説明

塗料捕集システム

【課題】現状の塗装ブースシステムの大きな問題のひとつは、飛散ミスト回収に介在する循環水に起因している。ランニングコストを抑え環境負荷の低いシステムを提供するために、循環水を使用しないドライ状態で飛散ミストを捕集する乾式飛散ミスト回収システムがあるが、これは、回収能力が低く、また機能安定のためには、煩雑なメンテナンスを必要とする欠点があった。
【解決手段】本願の乾式飛散ミスト回収システムは、前段の衝突型気液分離手段で大径ミストを捕集し、後段の濾過型気液分離手段で小径ミストを捕集するものである。前段は、排気速度を高速化する排出空気加速手段と、排出空気流に正対して大径ミストを捕集する衝突型気液分離手段と、分離した塗料液を集合させる分離液体集合手段とこれらを包含する衝突型気液分離筐体からなる。本願はこれらの配置や形状について研究し、捕集効率を上げるための最適条件を選定したものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗料をミスト状にして被塗装物に噴射して塗装を行う塗装ブースにおいて、被塗装物に付着しなかった飛散ミストを含む飛散ミスト含有空気から、飛散ミストを効率的に分離する塗装システムに関わるものである。
【背景技術】
【0002】
自動車ボディなどを塗装するための塗装システムは、塗装ブースの上流側に設けられた給気室からフィルターを通して塗装室に空調された空気を流下させながら、塗装機によってミスト化した塗料を被塗装物に向けて噴射し、被塗装物に一様膜厚の塗膜を付着させている。
塗装の際に被塗装物に付着せずオーバースプレーされた飛散ミストを含む空気は、ブース外(下流側)に導かれ、そこに設けられた飛散ミスト捕集手段で飛散ミストを分離捕集して、清浄な空気のみ外部に排出もしくは塗装ブース給気に再循環するように構成されている。
この構成により、塗装ブース周辺環境の悪化や、塗装室内の作業環境の悪化および、塗料ミストの再循環やブース気流のバランス崩れによる被塗装物の品質不良といった問題を解消している。
【0003】
図20・21に示す特開平6−254454は、従来の湿式塗装ブースの飛散ミスト回収システムである。ここに示されるように、湿式飛散ミスト回収システムは、塗装ブースの塗装室1と、直下の排気処理室2からなる。塗装室床下には貯水槽3、斜板4や狭隙部5、貯水樋6、第一ベンチュリー11、下流の第二ベンチュリー14と、邪魔板16、17および送気・送水を行う送気ファン21からなる。ベンチュリーは循環水をミスト化することで気液接触機会を増やし、飛散ミスト含有空気からの飛散ミスト回収効率を上げている。第一ベンチュリー11で循環水を比較的粒径の大きな粒子に霧化し、粒径の大きな塗料ミストを捕捉し、第二ベンチュリー14で循環水を微小粒径の粒子に霧化し、粒径の小さな塗料ミストを捕捉している。さらに下流では、塗料ミストを内包する水粒子と排気の混合体の経路に邪魔板16、17を設置し、これによってジグザグに構成される経路に混合体を通すことで、塗料ミストを内包する水粒子を循環水膜に吸収させて、清浄化した排気のみを外部に排出している。
【0004】
図14・15に示す特開2009−28586は、循環水を使わない従来の乾式塗装ブースであり、塗装室4と、空気集合部材21と、排気用配管22と、排気室6、塗料捕集器23、排気ダクト18からなる。塗装室4で霧化された塗料のうち被塗物に付着しない余剰霧化塗料を含む汚染空気は、下方に配設する空気集合部材21で増速され、排気用配管22により排気室6に排出される。排気室6内に設置された塗料捕集器23は底部25、側壁26、縁部27が設けられ、余剰霧化塗料は塗料捕集器23内の各部に略直角に吹き付けられることで付着し、この結果汚染空気から塗料が分離され、浄化された空気が排気ダクト18から排気室6の外部に排出されるものである。
【0005】
図16・17・18・19に示す特開2003−275640は、循環水を使わない従来の乾式塗装ブースであり、塗装作業部2と、塗料回収部3と、回収ボックス7aと、排気ファン7bからなる。塗料回収部では、最下流の排気ファン7bにより塗装作業部2から吸引される流下・偏向する排気流に対し、3種類の捕捉部材が所定角度をもって対向しており、順に衝突させることで、排気流に混ざった塗料ミストを回収している。塗料回収部3の最低部には塗料回収口3fがあり、塗料回収部3で回収された液状の塗料は、塗料回収口3fから回収槽6に送られる。
塗料回収部3で大部分の塗料ミストを除去され、微量の塗料ミストを含有した排気流は、捕捉部材の下方に位置する排気口3eから塗料回収部3の外に吸引される。
塗料回収部3下流の回収ボックス7aは、複層からなるフィルター3gを内包しており、フィルター3gに塗料回収部3を通過した排気流を通すことで、塗料回収部3で捕捉し切れなかった微量の塗料ミストを完全に吸着させて除去している。
【0006】
被塗装物に付着しなかった飛散ミストを含む塗装ブースの排気(飛散ミスト含有空気)から、飛散ミストを分離回収する塗装設備については、下記特許文献にも開示されている。
【特許文献1】特開2009−28586号公報
【特許文献2】特開2003−275640号公報
【特許文献3】特表2008−536661号公報
【特許文献4】特開2001−300370号公報
【特許文献5】特開昭50−465号公報
【特許文献6】特開平6−254453号公報
【特許文献7】特開平3−98665号公報 また、塗装ブースではないが、塗装工場において塗装色替えの際に、塗装機の洗浄液と洗浄空気を分離して洗浄廃液を回収するための類似技術は、以下文献に開示されている。
【特許文献8】特開2003−80132号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、従来から多くの塗装ブースに用いられている湿式ブース塗装システムでは、循環水を介して飛散ミストを回収した後に気液分離し、清浄空気のみ排出もしくは、清浄空気を空調して塗装ブースに再循環するように構成されている。この湿式ブース塗装システムでは、循環水をミスト化するなど表面積を出来るだけ増加させ、これに飛散ミスト含有空気と混合衝突させるなど気液接触機会を増加させることが、効率よく飛散ミストを回収する基本となっている。
【0008】
ところが上記湿式ブース塗装システムは、以下にあげる不具合を持っていて、この対応が重要な課題となっている。
飛散ミスト回収・水循環・塗料成分の分離/回収に至る一連のシステムが相当に大掛かりとなり、このため設備が大型化し、初期投資が高額になる。
塗装ブースの稼動にかかわるエネルギー削減のためには、排出されたブース空気を再び
ブースに戻す(再循環)させるのが有効な手立てとされているが、湿式ブース塗装システムでブース空気を清浄化した場合は、清浄化過程で再循環空気に多量の湿気が混入することになり、この除湿を含めた空調(冷却除湿〜加温)に新たな大エネルギーを要し、多大な運転コストがかかる。
水の循環は、大量かつ循環水処理システムまでの長い経路距離に及び、このために使用する動力エネルギーコストは膨大なものとなっている。
循環水から塗料成分を継続的に安定して分離するためには、分離するに充分な薬剤を投入し続ける必要があり、これに要する日常的な薬剤コストと管理コストは大きなものになっている。
しかしながら薬剤を以ってしても、除去しきれない一部塗料成分が循環水に残ってしまい、これが次第に蓄積されるので、この対応のために、一定期間ごとに全液交換が必要になる。これにかかる処理コストは膨大なものになる。またこのことは大量の汚染水を産出することになり、環境側面からも好ましくないものになる。
【0009】
一方、乾式ブース塗装システムでは、循環水を使わず、飛散ミストを含んだ飛散ミスト含有空気を慣性衝突分離板に衝突させたり、複層の濾過フィルターで濾過したりして、飛散ミストを所定の固形物に付着させて液化回収し、清浄化した空気のみ排出、もしくは塗装ブースに再循環するように構成されている。
