説明

塗料用樹脂組成物

【課題】優れた耐水性、耐アルカリ性、耐候性及び乾燥性を有する新規な塗料用樹脂組成物を提供することにある。
【解決手段】主成分として、乾性油、乾性油脂肪酸の一方又は両方と、ポリオールと、イソフタル酸とを含有しており、
直接重合、又は、多塩基酸成分が主にイソフタル酸より成るポリエステル樹脂のエステル交換反応により解重合させて得られることを特徴とする塗料用樹脂組成物(A)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規にて有用なる樹脂組成物に関する。更に詳しくは、塗膜とした際に優れた耐水性、耐アルカリ性、耐候性及び乾燥性を有する塗料用樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、貯蔵安定性が良好である一液常温硬化性樹脂としてアルキッド樹脂が広く知られおり、建築内外装等の様々な分野で使用されているが、屋外での使用においては耐水性、耐候性が不十分であったり、耐アルカリ性が不十分な為コンクリートに直接用いることが出来ない等の欠点を有している。これらの欠点を克服すべく脂肪酸で変性されたアクリル樹脂が、例えば特許文献1で提案されているが、耐候性や特に耐アルカリ性においては十分な性能を有していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】英国特許第793,776号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、優れた耐水性、耐アルカリ性、耐候性及び乾燥性を有する新規な塗料用樹脂組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に従って、主成分として、乾性油、乾性油脂肪酸の一方又は両方と、ポリオールと、イソフタル酸とを含有しており、
直接重合、又は、多塩基酸成分が主にイソフタル酸より成るポリエステル樹脂のエステル交換反応により解重合させて得られることを特徴とする塗料用樹脂組成物(A)が提供される。
【0006】
また、本発明に従って、前記塗料用樹脂組成物(A)とイソシアネート基を有する化合物(B)とを反応させて得られることを特徴とする塗料用樹脂組成物(C)が提供される。
【0007】
また、本発明に従って、前記塗料用樹脂組成物(A)とイソシアネート基を有する化合物(B)とを反応させる際に、
更に、水酸基及びラジカル重合性二重結合基を併せ有する化合物と、ラジカル重合性二重結合基を有する化合物と、を重合させて得られる重合体(D)
を反応させて得られることを特徴とする塗料用樹脂組成物(E)が提供される。
【0008】
また、本発明に従って、前記塗料用樹脂組成物(A)を分散剤とし、重合前は前記塗料用樹脂組成物(A)の溶液に溶解するが重合後は溶解しないラジカル重合性二重結合基を有する化合物を重合させて得られる分散体であることを特徴とする塗料用樹脂組成物(F)が提供される。
【0009】
また、本発明に従って、前記塗料用樹脂組成物(C)を分散剤とし、重合前は前記塗料用樹脂組成物(C)の溶液に溶解するが重合後は溶解しないラジカル重合性二重結合基を有する化合物を重合させて得られる分散体であることを特徴とする塗料用樹脂組成物(G)が提供される。
【0010】
更に、本発明に従って、前記塗料用樹脂組成物(E)を分散剤とし、重合前は前記塗料用樹脂組成物(E)の溶液に溶解するが重合後は溶解しないラジカル重合性二重結合基を有する化合物を重合させて得られる分散体であることを特徴とする塗料用樹脂組成物(H)が提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明の塗装用樹脂組成物によって、優れた耐水性、耐アルカリ性、耐候性及び乾燥性を有する塗膜を提供することが可能となった。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明における乾性油及び乾性油脂肪酸としては例えば、オレイン酸、リシノール酸、リノール酸、リノレイン酸、エレオステアリン酸等を含む各種脂肪酸又は各種脂肪酸より成る油が挙げられる。具体的には、なたね、大豆、トウモロコシ、米ぬか、サフラワー、ごま、綿実、あまに、ひまし、脱水ひまし、桐、トール、ヒマワリ等の脂肪酸及び/又は油や、リノール酸、オレイン酸、リシノール酸及びステアリン酸の混合脂肪酸(商品名:ハイジエン、KFトレーディング製)が挙げられる。
【0013】
上記乾性油及び乾性油脂肪酸の使用量としては、油長換算で30〜70の範囲内にあることが好適である。
【0014】
また上記乾性油及び乾性油脂肪酸以外に更に必要に応じて、パーム、パーム核、ヤシ等の脂肪酸及び油や、安息香酸、メチル安息香酸、p−t−ブチル安息香酸、イソノナン酸、ステアリン酸、シクロヘキサンカルボン酸等を併用することができる。
