説明

塗布装置

【課題】塗布液を基板に塗布する際、基板外に吐出される塗布液が当該基板へ影響しない塗布装置を提供する。
【解決手段】塗布装置は、ノズル、ステージ、ノズル移動機構、液受部、および気体供給機構を備える。ノズルは、その先端部から塗布液を吐出する。ステージは、基板をその上面に載置する。ノズル移動機構は、ステージ上の空間において、当該ステージ面を横断する方向にノズルを往復移動させる。液受部は、横断する方向に沿ってステージ上から外れた位置にノズルより塗布液を吐出させつつノズル移動機構が当該ノズルを移動させる際、当該ノズルからステージ外に吐出された塗布液を受ける。気体供給機構は、少なくとも横断する方向に沿って液受部上の位置からステージ上へノズルより塗布液を吐出させつつノズル移動機構が当該ノズルを移動させる状態において、当該ノズルが移動する方向に対して当該ノズルの後方となる空間に所定の気体を供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗布装置に関し、より特定的には、ステージ上に載置した基板にノズルから液柱状態の塗布液を吐出して塗布する塗布装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ノズルから塗布液を吐出しつつ、連続して一筆書きのように基板に塗布液を塗布する塗布装置が開発されている。例えば、有機EL表示装置を製造する装置では、ステージ上に載置されたガラス基板等の基板の主面に所定のパターン形状で有機EL材料を含む塗布液がノズル塗布される。このような塗布装置においては、基板に塗布液を塗布する際、ノズルが基板外に移動したときに基板外に塗布された塗布液や不要な塗布液を回収するために、基板外に塗布液を受ける液受部が配設される(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図12に示すように、上記塗布装置では、赤、緑、および青色の有機EL材料を含む塗布液の塗布する場合、製造効率を上げるために、赤色、緑色、および青色の何れか1つの有機EL材料を含む塗布液を同時に複数のノズルから吐出して塗布することが一般的である。上記塗布装置では、例えば10〜20本のノズルから有機EL材料を含む塗布液を同時に吐出して塗布されるが、図12では3本のノズル102〜104から有機EL材料を含む塗布液を同時に吐出する例を記載している。上記塗布装置は、ノズル102〜104の他に、有機EL材料を含む塗布液の塗布を受けるガラス基板Pを載置するステージ101と、基板Pの外に吐出された有機EL材料を回収する液受部105とを備えている。そして、有機EL材料としては、例えば、基板P上にストライプ状に溝が形成されている場合、当該溝内に拡がるように流動する程度の粘性を有する有機性のEL材料が用いられる。そして、所定の圧力および流量でノズル102〜104から有機EL材料を直線棒状(以下、液柱状態と記載する)に吐出して、基板P上に塗布される。なお、液受部105は、基板Pの両サイド外側(図12では、一方のみ示している)に上面を開口して配設されている。
【0004】
ノズル102〜104は、後述するノズル往復移動方向に対して斜めに並設した状態で保持部材(図示せず)によって支持されており、当該保持部材およびステージ101は、塗布装置の各駆動機構によって動作する。駆動機構は、基板Pを所定方向に横断する方向(基板Pにストライプ状の塗布列を形成する方向であり、図示矢印F方向;以下、ノズル往復移動方向と記載する)にノズル102〜104を支持する保持部材を往復移動させる。このとき、駆動機構は、基板Pの一方サイド外側に配設されている液受部105の上部空間から、基板Pを横断して基板Pの他方サイド外側に配設されている液受部105の上部空間まで、上記保持部材を往復移動させる。また、駆動機構は、上記保持部材が液受部105の上部空間に配置されている際、上記ノズル往復移動方向とは垂直の所定方向(紙面垂直方向)に所定ピッチだけステージ101を移動させる。このような駆動機構の動作と同時にノズル102〜103から有機EL材料を液柱状態で吐出することによって、有機EL材料を含む塗布液が基板P上に吐出され、有機EL材料を含む塗布液の塗布列が形成されていく。
【0005】
しかしながら、基板P外に設けられた液受部105へ液柱状態の塗布液を吐出する場合、次のような問題がある。ノズル102〜104と液受部105との距離(図12に示すh1+h2)が長くなることによって、液柱状態であった塗布液が表面張力により液滴化する。例えば、ノズル102〜104の先端部から基板P上面までの距離h1は、0.25〜0.50mm程度に液柱状態が保証できる距離に設定することができるが、距離h1+h2が20mm以上となる場合、吐出圧力や流量の調整だけでは液滴化したり、液滴化した塗布液がさらに微細なミスト状に分裂したりすることを防ぐことが難しくなる。また、ノズル102〜104が図示F方向へ高速移動する場合、高速移動するノズル102〜104の後方の空間が負圧となり、ミスト状になった塗布液がノズル102〜104の近傍まで舞い上がってしまう。その結果、基板P外で発生したミスト状の塗布液が基板P上に落下して上面に付着するため、塗布不良の原因となってしまう。
【0006】
一方、図13に示すように、上記特許文献1で記載された塗布装置では、スリットSが形成された液受部106が設けられている。スリットSは、上記ノズル往復移動方向と平行に液受部106の上面に形成される。また、スリットSは、ステージ101上から上記ノズル往復移動方向へ外れた位置で、かつ、ノズル102〜104の先端部から鉛直下方向となる位置に形成される。そして、スリットSが形成される液受部106の上面は、ステージ101の上面とほぼ同じ高さに設けられる(すなわち、距離h2が基板Pの厚さ程度の小さい値となる)ため、スリットSの開口を通してノズルから吐出された液柱状態の塗布液を液受部106で回収して、ミスト状の塗布液が液受部106の外部へ漏出することを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−181410号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、塗布装置は、上述したように製造効率等の面から複数のノズルを用いることが一般的である。また、上述したように複数のノズルは、ノズル往復移動方向に対して斜めに並設した状態で支持されて、当該ノズル往復移動方向へ往復移動するため、全てのノズルからの塗布液を通過させるためにスリットSの開口幅を広く形成する必要がある。したがって、上記特許文献1で開示された塗布装置においては、スリットSの開口面積が大きく形成することが必要となり、結果的にスリットSの開口部からミスト状の塗布液が液受部106の外部へ漏出することが考えられる。
【0009】
さらに、ノズル102〜104が図示F方向へ高速移動する場合、その速度に応じて液滴化した塗布液やさらに分裂した微細なミスト状の塗布液が、液受部106内部に浮遊する。そして、高速移動するノズル102〜104の後方の空間が負圧状態となるため、液受部106内部に浮遊する液滴化した塗布液やミスト状の塗布液がスリットSの開口部からノズル102〜104の後方の空間へ吸い上げられる。その結果、液受部106内部の液滴化した塗布液やミスト状の塗布液が基板P上に落下して上面に付着することがあるため、塗布不良の原因となってしまうことがある。
【0010】
それ故に、本発明の目的は、塗布液を基板に塗布する際、基板外に吐出される塗布液が当該基板へ影響しない塗布装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明は、以下に述べるような特徴を有している。