【0010】
特開2009−28586に示す乾式ブース塗装システムの例においても、送気総量に対する空気集合部材21と排気用配管22と塗料捕集器23の位置や構成から、飛散ミストと塗料捕集器23の衝突速度が決まり、この結果飛散ミスト捕集能力が定まる。一方通気圧力損失を一定以下に留める制約からは、汚損による性能劣化に対応するメンテナンスが必要になるものであり、いずれも更なる改良に課題を残している。一般に乾式ブース塗装システムは、上記湿式ブース塗装システムに比べ簡易に構成できるが、一方で飛散ミストの回収能力(ミスト除去効率)の面では充分とは言えない低い能力に留まっていて、回収機能の安定などメンテナンスに課題のあることが多い。このため乾式ブース塗装システムは簡易システムへの導入に留まっていることが多い。
【0011】
まとめると上記乾式ブース塗装システムは、以下にあげる不具合を持っている。
水を微粒子化して飛散ミストを捕集する湿式ブース塗装システムに比べて、乾式ブース塗装システムは飛散ミストとの接触機会が充分確保できず、飛散ミストの回収能力(ミスト除去効率)が充分上がらないことが多い。
飛散ミストが慣性衝突分離板や濾過フィルターに付着・堆積すると、次第に通気圧力損失が過大になり、塗装ブース内の送気バランスが崩れるなど、塗装品質の安定を妨げる元になる。またこれを防ぐために一定使用時間の稼動で汚損部位の清掃や交換等を行うことが必要となるが、これには煩雑なメンテナンス作業が必要となり、またメンテコストも相応にかかってくる。
【0012】
本発明は上記の課題を鑑みてなされたものであり、その目的は、十分なミスト捕集能力と捕集機能の安定性を維持・確保しながらも、初期投資とランニングコストを抑え、環境負荷の低いブース塗装システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、空調された空気を一定方向に流しつつ被塗装物に塗料をミスト状にして噴射して塗装を行う塗装手段と、塗装手段と被塗装物と前記塗装手段から噴射された塗料のうち被塗装物に付着しなかった飛散ミスト含有空気を取り囲む塗装設備筐体と、塗装設備筐体の外部に飛散ミスト含有空気を排出するために、飛散ミスト含有空気を集める飛散ミスト含有空気排気空間と、飛散ミスト含有空気排気空間に連接し、飛散ミスト含有空気の排出速度を上げながら直進させて飛散ミスト含有空気を整流する排出空気加速手段と、排出速度を上げた前記飛散ミスト含有空気と衝突させることで大粒径飛散ミストを付着させ、ミストと空気とを分離する衝突型気液分離手段と、衝突型気液分離手段と分離液体集合手段と排出空気加速手段の終端部を内包する衝突型気液分離筐体と、衝突型気液分離筐体内部で衝突型気液分離手段の下方に配置し、衝突型気液分離手段によって気液分離された塗料液を集合させる分離液体集合手段と、飛散ミスト含有空気排出開口の下流に排出された飛散ミスト含有空気を濾過することで、小粒径飛散ミストと空気とを分離する濾過型気液分離手段を有する塗装システムにおいて、衝突型気液分離筐体内部において、最下位に分離液体集合手段、中位に衝突型気液分離手段、最上位に飛散ミスト含有空気排出開口を配置し、排出空気加速手段は、飛散ミスト含有空気排出開口を貫通して設置され、排出空気加速手段は、下流部の縮径割合がその上流部より小さくなるように、望ましくは衝突型気液分離筐体外部に位置する上流部から衝突型気液分離筐体内部に位置する下流部まで、下流部の縮径割合がその上流部より小さくなるように徐々に通気断面積を縮径し、排出空気加速手段の終端部気流方向に対し、第一の衝突型気液分離手段の衝突板面に近接して正対配置し、第一の衝突型気液分離手段の衝突板面の延長上に第二の衝突型気液分離手段の衝突板面を正対配置したものである。これにより、循環水を使用しないで高効率な塗装ブース飛散ミストを回収機能が達成されるので、少ない初期設備投資で、ランニングコストと環境負荷の低いシステムを提供することが出来るものである。
【0014】
請求項2に記載の発明は、空調された空気を一定方向に流しつつ被塗装物に塗料をミスト状にして噴射して塗装を行う塗装手段と、塗装手段と被塗装物と前記塗装手段から噴射された塗料のうち被塗装物に付着しなかった飛散ミスト含有空気を取り囲む塗装設備筐体と、塗装設備筐体の外部に飛散ミスト含有空気を排出するために、飛散ミスト含有空気を集める飛散ミスト含有空気排気空間と、飛散ミスト含有空気排気空間に連接し、飛散ミスト含有空気の排出速度を上げながら直進させて飛散ミスト含有空気を整流する排出空気加速手段と、排出空気加速手段で排出速度を上げた飛散ミスト含有空気を偏向する衝突型案内手段と、排出速度を上げた前記飛散ミスト含有空気と衝突させることで大粒径飛散ミストを付着させ、ミストと空気とを分離する衝突型気液分離手段と、衝突型気液分離筐体内部で衝突型気液分離手段の下方に配置し、衝突型気液分離手段によって気液分離された塗料液を集合させる分離液体集合手段と、衝突型案内手段と衝突型気液分離手段と分離液体集合手段を内包する衝突型気液分離筐体と、飛散ミスト含有空気排出開口の下流に排出された飛散ミスト含有空気を濾過することで小粒径飛散ミストと空気とを分離する濾過型気液分離手段を有する塗装システムにおいて、衝突型気液分離手段と分離液体集合手段を内包し、排出空気加速手段に対し通気方向と直行する方向に移動可能な衝突型気液分離筐体であって、衝突型気液分離筐体内部において、最下位に分離液体集合手段、中位に衝突型気液案内手段、最上位に飛散ミスト含有空気排出開口を配置し、排出空気加速手段は、下流部の縮径割合がその上流部より小さくなるように、望ましくは衝突型気液分離筐体外部に位置する上流部から衝突型気液分離筐体内部に位置する下流部まで、下流部の縮径割合がその上流部より小さくなるように徐々に通気断面積を縮径し、排出空気加速手段に近接して流れ方向に対し略60度以下に傾斜配置した衝突型案内手段によって、空気加速手段の終端部から排出される気流が、衝突型案内手段の面に沿った方向に偏向され、第一の衝突型気液分離手段に衝突されるものある。これにより、排出空気加速手段に対する衝突型気液分離筐体の配置の制約が軽減されるので、より配置の自由度が高い状態を持ちながら循環水を使用しないで高効率塗装ブース飛散ミストを回収機能が達成され、衝突型気液分離筐体からの捕集の取り出しや、清掃を容易にするものである。
【0015】
請求項3に記載の発明は、外気もしくは、空調された空気を一定方向に流しつつ被塗装物に塗料をミスト状にして噴射して塗装を行う塗装手段と、塗装手段と被塗装物と前記塗装手段から噴射された塗料のうち被塗装物に付着しなかった飛散ミスト含有空気を取り囲む塗装設備筐体と、塗装設備筐体の外部に飛散ミスト含有空気を排出するために、飛散ミスト含有空気を集める飛散ミスト含有空気排気空間と、飛散ミスト含有空気排気空間に連接し、飛散ミスト含有空気の排出速度を上げながら直進させて飛散ミスト含有空気を整流する排出空気加速手段と、排出速度を上げた前記飛散ミスト含有空気と衝突させることで大粒径飛散ミストを付着させ、ミストと空気とを分離する衝突型気液分離手段と、衝突型気液分離手段と分離液体集合手段と排出空気加速手段の終端部を内包する衝突型気液分離筐体と、衝突型気液分離筐体内部で衝突型気液分離手段の下方に配置し、衝突型気液分離手段によって気液分離された塗料液を集合させる分離液体集合手段と、飛散ミスト含有空気排出開口の下流に排出された飛散ミスト含有空気を濾過することで、小粒径飛散ミストと空気とを分離する濾過型気液分離手段を有する塗装システムにおいて、衝突型気液分離筐体内部において、最下位に分離液体集合手段、中位に第一の衝突型気液分離手段と飛散ミスト含有空気排出開口を配置し、排出空気加速手段は、飛散ミスト含有空気排出開口を水平に貫通して設置され、排出空気加速手段は、下流部の縮径割合がその上流部より小さくなるように、望ましくは衝突型気液分離筐体外部に位置する上流部から衝突型気液分離筐体内部に位置する下流部まで、下流部の縮径割合がその上流部より小さくなるように徐々に通気断面積を縮径し、被塗装物と飛散ミスト含有空気排気空間と排出空気加速手段を水平一直線上に設置、
