説明

塗料組成物

【課題】発色性が良好でかつ発色耐久性も良好で、簡便に経時的な発色性能が低下せず実用的な耐用期間(特に屋外において)を有する検知塗膜を形成可能な塩基性ガス又は酸性ガス検知塗料を提供すること。
【解決手段】塗膜形成樹脂と白色無機顔料と分散剤と塩基性ガス(アルカリガス)又は酸性ガスと反応して変色(発色)可能な発色剤とを含有する塩基性ガス又は酸性ガス検知塗料。前記分散剤がカルボン酸導入オリゴマー(不飽和多価カルボン酸共重合体)であり、前記発色剤がスルフォフタレイン系pH指示薬又はアリザリンである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗料組成物に関し、特に、屋外もしくは屋内でアンモニア等の塩基性ガス(アルカリガス)、更には、各種酸性ガスを使用している装置もしくはプラント(配管)からの漏洩(ガス漏れ)を変色によりガス漏れ検知をするのに好適な塗料に関する。
【0002】
ここでは、ガス漏れ検知の対象ガスとして塩基性ガスであるアンモニアを例に採り説明するが、他のアミン系等の塩基性有機ガスや、さらには、塩化水素、硫化水素等の酸性ガスの漏れ検知にも、本発明の塗料組成物は適用可能である。
【背景技術】
【0003】
アンモニアガスは、様々な工業分野に用いられているが、その有毒性と可燃性により人災を引き起こしたりする。このようなガス漏れを検知する方法として、1)ガス検知器、2)容器等の圧力変化による検知方法が考えられる。
【0004】
しかし、上記、1)ガス検知器や2)容器の圧力変化による方法では、塩基性ガスの漏れ箇所の特定には多大な労力と時間を要する。また、屋外や工場等の大きな開放空間のあるところでは、多数のガス検知器を設置する必要があり、コストが更に嵩んだ。
【0005】
そこで、特許文献1・2等にタンク溶接後の溶接不良(微小漏洩)を検知する従来技術として記載されている「漏洩防止面の一方にアンモニアガスを封入し、アンモニアガスに鋭敏に反応する物質を含むペイントを吹き付け、同ペイントを漏洩孔を潜通するアンモニアで変色させて漏洩孔の所在を検知する方法」を、応用することが考えられる。
【0006】
しかし、本発明者らが、市販の汎用塗料に発色剤(pH指示薬)を添加した塗料組成物を用いてガス漏れ検知を行ったところ、検知(視認)容易な変色性(以下「発色性」という。)及び該発色性の維持(以下「発色耐久性」という。)に問題があることが分かった。
【0007】
なお、特許文献1・2には、どのような塗料組成物を使用するかは、一切記載されていない。
【特許文献1】実願昭57−147979号(実開昭59−53271号)の願書に添付の明細書等のマイクロフィルム(第1頁最下段)
【特許文献2】実願昭57−147980号(実開昭59−53272号)の願書に添付の明細書等のマイクロフィルム(第1頁最下段)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記にかんがみて、塩基性ガス及び/又は酸性ガスに対する発色性が良好でかつ発色耐久性も良好で、簡便にプラント等稼動中の塩基性ガス及び/又は酸性ガスのガス漏れを検知可能な塗料組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決するために、鋭意開発に努力をする過程で、通常の塗料に配合する汎用の分散剤では、また、発色剤も特定以外のものでは、余り発色性が良好でなく、さらには、塗料組成物の顔料中における酸化チタン(チタニア)が過剰であると発色剤耐久性(経時発色性)を低下させることを見出して、下記構成の塗料組成物に想到した。
【0010】
塗膜形成樹脂と白色無機顔料と分散剤と塩基性ガス及び/又は酸性ガスと反応して変色(発色)可能な発色剤とを含有する塗料組成物であって、
前記分散剤がカルボン酸導入オリゴマー(不飽和多価カルボン酸共重合体)であることを特徴とする。
【0011】
分散剤を上記特定のものとすることにより、発色性及び発色耐久性が良好である。
【0012】
上記カルボン酸導入オリゴマーは、酸価(acid value)100〜200mgKOH/gのものを使用することが望ましい。
【0013】
また、カルボン酸導入オリゴマーの配合量が前記白色無機顔料に対して、0.005〜0.1質量倍とする。過少では添加効果(顔料の分散性)を得難く(例えば、発色時の色ムラが生じる。)、過剰では、発色耐久性を期待できず無駄である。
