説明

塗布膜の乾燥方法、塗布膜の乾燥装置及び凝縮液の回収方法

【課題】塗布膜に含まれる溶媒を凝縮して塗布膜を乾燥させる際に、冷却板と塗布膜の膜面との間隔を均一にし、且つ、搬送風の乱れを少なくすることでムラの発生を抑制することのできる乾燥方法、乾燥装置及び凝縮液の回収方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る乾燥方法は、シート状基材4に形成された塗布膜4aから蒸発した溶媒を冷却板1で凝縮することで塗布膜4aを乾燥させる方法である。そして、本乾燥方法は、シート状基材4の搬送方向に沿って複数配置され、且つ、塗布膜4aの膜面と平行になるように配置された冷却板1に塗布膜4aから蒸発した溶媒を凝縮して凝縮液とし、その凝縮液を冷却板1間の隙間を塞ぐ多孔質体ブロック2に含浸させる工程を含むものである。なお、冷却板1のそれぞれは、塗布膜4aと冷却板1との間の距離が同じである。また、塗布膜4aと冷却板1との間の距離は、塗布膜4aと多孔質体ブロック2との間の距離と同じである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート状の基材表面上に形成された塗布膜の乾燥方法とその装置及び塗布膜に含まれる溶媒が凝縮した液の回収方法に関する。
【背景技術】
【0002】
連続搬送されるシート状の基材上に形成された塗布膜を乾燥させる方法としては、一般的に温度、湿度をコントロールした風を塗布膜の膜面に当て、塗布膜に含まれる溶媒を蒸発させるものがある。
上記方法は、乾燥効率に優れているものの、塗布膜に風を吹きつける方法であるため、膜面が乱され、ムラが発生する不具合が生じる場合がある。また、風を塗布膜全体に均一に当てるということは難しいため、膜面内で溶媒が蒸発する速度に差が生じる場合がある。そして、これが原因でムラが発生することもある。
【0003】
このムラを解消する方法としては、特許文献1や特許文献2に記載されている方法のように、塗布膜の膜面に相対して配置された冷却板に塗布膜から蒸発した溶媒を凝縮させて、塗布膜を乾燥させる方法がある。この乾燥方法は、塗布膜の膜面で蒸発した溶媒が冷却板で凝縮することで、塗布膜の膜面と冷却板との間の溶媒濃度が下がり、塗布膜から蒸発した溶媒が塗布膜の膜面と冷却板との間に拡散していくというサイクルが連続的に行われるものである。このため、通風乾燥に起因するムラが解消される。
【0004】
冷却板で溶媒を凝縮する乾燥方法においては、冷却板の温度が均一であり、冷却板と塗布膜の膜面との間隔(以下、単に「Gap」ともいう。)が均一であるほど、塗布膜に含まれる溶媒の蒸発速度は塗布膜面全面で均一となる。このため、ムラ無く塗布膜の乾燥を行える。しかし、特許文献2に記載された方法のように、冷却板を傾けて凝縮液(つまり、凝縮した溶媒)の回収を行う場合には、均一なGapが得られず、乾燥時にムラが発生する可能性がある。
【0005】
また、特許文献1や特許文献3に記載された方法では、冷却板と塗布膜面の間に凝縮液を回収するための樋が存在するため、凝縮液の回収部でGapの変動がある。
また、冷却板で溶媒を凝縮する乾燥方法は、通風による乾燥方法よりも、乾燥効率が小さいため、塗布膜の乾燥に時間を要する。このため、塗布膜が形成された基材の搬送速度を大きくできない。これを解決するには、乾燥区間の長尺化を必要とする。乾燥区間の長尺化のために、冷却板を塗布膜が形成された基材の搬送方向に沿って複数並べた場合、図3に示すように冷却板間に隙間が生じる。
【0006】
このように、Gapの変動がある場合や冷却板間に隙間がある場合には、搬送風と呼ばれる風に乱れが生じ、それが原因でムラが発生する可能性がある。なお、「搬送風」とは、上記乾燥方法において、シート状の基材を搬送する際に発生する風のことであり、図4に示すように流れている。図4に示すように、均一のGapであれば、均一な搬送風となり、ムラへの影響を及ぼさない。しかし、図3に示すように、冷却板間に隙間がある場合には、搬送風に乱れが生じ、それによりムラが発生する。
【0007】