もしくは被塗装物と飛散ミスト含有空気排気空間を水平一直線上に設置したものである。
これにより、より簡易な水平配置型乾式ブースをコンパクトに構成することができ、その場合でも十分な飛散ミスト捕集が達成できるものである。
【0016】
請求項4に記載の発明は、外気もしくは、空調された空気を一定方向に流しつつ被塗装物に塗料をミスト状にして噴射して塗装を行う塗装手段と、塗装手段と被塗装物と前記塗装手段から噴射された塗料のうち被塗装物に付着しなかった飛散ミスト含有空気を取り囲む塗装設備筐体と、塗装設備筐体の外部に飛散ミスト含有空気を排出するために、飛散ミスト含有空気を集める飛散ミスト含有空気排気空間と、飛散ミスト含有空気排気空間に連接し、飛散ミスト含有空気の排出速度を上げながら直進させて飛散ミスト含有空気を整流する排出空気加速手段と、排出速度を上げた前記飛散ミスト含有空気と衝突させることで大粒径飛散ミストを付着させ、ミストと空気とを分離する衝突型気液分離手段と、衝突型気液分離手段と分離液体集合手段と排出空気加速手段の終端部を内包する衝突型気液分離筐体と、衝突型気液分離筐体内部で衝突型気液分離手段の下方に配置し、衝突型気液分離手段によって気液分離された塗料液を集合させる分離液体集合手段と、飛散ミスト含有空気排出開口の下流に排出された飛散ミスト含有空気を濾過することで、小粒径飛散ミストと空気とを分離する濾過型気液分離手段を有する塗装システムにおいて、衝突型気液分離筐体内部において、最下位に分離液体集合手段、中位に衝突型気液分離手段、最上位に飛散ミスト含有空気排出開口を配置し、排出空気加速手段は、飛散ミスト含有空気排出開口を垂直に貫通して設置され、排出空気加速手段は、下流部の縮径割合がその上流部より小さくなるように、望ましくは衝突型気液分離筐体外部に位置する上流部から衝突型気液分離筐体内部に位置する下流部まで、下流部の縮径割合がその上流部より小さくなるように徐々に通気断面積を縮径し、被塗装物と飛散ミスト含有空気排気空間を水平一直線上に設置し、排出空気加速手段が飛散ミスト含有空気排気空間の下方に垂直に連接したものである。これにより、より簡易な水平配置型乾式ブースをコンパクトに構成することができ、その場合でも、十分な飛散ミスト捕集が達成できるものである。
【0017】
請求項5に記載の発明は、 請求項1〜4の塗装システムにおいて、飛散ミスト含有空気排気空間を形成するガイド手段と、略水平もしくは垂直に配置された排出空気加速手段と、衝突型気液分離手段の下流側に配置する濾過型気液分離手段と、衝突型気液分離手段に衝突した飛散ミスト含有空気を、衝突型気液分離筐体の外部に排出する飛散ミスト含有空気排出開口を有し、飛散ミスト含有空気排気空間を形成するガイド手段の面、もしくは排出空気加速時に使用される排出空気加速手段の面の反対面に沿って、衝突型気液分離筐体の内部から飛散ミスト含有空気排出開口を経て濾過型気液分離手段に排出される飛散ミスト含有空気を、濾過型気液分離手段側に向けて滑らかに偏向ガイドするものである。これにより、飛散ミスト含有空気からの飛散ミスト分離が高効率で行われながら、システムの制約にあわせた自由度の高いコンパクトな乾式塗装ブース形態が期待できるものである。
【0018】
請求項6に記載の発明は、 請求項1〜4の塗装システムにおいて、
飛散ミスト含有空気の進行方向おいて、排出空気加速手段は、一定割合あるいは、上流部の縮径割合をその下流部より大きくなるように縮径し、その進行方向長さは排出部の短径以上、望ましくは短径の2倍以上、排出部先端と正対する第一の衝突型気液分離手段の距離は、図22の測定結果グラフより、3〜40cmの範囲、望ましくは5〜15cmの範囲であるものである。これにより、整流された高速飛散ミスト含有空気が的確に第一の衝突型気液分離手段に衝突することが可能になり、通気圧損を低く抑えながら、集塵効率の高い乾式塗装ブースシステムが達成されるものである。
【0019】
請求項7に記載の発明は、 請求項1〜4の塗装システムにおいて、衝突型気液分離筐体の内部に配設される衝突型気液分離手段のうち、第一の衝突型気液分離手段および第二の衝突型気液分離手段、もしくは第一の衝突型気液分離手段を、衝突型気液分離筐体の内部において壁面から離間した位置に、衝突する飛散ミスト含有空気流に対し正対配置させたものである。これにより、通気圧損を低く抑えながら、集塵効率の高い乾式塗装ブースシステムが達成されるものである。
【0020】
請求項8に記載の発明は、 請求項1〜4の塗装システムにおいて、排出空気加速手段から排出速度を上げて排出される飛散ミスト含有空気、あるいは衝突型気液分離手段で偏向された飛散ミスト含有空気流が衝突しない位置に、飛散ミストから気液分離された塗料液を集合させる分離液体集合手段を設けたことを特徴とするものである。 これにより、コンパクトな衝突型気液分離筐体の場合でも、飛散ミスト含有空気流による気液分離され捕集された塗料液の再飛散が効果的に防げるものである。
【発明の効果】
【0021】
以上詳述したように、請求項1〜8に記載の発明による効果は以下のとおりである。
1.最適な排出空気加速手段と衝突型気液分離手段の配置と構成により、乾式塗装ブースシステムとして、高いミスト捕集効率を確保
2.より大型の自動車用からコンパクトな部品用まで、乾式塗装ブースシステムが展開可能
3.湿式乾式塗装ブースシステムに対する湿式乾式塗装ブースシステムのメリットを享受
水を使用しないので、システムがシンプルであり、初期設備投資を抑制。
水を使用しないので、排気再循環に際しての空調エネルギーを削減(除湿・加熱が不要)
水を循環しないので、水循環にかかわる動力エネルギーが不要。
循環水から継続的に塗料成分を取り出すシステムと薬剤が不要。
循環水の廃液処理にかかわるコストが不要。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明を具体化した一実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。
【0023】
(第1の全体システム図)
図1は、本発明による循環型乾式飛散ミスト回収システムである。
図1に示されるように、循環型乾式飛散ミスト回収システムは、塗装要素100と、第一の飛散ミスト回収要素200と、第二の飛散ミスト回収要素250と循環空調要素300と外気空調要素350からなる。
【0024】
塗装要素100の構成は、給気室306と、塗装設備筐体104内部の間に設置され、清浄な空気を塗装設備筐体104内部に送る空気濾過手段313と、被塗装物101に対し、塗料をミスト状にして噴射して塗装を行う塗装手段102と、塗装手段102を載せて被塗装物101の異なる部位に塗装手段を対向させる塗装ロボットなど塗装手段の移動手段103、もしくは被塗装物101を載せて被塗装物101の異なる部位を固定配置した塗装手段102に対向させるロボットなど被塗装物の移動手段105と、被塗装物101を塗装設備筐体104に搬入・排出する被塗装物搬送手段105と、被塗装物101と塗装手段102と塗装手段の移動手段103を取り囲む塗装設備筐体104と、塗装設備筐体104において、塗装手段102から被塗装物101を挟んで反対側(この場合は下部)にあって、被塗装物101に付着しなかった飛散ミスト含有空気を塗塗装設備筐体104の外部に排出するために集合させる飛散ミスト含有空気排気空間106からなる。
【0025】
塗装要素100の動作について、図1を使って詳細説明する。被塗装物搬送手段105に載って塗装設備筐体104の内部に搬送される被塗装物101に対し、塗装ロボットなど塗装手段の移動手段103に載った塗装手段102は、塗料をミスト状にして被塗装物101に向けて移動しながら噴射し、被塗装物101の表面に一様に薄い塗膜を形成する。図示はないが、塗装手段102を塗装設備筐体104に固定し、被塗装物101をロボットなど被塗装物の移動手段150に載せて被塗装物の塗装面を移動させながら、塗装手段102が塗料をミスト状にして被塗装物101に向けて噴射し、被塗装物101の表面に一様に薄い塗膜を形成してもよい。