第1の発明は、基板上に塗布液を塗布する塗布装置である。塗布装置は、ノズル、ステージ、ノズル移動機構、液受部、および気体供給機構を備える。ノズルは、その先端部から塗布液を吐出する。ステージは、基板をその上面に載置する。ノズル移動機構は、ステージ上の空間において、当該ステージ面を横断する方向にノズルを往復移動させる。液受部は、横断する方向に沿ってステージ上から外れた位置にノズルより塗布液を吐出させつつノズル移動機構が当該ノズルを移動させる際、当該ノズルからステージ外に吐出された塗布液を受ける。気体供給機構は、少なくとも横断する方向に沿って液受部上の位置からステージ上へノズルより塗布液を吐出させつつノズル移動機構が当該ノズルを移動させる状態において、当該ノズルが移動する方向に対して当該ノズルの後方となる空間に所定の気体を供給する。
【0012】
第2の発明は、上記第1の発明において、気体供給機構は、液受部の上方から当該液受部の上面に向かって局所的に気体を供給する。
【0013】
第3の発明は、上記第2の発明において、液受部は、横断する方向に沿ってステージ上から外れた位置に配置されたノズルの先端部から鉛直下方向となる位置に当該横断する方向と平行のスリット状の開口が上面に形成され、当該開口を通してノズルから吐出された塗布液を回収する。気体供給機構は、液受部の上方から当該液受部の開口に対して局所的に気体を供給する。
【0014】
第4の発明は、上記第1の発明において、気体供給機構は、ノズル近傍から後方となる空間に向かって気体を供給する。
【0015】
第5の発明は、上記第4の発明において、気体供給機構は、第1気体供給管および第2気体供給管を含む。第1気体供給管は、ノズル近傍に設けられ、横断する方向に沿った一方方向へ気体を供給する。第2気体供給管は、ノズル近傍に設けられ、横断する方向に沿った他方方向へ気体を供給する。液受部は、第1液受部および第2液受部を含む。第1液受部は、横断する方向に沿った一方方向のステージ外に設けられる。第2液受部は、横断する方向に沿った他方方向のステージ外に設けられる。気体供給機構は、少なくとも第1液受部上の位置からステージ上へノズルが移動する場合に第1気体供給管から気体を供給し、少なくとも第2液受部上の位置からステージ上へノズルが移動する場合に第2気体供給管から気体を供給する。
【0016】
第6の発明は、上記第5の発明において、第1気体供給管および第2気体供給管は、ノズル移動機構によって当該ノズルと共に横断する方向に往復移動する。
【0017】
第7の発明は、上記第6の発明において、第1気体供給管および第2気体供給管は、それぞれ横断する方向に沿って移動するノズルの往復移動軸に対して直上となる位置に気体を排出する排出口が配置されるように固設され、ノズル移動機構によって当該ノズルと共に横断する方向に往復移動する。
【0018】
第8の発明は、上記第6の発明において、制御部を、さらに備える。制御部は、少なくとも気体供給機構による気体の供給動作を制御する。制御部は、往復移動における中間点を基準として、ノズルが一方方向側に位置している場合、第1気体供給管を介して気体を供給して、第2気体供給管からの気体の供給を閉止する。制御部は、中間点を基準として、ノズルが他方方向側に位置している場合、第2気体供給管を介して気体を供給して、第1気体供給管からの気体の供給を閉止する。
【0019】
第9の発明は、上記第4〜第8の発明の何れか1つにおいて、排気部を、さらに備える。排気部は、気体供給機構が気体を排出して供給する排出口に液受部の上方空間を介して対向する位置に設けられ、当該上方空間の気体を吸引する。
【0020】
第10の発明は、上記第1の発明において、気体供給機構は、液受部の上方空間とステージの上方空間との境界面に沿って、上方から局所的に気体を供給する。
【発明の効果】
【0021】
上記第1の発明によれば、ノズルが液受部上の位置から基板の方向へ向かって移動する場合、移動するノズルの後方の空間が負圧状態となるが、当該後方の空間に対して気体が供給されるため当該負圧状態が軽減されたり、液受部外部へ浮遊した液滴化した塗布液やミスト状の塗布液がステージ側へ進入することが妨げられたりする。したがって、液受部内部に浮遊する液滴化した塗布液やミスト状の塗布液が、ステージ上の基板上に落下して上面に付着することによる塗布不良を防止することができる。
【0022】
上記第2の発明によれば、液受部の上方から液受部上面へ局所的なダウンフローを生成することによって、負圧状態となったノズルの後方の空間における負圧状態が軽減され、液受部内部に浮遊する液滴化した塗布液やミスト状の塗布液が上記負圧状態の空間へ吸い上げられることを防止することができる。
【0023】
上記第3の発明によれば、液受部の上面において開口しているスリットに対して局所的なダウンフローが生成されるため、液受部内部に浮遊する液滴化した塗布液やミスト状の塗布液が上記負圧状態の空間へ吸い上げられることをさらに防止することができる。
【0024】
上記第4の発明によれば、移動するノズルの後方へ当該ノズルの近傍から気体が供給されるため、負圧状態となったノズルの後方の空間における負圧状態が軽減され、液受部内部に浮遊する液滴化した塗布液やミスト状の塗布液が上記負圧状態の空間へ吸い上げられることを防止することができる。
【0025】
上記第5の発明によれば、ノズル往復移動における両端にそれぞれ液受部が設けられている場合、異なる気体供給管からノズルの後方へ気体を供給することによって、それぞれの液受部内部に浮遊する液滴化した塗布液やミスト状の塗布液が上記負圧状態の空間へ吸い上げられることを防止することができる。
【0026】
上記第6の発明によれば、ノズルと共に気体供給管を移動させることによって、当該ノズル近傍から常に気体を当該ノズルの後方へ供給することが可能となる。また、移動するノズルの後方の空間においては、ノズル近傍が最も高い負圧状態となることが多いが、このノズル近傍に対して気体を供給することが可能となるため、負圧状態の軽減効果が高くなる。
【0027】
上記第7の発明によれば、ノズルの往復移動軸に対して直上となる位置に気体を排出する排出口を配置することによって、効率よくノズルの後方における負圧状態を軽減することができる。
【0028】
上記第8の発明によれば、ノズル位置に応じて、ノズルの後方における負圧状態を軽減することに対して不要となる気体供給を閉止することができる。
【0029】
上記第9の発明によれば、液受部の上方空間を介して、気体供給機構から排出された気体が排気部に導かれる気体の流れが形成される。したがって、液受部内部に浮遊する液滴化した塗布液やミスト状の塗布液が外部へ浮遊したとしても、当該塗布液が排気部で吸引されるので、液受部内部から浮遊した塗布液が、基板上に落下して上面に付着することによる塗布不良を防止することができる。
【0030】
上記第10の発明によれば、液受部内部に浮遊する液滴化した塗布液やミスト状の塗布液が外部へ浮遊したとしても、液受部の上方空間から基板の上方空間へ浮遊した塗布液が進入することがないため、当該塗布液が基板上に落下して上面に付着することによる塗布不良を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の一実施形態に係る塗布装置1の要部概略構成の一例を示す平面図および正面図
【図2】図1の塗布装置1の制御機能および供給部の一例を示すブロック図
【図3】図1の液受部53の構造の一例を示す斜視図
【図4】ノズル52a〜52cから吐出される有機EL材料と液受部53との位置関係の一例を示す斜視図
【図5】ダウンフロー生成部530の一例を示す斜視図
【図6】ダウンフロー生成部531の一例を示す斜視図
【図7】ノズルユニット50の概略構成の一例を示す正面図および側面図
