説明

塗料組成物、塗装仕上げ方法及び塗装物品

【課題】耐洗車機傷性、耐酸性、耐汚染性、耐水性、耐候性及び外観性に優れた塗膜が得られる塗料組成物、塗装仕上げ方法、及び塗装物品を提供する。
【解決手段】2,2−ジメチロールアルカン酸から由来する水酸基を含む水酸基価が200〜400mgKOH/gで、樹脂固形分中にラクトン化合物に基づく構成単位を25質量%未満含有する水酸基含有樹脂(A)、水酸基価が50〜200mgKOH/gで、樹脂固形分中にラクトン化合物に基づく構成単位を25〜75質量%含有する水酸基含有樹脂(B)、及び水酸基と反応する官能基を1分子中に少なくとも2個含有する架橋剤(C)とを必須成分とする塗料組成物であって、水酸基含有樹脂(A)と水酸基含有樹脂(B)との割合が、樹脂固形分質量比で、(A)/(B)=90/10〜10/90である塗料組成物とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗料組成物、塗装仕上げ方法及び塗装物品に関する。さらに詳しく言えば、自動車塗装分野において、耐洗車機傷性、耐酸性、耐汚染性、耐水性、耐候性及び外観性に優れた塗膜が得られる塗料組成物、塗装仕上げ方法、及び塗装物品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車用塗膜では洗車機等による擦り傷の発生が問題視されており、耐洗車機傷性および耐久性に優れた塗料の開発が急務となっている。これまでに、耐擦り傷性を向上させる解決策としては、塗膜のTgや架橋密度を低下させることにより塗膜そのものを軟質化することで耐擦り傷性の向上が考えられてきたが、耐洗車機傷性は向上するものの、得られた塗膜の硬度、汚染性、耐酸性等の他の要求される塗膜性能を損ねる結果を招くことがあった。
【0003】
耐酸性、擦り傷性に優れた塗膜を得る方法として、(A)(メタ)アクリル酸誘導体単位を含有する酸価25〜125、水酸基価30〜150のアクリル系共重合体と、(B)エポキシ基をもつ不飽和単量体単位を含有するエポキシ当量230〜1500、水酸基価30〜150のアクリル系共重合体であって、(A)及び(B)成分が、水酸基をもつアクリル系単量体のε−カプロラクトン変性物である不飽和単量体を含有していてもよい共重合体であって、さらには、(C)アミノ樹脂を必須成分とする塗料組成物が知られている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、この塗料組成物では、アミノ樹脂を必須成分とするため、耐酸性雨性が低下するという欠点があった。
【0004】
また、同じく2種類の水酸基含有樹脂を用いて仕上り外観、塗膜硬度、耐酸性雨性、耐擦り傷性に優れた塗膜を与え、かつ、高固形分である塗料組成物として、(A)重量平均分子量が1000以下、かつ水酸基価が200〜800の水酸基含有ラクトン変性オリゴマーを5〜30重量%、(B)重量平均分子量が1000〜6000、かつ水酸基価が50〜200の水酸基含有樹脂を5〜50重量%、(C)ポリイソシアネート化合物を30〜70重量%及び(D)メラミン樹脂を3〜30重量%からなる比率で含有することを特徴とする高固形分塗料組成物が知られていた(例えば、特許文献2参照)。しかしながら、この塗料組成物では、低分子量の水酸基含有ラクトンオリゴマーを用いることで、塗膜のガラス転移点(Tg)が低下してしまい、塗膜の耐汚染性や耐候性が低下するという欠点があった。
【0005】
また、耐汚染性、耐衝撃性に優れ、同時に、外観性、耐候性、耐水性等にも優れた塗膜を与える塗料組成物として、(a)水酸基価が75〜250mgKOH/gであり、かつ酸価が0.5〜50mgKOH/gであるアクリル系ポリオール樹脂100質量部に対して、ラクトン化合物を10〜200質量部加え、無触媒下で開環付加反応させることにより得られるラクトン変性アクリル系ポリオール樹脂30〜90質量部、(b)ポリイソシアネート化合物10〜70質量部、及び(c)特定のアルコキシシランの部分加水分解縮合物0.01〜20質量部を必須成分とする塗料組成物が知られている(例えば、特許文献3参照)。しかしながら、この塗料組成物では、1種類のラクトン変性アクリル系ポリオール樹脂であるため、耐洗車機傷性と耐酸性雨性、耐汚染性、耐候性などの塗膜性能のバランスが十分確保できないう欠点があった。
【0006】
【特許文献1】特開平5−171103号公報
【特許文献2】特開2002−105397号公報
