説明

塗布面観察のための塗布シートの保持方法

【課題】塗布シートをシワやタルミなく略平面状に保持することにより、塗布面の表面観察を容易にする。
【解決手段】固定台20は、基面21から突出し、第1方向に沿って延びる、平滑な上面31を有する凸条30と、凸条に対して第1方向と直交する第2方向の両側に形成された第1吸引孔とを備える。塗布面を基面とは反対側に向けて、凸条及び第1吸引孔を覆うように塗布シートを基面上に載置し、塗布シートを第1吸引孔に吸引して塗布シートを凸条の上面に密着させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、柔軟な塗布シートの塗布面を観察するために塗布シートを固定する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
樹脂等からなる柔軟なシートの表面に塗布層を形成して塗布シートを製造した場合、品質管理等の目的で当該塗布層の表面(即ち、塗布面)を観察することがしばしば行われる。
【0003】
例えば、磁気記録媒体の分野においては、塗布層である磁性層の表面に存在する突起、塗料抜け、凹みなどのいわゆる塗膜欠陥は、記録時あるいは再生時においてドロップアウトや再生出力又はS/Nの低下を引き起こし、記録媒体としての機能を大きく損なう。それゆえ、磁性層表面の塗膜欠陥は、磁気記録媒体の製造工程のできる限り上流において発見して、適切な対処をすることが重要である。
【0004】
塗膜欠陥を発見するためには、磁性層の表面を観察することが必要である。一般に,磁気記録テープの製造においては、最終製品の形態であるテープ状に裁断する前の、磁性層が塗布された広幅のシート(一般に、「原反」と呼ばれる)の段階で磁性層の表面を観察することが望ましい。原反の塗膜欠陥の種類や程度に応じて適切に対処することで、材料や時間の無駄を低減することが可能であるからである。
【0005】
特許文献1には、磁気テープを、ガイドプレート上を走行させながら、磁気テープの磁性層表面に光を照射して磁性層の欠陥を検出する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−127010号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の欠陥の検出方法は、原反をテープ状に細く裁断した磁気テープに対するものである。この方法を、裁断する前の原反に適用すると、原反は磁気テープに比べて格段に大きな幅を有しているので、原反をシワやタルミなく走行させることが困難であり、精度よく磁性層表面の欠陥を検出することは困難である。
【0008】
従って、原反を、走行させるのではなく、原反と同等の幅を有する平板上に載置して、静止状態で磁性層表面を観察することが考えられる。
【0009】
ところが、原反を平板上に単に載置しただけでは、原反と平板との間の空気を完全に排出することができず、原反を平面状態に保持することは困難である。原反の平面状態が悪いと、原反の磁性層表面を精度よく観察することはできない。
【0010】
一方、平板を例えば連続気泡を有する多孔質体で構成し、多孔質体の表面に原反を吸引すれば、原反と平板との間の空気を排出することは可能である。ところが、原反の表面に、多孔質体の表面の凹凸に起因する凹凸が反映されてしまうので、やはり原反の磁性層表面を精度よく観察することはできない。多孔質体の連続気泡のサイズを小さくすればこの問題は低減されるが、連続気泡が目詰まりしやすくなるので、クラス100以下のクリーンルーム等の清浄な雰囲気で観察することが必要となり、磁気記録媒体の通常の製造環境には不向きである。
【0011】
近年は、磁気テープカセットに対する高密度化及び高容量化に対する要求はますます高くなり、そのために、磁性層表面の欠陥に対する要求水準は高くなり、また、磁気テープの全厚は薄くなりつつある。より微細な欠陥を短時間に正確に発見するためには原反をより平面状保持する必要があるが、原反をシワやタルミなく平面状に保持することは、原反の全厚が薄くなればなるほど困難である。
【0012】