【0014】
そして塩基性ガス及び/又は酸性ガスと反応して変色可能な発色剤としては、スルホフタレイン系pH指示薬又はアリザリンの群から選択することが、発色性が良好で、かつ、分散剤であるカルボン酸導入オリゴマーとの親和性が良好である。なお、pH指示薬は、酸塩基指示薬と称されるもので、変色域の両側それぞれ酸性色及び塩基性色(アルカリ性色)を示し、適度な変色域のpH指示薬を選ぶことにより、酸性ガス及び塩基性ガスの双方のガス(漏れ)検知が可能となる。
【0015】
上記スルホフタレイン系pH指示薬としては、ブロムクレゾールグリーン、ブロムチモールブルー、ブロムクレゾールパープル、ブロムフェノールブルー、ブロムフェノールレッド、ブロムキシレノールブルーの群から選択することが、発色性が良好で好ましい。
【0016】
発色剤の塗膜形成成分中の含有量は、好ましくは、約0.1〜10質量%、更に好ましくは、約0.1〜5質量%とする。
【0017】
過少では検知可能な発色性を得難く、また、過剰であると、黒色化しやすくて検知が困難となる。
【0018】
上記各構成において、白色無機顔料を酸化チタン顔料としたとき、酸化チタンの前記塗膜形成樹脂に対する配合比率が約0.5質量倍以下、望ましくは、0.05質量倍以下とする。
【0019】
酸化チタンが過剰では発色性老化が促進されやすく、発色耐久性が低下する。
【0020】
本発明の塗料組成物は、例えば、アンモニアガス検知用とする。
【0021】
そして、本発明の塗料組成物の使用態様は、下記各構成となる。
【0022】
塩基性ガス又は酸性ガスの流通配管・機器又は貯蔵タンク等の漏れのおそれがある部位(接続部)又はその近傍外面に、前記いずれかの塗料組成物を塗布して塩基性ガス又は酸性ガス検知塗膜が形成されてなることを特徴とする塩基性ガス又は酸性ガス検知構造。
【0023】
通気性粘着テープの一面に、前記いずれかの塗料組成物で塩基性ガス又は酸性ガス検知塗膜が積層されてなることを特徴とする塩基性ガス又は酸性ガス検知テープ。
【0024】
上記各構成において、発色剤の塗膜形成成分中の含有量が高い(例えば、10質量%値に近い)場合には、塩基性ガス又は酸性ガス検知塗膜の上に更にクリアー塗膜を形成することが望ましい。光にさらされることによる発色剤の黒色化を抑制することができるためである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の塗料組成物を塩基性ガス検知塗料として使用する場合について説明する。以下の説明で、配合単位を示す「%」、「倍」は、それぞれ、「質量%」及び「質量倍」を意味する。
【0026】
また、含有量の基準は、溶剤等の希釈剤を除く塗膜成分の合計量を意味し、ここでは、
塗膜成分は、塗膜形成樹脂、塗膜副要素(分散剤、pH指示薬その他の副要素)及び顔料からなる。
【0027】
塩基性ガス検知塗料(塗料組成物)は、基本的には、塗膜形成樹脂と白色無機顔料と塩基性ガスと反応して変色(発色)可能な発色剤を含有するものである。
【0028】
ここで、塗料の形態は、溶剤形、エマルション形、サスペンション形(水系)を問わない。
【0029】
塗膜形成樹脂としては、少しでもガス透過性を有するものなら特に限定されず各種合成樹脂系、ゴム系のものが使用できる。例えば、アクリル樹脂系、アルキド樹脂系、ポリエステル系、塩化ビニル樹脂系、塩化ゴム系等を使用できる。なお、ウレタン樹脂は、使用不可である。本発明者は発色剤(pH指示薬)の発色機能を無力化することを確認している。
【0030】
白色無機顔料としては、酸化チタン(チタン白)、酸化亜鉛、硫酸バリウム、硫酸亜鉛等を使用できる。通常、屈折率が高い(白色性に優れている)酸化チタンを全体又は主体として使用することが多い。発色性の向上(発色の鮮明化)に寄与するためである。
【0031】
そして、酸化チタンの白色無機顔料としては、酸化チタン上に、ケイ素、ジルコニウム、アルミニウム、等の金属酸化物をコーティングしたものがある。
【0032】
本塗料組成物は、白色無機顔料を使用するため、分散剤を必須とする。しかし、市販一般的な分散剤では、発色剤の発色機能維持が困難なことが分かった。そして、カルボン酸導入オリゴマー(不飽和多価カルボン酸共重合体)が、発色性(発色機能)を阻害せず発色剤老化防止機能を有することを見出した。
【0033】