【特許文献3】特開2003−313493号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、耐洗車機傷性、耐酸性、耐汚染性、耐水性、耐候性及び外観性に優れた塗膜が得られる塗料組成物、この塗料組成物を用いた塗装仕上げ法、及び塗装物品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記の課題を解決するべく鋭意研究を重ねた結果、水酸基価の異なる樹脂を組合せ、なおかつ、ラクトン化合物の変性量の異なる2種類の水酸基含有樹脂と、水酸基と反応する架橋剤とを必須成分とする塗料組成物により、その目的が達成され得ることを見出し、これらの知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、2,2−ジメチロールアルカン酸から由来する水酸基を含む水酸基価が200〜400mgKOH/gで、樹脂固形分中にラクトン化合物に基づく構成単位を25質量%未満含有する水酸基含有樹脂(A)、水酸基価が50〜200mgKOH/gで、樹脂固形分中にラクトン化合物に基づく構成単位を25〜75質量%含有する水酸基含有樹脂(B)、及び水酸基と反応する官能基を1分子中に少なくとも2個含有する架橋剤(C)とを必須成分とする塗料組成物であって、水酸基含有樹脂(A)と水酸基含有樹脂(B)との割合が、樹脂固形分質量比で、(A)/(B)=90/10〜10/90である塗料組成物を提供するものである。
【0009】
また、本発明は、上記の塗料組成物において、水酸基含有樹脂(A)の水酸基の40%以上が、2,2−ジメチロールアルカン酸の水酸基、及び2,2−ジメチロールアルカン酸のエポキシ基含有ラジカル重合性単量体または重合体への付加反応によって生じた水酸基であることを特徴とする塗料組成物を提供するものである。
また、本発明は、上記の塗料組成物において、ジメチロールアルカン酸が、2,2−ジメチロールブタン酸または2,2−ジメチロールプロピオン酸であることを特徴とする塗料組成物を提供するものである。
【0010】
また、本発明は、上記の塗料組成物において、水酸基含有樹脂(A)および水酸基含有樹脂(B)が、重量平均分子量1,000〜30,000であるアクリル樹脂であることを特徴とする塗料組成物を提供するものである。
また、本発明は、上記の塗料組成物において、架橋剤(C)が、イソシアネート化合物および/またはメラミン樹脂であることを特徴とする塗料組成物を提供するものである。
また、本発明は、上記の塗料組成物を上塗塗料として塗装することを特徴とする塗装仕上げ方法を提供し、また、上記塗装仕上げ方法により塗装された塗装物品を提供するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の塗料組成物は、耐酸性、耐汚染性、耐水性、耐候性に優れ、特に耐洗車機傷性に優れた塗膜を与える。また、本発明の塗料組成物を用いた塗装仕上げ法は、塗膜に優れた外観性を与え、塗装物品は、前記塗膜性能に優れている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の塗料組成物には、(A)と(B)との2種類の水酸基含有樹脂を用いる。
水酸基含有樹脂(A)は、2,2−ジメチロールアルカン酸から由来する水酸基を含む水酸基価が200〜400mgKOH/gで、樹脂固形分中にラクトン化合物に基づく構成単位を25質量%未満含有する樹脂である。水酸基含有樹脂(A)としては、アクリル樹脂やポリエステル樹脂等の水酸基含有樹脂が挙げられるが、アクリル樹脂を用いることが好ましい。
【0013】
本発明において、この水酸基含有樹脂(A)は、十分な架橋密度を塗膜に持たせることによる耐汚染性と塗膜硬度を付与できる。
水酸基含有樹脂(A)の水酸基価は、200〜400mgKOH/gであるが、好ましくは、200〜320mgKOH/gであり、特に好ましくは、200〜280mgKOH/gである。水酸基価が200mgKOH/g未満の場合には、塗膜の架橋密度が不十分であるため耐汚染性の低下や塗膜硬度が得られない。また、水酸基価が400mgKOH/gを超えた場合には、架橋剤との相溶性が得られないため塗膜の外観不良が起きる。
【0014】
また、水酸基含有樹脂(A)は、樹脂固形分中にラクトン化合物に基づく構成単位を25質量%未満含有する樹脂であるが、好ましくは、2質量%以上、かつ25質量%未満、特に好ましくは、5質量%以上、かつ25質量%未満である。水酸基含有樹脂(A)の含有するラクトン化合物に基づく構成単位が25質量%以上であると、求められる塗膜の硬度や汚染性が低下する。
水酸基含有樹脂(B)は、水酸基価が50〜200mgKOH/gで、樹脂固形分中にラクトン化合物に基づく構成単位を25〜75質量%含有する樹脂である。水酸基含有樹脂(B)としては、アクリル樹脂やポリエステル樹脂等の水酸基含有樹脂が挙げられるが、アクリル樹脂を用いることが好ましい。
本発明において、この水酸基含有樹脂(B)は、塗膜の柔軟性の付与による耐洗車機傷性を向上できる。
【0015】
水酸基含有樹脂(B)の水酸基価は、50〜200mgKOH/gであるが、好ましくは、80〜190mgKOH/gであり、特に好ましくは、100〜180mgKOH/gである。水酸基価が50mgKOH/g未満の場合には、塗膜硬度が得られないことや耐汚染性が低下することがあり、水酸基価が200mgKOH/gを超えた場合には、架橋剤との相溶性が得られないため塗膜の外観不良が起きる。
