Notice: Undefined variable: fterm_desc_sub in /mnt/www/biblio_conv.php on line 353
塗料組成物、ガスバリア性フィルム及びガスバリア性フィルムの製造方法
説明

塗料組成物、ガスバリア性フィルム及びガスバリア性フィルムの製造方法

【課題】ガスバリア層を形成するための塗料用組成物材料として使用されたことの無い特有のヒドロキシウレタン樹脂を使用することで、簡易な方法で、湿度に対するガスバリア性の変化が少なく、焼却処分時に有害ガスが発生することが無く、更に環境負荷そのものの低減を可能としたガスバリア性フィルムを実現し得る技術の提供。
【解決手段】ガスバリア層を形成するための塗料組成物で、該ガスバリア層が、2つ以上の五員環環状カーボネート基を有する下記一般式(1)で示される化合物と、2つ以上のアミノ基を有する化合物とを、官能基当量比0.8〜1.25で反応させてなるヒドロキシポリウレタン樹脂を主成分として形成されるように構成した塗料組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスバリア性を示すガスバリア層を形成するための塗料組成物、該塗料組成物を用いたガスバリア性フィルム及びガスバリア性フィルムの製造方法に関する。さらに詳しくは、酸素ガスバリア性を利用した食品や医薬品などの包装材料として、防食やガスバリア性付与を目的とするガスバリア層を形成するための塗装用などの広い産業分野に利用でき、さらに、その原材料に二酸化炭素を使用することができるため、得られるガスバリア層が二酸化炭素を高濃度で含むものとなることから、既存の材料と比較して環境問題の対応にも優れたガスバリア性フィルムを提供できる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ガスバリア材料及びそれを用いた包装材はすでによく知られている。最も優れた酸素ガスバリア性を有する材料としては、アルミ蒸着フィルムが挙げられる。しかし、該フィルムは不透明であるため、内容物が見えないことなどの問題点がある。
【0003】
その他のガスバリア材料としては、ポリ塩化ビニリデン又は塩化ビニリデン共重合体(以下、PVDCという。)がよく知られており、そのコーティングフィルムは、酸素及び水蒸気のバリア性の高い積層フィルムとして広く使われている。PVDCは、吸湿性は殆どなく、高湿度下でも良好なガスバリア性を有するため、透湿度に関係なく種々のコーティング用の基材フィルムが使用される。そして、ラミネートされたフィルムは、乾燥物・含水物を問わず、種々の食品のガスバリア包装材料として利用されている。これらの包装材料は、利用された後、家庭からは一般廃棄物として廃棄されるが、PVDCは燃焼により有害なガスを生じ、さらには低温での焼却により発ガン性の強いとされている有機塩素化合物を発生させる原因ともなっている。このことから、他の材料への移行が強く望まれている。
【0004】
有機塩素化合物を発生させない他のガスバリア材料として、ポリビニルアルコール(PVA)系フィルムもよく知られている。PVAフィルムは、湿度が低い状態では、非常に優れた酸素ガスバリア性を有するフィルムであるが、吸湿性が大きく、相対湿度が60%を超えると、酸素ガスバリア性は急激に悪化し、実用性に乏しいと考えられている。
【0005】
また、エポキシ樹脂を用いた塗料用組成物に関して、組成物中のアミン窒素含有率を高くすることにより酸素や二酸化炭素などに対するガスバリア性を向上させる方法が提案されている(特許文献1及び2)。しかしながら、これらの塗料用組成物は、そのバリア性が著しく高いものではなく、また、高湿度条件下でのバリア性が高いものではないことから、さらなる改良が望まれる。また、エポキシ樹脂組成物は、ガスバリア性、接着性、耐薬品性は良好な性能を発現してはいるものの、ポリアミンとエポキシ樹脂の反応性が高いために、そのエポキシ樹脂組成物はポットライフが短く、作業性が悪いという欠点もある。
【0006】
また、ガスバリア性を有するポリウレタン樹脂及びこれを含むガスバリアフィルム(特許文献3参照。)、ポリウレタン系熱可塑性エラストマーを用いたガスバリア性積層延伸フィルム(特許文献4参照。)が提案されている。しかし、これらはいずれも熱可塑性樹脂であることから、塗料用組成物には適していない。さらに、これらの樹脂は、基材との接着性までは有していないことから、ガスバリア性が要求される食品や医薬品などの包装材料に用いられる際には、従来の通常フィルムにこれらのガスバリアフィルム層を積層し、なおかつガスバリアフィルム層の両面に新たな接着剤の塗布が必要となってしまう。このため、上記した材料は、積層フィルムの製造コストやラミネートにおける作業工程で不利を被るばかりでなく、昨今問題視されている廃棄物の増大化による環境への影響が懸念される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特公平7−91367号公報
【特許文献2】特公平7−91368号公報
【特許文献3】特開2001−98047号公報
【特許文献4】特開平7−112518号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って本発明の目的は、これら従来技術の欠点を克服するために、ガスバリア性を示すガスバリア層を形成するための塗料用組成物材料として従来は使用されたことの無かったヒドロキシウレタン樹脂を使用することで、特に、塗布し硬化させるといった簡易な方法によって、湿度に対するガスバリア性の変化が少なく、焼却処分時に有害ガスが発生することが無く、より好ましくは、さらに環境負荷そのものの低減が可能なガスバリア性フィルムの提供、該ガスバリア性フィルムを実現し得る塗料組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題は本発明によって解決される。すなわち本発明は、ガスバリア性を示すガスバリア層を形成するための塗料組成物であって、該ガスバリア層が、少なくとも2つ以上の五員環環状カーボネート基を有する下記一般式(1)で示される化合物(成分A)と、少なくとも2つ以上のアミノ基を有する化合物(成分B)とを、下記式で定義される官能基当量比0.8〜1.25で反応させてなるヒドロキシポリウレタン樹脂を主成分として形成されるように構成したことを特徴とする塗料組成物を提供する。

(一般式(1)中、Xは、O、N又はNR2のいずれかを表し、該R2は水素または炭素数1〜3のアルキル基であり、aは、XがO又はNR2の場合は1であり、XがNの場合は2である。bは、a×b=2以上となる1以上の整数である。一般式(1)中、R1は、脂肪族炭化水素か芳香族炭化水素であり、かつ、その構造中に、O及び/又はNを含んでもよい。)

