説明

塗料組成物

本発明は、A)ビスフェノールA及び/又はビスフェノールFとエピクロロヒドリンとの反応生成物を構成する5.0質量%〜50.0質量%のエポキシ樹脂と、B)5.0質量%〜55.0質量%の水希釈可能エポキシ樹脂硬化剤と、C)0.1質量%〜10.0質量%の繊維と、D)0質量%又は0.1質量%〜5.0質量%のワックスベースの風乾時間延長剤と、E)0質量%又は0.1質量%〜5.0質量%のレオロジー添加剤と、F)5.0質量%〜70質量%の充填剤と、G)0質量%又は0.1質量%〜20.0質量%の水と、H)0質量%〜70質量%の更なる添加剤及び/又は加工助剤とを含む塗料組成物であって、成分A)〜H)の質量パーセントの合計を100質量%とし、前記レオロジー添加剤(成分E)又は前記充填剤(成分F)が、HMDS(ヘキサメチルジシラザン)で疎水化され、続いてボールミルによって構造的に改質されたヒュームドシリカと置き換えられる、塗料組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗料組成物に関する。
【0002】
注型用液体樹脂の適用のための溶剤型及び無溶剤型熱硬化性2成分エポキシ系、床レベリング組成物並びにコンクリート保全系の使用は、技術文献(例えば:E.Foglianisi,R.Gruetzmacher,R.Hoefer:Wofuer eignen sich Fussbodenbeschichtungen aus Polyurethan− und Epoxy−Harzen?[What are suitable applications for floor coatings made from polyurethane resins and epoxy resins?]Industriebau,Suppl.Industrie−Boden−Technik43,[2],March/April1997,pages18−20)から公知であり;その中で水性系も既に挙げられている。
【0003】
相対的に長い期間、自動車産業におけるカチオン電着塗装用水性エポキシ系、更に缶塗装及び耐食プライマー用水性エポキシ系が公知であった(例えば:J.L.Chou,Novel Corrosion−Resistant Waterborne Epoxy Coatings,Polymers Paint Colour Journal,1994(Vol.184),pages413 and 416−417)。
【0004】
エポキシ樹脂エマルジョンを製造するため、エマルジョン重合方法による熱可塑性ポリマー分散液の製造のために既に確立され、例えば、C.Baumann,D.Feustel,U.Held,R.Hoefer,Stabilisierungssysteme fuer die Herstellung von Polymer−Dispersionen[Stabilizing systems for the preparation of polymer dispersions],Welt der Farben,2/1996,pages15−21に記載されている同じ表面活性化合物を選択することが概ね可能である。
【0005】
上で述べられるように、当業者は、溶剤型エポキシ樹脂及び水性エポキシ樹脂の両方に関する知識があり、ペイント及び塗料の目的のための建築部門において多少の期間かかる樹脂が既に使用されてきたという事実にもかかわらず、それでも断熱化合物及びレベリング化合物としてのそれらの使用に関して見出される不十分さが依然としてあったが、これらの不十分さとは、性質、例えば、良好な加工性、耐アルカリ性、耐水性、早期耐水性、十分な風乾時間及び同時に加工性の目的が達成された際の認識の容易性、セルフレベリング性、高圧縮強度、高充填剤結合能と併せた貯蔵安定性及び沈降安定性、並びに環境的及び毒物的に異論がないことの必要な組み合わせが達成されないことである。
【0006】
先行技術から公知の系と比較して向上した性能の性質によって区別される断熱化合物及びレベリング化合物を提供することが本発明の目的であった。
【0007】
本発明に関連して、レベリング化合物及び断熱化合物は、より詳しくは、コンクリート、木又は他の基材に適用される場合に速やかに且つ容易に平らになり、均一な表面を生成するエポキシ樹脂に基づく塗床化合物を意味する。それらは、ドイツの州の建築規制の意味における防音及び保温に寄与することができる(例えば、"Die neue Bauordnung fuer Hessen",published by Hessischer Staedte− and Gemeindebund,Kommunale Schriften fuer Hessen 45,quoted by H.Klopfer,Muss man Industriefussboeden waermedaemmen?[Do industrial floors require thermal insulation?]in Industriefussboeden’95,Techn.Akademie Esslingen,Ostfildern,1995)。この定義から、レベリング化合物及び断熱化合物が塗料組成物の中に含まれることが明らかである。
【0008】
本発明は、
A)ビスフェノールA及び/又はビスフェノールFとエピクロロヒドリンとの反応生成物を構成する5.0質量%〜50.0質量%のエポキシ樹脂と、
B)5.0質量%〜55.0質量%の水希釈可能エポキシ樹脂硬化剤と、
C)0.1質量%〜10.0質量%の繊維と、
D)0質量%又は0.1質量%〜5.0質量%のワックスベースの風乾時間延長剤と、
E)0質量%又は0.1質量%〜5.0質量%のレオロジー添加剤と、
F)5.0質量%〜70.0質量%の充填剤と、
G)0質量%又は0.1質量%〜20.0質量%の水と、
H)0質量%〜70質量%の更なる添加剤及び/又は加工助剤と
