説明

塗布装置、および薄膜製造方法

【課題】塗布対象物に溶液を均一に塗布することができる塗布装置、ならびに塗布対象物への溶液の塗布によって均一な薄膜を形成することができる薄膜製造方法を実現する。
【解決手段】吐出部から吐出されている溶液が塗布対象物の上に塗布されて、塗布対象物の上に皮膜が形成される。この皮膜が形成される工程において、吐出部から吐出されている溶液が塗布対象物に塗布される前または吐出部から吐出されている溶液が塗布対象物に塗布され始める際に帯電によって吐出部に蓄積されている電気量が低減される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗布装置および薄膜製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
化合物半導体から成る光吸収層を具備した太陽電池パネルがある。この太陽電池パネルでは、例えば、ガラス製の基板上に、Moから成る下部電極層が配され、この下部電極層の上に化合物半導体から成る光吸収層が配されている。さらに、その光吸収層の上には、硫化亜鉛、硫化カドミウム等から成るバッファ層と、酸化亜鉛等から成る透明の上部電極層とがこの順に積層されている。
【0003】
そして、例えば、基板上に形成された下部電極層の上から複数の金属元素を含む溶液が塗布されることで皮膜が形成された後に、この皮膜に乾燥および熱処理が施されることで光吸収層が形成され得る(例えば、特許文献1,2等)。なお、各種溶液の塗布に関しては、均一な溶液の塗布が指向されており、種々の技術が提案されている(例えば、特許文献3〜13等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−53314号公報
【特許文献2】特開2001−274176号公報
【特許文献3】特開2004−148167号公報
【特許文献4】特開2005−144409号公報
【特許文献5】特開2005−324183号公報
【特許文献6】特開2003−10773号公報
【特許文献7】特開2004−216298号公報
【特許文献8】特開2006−261326号公報
【特許文献9】特開2002−346455号公報
【特許文献10】特開2003−190862号公報
【特許文献11】特開2002−248399号公報
【特許文献12】特開2000−189877号公報
【特許文献13】特開2000−24570号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、窒素雰囲気等の不活性雰囲気において溶液の塗布が行われることで、皮膜への水分の混入が低減され、均質な光吸収層が形成され得ることが考えられる。
【0006】
しかしながら、不活性雰囲気中では、溶液を吐出する吐出部が乾燥によって帯電し易い。このため、帯電による電荷の蓄積によって吐出部の表面における溶液に対する濡れ性が高まり易く、溶液の塗布が制御し難い。すなわち、溶液が塗布される対象物(塗布対象物とも言う)の上に溶液を均一に塗布することが難しい。
【0007】
そこで、塗布対象物に溶液を均一に塗布することができる塗布装置、ならびに塗布対象物への溶液の塗布によって均一な薄膜を形成することができる薄膜製造方法が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一態様に係る塗布装置は、溶液を吐出して塗布対象物に塗布する吐出部と、吐出されている前記溶液を塗布対象物に塗布する前または吐出されている前記溶液を前記塗布対象物に塗布し始める際に前記吐出部に帯電によって蓄積されている電気量を減少させる減少機構を有する帯電制御部とを備えている。
【0009】
他の一態様に係る薄膜製造方法は、(a)塗布対象物の上に吐出部から吐出される溶液を塗布して、前記塗布対象物の上に皮膜を形成する工程と、(b)前記皮膜を焼成することで前記塗布対象物の上に薄膜を形成する工程とを備えている。そして、前記工程(a)では、吐出されている前記溶液を前記塗布対象物に塗布する前または吐出されている前記溶液を前記塗布対象物に塗布し始める際に前記吐出部に帯電によって蓄積されている電気量を減少させる。
【発明の効果】
【0010】
上記一態様に係る塗布装置によれば、塗布対象物に溶液が均一に塗布され得る。
【0011】
上記他の一態様に係る薄膜製造方法によれば、塗布対象物への溶液の塗布によって均一な薄膜が形成され得る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】一実施形態に係る塗布装置の概略構成を示す斜視図である。
【図2】吐出部の構成を模式的に示す正面図ならびに溶液供給源を模式的に示す図である。
【図3】図2にて一点鎖線III−IIIで示した位置における吐出部のXZ断面ならびに帯電制御部の構成を模式的に示す図である。
【図4】吐出部によって塗布対象物に溶液が塗布される様子を模式的に示す図である。
【図5】塗布装置を用いた薄膜の製造工程を含む太陽電池パネルの製造プロセスの流れの一例を示すフローチャートである。
【図6】塗布装置を用いた溶液の塗布工程の流れの一例を示すフローチャートである。
【図7】溶液の供給量の変動と帯電制御部による電圧の印加および接地の切り替えタイミングとを示すタイミングチャートである。
【図8】溶液の塗布工程における吐出部の様子を模式的に示すXZ断面図である。
【図9】溶液の塗布工程における吐出部の様子を模式的に示すXZ断面図である。
【図10】溶液の塗布工程における吐出部の様子を模式的に示すXZ断面図である。
【図11】溶液の塗布工程における吐出部の様子を模式的に示すXZ断面図である。
【図12】溶液の塗布工程における吐出部の様子を模式的に示すXZ断面図である。
【図13】溶液の塗布工程における吐出部の様子を模式的に示すXZ断面図である。
【図14】溶液の塗布工程における吐出部の様子を模式的に示すXZ断面図である。
【図15】溶液の塗布工程における吐出部の様子を模式的に示すXZ断面図である。
【図16】一変形例に係る塗布対象物の帯電を制御する構成を模式的に示す図である。
【図17】一変形例に係る溶液の供給量の変動と帯電制御部による電圧の印加および接地の切り替えタイミングとを示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、図面においては同様な構成および機能を有する部分については同じ符号が付されており、下記説明では重複説明が省略される。また、図面は模式的に示されたものであり、各図における各種構造のサイズおよび位置関係等は正確に図示されたものではない。なお、図1〜図4、図8〜図16には、塗布装置1における各部の配置関係を明示するために、塗布対象物4の一主面に沿った吐出部24の移動方向をX軸方向とし、吐出部24の長手方向をY軸方向とする右手系のXYZ座標系が付されている。但し、帯電制御部25,26および溶液供給源240については、吐出部24に対する配置関係が描かれたものではない。
【0014】
<(1)塗布装置の概略構成>
一実施形態に係る塗布装置1は、平板状の塗布対象物4の一主面上に所定の溶液を塗布する装置である。図1で示されるように、塗布装置1は、本体部2と制御部3とを備えている。本体部2は、載物台21と可動梁機構22と駆動部23とを備えている。
