塗布材押出容器
【課題】塗布材を充分な厚さで容易に塗布する。
【解決手段】塗布材押出容器は、本体筒内に設けられた第1及び第2の螺合部により塗布材を押し出し、本体筒の前端側に設けられ軟質材で形成された塗布具1の吐出口14から塗布材を吐出させる。塗布具1は、長軸方向Dl及び短軸方向Dsを有する扁平状の横断面外形を呈する扁平部11を備え、扁平部11は、短軸方向Ds一方側の外面11aに塗布面Sを有している。吐出口14は、塗布面Sの前端側に設けられていると共に、軸線方向前方に開口している。ここで、扁平部11における短軸方向Ds一方側は、吐出口14の前方位置に該吐出口14に隣接するよう設けられた塗布材受け面15と、長軸方向Dlにおいて吐出口14よりも外側で塗布材受け面15を挟む位置に、塗布材受け面15よりも短軸Ds方向一方側に突出するよう設けられた両側部16と、を有している。
【解決手段】塗布材押出容器は、本体筒内に設けられた第1及び第2の螺合部により塗布材を押し出し、本体筒の前端側に設けられ軟質材で形成された塗布具1の吐出口14から塗布材を吐出させる。塗布具1は、長軸方向Dl及び短軸方向Dsを有する扁平状の横断面外形を呈する扁平部11を備え、扁平部11は、短軸方向Ds一方側の外面11aに塗布面Sを有している。吐出口14は、塗布面Sの前端側に設けられていると共に、軸線方向前方に開口している。ここで、扁平部11における短軸方向Ds一方側は、吐出口14の前方位置に該吐出口14に隣接するよう設けられた塗布材受け面15と、長軸方向Dlにおいて吐出口14よりも外側で塗布材受け面15を挟む位置に、塗布材受け面15よりも短軸Ds方向一方側に突出するよう設けられた両側部16と、を有している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗布材を押し出して使用する塗布材押出容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の塗布材押出容器としては、例えば特許文献1に記載されたものが知られている。この塗布材押出容器では、本体内部の塗布材(塗布液)を加圧する液体加圧機構の押圧により、塗布材が本体先端の塗布体へと供給される。塗布体は、略平面の塗布面を有しており、先細り形状の扁平な弾性体とされている。塗布面の略中央部には、供給された塗布材を吐出させるものとして、略上方向に向き且つ常時開口状態の吐出口が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−236529号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、近年、上述したような塗布材押出容器においては、その使用性の改善が求められており、その中でも特に、塗布厚さを確保しながら塗布材を容易に塗布できることが望まれている。
【0005】
そこで、本発明は、塗布材を充分な厚さで容易に塗布することができる塗布材押出容器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係る塗布材押出容器は、容器本体と、容器本体内に設けられた押出機構と、容器本体の前端側に設けられ軟質材で形成された塗布具と、を具備し、押出機構により塗布材を押し出して塗布具の吐出口から吐出させる塗布材押出容器であって、塗布具は、長軸方向及び短軸方向を有する扁平状の横断面外形を呈する扁平部を備え、扁平部は、短軸方向一方側の外面に、塗布材を塗布対象に塗布するための塗布面を有し、吐出口は、塗布面の前端側に設けられていると共に、軸線方向前方に開口し、扁平部における短軸方向一方側は、吐出口の前方位置に該吐出口に隣接するよう設けられた塗布材受け面と、長軸方向において吐出口よりも外側で塗布材受け面を挟む位置に、塗布材受け面よりも短軸方向一方側に突出するよう設けられた両側部と、を有すること、を特徴とする。
【0007】
この本発明の塗布材押出容器では、例えば、吐出口から塗布材を吐出させ、唇や肌等の塗布対象に塗布具の塗布面を当てるようにして容器本体を後方側へと移動させて使用する際、次の作用効果が奏される。すなわち、塗布対象、吐出口の前方の塗布材受け面、及び両側部により吐出口の前方直近に空間が形成されることとなり、吐出された塗布材は当該空間内にて留められる。そして、この空間内に留められた塗布材でもって塗布対象が塗布される。加えて、吐出口が塗布面の前端側に設けられていると共に軸線方向前方に開口することから、吐出された塗布材を前方側へ集めるようにして塗布することができ、使用者にとって意図する箇所に適切に塗布材を塗布し易くなる。従って、本発明によれば、塗布材を充分な厚さで容易に塗布することができる。
【0008】
また、塗布面は、塗布材受け面よりも前方に設けられた前部塗布面と、吐出口よりも後方に設けられた後部塗布面と、を少なくとも含んで構成され、前部塗布面及び後部塗布面は、両側部を介して互いに滑らかに連続すると共に、後部塗布面と両側部の頂部とは、山形となるように連続すること、が好ましい。この場合、塗布材押出容器を使用する際、両側部を支点にして塗布具(塗布面)の先端が浮くような力が生じるため、塗布した塗布材を塗布具の先端で削ぎ取ってしまうのを抑制することができる。その結果、塗布材を均一に塗布することが可能となる。
【0009】
また、両側部の頂部は、前方に下るよう傾斜するスロープ面であること、が好ましい。この場合、塗布具の接触感(いわゆる肌当たり)を高めることができると共に、滑らかに塗布材を塗布することが可能となる。
【0010】
また、上記作用効果を好適に奏する構成として、具体的には、前部塗布面は、長軸方向及び軸線方向を含む基準面に対し略平行であり、後部塗布面は、基準面に対し第1傾斜角度で前方に下るよう傾斜し、両側部の頂部は、基準面に対し第1傾斜角度よりも大きい第2傾斜角度で前方に下るよう傾斜するスロープ面である構成が挙げられる。
【0011】
また、押出機構は、螺子機構であって、一方向における容器前部と容器後部との相対回転によって移動体を前進させて塗布材を押し出し、相対回転を制御する相対回転制御機構をさらに備え、相対回転制御機構は、移動体が任意位置に位置するときにおいて、一方向の反対方向である他方向における相対回転を一定回転量のみ許容すること、が好ましい。この場合、移動体の位置によらず、容器前部と容器後部とを他方向に相対回転したときには一定回転量の相対回転のみ許容され、それ以上の他方向の相対回転が阻止される。
【0012】
また、押出機構は、螺子機構であって、一方向における容器前部と容器後部との相対回転によって移動体を前進させて塗布材を押し出し、一方向における相対回転のみ許容するラチェット機構をさらに備えたこと、が好ましい。この場合、ラチェット機構により、他方向における容器前部と容器後部との相対回転を阻止することが可能となる。
【0013】
また、容器前部と容器後部との相対回転に伴ってクリック感を生じさせること、が好ましい。この場合、塗布材の吐出具合を、クリック感により使用者に感知させることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、塗布材を充分な厚さで容易に塗布することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】一実施形態に係る塗布材押出容器の初期状態を示す縦断面図である。
【図2】図1の塗布材押出容器のピストン前進時を示す縦断面図である。
【図3】図1の塗布材押出容器におけるピストン前進限の状態を示す図1の縦断面位置を90°異なる位置とした縦断面図である。
【図4】図1の塗布材押出容器の操作筒を示す図である。
【図5】図1の塗布材押出容器の回転止筒を示す図である。
【図6】図1の塗布材押出容器の移動螺子筒を示す斜視図である。
【図7】図1の塗布材押出容器の移動体を示す図である。
【図8】図1の塗布材押出容器の塗布具を示す斜視図である。
【図9】図1の塗布材押出容器の塗布具を示す平面図である。
【図10】図8のX−X線に沿っての断面図である。
【図11】図1の塗布材押出容器を用いて塗布材を塗布する場合を説明するための図である。
【図12】従来の塗布材押出容器を用いて塗布材を塗布する場合を説明するための図である。
【図13】図1の塗布材押出容器による塗布材の吐出を説明するための写真図である。
【図14】塗布確認試験の結果を示す写真図である。
【図15】変形例に係る塗布材押出容器を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明において同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0017】
図1は一実施形態に係る塗布材押出容器の初期状態を示す縦断面図、図2は図1の塗布材押出容器のピストン前進時を示す縦断面図である。図3は図1の塗布材押出容器のピストン前進限の状態を示す縦断面図である。図1〜3に示すように、本実施形態の塗布材押出容器100は、塗布材Mを収容すると共に使用者の操作で押し出し可能とするものである。
【0018】
塗布材Mとしては、リップカラー、リップライナー、アイシャドウ、アイライナー、スポットコンシーラー、ポイントスキンケアー、リンクルケアー、ネールケアー、甘皮ケアー、ボディーアート等を始めとした液状や、ゼリー状、ゲル状、ペースト状を含む練り状等の半固体や軟固形状等を用いることが可能である。また、塗布材Mとしては、高粘度の泥状から低粘度の液状まで、あらゆる化粧料を用いることができる。
【0019】
この塗布材Mは、好ましいとして、その粘度が5000mpa・s〜100000mpa・sとされている。また、塗布材Mは、より好ましいとして、その粘度が10000mpa・s〜70000mpa・sとされている。塗布材Mとしては、顔料に水添ポリイソブテンやパルミチン酸デキストリン等の油剤を配合した高粘性の液状リップ等を使用することができる。なお、上記粘度は、用いる器具又は条件を、B型粘度計、25℃、6〜10rpm、ロータNo.4とし、測定開始後60秒後に測定した値としている。
【0020】
或いは、塗布材Mの硬さ(硬度)は、好ましいとして、FUDOHRHEO METER[RTC-2002D.D](株式会社レオテック社製)を測定器として用い、雰囲気温度25℃条件下にてφ3mmの鋼棒を6cm/minの速度で塗布材Mに深さ10mm程度挿入したときに当該塗布材Mに生じるピーク時の力(強度)を0.05N〜0.2N程度としている。塗布材Mとしては、ワックスや顔料に炭化水素系揮発性油(イソドデカン、イソヘキサデカン等)やシリコン系揮発油(シクロペンタシロキサン等)を配合した半固形状のアイシャドウ等を使用することができる。
【0021】
図1,2に示すように、塗布材押出容器100は、塗布材Mが充填される充填領域2xを内部に備えた円筒状の本体筒(容器本体)2と、本体筒2の前端側に装着され充填領域2xから押し出される塗布材Mを皮膚に塗布するための塗布具1と、本体筒2の後端部に相対回転可能にして軸線方向に連結された有底円筒状の操作筒3と、を外形構成として具備し、塗布具1及び本体筒2により容器前部を構成すると共に、操作筒3により容器後部を構成している。そして、本体筒2の前端側には、保護部材としてのキャップCが塗布具1を覆うように着脱可能に装着されている。なお、「軸線」とは、塗布材押出容器100の前後に延びる中心線を意味し、「軸線方向」とは、軸線に沿った方向を意味する(以下、同じ)。
【0022】
この塗布材押出容器100は、その内部に、回転止筒4、移動螺子筒5、移動体6及びピストン7を概略備えている。回転止筒4は、本体筒2に対し軸線回り回転方向(以下、単に「回転方向」という)及び軸線方向に係合するものであり、前筒を構成する。移動螺子筒5は、操作筒3に対し同期回転可能且つ所定回転力よりも大きい回転力で相対回転可能に係合するものであり、後筒を構成する。この移動螺子筒5は、回転止筒4に第1の螺合部(押出機構,螺子機構)8を介して螺合する。移動体6は、回転止筒4に同期回転可能且つ軸線方向移動可能に係合すると共に、移動螺子筒5に第2の螺合部(押出機構,螺子機構)9を介して螺合する。ピストン7は、移動体6の前端部に装着されて充填領域2xの後端を形成する。
【0023】
この塗布材押出容器100では、本体筒2と操作筒3とが一の回転方向である一方向に相対回転されると、移動螺子筒5が一定量前進し、移動体6が移動螺子筒5に伴われて前進すると同時に移動螺子筒5に対し単独でも前進し、ピストン7が前進する。移動螺子筒5が前進限に達した後に本体筒2と操作筒3とがさらに同方向に相対回転されると、移動体6が単独で前進し、ピストン7が前進する。他方、本体筒2と操作筒3とが一方向とは反対の回転方向(反対方向)である他方向に相対回転されると、移動螺子筒5が一定量後退し、移動体6が移動螺子筒5に伴われて後退すると同時に移動螺子筒5に対し単独でも後退し、ピストン7が後退する。