本発明は、上記の従来の問題を解決し、塗布シートをシワやタルミなく略平面状に保持することにより、塗布面の表面観察を容易にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、塗布シートの塗布面を観察するために前記塗布シートを固定台の基面上に保持する方法に関するものである。前記固定台は、前記基面から突出し、第1方向に沿って延びる、平滑な上面を有する凸条と、前記凸条に対して前記第1方向と直交する第2方向の両側に形成された第1吸引孔とを備える。前記塗布面を前記基面とは反対側に向けて、前記凸条及び前記第1吸引孔を覆うように前記塗布シートを前記基面上に載置し、前記塗布シートを前記第1吸引孔に吸引して前記塗布シートを前記凸条の前記上面に密着させる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、第1吸引孔で塗布シートを吸引することにより塗布シートに張力を印加し、この張力によって塗布シートを凸条の上面に密着させる。従って、薄く、コシがない塗布シートであっても、塗布シートを凸条の平滑な上面上にシワやタルミなく略平面状に保持することができる。よって、塗布面の観察を短時間に正確に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本発明の実施形態1にかかる塗布シートの保持方法を実施するための装置の概略構成を示した図である。
【図2】図2は、本発明の実施形態1にかかる固定台の斜視図である。
【図3】図3は、本発明の実施形態1にかかる固定台の平面図である。
【図4】図4は、図3の4−4線を含む面に沿った、本発明の実施形態1にかかる固定台の凸条の拡大断面図である。
【図5】図5は、本発明の実施形態1において、磁気シートが第1吸引孔及び第2吸引孔に吸引される様子を示した拡大断面図である。
【図6】図6は、本発明の実施形態2にかかる固定台の凸条の拡大断面図である。
【図7】図7は、本発明の実施形態3にかかる固定台の平面図である。
【図8】図8は、図7の8−8線を含む面に沿った、本発明の実施形態3にかかる固定台の凸条の拡大断面図である。
【図9】図9は、本発明の実施形態3において、磁気シートが第1吸引孔及び第2吸引孔に吸引される様子を示した拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の上記の塗布シートの保持方法において、前記凸条は、前記上面に対して前記第2方向の両側に、前記上面に隣接して傾斜面を備えることが好ましい。この好ましい構成は、塗布シートを凸条の上面にシワやタルミなく略平面状に保持するのに有利である。
【0017】
前記凸条は、前記傾斜面に隣接して、前記基面に対して略垂直な垂直面を備えることが好ましい。かかる好ましい構成によれば、より大きな張力を塗布シートに発生させることができるので、塗布シートを凸条の上面にシワやタルミなく略平面状に保持するのに更に有利である。
【0018】
前記第1吸引孔は、前記凸条の下端に接していることが好ましい。かかる好ましい構成によれば、より大きな張力を塗布シートに発生させることができるので、塗布シートを凸条の上面にシワやタルミなく略平面状に保持するのに更に有利である。
【0019】
前記第1方向に沿って延びた溝が、前記凸条に隣接して前記基面に形成されていることが好ましい。この場合、前記第1吸引孔は前記溝の底面に形成されていることが好ましい。かかる好ましい構成によれば、より大きな張力を塗布シートに発生させることができるので、塗布シートを凸条の上面にシワやタルミなく略平面状に保持するのに更に有利である。
【0020】
前記第1吸引孔の平面視形状は、直径が2.5mm以下の円形状又は幅が1mm以下のスロット形状であることが好ましい。かかる好ましい構成によれば、塗布シートにシワを発生させることなく、適度な張力を印加することができる。
【0021】
前記第1吸引孔よりも前記凸条から遠い位置に第2吸引孔が形成されていることが好ましい。この場合、前記塗布シートを前記第2吸引孔に吸引することが好ましい。かかる好ましい構成によれば、第1吸引孔が塗布シートを吸引した状態で固定台を移動させるときの振動によって、塗布シートが第1吸引孔に対して位置ズレしたり、第1吸引孔から離れたりするのを防止することができる。
【0022】
前記第1方向に沿って延びた溝が、前記凸条に隣接して前記基面に形成されていることが好ましい。この場合、前記第2吸引孔は前記溝の底面に形成されていることが好ましい。かかる好ましい構成によれば、より大きな張力を塗布シートに発生させることができるので、塗布シートを凸条の上面にシワやタルミなく略平面状に保持するのに更に有利である。
【0023】
前記第2吸引孔の平面視形状は、直径が2.5mm以下の円形状又は幅が1mm以下のスロット形状であることが好ましい。かかる好ましい構成によれば、塗布シートにシワを発生させることなく、塗布シートを固定台に保持することができる。
【0024】
前記凸条の前記上面の表面粗さが、Ra≦0.05μm且つRmax≦0.2μmを満足することが好ましい。かかる好ましい構成によれば、凸条の上面に密着させた塗布シートの塗布面に、凸条の上面の凹凸が現れにくくなるので、塗布面の観察を短時間に正確に行うのに有利である。
【0025】
前記塗布シートの全厚が20μm以下であることが好ましい。本発明をこのような薄くてコシのない塗布シートに適用すると、本発明の効果が顕著に発現する。