【0015】
載物台21は、塗布対象物4が載置される台であり、該塗布対象物4を保持する。載物台21は、略直方体の形状を有する。該載物台21の上面と下面と側面は何れも略平坦となるように加工されている。また、載物台21の上部には、塗布対象物4が載置される載置部211が配されている。
【0016】
載置部211の上面211sには、例えば、ストッパーSt1,St2,St3が配されている。2つのストッパーSt1,St2は、上面211sに固定されている。また、1つのストッパーSt3は、上面211sに対して移動可能である。例えば、塗布対象物4が略長方形の盤面を有する場合、該塗布対象物4が載置部211上に載置される際には、塗布対象物4の隣り合う2つの角部が固定のストッパーSt1,St2によって位置決めされる。そして、該塗布対象物4が、固定のストッパーSt1,St2と可動のストッパーSt3とによって挟持される。なお、載置部211に、例えば、多数の吸引口が配され、塗布対象物4が、多数の吸引口によって吸引されることで、載置部211上に吸着されても良い。
【0017】
また、載置部211のうち、塗布対象物4が載置される領域を挟むY軸方向の両端部近傍には、X軸方向に延在している一対の走行溝212が配されている。走行溝212は、可動梁機構22を支持し、該可動梁機構22のX軸方向に沿った移動を案内する。
【0018】
載置部211の+X方向の端部近傍に、開口部213が配されている。本体部2のうちの開口部213の下方に位置する部分に、吐出部24の乾燥を抑制するための待機用の容器、および吐出部24の先端を拭浄するための拭浄板50(図9参照)等が配されている。
【0019】
可動梁機構22は、梁部221と2つの走行部222と吐出部24とを備えている。梁部221は、2つの走行部222の間にY軸方向に沿って架設されている。つまり、2つの走行部222が梁部221を介して連結されている。また、梁部221の下部には吐出部24が取り付けられている。
【0020】
吐出部24は、所定の溶液を吐出して塗布対象物4の一主面上に該所定の溶液を塗布するノズルである。該吐出部24は、吐出部本体部241と2つの側方平板242とを備えている。そして、吐出部本体部241の両端に、それぞれ側方平板242が取り付けられている。
【0021】
走行部222は、梁部221を介して吐出部24を支持している。また、走行部222は、昇降機構Sm1,Sm2と帯電制御部25とを備えている。昇降機構Sm1,Sm2は、例えば、ボールネジとサーボモーターとを有している。また、昇降機構Sm1,Sm2は、制御部3から入力される制御信号に応じて、梁部221の姿勢を保持したままで、該梁部221をZ軸方向に昇降させ得る。帯電制御部25は、例えば、帯電によって吐出部本体部241に蓄積されている電気量を制御する回路である。
【0022】
駆動部23は、可動梁機構22をX軸方向に移動させる部分である。該駆動部23は、例えば、一対の移動子231と一対の固定子232とリニアエンコーダー233とを備えている。一対の移動子231は、可動梁機構22の両端部に取り付けられている。一対の固定子232は、載物台21の両側部においてX軸方向に沿って配されている。駆動部23では、一対の移動子231と一対の固定子232とが、例えば、コアレスリニアモータを構成し、可動梁機構22をX軸方向に移動させ得る。また、リニアエンコーダー233は、一対の移動子231のX軸方向における位置を検出し得る。リニアエンコーダー233によって検出された一対の移動子231の位置を示す情報は、制御部3に送られる。
【0023】
制御部3は、本体部2における各種動作を制御する部分である。該制御部3は、プロセッサー部31と記憶部32とを備えている。プロセッサー部31は、記憶部32に記憶されているプログラムを読み込んで実行することで、各種のデータ処理を行う。記憶部32は、プログラムおよび各種データを記憶する。なお、制御部3には、例えば、図示を省略する操作部および表示部が配されている。操作部は、オペレーターの操作を受け付ける。表示部は、各種データを可視的に出力し得る。
【0024】
また、制御部3は、本体部2とデータの送受信が可能に接続されている。制御部3は、操作部から入力される信号およびリニアエンコーダー233から入力される一対の移動子231の位置を示す情報に基づいて、一対の移動子231および一対の固定子232の動作を制御する。つまり、制御部3によって、載物台21上における可動梁機構22の各種動作が制御され得る。
【0025】
また、制御部3は、操作部から入力される信号および図示が省略されている各種センサから入力される信号に基づいて、昇降機構Sm1,Sm2および帯電制御部25の動作ならびに吐出部24からの所定の溶液の吐出を制御する。
【0026】
<(2)吐出部の構成>
図2は、吐出部24の一構成例を模式的に示す正面図ならびに溶液供給源240を模式的に示す図である。図3は、図2にて一点鎖線III−IIIで示した位置における吐出部24のXZ断面ならびに帯電制御部25の構成を模式的に示す図である。
【0027】
図2および図3で示されるように、吐出部本体部241の内部には流路241sが配されている。流路241sは、溶液供給源240に接続されている。また、吐出部本体部241の下端部には、吐出口241oが配されている。吐出口241oは、Y軸方向に延びるスリット状の開口である。吐出部24では、溶液供給源240から所定の溶液が流路241sに供給されると、該所定の溶液が吐出口241oから塗布対象物4に向けて吐出される。すなわち、塗布装置1は、いわゆるスリットコーターとして機能する。
【0028】
そして、図4で示されるように、例えば、吐出部24が、X軸に沿った矢印AR1で示される−X方向に移動しながら、所定の溶液L1を塗布対象物4に向けて吐出することで、塗布対象物4の上に所定の溶液L1が塗布され得る。
【0029】
なお、溶液供給源240は、例えば、所定の溶液L1を貯蔵するタンクおよび所定の溶液L1を送出するポンプ等を有していれば良い。
【0030】
ここで、所定の溶液L1は、例えば、I−B族金属、III−B族金属およびカルコゲン元素含有有機化合物が一つの分子内に含まれた単一源前駆体と、有機溶媒とを混合させることで作製され得る。所定の溶液L1では、例えば、I−B族金属、III−B族金属およびカルコゲン元素含有有機化合物の合計濃度が10wt%以上となり得る。なお、カルコゲン元素含有有機化合物とは、カルコゲン元素を含む有機化合物である。カルコゲン元素は、VI−B族元素のうちの硫黄、セレンおよびテルルである。カルコゲン元素含有有機化合物としては、例えば、チオール、スルフィド、ジスルフィド、セレノール、セレニドおよびジセレニド等が採用され得る。有機溶媒としては、例えば、メタノール等のアルコールおよびピリジン等が採用され得る。このとき、極性の高い有機溶媒であれば、溶液L1の帯電による制御が容易になり得る。
【0031】
ところで、側方平板242は、吐出部本体部241のY軸方向の両端部に取り付けられている。このため、流路241sのY軸方向の両端部が側方平板242によって規定されている。また、吐出部本体部241は、流路241sの−X側に位置する前方の部分(前方部とも言う)241fと、流路241sの+X側に位置する後方の部分(後方部とも言う)241bとを有している。そして、前方部241fおよび後方部241bは、それぞれY軸方向に延在している。このため、流路241sのX軸方向の両端部が前方部241fと後方部241bとによって規定されている。