【0026】
一方給気室306方向から飛散ミスト含有空気排気空間106に向けて一様で緩やかな空気流(ブース気流)が塗装設備筐体104内部には流されており、前記ミスト状にして被塗装物に向けて噴射された塗料のうち、被塗装物101に付着しなかった塗料は飛散ミストとして、塗装設備筐体104の内部のブース気流と混合して、飛散ミスト含有空気となって飛散ミスト含有空気排気空間106に集められる。
【0027】
第一の飛散ミスト回収要素200の構成は、飛散ミスト含有空気排気空間106に集まった飛散ミスト含有空気を滑らかに排出空気加速手段に導くためのガイド手段107と、ガイド手段107の下方に連接して、飛散ミスト含有空気の排出経路径について、所定割合で通気断面積を縮径して、排出速度を上げる排出空気加速手段201と、飛散ミスト含有空気の通気方向に対向して設置され、加速後の前記飛散ミスト含有空気と衝突させることで大粒径飛散ミストと空気とを分離する、衝突型気液分離手段202、203,204と、衝突型気液分離手段202、203,204の下方に配置し、衝突型気液分離手段によって気液分離された塗料液を集合させる分離液体集合手段205と、衝突型気液分離手段202、203、204と分離液体集合手段205とを内包する衝突型気液分離筐体206と、飛散ミスト含有空気を衝突型気液分離筐体206の外部に排出する飛散ミスト含有空気排出口207と、飛散ミスト含有空気排出口207から密閉状態で連接し、下流側の第二の飛散ミスト回収要素250に送気するための送気開口208からなる。
【0028】
第一の飛散ミスト回収要素200の動作について、図1および図7を使って詳細説明する。
塗装要素100において被塗装物101に付着しなかった飛散ミストは、ブース気流と混合して飛散ミスト含有空気となり、下流側の飛散ミスト含有空気排気空間106に集合する。次にガイド手段107とガイド手段107に連接する排出空気加速手段201に誘導され、下流側に進むにしたがって排出空気加速手段201の通路が縮径しているので、そこを通過する飛散ミスト含有空気は次第に流速を上げる。
【0029】
排出空気加速手段201は、衝突気液分離筐体206に設けた飛散ミスト含有空気排出口207を貫通して衝突気液分離筐体206内部に入り、終端部開口から高速で飛散ミスト含有空気を噴出する。このため飛散塗料ミストが捕集されていない飛散ミスト含有空気流が反射して、衝突気液分離筐体206の外部に漏れる恐れが回避される。排出空気加速手段201の通路が縮径の割合は、下流部の縮径割合がその上流部より小さくなるように、望ましくは衝突型気液分離筐体外部に位置する上流部から衝突型気液分離筐体内部に位置する下流部まで、下流部の縮径割合がその上流部より小さくなるように徐々に通気断面積を縮径しているので、排出空気の加速にかかわる圧損を小さく抑えることが出来る。
【0030】
飛散塗料ミストの捕集については、排出空気加速手段201の排出開口部直近に配置される第1の衝突型気液分離手段202との最初の衝突条件が最も重要である。
排出空気加速手段201の送り方向長さは衝突気液分離筐体206内部に送る飛散ミスト含有空気を整流するために、少なくとも終端部開口短径と同等望ましくは2倍以上が必要であり、排出空気加速手段201の排出開口部と第1の衝突型気液分離手段202の距離は3〜40cm、望ましくは5〜15cmとすることが、飛散ミストの捕集効率と通気にかかわる圧損のバランスが取れる範囲である。一般的な自動車ボディブースの条件を想定すると排出空気加速手段201の排出開口部と第1の衝突型気液分離手段202の距離が5cm以下では、圧損が大きくなる割に捕集効率が上がらず、15cm以上では捕集効率が低くなることが実験で判明している。
【0031】
高速で噴出する飛散ミスト含有空気は、排出空気加速手段201の開口部直近に配置される第1の衝突型気液分離手段202に衝突し、粒径の大きな飛散塗料ミストは第1の衝突型気液分離手段202に付着して捕集される。
付着しなかった飛散塗料ミストを含む飛散ミスト含有空気は、第1の衝突型気液分離手段202の面に沿って左右に分岐し、そのまま直進して第2の衝突型気液分離手段(衝突気液分離筐体の203部)に衝突する。
第1の衝突型気液分離手段202と同様に空気に比べ粒径の大きな飛散塗料ミストの一部は第2の衝突型気液分離手段203に付着して捕集され、残りの飛散ミスト含有空気は第2の衝突型気液分離手段203の面に沿って左右に分岐し、そのまま直進して第3の衝突型気液分離手段204(衝突気液分離筐体の204部)に衝突し、残った飛散塗料ミストは第3の衝突型気液分離手段204に付着して捕集される。
【0032】
衝突型気液分離手段202・203・204に付着して捕集された飛散塗料ミストは、重力によって衝突気液分離筐体206の内部で下方に流れ、集合する。
図7では衝突気液分離筐体206の底に窪みを設け、分離液体集合手段205として捕集された飛散塗料ミストを溜めているが、本願の主旨はこれに留まるものでなく、衝突気液分離筐体206内部に捕集された飛散塗料ミストが流下飛散するような開口が無く、衝突気液分離筐体206の内部に捕集された飛散塗料ミストを貯留する構成ならば分離液体集合手段205として目的を達するものである。
また、飛散塗料ミストを貯留する分離液体集合手段205は、この再飛散を防ぐように排出空気加速手段201から高速で噴出する飛散ミスト含有空気はもちろんのこと、衝突型気液分離手段202・203等によって偏向された飛散ミスト含有空気が直接当たらないように、配置あるいは邪魔板を設けることが肝要である。
【0033】
第1、第2、第3の衝突型気液分離手段に衝突してあらかたの大粒径の塗料ミストが除去された飛散ミスト含有空気は、衝突型気液分離筐体206の最上位に設けた飛散ミスト含有空気排出開口207から外部に排出され、飛散ミスト含有空気排出開口207に対し、密閉の中で連接する下流側に送気するための送気開口208に送られる。
また第1、第2、第3の衝突型気液分離手段に衝突してあらかたの大粒径の塗料ミストが除去された飛散ミスト含有空気が、衝突型気液分離筐体206の最上位に設けた飛散ミスト含有空気排出開口207から外部に排出される際に、排出空気加速手段201の通路は下流部の縮径割合がその上流部より小さくなるように縮径、望ましくは衝突型気液分離筐体206外部に位置する上流部から衝突型気液分離筐体206内部に位置する下流部まで、下流部の縮径割合がその上流部より小さくなるように徐々に通気断面積を縮径しているので、飛散ミスト含有空気排気空間106から排出されて衝突型気液分離筐体206に搬入される飛散ミスト含有空気と衝突型気液分離筐体206から排出される飛散ミスト含有空気が衝突することなく、滑らかに飛散ミスト含有空気を排出できる。
【0034】
第二の飛散ミスト回収要素250の構成は、送気開口208から排出される飛散ミスト含有空気を通過させる、濾過型気液分離手段251、251,252と、過型気液分離手段251、251,252を保持する濾過型気液分離手段枠254、255、256と、濾過型気液分離手段を包含する濾過型気液分離筐体257と、濾過型気液分離筐体257に設けた、濾過型気液分離手段251、251、252のメンテ交換用開閉扉258からなる。
【0035】
第二の飛散ミスト回収要素250の動作について、図1および図4、5、6、とメンテ交換用開閉扉を使って詳細説明する。
第一の飛散ミスト回収要素筐体において、送気開口208に送られた飛散ミスト含有空気は、ダクト301−1を経由して第二の飛散ミスト回収要素250に送られる。