カルボン酸導入オリゴマーとしては、通常、酸価(acid value)が、100〜200mgKOH/gであるもの、より具体的には、ドイツBYK Chemie社から「BYK−P−104」の商品名で製造販売されているもの又はその均等物を挙げることができる。
【0034】
上記発色剤としては、スルホフタレイン系pH指示薬又はアリザリンの群から選択することが望ましいことを確認している。pH指示薬は酸塩基指示薬とも称され、変色域の両側にそれぞれ酸性色及び塩基性色を示し、アンモニア検知ばかりでなく、酸性ガス検知に対しても適用可能性を有する。
【0035】
アリザリンの群としては、例えばアリザリンの他、アリザリンレッド、アリザリンブルー、アリザリンイエロー等を挙げることができる。
【0036】
スルホフタレイン系pH指示薬(発色剤)としては、より具体的には、ブロムクレゾールグリーン、ブロムチモールブルー、ブロムクレゾールパープル、ブロムフェノールブルー、ブロムフェノールレッド、ブロムキシレノールブルー等を好適に使用できる。以上のpH指示薬は、一般的に、発色性が良好であり、特にアンモニアに対する発色性が良好であることを確認している。特にこれらのうちで、ブロムクレゾールグリーンが発色性及び発色耐久性(維持性)が良好であることを確認している。
【0037】
すなわち、ガラス管中に、72種類の発色剤(ほとんどがpH指示薬)を表面付着してシリカゲルを充填し、アンモニアガスを流して発色状況を確認した。72種類中、41種類が発色を示した(明瞭なものから不明瞭なものまで種々存在した。)。これらのうちで、以下の条件に合致するものを除外して選定した。いずれも、パイプ等の地色(錆を含む)との識別が容易でないことによる。
【0038】
1)茶褐色や錆類似色の発色
2)黒色や灰色等の暗色の発色
3)アンモニアガスとの反応前に黒色、灰色等暗色の色相であるもの
上記発色剤の含有量(塗膜形成成分全体における)は、pH指示薬の発色性によるが、通常、約0.1〜10%、好ましくは約0.1〜5.0%であり、更に好ましくは約0.5〜2.0%とする。
【0039】
発色剤が過少では、視認可能な発色性を得難く、過多であると、それ以上の視認性の増大を期待できず、無駄であるとともに耐久性に問題がある。アンモニアガス検知(透過)前に黒色化して検知不能であることを確認している。
【0040】
そして、上記白色無機顔料として酸化チタン顔料を過剰に使用すると、発色剤老化現象が促進されることを見出した。
【0041】
そして、酸化チタンを使用する場合は、塗膜形成樹脂に対する配合比率を、約0.5倍以下、望ましくは0.1倍以下、さらに望ましくは、0.05倍以下とする。酸化チタンは、白色系顔料中で、一番屈折率が高く、白色度の高い塗膜を得やすいが、配合比率が高いと、発色剤老化現象が促進される。なお、市販の白色塗料における塗膜形成樹脂に対する酸化チタンの配合比率は、通常、0.5倍超と、多いものでは1〜2倍配合されている。
【0042】
そして、上記構成の塗料組成物は、塩基性ガス(例えばアンモニア)検知用塗料であるので、適宜濃度に溶剤または水等で希釈して、塩基性ガス(例えばアンモニア)の流通配管・機器又は貯蔵タンク等の漏れるおそれがある部位(接続部)又はその近傍外面に、本塗料組成物を塗布する(図1参照)。こうして塩基性ガス漏れ検知塗膜を形成して、アンモニアガスの漏れ検知を行う。当該塩基性ガス検知塗料の上には、クリアー塗膜を形成してもよい。
【0043】
また、前述の特許文献1・2の請求項に記載されている如く、通気性粘着テープ(例えばポリエステルフィルム)の一面に上記塗料組成物で塩基性ガス又は酸性ガス検知塗膜が積層して、塩基性ガス又は酸性ガス検知テープとすることもできる。
【実施例】
【0044】
以下、本発明を実施例に基づいて、更に詳細に説明をする。
(1)塩基性ガス検知塗料の調製
<実施例1>
非水分散系のアクリル樹脂溶液(溶剤:シンナー)において、酸化チタンを樹脂に対して、0.005倍とカルボン酸導入オリゴマー系分散剤(「BYK−P−104」固形分50%)を酸化チタンに対して0.05倍(固形分換算:0.025倍)添加し、ブロムクレゾールグリーンが塗膜成分中濃度1.0%となるように添加して実施例1のアンモニア検知塗料を調製した。
【0045】
<実施例2>
実施例1において、ブロムクレゾールグリーンの塗膜成分中濃度を5.0%となるように添加して実施例2のアンモニア検知塗料を調製した。
【0046】
(2)発色性耐久試験
