説明

塗布装置

【課題】ペースト材の塗布動作による帯電を防ぐことが可能なペースト塗布装置を提供する。
【解決手段】ペースト塗布装置10は、内部に導電性のペースト材Sを保持する容器部22と、前記容器部22を支持する容器支持部26と、前記容器部22における前記ペースト材Sの吐出部23aに対向してワークとしての基板12を支持するワーク支持部27と、前記容器支持部26を支持するとともに接地されるベース部21と、前記ベース部21から前記吐出部23aまでの間に設けられ、前記ベース部21と前記吐出部23aとを絶縁する絶縁部32と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークの所定部位にペースト材等の導電液体を塗布する塗布装置に関する。
【背景技術】
【0002】
LCDなどのフラットパネルディスプレイの製造において、液晶パネルを構成する2枚の液晶基板間を電気的に接続するための導電性のペースト材を塗布する塗布装置が用いられる。
【0003】
図10に示す塗布装置100は、例えば、ベース部121と、ベース部121に昇降可能に支持されペースト材Sを保持する容器部122と、容器部122内に圧縮空気を供給して容器の先端に設けられた吐出部123aからペースト材Sを吐出させる加圧装置125と、ワークを移動可能に保持するワーク支持部127と、ワーク交換時等に基板を上昇させてワーク支持部127から離間させる突上機構128と、各部の動作を制御する制御部130と、を備えて構成され、ベース部121は接地されている。
【0004】
この塗布装置100は、基板上の所要の位置(被塗布部位)の真上に吐出部123aが位置するように,ワーク支持部127をX軸およびY軸の2軸方向に移動させて位置決めを行う。
【0005】
被塗布部位は、例えば基板112上に形成される電気回路112aとなる。吐出部123aと基板112が対向した状態で、容器部122を下降移動させ、吐出部123aと基板112との間隔が所要の値になるように設定する。
【0006】
この状態で、加圧装置125から圧縮空気を容器部122に供給することで,ペースト材Sを吐出部123aから吐出させる。以上の動作により1回の塗布動作が完了する。
【0007】
所定の位置への塗布が終了したら容器部122を上昇させ,次の被塗布部位に基板112を移動させ、上記工程を繰り返すことにより複数個所への塗布動作を行う。(例えば、特許文献1参照)。
【0008】
一枚の基板112に対して必要な塗布動作が終了すると、突上機構128を動作させて基板112をワーク支持部127から上昇させて、別の基板と交換し、新しい塗布対象としての基板に上記と同様の動作を行う。以上の動作を繰り返し、複数の基板112に対して塗布動作がなされる。
【特許文献1】特開2006−153971号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記技術は以下のような問題がある。すなわち、塗布動作を繰り返す度に吐出部またはペースト材と基板または電気回路とが互いに接触及び離間を繰り返す。この接触と離間の動作によって、電荷が移動する。ベース部は接地されているため、塗布動作の度に電荷が供給される。したがって、複数回の塗布動作の繰り返しによって帯電するという問題がある。
【0010】
本発明は、このような課題を鑑みてなされたものであり、塗布動作による帯電を防ぐことが可能な塗布装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様に係る塗布装置は、内部に導電性のペースト材を保持する容器部と、前記容器部を支持する容器支持部と、前記容器部における前記ペースト材の吐出部に対向してワークを支持するワーク支持部と、前記容器支持部を支持するとともに接地されるベース部と、前記ベース部から前記吐出部までの間に設けられ、前記ベース部と前記吐出部とを絶縁する絶縁部と、を備えたことを特徴とする。
【0012】
