説明

塗料組成物及びそれを用いた塗膜形成方法

【課題】隙間部におけるつきまわり性(クリアランス塗装性)、エッジ防食性及び仕上り性に優れるカチオン電着塗料を提供すること。
【解決手段】特定のアミノ基含有エポキシ樹脂(A)、プロピレングリコールを含有する活性水素含有成分とポリイソシアネート化合物を反応させてなるブロック化ポリイソシアネート(B)、及びアミノ基含有エポキシ樹脂(A)とブロック化ポリイソシアネート化合物(B)の固形分合計100質量部に対して、加水分解性アルコキシシラン基とカチオン性基を含有するアクリル共重合体を架橋したカチオン電着性ゲル化微粒子重合体(C)を0.1〜20質量部含有するカチオン電着塗料組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗料組成物及びそれを用いた塗膜形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
カチオン電着塗料は、塗装作業性が優れ形成した塗膜の防食性が良好なことから、これらの性能が要求される自動車ボディなどの導電性金属製品の下塗り塗料として広く使用されている。しかし近年、衝突安全性向上の面から自動車ボディの強度アップが図られ、スポット溶接によって溶接した部材にさらに補強材を加えることから、複雑な隙間部を有する構造の被塗物が多くなってきた(例えば、図1参照)。このような構造は、50μm〜600μmの隙間部(以下、「クリアランス」と称することがある。)を有し、電着塗装時に電流密度(mA/cm)が低下することから塗膜が析出し難く未塗装となり、防食性が低下することがあった。
【0003】
このため隙間部の膜厚(μm)を確保するため塗装条件の工夫がなされているが、電着時の塗装電圧を上げて塗装するだけでは、図2に示す隙間構造の開口部5を塞いでしまい、クリアランス塗装性におけるつきまわり性6が得られない。
【0004】
また塗装電圧を上げて塗装すると外板仕上り性が低下したり、被塗物の外板膜厚(μm)が厚くなり塗料使用量が増えるなどの問題がある。そこで、隙間部を有する被塗物において、つきまわり性(以下、クリアランス塗装性と称することがある)が良好なカチオン電着塗料が求められていた。
【0005】
従来、カチオン電着塗料の塗装において、電流密度の最高値(I)が通電開始から5秒間以内に発現し、かつ電流密度の最高値(I)の1/2の電流密度(0.5I)以上を有する時間が5秒間以内であることを特徴とする隙間部における塗膜形成方法が開示されている(特許文献1)。しかし、これらの塗膜形成方法に記載された電着塗料組成物では、塗膜抵抗値を上げることでクリアランス塗装性は向上するものの、仕上がり性が低下する。さらに、端面の防食性も不十分であった。このような背景から、クリアランス塗装性、仕上がり性及び端面の防食性を満足する塗料組成物が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−82498号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
解決しようとする課題は、隙間部におけるクリアランス塗装性および仕上がり性と、端面の防食性(以下、「エッジ防食性」と称することがある)に優れる塗料組成物及びそれを用いた塗膜形成方法を見出すことである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定のアミノ基含有エポキシ樹脂(A)、プロピレングリコールを含有する活性水素含有成分とポリイソシアネート化合物を反応させてなるブロック化ポリイソシアネート(B)、及びカチオン電着性ゲル化微粒子重合体(C)を含有するカチオン電着塗料組成物によって解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、変性エポキシ樹脂(a1)とポリカプロラクトンポリオール化合物(a2)を調整した特定のアミノ基含有エポキシ樹脂(A)、(B)成分、及び(C)成分の組合せを工夫できたため、クリアランス塗装性および仕上がり性と、端面の防食性を両立できることとなった。
【0010】
即ち、本発明は、アミノ基含有エポキシ樹脂(A)、
プロピレングリコールを含有する活性水素含有成分とポリイソシアネート化合物とを反応させてなるブロック化ポリイソシアネート(B)、及び
カチオン電着性ゲル化微粒子重合体(C)
を含有するカチオン電着塗料組成物であって、
該アミノ基含有エポキシ樹脂(A)が、変性エポキシ樹脂(a1)に、ポリカプロラクトンポリオール化合物(a2)及びアミノ基含有化合物(a3)を反応させてなるポリオール変性アミノ基含有エポキシ樹脂であり、
該変性エポキシ樹脂(a1)が、水酸基含有エポキシ樹脂(a11)にカプロラクトン(a12)を付加して得られるものであり、
該カチオン電着性ゲル化微粒子重合体(C)が加水分解性アルコキシシラン基及びカチオン性基を含有するアクリル共重合体を水分散化して粒子内架橋することにより得られるものであり、
カチオン電着塗料組成物における該カチオン電着性ゲル化微粒子重合体(C)の配合割合が、固形分比で、アミノ基含有エポキシ樹脂(A)とブロック化ポリイソシアネート化合物(B)との合計100質量部に対し、0.1〜20質量部である、
カチオン電着塗料組成物に関する。
【発明の効果】
【0011】
本発明のカチオン電着塗料組成物を用いることによって、焼付け時の熱フロー性と析出塗膜状態が最適となるため、従来困難とされてきたことを克服できることとなってクリアランス塗装性、仕上がり性、エッジ防食性に優れる塗装物品を得ることができる。また、自動車車体において、従来に比べてカチオン電着塗膜の未塗装部分を少なくすることができ、端面及び隙間部内部まで塗膜が形成されて防食性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、自動車ボディにおける隙間(クリアランス)部のモデル図を示す。
【図2】図2は、クリアランス塗装性の「2枚合わせ試験板」である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、自動車ボディなどの隙間(クリアランス)部を有する被塗物において良好なつきまわり性(クリアランス塗装性)が得られるカチオン電着塗料成物に関する。
【0014】
自動車ボディなどの隙間(クリアランス)部は、50〜600μmの非常に狭い合わせ目で、脱脂、表面処理がされにくく、ほとんどが未処理の鋼板の状態である。その上、カチオン電着塗料組成物も入りにくく、さらに電着時に電流が流れにくいために塗装されないことがある。このような隙間(クリアランス)部を有する被塗物に対し、特別のカチオン電着塗料組成物を用意する必要がある。以下、詳細に述べる。
【0015】
カチオン電着塗料について
本発明のカチオン電着塗料組成物は、水酸基含有エポキシ樹脂(a11)にカプロラクトン(a12)を付加して得られる変性エポキシ樹脂(a1)に、ポリカプロラクトンポリオール化合物(a2)及びアミノ基含有化合物(a3)を反応させてなるアミノ基含有エポキシ樹脂(A)を含有する。以下、詳細に述べる。
[アミノ基含有エポキシ樹脂(A)]