【0032】
前方部241fのX軸方向の幅は、例えば、前方部241fの下部において、下に行けば下に行くほど狭くなっている。より具体的には、前方部241fの下部には、下に行けば下に行くほど流路241sに近づいている斜め下方に向いた傾斜面241fdが配されている。また、前方部241fの最下部には、下方に向いた平坦面241fhが配されている。
【0033】
後方部241bのX軸方向の幅は、例えば、後方部241bの下部において、下に行けば下に行くほど狭くなっている。より具体的には、後方部241bの下部には、下に行けば下に行くほど流路241sに近づいている斜め下方に向いた傾斜面241bdが配されている。また、後方部241bの最下部には、下方に向いた平坦面241bhが配されている。
【0034】
ここでは、前方部241fの平坦面241fhと、後方部241bの平坦面241bhとは、仮想的な一水平面上に配されている。そして、吐出部24の−Z側の先端部に位置する下端面241hが、平坦面241fh,241bhを含んでいる。
【0035】
また、後方部241bは、第1領域部241bfと第2領域部241bbと絶縁領域部241biとを有している。第1領域部241bfは、後方部241bのうちの流路241s側に配されている。第2領域部241bbは、後方部241bのうちの最も+X側である最後尾の部分に配されている。絶縁領域部241biは、第1領域部241bfと第2領域部241bbとの間に介在している。また、第1領域部241bf、第2領域部241bbおよび絶縁領域部241biは、それぞれY軸方向に延在している。
【0036】
第1領域部241bfは、例えば、前方部241fと一体的に構成されている。ここで、前方部241f、第1領域部241bfおよび第2領域部241bbの材料としては、金属等の導電性を有するものが採用されれば良い。また、絶縁領域部241biは、電気的に絶縁性を有する領域である。ここで、絶縁領域部241biの材料は、例えば、エポキシ系、シアノアクリル系、ビニール系およびシリコーンゴム系のうちの何れかの系の接着剤であれば良い。
【0037】
そして、例えば、第1領域部241bfと前方部241fとに相当する部材(第1部材とも言う)と、第2領域部241bbに相当する部材(第2部材とも言う)と2枚の側方平板242とが接着剤によって接合されることで、吐出部本体部241が形成され得る。第1部材および第2部材は、例えば、ステンレス鋼等の金属を用いた鋳造、鍛造および切削加工等の各種加工方法によって形成され得る。
【0038】
なお、絶縁領域部241biのうち、所定の溶液L1と接触し得る領域にフッ素樹脂が被覆されれば、絶縁領域部241biの耐薬品性が高まり、所定の溶液L1の選択に係る自由度が向上し得る。例えば、フッ素樹脂の材料として、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)が採用されれば、所定の溶液L1に含まれる溶剤としてピリジン等が選択されても良い。また、該フッ素樹脂の被覆方法としては、エアスプレー法、静電気印加スプレー法およびディップ法等が採用され得る。
【0039】
上記構造により、吐出部本体部241は、第1領域部241bfと第2領域部241bbとが絶縁領域部241biを挟んでいる。このため、第1領域部241bfと第2領域部241bbとは、電気的に接続されていない。
【0040】
帯電制御部25は、図3で示されるように、電源部251と接地部252とスイッチ部253とを備えている。
【0041】
電源部251は、第1領域部241bfと第2領域部241bbとの間に電圧を印加する部分である。該電源部251は、例えば、一定の電圧を有する直流の電圧源であれば良い。そして、例えば、電源部251の第1電極が、第1領域部241bfに電気的に接続され、電源部251の第2電極が、第2領域部241bbに電気的に接続される。なお、例えば、第1電極が正極であり且つ第2電極が負極であっても良いし、第1電極が負極であり且つ第2電極が正極であっても良い。この電源部251により、絶縁領域部241biを挟む第1領域部241bfと第2領域部241bbとの間に電荷が蓄積され得る。すなわち、後方部241bを含む吐出部本体部241が帯電され得る。
【0042】
接地部252は、第1領域部241bfと第2領域部241bbとの間に蓄積された電荷を除去するための部分である。該接地部252は、例えば、載物台21に電気的に接続される端子であれば良い。例えば、接地部252は、走行溝212に配されている端子に接触することで接地され得る。
【0043】
スイッチ部253は、接地部252と第2領域部241bbとの間に設けられている。そして、スイッチ部253は、接地部252と第2領域部241bbとを電気的に接続している状態(導通状態とも言う)と電気的に接続していない状態(非導通状態とも言う)とに選択的に設定される。なお、スイッチ部253は、所定の電気回路を導通している状態と導通していない状態との間で切り替える動作(切替動作とも言う)を行う部品であれば良い。例えば、スイッチ部253は、機械的な動作によって切替動作を行う部品であっても良いし、トランジスタ回路のように電気的な作用によって切替動作を行う部品であっても良い。
【0044】
帯電制御部25では、電源部251とスイッチ部253とが、帯電によって吐出部24に蓄積されている電気量を増大させる機構(増大機構とも言う)として働く。また、スイッチ部253と接地部252とが、帯電によって吐出部本体部241に蓄積されている電気量を減少させる機構(減少機構とも言う)として働く。
【0045】
例えば、スイッチ部253が非導通状態に設定されれば、電源部251によって第1領域部241bfと第2領域部241bbとの間に電圧が印加される。その結果、帯電によって第1領域部241bfと第2領域部241bbとの間に蓄積されている電気量が増大し得る。つまり、吐出部本体部241に蓄積されている電気量が増大し得る。この場合、帯電によって後方部241bを含む吐出部本体部241の所定の溶液L1に対する濡れ性が向上し得る。つまり、所定の溶液L1が吐出部本体部241の表面に対して濡れ易くなる。これにより、例えば、図4で示されるように、傾斜面241bdに所定の溶液L1が這い上がっている部分(這い上がり部とも言う)L1uが形成され得る。
【0046】
一方、スイッチ部253が導通状態に設定されれば、後方部241bが接地されるため、吐出部本体部241に蓄積されている電荷が接地部252に逃がされ得る。これにより、帯電によって第1領域部241bfと第2領域部241bbとの間に蓄積されている電気量が低減され得る。つまり、吐出部本体部241に蓄積されている電気量が減少し得る。この場合、後方部241bを含む吐出部本体部241の所定の溶液L1に対する濡れ性が低減され得る。つまり、所定の溶液L1が吐出部本体部241の表面に対して濡れ難くなる。
【0047】