【0024】
図1に示すように、本体筒2は、例えばPP(ポリプロピレン)で成形され、円筒状に構成されている。本体筒2は、その前側に塗布具1が一体となるよう装着されている。また、本体筒2の筒孔の後端部には、段差面2pを介して拡径された拡径部2aが設けられている。拡径部2aの内周面において前側には、回転止筒4を回転方向に係合するものとして、周方向に多数の凹凸部が並設されて該凹凸部が軸線方向に所定長延びて成るローレット2bが設けられている。一方、拡径部2aの内周面において後側には、操作筒3を相対回転可能にして軸線方向に係合するための環状凹部2cが設けられている。この本体筒2は、その前端側に、塗布具保持部材21及びコア部材22を有している。
【0025】
塗布具保持部材21は、塗布具1を保持するものであり、円筒状に形成されている。この塗布部保持部材21の内周面の前端部には、塗布具1を装着するためのものとして、径方向内側に突出する環状突部21aが形成されている。塗布部保持部材21は、その軸線方向中央部から後端部に亘り本体筒2の前端部に内嵌されて装着されている。
【0026】
コア部材22は、充填領域2xからの塗布材Mを先端側へ導くと共に当該塗布材Mの流れを制御するものである。このコア部材22は、外側筒部22aと、内側筒部22bと、外側筒部22a及び内側筒部22bをその後端部で連結する連結部22cと、を含んでいる。内側筒部22bは、後方へ開口する有底円筒状を呈している。内側筒部22bは、その前端が外側筒部22aの前端よりも前方へ大きく突出するよう延びている。内側筒部22bの前端部には、前方に向かって先細りの円錐状を成す突出部22dが形成されている。また、内側筒部22bの前端部において突出部22eの周囲には、当該内側筒部22bの内孔と外部とを連通する連通孔22eが開口されている。連結部22cは、後方に行くに従い拡がるよう傾斜する笠状を呈している。この連結部22cの後端面は、充填領域2xの前端を形成する。コア部材22は、本体筒2及び塗布具保持部材21の軸線方向中央部から後端部に亘る部分に内装され、これらに装着されている。
【0027】
図4(a)は、図1の塗布材押出容器の操作筒を示す平面図、図4(b)は、図4(a)のIV(b)−IV(b)線に沿っての断面図である。図4に示すように、操作筒3は、例えばABS樹脂(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレンの共重合合成樹脂)で成形されており、段付き円筒状に構成され、後側の外径大径部3xと、段差面3pを介してこれより前側の外径小径部3yとを備えている。外径大径部3xの内周面には、移動螺子筒5に回転方向に係合するものとして、周方向に多数の凹凸部が並設されて当該凹凸部が軸線方向に所定長延びるローレット31が設けられている。外径小径部3yの外周面において後側には、本体筒2に軸線方向に係合するための環状凸部33が設けられている。
【0028】
この操作筒3は、周方向に沿って延在するアーム3aと、アーム3aの先端部に設けられた突部3bと、を有している。アーム3aは、外径小径部3yにおける環状凸部33の前側に、軸線を挟んで対向するように一対設けられている。このアーム3aは、外径小径部3yにおいてコの字状のスリットを形成するようにして成り、その基端側を中心にして径方向に撓むことで、その素材に起因した径方向の弾性力を突部3bに付与する。突部3bは、本体筒2と操作筒3との相対回転に一定の摺動抵抗を付与するためのものであり、本体筒2の後側の内周面に当接し摺動する。突部3bは、径方向外側に凸状を成し、アーム3aの可撓性によって径方向の弾性力を有している。
【0029】
図1,4に示すように、操作筒3は、その外径小径部3yが本体筒2に内挿され、その段差面3pが本体筒2の後端面に突き当てられると共に、環状凸部33が本体筒2の環状凹部2cに軸線方向に係合することで、本体筒2に相対回転可能にして軸線方向に連結され装着されている。このとき、操作筒3の突部3bは、本体筒2の内周面に摺動可能に当接すると共に、その弾性力によって本体筒3の内周面を径方向外側へ付勢している。これにより、本体筒2と操作筒3とが相対回転された際、一定の抵抗感が生じることとなる。
【0030】
図5(a)は、図1の塗布材押出容器の回転止筒を示す正面図、図5(b)は、図6のVII−VII線に沿っての断面斜視図である。図5に示すように、回転止筒4は、例えばPOM(ポリアセタール)で成形されている。この回転止筒4は、後方に開口する有底円筒状を呈しており、円筒状の筒部41と、該筒部41の前端を閉塞するよう設けられた円板状の前板部42と、を含んで構成されている。
【0031】
筒部41の内周面において前端から所定長後側の位置には、第1の螺合部8を構成する雌螺子としての突条41aが複数設けられている。これら突条41aは、内周面に沿って螺旋状を成して延びると共に、隣接する突条41a,41aの端部同士は、軸線方向に互いにズレて離間している。また、突条41aは、軸線方向視において互いに重ならないように間欠的に設けられている。
【0032】
この筒部41は、その前端側外周を覆うように設けられた円筒状の鍔部43を含んでいる。鍔部43の外周面には、本体筒2のローレット2bに回転方向に係合するものとして、軸線方向に所定長延びる突条43aが周方向に複数設けられている。また、筒部41の鍔部43よりも後側は、軸線方向に伸縮可能とされた弾性部(いわゆる樹脂バネ)としてのバネ部44とされている。
【0033】
バネ部44は、第1の螺合部8が螺合復帰するよう移動螺子筒5を付勢するものであり、外周面に沿って螺旋状に延び且つ内外を連通するスリット44aを筒部41に形成することで設けられている。なお、ここでの「螺合復帰」は、雄螺子が雌螺子の螺子山の側面に当接するまで戻る段階を意味している(以下、同じ)
【0034】
前板部42の軸中心位置には、移動体6を軸線方向移動可能にして回転方向に係合する回転係合部として、移動体6を挿通する貫通孔45が形成されている。この貫通孔45は、軸線方向から見て移動体6の断面形状に対応した非円形形状を呈している。具体的には、貫通孔45の縁は、互いに対向し直線状に延びる一対の直線部45aと、これら直線部45aを連結するように円弧状の延びる円弧部45bと、によって構成されている。
【0035】
また、前板部42において貫通孔45の径方向外側には、軸線方向から見て円弧状に延びるスリット46が形成されている。スリット46は、回転止筒4を樹脂成形する際、突条41aに係る部位を成形するためにコアピンを通過させるものである。このスリット46は、例えば前板部42の製造上及び強度上等のために好ましいとして、周方向三等配の位置に設けられている。
【0036】
図1,5に示すように、回転止筒4は、本体筒2に内挿され、その鍔部43の前端面が本体筒2の段差面2pに突き当てられていると共に、その突条43aが本体筒2のローレット2bに回転に係合している。これにより、回転止筒4は、本体筒2に回転方向に係合して装着されている。なお、回転止筒4の鍔部43の後端面と操作筒3の前端面との間、又は鍔部43の前端面と本体筒2の段差面2pとの間には、僅かなクリアランスが形成されており、これにより、操作筒3の本体筒2に対する相対回転が回転止筒4で阻害されることが抑制され、かかる相対回転が鈍く(重く)なること等が防止される。
【0037】
図6は、図1の塗布材押出容器の移動螺子筒を示す斜視図である。図6に示すように、移動螺子筒5は、例えばPOMで成形されている。この移動螺子筒5は、段付き円筒状に構成され、前端部5xと、前端部5xよりも大径外形を有する中間部5yと、中間部5yよりも大径外形を有する後端部5zと、を含んでいる。この移動螺子筒5の内径は、前方から後方に行くに従って外径に倣って段付き状に拡径している。
【0038】
前端部5xの内周面において前端から所定長後方に亘る領域には、第2の螺合部9を構成する雌螺子51が設けられている。なお、ここでの第2の螺合部9のピッチは、第1の螺合部8のピッチより細かいものとされており、第1の螺合部8のリード(本体筒2と操作筒3との相対回転一回転当たりの推進量)が第2の螺合部9のリードよりも大きく設定されている。
【0039】
この前端部5xの外周面には、第1の螺合部8を構成する雄螺子としての突条52が設けられている。これら突条52は、外周面おいて軸線を挟んで対向する一対の対向部分に設けられている。つまり、突条52は、かかる対向部分にのみ螺旋状を成して延在するように、間欠的に設けられている。
【0040】
後端部5zは、周方向に沿って延在するアーム53と、アーム53の先端部に設けられ軸線方向に延在する突条(突部)54と、を有している。アーム53は、軸線を挟んで対向するように一対設けられている。このアーム53は、後端部5zにおいてコの字状のスリットを形成するようにして成り、その基端側を中心にして径方向に撓むことで、その素材に起因した径方向の弾性を突条54に付与する。
【0041】
突条54は、操作筒3のローレット31(図4参照)に対し回転方向に係合するものであり、アーム53の可撓性によって径方向の弾性力を有している。突条54は、径方向外側に凸状を成している。具体的には、突条54における周方向の一方側(本体筒2と操作筒3とを一方向に相対回転したときにローレット31に当接する側)の側面54bは、外周面に対し垂直となるよう交差している。一方、突条54における周方向の他方側(本体筒2と操作筒3とを他方向に相対回転したときにローレット31に当接する側)の側面54aは、山型になるよう外周面に対し傾斜している。
【0042】
図1,6に示すように、この移動螺子筒5は、回転止筒4の後側から該回転止筒4に内挿され、その突条52が回転止筒4の突条41aに螺合されることで、回転止筒4に第1の螺合部8を介して装着されている。このとき、移動螺子筒5は、その中間部5y及び後端部5zの間の段差面5pが回転止筒4の後端面に突き当てられると共に、回転止筒4のバネ部44の縮小(圧縮)による弾性力によって軸線方向後方に常に付勢される。これにより、特に、移動螺子筒5が所定量前進して第1の螺合部8の螺合作用が解除されたときには、第1の螺合部8が螺合復帰するよう移動螺子筒5が後側へ付勢される(詳しくは、後述)。
【0043】
なお、バネ部44の弾性力で移動螺子筒5が軸線方向後方に常に付勢されると、その反作用で回転止筒4自体も軸線方向前方に常に付勢されることになる。これにより、回転止筒4は、本体筒2に対し回転方向に係合すると共に軸線方向に係合し、その結果、回転止筒4は本体筒2に一体になるよう装着される。
【0044】
また、移動螺子筒5は、操作筒3の前側から該操作筒3に内挿され、その突条54が操作筒3のローレット31に回転方向に係合することで、操作筒3に対し回転方向に係合し且つ軸線方向移動可能に装着されている。このとき、突条54が径方向に弾性を有することから、操作筒3と移動螺子筒5とが所定回転力以上の回転力で相対回転された場合、操作筒3のローレット31に対する係合が解除される(詳しくは、後述)。
【0045】
図7(a)は、図1の塗布材押出容器の移動体を示す正面図、図7(b)は、図1の塗布材押出容器の移動体を示す右側面図である。図7に示すように、移動体6は、ピストン7を前方へ押し出して前進させると共に後方へ引き戻して後退させるものである。この移動体6は、例えばPOMで成形され、軸線方向に延在する柱状の軸体61を備えている。軸体61は、回転止筒4の貫通孔45の形状に対応した非円形形状の断面形状を有している。具体的には、軸体61は、円柱形状の外周に二平面部61a,61aを対向して設けた長尺の軸形状を成している。
【0046】
この軸体61の二平面部61a,61aを除く外周面において前端部以外の領域には、第2の螺合部8を構成する雄螺子66が設けられている。また、移動体6は、ピストン7を軸線方向に係合するためのものとして、軸体61の前端側に設けられた円形状の鍔部62を備えている。この鍔部62の外周面の前端側には、ピストン7に軸線方向に係合する環状凸部67が設けられている。
【0047】