ここでアミノ基含有エポキシ樹脂(A)は、焼付け時の熱フロー性と析出塗膜状態の適正化という機能を果たすものである。
【0016】
水酸基含有エポキシ樹脂(a11)
本発明において、水酸基含有エポキシ樹脂は、水酸基及びエポキシ基を1分子中にそれぞれ2個以上有する化合物である。当該水酸基含有エポキシ樹脂のエポキシ当量としては、180〜2,500、好ましくは200〜2,000、さらに好ましくは400〜1,500の範囲内が好ましい。また当該水酸基含有エポキシ樹脂の数平均分子量は、少なくとも280、特に300〜4,000、さらに特に330〜2,000の範囲内が好ましい。当該水酸基含有エポキシ樹脂としては、特に、ポリフェノール化合物とエピハロヒドリンとの反応によって得られるものが好ましい。これにより水酸基含有エポキシ樹脂(a11)は、防食性という機能を果たすものである。
【0017】
ここで「数平均分子量」は、JIS K 0124−83に記載の方法に準じ、分離カラムとして「TSK GEL4000HXL」、「TSK GEL3000HXL」、「TSK GEL2500HXL」、「TSK GEL2000HXL」(東ソー株式会社製)の4本を用いて、溶離液としてGPC用テトラヒドロフランを用いて40℃及び流速1.0ml/分において、RI屈折計で得られたクロマトグラムと標準ポリスチレンの検量線から求めた。
【0018】
該エポキシ樹脂の形成のために用いられるポリフェノール化合物としては、例えば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2,2−プロパン[ビスフェノールA]、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン[ビスフェノールF]、ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)メタン[水添ビスフェノールF]、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン[水添ビスフェノールA]、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1−エタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1−イソブタン、ビス(4−ヒドロキシ−2もしくは3−tert−ブチル−フェニル)−2,2−プロパン、ビス(2−ヒドロキシナフチル)メタン、テトラ(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,2,2−エタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、フェノールノボラック、クレゾールノボラックなどを挙げることができる。
【0019】
また、ポリフェノール化合物とエピクロルヒドリンとの反応によって得られるエポキシ樹脂としては、中でも、ビスフェノールAから誘導される下記一般式(1)
【0020】
【化1】

【0021】
[式中、nは、1〜5で示される]
で表わされるものが仕上がり性と防食性という理由から好適である。
【0022】
かかる水酸基含有エポキシ樹脂の市販品としては、例えば、ジャパンエポキシレジン(株)からjER828EL、jER1001、jER1002、jER1004、jER1007なる商品名で販売されているものが挙げられる。
【0023】
カプロラクトン(a12)
カプロラクトンとしては、γ−カプロラクトン、ε−カプロラクトン、δ−カプロラクトン、ラクトン、バレロラクトンなどが挙げられ、特にε−カプロラクトンが、熱フロー性の適正化という理由から好適である。
【0024】
変性エポキシ樹脂(a1)
変性エポキシ樹脂(a1)は、上記の水酸基含有エポキシ樹脂(a11)とカプロラクトン(a12)との付加反応により得ることができる。当該付加反応はそれ自体既知の方法で行うことができる。具体的には、例えば、当該付加反応におけるカプロラクトンの配合割合は、水酸基含有エポキシ樹脂の水酸基1当量あたり、一般に1〜15モル、好ましくは1〜10モル、さらに好ましくは1〜7モルの範囲内で設定できる。上記付加反応において、例えば、テトラブトキシチタン、テトラプロポキシチタン等のチタン化合物、オクチル酸錫、ジブチル錫オキシド、ジブチル錫ラウレート等の有機錫化合物;塩化第1錫などの金属化合物のような触媒の存在下に、水酸基含有エポキシ樹脂(a11)とカプロラクトン(a12)とを100〜250℃の温度で約1〜約15時間加熱することにより、変性エポキシ樹脂(a1)を製造することができる。
【0025】
得られた変性エポキシ樹脂(a1)は、700〜5,000、好ましくは1,000〜4,500の範囲内の数平均分子量である。この変性エポキシ樹脂(a1)は、耐チッピング性と耐温塩水浸漬性の両立に極めて有用である。
【0026】
ポリカプロラクトンポリオール化合物(a2)
ポリカプロラクトンポリオール化合物(a2)としては、下記一般式(2)又は一般式(3)で表される化合物が使用できる。
【0027】
【化2】

【0028】
[式中、Rは炭素数1〜6のアルキル基を示す。aは、1〜20の整数を示す。bは、1〜20の整数を示す。]
【0029】
【化3】

【0030】
[式中、Rは炭素数1〜6のアルキル基を示す。cは1〜20の整数を示す。dは、1〜20の整数を示す。eは1〜20の整数を示す。]
ポリカプロラクトンポリオール化合物(a2)は、300〜2,000、好ましくは500〜1,500の範囲内の重量平均分子量を有することが好ましい。
【0031】
市販されているポリカプロラクトンポリオール化合物(a2)としては、プラクセル205、プラクセル208、プラクセル210、プラクセル212、プラクセル220、プラクセル305、プラクセル308、プラクセル312(ダイセル化学)などが挙げられる。
【0032】
このようなポリカプロラクトンポリオール化合物(a2)は、複数の活性水素基を有する化合物に基づく水酸基含有エポキシ樹脂(a1)に対する高い相溶性と、カプロラクトンに基づく高い可塑化性能と末端水酸基による高い反応性とを兼備しており、得られた塗膜の耐チッピング性及び耐温塩水浸漬性の向上に有用である。
【0033】
アミノ基含有化合物(a3)
本発明において、アミノ基含有エポキシ樹脂(A)を得るために、前記変性エポキシ樹脂(a1)とポリカプロラクトンポリオール化合物(a2)とともに反応せしめられるアミノ基含有化合物(a3)は、変性エポキシ樹脂(a1)にアミノ基を導入して、該変性エポキシ樹脂(a1)をカチオン化するためのカチオン性付与成分であり、エポキシ基と反応する活性水素を少なくとも1個含有するものが用いられる。
【0034】
