説明

塗料組成物

【課題】公知のシリカを用いた場合には、特殊な分散装置を使用するにも拘わらず、塗料系のレオロジーは、大規模に影響を及ぼされ、著しく欠陥のある塗装面が得られる(ミカン肌)こと。
【解決手段】ポリマー成分または2つ以上の物理的または化学的に架橋するポリマー成分の混合物の固体5〜99.5質量%、(結合剤成分および硬化剤成分)、溶剤として作用する低分子量成分またはこのような低分子量成分の混合物0〜80質量%、アルキルシリル基(SiC2n+1、但し、nは、2〜18であるものとする)および/またはジメチルシリル基および/またはモノメチルシリル基が表面に結合されている、シラン化され構造的に変性された熱分解法シリカ0.5〜50質量%、商業的に入手可能な添加剤0〜10質量%を含有する塗料組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
塗料組成物は、表面の封止または塗布のために使用される。例えば、寄木張り床もしくは他の床の表面または自動車車体の表面のような特殊な表面の場合には、特殊な耐引掻性が望まれている。
【0003】
ドイツ連邦共和国特許出願公開第19811790号明細書A1には、透明塗料結合剤の耐引掻性を親水性の熱分解法シリカおよび/または疎水性の熱分解法シリカの使用によって改善することが記載されている。この場合、シリカは、特殊な方法により結合剤中に配合される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】ドイツ連邦共和国特許出願公開第19811790号明細書A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
公知のシリカを用いた場合には、特殊な分散装置を使用するにも拘わらず、塗料系のレオロジーは、大規模に影響を及ぼされ、著しく欠陥のある塗装面が得られる(ミカン肌)。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、
・ ポリマー成分または2つ以上の物理的または化学的に架橋するポリマー成分の混合物の固体5〜99.5質量%、好ましくは20〜80質量%、特に好ましくは35〜70質量%(結合剤成分および硬化剤成分)、
・ 溶剤として作用する低分子量成分またはこのような低分子量成分の混合物0〜80質量%、好ましくは20〜70質量%、特に好ましくは30〜55質量%、
・ アルキルシリル基(SiC2n+1、但し、nは、2〜18であるものとする)、好ましくはオクチルシリル基および/またはヘキサデシルシリル基、またはジメチルシリル基および/またはモノメチルシリル基、好ましくはジメチルシリル基が表面に結合されている、シラン化された構造変性(structural modification)された熱分解法シリカ0.5〜50質量%、好ましくは1〜25質量%、特に好ましくは2〜10質量%、
・ 塗料の性質、例えば塗料系のレオロジー挙動、充填剤および顔料の安定化および分散性、塗料表面の外観および流動性に対してプラスの効果を有する、商業的に入手可能な添加剤0〜10質量%を含有する塗料組成物を提供する。
【0007】
結合剤としては、例えばLackharze, Chemie, Eigenschaften und Anwendungen, 編者D. Stoye, w. Freitag, Hanser Verlag, Munich, Vienna 1996に記載されているような塗料工業および塗装工業において常用の樹脂を使用することができる。挙げることができる例は、なかんずく場合によっては他の官能基を有する(メタ)アクリル酸およびそのエステルのポリマーおよびコポリマー、さらにオレフィン系不飽和化合物、例えばスチレンとの前記のポリマーおよびコポリマー;また、ポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂およびエポキシ樹脂ならびに前記ポリマーの任意の望ましい混合物を含む。
【0008】
高分子量有機化合物として、好ましくは、ヒドロキシル基を有するポリマー、例えばポリアクリレート、ポリエステル、ポリカプロラクトン、ポリエーテル、ポリカーボネートおよびポリウレタンポリオールならびにヒドロキシ官能性エポキシ樹脂、ならびに前記ポリマーの任意の望ましい混合物が使用される。特に好ましい高分子量有機化合物としては、水性ポリアクリレートおよび水性ポリエステルポリオールまたは溶剤含有のポリアクリレートおよび溶剤含有のポリエステルポリオールまたは溶剤不含のポリアクリレートおよび溶剤不含のポリエステルポリオール、ならびにこれらの任意の望ましい混合物が使用される。適当なポリアクリレートポリオールは、ヒドロキシル基含有モノマーと他のオレフィン系不飽和モノマー、例えば(メタ)アクリル酸のエステル、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルエステル、マレイン酸モノアルキルエステルおよびマレイン酸ジアルキルエステル、およびフマル酸モノアルキルエステルおよびフマル酸ジアルキルエステル、α−オレフィンならびに他の不飽和オリゴマーおよび不飽和ポリマーとのコポリマーである。