【図8】ノズルユニット50の概略構成の一例を示す上面図
【図9】排気部537を設けた概略構成の一例を示す上面図
【図10】ノズルユニット50以外の塗布装置1の部位に気体供給管538Lおよび538Rを固定して設けた一例を示す上面図
【図11】ボックス部532内部に多孔質部材534が設けられた液受部53の構造例を示す側断面図
【図12】従来の塗布装置のノズル102〜104と液受部105との位置関係を示す側面概要図
【図13】従来の液受部106の構造を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0032】
(第1の実施形態)
以下、図面を参照して、本発明の第1の実施形態に係る塗布装置1について説明する。説明を具体的にするために、塗布装置1が有機EL材料を含む塗布液を塗布して有機ELデバイスを製造する塗布装置に適用された例を用いて、以下の説明を行う。なお、本明細書における有機EL材料は、有機層(発光層、電荷輸送層、および電荷注入層等のうちで有機物を含む層)を形成する材料であり、例えば、有機層を形成する材料のうちで溶媒に可溶な材料である。塗布装置1は、有機EL材料を含む塗布液を、ステージ上に載置された被塗布体(例えば、ガラス基板)上に所定のパターン形状で塗布することによって有機層を形成して有機ELデバイスを製造するものである。図1(a)は、塗布装置1の要部概略構成の一例を示す平面図である。図1(b)は、塗布装置1の要部概略構成の一例を示す正面図である。なお、塗布装置1は、上述したように有機EL材料を含む塗布液を複数種類用いるが、それらの代表として発光層を形成する有機EL材料を含む塗布液を用いる例を説明する。
【0033】
図1において、塗布装置1は、大略的に、基板載置装置2および有機EL塗布機構5を備えている。有機EL塗布機構5は、ノズル移動機構部51と、ノズルユニット50と、液受部53Lおよび53Rとを有している。ノズル移動機構部51は、ガイド部材511が図示X軸方向に水平に延設されており、ノズルユニット50をガイド部材511に沿って図示X軸方向(主走査方向)に移動させる。ノズルユニット50は、赤、緑、および青色の何れか1色の有機EL材料を含む塗布液を吐出する複数のノズル52を並設した状態で保持する。なお、塗布装置1には、n本(例えば、10〜20本)のノズル52を並設することが可能であり、この場合、赤、緑、および青色の何れか1色の有機EL材料を含む塗布液をn本のノズル52から吐出することになる。以下においては、図1等に示すように3本のノズル52a、52b、および52cが塗布装置1に並設された例を用いて説明する。各ノズル52a〜52cへは、それぞれ供給部(図2参照)から赤、緑、および青色の何れか1色の有機EL材料を含む塗布液が供給される。このように、複数のノズル52から同じ色の有機EL材料を含む塗布液が吐出されるが、説明を具体的にするために赤色の有機EL材料が3本のノズル52a〜52cから吐出される例を用いる。
【0034】
基板載置装置2は、ステージ21、旋回部22、平行移動テーブル23、ガイド受け部24、およびガイド部材25を有している。ステージ21は、被塗布体となるガラス基板等の基板Pをそのステージ上面に載置する。ステージ21の下部は、旋回部22によって支持されており、旋回部22の回動動作によって図示θ方向にステージ21が回動可能に構成されている。また、ステージ21の内部には、有機EL材料が塗布された基板Pをステージ面上で予備加熱処理するための加熱機構や基板Pの吸着機構や受け渡しピン機構等が設けられている(何れも図示せず)。
【0035】
有機EL塗布機構5の下方を通るように、ガイド部材25が上記X軸方向と垂直な水平方向である図示Y軸方向に延設されて固定される。平行移動テーブル23の下面には、ガイド部材25と当接してガイド部材25上を滑動するガイド受け部24が固設されている。また、平行移動テーブル23の上面には、旋回部22が固設される。これによって、平行移動テーブル23が、例えばリニアモータ(図示せず)からの駆動力を受けてガイド部材25に沿った図示Y軸方向(副走査方向)に移動可能になり、平行移動テーブル23の移動によって旋回部22に支持されたステージ21が水平移動する。
【0036】
受け渡しピン機構を介してステージ21上に基板Pを載置し、当該基板Pを吸着固定して、平行移動テーブル23が有機EL塗布機構5の下方まで移動したとき、当該基板Pが赤色の有機EL材料を含む塗布液の塗布をノズル52a〜52cから受ける位置となる。そして、制御部(図2参照)がノズルユニット50をX軸方向に往復移動させるようにノズル移動機構部51を制御し、ステージ21をY軸方向へ当該直線移動毎に所定ピッチだけ移動させるように平行移動テーブル23を制御し、ノズル52a〜52cから所定流量の有機EL材料を含む塗布液を吐出させる。また、ノズル52a〜52cのX軸方向吐出位置において、ステージ21に載置された基板Pから逸脱する両サイド空間には、基板Pから外れて吐出された有機EL材料を含む塗布液を受ける液受部53Lおよび53Rがそれぞれ固設されている。ノズル移動機構部51は、基板Pの一方サイド外側に配設されている液受部53(例えば、液受部53L)の上部空間から、基板Pを横断して基板Pの他方サイド外側に配設されている液受部53(例えば、液受部53R)の上部空間まで、ノズルユニット50を往復移動させる。また、平行移動テーブル23は、ノズルユニット50が液受部53の上部空間に配置されている際、ノズル往復移動方向とは垂直の所定方向(図示Y軸方向)に所定ピッチだけステージ21を移動させる。このようなノズル移動機構部51および平行移動テーブル23の動作と同時にノズル52a〜52cから有機EL材料を含む塗布液を液柱状態で吐出することによって、赤色の有機EL材料を含む塗布液が基板P上にストライプ状の塗布列として形成される。
【0037】
次に、図2を参照して、塗布装置1における制御機能および供給部の概略構成について説明する。なお、図2は、塗布装置1の制御機能および供給部の一例を示すブロック図である。
【0038】
図2において、塗布装置1は、上述した構成部の他に、制御部3、供給部54を備えている。供給部54は、赤色の有機EL材料を含む塗布液をそれぞれノズル52a〜52cに分岐して供給する。
【0039】
供給部54は、有機EL材料を含む塗布液の供給源541と、供給源541から有機EL材料を含む塗布液を送り出すための加圧部542と、ノズル52a〜52cに分岐して供給されたそれぞれの有機EL材料を含む塗布液の流量を検出する流量計543a〜543cとを備えている。そして、制御部3は、供給部54、旋回部22、平行移動テーブル23、およびノズル移動機構部51のそれぞれの動作を制御する。なお、供給源541からノズル52a〜52cに至るそれぞれの配管は、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、フッ素樹脂等を材料とする管部材が用いられる。供給源541は、塗布装置1で塗布する有機EL材料を含む塗布液を貯留しており、例えば、柔軟性を有するパック内に当該有機EL材料を含む塗布液を貯留している。加圧部542は、供給源541を加圧することによって、供給源541に貯留された有機EL材料を含む塗布液を取り出してノズル52a〜52cへ流動させる。
【0040】
ノズル52aは、供給部54から供給された有機EL材料を含む塗布液中の異物を除去するためのフィルタ部529aを有している。ノズル52bは、供給部54から供給された有機EL材料を含む塗布液中の異物を除去するためのフィルタ部529bを有している。ノズル52cは、供給部54から供給された有機EL材料を含む塗布液中の異物を除去するためのフィルタ部529cを有している。なお、ノズル52a〜52cは、それぞれ同一の構造であるため、総称して説明する場合は参照符号「52」を付して説明を行う。
