説明

塗布装置及び塗布方法

【課題】走行するウェブに塗布液を塗布する際に厚塗り部を吸引ノズルで従来よりも効率的に吸引することができるので、吸引圧力を比較的小さくすることができ、走行するウェブがバタつく等の不具合がない。
【解決手段】走行する帯状のウェブ18に塗布液を塗布する際に、塗布幅方向両端部に形成され、目標塗布膜厚dよりも厚い厚塗り部43を吸引する吸引ノズル15を備えた塗布装置10において、吸引ノズル15の塗布幅方向における吸引面幅Do及び吸引口幅Diは、厚塗り部43の塗布幅方向の幅をW及び高さをH、ウェブ18と吸引面54との間のクリアランスLとしたときに、下記の式1及び式2を満足する。
W≦Do…(式1)、W*H/L≦Di<Do−1mm…(式2)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は塗布装置及び塗布方法に係り、特に走行するウェブに塗布液を塗布する際に、塗布幅方向両端部に形成され、目標塗布膜厚よりも厚い厚塗り部を吸引ノズルで吸引する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
走行する帯状のウェブに、例えばバー塗布装置によって塗布液を連続塗布する場合、塗布幅方向の両端部に目標塗布膜厚よりも厚く塗布された厚塗り部が形成されることが多い。
【0003】
特に、比較的低いウェブテンションでウェブを走行(搬送と同義)し、比較的高い表面張力、高い粘度の塗布液を高塗布量で連続的に高速塗布する場合、厚塗り部の幅も広く、目標塗布膜厚に対する厚塗り部の厚塗り比も大きくなる。また、塗布される前のウェブ両端部にローレットが形成されていると、厚塗り部の厚塗り比は更に大きくなり易い。厚塗り比は、目標塗布膜厚をd(ウエット膜厚)とし、厚塗り部の高さをHとしたときに、H/dで示される。
【0004】
厚塗り部の厚塗り比は、目標塗布膜厚に比べて通常1.5倍以上となり、上記ローレットがある場合には2倍〜3倍を超えることもある。また、厚塗り部の塗布幅方向の幅は3mm前後から20mm以上にも及ぶ。
【0005】
厚塗り部があると、乾燥ゾーンで厚塗り部が乾ききらずに搬送ロールを汚したり、ウェブの巻き取りでウェブ同士が接着を起こしたりするなどの製造上の大問題を引き起こす。
【0006】
一方、この厚塗り部対策として、特許文献1に示すように、厚塗り部を吸引ノズルで吸引する方法が行われている。この場合、厚塗り比が大きい場合には吸引圧力を高くして対応することとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平7−299410号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、吸引圧力を高くし過ぎると走行するウェブにバタツキが発生し、ウェブの安定搬送ができなくなる。特に、ウェブの搬送途中にウェブ浮上工程があったり、ウェブ表面の傷付き対策のために比較的低いウェブテンションで搬送したりするケースでは吸引圧力を高くすることができない。したがって、吸引ノズルによって厚塗り部を吸引する方法は比較的低い吸引圧力で吸引効率を上げる必要がある。
【0009】
また、吸引圧力を高めるために吸引ノズルをウェブに近づけ過ぎると、ウェブの接合部やウェブ耳部のバタツキ、ウェブのベコに吸引ノズル先端が衝突してウェブが切断する危険があり、重大故障を引き起こす原因になる。
【0010】
また、吸引ノズル先端の外壁面に吸引する塗布液が付着して残存すると、時間の経過と共に付着した塗布液が乾燥して固着堆積し、ついには吸引を妨げるようになってしまう。
【0011】
このような背景から、比較的低い吸引圧力であっても厚塗り部の塗布液を効率的に吸引できることが要望されている。
【0012】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、走行するウェブに塗布液を塗布する際に厚塗り部を吸引ノズルで従来よりも効率的に吸引することができるので、吸引圧力を比較的小さくすることができ、走行するウェブがバタつく等の不具合がない塗布装置及び塗布方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記目的を達成するために、本発明に係る塗布装置は、走行する帯状のウェブに塗布液を塗布する際に、塗布幅方向両端部に形成され、目標塗布膜厚よりも厚い厚塗り部を吸引する吸引ノズルを備えた塗布装置において、前記吸引ノズルの塗布幅方向における吸引面幅Do及び吸引口幅Diは、前記厚塗り部の塗布幅方向の幅をW及び高さをH、前記ウェブと前記吸引面との間のクリアランスLとしたときに、下記の式1及び式2を満足する。
【0014】
W≦Do…(式1)、W*H/L≦Di<Do−1mm…(式2)
