説明

塗料組成物

(A)官能基含有合成樹脂、および(B)官能基含有液状ポリジアルキルシロキサンまたは官能基含有液状フルオロポリエーテルである防汚成分、更に要すれば硬化剤(C)を含む塗料組成物であって、汚染防止、特に油性汚れの除去性に優れ、落書きをされても容易に拭き取り除去でき、しかも耐候性、密着性にも優れた屋外の各種の塗装に最適な塗料組成物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、基材への密着性がよく、しかも汚れの除去性に特に優れた塗膜を与える塗料組成物に関する。
【背景技術】
各種の基材、たとえば石材、コンクリート、金属、プラスチック、木材などの表面に撥水性の防汚塗膜を形成して、汚れの付着を防止したり除去を容易にすることはよく行なわれている。そうした防汚性の塗料としては、大別して、(1)シリコーン系の化合物を主体とする無機系の塗料組成物(たとえば特開昭64−45411号公報など)と、(2)フッ素樹脂やアクリル樹脂からなる硬化性塗料組成物(たとえば特公昭60−21686号公報、特開昭57−23662号公報、特開昭63−264675号公報、特開平5−25422号公報など)と、(3)塗膜形成樹脂に防汚性のケイ素含有低分子量化合物を配合した塗料組成物(たとえば特開平1−51477号公報、特開平9−78029号公報、WO98/22530号パンフレット、特開平5−339538号公報、特開平11−29722号公報、特開平2−75649号公報、特開平10−88065号公報など)が知られている。
前記(1)の無機系の被膜を基材表面に形成する場合、基材を均一にかつ連続して被覆することが困難であり、しかも長期間の防汚効果は期待できない。
前記(2)の撥水撥油性の樹脂で被覆する方法は、塗膜自体の強度は得られるが、防汚効果が不充分である。
前記(3)の塗膜形成樹脂に防汚性のケイ素含有低分子量化合物を配合した塗料組成物は、(1)と(2)の問題点を補おうとするものであるが、ケイ素含有低分子量化合物を塗膜形成樹脂中に均一に分散させること、さらには表面にケイ素含有低分子量化合物を集中させること、とりわけ、ケイ素含有低分子量化合物を表面に長期間保持することが難しく、未だ、長期間にわたって防汚効果が維持できる塗膜を与える塗料組成物は見出されていない。
ところで、表面を撥水撥油性にではなく親水性にして防汚効果を達成しようとする試みもなされている。たとえばWO97/11130号パンフレットにフッ素樹脂などを塗膜形成成分とし、3ないし4官能(加水分解性基を3〜4個有する)含フッ素シリケート化合物を汚染付着防止剤として配合した塗料組成物が記載されている。しかし、この塗料組成物は、塗膜表面に濃縮してきた含フッ素シリケートを加水分解し、加水分解された親水性基で表面を親水化することにより、防汚効果を達成するものであり、しかもフッ素を有する基は加水分解性基であり、加水分解されて離脱し塗膜表面には存在しなくなる。
さらに防汚性に関するものではなく着氷雪防止性や滑雪性の向上を課題とする被覆組成物も提案されている(たとえば特開平4−85369号公報または特開昭58−132073号公報など)。特開平4−85369号公報には水酸基含有クロロトリフルオロエチレン系共重合体に官能基を有しないシリコーン系またはフッ素系の撥水剤や滑剤を配合することが記載されており、また特開昭58−132073号公報には官能基を有しない常温乾燥型ビニル樹脂やアクリル樹脂などにシリコーンオイルを配合することが記載されている。しかし、これらの文献に記載されている組成物を使用して被膜を形成しても、膜中の撥水剤や滑剤、シリコーンオイルが膜表面から漏出または脱落してしまうため、持続性が不充分という問題がある。
本発明の目的は、塗膜表面を撥水撥油性にし、しかも長期間にわたって屋外でも防汚効果、特に汚れの除去性、拭き取り性を保つことができる塗料組成物を提供することにある。
【発明の開示】
本発明は、(A)官能基Xを含有する合成樹脂、(B)防汚成分および(C)硬化剤を含む組成物であって、防汚成分(B)が(B1)官能基Xおよび/または硬化剤(C)と反応し得る官能基Yを有する液状のポリジアルキルシロキサン、または(B2)官能基Xおよび/または硬化剤(C)と反応し得る官能基Yを有する液状のフルオロポリエーテルである塗料組成物、または
(A)官能基Xを含有する合成樹脂および(B)防汚成分を含み、かつ硬化剤を含まない組成物であって、防汚成分(B)が(B1)官能基Xと反応し得る官能基Yを有する液状のポリジアルキルシロキサン、または(B2)官能基Xと反応し得る官能基Yを有する液状のフルオロポリエーテルである塗料組成物
に関する。
前記樹脂(A)としては、官能基含有フッ素樹脂、官能基含有非フッ素アクリル樹脂、官能基含有ポリエステル樹脂、官能基含有ウレタン樹脂および/または官能基含有エポキシ樹脂があげられ、前記樹脂(A)が有する官能基Xが、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基、アミノ基、カルボニル基、ニトリル基および/または加水分解性アルキルシリケート残基が好ましくあげられる。
また、前記ポリジアルキルシロキサン(B1)が有する官能基Yとしては、官能基Xの少なくとも1つと反応し得る官能基であって、水酸基、アミノ基、エポキシ基、カルボキシル基、チオール基、−(CO)−(CO)(Rは炭素数1〜8のアルキル基、aとbは同じかまたは異なり1〜40の整数)および/または加水分解性アルキルシリケート残基が好ましく、また、前記フルオロポリエーテル(B2)が有する官能基Yとしては、官能基Xの少なくとも1つと反応し得る官能基であって、水酸基、アミノ基、エポキシ基、カルボキシル基、チオール基、ニトリル基、ヨウ素原子および/または加水分解性アルキルシリケート残基が好ましい。
前記樹脂(A)の官能基Xおよび防汚成分(B)の官能基YまたはYにおける加水分解性アルキルシリケート残基は、好ましくは−SiR3−m(OR(式中、Rは炭素数1〜18のフッ素原子を含んでいてもよい非加水分解性の炭化水素基;Rは炭素数1〜18の炭化水素基;mは1〜3の整数)で示されるケイ素含有官能基である。
本発明の塗料組成物は、硬化剤(C)を含んでいてもいなくてもよい。硬化剤(C)を含む場合、硬化剤(C)としては、官能基の種類によって適宜選択されるが、たとえばイソシアネート化合物、アミノ化合物、エポキシ化合物、有機酸、ヒドラジド化合物、アジリジン化合物、カルボジイミド化合物および/またはSi(OR(Rは炭素数1〜10の非フッ素アルキル基)、RSi(OR(RおよびRは同じかまたは異なり、炭素数1〜10の非フッ素アルキル基)、これらの単独縮合オリゴマーおよびこれらの共縮合コオリゴマーよりなる群から選ばれた少なくとも1種が好ましくあげられる。
限定的な組合せではないが、たとえば
(1)前記樹脂(A)が有する官能基Xが水酸基であり、防汚成分(B)が有する官能基YまたはY(以下、合わせて「官能基Y」ということもある)が水酸基またはアミノ基であり、硬化剤(C)がイソシアネート化合物である組合せ、この場合、硬化剤(C)としては加水分解性アルキルシリケート残基を有するイソシアネート化合物が好ましい、
(2)前記樹脂(A)が有する官能基Xがカルボキシル基であり、防汚成分(B)が有する官能基Yがカルボキシル基、アミノ基またはエポキシ基であり、硬化剤(C)がアミノ化合物、エポキシ化合物、アイジリジン化合物またはカルボジイミド化合物である組合せ、
(3)前記樹脂(A)が有する官能基Xがアミノ基であり、防汚成分(B)が有する官能基Yがアミノ基またはカルボキシル基であり、硬化剤(C)がエポキシ化合物または有機酸である組合せ、
(4)前記樹脂(A)が有する官能基Xがカルボニル基またはカルボキシル基であり、防汚成分(B)が有する官能基Yがアミノ基またはカルボキシル基であり、硬化剤(C)がエポキシ化合物またはヒドラジド化合物である組合せ、
(5)前記樹脂(A)が有する官能基Xがエポキシ基であり、防汚成分(B)が有する官能基Yがアミノ基またはエポキシ基であり、硬化剤(C)が有機酸またはアミノ化合物である組合せがあげられる。
硬化剤を含まない塗料組成物としては、
(6)前記樹脂(A)が有する官能基Xが加水分解性アルキルシリケート残基であり、防汚成分(B)が有する官能基Yが水酸基または加水分解性アルキルシリケート残基である組合せ、
(7)前記樹脂(A)が有する官能基Xが水酸基であり、防汚成分(B)が有する官能基Yが加水分解性アルキルシリケート残基である組合せ
が好ましくあげられる。この場合、さらに硬化触媒(D)を含んでいることが好ましい。
前記(1)の組合せにおいて、前記防汚成分(B)が有する官能基YまたはYがアミノ基であることが好ましい。
また、硬化剤(C)として、イソシアネート化合物と、Si(OR(Rは炭素数1〜10の非フッ素アルキル基)、単独縮合オリゴマーおよび/または共縮合コオリゴマーとを併用してなるものも好ましい。
前記樹脂(A)の水酸基価としては、10〜300mgKOH/gであることが好ましく、また前記防汚成分(B)のアミノ当量が1000以上であるが好ましい。
前記樹脂(A)としては、特に撥水性と防汚性に優れる点から官能基含有フッ素樹脂、特にフッ素含有率10質量%以上の官能基フッ素樹脂が好ましくあげられる。
本発明の塗料組成物において、前記樹脂(A)と防汚成分(B)との配合割合は特に限定されないが、樹脂(A)100重量部に対して防汚成分(B)が0.01重量部以上、特に0.1重量部以上で50重量部以下、特に20重量部以下であることが好ましい。
本発明の塗料組成物は、有機溶剤を含む有機溶剤型塗料に調製されてもよいし、水性媒体に分散された水性分散型塗料に調製されてもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
本発明の組成物においては、(B)成分である特定の防汚成分が有する官能基と(A)成分の樹脂中の官能基と、硬化剤(C)を介してまたは直接縮合して樹脂(A)と化学的に結合し、特定の防汚成分(B)を得られる塗膜の表面付近に高濃度で存在させることにより、優れた防汚性を塗膜表面に付与すると考えられる。
まず、(B)成分である防汚成分について説明する。(B)成分としては、液状の官能基含有ポリジアルキルシロキサン(B1)と液状の官能基含有フルオロポリエーテル(B2)が使用できる。本発明において液状とは、室温(25℃)で液状またはワックス状のものをいう。
官能基含有ポリジアルキルシロキサン(B1)は、同種または異種のジアルキルシロキサンが2個以上、好ましくは10個以上、さらには10000個以下、好ましくは1000個以下縮合したオリゴマーまたはコオリゴマーであり、官能基Yとして、前記のとおり、水酸基、アミノ基、エポキシ基、カルボキシル基、チオール基、−(CO)−(CO)(Rは炭素数1〜8のアルキル基、aとbは同じかまたは異なり1〜40の整数)および/または加水分解性アルキルシリケート残基を1個または2個以上、好ましくは1000個以下含む化合物があげられる。
加水分解性アルキルシリケート残基としては、−SiR3−m(OR(式中、Rは炭素数1〜18のフッ素原子を含んでいてもよい非加水分解性の炭化水素基;Rは炭素数1〜18の炭化水素基;mは1〜3の整数)で示されるケイ素含有官能基が好ましい。
としては、たとえばメチル、エチル、プロピルなどがあげられる。
としては、たとえばメチル、エチル、プロピルなどがあげられ、特に反応性(加水分解性)に優れる点からメチルが好ましい。
mは1〜3の整数であるが、加水分解性に優れる点から3であるのが好ましい。
官能基含有ポリジアルキルシロキサン(B1)は具体的には、式(1):