【0015】
本発明におけるポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,3−ブチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、デカメチレングリコール、オクタンジオール、トリシクロデカンジメチロール、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、キシリレンジメタノール、水添ビスフェノールA、ビスフェノールAポリエチレングリコールエーテル、ビスフェノールAポリプロピレングリコールエーテル、ビスフェノールAのエチレンオキシドやプロピレンオキシド付加物、水添ビスフェノールAのエチレンオキシドやプロピレンオキシド付加物、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ジグリセリン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ソルビトール等が挙げられる。
【0016】
本発明において、イソフタル酸以外の多塩基酸を必要に応じて性能に影響を及ぼさない範囲において使用することができる。使用できる多塩基酸の具体例としては、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、ダイマー酸等が挙げられる。
【0017】
本発明における塗装用樹脂組成物(A)がポリエステル樹脂のエステル交換反応により得られる場合、使用できるポリエステル樹脂としては多塩基酸成分が主にイソフタル酸より成ること以外には特に制限はない。
【0018】
上記ポリエステル樹脂の具体例としては、
ユニチカ製エステルレジンER6570、同ER6615、同ER6616、同ER7320、
DIC製ファインディックM8023、同M8064、同M8120、同M8230、同M8420−R、
日本ユピカ製GV126、同GV130、同GV150、同GV500、同GV910
東洋紡績製バイロン220、
が挙げられる。これらのポリエステル樹脂は、単独又は2種以上混合して使用しても良い。
【0019】
上記ポリエステル樹脂のエステル交換反応において、解重合触媒を使用することができる。使用できる触媒としては通常のエステル交換反応において使用される、ジブチル錫オキサイド、モノブチル錫−2−エチルヘキサノエート、ジブチル錫ジラウレート、酢酸錫、酢酸亜鉛、酢酸鉛、ナフテン酸鉛、テトラブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、酢酸ナトリウム、酢酸リチウム、水酸化リチウム等が挙げられる。これらの解重合触媒は、単独又は2種以上混合して使用してもよい。
【0020】
上記エステル交換触媒の使用量は、エステル交換反応時の固形分合計1000質量部に対して、通常、0.01〜10質量部の範囲内にあることが好適である。
【0021】
本発明における塗装用樹脂組成物(A)がポリエステル樹脂のエステル交換反応により得られる場合、エステル交換反応と脱水縮合反応を同時に行うことが可能であり、即ち一段法により多塩基酸成分が主にイソフタル酸よりなる塗装用樹脂組成物(A)が得られる。本発明においては、乾性油、乾性油脂肪酸の一方又は両方と、ポリオールと、イソフタル酸を直接重合させて塗装用樹脂組成物(A)を得てもよいが、イソフタル酸は反応時に非常に昇華し易い化合物である為、一段法において水酸基価の低い塗装用樹脂組成物(A)を合成することは極めて困難であり、二段法にて合成せざるを得ない。一段法により樹脂生産が可能になることはコストの面で有益であることは云うまでもないが、エネルギー消費ひいては環境に対しても有益である。
【0022】
本発明の塗装用樹脂組成物においては、水酸基価が高いと極性が高くなり、幅広い溶剤への溶解性が損なわれる。特にミネラルスピリット等の非極性溶剤への溶解性が悪化することになる。また、極性が高くなると、得られる塗膜の耐水性が悪化する。
【0023】
本発明において、塗料用樹脂組成物(A)の耐候性や耐水性を向上させるために、塗料用樹脂組成物(A)とイソシアネート基を有する化合物(B)とを反応させて塗料用樹脂組成物(C)を得ることができる。
【0024】
本発明におけるイソシアネート基を有する化合物(B)としては、例えば、
ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、リジンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート類;これらのポリイソシアネートのビューレットタイプ付加物、イソシアヌレート環付加物;
イソホロンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチルシクロヘキサン−2,4−(又は−2,6−)ジイソシアネート、1,3−(又は1,4−)ジ(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,2−シクロヘキサンジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネート類;これらのジイソシアネートのビューレットタイプ付加物、イソシアヌレート環付加物;
キシリレンジイソシアネート、メタキシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、1,4−ナフタレンジイソシアネート、4,4’−トルイジンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルイソシアネート、(m−もしくはp−)フェニレンジイソシアネート、4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、ビス(4−イソシアナトフェニル)スルホン、イソプロピリデンビス(4−フェニルイソシアネート)等の芳香族ジイソシアネート化合物;これらのジイソシアネート化合物のビューレットタイプ付加物、イソシアヌレート環付加物;
トリフェニルメタン−4,4’,4’’−トリイソシアネート、1,3,5−トリイソシアナトベンゼン、2,4,6−トリイソシアナトトルエン、4,4’−ジメチルジフェニルメタン−2,2’,5,5’−テトライソシアネート等の1分子中に3個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート類;これらのポリイソシアネートのビューレットタイプ付加物、イソシアヌレート環付加物;
エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブチレングリコール、ジメチロールプロピオン酸、ポリアルキレングリコール、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール等のポリオールの水酸基にイソシアネート基が過剰量となる比率でポリイソシアネート化合物を反応させてなるウレタン化付加物;これらのウレタン化付加物のビューレットタイプ付加物、イソシアヌレート環付加物
等を挙げることができる。
【0025】
上記イソシアネート基を有する化合物(B)の具体例としては、
旭化成製のデュラネート50M、同D−101、同D−201、同24A−100、同TPA−100、同THA−100、
三井化学製のコスモネートT−80、同M−100、同NBDI、同ND、タケネート500、同600、同700、
住化バイエルウレタン製のスミジュールT−80、同44S、同N3200、同N3300、デスモジュールH、同W、同I、
日本ポリウレタン工業製のコロネートT−80、ミリオネートMT、同MR、同HDI、
協和発酵製のLTI、
信越シリコーン製のKBE−9007
が挙げられる。
【0026】
これらのイソシアネート基を有する化合物は、単独又は2種以上混合して使用しても良い。耐アルカリ性の点で特に好ましくは、トリレンジイソシアネートが挙げられる。
【0027】
上記イソシアネート基を有する化合物(B)の反応において、触媒を使用することができる。使用できる触媒としては通常のウレタン化反応において使用される、トリエチルアミン、N−エチルモルホリン、トリエチレンジアミン等のアミン系触媒や、ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジラウレート等の錫系触媒等が挙げられる。これらの触媒は、単独又は2種以上混合して使用してもよい。
【0028】
これら触媒の使用量は、反応時の固形分合計1000質量部に対して、通常、0.01〜10質量部の範囲内にあることが好適である。
【0029】
本発明において、塗料用樹脂組成物(A)の耐候性、耐水性及び耐アルカリ性を向上させるために、塗料用樹脂組成物(A)とイソシアネート基を有する化合物(B)とを反応させる際に、更に、水酸基及びラジカル重合性二重結合基を併せ有する化合物と、ラジカル重合性二重結合基を有する化合物と、を重合させて得られる重合体(D)を反応させて塗料用樹脂組成物(E)が得られる。
【0030】
水酸基及びラジカル重合性二重結合基を併せ有する化合物の例としては、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−4−ヒドロキシブチル、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸−4−ヒドロキシブチル、アクリル酸−2−ヒドロキシエチルやメタクリル酸−2−ヒドロキシエチルにε−カプロラクトンを付加重合させたものが挙げられる。具体例としては、ダイセル製プラクセルFA−1、同FA−2、同FA−3、同FM−1、同FM−2、同KM−3等が挙げられる。
