塗料組成物

【課題】顔料で着色された所定の大きさの無機粒子と、所定長さの繊維とを所定量ずつ塗料組成物中に含有させることにより、1工程で、すなわち、本発明による塗料組成物を塗布するだけで、「芝」あるいは「草原」調の質感を容易に得ることができるようにする。
【解決手段】塗料組成物中に、少なくとも、顔料で着色された粒径30〜300μの無機粒子が5〜30重量パーセント、繊維長さ0.5〜10mmの繊維が5〜30重量パーセント含まれている。より好ましくは、無機粒子の重量(添加量)および繊維の重量(添加量)がいずれも、5〜30重量パーセントの場合であって、無機粒子の粒径が80〜180μ、繊維長さが2〜5mmの場合である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも、顔料で着色された所定の大きさの無機粒子と、所定長さの繊維とを所定量ずつ含有する塗料組成物に関し、さらに詳しくは、「芝」あるいは「草原」調の質感を得るのに適した塗料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ジオラマその他の模型製作において、例えば、「芝」あるいは「草原」調の質感を得ようとする場合には、通常、塗料をあらかじめ塗布しておき、塗布されたその塗料に接着剤を用いて市販されているパウダーや、スポンジ、繊維などを接着させる方式を採っている。塗料自体を接着剤とし、塗布されたその塗料に市販されているパウダーや、スポンジ、繊維などを接着させる方式を採る場合もある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このように、従来の場合には、パウダーや、スポンジ、繊維などを後から接着させる方式を採っているから、少なくとも、塗料ないし接着剤を塗布する工程と繊維を接着させる工程の2工程を要する。
【0004】
また、市販されている絵具あるいは塗料に繊維を混ぜ込んで塗布した場合には、絵具あるいは塗料に含まれている顔料が非常に細かいため、繊維を覆ってしまい、粒子と繊維の区別ができず、自然に近い表現を得ることができないだけでなく、陰影も不自然であり、要求されるような質感を得ることができない。
【0005】
なお、スウェード調の質感を出すための塗料組成物として、合成樹脂の粒子表面を着色した粒径10〜80μの着色高分子粉粒体と、長さ0.3〜10mmの繊維とを含有するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】特開平6−25564号公報
【0007】
しかしながら、上記塗料組成物はスウェード調の質感を出すためのものであるため、含まれている合成樹脂製の「粒子」の表面にざらつきは無く、極めて滑らかでツルツルしており、また、合成樹脂製の「粒子」は緻密で、柔らかいものである。一方、別の成分である「繊維」も、細くて小さい。したがって、前記「粒子」と前記「繊維」とを含有する塗料組成物を用いて「芝」あるいは「草原」調の質感を得ようとしても、塗膜中に繊維が埋もれてしまい、「芝」あるいは「草原」調の質感を得ることができない。
【0008】
本発明では、顔料で着色された所定の大きさの無機粒子と、所定長さの繊維とを所定量ずつ塗料組成物中に含有させることにより、1工程で、すなわち、本発明による塗料組成物を筆、刷毛、コテなどで塗布するだけで、「芝」あるいは「草原」調の質感を容易に得ることができるようにしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明では、塗料組成物中に、少なくとも、顔料で着色された粒径30〜300μの無機粒子が5〜30重量パーセント、繊維長さ0.5〜10mmの繊維が5〜30重量パーセント含まれている。この塗料組成物を塗布した場合には、「芝」あるいは「草原」調の質感を容易に得ることができる。
【0010】
あらかじめ着色された粒径30〜300μの無機粒子は、比較的長い繊維全体を覆うほどの着色ができないため、繊維本来の色も残すことができる。したがって、着色された無機粒子によって、繊維のうち着色された部分と繊維本来の色を残している部分とがそのまま表出され、この着色ムラによってできる陰影によって、自然調により近い「芝」あるいは「草原」調の質感を得ることができる。
【0011】
また、本発明で用いられる無機粒子の表面は天然素材のようにざらざらしており、本物の小石や砂利あるいは砂のような質感があり、表面も比較的硬い。したがって、この無機粒子を含有する塗料組成物を用いた場合には、合成樹脂製の極めて滑らかでツルツルしている粒子を用いた場合に比べて、自然界に存在する小石や砂利あるいは砂のような質感を醸し出すことができ、自然調により近い「芝」あるいは「草原」調の質感を得ることができる。
【0012】
かくして、本発明による塗料組成物を塗布した場合には、「芝」あるいは「草原」調の質感を容易に得ることができる。
【0013】
無機粒子の粒径が30μ未満では、塗布された塗料組成物を視認し難く、ざらつきも小さくなることから、要求されるような質感を得ることができない。逆に、無機粒子の粒径が300μを越えると、繊維とのバランス、および、筆さばき性能、刷毛さばき性能、あるいは、コテさばき性能が極端に悪くなるので、これまた、好ましくない。