本発明の塗布装置によれば、吸引ノズルの塗布幅方向における吸引面幅Do及び吸引口幅Diを、厚塗り部の幅W、高さH、及びクリアランスLとの関係において、上記式1及び式2を満足するようにしたので、走行するウェブに塗布液を塗布する際に厚塗り部を吸引ノズルで吸引する吸引能力を従来よりも顕著に高めることができる。したがって、吸引圧力を比較的小さくして走行するウェブのバタツキを抑制しつつ、厚塗り部の高い吸引性能を確保することができる。
【0015】
本発明の塗布装置においては、前記吸引ノズルは、吸引圧力を30〜180kPaの範囲に設定する吸引圧力調整手段を有することが好ましい。
【0016】
これは、上記式1及び式2を満足する吸引ノズルを用いた厚塗り部を吸引した場合に、ウェブのバタツキを問題ない程度まで抑制する場合の吸引圧力の範囲を示したものであり、この範囲であれば、吸引ノズルの吸引性能を維持したままウェブのバタツキを抑制できる。
【0017】
本発明の塗布装置においては、前記吸引面は、前記厚塗り部に対して凹状の吸引面を有することが好ましい。
【0018】
吸引面が、厚塗り部に対して凹状形状を有することによって、上記式1及び式2を満足することと相俟って、厚塗り部の塗布液が吸引口へ吸い込まれ易くなり、厚塗り部の吸引性能を更に向上させることができる。また、吸引面外側の吸引ノズル外壁面に塗布液が付着しにくくなる。
【0019】
本発明の塗布装置においては、前記吸引面幅Doが異なる複数の吸引ノズルと、前記吸引ノズルを垂直方法にスライド自在に支持する躯体と、前記吸引ノズルを垂直方向にスライド移動させる移動手段と、前記吸引ノズルを前記躯体に対して着脱する着脱機構と、を備えることが好ましい。
【0020】
本発明によれば、厚塗り部の幅や高さは、塗布液の組成や物性、及びローレットの有無等の塗布条件によって相違する。
【0021】
本発明の塗布装置の態様では、吸引面幅Doが異なる複数の吸引ノズルを用意しておき、吸引ノズルを支持する躯体に対して着脱できる機構を設けたので、厚塗り部の幅に応じて適切な吸引ノズルを使用することができる。これにより、式1のW≦Doの条件を簡単に満足することができる。
【0022】
また、吸引ノズルを躯体に対して垂直方向にスライド移動できるようにしたので、式2のW*H/L≦DiのうちのクリアランスLを調整することができる。これにより、吸引口幅Diを変えなくても式2を満足するようにできる。なお、式2のDi<Do−1mmの条件は予め吸引ノズルに形成しておけばよい。
【0023】
前記目的を達成するために、本発明に係る塗布方法は、走行する帯状のウェブに塗布液を塗布する際に、塗布幅方向両端部に形成され、目標塗布膜厚よりも厚い厚塗り部を吸引ノズルで吸引する工程を備えた塗布方法において、前記吸引工程は、前記厚塗り部の高さHと前記塗布幅方向における厚塗り幅Wを測定する厚塗り部測定工程と、前記測定した厚塗り幅Wに基づいて、前記吸引ノズルの吸引面の前記塗布幅方向における吸引面幅DoがW≦Doになるように設定する吸引面幅設定工程と、前記測定した厚塗り部の高さHと前記ウェブから前記吸引面までのクリアランスLに基づいて、前記吸引ノズルの前記塗布幅方向における吸引口幅Diが、W*H/L≦Di<Do−1mmを満足するように設定する吸引口幅設定工程と、を備えた。
【0024】
本発明の塗布方法によれば、厚塗り部の高さHと幅Wを測定し、その結果に基づいて、吸引ノズルの吸引面幅Doと吸引口幅Diとが、W≦Do及びW*H/L≦Di<Do−1mmを満足するように設定した。
【0025】
これにより、走行するウェブに塗布液を塗布する際に厚塗り部を吸引ノズルで従来よりも効率的に吸引することができるので、吸引圧力を比較的小さくして走行するウェブのバタツキを抑制しつつ、厚塗り部の高い吸引性能を確保することができる。
【0026】
本発明の塗布方法においては、前記吸引面幅設定工程では、前記Di<Do−1mmを満足し且つ吸引面幅Doの異なる複数の吸引ノズルを用意しておき、前記厚塗り部幅の測定結果に基づいて前記W≦Doを満足する吸引ノズルを選択すると共に、前記吸引口幅設定工程では、前記選択した吸引ノズルの前記クリアランスLを調整することで前記W*H/L≦Diを満足することが好ましい。
【0027】
これは、上記したW≦Do及びW*H/L≦Di<Do−1mmを満足するための好ましい具体例であり、Di<Do−1mmを満足し且つ吸引面幅の異なる複数の吸引ノズルを用意しておく。そして、測定した厚塗り部の幅Wに基づいて、複数用意した吸引ノズルの中から、W≦Doを満足する吸引ノズルを選択して使用する。また、厚塗り部の高さHに基づいて、W*H/L≦Diを満足するようにウェブと吸引面とのクリアランスを調整する。
【0028】
本発明の塗布方法においては、前記吸引ノズルの吸引圧力を3〜18Paの範囲に設定することが好ましい。