そのような目的で使用されるアミノ基含有化合物(a3)としては、例えば、モノメチルアミン、ジメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、モノブチルアミン、ジブチルアミンなどのモノ−、もしくはジ−アルキルアミン;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノ(2−ヒドロキシプロピル)アミン、ジ(2−ヒドロキシプロピル)アミン、モノメチルアミノエタノール、モノエチルアミノエタノールなどのアルカノールアミン;エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ジエチルアミノプロピルアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどのアルキレンポリアミン及びこれらのポリアミンのケチミン化物;エチレンイミン、プロピレンイミンなどのアルキレンイミン;ピペラジン、モルホリン、ピラジンなどの環状アミンなどが挙げられる。これら上記のアミンのうち、1級アミンをケチミン化したアミンも併せて用いることができる。
【0035】
このようなアミノ基含有化合物(a3)は、親水化/疎水化のバランス調整能を有しており、塗料安定性と得られた塗膜の防食性向上に有用である。
【0036】
本発明のカチオン電着塗料組成物において使用されるアミノ基含有エポキシ樹脂(A)は、前記の変性エポキシ樹脂(a1)に、カプロラクトン由来の末端水酸基を有するポリカプロラクトンポリオール化合物(a2)及びアミノ基含有化合物(a3)をそれ自体既知の方法で付加反応させることにより製造することができる。
【0037】
上記の付加反応は、通常、適当な溶媒中で、約90〜約170℃、好ましくは約100〜約150℃の温度で1〜5時間、好ましくは2〜4時間行うことができる。
【0038】
上記の有機溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、n−ヘキサンなどの炭化水素系溶媒;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトンなどのケトン系溶媒;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド系溶媒;メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノールなどのアルコール系溶媒;あるいはこれらの混合物などが挙げられる。
【0039】
上記の付加反応における各反応成分の使用割合は、厳密に制限されるものではなく、カチオン電着塗料組成物の用途等に応じて適宜変えることができるが、変性エポキシ樹脂(a1)、ポリカプロラクトンポリオール化合物(a2)及びアミノ基含有化合物(a3)の3成分の合計固形分質量を基準にして以下の範囲内が適当である。
【0040】
変性エポキシ樹脂(a1):60〜90質量%、好ましくは62〜85質量%、さらに好ましくは62〜80質量%、ポリカプロラクトンポリオール化合物 (a2):5〜30質量%、好ましくは5〜20質量%、さらに好ましくは5〜18質量%、アミノ基含有化合物(a3):5〜25質量%、好ましくは6〜19質量%、さらに好ましくは6〜18質量%である。これらの比率は、得られた塗膜の仕上り性、耐チッピング性及び耐温塩水浸漬性の向上に有用である。
【0041】
ブロック化ポリイソシアネート(B)
本発明塗料組成物において架橋剤として使用されるブロック化ポリイソシアネート(B)は、プロピレングリコールを含有する活性水素成分でポリイソシアネート化合物をブロックしてなるものである。
【0042】
ブロック化ポリイシアネート(B)は、常温においては安定で、かつ塗膜の焼き付け温度、通常約100〜約200℃の範囲内の温度に加熱した際にブロック化剤を解離して遊離のイソシアネート基を再生しうるものであることが重要である。
【0043】
本発明において、活性水素成分とは、イソシアネート基と反応する活性水素を有し、当該イソシアネート基をブロックするものを示し、ブロック剤として用いられているものが広く含まれる。本発明において、ブロック化ポリイソシアネート(B)の原料に用いられる活性水素成分は、プロピレングリコールを含有することを特徴とする。
【0044】
また、当該活性水素成分は、プロピレングリコールの他に、必要に応じて、他のブロック剤を併用することができる。併用しうる他のブロック剤としては、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、3−メチルー1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、3−メチル−4,3−ペンタンジオール、3−メチル−4,5−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1,5−ヘキサンジオール、1,4−ヘキサンジオール等、ε−カプロラクタム、γ−ブチロラクタムなどのラクタム化合物;メチルエチルケトオキシム、シクロヘキサノンオキシムなどのオキシム化合物;フェノール、パラ−t−ブチルフェノール、クレゾールなどのフェノール化合物;n−ブタノール、2−エチルヘキサノールなどの脂肪族アルコール;フェニルカルビノール、メチルフェニルカルビノールなどの芳香族アルキルアルコール;エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルなどのエーテルアルコール化合物;n−メチルアセトアミド、n−エチルアセトアミド、n−メチルプロピオンアミド、n−メチルホルムアミドなどの低分子量アミド化合物等が挙げられる。
【0045】
なかでもプロピレングリコールをブロック剤として多く用いることが、ブロック化ポリイシアネートの反応性、加熱減量の低減、塗料の貯蔵安定性などの観点から好適である。ブロック化剤におけるプロピレングリコールと他のジオール成分との配合割合は、両者の合計量に対して、プロピレングリコールが20モル%以上、特に25〜100モル%の範囲内にあることが好ましい。
【0046】
上記ブロック化されるポリイソシアネート化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4'−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4'−ジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートなどの芳香族、脂環族又は脂肪族のポリイソシアネート化合物;これらのポリイソシアネート化合物の環化重合体、イソシアネート・ビウレット体;これらのイソシアネート化合物の過剰量にエチレングリコール、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール、ヒマシ油などの低分子活性水素含有化合物を反応させて得られる末端イソシアネート含有化合物などが挙げられる。これらは1種で又は2種以上混合して使用することができる。
【0047】
これらの内、特に、芳香族ジイソシアネート、なかでもジフェニルメタン−2,4'−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4'−ジイソシアネート(通常「MDI」と呼ばれる)、クルードMDIが好適である。
【0048】
