説明

塗布装置および吐出状態検査方法

【課題】隣接するノズルを誤吐出させてしまうノズルを検出する吐出状態検査モードを有する塗布装置および吐出状態検査方法を提供する。
【解決手段】複数のノズル11を有し、一部もしくは全部の隣接するノズル11同士は、その間に駆動隔壁14を共有し、駆動隔壁14を伸縮させることによりノズル11から液滴を吐出する吐出ユニット13を備え、各ノズル11から検査面31へ液滴を吐出し、液滴の吐出状態を検査する吐出状態検査モードを有する塗布装置1であって、吐出状態検査モードでは、吐出ユニット13の各ノズル11を、液滴の吐出を行う吐出ノズルと、液滴の吐出を行わない不吐出ノズルとに分けて設定し、吐出ノズルから液滴を吐出して検査面31への着弾パターンの形成を行い、次に、着弾パターンから液滴の位置を確認し、不吐出ノズルから誤って吐出された液滴が存在するか否かを検出することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット方式により基板に塗布を行う塗布装置および吐出状態の検査方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
カラー液晶ディスプレイ等のフラットパネルディスプレイには、色形成の中核を成す部材としてカラーフィルタが用いられている。カラーフィルタは、ガラス基板上に微細なR(赤色)、G(緑色)、B(青色)の3色の画素が多数並べられて形成されている。
【0003】
このカラーフィルタを製造する装置として、ガラス基板上に形成された多数の微細な画素部に、R、G、Bの各インクをインクジェットヘッドから吐出して塗布し、R、G、Bの色画素を形成するインクジェット装置が近年用いられるようになってきている。
【0004】
インクジェットヘッドにはインクを吐出するノズルが多数配列されており、これらのノズルから複数の画素部へ同時にインクを吐出することにより複数の色画素を同時に形成することができるが、これらノズルからインクが正常に吐出されていないと、色抜けや混色のあるカラーフィルタとなってしまう。つまり、ノズルからのインクの吐出が不安定であったり、何らかの原因でノズルが吐出不能であったりすると、当該ノズルを機能させる指令が出されても、ガラス基板に対してインクを正常に吐出することができず、製造されるカラーフィルタの品質を低下させてしまう。したがって、このような吐出に異常をきたすノズルは事前に検知し、基板へのインクの塗布には使用しないようにすることが必要である。
【0005】
ここで、下記特許文献1では、図8に示すように透明体に液滴を各ノズルから吐出して液滴パターン81を形成し、この液滴パターンの画像とあらかじめ記憶していた正常時の液滴パターンとの比較を行って、ノズルが正常か異常かを検査している。具体的には、図8のAのように液滴が所定位置にないときはノズル詰まりによる異常と判断し、図8のBのように着弾位置が所定位置よりずれているときは飛行曲がりによる異常と判断し、また、図8のCのように液滴パターンの大きさが異常であるときはノズルの吐出量の異常と判断している。そうすることで吐出異常のノズルを検出し、そのノズルは塗布には使用しないようにすることが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4159525号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記特許文献1に記載された吐出状態検査方法では、完全に吐出異常を検出することができないという問題があった。具体的には、インクジェット塗布装置には図9(a)に示すように、液滴を吐出する際に動作する吐出駆動部92が、隣接するノズル91同士で共有されているものがあり、この場合、あるノズル91にて吐出駆動部92が動作して液滴の吐出が行われると、そのノズル91に隣接するノズル91でも一部の吐出駆動部92が動作することになる。この動作によって、図9(b)に矢印で示したように、本来吐出を行わない隣接のノズル91からも液滴が誤吐出するおそれがあった。このような誤吐出が生じた場合には、特許文献1に示された検査方法では検出が不可能であり、吐出異常であるのを見逃してしまうおそれがある。
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、隣接するノズルを誤吐出させてしまうノズルを検出することのできる吐出状態検査モードを有する塗布装置および吐出状態検査方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために本発明の塗布装置は、複数のノズルを有し、一部もしくは全部の隣接するノズル同士は、その間に駆動隔壁を共有し、前記駆動隔壁を伸縮させることによりノズルから液滴を吐出する吐出ユニットと、液滴を着弾させるターゲットである検査面と、を備え、各ノズルから基板へ液滴を吐出することにより基板に塗布膜を形成する塗布モードと、各ノズルから前記検査面へ液滴を吐出し、各ノズルからの液滴の吐出状態を検査する吐出状態検査モードとを有する塗布装置であって、前記吐出状態検査モードでは、前記吐出ユニットの各ノズルを、液滴の吐出を行う吐出ノズルと、液滴の吐出を行わない不吐出ノズルとに分けて設定し、前記吐出ノズルから液滴を吐出して前記検査面への着弾パターンの形成を行い、次に、前記着弾パターンから液滴の位置を確認し、前記不吐出ノズルから誤って吐出された液滴が存在するか否かを検出することを特徴としている。