【0014】
一方、繊維の長さが0.5mm未満では、繊維が短か過ぎるため、「芝」あるいは「草原」調の質感を出すには不向きである。逆に、繊維の長さが10mmを越えると、繊維が長過ぎるため、筆さばき性能、刷毛さばき性能、あるいは、コテさばき性能が極端に悪くなるのみならず、本発明による塗料組成物を使用する模型製作の場面では、繊維が長過ぎるために模型としてのスケール(縮小率)に合致せず、要求されるような質感を得ることができないので、これまた、好ましくない。
【0015】
さらに、前記無機粒子の重量(添加量)は5〜30重量パーセント、また、前記繊維の重量(添加量)も5〜30重量パーセントである。無機粒子の重量(添加量)が5重量パーセント未満では、粒子量が少な過ぎるため、本物の小石や砂利あるいは砂のような質感が得られない。逆に、無機粒子の重量(添加量)が30重量パーセントを越えると、粒子が多過ぎて要求される「芝」あるいは「草原」調の質感が得られないので、これまた、好ましくない。また、繊維の重量(添加量)が5重量パーセント未満では、添加量が少な過ぎて「芝」あるいは「草原」調の質感が得られない。逆に、繊維の重量(添加量)が30重量パーセントを越えると、本塗料組成物を塗布した際繊維が密になり過ぎて繊維同士が絡み合い、極端に塗布しにくくなるので、これまた、好ましくない。
【0016】
無機粒子の重量(添加量)および繊維の重量(添加量)が上記範囲内(いずれも、5〜30重量パーセント)の場合において、無機粒子の粒径と繊維長さのより好ましい範囲は、無機粒子の粒径が80〜180μ、繊維長さが2〜5mmの場合である。
以下に示す外観評価試験を実施したところ、無機粒子の粒径と繊維長さの各数値が上に示す場合のときに、「芝」あるいは「草原」調の質感を得るための塗料組成物として理想的であると判断できるとともに、自然調により近い、または、自然調に極めて近い、「芝」あるいは「草原」調の質感を容易に得られることを確認することができた。すなわち、以下に示す外観評価試験において、判定基準が4点以上(4点:全体的に「芝」あるいは「草原」の質感が綺麗に出ており、5点に非常に近いが、若干見劣りする。5点:全体的に「芝」あるいは「草原」の質感が非常に綺麗に出ており、特に指摘するようなところはない。)に相当する場合が、無機粒子の粒径と繊維長さのより好ましい条件であるとすることができる。
【0017】
そして、このような塗料組成物を使用する可能性が最も高いのは模型製作の場合であって、この模型製作に適する前記各パラメータの好ましい場合を模索したところ、無機粒子の重量(添加量)と繊維の重量(添加量)が上に示す範囲内であって、無機粒子の粒径と繊維長さが上に示す範囲内である場合がより好ましいことを、合わせて確認することができた。
【発明の効果】
【0018】
請求項1記載の塗料組成物を塗布した場合には、「芝」あるいは「草原」調の質感を容易に得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明を実施するための形態について、以下詳細に説明する。本発明による塗料組成物に含まれる成分は、次の5つである。
(1) 顔料で着色された無機粒子
(2) 繊維
(3) エマルション樹脂
(4) 水
(5) 添加剤
【0020】
これらの成分のうち、塗料組成物としての「芝」あるいは「草原」模様に大きく影響を及ぼすのは、(1)の「顔料で着色された無機粒子」と、(2)の「繊維」である。
そこで、塗料組成物100g中に「顔料で着色された無機粒子」が3g、5g、30gおよび35g含まれているそれぞれの場合について、「無機粒子」の粒径を20μ、30μ、80μ、180μ、300μ、350μ(μ=10−3mm)と変化させ、さらに、それらの各場合について、「繊維」の繊維長さを0.3mm、0.5mm、2、5mm、10mm、12mmと変化させたときの各塗料組成物をそれぞれ塗布し、無作為に選んだモニター10人に下記判定基準にしたがってその外観を評価、点数化してもらい、その平均値を得る試験(外観評価試験)を実施した。
【0021】
判定基準(5点〜1点)は次の通りで、判定基準の点数が3点以上であれば、「芝」あるいは「草原」の質感が出ていると認定した。
判定基準(外観評価)
・5点:全体的に「芝」あるいは「草原」の質感が非常に綺麗に出ており、特に指摘するようなところはない。
・4点:全体的に「芝」あるいは「草原」の質感が綺麗に出ており、5点に非常に近いが、若干見劣りする。
・3点:若干繊維または粒子の量に偏りがあるが、全体的に「芝」あるいは「草原」の質感が出ている。
・2点:全体的に「芝」あるいは「草原」の質感が出ているとは言い難く、改良が必要である。
・1点:全体的に「芝」あるいは「草原」とは全く違う質感である。
【0022】
この判定基準にしたがってその外観を評価、点数化してその平均値を求めた結果を、表1〜表4に示す。表2および表3において、外観評価の欄が着色されている場合が、本発明の実施例である。一方、表2および表3において、外観評価の欄が着色されていない場合、および、表1、表4が、比較例である。
【0023】
【表1】