第二の飛散ミスト回収要素250の濾過型気液分離筐体257内部において、飛散ミスト含有空気が濾過面以外から下流側に通気しないように前記濾過型気液分離手段枠254、255、256に保持された濾過型気液分離手段251、252、253を順に通過し濾過されることで、残った小粒径の飛散ミストが分離回収され、清浄化された空気は下流側のダクト301−2に排出される。
濾過型気液分離筐体257には、分離回収された飛散ミスト含有空気中の飛散ミストによって
目詰まりしてくる濾過型気液分離手段251、252、253を、交換や移動、清掃などメンテナンスするための、メンテ交換用開閉扉が設けられていて、所定の時期にメンテ交換用開閉扉258を開けて、内部の濾過型気液分離手段251、252、253にアクセスする。
【0036】
循環送気空調要素300の構成は、第二の飛散ミスト回収要素250の下流側で飛散ミストの含有を大幅に削減した空気を排気ファンに送るダクト301−2と送気する空気に加速度を与える送気ファン302と、飛散ミストの含有を大幅に削減した空気の所定割合を外部に放出する分岐点301−3と外部放出ブランチダクト303と、外部放出量を規制する外部放出調整バルブ304と第二の飛散ミスト回収要素250から塗装要素100側に送気する送気ダクト301−4と塗装要素100側に送気される空気を所定の温湿度に空調する循環空調装置305と、循環空調装置305の下流側に設置し循環空調装置305から空気を吸出し、給気室306に送気する循環空調ファン308とからなる。
【0037】
循環空調要素300の動作について図1を使って詳細説明する。
第二の飛散ミスト回収要素250を通過して、ダクト301−2から排出される清浄化した空気は、排気ファン302によって加速され、一部は分岐点301−3、外部放出ブランチダクト303、排出調整バルブ304を経て外部に放出される。
分岐点301−3で放出側に分岐されて外部に放出される量は、外気排出調整バルブで調整され、全体量の5〜20%程度であり、循環する空気が含有する第一の飛散ミスト回収要素200および第二の飛散ミスト回収要素250で除去回収できない揮発性有機化合物(VOC)濃度などが、一定以上に高くならないように調整される。
分岐点301−3で循環側に分岐された清浄化した空気は、ダクト301−4を経由して循環空調装置305で温度湿度を調整された後、循環空調ファン308で加速されて給気室306に戻される。
【0038】
循環空調装置305と並列して設置される外気空調要素350の構成は、給気室306向けて外気を導入する外気導入開口351と、外気導入手段の下流側で導入された外気を所定の温湿度に調整する外気空調装置352と、外気空調装置352の下流側に設置され、給気室306に送気する外気空調ファン353からなる。
【0039】
外気空調要素350の動作について図1を使って詳細説明する。
塗装循環空気の経路外に開口した外気導入手段351から吸気される新鮮空気は、外気空調装置352で温度湿度を調整され、その下流に設置された外気空調ファンで加速して給気室306に送り込まれる。ここで導入される空気量は分岐点301−3、外部放出ブランチダクト303、排出調整バルブ304を経て外部に放出される量とほぼ等量であって、塗装室筐体104内部の空気圧バランスを保っている。
【0040】
(第2の全体システム図)
図2は、本発明の別な実施例、排出型乾式飛散ミスト回収システムである。
塗装要素100と、第一の飛散ミスト回収要素200と、排気要素300−2、第二の飛散ミスト回収要素250と外気空調要素350からなる。
【0041】
第二の飛散ミスト回収要素250が排気ファン302の下流に設置され、飛散ミスト含有空気は濾過されたあと、そのまま外気に放出されている点が、第一のシステムと異なる。
したがって、分岐して排出する外部放出ブランチダクト系および、循環空調装置、循環空調ファンが不要となり、設備コストが低くて済み、一方排気ファン302による飛散ミスト含有空気の加速によって小径ミストが大径ミストに造粒されるので、第二の飛散ミスト回収要素250による飛散ミストの捕集効率が高くなる。
【0042】
(第3の全体システム図)
図3は、本発明の別な実施例、通過型乾式飛散ミスト回収システムである。
塗装要素100と、第一の飛散ミスト回収要素200と、第二の飛散ミスト回収要素250と排気要素300−2、外気空調要素350からなる。
【0043】
第二の飛散ミスト回収要素250が排気ファン302の上流に設置され、飛散ミスト含有空気は濾過されたあと、排気ファンで加速して外気に放出されている点が第二のシステムと異なる。
したがって、分岐して排出する外部放出ブランチダクト系および、循環空調機、循環空調ファンが不要となり、設備コストが低くなる一方、第一の飛散ミスト回収要素200で除去しきれず残留している小径ミストによる排気ファン302の汚れが防止される。
【0044】
図8は、第一の飛散ミスト回収要素のその他の例である。
衝突型気液分離手段202・203が衝突型気液分離筐体206から独立して配置されており、衝突型気液分離筐体206の形状や内容積に制約を与えることなく、排出空気加速手段206に対する衝突型気液分離手段202、203の配置を最適化できる。もちろん204を衝突型気液分離筐206から独立させることも可能である。
【0045】
図9は、第一の飛散ミスト回収要素のその他の例である。
排出空気加速手段201の終端部から高速で噴出する飛散ミスト含有空気は、その開口部直近に配置される衝突型案内手段210に案内される。衝突型案内手段210は排出空気加速手段201終端部から高速で噴出し拡がる飛散ミスト含有空気流の全体を受けるに十分な表面積を有し、一部の粒径の大きな飛散塗料ミストを衝突捕集しながら、衝突型案内手段210の傾き方向に飛散ミスト含有空気流を案内する。
衝突型案内手段は、多少の飛散塗料ミストを衝突捕集しながらも、役割は飛散ミスト含有空気流の偏向であり、排出空気加速手段201から排出される飛散ミスト含有空気流に対し、反射したり乱流を起こしたりしないように、飛散ミスト含有空気流に対し少なくとも60度以下の角度で衝突するよう設定される。
【0046】
図示はないが、図9の例においても図8と同様に衝突型気液分離手段202もしくは203もしくは、202・203を衝突型気液分離筐体206から独立して配置することが可能なことは言うまでもない。
【0047】
衝突型案内手段210によって厚さを薄く伸ばされて案内された飛散ミスト含有空気流は、そのまま第1の衝突型気液分離手段202(衝突気液分離筐体の202部)に衝突し、粒径の大きな飛散塗料ミストは第1の衝突型気液分離手段202に付着して捕集される。このとき、飛散ミスト含有空気流は、衝突時の厚さが薄く伸ばされた分、第1の衝突型気液分離手段202への接触機会が増え、飛散ミストの捕集効率が高くなる。
【0048】
第1の衝突型気液分離手段202に付着しなかった飛散塗料ミストを含む飛散ミスト含有空気は、第1の衝突型気液分離手段202の面に沿って左右に分岐し、そのまま直進して第2の衝突型気液分離手段(衝突気液分離筐体の203部)に衝突する。第1の衝突型気液分離手段202と同様に空気に比べ粒径の大きな飛散塗料ミストの一部は第2の衝突型気液分離手段203に付着して捕集される。残りの飛散ミスト含有空気は第2の衝突型気液分離手段203の面に沿って左右に分岐し、そのまま直進して第3の衝突型気液分離手段204(衝突気液分離筐体の204部)に衝突し残った粒径の大きな飛散塗料ミストは第3の衝突型気液分離手段204に付着して捕集される。
【0049】
衝突型気液分離手段202・203・204に付着して捕集された飛散塗料ミストは、重力にしたがって衝突型気液分離筐体206の下方に流れ、集合して溜まる。図7では衝突型気液分離筐体206の底に窪みをつけた分離液体集合手段205を設け、捕集された飛散塗料ミストを溜めているが、本願の主旨はこれに留まるものでなく、衝突型気液分離筐体206に貯留された飛散塗料ミストが流下飛散するような開口が無く、集合して留まる構成ならば目的を達するものである。
【0050】