なお、塗布装置1は、窒素雰囲気等の不活性雰囲気において使用されれば、帯電制御部25によって吐出部本体部241が容易に帯電され得る。そして、所定の溶液L1の極性が高ければ、吐出部本体部241の所定の溶液L1に対する濡れ性が大きく変更され易い。また、第1領域部241bfと前方部241fとが電気的に接続されていない場合には、例えば、前方部241fが接地されていても良い。この場合には、帯電制御部25により、吐出部本体部241のうちの後方部241bに帯電によって蓄積されている電気量が増減されれば良い。
【0048】
<(3)薄膜の製造工程を含む太陽電池パネルの製造プロセス>
ここで、上記構成を有する塗布装置1を用いた薄膜の製造工程を含む太陽電池パネルの製造プロセスの一例について説明する。
【0049】
ここでは、塗布装置1を用いて太陽電池パネルの光吸収層が形成される。光吸収層は、例えば、第1導電型(ここではp型の導電型)を有するI−III−VI族化合物半導体の層であれば良い。I−III−VI族化合物半導体とは、I−III−VI族化合物を主に含む半導体である。なお、I−III−VI族化合物を主に含む半導体とは、I−III−VI族化合物を70mol%以上含む半導体のことを言う。以下の記載においても、「主に含む」は「70mol%以上含む」ことを意味する。
【0050】
I−III−VI族化合物は、I−B族元素(11族元素とも言う)とIII−B族元素(13族元素とも言う)とVI−B族元素(16族元素とも言う)とを主に含む化合物である。I−III−VI族化合物としては、例えば、CuInSe2(CISとも言う)、Cu(In,Ga)Se2(CIGSとも言う)およびCu(In,Ga)(Se,S)2(CIGSSとも言う)等が採用され得る。本一例では、光吸収層が、CIGSを主に含む。
【0051】
<(3−1)太陽電池パネルの製造プロセスの概要>
図5は、塗布装置1を用いた薄膜の製造工程を含む太陽電池パネルの製造プロセスの一例の流れを示すフローチャートである。
【0052】
まず、図5のステップSp1では、略矩形の盤面を有する平板状の基板41(図10等参照)が準備される。基板41は、複数の光電変換セルを支持するものである。基板41に含まれる主な材料としては、例えば、ガラス、セラミックスおよび樹脂等が採用され得る。また、基板41の厚さは、例えば、1mm以上で且つ3mm以下程度であれば良い。
【0053】
ステップSp2では、洗浄された基板41の一主面の略全面に、スパッタリング法または蒸着法等が用いられて、導電層としての下部電極層42(図10等参照)が形成される。下部電極層42に含まれる主な材料としては、例えば、Mo、Al、Ti、TaおよびAu等の導電性を有する各種金属等が採用され得る。また、下部電極層42の厚さは、例えば、0.2μm以上で且つ1μm以下程度であれば良い。
【0054】
ステップSp3では、下部電極層42の上面のうちの所定の形成対象位置からその直下の基板41の上面にかけて、一方向(ここではY方向に相当する方向)に直線状に延在する第1溝部が形成される。第1溝部は、例えば、YAGレーザーまたはその他のレーザーの光が走査されつつ所定の形成対象位置に照射されることで形成され得る。
【0055】
このステップSp1〜Sp3の処理により、基板41と、該基板41上に設けられ且つ第1溝部が形成されている下部電極層42とを有する塗布対象物4が形成され得る。
【0056】
ステップSp4では、塗布装置1を用いた所定の溶液L1の塗布工程が行われる。ここでは、塗布対象物4の上に吐出部24から吐出されている所定の溶液L1が略均一に塗布されて、塗布対象物4の上に所定の溶液L1の皮膜が形成される。なお、この皮膜の厚みは、例えば10〜100μmである。
【0057】
ステップSp5では、ステップSp4で形成された略均一な所定の溶液L1の皮膜が乾燥される。このステップSp5では、例えば、塗布対象物4の上に形成された皮膜に不活性気体中もしくは還元雰囲気で熱処理が施される。熱処理の温度は、50℃以上で且つ300℃以下であれば良い。このとき、皮膜が乾燥されるとともに皮膜中の有機物が熱分解される。これにより、皮膜が収縮する。
【0058】
ステップSp6では、ステップSp5で乾燥された所定の溶液L1の略均一な皮膜が焼成されることで、塗布対象物4の上に略均一な薄膜が形成される。この薄膜が、太陽電池パネルの光吸収層に相当する。このステップSp6では、塗布対象物4の上に形成された皮膜に対する加熱処理が行われる。該加熱処理は、例えば、カルコゲン元素としてのSeの気体と非酸化性気体とを含む雰囲気中で行われれば良い。非酸化性気体は、例えば、窒素等の不活性の気体および還元性の気体の少なくとも一方の気体であれば良い。この薄膜は、例えば0.5〜3μmの厚みを有している。なお、このような薄膜は、例えば、ステップSp4およびステップSp5が複数回繰り返されることにより、所望の厚みを有する皮膜の積層体が形成された後に、ステップSp6による加熱処理が行われることで形成されてもよい。
【0059】
ステップSp7では、太陽電池パネルの製造プロセスにおけるその後の工程が行われる。ここで、その後の工程の一例について説明する。
【0060】
まず、ステップSp6で形成された光吸収層の上に、バッファ層が形成される。バッファ層は、光吸収層の第1導電型とは異なる第2導電型(ここではn型の導電型)を有する半導体を主に含む。このバッファ層は、化学浴槽堆積法(CBD法)によって形成され得る。例えば、酢酸カドミウムとチオ尿素とがアンモニアに溶解させられることで作製された溶液に光吸収層が浸漬されることで、CdSを主に含むバッファ層が形成される。これにより、光吸収層とバッファ層とが積層されている光電変換層が形成され得る。
【0061】
次に、バッファ層の上面のうちの所定の形成対象位置から下部電極層の上面に至る領域に、一方向(ここではY方向に相当する方向)に直線状に延在する第2溝部が形成される。第2溝部は、スクライブ針が用いられたメカニカルスクライビング等によって形成され得る。
【0062】
次に、光電変換層の上面から第2溝部の内部にかけて上部電極層が形成される。上部電極層は、スパッタリング法、蒸着法または化学的気相成長(CVD)法等で形成される。例えば、バッファ層の上に、アルミニウムが添加された酸化亜鉛を主に含む透明な上部電極層が形成される。このとき、第2溝部内に、上部電極層のうちの垂下する部分が形成される。
【0063】
次に、上部電極層の上面のうちの所定の形成対象位置から第2溝部の内部にかけてグリッド電極部が形成される。グリッド電極部は、上部電極層の一主面の上に設けられる線状の電極部である。グリッド電極部は、例えば、銀等の金属粉が樹脂製のバインダー等に分散させられた金属ペーストが所定のパターンを有するように印刷され、印刷後の金属ペーストが乾燥によって固化されることで形成され得る。
【0064】
そして、グリッド電極部が形成された後、上部電極層の上面のうちの所定の形成対象位置から下部電極層の上面に至る領域に、一方向(ここではY方向に相当する方向)に直線状に延在する第3溝部が形成される。これにより、基板41上に複数の光電変換セルが配されている太陽電池パネルが得られる。第3溝部は、第2溝部と同様に、スクライブ針が用いられたメカニカルスクライビング等によって形成され得る。
【0065】