水酸基含有樹脂(B)は、樹脂固形分中にラクトン化合物に基づく構成単位を25〜75質量%含有する樹脂であるが、好ましくは、25〜60質量%であり、特に好ましくは、25〜50質量%である。水酸基含有樹脂(B)の含有するラクトン化合物に基づく構成単位が、25質量%未満であると、求められる塗膜の耐洗車機傷性が低下することがあり、また75質量%を超えると塗料の相溶性の低下、塗膜の硬度や汚染性が劣る。
【0016】
また、水酸基含有樹脂(A)及び(B)の重量平均分子量は、1,000〜30,000が好ましく、2,000〜20,000がより好ましく、3,000〜15,000が特に好ましい。重量平均分子量が、1,000未満の場合には、塗膜硬度が得られない傾向があることやウエットオンウエット塗装時の外観不良が起こる傾向があり、重量平均分子量が30,000を超える場合には、架橋剤との相溶性の低下により塗膜の外観不良が起きる傾向がある。
本発明に用いられるラクトン化合物としては、例えば、β−メチル−δ−バレロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、δ−カプロラクトン、γ−カプロラクトン、ε−カプロラクトン、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、γ−ノナノイックラクトン、δ−ドデカノラクトンなどが挙げられ、ε−カプロラクトンが特に好ましい。これらのラクトン化合物は1種用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0017】
上記のラクトン化合物は、水酸基含有樹脂(A)および/又は水酸基含有樹脂(B)の水酸基と開環付加反応により樹脂中に組み込んでもよいし、予め水酸基含有ラジカル重合単量体の水酸基と開環付加反応によりラクトン変性水酸基含有ラジカル重合単量体にして、そのラクトン変性水酸基含有ラジカル重合単量体を共重合することにより水酸基含有樹脂(A)及び/又は水酸基含有樹脂(B)の樹脂中に組み込んでもよい。
また、本発明の水酸基含有樹脂(A)が含有する水酸基の40%以上の水酸基が、2,2−ジメチロールアルカン酸(a)の水酸基、及び2,2−ジメチロールアルカン酸のエポキシ基含有ラジカル重合性単量体または重合体(b)への付加反応によって生じた水酸基であることが好ましく、より好ましくは、50%以上である。
水酸基含有樹脂(A)が含有する水酸基において、上記の(a)成分に由来する水酸基、及び(b)成分に由来する水酸基が、40%未満の場合には、塗料の相溶性不良などにより外観の低下が起こる傾向がある。
【0018】
また、(a)成分の2,2−ジメチロールアルカン酸としては、炭素数が5〜10のカルボキシル基を含有するものが好ましく、そのカルボキシル基の炭素数は、より好ましくは5〜8の範囲であり、特に好ましくは5〜6の範囲である。(a)成分の具体的な例としては、2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロールブタン酸、2,2−ジメチロールペンタン酸、2,2−ジメチロールヘキサン酸などを挙げることができるが、2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロールブタン酸を用いることが、より低極性な樹脂が得られる故に好ましい。
上述のように、(a)成分の2,2−ジメチロールアルカン酸は、(b)成分のエポキシ基を有するラジカル重合性単量体または重合体との付加反応により、樹脂に水酸基を与えるものであるが、(a)成分の2,2−ジメチロールアルカン酸と(b)成分のエポキシ基との付加反応は、(b)成分の単量体とその他のラジカル重合性単量体との共重合よりも前でも、共重合時でもよく、また、共重合が完了した後でもよい。
【0019】
(a)成分の2,2−ジメチロールアルカン酸の配合量は、(b)成分の量、および、樹脂の水酸基価に依存するが、(a)成分の酸が(b)成分のエポキシ基に対して、モル比で1.2倍以下の範囲で用いられることが望ましい。(a)成分の酸がエポキシ基に対し、モル比で1.2倍よりも多い場合、未反応の酸が樹脂中で析出する場合があり、好ましくない。(a)成分の2,2−ジメチロールアルカン酸を配合する下限量は、特に制限はないが、樹脂固形分中5質量%以上が好ましい。(a)成分の2,2−ジメチロールアルカン酸のカルボキシル基が(b)成分のエポキシ基よりも過剰な場合、(a)成分の2,2−ジメチロールアルカン酸の過剰なカルボキシル基は、(b)成分のエポキシ基と反応できないので、重合性二重結合を有しない(a)成分の2,2−ジメチロールアルカン酸が未反応のまま、本発明の塗料用水酸基含有樹脂組成物中に存在していてもよい。一方、(b)成分のエポキシ基が(a)成分の2,2−ジメチロールアルカン酸のカルボキシル基よりも過剰な場合、得られる水酸基含有樹脂は、エポキシ基を有していてもよい。
【0020】