を含む塗料組成物であって、成分A)〜H)の質量パーセントの合計を100質量%とし、前記レオロジー添加剤(成分E)又は前記充填剤(成分F)が、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)によって疎水化され、続いてボールミルによって構造的に改質されたヒュームドシリカと置き換えられる、塗料組成物を提供するものである。
【0009】
このシリカは、DE19616781A1から公知である。
【0010】
好ましくは、ヒュームド、HMDS−疎水化、及びボールミルで構造的に改質されたシリカAEROSIL(登録商標)8200を使用することができる。
【0011】
このシリカの物理化学的パラメータは、以下の通りである。
【表1】

【0012】
成分A)〜F)に関する限り、個別の種類又はかかる種類の混合物が各場合において使用され得ることが明白に示される。故に、各場合において、1種又は2種以上のエポキシ樹脂A)、エポキシ樹脂硬化剤B)、繊維C)、風乾時間延長剤D)、レオロジー添加剤E)及び/又は充填剤F)を用いることができる。
【0013】
塗料組成物は、当業者に公知の任意の方法で製造され得る。より詳しくは、前記成分は、連続して互いに混合され得る。しかし、2種以上の成分を、まず前加工し、その形態で更なる成分と接触させ、次いでそれから完成した塗料組成物を得ることもできる。この最後に言及された変種は、特に成分G)(即ち、水)に当てはまり;水−水が使用される場合−は、本発明の塗料組成物の製造の間に種々の異なる方法で全体として系に導入することができ;例えば、特にクラスA)〜F)の商業的に入手可能な化合物を、それらの水性供給形態において使用することができる。水は、換言すれば、一方では、義務的に使用される塗料組成物の他の成分と共にそれ自体導入され得るか、或いは、水はまた、水性供給形態の個別の又は全ての成分A)〜F)を使用して導入することも可能であり;両方法の組み合わせも可能である。
【0014】
好ましい一実施形態において、塗料組成物を製造するために採用される手法は、以下の通りである。まず、成分B)〜H)の全てを混合して混合物(I)を形成し、次いでこの混合物(I)に成分A)を添加する。この場合の混合物(I)及び成分A)の比は、好ましくは、(I)の中に存在する硬化剤B)と成分A)とが得られた塗料組成物の等モル比で存在するように選択される。
【0015】
なお、成分A)〜H)に対して与えられる質量パーセントは、常にそれぞれの活性物質の含有率を指す。例えば、塗料組成物が水性供給形態の1種以上の成分を使用することにより製造される場合、次いで、総合的な塗料組成物の構成の特性評価に鑑みて、個別の成分に重要な因子は、含水又は無水形態の特定の成分を使用して塗料組成物が製造されたかではなく、各場合において存在する活性物質の量であり;成分G)、即ち水の分率は、従って、各場合において、全体として塗料組成物中に存在する水の合計として得られる。
【0016】
成分A)
本発明の塗料組成物の成分A)は、ビスフェノールA及び/又はビスフェノールFとエピクロロヒドリンとの反応生成物を構成するエポキシ樹脂を含む。かかる反応生成物は、当業者に公知である。これに関係して、例えば、Julia Moeckel and Udo Fuehrmannによる刊行物、Epoxidharze−Schluesselwerkstoffe fuer die moderne Technik[Epoxy resins−key materials for modern technology],Die Bibliothek der Technik,Volume51,Verlag moderne Industrie,1990,pages4−7を参照することができる。最も一般的なエポキシ樹脂がビスフェノールA及びエピクロロヒドリンの縮合生成物であり、この反応において形成される分子鎖の長さが、用いられる開始成分のモル比に依存し、指標nにより記載されることが、特に言及される。鎖長が増加するにつれ、分子量と、同時に化合物の粘度とが増加する。この形態の未改質樹脂は、0>n>1について20℃(室温)で液体粘稠度を有するが、一方で対応する固体樹脂の場合、nは2〜13以上である。また、その刊行物において、対応するビスフェノールF樹脂についても明示される。
【0017】
液体未改質bis−A及びbis−Fエポキシ樹脂は、無溶剤型であり、容易に加工可能であり、典型的には、5000〜15000mPa.s、好ましくは5000〜10000mPa.sの範囲内の粘度(ここ及び以下で引用される粘度は、ブルックフィールド粘度計を使用して測定される、20℃で溶剤なしの測定値を指す)を有する。それらは、例えば、Chem−Res E30(Henkel S.p.A,Milan,I)という名で商業的に入手可能である。
【0018】
所望により、例えば、反応性希釈剤の添加によって、200mPa.sにかかる樹脂の粘度の更なる低下を達成することができる。反応的に希釈された樹脂もまた、例えば、Chem−Res E97(Henkel S.p.A,Milan I)という名で商業的に入手可能である。本発明の目的のために、かかる反応的に希釈された樹脂は、反応性希釈剤がレオロジー添加剤の中に含まれることから、成分A)及びE)の混合物である。
【0019】
一実施形態において、20℃で液体である上述の種類のエポキシ樹脂(ビスフェノールA及び/又はビスフェノールFとエピクロロヒドリンとの反応生成物)の成分A)としての使用が為される。
【0020】
成分A)として、20℃で液体であるビスフェノールAとエピクロロヒドリンとの反応生成物を使用することが好ましい。
【0021】
一実施形態において、成分A)は、5質量%〜30質量%の量で使用される。
【0022】
成分B)
本発明の塗料組成物の成分B)は、水希釈可能エポキシ樹脂硬化剤を含む。成分B)として、α,β−不飽和カルボン酸エステルに基づく付加物に由来する化合物及びモノ−、ジ−、又はポリアミノポリアルキレン酸化物化合物を使用することが好ましい。化合物B)は、好ましくは、以下で更に詳細に記載される種類B1)〜B3)の群から選択される。