【0009】
特に好適なポリアクリレートポリオールは、2000〜10000g/モル、好ましくは2500〜50000g/モル、特に好ましくは3100〜40000g/モルのゲル透過クロマトグラフィー(標準ポリスチレン)により測定することができる質量平均分子量、−50℃〜+100℃、好ましくは−40℃〜+90℃、特に好ましくは−30℃(+80℃まで)のガラス転移温度、KOH 30mg未満/g、好ましくはKOH 25mg未満/gの酸価および0.5〜14.0質量%、好ましくは0.5〜10.0質量%、特に好ましくは1.0〜8.0質量%のヒドロキシル基含量を有し、
a)少なくとも1つの不飽和芳香族モノマー、例えばスチレン、メチルスチレンまたはビニルトルエン0〜70質量部、好ましくは5〜70質量部、
b)(シクロ)アルキル基中に1〜18個の炭素原子を有するアクリル酸および/またはメタクリル酸の少なくとも1つの(シクロ)脂肪族エステル0〜70質量部、好ましくは5〜70質量部、
c)ヒドロキシアルキル基中に2〜4個の炭素原子を有するアクリル酸および/またはメタクリル酸の少なくとも1つのヒドロキシアルキルエステル、および/またはモノエポキシドとアクリル酸および/またはメタクリル酸との付加生成物4〜95質量部、好ましくは10〜60質量部、
d)3〜7個の炭素原子を有する少なくとも1つのモノオレフィン系不飽和モノカルボン酸またはジカルボン酸、および/またはアルコール基中に1〜14個の炭素原子を有する少なくとも1つのマレイン酸半エステルまたはフマル酸半エステルおよび
e)さらに共重合可能なオレフィン系(また、ポリオレフィン系)不飽和低分子量化合物および/または高分子量化合物0〜30質量部、好ましくは0〜20質量部から構成されている。
【0010】
記載されたヒドロキシル官能性ポリオールは、一成分系塗料系および二成分系塗料系の双方の中で塗料工業および塗装工業において常用の硬化剤と一緒に使用されることができる。このための硬化剤としては、例えばLackharze, Chemie, Eigenschaften und Anwendungen, 編者D. Stoye, W. Freitag, Hanser Verlag, Munich, Vienna 1996に記載されているように、ポリイソシアネートまたは開裂剤、例えばメチルエチルケトキシム、カプロラクタム、マロン酸エステル、トリアゾールまたは2,5−ジメチルピラゾールで封鎖されたポリイソシアネート、または(部分的に)エーテル化されたメラミン−ホルムアルデヒド樹脂が考えられる。
【0011】
好ましくは、二成分系中には、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4−ジイソシアナトジシクロヘキシルメタン、テトラメチレンジイソシアネート、2−メチルペンタメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートおよび2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(THDI)、1,4−ジイソシアナト−シクロヘキサン、3−イソシアナトメチル−1−メチル−1−イソシアナトシクロヘキサン(IMCI)、a,a,a′,a′−テトラメチル−m−キシリレンジイソシアネートまたはa,a,a′,a′−テトラメチル−p−キシリレンジイソシアネート(TMXDI)、1,4−キシレンジイソシアネートおよび1,3−キシレンジイソシアネート(XDI)、ヘキサヒドロキシリレンジイソシアネート(H6−XDI)および/またはこれらの混合物を基礎とするポリイソシアネートおよび場合によっては例えばドイツ連邦共和国特許出願公開第4136618号明細書に記載されているような、水性結合剤のために親水性にする前記ポリイソシアネートの変形と一緒に使用される。
【0012】
しかし、特に好ましくは、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートおよび4,4−ジイソシアナトジシクロヘキシルメタンを基礎とするポリイソシアネートが記載される。