【0010】
上記塗布装置によれば、吐出ノズルと不吐出ノズルとに分けて設定し、吐出ノズルから液滴を吐出して検査面への着弾パターンの形成を行うことにより、不吐出ノズルから液滴が誤吐出されてしまった場合、その不吐出ノズルと駆動隔壁を共有して隣接する吐出ノズルを、誤吐出を引き起こすノズルであるとし、検出することができる。
【0011】
また、前記吐出状態検査モードでは、前記吐出ノズルに前記駆動隔壁を共有して隣接する前記不吐出ノズルにおいて、その不吐出ノズルに前記駆動隔壁を共有して隣接する前記吐出ノズルは1個のみであるようにすると良い。
【0012】
こうすることにより、不吐出ノズルに駆動隔壁を共有して隣接する吐出ノズルは1個のみであることによって、液滴が誤吐出されてしまった場合にどのノズルが原因で誤吐出が発生したのかを明確にすることができる。
【0013】
また、前記吐出ユニットにおいて、ノズルと前記駆動隔壁とが略直線状に配列されており、前記吐出状態検査モードにおいて、吐出ノズルが2個飛びに設定されていると良い。
【0014】
隔壁を共有するノズルが略直線状に配列されている場合、このように吐出ノズルを設定して検査することによって、吐出ノズルを1個ずつずらして3回検査を行うことで全てのノズルの検査が可能であり、検査効率を高めることができる。
【0015】
また、上記課題を解決するために本発明の吐出状態検査方法は、複数のノズルを有し、一部もしくは全部の隣接するノズル同士は、その間に駆動隔壁を共有し、前記駆動隔壁を伸縮させることによりノズルから液滴を吐出する吐出ユニットと、液滴を着弾させるターゲットである検査面と、を備える塗布装置の吐出状態検査方法であって、前記吐出ユニットの各ノズルを、液滴の吐出を行う吐出ノズルと、液滴の吐出を行わない不吐出ノズルとに分けて設定し、前記吐出ノズルから液滴を吐出して前記検査面への着弾パターンの形成を行う、パターン形成工程と、前記着弾パターンから液滴の位置を確認し、前記不吐出ノズルから誤って吐出された液滴が存在するか否かを検出する検査工程と、を有することを特徴としている。
【0016】
上記吐出状態検査方法によれば、先述の通り、吐出ノズルと不吐出ノズルとに分けて設定し、吐出ノズルから液滴を吐出して前記検査面への着弾パターンの形成を行うことにより、不吐出ノズルから液滴が誤吐出されてしまった場合、その不吐出ノズルと前記隔壁を共有して隣接する吐出ノズルを、誤吐出を引き起こすノズルであるとし、検出することができる。
【発明の効果】
【0017】
上記の塗布装置および吐出状態検査方法によれば、隣接するノズルを誤吐出させてしまうノズルを検出することができ、このノズルを塗布に使用しないようにすることにより、品質の安定した塗布を行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態を示す模式図であり、側面図である。
【図2】検査面および画像取得部の概略図であり、斜視図である。
【図3】本実施形態における吐出ユニットのノズル配列を示す模式図である。
【図4】ノズルから液滴を吐出する過程を示す模式図である。
【図5】隣接する不吐出ノズルから誤って液滴が吐出される過程を示す模式図である。
【図6】本実施形態における吐出状態検査を示す模式図である。
【図7】本実施形態における塗布装置の動作フローである。
【図8】従来の吐出状態検査を示す模式図である。
【図9】インクジェット塗布装置の一形態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、本発明の一実施形態を示す模式図である。塗布装置1は、塗布部2、塗布ステージ3、測定装置4、および制御部5を備えており、塗布部2が塗布ステージ3上の基板Wの上方を移動しながら塗布部2内のノズルから塗布液の液滴を吐出することにより、基板Wへの塗布動作が行われる。また、塗布部2が測定装置4へ液滴を吐出し、その測定装置4によって取得された液滴の吐出状態を制御部5が検査し、その結果にもとづいて、使用可能なノズルの選別が行われる。
【0020】
なお、以下の説明では、基板Wへの液滴吐出時に塗布部2が移動する方向をX軸方向、X軸方向と水平面上で直交する方向をY軸方向、X軸およびY軸方向の双方に直交する方向をZ軸方向として説明を進めることとする。
【0021】
塗布部2は、塗布ヘッド10、および塗布ヘッド移動装置12を有している。塗布ヘッド10は塗布ヘッド移動装置12によって塗布ステージ3上の基板Wおよび後述する測定装置4の検査面31といった吐出対象までの移動が可能であり、各吐出対象まで移動した後、塗布ヘッド10はノズル11から各吐出対象に対して液滴の吐出を行う。
【0022】
塗布ヘッド10は、Y軸方向を長手方向とする略直方体の形状を有し、複数の吐出ユニット13が組み込まれている。吐出ユニット13には、複数のノズル11が設けられており、吐出ユニット13が塗布ヘッド10に組み込まれることにより、ノズル11が塗布ヘッド10の下面に配列される形態をとる。また、塗布ヘッド10は配管を通じてサブタンク15とつながっている。サブタンク15は、塗布ヘッド10の近傍に設けられており、離間して設けられたメインタンク16から配管を通じて供給された塗布液を一旦貯蔵し、その塗布液を塗布ヘッド10へ高精度で供給する役割を有する。サブタンク15から塗布ヘッド10へ供給された塗布液は、塗布ヘッド10内で分岐され、各吐出ユニット13の全てのノズル11へ供給される。