【0029】
これは、吸引工程において、ウェブのバタツキを問題ない程度まで抑制する場合の吸引圧力の範囲を示したものであり、この範囲であれば、吸引ノズルの吸引性能を維持したままウェブのバタツキを抑制できる。
【発明の効果】
【0030】
本発明の塗布装置及び塗布方法によれば、走行するウェブに塗布液を塗布する際に厚塗り部を吸引ノズルで従来よりも効率的に吸引することができるので、吸引圧力を比較的小さくすることができ、走行するウェブがバタつく等の不具合がない。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施の形態における塗布装置の全体構成を示す側面図
【図2】厚塗り部を説明する説明図
【図3】厚塗り部を吸引ノズルで吸引している図
【図4】本発明の塗布装置に備えた吸引ノズルを説明する説明図
【図5】吸引ノズルの吸引面及び吸引口の各種態様を説明する説明図
【図6】吸引ノズルの周辺部材を備えた吸引装置の説明図
【図7】吸引装置の別態様の説明図
【図8】実施例における試験Aの条件及び結果の表図
【図9】実施例における試験Bの条件及び結果の表図
【図10】厚塗り部の吸引性能を本発明と従来とで対比する説明図
【図11】ノズル汚れを本発明と従来とで対比する説明図
【図12】実施例における試験Cの条件及び結果の表図
【図13】実施例における試験Dの条件及び結果の表図
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、添付図面に従って、本発明に係る塗布装置及び塗布方法の好ましい実施の形態について詳述する。
【0033】
図1は、本発明の塗布装置の一実施態様を示すバー塗布装置の側面断面図である。
【0034】
図1に示すように、バー塗布装置10は、主として、バー塗布ヘッド12と、該バー塗布ヘッド12を挟んでウェブ走行方向の上流側と下流側とに設けられた一対のガイドローラ14、16と、吸引ノズル15と、を備えている。
【0035】
そして、ウェブ18がバー塗布ヘッド12のバー20にラップされた状態で塗布液Aが塗布される際に、塗布幅方向両端部に形成され、目標塗布膜厚よりも厚い厚塗り部43(図2参照)を吸引ノズル15で吸引する。
【0036】
バー塗布ヘッド12は、主に、両端が図示しない軸受により回転自在に支持されたバー(ワイヤーバー)20と、そのバー20の全長に渡って支持面22Aに支持するバー受け機構22と、バー受け機構22よりも上流側において、バー受け機構22との間に塗布液Aの給液路24を形成する上流側堰機構28と、バー受け機構22よりも下流側において、余剰の塗布液Aを排出する排液路26を形成する下流側堰機構30と、により構成されている。
【0037】
給液路24は、マニホールド32とスロット34とより構成され、マニホールド32に給液された塗布液Aがスロット34を介してウェブ18の幅方向に均一に押し出される。これにより、バー20に対してウェブ18の走行方向の上流側(以下、1次側という)には1次側ビード36が形成される。
【0038】
排液路26は、マニホールド38とスロット40とより構成され、バー20表面を流下する余剰の塗布液Aがスロット40を介してマニホールド38へ回収される。マニホールド38へ回収された余剰の塗布液Aは、図示しない吸引ポンプ等によりマニホールド38外へ排出される。このバー20表面を流下する余剰塗布液は、バー20とバー受け機構22との間に空気を巻き込まないように作用する。
【0039】
これら1次側のビード36を形成する塗布液Aが回転するバー20によってピックアップされることにより、バー20にラップして連続走行するウェブ18に塗布される。給液路24から1次側ビード36に供給された塗布液Aのうち余剰の塗布液Aは、スロット40、及び上流側堰機構28の外側28Aを流下する。
【0040】
バー20の回転は、ウェブ18の走行によって従動回転する場合、駆動源を設けて回転駆動する場合の何れでも良く、また回転駆動する方向はウェブ18の走行方向と同方向への回転でも、逆方向への回転でもよい。
【0041】
かかるバー塗布において、図2に示すように、ウェブ18に塗布された塗布液Aによって塗布膜42が形成されると共に、塗布膜42の塗布幅方向の両端部(図2では一端側を示す)に目標塗布膜厚d(ウエット膜厚)よりも厚く塗布された厚塗り部43が形成されることが多い。したがって、図3に示すように厚塗り部43(黒い太線)を一対の吸引ノズル15、15によって吸引する。これにより、塗布工程の後の乾燥装置で厚塗り部43が乾ききらずに搬送ロールを汚したり、ウェブ18の巻き取りでウェブ同士が接着を起こしたりするなどの製造上の不具合を防止している。
【0042】