【0013】
このようなポリイソシアネートは、顕著な耐化学薬品性および高い光沢度を有する高品質のポリウレタン塗料中で硬化剤として使用される。
【0014】
常用の溶剤、例えば芳香族、脂肪族、芳香脂肪族または脂環式の炭化水素、部分的または完全にハロゲン化された芳香族、脂肪族、芳香脂肪族または脂環式の炭化水素、アルコール、例えばメタノール、メタノール、イソプロパノール、ブタノール、ベンジルアルコール、ジアセトンアルコール、エステル、例えばエチルアセテート、プロピルアセテート、ブチルアセテート、エーテルエステル、例えばメトキシプロピルアセテートまたはブチルグリコールアセテート、ケトン、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンまたはシクロヘキサノン、強力に極性の溶剤、例えばN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキサイト、N−メチルピロリドンは、本発明による塗料を配合するために適当である。
【0015】
更に、適当な溶剤は、水、液状の酸エステル、例えば燐酸ジブチルエステル、燐酸トリブチルエステル、スルホン酸エステル、シリカのホウ酸塩または誘導体、例えばテトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、グリシジルオキシプロピルトリエトキシシランである。
【0016】
前記溶剤が本発明によるシリカのために分散媒体として使用される場合には、使用される前記材料に他の物質が添加されてよい。好ましくは、その後の使用のために提供されるかまたは脱凝集または脱凝集された材料の性質、例えば安定性を改善する物質が記載される。
【0017】
特に好ましくは、低分子量有機化合物または高分子量有機化合物、例えば塗料工業および塗装工業において常用の上記の樹脂および結合剤が記載される。
【0018】
また、分散媒体中に多成分系で使用される量の樹脂組合せ物、例えば硬化剤として作用するアミン樹脂およびメラミン樹脂、ポリイソシアネート、芳香族または脂肪族ポリイソシアネートと所謂開裂剤とから構成されている、封鎖されたポリイソシアネートとも呼ばれる付加物、例えばメチルエチルケトキシム、カプロラクタム、マロン酸エステルまたはトリアゾールおよび2,5−ジメチルピラゾールを使用してもよい。水が分散媒対の実質的な成分として使用されるような方法に適した添加剤は、殊に水中で可溶性であるかまたは水と相容性である化合物、例えば部分的にかまたは完全に鹸化されたポリビニルアセテート、または親水性にされた上記種類の化合物の変形である。更に、適当であり、水性媒体中で有利に使用される添加剤は、例えばシリカゾルおよび元素アルミニウム、チタン、ジルコニウム、タンタルおよび錫の金属酸化物のゾルである。
【0019】
他の凝集に対して本発明による脱凝集されたシリカの安定化を達成させることができる低分子量の添加剤としては、原理的に他の手段、例えば上記の方法の1つによって製造されたナノ尺度の材料を安定化するために使用される全ての化合物が適当である。例えば、シラン基を有する加水分解可能な化合物、例えばアルコキシシランまたはクロロシランを挙げることができる。特殊な両親媒性化合物が使用されてもよい。分散媒体の製造に適している溶剤および添加剤は、所望されるように互いに混合されてよい。
【0020】
本発明による塗料用結合剤は、塗料を製造するために任意の常用の硬化剤(組合せ物)を混合されてよい。
【0021】
本発明による塗料組成物は、構造変性された熱分解法シリカを含有する透明塗料組成物であり、この場合本発明によるシリカは、塗料組成物のレオロジーに対して極めて小さな作用を有し、他方で、同時に引掻きに対する塗料表面の増大された耐性を示す。
【0022】
本発明による塗料組成物は、クリヤーラッカーの製造に特に好適である。それというのも、例えば耐引掻性の改善のような性質の重要な改善は、本発明による塗料組成物によって達成されることができ、他方で、透明度および高い光沢度は維持される。本発明による塗料組成物が特に顕著な利点を導くような典型的なクリヤーラッカーの用途は、例えば自動車の量産および修復ラッカー塗装ならびに寄木張り床もしくは他の床の耐磨耗性塗装である。
【0023】
付加的に、熱分解法シリカは、構造変性のために、減少されたダスト形成傾向を有し、塗料用結合剤中への配合は、簡易化される。
【0024】
次の2つの表は、製造の概観および比較シリカの物理化学的データならびに実施例中で使用される本発明によるシリカを含む。
【0025】
【表1】