150mm×75mmの鋼版の試験片を3種ケレン(下地処理方法のこと。(ヤスリ,ブラシなどで錆を除去、ただし、強固な黒皮はそのままとする)により下地処理を行い、その上へ亜酸化鉛錆止め塗料で下塗りを行いフタル酸塗料の白色塗料で上塗りを行って試験片基材とした。これは、火力発電所などにおける配管設備における塗膜構成に合致させたものである。
【0047】
そして、当該試験片基材を下記各方法に従って調製した試験片について、屋外暴露試験(JISK5600に準拠)を18ヶ月行った後、各試験片をアンモニアガス(濃度100%)に10min接触させてアンモニア検知能力を確認した。いずれの試験例においても、十分な発色性を示し、発色耐久性を有することが確認できた。
【0048】
<試験例1>
試験片基材表面に、実施例1の塗料を塗布して塩基性ガス検知塗膜を形成して試験片とした。
【0049】
<試験例2>
試験片基材表面に実施例2の塗料を塗布しアンモニア検知塗膜を形成し、更に、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤を配合した市販クリアー塗料(アクリル系)で保護クリア塗膜を形成して試験片とした。
【0050】
<試験例3>
塩化ビニル系白色フィルムに粘着剤を付着させたテープ上に前記実施例1の塗料を積層塗布して塩基性ガス検知テープを、試験片基材表面に貼り付けて試験片とした。
【0051】
<試験例4>
試験例3において実施例2の塗料を用いて試験片とした。
(3)補足試験
以下、本発明の完成の過程で行った各種補足試験の概要を説明する。
【0052】
1)塗膜形成樹脂に対する酸化チタン顔料の配合比率の範囲(上限0.5倍)について
(a)市販塗料などとの比較試験
塩化ゴム系,塩化ビニル系の市販塗料にブロムクレゾールグリーン1%となるように混合し、屋外で発色耐久性試験を実施した。(屋外1週間,3ヶ月)
市販塗料は酸化チタンの量が樹脂に対して0.5〜2倍程度の範囲であると言われている。
【0053】
[結果]
室内で塗布した場合は3ヶ月使用しても、劣化しないのに対して、両塗料とも、屋外で発色しなくなり(劣化が見られ)、3ヶ月ではまったく発色しなかった。
つまり、室内での発色に比べて、屋外では劣っている結果が明らかとなった。
【0054】
(b)酸化チタン顔料の混合量による耐久性試験
i)塗膜形成樹脂に対して0.1、0.2、0.3及び0.5倍の配合比率の酸化チタン
に混合し、耐久性試験を行なった。(促進試験 屋外40日相当)
[結果]
室内保存のものと比較し、酸化チタン量が多くなるに従い、発色が悪く(薄く)なった。0.5倍の場合は、発色が悪く(薄く)なるが、少なくとも40日相当は発色性が維持された。
【0055】
ii)塗膜形成樹脂に対して0.001、0.01及び0.05倍の配合比率で酸化チタ
ンを添加し、耐久性試験を行なった。(促進試験 屋外8ヶ月相当)
[結果]
室内保存のものと比較し、酸化チタン0.05倍の場合はやや発色性の低下が見られたが、0.001倍、0.01倍の各場合は、ほとんど発色性の低下が見られかなった。
【0056】
iii)酸化チタンを含まないものと、樹脂に対して0.001倍の酸化チタンを含むものの発色性比較試験を行った。
【0057】
[結果]
酸化チタン顔料を含まない場合であっても発色が確認されたが、酸化チタン顔料を含まないものより0.001倍の試験片のほうが、発色性がやや良いことが判明した。
【0058】
iv)酸化チタン顔料が少ないと、塗料としての隠蔽性に劣るが、18ヶ月以上の長期的
な耐候性が現れた。
【0059】
2)屋外長期暴露試験(オーバーコートの意味、pH指示薬の量について)
酸化チタン濃度は塗料樹脂に対し、0.005倍のサンプルと、0.3倍のサンプルとした。また、低濃度酸化チタンのサンプルには、ブロムクレゾールグリーン塗膜成分中濃度を1%及び5%を含有したものを試験した。ただし、ブロムクレゾールグリーンを5%含有させたものについては、焦げ状に変色するのを防止する目的で光安定剤等を配合したクリアー塗料をオーバーコートした。
【0060】
[結果]
酸化チタン0.3倍/ブロムクレゾールグリーン1%/オーバーコート無し、
焦げ無し
寿命6〜9ヶ月
酸化チタン0.005倍/ブロムクレゾールグリーン1%/オーバーコート無し、
焦げ無し
寿命18ヶ月以上
酸化チタン0.005倍/ブロムクレゾールグリーン1%/オーバーコート有り、
焦げ無し
寿命18ヶ月以上
3)耐侯性試験機促進試験