特に、比較的低いウェブテンションでウェブ18を走行(搬送と同義)し、比較的高い表面張力、高い粘度の塗布液を高塗布量で連続的に高速塗布する場合、厚塗り部43の幅Wも広く、目標塗布膜厚dに対する厚塗り部43の高さHも高くなり、厚塗り比(H/d)が大きくなる。また、塗布される前のウェブ両端部にローレット44(細かな凹凸)が形成されていると、厚塗り部43の厚塗り比は更に大きくなり易い。
【0043】
なお、本実施の形態ではバー塗布の例で説明するが、バー塗布以外の塗布方法で行っても、厚塗り部43が形成されることは同様である。
【0044】
図4は、厚塗り部43の上方に配置された吸引ノズル15の側面断面図である。
【0045】
図4に示すように、吸引ノズル15は二重管構造に構成され、二重管の中心軸部に洗浄液Bの噴出管46が設けられる。噴出管46の噴出孔46Aは、該噴出管46の先端部より吸引ノズル15の吸引通路48の内壁面48Aに向けて複数個設けられ、厚塗り部43に洗浄液Bが直接当たらないように形成される。噴出管46の噴出孔46Aから噴出される洗浄液Bの噴出角度θは、ノズルの構造にもよるが噴出管46の中心軸に対して、20°以上、好ましくは30°以上が好ましい。噴出孔46Aの孔径は0.2〜3mm、より好ましくは0.7〜1.5mm程度がよい。また、噴出管46の先端径は3〜10mm、より好ましくは4〜8mm程度がよい。
【0046】
吸引ノズル15の上部には、噴出管46に洗浄液Bを供給する洗浄液供給配管47が接続され、図示しない洗浄液供給タンク及び送液ポンプに接続される。洗浄液Bとしては、塗布液Aに対して溶解性のあるものが好ましく、例えば水、有機溶剤、これらの混合液を使用することができる。
【0047】
また、吸引ノズル15の上部側面には、吸引通路48に連通して吸引口50に吸引圧力を付与する吸引配管52が接続され、図示しないトラップタンクを介して真空ポンプに接続される。また、吸引配管52には吸引圧力を調整する調整バルブ53が設けられる。
【0048】
これにより、吸引ノズル15が駆動すると、厚塗り部43の塗布液Aは吸引ノズル15先端の吸引面54に形成された吸引口50から吸引されると共に、噴出管46から洗浄液Bが吸引通路48の内壁面48Aに向って噴出される。そして、厚塗り部43から吸引ノズル15内に吸引された塗布液Aと、噴出管46から吸引ノズル15内に噴出された洗浄液Bとは、吸引通路48を通って吸引配管52より吸引ノズル15外に排出される(図11参照)。
【0049】
排気能力を高めるためには吸引ノズル15の内径は先端部より徐々に拡大するか、もしくは図4に示すように段階的に拡大し、圧力損失をなるべく少なくした方がよい。このような構造は洗浄液Bを供給する本発明の型式により可能である。
【0050】
かかる吸引ノズル15の吸引面54の幅Do及び吸引口50の幅Diは、厚塗り部43の幅W及び高さHと、吸引ノズル15の吸引面54とウェブ18面との間のクリアランスLとの関係において、下記の式1及び式2を満足することが重要である。
【0051】
W≦Do…(式1)
W*H/L≦Di<Do−1mm…(式2)
ここで、Do…吸引面の塗布幅方向の幅
Di…吸引口の塗布幅方向の幅
W…厚塗り部の塗布幅方向の幅
H…厚塗り部の高さ、
L…ウェブと吸引面との間のクリアランス
吸引ノズル15の吸引面54の幅Do及び吸引口50の幅Diが、上記の式1及び式2を満足することによって、走行するウェブ18に塗布液Aを塗布する際に厚塗り部43を吸引ノズル15で吸引する吸引性能を従来よりも顕著に高めることができる。したがって、吸引圧力Pを比較的小さくして走行するウェブ18のバタツキを抑制しつつ、厚塗り部43を高い吸引効率で吸引することができる。
【0052】
ウェブ18のバタツキを抑制するには、吸引圧力調整バルブ53の開度を調整して、吸引ノズル15の吸引圧力Pを、30〜180kPaの範囲に設定することが好ましく、30〜150kPaの範囲に設定することが更に好ましい。ここで、吸引圧力P(kPa)は、大気圧Po(kPa)と吸引通路48の圧力Pi(kPa)の差(Po−Pi)として表される。吸引圧力が30kPa未満では、厚塗り部43を充分に吸引除去することができず、吸引圧力が180kPaを超えると、ウェブ18のバタツキを抑制できない。
【0053】
塗布速度は、20〜120m/分の範囲が好ましい。塗布速度が120m/分を超えると、塗布膜42の品質にも悪影響があるだけでなく、吸引ノズル15の吸引性能が低下し易い。
【0054】
上記式2において、クリアランスLは、厚塗り部43の高さHよりも高いことは当然であるが、好ましい上限値としては1mm(1000μm)である。クリアランスLが1mmを超えると、吸引ノズル15の吸引性能にも悪影響がでる虞がある。
【0055】
目標塗布膜厚dは、ウェット膜厚で5〜100μmの範囲であることが好ましい。
【0056】