以上のように、従来技術は、凝縮液の回収部でのGap変動が大きく、また複数の冷却板間の隙間にできるGapが不均一であるため、搬送風に乱れが生じる場合がある。また、従来技術は、冷却板と塗布膜の膜面との間隔が不均一であるため、塗布膜に含まれる溶媒の蒸発速度が塗布膜面全面で不均一となる場合がある。このため、塗布膜を乾燥させる際に膜面にムラが発生するといった課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−175703号
【特許文献2】特許第4099474号
【特許文献3】特開2010−17645号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本発明は、このような課題を解決しようとするものであり、塗布膜に含まれる溶媒を凝縮して塗布膜を乾燥させる際に、冷却板と塗布膜の膜面との間隔を均一にし、且つ、搬送風の乱れを少なくすることでムラの発生を抑制することのできる乾燥方法、乾燥装置及び凝縮液の回収方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る塗布膜の乾燥方法は、シート状基材に形成された塗布膜から蒸発した溶媒を冷却板で凝縮して凝縮液とすることにより前記塗布膜を乾燥させる方法において、前記シート状基材の搬送方向に沿って、前記塗布膜の膜面と平行になるように複数の冷却板を配置し、前記冷却板間に生じた隙間をブロックで塞ぎ、複数配置された前記冷却板のそれぞれの前記塗布膜側の面と前記塗布膜との間の距離を前記搬送方向の何れにおいても同じくするとともに、この距離と、前記塗布膜と前記ブロックの前記塗布膜側の面との間の距離とを同じくして、前記凝縮液を前記ブロックに含浸させることを特徴とする塗布膜の乾燥方法である。
【0011】
上記態様によれば、シート状基材の搬送方向に沿って複数配置され、且つ、塗布膜の膜面と平行になるように配置された冷却板に凝縮させた凝縮液を、冷却板間の隙間を塞ぐブロックに含浸させることができる。さらに、複数配置された冷却板のそれぞれは、塗布膜と冷却板の塗布膜側の面との間の距離が同じであり、且つ、塗布膜と冷却板の塗布膜側の面との間の距離は、塗布膜とブロックの塗布膜側の面との間の距離と同じである。
【0012】
このため、上記態様に係る乾燥方法であれば、従来技術と比較して、冷却板間に隙間は生じず(つまり、Gap変動が小さく)、均一な搬送風を発生させることができる。さらに、複数配置された冷却板のそれぞれは、塗布膜の膜面から冷却板の塗布膜側の面までの距離が同じである(つまり、均一のGapである)ので、塗布膜に含まれる溶媒の蒸発速度を塗布膜面全面で均一にすることができる。よって、乾燥時にムラが発生するのを低減することができる乾燥方法を提供することができる。
【0013】
また、本発明の別の態様は、前記ブロックは、液体を含浸可能な多孔質体で形成されていることとしても良い。
上記態様によれば、ブロックは液体を含浸可能な多孔質体で形成されているので、凝縮液の回収部において均一のGapを維持したまま、このブロックに凝縮液を効率良く含浸させることができる。
【0014】
また、本発明の別の態様は、上記態様の塗布膜の乾燥方法において、前記多孔質体で形成した前記ブロックの、前記塗布膜側の面とは逆側の上面を通風乾燥することで、前記ブロックに含浸させた前記凝縮液を蒸発させる工程を含むことを特徴とする凝縮液の回収方法である。
上記態様によれば、ブロックの、塗布膜側の面とは逆側の上面を通風乾燥することで、ブロックに含浸させた溶媒を蒸発させることができる。このため、上記態様に係る凝縮液の回収方法であれば、ムラ無く塗布膜の乾燥を行えるとともに、蒸発した凝縮液を回収することができる。
【0015】
また、本発明の別の態様は、シート状基材に形成された塗布膜から蒸発した溶媒を冷却板で凝縮して凝縮液とすることにより、前記塗布膜を乾燥させる装置において、前記シート状基材の搬送方向に沿って複数配置され、且つ、前記塗布膜と平行になるように配置された冷却板と、前記冷却板間に生じた隙間を塞ぐブロックと、を備え、複数配置された前記冷却板のそれぞれは、前記塗布膜と前記冷却板の前記塗布膜側の面との間の距離が同じであり、前記塗布膜と前記冷却板の前記塗布膜側の面との間の距離は、前記塗布膜と前記ブロックの前記塗布膜側の面との間の距離と同じであることを特徴とする塗布膜の乾燥装置である。
