塗料供給装置及びその洗浄方法
【課題】複数の液剤を共通流路中で混合して得られた混合塗料を塗装ガンに供給するようになっていて、液剤の個別流路の下流端が共通流路の内壁に凹んだ形態で臨んでいる塗料供給装置において、液剤の個別流路に洗浄液を流さずに洗浄を行う場合でも、個別流路の下流端によって共通流路の内壁に形成されている凹部に残留する液剤を確実に除去する。
【解決手段】合流器11には、共通流路12内に臨むように配置され、硬化剤用連通孔38に向けて洗浄用流体を吐出するノズル40を設けた。
【解決手段】合流器11には、共通流路12内に臨むように配置され、硬化剤用連通孔38に向けて洗浄用流体を吐出するノズル40を設けた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗料供給装置及びその洗浄方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、水性二液ウレタン塗装用の塗料供給装置が開示されている。この塗料供給装置は、塗装ガンに接続された共通流路と、共通流路の上流端に接続された主剤用個別流路と、共通流路の上流端に接続された硬化剤用個別流路とを備えている。塗装を行う際には、主剤用個別流路を通して供給された主剤と、硬化剤用個別流路を通して供給された硬化剤は、共通流路の上流端で混合されて水性二液ウレタン塗料(以下、二液塗料という)となり、この塗料は共通流路を通って塗装ガンに供給される。
【0003】
この二液塗料用の供給装置において洗浄を行う際には、次の点が考慮される。主剤と、主剤と硬化剤を混合して得られる二液塗料は、いずれも、溶媒である水に溶け易くするために、エマルション化されているのであるが、硬化剤用の洗浄液である有機溶剤に接触すると、エマルション破壊を起こす。エマルション破壊を起こした主剤や二液塗料は、主剤用個別流路や共通流路の内壁に付着するため、洗浄が不能となってしまう。一方、硬化剤については、洗浄液として有機溶剤が用いられるのであるが、主剤及び二液塗料用の洗浄液である水と接触した場合、短時間であれば硬化する虞はない。
【0004】
これらの点を勘案し、次のような洗浄方法が考えられる。まず、硬化剤用個別流路中に硬化剤が残留している状態で、水によって主剤用個別流路中の主剤と主剤流路中の二液塗料を洗い流す。このとき、共通流路の上流端では、水が硬化剤用個別流路の下流端に臨んでいる硬化剤に接触するが、この硬化剤は硬化しない。この後、有機溶剤を硬化剤用個別流路と共通流路とに流し、硬化剤用個別流路内に残留していた硬化剤を洗い流す。有機溶剤が共通流路を流れる時点では、共通流路内に主剤も二液塗料も残っていないので、主剤や二液塗料がエマルション破壊を来すことはない。
【特許文献1】特開2005−246167公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、有機溶剤中には水分が混入しているため、洗浄工程後の硬化剤用個別流路内に僅かでも硬化剤と有機溶剤が残留していると、この残留硬化剤と有機溶剤中の水分が接触して硬化し、副生成物となる。この副生成物は、硬化剤用個別流路に設けられている流量計や開閉弁等の可動機構に付着して、これらの機構の動きを阻害する虞がある。
【0006】
この不具合を回避するためには、硬化剤用個別流路内を洗浄しなければよい。ところが、硬化剤用個別流路のうち共通流路に連通する下流端部には、開閉弁が設けられ、硬化剤用個別流路のうち開閉弁よりも下流側の連通孔が、共通流路の内壁に凹んだ形態で開口している。そのため、硬化剤用個別流路に有機溶剤を流す工程を行わない場合には、共通流路の内壁から凹んでいる連通孔内に硬化剤が残留し、この連通孔内に残留した硬化剤は、主剤及び二液塗料の洗浄時に用いられる水と接触して硬化することになる。
【0007】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、複数の液剤を共通流路中で混合して得られた混合塗料を塗装ガンに供給するようになっていて、液剤の個別流路の下流端が共通流路の内壁に凹んだ形態で臨んでいる塗料供給装置において、液剤の個別流路に洗浄液を流さずに洗浄を行う場合でも、共通流路の内壁に個別流路の下流端により形成されている凹部に残留する液剤を確実に除去できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するための手段として、請求項1の発明は、合流器において複数の液剤を共通流路の上端部に供給し、前記複数の液剤が前記共通流路内を通過する間に混合されることによって得られた混合塗料を、塗装ガンに供給するようになっており、前記合流器には、前記複数の液剤を個別に流動させる複数の個別流路と、前記複数の個別流路の途中に個別に配置された開閉弁とが形成され、前記共通流路の内壁には、前記個別流路のうち前記開閉弁よりも下流側の連通孔が凹んだ形態で開口している塗料供給装置において、前記合流器には、前記共通流路内に臨むように配置され、複数の前記連通孔のうち少なくとも1つの前記連通孔に向けて洗浄用流体を吐出するノズルが設けられているところに特徴を有する。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1に記載のものにおいて、前記ノズルは、その軸線が前記連通孔の軸線と同軸状となるように配置されているところに特徴を有する。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1または請求項2に記載のものにおいて、前記ノズルには、ニードルの進退移動によって前記ノズルの開閉を行うニードル弁が設けられており、前記ノズルから前記洗浄用流体が吐出していない閉弁状態では、前記ノズルの先端の吐出孔内の空間が、前記ニードルの先端部で占められた状態となるところに特徴を有する。
【0011】
請求項4の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のものにおいて、前記複数の連通孔のうち前記ノズルと非対応の前記連通孔が、前記ノズルと対応する前記連通孔よりも上流側に配置されているところに特徴を有する。
【0012】
請求項5の発明は、請求項4に記載のものにおいて、前記ノズルが、前記共通流路内に突出した形態であるところに特徴を有する。
【0013】
請求項6の発明は、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載のものにおいて、前記混合塗料が、水を溶媒とする主剤に硬化剤を混合して得られる水性二液ウレタン塗料であり、前記主剤用の前記個別流路内と前記共通流路内が、水により洗浄されるようになっており、前記ノズルから吐出される洗浄用流体が、水であるところに特徴を有する。
【0014】
請求項7の発明は、合流器において複数の液剤を共通流路の上端部に供給し、前記複数の液剤が前記共通流路内を通過する間に混合されることによって得られた混合塗料を、塗装ガンに供給するようになっており、前記合流器には、前記複数の液剤を個別に流動させる複数の個別流路と、前記複数の個別流路の途中に個別に配置された開閉弁とが形成され、前記共通流路の内壁には、前記個別流路のうち前記開閉弁よりも下流側の連通孔が凹んだ形態で開口している塗料供給装置において、前記共通流路の内壁に臨む前記連通孔内に残留する液剤を除去するための洗浄方法であって、前記共通流路内に臨むように設けたノズルから、複数の前記連通孔のうち少なくとも1つの前記連通孔に向けて洗浄用流体を吐出するところに特徴を有する。
【0015】
請求項8の発明は、請求項7に記載のものにおいて、前記ノズルを、その軸線が前記連通孔の軸線と同軸状となるように配置した上で、前記洗浄用流体を吐出するところに特徴を有する。
【0016】
請求項9の発明は、請求項7または請求項8に記載のものにおいて、前記ノズルに、ニードルの進退移動によって前記ノズルの開閉を行うニードル弁が設けた上で、前記ノズルから前記洗浄用流体が吐出していない閉弁状態では、前記ノズルの先端の吐出孔内の空間を、前記ニードルの先端部で占めるところに特徴を有する。
【0017】
請求項10の発明は、請求項7ないし請求項9のいずれかに記載のものにおいて、前記複数の連通孔のうち前記ノズルと非対応の前記連通孔を、前記ノズルと対応する前記連通孔よりも上流側に配置した上で、前記ノズルと非対応の連通孔から前記共通流路内へ液剤と洗浄液を流入させるところに特徴を有する。
【0018】
請求項11の発明は、請求項10に記載のものにおいて、前記ノズルを、前記共通流路内に突出する形態とした上で、前記ノズルと非対応の連通孔から前記共通流路内へ流入させた液剤と洗浄液を、前記ノズルに接触させながら流動させるところに特徴を有する。
