説明

塗料着色用簡易着色材料と着色塗料の調製方法

【課題】 塗装工事現場で作業者が特定の着色材料を着色される前の塗料に決められた量で投入し、混合するだけで、目的とする色調に正確に着色されている着色塗料を簡単かつ反復再現性良く調製することができる塗料着色用簡易着色材料を提供する。
【解決手段】 一定容量の容器に粉末状顔料組成物及びゲル状顔料組成物から選ばれる顔料組成物を収容してなる塗料着色用簡易着色材料。容器外面には、少なくとも色彩番号及び/又は着色塗料の仕上がり色彩が表示されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着色塗料調製用の投入型の簡易着色材料に関する。特に本発明は、塗料用の着色材料として用いられる各種の無機顔料又は有機顔料粉末の所定量又は該顔粉末の所定量を含有する分散液の所定量を容器に充填してなる投入型の塗料用着色材料と、該投入型の塗料用着色材料を使用した着色塗料の調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、工場において着色塗料を調製する場合、エマルション塗料を例にとると、ポリマーに可塑剤又は変性剤を混合してエマルションを形成し、一方、分散剤や湿潤剤、あわ消し剤、増粘剤水溶液等を水に溶解し、これに顔料を加えて練り込み分散して顔料ペーストを形成し、前記エマルションとこの顔料ペーストとを所定割合で混合し、混合物を濾過して着色エマルション塗料を調製するというような手順で着色塗料が製造されている(非特許文献1、非特許文献2)。
【非特許文献1】「塗料便覧」 塗料便覧編集委員会編集、昭和40年11月10日 日刊工業新聞社発行、第678頁、
【非特許文献2】「日本の塗料工業」平成17年版、社団法人 日本塗料工業会編、第8頁〜第9頁
【0003】
このような着色塗料の工場生産は、注文に応じた生産であることが一般的であり、しかも、塗装工事現場から工場に注文される着色塗料の数量は見込み量であるため、塗装工事現場では着色塗料の過不足が起こることが珍しくない。工事現場で着色塗料が不足した場合、現場と離れた工場での調色では、工事現場が要求している既に使用している着色塗料の色との差が生じないような細やかな対応を随時することは極めて難しい。
【0004】
一方、塗装工事現場で着色塗料を調製する作業は、ベースとなる着色する前の塗料に求められている色に応じて、単色の着色顔料の一種もしくは複数種を選択し、各着色顔料の粉末の必要量又は該顔料粉末の所定量を使用して着色顔料分散液を調製し、該着色顔料粉末又は着色顔料分散液を着色前の塗料と均一混合することにより、通常、一缶ごとに行われている。
【0005】
しかし、このような塗装工事現場での着色塗料の調製作業は、作業者の経験によって培われた感覚に依存する極めて熟練を要する作業であるため、単一の塗料缶中の着色塗料液を要求されている色調に正確に調色することや、塗料缶が複数にわたる場合には、各着色塗料缶間で色調に差のない塗料を調製することができる技術者の数は多くない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように、塗装工事現場における塗料の着色作業は、作業員の経験や感覚に左右されるので、常に一定の安定した色出しをすることが難しく、作業員によってはかなりの時間を必要とするし、一缶毎に塗料の着色をしなければならないため、缶同士で色のバラツキが発生する。このため、工事現場では、要求される高い調色精度に対応するために多大な労力と時間が割かれることとなっている。
【0007】
一方、着色塗料が余った場合、色のついている着色塗料は再利用しにくいことから返品や不良在庫となるが、この返品された着色製品や不良在庫の処分には多くの手間とコストがかかる。また、工事現場での作業によって発生する使用済み着色材料用の容器の処分にもコストや手間がかかり、ひどい場合には使用済み着色材料用容器の不法投棄に繋がる恐れもある。