耐候性試験機として、サンシャインカーボンアーク灯式耐候性試験機(ウェザロメータ:米国Atlas社商品名)を用いた。
【0061】
室内保存のものと比較し、ブロムクレゾールグリーンの濃度が高いほうが耐久性向上(発色性)の傾向が見られるが、時間の経過にしたがい、焦げ状の変色が部分的に発生する状況が見られた。特にブロムクレゾールグリーン10%のものは焦げ状の変色部分が大きいが、判別能力は有していた。10%を超えると、焦げ状の部分が塗料面の大部分を占めることとなって、検知した際の発色の視認が困難となる。10%以下では、視認に問題はないが、オーバーコートをすれば、焦げ状の変色はない。また、0.1%未満では、(量が少なすぎて)検知した際の十分な発色が得られない。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の塗料組成物の配管接続部における塗布部位を示す斜視図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗膜形成樹脂と白色無機顔料と分散剤と塩基性ガス及び/又は酸性ガスと反応して変色(発色)可能な発色剤とを含有する塗料組成物であって、
前記分散剤がカルボン酸導入オリゴマー(不飽和多価カルボン酸共重合体)であることを特徴とする塗料組成物。
【請求項2】
前記カルボン酸導入オリゴマーの酸価(acid value)が、100〜200mgKOH/gであることを特徴とする請求項1記載の塗料組成物。
【請求項3】
前記カルボン酸導入オリゴマーの配合量が前記白色無機顔料に対して、0.005〜0.1質量倍であることを特徴とする請求項1又は2記載の塗料組成物。
【請求項4】
前記塩基性ガス及び/又は酸性ガスと反応して変色可能な発色剤が、スルホフタレイン系pH指示薬又はアリザリンの群から選択されることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の塗料組成物。
【請求項5】
前記スルホフタレイン系pH指示薬がブロムクレゾールグリーン、ブロムチモールブルー、ブロムクレゾールパープル、ブロムフェノールブルー、ブロムフェノールレッド、ブロムキシレノールブルーの群から選択されることを特徴とする請求項4記載の塗料組成物。
【請求項6】
前記発色剤の塗膜形成成分中の含有量が0.1〜10質量%であることを特徴とする請求項1〜4いずれかに記載の塗料組成物。
【請求項7】
前記発色剤の塗膜形成成分中の含有量が0.1〜5質量%であることを特徴とする請求項6記載の塗料組成物。
【請求項8】
前記白色無機顔料が酸化チタンであり、その前記塗膜形成樹脂に対する配合比率が0.5質量倍以下であることを特徴とする請求項1〜7いずれかに記載の塗料組成物。
【請求項9】
前記酸化チタンの前記塗膜形成樹脂に対する配合比率が0.05質量倍以下であることを特徴とする請求項8記載の塗料組成物。
【請求項10】
アンモニアガス検知用であることを特徴とする請求項1〜9いずれかに記載の塗料組成物。
【請求項11】
塩基性ガス又は酸性ガスの流通配管・機器又は貯蔵タンク等の漏れのおそれがある部位(接続部)又はその近傍外面に、請求項1〜10いずれかに記載の塗料組成物を塗布して塩基性ガス又は酸性ガス検知塗膜が形成されてなることを特徴とする塩基性ガス又は酸性ガス検知構造。
【請求項12】
前記塩基性ガス又は酸性ガス検知塗膜の上に更にクリアー塗膜が形成されてなることを特徴とする請求項11記載の塩基性ガス又は酸性ガス検知構造。
【請求項13】
通気性粘着テープの一面に請求項1〜10いずれかに記載の塗料組成物で塩基性ガス又は酸性ガス検知塗膜が積層されてなることを特徴とする塩基性ガス又は酸性ガス検知テープ。
【請求項14】
前記塩基性ガス又は酸性ガス検知塗膜の上に更にクリアー塗膜が形成されてなることを特徴とする請求項11記載の塩基性ガス又は酸性ガス検知テープ。

【図1】
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【公開番号】特開2006−90971(P2006−90971A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−280030(P2004−280030)
【出願日】平成16年9月27日(2004.9.27)
【出願人】(000213297)中部電力株式会社 (811)
【Fターム(参考)】