【0041】
ここで、一例として、赤色の有機EL材料を含む塗布液の塗布を受ける基板Pの表面には、有機EL材料を含む塗布液を塗布すべき所定のパターン形状に応じたストライプ状の溝が複数本並設されるように形成されていることがある。この場合、有機EL材料を含む塗布液としては、例えば、基板P上の溝内に拡がるように流動する程度の粘性を有する有機性のEL材料を含む塗布液が用いられ、具体的には各色毎の高分子タイプの有機EL材料を含む塗布液が用いられる。
【0042】
ノズルユニット50は、各ノズル52a〜52cの塗布ピッチ間隔を調整することができる。ノズルユニット50には、各ノズル52a〜52cが、図1中のX軸方向に関して略直線状に離れて配列されるとともに図1中のY軸方向に僅かにずれて配置される。隣接する2本のノズル52間のY軸方向に対する距離は、所望する塗布列の間隔に対応するように調整される。例えば、基板Pの表面に予め形成されているストライプ状の溝間ピッチの数倍(例えば、3倍など)に等しくされる。また、このような溝がない場合も、所望するストライプ状の塗布列の間隔に対応するように、ノズル52のY軸方向ピッチが同様に調整される。
【0043】
上述したノズル52のY軸方向ピッチを調整する構成は、様々考えられる。例えば、ノズル52a〜52cがそれぞれY軸方向(副走査方向)へ移動可能に構成することによって、各ノズル52のY軸方向ピッチを調整することが可能となる。他の例として、ノズルユニット50を所定の鉛直方向支持軸周りに回動自在に支持し、制御部3の制御によって当該支持軸周りにノズルユニット50を回動させることで、塗布ピッチ間隔を調整することができる。
【0044】
制御部3は、ステージ21に載置された基板Pの位置や方向に基づいて、基板Pに塗布列を形成する方向(例えば、基板Pに上記溝が形成されている場合、当該溝の方向)が上記X軸方向になるように旋回部22の角度を調整し、塗布のスタートポイント、すなわち、基板Pに塗布列を形成する一方の端部側で塗布を開始する塗布開始位置を算出する。なお、上記塗布開始位置は、一方の液受部53の上部空間となる。そして、制御部3は、上述したように平行移動テーブル23およびノズル移動機構部51を駆動させる。
【0045】
上記塗布開始位置において、制御部3は、各ノズル52a〜52cから有機EL材料を含む塗布液の吐出開始を加圧部542に指示する。このとき、制御部3は、ストライプ状の塗布列の各ポイントにおける有機EL材料を含む塗布液の塗布量が均一となり、液柱状態で有機EL材料が吐出されるように、ノズル52a〜52cの移動速度に応じてその塗布量を制御しており、流量計543a〜543cからの流量情報をフィードバックして制御する。そして、制御部3は、基板P上に有機EL材料を含む塗布液の塗布列を形成するために、有機EL材料を含む塗布液を基板P上に吐出しながらノズルユニット50をガイド部材511に沿わせて移動させるように制御する。この動作によって、液柱状態で各ノズル52a〜52cから吐出される赤色の有機EL材料を含む塗布液が同時に基板P上に塗布された塗布列が形成されていく。
【0046】
制御部3は、基板P上をノズルユニット50が横断して基板Pの他方端部の外側に固設されている他方の液受部53上に位置すると、ノズル52a〜52cからの有機EL材料を含む塗布液の吐出を継続したまま、ノズル移動機構部51によるノズルユニット50の移動を停止する。この1回の移動によって、有機EL材料を含む塗布液の塗布がノズル52の本数分の塗布列に対して同時に行われる。具体的には、同色の有機EL材料を含む塗布液を各ノズル52a〜52cから吐出する場合、3列毎に1列の塗布列を塗布対象とした合計3列分の塗布列に有機EL材料を含む塗布液が塗布される。
【0047】
次に、制御部3は、平行移動テーブル23をY軸正方向に所定距離だけピッチ送りして、次に塗布対象となる塗布列への有機EL材料を含む塗布液の塗布を行えるようにする。そして、制御部3は、他方の液受部53の上部空間からノズルユニット50を逆の方向へ基板P上を横断させて一方の液受部53上に位置すると、ノズル52a〜52cからの有機EL材料を含む塗布液の吐出を継続したまま、ノズル移動機構部51によるノズルユニット50の移動を停止する。この2回目の移動によって、次の3列分の塗布列への有機EL材料を含む塗布液の塗布が完了する。このような動作を繰り返すことによって、赤色の有機EL材料を含む塗布液が塗布された塗布列が形成される。
【0048】
次に、図3〜図6を参照して、液受部53について説明する。なお、図3は、液受部53の構造の一例を示す斜視図である。図4は、図3のD方向から見た液受部53の側面概要図である。図4は、ノズル52a〜52cから吐出される有機EL材料と液受部53との位置関係の一例を示す斜視図である。図6は、ノズル52a〜52cが移動した際の液受部53との位置関係の一例を示す斜視図である。なお、ステージ21に対して両サイドにある液受部53Lおよび53R(図1参照)は、共にステージ21を対称とした同一の構造を有しており、図3〜図6は、その一方を液受部53として示している。
【0049】
図3において、液受部53は、ボックス部532、上板部材533、およびボックス内吸引部536を備えている。
【0050】
ボックス部532は、例えばノズル移動機構部51(もしくは、固定的に設けられている部材)に連結され、ノズル移動機構部51との位置関係が常時固定されるように固設されている。ボックス部532は、上面が開放されたボックス形状を有しており、当該上面を覆うように上板部材533が設けられて閉じられている。上板部材533は、図示X軸方向を長手開口方向とするスリット開口部533aが形成されている。上板部材533は、ボックス部532の蓋のように取り付けられており、ボックス部532から取り外し可能にはめ込まれている。そして、上板部材533がボックス部532に取り付けられると、スリット開口部533aがボックス部532の内部空間と外部空間との開孔として機能する。
【0051】
上板部材533の上面は、ステージ21の上面と略同一の高さとなるように固設されている。ボックス部532および上板部材533のステージ21側の側面は、当該ステージ21近傍に所定の隙間を形成して固設される。そして、上板部材533の上面には、ステージ21の側面から図示X軸正方向へ一部がはみ出すように載置された基板P(図3においては、破線で示している)に対して、その一部がオーバラップして配置される。
【0052】
また、ボックス部532は、その側面中央位置等に吸引口が設けられ、ボックス内吸引部536が当該吸引口からボックス部532内部の気体や塗布液等を吸引する。そして、ボックス部532内部から吸引された気体や塗布液(ボックス部532内部に生じた液滴化した塗布液、ミスト状の塗布液、および液体状でボックス部532内部に吐出された塗布液を含む)は、ボックス内吸引部536によって上記吸引口から吸引され、排液タンク(図示せず)で回収される。
【0053】
次に、図4を参照して、ノズル52a〜52cと液受部53との位置関係について説明する。なお、図4では、主にノズル52a〜52c、液受部53、および基板Pを示しており、他の部位を省略して示している。また、液受部53については、ボックス部532および上板部材533のみ図示している。上述したように、基板Pに対して有機EL材料を含む塗布液を塗布する際、塗布開始および終了時点、あるいはX軸方向折返し時点等において、ノズル52a〜52cが液受部53の上部空間に配置される。このとき、ノズル52a〜52cは、液受部53の上方からスリット開口部533aに向けて液柱状態の有機EL材料を吐出している。
【0054】