【0019】
請求項12の発明は、請求項7ないし請求項11のいずれかに記載のものにおいて、前記混合塗料は、水を溶媒とする主剤に硬化剤を混合して得られる水性二液ウレタン塗料であり、前記主剤用の前記個別流路内と前記共通流路内を、水により洗浄し、前記ノズルから、洗浄用流体としての水を吐出するところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0020】
<請求項1の発明>
共通流路の内壁には、個別流路の連通孔により凹部が形成されており、開閉弁を閉じた状態では、連通孔内に液剤の一部が残留する。この連通孔内に残留する液剤は、共通流路内に洗浄液を流しただけでは除去できないことがある。その点、本発明では、ノズルから連通孔内に向けて洗浄用流体を吐出するようにしているので、連通孔内に残留している液剤を、確実に除去することができる。
【0021】
<請求項2及び請求項8の発明>
ノズルの軸線を連通孔の軸線と同軸状としたので、ノズルから吐出された洗浄用流体は確実に連通孔内に進入する。
【0022】
<請求項3及び請求項9の発明>
洗浄用流体が吐出しない状態では、吐出孔内の空間がニードルの先端部で占められているので、他の液剤が吐出孔内に溜まる虞がない。
【0023】
<請求項4及び請求項10の発明>
ノズルと非対応の連通孔から共通流路内に流入した液剤や洗浄液は、ノズルと対応する連通孔の前を通過するときに、その連通孔内に残留している液剤の一部を引き寄せて連通孔外へ排出させる。したがって、連通孔内に残留する液剤の量が少なくなり、ノズルによる除去効率が向上する。
【0024】
<請求項5及び請求項11の発明>
ノズルと非対応の連通孔から共通流路内に流入した液剤や洗浄液は、ノズルに接触することによって乱流状となり、ノズルと対応する連通孔内に入り込んでその内部に残留している液剤を連通孔外へ押し出す。これにより、連通孔内に残留する液剤の量が少なくなり、ノズルによる除去効率が更に向上する。
【0025】
<請求項6及び請求項12の発明>
主剤用の個別流路と共通流路、及び硬化剤用の連通孔が、いずれも、水によって洗浄されるようになっており、有機溶剤を使用せずに済むので、環境保護の点で好ましい。
【0026】
<請求項7の発明>
ノズルから連通孔内に向けて洗浄用流体を吐出するようにしているので、連通孔内に残留している液剤を、確実に除去することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
<実施形態1>
以下、本発明を具体化した実施形態1を図1〜図4を参照して説明する。本実施形態の塗料供給装置は、混合塗料を塗装ガン10に供給するためのものであり、混合塗料は、主剤(本発明の構成要件である液剤)と硬化剤(本発明の構成要件である液剤)とを、合流器11において合流させ、共通流路12内を流動させる間に撹拌・混合して得られるようになっている。
【0028】
まず、塗料供給装置の概要を説明する。図1に示すように、主剤供給源13に接続された主剤用供給路14の下流端は、合流器11の主剤用流入ポート15に接続され、硬化剤供給源16に接続された硬化剤用供給路17の下流端は、合流器11の硬化剤用流入ポート18に接続されている。また、合流器11の流出ポート19には、共通流路12の機器外流路12Aの上流端が接続され、この機器外流路12Aの途中には、主剤と硬化剤とを撹拌して混合するための混合器20が設けられ、機器外流路12Aの下流端には塗装ガン10が接続されている。
【0029】
主剤用供給路14の途中には、主剤用色替えバルブ21と流量計22が設けられ、主剤用色替えバルブ21には、第1エア供給源23に接続された第1エア供給路24の下流端と、洗浄液供給源25に接続された洗浄液供給路26の下流端とが接続されている。硬化剤用供給路17の途中には、流量計27が設けられている。
【0030】
洗浄液供給路26は、途中で第1分岐流路26Aと第2分岐流路26Bとに分岐しており、第1分岐流路26Aの下流端は主剤用色替えバルブ21に接続されている。一方、第2分岐流路26Bの下流端は、合流器11の洗浄液用流入ポート28に接続されている。また、第2分岐流路12Bの途中には、第2エア供給源29に接続された第2エア供給路30の下流端が接続されている。
【0031】
次に、合流器11の構造を説明する。図2に示すように、合流器11の内部には、下流端(図2における上端)が流出ポート19に連通する機器内流路12Bが形成されている。機器内流路12Bと上記機器外流路12Aは、主剤と硬化剤とが合流して混合するための共通流路12を構成する。合流器11内には、上流端が主剤用流入ポート15に連通する略L字状の主剤用個別流路31と、上流端が硬化剤用流入ポート18に連通する略L字状の硬化剤用個別流路32とが、互いに独立した流路として形成されている。
【0032】
主剤用個別流路31の途中には、主剤用開閉弁33が、主剤用個別流路31の下流端に近い位置(共通流路12に近い位置)に配置して設けられている。主剤用開閉弁33は、主剤用個別流路31の内周に形成した球面状弁シート34と、主剤用個別流路31内を移動する球状の弁体35とを備えて構成されている。弁体35が球面状弁シート34から上流側へ離間した開弁状態では、主剤用個別流路31から共通流路12への主剤の流通が許容され、弁体35が球面状弁シート34に当接した閉弁状態では、主剤用個別流路31から共通流路12への主剤の流通が遮断される。
【0033】
主剤用個別流路31のうち主剤用開閉弁33よりも下流側の領域は、円形断面の主剤用連通孔36となっている。この主剤用連通孔36は、その軸線が共通流路12の機器内流路12Bの軸線に対して直交するような向き及び配置とされている。また、主剤用連通孔36の内径は、機器内流路12Bの内径よりも小さい。機器内流路12Bの内壁には、主剤用連通孔36が臨むことによって、凹部が形成されている。この主剤用連通孔36は、機器内流路12Bの内壁における上流端に位置している。
【0034】
硬化剤用個別流路32の途中には、硬化剤用開閉弁37が、硬化剤用個別流路32の下流端に近い位置(共通流路12に近い位置)に配置して設けられている。硬化剤用開閉弁37は、主剤用開閉弁33と同様、硬化剤用個別流路32の内周に形成した球面状弁シート34と、硬化剤用個別流路32内を移動する球状の弁体35とを備えて構成されている。弁体35が球面状弁シート34から上流側へ離間した開弁状態では、硬化剤用個別流路32から共通流路12への硬化剤の流通が許容され、弁体35が球面状弁シート34に当接した閉弁状態では、硬化剤用個別流路32から機器内流路12Bへの硬化剤の流通が遮断される。
【0035】
硬化剤用個別流路32のうち硬化剤用開閉弁37よりも下流側の領域は、円形断面の硬化剤用連通孔38となっている。この硬化剤用連通孔38は、その軸線が機器内流路12Bの軸線に対して直交するような向き及び配置とされている。硬化剤用連通孔38の軸線は、主剤用連通孔36の軸線と平行である。また、硬化剤用連通孔38の内径は、主剤用連通孔36の内径と同じ寸法であり、機器内流路12Bの内径よりも小さい。機器内流路12Bの内壁には、硬化剤用連通孔38が臨むことによって、凹部が形成されている。この硬化剤用連通孔38は、機器内流路12Bの内壁における主剤用連通孔36よりも下流側の位置に配置されている。
【0036】
次に、混合塗料について説明する。本実施形態の混合塗料は水性二液ウレタン塗料である。主剤は、硬化剤と混合する前の状態では、溶媒である水に溶け易くするためにエマルション化された状態となっている。混合塗料も、主剤と同様、溶媒は水である。一方、硬化剤は、有機溶剤を溶媒とする材料からなる。主剤と混合塗料は、硬化剤を洗浄するための有機溶剤に接触するとエマルション破壊を起こし、共通流路12の内壁に付着して、洗浄不能となる。
【0037】
また、有機溶剤は、水分の混入を完全に回避することは難しため、洗浄工程後の硬化剤用個別流路32内に僅かでも硬化剤と有機溶剤が残留していると、この残留硬化剤と有機溶剤中の水分が接触して硬化し、副生成物となる。この副生成物は、硬化剤用供給路17に設けられている流量計27や図示しない開閉弁等の可動機構に付着して、これらの機構の動きを阻害する虞がある。但し、水と硬化剤との接触時間が短時間であれば、硬化剤が硬化することはなく、副生成物も発生しない。
【0038】
これらの点を勘案し、本実施形態では、洗浄の対象を、合流器11内の機器内流路12Bを含む共通流路12全体と主剤用供給路14と主剤用個別流路31とに限定して、硬化剤用個別流路32内のうち硬化剤用開閉弁37よりも上流側の領域、及び硬化剤用供給路17内を洗浄の対象から外した。これにより、洗浄液として、主剤及び混合塗料の溶媒である水のみを使用し、硬化剤の溶媒である有機溶剤は使用せずに洗浄を行うようにしている。