【0026】
前記塗布シートが磁気記録媒体シートであることが好ましい。かかる好ましい構成によれば、塗布型磁性層の表面観察を短時間で行って、表面欠陥を正確に把握することができる。従って、磁気記録テープの原反の製造における品質管理に有利である。
【0027】
以下に、本発明を好適な実施形態を示しながら詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施形態に限定されないことはいうまでもない。以下の説明において参照する各図は、説明の便宜上、本発明の実施形態の構成部材のうち、本発明を説明するために必要な主要部材のみを簡略化して示したものである。従って、本発明は以下の各図に示されていない任意の構成部材を備え得る。また、以下の各図中の部材の寸法は、実際の構成部材の寸法および各部材の寸法比率等を忠実に表したものではない。
【0028】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る塗布シートの保持方法を実施するための装置の概略構成を示した図である。保持台11上に平板状の固定台20が載置されている。固定台20の上面(以下、「基面」という)21から、3つの凸条30が突出している。3つの凸条30は、互いに平行に、且つ、一定間隔を隔てて配置されている。以下の説明の便宜のため、基面21の法線と平行な軸をZ軸、Z軸と直交する2軸をX軸及びY軸とするXYZ直交座標系を設定する。Y軸は凸条30が延びる方向(第1方向)と平行である。基面21は水平面と平行である。
【0029】
固定台20を載置した保持台11は、図示しないXY駆動機構に搭載されている。これにより、固定台20は、X軸方向及びY軸方向に移動することができる。
【0030】
固定台20には、チューブ42を介して真空ポンプ41が接続されている。
【0031】
固定台20の上方には、基面21(特に凸条30)上に保持された塗布シート(図示せず)を撮影するためのカメラ45が設置されている。カメラ45で撮影された映像信号はコンピュータ46に出力され、所定の画像処理等が行われ、その結果がディスプレイ47に表示される。
【0032】
図2は固定台20の斜視図、図3は固定台20の平面図、図4は図3の4−4線を含む面に沿った凸条30の拡大断面図である。
【0033】
固定台20は、例えばステンレス鋼からなり、その上面(基面)21は平面に加工されている。基面21から上方に向かって凸条30が突出している。図4に示されているように、凸条30は、平滑な上面31と、上面31のX軸方向の両端に接続された傾斜面32と、傾斜面32の下端に接続された垂直面33とを備える。上面31は、XY面(X軸及びY軸と平行な面)と平行な平坦面である。傾斜面32は、XY面(即ち、上面31)に対して角度θで傾斜している。垂直面33はYZ面(Y軸及びZ軸と平行な面)と略平行である。垂直面33の下端は基面21に接続されている。
【0034】
基面21上には、凸条30に対してX軸方向の両側に第1吸引孔26が形成され、第1吸引孔26に対して凸条30とは反対側に、第1吸引孔26からわずかに離間して第2吸引孔27が形成されている。図2及び図3に示されているように、第1吸引孔26及び第2吸引孔27は、各凸条30の両側に、Y軸方向に一定ピッチで配置されている。図4に示されているように、固定台20に形成された全ての第1吸引孔26及び第2吸引孔27は、固定台20中に形成された空気路29a,29bを介して相互に連通されている。空気路29a,29bは、チューブ42を介して真空ポンプ41(図1参照)に接続されている。
【0035】
以下、塗布シートとして、塗布型の磁気記録テープを製造するための原反(即ち、磁気記録媒体シート。以下、「磁気シート」という)に塗布形成された磁性層の表面を観察する場合を例に、本実施形態1の塗布面の観察方法を説明する。
【0036】
磁気記録テープの製造では、一般に長尺の磁気シートはロール状に巻き取られる。磁気シートのロール状の巻回物は「原反ロール」と呼ばれる。この原反ロールから、磁気シートを所定長さだけ巻き出して切断して、磁性層を上側にして固定台20上に載置する。このとき、磁気シートの長手方向がX軸方向と平行になるように載置する。磁気シートは、3つの凸条30及び全ての第1吸引孔26及び第2吸引孔27を覆う。
【0037】
次いで、真空ポンプ41を駆動する。第1吸引孔26及び第2吸引孔27内が減圧され、基面21と磁気シートとの間に介在する空気が第1吸引孔26及び第2吸引孔27を介して排出され、更に、磁気シートが第1吸引孔26及び第2吸引孔27に吸引される。従って、図5に示すように、磁気シート1が凸条30の両側に配された第1吸引孔26及び第2吸引孔27に吸引されるので、磁気シート1の凸条30を覆う部分はX軸方向の張力が印加されて伸ばされる。その結果、磁気シート1は、凸条30の上面31に密着し、シワやタルミを生じることなく平滑な上面31に沿って平面状に伸ばされる。