また、第1、第2、第3の衝突型気液分離手段に衝突してあらかたの大粒径の塗料ミストが除去された飛散ミスト含有空気は、衝突型気液分離筐体206の最上位に設けた飛散ミスト含有空気排出開口207から外部に排出されるが、図9の場合、衝突型気液分離筐体206は排出空気加速手段201を挟んで非対称であり、一方の側の上端は排出空気加速手段201の終端部より低い位置に設定される。この結果、排出空気加速手段201と衝突型気液分離筐体206は上下の離間方向に加えて、衝突型分離筐体の一方向(この場合は左方向)の移動に自由度を得る。
【0051】
第1、第2、第3の衝突型気液分離手段に衝突してあらかたの大粒径の塗料ミストが除去された飛散ミスト含有空気は、衝突型気液分離筐体206の最上位に設けた飛散ミスト含有空気排出開口207から外部に排出され、飛散ミスト含有空気排出開口207に対し、密閉の中で連接する下流側に送気するための送気開口208に送られる。
【0052】
図10は、第一の飛散ミスト回収要素のその他の例である。
衝突型気液分離手段202・203.204をさまざまな形でアレンジし、それに伴って分離液体集合手段205が変形移動しているものであり、すべて本願の主旨に属するものである。
また、分離され分離液体集合手段205に貯留された飛散ミストが飛び散らないように、加速された飛散ミスト含有空気または、衝突型気液分離手段202・203.204に衝突して偏向した飛散ミスト含有空気の流れが直接に当たらない位置に分離液体集合手段205を設置することも重要な構成要素である。
【0053】
図11は、排出空気加速手段のその他の例である。
排出空気加速手段201は図7に示すごとく比例的に縮径していくのが望ましいが、概略的に模した2ステージ縮径や、一義的縮径でも本願の主旨に反するものではない。
【0054】
図12は、本発明を具体化した第四の実施形態として全体システムを示す概略構成図である。
【0055】
(第四の全体システム図)
図12は、本発明による水平型乾式飛散ミスト回収システムである。 図12に示されるように、水平型乾式飛散ミスト回収システムは、塗装要素100と、第一の飛散ミスト回収要素200と、第二の飛散ミスト回収要素250と送気要素300からなる。
【0056】
塗装要素100の構成は、被塗装物101と塗装手段102を取り囲む塗装設備筐体104と、被塗装物101に対し、塗料をミスト状にして噴射して塗装を行う塗装手段102と、塗装設備筐体104において、塗装手段102から被塗装物101を挟んで反対側(この場合は右側)にあって、被塗装物101に付着しなかった飛散ミスト含有空気を塗装設備筐体104の外部に排出するために集合させる飛散ミスト含有空気排気空間106からなる。
【0057】
塗装要素100の動作について、図12を使って詳細説明する。
被塗装物101に対し、塗装作業者などによって作動する塗装手段102は、塗料をミスト状にして被塗装物101に向けて噴射し、被塗装物101の表面に一様に薄い塗膜を形成する。
【0058】
一方排気ファン302の吸引により発生する空気の流れは、飛散ミスト含有空気排気空間106に向けて一様で緩やかな空気流(ブース気流)となって塗装設備筐体104には流れており、前記ミスト状にして被塗装物に向けて噴射された塗料のうち、被塗装物101に付着しなかった塗料は飛散ミストとして、塗装設備筐体104の内部のブース気流と混合して飛散ミスト含有空気となって、飛散ミスト含有空気排気空間106に集められる。
【0059】
第一の飛散ミスト回収要素200の構成は、塗装要素100の最下流側には、飛散ミスト含有空気排気空間106に集まった飛散ミスト含有空気を滑らかに排出空気加速手段に導くためのガイド手段107と、ガイド手段107に連接して、飛散ミスト含有空気の排出経路径を上流部の縮径割合をその下流部より大きくなるように通気断面積を縮径する排出空気加速手段201と飛散ミスト含有空気の通気方向に対向して設置され、加速後の前記飛散ミスト含有空気と衝突させることで、大粒径飛散ミストと空気とを分離する衝突型気液分離手段202、203,204と、排出空気加速手段201の終端部と衝突型気液分離手段202、203、204と衝突型分離液体集合手段205とを内包する衝突型気液分離筐体206と、衝突型気液分離筐体206の下部に位置し、前記衝突型気液分離手段によって気液分離された塗料液を集合させる衝突型分離液体集合手段205と、排出空気加速手段201を受け入れ、大粒径飛散ミストと空気とが分離された飛散ミスト含有空気を衝突型気液分離筐体206の外部に排出する飛散ミスト含有空気排出開口207と、飛散ミスト含有空気排出開口207から排出される飛散ミスト含有空気を受け取り、濾過型気液分離手段251に引き渡すための送気空間210からなる。
【0060】
第一の飛散ミスト回収要素200の動作について、図12を使って詳細説明する。
塗装要素100において被塗装物に付着しなかった飛散ミストは、排気ファン302の吸引によって引き起こされるブース気流と混合して飛散ミスト含有空気となり、下流側の飛散ミスト含有空気排気空間106に集合する。
次にガイド手段107とガイド手段107に連接する排出空気加速手段201に誘導され、下流側に進むにしたがって排出空気加速手段の通路が、上流部の縮径割合をその下流部より大きくなるように通気断面積を縮径しているので、そこを通過する飛散ミスト含有空気は次第に流速を上げて、排出空気加速手段の終端部開口から衝突気液分離筐体内部に高速で噴出する。
【0061】
高速で噴出する飛散ミスト含有空気は、排出空気加速手段201の開口部直近に配置される第1の衝突型気液分離手段202に衝突し、粒径の大きな飛散塗料ミストは第1の衝突型気液分離手段202に付着して捕集される。付着しなかった飛散塗料ミストを含む飛散ミスト含有空気は、第1の衝突型気液分離手段202の面に沿って上下に分岐し、そのまま直進して第2の衝突型気液分離手段(衝突気液分離筐体の203部)に衝突する。
第1の衝突型気液分離手段202と同様に空気に比べ粒径の大きな飛散塗料ミストの一部は第2の衝突型気液分離手段203に付着して捕集され、残りの飛散ミスト含有空気は第2の衝突型気液分離手段203の面に沿って左右に分岐し、そのまま直進して第3の衝突型気液分離手段204(衝突気液分離筐体の204部)に衝突し、残った粒径の大きな飛散塗料ミストは第3の衝突型気液分離手段204に付着して捕集される。
【0062】
衝突型気液分離手段202・203・204に付着して捕集された飛散塗料ミストは、重力によって衝突気液分離筐体206の下方に流れ、集合して溜まる。
図12では衝突気液分離筐体206は平坦だが、この底に窪みをつけても良い。飛散ミスト含有空気排出開口207以外に衝突気液分離筐体206に捕集された飛散塗料ミストが流下飛散するような開口が無く、衝突気液分離筐体206の内部に捕集された飛散塗料ミストを保留する構成ならば分離液体集合手段205として目的を達するものである。
【0063】
第1、第2、第3の衝突型気液分離手段に衝突してあらかたの大粒径の塗料ミストが除去された飛散ミスト含有空気は、飛散ミスト含有空気排出開口207から衝突型気液分離筐体206の外部に排出され、ガイド手段107による飛散ミスト含有空気排気空間の形成時、もしくは排出空気加速手段201による排出空気加速時に使用される面の反対面に沿ってガイドされて、濾過型気液分離手段251に引き渡すための第一の飛散ミスト回収筐体209に囲まれた送気空間210に送られる。
【0064】
第一の飛散ミスト回収要素200においては、排出空気加速手段201の飛散ミスト含有空気吸入部位は、塗装手段102に対して被塗装物101位置の反対側で、高さは被塗装物と同等近傍かより低い位置に設定される。排出空気加速手段の飛散ミスト含有空気吸入部位の下半分から、被塗装物位置の下方領域に渡りガイド手段107が延設され、飛散ミスト含有空気吸入部位の上半分から、被塗装物位置の上方領域に渡りガイド手段107が延設される。
【0065】