ウェブ18としては、可撓性の支持体であれば特に制限はなく、プラスチックフィルム(例えばPETフィルム)、金属フィルム(例えばアルミニウムフィルム)等を使用できる。PETフィルムを使用する場合には、50〜300μm厚のものが好ましく、アルミニウムフィルムを使用する場合には、0.1〜0.3mm厚のものが好ましく使用できる。
【0057】
図5は、吸引ノズル15の吸引面54及び吸引口50の形状、及び吸引面54の凹形状を示したものである。図5(B)は、図5(A)の吸引ノズル15を矢印a方向から見た図であり、図5(C)は、図5(A)のb−b線に沿った縦断面図である。
【0058】
図5(B)に示すように、吸引ノズル15の吸引面54は円板状、正方形あるいは長方形を好ましく使用することができ、吸引面54の形状に合わせて吸引口50の形状を形成することが好ましい。
【0059】
また、図5(C)に示すように、平坦な吸引面54Aの他に、厚塗り部43に対して内側に湾曲した吸引面54B、あるいは厚塗り部43に対して内側に台形状に湾曲した吸引面54Cを好ましく採用することができる。
【0060】
吸引面54が、厚塗り部43に対して例えば図5の54Bや54Cのように凹状形状を有することによって、上記式1及び式2を満足することと相俟って、厚塗り部43の塗布液Aが吸引口50へ吸い込まれ易くなり、厚塗り部43の吸引性能を更に向上させることができる。また、吸引面54外側の吸引ノズル外壁面56に塗布液が付着しにくくなる。
【0061】
吸引面54に対する吸引ノズル外壁面56の角度θは、20〜45°の範囲であることが好ましい。
【0062】
また、厚塗り部43の幅Wや高Hさは、塗布液Aの組成や物性、及びローレット44の有無等の塗布条件によって相違する。したがって、吸引面幅Do及び吸引口幅Diが一定の1つの吸引ノズル15では、上記式1及び式2を満足することが難しい。
【0063】
図6は、厚塗り部43の幅Wや高Hさに応じて、上記式1及び式2を簡単に満足できるように構成した吸引装置58である。
【0064】
図6に示すように、吸引装置58は、吸引面幅Doが異なる複数の吸引ノズル15(15A,15B)と、吸引ノズル15を垂直方法にスライド自在に支持する躯体60と、吸引ノズル15を垂直方向にスライド移動させる移動手段62と、吸引ノズル15を躯体60に対して着脱する着脱機構64と、で構成される。なお、図6では2基の吸引ノズル15A,15Bの例で説明したが、3基以上でもよい。
【0065】
即ち、吸引ノズル15の近傍には、吸引ノズル15を支持する逆L字型の躯体60が設けられる。この躯体60側面には、ガイドレール66が垂直方向に設けられ、着脱機構64の一方側を構成するブロック68がリニアガイド70を介してガイドレール66にスライド自在に支持される。ブロック68には、第1の嵌合部68Aが形成される。
【0066】
一方、吸引ノズル15のガイドレール側側面には、着脱機構64の他方側を構成し、ブロック68の第1の嵌合部と嵌合する第2の嵌合部68Bが形成される。着脱機構64は、吸引ノズル15をブロック68に簡単に着脱自在に支持する機構であり、前記した第1の嵌合部68Aと第2の嵌合部68Bとの嵌合に限定されない。
【0067】
また、吸引ノズル15の上面には門型の吊り下げ部材72が設けられると共に、躯体60上に設けた正逆回転可能なモータ74に連結されたボールネジ76が下方に延設され、吊り下げ部材72の雌ネジが形成された孔72Aに螺合される。これにより、モータ74を正逆回転してボールネジ76を回転することにより、吸引ノズル15は上下方向に移動する。なお、モータ74を使用せずに、手動でボールネジ76を回転させるようにしてもよい。
【0068】
次に、図6で示した吸引装置58を備えたバー塗布装置10で、塗布液を走行するウェブ18に塗布する塗布方法を説明する。
【0069】
予め試験塗布を行って、厚塗り部43の幅Wと高さHを測定器(図示せず)で測定する。測定はオフラインで測定してもオンラインで測定してもよい。
【0070】
次に、複数用意した吸引面幅Doの異なる吸引ノズル15(15A,15B)の中から、測定した厚塗り幅Wに基づいて吸引面幅Doが式1のW≦Doを満足する吸引ノズル15Bを選択して、ブロック68に装着する。
【0071】
次に、測定した厚塗り部43の高さHに基づいて、吸引口幅Diが式2のW*H/L≦Diを満足するように、前記装着した吸引ノズル15Bを垂直方向にスライドさせてクリアランスLを調整する。なお、式2のDi<Do−1mmの条件については、複数用意する吸引ノズル15に予め設定しておく。
【0072】
以上により塗布準備が終了するので、塗布運転を開始すると共に、吸引ノズル15の吸引圧力を従来よりも小さな30〜180kPaの範囲に設定する。
【0073】