(上記式中の官能基数とは、カーボネート化合物とアミン化合物がそれぞれの1分子中に有する環状カーボネート構造またはアミノ基の個数である。)
【0010】
本発明の好ましい形態としては、前記五員環環状カーボネート基中の−CO−O−結合の形成原料に二酸化炭素が用いられており、組成物によって形成されるガスバリア層中に、該二酸化炭素に由来する二酸化炭素が1〜30質量%含まれることとなること;前記アミノ基を有する化合物(成分B)が、メタキシレンジアミン又は1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンの少なくともどちらか一方を含むことが挙げられる。
【0011】
本発明は、別の実施形態として、上記の塗料組成物によって形成されたガスバリア層を有する単独層或いは多層からなるガスバリア性フィルムであって、その厚みが0.1〜200μmであり、かつ、上記ガスバリア層の酸素透過率が、温度23℃の条件で、0%〜90%のいずれの湿度下においても50ml/m2・24h・atm以下であることを特徴とするガスバリア性フィルムを提供する。
【0012】
本発明は、別の実施形態として、少なくとも1つの層がガスバリア性を示すガスバリア層である単独層或いは多層からなるガスバリア性フィルムの製造方法であって、少なくとも2つ以上の五員環環状カーボネート基を有する下記一般式(1)で示される化合物(成分A)と、少なくとも2つ以上のアミノ基を有する化合物(成分B)とが、下記式で定義される官能基当量比0.8〜1.25で反応してヒドロキシポリウレタン樹脂となる塗料組成物を、基材表面又は離型紙表面に塗布し、その後、必要に応じて加熱することでガスバリア層を形成することを特徴とするガスバリア性フィルムの製造方法を提供する。

(一般式(1)中、Xは、O、N又はNR2のいずれかを表し、該R2は水素または炭素数1〜3のアルキル基であり、aは、XがO又はNR2の場合は1であり、XがNの場合は2である。bは、a×b=2以上となる1以上の整数である。一般式(1)中、R1は、脂肪族炭化水素か芳香族炭化水素であり、かつ、その構造中に、O及び/又はNを含んでもよい。)

(上記式中の官能基数とは、カーボネート化合物とアミン化合物がそれぞれの1分子中に有する環状カーボネート構造またはアミノ基の個数である。)
【0013】
本発明の好ましい形態としては、前記アミノ基を有する化合物(成分B)が、メタキシレンジアミン又は1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンの少なくともどちらか一方を含むことが挙げられる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、二酸化炭素を原料の一つとして合成できるヒドロキシポリウレタン樹脂を主成分とするガスバリア層を形成できる塗料組成物が提供され、該ガスバリア層は、該組成物を塗布し硬化させる簡易な方法で形成することができ、しかも形成されたガスバリア層は、湿度の依存性が少なく、かつ、高いバリア性を有するものとなるので、各種用途に使用可能な有用なガスバリア性フィルムの提供を可能とする。また、該ガスバリア層であるポリヒドロキシウレタン層は、環状カーボネート化合物とアミン化合物とを含む塗料組成物を塗布し、硬化させる簡易な方法で形成されるため、各種基材への適用が可能であり、種々の基材の表面改質を可能とする。さらに、本発明によって提供される塗料組成物は、原料として二酸化炭素を利用することができることから、省資源、環境保護に資する技術の提供を可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】製造例1で用いた原料のMY0510の赤外吸収スペクトルを示す図。
【図2】製造例1で得られたA−Iの赤外吸収スペクトルを示す図。
【図3】製造例1で用いた原料のMY0510の微分分子量分布を示す図。
【図4】製造例1で得られた物質の微分分子量分布を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、発明を実施するための最良の形態を上げて本発明を更に詳細に説明する。本発明の塗料組成物は、少なくとも2つ以上の五員環環状カーボネート基を有する下記一般式(1)で示される化合物(成分A)と、少なくとも2つ以上のアミノ基を有する化合物(成分B)とが、官能基当量比0.8〜1.25で反応して、ヒドロキシポリウレタン樹脂を主成分とするガスバリア層が形成されるものであることを特徴とする。

(一般式(1)中、Xは、O、N又はNR2のいずれかを表し、該R2は水素または炭素数1〜3のアルキル基であり、aは、XがO又はNR2の場合は1であり、XがNの場合は2である。bは、a×b=2以上となる1以上の整数である。一般式(1)中、R1は、脂肪族炭化水素か芳香族炭化水素であり、かつ、その構造中に、O及び/又はNを含んでもよい。)
【0017】
以下、本発明を特徴づけるヒドロキシポリウレタン樹脂について説明する。上記した通り、ヒドロキシポリウレタン樹脂は、上記一般式(1)で示される少なくとも2つ以上の五員環環状カーボネート基を有する環状カーボネート化合物(成分A)(以下、単に環状カーボネート化合物と呼ぶ)と、少なくとも2つ以上のアミノ基を有する化合物(成分B)とを、官能基当量比0.8〜1.25の範囲で反応させることによって得られる。すなわち、本発明を特徴づけるガスバリア層は、特有の成分Aと成分Bとを反応して得られるヒドロキシポリウレタン樹脂を主成分としてなるが、該バリア層を構成する皮膜形成の基本となる反応は、環状カーボネート基1基とアミノ基1基が反応するものであり、成分A及び成分Bの反応比率はそれぞれの化合物中に含まれるカーボネート基とアミノ基の相対比が1.0(等量)であることが最も基本的な塗膜形成条件である。しかし、両者の相対比率は必ずしも1.0である必要はなく、どちらかが過剰の状態においても皮膜を形成することができ、両成分の相対比率を下記で述べる官能基当量と定義した場合、皮膜形成が良好に行える範囲としては、官能基当量比で0.8〜1.25である。
【0018】
本発明における官能基当量比とは、官能基のモル当量比と同様の概念であり、下記式で算出されるものである。また、環状カーボネート化合物或いはアミン化合物を2種類以上使用した場合の算出方法は、分子及び分母のそれぞれの化合物の質量を全化合物の質量の合計値とし、分子量及び官能基数を全組成物の加重平均値にすることにより算出される。なお、下記式中の官能基数とは、環状カーボネート化合物とアミン化合物がそれぞれの1分子中に有する環状カーボネート構造またはアミノ基の個数である。具体的な算出方法については、後述する。
【0019】