第二の飛散ミスト回収要素250は、送気空間210から送られた飛散ミスト含有空気を通過させることにより、比較的小粒径の飛散ミストを濾過型気液分離手段251付着させて飛散ミストと空気とを分離し、飛散ミスト含有量を大幅に削減した空気を下流に排出する、面更新可能で多層からなる濾過型気液分離手段251、252と、前記飛散ミスト含有空気が濾過面以外から下流側に通気しないように前記濾過型気液分離手段枠254、255からなる。
【0066】
送気要素300は、第二の飛散ミスト回収要素250の下流側で飛散ミストの含有を大幅に削減した空気を排気ファンに送り、送気ダクト301を介して外気に放出するものである。
【0067】
図13は、本発明を具体化した第五の実施形態として全体システムを示す概略構成図である。
図13に示されるように、水平型乾式飛散ミスト回収システムは、塗装要素100と、第一の飛散ミスト回収要素200と、第二の飛散ミスト回収要素250と送気要素300からなる。
【0068】
図13は、図12の第四の実施形態に対し、第一の飛散ミスト回収要素200の構成において、排出空気加速手段を縦方向に配置したもので、その他については概ね同一なので、第一の飛散ミスト回収要素200について絞って以下説明する。
【0069】
第一の飛散ミスト回収要素200の構成は、以下のとおり。
塗装手段102に対してガイド手段107は、被塗装物101の水平方向反対側で、被塗装物より高い遠い位置から、被塗装物位置の下方領域に渡り延設されており、ガイド手段107に囲まれて、飛散ミスト含有空気排気空間106が設定される。排出空気加速手段の飛散ミスト含有空気吸入部位は、飛散ミスト含有空気排気空間106の下方に開口し、ここから排出空気加速手段201が垂直に設置されている。
【0070】
第一の飛散ミスト回収要素200の動作は、以下のとおり。
塗装要素100において被塗装物に付着しなかった飛散ミストは、排気ファン302の吸引によって引き起こされるブース気流と混合して飛散ミスト含有空気となり、下流側でガイド手段107に囲まれた飛散ミスト含有空気排気空間106に集合する。
【0071】
次にガイド手段107とガイド手段107に連接する縦型の排出空気加速手段201に誘導され、下方に進むにしたがって排出空気加速手段201の通路が上流部の縮径割合をその下流部より大きくなるようにしているので、そこを通過する飛散ミスト含有空気は次第に流速を上げて、排出空気加速手段201の終端部開口から衝突気液分離筐体206内部に高速で噴出する。
【0072】
高速で噴出する飛散ミスト含有空気は、排出空気加速手段201の開口部直近に配置される第1の衝突型気液分離手段202に衝突し、粒径の大きな飛散塗料ミストは第1の衝突型気液分離手段202に付着して捕集される。
付着しなかった飛散塗料ミストを含む飛散ミスト含有空気は、第1の衝突型気液分離手段202の面に沿って左右に分岐し、そのまま直進して第2の衝突型気液分離手段(衝突気液分離筐体の203部)に衝突する。
第1の衝突型気液分離手段202と同様に空気に比べ粒径の大きな飛散塗料ミストの一部は第2の衝突型気液分離手段203に付着して捕集され、残りの飛散ミスト含有空気は第2の衝突型気液分離手段203の面に沿って左右に分岐し、そのまま直進して第3の衝突型気液分離手段204(衝突気液分離筐体の204部)に衝突し、残った粒径の大きな飛散塗料ミストは第3の衝突型気液分離手段204に付着して捕集される。
【0073】
第1、第2、第3の衝突型気液分離手段に衝突してあらかたの大粒径の塗料ミストが除去された飛散ミスト含有空気は、飛散ミスト含有空気排出開口207から衝突型気液分離筐体206の外部に排出され、ガイド手段107の裏面にガイドされて、濾過型気液分離手段251に引き渡すための第一の飛散ミスト回収筐体209に囲まれた送気空間210に送られる。

【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明を具体化した第一の実施形態として全体システムを示す概略構成図
【図2】本発明を具体化した第二の実施形態として全体システムを示す概略構成図
【図3】本発明を具体化した第三の実施形態として全体システムを示す概略構成図
【図4】第二の飛散ミスト回収要素の実施例
【図5】図4の斜視図
【図6】濾過型気液分離手段の斜視図
【図7】本発明の要部、第一の飛散ミスト回収要素の実施例
【図8】本発明の要部、第一の飛散ミスト回収要素の他の実施例
【図9】本発明の要部、第一の飛散ミスト回収要素の他の実施例
【図10】本発明の要部、第一の飛散ミスト回収要素の他の実施例
【図11】本発明の要部、排出空気加速手段の他の実施例
【図12】本発明を具体化した第四の実施形態として全体システムを示す概略構成図
【図13】本発明を具体化した第五の実施形態として全体システムを示す概略構成図
【図14】従来の湿式飛散ミスト回収システムの実施例
【図15】従来の湿式飛散ミスト回収システムの実施例
【図16】従来の乾式飛散ミスト回収システムの実施例
【図17】従来の乾式飛散ミスト回収システムの実施例
【図18】従来の乾式飛散ミスト回収システムの実施例
【図19】従来の乾式飛散ミスト回収システムの実施例
【図20】従来の湿式飛散ミスト回収システムの実施例
【図21】従来の湿式飛散ミスト回収システムの実施例
【図22】衝突版への吹きつけ風速と、圧損と、集塵効率の関係グラフ
【符号の説明】
【0075】
100…塗装要素
101…被塗装物
102…塗装手段
104…塗装設備筐体
106…飛散ミスト含有空気排気空間
200…第一の飛散ミスト回収要素
201…排出空気加速手段
202、203、204…衝突型気液分離手段
205…分離液体集合手段
206…衝突型気液分離筐体
207…飛散ミスト排出開口
210…衝突型案内手段
250…第二の飛散ミスト回収要素
251、252、253…濾過型気液分離手段
257…濾過型気液分離筐体
300…循環空調要素
301…送気ダクト
302…送気ファン
304…外部放出調整バルブ
305…循環空調装置
306…給気室
350…外気空調要素
352…外気空調装置
353…外気空調ファン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空調された空気を一定方向に流しつつ被塗装物に塗料をミスト状にして噴射して塗装を行う塗装手段と、塗装手段と被塗装物と前記塗装手段から噴射された塗料のうち被塗装物に付着しなかった飛散ミスト含有空気を取り囲む塗装設備筐体と、塗装設備筐体の外部に飛散ミスト含有空気を排出するために、飛散ミスト含有空気を集める飛散ミスト含有空気排気空間と、飛散ミスト含有空気排気空間に連接し、飛散ミスト含有空気の排出速度を上げながら直進させて飛散ミスト含有空気を整流する排出空気加速手段と、排出速度を上げた前記飛散ミスト含有空気と衝突させることで大粒径飛散ミストを付着させ、ミストと空気とを分離する衝突型気液分離手段と、衝突型気液分離手段と分離液体集合手段と排出空気加速手段の終端部を内包する衝突型気液分離筐体と衝突型気液分離筐体内部で衝突型気液分離手段の下方に配置し、衝突型気液分離手段によって気液分離された塗料液を集合させる分離液体集合手段と、飛散ミスト含有空気排出開口の下流に排出された飛散ミスト含有空気を濾過することで、小粒径飛散ミストと空気とを分離する濾過型気液分離手段を有する塗装システムにおいて、衝突型気液分離筐体内部において、最下位に分離液体集合手段、中位に衝突型気液分離手段、最上位に飛散ミスト含有空気排出開口を配置し、排出空気加速手段は、飛散ミスト含有空気排出開口を貫通して設置され、排出空気加速手段は、下流部の縮径割合がその上流部より小さくなるように、望ましくは衝突型気液分離筐体外部に位置する上流部から衝突型気液分離筐体内部に位置する下流部まで、下流部の縮径割合がその上流部より小さくなるように徐々に通気断面積を縮径し、排出空気加速手段の終端部気流方向に対し、第一の衝突型気液分離手段の衝突板面に近接して正対配置し、第一の衝突型気液分離手段の衝突板面の延長上に第二の衝突型気液分離手段の衝突板面を正対配置したことを特徴とする。