また、塗料の着色に使用する顔料粉末分散液からなる着色材料の品質管理も難しく、品質が満たされていない着色材料を使用すると、色分かれやタッチアップ不良など、塗膜に支障をきたすことも多い。
【0008】
本発明は、工事現場で作業者が特定の着色材料を着色される前の塗料に決められた量で投入し、混合するだけで、目的とする色調に正確に着色されている着色塗料を簡単かつ反復再現性良く調製することができる顔料粉末又は顔料分散液を含有する塗料用着色材料を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための本願発明は以下の各発明を包含する。
(1)一定容量の容器に粉末状顔料組成物及びゲル状顔料組成物から選ばれる顔料組成物を収容してなる塗料着色用簡易着色材料。
【0010】
(2)容器外面に少なくとも色彩番号及び/又は着色塗料の仕上がり色彩が表示されている一定容量の容器に粉末状顔料組成物及びゲル状顔料組成物から選ばれる顔料組成物を収容してなる塗料着色用簡易着色材料。
【0011】
(3)前記ゲル状顔料組成物は、分散剤、湿潤剤、あわ消し剤、増粘剤から選ばれる一種もしくは複数種を含有する溶液に一種もしくは複数種の顔料を加えて均一に練り込み分散して調製されているゲル状顔料組成物である(1)又は(2)に記載の塗料着色用簡易着色材料。
【0012】
(4)前記容器は、容器外面に顔料組成物の収容量及び/又は顔料組成物の使用量を確認できる計量メモリが付与されており、収容されている顔料組成物を開閉可能な排出口より計量取り出しすることができる容器であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の塗料着色用簡易着色材料。
【0013】
(5)前記容器は、収容されている顔料組成物を容器外部から押圧して押出し投入することができる可撓性容器である(1)〜(4)のいずれかに記載の塗料着色用簡易着色材料。
【0014】
(6)前記容器は、顔料組成物を収納した状態で両開口端部が閉鎖されており、使用時に該閉鎖端部が引き裂き開封される透明チューブである(1)〜(4)のいずれかに記載の塗料着色用簡易着色材料。
【0015】
(7)前記容器は、容器壁上端縁に剥離可能に接着される蓋材で顔料組成物を収容した状態で閉鎖されるカップ型の容器である(1)〜(4)のいずれかに記載の塗料着色用簡易着色材料。
【0016】
(8)前記容器は、風船型の伸縮性容器である(1)〜(4)のいずれかに記載の塗料着色用簡易着色材料。
【0017】
(9)前記容器は、内面が防水性層で被覆されている矩形の紙製パックであり、上端面に易開封性の閉鎖開口が形成さている(1)〜(4)のいずれかに記載の塗料着色用簡易着色材料。
【0018】
(10)前記容器は、収容されている顔料組成物を定量排出できるポンプ付き容器である(1)〜(4)のいずれかに記載の塗料着色用簡易着色材料。
【0019】
(11)前記容器は、着色前の塗料液に溶解性の材料で形成されている投げ込み容器である(1)〜(4)のいずれかに記載の塗料着色用簡易着色材料。
【0020】
(12)前記着色前の塗料に溶解性の材料で形成されている投げ込み容器は、オブラート製容器であることを特徴とする(11)記載の塗料着色用簡易着色材料。
【0021】
(13)前記投げ込み容器は、粉末状顔料組成物を収納する水溶性セルロース製容器である(11)記載の塗料着色用簡易着色材料。
【0022】
(14)前記着色前の塗料に溶解性の材料で形成されている投げ込み容器は、保護容器内に収納されていることを特徴とする(11)〜(13)のいずれかに記載の塗料着色用簡易着色材料。
【0023】
(15)前記保護容器は、外面に色彩番号、仕上がり色彩、容量及びその他の塗料着色材料として必要な情報が表示されていることを特徴とする(14)記載の塗料着色用簡易着色材料。
【0024】