【0020】
本発明を特徴づける上記した環状カーボネート化合物は、エポキシ化合物と二酸化炭素との反応によって得られたものであることが好ましく、具体的には下記のようにして得られる。例えば、原材料であるエポキシ化合物を、触媒の存在下、0℃〜160℃の温度にて、大気圧〜1MPa程度に加圧した二酸化炭素雰囲気下で4〜24時間反応させる。この結果、二酸化炭素を、エステル部位に固定化した環状カーボネート化合物を得ることができる。
【0021】

【0022】
上記したようにして二酸化炭素を原料として合成された環状カーボネート化合物を使用することで、本発明の樹脂組成物により形成されたヒドロキシポリウレタン樹脂を主成分とするガスバリア層は、該層中に二酸化炭素が固定化された−O−CO−結合を有したものとなる。二酸化炭素由来の−O−CO−結合(二酸化炭素の固定化量)を有する環状カーボネート化合物を用いることによって、本発明の塗料組成物により形成されたガスバリア層中には、1〜30質量%の範囲で二酸化炭素を含有させることができる。二酸化炭素の有効利用の立場からは、二酸化炭素の含有量ができるだけ高くなる方がよい。
【0023】
先に述べたエポキシ化合物と二酸化炭素とから環状カーボネート化合物を得る反応に使用される触媒としては、塩化リチウム、臭化リチウム、ヨウ化リチウム、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウムなどのハロゲン化塩類や、4級アンモニウム塩が好ましいものとして挙げられる。その使用量は、原料のエポキシ化合物100質量部当たり1〜50質量部、好ましくは1〜20質量部である。また、これら触媒となる塩類の溶解性を向上させるために、トリフェニルホスフィンなどを同時に使用してもよい。
【0024】
エポキシ化合物と二酸化炭素との反応は、有機溶剤の存在下で行うこともできる。この際に用いる有機溶剤としては、前述の触媒を溶解するものであれば使用可能である。具体的には、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンなどのアミド系溶剤、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのアルコール系溶剤、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶剤が、好ましい有機溶剤として挙げられる。
【0025】
本発明に使用可能な環状カーボネート化合物の構造には特に制限がなく、一分子中に2つ以上の環状カーボネート基を有するものであれば使用可能である。より好ましくは、環状カーボネート基が3つ以上ある化合物を用いると、硬化皮膜の形成時間を短くすることができる点で工業的に有利である。また、常温で液状の化合物であれば、溶剤を使用せずに本発明の塗料組成物を作成することが容易となるので好ましい。
【0026】
環状カーボネート基が結合する化合物の主骨格としては、例えば、芳香族骨格を持つものや、脂肪族系、脂環式系、複素環式のいずれの環状カーボネートも使用可能である。また、主骨格と環状カーボネート基の結合部分の構造は、エーテル結合、エステル結合、3級アミン結合のいずれの構造でも使用可能である。以下に、本発明に使用可能な化合物を例示する。
【0027】
本発明で使用し得る脂肪族骨格を持つ環状カーボネート化合物としては、以下に挙げるような化合物が例示される。
【0028】

【0029】

【0030】

【0031】

【0032】

【0033】
本発明で使用し得る芳香族骨格を持つ環状カーボネート化合物としては、以下に挙げるような化合物が例示される。

【0034】

【0035】

【0036】

【0037】

【0038】

【0039】

【0040】
本発明の塗料組成物に使用し得る脂環式系、複素環式系の環状カーボネート化合物としては、以下に挙げるような化合物が例示される。
【0041】

【0042】

【0043】

【0044】

【0045】
本発明に使用されるこれら環状カーボネート化合物が、先に述べたようにエポキシ化合物から合成される場合、二酸化炭素の固定化反応が不十分で、一部にエポキシ基が残存する化合物や、原材料であるエポキシ化合物が混在した状態で得られる場合があると考えられる。しかし、本発明の塗料組成物では、エポキシ化合物が混在した状態の環状カーボネート化合物であっても使用することが可能であり、更には、原材料であるエポキシ化合物を後から添加して塗料組成物としたものであっても、良好なガスバリア層を形成し得るものとなる。しかし、この場合は、塗料組成物中のエポキシ化合物の量が増えることで形成するガスバリア層に固定される二酸化炭素の固定化量が低下することが生じるので、環状カーボネート化合物の割合が、エポキシ化合物との総量に対して質量で50%以上であることが好ましい。
【0046】
上記した環状カーボネート化合物とともに用いられる、本発明を特徴づけるポリヒドロキシウレタン樹脂の構成成分であるアミン化合物としては、従来公知のいずれのものも使用できる。好ましいものとして、例えば、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,6−ジアミノへキサン、1,8−ジアミノオクタン、1,10−ジアミノデカン、1,12−ジアミノドデカンなどの鎖状脂肪族ポリアミン、イソホロンジアミン、ノルボルナンジアミン、1,6−シクロヘキサンジアミン、ピペラジン、2,5−ジアミノピリジン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンなどの環状脂肪族ポリアミン、キシリレンジアミンなどの芳香環を持つ脂肪族ポリアミン、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタンなどの芳香族ポリアミンが挙げられる。また、これらの化合物のエチレンオキサイド付加体やプロピレンオキサイド付加体も好ましい化合物としてあげられる。中でも特に好ましい化合物は、メタキシレンジアミンか1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンである。
【0047】
本発明の塗料組成物は、上記したような環状カーボネート化合物とアミン化合物との反応により得られるヒドロキシポリウレタン樹脂を主成分とするガスバリア層を形成できるものであることを特徴としているが、該ポリヒドロキシウレタン樹脂は、成分A中の五員環環状カーボネート構造(本発明ではこれを五員環環状カーボネート基と呼ぶが、以下、単にカーボネート基とも称する)カーボネート基と成分B中のアミノ基が以下に示す付加反応を起こすことにより生成される。
【0048】