本発明の他の一態様に係る塗布装置は、内部に導電性のペースト材を保持する容器部と、前記容器部を支持する容器支持部と、前記容器部における前記ペースト材の吐出部に対向してワークを支持するワーク支持部と、前記容器支持部を支持するとともに接地されるベース部と、前記ベース部から前記吐出部までの間に設けられ、前記吐出部への電荷の供給状態を切り替える切替手段と、を備えたことを特徴とする塗布装置。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、塗布動作による帯電を防ぐことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態にかかる塗布装置としてのペースト塗布装置10ついて、図1及び図2を参照して説明する。なお、各図において説明のため、適宜、構成を拡大、縮小または省略して示している。図1は、第1実施形態にかかるペースト塗布装置10の構成を示す説明図であり、図2は、フラットパネルディスプレイ11の断面図である。
【0015】
ペースト塗布装置10は、例えばLCDなどのフラットパネルディスプレイ11の製造において、2枚の基板12の電気回路を電気的に接続するための導電液体としてのペースト材Sを塗布する。
【0016】
ペースト塗布装置10は、ベース部21と、ペースト材Sを保持する容器部22を有するディスペンサ24と、容器部22に接続された圧力付与手段としての加圧装置25と、このディスペンサ24をベース部21に支持する容器支持部26と、ディスペンサ24の吐出部23aに対向するようにワークとしての基板を支持するワーク支持部27と、ワークの交換時等にワークをワーク支持部27から上昇させる突上機構28と、各部の動作を制御する制御部30と、を備えて構成されている。ベース部21は接地されている。
【0017】
LCDなどのフラットパネルディスプレイ11は例えば図2に示すように、2枚の基板12の間に液晶13が封入され、シール剤14によって封止されて構成される。ワークとしての基板12上には電気回路12aが形成され、この電気回路12a同士がペースト材Sにより接続されている。すなわち、ペースト材Sの被塗布部位は電気回路12a上の導体部位に設定される。
【0018】
ワーク支持部27は金属材料からなる矩形の板状に構成されたステージ部27aと、このステージ部27aをベース部21に対してX軸方向及びY軸方向にそれぞれ移動可能及び位置決め可能に支持する位置決め機構27b、27cとを備える。
【0019】
ディスペンサ24は、ペースト材Sを保持する容器部22と、この容器部22の先端に設けられるノズル部23とを備えて構成されている。
【0020】
容器部22は樹脂等の絶縁材料から筒状に構成され、その先端側の径が細く構成されている。容器部22は、先端側を下方に向けた状態で容器支持部26に取付けられる。容器部22の内部には、ペースト状の接着剤である導電性のペースト材Sが貯溜される。
【0021】
容器部22の上端は開口され、この開口に加圧装置25と連通する連通管29を接続するための接続口体22aが取付けられる。この接続口体22aは絶縁性の樹脂材料で構成されている。
【0022】
容器部22の内部に貯留されるペースト材Sは有機溶剤と銀粒子を含む導電性の接着剤で構成されている。
【0023】
ノズル部23は、SUS等の金属材料で構成され、先端に設けられた吐出部23aと、この吐出部23aから容器部22の内部に連通する吐出孔23bを備えている。容器部22に圧縮空気が供給されると、この吐出孔23bを通って吐出部23aからペースト材Sを吐出する。
【0024】
加圧装置25は、いわゆるコンプレッサであって、ディスペンサ24内のペースト材Sに圧力を付与してノズル部23から流出させる作用をなす。
【0025】
容器支持部26は、ベース部21に設けられディスペンサ24を支持し、その姿勢を変えずにZ軸に沿う上下方向に昇降駆動する、いわゆるエレベータ装置である。容器支持部26は制御部30に電気的に接続され、ディスペンサ24に対する位置制御によりノズル部23の吐出部23aと被塗布面との間隔を位置決めする。
【0026】
ディスペンサ24は金属材からなる支持金具31によって容器支持部26に取付けられている。
【0027】
支持金具31と容器支持部26との間には絶縁材料からなる絶縁部32が設けられ、支持金具31、及びディスペンサ24と容器支持部26とが電気的に絶縁されている。絶縁部32は、たとえば樹脂のプレート部材であり、ディスペンサ24に電位が供給されるのを防ぐ。
【0028】