【0031】
本発明におけるラジカル重合性二重結合基を有する化合物としては、アクリル酸及びアクリル酸エステル、メタクリル酸及びメタクリル酸エステル、ビニルエステル、ビニルエーテル、スチレン及びスチレン誘導体、アクリロニトリル等、ラジカル重合性基を有する化合物が挙げられる。
【0032】
アクリル酸エステルの具体例としては、例えば、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルへキシル等が挙げられる。
【0033】
メタクリル酸エステルの具体例としては、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸ターシャリーブチル、メタクリル酸−2−エチルへキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸グリシジルの酸付加物等が挙げられる。
【0034】
スチレン誘導体の具体例としては、例えば、メチルスチレン、ビニルトルエン等が挙げられる。
【0035】
本発明において、塗料用樹脂組成物(A)の耐候性、耐水性及び乾燥性を向上させるために、塗料用樹脂組成物(A)を分散剤とし、重合前は前記塗料用樹脂組成物(A)の溶液に溶解するが重合後は溶解しないラジカル重合性二重結合基を有する化合物を重合させて得られる分散体である塗料用樹脂組成物(F)が得られる。
【0036】
また、本発明において、塗料用樹脂組成物(C)の乾燥性を向上させるために、塗料用樹脂組成物(C)を分散剤とし、重合前は前記塗料用樹脂組成物(C)の溶液に溶解するが重合後は溶解しないラジカル重合性二重結合基を有する化合物を重合させて得られる分散体である塗料用樹脂組成物(G)が得られる。
【0037】
更に、本発明において、塗料用樹脂組成物(E)の乾燥性を向上させるために、塗料用樹脂組成物(E)を分散剤とし、重合前は前記塗料用樹脂組成物(E)の溶液に溶解するが重合後は溶解しないラジカル重合性二重結合基を有する化合物を重合させて得られる分散体である塗料用樹脂組成物(H)が得られる。
【0038】
これら重合における重合前は塗料用樹脂組成物の溶液に溶解するが重合後は溶解しないラジカル重合性二重結合基を有する化合物は、上記ラジカル重合性二重結合基を有する化合物と同様のものが使用できる。
【0039】
本発明の塗料用樹脂組成物は、それだけでもクリヤー塗料として使用可能ではあるが、塗料として各種機能を付与させるために、各種樹脂、ドライヤーやダレ防止剤等の一般的に塗料に用いられる添加剤を用いてもよい。更に、体質顔料、着色顔料、防錆顔料等の一般的に塗料に用いられる各種顔料を配合する場合は、顔料分散剤や沈降防止剤等の一般的に塗料に用いられる各種添加剤を配合するのが望ましい。
【0040】
本発明の塗料用樹脂組成物、もしくはそれを用いた塗料は、金属、コンクリート、木材、プラスチック、各種ボード類等の素材に適用でき、自然乾燥、もしくは加熱強制乾燥させることにより優れた塗膜を形成することが可能である。
【0041】
本発明の塗料用樹脂組成物を用いることで、長期にわたり耐水性、耐アルカリ性、耐候性に優れる塗膜が提供できる。
【実施例】
【0042】
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明する。なお、以下、「部」及び「%」はいずれも質量基準によるものとする。
【0043】
(1)樹脂組成物の調製
<製造例1>
攪拌機、温度計、分水器及び窒素ガス導入管を付けた反応容器に大豆油脂肪酸88部、イソフタル酸164部、トリメチロールプロパン148部を仕込み、窒素雰囲気下で220℃において、固形分酸価が40以下に達するまで反応させる。系内温度を150℃に冷却した後に、リノール酸、オレイン酸、リシノール酸及びステアリン酸の混合脂肪酸(商品名:ハイジエン、KFトレーディング製)96部、大豆油脂肪酸55部、キシレン20部を仕込み、窒素雰囲気下で220℃において反応させ、固形分酸価が10に達した時点で反応を終了し、冷却後溶剤としてミネラルスピリット480部にて希釈し、固形分が50%の目的とする樹脂溶液(1)を得た。
【0044】
<製造例2>
攪拌機、温度計、分水器及び窒素ガス導入管を付けた反応容器に大豆油脂肪酸85部、ハイジエン(KFトレーディング製)126部、ペンタエリスリトール39部、多塩基酸成分が主にイソフタル酸より成るポリエステル樹脂(商品名:ファインディックM−8230、DIC製)255部、水酸化リチウム0.05部、キシレン20部を仕込み、窒素雰囲気下で240℃において反応させ、固形分酸価が2に達した時点で反応を終了し、冷却後溶剤としてミネラルスピリット471部にて希釈し、固形分が50%の樹脂溶液(2)を得た。