また、本発明の塗料用水酸基含有樹脂組成物を得るために使用される(b)成分の一種であるエポキシ基含有ラジカル重合性単量体は、ラジカル重合性炭素−炭素二重結合を1個以上有するエポキシ基含有ラジカル重合性単量体であり、ラジカル重合性炭素−炭素二重結合の数は、2個以下が好ましく、1個が特に好ましい。(b)成分は、エポキシ基以外の官能基を有してもよいが、(a)成分の水酸基やカルボキシル基とは反応しないものが好ましく、エポキシ基以外の官能基を有しないものが特に好ましい。(b)成分の具体例としては、例えば、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、アクリル酸3,4−エポキシシクロヘキシルメチル、メタクリル酸3,4−エポキシシクロヘキシルメチルなどが挙げられ、1種又は2種以上を組合せて用いられる。
【0021】
(b)成分の他の一種であるエポキシ基含有重合体は、上記エポキシ基含有ラジカル重合性単量体を重合させて得られる重合体が挙げられる。
なお、水酸基含有樹脂(B)においても、水酸基含有樹脂(A)と同様、2,2−ジメチロールアルカン酸及びエポキシ基含有ラジカル重合性単量体または重合体との組合せを用いることができる。
また、水酸基含有樹脂(A)および水酸基含有樹脂(B)においては、2,2−ジメチロールアルカン酸の水酸基、及び2,2−ジメチロールアルカン酸のエポキシ基含有ラジカル重合性単量体または重合体への付加反応によって生じた水酸基以外の水酸基として、水酸基を有するラジカル重合性単量体による水酸基を用いることも可能である。
【0022】
これら水酸基を有するラジカル重合性単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、アリルアルコール;(メタ)アクリル酸とバーサチック酸グリシジルエステルの付加物;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチルのε−カプロラクトン付加物;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチルのエチレンオキサイド及び/またはプロピレンオキサイド付加物などが挙げられる。
【0023】
水酸基含有樹脂(A)および水酸基含有樹脂(B)には、その他のラジカル重合性単量体を用いて共重合してもよいが、そのラジカル重合性単量体の具体例としては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸sec−ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸sec−ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ステアリル、スチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミドなどが挙げられ、1種又は2種以上を組合せて用いることができる。
【0024】
ラジカル重合をおこなう場合、ラジカル重合開始剤を配合してもよい。ラジカル重合開始剤としては、ラジカル重合開始剤としては、例えば2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、4,4’−アソビス−4−シアノ吉草酸、1−アゾビス−1−シクロヘキサンカルボニトリル、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート等のアゾ化合物、メチルエチルケトンパーオキシド、シクロヘキサノンパーオキシド、3,5,5−トリメチルヘキサノンパーオキシド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−シクロヘキサン、2,2−ビス(t−ブチルバーオキシ)オクタン、t−ブチルヒドロパーオキンド、ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキシド、ジクミルパーオキシド、t−ブチルクミルパーオキシド、イソブチルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ブチルバーオキシネオデカネート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシベンソエート、t−ブチルバーオキシソプロピルカーボネート等の有機過酸化物が挙げられる。ラジカル重合開始剤は1種単独で用いてもよいし、又は2種以上を組合せて用いてもよい。
【0025】
ラジカル重合開始剤の配合量は、特に制限ないが、ラジカル重合性単量体の全量に対して0.01〜20質量%にすることが好ましい。
これらのラジカル重合開始剤の系においては必要に応じてジメチルアニリン、硫酸第1鉄、塩化第1鉄、酢酸第1鉄等の第1鉄塩、酸性亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、ロンガリット等の還元剤を組合せても差し支えないが、重合温度が低くなりすぎないように留意して選択する必要がある。
