説明

塗料用樹脂組成物、塗料および該塗料から得られる塗膜を有する物品

【課題】塗装作業性および塗膜の耐水性を維持しつつ、メタル配向性に優れた塗膜を形成できる塗料;該塗料を得ることができる塗料用樹脂組成物;およびメタリック感に優れ、かつムラの少ない塗膜を有する物品を提供する。
【解決手段】CH=CR−CO−O−R(Rは水素原子またはメチル基、Rは炭素数が1または2の炭化水素基。)で表されるビニル系単量体5〜95質量%と、ヒドロキシ基含有ビニル系単量体5〜95質量%と、酸基含有ビニル系単量体0〜5質量%と、他のビニル系単量体0〜90質量%とを重合したビニル系重合体(a)を含む溶液(A)中に、尿素化合物(b)を析出させた重合体組成物(B)と、重合体(C)と、硬化剤(D)とを含む塗料用樹脂組成物を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗料用樹脂組成物、塗料および該塗料から得られる塗膜を有する物品に関する。
【背景技術】
【0002】
アクリル系塗料は、塗膜物性(特に、光沢性、耐候性、耐薬品性、耐汚染性)が優れているため、自動車の塗装に重用されている。自動車の塗装は、通常、下記工程を経て行われる。
(i)鋼板に化成処理を施す工程。
(ii)化成処理された鋼板に電着塗料を塗装する工程。
(iii)さらに中塗り塗料を塗装する工程。
(iv)さらに上塗り塗料を塗装する工程。
【0003】
(iv)の工程においては、通常、光輝性顔料、着色顔料等の着色剤を配合したベース塗料と、これを保護するクリヤー塗料とが用いられる。
自動車の塗装においては、下層の塗料を塗装した後、該塗料を乾燥させる(焼き付ける)前に次の層の塗料を塗装し、複数層の塗料を同時に焼き付ける、いわゆるウェットオンウェットによって塗膜を形成する場合がある。
【0004】
ウェットオンウェットとしては、下記方式が挙げられる。
(1)ベース塗料の層とクリヤー塗料の層とを同時に焼き付ける2コート1ベーク方式。
(2)中塗り塗料の層とベース塗料の層とクリヤー塗料の層とを同時に焼き付ける3コート1ベーク方式。
しかし、ウェットオンウェットで塗膜を形成する場合、クリヤー塗料を塗装する際に、ベース塗料の層中の光輝性顔料の配向に問題を生じる(メタル配向性が低下する)ことがある。
【0005】
また、環境汚染対策としてのVOC低減化を目的として、高VOCであるベース塗料のハイソリッド化が進んでいる。そのため、アクリル樹脂をさらに低分子量化したベース塗料も採用されている。
しかし、アクリル樹脂をさらに低分子量化した場合、塗膜中のメタル配向性がさらに低下する。
塗膜中のメタル配向性が低下すると、塗膜のメタリック感が不十分となるため、メタル配向性の低下を抑えることが求められている。
【0006】
メタル配向性の低下を抑えるために、ベース塗料に遥変性を付与することが行われている。例えば、尿素系化合物を含ませたベース塗料が提案されている(特許文献1〜4)。
しかし、尿素系化合物を用いても、メタル配向性の低下を十分に抑えることはできない。また、尿素系化合物を用いることによって、塗膜にムラが生じる等、塗装作業性に問題が生じ、さらに塗膜の耐水性も低下することがある。
【特許文献1】特開昭53−67733号公報
【特許文献2】特開昭61−192774号公報
【特許文献3】特表平8−503736号公報
【特許文献4】特開2003−82280号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
よって、本発明の目的は、塗装作業性および塗膜の耐水性を維持しつつ、メタル配向性に優れた塗膜を形成できる塗料;該塗料を得ることができる塗料用樹脂組成物;およびメタリック感に優れ、かつムラの少ない塗膜を有する物品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の塗料用樹脂組成物は、下記ビニル系重合体(a)を含む溶液(A)中に、尿素化合物(b)を析出させた重合体組成物(B)と、重合体(C)と、硬化剤(D)とを含むことを特徴とする。
(ビニル系重合体(a))
下記式(1)で表されるビニル系単量体(a1)5〜95質量%と、ヒドロキシ基含有ビニル系単量体(a2)5〜95質量%と、酸基含有ビニル系単量体(a3)0〜5質量%と、他のビニル系単量体(a4)0〜90質量%とを重合したビニル系重合体(a)。
CH=CR−CO−O−R ・・・(1)。
式中、Rは、水素原子またはメチル基であり、Rは、炭素数が1または2の炭化水素基である。
【0009】
前記尿素化合物(b)は、ヘキサメチレンジイソシアネートとベンジルアミンとの付加生成物であることが好ましい。
本発明の塗料は、本発明の塗料用樹脂組成物と、光輝性顔料とを含むことを特徴とする。