クルードMDIは、ジフェニルメタン−4,4'−ジイソシアネートとジフェニルメタン−2,4'−ジイソシアネートとポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートとを主成分とする混合物であり、市販品として、コスモネートM−50、コスモネートM−200、コスモネートM−100、コスモネートM−300等(以上、いずれも三井化学社製);スミジュール44V10、スミジュール44V20、スミジュール44V40等(以上、いずれも住化バイエルウレタン社製);ルプラネートM−12、ルプラネートM−12S、ルプラネートM−20、ルプラネートM−20S等(以上、いずれもドイツ、BASF社製);モンデュアMR(LIGHT)等(バイエル社製)などを挙げることができる。
【0049】
ブロック化ポリイソシアネート(B)を製造するに際してのブロック化剤とポリイソシアネート化合物との使用割合は、ブロック化剤中の活性水素/ポリイソシアネート化合物中のイソシアナト基(NCO基)の当量比が、1.3〜2.3、特に1.35〜2.1の範囲内にあることが端面の防食性及び塗料組成物の安定性の観点から好適である。
【0050】
得られるブロック化ポリイソシアネート(B)は、通常、ポリイソシアネート化合物(b)1モルに対して、ジオール成分(a)が平均して0.2モル以上、特に0.25〜1モル、さらに特に0.25〜0.95モルの範囲内で結合していることが好ましい。
【0051】
ここでブロック化ポリイシアネート(B)は、焼付け時の熱フロー性と析出塗の適正化という機能を果たすものである。
【0052】
カチオン電着性ゲル化微粒子重合体(C)
本発明のカチオン電着塗料組成物は、加水分解性アルコキシシラン基及びカチオン性基を含有するアクリル共重合体を架橋したカチオン電着性ゲル化微粒子重合体(C)を、固形分比で、アミノ基含有エポキシ樹脂(A)とブロック化ポリイソシアネート化合物(B)との合計100質量部に対し、0.1〜20質量部、好ましくは7〜15質量部含有する。このことによって、端面の防食性に優れる塗装物品を得ることができる。カチオン電着性ゲル化微粒子重合体(C)としては、特開平2−269164号公報に記載のものを使用することができる。
【0053】
より具体的には、上記の「加水分解性アルコキシシラン基及びカチオン性基を含有するアクリル系共重合体」は、カチオン性基、特に酸で中和されたアミノ基を水分散基として水中において安定に分散し、かつ該アルコキシシラン基の加水分解によって生成したシラノール基が、該シラノール基同志およびさらにアクリル共重合体中にヒドロキシル基が存在する場合にはそのヒドロキシル基とも縮合して粒子内架橋が行なわれゲル化してカチオン電着可能なゲル化重合体微粒子を形成する。本発明においては好適には、このようにして形成されるゲル化重合体微粒子をカチオン電着塗料組成物に配合して用いることができる。
【0054】
従って、上記「カチオン電着性ゲル微粒子重合体」には、カチオン性基、特に酸で中和されたアミノ基を水分散基として、水中において安定に分散し、かつ粒子内架橋によりゲル化した、平均粒径約0.5μm以下のカチオン電着可能な微粒子重合体が包含される。
【0055】
上記ゲル化重合体微粒子を形成するのに使用される加水分解性アルコキシシラン基及びカチオン性基を含有するアクリル系共重合体は、一般に、(a)ビニル性二重結合と加水分解性アルコキシシラン基とを含有する重合性不飽和ビニルシランモノマー、及び(b)ビニル性二重結合とカチオン性基とを含有する重合性不飽和モノマーを必須のモノマー成分として含有し且つ必要に応じて(c)ビニル性二重結合と水酸基を含有する重合性不飽和モノマー、及び/又は(d)上記以外の重合性不飽和モノマーを含有するモノマー混合物を共重合させることによって製造することができる。
【0056】
上記(a)のビニルシランモノマーには、下記一般式(i)又は(ii):
【0057】
【化4】

【0058】
[式中、Rは炭素原子数1〜10個のアルキル基もしくはアルコキシアルキル基を表わし、R’は水素原子又はメチル基を表わし、mは0又は1の整数を表わし、pは1〜8の整数を表わす]
で示されるものが包含される。
【0059】
前記(i)式で示されるビニルシランモノマーの例としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス−β−メトキシエトキシシランなどを挙げることができ、また前記(ii)式で示されるビニルシランモノマーの例としては、γ−アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルメチルジメトキシシランなどを挙げることができ、就中γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシランが好適である。
【0060】
前記(b)のビニル性二重結合とカチオン性基とを含有する重合性不飽和モノマーは、生成するアクリル系共重合体に水分散性を付与するためのカチオン性基を導入するモノマー成分である。カチオン性基としては3級アミノ基、4級アンモニウム塩基、3級スルホニウム塩基、4級ホスフオニウム塩基などが利用でき、このうち、3級アミノ基が特に好ましい。
【0061】
ビニル性二重結合と3級アミノ基を含有するモノマーの例としては、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどのジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート(これらのアルキルはいずれも好ましくは炭素原子数1〜6個のアルキル);ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミドなどのジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド(これらのアルキルはいずれも好ましくは炭素原子数1〜6個のアルキル)が挙げられる。
【0062】
4級アンモニウム塩基とビニル性二重結合を含有する重合性不飽和モノマーの例としては、3−アクリルアミド−3−メチルブチルトリメチルアンモニウムクロライド、3−メタクリルアミド−プロピルトリメチルアンモニウムクロライド、2−メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライドなどが挙げられる。
【0063】
前記(c)のビニル性二重結合と水酸基を含有する重合性不飽和モノマーは、必要に応じてアクリル共重合体中に水酸基を導入するモノマー成分であり、水酸基はアクリル系共重合体を水分散化せしめるときの親水性基として及び/又は分散粒子内の架橋反応のための官能基としての働きをする。該不飽和モノマーの例としては2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸のヒドロキシアルキルエステルが挙げられる。
【0064】