(式中、R、R、R、R10、R11、R12は同じかまたは異なり、炭素数1〜8のアルキル基、Rf基(Rfは官能基Yを有していてもよい直鎖状または分岐鎖状の炭素数1〜18のフルオロアルキル基。中間に酸素原子および/または窒素原子を含んでいてもよい)または−R13−Y(R13は炭素数0〜14の酸素原子および/または窒素原子を含んでいてもよい2価の炭化水素基、Yは前記官能基)であって、少なくとも1つは官能基Yを含む;lは1〜10000の整数;mは1〜1000の整数;nは0〜10000の整数)で示される官能基含有ポリジアルキルシロキサンが例示できる。
、R、R、R10、R11、R12は非加水分解性の基である。好ましい具体例としては、CH、C、Cなどの官能基を有しないアルキル基;Y−CH−、Y−CHCH−、Y−CHCHCH−などの官能基含有アルキル基;−CH−Rf、−CHCH−Rf(Rfは官能基Yを有しない炭素数1〜18のフルオロアルキル基)などの官能基を有しない含フッ素アルキル基;−CH−Rf、−CHCH−Rf、−CHCHCH−Rf(Rfは官能基Yを有する炭素数1〜18のフルオロアルキル基)などの官能基を有する含フッ素アルキル基などがあげられる。Rfの具体例としては、つぎのものがあげられる。
(1)官能基を有さないフルオロアルキル基
−、C17−、C19−、CSON(CH)C−、CN(CH)C−など
(2)官能基を有しないフルオロエーテル基
CFOCFCFO−C−、
CF(CFCFO)−C−、
CFO(CFO)(CFCFO)−、
CFCFCFO(CFCFCFO)−、
F−(CO)−(CO)
などがあげられる。
Rfの具体例としては、
(3)官能基を有するフルオロアルキル基
OHCCFCFCFCF−、
HOOCCFCFCFCF−など
(4)官能基を有するフルオロエーテル基
HOCHCFO(CFCFO)−C−、HOOCCFO(CFCFO)−C−など
があげられる。
これらのうち、少なくとも1つは撥水撥油性に優れることから、官能基を有さないフルオロアルキル基およびフルオロエーテル基が好ましい。
官能基Yとしては前記のものがあげられるが、つぎのような形で結合していることが好ましい。

(式中、Rは前記と同じ、R14は炭素数0〜8のアルキレン基、R15は炭素数0〜8のアルキレン基)
非限定的な具体例を官能基Yの種類別に市販品で例示すると、以下のようになる。
官能基YがOH:
チッソ(株)製:サイラプレーンFM−4421、FM−0421、FM−0411、FM−0425、FM−DA11、FM−DA21など
信越化学工業(株)製:KF−6001、KF−6002、X−22−4015、X−22−176DXなど
官能基YがNHまたは−R14−NH−R15−NH
チッソ(株)製:サイラプレーンFM−3321、FM−3311、FM−3325など
信越化学工業(株)製:KF−860、KF−861、KF−865、KF−8002、X−22−161Bなど
日本ユニカー(株)製:FZ−3501、FZ−3789、FZ−3508、FZ−3705、FZ−4678、FZ−4671、FZ−4658など
官能基Yがエポキシ基:
チッソ(株)製:サイラプレーンFM−0521、FM−5521、FM−0511、FM−0525など
信越化学工業(株)製:KF−101、X−22−163B、X−22−169Bなど
日本ユニカー(株)製:L−9300、FZ−3736、FZ−3720、LE−9300、FZ−315など
官能基YがCOOH:
信越化学工業(株)製:X−22−162C、X−22−3701Eなど
日本ユニカー(株)製:FZ−3703など
官能基YがSH:
信越化学工業(株)製:KF−2001、X−22−167Bなど
官能基Yが−(CO)(CO)
信越化学工業(株)製:KF−353、KF−355A、KF−6015など
つぎに官能基含有フルオロポリエーテル(B2)について説明する。
官能基含有フルオロポリエーテル(B2)は、官能基Yを少なくとも1個有するフルオロポリエーテルである。官能基Yとしては、水酸基、アミノ基、エポキシ基、カルボキシル基、チオール基、ニトリル基、ヨウ素原子および/または加水分解性アルキルシリケート残基があげられる。
官能基含有フルオロポリエーテル(B2)としては、たとえば式(2):
16−(CO)−(CO)−(CFO)−(C−(CH−Y
(式中、R16はH、炭素数1〜8のアルキル基、FまたはC2q+1O−(q=1〜5);Yは前記のとおり;l、m、n、pおよびrは同じかまたは異なる0または1〜200の整数で、すべてがゼロになることはない)で示される官能基含有フルオロポリエーテルが好ましい。
16としては、たとえばHまたはF;メチル、エチル、プロピル、ブチルなどの炭素数1〜8の非フッ素アルキル基;CF、Cなどの炭素数1〜15のパーフルオロアルコキシ基;Y−(CH−C2qO−(sは0〜200の整数)などがあげられ、特に撥水撥油性にすぐれる点からパーフルオロアルコキシ基が好ましい。
官能基Yとしては前記のものがあげられるが、つぎのような形で結合していることが好ましい。


(式中、R15は前記と同じ、R17、R18は同じかまたは異なりHまたは炭素数1〜4のアルキル基)
非限定的な具体的オリゴマーを官能基Yの種類別に例示すると、以下のようになる。
官能基YがOH:
F(CO)CFCFCHOH (n=10〜14)、
OHCHCFO(CFCFO)−(CFO)−CFCHOH
(nの平均は25、mの平均は5)
など
官能基YがNHまたは−NH−R15−NH
F(CO)CFCFCHNH (nの平均は12)など
官能基Yがエポキシ基:

(nの平均は16)
など
官能基YがCOOH:
F(CO)CFCFCOOH (nの平均は25)など
官能基YがI(ヨウ素):
F(CO)CFCFI (nの平均は10)など
なお、そのほかたとえば米国特許第5,279,820号明細書に記載されたものも使用できる。
本発明の塗料組成物は、かかる防汚成分(B)と(A)成分である官能基含有合成樹脂を含む。
(A)成分の樹脂としては、官能基含有フッ素樹脂、官能基含有非フッ素アクリル樹脂、官能基含有ポリエステル樹脂、官能基含有ウレタン樹脂および/または官能基含有エポキシ樹脂があげられ、前記樹脂(A)が有する官能基Xとしては、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基、アミノ基、カルボニル基、ニトリル基および/または加水分解性アルキルシリケート残基が好ましくあげられる。
これらのうち、防汚成分(B)の官能基YまたはYとの反応性に優れる点、必要に応じて使用するイソシアネート化合物などの硬化剤との反応性が良好な点、さらに密着性が改善できる点から水酸基および加水分解性アルキルシリケート残基が好ましい。
官能基含有フッ素樹脂(A1)には、つぎのような形態が含まれる。
(I)フルオロオレフィンと官能基含有非フッ素系単量体との共重合体、
(II)官能基含有フルオロオレフィンと官能基を有しないフルオロオレフィンとの共重合体、
(III)2種以上の樹脂をブレンドして調製した官能基含有フッ素樹脂ブレンド物、
(IV)フッ素樹脂粒子にさらに官能基含有非フッ素系単量体をシード重合した複合化樹脂(シード重合体)。
フルオロオレフィンとしては、テトラフルオロエチレン(TFE)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)、トリフルオロエチレン、フッ化ビニリデン(VdF)、フッ化ビニルなどがあげられる。また、官能基含有フルオロオレフィンとしてはたとえばつぎのものが例示できる。
(i)CF=CF(CF
(ZはSOMまたはCOOM(MはH、NHまたはアルカリ金属);aは1〜10の整数)
具体例としては、
CF=CFCF−COOH
などがあげられる。
(ii)CF=CF(CFCF(CF))−Z
(ZはSOMまたはCOOM(MはH、NHまたはアルカリ金属);bは1〜5の整数)
具体例としては、
CF=CFCFCF(CF)−COOH、
CF=CF(CFCF(CF))−COONH
などがあげられる。
(iii)CF=CF−O−(CFRf−Z
(RfはFまたはCF;ZはSOMまたはCOOM(MはH、NHまたはアルカリ金属);cは1〜10の整数)
具体例としては、
CF=CF−O−CFCFCFCOOH
などがあげられる。
(iv)CF=CF−O−(CFCFRfO)−Z
(RfはFまたはCF;ZはSOMまたはCOOM(MはH、NHまたはアルカリ金属);dは1〜10の整数)
具体例としては、
CF=CF−O−CFCF(CF)OCFCFCOOH、
CF=CF−O−CFCF(CF)OCFCFSO
などがあげられる。
(v)CH=CFCF−O−(CF(CF)CFO)−CF(CF)−Z
(ZはSOMまたはCOOM(MはH、NHまたはアルカリ金属);eは0または1〜10の整数)
具体例としては、