【請求項2】
空調された空気を一定方向に流しつつ被塗装物に塗料をミスト状にして噴射して塗装を行う塗装手段と、塗装手段と被塗装物と前記塗装手段から噴射された塗料のうち被塗装物に付着しなかった飛散ミスト含有空気を取り囲む塗装設備筐体と、塗装設備筐体の外部に飛散ミスト含有空気を排出するために、飛散ミスト含有空気を集める飛散ミスト含有空気排気空間と、飛散ミスト含有空気排気空間に連接し、飛散ミスト含有空気の排出速度を上げながら直進させて飛散ミスト含有空気を整流する排出空気加速手段と、排出空気加速手段で排出速度を上げた飛散ミスト含有空気を偏向する衝突型案内手段と、排出速度を上げた前記飛散ミスト含有空気と衝突させることで大粒径飛散ミストを付着させ、ミストと空気とを分離する衝突型気液分離手段と、衝突型気液分離筐体内部で衝突型気液分離手段の下方に配置し、衝突型気液分離手段によって気液分離された塗料液を集合させる分離液体集合手段と、衝突型案内手段と衝突型気液分離手段と分離液体集合手段を内包する衝突型気液分離筐体と、飛散ミスト含有空気排出開口の下流に排出された飛散ミスト含有空気を濾過することで小粒径飛散ミストと空気とを分離する濾過型気液分離手段を有する塗装システムにおいて、衝突型気液分離手段と分離液体集合手段を内包し、排出空気加速手段に対し通気方向と直行する方向に移動可能な衝突型気液分離筐体であって衝突型気液分離筐体内部において、最下位に分離液体集合手段、中位に衝突型気液案内手段、最上位に飛散ミスト含有空気排出開口を配置し、排出空気加速手段は、下流部の縮径割合がその上流部より小さくなるように、望ましくは衝突型気液分離筐体外部に位置する上流部から下流部までの縮径割合がその上流部より小さくなるように徐々に通気断面積を縮径し、排出空気加速手段に近接して流れ方向に対し略60度以下に傾斜配置した衝突型案内手段によって、空気加速手段の終端部から排出される気流が、衝突型案内手段の面に沿った方向に偏向され、第一の衝突型気液分離手段に衝突することを特徴とする。
【請求項3】
外気もしくは、空調された空気を一定方向に流しつつ被塗装物に塗料をミスト状にして噴射して塗装を行う塗装手段と、塗装手段と被塗装物と前記塗装手段から噴射された塗料のうち被塗装物に付着しなかった飛散ミスト含有空気を取り囲む塗装設備筐体と、塗装設備筐体の外部に飛散ミスト含有空気を排出するために、飛散ミスト含有空気を集める飛散ミスト含有空気排気空間と、飛散ミスト含有空気排気空間に連接し、飛散ミスト含有空気の排出速度を上げながら直進させて飛散ミスト含有空気を整流する排出空気加速手段と、排出速度を上げた前記飛散ミスト含有空気と衝突させることで大粒径飛散ミストを付着させ、ミストと空気とを分離する衝突型気液分離手段と、衝突型気液分離手段と分離液体集合手段と排出空気加速手段の終端部を内包する衝突型気液分離筐体と衝突型気液分離筐体内部で衝突型気液分離手段の下方に配置し、衝突型気液分離手段によって気液分離された塗料液を集合させる分離液体集合手段と、飛散ミスト含有空気排出開口の下流に排出された飛散ミスト含有空気を濾過することで、小粒径飛散ミストと空気とを分離する濾過型気液分離手段を有する塗装システムにおいて、衝突型気液分離筐体内部において、最下位に分離液体集合手段、中位に第一の衝突型気液分離手段と飛散ミスト含有空気排出開口を配置し、排出空気加速手段は、飛散ミスト含有空気排出開口を水平に貫通して設置され、排出空気加速手段は、下流部の縮径割合がその上流部より小さくなるように、望ましくは衝突型気液分離筐体外部に位置する上流部から衝突型気液分離筐体内部に位置する下流部まで、下流部の縮径割合がその上流部より小さくなるように徐々に通気断面積を縮径し、被塗装物と飛散ミスト含有空気排気空間と排出空気加速手段を水平一直線上に設置、もしくは被塗装物と飛散ミスト含有空気排気空間を水平一直線上に設置していることを特徴とする。
【請求項4】
外気もしくは、空調された空気を一定方向に流しつつ被塗装物に塗料をミスト状にして噴射して塗装を行う塗装手段と、塗装手段と被塗装物と前記塗装手段から噴射された塗料のうち被塗装物に付着しなかった飛散ミスト含有空気を取り囲む塗装設備筐体と、塗装設備筐体の外部に飛散ミスト含有空気を排出するために、飛散ミスト含有空気を集める飛散ミスト含有空気排気空間と、飛散ミスト含有空気排気空間に連接し、飛散ミスト含有空気の排出速度を上げながら直進させて飛散ミスト含有空気を整流する排出空気加速手段と、排出速度を上げた前記飛散ミスト含有空気と衝突させることで大粒径飛散ミストを付着させ、ミストと空気とを分離する衝突型気液分離手段と、衝突型気液分離手段と分離液体集合手段と排出空気加速手段の終端部を内包する衝突型気液分離筐体と衝突型気液分離筐体内部で衝突型気液分離手段の下方に配置し、衝突型気液分離手段によって気液分離された塗料液を集合させる分離液体集合手段と、飛散ミスト含有空気排出開口の下流に排出された飛散ミスト含有空気を濾過することで、小粒径飛散ミストと空気とを分離する濾過型気液分離手段を有する塗装システムにおいて、衝突型気液分離筐体内部において、最下位に分離液体集合手段、中位に衝突型気液分離手段、最上位に飛散ミスト含有空気排出開口を配置し、排出空気加速手段は、飛散ミスト含有空気排出開口を垂直に貫通して設置され、排出空気加速手段は、下流部の縮径割合がその上流部より小さくなるように、望ましくは衝突型気液分離筐体外部に位置する上流部から衝突型気液分離筐体内部に位置する下流部まで、下流部の縮径割合がその上流部より小さくなるように徐々に通気断面積を縮径し、被塗装物と飛散ミスト含有空気排気空間を水平一直線上に設置し、排出空気加速手段が飛散ミスト含有空気排気空間の下方に垂直もしくは斜めに連接していることを特徴とする。
【請求項5】
飛散ミスト含有空気排気空間を形成するガイド手段と、略水平もしくは垂直に配置された排出空気加速手段と、衝突型気液分離手段の下流側に配置する濾過型気液分離手段と、衝突型気液分離手段に衝突した飛散ミスト含有空気を、衝突型気液分離筐体の外部に排出する飛散ミスト含有空気排出開口を有し、飛散ミスト含有空気排気空間を形成するガイド手段の面、もしくは排出空気加速時に使用される排出空気加速手段の面の反対面に沿って、衝突型気液分離筐体の内部から飛散ミスト含有空気排出開口を経て濾過型気液分離手段に排出される飛散ミスト含有空気を、濾過型気液分離手段側に向けて滑らかに偏向ガイドすることを特徴とする、請求項1〜4の塗装システム。
【請求項6】
飛散ミスト含有空気の進行方向おいて、排出空気加速手段は、一定割合あるいは、上流部の縮径割合をその下流部より大きくなるように縮径し、その進行方向長さは排出部の短径以上、望ましくは短径の2倍以上、排出部先端と正対する第一の衝突型気液分離手段の距離は5〜40cmの範囲、望ましくは5〜15cmの範囲で、風速が10〜15m/sであることを特徴とする請求項1〜4の塗装システム。
【請求項7】
衝突型気液分離筐体の内部に配設される衝突型気液分離手段のうち、第一の衝突型気液分離手段および第二の衝突型気液分離手段、もしくは第一の衝突型気液分離手段を、衝突型気液分離筐体の内部において壁面から離間した位置に、衝突する飛散ミスト含有空気流に対し正対配置させたことを特徴とする請求項1〜4の塗装システム。
【請求項8】
排出空気加速手段から排出速度を上げて排出される飛散ミスト含有空気、あるいは衝突型気液分離手段で偏向された飛散ミスト含有空気流が衝突しない位置に、飛散ミストから気液分離された塗料液を集合させる分離液体集合手段を設けたことを特徴とする請求項1〜4の塗装システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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