前記(d)のその他の重合性不飽和モノマーはアクリル系共重合体を構成する残りの成分であり、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルアクリレートなどの(メタ)アクリル酸のアルキル(C1〜C18)エステル;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンなどのビニル芳香族モノマー;3級アミノ基を含有しない(メタ)アクリル酸のアミド誘導体;(メタ)アクリロニトリル;などの通常のアクリル樹脂の合成に用いられる公知のモノマーを使用することができる。これら(d)の単量体は、生成するアクリル系共重合体に要求される特性に応じて適宜選択され、それぞれ単独で用いてもよく、あるいは、2種またはそれ以上を組み合わせて使用することができる。
【0065】
本発明におけるアクリル系共重合体を構成する前記モノマー(a)〜(d)は、モノマー(a)〜(d)の合計重量に対し、以下に述べる配合割合:(a)モノマー:1〜30重量%、好ましくは3〜20重量%、さらに好ましくは5〜15重量%;(b)モノマー:5〜30重量%、好ましくは5〜25重量%、さらに好ましくは5〜20重量%;(c)モノマー:0〜30重量%、好ましくは5〜20重量%、さらに好ましくは5〜15重量%;(d)モノマー:10〜94重量%、好ましくは35〜82重量%、さらに好ましくは35〜50重量%の範囲で用いるのが好適である。
【0066】
加水分解性アルコキシシラン基とカチオン性基とを含有するアクリル系共重合体を製造する別の方法として、上記(a)〜(d)の不飽和モノマーの共重合に際して、前記(b)のモノマーを使用する代わりに、グリシジル基含有不飽和ビニルモノマー(例えばグリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートなど)を用いて共重合を行ない、一旦グリシジル基含有アクリル系共重合体を調製した後、該グリシジル基に2級アミンまたは3級アミン塩を反応させて3級アミノ基または4級アンモニウム塩基を導入するか、或いは2級スルフィド塩または3級ホスフィン塩を反応させて3級スルホニウム塩基または4級ホスフォニウム塩基を導入する方法が挙げられる。通常は3級アミノ基を導入するのが好ましい。
【0067】
上記(a)〜(d)の不飽和モノマーの共重合は、アクリル系共重合体を製造するためのそれ自体既知の方法、殊に溶液重合法によって行なうことができる。例えば上記のモノマー混合物を適当な溶媒中でラジカル重合触媒の存在下に通常約0〜約180℃の反応温度において約1〜約20時間反応を続けることにより行なうことができる。
【0068】
使用する溶媒としては該共重合反応中にゲル化が生じないように、生成する共重合体を溶解し、かつ水と混和しうる溶媒を使用することが望ましい。
【0069】
かかる溶媒として、例えばアルコール系溶媒、エーテルアルコール系溶媒、エーテル系溶媒、ケトン系溶媒、エステル系溶媒などが使用できる。
【0070】
また、重合触媒としては、例えばアゾ系化合物、パーオキサイド系化合物、スルフィド類、スルフィン類、ジアゾ化合物、ニトロソ化合物などを用いることができる。
【0071】
また、共重合反応中にアルコキシシランの架橋反応が生じて、生成する重合体が不必要に造粒することを防ぐため、架橋反応の触媒となる水を除くためジメトキシプロパンなどの脱水剤を添加して、重合反応を行なってもよい。
【0072】
かくして得られるアクリル系共重合体は、一般に、約10〜約100、好ましくは約15〜約80、さらに好ましくは20〜75のアミン価;0〜約200、好ましくは約30〜約130、さらに好ましくは40〜100の水酸基価;及び約5,000〜約100,000、好ましくは約7,000〜約30,000、さらに好ましくは10,000〜25,000の数平均分子量を有することが望ましい。
【0073】
アクリル系共重合体のアミン価が15より小さい場合には、概して水中への分散性が不足し粗大粒子を形成しやすくなる。他方、アミン価が100より大きい場合には、溶液重合の際にゲル化を起こしやすくなる。また、アクリル系共重合体の数平均分子量が5,000より小さい場合には、屡々水分散性が不良になったりゲル化度が低下したりする。他方、数平均分子量が100,000より大きい場合には、重合体溶液の粘度が高くなり水分散が困難になる傾向がみられる。
【0074】
上記アクリル系共重合体の水分散化はそれ自体既知の方法に従って行なうことができる。例えば、上記の如くして製造される、アルコキシシラン基とカチオン性基及び場合によってはさらに水酸基を含むアクリル系共重合体を、該カチオン性基がアミノ基の場合には、該アミノ基に対して約0.1〜1当量の酸、たとえばギ酸、酢酸、乳酸、ヒドロキシ酢酸などの水溶性カルボン酸などで中和し、その後、固形分濃度が、約40重量%以下になるように水中に分散することによって行なうことができる。
【0075】
かくして得られるアクリル系共重合体の水分散化物の分散粒子を粒子内架橋させる。粒子内架橋は、該分散物を単に長期間貯蔵することによってもある程度可能であるが、有利には該水分散化物を約50℃以上の温度に加熱することにより粒子内架橋を促進するのが望ましい。或いはまた上記アクリル系共重合体の水分散化に際して、共重合体溶液又は水媒体中にオクチル酸錫、オクチル酸亜鉛、オクチル酸ジルコニウム、ジブチル錫ラウレートなどのシラノール基縮合触媒を加えて、該触媒の存在下で水分散化を行なうことによって、水分散化と同時に粒子内架橋をも行なうこともできる。
【0076】
このようにして製造されるゲル化微粒子重合体水分散液は、通常約10〜40重量%、好ましくは15〜30重量%の樹脂固形分含量を有することができる。また、分散粒子の粒径は、一般に0.5μm以下、好ましくは0.01〜0.3μm、より好ましくは0.05〜0.2μmの範囲内である。粒径の調整はアクリル系共重合体中のカチオン性基の量を調節することによって行なうことができ、容易に所望の範囲のものを得ることができる。
【0077】
カチオン電着塗料組成物
本発明のカチオン電着塗料組成物におけるアミノ基含有エポキシ樹脂(A)とブロック化ポリイソシアネート硬化剤(B)の配合割合としては、上記成分アミノ基含有エポキシ樹脂(A)とブロック化ポリイソシアネート硬化剤(B)の固形分合計質量を基準にして、アミノ基含有エポキシ樹脂(A)を50〜95質量%、好ましくは60〜90質量%、そしてブロック化ポリイソシアネート硬化剤(B)を5〜50質量%、好ましくは10〜40質量%の範囲内であることが好ましい。範囲を外れると、塗料特性、耐チッピング性、耐温塩水浸漬性のいずれかを損うことがある。
【0078】
なおアミノ基含有エポキシ樹脂(A)を樹脂成分として含むカチオン電着塗料の製造は、例えば、下記のようにして行うことができる。アミノ基含有エポキシ樹脂(A)及びブロック化ポリイソシアネート硬化剤(B)に加え、界面活性剤、表面調整剤等の各種添加剤、有機溶剤等を十分に混合して調合樹脂とした後、上記調合樹脂を有機カルボン酸等で中和し、水溶化又は水分散化してエマルションを得る。なお調合樹脂の中和には、一般的には、公知の有機カルボン酸を用いることができるが、中でも酢酸、ギ酸、乳酸又はこれらの混合物が好適である。次いで、エマルションに顔料分散ペーストを加え、水で調整することによってカチオン電着塗料を調製することができる。
【0079】