図1,7に示すように、移動体6は、移動螺子筒5に内挿され、その雄螺子66が移動螺子筒5の雌螺子51に螺合されることで、移動螺子筒5に第2の螺合部9を介して装着されている。これと共に、移動体6は、その断面非円形形状の軸体61が回転止筒4の貫通孔45に内挿されることで、回転止筒4に対し同期回転可能且つ軸線方向移動可能に装着されている。ここでの移動体6は、その軸体61の前端部が初期状態において回転止筒4の貫通孔45に回転方向に係合するよう装着されている。
【0048】
図1に戻り、ピストン7は、例えばPP、HDPE(高密度ポリエチレン)、UHMW−PE(超高分子量ポリエチレン)、LLDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)等で成形されている。ピストン7の後端面に凹設された凹部7aの内周面には、環状突部7bが設けられている。このピストン7は、移動体6の先端側に外挿され、その環状突部7bが移動体6の環状凸部67に軸線方向に係合することで、移動体6に対し軸線方向に所定長移動可能にして装着されている。
【0049】
図8,9は、図1の塗布材押出容器の塗布具を示す斜視図、平面図であり、図10は、図8のX−X線に沿っての断面図である。図8〜10に示すように、塗布具1は、透明又は半透明の軟質材で形成されている。塗布具1の材料には、インジェクションで形成される熱可塑性エラストマーとして、ポリウレタン系エラストマー(TPU)、ポリオレフィン系エラストマー(TPO)、ポリエステル系エラストマー(TPEE)等が用いられる。また、コンプレッションで成形される熱硬化性ゴムとして、ニトリルゴム(NBR)、ウレタンゴム(UR)、ブチルゴム(IIR)、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、シリコンゴム(Si)等が用いられる。
【0050】
例えば、例えば塗布具1の材料としては、熱可塑性エラストマーのポリウレタン系エラストマーの中でも、ソフトセグメントが用いられる。また、例えば熱可塑性エラストマーのポリエーテルタイプを用いると、ポリエステルタイプと比較して耐油性に優れているために好ましい。なお、ポリウレタン系エラストマーは、素材を透明したグレードが存在するために優位性がある。塗布具1は、JIS K 6253で規定されているタイプAデュロメータ(Shore A)による硬さが40〜90とされている。
【0051】
この塗布具1は、その基端側の後端部10と、その先端側の扁平部11と、を含むいわゆるスパチュラとされている。後端部10は、円筒状を呈しており、その外周面には、塗布材保持具21に係合するための環状凹部10aが設けられている。後端部10の筒孔10bは、軸線G方向に沿って延在し、その横断面(軸線方向に直交する断面)が円形とされている。ここでの筒孔10bは、コア部材22の内側筒部22bの外径と同程度の径を有している。また、後端部10の外周面の前端部には、前側が傾斜する山型の鍔部12が形成されている。鍔部12の後端面12aは、軸線G方向に直交する直交面とされている。
【0052】
扁平部11は、前端側に向けて滑らかに薄くなるヘラ状(嘴状)とされている。すなわち、扁平部11は、長軸方向Dl及び短軸方向Dsを有する扁平状の横断面外形を有し、この扁平状の横断面外形は、前方に行くに従って短軸方向Dsに滑らかに薄くなるように構成されている。この扁平部11は、鍔部12の前側に滑らかに連続するよう設けられている。
【0053】
また、扁平部11の内部には、筒孔10bと滑らかに連通し且つ軸線G方向に沿って延在する内孔13が形成されている。内孔13の横断面は、筒孔10b側で円形状とされていると共に、前方に行くに従い扁平部11の外形に倣う扁平状とされており、これにより、扁平部11の筒孔10b周りの肉厚が略一定とされている。この扁平部11は、図9に示すように、短軸方向Dsから見て、その前端側の縁が前方に向かって先細りの尖形状とされている。
【0054】
図8〜10に戻り、この扁平部11は、その短軸方向Dsの一方側(図10において上方)の外面11aに、塗布材Mを塗布対象に塗布するための塗布面Sを有している。塗布面Sは、使用時において使用者の唇や肌等の塗布対象に当接(密着)するよう使用される領域であり、例えば、外面11aにおける中央後端寄りから前端に亘る領域が対応している。この塗布面Sの前端側には、塗布材Mを吐出させる吐出口14が形成されている。ここでの吐出口14は、塗布面Sにおける前端と中央との間に設けられている。吐出口14は、内孔13の開口端を構成し、軸線G方向前方に開口している。この吐出口14は、扁平状、つまり、長軸方向Dlに長尺状を呈している。
【0055】
ここで、本実施形態において、扁平部11における短軸方向Ds一方側は、塗布材受け面15及び両側部16を備えている。塗布材受け面15は、吐出口14から吐出された塗布材Mを受けるものとして扁平部11の外面11aに設けられた領域である。この塗布材受け面15は、吐出口14の前方位置に該吐出口14に隣接するよう設けられている。換言すると、塗布材受け面15は、吐出口14の前方直近に位置しており、吐出口14を起点にして前方側に所定範囲を有して拡がる領域である。この塗布材受け面15は、長軸方向Dl及び軸線G方向を含む基準面(以下、単に「基準面」という)と略平行に延在している。
【0056】
両側部16は、長軸方向Dlにおいて吐出口14よりも外側で、且つ塗布材受け面15を挟む位置に設けられ、塗布材受け面15よりも短軸方向Ds一方側に突出するよう設けられている。つまり、扁平部11において塗布材受け面15の長軸方向S一方側及び他方側は、両側部16として隆起している。ここでの両側部16は、扁平部11における短軸方向Dsの縁部を構成する。両側部16の頂面(頂部)は、前方に下るよう傾斜するスロープ面17とされている。スロープ面17は、基準面に対し、後述の第2傾斜角度よりも大きい第1傾斜角度で傾斜している。
【0057】
また、塗布面Sは、塗布材受け面15よりも前方に設けられた前部塗布面Sfと、吐出口よりも後方に設けられた後部塗布面Srと、を少なくとも含んで構成されている。前部塗布面Sfは、塗布面Sにおいて塗布材受け面15を起点に前端まで拡がっている。この前部塗布面Sfは、基準面に対し略平行に延在している。後部塗布面Srは、塗布面Sにおいて吐出口14を起点に後端まで拡がっている。この前部塗布面Sfは、基準面に対し、上記第1傾斜角度よりも小さい第2傾斜角度で傾斜している。
【0058】
これら前部塗布面Sf及び後部塗布面Srは、両側部16のスロープ面17を介して互いに滑らかに連続している。換言すると、前部塗布面Sf及び後部塗布面Srは、スロープ面17により曲面的に連なっている。よって、このような塗布面Sは、その後方から前方に行くに従い、後部塗布面Srで小さく前傾し、両側部16のスロープ面17で大きく前傾した後、前部塗布面Sfで平らになっている。
【0059】
なお、塗布材受け面15と内孔13の内壁面13aとの間(吐出口14より前側と後側との間)には、段差19が形成されている。この段差19以外の吐出口14により、塗布具1を成形する際、例えば内孔13を画設するために用いるコアピンを軸線G方向に好適に保持することができる。
【0060】
図1,8〜10に示すように、塗布具1は、その後端部がコア部材22の内側筒部22bの前半部に外挿されることでコア部材8に装着されている。加えて、塗布具1は、塗布具保持部材21に内挿され、その鍔部12に塗布具保持部材21の先端部が突き当てられると共に、その後端部10の環状凹部10aに塗布具保持部材21の環状突部21aが係合されることで、塗布具保持部材21に装着されている。
【0061】
次に、塗布材押出容器100の動作の一例について説明する。
【0062】
本実施形態の塗布材押出容器100にあっては、図1に示す初期状態において、第1の螺合部8の突条41a,52が互いに螺合すると共に、第2の螺合部9の雄螺子66の前端部に移動螺子筒5の雌螺子51が螺合した状態で、回転止筒4の貫通孔45が移動体6の軸体61の前端部に係合している。また、このとき、操作筒3の底部に対し、移動螺子筒5の後端及び軸体61の後端が当接又は近接した状態となっている。
【0063】
このような初期状態の塗布材押出容器100では、使用者によりキャップCが取り外されて本体筒2と操作筒3とが繰り出し方向である一方向に相対回転されると、移動螺子筒5の突条54の側面54b(図6参照)が操作筒3のローレット31に当接して回転方向に係止(強固に係合)することから、回転止筒4と移動螺子筒5とが相対回転し、回転止筒4の突条41a及び移動螺子筒5の突条52により構成された第1の螺合部8の螺合作用が働き、移動螺子筒5の突条54と操作筒3のローレット31とにより構成された回止め部との協働により、移動螺子筒5が移動体6とともに前進する。
【0064】
これと同時に、移動体6が回転止筒4の貫通孔45に回転方向に係合することから、移動体6と移動螺子筒5とが相対回転し、移動螺子筒5の雌螺子51及び移動体6の雄螺子66により構成された第2の螺合部9の螺合作用が働き、回転止筒4の貫通孔45と移動体6の軸体61とにより構成された回止め部との協働により、移動体6が前進する。すなわち、移動体6が移動螺子筒5に伴われて前進すると同時に移動螺子筒5に対し単独でも前進する。
【0065】
これにより、移動体6がピストン7に対し前進してピストン7を前方に押圧し、ピストン7が前進する。その結果、塗布材Mが前方へ押し出されて前進され(繰り出され)、塗布具1の前端の吐出口14から塗布材Mが吐出される。そして、図11に示すように、吐出口14から塗布材Mが吐出された塗布材押出容器100は、唇や肌等の塗布対象50に塗布面Sを当てるようにして塗布具1の扁平部11を撓らせながら、その後方側(図中の矢印方向)へと塗布対象50に対し相対移動させられ、これにより、塗布対象50に塗布材Mがライン状に塗布されることとなる。
【0066】
ところで、図12に示すように、従来の塗布材押出容器100’の塗布具1’では、通常、例えば塗布面S’の直交方向に開口する吐出口14’が塗布面S’の略中央位置に形成されており、この塗布材押出容器100’を用いて塗布材Mを塗布する場合、図示するように、充分な厚さで塗布材Mを塗布することが難しい。また、塗布した塗布材Mの厚さが不均一になり易く、特に、図12の矢印方向に塗布材Mを塗布するときに当該塗布材Mが削ぎ取られ、塗布線の両端が徐々に厚くなるようなムラになる場合が見受けられる。
【0067】
これに対し、図11に示すように、本実施形態の塗布材押出容器100では、塗布面Sを塗布対象50に当てるようにして使用する際、塗布対象50、塗布材受け面15、及び両側部16によって吐出口14の前方直近に空間(隙間)Aが形成され、吐出された塗布材Mは吐出直後には当該空間A内にまず留められる。そして、この空間A内に留められた塗布材Mでもって塗布対象50が塗布されることとなる。よって、塗布材Mの充分な塗布厚さを確保することができる。
【0068】
これに併せ、塗布材押出容器100では、吐出口14が塗布面Sの前端側に設けられていると共に軸線G方向前方に開口することから、図13に示すように、従来の塗布材押出容器100’に比べ、吐出された塗布材Mをより前方側へ集めるように塗布することができ、使用者にとって意図する箇所に適切に塗布材Mを塗布し易くなる。従って、本実施形態によれば、塗布材Mを充分な厚さで容易に塗布することができる。
【0069】
また、上述したように、両側部16の頂面が前方に下るよう傾斜するスロープ面17とされていることから、塗布具1の接触感(いわゆる肌当たり)を高めることができると共に、滑らかに塗布材Mを塗布することが可能となる。
【0070】
さらにまた、上述したように、両側部16のスロープ面17を介して前部塗布面Sf及び後部塗布面Srが互いに滑らかに連続すると共に、後部塗布面Srと両側部16のスロープ面17とが山形となるように連続している。これにより、塗布材Mの塗布時において、両側部16のスロープ面17が塗布対象50に接触状態となり、両側部16を支点にして塗布具1(塗布面S)の先端が浮くような力fが生じ、その結果、図11に示すように、塗布具1の前端を塗布対象50から離間させることが可能となる。よって、塗布した塗布材Mを塗布具1の先端で意図せず削ぎ取ってしまうのを抑制することができ、塗布材Mを均一に塗布することが可能となると共に、塗布材Mを一層充分な厚さで塗布することが可能となる。
【0071】