突上機構28は、ワーク支持部27に設けられ、金属から成るピン部材28aと、このピン部材を基板に対して昇降させる昇降機構28bとを備えて構成されている。たとえば、一枚の基板12に対して所定の複数箇所に塗布動作がなされた後、他の基板に交換する際に、ピン部材28aが上昇し、基板12がワーク支持部27から離間する。
【0029】
連通管29は、絶縁性の樹脂材料で構成され、この連通管29によって加圧装置25とディスペンサ24とが電気的に絶縁されている。
【0030】
なお、加圧装置25とディスペンサ24とを連通する連通管29の中途部に電磁開閉弁29aが設けられていて、制御部30からの信号によって開閉制御されるようになっている。
【0031】
電位検出手段としての電位計測器33は、ワーク支持部27の上方に設けられ、突上機構28によって基板12が上昇した際に、基板12の電位を測定する。
【0032】
以下、ペースト塗布装置10での被塗布面に対するペースト材Sの塗布動作について図3乃至図5を参照して説明する。ここではペースト材Sを基板12上に多数塗布する場合を述べる。
【0033】
はじめに、容器支持部26を駆動して、ノズル部23とともにディスペンサ24を降下させ、ノズル部23と被塗布面との間隔が所定距離Hになるよう位置決めする。
【0034】
被塗布面とノズル部23の先端が対向するように位置決めされた状態で、加圧装置25からディスペンサ24内に圧縮空気を供給する。ディスペンサ24内のペースト材Sは流出圧力を受けて押し出され、かつノズル部23の吐出孔23bを通って吐出部23aから被塗布面に供給される。
【0035】
このとき、ノズル部23の吐出部23aの下面と被塗布面とに間隔Hが形成されているところから、ペースト材Sはこの間隔Hに沿って被塗布面上を水平に広がりながら供給される。
【0036】
所定量のペースト材Saが供給されたところで、電磁開閉弁29aを閉成して圧縮空気の流通を遮断し、ペースト材Sの吐出を停止する。容器支持部26はノズル部23とともにディスペンサ24を上昇駆動する。
【0037】
被塗布面にはノズル部23の吐出部23aから吐出されたペースト材Saが残る。ノズル部23の形状に沿って、ペースト材Saは被塗布面に塗布される。
【0038】
図3に示すように、1回目の塗布動作において、ペースト材Sと金属性のノズル部23の接触と離間により、ノズル部23と導電ペースト材Sはマイナス電荷不足状態となる。
【0039】
ここで、容器部22は絶縁材からなるとともに絶縁部32が配置されていることにより接地されたベース部21から絶縁されているため,さらなる電荷の供給は成されない。
【0040】
したがって、図4に示すように2回目以降基板に導電ペースト材Sを塗布する際のマイナス電荷の供給はない。すなわち、1回目の塗布動作により、マイナス電荷は不足しているので、二回目以降の塗布動作においては、マイナス電荷の基板12への移動は少なく、あるいは移動しない。以上の作用により、基板12の帯電を防止できる。なお、電位の符号はプラスとマイナスの2通りあるが,今回の例ではマイナス電位であるとして説明する。
【0041】
1つの基板12をワーク支持部27に保持したまま上記の塗布動作を複数回、例えば500回、繰り返すことにより、導電ペースト材Sを所定の複数箇所、例えば500箇所、に塗布する。
【0042】
ついで、所定の部位に塗布動作が完了すると、図5に示すように突上機構28が動作し、基板12を上昇させ、ワーク支持部27から離間させる。このとき、上方に配置された電位計測器33により、電位が測定される。
【0043】
比較例として、図10で示したペースト塗布装置100における帯電の現象を、図11を参照して説明する。
【0044】
図10に示すペースト塗布装置100は、例えば、ベース部121と、ベース部に昇降可能に支持されペースト材Sを保持する容器部122と、容器部122内に圧縮空気を供給して容器の先端に設けられた吐出部123aからペースト材Sを吐出させる加圧装置125と、ワークを移動可能に保持するワーク支持部127と、ワーク交換時等に基板を上昇させてワーク支持部127から離間させる突上機構128と、各部の動作を制御する制御部130と、を備えて構成され、ベース部121は接地されている。