本発明の物品は、本発明の塗料から得られる塗膜を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の塗料用樹脂組成物によれば、塗装作業性および塗膜の耐水性を維持しつつ、メタル配向性に優れた塗膜を形成できる塗料を得ることができる。
本発明の塗料によれば、塗装作業性および塗膜の耐水性を維持しつつ、メタル配向性に優れた塗膜を形成できる。
本発明の物品は、メタリック感に優れ、かつムラの少ない塗膜を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本明細書において、(メタ)アクリル酸は、アクリル酸またはメタクリル酸を意味し、(メタ)アクリレートは、アクリレートまたはメタクリレートを意味する。
【0012】
(ビニル系重合体(a))
ビニル系重合体(a)は、式(1)で表されるビニル系単量体(a1)と、ヒドロキシ基含有ビニル系単量体(a2)と、必要に応じて酸基含有ビニル系単量体(a3)と、必要に応じて他のビニル系単量体(a4)とを重合して得られる重合体である。
【0013】
ビニル系単量体(a1)は、下記式(1)で表される単量体である。
CH=CR−CO−O−R ・・・(1)。
式中、Rは、水素原子またはメチル基であり、Rは、炭素数が1または2の炭化水素基である。
の炭化水素基の炭素数が、3以上の場合、塗装作業性および塗膜のメタル配向性が不十分となる。
【0014】
ビニル系単量体(a1)としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル等が挙げられる。ビニル系単量体(a1)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0015】
ビニル系単量体(a1)の割合は、全ビニル系単量体(100質量%)のうち、5〜95質量%であり、35〜95質量%が好ましく、50〜90質量%がより好ましい。ビニル系単量体(a1)の割合が5質量%以上であれば、塗膜のメタル配向性が良好となる。ビニル系単量体(a1)の割合が、95質量%以下であれば、塗膜の架橋密度が適当となり、その結果、耐チッピング性、耐溶剤性、耐水性が良好となる。
【0016】
ビニル系単量体(a2)は、ヒドロキシル基を有する単量体である。
ビニル系単量体(a2)としては、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル等の基を有する(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル類;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルへのε−カプロラクトンまたはγ−ブチロラクトンの開環付加物(ダイセル化学工業社製の「プラクセルF(商品名)」、UCC社製の「トーンM(商品名)」等。);モノエポキシ化合物と、(メタ)アクリル酸、フマール酸、マレイン酸等とのエステル化反応物(シエル化学社製の合成脂肪酸グリシジルエステル「カージュラE(商品名)」等。);p−ヒドロキシスチレン、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、3−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、3−ヒドロキシブチルビニルエーテル、5−ヒドロキシペンチルビニルエーテル、6−ヒドロキシヘキシルビニルエーテル等のヒドロキシ基含有ビニル類;2−ヒドロキシエチルアリルエーテル、4−ヒドロキシブチルアリルエーテル、グリセロールモノアリルエーテル等のヒドロキシ基含有アリルエーテル類;アリルアルコール;末端がヒドロキシ基であるポリオキシアルキレン鎖を有する単量体等が挙げられる。ビニル系単量体(a2)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0017】
ビニル系単量体(a2)の割合は、全ビニル系単量体(100質量%)のうち、5〜95質量%であり、5〜65質量%が好ましく、10〜50質量%がより好ましい。ビニル系単量体(a2)の割合が5質量%以上であれば、塗膜の架橋密度が適当となり、その結果、耐チッピング性、耐溶剤性、耐水性が良好となる。ビニル系単量体(a2)の割合が95質量%以下であれば、耐水性が良好となる。
【0018】
ビニル系単量体(a3)は、酸基を有する単量体である。酸基としては、カルボキシ基、水と作用してカルボキシ基となる基(例えば、−CO−O−CO−等。)、リン酸基等が挙げられる。