【0038】
この状態で、凸条30の上面31上に位置する磁気シートの磁性層表面を、目視観察するとともに、カメラ45で撮影して所定の画像処理を行い解析する。XY駆動機構により固定台20をX軸方向及びY軸方向に移動させることにより、3つの凸条30上の磁性層表面をカメラ45でスキャンすることができる。目視及び/又はコンピュータ46による画像処理により、欠陥の種類、数、程度(例えば大きさ)等を評価する。欠陥が、ドロップアウトやS/N等の観点からあらかじめ設定した基準を越える場合には、品質管理のために後述する適切な対処を行う。
【0039】
以上のように、本実施形態1によれば、広幅の磁気シートを、シワやタルミを生じることなく、凸条30の平滑な上面31上に略平面状に保持することができる。従って、磁性層表面の観察を短時間に正確に行うことができる。
【0040】
本実施形態1では、表面観察を行うことができるのは、磁気シートのうち、凸条30の上面31上に配置された部分のみである。他の部分について表面観察する必要がある場合には、固定台20に対して磁気シートをX軸方向に移動させて表面観察を繰り返し行えばよい。
【0041】
一般に、1つの原反ロールごとに品質確認検査を行うことが望まれる。1つの原反ロールに巻回された磁気シートの長さは500m以上であることが多い。従って、通常、磁性層表面の観察は、原反ロールの表層部分及び深層部分の磁気シートを、例えば1m程度切り出して行われる。磁気シートの幅は、通常330mmから1000mm程度である。上記の例は、磁気シートの幅が500mmである場合を想定している(以下、この例を「実施例」と呼ぶ)。この実施例では、凸条30の上面31の幅(X軸方向寸法)は28mm、凸条30の両側の垂直面33間距離(即ち、凸条30の幅)は30mmである。凸条30の上面31の長さ(Y軸方向寸法)は280mmである。本実施例では、このような凸条30を、磁気シートの幅方向に等間隔で3列並べている。
【0042】
凸条30の各部の上述した寸法や凸条30の数は、検査しようとする磁気シートの幅及び長さに応じて適宜変更することができる。
【0043】
一般に、凸条30の上面31の幅が広いことは、観察対象領域が拡大する観点から望ましい。しかしながら、上面31の幅が広くなると、上面31と磁気シートとの接触領域が拡大するので、図5から理解できるように、磁気シート1を第1吸引孔26に吸引することによって発生する張力が、上面31上の磁気シート1の全体に印加されにくなるので、上面31に対する磁気シート1の密着性が低下する。従って、上面31の幅は、一般に30mm以下であることが好ましい。
【0044】
一般に、凸条30の上面31の長さが長いことも、観察対象領域が拡大する観点から望ましい。また、上面31が長くなれば、磁気シートのサンプリング数を少なくすることができる。しかしながら、上面31が長くなると、それに応じて長い磁気シートを固定台20上に載置しなければならない。磁気シートが長くなり、そのためにその面積が大きくなると、そのような磁気シートを原反ロールから切り出して固定台20上に載置するまでの過程で、磁気シートにシワや折れ目が生じ、これが磁性層に欠陥を生じさせる。従って、本来検出すべき、製造工程で生じた磁性層表面の欠陥以外の欠陥を検出してしまう可能性が増大し、検査精度が低下する。従って、固定台20上に載置する磁気シートのサイズは、作業者がシワや折れ目を生じさせることなく取り扱える程度以下にすべきである。このような観点から、上面31の長さには上限があり、磁気シートの機械的強度(または全厚さ)等によって異なるが、一般に500mm以下であることが好ましい。
【0045】
凸条30の数は、検査しようとする磁気シートの幅等を考慮して任意に設定することができる。上記の実施例のように、3つの凸条30を磁気シートの幅方向に等間隔で配置すると、磁気シートの幅方向の中央部分と、両端近傍部分の合計3カ所を観察することができる。従って、1回のX軸方向のスキャンでより多くの情報が得られるので、効率よい検査を行うことができる。もちろん、凸条30の数は、2つ以下であってもよく、また、4つ以上であってもよい。
【0046】
上述したように、磁気シートは凸条30の上面31に密着する。従って、上面31の表面の凹凸が磁気シートの磁性層表面に影響を及ぼさないように、上面31の表面は可能な限り平滑であることが望まれる。具体的には、上面の表面粗さは、Ra≦0.05μm、更にはRa≦0.025μmを満足することが好ましく、また、Rmax≦0.2μm、更にはRmax≦0.1μmを満足することが好ましい。
【0047】