【0039】
ところが、硬化剤用個別流路32のうち硬化剤用開閉弁37よりも下流側の硬化剤用連通孔38が、機器内流路12Bの内壁に凹んだ形態で開口しているため、硬化剤用個別流路32に有機溶剤を流さないと、機器内流路12Bの内壁から凹んでいる硬化剤用連通孔38内に硬化剤が残留することになる。この硬化剤用連通孔38内に残留した硬化剤は、主剤用及び混合塗料用の洗浄液として用いられる水と接触して硬化することになる。
【0040】
その対策として、本実施形態では、水との接触時間が短時間(洗浄に要する程度の時間)であれば硬化剤は硬化しない、という点に着目し、合流器11内にノズル40を設け、このノズル40から、硬化剤用連通孔38内を洗浄するための洗浄液用流体としての水(以下、洗浄液という)を吐出するようにしている。以下、ノズル40の構成について説明する。
【0041】
ノズル40は、機器内流路12Bの内壁から硬化剤用連通孔38に向けて円錐台形状に突出した形態である。ノズル40の外周は、先端(突出端)側に向かって外径が次第に小さくなるようなテーパ状をなしている。ノズル40の中心には、同心円形をなす吐出孔41がノズル40の突出端面に開口するように形成されている。ノズル40(吐出孔41)の軸線は、共通流路12と直交し、硬化剤用連通孔38の軸線と同軸状の関係となっている。吐出孔41の内径は、硬化剤用連通孔38の内径よりも小さく、ノズル40の最大外径が硬化剤用連通孔38の内径とほぼ同じ寸法とされている。吐出孔41の後端には、合流器11内に略L字形に屈曲して形成した洗浄液用流入路42の下流端が同心状に連なっている。洗浄液流入路42の上流端は、洗浄液用流入ポート28に連通している。
【0042】
ノズル40にはニードル弁43が設けられている。ニードル弁43は、吐出孔41の後方に同心に連なるテーパ状弁シート44と、吐出孔41と同心の細長い円形棒状をなしていてテーパ状弁シート44に対して接離するニードル45とを備えて構成されている。ニードル45は、ピストンとシリンダを用いた図示しない駆動機構により、吐出孔41の軸線と平行に進退移動するようになっている。ニードル45の最も先端の部分は、吐出孔41と同心であり、且つ吐出孔41の内径よりも外径が僅かに小さい尖塔部46となっている。ニードル45の外周のうち尖塔部46よりも後方の領域には、先端側に向かって次第に縮径するテーパ状のシート部47が形成されている。
【0043】
また、ニードル45の外周のうちシート部47よりも後方には、軸線方向に沿ってリブ状に突出した形態の複数のスペーサ48が、周方向に間隔を空けて形成されている。この複数のスペーサ48は、洗浄液用流入路42のうちテーパ状弁シート44よりも後方領域に内周面に摺接することにより、ニードル45を洗浄液用流入路と同心状に保つとともに、洗浄液用流入路42の内周とニードル45の外周との間に、洗浄液を流通させるための円環状の流路を確保するようになっている。
【0044】
図3に示すように、ニードル45が前進し、シート部47がテーパ状弁シート44に当接した閉弁状態では、洗浄液用流入路42に圧送された洗浄液は、吐出孔41側へ流動することができず、ノズル40からの洗浄液の吐出は行われない。また、この閉弁状態では、尖塔部46が、吐出孔41内に進入して、吐出孔41内の空間の大部分を占める。
【0045】
また、図4に示すように、ニードル45が後退し、シート部47がテーパ状弁シート44に対して後方へ離間した開弁状態では、尖塔部46が吐出孔41よりも後方へ退避することにより、吐出孔41が開放されるので、洗浄液用流入路42を通って圧送された洗浄液が、テーパ状弁シート44とニードル45との隙間、及び吐出孔41を通ってノズル40の先端から硬化剤用連通孔38に向けて高圧で吐出される。
【0046】
次に、本実施形態における塗装工程及び洗浄工程について説明する。
塗装を行う際には、主剤用開閉弁33と硬化剤用開閉弁37を交互に開閉することにより、主剤と硬化剤を所定の流量ずつ交互に共通流路12に投入する。共通流路12に投入された主剤と硬化剤は、共通流路12内を流動し、混合器20を通過することにより撹拌、混合されて混合塗料となり、塗装ガン10へ供給される。
【0047】
洗浄を行う際には、硬化剤用開閉弁37を閉弁し、主剤用開閉弁33を開弁した状態で、洗浄液供給源25から主剤用供給路14への所定量の洗浄液の供給と、第1エア供給源23から主剤用供給路14への所定量のエアの供給とを、交互に繰り返す。このとき、ノズル40からの洗浄液の吐出は行わない。洗浄液とエアは、主剤用供給路14と主剤用個別流路31と主剤用開閉弁33とを順に通過し、機器内流路12B(共通流路12)の上流端に流入し、機器内流路12Bと流出ポート19と機器外流路12Aとを順に通過し、塗装ガン10から排出される。
【0048】
この間、洗浄液とエアは、その流通経路内に残留する主剤と混合塗料を洗い流す。この後、洗浄液とエアの交互投入を停止し、エアのみが上記と同じ経路に供給され、残留する洗浄液が排出される。このエアパージが済んだら、主剤用開閉弁33を閉弁する。以上により、主剤と混合塗料の流路内の洗浄が完了する。
【0049】
この洗浄工程では、機器内流路12B(共通流路12)の内壁を局部的に凹ませた形態の硬化剤用連通孔38内に残留している硬化剤は、洗浄液によって除去することが難しい。したがって、この硬化剤用連通孔38に残留している硬化剤の除去(洗浄)は、ノズル40から吐出する洗浄液によって行う。ニードル弁43を開弁すると、ノズル40の吐出孔41から吐出した高圧の洗浄液が、共通流路12を横切って硬化剤用連通孔38内に吹き付けられる。
【0050】
このとき、共通流路12内には主剤及び混合塗料を洗浄する工程で使用した液体(洗浄液)は残留していないので、ノズル40から吐出した洗浄液は、高圧のままで硬化剤用連通孔38内の硬化剤に吹き付けられる。この高圧の洗浄液により、硬化剤用連通孔38内の残留硬化剤が吹き飛ばされて機器内流路12B内へ排出される。
【0051】
洗浄液の吐出により硬化剤用連通孔38内の硬化剤を除去した後は、第2エア供給源29からの高圧のエアが、ノズル40から硬化剤用連通孔38内に向けて吐出され、硬化剤用連通孔38内に残留している洗浄液が除去されて機器内流路12B内に排出される。共通流路12内に排出された残留洗浄液と残留硬化剤は、ノズル40から吐出されるエア流に乗じて共通流路12内を流れ、塗装ガン10から排出される。以上により、硬化剤用連通孔38内の洗浄が完了する。
【0052】
上述のように、本実施形態によれば、共通流路12内に臨むように配置したノズル40から、硬化剤用連通孔38に向けて洗浄液を吐出するようにしたので、硬化剤用連通孔38内に残留している硬化剤を、確実に除去できる。
【0053】
また、ノズル40は、その軸線が硬化剤用連通孔38の軸線と同軸状となるように配置されているので、ノズル40から吐出された洗浄液を確実に硬化剤用連通孔38内に吹き付けることができる。
【0054】
また、洗浄液が吐出されない閉弁状態では、吐出孔41内がニードル45の尖塔部46で占められているので、主剤や硬化剤が吐出孔41内に溜まる虞がない。
【0055】
また、2つの連通孔36,38のうちノズル40と非対応の主剤用連通孔36が、ノズル40と対応する硬化剤用連通孔38よりも上流側に配置されている。したがって、この主剤用連通孔36から共通流路12内に流入した主剤や洗浄液は、硬化剤用連通孔38の前を通過するときに、硬化剤用連通孔38内に残留している硬化剤の一部を引き寄せて硬化剤用連通孔38外(共通流路12内)へ排出させる。したがって、硬化剤用連通孔38内に残留する硬化剤の残留量が少なくなり、ノズル40による除去効率が向上する。
【0056】
また、ノズル40が、共通流路12内に突出した形態となっているので、ノズル40と非対応の主剤用連通孔36から共通流路12内に流入した主剤や洗浄液は、ノズル40に接触することによって乱流状となり、ノズル40と対応する硬化剤用連通孔38内に入り込んでその内部に残留している硬化剤を硬化剤用連通孔38外へ押し出す。これにより、硬化剤用連通孔38内に残留する硬化剤の量が減少し、ノズル40による除去効率が更に向上する。
【0057】
また、混合塗料は、水を溶媒とする主剤に硬化剤を混合して得られる水性二液ウレタン塗料であり、主剤用個別流路31内と共通流路12内は水によって洗浄されるようになっており、ノズル40から吐出されて硬化剤用連通孔38内を洗浄する洗浄液も水である。このように、主剤用個別流路31と共通流路12、及び硬化剤用連通孔38が、いずれも、水によって洗浄されるようになっているので、有機溶剤を使用せずに済み、環境保護の点で好ましい。