液受部53の上部空間にノズル52a〜52cが移動したとき、当該ノズル52a〜52cから吐出される有機EL材料を含む塗布液がスリット開口部533aを通ってボックス部532の内部で受けられるように、液受部53が設けられている。つまり、ノズル52a〜52cがX軸方向へ基板P外に出る際、当該ノズル52a〜52cの各先端部(吐出口)の直下位置を全て含むようにスリット開口部533aが形成されている。したがって、ノズル52a〜52cの移動方向(X軸方向)とスリット開口部533aの長手形成方向(X軸方向)とは平行であり、ノズル52a〜52cの先端部に対する図示Z軸負方向(鉛直方向)にスリット開口部533aが形成されている。ここで、ノズル52a〜52cは、X軸方向の3列分の塗布列へ同時に有機EL材料を含む塗布液を塗布するために図示Y軸方向へ互いに若干ずれて配置される。スリット開口部533aは、これらのノズル52a〜52cから液柱状態で吐出される有機EL材料を含む塗布液を全て通す幅を有している。
【0055】
また、図4に示したようにノズル52a〜52cが液受部53の上部空間に配置されると、やがてノズル52a〜52cがX軸負方向である図示C方向へ高速に移動する。ノズル52a〜52cが液受部53の上部空間から図示C方向へ移動する際も、当該ノズル52a〜52cから吐出される有機EL材料を含む塗布液は、基板P上に吐出されるまで全てスリット開口部533aを液柱状態で通過してボックス部532に回収される。
【0056】
次に、図5を参照して、ダウンフロー生成部530の一例について説明する。なお、図5は、ダウンフロー生成部530の一例を示す斜視図である。
【0057】
図5において、液受部53の上方空間にダウンフロー生成部530が設けられる。ダウンフロー生成部530は、ノズルユニット50の移動を妨げない位置に固設される。ダウンフロー生成部530は、液受部53におけるスリット開口部533aに向かって、塗布装置1の外部から加圧して供給される気体(例えば、空気)を用いて、所定流量の局所的なダウンフローを形成する。なお、ダウンフロー生成部530は、液受部53Lの上方空間と、液受部53Rの上方空間とにそれぞれ設けられる。
【0058】
ここで、ノズルユニット50(ノズル52a〜52c)が液受部53の直上位置から基板Pの方向へ向かう図示C方向へ高速移動する場合、その速度に応じて液滴化した塗布液やさらに分裂した微細なミスト状の塗布液が、液受部53内部に浮遊する。そして、高速移動するノズルユニット50の後方(図5においては、ノズルユニット50のX軸正方向側)の空間が負圧状態となるため、液受部53内部に浮遊する液滴化した塗布液やミスト状の塗布液がスリット開口部533aから負圧空間へ吸い上げられることが考えられる。しかしながら、ダウンフロー生成部530からスリット開口部533aに向かって、所定流量の局所的なダウンフローが形成されているため、上記負圧空間におけるスリット開口部533a付近の負圧状態が軽減される。例えば、スリット開口部533a付近における空間の負圧状態がキャンセルできる線速度で、ダウンフロー生成部530が気体をダウンフローすることによって、スリット開口部533aから高速移動するノズルユニット50の後方へ液受部53内部に浮遊する液滴化した塗布液やミスト状の塗布液が吸い上げられることを防止することができる。なお、スリット開口部533a付近における空間の負圧状態をキャンセルした状態とは、例えば、液受部53内部の圧力よりスリット開口部533a付近における空間の圧力が高い状態や、スリット開口部533a付近における空間の状態が大気圧以上となった状態を示している。これによって、液受部53内部からそれぞれ浮遊した塗布液が、基板P上に落下して上面に付着することによる塗布不良を防止することができる。
【0059】
ノズルユニット50が高速でX軸方向(主走査方向)に往復移動することを考慮して、ノズルユニット50の当該往復移動における位置とは無関係に、ダウンフロー生成部530がそれぞれ常にダウンフローを生成した状態を継続する。なお、少なくともノズルユニット50が液受部53の直上位置から基板Pの方向へ移動する場合に液受部53に対してダウンフローが形成されるのであれば、ノズルユニット50の当該往復移動における位置に応じて、ダウンフロー生成部530がそれぞれダウンフローの生成をオン/オフして切り替えてもかまわない。
【0060】
なお、ダウンフロー生成部530は、液受部53におけるスリット開口部533aに向かって、局所的なダウンフローを形成している例を用いたが、ノズルユニット50が液受部53の直上位置から基板P上へ向かう際の後方へ局所的なダウンフローを形成するのであれば、他の位置にダウンフローを形成してもかまわない。第1の例として、ダウンフロー生成部は、スリット開口部533aのうち、基板Pと重複していない当該開口部の少なくとも一部分に向かって局所的なダウンフローを形成してもいいし、液受部53全体(例えば、上板部材533全体)や液受部53の一部に対して局所的なダウンフローを形成してもかまわない。
【0061】
第2の例として、ダウンフロー生成部は、液受部53の上方空間と基板Pの上方空間との境界面に沿って、局所的なダウンフロー(例えば、エアーカーテン)を形成してもかまわない。例えば、図6に示すように、液受部53の上方空間と基板Pの上方空間との境界面に沿って、局所的なダウンフロー(エアーカーテン)を形成するダウンフロー生成部531を設けている。例えば、ダウンフロー生成部531は、液受部53の上方空間と基板Pの上方空間との境界面の上方となるノズルユニット50の移動を妨げない位置に固設される。ダウンフロー生成部531は、液受部53上に配置された基板Pの端部に向かって、塗布装置1の外部から加圧して供給される気体(例えば、空気)を用いて、所定流量の局所的なダウンフロー(エアーカーテン)を形成する。なお、ダウンフロー生成部531は、液受部53Lの上方空間と、液受部53Rの上方空間とにそれぞれ設けられる。第2の例では、液受部53内部に浮遊する液滴化した塗布液やミスト状の塗布液がスリット開口部533aから外部へ浮遊したとしても、ダウンフロー生成部531が形成するダウンフロー(エアーカーテン)で遮られて液受部53の上方空間から基板Pの上方空間へ浮遊した塗布液が進入することがないため、当該塗布液が基板P上に落下して上面に付着することによる塗布不良を防止することができる。
【0062】
なお、上述した第1の例および第2の例においては、少なくともノズルユニット50が液受部53の直上位置から基板Pの方向へ移動する場合に液受部53に対してダウンフローが形成されるのであれば、ノズルユニット50の当該往復移動における位置に応じて、ダウンフロー生成部がそれぞれダウンフローの生成をオン/オフして切り替えてもかまわない。また、ノズルユニット50が高速でX軸方向(主走査方向)に往復移動することを考慮して、ノズルユニット50の当該往復移動における位置とは無関係に、ダウンフロー生成部がそれぞれ常にダウンフローを生成した状態を継続してもかまわない。
【0063】
(第2の実施形態)
以下、図面を参照して、本発明の第2の実施形態に係る塗布装置について説明する。第2の実施形態に係る塗布装置は、上述した第1の実施形態に係る塗布装置に対して、高速移動するノズルユニット50の後方に気体を供給する機構が異なるのみである。したがって、以下の説明については、主に第2の実施形態における気体供給機構について説明し、第1の実施形態に係る塗布装置と同様の構成については、同一の参照符号を付して詳細な説明を省略する。
【0064】
次に、図7および図8を参照して、ノズルユニット50の構造について説明する。なお、図7(a)は、ノズルユニット50の概略構成の一例を示す正面図である。図7(b)は、ノズルユニット50の概略構成の一例を示す側面図である。図8は、ノズルユニット50の概略構成の一例を示す上面図である。