なお、図2に示すように、一方向における本体筒2及び操作筒3の相対回転が続けられると、移動体6が引き続き前進して吐出口14から塗布材Mが引き続き吐出される。移動体6が所定量前進した後には、移動螺子筒5の突条52が回転止筒4の突条41aの前端から外れ、第1の螺合部8の螺合作用が解除され、移動螺子筒5が前進限に達する。この移動螺子筒5の前進限の状態においては、バネ部44の縮小の弾性力により移動螺子筒5が後方側へ付勢されることから、繰戻し方向である他方向へ本体筒2と操作筒3とが相対回転された場合、移動螺子筒5の突条52が回転止筒4の突条41aにおける回転方向隣の先端に直ちに進入し、第1の螺合部8の螺合作用が直ちに働く。
【0072】
そして、一方向の相対回転がさらに続けられると、螺合復帰するように第1の螺合部8がバネ部44で付勢されながら第2の螺合部9の螺合作用のみが働き、移動体6がさらに前進して吐出口14から塗布材Mがさらに吐出される。移動体6がさらに前進する際、前述のように螺合復帰するように第1の螺合部8が付勢されていることから、突条41a,52同士の係合及び係合解除が繰り返され(つまり、突条41a,52が互いに当接したり離れたりするのが繰り返され)、かかる係合及び係合解除の度に使用者にクリック感が付与され、塗布材Mの押し出しが使用者に感知される。その後、図3に示すように、移動体6が前進限に達する。
【0073】
他方、例えば使用後等の移動体6が任意位置に位置するときにおいて、本体筒2と操作筒3とが他方向へ相対回転されると、移動螺子筒5の突条54の側面54a(図6参照)が操作筒3のローレット31に当接して所定係合力で周方向に係合することから、回転止筒4と移動螺子筒5とが相対回転し、第1の螺合部8の螺合作用が働き、移動螺子筒5の突条54と操作筒3の31とにより構成された回止め部との協働により、移動螺子筒5が移動体6とともに後退する。
【0074】
これと同時に、移動体6が回転止筒4の貫通孔45に回転方向に係合することから、移動体6と移動螺子筒5とが相対回転して第2の螺合部9の螺合作用が働き、回転止筒4の貫通孔45と移動体6の軸体61とにより構成された回止め部との協働により、移動体6が後退する。すなわち、移動体6が移動螺子筒5に伴われて後退すると同時に移動螺子筒5に対し単独でも後退する。
【0075】
さらに、他方向の相対回転が続けられ、一定回転量だけ相対回転されると、移動体6が所定量後退した後、移動螺子筒5の後端面5pが操作筒3の底面3pに当接し、第1の螺合部8の螺合作用が停止され、移動螺子筒5が後退限に達する。その結果、その後においては、第1の螺合部8における螺合作用の停止前と同じ操作回転力(使用者による回転力を意味する。以下同じ)によって本体筒2と操作筒3とを他方向へ相対回転しようとしても、本体筒2と操作筒3とが相対回転されないことになる。
【0076】
しかし、第1の螺合部8における螺合作用の停止後、例えば、使用者によって停止前よりも大きい操作回転力で本体筒2と操作筒3とが他方向に相対回転され、操作筒3と移動螺子筒5との間に所定回転力よりも大きい回転力が加わると、移動螺子筒5の突条54が有する弾性によって該突条54が径方向内側に撓み、突条54の側面54aをローレット31が摺動して乗り越え、操作筒3と移動螺子筒5とが相対回転(以下、「空回転」ともいう)される。
【0077】
その結果、第1の螺合部8における螺合作用の停止後において、何らかの理由で本体筒2と操作筒3とが他方向に無理に相対回転されても、突条54がトルクリミッタとして機能されて操作筒3と移動螺子筒5とが空回転されることとなる。よって、操作筒3の底面が移動螺子筒5の後退によって後側へ強く押圧されるのを抑制することができ、本体筒2と操作筒3との軸線方向における係合が解除される(本体筒2と操作筒3とが分解される)等の容器破損を防止することが可能となる。
【0078】
ちなみに、操作筒3と移動螺子筒5とが空回転される際、突条54とローレット31との係合及び係合解除(噛合及び噛合解除)が繰り返され、かかる係合及び係合解除の度に使用者にクリック感が付与されるため、移動螺子筒5の後退限を感知することが可能となる。
【0079】
以上、本実施形態によれば、上述したように、充分な厚さで容易且つ均一に塗布材Mを塗布することができ、さらには、塗布具1の接触感を高め、滑らかに塗布材Mを塗布することが可能となる。
【0080】
また、本実施形態では、上述したように、移動体6が任意位置に位置するとき、本体筒2と操作筒3とを他方向に一定回転量のみ相対回転させ、移動体6ひいてはピストン7を所定量のみ後退させることが可能となっている。つまり、移動体6の位置によらず、他方向における相対回転が一定回転量のみ許容され、それ以上の他方向の相対回転が阻止されている。よって、例えば、使用後に移動体6ひいてはピストン7を後退させることで、その後の保管時にて以下の作用効果を奏する。
【0081】
すなわち、塗布材Mの温度変化、又は充填領域2x内に混入した空気の内圧変化によって、塗布具1の吐出口14から塗布材Mが流出してしまうのを防止することができる。また、軸線G方向において本体筒2と操作筒3とを互いに密着するような力がこれらに加わったとき、例えば部品間のクリアランスに起因して移動体6が若干僅かに前進しても、塗布材Mが流出してしまうのを防止することができる。なお、移動螺子筒5の突条54、後端面5p、操作筒3のローレット31、及び底面3pが、相対回転制御機構を構成する。
【0082】
また、本実施形態では、上述したように、本体筒2と操作筒3との相対回転に伴って生じるクリック感により、塗布材Mの吐出具合を使用者に感知させることができる。なお、一方向における相対回転の際には、係合及び係合解除が繰り返される突条41a,52及びバネ部44がクリック部を構成し、他方向における相対回転の際には、係合及び係合解除が繰り返される突条54及びローレット31がクリック部を構成する。
【0083】
また、本実施形態では、上述したように、吐出口14が軸線G方向に開口している。よって、塗布具1の成形時において、吐出口が塗布面Sの垂直方向に開口する場合に比べ、内孔13を画設するために用いるコアピンに径方向の力が作用されるのを抑制できるため、コアピン位置が径方向にズレするのを抑制することができ、容易且つ確実に塗布具1を成形することが可能となる。
【0084】
図14(a)は、従来の塗布材押出容器による塗布確認試験の結果を示す写真図であり、図14(b)は、本実施形態の塗布材押出容器による塗布確認試験の結果を示す写真図である。図14に示すように、本実施形態の塗布材押出容器100に関し、塗布された塗布材Mの厚さについて塗布確認試験を行った。具体的には、上記塗布材押出容器100と上記従来の塗布材押出容器100’とを用いて塗布対象50の4箇所に塗布材Mを塗布し、塗布した塗布材Mの厚さを比較確認した。各箇所では、5回一方向に沿って塗布材Mを重ね塗布した。塗布対象50としては、手の甲を採用した。
【0085】
その結果、従来の塗布材押出容器100’では、図15(a)に示すように、塗布材Mが薄く塗布されており、塗布対象50の肌質が透けて見えている。これに対し、本実施形態の塗布材押出容器100では、図15(b)に示すように、肌質が見えないぐらい厚く充分に塗布材Mが塗布されていることがわかる。これにより、充分な厚さで塗布材Mを塗布できるという上記作用効果を確認することができた。
【0086】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明に係る塗布材押出容器は、上記実施形態に限られるものではなく、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲で変形し、又は他のものに適用したものであってもよい。
【0087】
図15は、変形例に係る塗布材押出容器を示す斜視図である。例えば図15に示すように、変形例に係る塗布材押出容器200は、塗布具201を備えている。この塗布具201では、後側塗布面Srと前側塗布面Sfとが互いに等しい一定傾斜角を有し、両側部16の頂面としてのスロープ面17についても、当該一定傾斜角度を有している。そして、塗布面Sでは、後側塗布面Srと前側塗布面Sfとが、同一平面となるようにスロープ面17で滑らかに連続している。このような変形例に係る塗布材押出容器200においても、塗布材Mを充分な厚さで容易に塗布するという上記作用効果が奏される。
【0088】
また、上記実施形態では、押出機構として第1及び第2の螺合部8,9(螺子機構)による回転式としているが、これに限定されず、例えばノック式等の機械的な押出機構や、スクイーズ式の押出機構を採用することも可能である。
【0089】
また、上記実施形態は、本体筒2と操作筒3との他方向における相対回転を一定回転量のみ許容する相対回転制御手段を備えているが、一方向における相対回転のみ許容するラチェット機構を備えていてもよい。この場合、ラチェット機構により、他方向における相対回転を阻止することが可能となる。
【0090】
また、上記実施形態では、本体筒2と操作筒3とが一方向/他方向に相対回転されると、第1の螺合部8の螺合作用が働くと同時に第2の螺合部9の螺合作用が働くように構成したが、第1の螺合部8の螺合作用のみが働いた後、第2の螺合部8の螺合作用のみが働いように構成してもよい。また、上記実施形態は、第2の螺合部9のみを有していてもよい。
【0091】
なお、上述した雄螺子及び雌螺子は、螺子山や螺子溝だけでなく、間欠的に配される突起群、又は螺旋状且つ間欠的に配される突起群のように螺子山や螺子溝と同様な働きをするものであってもよい。
【符号の説明】
【0092】
1…塗布具(容器前部)、2…本体筒(容器本体,容器前部)、3…操作筒(容器後部)、3p…底面(相対回転制御機構)、4…回転止筒(前筒)、5…移動螺子筒(後筒)、5p…後端面(相対回転制御機構)、6…移動体、8…第1の螺合部(押出機構,螺子機構)、9…第2の螺合部(押出機構,螺子機構)11…扁平部、11a…外面、14…吐出口、15…塗布材受け面、16…両側部、17…スロープ面(頂部)、31…ローレット(相対回転制御機構)、50…塗布対象、54…突条(相対回転制御機構)、100…塗布材押出容器、Dl…長軸方向、Ds…短軸方向、G…軸線、M…塗布材、S…塗布面、Sf…前部塗布面、Sr…後部塗布面。
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗布材を押し出して使用する塗布材押出容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の塗布材押出容器としては、例えば特許文献1に記載されたものが知られている。この塗布材押出容器では、本体内部の塗布材(塗布液)を加圧する液体加圧機構の押圧により、塗布材が本体先端の塗布体へと供給される。塗布体は、略平面の塗布面を有しており、先細り形状の扁平な弾性体とされている。塗布面の略中央部には、供給された塗布材を吐出させるものとして、略上方向に向き且つ常時開口状態の吐出口が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−236529号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、近年、上述したような塗布材押出容器においては、その使用性の改善が求められており、その中でも特に、塗布厚さを確保しながら塗布材を容易に塗布できることが望まれている。
【0005】
そこで、本発明は、塗布材を充分な厚さで容易に塗布することができる塗布材押出容器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係る塗布材押出容器は、容器本体と、容器本体内に設けられた押出機構と、容器本体の前端側に設けられ軟質材で形成された塗布具と、を具備し、押出機構により塗布材を押し出して塗布具の吐出口から吐出させる塗布材押出容器であって、塗布具は、長軸方向及び短軸方向を有する扁平状の横断面外形を呈する扁平部を備え、扁平部は、短軸方向一方側の外面に、塗布材を塗布対象に塗布するための塗布面を有し、吐出口は、塗布面の前端側に設けられていると共に、軸線方向前方に開口し、扁平部における短軸方向一方側は、吐出口の前方位置に該吐出口に隣接するよう設けられた塗布材受け面と、長軸方向において吐出口よりも外側で塗布材受け面を挟む位置に、塗布材受け面よりも短軸方向一方側に突出するよう設けられた両側部と、を有すること、を特徴とする。
【0007】