【0024】
【表2】

【0025】
【表3】

【0026】
【表4】

【0027】
上記表1、表2、表3および表4から明らかなように、少なくとも、顔料で着色された粒径30〜300μの無機粒子が5〜30重量パーセント、繊維長さ0.5〜10mmの繊維が5〜30重量パーセント含有されている場合が、「芝」あるいは「草原」調の質感が得られていることを、外観評価により確認することができた。
【0028】
そして、無機粒子の重量(添加量)および繊維の重量(添加量)が上記範囲内(いずれも、5〜30重量パーセント)の場合において、無機粒子の粒径が80〜180μ、繊維長さが2〜5mmであれば、外観評価の点数が4点以上(4点:全体的に「芝」あるいは「草原」の質感が綺麗に出ており、5点に非常に近いが、若干見劣りする。5点:全体的に「芝」あるいは「草原」の質感が非常に綺麗に出ており、特に指摘するようなところはない。)で、自然調により近い、または、自然調に極めて近い、「芝」あるいは「草原」調の質感を容易に得られることを確認することができた。
【0029】
一方、上記の範囲から逸脱している場合には、外観評価の点数が3点以下の2点(全体的に「芝」あるいは「草原」の質感が出ているとは言い難く、改良が必要である。)、ないし1点(全体的に「芝」あるいは「草原」とは全く違う質感である。)で、いずれも好ましくないことを確認することができた。
【0030】
以上から明らかなように、「芝」あるいは「草原」調の質感を得ることができる塗料組成物は、少なくとも、顔料で着色された粒径30〜300μの無機粒子が5〜30重量パーセント、繊維長さ0.5〜10mmの繊維が5〜30重量パーセント含まれている場合である。
【0031】
そして、自然調により近い、または、自然調に極めて近い、「芝」あるいは「草原」調の質感を得ることができる塗料組成物は、無機粒子の重量(添加量)および繊維の重量(添加量)がいずれも5〜30重量パーセントの場合であって、無機粒子の粒径が80〜180μ、繊維長さが2〜5mmの場合である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、顔料で着色された粒径30〜300μの無機粒子が5〜30重量パーセント、繊維長さ0.5〜10mmの繊維が5〜30重量パーセント含まれていることを特徴とする塗料組成物。