上記の顔料分散ペーストは、着色顔料、防錆顔料及び体質顔料などをあらかじめ微細粒子に分散したものであって、例えば、顔料分散用樹脂、中和剤及び顔料類を配合し、ボールミル、サンドミル、ペブルミル等の分散混合機中で分散処理して、顔料分散ペーストを調製できる。
【0080】
上記顔料分散用樹脂としては、公知のものが使用でき、例えば水酸基及びカチオン性基を有する樹脂、界面活性剤等、又は3級アミン型エポキシ樹脂、4級アンモニウム塩型エポキシ樹脂、3級スルホニウム塩型エポキシ樹脂などの樹脂を使用できる。上記顔料分散剤の使用量は、顔料類100質量部あたり1〜150質量部、特に10〜100質量部の範囲内が好適である。
【0081】
上記顔料類には、特に制限なく使用でき、例えば、酸化チタン、カーボンブラック、ベンガラ等の着色顔料;クレー、マイカ、バリタ、炭酸カルシウム、シリカなどの体質顔料;リンモリブデン酸アルミニウム、トリポリリン酸アルミニウム、酸化亜鉛(亜鉛華)等の防錆顔料;を添加することができる。
【0082】
さらに、腐食抑制又は防錆を目的として、ビスマス化合物を含有させることができる。上記ビスマス化合物としては、例えば、酸化ビスマス、水酸化ビスマス、塩基性炭酸ビスマス、硝酸ビスマス、ケイ酸ビスマス及び有機酸ビスマス等を用いることができる。
【0083】
また、塗膜硬化性の向上を目的として、ジブチル錫ジベンゾエート、ジオクチル錫オキサイド、ジブチル錫オキサイト゛等の有機錫化合物を用いることができる。これらの顔料類の配合量は、アミノ基含有エポキシ樹脂(A)とブロック化ポリイソシアネート硬化剤(B)との合計固形分100質量部あたり1〜100質量部、特に10〜50質量部の範囲内が好ましい。
【0084】
なお本発明のカチオン電着塗料組成物に使用できる有機溶媒は、例えば、アルコール系溶媒、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−ブチルアルコール、イソプロピルアルコール、2−エチルヘキサノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール;エーテル系溶媒、例えば、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノ2−エチルヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、3−メチル−3−メトキシブタノール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル;ケトン系溶媒、例えば、アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン、アセチルアセトン;エステル系溶媒、例えば、エチレングルコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等及びこれらの混合物が挙げられる。本発明において、カチオン電着塗料組成物浴中の上記有機溶剤の配合量が1.4〜2.3質量%であることが好ましい。
【0085】
塗膜形成方法について
本発明のカチオン電着塗料組成物を用いた塗膜形成方法は、被塗物として、自動車ボディ、2輪車部品、家庭用機器、その他の機器等が挙げられ、金属であれば特に制限なく使用できる。被塗物としての金属板としては、冷延鋼板、合金化溶融亜鉛めっき鋼板、電気亜鉛めっき鋼板、電気亜鉛−鉄二層めっき鋼板、有機複合めっき鋼板、Al板、Mg板など、並びにこれらの金属板を必要に応じてアルカリ脱脂等の表面を洗浄化した後、リン酸塩化成処理、クロメート処理等の表面処理を行ったものが挙げられる。
【0086】
カチオン電着塗料組成物は、電着塗装によって所望の基材表面に塗装することができる。カチオン電着塗装は、一般的には、脱イオン水等で希釈して固形分濃度が約5〜40質量%とし、さらにpHを5.5〜9.0の範囲内に調整した電着塗料組成物からなる電着浴を、通常、浴温15〜35℃に調整し、負荷電圧100〜400Vの条件で被塗物を陰極として通電することによって行うことができる。
【0087】
電着塗装後、通常、被塗物に余分に付着したカチオン電着塗料を落とすために、限外濾過液(UF濾液)、逆浸透透過水(RO水)、工業用水、純水等で十分に水洗する。
【0088】
電着塗膜の膜厚は、特に制限されるものではないが、一般的には、乾燥塗膜に基づいて5〜40μm、好ましくは12〜30μmの範囲内とすることができる。また、塗膜の焼き付け乾燥は、電着塗膜を電気熱風乾燥機、ガス熱風乾燥機などの乾燥設備を用いて、塗装物表面の温度で110℃〜200℃、好ましくは140〜180℃にて、時間としては10分間〜180分間、好ましくは20分間〜50分間、電着塗膜を加熱して行う。上記焼付け乾燥により塗膜を硬化させることができる。
【0089】
また、本発明のカチオン電着塗料組成物を電着槽に満たして浴として用い、
印加電圧200V、浴温28℃、3分間の条件で電着塗装したときの乾燥膜厚をM1(μm)とし、
印加電圧200V、浴温40℃、3分間の条件で電着塗装したときの乾燥膜厚をM2(μm)とした場合に、乾燥膜厚M2と乾燥膜厚M1との膜厚差(Δμm)が15μm以下、好ましくは12μm以下、さらに好ましくは10μm以下であれば、クリアランス塗装性が良好となる。
【実施例】
【0090】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。尚、「部」及び「%」は、別記しない限り「質量部」及び「質量%」を示す。
【0091】
アミノ基含有変性エポキシ樹脂(A)の製造
製造例1 基体樹脂No.1の製造例 (実施例用)
フラスコに、jER828EL(注1)1000部、ビスフェノールA 400部及びジメチルベンジルアミン0.2部を加え、130℃でエポキシ当量750になるまで反応させた。
【0092】
次に、ε−カプロラクトン100部、テトラブトキシチタン0.05部を加え、170℃に昇温し、4時間、170℃で反応させた。
【0093】
次にこのものにプラクセル205(注2)を100部、ジエタノールアミンを140部及びジエチレントリアミンのメチルイソブチルケトンでのケチミン化物を65部(純度84%)を加え120℃で4時間反応させた後、エチレングリコールモノブチルエーテルを400部加え、アミン価56、樹脂固形分80%の基体樹脂No.1を得た。
【0094】
(注1)jER828EL:ジャパンエポキシレジン社製、商品名、エポキシ樹脂、 エポキシ当量190、数平均分子量350
(注2)プラクセル205:ダイセル化学工業社製、商品名、ポリカプロラクトンポリオール化合物(前述の式(2)で表わされる化合物に相当。数平均分子量530)。
【0095】
製造例2 基体樹脂No.2の製造例 (実施例用)
フラスコに、jER828EL(注1)1000部、ビスフェノールA 400部及びジメチルベンジルアミン0.2部を加え、130℃でエポキシ当量750になるまで反応させた。
【0096】
次に、ε−カプロラクトン100部、テトラブトキシチタン0.05部を加え、170℃に昇温し、4時間、170℃で反応させた。
【0097】