この本発明の塗布材押出容器では、例えば、吐出口から塗布材を吐出させ、唇や肌等の塗布対象に塗布具の塗布面を当てるようにして容器本体を後方側へと移動させて使用する際、次の作用効果が奏される。すなわち、塗布対象、吐出口の前方の塗布材受け面、及び両側部により吐出口の前方直近に空間が形成されることとなり、吐出された塗布材は当該空間内にて留められる。そして、この空間内に留められた塗布材でもって塗布対象が塗布される。加えて、吐出口が塗布面の前端側に設けられていると共に軸線方向前方に開口することから、吐出された塗布材を前方側へ集めるようにして塗布することができ、使用者にとって意図する箇所に適切に塗布材を塗布し易くなる。従って、本発明によれば、塗布材を充分な厚さで容易に塗布することができる。
【0008】
また、塗布面は、塗布材受け面よりも前方に設けられた前部塗布面と、吐出口よりも後方に設けられた後部塗布面と、を少なくとも含んで構成され、前部塗布面及び後部塗布面は、両側部を介して互いに滑らかに連続すると共に、後部塗布面と両側部の頂部とは、山形となるように連続すること、が好ましい。この場合、塗布材押出容器を使用する際、両側部を支点にして塗布具(塗布面)の先端が浮くような力が生じるため、塗布した塗布材を塗布具の先端で削ぎ取ってしまうのを抑制することができる。その結果、塗布材を均一に塗布することが可能となる。
【0009】
また、両側部の頂部は、前方に下るよう傾斜するスロープ面であること、が好ましい。この場合、塗布具の接触感(いわゆる肌当たり)を高めることができると共に、滑らかに塗布材を塗布することが可能となる。
【0010】
また、上記作用効果を好適に奏する構成として、具体的には、前部塗布面は、長軸方向及び軸線方向を含む基準面に対し略平行であり、後部塗布面は、基準面に対し第1傾斜角度で前方に下るよう傾斜し、両側部の頂部は、基準面に対し第1傾斜角度よりも大きい第2傾斜角度で前方に下るよう傾斜するスロープ面である構成が挙げられる。
【0011】
また、押出機構は、螺子機構であって、一方向における容器前部と容器後部との相対回転によって移動体を前進させて塗布材を押し出し、相対回転を制御する相対回転制御機構をさらに備え、相対回転制御機構は、移動体が任意位置に位置するときにおいて、一方向の反対方向である他方向における相対回転を一定回転量のみ許容すること、が好ましい。この場合、移動体の位置によらず、容器前部と容器後部とを他方向に相対回転したときには一定回転量の相対回転のみ許容され、それ以上の他方向の相対回転が阻止される。
【0012】
また、押出機構は、螺子機構であって、一方向における容器前部と容器後部との相対回転によって移動体を前進させて塗布材を押し出し、一方向における相対回転のみ許容するラチェット機構をさらに備えたこと、が好ましい。この場合、ラチェット機構により、他方向における容器前部と容器後部との相対回転を阻止することが可能となる。
【0013】
また、容器前部と容器後部との相対回転に伴ってクリック感を生じさせること、が好ましい。この場合、塗布材の吐出具合を、クリック感により使用者に感知させることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、塗布材を充分な厚さで容易に塗布することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】一実施形態に係る塗布材押出容器の初期状態を示す縦断面図である。
【図2】図1の塗布材押出容器のピストン前進時を示す縦断面図である。
【図3】図1の塗布材押出容器におけるピストン前進限の状態を示す図1の縦断面位置を90°異なる位置とした縦断面図である。
【図4】図1の塗布材押出容器の操作筒を示す図である。
【図5】図1の塗布材押出容器の回転止筒を示す図である。
【図6】図1の塗布材押出容器の移動螺子筒を示す斜視図である。
【図7】図1の塗布材押出容器の移動体を示す図である。
【図8】図1の塗布材押出容器の塗布具を示す斜視図である。
【図9】図1の塗布材押出容器の塗布具を示す平面図である。
【図10】図8のX−X線に沿っての断面図である。
【図11】図1の塗布材押出容器を用いて塗布材を塗布する場合を説明するための図である。
【図12】従来の塗布材押出容器を用いて塗布材を塗布する場合を説明するための図である。
【図13】図1の塗布材押出容器による塗布材の吐出を説明するための写真図である。
【図14】塗布確認試験の結果を示す写真図である。
【図15】変形例に係る塗布材押出容器を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明において同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0017】
図1は一実施形態に係る塗布材押出容器の初期状態を示す縦断面図、図2は図1の塗布材押出容器のピストン前進時を示す縦断面図である。図3は図1の塗布材押出容器のピストン前進限の状態を示す縦断面図である。図1〜3に示すように、本実施形態の塗布材押出容器100は、塗布材Mを収容すると共に使用者の操作で押し出し可能とするものである。
【0018】
塗布材Mとしては、リップカラー、リップライナー、アイシャドウ、アイライナー、スポットコンシーラー、ポイントスキンケアー、リンクルケアー、ネールケアー、甘皮ケアー、ボディーアート等を始めとした液状や、ゼリー状、ゲル状、ペースト状を含む練り状等の半固体や軟固形状等を用いることが可能である。また、塗布材Mとしては、高粘度の泥状から低粘度の液状まで、あらゆる化粧料を用いることができる。
【0019】
この塗布材Mは、好ましいとして、その粘度が5000mpa・s〜100000mpa・sとされている。また、塗布材Mは、より好ましいとして、その粘度が10000mpa・s〜70000mpa・sとされている。塗布材Mとしては、顔料に水添ポリイソブテンやパルミチン酸デキストリン等の油剤を配合した高粘性の液状リップ等を使用することができる。なお、上記粘度は、用いる器具又は条件を、B型粘度計、25℃、6〜10rpm、ロータNo.4とし、測定開始後60秒後に測定した値としている。
【0020】
或いは、塗布材Mの硬さ(硬度)は、好ましいとして、FUDOHRHEO METER[RTC-2002D.D](株式会社レオテック社製)を測定器として用い、雰囲気温度25℃条件下にてφ3mmの鋼棒を6cm/minの速度で塗布材Mに深さ10mm程度挿入したときに当該塗布材Mに生じるピーク時の力(強度)を0.05N〜0.2N程度としている。塗布材Mとしては、ワックスや顔料に炭化水素系揮発性油(イソドデカン、イソヘキサデカン等)やシリコン系揮発油(シクロペンタシロキサン等)を配合した半固形状のアイシャドウ等を使用することができる。
【0021】
図1,2に示すように、塗布材押出容器100は、塗布材Mが充填される充填領域2xを内部に備えた円筒状の本体筒(容器本体)2と、本体筒2の前端側に装着され充填領域2xから押し出される塗布材Mを皮膚に塗布するための塗布具1と、本体筒2の後端部に相対回転可能にして軸線方向に連結された有底円筒状の操作筒3と、を外形構成として具備し、塗布具1及び本体筒2により容器前部を構成すると共に、操作筒3により容器後部を構成している。そして、本体筒2の前端側には、保護部材としてのキャップCが塗布具1を覆うように着脱可能に装着されている。なお、「軸線」とは、塗布材押出容器100の前後に延びる中心線を意味し、「軸線方向」とは、軸線に沿った方向を意味する(以下、同じ)。
【0022】
この塗布材押出容器100は、その内部に、回転止筒4、移動螺子筒5、移動体6及びピストン7を概略備えている。回転止筒4は、本体筒2に対し軸線回り回転方向(以下、単に「回転方向」という)及び軸線方向に係合するものであり、前筒を構成する。移動螺子筒5は、操作筒3に対し同期回転可能且つ所定回転力よりも大きい回転力で相対回転可能に係合するものであり、後筒を構成する。この移動螺子筒5は、回転止筒4に第1の螺合部(押出機構,螺子機構)8を介して螺合する。移動体6は、回転止筒4に同期回転可能且つ軸線方向移動可能に係合すると共に、移動螺子筒5に第2の螺合部(押出機構,螺子機構)9を介して螺合する。ピストン7は、移動体6の前端部に装着されて充填領域2xの後端を形成する。
【0023】
この塗布材押出容器100では、本体筒2と操作筒3とが一の回転方向である一方向に相対回転されると、移動螺子筒5が一定量前進し、移動体6が移動螺子筒5に伴われて前進すると同時に移動螺子筒5に対し単独でも前進し、ピストン7が前進する。移動螺子筒5が前進限に達した後に本体筒2と操作筒3とがさらに同方向に相対回転されると、移動体6が単独で前進し、ピストン7が前進する。他方、本体筒2と操作筒3とが一方向とは反対の回転方向(反対方向)である他方向に相対回転されると、移動螺子筒5が一定量後退し、移動体6が移動螺子筒5に伴われて後退すると同時に移動螺子筒5に対し単独でも後退し、ピストン7が後退する。
【0024】
図1に示すように、本体筒2は、例えばPP(ポリプロピレン)で成形され、円筒状に構成されている。本体筒2は、その前側に塗布具1が一体となるよう装着されている。また、本体筒2の筒孔の後端部には、段差面2pを介して拡径された拡径部2aが設けられている。拡径部2aの内周面において前側には、回転止筒4を回転方向に係合するものとして、周方向に多数の凹凸部が並設されて該凹凸部が軸線方向に所定長延びて成るローレット2bが設けられている。一方、拡径部2aの内周面において後側には、操作筒3を相対回転可能にして軸線方向に係合するための環状凹部2cが設けられている。この本体筒2は、その前端側に、塗布具保持部材21及びコア部材22を有している。
【0025】
塗布具保持部材21は、塗布具1を保持するものであり、円筒状に形成されている。この塗布部保持部材21の内周面の前端部には、塗布具1を装着するためのものとして、径方向内側に突出する環状突部21aが形成されている。塗布部保持部材21は、その軸線方向中央部から後端部に亘り本体筒2の前端部に内嵌されて装着されている。
【0026】
コア部材22は、充填領域2xからの塗布材Mを先端側へ導くと共に当該塗布材Mの流れを制御するものである。このコア部材22は、外側筒部22aと、内側筒部22bと、外側筒部22a及び内側筒部22bをその後端部で連結する連結部22cと、を含んでいる。内側筒部22bは、後方へ開口する有底円筒状を呈している。内側筒部22bは、その前端が外側筒部22aの前端よりも前方へ大きく突出するよう延びている。内側筒部22bの前端部には、前方に向かって先細りの円錐状を成す突出部22dが形成されている。また、内側筒部22bの前端部において突出部22eの周囲には、当該内側筒部22bの内孔と外部とを連通する連通孔22eが開口されている。連結部22cは、後方に行くに従い拡がるよう傾斜する笠状を呈している。この連結部22cの後端面は、充填領域2xの前端を形成する。コア部材22は、本体筒2及び塗布具保持部材21の軸線方向中央部から後端部に亘る部分に内装され、これらに装着されている。
【0027】
図4(a)は、図1の塗布材押出容器の操作筒を示す平面図、図4(b)は、図4(a)のIV(b)−IV(b)線に沿っての断面図である。図4に示すように、操作筒3は、例えばABS樹脂(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレンの共重合合成樹脂)で成形されており、段付き円筒状に構成され、後側の外径大径部3xと、段差面3pを介してこれより前側の外径小径部3yとを備えている。外径大径部3xの内周面には、移動螺子筒5に回転方向に係合するものとして、周方向に多数の凹凸部が並設されて当該凹凸部が軸線方向に所定長延びるローレット31が設けられている。外径小径部3yの外周面において後側には、本体筒2に軸線方向に係合するための環状凸部33が設けられている。
【0028】
この操作筒3は、周方向に沿って延在するアーム3aと、アーム3aの先端部に設けられた突部3bと、を有している。アーム3aは、外径小径部3yにおける環状凸部33の前側に、軸線を挟んで対向するように一対設けられている。このアーム3aは、外径小径部3yにおいてコの字状のスリットを形成するようにして成り、その基端側を中心にして径方向に撓むことで、その素材に起因した径方向の弾性力を突部3bに付与する。突部3bは、本体筒2と操作筒3との相対回転に一定の摺動抵抗を付与するためのものであり、本体筒2の後側の内周面に当接し摺動する。突部3bは、径方向外側に凸状を成し、アーム3aの可撓性によって径方向の弾性力を有している。
【0029】
図1,4に示すように、操作筒3は、その外径小径部3yが本体筒2に内挿され、その段差面3pが本体筒2の後端面に突き当てられると共に、環状凸部33が本体筒2の環状凹部2cに軸線方向に係合することで、本体筒2に相対回転可能にして軸線方向に連結され装着されている。このとき、操作筒3の突部3bは、本体筒2の内周面に摺動可能に当接すると共に、その弾性力によって本体筒3の内周面を径方向外側へ付勢している。これにより、本体筒2と操作筒3とが相対回転された際、一定の抵抗感が生じることとなる。