(16)前記(1)〜(15)のいずれかに記載の塗料着色用簡易着色材料の容器に収容されている粉末状顔料組成物及びゲル状顔料組成物から選ばれる顔料組成物を、該容器面に表示されている着色塗料の仕上がり色彩を発現する着色塗料を調製するために未着色塗料に投入し、均一に混合分散せしめることを特徴とする着色塗料の調製方法。
【0025】
(17)前記(11)〜(15)のいずれかに記載の塗料着色用簡易着色材料の容器に収容されている粉末状顔料組成物及びゲル状顔料組成物から選ばれる顔料組成物を、該容器に収容された状態のまま、該容器面に表示されている仕上がり色彩を発現する着色塗料を調製するために未着色塗料に投入し、容器を溶解させながら均一に混合分散せしめることを特徴とする着色塗料の調製方法。
【発明の効果】
【0026】
本発明の塗料着色用の簡易着色材料は、一定容量の容器に決められた色彩に調色できるように計量された顔料組成物を収容しており、収容顔料組成物の全部又は計量分割された一部を未着色塗料缶に投入した場合の塗料の仕上がり色彩が容器に表記されているので、経験の浅い作業者であっても要求される仕上がり色彩の着色塗料を容易に調製することが可能である。
【0027】
また、要求される仕上がり色彩にバラツキのない複数の塗料缶を調製することが容易であるので工事現場で必要な量を過不足なく供給することができ、塗料の無駄使いを避けることができる。
このような使い易さから、従来、調色に必要とされていた熟練作業者の確保に伴うコストを低減することができ、工事現場での調色作業時間をも大幅に短縮でき、さらに着色塗料の色の選択巾が大きく広がることとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本発明の塗料着色用簡易着色材料は、容器外面に少なくとも色彩番号及び/又は着色塗料の仕上がり色彩が表示されている一定容量の容器に粉末状顔料組成物及びゲル状顔料組成物から選ばれる顔料組成物を充填して構成されている。
【0029】
本発明で使用される顔料組成物としては、塗料の着色に通常使用されている顔料組成物であれば特に制限はなく、顔料を粉末状態で一種もしくは複数種含有する組成物や、顔料組成物用の水溶液や樹脂液に、一種もしくは複数種の顔料を加えて均一に練り込み分散して調製されているゲル状の顔料組成物が使用される。
【0030】
顔料組成物に使用できる粉末状着色顔料の例としては、チタン白、亜鉛華、カーボンブラック、モリブデートオレンジ、パーマネントレッド、べんがら、黄鉛、黄土、シアニンブルーなどの無機顔料や有機顔料の粉末が挙げられるが、特に限定はされない。
【0031】
本発明で使用される顔料組成物は、上記のような着色顔料に加えて、塗料着色用簡易着色材料の表示された色彩に影響を与えることのない範囲の種類及び量で、使用目的に応じてさび止め顔料、体質顔料、特殊機能顔料等を含有することができる。
【0032】
さび止め顔料の例としては、鉛丹、亜酸化鉛、亜鉛末、燐酸亜鉛、燐酸アルミニウム、モリブデン酸亜鉛、シアナミド鉛等が挙げられる。
また、体質顔料の例としては、クレー、タルク、炭酸カルシウム、硫酸バリウムなどが挙げられる。
その他の特殊顔料としては、アルミニウムペースト、ガラスビーズ、マイカ、亜酸化銅などが使用可能である。
【0033】
本発明の塗料着色用簡易着色材料に使用される顔料組成物がゲル状顔料組成物である場合、顔料粉末の分散液をゲル化するためには通常のゲル化剤、増粘剤、凝固剤、安定剤、粘性調整剤等が使用できる。
ゲル化剤の例としては、アルギン酸ナトリウム、メチルセルロース、クエン酸ナトリウム、乳酸カルシウム、ゼラチン、カラギナン、ペクチン、増粘多糖類等が挙げられる。
【0034】
上記顔料組成物の調製に使用できる増粘剤としては、アルギン酸ナトリウム、メチルセルロース、クエン酸ナトリウム、乳化カルシウム、ゼラチン、寒天、カラギーナン、ペクチン等が挙げられる。
凝固剤としては、硫酸カルシウム、塩化マグネシウム、デルタグルコノラクトン、塩化カルシウム、寒天等が使用可能である。
【0035】