なお、必要に応じて、(a)成分のカルボキシル基と(b)成分のエポキシ基間の反応を促進する目的で、ルイス酸、三級アミン、アンモニウム塩、ホスホニウム塩等の公知の反応触媒も1種又は複数種組合せて用いることができる。
【0026】
本発明の水酸基含有樹脂(A)及び水酸基含有樹脂(B)の製造において用いられる有機溶剤は、(a)成分のカルボキシル基又は(b)成分のエポキシ基又はラクトン化合物と反応する官能基を有さないものが好ましい。
本発明の水酸基含有樹脂(A)及び水酸基含有樹脂(B)の製造において用いられる有機溶剤の適当な例としては、例えばシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等の指環式炭化水素、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、芳香族ナフサ等の芳香族炭化水素系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソプチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン等のケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸3−メトキシブチル、アジピン酸ビス(2−エチルヘキシル)等のエステル系溶剤、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3,5−トリオキサン等のエーテル系溶剤、アセトニトリル、バレロニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド等の含窒素系溶剤が挙げられる。有機溶剤は、1種単独であっても、あるいは2種以上の複数種類の混合溶剤であっても差し支えない。この際、水酸基含有樹脂の固形分濃度は樹脂の分散安定性を損なわない範囲において任意に選ぶことができるが、通常固形分濃度で10〜70質量%である。
【0027】
本発明の水酸基含有樹脂(A)及び水酸基含有樹脂(B)の製造に際して、有機溶剤及びラジカル重合開始剤の添加方法は任意であるが、重合熱、反応熱をコントロールする目的で、(a)成分あるいはその有機溶剤溶液を反応槽に仕込み攪拌しなから、滴下槽より(b)成分を含むラジカル重合性単量体あるいはその有機溶剤溶液を滴下する方法、又は(a)成分あるいはその有機溶剤溶液、(b)成分を含むラジカル重合性単量体あるいはその有機溶剤溶液の双方を滴下槽より滴下する方法が好ましい。なお、上記(b)成分を含むラジカル重合性単量体は、(b)成分のエポキシ基を有するラジカル重合性単量体のみでもよいし、(b)成分のエポキシ基を有するラジカル重合性単量体とその他のラジカル重合性単量体との組合せでもよい。
【0028】
上記重合反応の重合温度はラジカル重合開始剤の種類、併用する還元剤の有無、カルボキシル基とエポキシ基の反応触媒の有無によって異なるが、50〜200℃の条件で行うことが好ましく、80〜160℃の条件で行うことがさらに好ましい。重合温度が50℃未満の場合には、(a)成分のカルボキシル基と(b)成分のエポキシ基の反応が十分に進行せず、ラジカル重合性単量体と水酸基含有樹脂とが相分離し易くなることがある。一方、200℃を越える場合には予期せぬ解重合等の副反応が起こることがある。
【0029】
本発明における塗料組成物中の水酸基含有樹脂(A)と水酸基含有樹脂(B)との混合比率は、樹脂固形分質量比で、90/10〜10/90の範囲で用いられることが好ましく、80/20〜40/60の範囲がより好ましい。水酸基含有樹脂(B)成分が水酸基含有樹脂(A)と水酸基含有樹脂(B)の合計量に対して10質量%未満では、得られる塗膜の耐洗車機傷性が低下し、また90質量%を超えた場合は、汚染性や耐酸性が低下する。
【0030】
本発明に用いられる(C)成分の架橋剤は、水酸基と反応する官能基を1分子中に少なくとも2個、好ましくは3個以上有する架橋剤であり、例えば、イソシアネート基、ブロックイソシアネート基などの官能基を1分子中に2個以上、好ましくは3個以上有するイソシアネート化合物、メラミン樹脂などが挙げられる。架橋剤は、1種単独で用いてもよく、2種類以上を組合せて用いてもよい。
【0031】
1分子当たりイソシアネート基2個以上を有するポリイソシアネート化合物としては、例えば、p−フェニレンジイソシアネート、ビフェニルジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、3、3’−ジメチル−4、4’−ビフェニレンジイソシアネート、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサン−1、6−ジイソシアネート、メチレンビス(フェニルイソシアネート)、リジンメチルエステルジイソシアネート、ビス(イソシアネートエチル)フマレート、イソホロンジイソシアネート、メチルシクロヘキシルジイソシアネート、2−イソシアネートエチル−2、6−ジイソシアネートヘキサノエート及びこれらのビュレット体、イソシアヌレート体などを挙げることができる。