【0058】
また、硬化剤用供給路17内及び硬化剤用個別流路32内を洗浄する必要がないので、洗浄時間の短縮を図ることができる。また、洗浄対象となる流路も短くなくので、その分、洗浄液の使用量が少なくて済む。
【0059】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施態様も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0060】
(1)上記実施形態は主剤用の洗浄液とノズルから吐出する硬化剤用の洗浄用流体とが同種の液剤(水)であることから、この主剤用の洗浄液と硬化剤用の洗浄用流体とを同一の供給源から供給するようにしたが、本発明によれば、主剤用の洗浄液と硬化剤用の洗浄用流体とが同種の液剤であっても、主剤用の洗浄液と硬化剤用の洗浄用流体とを、別々の供給源から供給してもよい。
【0061】
(2)上記実施形態では主剤用の洗浄液と硬化剤用の洗浄用流体とを同種の洗浄液(水)としたが、本発明によれば、硬化剤用の洗浄用流体は、主剤用の洗浄液(水)とは異なる種類の洗浄用流体(例えば、硬化剤用の洗浄液として本来用いられている有機溶剤や、高圧エア)であってもよい。
【0062】
(3)上記実施形態ではノズルによる洗浄対象を硬化剤用連通孔だけとしたが、本発明によれば、ノズルによる洗浄対象を、主剤用連通孔だけとしてもよく、硬化剤用連通孔と主剤用連通孔の両方としてもよい。ノズルによる洗浄対象を、硬化剤用連通孔と主剤用連通孔の両方とした場合は、共通流路に混合塗料用の洗浄液を流して洗浄すればよい。
【0063】
(4)上記実施形態ではノズルの軸線を硬化剤用連通孔の軸線と同軸状としたが、本発明によれば、ノズルの軸線が連通孔の軸線に対して平行にずれていてもよく、ノズルの軸線が連通孔の軸線に対して斜め方向であってもよい。
【0064】
(5)上記実施形態ではノズルからは洗浄液(水)とパージエアを吐出するようにしたが、本発明によれば、ノズルからは、洗浄液(水)だけを吐出し、パージエアを吐出しないようにしてもよい。この場合、主剤用開閉弁を開弁し、主剤用個別流路を通してパージエアを共通流路内に供給すればよい。
【0065】
(6)上記実施形態ではノズルを共通流路の内壁からその内部へ突出させたが、本発明によれば、ノズルは、共通流路内へ突出せず、共通流路の内壁面上で開口した形態であってもよい。
【0066】
(7)上記実施形態では洗浄用流体を吐出しない閉弁状態においては、ノズル内の吐出孔内のほぼ全体をニードルが占めて、ノズルの内部には共通流路に臨む大きな凹部が形成されないようにしたが、本発明によれば、洗浄用流体を吐出しない閉弁状態において、吐出孔が凹んだ状態で共通流路に臨むようにしてもよい。
【0067】
(8)上記実施形態では共通流路の内壁における主剤用連通孔の開口を硬化剤用連通孔の開口よりも上流側に配置したが、本発明によれば、主剤用連通孔の開口を硬化剤用連通孔の開口より下流側に配置してもよい。
【0068】
(9)上記実施形態では塗料が水性の二液ウレタン塗料である場合について説明したが、本発明は、溶剤型の二液ウレタン塗料である場合にも適用できる。この場合、主剤用の洗浄液としては有機溶剤(シンナー)が用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】実施形態1の構成図
【図2】合流器の断面図
【図3】ノズルが閉弁している状態をあらわ部分拡大断面図
【図4】ノズルが開弁している状態をあらわ部分拡大断面図
【符号の説明】
【0070】
10…塗装ガン
11…合流器
12…共通流路
31…主剤用個別流路
32…硬化剤用個別流路
33…主剤用開閉弁
36…主剤用連通孔(ノズルと非対応の連通孔)
37…硬化剤用開閉弁
38…硬化剤用連通孔(ノズルと対応する連通孔)
40…ノズル
41…吐出孔
43…ニードル弁
45…ニードル
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗料供給装置及びその洗浄方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、水性二液ウレタン塗装用の塗料供給装置が開示されている。この塗料供給装置は、塗装ガンに接続された共通流路と、共通流路の上流端に接続された主剤用個別流路と、共通流路の上流端に接続された硬化剤用個別流路とを備えている。塗装を行う際には、主剤用個別流路を通して供給された主剤と、硬化剤用個別流路を通して供給された硬化剤は、共通流路の上流端で混合されて水性二液ウレタン塗料(以下、二液塗料という)となり、この塗料は共通流路を通って塗装ガンに供給される。
【0003】
この二液塗料用の供給装置において洗浄を行う際には、次の点が考慮される。主剤と、主剤と硬化剤を混合して得られる二液塗料は、いずれも、溶媒である水に溶け易くするために、エマルション化されているのであるが、硬化剤用の洗浄液である有機溶剤に接触すると、エマルション破壊を起こす。エマルション破壊を起こした主剤や二液塗料は、主剤用個別流路や共通流路の内壁に付着するため、洗浄が不能となってしまう。一方、硬化剤については、洗浄液として有機溶剤が用いられるのであるが、主剤及び二液塗料用の洗浄液である水と接触した場合、短時間であれば硬化する虞はない。
【0004】
これらの点を勘案し、次のような洗浄方法が考えられる。まず、硬化剤用個別流路中に硬化剤が残留している状態で、水によって主剤用個別流路中の主剤と主剤流路中の二液塗料を洗い流す。このとき、共通流路の上流端では、水が硬化剤用個別流路の下流端に臨んでいる硬化剤に接触するが、この硬化剤は硬化しない。この後、有機溶剤を硬化剤用個別流路と共通流路とに流し、硬化剤用個別流路内に残留していた硬化剤を洗い流す。有機溶剤が共通流路を流れる時点では、共通流路内に主剤も二液塗料も残っていないので、主剤や二液塗料がエマルション破壊を来すことはない。
【特許文献1】特開2005−246167公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、有機溶剤中には水分が混入しているため、洗浄工程後の硬化剤用個別流路内に僅かでも硬化剤と有機溶剤が残留していると、この残留硬化剤と有機溶剤中の水分が接触して硬化し、副生成物となる。この副生成物は、硬化剤用個別流路に設けられている流量計や開閉弁等の可動機構に付着して、これらの機構の動きを阻害する虞がある。
【0006】
この不具合を回避するためには、硬化剤用個別流路内を洗浄しなければよい。ところが、硬化剤用個別流路のうち共通流路に連通する下流端部には、開閉弁が設けられ、硬化剤用個別流路のうち開閉弁よりも下流側の連通孔が、共通流路の内壁に凹んだ形態で開口している。そのため、硬化剤用個別流路に有機溶剤を流す工程を行わない場合には、共通流路の内壁から凹んでいる連通孔内に硬化剤が残留し、この連通孔内に残留した硬化剤は、主剤及び二液塗料の洗浄時に用いられる水と接触して硬化することになる。
【0007】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、複数の液剤を共通流路中で混合して得られた混合塗料を塗装ガンに供給するようになっていて、液剤の個別流路の下流端が共通流路の内壁に凹んだ形態で臨んでいる塗料供給装置において、液剤の個別流路に洗浄液を流さずに洗浄を行う場合でも、共通流路の内壁に個別流路の下流端により形成されている凹部に残留する液剤を確実に除去できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するための手段として、請求項1の発明は、合流器において複数の液剤を共通流路の上端部に供給し、前記複数の液剤が前記共通流路内を通過する間に混合されることによって得られた混合塗料を、塗装ガンに供給するようになっており、前記合流器には、前記複数の液剤を個別に流動させる複数の個別流路と、前記複数の個別流路の途中に個別に配置された開閉弁とが形成され、前記共通流路の内壁には、前記個別流路のうち前記開閉弁よりも下流側の連通孔が凹んだ形態で開口している塗料供給装置において、前記合流器には、前記共通流路内に臨むように配置され、複数の前記連通孔のうち少なくとも1つの前記連通孔に向けて洗浄用流体を吐出するノズルが設けられているところに特徴を有する。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1に記載のものにおいて、前記ノズルは、その軸線が前記連通孔の軸線と同軸状となるように配置されているところに特徴を有する。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1または請求項2に記載のものにおいて、前記ノズルには、ニードルの進退移動によって前記ノズルの開閉を行うニードル弁が設けられており、前記ノズルから前記洗浄用流体が吐出していない閉弁状態では、前記ノズルの先端の吐出孔内の空間が、前記ニードルの先端部で占められた状態となるところに特徴を有する。