【0023】
ここで、各ノズル11からの液滴の吐出を安定させるために、塗布待機時には塗布液が各ノズル11内で所定の形状の界面(メニスカス)を維持してとどまる必要があり、そのため、サブタンク15内には真空源17によって所定の大きさの負圧が付与されている。なお、この負圧は、サブタンク16と真空源17との間に設けられた真空調圧弁18によって調圧されている。
【0024】
そして、これらのノズル11から塗布液の液滴が吐出されることで、塗布ヘッド10から基板Wおよび検査面31への液滴の吐出が行われる。また、各ノズル11はそれぞれ駆動隔壁14を有し、制御部5から各ノズル11において吐出のオン、オフの制御を行うことにより、任意のノズル11の駆動隔壁14が伸縮動作し、液滴を吐出する。なお、本実施形態では、駆動隔壁14としてピエゾアクチュエータを用いている。
【0025】
移動装置12はリニアステージなどで構成される直動機構であり、これに組み付けられている塗布ヘッド10をX軸方向に移動させることが可能である。制御部5にて塗布ヘッド移動装置12の駆動を制御することにより、塗布ヘッド10は基板Wおよび後述する検査面31に対して相対的に移動することができ、基板Wの上方および検査面31の上方へ移動することが可能である。また、塗布ヘッド移動装置12を駆動させ、基板Wの上で塗布ヘッド10を走査させながらノズル11から液滴を吐出することにより、連続的に基板Wへの塗布を行うことが可能である。
【0026】
また、本実施形態では、塗布ヘッド10はX軸方向だけでなく、図示しない移動装置によりY軸方向にも移動可能としている。これにより、塗布ヘッド10内で吐出ユニット13同士が間隔を設けて設置されている場合に、一度塗布を行った後に塗布ヘッド10をY軸方向にずらし、その間隔を補完するように塗布することで、基板Wの全面へ塗布を行うことができる。また、基板WのY軸方向の幅が塗布ヘッド10の長さよりも長い場合であっても、1回の塗布動作が完了するごとに塗布ヘッド10をY軸方向にずらし、複数回に分けて塗布を行うことにより、基板Wの全面へ塗布を行うことが可能となっている。
【0027】
塗布ステージ3は、基板Wを固定する機構を有し、基板Wへの塗布動作はこの塗布ステージ3の上に基板Wを載置し、固定した状態で行われる。本実施形態では、塗布ステージ3は吸着機構を有しており、図示しない真空ポンプなどを動作させることにより、基板Wと当接する面に吸引力を発生させ、基板Wを吸着固定している。
【0028】
測定装置4は、検査面31、および画像取得部40を有している。測定装置4による吐出状態の測定は、先述の塗布動作を開始する前、もしくは塗布動作中に行われ、まず塗布ヘッド10が検査面31の上方へ移動した後、ノズル11から検査面31へ向けて液滴を吐出し、その液滴が検査面31に着弾して液滴パターン21を形成する。この液滴パターン21が形成された検査面31の画像データを画像取得部40が取得する。取得した画像データは、後述の解析装置51に転送され、そのデータをもとに各ノズル11から吐出された液滴の着弾位置の解析が行われる。
【0029】
検査面31および画像取得部40の構成の詳細を図2に示す。本実施形態では、検査面31は帯状フィルム32であり、その両端は図示しない巻きだしローラおよび巻き取りローラにつながっている。ここで制御部5からの制御により巻き取りローラが回転することで、帯状フィルム32が巻き取られ、同時に供給ローラから帯状フィルムが巻き出される。帯状フィルム32の巻き取りおよび巻きだし動作を吐出状態測定を行う前に行うことにより、液滴や異物の無い面に液滴パターン21を形成し、吐出状態測定を行うことができる。
【0030】
また、この巻き取りおよび巻きだし動作は、吐出状態測定を行う度に行う必要はなく、前回の吐出状態測定を行った後、まだ帯状フィルム32上に吐出状態測定を行うことができる程度の(液滴や異物の無い)領域が残存するならば、次回の吐出状態測定では塗布ヘッド10の位置を変えてその領域を用いても良い。この場合、複数回の吐出状態測定を行った結果、帯状フィルム32上に吐出状態測定を行うことができる程度の領域が無くなったときに、巻き取りおよび巻きだし動作が実施され、液滴や異物の無い面が準備される。本実施形態では、X軸方向に100mmの幅を有する帯状フィルム32に対し、X軸方向に吐出位置をずらしながら8回程度の吐出状態測定を行った後、巻き取りおよび巻きだし動作を行っている。こうすることにより、帯状フィルム32を効率的に使用し、かつ、他の吐出状態測定で形成された液滴パターン21の影響を受けることの無い吐出状態測定を行っている。
【0031】
また、巻きだしローラと巻き取りローラの間には複数のガイドローラ33が帯状フィルム32に当接しており、図上に鎖線で示す帯状フィルム32上の液滴が着弾する着弾領域34が水平になるよう、帯状フィルム32はガイドローラ33によりガイドされている。また、着弾領域34の下方には、帯状フィルム32を吸着するための吸着テーブル35が備えられている。吸着テーブル35は、帯状フィルム32と当接する面がほぼ平坦である。また、帯状フィルム32と当接する面は吸引口を有し、図示しない真空ポンプなどを駆動させることにより吸引力を持つことが可能である。吐出状態測定中はこの吸着テーブル35が着弾領域34を含む領域分の帯状フィルム32を吸着固定することにより、吐出状態測定中に着弾領域34にかかる部分で液滴パターン21の位置がずれてしまうことを防いでいる。