ビニル系単量体(a3)としては、(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロキシプロピルヘキサヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロキシエチルテトラヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロキシプロピルテトラヒドロフタレル酸、5−メチル−2−(メタ)アクリロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロキシエチルフタル酸、2−(メタ)アクリロキシプロピルフタル酸、2−(メタ)アクリロキシエチルシュウ酸、2−(メタ)アクリロキシプロピルシュウ酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、ソルビン酸等のカルボキシ基含有ビニル系単量体;無水マレイン酸、無水イタコン酸等の酸無水物等が挙げられる。ビニル系単量体(a3)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0019】
ビニル系単量体(a3)の割合は、全ビニル系単量体(100質量%)のうち、0〜5質量%であり、0.1〜4.5質量%が好ましい。ビニル系単量体(a3)の割合が5質量%以下であれば、溶液(A)の粘度が低くなり、その結果、塗料の固形分を高く(ハイソリッド化)でき、VOCを低減できる。また、塗料の貯蔵安定性が良好となる。
【0020】
ビニル系単量体(a4)は、ビニル系単量体(a1)〜(a3)を除くビニル系単量体である。
ビニル系単量体(a4)としては、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸i−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−ラウリル、(メタ)アクリル酸n−ステアリル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等の(メタ)アクリル酸エステル類;N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ブチルマレイミド等のマレイミド誘導体;アクロレイン、ジアセトンアクリルアミド、ホルミルスチロール、ビニルアルキルケトン、(メタ)アクリルアミドピバリンアルデヒド、ジアセトン(メタ)アクリレート、アセトニルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレートアセチルアセテート、アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート、ブタンジオール−1,4−アクリレート−アセチルアセテート、アクリルアミドメチルアニスアルデヒド等のアルデヒド基またはカルボニル基を有するビニル系単量体;アクリルアミド、メタクリルアミド、クロトンアミド、N−メチロールアクリルアミド等のアミド基含有ビニル系単量体;アリルグリシジルエーテル、(メタ)アクリル酸グリシジル等のエポキシ基含有ビニル系単量体;スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル系単量体;アクリロニトリル等のニトリル基含有ビニル系単量体;ブタジエン等のオレフィン系単量体等が挙げられる。
【0021】
ビニル系単量体(a4)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ビニル系単量体(a4)の割合は、全単量体(100質量%)のうち、0〜90質量%である。
【0022】
ビニル系重合体(a)の質量平均分子量は、3,000〜15,000が好ましい。ビニル系重合体(a)の質量平均分子量が3,000以上であれば、耐チッピング性、耐溶剤性、耐水性が良好となる。ビニル系重合体(a)の質量平均分子量が15,000以下であれば、塗料の固形分を高く(ハイソリッド化)でき、VOCを低減できる。
質量平均分子量は、GPC装置を用いて測定される、ポリスチレン換算の質量平均分子量である。
【0023】
(溶液(A))
溶液(A)は、ビニル系重合体(a)を含む溶液である。
溶液(A)は、例えば、ビニル系単量体(a1)と、ビニル系単量体(a2)と、必要に応じてビニル系単量体(a3)と、必要に応じてビニル系単量体(a4)とを、溶液重合法によって重合することによって得ることができる。
【0024】
溶液重合法としては、例えば、溶剤に、ビニル系単量体、重合開始剤、必要に応じて連鎖移動剤を含む混合物を供給し、加熱する方法が挙げられる。
混合物の供給方法としては、混合物を滴下する方法等が挙げられる。
重合温度は、60〜200℃が好ましい。
重合時間は、3〜10時間が好ましい。
【0025】
溶剤としては、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類;グリコールエーテル類の酢酸エステル;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ノルマルプロピルアルコール、ノルマルブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類等が挙げられる。