安定剤としては、キサンタンガム、アラビアガム、ローカスト、アラビノラクトン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、プルラン、メチルセルロース等が挙げられる。
粘性調整剤としては、変性ウレア系、ポリエーテル系、ポリアクリル酸系等の有機系物質や、合成シリカ系、ベントナイト系、炭酸カルシウム系等の無機系物質が使用可能である。
【0036】
本発明の顔料組成物の調製に際しては、上記材料以外に、例えば、変性ウレア溶液、ポリエーテル誘導体、変性ポリアクリル酸塩等の水系塗料用添加剤や、水添加ひまし油、ベンジリデンソルビトール、アマイドワックス、高級アルコール、脂肪酸エステル等の溶剤系塗料用の各種添加剤を使用することができる。
【0037】
本発明の塗料着色用簡易着色材料に使用される顔料組成物を収容するための容器は、容器の外面に前記顔料組成物の種類、収容量、色彩番号、仕上がり色彩等、収容顔料組成物を、指定容量の未着色の塗料中に投入して均一に混合分散させた場合に得られる着色塗料の色彩が理解できる情報が表示されている。また、未着色塗料が少量である場合等に備えて、収容顔料組成物を分割利用できるように、計量メモリを付与することもできる。また、塗料着色用簡易着色材料が保護容器入りの場合は、保護容器外面にも上記の各種情報が表示されていることが好ましい。容器面に表示される色彩情報としては、決められた着色力及び容量をもつ白塗料に、簡易着色材料を投入したときに仕上がる色の色彩番号と仕上がり色彩(色見本)が必要である。
【0038】
容器の材質に特に制限はなく、プラスチック類、防水加工された紙類、セロハン、アルミニウム缶、ガラス瓶、ゴム製容器等、通常、飲食品を収容して販売されている水に不溶性の材料で製造されている容器が使用される。
また、塗料着色用簡易着色材料が、容器ごと塗料中に投げ込まれる形式のものである場合には、容器の材質は、塗料液に溶解性であって、着色塗料の品質に悪影響を与えないものが選択される。このような容器に使用される材料としては、オブラート、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等が挙げられる。
【0039】
容器は、中身の確認できる透明、または、半透明の素材が好ましいが限定されない。また、容器が蓋を有する容器である場合は、蓋は中身がこぼれないように密閉でき、かつ、人の手で容易に開けることができるものである。容器が取出し口を有するものである場合は、口が広く着色材の出し入れが速やかにかつ無駄なく行える形状であることが好ましい。さらに、使用した後の空容器は積み重ねることができる形状であると空き容器の管理、保管が容易であることから好ましい。
【0040】
また、前記したように、塗料に溶解性の容器に顔料組成物を収納した塗料着色用簡易着色材料を形成する場合、該顔料組成物収容容器を適当な保護容器内に収納した状態で保管することが好ましい。
保護容器は、収納する溶解性容器を変質させることがないものであれば、材質、形状等に特に制限はない。
【0041】
上記のように、塗料溶解性の容器に顔料組成物を収容した容器を保護容器に収納した構造の本発明の塗料着色用簡易着色材料の場合、顔料組成物を収容している内容器と、この内容器を保護する外容器の二重構造となっている。顔料組成物を入れる内容器は中身の顔料組成物が確認できる透明もしくは半透明なもので、白塗料にそのまま投入できる素材で形成されている。外容器は中が確認できる透明もしくは半透明なもので、かつ、内容器を保護できる丈夫さを備えており、繰り返し使用できる容器であることが望ましい。
【0042】
本発明の塗料着色用簡易着色材料は、決められた着色力及び容量をもつ白塗料(未着色塗料)に投入し、十分に撹拌することにより、容器面に表示された色を正確に、かつ簡単に発現させることができる。更に、本発明の塗料着色用簡易着色材料は、色や投入数量を選択することにより、任意の色やグラデーションを発現させることもできる。
【実施例】
【0043】