【0032】
画像取得部40は、画像認識カメラ41、長手方向移動装置42および走査方向移動装置43を有している。画像認識カメラ41は長手方向移動装置42および走査方向移動装置43に組み付けられており、これらの移動装置を駆動させることにより、画像認識カメラ41はX軸方向およびY軸方向に移動することが可能である。
【0033】
画像認識カメラ41は、本実施形態ではモノクロのCCDカメラであり、画像取得のタイミングについて外部からの制御が可能である。制御部5により指示を与えることで、この画像認識カメラ41は連続して画像データを取得し、この取得した画像データはケーブルを介して後述の解析装置51へ転送される。
【0034】
長手方向移動装置42は、リニアステージなどで構成される直動機構であり、画像認識カメラ41を塗布ヘッド10の長手方向(Y軸方向)に移動させることが可能である。また、走査方向移動装置43は、リニアステージなどで構成される直動機構であり、画像認識カメラ41および長手方向移動装置42を塗布ヘッド10が塗布時に走査する方向(X軸方向)に移動させることが可能である。
【0035】
ここで、制御部5により長手方向移動装置42および走査方向移動装置43の駆動を制御することにより、画像認識カメラ41は検査面31に対してX軸方向およびY軸方向に相対的に移動することが可能である。吐出状態測定中にこれらの移動機構を駆動させて画像認識カメラ41が移動しながら検査面31の画像データを連続して取得することにより、着弾領域34に形成された全ての液滴パターン21を撮像し、測定を行うことが可能である。
【0036】
また、液滴を検査面31に着弾させる時には塗布ヘッド10が検査面31の真上に位置する必要があるため、走査方向移動装置43を駆動させることにより、塗布ヘッド10が検査面31の真上に位置する間、画像認識カメラ41をX軸方向に移動させて退避させることも可能である。
【0037】
また、画像取得部40のその他の構成として、複数台の画像認識カメラ41がY軸方向に並べて設けられ、画像取得時に画像認識カメラ41は移動せずに全ての液滴パターン21の画像を取得する構成であっても良い。
【0038】
制御部5は、コンピュータ、シーケンサなどを有し、塗布ヘッド10への送液、ノズル11からの液滴の吐出および吐出量の調節、画像認識カメラ41による画像取得、各移動機構の駆動などの動作の制御を行う。また、制御部5は、解析装置51を有し、画像認識カメラ41によって得られた液滴パターン21の画像をもとに各ノズル11の吐出の良否を判定する。
【0039】
解析装置51は、CPUおよびRAMやROMを有するコンピュータであり、画像認識カメラ41によって得られた画像より各液滴パターン21の着弾位置を算出して、各ノズル11の吐出状態を確認する。解析装置51には、画像データの各構成画素の輝度情報をもとに画像データから液滴パターン21の外形データを抽出する画像処理部、画像処理部により抽出した各液滴パターン21の外形データから重心位置データを算出し、この重心位置データから各ノズル11の吐出の良否を判定する解析部など、各機能を実行するためのプログラムが記憶されている。また、解析装置51は、ハードディスクや、RAMまたはROMなどのメモリからなる、各種情報を記憶する記憶装置を有しており、画像データや、解析部により算出された各液滴パターン21の重心位置データ、各ノズル11において正常に液滴が吐出された場合の着弾位置データ、使用可能なノズル11の情報などがこの記憶装置に記憶される。ここで、各ノズル11において正常に液滴が吐出された場合の着弾位置データは、各ノズル11の配置に関する設計寸法をもとに作成され、記憶装置に保存されている。
【0040】
また、解析装置51は、画像認識カメラ41とケーブルを介して連結されており、画像認識カメラ41で取得された画像データを自身に取り込み、記憶装置に記憶することができる。
【0041】
次に、本実施形態の吐出ユニット13におけるノズル11の配列ついて、図3に示す。図3(a)は、ノズル11の配列を、図3(b)は、吐出ユニット13から吐出された液滴の配列を示している。
【0042】
本実施形態の吐出ユニット13では、ノズル11は、図3(a)に示すように、長手方向(Y軸方向)に略直線状に配列されており、これらのノズル11を、A相、B相、C相、A相、B相、・・・と、3個周期でA相、B相、およびC相と呼んでいる。また、隣接するノズル11同士では、駆動隔壁14を共有している。この駆動隔壁14が変形動作し、広がった状態から狭まった状態に移行することでノズル11の容積が減少し、ノズル11内の液滴が押し出され、外部へ吐出される。
【0043】
また、1つの吐出ユニット13には、このようにY軸方向に略直線状に配列されたノズル11の群がX軸方向に2組並べて設けられており、これらをR列、L列と呼んでいる。なお、R列のノズル11と、L列のノズル11との間では、駆動隔壁14は共有していない。
【0044】
吐出ユニット13の全てのノズル11から液滴の吐出を行った場合、着弾した液滴の液滴パターン21は、図3(b)に示すように、ノズル11の配列にならった配列となる。
【0045】