などがあげられる。
(vi)CF=CFCF−O−(CF(CF)CFO)−CF(CF)−Z
(ZはSOMまたはCOOM(MはH、NHまたはアルカリ金属);fは1〜10の整数)
具体例としては、
CF=CFCFO−CF(CF)CFO−CF(CF)COOH、
CF=CFCFO−CF(CF)CFO−CF(CF)SO
などがあげられる。
官能基含有非フッ素系単量体のうち水酸基含有非フッ素系単量体としては、式:CH=CHR30(式中、R30は−OR31または−CHOR31(ただしR31は水酸基を有するアルキル基)である)で表わされるヒドロキシアルキルビニルエーテルまたはヒドロキシアリルエーテルがあげられる。R31としては、たとえば炭素数1〜8の直鎖または分岐鎖状のアルキル基に1〜3個、好ましくは1個の水酸基が結合したものである。これらの例としては、たとえば2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、3−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、4−ヒドロキシ−2−メチルブチルビニルエーテル、5−ヒドロキシペンチルビニルエーテル、6−ヒドロキシヘキシルビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルアリルエーテル、4−ヒドロキシブチルアリルエーテル、グリセロールモノアリルエーテルなどがあげられる。そのほか、アリルアルコールなども例示できる。
加水分解性アルキルシリケート残基含有の非フッ素系単量体としては、たとえばビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリプロポキシシラン、ビニルメチルジメトキシシランなどのビニルアルコキシシラン類のほか、トリメトキシシリルエチルビニルエーテル、トリエトキシシリルエチルビニルエーテル、トリエトキシシリルプロピルビニルエーテル、トリイソプロペニルオキシシリルエチルビニルエーテル、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランなどが例示できる。
カルボキシル基含有非フッ素系単量体としては、後述する式(12)または(13)に示される不飽和基含有有機酸、たとえばアクリル酸、メタクリル酸、ビニル酢酸、クロトン酸、桂皮酸、3−アリルオキシプロピオン酸、イタコン酸、イタコン酸モノエステル、イタコン酸無水物、コハク酸無水物、マレイン酸、マレイン酸モノエステル、マレイン酸無水物、フマル酸、フマル酸モノエステル、フタル酸ビニル、ピロメリット酸ビニル、3−アリルオキシプロピオン酸などのカルボキシル基含有単量体があげられる。
その他の官能基含有非フッ素系単量体としては、(メタ)アクリル酸グリシジル、エポキシビニル、エポキシビニルエーテルなどのエポキシ基含有単量体;ジアセトンアクリルアミド、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミドなどのアミノ基含有単量体;(メタ)アクリロニトリルなどのニトリル基含有単量体;アクロレイン、ビニルエチルケトン、ジアセトンアクリルアミドなどのカルボニル基含有単量体が例示できるが、これらに限定されるものではない。
また、上記の官能基を有しない単量体を共単量体として使用してもよい。たとえば、エチレン、プロピレン、イソブチレンなどのα−オレフィン類;エチルビニルエーテル(EVE)、シクロヘキシルビニルエーテル(CHVE)、ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、メチルビニルエーテル、ポリオキシエチレンビニルエーテルなどのビニルエーテル類;ポリオキシエチレンアリルエーテル、エチルアリルエーテル、アリルエーテルなどのアルケニル類;酢酸ビニル、乳酸ビニル、酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、安息香酸ビニル、ベオバ9やベオバ10(いずれもシェル化学社製の飽和カルボン酸ビニル)などのビニルエステル類;マレイン酸ジメチルなどの不飽和カルボン酸ジエステル類;メタクリル酸メチル、アクリル酸ブチルなどの(メタ)アクリル酸エステル類;スチレン、ビニルトルエンなどのビニル芳香族化合物などが使用できる。
前記(I)の形態の共重合体のうち水酸基含有共重合体としては、前記フルオロオレフィンと、前記官能基含有単量体、要すればこれらの単量体と共重合可能な単量体との共重合体があげられる。水酸基含有単量体の代表例はヒドロキシブチルビニルエーテルなどであり、カルボキシル基含有単量体の代表例はマレイン酸などである。他の共単量体としては、アルキルビニルエステル類、アルキルビニルエーテル類、さらにはエチレン、プロピレン、イソブテンなどのオレフィン類、(メタ)アクリレート類、スチレンなどがあげられる。
具体的には、たとえば特公昭60−21686号、特開平3−121107号、特開平4−279612号、特開平4−28707号、特開平2−232221号などの各公報に記載されているようなものがあげられる。該共重合体の数平均分子量(GPCによる)は、1000〜100000であり、1500〜30000が好ましい。前記分子量が1000未満であれば硬化性、耐候性が不充分になる傾向があり、100000を超えると作業性、塗装性に問題が生じる傾向がある。
より具体的には、TFE/アルキルビニルエーテル/HBVE系共重合体、CTFE/アルキルビニルエーテル/HBVE系共重合体、TFE/アルキルビニルエーテル/マレイン酸系共重合体、CTFE/アルキルビニルエーテル/マレイン酸系共重合体などの共重合体があげられるが、これらに限定されるものではない。
前記共重合体の水酸基価としては、0〜300(mgKOH/g)であり、0〜200(mgKOH/g)であることが好ましく、0〜150(mgKOH/g)であることが好ましい。前記水酸基が少なくなると硬化不良になりやすい傾向があり、200(mgKOH/g)を超えると塗膜の可撓性に問題が生じる傾向がある。
前記共重合体の酸価としては、0〜200(mgKOH/g)であり、0〜100(mgKOH/g)であることがさらに好ましい。前記酸価が少なくなると硬化不良となりやすい傾向があり、200(mgKOH/g)を超えると塗膜の可撓性に問題が生じる傾向がある。
前記共重合体の市販品としては、たとえばダイキン工業(株)製ゼッフル、旭硝子(株)製ルミフロン、セントラル硝子(株)製セフラルコート、大日本インキ化学工業(株)製フルオネート、東亜合成(株)製ザフロンなどがあげられる。
官能基含有含フッ素共重合体(I)のうち、官能基として加水分解性アルキルシリケート残基を有するフルオロオレフィン樹脂としては、たとえば特開平4−4246号公報などに記載されているようなものがあげられる。該共重合体の数平均分子量(GPCによる)は、1000〜100000であり、1500〜30000が好ましい。前記分子量が1000未満であれば硬化性、耐候性が不充分になる傾向があり、100000を超えると作業性、塗装性に問題が生じる傾向がある。
具体的には、TFE/ビニルメトキシシランを含む共重合体、TFE/トリメトキシシリルエチルビニルエーテルを含む共重合体などの共重合体があげられる。
前記共重合体の加水分解性アルキルシリケート残基の含有量としては、1〜50モル%、好ましくは5〜40モル%である。前記加水分解性アルキルシリケート残基が少なくなると硬化不良になりやすい傾向があり、多くなりすぎると塗膜の可撓性に問題が生じる傾向がある。
共重合体(I)の他の例としては、たとえばCTFE/エチルビニルエーテル/2−ヒドロキシブチルビニルエーテル系共重合体、TFE/シクロヘキシルビニルエーテル/ベオバ10/クロトン酸系共重合体などがあげられる。
共重合体(II)の例としては、たとえばTFE/HFP/前記式(i)〜(vi)で示される官能基含有含フッ素単量体系共重合体などがあげられる。
官能基含有含フッ素単量体系共重合体は、フッ素含有率が比較的高いものが、防汚性、耐候性などが良好で屈折率が低い点から好ましい。特にフッ素含有率が10質量%以上、さらには20質量%以上、とりわけ30質量%以上であることが好ましい。上限は各樹脂の水素原子をフッ素原子に置き換えたパーフルオロ樹脂のフッ素含有率である。
また、官能基含有含フッ素単量体系共重合体は屈折率が低い方が透明性に優れ、鮮明度が向上する点で好ましい。好ましい屈折率は、1.6以下、特に1.5以下である。下限は通常1.3である。
ブレンド物(III)としては、共重合体(I)または(II)同士のブレンド物、共重合体(I)および/または(II)と官能基含有非フッ素系樹脂とのブレンド物、共重合体(I)および/または(II)と官能基を含有しない非フッ素系樹脂とのブレンド物、官能基含有非フッ素系樹脂と官能基を含有しないフッ素樹脂とのブレンド物などがあげられる。
官能基含有非フッ素系樹脂としては上記官能基含有単量体の(共)重合体が例示でき、具体的にはアクリルポリオール、ウレタンポリオールなどが好ましくあげられる。官能基を含有しない非フッ素系樹脂としては、たとえばアクリル樹脂、ポリエステルなどが例示できる。また、官能基を含有しないフッ素樹脂としては、たとえばVdF単独重合体、VdF/TFE系共重合体、VdF/HFP系共重合体、VdF/CTFE系共重合体、VdF/TFE/CTFE系共重合体、VdF/TFE/HFP系共重合体などのVdF系重合体;TFE/HFP系共重合体;フルオロオレフィンと官能基を有しない非フッ素系単量体(たとえばビニルエーテル類やビニルエステル類、α−オレフィン類、ビニル芳香族化合物)との共重合体などが例示できる。
ブレンドの比率は、官能基の含有量やフッ素含有量などにより適宜選定すればよいが、通常官能基が防汚成分(B)、さらには硬化剤(C)と充分に反応し得る量となるようにブレンドすることが防汚性の持続効果に優れる点から望ましい。
複合化樹脂(シード重合体)(IV)としては、前記官能基と有するまたは有しないフッ素樹脂の粒子の水性分散液中で、官能基を含有する非フッ素系単量体をシード重合して製造されたものが好ましく例示できる。具体的には、VdF系共重合体粒子の水性分散体中でアクリル酸やメタクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、官能基含有ビニル化合物などをシード重合して得られる複合化樹脂が好ましい。
以上の官能基含有フッ素樹脂は有機溶剤型塗料または水性分散型塗料の形態として利用できるが、特に複合化樹脂は水性分散型塗料として有用である。
水性分散型塗料として使用する場合、固形分濃度は塗料化するときの安定性に優れる点から約20〜70重量%、好ましくは約30〜60重量%である。平均粒子径は水性分散液の安定性に優れる点から50〜300nm程度、好ましくは約100〜250nmである。pHは通常5〜10の範囲内であることが好ましい。
官能基含有非フッ素アクリル樹脂(A2)としては、つぎに示すアクリルポリオール樹脂またはアクリルシリコン樹脂が好ましい。
アクリルポリオール樹脂としては、たとえば下記水酸基含有重合性不飽和単量体(a)および必要に応じてその他の重合性不飽和単量体(b)を単量体成分とする重合体であればよい。
単量体(a)としては、下記式(8)〜(11)で表わされる化合物をあげることができる。

[式中、R20は水素原子またはヒドロキシアルキル基を示す。]

[式中、R20は前記に同じ。]

[式中、Zは水素原子またはメチル基を示し、mは2〜8の整数、pは2〜18の整数、qは0〜7の整数を示す。]

[式中、Zは前記に同じ、TおよびTは、同一もしくは異なって、炭素数1〜20の2価の炭化水素基を示す。sおよびvはそれぞれ0〜10の整数を示す。ただし、sとvの和は、1〜10である。]
式(8)および(9)における、ヒドロキシアルキル基は、アルキル部分の炭素数が1〜6のヒドロキシアルキル基である。具体的には、−COH、−COH、−COHなどをあげることができる。
式(11)における炭素数1〜20の2価の炭化水素基としては、たとえば

などをあげることができる。
式(8)の単量体成分としては、たとえば
CH=CHOH、
CH=CHO(CHOH
などをあげることができる。
式(9)の単量体成分としては、たとえば

などをあげることができる。
式(10)の単量体成分としては、たとえば

などをあげることができる。
式(11)の単量体成分としては、たとえば

などをあげることができる。
さらに、前記以外にも前記式(8)〜(11)で表わされる水酸基含有不飽和単量体とε−カプロラクトン、γ−バレロラクトンなどのラクトン類との付加物などが使用できる。
その他の重合性不飽和単量体(b)としては、下記(b−1)〜(b−9)のものをあげることができる。
(b−1)オレフィン系化合物:たとえばエチレン、プロピレン、ブチレン、イソプレン、クロロプレンなど。
(b−2)ビニルエーテルおよびアリルエーテル:たとえばエチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、tert−ブチルビニルエーテル、ペンチルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル、イソヘキシルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、4−メチル−1−ペンチルビニルエーテルなどの鎖状アルキルビニルエーテル類、シクロペンチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテルなどのシクロアルキルビニルエーテル類、フェニルビニルエーテル、o−,m−,p−トリビニルエーテル類などのアリールビニルエーテル類、ベンジルビニルエーテル、フェネチルビニルエーテルなどのアラルキルビニルエーテル類など。
(b−3)ビニルエステルおよびプロペニルエステル;たとえば酢酸ビニル、乳酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、カプロン酸ビニル、イソカプロン酸ビニル、ピバリック酸ビニル、カプリン酸ビニルなどのビニルエステル類および酢酸イソプロペニル、プロピオン酸イソプロペニルなどのプロペニルエステルなど。
(b−4):アクリル酸またはメタクリル酸のエステル:たとえばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ラウリル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸ラウリルなどのアクリル酸またはメタクリル酸の炭素数1〜18のアルキルエステル;アクリル酸メトキシブチル、メタクリル酸メトキシブチル、アクリル酸メトキシエチル、メタクリル酸メトキシエチル、アクリル酸エトキシブチル、メタクリル酸エトキシブチルなどのアクリル酸またはメタクリル酸の炭素数2〜18のアルコキシアルキルエステル類など。
(b−5)ビニル芳香族化合物:たとえばスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−クロルスチレンなど。
(b−6)その他:アクリロニトリル、メタクリルロニトリルなど。
(b−7)カルボキシル基含有単量体:式(12):

(式中、R21、R22およびR23は同じかまたは異なり、いずれも水素原子、アルキル基、フェニル基、カルボキシル基またはエステル基であり、nは0または1である)または式(13):

(式中、R24およびR25は同じかまたは異なり、いずれも飽和または不飽和の直鎖または環状アルキル基、nは0または1、mは0または1である)で表わされるカルボキシル基含有ビニル単量体があげられる。具体例としては、たとえばアクリル酸、メタクリル酸、ビニル酢酸、クロトン酸、桂皮酸、3−アリルオキシプロピオン酸、イタコン酸、イタコン酸モノエステル、マレイン酸、マレイン酸モノエステル、マレイン酸無水物、フマル酸、フマル酸モノエステル、フタル酸ビニル、ピロメリット酸ビニルなどがあげられる。
(b−8)エポキシ基含有単量体:

(b−9)アミノ含有単量体:

前記アクリルポリオール樹脂としては、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基、アミノ基を有していてもよいが、水酸基が特に好ましい。
前記アクリルポリオール樹脂の水酸基価としては0〜200(mgKOH/g)であり、0〜100(mgKOH/g)であることが好ましい。前記水酸基価が少なくなると硬化不良になりやすい傾向があり、200(mgKOH/g)を超えると塗膜の可撓性に問題が生じる傾向がある。
前記アクリルポリオール樹脂としては、たとえば三菱レーヨン(株)製ダイヤナール、大日本インキ化学工業(株)製アクリディック、日立化成工業(株)製ヒタロイド、三井東圧化学(株)製オレスター、日本触媒(株)製のアクリセット、昭和高分子(株)製のポリゾール、クラリアントポリマー社製のモビニールなどの市販品を用いることができる。
アクリルシリコン樹脂としては、たとえばつぎにあげるようなアクリルシリコンモノマーを式(8)〜(11)の化合物および/またはその他重合性不飽和単量体(b)と共に重合したものであればよい。
該アクリルシリコンモノマーは、1分子中に、少なくとも1個のシラン基と、ラジカル重合性不飽和基とを有する化合物である。ラジカル重合性不飽和基としては、たとえば

[式中、R26は水素原子またはメチル基である]
などをあげることができる。
ラジカル重合性不飽和基が

のシラン基含有重合性不飽和単量体としては、たとえば下記式(14)で表わされる化合物をあげることができる:

[式中、R27は炭素数1〜20の炭化水素基を示し、Wは同一または異なって、水素原子、水酸基、加水分解性基、炭素数1〜8のアルキル基、アリール基またはアラルキル基を示す。ただし、Wの少なくとも1個は加水分解性基である]。
式(14)で表わされる化合物の具体例としては、たとえばγ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリプロポキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジプロポキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシブチルフェニルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシブチルフェニルジエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシブチルフェニルジプロポキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルジメチルエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルフェニルメチルメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルフェニルメチルエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリシラノール、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジヒドロキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシブチルフェニルジヒドロキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルジメチルヒドロキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルフェニルメチルヒドロキシシランなどがあげられる。
前記アクリルシリコン樹脂はさらに水酸基、エポキシ基を有してもよい。
前記アクリルシリコン樹脂としては、たとえば鐘淵化学工業(株)製ゼムラック、三洋化成工業(株)製クリヤマー、クラリアントポリマー社製のモビニールなどの市販品を用いることができる。
官能基含有ポリエステル樹脂(A3)としては、日立化成(株)製のエスペック、住友バイエルウレタン(株)製のデスモフェン、大日本インキ製造(株)製のベッコゾールなどの市販品があげられる。
官能基含有ウレタン樹脂(A4)としては、住友バイエルウレタン(株)製のバイボンド、BFグッドリッチ社製のサンキュア、アビシア社製のネオレック、クラリアントポリマー社製のダオタンなどの市販品があげられる。
官能基含有エポキシ樹脂(A5)としては、ジャパンエポキシレジン(株)製のエピコート、エピレッツなどの市販品があげられる。
合成樹脂(A)に水酸基および加水分解性アルキルシリケート残基以外の官能基(カルボキシル基、エポキシ基、アミノ基、カルボニル基、ニトリル基)を導入する方法としては、たとえばそれらの官能基を含有する単量体を共単量体として共重合すればよい。官能基含有単量体としては、カルボキシル基導入用では(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水コハク酸など;エポキシ基導入用では(メタ)アクリル酸グリシジルなど;アミノ基導入用ではジアセトンアクリルアミド、アクリルアミドなど;ニトリル基導入用では(メタ)アクリロニトリルなど;カルボニル基導入用ではアクロレイン、ビニルエチルケトンなどがあげられる。
樹脂(A)としては、耐候性により優れる点から官能基含有フルオロオレフィン樹脂(A1)が好ましい。
本発明の塗料組成物は、かかる樹脂(A)と防汚成分(B)とを本質的に含むものであるが、官能基の組合せによっては硬化剤(C)を配合してもよい。
樹脂(A)100重量部に対する防汚成分(B)の配合量は、0.01〜50重量部であり、好ましい下限は0.1重量部である。好ましい上限は20重量部である。防汚成分(B)が多くなりすぎると成膜性がわるくなり、また耐候性も低下し、少なすぎると撥水撥油性がわるくなる傾向にある。
樹脂(A)の官能基Xと防汚成分(B)の官能基Yが、水酸基同士、水酸基とアミノ基、カルボキシル基同士、カルボキシル基とアミノ基、カルボキシル基とエポキシ基、アミノ基同士、エポキシ基同士(順不同)の場合、硬化剤(C)を配合することが好ましい。なお、水酸基と加水分解性アルキルシリケート残基の組合せの場合も硬化剤を使用してもよい。
好ましい硬化剤(C)は、官能基XとYの組合せに応じて適切な硬化剤を使用すればよい。
具体例としては、たとえばアミノ化合物、エポキシ化合物、有機酸、ヒドラジド化合物、アジリジン化合物、カルボジイミド化合物および/またはSi(OR(Rは炭素数1〜10の非フッ素アルキル基)、RSi(OR(RおよびRは同じかまたは異なり、炭素数1〜10の非フッ素アルキル基)、これらの単独縮合オリゴマーおよびこれらの共縮合コオリゴマーよりなる群から選ばれた少なくとも1種があげられる。
硬化剤(C)の配合量は、硬化剤の種類によって適宜選択すればよいが、通常、樹脂(A)と防汚成分(B)の合計100重量部に対して0〜200重量部である。好ましい上限は100重量部、さらには80重量部であり、好ましい下限は5重量部、さらには10重量部である。
以下、樹脂(A)と防汚成分(B)の官能基の組合せと、その組合せに好適な硬化剤(C)との例をあげるが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
(1)前記樹脂(A)が有する官能基Xが水酸基であり、防汚成分(B)が有する官能基Yが水酸基またはアミノ基である場合:
硬化剤(C)としてはイソシアネート化合物が好ましい。
イソシアネート化合物にはブロックイソシアネート化合物も含まれ、具体例としては、たとえば2,4−トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4´−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、リジンメチルエステルジイソシアネート、メチルシクロヘキシルジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、n−ペンタン−1,4−ジイソシアネート、これらの三量体、これらのアダクト体やビュウレット体、これらの重合体で2個以上のイソシアネート基を有するもの、また、リジントリイソシアネート(具体的には2−イソシアナートエチル2,6−ジイソシアナートヘキサノエートなど)、さらにはブロック化されたイソシアネート類などがあげられるが、これらに限定されるものではない。
また、加水分解性アルキルシリケート残基を有するイソシアネート化合物も好ましく使用できる。
加水分解性アルキルシリケート残基としては、樹脂(A)において説明したものが好ましくあげられる。
加水分解性アルキルシリケート残基を有するイソシアネート化合物の具体例としては、たとえばOCNCSi(OCH、OCNCSi(OC、OCNCSi(OCOCH、OCNCSi(CH)(OCHなどがあげられる。
イソシアネート化合物と樹脂(A)との混合割合はNCO/OH(モル比)で0.5〜5.0が好ましく、さらに0.8〜1.5がより好ましい。また、イソシアネートが湿気硬化タイプの場合は1.1〜1.5が好ましい。
硬化剤(C)としては、イソシアネート化合物に代えて、または加えて、Si(OR(Rは炭素数1〜10の非フッ素アルキル基)、RSi(OR(RおよびRは同じかまたは異なり、炭素数1〜10の非フッ素アルキル基)、これらの単独縮合オリゴマーおよびこれらの共縮合コオリゴマーよりなる群から選ばれた少なくとも1種を使用することもできる。
これらの4官能または3官能の非フッ素アルキルシリケートとしては、たとえば米国特許第5,635,572号明細書などに記載されたものが使用できる。
具体的には、たとえばテトラアルコキシシランまたはこの縮合物、アルキルトリアルコキシシランまたはこの縮合物、ポリシルセスキオキサン、コロイダルシリカなどがあげられる。
テトラアルコキシシランとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシランまたはこれらの縮合物などが例示され、市販品としては、三菱化学(株)製のMS51、MS56、MS57など、コルコート社製のエチルシリケート28、エチルシリケート40、エチルシリケート48などが使用できる。
ポリシルセスキオキサンとしては、ポリフェニルシルセスキオキサン、ポリメチルシルセスキオキサン、ポリハイドロジェンシルセスキオキサンなどがあげられる。
コロイダルシリカとしてはたとえば日産化学(株)製のスノーテックスなどが使用できる。
これらのうち架橋密度が高く強固な被膜が形成できる点から、テトラアルコキシシランの縮合物が好ましい。
かかるシリケート系硬化剤の配合量は、硬化剤の種類によって適宜選択すればよいが、通常、樹脂(A)と防汚成分(B)の合計100重量部に対して0〜100重量部である。好ましい上限は50重量部であり、好ましい下限は10重量部である。
この組合せにおいて使用する水酸基含有合成樹脂としては、水酸基価が10mgKOH/g以上、好ましくは50mgKOH/g以上であることが、架橋密度を高め塗膜強度を向上させる点から好ましい。水酸基価の上限は300mgKOH/g、好ましくは200mgKOH/gであり、多くなりすぎると塗膜の可撓性に問題が生ずることがある。
またさらに、水酸基含有合成樹脂は水酸基含有フッ素樹脂であることが好ましく、特にフッ素含有率が10質量%以上、さらには20質量%以上、とりわけ30質量%以上であることが防汚性や耐候性を向上させ、屈折率を低下させる点から好ましい。上限は各樹脂の水素原子をフッ素原子に置き換えたパーフルオロ樹脂のフッ素含有率である。
また防汚成分(B)の官能基Yとしてはアミノ基であることが、硬化剤(C)として使用するイソシアネート化合物との反応性が良好な点から特に好ましい。
この場合、防汚成分のアミノ当量は1000以上であることが好ましい。
アミノ当量とは、数平均分子量10000当りのアミノ基個数の指標であり、(数平均分子量10000)/(数平均分子量10000当りのアミノ基の個数)で表される。したがって、アミノ当量が大きくなるほど、同一分子量の化合物ではアミノ基の個数が少ないことを示す。
好ましいアミノ当量は、1500以上、特に3000以上であり、上限は50000、さらには10000である。アミノ当量が少なくなりすぎる(アミノ基の個数が多くなりすぎる)と、水酸基含有合成樹脂の水酸基との反応よりイソシアネート化合物との反応が先行して、イソシアネート化合物と防汚成分とが複合体を形成し粒子化して塗膜外観を損なうことがある。
ただし、そうした大きな粒子も、たとえば50μm孔のメッシュで濾過して取り除けば、塗膜外観を損なうことはない。
(2)前記樹脂(A)が有する官能基Xがカルボキシル基であり、防汚成分(B)が有する官能基Yがカルボキシル基、アミノ基またはエポキシ基である場合:
硬化剤(C)としてはアミノ化合物、エポキシ化合物、アジリジン化合物またはカルボジイミド化合物が好ましい。
アミノ化合物系硬化剤としては、たとえばメラミン樹脂、尿素樹脂、グアナミン樹脂、アミンアダクト、ポリアミドなどがあげられる。
市販品としては、三井サイテック(株)製のサイメル、エアプロダクツ社製のアンカミン、エピリンク、ヘンケル社製のバーサミン、バーサミド、富士化成工業(株)製のトーマイド、フジキュアー、第一ゼネラル(株)製のバーサミド、ジャパンエポキシレジン(株)製のエピキュアー、三和化学(株)製のサンマイド、味の素(株)製のエポメートなどがあげられる。
エポキシ化合物系硬化剤としては、たとえばエポキシ樹脂、エポキシ変性シランカップリング剤などがあげられ、市販品としてはジャパンエポキシレジン(株)製のエピコート、エピレック、カードライト社製のカードライト、日本ユニカー(株)製のコートジル1770、A−187などがあげられる。
アジリジン化合物系硬化剤としては、BF−グッドリッチ社製のXAMA2、XAMA7などがあげられる。
カルボジイミド化合物系硬化剤としては、日清紡製のカルボジライト、ユニオンカーバイド社製のUCARLNK Crosslinker XL−29SEなどがあげられる。
(3)前記樹脂(A)が有する官能基Xがアミノ基であり、防汚成分(B)が有する官能基Yがアミノ基またはカルボキシル基である場合:
硬化剤(C)としてはエポキシ化合物または有機酸が好ましい。
エポキシ化合物系硬化剤としては(2)で例示したのもが使用できる。
有機酸系硬化剤としては、たとえば無水フタル酸、アジピン酸、コハク酸などの多価カルボン酸、ポリアクリル酸などがあげられる。
(4)前記樹脂(A)が有する官能基Xがエポキシ基であり、防汚成分(B)が有する官能基Yがアミノ基またはエポキシ基である場合:
硬化剤(C)としては有機酸またはアミノ化合物が好ましい。
有機酸系硬化剤としては(3)で例示したものが使用できる。
アミノ化合物系硬化剤としては(2)で例示したものが使用できる。
(5)前記樹脂(A)が有する官能基Xがカルボニル基またはカルボキシル基であり、防汚成分(B)が有する官能基Yがアミノ基またはカルボキシル基である場合:
硬化剤(C)としてはエポキシ化合物またはヒドラジド化合物が好ましい。
ヒドラジド化合物系硬化剤としては、たとえばマロン酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、ヒドラジン、マレイン酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジドなどがあげられる。
これらのうち、特に好ましい組合せは、反応性や合成の容易さを考慮して、(1a)前記樹脂(A)が有する官能基Xが水酸基であり、防汚成分(B)が有する官能基Yがアミノ基であって、硬化剤(C)がイソシアネート化合物、とりわけ加水分解性アルキルシリケート残基を有するイソシアネート系硬化剤が有利である。
本発明において、硬化剤(C)に代えて、または加えて硬化触媒(D)を使用してもよい。
特に樹脂(A)が前記加水分解性アルキルシリケート基を有し防汚成分(B)が水酸基または加水分解性アルキルシリケート残基を有する場合、または樹脂(A)が水酸基を有し防汚成分(B)が加水分解性アルキルシリケート残基を有する場合は、硬化剤(C)を特に配合しなくても、樹脂(A)の官能基Xと防汚成分(B)中の官能基Yとが充分に硬化反応を生ずる。
硬化触媒(D)としては、たとえば有機スズ化合物、有機酸性リン酸エステル、有機チタネート化合物、酸性リン酸エステルとアミンとの反応物、飽和または不飽和の多価カルボン酸またはその酸無水物、有機スルホン酸、アミン系化合物、アルミニウムキレート化合物、チタニウムキレート化合物、ジルコニウムキレート化合物などがあげられる。
前記有機スズ化合物の具体例としては、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズマレエート、ジオクチルスズマレエート、ジブチルスズジアセテートなどがあげられる。
前記有機酸性リン酸エステルの具体例としては、