【0045】
<製造例3>
攪拌機、温度計、分水器及び窒素ガス導入管を付けた反応容器に大豆油脂肪酸103部、イソフタル酸162部、ペンタエリスリトール44部、ネオペンチルグリコール117部を仕込み、窒素雰囲気下で220℃において、酸価が5以下に達するまで反応させる。系内温度を150℃に冷却した後に、ハイジエン(KFトレーディング製)95部、大豆油脂肪酸39部、キシレン20部を仕込み、窒素雰囲気下で220℃において反応させ、固形分酸価が3に達した時点で反応を終了し、冷却後溶剤としてミネラルスピリット489部にて希釈し、固形分が50%の樹脂溶液(3)を得た。
【0046】
<製造例4>
表1に示した製造例4の配合に従い、製造例2と同様の操作により固形分が50%の目的とする樹脂溶液(4)を得た。
【0047】
<製造例5>
攪拌機、温度計、冷却管、窒素ガス導入管を付けた反応容器に、ミネラルスピリット455部を仕込み105℃に保持する。予め調製しておいたメタクリル酸2−ヒドロキシエチル28部、メタクリル酸2−エチルヘキシル208部、メタクリル酸イソブチル156部、メタクリル酸シクロヘキシル82部及びアゾビスメチルブチロニトリル8部の混合物を、窒素雰囲気下で105℃を保持しながら3時間で均一滴下する。更にアゾビスメチルブチロニトリル3部を仕込み1時間105℃に保持し、ミネラルスピリット30部を仕込み、固形分が50%の目的とする樹脂溶液(5)を得た。
【0048】
<製造例6>
攪拌機、温度計、冷却管、窒素ガス導入管を付けた反応容器に、製造例3で得られた樹脂溶液(3)1000部、トリレンジイソシアネート(商品名:コロネートT−80、日本ポリウレタン製)33部、ジブチル錫ジラウレート0.1部、ミネラルスピリット33部を仕込み、120℃においてIRによりイソシアネート基が確認できなくなるまで反応させ、固形分が50%の目的とする樹脂溶液(6)を得た。
【0049】
<製造例7〜9>
表1に示した製造例7〜9の配合に従い、製造例6と同様の操作により固形分が50%の目的とする樹脂溶液(7)〜(9)を得た。
【0050】
<製造例10>
攪拌機、温度計、冷却管、窒素ガス導入管を付けた反応容器に、製造例3で得られた樹脂溶液(3)530部、ミネラルスピリット45部を仕込み103℃に保持する。予め調製しておいたスチレン35部、メタクリル酸メチル160部、アクリル酸2−ヒドロキシエチル45部及びt−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート5部の混合物を、窒素雰囲気下で103℃を保持しながら3時間で均一滴下する。更にt−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート5部を仕込み2時間103℃に保持し、ミネラルスピリット200部を仕込み、固形分が50%の目的とする樹脂分散体溶液(10)を得た。
【0051】
<製造例11>
表2に示した製造例11の配合に従い、製造例10と同様の操作により固形分が50%の目的とする樹脂分散体溶液(11)を得た。
【0052】
<製造例12>
攪拌機、温度計、冷却管、窒素ガス導入管を付けた反応容器に、製造例6で得られた樹脂溶液(6)605部、ミネラルスピリット45部を仕込み103℃に保持する。予め調製しておいたスチレン35部、メタクリル酸メチル160部、アクリル酸2−ヒドロキシエチル45部及びアゾビスメチルブチロニトリル5部の混合物を、窒素雰囲気下で103℃を保持しながら3時間で均一滴下する。更にアゾビスメチルブチロニトリル5部を仕込み1時間103℃に保持し、ミネラルスピリット200部を仕込み、固形分が50%の目的とする樹脂分散体溶液(12)を得た。
【0053】
<製造例13〜15>
表2に示した製造例13〜15の配合に従い、製造例12と同様の操作により固形分が50%の目的とする樹脂分散体溶液(13)〜(15)を得た。
【0054】
<製造例16>
攪拌機、温度計、冷却器、分水器及び窒素ガス導入管を付けた反応容器に大豆油脂肪酸268部、ペンタエリスリトール65部、トリメチロールプロパン52部、ネオペンチルグリコール43部、無水フタル酸170部及びキシレン20部を仕込み、窒素雰囲気下で240℃において反応させ、固形分酸価が12に達した時点で反応を終了し、冷却後溶剤としてミネラルスピリット540部にて希釈し、固形分が50%の目的とする樹脂溶液(16)を得た。
【0055】
<製造例17>