次に、駆動隔壁14の動作によりノズル11から液滴が吐出される過程を、図4に示す。図4(a)は、駆動隔壁14へ印加される電圧の推移を示す線図であり、図4(b)は、図4(a)の印加電圧の推移による駆動隔壁14の形状の変化を示す模式図である。
【0046】
時刻t1までは、駆動隔壁14には電圧はかけられておらず、駆動隔壁14は基本状態((1)の状態)である。
【0047】
時刻t1からt2の間は、正の電圧(V1)がかけられ、ノズル11を挟む両側の駆動隔壁14が広がる方向に変形し((2)の状態)、ノズル11の容積が大きくなり、塗布液をノズル11内に引き込む。
【0048】
時刻t2からt3の間は、逆に負の電圧(−V2)がかけられ、両側の駆動隔壁14が狭まる方向に変形し((3)の状態)、ノズル11の容積が小さくなる。このとき、(2)の状態において引き込まれていた塗布液は、先述の真空源17による負圧を打ち破ってノズル11の外部へ押し出される。これが、液滴の吐出となる。
【0049】
時刻t3以降は、電圧はかけられていない状態となり、駆動隔壁14は基本状態((1)の状態)に戻る。これらの一連の動作を任意のタイミングで行うことにより、任意のタイミングでノズル11から液滴を吐出する。
【0050】
ここで、隣接するノズル11同士が駆動隔壁14を共有しているため、隣接するノズル11同士は同時に図4に示したような液滴吐出の動作を行うことができないが、A相のノズル11同士(もしくはB相のノズル11同士、もしくはC相のノズル11同士)では、互いに隣接していないため、同時に液滴の吐出を行うことが可能である。そこで、基板Wもしくは検査面31などに液滴の吐出を行う際は、A相から吐出するタイミング、B相から吐出するタイミング、およびC相から吐出するタイミングをそれぞれずらして設けており、あらかじめ設けられた吐出および不吐出の設定に従い、同一の相かつ吐出設定であるノズル11から一斉に吐出を行う。
【0051】
一方、上記のように、隣接するノズル11同士が駆動隔壁14を共有する形態を吐出ユニット13が有している場合、隣接するノズル11の吐出動作に影響され、誤って液滴を吐出してしまうおそれがある。その過程を図5に示す。
【0052】
図5(a)に四角枠で囲ったA相のノズル11からのみ液滴を吐出する場合を例に挙げる。図3で示した通り、このA相のノズル11を挟む両側の駆動隔壁14がまず開いた形状をとり、次に閉じた形状をとることによって、ノズル11から液滴が吐出され、検査面31などの塗布対象に1個の液滴パターン21を形成する。
【0053】
このとき、このA相のノズル11に隣接するB相およびC相のノズル11でも、片側だけではあるが駆動隔壁14の伸縮動作が起こっていることになる。具体的には図5(a)で示したようにA相のノズル11が狭まった状態になったときにB相およびC相のノズル11は片側の駆動隔壁14のみ広がった状態となって容積が増加し、図5(b)で示したようにA相のノズル11が基本状態になったときにB相およびC相のノズル11も基本状態となって容積が元に戻る。
【0054】
通常は、片側の駆動隔壁14のみが広がった状態から基本状態に戻るだけの容積変化では真空源17による負圧の効果により液滴がノズル11から吐出されることはないように、駆動隔壁14の駆動電圧や負圧の圧力値などが設定されているが、ノズル11内の何らかの要因により、この容積変化だけでも液滴が誤吐出されてしまう場合が生じうる。
【0055】
図5(b)は、A相のノズル11の吐出動作によって、不吐出であるはずのB相のノズル11から液滴が誤吐出された場合を示している。このように、A相のノズル11より吐出を行うことでB相のノズル11からも誤吐出されてしまうと、安定した塗布ができない。したがって、安定した塗布を行うためには、検査によってこのA相のノズル11を検出し、誤吐出したB相のノズル11とともに塗布に使用しないよう設定する必要がある。
【0056】
次に、本実施形態における吐出状態検査の過程を模式的に図6に示す。
【0057】
本実施形態では、先述の通りA相、B相、およびC相と呼ぶノズル11が順番に繰り返して略直線状に配列された状態において、1回の吐出状態検査では、A相のみ、もしくはB相のみ、もしくはC相のみといったように、同一の相のノズル11のみが、吐出を行う吐出ノズルと設定されており、その他のノズル11は、吐出を行わない不吐出ノズルと設定されている。すなわち、略直線状に配列されたノズル11に対して、吐出ノズルが2個飛びに設定されている。そして、吐出ノズルと設定したノズル11から液滴が検査面31に吐出され、そこで形成された液滴パターン21をもとに検査が行われている。
【0058】
図6(a)は、A相のノズル11のみが吐出ノズルと設定され、液滴の吐出が行われた例であり、この吐出で得られた液滴パターン21をもとに、各液滴パターン21の重心位置データが算出され、誤吐出ノズルの有無の検査が行われる。
【0059】
ここで、解析装置51が行う、各液滴パターン21の重心位置データの算出方法について、以下に説明する。
【0060】