【0011】
請求項4の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のものにおいて、前記複数の連通孔のうち前記ノズルと非対応の前記連通孔が、前記ノズルと対応する前記連通孔よりも上流側に配置されているところに特徴を有する。
【0012】
請求項5の発明は、請求項4に記載のものにおいて、前記ノズルが、前記共通流路内に突出した形態であるところに特徴を有する。
【0013】
請求項6の発明は、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載のものにおいて、前記混合塗料が、水を溶媒とする主剤に硬化剤を混合して得られる水性二液ウレタン塗料であり、前記主剤用の前記個別流路内と前記共通流路内が、水により洗浄されるようになっており、前記ノズルから吐出される洗浄用流体が、水であるところに特徴を有する。
【0014】
請求項7の発明は、合流器において複数の液剤を共通流路の上端部に供給し、前記複数の液剤が前記共通流路内を通過する間に混合されることによって得られた混合塗料を、塗装ガンに供給するようになっており、前記合流器には、前記複数の液剤を個別に流動させる複数の個別流路と、前記複数の個別流路の途中に個別に配置された開閉弁とが形成され、前記共通流路の内壁には、前記個別流路のうち前記開閉弁よりも下流側の連通孔が凹んだ形態で開口している塗料供給装置において、前記共通流路の内壁に臨む前記連通孔内に残留する液剤を除去するための洗浄方法であって、前記共通流路内に臨むように設けたノズルから、複数の前記連通孔のうち少なくとも1つの前記連通孔に向けて洗浄用流体を吐出するところに特徴を有する。
【0015】
請求項8の発明は、請求項7に記載のものにおいて、前記ノズルを、その軸線が前記連通孔の軸線と同軸状となるように配置した上で、前記洗浄用流体を吐出するところに特徴を有する。
【0016】
請求項9の発明は、請求項7または請求項8に記載のものにおいて、前記ノズルに、ニードルの進退移動によって前記ノズルの開閉を行うニードル弁が設けた上で、前記ノズルから前記洗浄用流体が吐出していない閉弁状態では、前記ノズルの先端の吐出孔内の空間を、前記ニードルの先端部で占めるところに特徴を有する。
【0017】
請求項10の発明は、請求項7ないし請求項9のいずれかに記載のものにおいて、前記複数の連通孔のうち前記ノズルと非対応の前記連通孔を、前記ノズルと対応する前記連通孔よりも上流側に配置した上で、前記ノズルと非対応の連通孔から前記共通流路内へ液剤と洗浄液を流入させるところに特徴を有する。
【0018】
請求項11の発明は、請求項10に記載のものにおいて、前記ノズルを、前記共通流路内に突出する形態とした上で、前記ノズルと非対応の連通孔から前記共通流路内へ流入させた液剤と洗浄液を、前記ノズルに接触させながら流動させるところに特徴を有する。
【0019】
請求項12の発明は、請求項7ないし請求項11のいずれかに記載のものにおいて、前記混合塗料は、水を溶媒とする主剤に硬化剤を混合して得られる水性二液ウレタン塗料であり、前記主剤用の前記個別流路内と前記共通流路内を、水により洗浄し、前記ノズルから、洗浄用流体としての水を吐出するところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0020】
<請求項1の発明>
共通流路の内壁には、個別流路の連通孔により凹部が形成されており、開閉弁を閉じた状態では、連通孔内に液剤の一部が残留する。この連通孔内に残留する液剤は、共通流路内に洗浄液を流しただけでは除去できないことがある。その点、本発明では、ノズルから連通孔内に向けて洗浄用流体を吐出するようにしているので、連通孔内に残留している液剤を、確実に除去することができる。
【0021】
<請求項2及び請求項8の発明>
ノズルの軸線を連通孔の軸線と同軸状としたので、ノズルから吐出された洗浄用流体は確実に連通孔内に進入する。
【0022】
<請求項3及び請求項9の発明>
洗浄用流体が吐出しない状態では、吐出孔内の空間がニードルの先端部で占められているので、他の液剤が吐出孔内に溜まる虞がない。
【0023】
<請求項4及び請求項10の発明>
ノズルと非対応の連通孔から共通流路内に流入した液剤や洗浄液は、ノズルと対応する連通孔の前を通過するときに、その連通孔内に残留している液剤の一部を引き寄せて連通孔外へ排出させる。したがって、連通孔内に残留する液剤の量が少なくなり、ノズルによる除去効率が向上する。
【0024】
<請求項5及び請求項11の発明>
ノズルと非対応の連通孔から共通流路内に流入した液剤や洗浄液は、ノズルに接触することによって乱流状となり、ノズルと対応する連通孔内に入り込んでその内部に残留している液剤を連通孔外へ押し出す。これにより、連通孔内に残留する液剤の量が少なくなり、ノズルによる除去効率が更に向上する。
【0025】
<請求項6及び請求項12の発明>
主剤用の個別流路と共通流路、及び硬化剤用の連通孔が、いずれも、水によって洗浄されるようになっており、有機溶剤を使用せずに済むので、環境保護の点で好ましい。
【0026】
<請求項7の発明>
ノズルから連通孔内に向けて洗浄用流体を吐出するようにしているので、連通孔内に残留している液剤を、確実に除去することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
<実施形態1>
以下、本発明を具体化した実施形態1を図1〜図4を参照して説明する。本実施形態の塗料供給装置は、混合塗料を塗装ガン10に供給するためのものであり、混合塗料は、主剤(本発明の構成要件である液剤)と硬化剤(本発明の構成要件である液剤)とを、合流器11において合流させ、共通流路12内を流動させる間に撹拌・混合して得られるようになっている。
【0028】
まず、塗料供給装置の概要を説明する。図1に示すように、主剤供給源13に接続された主剤用供給路14の下流端は、合流器11の主剤用流入ポート15に接続され、硬化剤供給源16に接続された硬化剤用供給路17の下流端は、合流器11の硬化剤用流入ポート18に接続されている。また、合流器11の流出ポート19には、共通流路12の機器外流路12Aの上流端が接続され、この機器外流路12Aの途中には、主剤と硬化剤とを撹拌して混合するための混合器20が設けられ、機器外流路12Aの下流端には塗装ガン10が接続されている。
【0029】
主剤用供給路14の途中には、主剤用色替えバルブ21と流量計22が設けられ、主剤用色替えバルブ21には、第1エア供給源23に接続された第1エア供給路24の下流端と、洗浄液供給源25に接続された洗浄液供給路26の下流端とが接続されている。硬化剤用供給路17の途中には、流量計27が設けられている。
【0030】
洗浄液供給路26は、途中で第1分岐流路26Aと第2分岐流路26Bとに分岐しており、第1分岐流路26Aの下流端は主剤用色替えバルブ21に接続されている。一方、第2分岐流路26Bの下流端は、合流器11の洗浄液用流入ポート28に接続されている。また、第2分岐流路12Bの途中には、第2エア供給源29に接続された第2エア供給路30の下流端が接続されている。
【0031】
次に、合流器11の構造を説明する。図2に示すように、合流器11の内部には、下流端(図2における上端)が流出ポート19に連通する機器内流路12Bが形成されている。機器内流路12Bと上記機器外流路12Aは、主剤と硬化剤とが合流して混合するための共通流路12を構成する。合流器11内には、上流端が主剤用流入ポート15に連通する略L字状の主剤用個別流路31と、上流端が硬化剤用流入ポート18に連通する略L字状の硬化剤用個別流路32とが、互いに独立した流路として形成されている。
【0032】
主剤用個別流路31の途中には、主剤用開閉弁33が、主剤用個別流路31の下流端に近い位置(共通流路12に近い位置)に配置して設けられている。主剤用開閉弁33は、主剤用個別流路31の内周に形成した球面状弁シート34と、主剤用個別流路31内を移動する球状の弁体35とを備えて構成されている。弁体35が球面状弁シート34から上流側へ離間した開弁状態では、主剤用個別流路31から共通流路12への主剤の流通が許容され、弁体35が球面状弁シート34に当接した閉弁状態では、主剤用個別流路31から共通流路12への主剤の流通が遮断される。