次に、このものにプラクセル305(注3)を100部、ジエタノールアミンを140部及びジエチレントリアミンのケチミン化物を65部(純度84%)を加え120℃で4時間反応させた後、エチレングリコールモノブチルエーテルを400部加え、アミン価56、樹脂固形分80%の基体樹脂No.2を得た。
【0098】
(注3)プラクセル305:ダイセル化学工業社製、商品名、ポリカプロラクトンポリオール化合物(前述の式(3)で表わされる化合物に相当。数平均分子量550)。
【0099】
製造例3 基体樹脂No.3の製造例(比較例用)
jER828EL(注1)1010部にビスフェノールA390部及びジメチルベンジルアミン0.2部を加え、130℃でエポキシ当量800になるまで反応させた。次に、ジエタノールアミン160g及びジエチレントリアミンのケチミン化物65部を加え、120℃で4時間反応させた後、エチレングリコールモノブチルエーテル355部を加え、アミン価67、固形分80%の基体樹脂No.3を得た。
【0100】
製造例4 基体樹脂No.4の製造例(比較例用)
フラスコに、jER828EL(注1)1000部、ビスフェノールA 400部及びジメチルベンジルアミン0.2部を加え、130℃でエポキシ当量750になるまで反応させた。
【0101】
次に、プラクセル205(注2)を333部、ジエタノールアミンを126部及びジエチレントリアミンのケチミン化物を65部加え120℃で4時間反応させた後、エチレングリコールモノブチルエーテルを425g加え、アミン価48、樹脂固形分80%の基体樹脂No.4を得た。
【0102】
ブロック化ポリイソシアネート硬化剤(B)の製造
製造例5 硬化剤No.1溶液の製造(実施例用)
反応容器中に、プロピレングリコール152部及びメチルイソブチルケトン108部を加え、70℃に昇温した。この中に「コスモネートM−200」(商品名、三井化学社製、クルードMDI)275部を徐々に添加した後、90℃に昇温した。この温度を保ちながら、経時でサンプリングし、イソシアネート価が1以下になったことを確認し、固形分80%の硬化剤No.1溶液を得た。
【0103】
製造例6 硬化剤No.2溶液の製造(実施例用)
反応容器中に、プロピレングリコール114部、ジエチレングリコールモノエチルエーテル70部及びメチルイソブチルケトン115部を加え、70℃に昇温した。
【0104】
この中に「コスモネートM−200」275部を徐々に添加した後、90℃に昇温した。この温度を保ちながら、経時でサンプリングし、赤外線吸収スペクトル測定にて未反応のイソシアナト基の吸収がなくなったことを確認し、固形分80%の硬化剤No.2溶液を得た。
【0105】
製造例7 硬化剤No.3溶液の製造(実施例用)
反応容器中に、プロピレングリコール114部、ジエチレングリコールモノエチルエーテル70部及びメチルイソブチルケトン110部を加え、70℃に昇温した。この中にMDI(ジフェニルメタン−4,4'−ジイソシアネート)250部を徐々に添加した後、90℃に昇温した。この温度を保ちながら、経時でサンプリングし、イソシアネート価が1以下になったことを確認し、固形分80%の硬化剤No.3溶液を得た。
【0106】
製造例8 硬化剤No.4溶液の製造(比較例用)
反応容器中に、イソホロンジイソシアネート222部及びメチルイソブチルケトン99部を加え、50℃に昇温した。この中にメチルエチルケトキシム174部をゆっくり加えた後、60℃に昇温した。この温度を保ちながら、経時でサンプリングし、イソシアネート価が1以下になったことを確認し、固形分80%の硬化剤No.4溶液を得た。
【0107】
製造例9 硬化剤No.5溶液の製造(比較例用)
反応容器中に、「コスモネートM−200」275部及びメチルイソブチルケトン136部を加え、70℃に昇温した。ジエチレングリコールモノエチルエーテル268部をゆっくり加えた後、90℃に昇温した。この温度を保ちながら、経時でサンプリングし、イソシアネート価が1以下になったことを確認し、固形分80%の硬化剤No.5溶液を得た。
【0108】
エマルションの製造
製造例10 エマルションNo.1の製造例
製造例1で得られた基体樹脂No.1を75部(固形分70部)、製造例5で得られた硬化剤No.5を37.5部(固形分30部)混合し、さらに10%酢酸13部を配合して均一に攪拌した後、脱イオン水156部を強く攪拌しながら約15分間を要して滴下し、固形分34%のエマルションNo.1を得た。
【0109】
製造例11〜16 エマルションNo.2〜No.7の製造例
表1の配合内容とする以外は、製造例10と同様にして、エマルションNo.2〜No.7を得た。
【0110】
【表1】

【0111】
製造例17 顔料分散用樹脂の製造例
jER828EL(注1)1010部に、ビスフェノールAを390部、プラクセル212(ポリカプロラクトンジオール、ダイセル化学工業株式会社、商品名、重量平均分子量約1,250)240部及びジメチルベンジルアミン0.2部を加え、130℃でエポキシ当量が約1,090になるまで反応させた。
【0112】
次に、ジメチルエタノールアミン134部及び90%の乳酸水溶液150部を加え、120℃で4時間反応させた。次いで、メチルイソブチルケトンを加えて固形分を調整し、固形分60%のアンモニウム塩型樹脂系の顔料分散用樹脂を得た。上記分散用樹脂のアンモニウム塩濃度は、0.78mmol/gであった。
【0113】
製造例18 顔料分散ペーストの製造例
製造例17で得た固形分60%の顔料分散用樹脂8.3部(固形分5部)、酸化チタン14.5部、精製クレー7.0部、カーボンブラック0.3部、ジオクチル錫オキサイド1部、水酸化ビスマス1部及び脱イオン水20.3部を加え、ボールミルにて20時間分散し、固形分55%の顔料分散ペーストを得た。
【0114】
カチオン電着性ゲル化微粒子重合体(C)の製造
製造例19 カチオン電着性ゲル化微粒子重合体の製造例
攪拌装置、温度計、冷却管及び加熱マントルを備えた1フラスコに、イソプロピルアルコール320部を入れ、攪拌しながら還流温度(約83℃)まで昇温した。これに下記モノマー及び重合開始剤の混合物を還流温度下(約83〜87℃)で約2時間かけて滴下した:
スチレン 272部、n−ブチルアクリレート 224部、2−ヒドロキシエチルアクリレート 80部、ジメチルアミノエチルメタクリレート144部、KMB−503(注4)80部、アゾビスイソブチロニトリル24部 ついで、さらに30分間攪拌した後アゾビスジメチロバレロニトリル8部をイソプロピルアルコール120部に溶解した溶液を約1時間かけて滴下し、約1時間攪拌後、イソプロピルアルコール320部を投入し冷却した。かくして固形分51%、アミン価64、水酸基価48、数平均分子量約20,000のアクリル共重合体ワニスを得た。
【0115】
次に、アクリル共重合体ワニス780部に酢酸6.4部を加え、約30℃で5分間攪拌した後、脱イオン水1156部を強く攪拌しながら約30分間かけて滴下し、75〜80℃に昇温して約3時間攪拌を行った。 かくして、固形分20%の乳白色の粒子内架橋したカチオン電着性ゲル化重合体微粒子が得られた。
【0116】
(注4)KMB−503:γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業製)。