表1に示した製造例17の配合に従い、製造例16と同様の操作により固形分が50%の目的とする樹脂溶液(17)を得た。
【0056】
上記製造例1、2及び6〜17で得た各樹脂溶液及び各樹脂分散体溶液を用いて、表1及び表2に示した各実施例及び各比較例の塗料を得た。
【0057】
<実施例1>
上記樹脂溶液(1)を60部、ミネラルスピリット20部、顔料(カーボンブラック、ベンガラ、二酸化チタン及び沈降性硫酸バリウム)を25部、ナフテン酸コバルトとオクチル酸ジルコニウムとからなるドライヤーを1部、ダレ防止剤等の添加剤として4部により、実施例1の塗料を得た。
【0058】
<実施例2〜12>
上記実施例1と同様の方法を用い、実施例2〜12の塗料を得た。
【0059】
<比較例1及び2>
上記実施例1と同様の方法を用い、比較例1及び2の塗料を得た。
【0060】
(2)塗膜の評価方法・評価結果
<塗板作製条件>
ブリキ板(厚さ0.3mm)を用い、その表面をキシレンにて洗浄し、実施例1〜12及び比較例1,2で得た塗料をアプリケーター(6mil)にて塗布した。これを室温で2週間乾燥後各試験に用いた。なお、試験方法及び評価は、以下に基づき行った。
【0061】
<耐候性>
サンシャインウエザロメーターによって促進耐候性試験を行い、1000時間後の塗膜の変化を塗膜外観の変化で評価し、また鏡面光沢度(60°光沢)を測定し、初期60°光沢値と比較して光沢保持率により下記のように評価した。
◎:塗膜外観変化が軽微にあり、光沢保持率90%以上
○:塗膜外観変化があり、光沢保持率75%以上90%未満
×:塗膜変化が著しい、光沢保持率75%未満
【0062】
<耐水性>
塗板を水中に浸漬し20℃で7日間放置し、塗膜外観の異常を目視で判定した。
◎:変色、ツヤの低下がなく、異常がない
○:ツヤの低下があり、小さなフクレが発生している
×:全面にフクレが発生しているか又ははく離が発生している
【0063】
<耐アルカリ性>
塗板を飽和水酸化カルシウム水溶液中に浸漬し20℃で7日間放置し、塗膜外観の異常を目視で判定した。
◎:変色、ツヤの低下がなく、異常がない
○:ツヤの低下があり、小さなフクレが発生している
×:全面にフクレが発生しているか又ははく離が発生している
【0064】
<乾燥性>
ブリキ板(厚さ0.3mm)にアプリケーター(6mil)にて塗布し、20℃で4時間放置後に指触乾燥性を調べた
◎:全く指紋がつかない。
○:僅かに指紋がつく。
×:指紋がつく。
【0065】
酸価、固形分は以下の方法で測定した。
<酸価>
JIS−K−5601−2−1に準じて測定した。
<固形分>
JIS−K−5600−6−1に準じて測定した。
【0066】
【表1】

【0067】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
主成分として、乾性油、乾性油脂肪酸の一方又は両方と、ポリオールと、イソフタル酸とを含有しており、
直接重合、又は、多塩基酸成分が主にイソフタル酸より成るポリエステル樹脂のエステル交換反応により解重合させて得られることを特徴とする塗料用樹脂組成物(A)。
【請求項2】
前記塗料用樹脂組成物(A)とイソシアネート基を有する化合物(B)とを反応させて得られることを特徴とする塗料用樹脂組成物(C)。
【請求項3】
前記塗料用樹脂組成物(A)とイソシアネート基を有する化合物(B)とを反応させる際に、
更に、水酸基及びラジカル重合性二重結合基を併せ有する化合物と、ラジカル重合性二重結合基を有する化合物と、を重合させて得られる重合体(D)
を反応させて得られることを特徴とする塗料用樹脂組成物(E)。
【請求項4】
前記塗料用樹脂組成物(A)を分散剤とし、重合前は前記塗料用樹脂組成物(A)の溶液に溶解するが重合後は溶解しないラジカル重合性二重結合基を有する化合物を重合させて得られる分散体であることを特徴とする塗料用樹脂組成物(F)。
【請求項5】
前記塗料用樹脂組成物(C)を分散剤とし、重合前は前記塗料用樹脂組成物(C)の溶液に溶解するが重合後は溶解しないラジカル重合性二重結合基を有する化合物を重合させて得られる分散体であることを特徴とする塗料用樹脂組成物(G)。
【請求項6】
前記塗料用樹脂組成物(E)を分散剤とし、重合前は前記塗料用樹脂組成物(E)の溶液に溶解するが重合後は溶解しないラジカル重合性二重結合基を有する化合物を重合させて得られる分散体であることを特徴とする塗料用樹脂組成物(H)。

【公開番号】特開2012−72244(P2012−72244A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−217194(P2010−217194)
【出願日】平成22年9月28日(2010.9.28)
【出願人】(000003322)大日本塗料株式会社 (275)
【Fターム(参考)】