【0023】
種類B1)の硬化剤は、
a)1つ以上のα,β−不飽和カルボン酸エステル(I)
23C=C(R4)COOR1 (I)
[式中、基R1は、最高15個の炭素原子を有する芳香族基又は脂肪族基であり、基R2、R3及びR4は、互いに独立して、各場合において最高20個の炭素原子を有する水素、分枝状若しくは非分枝状、脂肪族若しくは芳香族基、又は基−(CH2n−COOR1[式中、R1は、上記定義の通りであり、nは、0〜10の範囲の数である]である]を、エステル交換触媒の存在下で、
b)1つ以上のヒドロキシ化合物(化合物(a)及び(b)は、α,β−不飽和カルボン酸エステル(a)におけるエステル基COOR1に対する(b)におけるヒドロキシル基の当量比が1.5:1〜10:1の範囲内であるような量で使用される)
との反応に供し、得られた中間体Z1を、
c)1つ以上のモノ−、ジ−又はポリアミノポリアルキレン酸化物化合物(中間体化合物Z1におけるエステル基に対する(c)のアミノ窒素原子上の反応性H原子の当量比が10:1〜1:10の範囲内に調整される)
と反応させ、続いて、得られた中間体Z2を、
d)1つ以上のポリエポキシド(1つの(c)につき使用されるモノ−、ジ−又はポリアミノポリアルキレン酸化物化合物の反応性水素原子に対するポリエポキシド(d)におけるオキシラン環の当量比が100:1〜1.5:1の範囲内の値に調整される)
と反応させ、続いて、得られた中間体Z3を、
e)1つ以上の第一級アミン及び/又は第二級アミン((e)のアミノ窒素原子上の反応性H原子に対する中間体Z3におけるオキシラン環の当量比が1:1.5〜1:20の範囲内の値に調整される)
と反応させることにより得られる。
【0024】
それらの分子量によって、本発明の硬化剤は、液体物質又は固体物質のいずれかを示す。
【0025】
「当量比」という表現は、当業者に知られている。当量についての観念の背後の基礎概念は、反応に関与する各物質について、標的反応に関与する反応基が考えられるということである。当量比を提示することによって、次いで、使用される化合物(x)及び(y)の反応基の全体の間の数的比の表現が与えられる。これに関係して、反応基ができるだけ小さな反応基であることに注意すべきであり−従って、反応基の概念は、官能基の観念に適合しない。H−酸性化合物の場合、例えば、これは、2個の反応性H原子が同じ窒素原子上に位置する場合、NH2基ではなく、OH基又はNH基がかかる反応基を構成することを意味する。ここで、合理的には、2個の水素原子は、官能基NH2の中の反応基であると考えられ、従って、官能基NH2は、2個の反応基、即ち水素原子を含有する。
【0026】
一実施形態において、中間体化合物Z1及び化合物(c)は、中間体化合物Z1におけるエステル基に対する(c)のアミノ窒素原子上の反応性H原子の当量比が4:1〜1:4、より詳しくは2.5:1〜1.5:1の範囲内である量で使用される。
【0027】
一実施形態において、1つの(c)につき使用されるモノ−、ジ−又はポリアミノポリアルキレン酸化物化合物の反応性水素原子に対するポリエポキシド(d)におけるオキシラン環の当量比は、50:1〜10:1の範囲内の値に調整される。
【0028】
本発明による使用が意図される上述の構造(I)のα,β−不飽和カルボン酸エステル(a)の例は、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ジメチルマレエート、ジエチルマレエート、ジメチルフマレート、ジエチルフマレート、ジメチルイタコネート及びジエチルイタコネートである。化合物(a)として、ジアルキルマレエート、とりわけジエチルマレエート及びジメチルマレエートが特に好ましい。
【0029】
ヒドロキシ化合物(b)は、脂肪族又は芳香族であってよい。化合物(b)は、エステル交換触媒に対して不活性であるべきである。
【0030】
適切な芳香族化合物(b)の例は、以下の通りである。レソルシノール、ヒドロキノン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、ジヒドロキシジフェニルメタン(ビスフェノールF)の異性体混合物、テトラブロモビスフェノールA、4,4’−ジヒドロキシジフェニルシクロヘキサン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3−ジメチルジフェニルプロパン、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノール、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)イソブタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン等、更に、上述の化合物の塩素化及び臭素化生成物。ビスフェノールAが、芳香族化合物(b)として好ましい。
【0031】
好ましい一実施形態において、ヒドロキシ化合物(b)は、脂肪アルコール、アルカンジオール及びポリエーテルジオールのクラスから選択される。所望により、これらの化合物は、アルコキシル化形態であってもよい。
【0032】
脂肪アルコールは、6〜36個のC原子を有する第一級アルコールであって、飽和していても、オレフィン的に不飽和でもあってよい。適切な脂肪アルコールの例は、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ペラルゴイルアルコール、デカノール、ウンデカノール、ラウリルアルコール、トリデカノール、ミリスチルアルコール、ペンタデカノール、パルミチルアルコール、ヘプタデカノール、ステアリルアルコール、ノナデカノール、アラキジルアルコール、ヘンエイコサノール、ベヘニルアルコール、トリコサノール、リグノセリルアルコール、10−ウンデカノール、オレイルアルコール、エライジルアルコール、リシノイルアルコール、リノリルアルコール、リノレニルアルコール、ガドレイルアルコール、アラキドニルアルコール、エルシルアルコール及びブラシジルアルコールである。
