗布部材はその外周囲から外周側に突出する凸状係止部がキャップの内周面から内周側に突出する保持凸部をキャップの下端開口側から内奥に向けて乗り越えることで上記キャップ内に一体的に仮保持可能に構成されている、塗布容器。
【請求項5】
請求項4に記載の塗布容器であって、
上記キャップの内奥位置には、このキャップ内に仮保持された状態の上記塗布部材の内奥側の部位に当接することで、その塗布部材のそれ以上の内奥側への移動を規制するストッパが形成されている、塗布容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−136711(P2011−136711A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−296445(P2009−296445)
【出願日】平成21年12月25日(2009.12.25)
【出願人】(000206185)大成化工株式会社 (83)
【Fターム(参考)】