【0016】
上記態様によれば、シート状基材の搬送方向に沿って複数配置され、且つ、塗布膜の膜面と平行になるように配置された冷却板に凝縮させた凝縮液を、冷却板間の隙間を塞ぐブロックに含浸させることができる。さらに、複数配置された冷却板のそれぞれは、塗布膜と冷却板の塗布膜側の面との間の距離が同じであり、且つ、塗布膜と冷却板の塗布膜側の面との間の距離は、塗布膜とブロックの塗布膜側の面との間の距離と同じである。
【0017】
このため、上記態様に係る乾燥方法であれば、従来技術と比較して、冷却板間に隙間は生じず(つまり、Gap変動が小さく)、均一な搬送風を発生させることができる。さらに、複数配置された冷却板のそれぞれは、塗布膜の膜面から冷却板の塗布膜側の面までの距離が同じである(つまり、均一のGapである)ので、塗布膜に含まれる溶媒の蒸発速度を塗布膜面全面で均一にすることができる。よって、乾燥時にムラが発生するのを低減することができる乾燥装置を提供することができる。
【0018】
また、本発明の別の態様は、前記ブロックは、液体を含浸可能な多孔質体で形成されていることとしても良い。
上記態様によれば、ブロックは液体を含浸可能な多孔質体で形成されているので、凝縮液の回収部において均一のGapを維持したまま、このブロックに凝縮液を効率良く含浸させることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の乾燥方法及び装置を用いることで、連続搬送されるシート状基材上に形成された塗布膜に対して、搬送速度を損なうことなく、塗布膜の乾燥によるムラを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態に係る乾燥装置の全体を示す概略図である。
【図2】本発明の実施形態に係る乾燥装置の、凝縮液の蒸発の様子を示す概略図である。
【図3】従来の乾燥装置の、冷却板間の空気の変動を示す概略図である。
【図4】シート状基材を搬送する際に発生する搬送風の速度分布を示す図である。
【図5】塗布膜の膜面と冷却板との間の、溶媒の蒸発速度を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
<実施形態>
(塗布膜の乾燥装置)
以下、本発明の実施形態に係る乾燥装置100について、図1及び図2を参照して説明する。図1は、本発明の実施形態に係る乾燥装置100の全体を示す概略図である。そして、図2は、本発明の実施形態に係る乾燥装置100の一部を拡大した概略図であって、2枚の冷却板1と多孔質体ブロック2とシート状基材4を示した図である。
図1及び図2に示すように、乾燥装置100は、少なくとも、冷却板1と、多孔質体ブロック2と、塗工部3と、シート状基材4のガイドロール9とを含んで構成されている。
【0022】
塗工部3は、連続して搬送されるシート状基材4の一方の面に塗布膜4aを塗工するためのものであり、シート状基材4の一方の面に接するように配置されている。
冷却板1は、塗布膜4aから蒸発した溶媒を凝縮するためのものであり、シート状基材4の搬送方向に沿って複数配置され、且つ、塗布膜4aの膜面と平行になるように配置されている。そして、この冷却板1は、塗工部3から遠ざかるにつれ、徐々に傾斜が緩やかになるように配置されている。つまり、塗工部3から遠ざかるにつれ、冷却板1は徐々に水平に近づくように配置されている。さらに、図2に示すように、複数配置された冷却板1のそれぞれは、塗布膜4aと冷却板1の塗布膜側の面1aとの間の距離が同じになるように配置されている。
【0023】
多孔質体ブロック2は、凝縮した溶媒を含浸させるためのものであり、冷却板1間の隙間を塞ぐように配置されている。さらに、図2に示すように、塗布膜4aと多孔質体ブロック2の塗布膜側の面2aとの間の距離は、塗布膜4aと冷却板1の塗布膜側の面1aとの間の距離と同じである。つまり、面2aの断面は、ガイドロール9と同心円の断面をなす仮想のロール9aの外周面と同一の円弧をなす。勿論、仮想のロール9aは、外面が多孔質体ブロック2に接する径をもつものとする。