【0033】
アルカンジオールは、一般的構造HO−CH2−R5−CH2−OH[式中、基R5は、飽和又は不飽和、直鎖状又は分枝状であってよく、所望により芳香族構造要素を含有することもできる疎水性炭化水素基である]の化合物である。例としては、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール及び1,8−オクタンジオールがあり、更に、ポリオキシテトラメチレンジオール−ポリテトラヒドロフランとしても公知である−、更に、ダイマージオールとして公知のジオールがある。ダイマージオールは、とりわけ本発明の関連において好ましい。
【0034】
ダイマージオールは、長期間商業的に入手可能であり且つ公知の化合物であり、例えばダイマー脂肪酸エステルの還元により得られる化合物である。これらのダイマー脂肪酸エステルがあるダイマー脂肪酸は、不飽和カルボン酸、一般に脂肪酸、例えばオレイン酸、リノール酸、エルカ酸等のオリゴマー化で利用可能なカルボン酸に基づく。オリゴマー化は、典型的には、例えばアルミナを含む触媒の存在下で高温にて行われる。得られた物質−技術的グレードダイマー脂肪酸−は、二量体化生成物が主体の混合物を示す。しかし、小さい分率のより高級なオリゴマー、特にトリマー脂肪酸も存在する。ダイマー脂肪酸は商品であり、各種の組成物及びグレードで利用可能である。ダイマー脂肪酸に関する広範囲に亘る文献がある。例えば、以下の論文:Fette & Oele26(1994),pages47−51;Speciality Chemicals1984(Mai−Heft),pages17,18,22−24が本明細書で引用され得る。ダイマージオールは、周知の技術である。この点に関して、例えば、とりわけダイマージオールの製造、構造及び化学作用について論じる比較的最近の論文:Fat Sci.Technol.95(1993)No.3,pages91−94を参照することができる。本発明の目的のために、少なくとも50%、より詳しくは75%のダイマー含有率を有し、且つダイマー分子1個につきC原子の数が主に36〜44の範囲内であるそれらのダイマージオールが好ましい。
【0035】
本発明の目的ためのポリエーテルジオールは、一般構造HO−CH2−R6−CH2−OH[式中、基R6は、飽和又は不飽和、直鎖状又は分枝状であってよく、且つ場合により芳香族構造要素を含むこともできる疎水性炭化水素基であり、必然的には、1個以上のCH2単位は、酸素原子と各々置換されている]のジオールである。
【0036】
ポリエーテルジオールの特に魅力的な一クラスは、アルカンジオール、例えば、1,2−エタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール及び1,8−オクタンジオール、ポリオキシテトラメチレンジオール(ポリテトラヒドロフラン)及びダイマージオールのアルコキシル化によって利用可能である。これらのアルコキシル化ジオールを製造する際に典型的にとるアプローチは、以下の通りである。第一段階において、所望のジオールにエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドを接触させ、この混合物を、20〜200℃の範囲内の温度にてアルカリ触媒の存在下で反応させる。このようにして、用いられるジオールとのエチレンオキシド(EO)及び/又はプロピレンオキシド(PO)の付加物が得られる。従って、付加生成物は、それぞれのジオールのEO付加物又はPO付加物又はEO/PO付加物であり;EO/PO付加物の場合、EO及びPOの付加は、統計学的に、又はブロック状で行うことができる。
【0037】
化合物(a)及び(b)の反応に適切なエステル交換触媒としては、それ自体、最高水準の技術の当業者に公知のエステル交換触媒の内の全てが挙げられる。適切な触媒の例は、ナトリウムメトキシド、ジブチル錫ジアセテート及びオルトチタン酸テトライソプロピルである。エステル交換の後、絶対に必要ではないが、前記触媒は所望により不活性化され得る。
【0038】
モノ−、ジ−、又はポリアミノポリアルキレン酸化物化合物は、アミノ成分(c)として役立つ。これは、これらの化合物が、1個、2個以上のアミノ官能基(NH又はNH2官能基)と、更にはアルキレンオキシド単位とを有することを意味する。最後に言及された単位は、より詳しくはエチレンオキシド、プロピレンオキシド及びブチレンオキシドであり、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドが特に好ましい。化合物(c)は、20℃で少なくとも部分的に水に可溶である物質である。
【0039】
化合物(c)の製造は、先行技術から公知であり、ヒドロキシル含有化合物とアルキレンオキシドとの反応、並びに得られた末端ヒドロキシル基のアミノ基へのその後の転化を含む。
【0040】
ヒドロキシル含有化合物とアルキレンオキシドとの反応に関して、エトキシル化及びプロポキシル化は特に重要である。この場合、典型的なアプローチは、以下の通りである。第一段階において、所望のヒドロキシル含有化合物にエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドを接触させ、この混合物を、20〜200℃の範囲内の温度にてアルカリ触媒の存在下で反応させる。これにより、エチレンオキシド(EO)及び/又はプロピレンオキシド(PO)の付加物が生成される。付加生成物は、好ましくは、それぞれのヒドロキシル含有化合物とのEO付加物又はPO付加物又はEO/PO付加物であり;EO/PO付加物の場合、EO及びPOの付加は、統計学的に、又はブロック状で行うことができる。
【0041】
一実施形態において、一般構造R8−O−R9−CH2−CH(R10)−NH2の物質は、化合物(c)として使用される。この構造式において:
−R8は、脂肪族、脂環式又は芳香族であってよい1〜12個のC原子を有する一価の有機基であり、
−R9は、5〜200個のポリオキシアルキレン単位、とりわけEO及び/又はPO単位から構成されるポリオキシアルキレン基であり、
−R10は、水素又は最高4個のC原子を有する脂肪族基である。
【0042】
本発明の関連における化合物(c)の特に適切な代表例は、当業者に知られている「Jeffamines」であり、それは商業的に入手可能な物質である。本明細書で挙げることができる例は、「Jeffamine2070」であり、それは、Texacoに従って、メタノールとエチレンオキシド及びプロピレンオキシドとの反応と、更にアミン基への初期中間体の末端ヒドロキシル基の転化とによって製造される(WO96/20971、10頁、12〜15行目を比較すること)。
【0043】
化合物(c)は、好ましくは、148〜5000の範囲内の、より詳しくは400〜2000の間の平均分子量を有する(数的平均;Mn)。
【0044】
エポキシド化合物(d)は、分子1個につき平均して少なくとも2個のエポキシ基を有しているポリエポキシドである。これらのエポキシド化合物は、飽和又は不飽和、更に、脂肪族、脂環式、芳香族又は複素環式であってよく、ヒドロキシル基を含有してもよい。更に、それらは、混合及び反応の条件下でいかなる破壊的な副反応も生じない置換基を含有してよく、例としては、アルキル成分又はアリール成分、エーテル部分等がある。これらのエポキシド化合物は、好ましくは、多価の、好ましくは二価のアルコール、フェノール、これらのフェノールの水素化生成物に基づく、及び/又はノボラック(酸性触媒の存在下での一価又は多価のフェノールとアルデヒド、とりわけホルムアルデヒドとの反応生成物)に基づくポリグリシジルエーテルである。これらのエポキシド化合物のエポキシド当量質量は、好ましくは160〜500の間、特に170〜250の間である。物質のエポキシド当量質量は、1モルのオキシラン環を含有する物質の量(グラムにおける)であると定義される。
【0045】
適切な多価フェノールは、好ましくは以下の化合物:
レソルシノール、ヒドロキノン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、ジヒドロキシジフェニルメタン(ビスフェノールF)の異性体混合物、テトラブロモビスフェノールA、4,4’−ジヒドロキシジフェニルシクロヘキサン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3−ジメチルジフェニルプロパン、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノール、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)イソブタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン等、更に、上述の化合物の塩素化及び臭素化生成物であり;ビスフェノールAがとりわけ好ましい。
【0046】
【化1】

【0047】
多価アルコールのポリグリシジルエーテルもまた化合物(d)として適切である。かかる多価アルコールの例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール(n=1〜20)、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、グリセロール及び2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンが挙げられる。
【0048】
エピクロロヒドリン又は同様のエポキシ化合物と脂肪族、脂環式又は芳香族ポリカルボン酸、例えば、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、グルタル酸、フタル酸、テレフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸及び二量化リノレン酸との反応により得られる化合物(d)として、ポリカルボン酸のポリグリシジルエーテルを使用することもできる。例としては、ジグリシジルアジペート、ジグリシジルフタレート及びジグリシジルヘキサヒドロフタレートがある。
【0049】
適切なエポキシド化合物(d)の総合的な一覧は:
−A.M.Paquin,"Epoxidverbindungen und Epoxidharze"Handbook,Springer−Verlag,Berlin1958,Chapter V,pages308 to 461;及び、更に:
−Lee,Neville"Handbook of Epoxy Resins",1967,Chapter2,pages2−1 to 2−33
に見られる。
【0050】
2種以上のエポキシド化合物(d)の混合物もまた使用され得る。
【0051】
本発明の関連において用いられるアミン(e)は、第一級及び/又は第二級アミンである。アミン(e)として、分子1個につき少なくとも2個の窒素原子と少なくとも2個の活性アミノ水素原子とを有するポリアミンを使用することが好ましい。脂肪族、芳香族、脂肪族−芳香族、脂環式、及び複素環式ジアミン及びポリアミンが利用され得る。
【0052】
適切なアミン(e)の例は、以下の通りである。