これにより、厚塗り部43の幅W及び高さHに応じて、上記式1及び式2を満足するように吸引ノズル15で厚塗り部43を吸引することができるので、厚塗り部43を従来よりも効率的に吸引することができる。したがって、吸引圧力Pを従来よりも小さくすることができ、走行するウェブ18にバタツキが発生して、吸引ノズル先端にウェブ18が接触してしまう等の不具合がないようにできる。
【0074】
なお、図6では、着脱機構を設けて、吸引ノズル全体を交換できるようにしたが、図7に示すように、吸引面幅Doの異なる複数の吸引面板78A,78B,78Cを用意しておき、吸引ノズル15の先端部に形成した嵌合部80に着脱自在に嵌合できるようにすることもできる。この場合には、図6の着脱機構64は必要ないので、吸引ノズル15をリニアガイド70を介してガイドレール66に直接支持させることができる。
【0075】
[実施例1]
次に、走行する帯状のウェブ18に塗布液Aを塗布する際に、本発明の吸引条件を満足する吸引ノズル15を用いて厚塗り部43を吸引した場合と、本発明の条件を満足しない吸引ノズル15を用いて厚塗り部43を吸引した場合とについて試験し、厚塗り部43の「吸引性能」及び吸引ノズル先端部の「ノズル汚れ」、及び「ウェブのバタツキ」を調べた。
【0076】
[試験A]
まず、塗布液Aの粘度、表面張力、目標塗布膜厚d、ローレット44の有無の塗布条件を変えることによって、厚塗り部の幅W、厚塗り部の高さH、及び厚塗り比(H/d)がどのように変わるかを調べた。
【0077】
(塗布条件及び厚塗り部の吸引条件)
*塗布液の組成…酸化チタン粒子を30質量%含むポリウレタン水溶液を塗布液として使用すると共に、塗布液の粘度を2、5、10、15mPas(cP)の4水準、表面張力を30、40、50dyn/cmの3水準について実施
*塗布速度…50m/分
*目標塗布膜厚d…15、30、45の3水準について実施
*塗布装置…バー塗布装置を使用
*ウェブ…厚み250μmのPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムを使用
*ローレット…有る無しの2水準について実施
*クリアランスL…200μmで実施
*吸引ノズルの吸引圧力…100kPaで実施
*洗浄液…水を使用
(試験結果)
図8の表1の試験1〜15に示すように、塗布液Aの粘度、表面張力、目標塗布膜厚d、ローレット44の有無の塗布条件を変えることによって、厚塗り部43の幅Wが5〜16mmの範囲で変わり、厚塗り部43の高さHが19.5〜135μmの範囲で変わり、及び厚塗り比(H/d)が1.3〜3.0の範囲で変わった。
【0078】
[試験B]
試験Bでは、試験Aにおける試験1〜15のうち、ローレット44のない試験7及び試験9について、本発明の吸引条件を満足する吸引ノズル15を用いて厚塗り部43を吸引した場合と、本発明の吸引条件を満足しない吸引ノズル15を用いて厚塗り部43を吸引した場合とについて試験を行い、「厚塗り部の吸引性能」と「ノズル汚れ」について対比した。
【0079】
(本発明の吸引条件)
本発明の吸引条件は上記の式1及び式2を満足する。
【0080】
(評価方法)
「厚塗り部の吸引性能」は、吸引後の厚塗り部43の幅Wと厚塗り比(H/d)で評価し、吸引後の厚塗り部43の幅が吸引前の厚塗り部43の幅の1/2以下であり、厚塗り比(H/d)が1以下を合格とした。なお、表2の吸引後の厚塗り部43の幅Wにおいて「−」の記載は厚塗り部がなくなり、幅Wを測定できないことを意味する。以後説明する表3、表4も同様である。
【0081】
また「ノズル汚れ」は、吸引ノズル先端部の外壁面56に吸引した塗布液Aの付着が多く汚れがひどい場合を×、塗布液Aの付着が少なく汚れもそれほどひどくない場合を△、塗布液Aの付着がなく汚れていない場合を○として評価した。そして、○を合格とした。
【0082】
(試験結果)
図9の表2に試験結果を示す。
*試験7−1…式1及び式2のW*H/L≦Diを満足しない。
*試験7−2…式1及び式2のW*H/L≦Diを満足しない。
*試験7−3…式1を満足するが式2のW*H/L≦Diを満足しない。
*試験7−4…式1及び式2を満足する。
*試験7−5…式1及び式2を満足する。
*試験7−6…式1及び式2を満足する。
*試験7−7…式1を満足するが式2のDi<Do−1mmを満足しない。
*試験9−1…式1及び式2のW*H/L≦Diを満足しない。
*試験9−2…式1を満足するが式2のW*H/L≦Diを満足しない。
*試験9−3…式1及び式2を満足する。
*試験9−4…式1及び式2を満足する。
*試験9−5…式1及び式2を満足する。
*試験9−6…式1及び式2を満足するが、クリアランスLが厚塗り部の高さHよりも低い。
【0083】