まず、解析装置51自身に取り込んだ画像データに対して、画像処理部がその画像データの各構成画素ごとの輝度値を計測する。そして、輝度値の計測により得られた、隣接画素間の輝度値の変化の度合いの情報をもとに、画像処理部が画像データから各液滴パターン21の外形データを抽出する。ここで、本実施形態では、液滴パターン21の外形データを抽出するにあたって、液滴パターン21の外形をより明確に確認し、抽出を容易とするために、画像処理部は、まず画像データを構成する各画素の輝度に対して所定の輝度値をしきい値として二値化し、例えば液滴部分が黒く、その他の部分が白くなるような白黒データに置き換え、この白黒データに対して液滴パターン21の外形データの抽出を行っている。
【0061】
そして、解析部が各外形データに対して個々に外接する矩形を求め、その矩形の重心を算出する方法などにより、液滴パターン21の重心位置を算出する。
【0062】
ここで、先述の通り、解析装置51の記憶装置には各ノズル11において正常に液滴が吐出された場合の着弾位置データがあらかじめ計算され、保存されており、上記の通り算出された各液滴の重心位置データと、この着弾位置データとを比較することによって、各液滴がどのノズルから吐出されたものかが決定される。その結果、不吐出ノズルであるはずのノズル11から液滴が吐出されたときに着弾するであろう位置に液滴パターン21が確認された場合、この不吐出ノズルを検出するとともに、この不吐出ノズルに隣接する吐出ノズルがこの誤吐出を引き起こしたものであると検出される。
【0063】
図6(b)の例では、A相のノズル11から液滴を吐出して吐出状態検査を行っているので、解析装置51の解析部は、画像データから抽出した液滴パターン21の外形データの中で、B相およびC相のノズル11から液滴を吐出した場合の着弾位置(四角枠の位置)に存在するものがあるか否かを確認する。その結果、不吐出ノズルであるB相のノズル11における着弾位置に液滴が1個、C相のノズル11における着弾位置に液滴が1個確認されたので、これらのノズル11に隣接する吐出ノズルであるA相の吐出ノズル11が誤吐出の原因であると検出される。
【0064】
そして、このように解析装置51の解析部によって誤吐出を起こしたノズル11および誤吐出の原因となったノズル11が検出された場合、これらのノズル11は使用不可であると解析部によって判定され、記憶装置に保存されている使用可能なノズル11の情報が検出結果にもとづいて更新され、この吐出状態検査以降の塗布条件に反映される。
【0065】
そして、上記と同様の検査が、B相のみ、およびC相のみから液滴が吐出された場合にも行われ、これらの検査結果を総合することにより、全てのノズル11に対して誤吐出の有無の検査が行われる。
【0066】
このように、吐出状態検査の際に吐出ノズルと不吐出ノズルとに分けて設定し、吐出ノズルから液滴を吐出して検査面への着弾パターンの形成を行うことにより、不吐出ノズルから液滴が誤吐出されてしまった場合、その不吐出ノズルと駆動隔壁14を共有して隣接する吐出ノズルが原因であるとし、誤吐出するノズル11、およびそれに隣接する、誤吐出を引き起こすノズル11を検出することができる。
【0067】
また、本実施形態では、図6(a)に例示したように、不吐出ノズルであるB相のノズル11、およびC相のノズル11には、吐出ノズル(A相のノズル11)が1個のみ駆動隔壁14を共有して隣接する形態となっている。また、R列のノズル群とL列のノズル群との間には、駆動隔壁14は存在しないため、どの不吐出ノズルにおいても、駆動隔壁14を共有して隣接する吐出ノズルは、1個のみとなっている。そうすることにより、図6(b)にて不吐出ノズルであるB相およびC相のノズル11で液滴の誤吐出が発生した場合、そのノズル11に隣接するA相のノズル11が原因と特定できるように、どのノズルが原因で誤吐出が発生したのかをその検査だけで明確にすることができる。
【0068】
仮に、ある不吐出ノズルが、駆動隔壁14を共有して隣接する吐出ノズルを2つ以上有していた場合、この不吐出ノズルにて液滴の誤吐出が発生した場合にはどの吐出ノズルが原因であるかを明確にすることができず、あらためて検査が必要となるため、どの不吐出ノズルにおいても駆動隔壁14を共有して隣接する吐出ノズルは1個のみとすると良いことが分かる。
【0069】
また、本実施形態のように、ノズル11と駆動隔壁14とが略直線状に配列されている場合、吐出ノズルが2個飛びに設定されていることによって、最初はA相のみ吐出して検査し、次にB相のみ吐出して検査し、最後にC相のみ吐出して検査する、というように吐出ノズルを1個ずつずらして3回検査を行うことで、全てのノズル11に対して誤吐出の有無の検査を完了させることが可能であり、検査効率を高めることができる。
【0070】
次に、塗布装置1による各ノズル11の吐出状態検査の動作フローを図7に示す。
【0071】
まず、検査面31において、吐出状態測定を行うことができる程度の(液滴や異物の無い)領域を確保する。具体的には、吸着テーブル35の吸着固定が解除され(ステップS1)、巻き取りローラが回転することで検査面31が所定の長さだけ巻き取られ(ステップS2)、あらためて吸着テーブル35の吸着固定が行われる(ステップS3)。ここで、このステップを行う前に、検査面31に吐出状態測定を行うことができる程度の領域が残存しているならば、このステップはスキップしても良い。
【0072】
次に、検査面31上で塗布ヘッド10と干渉することが無いよう、走査方向移動装置43が駆動することによって画像認識カメラ41が退避する(ステップS4)。画像認識カメラ41の退避が完了すると、塗布ヘッド移動装置12が駆動することによって塗布ヘッド10が検査面31の真上まで移動する(ステップS5)。