【0033】
主剤用個別流路31のうち主剤用開閉弁33よりも下流側の領域は、円形断面の主剤用連通孔36となっている。この主剤用連通孔36は、その軸線が共通流路12の機器内流路12Bの軸線に対して直交するような向き及び配置とされている。また、主剤用連通孔36の内径は、機器内流路12Bの内径よりも小さい。機器内流路12Bの内壁には、主剤用連通孔36が臨むことによって、凹部が形成されている。この主剤用連通孔36は、機器内流路12Bの内壁における上流端に位置している。
【0034】
硬化剤用個別流路32の途中には、硬化剤用開閉弁37が、硬化剤用個別流路32の下流端に近い位置(共通流路12に近い位置)に配置して設けられている。硬化剤用開閉弁37は、主剤用開閉弁33と同様、硬化剤用個別流路32の内周に形成した球面状弁シート34と、硬化剤用個別流路32内を移動する球状の弁体35とを備えて構成されている。弁体35が球面状弁シート34から上流側へ離間した開弁状態では、硬化剤用個別流路32から共通流路12への硬化剤の流通が許容され、弁体35が球面状弁シート34に当接した閉弁状態では、硬化剤用個別流路32から機器内流路12Bへの硬化剤の流通が遮断される。
【0035】
硬化剤用個別流路32のうち硬化剤用開閉弁37よりも下流側の領域は、円形断面の硬化剤用連通孔38となっている。この硬化剤用連通孔38は、その軸線が機器内流路12Bの軸線に対して直交するような向き及び配置とされている。硬化剤用連通孔38の軸線は、主剤用連通孔36の軸線と平行である。また、硬化剤用連通孔38の内径は、主剤用連通孔36の内径と同じ寸法であり、機器内流路12Bの内径よりも小さい。機器内流路12Bの内壁には、硬化剤用連通孔38が臨むことによって、凹部が形成されている。この硬化剤用連通孔38は、機器内流路12Bの内壁における主剤用連通孔36よりも下流側の位置に配置されている。
【0036】
次に、混合塗料について説明する。本実施形態の混合塗料は水性二液ウレタン塗料である。主剤は、硬化剤と混合する前の状態では、溶媒である水に溶け易くするためにエマルション化された状態となっている。混合塗料も、主剤と同様、溶媒は水である。一方、硬化剤は、有機溶剤を溶媒とする材料からなる。主剤と混合塗料は、硬化剤を洗浄するための有機溶剤に接触するとエマルション破壊を起こし、共通流路12の内壁に付着して、洗浄不能となる。
【0037】
また、有機溶剤は、水分の混入を完全に回避することは難しため、洗浄工程後の硬化剤用個別流路32内に僅かでも硬化剤と有機溶剤が残留していると、この残留硬化剤と有機溶剤中の水分が接触して硬化し、副生成物となる。この副生成物は、硬化剤用供給路17に設けられている流量計27や図示しない開閉弁等の可動機構に付着して、これらの機構の動きを阻害する虞がある。但し、水と硬化剤との接触時間が短時間であれば、硬化剤が硬化することはなく、副生成物も発生しない。
【0038】
これらの点を勘案し、本実施形態では、洗浄の対象を、合流器11内の機器内流路12Bを含む共通流路12全体と主剤用供給路14と主剤用個別流路31とに限定して、硬化剤用個別流路32内のうち硬化剤用開閉弁37よりも上流側の領域、及び硬化剤用供給路17内を洗浄の対象から外した。これにより、洗浄液として、主剤及び混合塗料の溶媒である水のみを使用し、硬化剤の溶媒である有機溶剤は使用せずに洗浄を行うようにしている。
【0039】
ところが、硬化剤用個別流路32のうち硬化剤用開閉弁37よりも下流側の硬化剤用連通孔38が、機器内流路12Bの内壁に凹んだ形態で開口しているため、硬化剤用個別流路32に有機溶剤を流さないと、機器内流路12Bの内壁から凹んでいる硬化剤用連通孔38内に硬化剤が残留することになる。この硬化剤用連通孔38内に残留した硬化剤は、主剤用及び混合塗料用の洗浄液として用いられる水と接触して硬化することになる。
【0040】
その対策として、本実施形態では、水との接触時間が短時間(洗浄に要する程度の時間)であれば硬化剤は硬化しない、という点に着目し、合流器11内にノズル40を設け、このノズル40から、硬化剤用連通孔38内を洗浄するための洗浄液用流体としての水(以下、洗浄液という)を吐出するようにしている。以下、ノズル40の構成について説明する。
【0041】
ノズル40は、機器内流路12Bの内壁から硬化剤用連通孔38に向けて円錐台形状に突出した形態である。ノズル40の外周は、先端(突出端)側に向かって外径が次第に小さくなるようなテーパ状をなしている。ノズル40の中心には、同心円形をなす吐出孔41がノズル40の突出端面に開口するように形成されている。ノズル40(吐出孔41)の軸線は、共通流路12と直交し、硬化剤用連通孔38の軸線と同軸状の関係となっている。吐出孔41の内径は、硬化剤用連通孔38の内径よりも小さく、ノズル40の最大外径が硬化剤用連通孔38の内径とほぼ同じ寸法とされている。吐出孔41の後端には、合流器11内に略L字形に屈曲して形成した洗浄液用流入路42の下流端が同心状に連なっている。洗浄液流入路42の上流端は、洗浄液用流入ポート28に連通している。
【0042】
ノズル40にはニードル弁43が設けられている。ニードル弁43は、吐出孔41の後方に同心に連なるテーパ状弁シート44と、吐出孔41と同心の細長い円形棒状をなしていてテーパ状弁シート44に対して接離するニードル45とを備えて構成されている。ニードル45は、ピストンとシリンダを用いた図示しない駆動機構により、吐出孔41の軸線と平行に進退移動するようになっている。ニードル45の最も先端の部分は、吐出孔41と同心であり、且つ吐出孔41の内径よりも外径が僅かに小さい尖塔部46となっている。ニードル45の外周のうち尖塔部46よりも後方の領域には、先端側に向かって次第に縮径するテーパ状のシート部47が形成されている。
【0043】
また、ニードル45の外周のうちシート部47よりも後方には、軸線方向に沿ってリブ状に突出した形態の複数のスペーサ48が、周方向に間隔を空けて形成されている。この複数のスペーサ48は、洗浄液用流入路42のうちテーパ状弁シート44よりも後方領域に内周面に摺接することにより、ニードル45を洗浄液用流入路と同心状に保つとともに、洗浄液用流入路42の内周とニードル45の外周との間に、洗浄液を流通させるための円環状の流路を確保するようになっている。
【0044】
図3に示すように、ニードル45が前進し、シート部47がテーパ状弁シート44に当接した閉弁状態では、洗浄液用流入路42に圧送された洗浄液は、吐出孔41側へ流動することができず、ノズル40からの洗浄液の吐出は行われない。また、この閉弁状態では、尖塔部46が、吐出孔41内に進入して、吐出孔41内の空間の大部分を占める。
【0045】
また、図4に示すように、ニードル45が後退し、シート部47がテーパ状弁シート44に対して後方へ離間した開弁状態では、尖塔部46が吐出孔41よりも後方へ退避することにより、吐出孔41が開放されるので、洗浄液用流入路42を通って圧送された洗浄液が、テーパ状弁シート44とニードル45との隙間、及び吐出孔41を通ってノズル40の先端から硬化剤用連通孔38に向けて高圧で吐出される。
【0046】
次に、本実施形態における塗装工程及び洗浄工程について説明する。
塗装を行う際には、主剤用開閉弁33と硬化剤用開閉弁37を交互に開閉することにより、主剤と硬化剤を所定の流量ずつ交互に共通流路12に投入する。共通流路12に投入された主剤と硬化剤は、共通流路12内を流動し、混合器20を通過することにより撹拌、混合されて混合塗料となり、塗装ガン10へ供給される。
【0047】
洗浄を行う際には、硬化剤用開閉弁37を閉弁し、主剤用開閉弁33を開弁した状態で、洗浄液供給源25から主剤用供給路14への所定量の洗浄液の供給と、第1エア供給源23から主剤用供給路14への所定量のエアの供給とを、交互に繰り返す。このとき、ノズル40からの洗浄液の吐出は行わない。洗浄液とエアは、主剤用供給路14と主剤用個別流路31と主剤用開閉弁33とを順に通過し、機器内流路12B(共通流路12)の上流端に流入し、機器内流路12Bと流出ポート19と機器外流路12Aとを順に通過し、塗装ガン10から排出される。
【0048】
この間、洗浄液とエアは、その流通経路内に残留する主剤と混合塗料を洗い流す。この後、洗浄液とエアの交互投入を停止し、エアのみが上記と同じ経路に供給され、残留する洗浄液が排出される。このエアパージが済んだら、主剤用開閉弁33を閉弁する。以上により、主剤と混合塗料の流路内の洗浄が完了する。