なお、この「多孔質体ブロック2」は、連続した(独立ではない)細孔を有する多孔質体で形成されたブロックを意味するものである。つまり、この多孔質体ブロック2は、含浸可能な多孔質体で形成されたブロックである。
【0024】
以上のように、本実施形態に係る乾燥装置100であれば、冷却板1の隙間には多孔質体ブロック2が配置されているので、複数の冷却板1を用いた場合であっても、冷却板1間に隙間が生じることはない。このため、均一な搬送風を発生させることができる。さらに、複数配置された冷却板1のそれぞれは、塗布膜4aの膜面から冷却板1の塗布膜側の面1aまでの距離が同じである(つまり、均一のGapである)ので、これにより、塗布膜4aに含まれる溶媒の蒸発速度を塗布膜面全面で均一にすることができる。よって、塗布膜4aを乾燥させる際、ムラの発生を抑制することができる。
【0025】
(塗布膜の乾燥方法)
以下、本発明の実施形態に係る乾燥装置100を用いた乾燥方法について、図1及び図2を参照して説明する。
まず、塗布膜4aから蒸発した溶媒を冷却板1に凝縮させる。次に、この凝縮した溶媒(つまり、凝縮液)を、傾斜した冷却板1の塗布膜側の面1aを伝わるようにして、多孔質体ブロック2に導く。最後に、多孔質体ブロック2に導かれた凝縮液を、多孔質体ブロック2に含浸させる。
以上のように、本実施形態に係る乾燥方法であれば、乾燥装置100を用いているので、均一な搬送風を発生させることができる。また、塗布膜4aに含まれる溶媒の蒸発速度を塗布膜面全面で均一にすることができる。よって、塗布膜4aを乾燥させる際、ムラの発生を抑制することができる。
【0026】
(凝縮液の回収方法)
以下、本発明の実施形態に係る乾燥装置100を用いた凝縮液の回収方法について、図2を参照して説明する。
図2に示すように、冷却板1間の隙間に配置されている多孔質体ブロック2は、上述したように、連続した細孔を有する多孔質体で形成されたブロックである。このため、冷却板1の塗布膜側の面1aを伝わって流れ落ちてきた凝縮液は、多孔質体ブロック2と接した場合には多孔質体ブロック2の毛細管力によって、多孔質体ブロック2の上面2b(つまり、多孔質体ブロック2の塗布膜側の面2aとは逆側の面)にまで吸い上げられる。
【0027】
このときの毛細管力は

H=2Tcosθ/g・ρ・r (式1)

である。このため、多孔質体ブロック2は、凝縮液を吸い上げるのに可能な細孔径を備えている必要がある。
H:液面上昇高さ
T:表面張力
θ:接触角
g:重力
ρ:溶媒密度
r:細孔径
【0028】
このように、多孔質体ブロック2の上面2bを通風5して乾燥することによって、多孔質体ブロック2の上面2bまで吸い上げられた凝縮液を蒸発させることができる。このようにして、蒸発した凝縮液を回収することができる。また、上面2bの溶媒がこの方法にて取り除かれるため、常に毛細管力によって、冷却板1から流れ込む凝縮液を回収することができる。この方法により溶媒回収樋6を用いずとも凝縮液の回収を行うことができる。
【0029】
なお、凝縮液の回収方法としては、図3に示すように溶媒回収樋6を冷却板1の端部下側に配置して、冷却板1から流れ落ちる凝縮液を受け取る方法がある。しかし、この方法では、上述したように、冷却板1間に隙間がある場合と同様に搬送風に乱れが生じる。また、溶媒回収樋6によってGapの均一性が崩れるために局所的に蒸発速度の変動が起こることにより、ムラが発生する。
【0030】
本実施形態に係る乾燥方法においては、溶媒の蒸発速度は、塗布膜4a近傍の温度Tと冷却板1近傍の温度Tとの間に温度差があるため、Gap内に溶媒濃度差が生じ、溶媒濃度の低いほうに溶媒蒸気が拡散していくことで溶媒の蒸発が促進されるようになっている。ここで、図5に示した塗布膜4aの膜面からの溶媒の蒸発速度は、

J=D(C(T)−C(T))/h (式2)

となる。
J:蒸発速度
C:溶媒濃度
:塗布膜近傍の温度
:冷却板近傍の温度
h:Gapの距離
D:溶媒の拡散定数
【0031】
<実施例>
以下、本発明に係る実施例として、光学フィルムの製造装置及び製造方法について、図1を参照して説明する。
(製造装置)
光学フィルムの製造装置には、図1に示す乾燥装置100が含まれている。