以下、実施例にしたがって本発明の塗料着色用簡易着色材料を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0044】
実施例1
80〜90℃の水52gに粉末状ゼラチン1gをダマが形成されないように徐々に添加して溶解させた。この水溶液に、「リオファースト720」オーカー 41.8g、「リオファースト760」ブラウン 1.9g、「リオファースト790」ブラック 3.9g(いずれも東洋インキ製造株式会社製)からなる30〜40℃に加温した液体着色顔料を加えて良く攪拌して顔料分散液を調製した。
【0045】
別に、ポリエチレン製カップ型容器を用意し、そのポリエチレン製容器の外面に適用対象塗料の種類(白色塗料 16kg缶用)、顔料ペースト収容量(100g)、色彩番号(1.28Y 8.73/1.48)、色見本、を表示したラベルを貼付した。
このカップ型容器に、前記顔料分散液を蓋材に表示した収容量充填し、蓋材を装着した。この容器を5℃の雰囲気下で3時間冷却し、プリン状の着色顔料組成物入りの図1に示す容器からなる本発明の塗料着色用簡易着色材料を作製した。
【0046】
この容器の蓋材を取り除き、収容しているプリン状の顔料ペーストを白塗料(「ダイヤ着色仕上材E」恒和化学工業株式会社製、白色)16kg缶中に投入して攪拌機で混合して着色塗料を調製した。
この塗料を白色板面に塗布して乾燥後に蓋材に表示している色彩と比較した結果、容器外面に表示の色見本とほぼ同一色彩の着色塗料が得られた。
【0047】
実施例2
実施例1と同様に調製した顔料分散液を5℃に冷却してプリン状の顔料ペーストを調製し、これをオブラートで包み込んでボール状の塗料着色用簡易着色材料を作製した。
このボール状塗料着色用簡易着色材料を、中心部で2分割した形状のボール状ポリエチレン製保護容器であって、その外面に実施例1の容器の蓋材と同様の情報を表示している容器内に収納し、図2に示すように2分割した保護容器を一体化して閉鎖し、保護容器入りのボール状塗料着色用簡易着色材料を作成した。
【0048】
この保護容器を開封し、収納されているオブラート包装されているボール状の塗料着色用簡易着色材料を、実施例1で使用したものと同様の白塗料16kg缶中にオブラート包装状態のまま投入して攪拌機で攪拌混合してエマルション塗料を調製した。オブラートは、攪拌混合の際にエマルション中に溶解し消滅した。
この塗料を白色板面に塗布して乾燥後に蓋材に表示している色彩と比較した結果、蓋材表示の色見本とほぼ同一色彩が得られた。
【0049】
実施例3
液体着色顔料(「リオファースト760」東洋インキ製造株式会社製、ブラウン)100gに、変性ウレア溶液(「BYK−420」ビッグケミー・ジャパンン株式会社製)1gを加え、1200rpmで良く攪拌して均一分散液とした。この分散液を、実施例1で使用したものと同一の容器の内面に離型剤を塗布した後充填し、20℃の雰囲気下で1時間放置し、ゲル状の着色顔料組成物入り容器からなる本発明の塗料着色用簡易着色材料を作製した。
【0050】
この容器の蓋材を取り除き、収容しているゲル状の顔料ペーストを白塗料(「ダイヤ着色仕上材E」恒和化学工業株式会社製、白色)16kg缶中に投入して攪拌機で混合して着色塗料を調製した。容器内のゲル状の顔料ペーストは離型剤により容器内壁に付着残存することなく、全量投入された。
この塗料を白色板面に塗布して乾燥後に蓋材に表示している色見本と比較した結果、蓋材表示の色彩とほぼ同一色彩が得られた。
【0051】
実施例4
沸騰水80gに寒天1gを添加して2〜3分で溶解させた。この水溶液に総量が100gとなるように水を加えてあら熱をとり、これに液体着色顔料(「リオファースト760」東洋インキ製造株式会社製、ブラウン)100gを加えて良く攪拌して顔料分散液を調製した。
実施例1の容器に表示した情報と同様の情報を容器外面に表示した容器として、図3の形状・構造のへら付きカップ型容器を使用し、この容器に上記顔料分散液を流し込み、20℃の雰囲気下に8時間放置してプリン状の着色顔料組成物を収容している実施例4の塗料着色用簡易着色材料を作製した。容器形状と、該容器から顔料ペーストを塗料缶に投入する手順とを図3に示した。