【0049】
上記式に示すように、本発明を特徴づけるヒドロキシポリウレタン樹脂は、カーボネート基とアミノ基との付加反応によって生成された、ウレタン結合と、これに近接した水酸基とを含む、2種類のヒドロキシウレタン構造の少なくともいずれかを有するものである。そして、これらのヒドロキシウレタン構造部が、該ヒドロキシポリウレタン樹脂によって形成される皮膜がガスバリア性を有する上での重要な部分になる。具体的には、その構造中の水酸基が分子間で水素結合を持つことにより分子鎖の動きが抑制され、皮膜はガスバリア性を示すものとなると考えられる。このような化学構造は、通常のポリウレタン製造方法であるイソシアネート化合物とポリオール化合物の反応では得られない構造であり、この点が本発明を特徴づけるものであるといえる。
【0050】
上記に説明したように、本発明の塗料組成物を用いることで、本発明を特徴づけるヒドロキシポリウレタン樹脂によって形成されたガスバリア層を有する単独層或いは多層からなるガスバリア性フィルムの提供が可能になる。該ガスバリア性フィルムは、そのガスバリア層の厚みが0.1〜200μmであり、かつ、該層の酸素透過率が、温度23℃の条件で、0%〜90%のいずれの湿度下においても50ml/m2・24h・atm以下の、高いガスバリア性を実現したものとなる。
【0051】
本発明の塗料組成物によって形成されるヒドロキシウレタン樹脂からなるガスバリア層(以下、ポリヒドロキシウレタン層とも呼ぶ)は、必要に応じて添加剤が含有されてなり、該添加剤によって、ポリヒドロキシウレタン層に別の機能を付与させるようにしてもよい。したがって、本発明の塗料組成物には、例えば、酸化防止剤(ヒンダードフェノール系、ホスファイト系、チオエーテル系など)、光安定剤(ヒンダードアミン系など)、紫外線吸収剤(ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系など)、ガス変色安定剤(ヒドラジン系など)、加水分解防止剤(カルボジイミドなど)、金属不活性剤などを単独で、或いは、これらを2種類以上併用することができる。
【0052】
上記したポリヒドロキシウレタン層は、バリア性を損なわない範囲で他の樹脂が混合された樹脂層であってもよく、したがって、本発明の塗料組成物に、ヒドロキシウレタン樹脂とは別の樹脂が含有されていてもよい。この場合の樹脂は特に限定されるものではなく、例えば、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、スチレン系エラストマー(SBS、SEBS、マレイン酸変性SEBS等)、オレフィン系エラストマー(EPR、EPDM等)、スチレン系樹脂(PS、HIPS、AS、ABS、AES等)、塩素系樹脂(PVC、塩素系ポリエチレン等)、オレフィン系樹脂(PE、PP、EVA等)、エステル系樹脂、アミド系樹脂等を使用することができる。
【0053】
本発明を特徴づけるポリヒドロキシウレタン層は、水酸基の一部やその他の化学構造を利用する種々の架橋反応を併用して形成されたものであってもよい。したがって、本発明の塗料組成物に、下記に挙げるような架橋剤を添加してもよい。この場合の架橋剤としては、水酸基と反応するものであればいずれも使用でき、例えば、尿素樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイソシアネート、酸無水物等が好ましいものとして挙げられる。
【0054】
本発明のガスバリア性フィルムを構成するポリヒドロキシウレタン層は、単独の層としても、基材等と積層して多層からなる積層体としてもよい。積層体を構成する基材としては特に限定されるものではなく、例えば、プラスチック、紙、布、金属、セラミックス等、いずれであってもよく、本発明の塗料組成物は、これらの材料からなる基材表面に良好な接着性をもってガスバリア性を有する皮膜を形成することができる。
【0055】
基材が樹脂フィルムである場合、使用できる樹脂の種類は特に限定されるものではなく、従来から包装材料として使用される高分子材料は全て使用可能である。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸などのポリエステル系樹脂、ナイロン6やナイロン66などのポリアミド系樹脂、その他ポリイミド等とこれらの樹脂の共重合体等が挙げられる。また、これらの高分子材料には、必要に応じて、例えば、公知の帯電防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、滑剤、着色剤などの添加剤を含有させることができる。これらの樹脂フィルムは、未延伸フィルムであっても、一軸又は二軸延伸配向フィルムであっても、また、コロナ放電等の表面処理を施してあるものでもよい。これらの樹脂フィルムの厚みは1〜200μmが好ましく、より好ましくは5〜150μmである。さらに、これらの基材となる樹脂フィルムは、単層フィルムであっても多層フィルムであってもよく、アルミニウムなどの金属やシリカなどの金属酸化物が蒸着されたフィルムも用いることができる。
【0056】
また、本発明のガスバリア性フィルムの好ましい製造方法としては、下記の方法が挙げられる。前述の環状カーボネート化合物とアミン化合物とを必須成分とする本発明の塗料組成物を、基材表面或いは離型紙表面に塗布し、必要に応じて、その後に加熱することで、容易にガスバリア層となるポリヒドロキシウレタン層を形成することができる。上記において、基材への本発明の塗料組成物の塗布は、グラビアコーター、ナイフコーター、リバースコーター、バーコーター、スプレーコーター、スリットコーター等の公知の塗布装置によって行うことが可能であり、また、刷毛やへらで塗布する方法も使用できる。
【0057】
上記のようにして本発明の塗料組成物を基材或いは離型紙に塗布した場合、室温状態であっても、カーボネート化合物とアミン化合物との硬化反応が進行してヒドロキシウレタン層が形成されるが、塗布後に必要に応じて加熱してもよい。したがって、好ましい硬化条件は、0℃〜200℃であり、さらに好ましい条件としては、60℃〜120℃の範囲で加熱することが挙げられる。
【0058】
上記したように、本発明のガスバリア性フィルムの製造方法では、使用する本発明の塗料組成物に特に触媒が添加されていなくても、上記したような条件で加熱することによって容易に皮膜形成が行えるが、塗料組成物中に、皮膜形成反応を促進させる触媒を必要に応じて含有させることもできる。その場合に使用するものとしては、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジアザビシクロウンデセン(DBU)トリエチレンジアミン(DABCO)、ピリジンなどの塩基性触媒、テトラブチル錫、ジブチル錫ジラウリレートなどのルイス酸触媒などが挙げられる。これらの触媒の好ましい使用量は、使用するカーボネート化合物とアミン化合物の総量(100質量部)に対して、0.01〜10質量部である。
【0059】
本発明のガスバリア性フィルムの製造方法は、カーボネート化合物及びアミン化合物に液状の化合物を選択することにより、有機溶剤を含有しない形態で行うことが可能であるが、必要に応じて溶剤を含有させることもできる。例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンなどのアミド系溶剤、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのアルコール系溶剤、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶剤が使用可能な有機溶剤として挙げられる。
【0060】
本発明のガスバリア性フィルムの製造方法において積層体を得る場合に、使用する基材と、皮膜形成材料との表面張力の違いにより均一な皮膜形成が困難な場合は、レベリング剤や消泡剤を添加して行うことができる。これらの添加剤の種類は特に限定されるものではなく、ガスバリア性を損なわない量であれば使用可能であり、好ましい添加量は、ヒドロキシウレタン樹脂層の質量に対して1〜10質量%程度である。
【実施例】
【0061】
次に、具体的な製造例、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下の例における「部」及び「%」は特に断りのない限り質量基準である。
【0062】
(官能基当量比)
以下において、それぞれの反応に使用した環状カーボネート化合物とアミン化合物との「官能基当量比」は、下記式を用い、下記のようにして算出した値である。