ポリエチレンアミン(エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、テトラエチレンペンタミン等)、1,2−プロピレンジアミン;1,3−プロピレンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,5−ペンタンジアミン、1,3−ペンタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、3,3,5−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン、3,5,5−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、ビス(3−アミノプロピル)アミン、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)−1,2−エタンジアミン、N−(3−アミノプロピル)−1,2−エタンジアミン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、アミノエチルピペラジン、ポリ(アルキレンオキシド)ジアミン及びトリアミン(例えば、Jeffamine D−230、Jeffamine D−400、Jeffamine D−2000、Jeffamine D−4000、Jeffamine T−403、Jeffamine EDR−148、Jeffamine EDR−192、Jeffamine C−346、Jeffamine ED−600、Jeffamine ED−900、Jeffamine ED−2001)、メタキシリレンジアミン、フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、トルエンジアミン、イソホロンジアミン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、2,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、メチレン架橋したポリ(シクロヘキシル−芳香族)アミン(MBPCAAとしても知られる)の混合物、及びポリアミノアミド。
【0053】
上述のアミンと上記のα,β−不飽和カルボン酸エステル(a)との反応からの反応生成物、更に、上述のアミンと上記のポリエポキシド化合物(d)との反応の反応生成物は、化合物(e)として更に適切である。
【0054】
種類B2)の硬化剤は、
a)1つ以上のα,β−不飽和カルボン酸エステル(I)
23C=C(R4)COOR1 (I)
[式中、基R1は、最高15個の炭素原子を有する芳香族基又は脂肪族基であり、基R2、R3及びR4は、互いに独立して、各場合において最高20個の炭素原子を有する水素、分枝状若しくは非分枝状、脂肪族若しくは芳香族基、又は基−(CH2n−COOR1[式中、R1は、上記定義の通りであり、nは、0〜10の範囲の数である]である]を、
c)1つ以上のモノ−、ジ−又はポリアミノポリアルキレン酸化物化合物(化合物(a)及び(c)は、カルボン酸エステル(a)における基COOR1に対する、式(I)に示され、且つα、βに位置するC=C二重結合への(c)のアミノ窒素原子上の反応性H原子の当量比が10:1〜1:10の範囲内にある量で使用される)
と反応させ、次いで、これにおいて得られた中間体Z4を、
d)1つ以上のポリエポキシド(1つの(c)につき使用されるモノ−、ジ−又はポリアミノポリアルキレン酸化物化合物の反応性水素原子に対するポリエポキシド(d)におけるオキシラン環の当量比が100:1〜1.5:1の範囲内の値に調整される)
と反応させ、続いて、この場合において得られた中間体Z5を、
e)1つ以上の第一級アミン及び/又は第二級アミン((e)のアミノ窒素原子上の反応性H原子に対する中間体Z5におけるオキシラン環の当量比が1:1.5〜1:20の範囲内の値に調整される)
と反応させることにより得られる。
【0055】
物質(a)及び物質(c)〜(e)について、上記の説明−種類B1)の硬化剤についての−は、それ以外の場合に当てはまる。
【0056】
種類B3)の硬化剤は、
a)1つ以上のα,β−不飽和カルボン酸エステル(I)
23C=C(R4)COOR1 (I)
[式中、基R1は、最高15個の炭素原子を有する芳香族基又は脂肪族基であり、基R2、R3及びR4は、互いに独立して、各場合において最高20個の炭素原子を有する水素、分枝状若しくは非分枝状、脂肪族若しくは芳香族基、又は基−(CH2n−COOR1[式中、R1は、上記定義の通りであり、nは、0〜10の範囲の数である]である]を、
c)1つ以上のモノ−、ジ−又はポリアミノポリアルキレン酸化物化合物(化合物(a)及び(c)は、カルボン酸エステル(a)における基COOR1に対する、式(I)に示され、且つα、βに位置するC=C二重結合への(c)のアミノ窒素原子上の反応性H原子の当量比が10:1〜1:10の範囲内にある量で使用される)
と反応させ、次いで、得られた初期中間体Z4を、
g)1つ以上のポリヒドロキシ化合物(ポリヒドロキシ化合物(g)におけるヒドロキシル基に対する中間体化合物Z4におけるエステル基の当量比が1:1.1〜1:10の範囲内の値に調整される)
と反応させ、続いて、得られた中間体Z6を、
d)1つ以上のポリエポキシド(中間体Z6におけるヒドロキシル基に対するポリエポキシド(d)におけるオキシラン環の当量比が1.5:1〜6:1の範囲内の値に調整される)
と反応させ、続いて、この場合に得られた中間体Z7を、
e)1つ以上の第一級アミン及び/又は第二級アミン((e)のアミノ窒素原子上の反応性H原子に対する中間体Z7におけるオキシラン環の当量比が1:1.5〜1:20の範囲内の値に調整される)
と反応させることにより得られる。
【0057】
物質(a)及び物質(c)〜(e)について、上記の説明−種類B1)の硬化剤についての−は、それ以外の場合に当てはまる。
【0058】