【0073】
次に、吐出ノズル、および不吐出ノズルが設定された状態で、各ノズル11から液滴が検査面31へ吐出される。先述の通り、本実施形態では同一の相のノズル11からのみ吐出を行うようにしており、本説明では、まずA相のノズル11より液滴が吐出される(ステップS6)。
【0074】
A相のノズル11からの液滴の吐出が完了したら、次に液滴パターン21の画像取得が行えるように、塗布ヘッド移動装置12が駆動することによって塗布ヘッド10が退避し(ステップS7)、退避が完了した後、長手方向移動装置42および走査方向移動装置43が駆動することによって画像認識カメラ41が検査面31の真上まで移動する(ステップS8)。そして、長手方向移動装置42および走査方向移動装置43によって画像認識カメラ41が移動しながら連続して画像を取得することにより、全ての液滴パターン21の着弾状態の画像データが取得される(ステップS9)。そしてその画像データが解析装置51へ転送され、記憶装置へ記憶される(ステップS10)。
【0075】
次に、解析装置42の画像処理部によって、解析装置51に記憶された画像データから液滴パターン21の外形データが抽出され(ステップS11)、そして、解析装置51の解析部によって、液滴パターン21の外形データから各液滴パターン21の重心位置データが算出される(ステップS12)。
【0076】
次に、得られた各液滴パターン21の重心位置データをもとに、液滴の誤吐出の有無の検査が行われる。具体的には、以下の通りである。
【0077】
ステップS6では、A相のノズル11から液滴を吐出しているため、誤吐出の有無の検査は、不吐出ノズルであるB相およびC相のノズル11から液滴が吐出された場合の着弾位置に液滴パターンが存在するか否かを確認する。
【0078】
まず、B相のノズル11から液滴が吐出された場合の着弾位置データに対し、この近傍に重心位置データを有する液滴パターン21の有無を検査する(ステップS13)。もし、そのような液滴パターン21が存在していた場合、それはB相のノズル11から誤吐出されたものであると判断してそのノズル11は使用不可とし、また、このノズル11と駆動隔壁14を共有して隣接するA相のノズル11(図6(b)で示す、B相のノズル11の左隣のA相のノズル11)も、誤吐出を引き起こす不良ノズルとして、使用不可とする(ステップS14)。
【0079】
次に、C相のノズル11から液滴が吐出された場合の着弾位置データに対し、この近傍に重心位置データを有する液滴パターン21の有無を検査する(ステップS15)。もし、そのような液滴パターン21が存在していた場合、それはC相のノズル11から誤吐出されたものであると判断してそのノズル11は使用不可とし、また、このノズル11と駆動隔壁14を共有して隣接するA相のノズル11(図6(b)で示す、C相のノズル11の右隣のA相のノズル11)も、誤吐出を引き起こす不良ノズルとして、使用不可とする(ステップS16)。
【0080】
次に、B相のノズル11より液滴を吐出し、検査を行うため、上記ステップS4からステップS16と同様のステップが実施される(ステップS4’〜ステップS16’)。ここで、上記ステップS6にあたるステップS6’では、B相のノズル11より液滴を吐出する。また、上記ステップS13にあたるステップS13’ではC相の着弾位置近傍に重心データを有する液滴パターン21の有無を検査し、上記ステップS14にあたるステップS14’では当該C相のノズル11とそれに隣接するB相のノズル11とをNGと判定する。また、上記ステップS15にあたるステップS15’ではA相の着弾位置近傍に重心データを有する液滴パターン21の有無を検査し、上記ステップS16にあたるステップS16’では当該A相のノズル11とそれに隣接するB相のノズル11とをNGと判定する。
【0081】
次に、C相のノズル11より液滴を吐出し、検査を行うため、上記ステップS4からステップS16と同様のステップが実施される(ステップS4’’〜ステップS16’’)。ここで、上記ステップS6にあたるステップS6’’では、C相のノズル11より液滴を吐出する。また、上記ステップS13にあたるステップS13’’ではA相の着弾位置近傍に重心データを有する液滴パターン21の有無を検査し、上記ステップS14にあたるステップS14’’では当該A相のノズル11とそれに隣接するC相のノズル11とをNGと判定する。また、上記ステップS15にあたるステップS15’’ではB相の着弾位置近傍に重心データを有する液滴パターン21の有無を検査し、上記ステップS16にあたるステップS16’’では当該B相のノズル11とそれに隣接するC相のノズル11とをNGと判定する。
【0082】
以上のステップを経ることによって、全てのノズル11に対して誤吐出を引き起こしているか否かの検査が完了する。最後に、この検査結果を反映し、解析装置51の記憶装置に保存されている使用可能ノズル情報が更新されると(ステップS17)、一連の吐出状態検査動作が完了する。
【0083】
以上説明した通りの吐出状態検査動作を有する塗布装置および吐出状態検査方法により、隣接するノズルを誤吐出させてしまうノズルを検出することが可能である。そして、この吐出状態検査と、特許文献1に示すようなノズル詰まり、飛行曲がり、および吐出量異常の検査とを組み合わせて実施することにより、あらゆる吐出異常を検出することができ、より品質の安定した塗布を行うことが可能である。