上記の算出式で必要となる環状カーボネート化合物の「官能基数÷カーボネート化合物の分子量」は、カーボネート化合物1gあたりのカーボネート基のモル当量を示す指数であることから、これを「カーボネート当量」と定義し、以下の測定方法により実測した。このようにした理由は、実施例で使用したエポキシ化合物と二酸化炭素から合成した環状カーボネート化合物は、1分子中におけるカーボネート基の数が異なるものの混合物として得られるためである。なお、アミン化合物についてはこの問題はなく、分子量からモル当量を求めることができる。
【0063】
「カーボネート当量」を測定する対象のカーボネート化合物1gをN,N−ジメチルホルムアミド50gに溶解し、濃度1mol/Lに調整したn−ヘキシルアミン(分子量101.19)のトルエン溶液10mLを加え、60℃で10時間反応させた。反応後の溶液を0.5N塩酸にて中和滴定し、未反応のn−ヘキシルアミン量を定量した。別途カーボネート化合物を加えないブランク滴定を行い、消費したn−ヘキシルアミン量を逆算し、その消費量をヘキシルアミンの分子量で除したものを「カーボネート当量」とした(単位eq/g)。すなわち、カーボネート当量は、[カーボネート化合物1gと反応したn−ヘキシルアミン量(g)÷101.19(単位eq/g)]で求めることができる。
【0064】
(化合物の二酸化炭素含有量)
また、各実施例で使用したカーボネート基中の−O−CO−結合は、二酸化炭素に由来するものであることより、上記で得た「カーボネート当量」から、カーボネート化合物中の二酸化炭素含有量を算出できる。すなわち、二酸化炭素含有量(%)は、[カーボネート当量(eq/g)×44(=CO2分子量)×100]で求めることができる。以下、二酸化炭素含有量は上記のようにして計算で求めた。
【0065】
<製造例1>[5員環環状カーボネート基を有する化合物(A−1)の合成]
エポキシ当量100のパラ−アミノフェノール型エポキシ樹脂(商品名:MY0510、ハンツマン社製、以下、MY0510と略記)100部と、ヨウ化ナトリウム(和光純薬(株)製)20部と、N−メチル−2−ピロリドン150部とを、撹拌装置及び大気解放口のある還流器を備えた反応容器内に仕込んだ。次いで、撹拌しながら二酸化炭素を連続して吹き込み、100℃にて10時間の反応を行った。その後、得られた反応液を200部の酢酸エチルで希釈した後、分液ロートに移し、食塩水にて4回洗浄を行って、N−メチル−2−ピロリドン及びヨウ化ナトリウムを除去した。次に、洗浄後の酢酸エチル層をエバポレーターに移し、酢酸エチルを減圧除去したところ、透明液体化合物97部(収率72%)が得られた。
【0066】
得られた化合物を赤外分光装置(日本分光(株)製、FT/IR−350;以下の製造実施例も同様、以下、IRと略記)にて分析したところ、910cm-1付近の原材料のエポキシ由来のピークは消失していた。また、1,800cm-1付近に原材料には存在しないカーボネート基のカルボニル基に由来するピークが確認された。図1に、原料に用いたMY0510について測定したIRスペクトルを示し、図2に、得られた物質について測定したIRスペクトルを示した。また、ジメチルホルムアミド(以下、DMFと略記)を移動相としたGPC(東ソー製、GPC−8220;カラムSuper AW2500+AW3000+AW4000+AW5000;以下の製造例なども同様)の測定の結果、得られた物質の重量平均分子量は404(ポリエチレンオキサイド換算)であった。図3に、原料に用いたMY0510の微分分子量分布を、図4に、得られた物質の微分分子量分布を示した。
【0067】
以上のことから、得られた物質は、エポキシ基と二酸化炭素の反応により環状カーボネート基が導入された、下記式で表される構造の化合物と確認された。これをA−1とした。この化合物A−1のカーボネート当量を、先に述べた方法で測定したところ0.0069eq/gであり、化合物A−1中に占める二酸化炭素由来の成分の割合は、30.4%であると計算された。
【0068】