ビニル系単量体と溶剤との比(ビニル系単量体/溶剤)は、30/70〜80/20(質量比)が好ましい。
【0026】
重合開始剤としては、2,2−アゾビスイソブチロニトリル、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)等のアゾ系重合開始剤;過酸化ベンゾイル、クメンヒドロペルオキサイド、ラウリルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−t−アミルパーオキサイド、ジ−t−ヘキシルパーオキサイド等が挙げられる。
連鎖移動剤としては、2−メルカプトエタノール、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン等のメルカプタン類;α−メチルスチレンダイマー等が挙げられる。
【0027】
(尿素化合物(b))
尿素化合物(b)は、イソシアネート化合物とアミン化合物との付加生成物である。
イソシアネート化合物としては、芳香族ジイソシアネート、芳香族脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート;これらジイソシアネートから誘導されたポリイソシアネート(例えば、イソシアヌレートタイプの化合物等。)等が挙げられる。
アミン化合物としては、第一級または第二級アミノ基を有するモノアミン、第一級または第二級アミノ基を有するポリアミン等が挙げられる。
【0028】
尿素化合物(b)は、低分子量化合物であってもよく、オリゴマー付加生成物であってもよく、ポリマー性付加生成物であってもよい。
尿素化合物(b)としては、イソシアネート化合物とアミン化合物とを、イソシアネート基あたり0.7〜1.5個のアミノ基の化学量論比で反応させたものが好ましく、イソシアネート基あたり0.9〜1.1個のアミノ基の化学量論比で反応させたものがより好ましい。
【0029】
尿素化合物(b)としては、高い揺変性が得られることから、ジイソシアネート(好ましくは脂肪族ジイソシアネートまたは脂環式ジイソシアネート)と、第一級アミン(好ましくは第一級モノアミン)との付加生成物がより好ましく、ヘキサメチレンジイソシアネートとベンジルアミンとの付加生成物が特に好ましい。脂肪族ジイソシアネートまたは環式脂肪族ジイソシアネートとしては、対称構造を有するジイソシアネートが好ましい。
【0030】
ジイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート(TDI)、水添トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)等の芳香族ジイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)等の脂肪族イソシアネート;イソホロンジイソシアネート(IPDI)、水添XDI(H6XDI)、水添MDI(H12MDI)、ノルボルナンジイソシアネートメチル(NBDI)等の脂環式ジイソシアネート;ジイソシアネートのカルボジイミド変性イソシアネート等が挙げられ、ヘキサメチレンジイソシアネートが好ましい。
【0031】
モノアミンとしては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、イソブチルアミン、Sec−ブチルアミン、1,2−ジメチルプロピルアミン、ヘキシルアミン、2エチルヘキシルアミン、アリールアミン、3−アミノプロパノール、2−アミノプロパノール、3−メトキシプロピルアミン、3−エトキシプロピルアミン、プロピオキシプロピルアミン、イソプロピオキシプロピルアミン、ブトキシプロピルアミン、イソブトキシプロピルアミン、2−エチルヘキシロキシプロピルアミン、デシロキシプロピルアミン、ラウリロキシプロピルアミン、t−アミルアミン、イソペンチルアミン、ステアリルアミン、オイレルアミン、ミリスチルアミン、ラウリルアミン、ベンジルアミン、α−フェニルエチルアミン、β−フェニルエチルアミン、1−メチル−3フェニルプロピルアミン、4−メトキシベンジルアミン等が挙げられ、ベンジルアミンが好ましい。
【0032】
(重合体組成物(B))
重合体組成物(B)は、溶液(A)中に固体の尿素化合物(b)を析出させた組成物である。
尿素化合物(b)の析出量は、溶液(A)100質量部に対して、1〜10質量部が好ましい。
【0033】
尿素化合物(b)を析出させる方法としては、下記方法が挙げられる。
(I)溶液(A)中でイソシアネート化合物とアミン化合物とを反応させる方法。
(II)溶液(A)に尿素化合物(b)を加熱しながら溶解し、ついで冷却する方法。