【0065】
図7および図8において、ノズルユニット50は、ノズル移動機構部51によってガイド部材511に沿ったX軸方向(図1参照)に往復移動等するノズルホルダ520を備えている。ノズルホルダ520は、例えばL字型形状の板状部材で構成され、水平方向に延設された底面がステージ21の上面と平行になるように配置される。そして、ノズルホルダ520は、上記底面で3本のノズル52a〜52cを支持する。
【0066】
また、ノズルホルダ520には、気体供給機構支持部材524が固設されている。気体供給機構支持部材524は、例えばL字型形状の板状部材で構成され、水平方向に延設された底面がノズル52a〜52cの上方空間においてノズルホルダ520の底面と平行になるように固設される。
【0067】
気体供給機構支持部材524には、気体供給管521Lおよび521Rと電磁弁523とが固設される。気体供給管521Lは、電磁弁523を介して、塗布装置1の外部から加圧して供給される気体(例えば、空気)をノズルユニット50のX軸負方向側へ所定流量で排出する。具体的には、図7(b)に示されているように、気体供給管521Lが上記気体を排出する排出口は、ノズル52a〜52cの上方に設けられ、典型的には上記ノズル往復移動方向にノズル52a〜52cが往復移動する移動軸の直上となる位置に設置される。また、気体供給管521Rは、電磁弁523を介して、上記気体をノズルユニット50のX軸正方向側へ所定流量で排出する。具体的には、気体供給管521Rも気体供給管521Lと同様に、気体供給管521Rが上記気体を排出する排出口がノズル52a〜52cの上方に設けられ、典型的には上記ノズル往復移動方向にノズル52a〜52cが往復移動する移動軸の直上となる位置に設置される。
【0068】
電磁弁523は、気体供給管521Lの上記気体の流路および気体供給管521Rの上記気体の流路をそれぞれ開閉して、気体供給管521Lによる上記気体の排出および気体供給管521Rによる上記気体の排出を切り替える。なお、電磁弁523は、制御部3の制御によってその開閉動作が制御され、ノズルユニット50から気体を排出する切り替えを行う。
【0069】
例えば、図8に示すように、ノズルユニット50が液受部53Rの直上位置から基板Pの方向へ向かう図示C方向に移動する場合、制御部3は、気体供給管521Rから上記気体がX軸正方向側へ排出されるように、電磁弁523の開閉を切り替える。また、ノズルユニット50が液受部53L(図1参照)の直上位置から基板Pの方向へ向かって移動する場合、制御部3は、気体供給管521Lから上記気体がX軸負方向側へ排出されるように、電磁弁523の開閉を切り替える。このような制御部3の気体供給制御によって、ノズルユニット50(ノズル52a〜52c)が液受部53の直上位置から基板P側へ移動する場合、ノズルユニット50の移動方向に対する後方へ、当該移動方向とは逆方向に上記気体を排出することになる。
【0070】
ここで、ノズルユニット50(ノズル52a〜52c)が図示C方向へ高速移動する場合、その速度に応じて液滴化した塗布液やさらに分裂した微細なミスト状の塗布液が、液受部53R内部に浮遊する。そして、高速移動するノズルユニット50の後方(具体的には、ノズルユニット50のX軸正方向側)の空間が負圧状態となるため、液受部53R内部に浮遊する液滴化した塗布液やミスト状の塗布液がスリット開口部533aから負圧空間へ吸い上げられることが考えられる。しかしながら、ノズルユニット50が液受部53Rの直上位置から図示C方向(基板Pの方向)へ移動する場合、上記負圧空間へ当該移動方向とは逆方向に気体供給管521Rから気体が排出される。したがって、気体供給管521Rから排出される気体によって、上記負圧空間における負圧状態が軽減され、スリット開口部533aから高速移動するノズルユニット50の後方へ液受部53R内部に浮遊する液滴化した塗布液やミスト状の塗布液が吸い上げられることを防止することができる。また、ノズルユニット50が液受部53Lの直上位置から基板Pの方向へ移動する場合、高速移動するノズルユニット50の後方へ、当該移動方向とは逆方向に気体供給管521Lから気体が排出される。したがって、気体供給管521Lから排出される気体によって、ノズルユニット50の後方における負圧状態が軽減され、スリット開口部533aから高速移動するノズルユニット50の後方へ液受部53R内部に浮遊する液滴化した塗布液やミスト状の塗布液が吸い上げられることを防止することができる。これによって、液受部53Lおよび53R内部からそれぞれ浮遊した塗布液が、基板P上に落下して上面に付着することによる塗布不良を防止することができる。
【0071】
なお、ノズルユニット50が高速でX軸方向(主走査方向)に往復移動することを考慮して、ノズルユニット50の当該往復移動における位置に応じて大きく2種類に大別して、電磁弁523による上記気体の流路の切り替えを行ってもかまわない。例えば、ノズルユニット50が往復移動する中間点(すなわち、液受部53Lと液受部53Rとの中間位置)を基準として、電磁弁523による上記気体の流路の切り替えを行う。具体的には、ノズルユニット50が上記中間点に対して液受部53L側に位置している場合、制御部3が電磁弁523を制御して気体供給管521Lからのみ気体を排出する。一方、ノズルユニット50が上記中間点に対して液受部53R側に位置している場合、制御部3が電磁弁523を制御して気体供給管521Rからのみ気体を排出する。他にも電磁弁523によって上記気体の流路を切り替えるタイミングが考えられるが、少なくともノズルユニット50が液受部53Lの直上位置から基板Pの方向へ移動する場合に気体供給管521Lから気体が排出され、ノズルユニット50が液受部53Rの直上位置から基板Pの方向へ移動する場合に気体供給管521Rから気体が排出されるようにすれば、他のタイミングで上記気体の流路を切り替えてもかまわない。
【0072】
また、上述した負圧空間における気体を吸引する排気部537を、塗布装置1にさらに設けてもかまわない。例えば、図9に示すように、液受部53RのX軸正方向側に、液受部53Rの上部空間の気体を吸引する排気部537Rが設けられる。これによって、液受部53R上方の気体が排気部537Rに吸引されるため、液受部53Rの上方空間を介して、気体供給管521Rから排出された気体が排気部537Rに導かれる気体の流れが形成される。したがって、液受部53R内部に浮遊する液滴化した塗布液やミスト状の塗布液がスリット開口部533aから外部へ浮遊したとしても、当該塗布液が排気部537Rで吸引されるので、液受部53R内部から浮遊した塗布液が、基板P上に落下して上面に付着することによる塗布不良を防止することができる。また、排気部537Rと同様に、液受部53LのX軸負方向側にも液受部53Lの上部空間の気体を吸引する排気部537Lが設けられる。これによって、液受部53L上方の気体が排気部537Lに吸引されるため、液受部53Lの上方空間を介して、気体供給管521Lから排出された気体が排気部537Lに導かれる気体の流れが形成される。したがって、液受部53L内部に浮遊する液滴化した塗布液やミスト状の塗布液がスリット開口部533aから外部へ浮遊したとしても、当該塗布液が排気部537Lで吸引されるので、液受部53L内部から浮遊した塗布液が、基板P上に落下して上面に付着することによる塗布不良を防止することができる。
【0073】