【0052】
この容器の蓋を開封し、収容しているプリン状の顔料ペーストを白塗料(「ダイヤ着色仕上材E」恒和化学工業株式会社製、白色)16kg缶中に投入して攪拌機で混合して着色塗料を調製した。
この塗料を白色板面に塗布して乾燥後に蓋材に表示している色見本と比較した結果、蓋材表示の色見本とほぼ同一色彩が得られた。
【0053】
実施例5
実施例1で使用したものと同一の顔料に、増粘多糖類としてカラギナン(商品名「セレクションアガー」 有限会社 私の台所ES社製)8gを水50gに溶かして混合し、攪拌して顔料ペーストを調製した。この顔料ペーストをカップ型容器の内面に薄力粉を塗布した後に充填し、その後、エマルション塗料中に投入した。
顔料ペーストは、カップ型容器からきれいに剥離し、塗料中に投入した後は簡単な攪拌だけでエマルション塗料中に均一に分散して着色エマルション塗料を形成することができた。
この塗料を白色板面に塗布して乾燥後に容器に表示している色見本と比較した結果、色見本とほぼ同一色彩が得られた。
【0054】
実施例6
黄土(「バイフェロックス3910−9」バイエル株式会社製)90g、鉄黒(「バイフェロックス306」バイエル株式会社製)36g、ベンガラ(「ベンガラB−20」日本弁柄工業株式会社製)36gからなる顔料粉末の混合物を、実施例1と同様の情報を外壁部に表示しているステック状容器に充填して実施例6の塗料着色用簡易着色材料を作製した。該容器形状と、該容器から顔料粉末を塗料缶に投入する手順とを図4に示した。
この塗料を白色板面に塗布して乾燥後に容器に表示している色見本と比較した結果、蓋材表示の色見本とほぼ同一色彩が得られた。
【0055】
実施例7
実施例1で調製した顔料ペーストを使用し、実施例1の容器蓋材に表示した情報と同様の情報を容器外面に表示した容器として、図5の形状・構造のゴム素材からなる風船型容器を使用して実施例7の塗料着色用簡易着色材料を作製した。該容器形状と、容器から顔料ペーストを塗料缶に投入する手順とを図5に示した。
顔料ペーストは、風船型容器を針で突き破ることによって塗料缶内に簡単に投入して着色塗料を調製することができた。
この塗料を白色板面に塗布して乾燥後に容器に表示している色見本と比較した結果、蓋材表示の色見本とほぼ同一色彩が得られた。
【0056】
実施例8
実施例1で調製した顔料ペーストを使用し、実施例1の容器に表示した情報と同様の情報を容器外面に表示した容器として、内面が防水ラミネート加工されている図6に示す形状・構造の紙製パック型容器を使用して実施例8の塗料着色用簡易着色材料を作製した。
該容器形状と、該容器から顔料ペーストを塗料缶に投入する手順とを図6に示した。
【0057】
実施例9
実施例1で調製した顔料ペーストを使用し、実施例1の容器に表示した情報と同様の情報を容器外面に表示した容器として、チューブの底部側外周にクリップが装着されているチューブ型容器内を使用して図7に示す形状・構造の実施例9の塗料着色用簡易着色材料を作製した。該容器形状と、該容器から顔料ペーストを塗料缶に投入する手順とを図7に示した。この容器は、クリップを底部から上方に向ってスライドさせることにより容器内の顔料ペーストを残すことなく完全に排出することができた。
【0058】
実施例10
実施例1で調製した顔料ペーストを使用し、実施例1の容器に表示した情報と同様の情報を容器外面に表示した容器として、ポンプ押出し型容器を使用して図8に示す形状・構造の実施例10の塗料着色用簡易着色材料を作製した。該容器形状と、該容器から顔料ペーストを塗料缶に投入する手順とを図8に示した。この容器はポンプによる排出による顔料組成物の収納量の減少に伴って容器底部が上方に向ってスライドするので、収容着色剤を無駄なく使い切ることができた。
【0059】