ポリヒドロキシ化合物(g)は、脂肪族又は芳香族であってよい。一実施形態において、ポリヒドロキシ化合物(g)は、特定の脂肪族ジオール、及び特にアルカンジオール−とりわけダイマージオール−のクラス、ポリエーテルジオール及びポリエステルジオールから選択される。アルカンジオール−ダイマージオールを含む−及びポリエーテルジオールについては、上で為された説明−成分(b)に関する種類B1)の硬化剤について−が当てはまる。ポリエステルジオールについては、以下が該当する:本発明の目的のためのポリエステルジオールは、一般構造HOCH2−R7−CH2OHのジオール[式中、基R7は、飽和又は不飽和、直鎖状又は分枝状であってよく、且つ、適切な場合、芳香族構造要素をも含有する疎水性炭化水素基であり、必然的には、1個以上のCH2単位が各場合においてCOO単位で置換されている]。前記製造のため、通常二官能基ポリオールとジカルボン酸又はそれらの無水物とを反応させる。多用されるポリオールは、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1、4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールである。典型的なジカルボン酸は、コハク酸、アジピン酸、無水フタル酸である。これに関連して、1,6−ヘキサンジオール−アジピン酸ポリエステルが特に好ましい。
【0059】
一実施形態において、成分B)は、5質量%〜25質量%の量で使用される。
【0060】
成分C)
本発明の塗料組成物の成分C)は、繊維を含む。
【0061】
当業者が知るように、「繊維」という表現は、その分子(又は微結晶)が分子の長軸方向(又は格子の直線)に亘って同じ方向を有する細長い組立品についての集合名として使用される。繊維は、個別又は束ねられた形態のいずれかで、限定された長さの繊維状構造(単位繊維又は毛)又は事実上連続的な繊維(フィラメント)のいずれかである。
【0062】
以下の繊維又はそれらの混合物は、成分C):Twaron1091及びTwaron1094として特別な適合性を有する。
【0063】
繊維C)は、特に塗料組成物の性質に影響を及ぼす役割を果たす。塗料の化学的、熱的及び機械的性質を向上させるだけでなく、繊維の結果としての製造の性質に重要な影響もある。本発明の塗料組成物は、更に、加工性質に関してプラス効果を示す。塗料組成物における繊維C)の存在は、例えば、組成物に存在する充填剤がただゆっくりと沈殿するだけ、又は全く沈殿しない、特に硬化の間に沈殿しないという効果を有する。
【0064】
本発明の組成物中における繊維C)の存在は、繊維を含まない生成物と比較すると、塗料組成物の機械的性質を著しく高める。本発明の組成物は、塗料組成物全成分の全体に対して、0.1質量%〜10質量%の量の繊維C)を含有する。それらは、好ましくは、0.1質量%〜5.0質量%の量で使用される。本明細書においては、0.1質量%〜2.5質量%の範囲が、セルフレベリング塗料につながることから特に好ましく;最後に言及された分率の繊維を有する塗料組成物は、実質的により柔軟で、且つ繊維を有さない塗料組成物よりも高い曲げ強度、引張強度及び引き裂き伝播強度を示す塗料を生成する。対照的に、繊維の添加なしでは、伸張性のない脆弱な塗料が得られ、その結果、その機械的性質を決定することができない。
【0065】
成分D)
本発明の塗料組成物の成分D)は、ワックスに基づく風乾時間延長剤と呼ばれるものを含む。この種類の系は、当業者に公知である(ワックスの概念については、例えば、U.Zorll,Ed.,ROeMPP−Lexikon,Lacke und Druckfarben,p.615,Georg Thieme Verlag,Stuttgart,New York,1998を参照すること)。風乾時間を延長するため、充填化合物及び断熱化合物における適合性及び可塑性を増大させるため、実際、加工は、水性エマルジョンの形態で、又は鉱物キャリア材料上の固体供給形態でワックスを使用して実施される。「ワックス」という用語は、より狭い意味でのワックスだけでなく、脂肪アルコールをも包含する。
【0066】
R.Neumann,H.−G.Schulte,R.Hoefer,Pulver,das Eigenschaften schafft[Powder that makes properties],Bautenschutz and Bausanierung,Vol.3/1999,pp.22−27、及び、更に、U.Nagorny,Extension of workability of synthetic resin plasters with additives based on fatty raw materials;ConChem−Journal,No.1/1994,pp.23−26は、この種類のワックス系加工添加剤の詳細な記載を与える。ワックスベースの風乾時間延長剤、とりわけ固体キャリアに塗布された分子1個につき16〜72個のC原子を有する脂肪アルコールの粉末形態の種類が、特に適切である。これに関連して、WO98/49114の開示内容を明白に参照することができる。
【0067】
特に適切なワックスベースの風乾時間延長剤は、Cognis Deutschland GmbHにより商業的に販売されている生成物、Duesseldorf/DE、Loxanol(商標)842DP(水性分散液)及びLoxanol(商標)P(無水、固体粉末形態)である。
【0068】
一実施形態において、成分D)は、塗料組成物全成分の全体に対して0.1質量%〜2.0質量%の量で使用される。
【0069】
成分E)
本発明の塗料組成物の成分E)は、レオロジー添加剤を含む。本明細書において、当業者に関連して公知のレオロジー添加剤の全て、好ましくはフィロシリケート又はポリ(メタ)アクリレート又はセルロースエーテル又は会合性増粘剤と呼ばれるものを、単独で、又は組み合わせて使用することができる。疎水的に改質されたポリエーテルウレタン(HEUR)又は疎水的に改質されたポリエーテル(HMPE)と組み合わせたフィロシリケートが好ましい。本明細書における疎水性改質は、疎水基が、所定のクラスの物質の分子中に存在することを意味する。特に好ましいHEURは、G.Schulte,J.Schmitz,R.Hoefer,Additive fuer waessrige Systeme und umweltfreundliche Lacke[Additives for aqueous systems and eco−friendly paints],Welt der Farben,28−31(12/1997)に記載されている無溶剤型HEUR、及びDE−A−4242687に記載されている擬塑性HEURである。