なお、この太陽電池パネルでは、例えば、光電変換セルは、第2溝部内に形成されている上部電極層の垂下部とグリッド電極部の垂下部とによって、隣の光電変換セルから延伸されている下部電極層42に電気的に接続されている。つまり、太陽電池パネルでは、基板41上に配されている複数の光電変換セルが電気的に直列に接続されている。
【0066】
<(3−2)塗布装置を用いた所定の溶液の塗布工程>
図6は、図5のステップSp4における塗布装置1を用いた所定の溶液L1の塗布工程の流れを示すフローチャートである。図7は、塗布工程における溶液供給源240から吐出部24に対する所定の溶液L1の供給量の変動と、帯電制御部25による電圧の印加および接地とに係るタイミングチャートである。図7では、上から順に、所定の溶液L1の供給量の変動、帯電制御部25による電圧の印加(電圧印加とも言う)の切り替えタイミング、および帯電制御部25による接地の切り替えタイミングが示されている。また、図8〜15は、塗布装置1を用いた所定の溶液L1の塗布工程における吐出部24の様子を模式的に示すXZ断面図である。
【0067】
ステップSp41では、吐出部24の先端部の下端面241hに所定の溶液L1が馴染まされる。このときの吐出部24の様子が図8に示されている。ここでは、溶液供給源240から吐出部24にごく少量の所定の溶液L1が供給されることで、吐出口241oから少量の所定の溶液L1が染み出し、表面張力によって所定の溶液L1の液溜まりが下端面241h上に形成される。なお、ステップSp41の処理が行われる期間は、図7の時刻T1〜T2の期間に相当する。
【0068】
ステップSp42では、吐出部24の下端面241hに付着している所定の溶液L1が拭浄板50で拭き取られる。このときの吐出部24の様子が図9に示されている。ここでは、例えば、吐出部24が下降することで、本体部2のうちの開口部213の下方に配されている拭浄板50に接触し得る。拭浄板50の材料としては、例えば、耐薬品性に優れた樹脂等が採用され得る。なお、ステップSp42の処理は、図7の時刻T2〜T3の期間内に行われる。
【0069】
ステップSp43では、吐出部24が、所定の溶液L1を塗布対象物4に塗布し始める初期位置に配置される。このときの吐出部24の様子が図10に示されている。ここでは、吐出部24と塗布対象物4との間隔が第1所定距離に設定される。なお、初期位置は、例えば、塗布対象物4の+X側の一端部上の位置であれば良い。なお、ステップSp43の処理は、図7の時刻T2〜T3の期間内に行われる。
【0070】
ステップSp44では、溶液供給源240から吐出部24に少量の所定の溶液L1が供給される。このときの吐出部24の様子が図11に示されている。ここでは、所定の溶液L1が塗布対象物4の下部電極層42側の一主面上に付着する。これにより、塗布対象物4に対する所定の溶液L1の塗布が開始される。このとき、吐出部24の先端部から塗布対象物4にかけて所定の溶液L1の液溜まり(ビードとも言う)BD1が形成される。
【0071】
ステップSp44の処理が行われる期間は、例えば、図7の時刻T3〜T4の期間に相当する。この期間には、帯電制御部25によって吐出部24の後方部241bが接地される。これにより、帯電によって吐出部24に蓄積されている電気量が低減される。つまり、帯電制御部25によって吐出部24から吐出されている所定の溶液L1が塗布対象物4に塗布され始める際に、帯電によって吐出部24に蓄積されている電気量が低減される。別の観点から言えば、吐出部24が塗布対象物4に沿って−X方向に移動する前であって、吐出部24から吐出されている所定の溶液L1が塗布対象物4に塗布される際に、帯電によって吐出部24に蓄積されている電気量が低減される。さらに換言すれば、所定の溶液L1が塗布対象物4に塗布される処理(塗布処理とも言う)の最も初期に、帯電によって吐出部24に蓄積されている電気量が低減される。
【0072】
この場合、吐出部24の所定の溶液L1に対する濡れ性が低下する。このため、所定の溶液L1が吐出部24の表面に引き付けられ過ぎず、所定の溶液L1が塗布対象物4の一主面上に付着し易い。したがって、所定の溶液L1が塗布対象物4の上に塗布される初期段階において、塗布対象物4の一端部近傍に所定の溶液L1がより確実に塗布され得る。つまり、塗布処理の初期段階において、塗布対象物4の上に形成される溶液の膜が途切れてしまうような塗布の不良が生じ難い。
【0073】
ここでは、帯電制御部25によって、吐出部24から吐出されている所定の溶液L1が塗布対象物4に塗布され始める際に、帯電によって吐出部24に蓄積されている電気量が低減されたが、これに限られない。例えば、帯電制御部25によって、吐出部24から吐出されている所定の溶液L1が塗布対象物4に塗布される前に、帯電によって吐出部24に蓄積されている電気量が低減されても良い。この場合にも、吐出部24から吐出されている所定の溶液L1が塗布対象物4に塗布され始める際に、帯電によって吐出部24に蓄積されている電気量が低い状態となり得る。
【0074】
ステップSp45では、吐出部24が+Z方向に若干上昇される。このときの吐出部24の様子が図12に示されている。ここでは、吐出部24と塗布対象物4との間隔が第2所定距離に設定される。これにより、ビードBD1の形状が引き伸ばされている形状となる。なお、ステップSp45の処理は、図7の時刻T4〜T5の期間内に行われる。
【0075】
ステップSp46では、溶液供給源240から吐出部24への所定の溶液L1の供給が開始される。所定の溶液L1の供給の開始は、図7の時刻T5に行われる。また、時刻T5には、帯電制御部25によって吐出部24の第1領域部241bfと第2領域部241bbとの間に電圧が印加され始める。これにより、帯電によって吐出部24に蓄積されている電気量が増大し始める。なお、ここでは、基板41の材料がガラス等の絶縁物であれば、基板41の存在により、吐出部24からビードBD1および下部電極層42を介して載置部211に電荷が逃げる現象が低減され得る。
【0076】
また、図7の時刻T5〜T6で示されるように、例えば、溶液供給源240から吐出部24への所定の溶液L1の供給量は、時間経過に伴って増加する。
【0077】
ステップSp47では、吐出部24の−X方向への移動が開始される。吐出部24の−X方向への移動は、図7の時刻T5〜T6の期間内に開始される。なお、図7で示されるように、溶液供給源240から吐出部24への所定の溶液L1の供給量は、例えば、時間経過に伴って増加した後に、略一定量に保持される。図13には、吐出部24から吐出されている所定の溶液L1が塗布対象物4に塗布される様子が示されている。
【0078】
その後、図7の時刻T6〜T7の期間において、吐出部24から所定の溶液L1が吐出されながら、吐出部24が−X方向に移動することで、塗布対象物4に対する所定の溶液L1の塗布が連続的に行われる。このとき、図7で示されるように、時刻T5に開始された第1領域部241bfと第2領域部241bbとの間への電圧の印加が、時刻T7まで維持される。
【0079】