上記の試験結果から分かるように、塗布条件によって厚塗り部43の状態が変わっても、本発明の吸引条件(式1及び式2)を満足する吸引ノズル15を使用することで、「厚塗り部の吸引性能」が顕著に改善された。即ち、図10(A)に示すように、厚塗り部43の塗布液Aが幅全体に渡って吸引除去された。また、図11(A)に示すように、厚塗り部43から吸引された塗布液Aが吸引ノズル外壁面56に付着することはなく、洗浄液Bと共に吸引通路48を通って吸引ノズル15外に排出された。即ち、「ノズル汚れ」の顕著な改善が見られた。特に、式1のW≦Doの条件は、「厚塗り部の吸引性能」及び「ノズル汚れ」を改善する効果が大きかった。
【0084】
これに対して、本発明の吸引条件(式1及び式2)を満足しない吸引ノズル15を使用した場合には、図10(B)に示すように目標塗布膜厚d以下まで厚塗り部43の塗布液を吸引除去することができず、厚塗り比が1を超えた。また、図11(B)に示すように、厚塗り部43から吸引された塗布液Aが吸引ノズル外壁面56に付着し、「ノズル汚れ」が発生した。
【0085】
なお、試験9−6は式1及び式2を満足するが、クリアランスLが厚塗り部43の高さHよりも低いため、「厚塗り部の吸引性能」及び「ノズル汚れ」共に悪い結果となった。クリアランスLを厚塗り部43の高さHより高く設定するという吸引条件は、当然のことであるため敢えて本発明の吸引条件には含めていないが、含めることもできる。
【0086】
[試験C]
試験Cでは、試験Aにおける試験1〜15のうち、ローレット44のある試験3及び試験15について、試験Bと同様に行った。
【0087】
ローレット44は、ウェブ幅方向の端から5mm〜15mm幅のウェブ面に、ウェブ長手方向に沿って微小凹凸高さが10μmになるように形成した。
【0088】
試験Cにおける本発明の吸引条件及び評価方法は、試験Bと同様であるので省略し、以下に試験結果を説明する。
【0089】
(試験結果)
図12の表3に試験結果を示す。
*試験3−1…式1及び式2を満足する。
*試験3−2…式1及び式2を満足する。
*試験3−3…式1及び式2を満足する。
*試験3−4…式1及び式2を満足する。
*試験3−5…式1及び式2を満足する。
*試験3−6…式1及び式2を満足する。
*試験15−1…式1を満足するが式2のDi<Do−1mmを満足しない。
*試験15−2…式1及び式2を満足しない。
*試験15−2…式1及び式2を満足しない。
*試験15−3…式1を満足しないが式2を満足する。
*試験15−4…式1及び式2を満足する。
*試験15−5…式1及び式2を満足する。
*試験15−6…式1及び式2を満足する。
【0090】
上記の試験結果から分かるように、ローレット44がある場合も、試験Bと同様の試験結果となり、ローレット44の有る無しに係わらず本発明を適用できることが分かった。即ち、発明の吸引条件(式1及び式2)を満足する吸引ノズル15を使用することで、「厚塗り部の吸引性能」及び「ノズル汚れ」の両方において良い結果となった。
【0091】
これに対して、本発明の吸引条件(式1及び式2)を満足しない吸引ノズル15を使用した場合には、「厚塗り部の吸引性能」及び「ノズル汚れ」の少なくとも一方が悪い結果となった。
【0092】
[試験D]
試験Dでは、試験Cにおいて良い結果を得た試験3−4及び試験3−11について、吸引ノズル15の吸引圧力を変えたときに、吸引ノズル15の「厚塗り部の吸引性能」と「ノズル汚れ」、及び走行するウェブ18の「ウェブバタツキ」がどのようになるかを試験した。
【0093】
(評価方法)
「ノズル汚れ」は上記と同様である。また、「ウェブバタツキ」は目視にて評価し、ウェブ18のバタツキが全くない場合を○、わずかにバタツキがあるが吸引ノズル15への接触はない場合を△、バタツキによってウェブ18が吸引ノズル15に接触する場合を×とした。そして△以上を合格とした。
【0094】
(試験結果)
図13の表4に試験結果を示す。
*試験3―4−1…吸引圧力が10kPaの場合
*試験3−4−2…吸引圧力が30kPaの場合
*試験3−4−3…吸引圧力が100kPaの場合
*試験3−4−4…吸引圧力が150kPaの場合
*試験3−4−5…吸引圧力が180kPaの場合
*試験3−4−6…吸引圧力が200kPaの場合
*試験3−11−1…吸引圧力が30kPaの場合
*試験3−11−2…吸引圧力が50kPaの場合
*試験3−11−3…吸引圧力が100kPaの場合
*試験3−11−4…吸引圧力が150kPaの場合
*試験3−11−5…吸引圧力が180kPaの場合
*試験3−11−6…吸引圧力が200kPaの場合
*試験3―11−7…吸引圧力が220kPaの場合
図13の表4の結果から分かるように、試験3−4−1のように吸引圧力が10kPaと低過ぎる場合、「ウェブバタツキ」はないが、「厚塗り部の吸引性能」及び「ノズル汚れ」の評価において、吸引後も厚塗り部43が残り易く、吸引ノズル外壁面56のノズル汚れも発生し易い。