【0026】
【表2】

【実施例】
【0027】
実施例1:
常用の二成分系ポリウレタン塗料を耐引掻性の改善を研究するために使用した。塗料の処方および適用を含めて塗料の製造は、下記に記載されている:
【表3】

【0028】
結合剤の濃度: 40%、
練和すべき材料に対して計算されたシリカ(FK): 18.8%、
塗料に対して計算されたシリカ(全体量): 5.0%、
塗料に対して計算されたシリカ(FK): 12.5%。
【0029】
塗料の製造および適用
結合剤を溶剤と混合する。次に、予備分散のために、シリカをディスソルバー(プレートφ45mm)を用いて前記混合物中に配合し、2000rpmで5分間予め分散させる。この混合物を実験室用ビーズミル中で2500rpmおよび60%のポンプ能力で30分間ガラス玉(φ約1mm)を用いて分散させる。分散された材料をDIN ISO 1524によりグラインドメーター、25μm、を用いて検査する。この分散された材料は、10μm未満でなければならない。
【0030】
練和(grind)された材料から前記処方により塗料を作り、この場合これらの成分は、羽根型撹拌機を用いて2000rpmで混合される。硬化剤は、同じ方法で配合される。
【0031】
塗料をDIN 53411により噴霧粘度に調節した後に、この塗料を黒色ラッカー塗装された金属シート、例えばDT36(Q−パネル)(層厚約40〜50μm)に噴霧塗装により塗装する。噴霧後、金属シートを室温で24時間乾燥させ、次に乾燥炉中で70℃で2時間乾燥させる。
【0032】
引掻き試験:
耐磨耗性および耐洗浄性試験機(Erichsen, 豚剛毛ブラシ)を用いて、金属シートを石英/水懸濁液(水100g+0.25% Marlon A350、1g+Sikron F500 5g)ならびにCaCO/水混合物(水100g+0.25% Marlon A350、1g+Millicarb BG5g)を使用して研磨する。研磨前の光沢と研磨してから10分後の光沢を反射率計(照射角度20゜)を用いて測定する。
【0033】
第3表:次頁
本発明による全てのシリカは、比較シリカと比較して実質的に低いレオロジー活性を有するので、塗装面の外観を損なうことなく高い濃度で使用されることができる。付加的に、本発明によるシリカは、塗装面の耐引掻性の実質的な改善を示す。
【0034】
【表4】

【0035】
【表5】

【0036】
実施例2
本例において、構造的な変性の作用は、高度に固体の2K PURクリヤーラッカーに関連して研究された。塗料の処方および適用および試験を含めて塗料の製造は、下記に記載されている:
【表6】

【0037】
結合剤の濃度: 62.8%、
練和すべき材料に対して計算されたシリカ(FK): 11.7%、
塗料に対して計算されたシリカ(全体量): 5.0%、
塗料に対して計算されたシリカ(FK): 8.0%。
【0038】
塗料の製造および適用
結合剤を溶剤と混合する。次に、予備分散のために、シリカをディスソルバー(プレートφ45mm)を用いて前記混合物中に配合し、2000rpmで5分間予め分散させる。この混合物を実験室用ビーズミル中で2500rpmおよび60%のポンプ能力で30分間ガラス玉(φ約1mm)を用いて分散させる。分散された材料をDIN ISO 1524によりグラインドメーター、25μm、を用いて検査する。この分散された材料は、10μm未満でなければならない。
【0039】
練和された材料から前記処方により塗料を作り、この場合これらの成分は、羽根型撹拌機を用いて2000rpmで混合される。硬化剤は、同じ方法で配合される。
【0040】
塗料をDIN 53411により噴霧粘度に調節した後に、この塗料を黒色ラッカー塗装された金属シート、例えばDT36(Q−パネル)(層厚約40〜50μm)に噴霧塗装により塗装する。噴霧後、金属シートを室温で24時間乾燥させ、次に乾燥炉中で70℃で2時間乾燥させる。
【0041】
引掻き試験:
耐磨耗性および耐洗浄性試験機(Erichsen, 豚剛毛ブラシ)を用いて、金属シートを石英/水懸濁液(水100g+0.25% Marlon A350、1g+Sikron F500 5g)を使用して研磨する。研磨前の光沢と研磨してから10分後の光沢を反射率計(照射角度20゜)を用いて測定する。
【0042】
【表7】

【0043】
本発明によるシリカ1+2および7+8は、比較シリカ1および4と比較して実質的に低いレオロジー活性を有するので、塗装面の外観を損なうことなく高い濃度で使用されることができる。付加的に、本発明によるシリカは、塗装面の耐引掻性の実質的な改善を示す。
【0044】
実施例3:
常用の二成分系ポリウレタン塗料を耐引掻性の改善を研究するために使用した。塗料の処方および適用を含めて塗料の製造は、下記に記載されている:
【表8】