[カチオン電着塗料の製造]
実施例1
製造例10で得たエマルションNo.1を294部(固形分100部)、製造例20で得た55%の顔料分散ペーストを52.4部(固形分28.8部)、さらにカチオン電着性ゲル化重合体微粒子を37.5部(固形分7.5部)を加えて、脱イオン水260.1部を加え、有機溶剤量と固形分を調整して固形分20%のカチオン電着塗料No.1を得た。カチオン電着塗料No.1における浴中の有機溶剤量(注5)は、1.7質量%であった。
【0117】
(注5)浴中の有機溶剤量:各カチオン電着塗料をマイクロシリンジで10μlを採取し、GC−15A(島津製作所製、商品名、ガスクロマトグラフィー)に注入して、下記の条件で測定した:
条件:カラムWAX−10(スペルコ社製)、 カラム温度は5℃/min昇温にて、200℃まで、 キャリアガスは、Heにて測定した。
【0118】
実施例2〜8
実施例1と同様にして、表2で示されるような配合内容にてカチオン電着塗料No.2〜No.8を製造した。
【0119】
【表2】

【0120】
比較例1〜7
実施例1と同様にして、表3で示されるような配合内容にてカチオン電着塗料No.9〜No.15を製造した。
【0121】
【表3】

【0122】
試験板の作成
各々のカチオン電着塗料をパルボンド#3065(日本パーカライジング社製、商品名、リン酸亜鉛化成処理剤)による化成処理を施した冷延鋼板(0.8mm×150mm×70mm)を試験板として、下記試験内容に従い電着塗装を行った。試験結果を表4及び表5に示す。
【0123】
【表4】

【0124】
【表5】

【0125】
(注6)浴温(℃)〜膜厚(μm):上記冷延鋼板に、各カチオン電着塗料を用い、200Vにて3分間、浴温28℃にて、電着塗装を行った。同様に、上記冷延鋼板に、各カチオン電着塗料を用い、200Vにて3分間、浴温40℃にて、電着塗装を行った。それぞれの乾燥膜厚を測定し、各々の膜厚差(△μm)を求めた。
【0126】
(注7)クリアランス塗装性:図3のような「2枚合わせ試験板」を用い、2枚の鋼板の間に挟むスペーサーは100μmのものを挟んだ。
電着塗装条件が、陰極/陽極=1/2、極間距離15cm、印加電圧200V、浴温28℃、3分間通電で電着塗装を行った。電着塗装後クリップをはずし、試験板の内側のつきまわり性を試験板の開口部からの到達距離を測ることによって求めた:
◎:隙間内部に未塗装部無し
○:試験板の開口部から10mm以上で、12mm未満
△:試験板の開口部から5mmを超え、かつ10mm未満の範囲
×:試験板の開口部から5mm未満。
【0127】
(注8)エッジ防食性:カッター刃(刃角度20度、長さ10cm、リン酸亜鉛処理)に、浴温28℃で、通電時間を調整し、電着塗装を行って一般面で15μmの膜厚になるように試験板を作成した。
次に、これをJISZ−2371に準じて168時間耐塩水噴霧試験を行い、エッジ部を以下の基準で評価した:
◎:錆の発生個数が30個以下/10cm
〇:錆の発生個数が31〜49個/10cm
×:錆の発生個数が50個/10cm以上。
【0128】
(注9)仕上り性:パルボンド#3065(日本パーカライジング社製、商品名、リン酸亜鉛処理剤)で化成処理した0.8×150×70mmの冷延鋼板を、各カチオン電着塗料に浸漬し、浴温28℃で、通電時間を調整し、乾燥膜厚20μmになるように電着塗装を行って得た塗膜を熱風乾燥機によって170℃で20分間焼き付けて、電着塗膜の表面粗度を、サーフテスト301(株式会社 ミツトヨ社製、商品名、表面粗さ測定機)でRa値を測定した:
◎:Ra値が、0.22未満
〇:Ra値が、0.22以上で、かつ0.25未満
△:Ra値が、0.25以上で、かつ0.35未満
×:Ra値が、0.35以上。
【産業上の利用可能性】
【0129】
本発明は、クリアランス塗装性、エッジ防食性、仕上がり性に優れた塗装物品を提供できる。
【符号の説明】
【0130】
1.スポット溶接された鋼板の隙間(クリアランアス)部のモデル図を示す。
2.50〜600μmの隙間(クリアランス)部である。
3.スポット溶接部である。
4.クリップで2枚の鋼板(下板/上板)を貼り合わせる。
5.L字状の上板の鋼板である。
6.スペーサーを挟んで隙間を作る。
7.2枚の鋼板の隙間(クリアランス)部であり、塗装時に塗料が浸入する。
8.試験板の内側で、未塗装部分である。
9.試験板の内側で、塗装部分である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アミノ基含有エポキシ樹脂(A)、
プロピレングリコールを含有する活性水素含有成分とポリイソシアネート化合物とを反応させてなるブロック化ポリイソシアネート(B)、及び
カチオン電着性ゲル化微粒子重合体(C)
を含有するカチオン電着塗料組成物であって、
該アミノ基含有エポキシ樹脂(A)が、変性エポキシ樹脂(a1)に、ポリカプロラクトンポリオール化合物(a2)及びアミノ基含有化合物(a3)を反応させてなるポリオール変性アミノ基含有エポキシ樹脂であり、
該変性エポキシ樹脂(a1)が、水酸基含有エポキシ樹脂(a11)にカプロラクトン(a12)を付加して得られるものであり、
該カチオン電着性ゲル化微粒子重合体(C)が加水分解性アルコキシシラン基及びカチオン性基を含有するアクリル共重合体を架橋することにより得られるものであり、
カチオン電着塗料組成物における該カチオン電着性ゲル化微粒子重合体(C)の配合割合が、固形分比で、アミノ基含有エポキシ樹脂(A)とブロック化ポリイソシアネート化合物(B)との合計100質量部に対し、0.1〜20質量部である、
カチオン電着塗料組成物。
【請求項2】
カチオン電着塗料組成物浴中の有機溶剤量が1.4〜2.3質量%である請求項1に記載のカチオン電着塗料組成物。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のカチオン電着塗料組成物であって、
当該カチオン電着塗料組成物の浴を用い、浴温28℃、印加電圧200V、3分間の条件で電着塗装した場合の乾燥膜厚をM1(μm)とし、
当該カチオン電着塗料組成物の浴を用い、浴温40℃、印加電圧200V、3分間の条件で電着塗装した場合の乾燥膜厚M2を(μm)とした場合に、
乾燥膜厚M2と乾燥膜厚M1との膜厚差(Δμm)が15μm以下となる、カチオン電着塗料組成物。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のカチオン電着塗料組成物の浴を用いた電着塗装によって得られた塗装物品。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−18901(P2013−18901A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−154666(P2011−154666)
【出願日】平成23年7月13日(2011.7.13)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【出願人】(000001409)関西ペイント株式会社 (815)
【Fターム(参考)】