【0069】
<製造例2>[5員環環状カーボネート基を有する化合物(A−2)の合成]
エポキシ当量90のN,N,N’,N’−テトラグリシジル−1,3−ベンゼンジ(メタンアミン)(商品名:TETRAD−X、三菱ガス化学(株)製)100部と、ヨウ化ナトリウム(和光純薬(株)製)20部と、N−メチル−2−ピロリドン150部とを、撹拌装置及び大気解放口のある還流器を備えた反応容器内に仕込んだ。以下、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−1,3−ベンゼンジ(メタンアミン)をテトラグリシジルキシレンジアミンと称す。次いで、撹拌しながら二酸化炭素を連続して吹き込み、100℃にて10時間の反応を行った。反応終了後の溶液にメチルエチルケトン(以下、MEKと略記)166gとトルエン83gを加え取出した。取出した溶液を分液ロートに移し、食塩水にて4回の洗浄を行って触媒を除去した。さらに、その後、エバポレーターにて溶剤を蒸発させ、オイル状の化合物125g(収率84%)を得た。
【0070】
得られた化合物をIRにて分析したところ、910cm-1付近の原材料のエポキシ基に由来するピークは消失しており、一方、1,800cm-1付近に原材料には存在しないカーボネート基のカルボニル基に由来するピークが確認された。また、DMFを移動相としたGPCの測定の結果、得られた物質の重量平均分子量は594(ポリエチレンオキサイド換算)であった。以上のことから、この物質は、エポキシ基と二酸化炭素の反応により五員環環状カーボネート基が導入された下記式で表される構造の化合物と確認された。これをA−2とした。この化合物A−2のカーボネート当量を、先に述べた方法で測定したところ0.0075eq/gであり、A−2の化学構造中に二酸化炭素由来の成分が占める割合は33.0%であると計算された。
【0071】

【0072】
<製造例3>[5員環環状カーボネートを有する化合物(A−3)の合成]
エポキシ当量142のグリセロールポリグリシジルエーテル(商品名:デナコールEX−313、ナガセケムテックス(株)製)100部と、ヨウ化ナトリウム(和光純薬製)20部と、N−メチル−2−ピロリドン150部とを、撹拌装置及び大気解放口のある還流器を備えた反応容器内に仕込んだ。次いで、撹拌しながら二酸化炭素を連続して吹き込み、100℃にて10時間の反応を行った。反応終了後、エバポレーターにて溶剤を蒸発させ、オイル状の化合物132部(収率99.9%)を得た。
【0073】
得られた化合物をIRにて分析したところ、910cm-1付近の原材料のエポキシ基に由来するピークは消失しており、1,800cm-1付近に原材料には存在しないカーボネート基のカルボニル由来のピークが確認された。また、DMFを移動相としたGPCの測定の結果、得られた物質の重量平均分子量は397(ポリエチレンオキサイド換算)であった。以上のことから、この物質は、エポキシ基と二酸化炭素の反応により五員環環状カーボネート基が導入された下記式で表される構造の化合物と確認された。これをA−3とした。この化合物A−3のカーボネート当量を、先に述べた方法で測定したところ0.0054eq/gであり、化合物A−3中に占める二酸化炭素由来の成分の割合は、23.8%であると計算された。
【0074】