ここで、例えば、吐出部24から吐出されている所定の溶液L1が塗布対象物4に塗布され始める際において帯電によって吐出部24に蓄積されている電気量を第1電気量とする。また、吐出部24が塗布対象物4に対して相対的に移動しながら吐出している所定の溶液L1が塗布対象物4に塗布される際において帯電によって吐出部24に蓄積されている電気量を第2電気量とする。この場合、帯電制御部25は、第1電気量よりも第2電気量が大きくなるように、帯電によって吐出部24に蓄積されている電気量を増大させる。
【0080】
そして、第2電気量が第1電気量よりも大きければ、帯電によって吐出部24の後方部241bにおける所定の溶液L1に対する濡れ性が向上し得る。この濡れ性の制御により、例えば、図4で示されるように、傾斜面241bdに所定の溶液L1が這い上がっている這い上がり部L1uが適切に形成され得る。そして、第2電気量は、例えば、吐出部24が塗布対象物4に対して相対的に移動しながら吐出している所定の溶液L1が塗布対象物4に塗布される際に、所定の溶液L1に応じた略一定の電気量に保持されれば良い。これにより、所定の溶液L1が、塗布対象物4の+Z側の一主面上に略均一に塗布され得る。つまり、塗布対象物4の一主面上に塗布される所定の溶液L1の膜において、膜の途切れ、筋状の欠陥およびムラが発生し難くなり得る。
【0081】
なお、第2電気量は、例えば、電源部251が吐出部24に印加する電圧によって調整され得る。この電圧は、例えば、実験およびシミュレーション等によって決定され得る。具体的には、この電圧は、例えば、雰囲気、所定の溶液L1の組成および粘度等といった塗布に係る諸条件と、電源部251が吐出部24に印加する電圧と、塗布対象物4の一主面上に塗布される所定の溶液L1の膜の状態との関係に応じて決定され得る。これにより、所定の溶液L1の組成および粘度等といった諸条件におけるロット間のばらつきに拘わらず、塗布対象物4の一主面上に塗布される所定の溶液L1の膜において、膜の途切れ、筋状の欠陥およびムラが発生し難くなり得る。
【0082】
ステップSp48では、溶液供給源240から吐出部24への所定の溶液L1の供給量が減少され始める。ここでは、図14で示されるように、吐出部24が塗布対象物4の−X側の他端部近傍の上方の位置まで到達している。なお、この所定の溶液L1の供給量の減少の開始は、図7の時刻T7に行われる。
【0083】
そして、図7の時刻T7〜T8で示されるように、例えば、溶液供給源240から吐出部24への所定の溶液L1の供給量は、時間経過に伴って減少する。この時刻T7〜T8には、帯電制御部25によって吐出部24の後方部241bが接地される。これにより、帯電によって吐出部24に蓄積されている電気量が低減される。つまり、吐出部24が塗布対象物4に対して相対的に移動しながら吐出している所定の溶液L1が塗布対象物4に塗布される期間(塗布期間とも言う)の終期に、帯電制御部25により、帯電によって吐出部24に蓄積されている電気量が低減される。ここで、塗布期間の終期は、例えば、溶液供給源240から吐出部24への所定の溶液L1の供給量が時間経過に伴って減少する期間であれば良い。
【0084】
この場合、吐出部24の所定の溶液L1に対する濡れ性が低下する。その結果、所定の溶液L1が吐出部24の表面に引き付けられ過ぎず、所定の溶液L1が塗布対象物4の一主面上に塗布され易い。したがって、所定の溶液L1が塗布対象物4上へ塗布される最終段階において、塗布対象物4の他端部近傍まで所定の溶液L1がより確実に塗布され得る。つまり、塗布処理の終期において溶液の膜が途切れてしまうような塗布の不良が生じ難い。
【0085】
ステップSp49では、吐出部24が+Z方向に上昇する。これにより、ビードBD1が切れて、塗布対象物4への所定の溶液L1の塗布が終了する。このときの吐出部24の様子が図15に示されている。なお、吐出部24の上昇によってビードBD1が切れる動作は、図7の時刻T8に行われる。
【0086】
さらに、塗布装置1を用いた所定の溶液L1の塗布工程が連続して複数回行われる場合には、上記ステップSp41〜Sp49の処理に引き続いて、ステップSp42〜Sp49の一連の処理が1回以上行われれば良い。
【0087】
<(4)一実施形態のまとめ>
以上のように、本実施形態に係る塗布装置1では、帯電制御部25によって、吐出部24から吐出されている所定の溶液L1が塗布対象物4に塗布され始める際または塗布される前に、帯電によって吐出部24に蓄積されている電気量が低減される。これにより、吐出部24の所定の溶液L1に対する濡れ性が低下する。その結果、所定の溶液L1が塗布対象物4上へ塗布される初期段階において、塗布対象物4の一端部近傍に所定の溶液L1がより確実に塗布され得る。すなわち、塗布対象物4に所定の溶液L1が均一に塗布され得る。
【0088】
また、帯電によって吐出部24に蓄積されている電気量が、帯電制御部25により、所定の溶液L1が塗布対象物4に塗布され始める際よりも、吐出部24が塗布対象物4に対して相対的に移動しながら所定の溶液L1が塗布対象物4に塗布される際に大きくなる。これにより、吐出部24における所定の溶液L1に対する濡れ性が向上し得る。その結果、吐出部24で溶液L1を保持しやすくなり、ビードBD1が切れにくくなる。このような濡れ性の制御により、所定の溶液L1が、塗布対象物4の一主面上に略均一に塗布され得る。
【0089】
また、帯電制御部25によって、吐出部24が塗布対象物4に対して相対的に移動しながら吐出している所定の溶液L1が塗布対象物4に塗布される塗布期間の終期に、帯電によって吐出部24に蓄積されている電気量が低減される。これにより、吐出部24の所定の溶液L1に対する濡れ性が低下する。その結果、所定の溶液L1が塗布対象物4上へ塗布される最終段階において、塗布対象物4の他端部近傍まで所定の溶液L1がより確実に塗布され得る。すなわち、塗布対象物4に所定の溶液L1が均一に塗布され得る。そして、塗布対象物4に所定の溶液L1が均一に塗布されることで、均一な薄膜が形成され得る。
【0090】
<(5)変形例>
なお、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更、改良等が可能である。
【0091】
◎例えば、上記一実施形態では、塗布期間の終期に、帯電によって吐出部24に蓄積されている電気量が低減されたが、これに限られない。例えば、塗布期間の終期に、帯電によって塗布対象物4に蓄積されている電気量を増大させても良い。このような動作は、例えば、図16で示される帯電制御部26が、一実施形態に係る塗布装置1に付加されることで実現され得る。
【0092】
帯電制御部26は、例えば、帯電によって塗布対象物4に蓄積されている電気量を制御する回路である。帯電制御部26は、電源部261と接地部262とスイッチ部263とを備えている。
【0093】
電源部261は、下部電極層42と載置部211との間に電圧を印加する部分である。該電源部261は、例えば、一定の電圧を有する直流の電圧源であれば良い。そして、例えば、電源部261の第1電極が、下部電極層42に電気的に接続され、電源部261の第2電極が、載置部211に電気的に接続されている。第1電極と下部電極層42との電気的な接続は、例えば、ストッパーSt1〜St3のうちの何れかを介して行われれば良い。なお、例えば、第1電極が正極であり且つ第2電極が負極であっても良いし、第1電極が負極であり且つ第2電極が正極であっても良い。この電源部261により、絶縁物である基板41を挟む下部電極層42と載置部211との間に電荷が蓄積され得る。すなわち、下部電極層42を含む塗布対象物4が帯電され得る。