【0030】
図5(a)は、図1の塗布材押出容器の回転止筒を示す正面図、図5(b)は、図6のVII−VII線に沿っての断面斜視図である。図5に示すように、回転止筒4は、例えばPOM(ポリアセタール)で成形されている。この回転止筒4は、後方に開口する有底円筒状を呈しており、円筒状の筒部41と、該筒部41の前端を閉塞するよう設けられた円板状の前板部42と、を含んで構成されている。
【0031】
筒部41の内周面において前端から所定長後側の位置には、第1の螺合部8を構成する雌螺子としての突条41aが複数設けられている。これら突条41aは、内周面に沿って螺旋状を成して延びると共に、隣接する突条41a,41aの端部同士は、軸線方向に互いにズレて離間している。また、突条41aは、軸線方向視において互いに重ならないように間欠的に設けられている。
【0032】
この筒部41は、その前端側外周を覆うように設けられた円筒状の鍔部43を含んでいる。鍔部43の外周面には、本体筒2のローレット2bに回転方向に係合するものとして、軸線方向に所定長延びる突条43aが周方向に複数設けられている。また、筒部41の鍔部43よりも後側は、軸線方向に伸縮可能とされた弾性部(いわゆる樹脂バネ)としてのバネ部44とされている。
【0033】
バネ部44は、第1の螺合部8が螺合復帰するよう移動螺子筒5を付勢するものであり、外周面に沿って螺旋状に延び且つ内外を連通するスリット44aを筒部41に形成することで設けられている。なお、ここでの「螺合復帰」は、雄螺子が雌螺子の螺子山の側面に当接するまで戻る段階を意味している(以下、同じ)
【0034】
前板部42の軸中心位置には、移動体6を軸線方向移動可能にして回転方向に係合する回転係合部として、移動体6を挿通する貫通孔45が形成されている。この貫通孔45は、軸線方向から見て移動体6の断面形状に対応した非円形形状を呈している。具体的には、貫通孔45の縁は、互いに対向し直線状に延びる一対の直線部45aと、これら直線部45aを連結するように円弧状の延びる円弧部45bと、によって構成されている。
【0035】
また、前板部42において貫通孔45の径方向外側には、軸線方向から見て円弧状に延びるスリット46が形成されている。スリット46は、回転止筒4を樹脂成形する際、突条41aに係る部位を成形するためにコアピンを通過させるものである。このスリット46は、例えば前板部42の製造上及び強度上等のために好ましいとして、周方向三等配の位置に設けられている。
【0036】
図1,5に示すように、回転止筒4は、本体筒2に内挿され、その鍔部43の前端面が本体筒2の段差面2pに突き当てられていると共に、その突条43aが本体筒2のローレット2bに回転に係合している。これにより、回転止筒4は、本体筒2に回転方向に係合して装着されている。なお、回転止筒4の鍔部43の後端面と操作筒3の前端面との間、又は鍔部43の前端面と本体筒2の段差面2pとの間には、僅かなクリアランスが形成されており、これにより、操作筒3の本体筒2に対する相対回転が回転止筒4で阻害されることが抑制され、かかる相対回転が鈍く(重く)なること等が防止される。
【0037】
図6は、図1の塗布材押出容器の移動螺子筒を示す斜視図である。図6に示すように、移動螺子筒5は、例えばPOMで成形されている。この移動螺子筒5は、段付き円筒状に構成され、前端部5xと、前端部5xよりも大径外形を有する中間部5yと、中間部5yよりも大径外形を有する後端部5zと、を含んでいる。この移動螺子筒5の内径は、前方から後方に行くに従って外径に倣って段付き状に拡径している。
【0038】
前端部5xの内周面において前端から所定長後方に亘る領域には、第2の螺合部9を構成する雌螺子51が設けられている。なお、ここでの第2の螺合部9のピッチは、第1の螺合部8のピッチより細かいものとされており、第1の螺合部8のリード(本体筒2と操作筒3との相対回転一回転当たりの推進量)が第2の螺合部9のリードよりも大きく設定されている。
【0039】
この前端部5xの外周面には、第1の螺合部8を構成する雄螺子としての突条52が設けられている。これら突条52は、外周面おいて軸線を挟んで対向する一対の対向部分に設けられている。つまり、突条52は、かかる対向部分にのみ螺旋状を成して延在するように、間欠的に設けられている。
【0040】
後端部5zは、周方向に沿って延在するアーム53と、アーム53の先端部に設けられ軸線方向に延在する突条(突部)54と、を有している。アーム53は、軸線を挟んで対向するように一対設けられている。このアーム53は、後端部5zにおいてコの字状のスリットを形成するようにして成り、その基端側を中心にして径方向に撓むことで、その素材に起因した径方向の弾性を突条54に付与する。
【0041】
突条54は、操作筒3のローレット31(図4参照)に対し回転方向に係合するものであり、アーム53の可撓性によって径方向の弾性力を有している。突条54は、径方向外側に凸状を成している。具体的には、突条54における周方向の一方側(本体筒2と操作筒3とを一方向に相対回転したときにローレット31に当接する側)の側面54bは、外周面に対し垂直となるよう交差している。一方、突条54における周方向の他方側(本体筒2と操作筒3とを他方向に相対回転したときにローレット31に当接する側)の側面54aは、山型になるよう外周面に対し傾斜している。
【0042】
図1,6に示すように、この移動螺子筒5は、回転止筒4の後側から該回転止筒4に内挿され、その突条52が回転止筒4の突条41aに螺合されることで、回転止筒4に第1の螺合部8を介して装着されている。このとき、移動螺子筒5は、その中間部5y及び後端部5zの間の段差面5pが回転止筒4の後端面に突き当てられると共に、回転止筒4のバネ部44の縮小(圧縮)による弾性力によって軸線方向後方に常に付勢される。これにより、特に、移動螺子筒5が所定量前進して第1の螺合部8の螺合作用が解除されたときには、第1の螺合部8が螺合復帰するよう移動螺子筒5が後側へ付勢される(詳しくは、後述)。
【0043】
なお、バネ部44の弾性力で移動螺子筒5が軸線方向後方に常に付勢されると、その反作用で回転止筒4自体も軸線方向前方に常に付勢されることになる。これにより、回転止筒4は、本体筒2に対し回転方向に係合すると共に軸線方向に係合し、その結果、回転止筒4は本体筒2に一体になるよう装着される。
【0044】
また、移動螺子筒5は、操作筒3の前側から該操作筒3に内挿され、その突条54が操作筒3のローレット31に回転方向に係合することで、操作筒3に対し回転方向に係合し且つ軸線方向移動可能に装着されている。このとき、突条54が径方向に弾性を有することから、操作筒3と移動螺子筒5とが所定回転力以上の回転力で相対回転された場合、操作筒3のローレット31に対する係合が解除される(詳しくは、後述)。
【0045】
図7(a)は、図1の塗布材押出容器の移動体を示す正面図、図7(b)は、図1の塗布材押出容器の移動体を示す右側面図である。図7に示すように、移動体6は、ピストン7を前方へ押し出して前進させると共に後方へ引き戻して後退させるものである。この移動体6は、例えばPOMで成形され、軸線方向に延在する柱状の軸体61を備えている。軸体61は、回転止筒4の貫通孔45の形状に対応した非円形形状の断面形状を有している。具体的には、軸体61は、円柱形状の外周に二平面部61a,61aを対向して設けた長尺の軸形状を成している。
【0046】
この軸体61の二平面部61a,61aを除く外周面において前端部以外の領域には、第2の螺合部8を構成する雄螺子66が設けられている。また、移動体6は、ピストン7を軸線方向に係合するためのものとして、軸体61の前端側に設けられた円形状の鍔部62を備えている。この鍔部62の外周面の前端側には、ピストン7に軸線方向に係合する環状凸部67が設けられている。
【0047】
図1,7に示すように、移動体6は、移動螺子筒5に内挿され、その雄螺子66が移動螺子筒5の雌螺子51に螺合されることで、移動螺子筒5に第2の螺合部9を介して装着されている。これと共に、移動体6は、その断面非円形形状の軸体61が回転止筒4の貫通孔45に内挿されることで、回転止筒4に対し同期回転可能且つ軸線方向移動可能に装着されている。ここでの移動体6は、その軸体61の前端部が初期状態において回転止筒4の貫通孔45に回転方向に係合するよう装着されている。
【0048】
図1に戻り、ピストン7は、例えばPP、HDPE(高密度ポリエチレン)、UHMW−PE(超高分子量ポリエチレン)、LLDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)等で成形されている。ピストン7の後端面に凹設された凹部7aの内周面には、環状突部7bが設けられている。このピストン7は、移動体6の先端側に外挿され、その環状突部7bが移動体6の環状凸部67に軸線方向に係合することで、移動体6に対し軸線方向に所定長移動可能にして装着されている。
【0049】
図8,9は、図1の塗布材押出容器の塗布具を示す斜視図、平面図であり、図10は、図8のX−X線に沿っての断面図である。図8〜10に示すように、塗布具1は、透明又は半透明の軟質材で形成されている。塗布具1の材料には、インジェクションで形成される熱可塑性エラストマーとして、ポリウレタン系エラストマー(TPU)、ポリオレフィン系エラストマー(TPO)、ポリエステル系エラストマー(TPEE)等が用いられる。また、コンプレッションで成形される熱硬化性ゴムとして、ニトリルゴム(NBR)、ウレタンゴム(UR)、ブチルゴム(IIR)、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、シリコンゴム(Si)等が用いられる。
【0050】
例えば、例えば塗布具1の材料としては、熱可塑性エラストマーのポリウレタン系エラストマーの中でも、ソフトセグメントが用いられる。また、例えば熱可塑性エラストマーのポリエーテルタイプを用いると、ポリエステルタイプと比較して耐油性に優れているために好ましい。なお、ポリウレタン系エラストマーは、素材を透明したグレードが存在するために優位性がある。塗布具1は、JIS K 6253で規定されているタイプAデュロメータ(Shore A)による硬さが40〜90とされている。
【0051】
この塗布具1は、その基端側の後端部10と、その先端側の扁平部11と、を含むいわゆるスパチュラとされている。後端部10は、円筒状を呈しており、その外周面には、塗布材保持具21に係合するための環状凹部10aが設けられている。後端部10の筒孔10bは、軸線G方向に沿って延在し、その横断面(軸線方向に直交する断面)が円形とされている。ここでの筒孔10bは、コア部材22の内側筒部22bの外径と同程度の径を有している。また、後端部10の外周面の前端部には、前側が傾斜する山型の鍔部12が形成されている。鍔部12の後端面12aは、軸線G方向に直交する直交面とされている。
【0052】
扁平部11は、前端側に向けて滑らかに薄くなるヘラ状(嘴状)とされている。すなわち、扁平部11は、長軸方向Dl及び短軸方向Dsを有する扁平状の横断面外形を有し、この扁平状の横断面外形は、前方に行くに従って短軸方向Dsに滑らかに薄くなるように構成されている。この扁平部11は、鍔部12の前側に滑らかに連続するよう設けられている。
【0053】
また、扁平部11の内部には、筒孔10bと滑らかに連通し且つ軸線G方向に沿って延在する内孔13が形成されている。内孔13の横断面は、筒孔10b側で円形状とされていると共に、前方に行くに従い扁平部11の外形に倣う扁平状とされており、これにより、扁平部11の筒孔10b周りの肉厚が略一定とされている。この扁平部11は、図9に示すように、短軸方向Dsから見て、その前端側の縁が前方に向かって先細りの尖形状とされている。
【0054】
図8〜10に戻り、この扁平部11は、その短軸方向Dsの一方側(図10において上方)の外面11aに、塗布材Mを塗布対象に塗布するための塗布面Sを有している。塗布面Sは、使用時において使用者の唇や肌等の塗布対象に当接(密着)するよう使用される領域であり、例えば、外面11aにおける中央後端寄りから前端に亘る領域が対応している。この塗布面Sの前端側には、塗布材Mを吐出させる吐出口14が形成されている。ここでの吐出口14は、塗布面Sにおける前端と中央との間に設けられている。吐出口14は、内孔13の開口端を構成し、軸線G方向前方に開口している。この吐出口14は、扁平状、つまり、長軸方向Dlに長尺状を呈している。