【0045】
結合剤の濃度: 40%、
練和すべき材料に対して計算されたシリカ(FK): 19.2%、
塗料に対して計算されたシリカ(全体量): 5.0%、
塗料に対して計算されたシリカ(FK): 12.5%。
【0046】
塗料の製造および適用
結合剤を溶剤と混合する。次に、予備分散のために、シリカをディスソルバー(プレートφ45mm)を用いて前記混合物中に配合し、2000rpmで5分間予め分散させる。この混合物を実験室用ビーズミル中で2500rpmおよび60%のポンプ能力で30分間ガラス玉(φ約1mm)を用いて分散させる。分散された材料をDIN ISO 1524によりグラインドメーター、25μm、を用いて検査する。この分散された材料は、10μm未満でなければならない。
【0047】
練和された材料から前記処方により塗料を作り、この場合これらの成分は、羽根型撹拌機を用いて2000rpmで混合される。硬化剤は、同じ方法で攪拌混入される。
【0048】
塗料をDIN 53411により噴霧粘度に調節した後に、この塗料を黒色ラッカー塗装された金属シート、例えばDT36(Q−パネル)(層厚約40〜50μm)に噴霧塗装により塗装する。噴霧後、金属シートを室温で24時間乾燥させ、次に乾燥炉中で70℃で2時間乾燥させる。
【0049】
引掻き試験:
耐磨耗性および耐洗浄性試験機(Erichsen, 豚剛毛ブラシ)を用いて、金属シートを石英/水懸濁液(水100g+0.25% Marlon A350、1g+Sikron F500 5g)を使用して研磨する。研磨前の光沢と研磨してから10分後の光沢を反射率計(照射角度20゜)を用いて測定する。
【0050】
第5表:次頁
本発明によるシリカ1+2および3+4は、比較シリカ1および2と比較して実質的に低いレオロジー活性を有するので、塗装面の外観を損なうことなく高い濃度で使用されることができる。付加的に、本発明によるシリカは、塗装面の耐引掻性の実質的な改善を示す。
【0051】
【表9】

【0052】
例4
本発明によるシリカとドイツ連邦共和国特許出願公開第19811790号明細書A1に記載の耐引掻性塗料との比較、この場合、AEROSIL R 972は、耐引掻性を改善するために使用される。
【0053】
【表10】

【0054】
塗料の製造および適用
1)比較シリカ1をジェット分散装置を用いてドイツ連邦共和国特許出願公開第19811790号明細書A1の記載による結合中に配合する。
【0055】
2)結合剤を溶剤と混合する。次に、予備分散のために、シリカをディスソルバー(プレートφ45mm)を用いて前記混合物中に配合し、2000rpmで5分間予め分散させる。この混合物を実験室用ビーズミル中で2500rpmおよび60%のポンプ能力で30分間ガラス玉(φ約1mm)を用いて分散させる。分散された材料をDIN ISO 1524によりグラインドメーター、25μm、を用いて検査する。この分散された材料は、10μm未満でなければならない。
【0056】
練和された材料を前記処方による1)または2)に相応する塗料中に装入し、この場合これらの成分は、羽根型撹拌機を用いて2000rpmで混合される。硬化剤は、同じ方法で攪拌混入される。
【0057】
塗料をDIN 53411により噴霧粘度に調節した後に、この塗料を黒色ラッカー塗装された金属シート、例えばDT36(Q−パネル)(層厚約40〜50μm)に噴霧塗装により塗装する。噴霧後、金属シートを室温で24時間乾燥させ、次に乾燥炉中で70℃で2時間乾燥させる。
【0058】
引掻き試験:
耐磨耗性および耐洗浄性試験機(Erichsen, 豚剛毛ブラシ)を用いて、金属シートをCaCO3/水懸濁液(水100g+0.25% Marlon A350、1g+CaCO Millicarb 5g)を使用して研磨する。研磨前の光沢と研磨してから10分後の光沢を反射率計(照射角度20゜)を用いて測定する。
【0059】
【表11】

【0060】
本発明によるシリカを使用することにより、公知技術水準の場合よりも塗装面の引掻後の残存光沢の実質的に著しい改善が達成されることが見出される。付加的に、本発明によるシリカは、低いレオロジー活性のためにミカン肌を生じない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗料組成物において、
・ ポリマー成分または2つ以上の物理的または化学的に架橋するポリマー成分の混合物の固体5〜99.5質量%、
・ 溶剤として作用する低分子量成分またはこのような低分子量成分の混合物0〜80質量%、
・ アルキルシリル基(SiC2n+1、但し、nは、2〜18であるものとする)および/またはジメチルシリル基および/またはモノメチルシリル基が表面に結合されている、シラン化された構造変性された熱分解法シリカ0.5〜50質量%、
・ 商業的に入手可能な添加剤0〜10質量%を含有する塗料組成物。

【公開番号】特開2012−158765(P2012−158765A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−102431(P2012−102431)
【出願日】平成24年4月27日(2012.4.27)
【分割の表示】特願2004−531826(P2004−531826)の分割
【原出願日】平成15年7月29日(2003.7.29)
【出願人】(501073862)エボニック デグサ ゲーエムベーハー (837)
【氏名又は名称原語表記】Evonik Degussa GmbH
【住所又は居所原語表記】Rellinghauser Strasse 1−11, D−45128 Essen, Germany
【Fターム(参考)】