【0095】
また、試験3−4−20及び試験3−11−7のように吸引圧力が200kPa以上と高過ぎる場合、「厚塗り部の吸引性能」及び「ノズル汚れ」の評価は良いが、ウェブバタツキが×となった。
【0096】
これに対して、試験3−4−2〜試験3−4−6、及び試験3−11−1〜試験3−11−6のように、吸引圧力が30〜180kPaの範囲では、「厚塗り部の吸引性能」及び「ノズル汚れ」の評価が良く、しかもウェブバタツキが顕著に抑制されることが分かった。特に、吸引圧力が30〜150kPaの範囲ではウェブバタツキが全く見られなかった。
【0097】
したがって、「厚塗り部の吸引性能」、「ノズル汚れ」、「ウェブバタツキ」の全てについて良い結果を得るためには、吸引ノズル15が上記式1及び式2を満足する他に、吸引圧力を30〜180kPaの範囲、更に好ましくは30〜150Paの範囲に設定することが好ましいことが分かった。
【符号の説明】
【0098】
10…バー塗布装置、12…バー塗布ヘッド、14、16…ガイドローラ、15(15A,15B)…吸引ノズル、18…ウェブ、20…バー、22…バー受け機構、24…給液路、26…排液路、28…上流側堰機構、30…下流側堰機構、32…マニホールド、34…スロット、36…1次側ビード、38…マニホールド、40…スロット、42…塗布膜、43…厚塗り部、44…ローレット、46…噴出管、47…洗浄液供給配管、48…吸引通路、48A…吸引通路の内壁面、50…吸引口、52…吸引配管、54…吸引面、56…吸引ノズル外壁面、58…吸引装置、60…躯体、62…移動手段、64…着脱機構、66…ガイドレール、68…ブロック、70…リニアガイド、72…吊り下げ部材、74…モータ、76…ボールネジ、78(78A,78B,78C)…吸引面板、A…塗布液、B…洗浄液

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行する帯状のウェブに塗布液を塗布する際に、塗布幅方向両端部に形成され、目標塗布膜厚よりも厚い厚塗り部を吸引する吸引ノズルを備えた塗布装置において、
前記吸引ノズルの塗布幅方向における吸引面幅Do及び吸引口幅Diは、
前記厚塗り部の塗布幅方向の幅をW及び高さをH、前記ウェブと前記吸引面との間のクリアランスLとしたときに、下記の式1及び式2を満足する塗布装置。
W≦Do…(式1)
W*H/L≦Di<Do−1mm…(式2)
【請求項2】
前記吸引ノズルは、吸引圧力を30〜180kPaの範囲に設定する吸引圧力調整手段を有する請求項1に記載の塗布装置。
【請求項3】
前記吸引面は、前記厚塗り部に対して凹状の吸引面を有する請求項1又は2に記載の塗布装置。
【請求項4】
前記吸引面幅Doが異なる複数の吸引ノズルと、
前記吸引ノズルを垂直方法にスライド自在に支持する躯体と、
前記吸引ノズルを垂直方向にスライド移動させる移動手段と、
前記吸引ノズルを前記躯体に対して着脱する着脱機構と、を備えた請求項1〜3の何れか1に記載の塗布装置。
【請求項5】
走行する帯状のウェブに塗布液を塗布する際に、塗布幅方向両端部に形成され、目標塗布膜厚よりも厚い厚塗り部を吸引ノズルで吸引する工程を備えた塗布方法において、
前記吸引工程は、
前記厚塗り部の高さHと前記塗布幅方向における厚塗り幅Wを測定する厚塗り部測定工程と、
前記測定した厚塗り幅Wに基づいて、前記吸引ノズルの吸引面の前記塗布幅方向における吸引面幅DoがW≦Doになるように設定する吸引面幅設定工程と、
前記測定した厚塗り部の高さHと前記ウェブから前記吸引面までのクリアランスLに基づいて、前記吸引ノズルの前記塗布幅方向における吸引口幅Diが、W*H/L≦Di<Do−1mmを満足するように設定する吸引口幅設定工程と、を備えた塗布方法。
【請求項6】
前記吸引面幅設定工程では、前記Di<Do−1mmを満足し且つ吸引面幅Doの異なる複数の吸引ノズルを用意しておき、前記厚塗り部幅の測定結果に基づいて前記W≦Doを満足する吸引ノズルを選択すると共に、
前記吸引口幅設定工程では、前記選択した吸引ノズルの前記クリアランスLを調整することで前記W*H/L≦Diを満足する請求項5に記載の塗布方法。
【請求項7】
前記吸引ノズルの吸引圧力を30〜180kPaの範囲に設定する請求項5又は6に記載の塗布方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−66851(P2013−66851A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−207637(P2011−207637)
【出願日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】