【0032】
ブロックイソシアネート基を有するイソシアネート化合物としては、1分子中に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物、例えばヘキサメチレンジイソシアネート、フエニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等のポリイソシアネートをアセト酢酸メチル、マロン酸ジメチル等の活性メチレン系、オキシム系等のブロック剤でブロックしたイソシアネート化合物を挙げることができる。
【0033】
メラミン樹脂としては、アルキルエーテル化メラミン樹脂が好ましく、メラミンとアルデヒドとの反応によって得られるメチロール化アミノ樹脂が挙げられる。アルデヒドとしては、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド等が挙げられる。また、このメチロール化アミノ樹脂を1種又は2種以上の低級アルコールによってエーテル化したものも使用でき、エーテル化に用いられるアルコールの例としては、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、2−エチルブタノール、2−エチルヘキサノール等の1価アルコールが挙げられる。これらのうち、なかでもメチロール化メラミン樹脂や、メチロール化メラミン樹脂のメチロール基の少なくとも一部を炭素原子数1〜4の1価アルコールでエーテル化してなるメラミン樹脂が好適である。
【0034】
上記メラミン樹脂の市販品としては、例えばユーバン20SE−60、ユーバン225 (いずれも三井化学(株)製、商品名)、スーパーべッカミンG840、同G821(いずれも大日本インキ化学工業(株)製、商品名)などのブチルエーテル化メラミン樹脂、スミマールM−100、同M−40S、同M−55(いずれも住友化学(株)製、商品名)、サイメル303、同325、同350、同370(いずれも日本サイテックインダストリーズ(株)製、商品名)等のメチルエーテル化メラミン樹脂などを挙げることができる。
架橋剤として、イソシアネート化合物とメラミン樹脂とを併用する場合には、固形分質量比で、100/0〜75/25の範囲で用いられることが好ましく、より好ましくは、100/0〜85/15である。メラミン樹脂の混合比率が25質量%を超える場合では得られた塗膜の耐洗車機傷性や耐酸性が低下する。
【0035】
また、水酸基含有樹脂(A)および水酸基含有樹脂(B)と(C)架橋剤との混合比率は、樹脂固形分質量比で、水酸基含有樹脂(A)および水酸基含有樹脂(B)の合計量を100とした場合、(C)は10〜190にて用いられることが好ましく、より好ましくは15〜120にて用いられることが望ましい。架橋剤の質量比率が、水酸基含有樹脂100に対して10未満の場合には、耐汚染性の低下や十分な塗膜硬度が得られない。また、190を超える場合には、塗膜が脆くなることや耐候性の低下が起きる。
本発明の塗料組成物は、そのままで、あるいは必要に応じて、有機溶剤、各種添加剤、例えば、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、界面活性剤、表面調整剤、硬化反応触媒、帯電防止剤、香料、脱水剤、さらにはポリエチレンワックス、ポリアマイドワックス、内部架橋型樹脂微粒子等のレオロジー調整剤などを添加して使用することができる。
【0036】
本発明の塗料組成物は、クリヤー塗料として用いてもよいし、染料、顔料などの着色剤を配合して着色塗料として用いてもよい。
本発明の塗料組成物は、上塗り塗料組成物として使用することが好ましい。
本発明の上塗り塗料の塗装仕上げ方法は、例えば、基材上に着色ベースコートを塗装し、未架橋のまま上塗り塗料とし本発明の塗料組成物を塗装する2コート1ベーク塗装仕上げ方法、基材上に着色ベースコートを塗装し、未架橋のまま、上塗り塗料を塗装し、同時に焼付けた後に、オーバーコート塗料として、本発明の塗料組成物を塗装し、焼き付けるオーバーコート塗装仕上げ方法、及び上記オーバーコート塗装仕上げ方法において、下地コートとの密着性確保のために、プライマー塗料を塗装し、未架橋のまま本発明の塗料組成物をオーバーコート塗料として塗装する塗装仕上げ方法等が挙げられる。
【0037】
前記着色ベースコート塗料、上塗り塗料、オーバーコート塗料、及びプライマー塗料は、必要に応じて加温したり、有機溶剤又は反応性希釈剤を添加することにより所望の粘度に調整した後、エアースプレー、静電エアースプレー、ロールコーター、フローコーター、ディッピング形式による塗装機等の通常使用される塗装機、又は刷毛、バーコーター、アプリケーターなどを用いて塗装が行われる。これらのうちスプレー塗装が好ましい。
【0038】
本発明の塗料組成物の塗布量は、乾燥膜厚が通常10〜100μmとなるようにすることが好ましい。本発明の塗料組成物を塗装して得られる塗膜は、通常焼付けることが好ましい。
また、焼付け温度は、通常120〜180℃の範囲で適宜選定すればよい。さらに、焼付け時間は、通常10〜60分の範囲で適宜選定すればよい。