【0070】
一実施形態において、成分E)は、塗料組成物全成分の全体に対して0質量%又は0.1質量%〜3.0質量%の量で使用される。
【0071】
成分F)
本発明の塗料組成物の成分F)は、充填剤を含む。その例としては、例えば、珪砂、重晶石、炭酸カルシウム、シリケート、硫酸カルシウム、タルク、カオリン、雲母、長石、金属酸化物、水酸化アルミニウム、ケイ酸アルミニウム、カーボンブラック、黒鉛、硫酸バリウム等がある。充填剤は、塗料組成物全成分の全体に対して5.0質量%〜70.0質量%の範囲内の量で使用される。
【0072】
成分G)
本発明の塗料組成物の成分G)(水)は、0質量%又は0.1質量%〜12.0質量%の量、好ましくは1.0質量%〜10.0質量%の量で使用される。
【0073】
成分H)
本発明の塗料組成物の成分H)として、当業者に公知の更なる加工助剤及び/又は添加剤を使用することができる。その例としては、顔料、セメント、砂利、脱気剤、泡制止剤、分散助剤、沈降防止剤、促進剤、遊離アミン、流れ調整剤及び導伝性向上剤がある。
【0074】
本発明は、より詳しくは建築部門における、レベリング化合物及び断熱化合物としての上記の塗料組成物の使用を更に提供する。床のための使用が特に好ましい。
【0075】
本発明のエポキシ樹脂系塗床組成物は、先行技術と比較して向上を示す以下の利点を示す。
・構造的に改質されたAEROSIL生成物AEROSIL(登録商標)8200を有する従来のレオロジー添加剤と比較して低い増粘効果
・AEROSIL(登録商標)8200の低増粘効果のため、塗床組成物は、セルフレベリングであるように調製され得る
・AEROSIL(登録商標)8200の低増粘作用のため、最高25質量%の高充填度が可能である
・AEROSIL(登録商標)8200の可能な高充填度のため、塗床組成物の機械的特性が向上する
・AEROSIL(登録商標)8200は、従来のヒュームドシリカと比較して著しくより短い組込み時間を示す
・更に、AEROSIL(登録商標)8200は、良好な分散性を示す

【特許請求の範囲】
【請求項1】
A)ビスフェノールA及び/又はビスフェノールFとエピクロロヒドリンとの反応生成物を構成する5.0質量%〜50.0質量%のエポキシ樹脂と、
B)5.0質量%〜55.0質量%の水希釈可能エポキシ樹脂硬化剤と、
C)0.1質量%〜10.0質量%の繊維と、
D)0質量%又は0.1質量%〜5.0質量%のワックスベースの風乾時間延長剤と、
E)0質量%又は0.1質量%〜5.0質量%のレオロジー添加剤と、
F)5.0質量%〜70質量%の充填剤と、
G)0質量%又は0.1質量%〜20.0質量%の水と、
H)0質量%〜70質量%の更なる添加剤及び/又は加工助剤と
を含む塗料組成物であって、成分A)〜H)の質量パーセントの合計を100質量%とし、前記レオロジー添加剤(成分E)又は前記充填剤(成分F)が、HMDS(ヘキサメチルジシラザン)によって疎水化され、続いてボールミルによって構造的に改質されたヒュームドシリカと置き換えられる、塗料組成物。
【請求項2】
20℃の液体エポキシ樹脂が成分A)として使用される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
20℃の液体エポキシ樹脂が、ビスフェノールAとエピクロロヒドリンとの反応生成物である成分A)として使用される、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
成分A)が、5質量%〜30質量%の量で使用される、請求項1から3までのいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
成分B)が、5質量%〜25質量%の量で使用される、請求項1から4までのいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
成分C)が、0.1質量%〜2.5質量%の量で使用される、請求項1から5までのいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
成分D)が、0.1質量%〜2.0質量%の量で使用される、請求項1から6までのいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
成分E)が、0.1質量%〜3.0質量%の量で使用される、請求項1から7までのいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
成分G)が、1.0質量%〜12.0質量%の量で使用される、請求項1から8までのいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
レベリング化合物及び断熱化合物としての請求項1から9までのいずれか一項に記載の塗料組成物の使用。

【公表番号】特表2011−521034(P2011−521034A)
【公表日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−508856(P2011−508856)
【出願日】平成21年4月14日(2009.4.14)
【国際出願番号】PCT/EP2009/054403
【国際公開番号】WO2009/138304
【国際公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【出願人】(501073862)エボニック デグサ ゲーエムベーハー (837)
【氏名又は名称原語表記】Evonik Degussa GmbH
【住所又は居所原語表記】Rellinghauser Strasse 1−11, D−45128 Essen, Germany
【Fターム(参考)】