【0034】
(I)の方法:
溶液(A)へのイソシアネート化合物とアミン化合物の添加方法としては、(I−1)溶液(A)にアミン化合物を添加し、ついでイソシアネート化合物を添加する方法、(I−2)溶液(A)にイソシアネート化合物を添加し、ついでアミン化合物を添加する方法、(I−3)溶液(A)にイソシアネート化合物およびアミン化合物を同時に添加する方法が挙げられる。
【0035】
溶液(A)、イソシアネート化合物およびアミン化合物との混合は、撹拌装置、溶解器、ローター−ステータ装置等を用いて行う。
(I)の方法は、尿素化合物(b)が、付加反応の途中に、または付加反応が完了した後の冷却中または冷却後に、溶液(A)中で沈殿を形成する、または微細に分割された固形物として晶出するような条件で行うことが好ましい。
【0036】
(II)の方法:
溶液(A)への尿素化合物(b)の溶解は、尿素化合物(b)の凝固点または融点より高い温度まで行う。
尿素化合物(b)を溶解した溶液(A)の冷却は、尿素化合物(b)の凝固点または融点より低い温度まで行う。
【0037】
以上のようにして得られた重合体組成物(B)の遥変性は、5以上が好ましい。
遥変性は、PaarPhysica社製の「MCR300」を用いて下記測定条件により測定した粘度に基づいて、下記計算式から算出する。
測定プローブ直径:50mm、
測定プローブ角:2°、
測定温度:23℃、
計算式:粘度(せん断速度=1[1/s])/粘度(せん断速度=100[1/s])。
【0038】
(重合体(C))
重合体(C)としては、通常のベース塗料に用いられる公知の熱硬化性樹脂が挙げられる。該熱硬化性樹脂としては、水酸基、カルボキシル基、シラノール基、エポキシ基等の架橋性官能基を有する、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン含有樹脂等が挙げられる。
重合体(C)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、重合体(C)として、上述のビニル系重合体(a)を用いてもよい。
【0039】
(硬化剤(D))
硬化剤(D)としては、重合体(C)の架橋性官能基と反応しうる化合物が挙げられる。該化合物としては、アミノ樹脂、イソシアネートプレポリマー、ブロックドポリイソシアネート、シランカップリング剤、アルミニウムキレート系硬化剤等が挙げられる。
【0040】
アミノ樹脂としては、アミノトリアジン、尿素、ジシアンジアミド、またはN,N−エチレン尿素のメチロール化物をシクロヘキサノールまたは炭素数1〜6のアルカノールでアルキルエーテル化したアミノ樹脂が挙げられる。アクリル樹脂、ポリエステル樹脂の硬化剤としては、アミノトリアジンより得られたアミノ樹脂(例えばメチルエーテル化メラミン樹脂、ブチルエーテル化メラミン樹脂等。)が好ましい。
【0041】
(塗料用樹脂組成物)
本発明の塗料用樹脂組成物は、重合体組成物(B)と、重合体(C)と、硬化剤(D)とを含む組成物である。
塗料用樹脂組成物の製造方法としては、ビニル系重合体(a)を含む溶液(A)中に、尿素化合物(b)を析出させて重合体組成物(B)を得た後、該重合体組成物(B)に重合体(C)および硬化剤(D)を加える方法が挙げられる。
【0042】
重合体組成物(B)と重合体(C)との固形分比((B)/(C))は、20/80〜95/5(質量比)が好ましい。固形分比((B)/(C))が20/80以上であれば、メタル配向性に優れる塗膜が得られる。固形分比((B)/(C))が95/5以下であれば、平滑性が良好な塗膜が得られる。
【0043】
硬化剤(D)の固形分/(重合体組成物(B)の固形分+重合体(C)の固形分)は、1/9〜6/4(質量比)が好ましい。硬化剤(D)比率が下限を下回ると、硬化性が低下する傾向にある。硬化剤(D)比率が上限を超えると、硬化後の塗膜が硬くなりすぎ、ベース塗料に用いた場合、塗膜のチッピング性が低下する傾向にある。
【0044】
塗料用樹脂組成物は、必要に応じて、造膜助剤、消泡剤、顔料分散剤、増粘剤、ワックス、防腐剤等の公知の添加剤を含んでいてもよい。
【0045】
(塗料)
本発明の塗料は、本発明の塗料用樹脂組成物と、光輝性顔料とを含むメタリック塗料である。
光輝性顔料としては、無着色の、または着色された金属性光輝材(金属、合金等。);該金属性光輝材を含む混合物;干渉マイカ粉、着色マイカ粉、ホワイトマイカ粉、グラファイト、無色または有色の偏平顔料等が挙げられる。これらのうち、分散性に優れ、透明感の高い塗膜を形成できる点から、金属性光輝材およびその混合物、干渉マイカ粉、着色マイカ粉、ホワイトマイカ粉が好ましい。
前記金属としては、例えば、アルミニウム、酸化アルミニウム、銅、亜鉛、鉄、ニッケル、スズ等が挙げられる。
光輝性顔料の量は、本発明の塗料用樹脂組成物100質量部に対して、0.01〜20.0質量部が好ましい。