上記の実施例では上面31は平面であったが、上面31の形状はこれに限定されず、例えばY軸方向を中心軸方向とする円筒面であってもよい。但し、カメラ45で鮮明な画像を撮影する観点から、磁気シートの磁性層表面がカメラ45の焦点深度から外れないことが好ましい。
【0048】
傾斜面32の水平面に対する傾斜角度θ(図4参照)は、特に制限はない。しかしながら、傾斜角度θが小さすぎると、第1吸引孔26が磁気シート1を吸引することによって磁気シート1に発生した張力が、磁気シート1の上面31上の部分に伝わりにくくなり、磁気シート1を上面31に密着させることが困難になる場合がある。逆に、傾斜角度θが大きすぎると、磁気シート1を固定台20上に載置した後に真空ポンプ41を駆動すると、磁気シート1が第1吸引孔26に吸引された瞬間に、張力が磁気シート1の上面31上の部分にも直ちに伝わって、上面31上において磁気シート1にシワが発生しやすくなる。従って、傾斜角度θは、一般に30度以上80度以下であることが好ましい。上記の実施例では45度とした。なお、磁気シートの物性や第1吸引孔26の吸引力等の条件によっては傾斜面32を省略し、上面31の両端に垂直面33が接続されていてもよい。
【0049】
上面31と傾斜面32との境界に、及び/又は、傾斜面32と垂直面33との境界に、曲面状又は平面状の周知の面取り加工が施されていてもよい。面取り加工を施すことにより、第1吸引孔26が磁気シート1を吸引することによって磁気シート1の上面31上の部分に印加される張力が変化する場合がある。
【0050】
次に、第1吸引孔26及び第2吸引孔27について説明する(図4、図5参照)。
【0051】
第1吸引孔26の主な機能は、磁気シート1を吸引して、磁気シート1に張力を発生させて、磁気シート1を凸条30の上面31に密着させることにある。磁気シート1により大きな張力を発生させるために、X軸方向において、第1吸引孔26は、凸条30になるべく接近していることが好ましく、特に図4及び図5に示したように、凸条30の下端(即ち、垂直面33の下端)に接していることが好ましい。
【0052】
第1吸引孔26の数やY軸方向ピッチは、特に制限はない。磁気シート1を凸条30の上面31に密着させることができるように、磁気シート1の機械的強度等を考慮して適宜設定することができる。
【0053】
第2吸引孔27の主な機能は、第1吸引孔26によって張力が印加された磁気シート1を、基面21に固定し保持することにある。例えば、XY駆動機構によって固定台20をX軸方向及びY軸方向に移動させるときの振動によって、磁気シート1が第1吸引孔26に対して位置ズレしたり、第1吸引孔26から離れたりするのを防止する。第2吸引孔27は、凸条30から見て、第1吸引孔26よりもX軸方向に遠い位置に配置されていればよい。しかしながら、本発明者らの実験によれば、第1吸引孔26及び第2吸引孔27のY軸方向の位置がずれていると、磁気シート1が第2吸引孔27に吸引されることによって磁気シート1に張力が印加され、この張力が磁気シート1の上面31上の部分に直接作用するので、上面31上において磁気シート1にシワが生じるなど、磁気シート1を上面31に密着させることが困難である場合があることを確認した。従って、上記の例のように、第2吸引孔27を、第1吸引孔26に対して凸条30とは反対側の位置に、第1吸引孔26及び第2吸引孔27のY軸方向位置が一致するように配置することが好ましい。従って、この好ましい配置では、第1吸引孔26と第2吸引孔27とが、対をなしてX軸方向に並んで配置されることになる。
【0054】
第2吸引孔27の数やY軸方向ピッチ、第2吸引孔27の凸条30からのX軸方向距離は、特に制限はない。磁気シート1を上面31に密着させることができ、且つ、固定台20をX軸方向及びY軸方向に移動させても磁気シート1が変位することがないように、適宜設定される。
【0055】
第1吸引孔26及び第2吸引孔27の平面視形状(Z軸と平行に上方から見た形状)は、上記の例では円形であるが、これに限定されず、例えばY軸方向に沿ったスロット形状等、任意の形状を選択しうる。第1吸引孔26及び第2吸引孔27の開口径も、特に制限はない。但し、開口径が小さすぎると、吸引孔26,27の磁気シート1を吸い込む力が低下する。従って、第1吸引孔26では、磁気シート1に十分な張力を発生させることができないので、磁気シート1を上面31に密着させることが困難になる。また、第2吸引孔27では、固定台20を移動させたときの振動によって、磁気シート1が変位してしまう。逆に、開口径が大きすぎると、磁気シート1が吸引孔26,27内に吸い込まれてしまって磁気シート1にシワが発生する。従って、第1吸引孔26では、磁気シート1を上面31に密着させることが困難になったり、磁気シート1に十分な張力を発生させることができなくなったりする。また、第2吸引孔27では、固定台20を移動させたときの振動によって磁気シート1が変位することがある。従って、一般に、第1吸引孔26及び第2吸引孔27の開口径は、開口形状が円形である場合にはその直径が0.5mm以上2.5mm以下(更には2mm以下)であることが好ましく、開口形状がY軸方向に沿ったスロット形状である場合にはそのX軸方向の開口幅が0.5mm以上1mm以下であることが好ましい。上記の実施例では、第1吸引孔26及び第2吸引孔27を、直径が2.0mmの円形とした。