また、本発明の塗料組成物を塗装する基材としては、木、ガラス、金属、布、プラスチック、発泡体、弾性体、紙、セラミック、コンクリート、石膏ボード等の有機素材及び無機素材などが挙げられる。これらの基材は、予め表面処理されたものでもよいし、予め表面に塗膜が形成されたものでもよい。
これまで具体例を示したが、本発明の塗料組成物の塗装仕上げ方法は、これらにより何ら制限されるものではない。
本発明の塗料組成物により得られる塗装物品としては、例えば、構造物、木製品、金属製品、プラスチック製品、ゴム製品、加工紙、セラミック製品、ガラス製品などが挙げられる。より具体的には、自動車、自動車用部品(例えば、ボディー、バンパー、スポイラー、ミラー、ホイール、内装材等の部品であって、各種材質のもの)、鋼板等の金属板、二輪車、二輪車用部品、道路用資材(例えば、ガードレール、交通標識、防音壁等)、トンネル用資材(例えば、側壁板等)、船舶、鉄道車両、航空機、家具、楽器、家電製品、建築材料、容器、事務用品、スポーツ用品、玩具などが挙げられる。
【実施例】
【0039】
次に、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら制限されるものではない。なお、本発明のクリヤー塗料組成物により得られる塗膜の性能は次のようにして求めた。
(1)外観性
塗膜の目視観察により、次の基準に従い評価した。
○:塗膜に蛍光灯を映すと、蛍光灯が鮮明に映る。
△:塗膜に蛍光灯を映すと、蛍光灯の周囲(輪郭)がややぼやける。
×:塗膜に蛍光灯を映すと、蛍光灯の周囲(輪郭)が著しくぼやける。
(2)硬度
塗膜の指触により、次の基準に従い評価した。
○:塗膜にタック感がない。
△:塗膜に少しタック感がある。
×:塗膜に著しいタック感がある。
【0040】
(3)耐洗車機傷性
表面に塗膜を形成した試験板上に泥水(JIS Z−8901−84 8種ダスト/水/中性洗剤=10/99/1重量比で混合したもの)をハケで塗布後、自動車用洗車機にて洗車ブラシを150rpmで10秒間回転させ、試験板を流水にて洗浄する。以上の操作を10回繰り返した後、試験板表面の擦り傷の程度を色彩色差計(CR−331 ミノルタカメラ(株)製)によりL*値を測定した。数値が低いほど良好である。
(4)耐酸性
40%硫酸水溶液0.2mlを表面に塗膜を形成した試験板にスポット状に乗せた後60℃で15分間加熱し、その後水洗いしてシミ跡の発生度合いを目視観察した。
○;塗膜にほとんど変化が見られない。
△;塗膜に少し水シミ跡が見られる。
×;塗膜に著しい水シミ跡が見られる。
【0041】
(5)耐汚染性
表面に塗膜を形成した試験板上に汚染水(JIS Z−8901−84 8種ダスト/水/カーボンブラック/イエローオーカー=1.3/98/0.5/0.2重量比で混合したもの)を塗布後、50℃で10分乾燥させ8サイクル実施後、水洗しながらネル布で一定の力で塗膜を洗浄し、汚染性跡を目視観察により、次の基準に従い評価した。
○:塗膜に汚染物がない。
△:塗膜に部分的に汚染物が残る。
×:塗膜に完全に汚染物が残る。
(6)耐水性
JIS K−5400(1990)9.9耐候性に準じて表面に塗膜を形成した試験板を屋外にて3ヶ月曝露後、塗膜の未洗浄面の色をJIS K−5400(1990)7.4.2塗膜の色−計測法に準じて測定し、試験板を40℃の温水に240時間浸漬した後のL値から試験前のL値を引くことにより△L値を算出し、塗膜の白化を判定した。数値が小さいほど良好である。
【0042】
(7)耐候性
サンシャインカーボンアーク灯式促進耐候性試験機(JIS K−5400(1990)9.8.1)を用いて表面に塗膜を形成した試験板を3000時間曝露後、塗膜の状態を目視判定した。
<製造例1〜6>
水酸基含有塗料用樹脂溶液A−1〜6の製造
温度計、還流冷却器、攪拌機、滴下ロートを備えた4つ口フラスコに、表1に記載の組成のキシレン及び2,2−ジメチロールブタン酸を仕込み、窒素気流下攪拌しながら加熱し140℃を保った。次に、140℃の温度で表1に記載の組成の単量体及び重合開始剤の混合物(滴下成分)を2時間かけて滴下ロートより等速滴下した。滴下終了後、140℃の温度を1時間保った後、反応温度を110℃に下げた。その後、表1に記載の組成の重合開始剤溶液(追加触媒)を添加し、さらに110℃の温度を2時間保った後、表1記載量のε-カプロラクトンを仕込み、150℃の温度を3時間保ったところで反応を終了し、水酸基含有塗料用樹脂溶液A−1を得た。また、水酸基含有塗料用樹脂溶液A−2〜6は、表1に記載の原料の仕込み量を変えた以外は、水酸基含有塗料用樹脂溶液A−1と同様にして、水酸基含有塗料用樹脂溶液A−2〜6及びB−1〜7を得た。
【0043】
【表1】

【0044】
<製造例7〜13>
水酸基含有塗料用樹脂溶液 B−1〜7の製造
表2に記載した原料の仕込み量に変えた以外は、水酸基含有塗料用樹脂溶液A−1と同様にして、水酸基含有樹脂溶液B−1〜7を得た。
【0045】