【0075】
<実施例1>
製造例1で得た化合物A−1を100.0部と、メタキシレンジアミン(三菱瓦斯化学(株)製、表中はMXDAと略記)を45.6部、酢酸エチルを145.5部含む溶液を作製し、表面調整剤(商品名:BYK349、ビック・ケミー社製)0.7部を加え、よく攪拌することによって本実施例の塗料組成物である塗料溶液を得た。この溶液を離型紙にバーコーターNo.30にて塗布し、その後、80℃で12時間硬化反応させることによって、該塗料溶液よりなる単独フィルムを作製した。得られたフィルムは透明であり、その厚みは20μmであった。また、得られたフィルムは、後述するように良好なガスバリア性を示すものであることを確認した。さらに、このフィルムを構成しているヒドロキシポリウレタン樹脂中における二酸化炭素由来の成分が占める割合は、21.0%であった(計算値)。また、上記反応におけるカーボネート化合物/アミノ化合物の官能基当量比は、1.0であった。
【0076】
<実施例2>
製造例2で得た化合物A−2を100.0部と、メタキシレンジアミン(三菱瓦斯化学(株)製)を51.0部、表面調整剤(ビック・ケミー社製、BYK349)0.8部を加え、よく攪拌することにより、本実施例の塗料組成物である塗料溶液を得た。この溶液を離型紙にバーコーターNo.15で塗布し、実施例1と同様にして、該塗料溶液よりなる単独フィルムを作成した。フィルムは透明であり、厚みは20μmであった。また、このバリア塗膜中に二酸化炭素由来の成分が占める割合は、21.7%であった(計算値)。また、上記反応におけるカーボネート化合物/アミノ化合物の官能基当量比は、1.0であった。
【0077】
<実施例3>
製造例2で得た化合物A−2を100.0部と、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン(三菱瓦斯化学(株)製、表中は、13BACと略記)を53.0部、表面調整剤(ビック・ケミー社製、BYK349)0.8部を加え、よく攪拌することにより、本実施例の塗料組成物である塗料溶液を得た。この溶液を離型紙にバーコーターNo.15で塗布し、実施例1と同様にして、該塗料溶液よりなる単独フィルムを作成した。フィルムは透明であり、厚みは20μmであった。また、このバリア塗膜中に二酸化炭素由来の成分が占める割合は、21.4%であった(計算値)。また、上記反応におけるカーボネート化合物/アミノ化合物の官能基当量比は、1.0であった。
【0078】
<実施例4>
製造例3で得た化合物A−3を100.0部と、メタキシレンジアミン(三菱瓦斯化学(株)製)を36.7部と、酢酸エチルを136.7部含む溶液を作製し、表面調整剤(ビック・ケミー社製、BYK349)0.7部を加え、よく攪拌することにより、本実施例の塗料組成物である塗料溶液を得た。実施例1と同様にして離型紙に塗布し、該塗料溶液よりなる単独フィルムを作成した。フィルムは透明であり、厚みは20μmであった。また、このバリア塗膜中に二酸化炭素由来の成分が占める割合は、17.3%であった(計算値)。また、上記反応におけるカーボネート化合物/アミノ化合物の官能基当量比は、1.0であった。
【0079】
<実施例5>
製造例2で得た化合物A−2を100.0部と、メタキシレンジアミン(三菱瓦斯化学(株)製)を35.7部と、ヘキサメチレンジアミン(旭化成(株)製、表中は、HMDAと略記)を13.0部と、酢酸エチルを148.7部含む溶液を作製し、表面調整剤(ビック・ケミー社製、BYK349)0.7部を加え、よく攪拌することにより、本実施例の塗料組成物である塗料溶液を得た。該溶液を実施例1と同様に離型紙に塗布し、該塗料溶液よりなる単独フィルムを作成した。フィルムは透明であり、厚みは20μmであった。また、このバリア塗膜中に二酸化炭素由来の成分が占める割合は、22.1%であった(計算値)。また、上記反応におけるカーボネート化合物/アミノ化合物の官能基当量比は、1.0であった。
【0080】
<実施例6>
製造例2で得た化合物A−2を50.0部とメタキシレンジアミン(三菱瓦斯化学(株)製)25.4部を混合したものに、エポキシ当量90のテトラグリシジルキシレンジアミン(商品名:TETRAD−X、三菱ガス化学(株)製)50.0部と、メタキシレンジアミン(三菱瓦斯化学(株)製)を18.9部と、酢酸エチルを163.5部含む溶液を作製し、更に表面調整剤(ビック・ケミー社製、BYK349)0.8部を加え、よく撹拌することにより、本実施例の塗料組成物である塗料溶液を得た。該溶液を実施例1と同様に離型紙に塗布し、該塗料溶液よりなる単独フィルムを作成した。得られたフィルムは透明であり、厚みは20μmであった。また、このバリア塗膜中に二酸化炭素由来の成分が占める割合は、11.3%であった(計算値)。また、上記反応におけるカーボネート化合物/アミノ化合物の官能基当量比は、1.01であった。
【0081】
<実施例7>
基材を離型紙から、23μm厚のPETフィルム(東レ(株)製、ルミラー、酸素透過性;23℃/35%:71.3ml/m2・24h・atm、23℃/65%:53.5ml/m2・24h・atm、23℃/90%:50.2ml/m2・24h・atm)に代え、複合フィルムとした以外は実施例1と同じ方法で、皮膜(バリア層)を形成した。得られたフィルムは透明であり、基材上に形成したバリア層の厚みは20μmであった。
【0082】
<実施例8>
基材を離型紙から、60μm厚の延伸ポリプロピレンフィルム(東レ(株)製、トレファン、酸素透過性;23℃/35%:641.5ml/m2・24h・atm、23℃/65%:555.2ml/m2・24h・atm、23℃/90%:542.2ml/m2・24h・atm)に代え、複合フィルムとした以外は実施例1と同じ方法で、皮膜(バリア層)を形成した。得られたフィルムは透明であり、基材上に形成したバリア層の厚みは20μmであった。
【0083】
<比較例1>
エポキシ当量90のテトラグリシジルキシレンジアミン(商品名:TETRAD−X、三菱ガス化学(株)製)100.0部と、メタキシレンジアミン(三菱瓦斯化学(株)製、MXDA)76.0部、表面調整剤(ビック・ケミー社製、BYK349)0.9部を加え、よく攪拌することにより塗料溶液を得た。得られた塗料溶液を実施例1と同様に離型紙上に塗布し硬化塗膜の作成を試みた。しかし、皮膜は硬く脆い物であり測定前に割れてしまい、酸素透過性の測定を行うことができなかった。
【0084】
<比較例2>
エポキシ当量90のテトラグリシジルキシレンジアミン(商品名:TETRAD−X、三菱ガス化学(株)製)100.0部と、メタキシレンジアミン(三菱瓦斯化学(株)製、MXDA)76.0部と、酢酸エチル176.0部を含む溶液を作製し、表面調整剤(ビック・ケミー社製、BYK349)0.9部を加え、よく攪拌することにより、塗料溶液を得た。この溶液を実施例7で使用したものと同様の23μ厚のPETフィルムにバーコーターNo.30にて塗布し80℃で12時間硬化反応させることにより単独フィルムを作製した。フィルムは淡黄色透明であり、バリア層の厚みは20μmであった。
【0085】
<比較例3>
エポキシ当量142のグリセロールポリグリシジルエーテル(商品名:デナコールEX−313、ナガセケムテックス(株)製)100.0部と、メタキシレンジアミン(三菱瓦斯化学(株)製、MXDA)48.2部と、酢酸エチル148.2部を含む溶液を作製し、表面調整剤(ビック・ケミー社製、BYK349)0.7部を加え、よく攪拌することにより、塗料溶液を得た。この溶液を実施例7で使用したものと同様の23μ厚のPETフィルムにバーコーターNo.30にて塗布し80℃で12時間硬化反応させることにより単独フィルムを作製した。フィルムは淡黄色透明であり、バリア層の厚みは20μmであった。
【0086】
<比較例4>
基材をPETフィルムから60μm厚の延伸ポリプロピレンフィルム(東レ(株)製、トレファン)に代えた以外は比較例2と同じ方法で皮膜を形成した。フィルムは淡黄色透明であり、バリア層の厚みは20μmであった。
【0087】
<比較例5>
基材をPETフィルムから60μm厚の延伸ポリプロピレンフィルム(東レ(株)製、トレファン)に代えた以外は比較例3と同じ方法で皮膜を形成した。フィルムは淡黄色透明であり、バリア層の厚みは20μmであった。
【0088】
上記の製造例及び比較例の組成を表1にまとめて示した。

【0089】
<評価>
実施例及び比較例で得られた各フィルム(特に皮膜)について、下記の方法及び基準で評価した。評価結果を表2にまとめて示した。
【0090】
[二酸化炭素含有量]
二酸化炭素含有量は、各塗料をコートして得られたバリア皮膜の化学構造中における、原料の二酸化炭素由来のセグメントの質量%を算出して求めた。具体的には、製造例から得られた化合物A−1〜3を合成する際に使用した、モノマーに対して含まれる二酸化炭素の理論量から算出した計算値で示した。例えば、実施例1の場合には、使用した化合物A−1の二酸化炭素由来の成分は30.4%であり、これより実施例1のポリヒドロキシウレタン中の二酸化炭素濃度は(100部×30.4%)/145.6全量=20.9質量%となる。
【0091】
[酸素透過率測定方法]
酸素透過率測定装置(モダンコントロール社製、OX−TRAN2/21HL)を使用して、それぞれのフィルムの酸素透過率を23℃、相対湿度35%、65%、90%の条件下で測定し、形成した皮膜のバリア層の酸素透過係率Pを以下の式(1)を用いて計算した。
【0092】
1/R1=1/R2+1/P (1)
上記式(1)中の記号は、それぞれ下記を示す。
R1;コーティングを施したプラスチックフィルムの酸素透過率(ml/m2・day・MPa)
R2;基材フィルムの酸素透過率(ml/m2・day・MPa)
P;バリア層の酸素透過率(ml/m2・day・MPa)
【0093】
[塗膜と基材の密着性]
塗膜に1mm2のクロスカットを100個入れ、ニチバン製、セロハンテープをその上に貼り付け指で強く押し付けた後、90°方向に急速に剥離し、残存した塗膜の個数により4段階評価(◎:100、○:80〜99、△50〜79、×0〜49)した。(◎、○)を接着性良好とした。
【0094】