【0049】
この洗浄工程では、機器内流路12B(共通流路12)の内壁を局部的に凹ませた形態の硬化剤用連通孔38内に残留している硬化剤は、洗浄液によって除去することが難しい。したがって、この硬化剤用連通孔38に残留している硬化剤の除去(洗浄)は、ノズル40から吐出する洗浄液によって行う。ニードル弁43を開弁すると、ノズル40の吐出孔41から吐出した高圧の洗浄液が、共通流路12を横切って硬化剤用連通孔38内に吹き付けられる。
【0050】
このとき、共通流路12内には主剤及び混合塗料を洗浄する工程で使用した液体(洗浄液)は残留していないので、ノズル40から吐出した洗浄液は、高圧のままで硬化剤用連通孔38内の硬化剤に吹き付けられる。この高圧の洗浄液により、硬化剤用連通孔38内の残留硬化剤が吹き飛ばされて機器内流路12B内へ排出される。
【0051】
洗浄液の吐出により硬化剤用連通孔38内の硬化剤を除去した後は、第2エア供給源29からの高圧のエアが、ノズル40から硬化剤用連通孔38内に向けて吐出され、硬化剤用連通孔38内に残留している洗浄液が除去されて機器内流路12B内に排出される。共通流路12内に排出された残留洗浄液と残留硬化剤は、ノズル40から吐出されるエア流に乗じて共通流路12内を流れ、塗装ガン10から排出される。以上により、硬化剤用連通孔38内の洗浄が完了する。
【0052】
上述のように、本実施形態によれば、共通流路12内に臨むように配置したノズル40から、硬化剤用連通孔38に向けて洗浄液を吐出するようにしたので、硬化剤用連通孔38内に残留している硬化剤を、確実に除去できる。
【0053】
また、ノズル40は、その軸線が硬化剤用連通孔38の軸線と同軸状となるように配置されているので、ノズル40から吐出された洗浄液を確実に硬化剤用連通孔38内に吹き付けることができる。
【0054】
また、洗浄液が吐出されない閉弁状態では、吐出孔41内がニードル45の尖塔部46で占められているので、主剤や硬化剤が吐出孔41内に溜まる虞がない。
【0055】
また、2つの連通孔36,38のうちノズル40と非対応の主剤用連通孔36が、ノズル40と対応する硬化剤用連通孔38よりも上流側に配置されている。したがって、この主剤用連通孔36から共通流路12内に流入した主剤や洗浄液は、硬化剤用連通孔38の前を通過するときに、硬化剤用連通孔38内に残留している硬化剤の一部を引き寄せて硬化剤用連通孔38外(共通流路12内)へ排出させる。したがって、硬化剤用連通孔38内に残留する硬化剤の残留量が少なくなり、ノズル40による除去効率が向上する。
【0056】
また、ノズル40が、共通流路12内に突出した形態となっているので、ノズル40と非対応の主剤用連通孔36から共通流路12内に流入した主剤や洗浄液は、ノズル40に接触することによって乱流状となり、ノズル40と対応する硬化剤用連通孔38内に入り込んでその内部に残留している硬化剤を硬化剤用連通孔38外へ押し出す。これにより、硬化剤用連通孔38内に残留する硬化剤の量が減少し、ノズル40による除去効率が更に向上する。
【0057】
また、混合塗料は、水を溶媒とする主剤に硬化剤を混合して得られる水性二液ウレタン塗料であり、主剤用個別流路31内と共通流路12内は水によって洗浄されるようになっており、ノズル40から吐出されて硬化剤用連通孔38内を洗浄する洗浄液も水である。このように、主剤用個別流路31と共通流路12、及び硬化剤用連通孔38が、いずれも、水によって洗浄されるようになっているので、有機溶剤を使用せずに済み、環境保護の点で好ましい。
【0058】
また、硬化剤用供給路17内及び硬化剤用個別流路32内を洗浄する必要がないので、洗浄時間の短縮を図ることができる。また、洗浄対象となる流路も短くなくので、その分、洗浄液の使用量が少なくて済む。
【0059】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施態様も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0060】
(1)上記実施形態は主剤用の洗浄液とノズルから吐出する硬化剤用の洗浄用流体とが同種の液剤(水)であることから、この主剤用の洗浄液と硬化剤用の洗浄用流体とを同一の供給源から供給するようにしたが、本発明によれば、主剤用の洗浄液と硬化剤用の洗浄用流体とが同種の液剤であっても、主剤用の洗浄液と硬化剤用の洗浄用流体とを、別々の供給源から供給してもよい。
【0061】
(2)上記実施形態では主剤用の洗浄液と硬化剤用の洗浄用流体とを同種の洗浄液(水)としたが、本発明によれば、硬化剤用の洗浄用流体は、主剤用の洗浄液(水)とは異なる種類の洗浄用流体(例えば、硬化剤用の洗浄液として本来用いられている有機溶剤や、高圧エア)であってもよい。
【0062】
(3)上記実施形態ではノズルによる洗浄対象を硬化剤用連通孔だけとしたが、本発明によれば、ノズルによる洗浄対象を、主剤用連通孔だけとしてもよく、硬化剤用連通孔と主剤用連通孔の両方としてもよい。ノズルによる洗浄対象を、硬化剤用連通孔と主剤用連通孔の両方とした場合は、共通流路に混合塗料用の洗浄液を流して洗浄すればよい。
【0063】
(4)上記実施形態ではノズルの軸線を硬化剤用連通孔の軸線と同軸状としたが、本発明によれば、ノズルの軸線が連通孔の軸線に対して平行にずれていてもよく、ノズルの軸線が連通孔の軸線に対して斜め方向であってもよい。
【0064】
(5)上記実施形態ではノズルからは洗浄液(水)とパージエアを吐出するようにしたが、本発明によれば、ノズルからは、洗浄液(水)だけを吐出し、パージエアを吐出しないようにしてもよい。この場合、主剤用開閉弁を開弁し、主剤用個別流路を通してパージエアを共通流路内に供給すればよい。
【0065】
(6)上記実施形態ではノズルを共通流路の内壁からその内部へ突出させたが、本発明によれば、ノズルは、共通流路内へ突出せず、共通流路の内壁面上で開口した形態であってもよい。
【0066】
(7)上記実施形態では洗浄用流体を吐出しない閉弁状態においては、ノズル内の吐出孔内のほぼ全体をニードルが占めて、ノズルの内部には共通流路に臨む大きな凹部が形成されないようにしたが、本発明によれば、洗浄用流体を吐出しない閉弁状態において、吐出孔が凹んだ状態で共通流路に臨むようにしてもよい。
【0067】
(8)上記実施形態では共通流路の内壁における主剤用連通孔の開口を硬化剤用連通孔の開口よりも上流側に配置したが、本発明によれば、主剤用連通孔の開口を硬化剤用連通孔の開口より下流側に配置してもよい。
【0068】
(9)上記実施形態では塗料が水性の二液ウレタン塗料である場合について説明したが、本発明は、溶剤型の二液ウレタン塗料である場合にも適用できる。この場合、主剤用の洗浄液としては有機溶剤(シンナー)が用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】実施形態1の構成図
【図2】合流器の断面図
【図3】ノズルが閉弁している状態をあらわ部分拡大断面図
【図4】ノズルが開弁している状態をあらわ部分拡大断面図
【符号の説明】
【0070】
10…塗装ガン
11…合流器
12…共通流路
31…主剤用個別流路
32…硬化剤用個別流路
33…主剤用開閉弁
36…主剤用連通孔(ノズルと非対応の連通孔)
37…硬化剤用開閉弁
38…硬化剤用連通孔(ノズルと対応する連通孔)
40…ノズル
41…吐出孔
43…ニードル弁
45…ニードル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
合流器において複数の液剤を共通流路の上端部に供給し、
前記複数の液剤が前記共通流路内を通過する間に混合されることによって得られた混合塗料を、塗装ガンに供給するようになっており、
前記合流器には、前記複数の液剤を個別に流動させる複数の個別流路と、前記複数の個別流路の途中に個別に配置された開閉弁とが形成され、前記共通流路の内壁には、前記個別流路のうち前記開閉弁よりも下流側の連通孔が凹んだ形態で開口している塗料供給装置において、
前記合流器には、前記共通流路内に臨むように配置され、複数の前記連通孔のうち少なくとも1つの前記連通孔に向けて洗浄用流体を吐出するノズルが設けられていることを特徴とする塗料供給装置。
【請求項2】
前記ノズルは、その軸線が前記連通孔の軸線と同軸状となるように配置されていることを特徴とする請求項1記載の塗料供給装置。
【請求項3】
前記ノズルには、ニードルの進退移動によって前記ノズルの開閉を行うニードル弁が設けられており、