【0055】
ここで、本実施形態において、扁平部11における短軸方向Ds一方側は、塗布材受け面15及び両側部16を備えている。塗布材受け面15は、吐出口14から吐出された塗布材Mを受けるものとして扁平部11の外面11aに設けられた領域である。この塗布材受け面15は、吐出口14の前方位置に該吐出口14に隣接するよう設けられている。換言すると、塗布材受け面15は、吐出口14の前方直近に位置しており、吐出口14を起点にして前方側に所定範囲を有して拡がる領域である。この塗布材受け面15は、長軸方向Dl及び軸線G方向を含む基準面(以下、単に「基準面」という)と略平行に延在している。
【0056】
両側部16は、長軸方向Dlにおいて吐出口14よりも外側で、且つ塗布材受け面15を挟む位置に設けられ、塗布材受け面15よりも短軸方向Ds一方側に突出するよう設けられている。つまり、扁平部11において塗布材受け面15の長軸方向S一方側及び他方側は、両側部16として隆起している。ここでの両側部16は、扁平部11における短軸方向Dsの縁部を構成する。両側部16の頂面(頂部)は、前方に下るよう傾斜するスロープ面17とされている。スロープ面17は、基準面に対し、後述の第2傾斜角度よりも大きい第1傾斜角度で傾斜している。
【0057】
また、塗布面Sは、塗布材受け面15よりも前方に設けられた前部塗布面Sfと、吐出口よりも後方に設けられた後部塗布面Srと、を少なくとも含んで構成されている。前部塗布面Sfは、塗布面Sにおいて塗布材受け面15を起点に前端まで拡がっている。この前部塗布面Sfは、基準面に対し略平行に延在している。後部塗布面Srは、塗布面Sにおいて吐出口14を起点に後端まで拡がっている。この前部塗布面Sfは、基準面に対し、上記第1傾斜角度よりも小さい第2傾斜角度で傾斜している。
【0058】
これら前部塗布面Sf及び後部塗布面Srは、両側部16のスロープ面17を介して互いに滑らかに連続している。換言すると、前部塗布面Sf及び後部塗布面Srは、スロープ面17により曲面的に連なっている。よって、このような塗布面Sは、その後方から前方に行くに従い、後部塗布面Srで小さく前傾し、両側部16のスロープ面17で大きく前傾した後、前部塗布面Sfで平らになっている。
【0059】
なお、塗布材受け面15と内孔13の内壁面13aとの間(吐出口14より前側と後側との間)には、段差19が形成されている。この段差19以外の吐出口14により、塗布具1を成形する際、例えば内孔13を画設するために用いるコアピンを軸線G方向に好適に保持することができる。
【0060】
図1,8〜10に示すように、塗布具1は、その後端部がコア部材22の内側筒部22bの前半部に外挿されることでコア部材8に装着されている。加えて、塗布具1は、塗布具保持部材21に内挿され、その鍔部12に塗布具保持部材21の先端部が突き当てられると共に、その後端部10の環状凹部10aに塗布具保持部材21の環状突部21aが係合されることで、塗布具保持部材21に装着されている。
【0061】
次に、塗布材押出容器100の動作の一例について説明する。
【0062】
本実施形態の塗布材押出容器100にあっては、図1に示す初期状態において、第1の螺合部8の突条41a,52が互いに螺合すると共に、第2の螺合部9の雄螺子66の前端部に移動螺子筒5の雌螺子51が螺合した状態で、回転止筒4の貫通孔45が移動体6の軸体61の前端部に係合している。また、このとき、操作筒3の底部に対し、移動螺子筒5の後端及び軸体61の後端が当接又は近接した状態となっている。
【0063】
このような初期状態の塗布材押出容器100では、使用者によりキャップCが取り外されて本体筒2と操作筒3とが繰り出し方向である一方向に相対回転されると、移動螺子筒5の突条54の側面54b(図6参照)が操作筒3のローレット31に当接して回転方向に係止(強固に係合)することから、回転止筒4と移動螺子筒5とが相対回転し、回転止筒4の突条41a及び移動螺子筒5の突条52により構成された第1の螺合部8の螺合作用が働き、移動螺子筒5の突条54と操作筒3のローレット31とにより構成された回止め部との協働により、移動螺子筒5が移動体6とともに前進する。
【0064】
これと同時に、移動体6が回転止筒4の貫通孔45に回転方向に係合することから、移動体6と移動螺子筒5とが相対回転し、移動螺子筒5の雌螺子51及び移動体6の雄螺子66により構成された第2の螺合部9の螺合作用が働き、回転止筒4の貫通孔45と移動体6の軸体61とにより構成された回止め部との協働により、移動体6が前進する。すなわち、移動体6が移動螺子筒5に伴われて前進すると同時に移動螺子筒5に対し単独でも前進する。
【0065】
これにより、移動体6がピストン7に対し前進してピストン7を前方に押圧し、ピストン7が前進する。その結果、塗布材Mが前方へ押し出されて前進され(繰り出され)、塗布具1の前端の吐出口14から塗布材Mが吐出される。そして、図11に示すように、吐出口14から塗布材Mが吐出された塗布材押出容器100は、唇や肌等の塗布対象50に塗布面Sを当てるようにして塗布具1の扁平部11を撓らせながら、その後方側(図中の矢印方向)へと塗布対象50に対し相対移動させられ、これにより、塗布対象50に塗布材Mがライン状に塗布されることとなる。
【0066】
ところで、図12に示すように、従来の塗布材押出容器100’の塗布具1’では、通常、例えば塗布面S’の直交方向に開口する吐出口14’が塗布面S’の略中央位置に形成されており、この塗布材押出容器100’を用いて塗布材Mを塗布する場合、図示するように、充分な厚さで塗布材Mを塗布することが難しい。また、塗布した塗布材Mの厚さが不均一になり易く、特に、図12の矢印方向に塗布材Mを塗布するときに当該塗布材Mが削ぎ取られ、塗布線の両端が徐々に厚くなるようなムラになる場合が見受けられる。
【0067】
これに対し、図11に示すように、本実施形態の塗布材押出容器100では、塗布面Sを塗布対象50に当てるようにして使用する際、塗布対象50、塗布材受け面15、及び両側部16によって吐出口14の前方直近に空間(隙間)Aが形成され、吐出された塗布材Mは吐出直後には当該空間A内にまず留められる。そして、この空間A内に留められた塗布材Mでもって塗布対象50が塗布されることとなる。よって、塗布材Mの充分な塗布厚さを確保することができる。
【0068】
これに併せ、塗布材押出容器100では、吐出口14が塗布面Sの前端側に設けられていると共に軸線G方向前方に開口することから、図13に示すように、従来の塗布材押出容器100’に比べ、吐出された塗布材Mをより前方側へ集めるように塗布することができ、使用者にとって意図する箇所に適切に塗布材Mを塗布し易くなる。従って、本実施形態によれば、塗布材Mを充分な厚さで容易に塗布することができる。
【0069】
また、上述したように、両側部16の頂面が前方に下るよう傾斜するスロープ面17とされていることから、塗布具1の接触感(いわゆる肌当たり)を高めることができると共に、滑らかに塗布材Mを塗布することが可能となる。
【0070】
さらにまた、上述したように、両側部16のスロープ面17を介して前部塗布面Sf及び後部塗布面Srが互いに滑らかに連続すると共に、後部塗布面Srと両側部16のスロープ面17とが山形となるように連続している。これにより、塗布材Mの塗布時において、両側部16のスロープ面17が塗布対象50に接触状態となり、両側部16を支点にして塗布具1(塗布面S)の先端が浮くような力fが生じ、その結果、図11に示すように、塗布具1の前端を塗布対象50から離間させることが可能となる。よって、塗布した塗布材Mを塗布具1の先端で意図せず削ぎ取ってしまうのを抑制することができ、塗布材Mを均一に塗布することが可能となると共に、塗布材Mを一層充分な厚さで塗布することが可能となる。
【0071】
なお、図2に示すように、一方向における本体筒2及び操作筒3の相対回転が続けられると、移動体6が引き続き前進して吐出口14から塗布材Mが引き続き吐出される。移動体6が所定量前進した後には、移動螺子筒5の突条52が回転止筒4の突条41aの前端から外れ、第1の螺合部8の螺合作用が解除され、移動螺子筒5が前進限に達する。この移動螺子筒5の前進限の状態においては、バネ部44の縮小の弾性力により移動螺子筒5が後方側へ付勢されることから、繰戻し方向である他方向へ本体筒2と操作筒3とが相対回転された場合、移動螺子筒5の突条52が回転止筒4の突条41aにおける回転方向隣の先端に直ちに進入し、第1の螺合部8の螺合作用が直ちに働く。
【0072】
そして、一方向の相対回転がさらに続けられると、螺合復帰するように第1の螺合部8がバネ部44で付勢されながら第2の螺合部9の螺合作用のみが働き、移動体6がさらに前進して吐出口14から塗布材Mがさらに吐出される。移動体6がさらに前進する際、前述のように螺合復帰するように第1の螺合部8が付勢されていることから、突条41a,52同士の係合及び係合解除が繰り返され(つまり、突条41a,52が互いに当接したり離れたりするのが繰り返され)、かかる係合及び係合解除の度に使用者にクリック感が付与され、塗布材Mの押し出しが使用者に感知される。その後、図3に示すように、移動体6が前進限に達する。
【0073】
他方、例えば使用後等の移動体6が任意位置に位置するときにおいて、本体筒2と操作筒3とが他方向へ相対回転されると、移動螺子筒5の突条54の側面54a(図6参照)が操作筒3のローレット31に当接して所定係合力で周方向に係合することから、回転止筒4と移動螺子筒5とが相対回転し、第1の螺合部8の螺合作用が働き、移動螺子筒5の突条54と操作筒3の31とにより構成された回止め部との協働により、移動螺子筒5が移動体6とともに後退する。
【0074】
これと同時に、移動体6が回転止筒4の貫通孔45に回転方向に係合することから、移動体6と移動螺子筒5とが相対回転して第2の螺合部9の螺合作用が働き、回転止筒4の貫通孔45と移動体6の軸体61とにより構成された回止め部との協働により、移動体6が後退する。すなわち、移動体6が移動螺子筒5に伴われて後退すると同時に移動螺子筒5に対し単独でも後退する。
【0075】
さらに、他方向の相対回転が続けられ、一定回転量だけ相対回転されると、移動体6が所定量後退した後、移動螺子筒5の後端面5pが操作筒3の底面3pに当接し、第1の螺合部8の螺合作用が停止され、移動螺子筒5が後退限に達する。その結果、その後においては、第1の螺合部8における螺合作用の停止前と同じ操作回転力(使用者による回転力を意味する。以下同じ)によって本体筒2と操作筒3とを他方向へ相対回転しようとしても、本体筒2と操作筒3とが相対回転されないことになる。
【0076】
しかし、第1の螺合部8における螺合作用の停止後、例えば、使用者によって停止前よりも大きい操作回転力で本体筒2と操作筒3とが他方向に相対回転され、操作筒3と移動螺子筒5との間に所定回転力よりも大きい回転力が加わると、移動螺子筒5の突条54が有する弾性によって該突条54が径方向内側に撓み、突条54の側面54aをローレット31が摺動して乗り越え、操作筒3と移動螺子筒5とが相対回転(以下、「空回転」ともいう)される。
【0077】
その結果、第1の螺合部8における螺合作用の停止後において、何らかの理由で本体筒2と操作筒3とが他方向に無理に相対回転されても、突条54がトルクリミッタとして機能されて操作筒3と移動螺子筒5とが空回転されることとなる。よって、操作筒3の底面が移動螺子筒5の後退によって後側へ強く押圧されるのを抑制することができ、本体筒2と操作筒3との軸線方向における係合が解除される(本体筒2と操作筒3とが分解される)等の容器破損を防止することが可能となる。
【0078】
ちなみに、操作筒3と移動螺子筒5とが空回転される際、突条54とローレット31との係合及び係合解除(噛合及び噛合解除)が繰り返され、かかる係合及び係合解除の度に使用者にクリック感が付与されるため、移動螺子筒5の後退限を感知することが可能となる。
【0079】
以上、本実施形態によれば、上述したように、充分な厚さで容易且つ均一に塗布材Mを塗布することができ、さらには、塗布具1の接触感を高め、滑らかに塗布材Mを塗布することが可能となる。
【0080】