【0045】
このペースト塗布装置100における静電気の発生メカニズムを説明する。図11に示すように、塗布動作の前の状態において、ノズル部123と導電ペースト材Sはベース部121に対して絶縁されていない。このため、電位はゼロで、プラス電荷とマイナス電荷は中和している。
【0046】
ノズル部123と導電ペースト材Sが基板に接触し、剥離することで、ノズル部123の吐出部123aと導電ペースト材Sのマイナス電荷が基板側に移動する。
【0047】
容器部22の上昇によって基板112から吐出部123aが剥離した後,ノズル部123と導電ペースト材Sは接地されているので,不足したマイナス電荷は無尽蔵に供給される。このため、電荷は中和し電位はゼロになる。
【0048】
導電ペースト材Sの塗布毎に,上記現象が発生するので,塗布の点数と帯電量(基板の電位)は比例関係となる。
【0049】
図5に示すように、ワーク支持部127は金属で作られており、基板112はマイナスに帯電しているため,ワーク支持部127にはプラスの電荷が集まる。基板112は接地されているためプラスの電荷は無尽蔵に供給され,プラスの電荷とマイナスの電荷は釣合っている。なお、電位計測器133は電荷を測定するため,プラス電荷とマイナス電荷が相殺され,基板の電位は観測されない。
【0050】
基板112上の多くの箇所にペースト材Sを塗布した後,突上機構128で基板を持ち上げ,基板112とワーク支持部27を剥離すると,静電気計と基板は接近する。静電気計は基板のマイナス電荷による電位を観測することになる。この結果,突上げピンで基板とワーク支持部27を剥離したときに、数千ボルトの電位が電位計測器133によって観測される。なお、電位の符号はプラスとマイナスの2通りあるが,今回の例ではマイナス電位であるとして説明する。
【0051】
本実施形態は以下に掲げる効果を奏する。ノズル部23,ディスペンサ24,支持金具31を,ベース部21と絶縁することで,接地による電荷供給を遮断することができる。したがって、塗布動作を繰り返しにおいて、吐出部23aまたはペースト材Sと基板12または電気回路12aとが互いに接触と離間を繰り返す場合に、電荷の供給を遮断することにより、帯電の現象が繰返されることを防止できる。すなわち、2回目以降の接触と離間の繰り返しにおいては電荷が供給されないため、帯電が行われず、基板の帯電の蓄積を阻止することが可能となる。なお、一回目の塗布動作において、基板12は帯電する場合があるが、基板一枚に数百点あるいは1000点塗布し,塗布点数と帯電電位が比例することを考えると、一回分の帯電は無視できる程小さい。
【0052】
さらに本実施形態においては、容器部22、接続口体22a及び連通管29を絶縁性の樹脂材料で構成することにより、ディスペンサ24を確実に絶縁することができる。
【0053】
[第2実施形態]
以下、本発明の第2実施形態に係るペースト塗布装置10について図6を参照して説明する。また、各図において説明のため、適宜、構成を拡大、縮小または省略して示している。なお、ノズル部223の先端形状が傾斜している点以外については上記第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0054】
本実施形態にかかるペースト塗布装置10は、ノズル部223は、その先端が斜めに傾斜しており、先端が先鋭に構成されている。このペースト塗布装置10においては、図6に示すように、塗布動作の際にノズル部223先端の吐出部223a一部が基板12に接触する。この場合、SUS製のノズル部223の先端と、基板12の被塗布部位の電気回路12aの間で電位が発生する。
【0055】
本実施形態においても、塗布動作における接触と離間の繰り返しで、電位が発生するが、絶縁部32、絶縁性の連通管29、及び絶縁性の容器部22によって絶縁されているため、2回目以降の塗布動作において電荷が供給されないため、帯電を防止することが可能となり、上述した第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0056】
[第3実施形態]