前記ノズルから前記洗浄用流体が吐出していない閉弁状態では、前記ノズルの先端の吐出孔内の空間が、前記ニードルの先端部で占められた状態となることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の塗料供給装置。
【請求項4】
前記複数の連通孔のうち前記ノズルと非対応の前記連通孔が、前記ノズルと対応する前記連通孔よりも上流側に配置されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の塗料供給装置。
【請求項5】
前記ノズルが、前記共通流路内に突出した形態であることを特徴とする請求項4記載の塗料供給装置。
【請求項6】
前記混合塗料が、水を溶媒とする主剤に硬化剤を混合して得られる水性二液ウレタン塗料であり、
前記主剤用の前記個別流路内と前記共通流路内が、水により洗浄されるようになっており、
前記ノズルから吐出される洗浄用流体が、水であることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の塗料供給装置。
【請求項7】
合流器において複数の液剤を共通流路の上端部に供給し、
前記複数の液剤が前記共通流路内を通過する間に混合されることによって得られた混合塗料を、塗装ガンに供給するようになっており、
前記合流器には、前記複数の液剤を個別に流動させる複数の個別流路と、前記複数の個別流路の途中に個別に配置された開閉弁とが形成され、前記共通流路の内壁には、前記個別流路のうち前記開閉弁よりも下流側の連通孔が凹んだ形態で開口している塗料供給装置において、
前記共通流路の内壁に臨む前記連通孔内に残留する液剤を除去するための洗浄方法であって、
前記共通流路内に臨むように設けたノズルから、複数の前記連通孔のうち少なくとも1つの前記連通孔に向けて洗浄用流体を吐出することを特徴とする塗料供給装置の洗浄方法。
【請求項8】
前記ノズルを、その軸線が前記連通孔の軸線と同軸状となるように配置した上で、前記洗浄用流体を吐出することを特徴とする請求項7記載の塗料供給装置の洗浄方法。
【請求項9】
前記ノズルに、ニードルの進退移動によって前記ノズルの開閉を行うニードル弁が設けた上で、
前記ノズルから前記洗浄用流体が吐出していない閉弁状態では、前記ノズルの先端の吐出孔内の空間を、前記ニードルの先端部で占めることを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の塗料供給装置の洗浄方法。
【請求項10】
前記複数の連通孔のうち前記ノズルと非対応の前記連通孔を、前記ノズルと対応する前記連通孔よりも上流側に配置した上で、
前記ノズルと非対応の連通孔から前記共通流路内へ液剤と洗浄液を流入させることを特徴とする請求項7ないし請求項9のいずれかに記載の塗料供給装置の洗浄方法。
【請求項11】
前記ノズルを、前記共通流路内に突出する形態とした上で、
前記ノズルと非対応の連通孔から前記共通流路内へ流入させた液剤と洗浄液を、前記ノズルに接触させながら流動させることを特徴とする請求項10記載の塗料供給装置の洗浄方法。
【請求項12】
前記混合塗料は、水を溶媒とする主剤に硬化剤を混合して得られる水性二液ウレタン塗料であり、
前記主剤用の前記個別流路内と前記共通流路内を、水により洗浄し、
前記ノズルから、洗浄用流体としての水を吐出することを特徴とする請求項7ないし請求項11のいずれかに記載の塗料供給装置の洗浄方法。
【請求項1】
合流器において複数の液剤を共通流路の上端部に供給し、
前記複数の液剤が前記共通流路内を通過する間に混合されることによって得られた混合塗料を、塗装ガンに供給するようになっており、
前記合流器には、前記複数の液剤を個別に流動させる複数の個別流路と、前記複数の個別流路の途中に個別に配置された開閉弁とが形成され、前記共通流路の内壁には、前記個別流路のうち前記開閉弁よりも下流側の連通孔が凹んだ形態で開口している塗料供給装置において、
前記合流器には、前記共通流路内に臨むように配置され、複数の前記連通孔のうち少なくとも1つの前記連通孔に向けて洗浄用流体を吐出するノズルが設けられていることを特徴とする塗料供給装置。
【請求項2】
前記ノズルは、その軸線が前記連通孔の軸線と同軸状となるように配置されていることを特徴とする請求項1記載の塗料供給装置。
【請求項3】
前記ノズルには、ニードルの進退移動によって前記ノズルの開閉を行うニードル弁が設けられており、
前記ノズルから前記洗浄用流体が吐出していない閉弁状態では、前記ノズルの先端の吐出孔内の空間が、前記ニードルの先端部で占められた状態となることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の塗料供給装置。
【請求項4】
前記複数の連通孔のうち前記ノズルと非対応の前記連通孔が、前記ノズルと対応する前記連通孔よりも上流側に配置されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の塗料供給装置。
【請求項5】
前記ノズルが、前記共通流路内に突出した形態であることを特徴とする請求項4記載の塗料供給装置。
【請求項6】
前記混合塗料が、水を溶媒とする主剤に硬化剤を混合して得られる水性二液ウレタン塗料であり、
前記主剤用の前記個別流路内と前記共通流路内が、水により洗浄されるようになっており、
前記ノズルから吐出される洗浄用流体が、水であることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の塗料供給装置。
【請求項7】
合流器において複数の液剤を共通流路の上端部に供給し、
前記複数の液剤が前記共通流路内を通過する間に混合されることによって得られた混合塗料を、塗装ガンに供給するようになっており、
前記合流器には、前記複数の液剤を個別に流動させる複数の個別流路と、前記複数の個別流路の途中に個別に配置された開閉弁とが形成され、前記共通流路の内壁には、前記個別流路のうち前記開閉弁よりも下流側の連通孔が凹んだ形態で開口している塗料供給装置において、
前記共通流路の内壁に臨む前記連通孔内に残留する液剤を除去するための洗浄方法であって、
前記共通流路内に臨むように設けたノズルから、複数の前記連通孔のうち少なくとも1つの前記連通孔に向けて洗浄用流体を吐出することを特徴とする塗料供給装置の洗浄方法。
【請求項8】
前記ノズルを、その軸線が前記連通孔の軸線と同軸状となるように配置した上で、前記洗浄用流体を吐出することを特徴とする請求項7記載の塗料供給装置の洗浄方法。
【請求項9】
前記ノズルに、ニードルの進退移動によって前記ノズルの開閉を行うニードル弁が設けた上で、
前記ノズルから前記洗浄用流体が吐出していない閉弁状態では、前記ノズルの先端の吐出孔内の空間を、前記ニードルの先端部で占めることを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の塗料供給装置の洗浄方法。
【請求項10】
前記複数の連通孔のうち前記ノズルと非対応の前記連通孔を、前記ノズルと対応する前記連通孔よりも上流側に配置した上で、
前記ノズルと非対応の連通孔から前記共通流路内へ液剤と洗浄液を流入させることを特徴とする請求項7ないし請求項9のいずれかに記載の塗料供給装置の洗浄方法。
【請求項11】
前記ノズルを、前記共通流路内に突出する形態とした上で、
前記ノズルと非対応の連通孔から前記共通流路内へ流入させた液剤と洗浄液を、前記ノズルに接触させながら流動させることを特徴とする請求項10記載の塗料供給装置の洗浄方法。
【請求項12】
前記混合塗料は、水を溶媒とする主剤に硬化剤を混合して得られる水性二液ウレタン塗料であり、
前記主剤用の前記個別流路内と前記共通流路内を、水により洗浄し、
前記ノズルから、洗浄用流体としての水を吐出することを特徴とする請求項7ないし請求項11のいずれかに記載の塗料供給装置の洗浄方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図2】
【図3】
【図4】
【公開番号】特開2010−82592(P2010−82592A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−256878(P2008−256878)
【出願日】平成20年10月1日(2008.10.1)
【出願人】(000117009)旭サナック株式会社 (194)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年10月1日(2008.10.1)
【出願人】(000117009)旭サナック株式会社 (194)
【Fターム(参考)】
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