また、本実施形態では、上述したように、移動体6が任意位置に位置するとき、本体筒2と操作筒3とを他方向に一定回転量のみ相対回転させ、移動体6ひいてはピストン7を所定量のみ後退させることが可能となっている。つまり、移動体6の位置によらず、他方向における相対回転が一定回転量のみ許容され、それ以上の他方向の相対回転が阻止されている。よって、例えば、使用後に移動体6ひいてはピストン7を後退させることで、その後の保管時にて以下の作用効果を奏する。
【0081】
すなわち、塗布材Mの温度変化、又は充填領域2x内に混入した空気の内圧変化によって、塗布具1の吐出口14から塗布材Mが流出してしまうのを防止することができる。また、軸線G方向において本体筒2と操作筒3とを互いに密着するような力がこれらに加わったとき、例えば部品間のクリアランスに起因して移動体6が若干僅かに前進しても、塗布材Mが流出してしまうのを防止することができる。なお、移動螺子筒5の突条54、後端面5p、操作筒3のローレット31、及び底面3pが、相対回転制御機構を構成する。
【0082】
また、本実施形態では、上述したように、本体筒2と操作筒3との相対回転に伴って生じるクリック感により、塗布材Mの吐出具合を使用者に感知させることができる。なお、一方向における相対回転の際には、係合及び係合解除が繰り返される突条41a,52及びバネ部44がクリック部を構成し、他方向における相対回転の際には、係合及び係合解除が繰り返される突条54及びローレット31がクリック部を構成する。
【0083】
また、本実施形態では、上述したように、吐出口14が軸線G方向に開口している。よって、塗布具1の成形時において、吐出口が塗布面Sの垂直方向に開口する場合に比べ、内孔13を画設するために用いるコアピンに径方向の力が作用されるのを抑制できるため、コアピン位置が径方向にズレするのを抑制することができ、容易且つ確実に塗布具1を成形することが可能となる。
【0084】
図14(a)は、従来の塗布材押出容器による塗布確認試験の結果を示す写真図であり、図14(b)は、本実施形態の塗布材押出容器による塗布確認試験の結果を示す写真図である。図14に示すように、本実施形態の塗布材押出容器100に関し、塗布された塗布材Mの厚さについて塗布確認試験を行った。具体的には、上記塗布材押出容器100と上記従来の塗布材押出容器100’とを用いて塗布対象50の4箇所に塗布材Mを塗布し、塗布した塗布材Mの厚さを比較確認した。各箇所では、5回一方向に沿って塗布材Mを重ね塗布した。塗布対象50としては、手の甲を採用した。
【0085】
その結果、従来の塗布材押出容器100’では、図15(a)に示すように、塗布材Mが薄く塗布されており、塗布対象50の肌質が透けて見えている。これに対し、本実施形態の塗布材押出容器100では、図15(b)に示すように、肌質が見えないぐらい厚く充分に塗布材Mが塗布されていることがわかる。これにより、充分な厚さで塗布材Mを塗布できるという上記作用効果を確認することができた。
【0086】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明に係る塗布材押出容器は、上記実施形態に限られるものではなく、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲で変形し、又は他のものに適用したものであってもよい。
【0087】
図15は、変形例に係る塗布材押出容器を示す斜視図である。例えば図15に示すように、変形例に係る塗布材押出容器200は、塗布具201を備えている。この塗布具201では、後側塗布面Srと前側塗布面Sfとが互いに等しい一定傾斜角を有し、両側部16の頂面としてのスロープ面17についても、当該一定傾斜角度を有している。そして、塗布面Sでは、後側塗布面Srと前側塗布面Sfとが、同一平面となるようにスロープ面17で滑らかに連続している。このような変形例に係る塗布材押出容器200においても、塗布材Mを充分な厚さで容易に塗布するという上記作用効果が奏される。
【0088】
また、上記実施形態では、押出機構として第1及び第2の螺合部8,9(螺子機構)による回転式としているが、これに限定されず、例えばノック式等の機械的な押出機構や、スクイーズ式の押出機構を採用することも可能である。
【0089】
また、上記実施形態は、本体筒2と操作筒3との他方向における相対回転を一定回転量のみ許容する相対回転制御手段を備えているが、一方向における相対回転のみ許容するラチェット機構を備えていてもよい。この場合、ラチェット機構により、他方向における相対回転を阻止することが可能となる。
【0090】
また、上記実施形態では、本体筒2と操作筒3とが一方向/他方向に相対回転されると、第1の螺合部8の螺合作用が働くと同時に第2の螺合部9の螺合作用が働くように構成したが、第1の螺合部8の螺合作用のみが働いた後、第2の螺合部8の螺合作用のみが働いように構成してもよい。また、上記実施形態は、第2の螺合部9のみを有していてもよい。
【0091】
なお、上述した雄螺子及び雌螺子は、螺子山や螺子溝だけでなく、間欠的に配される突起群、又は螺旋状且つ間欠的に配される突起群のように螺子山や螺子溝と同様な働きをするものであってもよい。
【符号の説明】
【0092】
1…塗布具(容器前部)、2…本体筒(容器本体,容器前部)、3…操作筒(容器後部)、3p…底面(相対回転制御機構)、4…回転止筒(前筒)、5…移動螺子筒(後筒)、5p…後端面(相対回転制御機構)、6…移動体、8…第1の螺合部(押出機構,螺子機構)、9…第2の螺合部(押出機構,螺子機構)11…扁平部、11a…外面、14…吐出口、15…塗布材受け面、16…両側部、17…スロープ面(頂部)、31…ローレット(相対回転制御機構)、50…塗布対象、54…突条(相対回転制御機構)、100…塗布材押出容器、Dl…長軸方向、Ds…短軸方向、G…軸線、M…塗布材、S…塗布面、Sf…前部塗布面、Sr…後部塗布面。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体と、前記容器本体内に設けられた押出機構と、前記容器本体の前端側に設けられ軟質材で形成された塗布具と、を具備し、前記押出機構により塗布材を押し出して前記塗布具の吐出口から吐出させる塗布材押出容器であって、
前記塗布具は、長軸方向及び短軸方向を有する扁平状の横断面外形を呈する扁平部を備え、
前記扁平部は、前記短軸方向一方側の外面に、前記塗布材を塗布対象に塗布するための塗布面を有し、
前記吐出口は、前記塗布面の前端側に設けられていると共に、軸線方向前方に開口し、
前記扁平部における前記短軸方向一方側は、
前記吐出口の前方位置に該吐出口に隣接するよう設けられた塗布材受け面と、
前記長軸方向において前記吐出口よりも外側で前記塗布材受け面を挟む位置に、前記塗布材受け面よりも前記短軸方向一方側に突出するよう設けられた両側部と、を有すること、を特徴とする塗布材押出容器。
【請求項2】
前記塗布面は、前記塗布材受け面よりも前方に設けられた前部塗布面と、前記吐出口よりも後方に設けられた後部塗布面と、を含んで構成され、
前記前部塗布面及び前記後部塗布面は、前記両側部を介して互いに滑らかに連続すると共に、
前記後部塗布面と前記両側部の頂部とは、山形となるように連続すること、を特徴とする請求項1記載の塗布材押出容器。
【請求項3】
前記両側部の頂部は、前方に下るよう傾斜するスロープ面であること、を特徴とする請求項1又は2記載の塗布材押出容器。
【請求項4】
前記前部塗布面は、前記長軸方向及び前記軸線方向を含む基準面に対し略平行であり、
前記後部塗布面は、前記基準面に対し第1傾斜角度で前方に下るよう傾斜し、
前記両側部の頂部は、前記基準面に対し前記第1傾斜角度よりも大きい第2傾斜角度で前方に下るよう傾斜するスロープ面であること、を特徴とする請求項1又は2記載の塗布材押出容器。
【請求項5】
前記押出機構は、螺子機構であって、一方向における容器前部と容器後部との相対回転によって移動体を前進させて前記塗布材を押し出し、
前記相対回転を制御する相対回転制御機構をさらに備え、
前記相対回転制御機構は、前記移動体が任意位置に位置するときにおいて、前記一方向の反対方向である他方向における前記相対回転を一定回転量のみ許容すること、を特徴とする請求項1〜4の何れか一項記載の塗布材押出容器。
【請求項6】
前記押出機構は、螺子機構であって、一方向における容器前部と容器後部との相対回転によって移動体を前進させて前記塗布材を押し出し、
前記一方向における前記相対回転のみ許容するラチェット機構をさらに備えたこと、を特徴とする請求項1〜4の何れか一項記載の塗布材押出容器。
【請求項7】
前記容器前部と前記容器後部との前記相対回転に伴ってクリック感を生じさせること、を特徴とする請求項5又は6記載の塗布材押出容器。
【請求項1】
容器本体と、前記容器本体内に設けられた押出機構と、前記容器本体の前端側に設けられ軟質材で形成された塗布具と、を具備し、前記押出機構により塗布材を押し出して前記塗布具の吐出口から吐出させる塗布材押出容器であって、
前記塗布具は、長軸方向及び短軸方向を有する扁平状の横断面外形を呈する扁平部を備え、
前記扁平部は、前記短軸方向一方側の外面に、前記塗布材を塗布対象に塗布するための塗布面を有し、
前記吐出口は、前記塗布面の前端側に設けられていると共に、軸線方向前方に開口し、
前記扁平部における前記短軸方向一方側は、
前記吐出口の前方位置に該吐出口に隣接するよう設けられた塗布材受け面と、
前記長軸方向において前記吐出口よりも外側で前記塗布材受け面を挟む位置に、前記塗布材受け面よりも前記短軸方向一方側に突出するよう設けられた両側部と、を有すること、を特徴とする塗布材押出容器。
【請求項2】
前記塗布面は、前記塗布材受け面よりも前方に設けられた前部塗布面と、前記吐出口よりも後方に設けられた後部塗布面と、を含んで構成され、
前記前部塗布面及び前記後部塗布面は、前記両側部を介して互いに滑らかに連続すると共に、
前記後部塗布面と前記両側部の頂部とは、山形となるように連続すること、を特徴とする請求項1記載の塗布材押出容器。
【請求項3】
前記両側部の頂部は、前方に下るよう傾斜するスロープ面であること、を特徴とする請求項1又は2記載の塗布材押出容器。
【請求項4】
前記前部塗布面は、前記長軸方向及び前記軸線方向を含む基準面に対し略平行であり、
前記後部塗布面は、前記基準面に対し第1傾斜角度で前方に下るよう傾斜し、
前記両側部の頂部は、前記基準面に対し前記第1傾斜角度よりも大きい第2傾斜角度で前方に下るよう傾斜するスロープ面であること、を特徴とする請求項1又は2記載の塗布材押出容器。
【請求項5】
前記押出機構は、螺子機構であって、一方向における容器前部と容器後部との相対回転によって移動体を前進させて前記塗布材を押し出し、
前記相対回転を制御する相対回転制御機構をさらに備え、
前記相対回転制御機構は、前記移動体が任意位置に位置するときにおいて、前記一方向の反対方向である他方向における前記相対回転を一定回転量のみ許容すること、を特徴とする請求項1〜4の何れか一項記載の塗布材押出容器。
【請求項6】
前記押出機構は、螺子機構であって、一方向における容器前部と容器後部との相対回転によって移動体を前進させて前記塗布材を押し出し、
前記一方向における前記相対回転のみ許容するラチェット機構をさらに備えたこと、を特徴とする請求項1〜4の何れか一項記載の塗布材押出容器。
【請求項7】
前記容器前部と前記容器後部との前記相対回転に伴ってクリック感を生じさせること、を特徴とする請求項5又は6記載の塗布材押出容器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図10】
【図11】
【図12】
【図15】
【図8】
【図9】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図10】
【図11】
【図12】
【図15】
【図8】
【図9】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−22202(P2013−22202A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−159103(P2011−159103)
【出願日】平成23年7月20日(2011.7.20)
【出願人】(591147339)株式会社トキワ (141)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月20日(2011.7.20)
【出願人】(591147339)株式会社トキワ (141)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]