【0094】
接地部262は、下部電極層42と載置部211との間に蓄積された電荷を除去するための部分である。該接地部262は、例えば、載物台21のうちの載置部211以外の部分に電気的に接続されている部分であれば良い。この場合、載置部211は、例えば、載物台21のうちの載置部211以外の部分と電気的に接続されていなければ良い。
【0095】
スイッチ部263は、接地部262と載置部211との間に設けられている。そして、スイッチ部263は、接地部262と載置部211とを電気的に接続している状態(接続状態とも言う)と電気的に接続していない状態(非接続状態とも言う)とに選択的に設定される。なお、スイッチ部263は、スイッチ部253と同様に、所定の電気回路を導通している状態と導通していない状態との間で切り替える動作を行う部品であれば良い。
【0096】
帯電制御部26では、電源部261とスイッチ部263とが、帯電によって塗布対象物4に蓄積されている電気量を増大させる部分(帯電増大部とも言う)として働く。また、スイッチ部263と接地部262とが、帯電によって塗布対象物4に蓄積されている電気量を減少させる部分(帯電減少部とも言う)として働く。
【0097】
例えば、スイッチ部263が非接続状態に設定されれば、電源部261によって下部電極層42と載置部211との間に電圧が印加される。その結果、帯電によって下部電極層42と載置部211との間に蓄積されている電気量が増大し得る。この場合、塗布対象物4の+Z側の一主面における所定の溶液L1に対する濡れ性が向上し得る。
【0098】
一方、スイッチ部263が接続状態に設定されれば、載置部211が接地されるため、下部電極層42と載置部211との間に蓄積されている電荷が接地部252に逃がされ得る。これにより、帯電によって下部電極層42と載置部211との間に蓄積されている電気量が低減される。この場合、塗布対象物4の+Z側の一主面における所定の溶液L1に対する濡れ性が低減され得る。
【0099】
図17は、塗布工程における溶液供給源240から吐出部24に対する所定の溶液L1の供給量の変動と、帯電制御部25,26による電圧の印加および接地とに係るタイミングチャートである。図17では、上から順に、所定の溶液L1の供給量の変動と、帯電制御部25による電圧の印加および接地の切り替えタイミングと、帯電制御部26による電圧の印加および接地の切り替えタイミングとが示されている。
【0100】
図17で示されるタイミングチャートは、図7で示されるタイミングチャートに、帯電制御部26による電圧の印加および接地の切り替えタイミングが付加され、帯電制御部25による電圧の印加の切り替えタイミングに若干の変更がなされたものである。この若干の変更は、時刻T8〜T9の期間に、帯電制御部25によって吐出部24の第1領域部241bfと第2領域部241bbとの間に電圧が印加される。これにより、帯電によって吐出部24に蓄積されている電気量が増大する。その結果、時刻T8において、吐出部24の所定の溶液L1に対する濡れ性が増大し、吐出部24の上昇によってビードBD1が切れ易くなる。
【0101】
また、図17で示されるように、時刻T7〜T8において、帯電制御部26によって、下部電極層42と載置部211との間に電圧が印加される。このとき、帯電によって塗布対象物4の+Z側の一主面における所定の溶液L1に対する濡れ性が向上し得る。その結果、所定の溶液L1が塗布対象物4の表面に引き付けられるため、所定の溶液L1が塗布対象物4の一主面上に塗布され易い。したがって、所定の溶液L1が塗布対象物4上へ塗布される最終段階において、塗布対象物4の他端部近傍まで所定の溶液L1がより確実に塗布され得る。つまり、塗布工程の最終段階において溶液の膜が途切れてしまうような塗布の不良が生じ難い。
【0102】
さらに、図17で示されるように、時刻T8〜T9において、帯電制御部26によって、載置部211が接地されるため、下部電極層42と載置部211との間に蓄積されている電荷が接地部252に逃がされ得る。これにより、帯電によって下部電極層42と載置部211との間に蓄積されている電気量が低減される。この場合、塗布対象物4の+Z側の一主面における所定の溶液L1に対する濡れ性が低減され得る。その結果、時刻T8において、塗布対象物4の所定の溶液L1に対する濡れ性が低下し、吐出部24の上昇によってビードBD1が切れ易くなる。
【0103】
つまり、本変形例では、塗布処理が終了する直前まで、吐出部24の所定の溶液L1に対する濡れ性が低く、塗布対象物4の所定の溶液L1に対する濡れ性が高い状態とされる。そして、吐出部24の上昇によってビードBD1が切れる瞬間には、吐出部24の所定の溶液L1に対する濡れ性が高く、塗布対象物4の所定の溶液L1に対する濡れ性が低い状態とされる。これにより、吐出部24の上昇によってビードBD1が所望のタイミングで切れ易くなる。その結果、塗布工程の最終段階において溶液の膜が所望の位置まで均一に形成され得る。
【0104】
◎また、上記一実施形態では、帯電制御部25によって、吐出部24から吐出されている所定の溶液L1が塗布対象物4に塗布される前に、帯電によって吐出部24に蓄積されている電気量が低減されたが、これに限られない。例えば、拭浄板50が導電性を有していれば、吐出部24の下端面241hに付着している所定の溶液L1が拭浄板50で拭き取られる際に、帯電によって吐出部24に蓄積されている電気量が低減され得る。
【0105】
◎また、上記一実施形態では、いわゆるスリットコーターとして機能する塗布装置1を挙げて説明したが、これに限られない。本発明は、スリットコーター以外の塗布装置一般に適用することが可能である。
【0106】
◎また、上記一実施形態では、吐出部24の後方部241bの帯電を主に制御する帯電制御部25が設けられたが、これに限られない。例えば、吐出部24が±X方向の両方向に移動する際に所定の溶液L1が塗布対象物4に塗布される場合には、前方部241fが後方部241bと同様な構成を有し、前方部241fとは別に後方部241bの帯電を制御する帯電制御部が付加されて良い。
【0107】
◎また、上記一実施形態では、帯電制御部25により、帯電によって吐出部24に蓄積されている電気量が増減したが、これに限られない。例えば、帯電制御部25により、帯電によって吐出部24に蓄積されている電気量が増大されず、帯電によって吐出部24に蓄積されている電気量が減少しても良い。より具体的には、例えば、図3で示された帯電制御部25から電源部251が取り除かれても良い。
【0108】
上記構成が採用されても、所定の溶液L1が塗布され始める際または塗布される前に、帯電制御部25によって、吐出部24における所定の溶液L1に対する濡れ性が低減され得る。このため、所定の溶液L1が塗布対象物4上へ塗布される初期段階において、塗布対象物4の一端部近傍に所定の溶液L1がより確実に塗布され得る。また、塗布期間の終期に、帯電制御部25により、帯電によって吐出部24に蓄積されている電気量が低減されることで、吐出部24における所定の溶液L1に対する濡れ性が低減され得る。このため、所定の溶液L1が塗布対象物4上へ塗布される最終段階において、塗布対象物4の他端部近傍まで所定の溶液L1がより確実に塗布され得る。すなわち、上記構成が採用されても、塗布対象物4に所定の溶液L1が均一に塗布され得る。