【0046】
塗料は、必要に応じて希釈溶剤によって、所望の粘度となるように希釈してもよい。希釈溶剤としては、上述の芳香族炭化水素類、エステル類、グリコールエーテル類、グリコールエーテル類の酢酸エステル、アルコール類、ケトン類等が挙げられる。
【0047】
(物品)
本発明の物品は、本発明の塗料から得られる塗膜を有する物品である。
該物品としては、自動車のボディ、自動車のバンパー等が挙げられる。
【0048】
本発明の物品は、例えば自動車のボディの場合、下記工程を経て製造される。
(i)所望の形状の鋼板に化成処理を施す工程。
(ii)化成処理された鋼板に電着塗料を塗装する工程。
(iii)さらに中塗り塗料を塗装する工程。
(iv)さらに上塗り塗料を塗装する工程。
【0049】
(i)の工程:
化成処理としては、リン酸亜鉛処理等の公知の化成処理が挙げられる。
【0050】
(ii)の工程:
電着塗料としては、カチオン系電着塗料、アニオン系電着塗料等の公知の電着塗料が挙げられる。
塗装方法としては、浸漬塗装等の公知の塗装方法が挙げられる。
【0051】
(iii)の工程:
中塗り塗料としては、塗膜形成樹脂と硬化剤とを含む塗料が挙げられる。塗膜形成樹脂としては、アミノアルキッド樹脂、オイルフリーポリエステル樹脂、エポキシエステル樹脂等が挙げられる。硬化剤としては、アミノ樹脂等が挙げられる。
塗装方法としては、スプレー塗装等の公知の塗装方法が挙げられる。
【0052】
(iv)の工程:
(iv)の工程においては、通常、光輝性顔料を配合したベース塗料と、これを保護するクリヤー塗料とが用いられる。
ベース塗料としては、本発明の塗料を用いる。
【0053】
クリヤー塗料としては、塗膜形成樹脂、硬化剤等を含む塗料が挙げられる。塗膜形成樹脂としては、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等が挙げられる。硬化剤としては、アミノ樹脂、ブロックイソシアネート樹脂等が挙げられる。
クリヤー塗料としては、透明性、耐酸エッチング性等の点から、アクリル樹脂および/またはポリエステル樹脂と、アミノ樹脂との組み合わせ、またはカルボン酸・エポキシ硬化系を有するアクリル樹脂および/またはポリエステル樹脂等が好ましい。
【0054】
クリヤー塗料の形態としては、溶剤型、水性型(水溶性、水分散性、エマルジョン等。)、非水分散型、粉体型等が挙げられる。
クリヤー塗料の固形分は、クリヤー塗料(100質量%)のうち、30〜70質量%であり、35〜65質量%が好ましい。
【0055】
クリヤー塗料は、通常、ベース塗料を塗装した後、ベース塗料が未硬化の状態で、ベース塗料の層上に塗装されるため、層間のなじみ、層間の反転、タレ等の防止を目的として、粘性制御剤を含むことが好ましい。粘性制御剤の量は、クリヤー塗料の固形分100質量に対し、0.01〜10質量部が好ましく、0.02〜8質量部がより好ましく、0.03〜6質量部が特に好ましい。粘性制御剤の量が0.01質量部以上であれば、粘性制御効果が十分に得られ、タレ等の不具合が抑えられる。粘性制御剤の量が10質量部以下であれば、外観の低下が抑えられる。
クリヤー塗料は、必要に応じて、硬化触媒、表面調製剤等を含んでいてもよい。
【実施例】
【0056】
以下、本発明を実施例によりさらに詳しく説明する。なお、実施例中の「部」は「質量部」、「%」は「質量%」を示す。
【0057】
(遥変性)
重合体組成物(B)の遥変性は、PaarPhysica社製の「MCR300」を用いて下記測定条件により測定した粘度に基づいて、下記計算式から算出した。
測定プローブ直径:50mm、
測定プローブ角:2°、
測定温度:23℃、
計算式:粘度(せん断速度=1[1/s])/粘度(せん断速度=100[1/s])。
【0058】
(固形分)
試料を105℃で2時間加熱した後、残分をはかりとり、下記計算式より固形分を算出した。
計算式:固形分(%)=残分(g)/試料(g)×100。
【0059】
(質量平均分子量)
溶液(A)に含まれるビニル系重合体(a)の質量平均分子量(以下、Mwと記す。)は、GPC法によって測定される標準ポリスチレン換算平均値とした。
【0060】
(IV値)
試験片(塗装板)の塗膜のIV値は、関西ペイント社製の表面形状測定装置「ALCOPE LMR−100」を用いて測定した。IV値が高いほどメタリック感が良好であり、メタル配向性に優れている。
【0061】
(ムラ)
試験片(塗装板)の塗膜を目視し、塗装ムラ状態を下記基準により評価した。ムラが少ないほど、塗装作業性に優れている。
◎:ムラなし。
○:ムラが極僅かに見られる。
△:ムラが僅かに見られる。
×:ムラが顕著に見られる。
【0062】
(耐水性)
試験片(塗装板)を40℃の温水に10日間浸漬した。試験片を1時間洗浄した後、外観を目視により観察し、下記基準により評価した。