などがあげられる。
前記有機チタネート化合物としては、たとえばテトラブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、トリエタノールアミンチタネートなどのチタン酸エステルがあげられる。
さらに前記アミン系化合物の具体例としては、たとえばブチルアミン、オクチルアミン、ジブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、オレイルアミン、シクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、キシリレンジアミン、トリエチレンジアミン、グアニジン、ジフェニルグアニジン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、モルホリン、N−メチルモルホリン、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7(DBU)などのアミン系化合物、さらにはそれらのカルボン酸などの塩、過剰のポリアミンと多塩基酸よりえられる低分子量ポリアミド樹脂、過剰のポリアミンとエポキシ化合物の反応生成物などがあげられる。
前記キレート化合物の具体例としてはアルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(アセチルアセトナート)、ジルコニウムテトラキス(アセチルアセトナート)、ジイソプロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタネートなどがあげられる。
硬化触媒(D)は1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。好ましい硬化触媒としては、有機スズ化合物、アルミニウムキレート化合物があげられる。硬化触媒の配合量は、樹脂(A)と防汚成分(B)と硬化剤(C)の合計100重量部に対して0〜10重量部、好ましくは0.001〜5重量部である。
本発明においては、前記塗料組成物に有機溶剤を配合し、有機溶剤型塗料に調製することができる。
有機溶剤としては、たとえばキシレン、トルエン、ソルベッソ100、ソルベッソ150、ヘキサンなどの炭化水素系溶剤、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸エチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノブチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノブチルエーテル、酢酸エチレングリコール、酢酸ジエチレングリコールなどのエステル系溶剤、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトンなどのケトン系溶剤、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルアセトアミド、アセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N−メチルホルムアミドなどのアミド系溶剤、ジメチルスルホキシドなどのスルホン酸エステル系溶剤、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール(重合度3〜100)、CFCHOH、F(CFCHOH、(CFCHOH、F(CFCHOH、F(CFOH、H(CFCHOH、H(CFCHOH、H(CFCHOHなどのアルコール系溶剤などがあげられるが、相溶性、塗膜外観、貯蔵安定性の点から低級アルコール、低級フッ素アルコールなどのアルコール系溶剤が好ましい。
前記樹脂(A)とアルコール系溶剤との配合割合については、樹脂(A)100重量部に対してアルコールが1〜50重量部であり、硬化性、塗膜外観の点から1〜25重量部であることがさらに好ましい。
また、硬化剤が常温硬化型のイソシアネートなどのようにアルコールと反応性の高い場合には、さらにアルコールは1〜15重量部であるのが好ましく、アルコールの種類も2級または3級アルコールが好ましい。
本発明の溶剤型塗料組成物は、溶剤溶解性に優れ、形成された塗膜は高度の耐候性を有し、防汚染付着性、特に油性汚れの除去(落書きの除去)性や耐薬品性、光学的性質、機械的性質、基材への密着性、耐熱黄変性などに優れたものである。また、該組成物は、通常の硬化用組成物と同じく建材、内装材などの屋内用あるいは建材、自動車、航空機、船舶、電車などの屋外用の塗料として金属、コンクリート、プラスチックなどに直接、あるいはウォッシュプライマー、錆止め塗料、エポキシ樹脂、アクリル樹脂塗料、ポリエステル樹脂塗料、ウレタン塗料などの下塗り塗料の上に重ねて塗装することができる。さらにシーリング剤やフィルム形成剤としても使用できる。
また塗料組成は、クリヤー、ソリッド、充填剤(フィラー)配合など種々の形態を採用できる。
塗装方法については、スプレー、ハケ、ローラ、カーテンフロー、ロール、ディップなど種々の方法が用いられる。
本発明の塗料組成物には、たとえば顔料、顔料分散剤、増粘剤、レベリング剤、消泡剤、造膜助剤、紫外線吸収剤、HALS、艶消し剤、フィラー、コロイダルシリカ、防カビ剤、シランカップリング剤、皮張り防止剤、酸化防止剤、難燃剤、垂れ防止剤、帯電防止剤、防錆剤、水溶性樹脂(ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイドなど)、防腐剤、凍結防止剤などの塗料用添加剤を配合することもできる。
前記顔料としては、たとえば酸化チタン、酸化鉄、アルミメタリック顔料、カーボンブラック、焼成顔料、フタロシアニン系顔料、有機顔料、体質顔料などがあげられる。
前記紫外線吸収剤としては、たとえばベンゾフェノン系およびベンゾトリアゾール系のものが好適であり、これらのうちでもベンゾフェノン系では、2,2´−ジヒドロキシ−4,4´−ジメトキシベンゾフェノン、2,2´−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノンおよび2,2´,4,4´−テトラヒドロキシベンゾフェノンが、ベンゾトリアゾール系では2−(2´−ヒドロキシ−5´−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2´−ヒドロキシ−5´−メチルフェニル)−5,6−ジクロルベンゾトリアゾール)、2−(2´−ヒドロキシ−5´−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2´−ヒドロキシ−3´,5´−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロル−ベンゾトリアゾール、2−(2´−ヒドロキシ−5´−フェニルフェニル)−5−クロルベンゾトリアゾール、2−(2´−ヒドロキシ−3´−tertブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2´−ヒドロキシ−3´,5´−ジtertブチルフェニル)ベンゾトリアゾールおよび2−(2´−ヒドロキシ−5´−tertオクチルフェニル)ベンゾトリアゾールが有効である。
とくに好適な紫外線吸収剤は、式:

(式中、R28およびR29は同じかまたは異なり、いずれも水素原子、低級アルキル基、なかでも分岐鎖状の低級アルキル基、またはアリール基、とくにフェニル基を表わし、Xは水素原子またはハロゲン原子、とくに塩素原子である)
で示されるものである。
前記HALSとしては、たとえばチバ・ガイギー(株)製チヌビン−770、292、622123、440などがあげられる。
前記艶消し剤としては、たとえばヘキストインダストリー(株)製セリダスト#3620、#9615A、#9612A、#3715、#3910など、ヘキストワックスPE520、ホワイトカーボンなどがあげられる。
前記シランカップリング剤としては、たとえばメチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、3−(グリシジルオキシ)プロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−トリメトキシシリルプロピルイソシアネート、3−トリエトキシシリルプロピルイソシアネート、メチルトリス(エチルメチルケトオキシム)シランなどがあげられ、アルキルケトオキシム基またはイソシアネート基を含有するものが好ましい。
本発明の塗料組成物は、官能基含有フッ素樹脂の説明でも述べたように、有機溶剤型塗料だけでなく、水性媒体に分散して水性分散型塗料にも調製することができる。
水性分散型塗料として使用する場合、上記のように、固形分濃度は塗料化するときの安定性に優れる点から約20〜70重量%、好ましくは約30〜60重量%である。平均粒子径は水性分散液の安定性に優れる点から50〜300nm程度、好ましくは約100〜250nmである。pHは通常5〜10の範囲内であることが好ましい。
水性分散型塗料に調製する場合、硬化剤(C)および硬化触媒(D)も水溶性または水分散性のものを使用することが好ましいが、それらに限定されない。
水性分散型塗料においても、上記の各種の添加剤を配合することができる。さらに、造膜性を向上させるために造膜助剤を配合することが好ましい。造膜助剤としては、たとえばジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、アジピン酸ジエチル、アジピン酸ジブチルなどのほか、チッソ(株)製のCS−12、デュポン社製のDBE、DBE−IBなどの市販品が使用できる。
また、水性分散液の分散安定性を与えるため、界面活性剤を存在させることが好ましい。界面活性剤としては、たとえばパーフルオロオクタン酸アンモニウム、パーフルオロノナン酸アンモニウムなどのフッ素系界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ソルビタンアルキルエステルなどの非イオン性非フッ素系界面活性剤;アルキルスルホン酸ナトリウム、コハク酸ジアルキルエステルスルホン酸ナトリウムなどのアニオン性非フッ素系界面活性剤;ラウリルベタイン、ポリオキシエチレンノニルエーテル硫酸ナトリウムなどの両性界面活性剤などが例示できるが、これらに限定されるものではない。
本発明の塗料組成物はその形態に拘わらず、各種基材に塗装することができ、塗装する基材としては、たとえば金属系基材、セメント系基材、プラスチック系基材などがあげられる。
前記金属系基材としては、たとえば鉄およびその化成処理物またはメッキ物、アルミおよびその化成処理物、ステンレス鋼およびその化成処理物などがあげられる。
前記セメント系基材としては、たとえばセメント類、石灰類、セッコウ類、コンクリート、セメントモルタル、石綿スレート、石膏ボードなどがあげられる。
前記プラスチック系基材としては、たとえばポリ塩化ビニル類、ポリエステル類、ポリカーボネート類、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アクリル類、ポリオレフィン類、ポリスチレン類、ポリウレタン類、ポリアミド類、ナイロン類、天然ゴム類、ウレタンゴム類、ABS樹脂類などがあげられる。
基材が金属系基材の場合は、たとえばつぎのような下塗り塗料、中塗り塗料を塗装したのちに、本発明の塗料組成物を塗装するのが、防食性、相間密着性の点から好ましいが、とりわけ本発明の塗料組成物は基材に直接塗装した場合にも、従来にない強固な密着性を示す。
この場合、ジンクリッチペイント塗料が下塗り塗料として好ましい。
有機質系のジンクリッチペイントのビヒクルとしては、たとえばエポキシ樹脂−ポリアミド樹脂の組合せ、塩化ゴム、ポリスチレン樹脂、シリコーン樹脂などがあげられる。また無機質系のジンクリッチペイントのビヒクルとしてはエチルシリケート、ナトリウムシリケート、リチウムシリケート、カリウムシリケート、アンモニウムシリケートなどがあげられる。とくに本発明の目的に対して好ましいビヒクルは、エポキシ樹脂−ポリアミド樹脂の組合せ、エチルシリケート、カリウムシリケート、リチウムシリケートである。
その他下塗り塗料、中塗り塗料の例としては、好ましくはエポキシ樹脂(タール変性、ウレタン変性を含む)、ビニル系樹脂(タール変性、アクリル樹脂を含む)、塩化ゴム、ポリウレタン樹脂、およびフェノール樹脂から選ばれた少くとも1種の合成樹脂に、通常使用される着色顔料、体質顔料、沈殿防止剤、分散剤、硬化剤、硬化促進剤、希釈剤、溶剤などを混練してえられる塗料である。
前記エポキシ樹脂は、分子中に2個以上のエポキシ基を有する、通常塗料用に使用される樹脂である。
前記エポキシ樹脂のうち、たとえばビスフェノール型エポキシ樹脂としては、一般に市販されているシェル化学(株)製の商品名エピコート828、834、836、1001、1004、DX−255、チバガイギー(株)製の商品名アラルダイトGY−260、ダウ・ケミカル(株)製の商品名DER330、331、337:大日本インキ化学工業(株)製の商品名エピクロン800などがあげられる。フェノールノボラック型エポキシ樹脂としては一般に市販されているダウ・ケミカル(株)製の商品名DEN431、438、ポリグリコール型エポキシ樹脂としては、市販されているチバガイギー(株)製の商品名アラルダイトCT−508、ダウケミカル(株)製の商品名DER−732、736などがあげられる。また、エステル型エポキシ樹脂としては、たとえば大日本インキ化学工業(株)製の商品名エピクロン200、400;線状脂肪族エポキシ樹脂としては、たとえば日本曹達(株)製の商品名BF−1000のごときエポキシ化ポリブタジエンなどがあげられる。
さらにこれらの樹脂から、容易に類推されるエポキシ系化合物、ならびに前記エポキシ樹脂の誘導体も同様に使用可能であり本発明の技術的範囲内に含まれる。
たとえばポリオール型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、ハロゲン含有エポキシ樹脂などが含まれる。
前記エポキシ樹脂には天然アスファルト、アスファルタイト、アスファルト性パイロビチュメン、タール、コールタール、人造アスファルト、ピッチなどの歴青質を混合することができる。
また、前記エポキシ樹脂の硬化剤としては、アミンアダクト、ポリアミド樹脂など通常塗料用に使用されるものが使用可能である。
前記硬化剤のうち、たとえばポリアミド樹脂としては一般に市販されている富士化成工業(株)製商品名トーマイドY−25、245、2400、2500、第一ゼネラル(株)製商品名ゼナミド2000、バーサミド115、125、三和化学(株)製商品名サンマイド320、330、X2000、ジャパンエポキシレジン(株)製商品名エピキュアー3255、4255、アミンアダクト樹脂として富士化学工業(株)製商品名トーマイド238、フジキュアー202、旭電化(株)製商品名アデカハードナーEH−531などがあげられる。脂肪族ポリアミンとしては三和化学(株)製商品名サンマイドT−100、D−100、P−100、複素環状ジアミン誘導体としては味の素(株)製エポメートB−002、C−002、S−005などがあげられる。
前記硬化剤のエポキシ樹脂に対する添加量は当量前後、すなわちエポキシ樹脂1当量に対して約0.7〜1.3当量の範囲である。
また、ポリイソシアネートを前記エポキシ樹脂の硬化剤として使用することもできる。
本発明に使用されるビニル系樹脂としては、たとえば塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、スチレン、ビニルトルエン、ビニルアルコール、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステルなどのモノマーの1種もしくは2種以上の共重合体であり、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、アクリル樹脂などがあげられる。
また、本発明に使用される塩化ゴム樹脂は天然ゴムの塩素化物で通常塩素含量65〜68%の化合物である。
塩化ゴムはロジン、クマロン−インデン樹脂、フェノール樹脂、塩化ビニル樹脂、石油樹脂、ニトリルゴム、クロロプレンゴム、アルキド樹脂と混合して使用することができる。
また、塩化ゴムは塩化パラフィン、塩化ジフェニル、ジオクチルフタレート、トリクレジルフォスフェートなどの可塑剤と混合して使用される。
さらに、本発明に使用されるポリウレタン樹脂は、分子中に2個以上の活性水素を有する化合物、たとえば多塩基酸と多価アルコールからえられるポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリオキシアルキレングリコール、アクリルポリオールなどが主剤であり、前述した分子中に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネートが硬化剤である組成物である。
基材がセメント系基材の場合は、たとえばつぎのような下塗り塗料、中塗り塗料を塗装したのちに、本発明の塗料用組成物を塗装するのが好ましい。
下塗り塗料としては、未硬化型合成樹脂エマルジョン系複層仕上げ塗料、反応硬化型水溶性エポキシ樹脂複層模様仕上げ塗料および反応硬化型溶剤系エポキシ樹脂複層仕上げ塗料などの複層仕上げ塗料を用いることがとくに好ましい。前記未硬化型合成樹脂エマルジョンの樹脂成分としては、たとえばアクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂およびこれらの変性樹脂などが包含される。また、前記反応硬化型水性または溶剤系のエポキシ樹脂の硬化系としては、たとえばエポキシ−ポリアミン系、エポキシ−ポリアミド系、エポキシ−ポリアミン−ポリアミド系などが包含される。
下塗り塗料をセメント系基材に塗装する方法は、たとえば吹付け塗装、ローラー塗装などにより行うことができる。塗布量は通常0.5〜2.0kg/mで充分と思われる。また、乾燥は通常1〜3日行なわれるのが一般的である。
前記下塗り塗料をセメント系基材に塗装する前に、一般的に建築用下地処理に使用されている従来から公知のプライマー、サーフェサーシーラーなどを塗装しておくことができる。また、前記下塗り塗料以外にも溶剤型エポキシ樹脂系などのシーラーに直接もしくは該シーラーを塗布し、つぎにイソシアネート硬化型樹脂塗料などで平滑仕上げを行なったものも包含される。
本発明の塗料組成物を下塗り塗膜に塗装する方法は、たとえばローラー塗装、刷毛塗装、吹付け塗装などにより行うことができる。塗布量は0.05〜0.5kg/m、好ましくは0.1〜0.3kg/mである。また、乾燥については、常温で1日以上乾燥させることにより硬化塗膜が形成できる。
改修塗装方法としては、セメント系基材に塗装した建築外装用塗膜の旧上塗り塗膜に必要に応じて下地処理を行なったのち、本発明の塗料組成物を塗装して改修を行なう方法がある。
前記方法において旧上塗り塗膜としては、とくに限定されないが前記の本発明の塗料組成物に使用されるような硬化型フッ素塗料、硬化型アクリル塗料、アクリルシリコン塗料、カルボニル−ヒドラジド硬化型水性塗料、酢酸ビニル変性アクリル樹脂系塗料などの非架橋溶剤系塗料およびアクリル樹脂系水性塗料などの非架橋水性塗料によって形成された塗膜であることがとくに好ましい。
また、前記カルボニル−ヒドラジド硬化系水性塗料としては、カルボニル基含有共重合体水分散液にジヒドラジド架橋剤およびヒドラジン残基を有する水性ポリウレタン樹脂を配合してなる塗料(たとえば特願平4−171683号公報)があげられる。前記旧上塗り塗膜とセメント系基材とのあいだにはプライマー、サーフェサーが塗装されていてもよく、また、さらにプライマー、サーフェサーの上に複層塗材が塗装されていてもよい。
旧上塗り塗膜に必要に応じて行なう下地処理は、たとえば下記の下地処理剤を塗布することによって実施できる。該下地処理剤としては、たとえばセメント系(たとえばセメント/合成樹脂エマルジョン系など)のフィラーまたはサーフェサー、反応硬化樹脂系(たとえばエポキシポリアミン系、エポキシポリアミド系など)の浸透型シーラーなどが好ましい例としてあげられる。
下地処理方法は前記下地処理剤をたとえばローラー、刷毛などで塗装することによって実施できる。また、下地処理剤の塗布量は、たとえばフィラーのものでは0.3〜2.0kg/m、サーフェサーでは0.1〜1.0kg/m、浸透型シーラーでは0.01〜0.5kg/mで充分と考える。
また、これらの下地処理剤を塗装したのち、さらにポリイソシアネート硬化型溶剤系塗料を塗装することができる。この塗料の塗装は、たとえばローラー、刷毛、吹付けによって行なうことができる。また、塗布量は0.05〜0.5kg/mで充分と考える。前記下地処理剤およびポリイソシアネート硬化型溶剤系塗料の乾燥は通常1〜3日行なわれる。また、本発明の塗料組成物の塗装、乾燥は前記した本発明の塗料組成物の場合と同様の方法で行なうことができる。
基材がプラスチック系基材である場合も前記金属系基材、セメント系基材に使用される下塗り塗料、中塗り塗料を塗装したのちに、本発明の塗料組成物を塗装することもできる。
基材がプラスチック系基材のうちでもフィルム、シートである場合の塗装方法としては、たとえばグラビアコーティング法、ドクターブレード法、ロールコート法、リバースロール法、エヤーナイフコート法、カーテンフローコート法などがあげられる。これらの塗装方法の場合、塗装膜厚としては塗膜外観、塗装性の点から1〜20μm、好ましくは1〜10μmが適当である。
本発明の塗料組成物が塗装された物品の用途としては、たとえば建築用防水シート、トンネル用防水シート、農業用ビニールシート、農業用ビニールフィルム、養生シート、建築用保護シート、車両用保護シート、メッシュシート、メッシュスクリーン、ポリカーボネート屋根、アクリルボード壁、ポリカーボネート壁、ガードレール、信号機、トンネル内壁、トンネル内装板、道路標識、案内板、高速道路側壁、高速道路防音壁、道路灯、橋梁、橋桁、橋脚、煙突、ポリ塩化ビニルとポリエステルとの組み合わせた模様鋼板、各種壁紙(ポリ塩化ビニル製など)、畳、マット、テーブルクロス、メラミン樹脂化粧板、メラミン樹脂不燃板、換気扇、マーキングフィルム、ジオメンブレン、広告板、郵便ポスト、電柱、テント、自動車、航空機、船舶、電車、コンピュータハウジング、タッチパネル用シート、モニターの画面用反射防止シートなどがあげられる。
本発明の塗料組成物の特に好ましい具体的な組合せの実施態様をつぎに示すが、本発明はこれらの例示に限定されるものではない。
実施態様1
樹脂(A):水酸基含有フルオロオレフィン樹脂
防汚成分(B):アミノ基含有ジアルキルシロキサン
硬化剤(C):加水分解性アルキルシリケート残基含有イソシアネート
(さらに要すればポリイソシアネート)
硬化触媒(D):ジブチル錫ジラウレート(DBTDL)(任意)
塗料形態:有機溶剤型または水性分散型
実施態様2
樹脂(A):フルオロオレフィン樹脂に水酸基含有アクリル系単量体をシード重合した複合化樹脂の水性分散体
防汚成分(B):アミノ基含有ポリジアルキルシロキサンの水性分散体
硬化剤(C):ポリイソシアネート
硬化触媒(D):ジブチル錫ジラウレート(DBTDL)(任意)
塗料形態:水性分散型
実施態様3
樹脂(A):水酸基含有フルオロオレフィン樹脂
防汚成分(B):アミノ基含有フルオロポリエーテル
硬化剤(C):ポリイソシアネート
硬化触媒(D):ジブチル錫ジラウレート(DBTDL)(任意)
塗料形態:有機溶剤型または水性分散型
実施態様4
樹脂(A):水酸基含有フルオロオレフィン樹脂
防汚成分(B):水酸基含有ポリジアルキルシロキサン
硬化剤(C):ポリイソシアネート
硬化触媒(D):ジブチル錫ジラウレート(DBTDL)(任意)
塗料形態:有機溶剤型または水性分散型
実施態様5
樹脂(A):カルボキシル基含有フルオロオレフィン樹脂
防汚成分(B):カルボキシル基含有ポリジアルキルシロキサン
硬化剤(C):アミノ化合物
硬化触媒(D):ジブチル錫ジラウレート(DBTDL)(任意)
塗料形態:有機溶剤型または水性分散型
実施態様6
樹脂(A):加水分解性アルキルシリケート含有フルオロオレフィン樹脂
防汚成分(B):水酸基含有ポリジアルキルシロキサン
硬化剤(C):なし
硬化触媒(D):ジブチル錫ジラウレート(DBTDL)
塗料形態:有機溶剤型または水性分散型
実施態様7
樹脂(A):フルオロオレフィン樹脂とカルボキシル基含有アクリル樹脂とのシード重合体(複合化樹脂)
防汚成分(B):アミノ基含有ポリジアルキルシロキサン
硬化剤(C):エポキシ化合物
硬化触媒(D):ジブチル錫ジラウレート(DBTDL)(任意)
塗料形態:水性分散型
実施態様8
樹脂(A):フルオロオレフィン樹脂とカルボニル基とカルボキシル基含有アクリル樹脂とのシード重合体(複合化樹脂)
防汚成分(B):アミノ基含有ポリジアルキルシロキサン
硬化剤(C):ヒドラジド化合物
硬化触媒(D):ジブチル錫ジラウレート(DBTDL)(任意)
塗料形態:水性分散型
実施態様9
樹脂(A):フルオロオレフィン樹脂と水酸基含有非フッ素系樹脂とのブレンド
防汚成分(B):アミノ基含有ジアルキルシロキサン
硬化剤(C):加水分解性アルキルシリケート残基含有イソシアネート
硬化触媒(D):ジブチル錫ジラウレート(DBTDL)(任意)
塗料形態:有機溶剤型または水性分散型
つぎに、本発明を実施例に基づいてさらに具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。実施例および製造例中の「部」は重量部である。
なお、本明細書および請求の範囲において、つぎの値はそれぞれ以下の方法で測定したものである。
(水酸基価)
測定方法:赤外分光光度計で水酸基の吸収領域を測定し、検量線を用いて計算する。
(酸価)
測定方法:JIS K5407の電位差滴定法にて測定する。
(数平均分子量)
測定装置:ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により25℃で測定。分子量は標準物質としてポリスチレンを使用して換算する。
使用カラム:東ソー(株)製のGMHXLカラム
測定条件:40℃、流量1ml/分、展開溶剤THF
(フッ素含有率)
測定方法:後述の元素分析法で測定する。
(アミノ当量)
上記のとおり。ただし、アミノ基の数はつぎのNMRにより測定する。
(NMR)
測定装置:ブルカーバイオスピン社(ドイツ)製のAC−300
測定条件:プロトンを測定。溶剤は重アセトン。
(元素分析)
測定装置:ジェイサイエンス(株)製のCHN CORDERとオリオリサーチ(株)製のイオナナライザー901
(ガラス転移温度)
測定装置:示差走査熱量計(DSC。セイコー電子(株)製のRDC220)
測定条件:20℃/分の昇温速度で2ndランの値を使用。
(粘度)
測定装置:(株)東京計器製のB型回転粘度計
測定条件:60rpm、25℃
(屈折率)
測定装置:アッペ屈折率計
測定方法:25℃でフィルム法にて測定。被験塗料をポリプロピレン板に塗装し80℃で2時間乾燥後、得られたフィルムについて測定する。
【実施例1】
ゼッフルGK−510(水酸基含有テトラフルオロエチレン共重合体。水酸基価60mgKOH/g、酸価9mgKOH/g、数平均分子量12000、フッ素含有率36質量%、樹脂の屈折率1.4、酢酸ブチル溶液、固形分50%)の100部に、硬化剤としてコロネートHX(日本ポリウレタン(株)製のイソシアネート系硬化剤)の12部、硬化触媒としてジブチル錫ジラウレート(DBTDL)の1%酢酸ブチル溶液の2部を加え、さらにアミノ基含有シリコーンオイル(NUC SILICONE FZ3705。日本ユニカー(株)製のアミノ変性シリコーンオイル)の1部と酢酸ブチル50部を加え、よく撹拌して本発明の塗料組成物を得た。
なお、NUC SILICONE FZ−3705は粘度が230mm/sでアミノ当量が4000のアミノ基含有ジメチルシロキサンオリゴマーである。
この塗料組成物をスプレー塗装によりスレート製のフレキシブルボード(7×15×0.3cm。日本テストパネル(株)製)に200g/mの塗装量で塗装し、室温(約25℃)で1週間かけて乾燥して塗板を得た。
この塗板について、以下の試験を行なった。結果を表1に示す。
油性インク汚染試験:
塗板にマジック(株)製の油性インク(マジックインキ。(株)内田洋行の登録商標。)の赤色を塗り、24時間放置したのち、紙タオルにより空拭きで拭き取り、拭き取れなかった領域の残存率をつぎの基準で評価する。
また、有機溶剤の影響(アセトン拭き試験)を調べるため、別途、アセトンを含浸した紙タオルで塗板を予め10回拭いた後、5分間室温で乾燥し、紙タオルにより空拭きで拭き取り、拭き取れなかった領域の残存率をつぎの基準で評価する。
A:5%未満
B:5〜15%
C:15%超で30%以下
D:30%超
ラッカー汚染試験:
塗板に関西ペイント(株)製のラッカースプレーの赤色をスプレー塗装し、24時間放置したのち、紙タオルにより空拭きで拭き取り、拭き取れなかった領域の残存率をつぎの基準で評価する。
A:5%未満
B:5〜15%
C:15%超で30%以下
D:30%超
毛染め液汚染試験:
塗板に資生堂(株)製の毛染め液の黒色を刷毛で塗装し、24時間放置したのち、紙タオルにより空拭きで拭き取り、拭き取れなかった領域の残存率をつぎの基準で評価する。
A:5%未満
B:5〜15%
C:15%超で30%以下
D:30%超
カレー汚染試験:
塗板に大塚食品(株)製のレトルトカレーをナイフコートし、24時間放置したのち、紙タオルにより空拭きで拭き取り、拭き取れなかった領域の残存率をつぎの基準で評価する。
A:5%未満
B:5〜15%
C:15%超で30%以下
D:30%超
耐候性試験:
JIS K5400に準じ、サンシャインウェザオメータ(スガ試験機(株)製)を用い、500時間の促進耐候性試験を行なったのち、前記の油性インク汚染試験を行なう。
密着性試験:
JIS K5400に準じて碁盤目試験を行なう。フレキシブルボードでは4mm幅の碁盤目、他の塗板については1mm幅の碁盤目で行なう。
碁盤目試験は、塗装後(初期)および塗板を100℃の沸騰水に2時間浸漬し、引き上げた後冷却したもの(耐沸騰水試験後)について行なう。
なお、密着性試験については、被塗物としてフレキシブルボードに加えて天然御影石(中国産。ニッタイ工業より入手)を用い、これらに塗料組成物をスプレー塗装により200g/mの塗装量で塗装し、室温で1週間かけて乾燥した塗板についても試験をした。
鮮明度試験:
木目を有する板に塗装したものと塗装していないものを5m離れた場所から目視(10人)により評価する。評価は、6人以上が板の木目模様が未塗装板に比べて鮮明であれば良好とする。
製造例1(加水分解性アルキルシリケート残基含有フルオロオレフィン樹脂(A1)の製造)
1000mlのステンレススチール製オートクレーブに酢酸ブチル200g、ビニルトリメトキシシラン(TMVS)29.5g、n−ブチルビニルエーテル(nBVE)20.0g、2,2‘−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)5.0gを仕込み、0℃に氷冷したのち、減圧下に脱気した。これにイソブチレン(IB)33.5gとテトラフルオロエチレン(TFE)100gを仕込み、攪拌下に50℃に加熱し、28時間反応させ、反応器内圧力が1.4MPaGから1MPaGに下がった時点で反応を停止した(収率24.6%)。得られた加水分解性アルキルシリケート基含有含フッ素共重合体は、19F−MNR、H−MNRおよび元素分析での分析の結果、TFE/IB/nBVE/TMVS=45/40/8/7モル%であり、酸価はなく、フッ素含有率が40質量%であった。GPCにより測定した数平均分子量は3900、DSCにより測定したガラス転移温度は−21℃であった。
【実施例2〜8】
樹脂(A)および防汚成分(B)、さらに硬化剤(C)ならびに硬化触媒(D)として表1に示すものを同表の割合で配合したほかは実施例1と同様にして塗料組成物を調製し、実施例1と同様にして試験用の塗板を作製した。ただし、実施例7においては、塗膜の乾燥を120℃20分間の乾燥により行なった。
得られた塗板について、実施例1と同様の試験を実施し、評価した。結果を表1に示す。
比較例1
ゼッフルGK−510の100部に、硬化剤としてコロネートHXの12部および硬化触媒としてDBTDLの2部を加え、よく撹拌して比較用の塗料組成物を得た。
この塗料組成物をスプレー塗装によりフレキシブルボード(7×15×0.3cm)に200g/mの塗装量で塗装し、室温で1週間かけて乾燥して塗板を得た。
この塗板について、実施例1と同様な試験を行なった。結果を表1に示す。
比較例2
ゼッフルGK−510の100部に、硬化剤としてコロネートHXの12部および官能基を有しないジメチルシリコーンオイル(信越化学工業(株)製のKF−96−100。粘度100mm/s)の1部を加え、よく撹拌して比較用の塗料組成物を得た。
この塗料組成物をスプレー塗装によりフレキシブルボード(7×15×0.3cm)に200g/mの塗装量で塗装し、室温で1週間かけて乾燥して塗板を得た。
この塗板について、実施例1と同様な試験を行なった。結果を表1に示す。
表1中の各成分は、つぎのものである。
合成樹脂1:
ゼッフルGK−510(水酸基含有テトラフルオロエチレン共重合体。水酸基価60mgKOH/g、酸価9mgKOH/g、数平均分子量12000、フッ素含有率36質量%、樹脂の屈折率1.4、酢酸ブチル溶液、固形分50%)
合成樹脂2:
ゼッフルGK−550(水酸基含有テトラフルオロエチレン共重合体。水酸基価95mgKOH/g、酸価なし、数平均分子量10000、フッ素含有率36質量%、樹脂の屈折率1.4、酢酸ブチル溶液、固形分60%)
合成樹脂3:
製造例1で製造した加水分解性アルキルシリケート残基を含有するフルオロオレフィン樹脂(TFE/IB/nBVE/TMVS共重合体。酸価なし、数平均分子量3900、フッ素含有率40質量%、樹脂の屈折率1.4)
合成樹脂4:
t−ブチルメタクリレート/ヒドロキシエチルメタクリレート(90/10モル%比)共重合体(水酸基価40mgKOH/g、酸価なし、数平均分子量10000)の酢酸ブチル溶液。固形分50%。
合成樹脂5:
水酸基含有不飽和ポリエステル樹脂(日立化成(株)製のフタルキッド926−70。水酸基価160mgKOH/g、酸価11mgKOH/g、酢酸ブチル溶液、固形分50%)
防汚成分1:
アミノ基含有シリコーンオイル(NUC SILICONE FZ3705。日本ユニカー(株)製のアミノ変性シリコーンオイル。粘度230mm/s、アミノ当量4000)
防汚成分2:
水酸基含有シリコーンオイル(信越化学工業(株)製のKF−6001。粘度45mm/s、水酸基価62mgKOH/g)
防汚成分3:
F(CO)12CFCFCHNH(アミノ当量2100)
防汚成分4:
官能基を有しないジメチルシリコーンオイル(信越化学工業(株)製のKF−96−100。粘度100mm/s)
硬化剤1:
コロネートHX(日本ポリウレタン(株)製のイソシアネート系硬化剤)
硬化剤2:
OCN−CSi(OCH
硬化触媒:
ジブチル錫ジラウレート(DBTDL)の1%酢酸ブチル溶液