【0095】
表2から明らかなように、実施例のフィルムは、いずれの湿度においても酸素の透過率が低い優れたガスバリア性を有することが確認された。また、バリア層にエポキシ樹脂を使用した比較例の場合と比べ、得られる皮膜には柔軟性があることより単独皮膜としての使用が可能であり、一方で他の基材への密着性に優れることから多層で構成されるバリア性材料としても容易に使用が可能であることを確認した。このことは、ガスバリア性に優れる多層材料を製造する場合の製造方法としても簡易であることを意味する。表2に示した通り、通常、接着力に優れるがガスバリア性に乏しいウレタン化合物がバリア性を有しているという点が本発明の最大の特徴であるが、かかる顕著な効果は、本発明の必須成分である環状カーボネート化合物とアミン化合物とから得られるポリヒドロキシウレタン樹脂によって初めてもたらされる。
【0096】
さらに、本発明の塗料組成物中の必須成分であるカーボネート化合物は、化学構造の一部として二酸化炭素を高濃度で固定化していることより、得られた皮膜も二酸化炭素を固定化した皮膜となる。このことは、本発明によって提供される材料は、環境問題に対応するガスバリア性皮膜として工業的に有用であることが証明している。
【産業上の利用可能性】
【0097】
以上の通り、本発明によれば、環状カーボネート化合物とアミン化合物を原料とするポリヒドロキシウレタン樹脂をガスバリア層として用いることで従来の技術では得られなかった環境問題への対応に優れたガスバリア性材料を得ることができ、また、本発明を特徴づけるポリヒドロキシウレタン樹脂によれば、簡易な方法でガスバリア層を形成させることができき、かつ、基材への密着性にも優れることから種々の基材と組み合わせたガスバリア材料への応用が期待できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスバリア性を示すガスバリア層を形成するための塗料組成物であって、
該ガスバリア層が、少なくとも2つ以上の五員環環状カーボネート基を有する下記一般式(1)で示される化合物(成分A)と、少なくとも2つ以上のアミノ基を有する化合物(成分B)とを、下記式で定義される官能基当量比0.8〜1.25で反応させてなるヒドロキシポリウレタン樹脂を主成分として形成されるように構成したことを特徴とする塗料組成物。

(一般式(1)中、Xは、O、N又はNR2のいずれかを表し、該R2は水素または炭素数1〜3のアルキル基であり、aは、XがO又はNR2の場合は1であり、XがNの場合は2である。bは、a×b=2以上となる1以上の整数である。一般式(1)中、R1は、脂肪族炭化水素か芳香族炭化水素であり、かつ、その構造中に、O及び/又はNを含んでもよい。)

(上記式中の官能基数とは、カーボネート化合物とアミン化合物がそれぞれの1分子中に有する環状カーボネート構造またはアミノ基の個数である。)
【請求項2】
前記五員環環状カーボネート基中の−CO−O−結合の形成原料に二酸化炭素が用いられており、組成物によって形成されるガスバリア層中に、該二酸化炭素に由来する二酸化炭素が1〜30質量%含まれることとなる請求項1に記載の塗料組成物。
【請求項3】
前記アミノ基を有する化合物(成分B)が、メタキシレンジアミン又は1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンの少なくともどちらか一方を含む請求項1又は2に記載の塗料組成物。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の塗料組成物によって形成されたガスバリア層を有する単独層或いは多層からなるガスバリア性フィルムであって、その厚みが0.1〜200μmであり、かつ、上記ガスバリア層の酸素透過率が、温度23℃の条件で、0%〜90%のいずれの湿度下においても50ml/m2・24h・atm以下であることを特徴とするガスバリア性フィルム。
【請求項5】
少なくとも1つの層がガスバリア性を示すガスバリア層である単独層或いは多層からなるガスバリア性フィルムの製造方法であって、
少なくとも2つ以上の五員環環状カーボネート基を有する下記一般式(1)で示される化合物(成分A)と、少なくとも2つ以上のアミノ基を有する化合物(成分B)とが、下記式で定義される官能基当量比0.8〜1.25で反応してヒドロキシポリウレタン樹脂となる塗料組成物を、基材表面又は離型紙表面に塗布し、その後、必要に応じて加熱することでガスバリア層を形成することを特徴とするガスバリア性フィルムの製造方法。

(一般式(1)中、Xは、O、N又はNR2のいずれかを表し、該R2は水素または炭素数1〜3のアルキル基であり、aは、XがO又はNR2の場合は1であり、XがNの場合は2である。bは、a×b=2以上となる1以上の整数である。一般式(1)中、R1は、脂肪族炭化水素か芳香族炭化水素であり、かつ、その構造中に、O及び/又はNを含んでもよい。)

(上記式中の官能基数とは、カーボネート化合物とアミン化合物がそれぞれの1分子中に有する環状カーボネート構造またはアミノ基の個数である。)
【請求項6】
前記アミノ基を有する化合物(成分B)が、メタキシレンジアミン又は1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンの少なくともどちらか一方を含む請求項5に記載のガスバリア性フィルムの製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2012−236925(P2012−236925A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−107262(P2011−107262)
【出願日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【出願人】(000002820)大日精化工業株式会社 (387)
【出願人】(000238256)浮間合成株式会社 (99)
【Fターム(参考)】