次に本発明の第3実施形態に係るペースト塗布装置10について図7及び図8を参照して説明する。各図において説明のため、適宜、構成を拡大、縮小または省略して示している。なお、電気回路を接続した点以外については上記第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0057】
本実施形態に係るペースト塗布装置10においては、ベース部21に設けられた支持金具31には切替手段としての切替電気回路41が接続され、支持金具31へ接続される抵抗を切り替える機能を有している。
【0058】
図8に示すように、切替電気回路41は、開閉可能な接点を複数有し、複数の接点の他端側はそれぞれ抵抗器42を介して接地され、可変抵抗器43を介して接地され、あるいは直接接地されている。制御部30により、接点のオンオフを切り替えることにより、抵抗器42を介して接地する場合,可変抵抗器43を介して接地する場合、及び直接接地する場合、との間で接続を切り替える。この結果、電荷の供給状態が切り替えられる。
【0059】
なお、切り替え制御の例として,例えば一つの基板12に対して一連(例えば1000回)の塗布動作が終了し,次の基板に交換するワークの交換時を基準として切り替え、あるいは例えば打点回数を基準として、所定の回数の塗布動作が終了した際に切り替えることとしてもよい。
【0060】
本実施形態においても上述した第1実施形態と同様の効果が得られる。すなわち、ディスペンサ24に無限に電荷を供給することを防ぎ、帯電を防止することが出来る。さらに、本実施形態によれば、塗布動作の状況に応じて電荷の供給状態を切り替えることが可能となる。
【0061】
[第4実施形態]
次に本発明の第4実施形態に係るペースト塗布装置10について図9を参照して説明する。各図において説明のため、適宜、構成を拡大、縮小または省略して示している。なお、電位計測器33を接続し、測定した電位に基づいて切り替えを行う点以外については上記第3実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0062】
本実施形態に係るペースト塗布装置10においては、ベース部21に設けられた支持金具31には切替手段としての切替電気回路41が接続され、支持金具31へ接続される抵抗を切り替える機能を有している。
【0063】
図8に示すように、切替電気回路41は、開閉可能な接点を複数有し、複数の接点の他端側はそれぞれ抵抗器42を介して接地され、可変抵抗器43を介して接地され、あるいは直接接地されている。制御部30により、接点のオンオフを切り替えることにより、抵抗器42を介して接地する場合,可変抵抗器43を介して接地する場合、及び直接接地する場合、との間で接続を切り替える。この結果、電荷の供給状態が切り替えられる。
【0064】
制御部30は、電位計測器33に接続され、この電位計測器33によるディスペンサ24の電位の測定結果に応じて接点のオンオフの切り替えが行われる。
【0065】
例えば、電位計測器33により、絶縁されているディスペンサ24の電位を測定し,例えば測定された電位が予め設定された第1の基準値に達した場合に、抵抗器42を介して接地され、別の第2の基準値に達した場合に可変抵抗器43を介して接地され、上記基準値に達しない場合に直接接地するよう切り替えられる。
【0066】
本実施形態においても上述した第3実施形態と同様の効果が得られる。すなわち、ディスペンサ24に無限に電荷を供給することを防ぎ、帯電を防止することが出来る。また、本実施形態によれば、ディスペンサ24の電位に応じて電荷の供給状態を切り替えることにより、ディスペンサ24の電位を適正な値に維持することが可能となる。
【0067】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。例えば、上記実施形態においては連通管29の全体を絶縁性の樹脂で構成した場合について説明したが、一部のみを絶縁材料から構成してもよい。すなわち、連通管が絶縁材料からなる絶縁性部を有する構成としてもよい。また、絶縁部32は、容器支持部26と支持金具31の間に配置したが、この位置に限られるものではない。さらに、ディスペンサ24の電位を測定する電位計測器33と基板12の電位計測器33とは共通して用いたが、別の電位計測器を用いても良く、制御部30において複数の制御を別々の制御装置で実行しても良い。