製造例2
(1)内容量1リットルの攪拌機付き耐圧反応器に、脱イオン水500ml、パーフルオロオクタン酸アンモニウム塩0.5gを仕込み、窒素圧入、脱気を繰り返し、溶存酸素を除去したのち、VdF/TFE/CTFE(74/14/12モル%比)の単量体混合物により60℃で0.79MPaGまで加圧した。次に、過硫酸アンモニウム1%水溶液20gと酢酸エチル1.5gを仕込んで重合を開始した。重合容器内圧力が0.79MPaGで一定になるようにVdF/TFE/CTFE(74/14/12モル%比)の単量体混合物を連続供給して反応を継続し、12時間ごとに過硫酸アンモニウム塩1%水溶液5gを追加しながら反応を行なった。重合開始45時間後に重合器内を常温常圧に戻して重合を停止し、含フッ素重合体の粒子の水性分散液(固形分濃度41%)を得た。この水性分散液中の粒子の平均粒子径をレーザー光散乱粒径測定装置(大塚電子(株)製のDLS−3000)を用いて測定したところ、0.12μmであった。
(2)次に攪拌機、温度計、還流管を備えた容量2リットルの四つ口フラスコに上記(1)で得られたVdF系共重合体分散液700部、アルキルスルホサクシネートナトリウム塩水溶液(花王(株)製、レオドールOT−P、不揮発分70%)5.7部、メタクリル酸メチル(MMA)140.0部、アクリル酸n−ブチル(BA)115.4部、アクリル酸(AAc)5.6部、メタクリル酸ヒドロキシプロピル(HPMA)19.0部を加え、80℃に上昇した。その後、過硫酸アンモニウム10%水溶液0.21部を加え80〜85℃で4時間重合した後、冷却し反応を停止した。ついでイオン交換水を加え、アンモニウム水でpH8.5に調整し、50%固形分の水酸基含有フルオロオレフィン樹脂(シード重合体、水酸基価15mgKOH/g、フッ素含有率30質量%)粒子の水性分散体を得た。
製造例3
攪拌機、温度計、還流管を備えた容量2リットルの四つ口フラスコに製造例2の(1)で得られたVdF系共重合体分散液700部、アルキルスルホサクシネートナトリウム塩水溶液(花王(株)製、レオドールOT−P、不揮発分70%)5.7部、メタクリル酸メチル(MMA)110.5部、アクリル酸n−ブチル(BA)143.3部、アクリル酸(AAc)5.6部、メタクリル酸γ−プロポキシトリメトキシシリル20.6部を加え、80℃に上昇した。その後、過硫酸アンモニウム10%水溶液0.21部を加え80〜85℃で4時間重合した後、冷却し反応を停止した。ついでイオン交換水を加え、アンモニウム水でpH8.5に調整し、50%固形分の加水分解性プロピルシリケート残基含有フルオロオレフィン樹脂(シード重合体、フッ素含有率30質量%)粒子の水性分散体を得た。
製造例4
ステンレススチール製攪拌機付きオートクレーブ中にエチルビニルエーテル(EVE)48.2部、シクロヘキシルビニルエーテル(CHVE)140.5部、ヒドロキシエチルビニルエーテル(HEVE)51.7部、親水性部位を有する単量体(EOVE)2.1部、イオン交換水100部、乳化剤(日本乳化剤(株)製のN−1110)9部、乳化剤(日光ケミカル(株)製のSLS)0.9部、炭酸カリウム(KCO)1.8部、過硫酸アンモニウム(APS)3%水溶液16.7部を仕込み、氷で冷却して、窒素ガスを0.35MPaGになるように加圧し脱気した。この加圧脱気を2回繰り返した後、10mmHgまで減圧して溶存空気を除去し、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)259.6部を仕込み、30℃で12時間反応を行ない乳白色のCTFE共重合体(水酸基価65mgKOH/g、フッ素含有率25質量%)粒子の水性分散体を得た。
なお、EOVEはCH=CHOCHCHCHCHO(CHCHO)H(nが3と4の混合物)で示される化合物である。
製造例5
アミノ変性シリコーンオイル(日本ユニカー(株)製NUC SILICONE FZ3705、アミノ当量4000)40gおよびポリオキシエチレンラウリルエーテル(花王(株)製のエマルゲン130K)6gを脱イオン水54gに投入し、充分に機械的攪拌を行ない、安定な白色状乳化物を得た。
製造例6
カルビノール変性(水酸基含有)シリコーンオイル(信越化学工業(株)製KF−6001)40gおよびポリオキシエチレンラウリルエーテル(花王(株)製のエマルゲン130K)6gを脱イオン水54gに投入し、充分に機械的攪拌を行ない、安定な白色状乳化物を得た。
製造例7
攪拌機、温度計、還流管を備えた容量2リットルの四つ口フラスコに製造例2の(1)で得られたVdF系共重合体分散液500部、アルキルスルホサクシネートナトリウム塩水溶液(花王(株)製、レオドールOT−P、不揮発分70%)5.7部、メタクリル酸メチル(MMA)140部、アクリル酸n−ブチル(BA)42部、アクリル酸(AAc)20部を加え、80℃に上昇した。その後、過硫酸アンモニウム10%水溶液0.15部を加え80〜85℃で4時間重合した後、冷却し反応を停止した。ついでイオン交換水を加え、アンモニウム水でpH8.5に調整し、50%固形分のカルボキシル基含有フルオロオレフィン樹脂(シード重合体、フッ素含有率30質量%)粒子の水性分散体を得た。
製造例8
攪拌機、温度計、還流管を備えた容量2リットルの四つ口フラスコに製造例2の(1)で得られたVdF系共重合体分散液500部、アルキルスルホサクシネートナトリウム塩水溶液(花王(株)製、レオドールOT−P、不揮発分70%)5.7部、メタクリル酸メチル(MMA)233部、アクリル酸n−ブチル(BA)177部、アクリル酸(AAc)9部、ジアセトンアクリルアミド10部を加え、80℃に上昇した。その後、過硫酸アンモニウム10%水溶液0.3部を加え80〜85℃で4時間重合した後、冷却し反応を停止した。ついでイオン交換水を加え、アンモニウム水でpH8.5に調整し、50%固形分のカルボニル基とカルボキシル基を含有するフルオロオレフィン樹脂(シード重合体、フッ素含有率20質量%)粒子の水性分散体を得た。
【実施例9】
製造例2で製造した水酸基含有フルオロオレフィン樹脂の水性分散液100部に製造例5で調製したアミノ変性シリコーンオイルの乳化物1部、硬化剤として水溶性イソシアネート系硬化剤(住友バイエルウレタン(株)製のBayhydur 3100)3部および造膜助剤(チッソ(株)製のCS−12)5部を加え、充分に攪拌して水性分散型塗料組成物を調製した。
この塗料組成物をディップ塗装によりフレキシブルボード(7×15×0.3cm)に200g/mの塗装量で塗装し、室温で1週間かけて乾燥して塗板を得た。
この塗板について、実施例1と同様な試験を行なった。ただし、油性インク汚染試験におけるアセトン拭き試験については、アセトンに代えてエタノールで拭いて行なった(エタノール拭き後)。結果を表2に示す。
【実施例10〜15】
樹脂(A)および防汚成分(B)、さらに硬化剤(C)ならびに硬化触媒(D)として表2に示すものを同表の割合で配合したほかは実施例9と同様にして塗料組成物を調製し、実施例9と同様にして試験用の塗板を作製した。ただし、実施例10においては、塗膜の乾燥を120℃20分間の乾燥により行なった。
得られた塗板について、実施例1と同様の試験を実施し、評価した。結果を表2に示す。
比較例3
実施例9において、防汚成分を配合しなかったほかは同様にして比較用の塗料組成物を得た。
この塗料組成物をディップ塗装によりフレキシブルボード(7×15×0.3cm)に200g/mの塗装量で塗装し、室温で1週間かけて乾燥して塗板を得た。
この塗板について、実施例1と同様な試験を行なった。結果を表2に示す。
表2中の各成分は、つぎのものである。
合成樹脂6:
製造例2で製造した水酸基含有VdF系シード重合体(水酸基価15mgKOH/g、フッ素含有率30質量%)水性分散液
合成樹脂7:
製造例3で製造した加水分解性アルキルシリケート残基含有VdF系シード重合体(フッ素含有率30質量%)水性分散液
合成樹脂8:
製造例4で製造した水酸基含有CTFE系重合体(水酸基価65mgKOH/g、フッ素含有率25質量%)水性分散液
合成樹脂9:
ウレタンエマルション(クラリアントジャパン(株)製、ダオタンVTW1227/40WA。固形分40%、水酸基価50mgKOH/g)
合成樹脂10:
製造例7で製造したカルボキシル基含有フルオロオレフィン樹脂(フッ素含有率30質量%)
合成樹脂11:
製造例8で製造したカルボニル基とカルボキシル基を含有するフルオロオレフィン樹脂(フッ素含有率20質量%)
防汚成分5:
製造例5で調製したアミノ変性シリコーンオイル(アミノ当量4000)の乳化物
防汚成分6:
製造例6で調製した水酸基含有(カルビノール変性)シリコーンオイルの乳化物
硬化剤3:
水分散型イソシアネート系硬化剤(住友バイエルウレタン(株)製のBayhydur 3100)
硬化剤4:
アミノ樹脂(三井サイテック(株)製のサイメル303)
硬化剤5:
エポキシ化合物系硬化剤(日本ユニカー(株)製のコートジル1770)
硬化剤6:
アジピン酸ジヒドラジドの5%水溶液
造膜助剤:
造膜助剤(チッソ(株)製のCS−12)
硬化触媒:
1%ジブチル錫ジラウレート