【0084】
また、ここまでの説明では、塗布ヘッド10および画像認識カメラ41が塗布ステージ3および検査面31に対して相対移動する構成について、本実施形態では、走査方向移動装置43および塗布ヘッド移動装置12を備え、塗布ヘッド10および画像認識カメラ41がそれぞれ独立してX軸方向に移動しているが、塗布ヘッド10と画像認識カメラ41を一つの架台にまとめて固定し、それをX軸方向に移動させるようにすることにより、上記の二つの移動機構を一つにまとめた構成としても良い。
【0085】
また、塗布ヘッド10および画像認識カメラ41に移動機構を設けるのではなく、検査面31および塗布ステージ3に移動機構を設け、塗布ヘッド10および画像認識カメラ41に対して検査面31および塗布ステージ3が相対移動する構成としても良い。
【0086】
また、画像認識カメラ41および解析装置51を設けず、検査面31に吐出した液滴の液滴パターン21を目視で確認し、誤吐出の有無の検査を行っても良い。
【0087】
また、検査面31は、本実施形態のようなフィルム状だけでなく、ガラス板など板状であっても良い。ただし、この場合は、液滴を吐出させる領域が無くなる毎に検査面31を交換する必要がある。また、検査面31を基板Wに対して別個に設けず、基板Wに液滴を吐出して着弾パターン21を形成し、この着弾パターン21に対して吐出状態検査を実施しても良い。
【符号の説明】
【0088】
1 塗布装置
2 塗布部
3 塗布ステージ
4 測定装置
5 制御部
10 塗布ヘッド
11 ノズル
12 塗布ヘッド移動装置
13 吐出ユニット
14 駆動隔壁
15 サブタンク
16 メインタンク
17 真空源
18 真空調圧弁
21 液滴パターン
31 検査面
32 帯状フィルム
33 ガイドローラ
34 着弾領域
35 吸着テーブル
40 画像取得部
41 画像認識カメラ
42 長手方向移動装置
43 走査方向移動装置
51 解析装置
81 液滴パターン
91 ノズル
92 吐出駆動部
W 基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のノズルを有し、一部もしくは全部の隣接するノズル同士は、その間に駆動隔壁を共有し、前記駆動隔壁を伸縮させることによりノズルから液滴を吐出する吐出ユニットと、
液滴を着弾させるターゲットである検査面と、
を備え、
各ノズルから基板へ液滴を吐出することにより基板に塗布膜を形成する塗布モードと、各ノズルから前記検査面へ液滴を吐出し、各ノズルからの液滴の吐出状態を検査する吐出状態検査モードとを有する塗布装置であって、
前記吐出状態検査モードでは、
前記吐出ユニットの各ノズルを、液滴の吐出を行う吐出ノズルと、液滴の吐出を行わない不吐出ノズルとに分けて設定し、前記吐出ノズルから液滴を吐出して前記検査面への着弾パターンの形成を行い、
次に、前記着弾パターンから液滴の位置を確認し、前記不吐出ノズルから誤って吐出された液滴が存在するか否かを検出することを特徴とする、塗布装置。
【請求項2】
前記吐出状態検査モードでは、前記吐出ノズルに前記駆動隔壁を共有して隣接する前記不吐出ノズルにおいて、その不吐出ノズルに前記駆動隔壁を共有して隣接する前記吐出ノズルは1個のみであることを特徴とする、請求項1に記載の塗布装置。
【請求項3】
前記吐出ユニットにおいて、ノズルと前記駆動隔壁とが略直線状に配列されており、前記吐出状態検査モードにおいて、吐出ノズルが2個飛びに設定されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の塗布装置。
【請求項4】
複数のノズルを有し、一部もしくは全部の隣接するノズル同士は、その間に駆動隔壁を共有し、前記駆動隔壁を伸縮させることによりノズルから液滴を吐出する吐出ユニットと、
液滴を着弾させるターゲットである検査面と、
を備える塗布装置の吐出状態検査方法であって、
前記吐出ユニットの各ノズルを、液滴の吐出を行う吐出ノズルと、液滴の吐出を行わない不吐出ノズルとに分けて設定し、前記吐出ノズルから液滴を吐出して前記検査面への着弾パターンの形成を行う、パターン形成工程と、
前記着弾パターンのから液滴の位置を確認し、前記不吐出ノズルから誤って吐出された液滴が存在するか否かを検出する検査工程と、
を有することを特徴とする、吐出状態検査方法。
【請求項5】
前記パターン形成工程では、前記吐出ノズルに前記駆動隔壁を共有して隣接する前記不吐出ノズルにおいて、その不吐出ノズルに前記駆動隔壁を共有して隣接する前記吐出ノズルは1個のみであることを特徴とする、請求項4に記載の吐出状態検査方法。
【請求項6】
前記吐出ユニットにおいて、ノズルと前記駆動隔壁とが略直線状に配列されており、前記吐出状態検査モードにおいて、吐出ノズルが2個飛びに設定されていることを特徴とする、請求項4または5に記載の吐出状態検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−43103(P2013−43103A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−180370(P2011−180370)
【出願日】平成23年8月22日(2011.8.22)
【出願人】(000219314)東レエンジニアリング株式会社 (505)
【Fターム(参考)】