○:異常なし。
×:全面にふくれ、白化等がある。
【0063】
〔調製例1〕
クリヤー塗料CL1の調製:
下記カルボキシル基含有アクリル樹脂50部(固形分)、下記エポキシ基含有アクリル樹脂50部(固形分)、紫外線吸収剤(チバガイギ社製、「チヌビン900(商品名)」)1部、テトラブチルアンモニウムブロマイドとモノブチルりん酸との当量配合物2部、および表面調整剤(ビッグケミー社製、「BYK−300(商品名)」)0.1部を混合した。該混合物を、炭化水素系溶剤(1)(新日本石油化学社製、「SS100(商品名)」)50部、炭化水素系溶剤(2)(新日本石油化学社製、「SS150(商品名)」)50部からなる希釈シンナーにて、粘度がNo.4フォードカップで24秒(20℃)となるように希釈し、クリヤー塗料CL1を得た。
【0064】
(カルボキシル基含有アクリル樹脂)
無水マレイン酸のメタノールハーフエステル化物20部、2−ヒドロキシエチルアクリレート15部、2−エチルヘキシルアクリレート45部、およびスチレン20部からなる単量体成分を重合した共重合体。数平均分子量4,000、水酸基価73mgKOH/g、酸価86mgKOH/g。
【0065】
(エポキシ基含有アクリル樹脂)
グリシジルメタクリレート30部、2−ヒドロキシエチルアクリレート15部、n−ブチルアクリレート38部およびスチレン17部からなる単量体成分を重合した共重合体。数平均分子量3,000、水酸基価73mgKOH/g。
【0066】
〔製造例1〕
ビニル系重合体溶液(A−1)の製造:
撹拌機、温度制御装置、コンデンサーを備えた容器に、キシレン39.8部およびプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下、PMAと記す。)4部を仕込んだ。容器の内容物を攪拌しながら、温度を135℃まで上昇させた。ついで、容器内に表1に示す組成のビニル系単量体および重合開始剤の混合物を3時間かけて滴下し、さらに過酸化ベンゾイルを0.3部添加し、135℃で2時間攪拌した。キシレン10部を添加し、反応を終了させ、ビニル系重合体溶液(A−1)を得た。ビニル系重合体溶液(A−1)の特性を表1に示す。
【0067】
〔製造例2〜5〕
ビニル系重合体溶液(A−2〜A−5)の製造:
ビニル系単量体および重合開始剤の混合物の組成を表1に示すように変更した以外は、製造例1と同様にして、ビニル系重合体溶液(A−2〜A−5)を得た。ビニル系重合体溶液(A−2〜A−5)の特性を表1に示す。
【0068】
〔製造例6、7〕
ビニル系重合体溶液(A−6、A−7)の製造:
撹拌機、温度制御装置、コンデンサーを備えた密閉容器に、酢酸ブチル19.9部およびPMA19.9部を仕込んだ。容器の内容物を攪拌しながら、温度を160℃まで上昇させた。ついで、容器内に表1に示す組成のビニル系単量体および重合開始剤の混合物を3時間かけて滴下し、さらにジ−t−ブチルパーオキサイドを0.3部添加し、160℃で1時間攪拌した。酢酸ブチル5部を添加し、反応を終了させ、ビニル系重合体溶液(A−6、A−7)を得た。ビニル系重合体溶液(A−6、A−7)の特性を表1に示す。
【0069】
【表1】

【0070】
表中の略号は、下記の通りである。
MMA:メタクリル酸メチル、
St:スチレン、
EA:アクリル酸エチル、
t−BMA:メタクリル酸t−ブチル、
SLMA:メタクリル酸ドデシルとメタクリル酸トリデシルとの混合物(三菱レイヨン社製)、
HEA:アクリル酸2−ヒドロキシエチル、
FM2:メタクリル酸2−ヒドロキシエチルのε−カプロラクトン2モル付加物(ダイセル化学工業製、水酸基含有ビニル系単量体)、
AA:アクリル酸、
PO1:t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(日本油脂社製)、
PO2:ジ−t−アミルパーオキサイド(アルケマ吉富社製)。
【0071】
〔製造例8〕
重合体組成物(B−1)の製造:
撹拌機、温度制御装置、コンデンサー、滴下ロートを備えた容器に、ビニル系重合体溶液(A−1)84.6部、キシレン10.4部、ベンジルアミン(以下、BAと記す。)2.8部を仕込んだ。ついで、攪拌しながらヘキサメチレンジイソシアネート(以下、HMDIと記す。)2.2部を添加し、撹拌を続け、固体尿素化合物を析出させ、アミノ基とイソシアネート基との比(NH/NCO)が1.0(モル比)の重合体組成物(B−1)を得た。重合体組成物(B−1)の特性を表2に示す。
【0072】
〔製造例9〜12〕
重合体組成物(B−2〜B−5)の製造:
ビニル系重合体溶液を表2に示すものに変更した以外は、製造例8と同様にして、重合体組成物(B−2〜B−5)を得た。重合体組成物(B−2〜B−5)の特性を表2に示す。
【0073】
〔製造例13、14〕