【0109】
また、例えば、帯電制御部25により、帯電によって吐出部24に蓄積されている電気量が低減されず、帯電によって吐出部24に蓄積されている電気量が増大されても良い。より具体的には、例えば、図3で示された帯電制御部25から接地部252が取り除かれても良い。
【0110】
上記構成が採用されても、帯電制御部25によって、吐出部24が塗布対象物4に対して相対的に移動しながら所定の溶液L1が塗布対象物4に塗布される際において、帯電によって吐出部24に蓄積されている電気量が制御され得る。この電気量の制御により、吐出部24における所定の溶液L1に対する濡れ性が制御され得る。その結果、所定の溶液L1が、塗布対象物4の一主面上に略均一に塗布され得る。すなわち、上記構成が採用されても、塗布対象物4に所定の溶液L1が均一に塗布され得る。
【0111】
◎また、上記一実施形態では、所定の溶液L1が塗布対象物4に塗布される際に、塗布対象物4が固定され、吐出部24が移動したが、これに限られない。例えば、所定の溶液L1が塗布対象物4に塗布される際に、吐出部24が固定され、塗布対象物4が移動されても良い。すなわち、所定の溶液L1が塗布対象物4に塗布される際に、吐出部24が、塗布対象物4に対して相対的に移動すれば良い。
【0112】
◎また、上記一実施形態では、帯電制御部25が、増大機構および減少機構の両方の機構として働いたが、これに限られない。例えば、帯電制御部25の増大機構として働く部分と、帯電制御部25の減少機構として働く部分とが、別々に設けられても良い。
【0113】
◎また、上記一実施形態では、帯電制御部25によって、吐出部24が接地されたが、これに限られない。例えば、帯電制御部25によって、電源部251とは逆の電圧が、吐出部24に付与されることで、帯電によって吐出部24に蓄積されている電気量が低減されても良い。
【0114】
◎また、上記一変形例では、帯電制御部26によって、塗布対象物4が接地されたが、これに限られない。例えば、帯電制御部26によって、電源部261とは逆の電圧を、塗布対象物4に付与することで、帯電によって塗布対象物4に蓄積されている電気量が低減されても良い。
【0115】
◎また、上記一変形例では、帯電制御部26が、帯電増大部および帯電減少部の両方の部分として働いたが、これに限られない。例えば、帯電制御部26の帯電増大部として働く部分と、帯電制御部26の帯電減少部として働く部分とが、別々に設けられても良い。
【0116】
◎なお、上記一実施形態および各種変形例をそれぞれ構成する全部または一部を、適宜、矛盾しない範囲で組み合わせ可能であることは、言うまでもない。
【符号の説明】
【0117】
1 塗布装置
2 本体部
3 制御部
4 塗布対象物
21 載物台
22 可動梁機構
23 駆動部
24 吐出部
25,26 帯電制御部
41 基板
42 下部電極層
211 載置部
240 溶液供給源
241 吐出部本体部
241b 後方部
241bb 第2領域部
241bf 第1領域部
241bi 絶縁領域部
241f 前方部
241o 吐出口
251,261 電源部
252,262 接地部
253,263 スイッチ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶液を吐出して塗布対象物に塗布する吐出部と、
吐出されている前記溶液を塗布対象物に塗布する前または吐出されている前記溶液を前記塗布対象物に塗布し始める際に前記吐出部に帯電によって蓄積されている電気量を減少させる減少機構を有する帯電制御部とを備えている塗布装置。
【請求項2】
前記帯電制御部は、さらに増大機構を有し、該増大機構は、吐出されている前記溶液を前記塗布対象物に塗布し始める際において前記吐出部に帯電によって蓄積されている第1電気量よりも、前記吐出部が前記塗布対象物に対して相対的に移動しながら吐出されている前記溶液を前記塗布対象物に塗布する際において前記吐出部に帯電によって蓄積されている第2電気量が大きくなるように、前記吐出部に帯電によって蓄積されている電気量を増大させる請求項1に記載の塗布装置。
【請求項3】
前記減少機構は、前記吐出部が前記塗布対象物に対して相対的に移動しながら吐出されている前記溶液を前記塗布対象物に塗布する塗布期間の終期に、前記吐出部に帯電によって蓄積されている電気量を減少させる請求項1または請求項2に記載の塗布装置。
【請求項4】
前記吐出部が前記塗布対象物に対して相対的に移動しながら吐出されている前記溶液を前記塗布対象物に塗布する塗布期間の終期に、前記塗布対象物に帯電によって蓄積されている電気量を増大させる帯電増大部をさらに有する請求項1または請求項2に記載の塗布装置。
【請求項5】
前記減少機構は、前記吐出部を接地させることで、前記吐出部に帯電によって蓄積されている電気量を減少させる請求項1から請求項4の何れか1つの請求項に記載の塗布装置。
【請求項6】
(a)塗布対象物の上に吐出部から吐出される溶液を塗布して、前記塗布対象物の上に皮膜を形成する工程と、
(b)前記皮膜を焼成することで前記塗布対象物の上に薄膜を形成する工程とを備え、
前記工程(a)において、吐出されている前記溶液を前記塗布対象物に塗布する前または吐出されている前記溶液を前記塗布対象物に塗布し始める際に前記吐出部に帯電によって蓄積されている電気量を減少させる薄膜製造方法。
【請求項7】
前記工程(a)において、吐出されている前記溶液を前記塗布対象物に塗布し始める際に前記吐出部に帯電によって蓄積されている第1電気量よりも、前記吐出部を前記塗布対象物に対して相対的に移動させながら前記塗布対象物に前記溶液を塗布する際に前記吐出部に帯電によって蓄積されている第2電気量が大きくなるように、前記吐出部に帯電によって蓄積されている電気量を増大させる請求項6に記載の薄膜製造方法。
【請求項8】
前記工程(a)において、前記吐出部を前記塗布対象物に対して相対的に移動させながら吐出されている前記溶液を前記塗布対象物に塗布する塗布期間の終期に、前記吐出部に帯電によって蓄積されている電気量を減少させる請求項6または請求項7に記載の薄膜製造方法。
【請求項9】
前記工程(a)において、前記吐出部を前記塗布対象物に対して相対的に移動させながら吐出されている前記溶液を前記塗布対象物に塗布する塗布期間の終期に、前記塗布対象物に帯電によって蓄積されている電気量を増大させる請求項6または請求項7に記載の薄膜製造方法。
【請求項10】
前記工程(a)において、前記吐出部を接地することで、前記吐出部に帯電によって蓄積されている電気量を減少させる請求項6から請求項8の何れか1つの請求項に記載の薄膜製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate


【公開番号】特開2012−245504(P2012−245504A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−121589(P2011−121589)
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】