【0056】
第1吸引孔26及び第2吸引孔27の吸引力は、特に制限はないが、その内部のゲージ圧で−300mmHg(−40kPa)以上で適宜設定されることが好ましい。吸引力が大きすぎる(ゲージ圧が低すぎる)と、磁気シート1にシワが発生し、磁気シート1が損傷するおそれがある。吸引力が小さすぎる(ゲージ圧が高すぎる)と、第1吸引孔26及び第2吸引孔27の磁気シート1に対する所望する吸引力が得られず、磁気シート1を凸部30の上面31に密着させることが困難になる。
【0057】
なお、磁気シート1の物性、凸条30の構成、第1吸引孔26の構成及び吸引力等によっては第2吸引孔27を省略しても、磁気シート1を凸条30の上面31に密着させることができる場合がある。従って、第2吸引孔27は省略可能である。
【0058】
塗布型の磁性層は、一般に、可撓性を有する非磁性支持体シート上に、ダイやグラビアロールなどのコーターを用いて磁性塗料を塗布する塗布工程と、次いで、平滑に加工した金属ロール(一般に「カレンダーロール」と呼ばれる)で磁性塗料層に熱及び圧力を加えてその表面を鏡面化する鏡面化工程とを経て形成される。
【0059】
磁性層には磁性粉末と結合剤(バインダ樹脂)とが含まれる。
【0060】
磁性粉末としては強磁性鉄系金属磁性粉末や窒化鉄系磁性粉末、六方晶Ba−フエライト磁性粉末を用いることが好ましい。
【0061】
結合剤としては塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル−ビニルアルコール共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体樹脂、塩化ビニル−水酸基含有アルキルアクリレート共重合体樹脂、ニトロセルロースなどのセルロース系樹脂の中から選ばれる少なくとも1種と、ポリウレタン樹脂とを組み合わて用いることが好ましい。
【0062】
前記磁性粉末と結合剤(バインダ樹脂)以外に、脂肪酸や脂肪酸エステル、脂肪酸アミドなどを潤滑剤として含ませても良い。またカーボンブラックや研磨剤を含ませても良い。
【0063】
上記磁性層成分に更に有機溶剤を使用して混練処理、分散処理を行い、磁性層用塗料を作製する。
【0064】
作製した磁性層用塗料を、グラビアコーターやダイコーターを用いて支持体シートあるいは非磁性層上に塗布し、乾燥することで支持体シート上に磁性層が形成される。
【0065】
また必要に応じて磁性層と支持体シートの間に非磁性層を設けることができる。非磁性層の厚さは0.2μm以上1.0μm未満が好ましく、0.8μm以下がより好ましい。非磁性層の厚さが0.2μm未満では、磁性層の厚さむらの低減効果、耐久性の向上効果が小さくなり、1.0μm以上になると、磁気テープの全厚が厚くなりすぎ、テープ1巻当りの記録容量が小さくなる。
【0066】
非磁性層に使用する非磁性粉末には、酸化チタン、酸化鉄、酸化アルミニウムなどがあるが、酸化鉄単独または酸化鉄と酸化アルミニウムの混合系が好ましく使用される。
【0067】
非磁性層に用いる結合剤、潤滑剤は、磁性層に用いるものと同じ物を使用することができる。
【0068】
作製した非磁性層用塗料を、グラビアコーターやダイコーターを用いて支持体シートに塗布し、乾燥することで支持体シート上に非磁性層が形成される。
【0069】
このようにして形成された磁性層の厚みは、磁性層と支持体シートの間に非磁性層を設ける場合は10nm以上100nm未満が好ましい。また非磁性層を設けない場合は100nm以上5μmが好ましい。
【0070】
また磁性層の平滑性は、中心線平均粗さ(Ra)で10nm以下が好ましく、5nm以下がより好ましい。
【0071】
このようにして形成された磁性層の表面に発生する主な欠陥は、突起、塗料抜け、凹みの3つである。突起は、主として、磁性塗料中の凝集物がコーターに至る過程でフィルターで除去されなかったことが原因で発生する。塗料抜けは、主として、ダイコーターを用いた場合に、支持体シートのテンション調節不良やダイスリットの目詰まりなどが原因で発生する。凹みは、主として、鏡面化工程で使用するカレンダロールの表面の汚れやキズが原因で発生する。
【0072】
磁気記録テープの製造工程のうち、なるべく上流の工程でこれらの欠陥を検出し、適切に対処すれば、不良品の発生を少なくし、材料や時間の無駄を低減することができる。