重合体組成物(B−6、B−7)の製造:
ビニル系重合体溶液を表2に示すものに変更し、仕込み量をビニル系重合体溶液79.7部、キシレン15.3部に変更した以外は、製造例8と同様にして、重合体組成物(B−6、B−7)を得た。重合体組成物(B−6、B−7)の特性を表2に示す。
【0074】
【表2】

【0075】
〔製造例13〕
重合体溶液(C−1):
製造例1と同様にして得られたビニル系重合体溶液(A−1)を、重合体溶液(C−1)とした。
【0076】
〔製造例14〕
重合体溶液(C−2):
製造例6と同様にして得られたビニル系重合体溶液(A−6)を、重合体溶液(C−2)とした。
【0077】
〔実施例1〕
メタリック用ベース塗料の調製:
配合用容器に、重合体組成物(B−1)35部、重合体溶液(C−1)75.4部、ブチル化メラミン樹脂(三井化学社製、「ユーバン20SE(商品名)」)30部、アルミニウム顔料(旭化成ケミカルズ社製、「アルミペーストMH−8801(商品名)」)14部を入れ、卓上攪拌機で攪拌した。該混合物を、トルエン40部、酢酸エチル30部、炭化水素系溶剤(新日本石油化学社製、「SS100(商品名)」)30部からなる希釈シンナーにて、粘度がNo.4フォードカップで13秒となるように希釈し、ベース塗料を得た。
【0078】
塗装板の製造:
リン酸亜鉛処理した鋼板(30cm×45cm)に、自動車用カチオン系電着塗料を塗装し、180℃で30分焼き付け、塗膜を形成した。
ついで、該塗膜上に、アルキッド樹脂およびアミノ樹脂を含む中塗り塗料を塗装し、160℃で30分焼き付けた後、塗膜をサンディングし、水研し、乾燥させた。
ついで、該塗膜上に、ベース塗料を、乾燥膜厚が15μmとなるように、スプレー塗装し、室温で5分間放置した後、クリヤー塗料CL1をウェットオンウェット方式で乾燥膜厚が40μmとなるように重ね塗りした。
未乾燥の重ね塗り塗膜を室温で10分間セッティング後、140℃で25分間焼き付け、試験片(塗装板)を得た。該試験片について、評価を行った。表3に示す。
【0079】
〔実施例2〜4、比較例1〜3〕
重合体組成物、重合体溶液を表3に示すように変更した以外は、実施例1と同様にしてベース塗料を得た。
該ベース塗料を用いた以外は、実施例1と同様にして試験片を得た。該試験片について、評価を行った。表3に示す。
【0080】
【表3】

【0081】
(結果)
表2に示すように、式(1)で表されるビニル系単量体(a1)を含む単量体成分を重合したビニル系重合体(a)を含む重合体組成物(B−1〜B−4、B−6)は、式(1)で表されるビニル系単量体(a1)を含まない単量体成分を重合したビニル系重合体を含む重合体組成物(B−5、B−7)に比べ、良好な遥変性を示した。
また、表3に示すように、重合体組成物(B−1〜B−4、B−6)を含む実施例1〜4、比較例1のベース塗料から形成された塗膜は、IV値が高く、ムラが少なかった。また、実施例1〜4のベース塗料から形成された塗膜は、耐水性に優れていた。
これに対し、重合体組成物(B−5、B−7)を含む比較例2、3のベース塗料から形成された塗膜は、IV値が低く、ムラが多かった。比較例1のベース塗料から形成された塗膜は、耐水性が不良となった。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明の塗料用樹脂組成物は、塗料に遥変性を与えることから、積層塗装仕上げに用いるメタリック用ベース塗料の樹脂組成物として有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記ビニル系重合体(a)を含む溶液(A)中に、尿素化合物(b)を析出させた重合体組成物(B)と、
重合体(C)と、
硬化剤(D)と
を含む塗料用樹脂組成物。
(ビニル系重合体(a))
下記式(1)で表されるビニル系単量体(a1)5〜95質量%と、ヒドロキシ基含有ビニル系単量体(a2)5〜95質量%と、酸基含有ビニル系単量体(a3)0〜5質量%と、他のビニル系単量体(a4)0〜90質量%とを重合したビニル系重合体(a)。
CH=CR−CO−O−R ・・・(1)。
式中、Rは、水素原子またはメチル基であり、Rは、炭素数が1または2の炭化水素基である。
【請求項2】
請求項1に記載の塗料用樹脂組成物と、
光輝性顔料と
を含む、塗料。
【請求項3】
請求項1に記載の塗料用樹脂組成物と光輝性顔料とを含む塗料から得られる塗膜を有する物品。

【公開番号】特開2008−156455(P2008−156455A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−346005(P2006−346005)
【出願日】平成18年12月22日(2006.12.22)
【出願人】(000006035)三菱レイヨン株式会社 (2,875)
【Fターム(参考)】