【0068】
また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の第1実施形態にかかるペースト塗布装置の構成を示す説明図。
【図2】同実施形態にかかるフラットパネルディスプレイの断面図。
【図3】同実施形態にかかるペースト塗布装置の一回目の塗布動作と電荷の状態を示す説明図。
【図4】同実施形態にかかるペースト塗布装置の2回目以降の塗布動作と電荷の状態を示す説明図。
【図5】同実施形態にかかるワーク交換時における動作と電荷の状態を示す説明図。
【図6】本発明の第2実施形態にかかる塗布動作と電荷の供給状態を示す説明図。
【図7】本発明の第3実施形態にかかるペースト塗布装置の構成を示す説明図。
【図8】同実施形態にかかる電気回路を示す説明図。
【図9】本発明の第4実施形態にかかる電気回路を示す説明図。
【図10】ペースト塗布装置の一例の構成を示す説明図。
【図11】ペースト塗布装置の一例における塗布動作と電荷の供給状態を示す説明図。
【符号の説明】
【0070】
S…ペースト材(導電液体)、10…ペースト塗布装置(塗布装置)、
11…フラットパネルディスプレイ、12…基板、12a…電気回路、21…ベース部、22…容器部、23a…吐出部、23…ノズル部、23b…吐出孔、24…ディスペンサ、25…加圧装置、26…容器支持部、27…ワーク支持部、27a…ステージ部、
28…突上機構、29…連通管、29a…電磁開閉弁、30…制御部、31…支持金具、32…絶縁部、33…電位計測器、41…切替電気回路、42…抵抗器、
43…可変抵抗器、223…ノズル部、223a…吐出部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に導電性の導電液体を保持する容器部と、
前記容器部を支持する容器支持部と、
前記容器部における前記導電液体の吐出部に対向してワークを支持するワーク支持部と、
前記容器支持部を支持するとともに接地されるベース部と、
前記ベース部から前記吐出部までの間に設けられ、前記ベース部と前記吐出部とを絶縁する絶縁部と、を備えたことを特徴とする塗布装置。
【請求項2】
前記容器部に、前記容器部内に連通する吐出孔を有するノズル部が設けられ、前記ノズル部の先端が前記吐出部を構成するとともに、
前記容器部が絶縁材料から構成されることを特徴とする請求項1記載の塗布装置。
【請求項3】
前記容器部に接続され前記容器部内に圧縮空気を供給することにより前記導電液体を吐出させる加圧装置をさらに備え、
前記加圧装置と前記容器部とは、少なくとも一部が絶縁材料からなる連通管で接続されたことを特徴とする請求項1記載の塗布装置。
【請求項4】
内部に導電性の導電液体を保持する容器部と、
前記容器部を支持する容器支持部と、
前記容器部における前記導電液体の吐出部に対向してワークを支持するワーク支持部と、
前記容器支持部を支持するとともに接地されるベース部と、
前記ベース部から前記吐出部までの間に設けられ、前記吐出部への電荷の供給状態を切り替える切替手段と、
を備えたことを特徴とする塗布装置。
【請求項5】
前記吐出部と前記容器部を有するディスペンサの電位を検出する電位検出手段をさらに備え、
前記切替手段は、前記電位検出手段で検出された電位に基づいて、前記電荷の供給状態を切り替える電気回路であることを特徴とする請求項3記載の塗布装置。
【請求項6】
前記吐出部と前記ワークの被塗布部位との間に所定の間隙を存した状態で、前記吐出部から前記導電液体が吐出されることを特徴とする請求項1記載の塗布装置。
【請求項7】
前記吐出部と前記ワークの被塗布部位とが接触した状態で、前記吐出部から前記導電液体が吐出されることを特徴とする請求項1記載の塗布装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−110737(P2010−110737A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−287927(P2008−287927)
【出願日】平成20年11月10日(2008.11.10)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】