【0073】
従って、本発明において、磁性層表面が観察される磁気シートとしては、塗布工程を経た直後の磁気シート、または、鏡面化工程を経た直後の磁気シートであることが好ましい。前者の磁気シートの磁性層表面に突起が発見されれば、コーターより上流側の磁性塗料が通過するフィルターを交換することが好ましく、また、塗料抜けが発見されれば、支持体シートのテンション調整やダイの清掃又は交換を行うことが好ましい。後者の磁気シートの磁性層表面に凹みが発見されれば、鏡面化工程に用いるカレンダーロールの清掃又は交換を行うことが好ましい。このように、発見された欠陥に応じて適切に対処することで、品質管理を行うことができ、歩留まりの低下を防止できる。
【0074】
また突起や塗料抜け、凹みが検出された位置を記録し、テープ状に裁断後に該当する部分を排除し、突起や塗料抜け、凹みの無い部分だけを下流の工程に流すことで、突起や塗料抜け、凹みを含んだ磁気テープが製品として出荷されることを防ぐことができる。この場合、位置を記録する方法としては、マーカーで直接磁気シートに記録しても良いし、カメラ45で撮影した映像信号が出力されたコンピュータ46に記録しても良い。
【0075】
更に、磁気テープの品質に悪影響を及ぼす欠陥が発見された場合には、当該磁気シートに次の工程を行うことを中止すれば、無駄な工程を行うことが回避でき、材料や時間のロスを低減することができる。
【0076】
本発明によれば、磁気シート1に張力を印加して凸条30の上面31に密着させるので、機械的強度が低い(いわゆるコシがない)磁気シートであっても、磁性層表面を略平面状に保持することができる。従って、全厚が20μm以下、更には0.5Gbit/in2を超えるような高密度記録で400GB/巻以上の大容量の磁気テープに一般的に使用される全厚が9.0μm以下の磁気シートに本発明を適用すると、本発明の効果が顕著に発現する。
【0077】
磁気シートの磁性層が塗布される非磁性支持体シートとしては、特に制限はないが、例えば、二軸延伸のポリエチレンテレフタレートフイルム、ポリエチレンナフタレートフイルム、芳香族ポリアミドフィルム、芳香族ポリイミドフィルムなどを用いることができる。
【0078】
(実施形態2)
図6は、本発明の実施形態2にかかる固定台20の凸条30のXZ面に沿った断面図である。本実施形態2の凸条30は、実施形態1の凸条30が備えていた垂直面33(図4参照)を備えていない。
【0079】
傾斜面33の水平面に対する傾斜角度θは、実施形態1で説明したのと同様に設定される。傾斜面33の下端は基面21に接続されている。第1吸引孔26は、傾斜面33の下端(凸条30の下端)になるべく接近していることが好ましく、特に図6に示したように、傾斜面33の下端に接していることが好ましい。
【0080】
本実施形態2においても、第1吸引孔26及び第2吸引孔27に磁気シートを吸引して塗布シートを凸条30の上面31に密着させて、磁気シートの磁性層表面を観察することができる。そして、これにより実施形態1と同様の効果を奏する。但し、垂直面33を備えない本実施形態2は、垂直面33を備える実施形態1に比べて、磁気シートに発生する張力が小さくなりやすい。
【0081】
本実施形態2は、上記を除いて実施形態1と同じである。実施形態1の説明は、本実施形態2にも適用される。
【0082】
(実施形態3)
図7は、本発明の実施形態3にかかる固定台20の平面図である。図8は、図7の8−8線を含む面に沿った固定台20の凸条30の拡大断面図である。本実施形態3では、凸条30のX軸方向の両側に、Y軸方向に沿って延びた溝(凹部)28が形成されている。図8に示されているように、溝28の凸条30側の内壁面33が、実施形態1で説明した凸条30の垂直面33(図4参照)として機能する。第1吸引孔26及び第2吸引孔27は、溝28の底面に形成されている。実施形態1で説明したように、第1吸引孔26は、凸条30の下端(即ち、垂直面33の下端)に接していることが好ましい。
【0083】
本実施形態3において、磁気シート1を第1吸引孔26及び第2吸引孔27に吸引すると、図9に示されているように、磁気シート1は溝28内に入り込む。従って、実施形態1に比べて、磁気シート1により大きな張力を発生させることができる。その結果、凸条30の上面31に対する磁気シート1の密着性が向上するので、より短時間且つ正確に磁性層表面の観察を行うことができる。
【0084】
本実施形態3は、上記を除いて実施形態1と同じである。実施形態1の説明は、本実施形態3にも適用される。
【0085】
本実施形態3においても、実施形態2で説明したのと同様に、垂直面33を省略することができる。この場合、傾斜面33は溝28の底面にまで延びる。
【0086】