本実施例の場合、シート状基材4の材料には、一般的にはPET、TAC、その他一般的な基材フィルムを用いることができる。
塗工部3は、ダイコータ、グラビアコータ、ロールコータ、その他公知の塗工技術を採用することが可能である。
冷却板1には、熱伝導率の良いアルミ、銅、ステンレス、その他金属を用いることができる。そして、冷却板1は、水冷、空冷、その他冷却方式にて、全面が均一な温度に保たれている。
多孔質体ブロック2には、連続した細孔を有する多孔質体を用いることができる。
【0032】
(製造方法)
光学フィルムの製造方法には、図1に示す乾燥装置100を用いた乾燥方法が含まれている。
図1に示す乾燥装置100を用いて、光学フィルムを製造した場合、塗布膜の乾燥工程において、冷却板1に塗布膜4aから蒸発した溶媒が凝縮する。
そして、凝縮した溶媒は冷却板1の下部へ流れ落ち、多孔質体ブロック2の毛細管力により多孔質体ブロック2の上面2bに向かって吸い上げられる。多孔質体ブロック2の上面2bまで吸い上げられた溶媒は、通風乾燥により蒸発する。こうして蒸発した溶媒を回収する。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明は、塗工設備によって製造される、光学フィルム全般に利用することが可能である。
【符号の説明】
【0034】
1…冷却板
1a…冷却板の塗布膜側の面
2…多孔質体ブロック
2a…多孔質体ブロックの塗布膜側の面
2b…多孔質体ブロックの上面
3…塗工部
4…シート状基材
4a…塗布膜
5…溶媒回収用風
6…溶媒回収樋
7…冷却板間の空気の変動
8…搬送風速度分布
9…ガイドロール
9a…仮想のロール
100…乾燥装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状基材に形成された塗布膜から蒸発した溶媒を冷却板で凝縮して凝縮液とすることにより前記塗布膜を乾燥させる方法において、
前記シート状基材の搬送方向に沿って、前記塗布膜の膜面と平行になるように複数の冷却板を配置し、前記冷却板間に生じた隙間をブロックで塞ぎ、複数配置された前記冷却板のそれぞれの前記塗布膜側の面と前記塗布膜との間の距離を前記搬送方向の何れにおいても同じくするとともに、この距離と、前記塗布膜と前記ブロックの前記塗布膜側の面との間の距離とを同じくして、前記凝縮液を前記ブロックに含浸させることを特徴とする塗布膜の乾燥方法。
【請求項2】
前記ブロックは、液体を含浸可能な多孔質体で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の塗布膜の乾燥方法。
【請求項3】
請求項2に記載の塗布膜の乾燥方法において、前記多孔質体で形成した前記ブロックの、前記塗布膜側の面とは逆側の上面を通風乾燥することで、前記ブロックに含浸させた前記凝縮液を蒸発させる工程を含むことを特徴とする凝縮液の回収方法。
【請求項4】
シート状基材に形成された塗布膜から蒸発した溶媒を冷却板で凝縮して凝縮液とすることにより、前記塗布膜を乾燥させる装置において、
前記シート状基材の搬送方向に沿って複数配置され、且つ、前記塗布膜と平行になるように配置された冷却板と、
前記冷却板間に生じた隙間を塞ぐブロックと、を備え、
複数配置された前記冷却板のそれぞれは、前記塗布膜と前記冷却板の前記塗布膜側の面との間の距離が同じであり、
前記塗布膜と前記冷却板の前記塗布膜側の面との間の距離は、前記塗布膜と前記ブロックの前記塗布膜側の面との間の距離と同じであることを特徴とする塗布膜の乾燥装置。
【請求項5】
前記ブロックは、液体を含浸可能な多孔質体で形成されていることを特徴とする請求項4に記載の塗布膜の乾燥装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2013−59715(P2013−59715A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−198778(P2011−198778)
【出願日】平成23年9月12日(2011.9.12)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】