また、上述した説明では、気体供給管521Lおよび521Rの排出口を共に、ノズル往復移動方向にノズル52a〜52cが往復移動する移動軸の直上となるノズル52a〜52cの上方に設けたが、他の位置に気体供給管521Lおよび521Rの排出口を設けてもかまわない。高速移動するノズルユニット50の後方(具体的には、ノズルユニット50のX軸正方向側またはX軸負方向側)となって負圧状態となる液受部53Lおよび53Rの上方空間へそれぞれ気体を供給できる位置であれば、他の位置に気体供給管521Lおよび521Rの排出口を設けてもかまわない。
【0074】
第1の例として、上記移動軸の直上位置以外の位置を含むノズル52a〜52cの近傍に、気体供給管521Lおよび521Rの排出口をそれぞれ設ける。このように、ノズル52a〜52cの近傍であれば、上記直上位置と同様に高速移動するノズルユニット50の後方となって負圧状態となる液受部53Lおよび53Rの上方空間へそれぞれ気体を供給できることは言うまでもない。
【0075】
第2の例として、ノズルユニット50以外の塗布装置1の部位に気体供給管538Lおよび538Rを固定して、上記上方空間に気体を供給する排気口をそれぞれ設ける。例えば、図10に示すように、液受部53Rの上方空間に気体を供給する気体供給管538Rを、ノズルユニット50の移動を妨げない位置に固設する。具体的には、液受部53Rに対してX軸負方向側であり、かつ、ノズルユニット50の往復移動空間に対してY軸正方向側であり、かつ、Z軸方向に対してノズルユニット50と同等となる高さとなる位置に気体供給管538Rを固設する(図10に示す態様)。この場合、気体供給管538Rは、液受部53Rの上方空間に対してX軸負方向およびY軸正方向側となる位置から当該上方空間へ気体を排出する。これによって、気体供給管538Rは、高速移動するノズルユニット50の後方となって負圧状態となる液受部53Rの上方空間へ気体を供給することができる。また、気体供給管538Rと同様に左右対称の設置関係となるように、液受部53Lの上方空間に対して気体供給管538Lを設ける。これによって、気体供給管538Lは、高速移動するノズルユニット50の後方となって負圧状態となる液受部53Lの上方空間へ気体を供給することができる。
【0076】
また、他の例として、液受部53Rに対してX軸負方向側であり、かつ、ノズルユニット50の往復移動空間に対してY軸負方向側であり、かつ、Z軸方向に対してノズルユニット50と同等となる高さとなる位置に気体供給管を固設してもよい。この場合、上記気体供給管は、液受部53Rの上方空間に対してX軸負方向およびY軸負方向側となる位置から当該上方空間へ気体を排出する。これによって、上記気体供給管は、高速移動するノズルユニット50の後方となって負圧状態となる液受部53Rの上方空間へ気体を供給することができる。また、上記気体供給管と同様に左右対称の設置関係となるように、液受部53Lの上方空間に対して別の気体供給管を設ける。これによって、別の気体供給管は、高速移動するノズルユニット50の後方となって負圧状態となる液受部53Lの上方空間へ気体を供給することができる。
【0077】
また、液受部53の上方空間を介して、上記第2の例における気体供給管の排出口と対向する位置に、排気部539を設けてもかまわない。例えば、図10に示すように、液受部53Rの上方空間に対してX軸負方向およびY軸正方向側となる位置から当該上方空間へ気体を排出する気体供給管538Rに対して、液受部53Rの上方空間に対してY軸負方向側となる位置に、当該上方空間の気体を吸引する排気部539Rを固設する。これによって、液受部53Rの上方空間を介して、気体供給管538Rから排出された気体が排気部539Rに導かれる気体の流れが形成される。したがって、液受部53R内部に浮遊する液滴化した塗布液やミスト状の塗布液がスリット開口部533aから外部へ浮遊したとしても、当該塗布液が排気部539Rで吸引されるので、液受部53R内部から浮遊した塗布液が、基板P上に落下して上面に付着することによる塗布不良を防止することができる。
【0078】
また、上述した第1の実施形態および第2の実施形態においては、塗布装置1の外部から加圧して供給される空気を、高速移動するノズルユニット50の後方へ供給する例を用いたが、他の気体を供給してもかまわない。例えば、窒素等、基板Pへ塗布する塗布環境に影響を与えない気体であれば、他の気体を供給してもかまわない。また、塗布装置1では、基板P上でのノズル52a〜52cの高速移動を可能にするために、ガイド部材511とノズルユニット50との間に静圧軸受(例えば、空気静圧軸受)が構成されることがある。この場合、ノズルユニット50に供給される上記静圧軸受用の気体(例えば、空気や窒素)の一部を、気体供給管521Lおよび521Rから排出するようにすることも可能である。
【0079】
また、上述した実施形態では、液受部53の上面にスリット開口部533aを形成する例を示したが、他の態様の開口部が液受部53の上面に形成されていてもかまわない。例えば、液受部53の上面全面が開口した態様(すなわち、上板部材533がない態様)であってもかまわない。この場合、第1の実施形態におけるダウンフロー生成部530は、液受部53の上面全体に対して局所的なダウンフローを形成することになる。
【0080】
また、上述した実施形態において、ボックス部532内部に多孔質部材534を設けた液受部53が設けられている塗布装置1であっても、本発明を適用することができる。なお、図11は、ボックス部532内部に多孔質部材534が設けられた液受部53の構造例を示す側断面図である。
【0081】
図11に示すように、ボックス部532の内部には、板状の多孔質部材534が設けられる。多孔質部材534は、所定の割合で気孔を有する硬質な板状ポーラス材で構成される。そして、多孔質部材534は、上板部材533がない態様のボックス部532の上面開口部を全て覆うように、ボックス部532の内部の上方に設置される。つまり、多孔質部材534の下方には、ボックス部532の内部の空間が形成され、当該空間内の気体や塗布液等がボックス内吸引部536の吸引口から吸引される。したがって、多孔質部材534の上面に有機EL材料を含む塗布液が吐出された場合、多孔質部材534に形成されている気孔を介して、ボックス部532の内部の上記空間へ当該塗布液が流動する。そして、上記空間へ流動した塗布液は、ボックス内吸引部536の吸引口から吸引されて塗布装置1の外部へ排出される。このような、多孔質部材534がボックス部532内部に設けられた液受部53を用いた塗布装置1であっても、多孔質部材534の上面から上方へミスト状の塗布液が舞い上がって基板Pに付着することを防止するために、本発明が適用可能であることは言うまでもない。なお、多孔質部材534がボックス部532内部に設けられた液受部53に対して、第1の実施形態におけるダウンフロー生成部530を用いる場合は、図11に示すように液受部53の上面全体(すなわち、多孔質部材534の上面全面)に対して、局所的なダウンフローを形成することになる。
【0082】
また、上述した実施形態では、ノズルユニット50がX軸方向に直線移動する毎に、ステージ21をY軸方向へ所定ピッチだけ移動させて、ノズルユニット50とステージ21との当該Y軸方向に対する相対的な位置関係を変化させているが、本発明はこれに限らない。例えば、ノズルユニット50がX軸方向に直線移動する毎に、当該ノズルユニット50をY軸方向へ所定ピッチだけ移動(つまり、有機EL塗布機構5がY軸方向へ移動)させて、ノズルユニット50とステージ21との当該Y軸方向に対する相対的な位置関係を変化させてもかまわない。この場合、液受部53は、有機EL塗布機構5と共にY軸方向へ所定ピッチだけ移動する。
【0083】