上記の実施形態1〜3は例示に過ぎない。本発明は上記の実施形態1〜3に限定されず、適宜変更することができる。
【0087】
例えば、上記の実施形態1〜3では、傾斜面32は平面であったが、例えば外側に凸の円筒面など任意の曲面であってもよい。
【0088】
上記の実施形態1〜3では、塗布シートが磁気シートである場合を説明したが、本発明は、磁気シート以外の、例えば、光学用、包装用、各種工業用などの公知の用途に使用される、塗布層を有する任意の塗布シートに適用することができる。塗布シートの用途に関わらず、全厚が20μm以下、更には9μm以下、特に6μm以下の機械的強度が低い(いわゆるコシがない)塗布シートに本発明を適用した場合に、本発明の効果が顕著に発現するので好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明の利用分野は特に制限はないが、本発明によれば塗布面の欠陥検査を短時間で正確に行うことができるので、柔軟な塗布シートの塗布面の表面性状を観察評価して製品の品質管理を行う分野に広範囲に利用することができる。特に、塗布型磁性層を備えた磁気記録媒体の分野において、原反の段階での磁性層の品質管理に好ましく利用することができる。
【符号の説明】
【0090】
1 磁気シート(塗布シート)
11 保持台
20 固定台
21 基面
26 第1吸引孔
27 第2吸引孔
28 溝
30 凸条
31 凸条の上面
32 凸条の傾斜面
33 凸条の垂直面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗布シートの塗布面を観察するために前記塗布シートを固定台の基面上に保持する方法であって、
前記固定台は、
前記基面から突出し、第1方向に沿って延びる、平滑な上面を有する凸条と、
前記凸条に対して前記第1方向と直交する第2方向の両側に形成された第1吸引孔とを備え、
前記塗布面を前記基面とは反対側に向けて、前記凸条及び前記第1吸引孔を覆うように前記塗布シートを前記基面上に載置し、
前記塗布シートを前記第1吸引孔に吸引して前記塗布シートを前記凸条の前記上面に密着させることを特徴とする、塗布面観察のための塗布シートの保持方法。
【請求項2】
前記凸条は、前記上面に対して前記第2方向の両側に、前記上面に隣接して傾斜面を備える請求項1に記載の塗布面観察のための塗布シートの保持方法。
【請求項3】
前記凸条は、前記傾斜面に隣接して、前記基面に対して略垂直な垂直面を備える請求項2に記載の塗布面観察のための塗布シートの保持方法。
【請求項4】
前記第1吸引孔は、前記凸条の下端に接している請求項1〜3のいずれかに記載の塗布面観察のための塗布シートの保持方法。
【請求項5】
前記第1方向に沿って延びた溝が、前記凸条に隣接して前記基面に形成されており、
前記第1吸引孔は前記溝の底面に形成されている請求項1〜4のいずれかに記載の塗布面観察のための塗布シートの保持方法。
【請求項6】
前記第1吸引孔の平面視形状は、直径が2.5mm以下の円形状又は幅が1mm以下のスロット形状である請求項1〜5のいずれかに記載の塗布面観察のための塗布シートの保持方法。
【請求項7】
前記第1吸引孔よりも前記凸条から遠い位置に第2吸引孔が形成されており、
前記塗布シートを前記第2吸引孔に吸引する請求項1〜6のいずれかに記載の塗布面観察のための塗布シートの保持方法。
【請求項8】
前記第1方向に沿って延びた溝が、前記凸条に隣接して前記基面に形成されており、
前記第2吸引孔は前記溝の底面に形成されている請求項7に記載の塗布面観察のための塗布シートの保持方法。
【請求項9】
前記第2吸引孔の平面視形状は、直径が2.5mm以下の円形状又は幅が1mm以下のスロット形状である請求項7又は8に記載の塗布面観察のための塗布シートの保持方法。
【請求項10】
前記凸条の前記上面の表面粗さが、Ra≦0.05μm且つRmax≦0.2μmを満足する請求項1〜9のいずれかに記載の塗布面観察のための塗布シートの保持方法。
【請求項11】
前記塗布シートの全厚が20μm以下である請求項1〜10のいずれかに記載の塗布面観察のための塗布シートの保持方法。
【請求項12】
前記塗布シートが磁気記録媒体シートである請求項1〜11のいずれかに記載の塗布面観察のための塗布シートの保持方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2013−65379(P2013−65379A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−203420(P2011−203420)
【出願日】平成23年9月16日(2011.9.16)
【出願人】(000005810)日立マクセル株式会社 (2,366)
【Fターム(参考)】