各実施例から明らかなように、本発明の塗料着色用簡易着色材料は、容器内に収容されている顔料組成物をそのまま未着色塗料に投入し、混合するだけで容器に表示されている色彩情報通りの色彩を発現する着色塗料を調製することができるので、塗装工事現場において必要な着色塗料を必要量だけ熟練を要することなく提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】塗料着色用簡易着色材料のカップ型容器の形状と白色塗料への投入手順を示す図。
【図2】保護容器入りのボール状塗料着色用簡易着色材料の容器形状と塗料への投入手順を示す図。
【図3】へら付きカップ型容器入りの塗料着色用簡易着色材料の容器形状と白色塗料への投入手順を示す図。
【図4】スティック型容器に粉末顔料を収納した塗料着色用簡易着色材料の容器形状と白色塗料への投入手順を示す図。
【図5】風船型容器入りの塗料着色用簡易着色材料の容器形状と白色塗料への投入手順を示す図。
【図6】紙製パック型容器入りの塗料着色用簡易着色材料の容器形状と白色塗料への投入手順を示す図。
【図7】チューブ型容器入りの塗料着色用簡易着色材料の容器形状と白色塗料への投入手順を示す図。
【図8】ポンプ押出し型容器入りの塗料着色用簡易着色材料の容器形状と白色塗料への投入手順を示す図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一定容量の容器に粉末状顔料組成物及びゲル状顔料組成物から選ばれる顔料組成物を収容してなる塗料着色用簡易着色材料。
【請求項2】
容器外面に少なくとも色彩番号及び/又は着色塗料の仕上がり色彩が表示されている一定容量の容器に粉末状顔料組成物及びゲル状顔料組成物から選ばれる顔料組成物を収容してなる塗料着色用簡易着色材料。
【請求項3】
前記ゲル状顔料組成物は、ゲル化剤、分散剤、湿潤剤、あわ消し剤、増粘剤から選ばれる一種もしくは複数種を含有する溶液に一種もしくは複数種の顔料を加えて均一に練り込み分散して調製されているゲル状顔料組成物である請求項1又は請求項2に記載の塗料着色用簡易着色材料。
【請求項4】
前記容器は、容器外面に顔料組成物の収容量及び/又は顔料組成物の使用量を確認できる計量メモリが付与されており、収容されている顔料組成物を開閉可能な排出口より計量取り出しすることができる容器であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の塗料着色用簡易着色材料。
【請求項5】
前記容器は、着色前の塗料液に溶解性の材料で形成されている投げ込み容器である請求項1〜請求項3のいずれかに記載の塗料着色用簡易着色材料。
【請求項6】
前記着色前の塗料に溶解性の材料で形成されている投げ込み容器は、さらに保護容器内に収納されていることを特徴とする請求項5記載の塗料着色用簡易着色材料。
【請求項7】
前記請求項1〜4のいずれかに記載の塗料着色用簡易着色材料の容器に収容されている粉末状顔料組成物及びゲル状顔料組成物から選ばれる顔料組成物を、該容器面に表示されている仕上がり色彩を発現する着色塗料を調製するために未着色塗料に投入し、均一に混合分散せしめることを特徴とする着色塗料の調製方法。
【請求項8】
前記請求項5又は6に記載の塗料着色用簡易着色材料の容器に収容されている粉末状顔料組成物及びゲル状顔料組成物から選ばれる顔料組成物を、該容器に収容された状態のまま、該容器面に表示されている仕上がり色彩を発現する着色塗料を調製するために未着色塗料に投入し、容器を溶解させながら均一に混合分散せしめることを特徴とする着色塗料の調製方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−342302(P2006−342302A)
【公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−171204(P2005−171204)
【出願日】平成17年6月10日(2005.6.10)
【出願人】(591137086)恒和化学工業株式会社 (13)
【Fターム(参考)】