【表2】

【0046】
<製造例14〜32>
クリヤー塗料 CC−1〜19の製造
表3及び表4に記載した原料を順次混合して均一になるように撹拌し、クリヤー塗料を調製した。
【0047】
【表3】

【0048】
【表4】

【0049】
≪表の注記≫
1)デスモジュールN3200:商品名、住化バイエルウレタン(株)製、液状HDIのビュレットタイプ樹脂(不揮発分100質量%、NCO含有率23質量%)
2)ユーバン20ES−60:商品名、三井化学(株)製、メラミン樹脂溶液(不揮発分60質量%)
3)紫外線吸収剤溶液:チヌビン900、商品名、チバスペシャルティケミカルス社製の20質量%キシレン溶液
4)光安定剤溶液:チヌビン292、商品名、チバスペシャルティケミカルス社製の20質量%キシレン溶液
5)表面調整剤溶液:BYK−300、商品名、ビックケミー社製の10質量%キシレン溶液
6)ソルベッソ100:商品名、エッソ社製、芳香族石油ナフサ
【0050】
<実施例1〜7>
試験板の作成及び塗膜性能の検討
リン酸亜鉛処理軟鋼板にカチオン電着塗料アクアNo.4200(商品名、BASFコーティングスジャパン(株)製)を乾燥膜厚20μmとなるよう電着塗装して175℃で25分間焼き付け、さらに中塗り塗料HS−H300(商品名、BASFコーティングスジャパン(株)製)を乾燥膜厚30μmとなるようエアスプレー塗装し、140℃で30分間焼き付けた。次に、溶剤系ベースコート塗料であるベルコートNo.6000黒(商品名、BASFコーティングスジャパン(株)製、塗色:黒)を乾燥膜厚15μmとなるようエアスプレー塗装し20℃で3分間セット後、クリヤー塗料CC−1〜7をソルベッソ100(商品名、エッソ社製、芳香族石油ナフサ)で塗装粘度(フォードカップNo.4、20℃で25秒)に希釈したものをウェット・オン・ウェット方式でそれぞれ乾燥膜厚40μmとなるようエアスプレー塗装し、140℃で30分間焼き付けて試験板を作成した。
ただし、実施例1〜7のいずれの場合も耐汚染性の試験板のみは、ベースコート塗料をベルコートNo.6000白(商品名、BASFコーティングスジャパン(株)製、塗色:白)に替えて用いた。
塗膜性能試験結果を表5に示すが、いずれの場合も、塗料の濁りは生じず、均一でツヤのある塗膜が得られ、優れた外観性、耐洗車機傷性、耐酸性、耐汚染性、耐水性、耐候性を示した。
【0051】
【表5】

<比較例1〜12>
試験板の作成及び塗膜性能の検討
クリヤー塗料をCC−8〜19とした以外は、実施例1と同様にして、試験板を作成した。 塗膜性能試験結果を表6及び表7に示す。
【0052】
【表6】

【0053】
【表7】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
2,2−ジメチロールアルカン酸から由来する水酸基を含む水酸基価が200〜400mgKOH/gで、樹脂固形分中にラクトン化合物に基づく構成単位を25質量%未満含有する水酸基含有樹脂(A)、水酸基価が50〜200mgKOH/gで、樹脂固形分中にラクトン化合物に基づく構成単位を25〜75質量%含有する水酸基含有樹脂(B)、及び水酸基と反応する官能基を1分子中に少なくとも2個含有する架橋剤(C)とを必須成分とする塗料組成物であって、水酸基含有樹脂(A)と水酸基含有樹脂(B)との割合が、樹脂固形分質量比で、(A)/(B)=90/10〜10/90である塗料組成物。
【請求項2】
水酸基含有樹脂(A)の水酸基の40%以上が、2,2−ジメチロールアルカン酸の水酸基、及び2,2−ジメチロールアルカン酸のエポキシ基含有ラジカル重合性単量体または重合体への付加反応によって生じた水酸基であることを特徴とする請求項1に記載の塗料組成物。
【請求項3】
2,2−ジメチロールアルカン酸が、2,2−ジメチロールブタン酸または2,2−ジメチロールプロピオン酸であることを特徴とする請求項1又は2に記載の塗料組成物。
【請求項4】
水酸基含有樹脂(A)および水酸基含有樹脂(B)が、重量平均分子量1,000〜30,000であるアクリル樹脂である請求項1〜3のいずれかに記載の塗料組成物。
【請求項5】
架橋剤(C)が、イソシアネート化合物および/またはメラミン樹脂であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の塗料組成物。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の塗料組成物を塗装することを特徴とする塗装仕上げ方法。
【請求項7】
請求項6の塗装仕上げ方法により塗装された塗装物品。

【公開番号】特開2007−145921(P2007−145921A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−339838(P2005−339838)
【出願日】平成17年11月25日(2005.11.25)
【出願人】(599076424)BASFコーティングスジャパン株式会社 (59)
【Fターム(参考)】