また、上述した実施形態では、発光層を形成する有機EL材料を含む塗布液を塗布装置1が基板Pに塗布する例を用いたが、赤色発光の高分子有機EL材料、緑色発光の高分子有機EL材料、および青色発光の高分子有機EL材料を含む塗布液をそれぞれ塗布できることは言うまでもない。また、本発明の塗布装置1は、有機発光層材料の他に、正孔輸送層材料、正孔注入層材料、電子輸送層材料、および電子注入層材料等の他の有機EL材料を含む塗布液を塗布する場合にも用いることができる。
【0084】
具体的には、上述した実施形態における塗布装置1が、赤、緑、および青色発光のうち、赤色発光の高分子有機EL材料を含む塗布液を塗布する場合、この塗布工程は、有機ELデバイスを製造する途中工程である。有機ELデバイスを製造する場合、正孔注入層材料塗布、正孔輸送材料(例えば、PEDOT等)塗布、赤色発光の有機EL材料塗布、緑色発光の有機EL材料塗布、青色発光の有機EL材料塗布、電子輸送材料塗布、電子注入層材料塗布等の塗布工程があるが、本発明の塗布装置は、何れの塗布工程でも用いることができる。
【0085】
また、複数のノズル52から赤、緑、および青色の有機EL材料をそれぞれ同時に吐出してもかまわない。この場合、赤、緑、および青色の3色が配列された、いわゆる、ストライプ配列が1つの塗布工程で形成される。
【0086】
また、上述した塗布装置1の各構成要素の形状、数、および設置位置等は、単なる一例に過ぎず他の形状、数、および設置位置であっても、本発明を実現できることは言うまでもない。
【0087】
また、上述した実施形態では、被塗布体の一例としてガラス基板を用いたが、他の部材を被塗布体にすることもできる。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリカーボネート(PC)等で構成される柔軟性を有した基板を、塗布装置1の被塗布体にしてもかまわない。
【0088】
また、上述した実施形態では、塗布液として有機EL材料を含む塗布液等を塗布する有機EL表示装置の製造装置を一例にして説明したが、本発明は他の塗布装置にも適用できる。例えば、レジスト液やSOG(Spin On Glass)液やPDP(プラズマディスプレイパネル)を製造するのに使用される蛍光材料を塗布する装置にも適用することができる。また、液晶カラーディスプレイをカラー表示するために液晶セル内に構成されるカラーフィルタを製造するために使用される色材を塗布する装置にも適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明に係る塗布装置は、塗布液を基板に塗布する際、基板外に吐出される塗布液が当該基板へ影響することを防止することができ、基板に対して液柱状態の塗布液を塗布する装置等として有用である。
【符号の説明】
【0090】
1…塗布装置
2…基板載置装置
21…ステージ
22…旋回部
23…平行移動テーブル
24…ガイド受け部
25、511…ガイド部材
3…制御部
5…有機EL塗布機構
50…ノズルユニット
51…ノズル移動機構部
52…ノズル
520…ノズルホルダ
521、538…気体供給管
523…電磁弁
524…気体供給機構支持部材
529…フィルタ部
53…液受部
530、531…ダウンフロー生成部
532…ボックス部
533…上板部材
534…多孔質部材
536…ボックス内吸引部
537、539…排気部
54…供給部
541…供給源
542…加圧部
543…流量計

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に塗布液を塗布する塗布装置であって、
その先端部から前記塗布液を吐出するノズルと、
前記基板をその上面に載置するステージと、
前記ステージ上の空間において、当該ステージ面を横断する方向に前記ノズルを往復移動させるノズル移動機構と、
前記横断する方向に沿って前記ステージ上から外れた位置に前記ノズルより前記塗布液を吐出させつつ前記ノズル移動機構が当該ノズルを移動させる際、当該ノズルから前記ステージ外に吐出された前記塗布液を受ける液受部と、
少なくとも前記横断する方向に沿って前記液受部上の位置から前記ステージ上へ前記ノズルより前記塗布液を吐出させつつ前記ノズル移動機構が当該ノズルを移動させる状態において、当該ノズルが移動する方向に対して当該ノズルの後方となる空間に所定の気体を供給する気体供給機構とを備える、塗布装置。
【請求項2】
前記気体供給機構は、前記液受部の上方から当該液受部の上面に向かって局所的に前記気体を供給する、請求項1に記載の塗布装置。
【請求項3】
前記液受部は、前記横断する方向に沿って前記ステージ上から外れた位置に配置された前記ノズルの先端部から鉛直下方向となる位置に当該横断する方向と平行のスリット状の開口が上面に形成され、当該開口を通して前記ノズルから吐出された塗布液を回収し、
前記気体供給機構は、前記液受部の上方から当該液受部の前記開口に対して局所的に前記気体を供給する、請求項2に記載の塗布装置。
【請求項4】
前記気体供給機構は、前記ノズル近傍から前記後方となる空間に向かって前記気体を供給する、請求項1に記載の塗布装置。
【請求項5】
前記気体供給機構は、
前記ノズル近傍に設けられ、前記横断する方向に沿った一方方向へ前記気体を供給する第1気体供給管と、
前記ノズル近傍に設けられ、前記横断する方向に沿った他方方向へ前記気体を供給する第2気体供給管とを含み、
前記液受部は、
前記横断する方向に沿った前記一方方向の前記ステージ外に設けられる第1液受部と、
前記横断する方向に沿った前記他方方向の前記ステージ外に設けられる第2液受部とを含み、
前記気体供給機構は、少なくとも前記第1液受部上の位置から前記ステージ上へ前記ノズルが移動する場合に前記第1気体供給管から前記気体を供給し、少なくとも前記第2液受部上の位置から前記ステージ上へ前記ノズルが移動する場合に前記第2気体供給管から前記気体を供給する、請求項4に記載の塗布装置。
【請求項6】
前記第1気体供給管および前記第2気体供給管は、前記ノズル移動機構によって当該ノズルと共に前記横断する方向に往復移動する、請求項5に記載の塗布装置。
【請求項7】
前記第1気体供給管および前記第2気体供給管は、それぞれ前記横断する方向に沿って移動する前記ノズルの往復移動軸に対して直上となる位置に前記気体を排出する排出口が配置されるように固設され、前記ノズル移動機構によって当該ノズルと共に前記横断する方向に往復移動する、請求項6に記載の塗布装置。
【請求項8】
少なくとも前記気体供給機構による前記気体の供給動作を制御する制御部を、さらに備え、
前記制御部は、前記往復移動における中間点を基準として、前記ノズルが前記一方方向側に位置している場合、前記第1気体供給管を介して前記気体を供給して、前記第2気体供給管からの前記気体の供給を閉止し、
前記制御部は、前記中間点を基準として、前記ノズルが前記他方方向側に位置している場合、前記第2気体供給管を介して前記気体を供給して、前記第1気体供給管からの前記気体の供給を閉止する、請求項6に記載の塗布装置。
【請求項9】
前記気体供給機構が前記気体を排出して供給する排出口に前記液受部の上方空間を介して対向する位置に設けられ、当該上方空間の気体を吸引する排気部を、さらに備える、請求項4乃至8の何れか1つに記載の塗布装置。
【請求項10】
前記気体供給機構は、前記液受部の上方空間と前記ステージの上方空間との境界面に沿って、上方から局所的に前記気体を供給する、請求項1に記載の塗布装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−214305(P2010−214305A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−65100(P2009−65100)
【出願日】平成21年3月17日(2009.3.17)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】