製造例9
1000mlのステンレススチール製オートクレーブに酢酸ブチル300g、ヒドロキシブチルビニルエーテル(HBVE)20g、シクロヘキシルビニルエーテル(CVE)96g、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)5.0gを仕込み、0℃に氷冷したのち、減圧下に脱気した。これにイソブチレン(IB)34gとテトラフルオロエチレン(TFE)50gを仕込み、攪拌下に50℃に加熱し、28時間反応させ、反応器内圧力が1.4MPaGから1MPaGに下がった時点で反応を停止した(収率24.6%)。その後減圧下で60℃にて濃縮して固形分を50%とした。
得られた含フッ素共重合体は、19F−MNR、H−MNRおよび元素分析での分析の結果、TFE/IB/CVE/HBVE=20/30/40/10モル%であり、水酸基価は59mgKOH/g、酸価はなく、フッ素含有率が15質量%であった。GPCにより測定した数平均分子量は7000であった。
【実施例16】
樹脂(A)として製造例9の含フッ素共重合体水性分散液を用い、表3に示す防汚成分(B)、さらに硬化剤(C)および硬化触媒(D)を同表の割合で配合したほかは実施例9と同様にして塗料組成物を調製した。
この塗料組成物をスプレー塗装によりアルミニウム板(7×15×0.3cm)に200g/mの塗装量で塗装し、室温(約25℃)で1週間かけて乾燥して塗板を得た。
得られた塗板について、実施例1と同様の試験を実施し、さらに鉛筆硬度を調べた。結果を表3に示す。
(鉛筆硬度)
JIS K5400に準じて測定する。
【実施例17〜18】
樹脂(A)、防汚成分(B)、硬化剤(C)および硬化触媒(D)として表3に示すものを同表の割合で配合したほかは実施例16と同様にして塗料組成物を調製し、実施例16と同様にして試験用の塗板を作製した。
得られた塗板について、実施例1と同様の試験を実施し、さらに鉛筆硬度を調べた。結果を表3に示す。
表3中の合成樹脂12、硬化剤7および硬化剤8はつぎのものである。
合成樹脂12:
製造例9で製造した水酸基含有含フッ素共重合体(水酸基価59mgKOH/g、フッ素含有率15質量%)水性分散液
硬化剤7:リジントリイソシアナート。協和発酵(株)製のLTI(商品名)
硬化剤8:テトラメトキシシランの縮合物。三菱化学(株)製のメチルシリケート51(商品名)

【実施例19】
樹脂(A)、防汚成分(B)および硬化剤(C)として表4に示すものを同表の割合で配合したほかは実施例16と同様にして塗料組成物を調製した。
この塗料組成物を予め下塗り塗装(エルヴァサイト2041。ルーサイトインターナショナル(株)製のアクリル樹脂)された軟質ポリ塩化ビニル板(7×15×0.3cm)にスプレー塗装により200g/mの塗装量で塗装し、室温(約25℃)で1週間かけて乾燥して塗板を得た。
得られた塗板について、実施例1と同様の試験を実施し、さらに鉛筆硬度を調べた。結果を表4に示す。
【実施例20〜22】
樹脂(A)、防汚成分(B)、硬化剤(C)および硬化触媒(D)として表4に示すものを同表の割合で配合したほかは実施例16と同様にして塗料組成物を調製し、実施例19と同様にして試験用の塗板を作製した。
得られた塗板について、実施例1と同様の試験を実施し、さらに鉛筆硬度を調べた。結果を表4に示す。
【実施例23】
樹脂(A)、防汚成分(B)、硬化剤(C)および硬化触媒(D)として表4に示すものを同表の割合で配合したほかは実施例16と同様にして塗料組成物を調製した。
この塗料組成物を予め下塗り塗装(エルヴァサイト2041)されたポリカーボネート板(7×15×0.3cm)にスプレー塗装により200g/mの塗装量で塗装し、室温(約25℃)で1週間かけて乾燥して塗板を得た。
得られた塗板について、実施例1と同様の試験を実施し、さらに鉛筆硬度を調べた。結果を表4に示す。
【実施例24】
樹脂(A)、防汚成分(B)、硬化剤(C)および硬化触媒(D)として表4に示すものを同表の割合で配合したほかは実施例16と同様にして塗料組成物を調製し、実施例23と同様にして試験用の塗板を作製した。
得られた塗板について、実施例1と同様の試験を実施し、さらに鉛筆硬度を調べた。結果を表4に示す。

【実施例25〜26】
樹脂(A)、防汚成分(B)、硬化剤(C)および硬化触媒(D)として表5に示すものを同表の割合で配合したほかは実施例16と同様にして塗料組成物を調製した。
この塗料組成物を予め下塗り塗装(ウレタン5138。日本ポリウレタン(株)製のウレタン樹脂)されたポリエステル板(7×15×0.3cm)にスプレー塗装により200g/mの塗装量で塗装し、室温(約25℃)で1週間かけて乾燥して塗板を得た。
得られた塗板について、実施例1と同様の試験を実施し、さらに鉛筆硬度を調べた。結果を表5に示す。

【産業上の利用可能性】
本発明の塗料組成物によれば、汚染防止、特に油性汚れの除去性に優れるので、落書きをされても容易に拭き取り除去でき、しかも耐候性、密着性にも優れるので、屋外の各種の塗装に最適である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)官能基Xを含有する合成樹脂、(B)防汚成分および(C)硬化剤を含む組成物であって、防汚成分(B)が(B1)官能基Xおよび/または硬化剤(C)と反応し得る官能基Yを有する液状のポリジアルキルシロキサン、または(B2)官能基Xおよび/または硬化剤(C)と反応し得る官能基Yを有する液状のフルオロポリエーテルである塗料組成物。
【請求項2】
前記樹脂(A)が、官能基含有フッ素樹脂、官能基含有非フッ素アクリル樹脂、官能基含有ポリエステル樹脂、官能基含有ウレタン樹脂および/または官能基含有エポキシ樹脂である請求の範囲第1項記載の塗料組成物。
【請求項3】
前記樹脂(A)が有する官能基Xが、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基、アミノ基、カルボニル基、ニトリル基および/または加水分解性アルキルシリケート残基である請求の範囲第1項または第2項記載の塗料組成物。
【請求項4】
前記ポリジアルキルシロキサン(B1)が有する官能基Yが、水酸基、アミノ基、エポキシ基、カルボキシル基、チオール基、−(CO)−(CO)(Rは炭素数1〜8のアルキル基、aとbは同じかまたは異なり1〜40の整数)および/または加水分解性アルキルシリケート残基である請求の範囲第1項〜第3項のいずれかに記載の塗料組成物。
【請求項5】
前記フルオロポリエーテル(B2)が有する官能基Yが、水酸基、アミノ基、エポキシ基、カルボキシル基、チオール基、ニトリル基、ヨウ素原子および/または加水分解性アルキルシリケート残基である請求の範囲第1項〜第3項のいずれかに記載の塗料組成物。
【請求項6】
前記樹脂(A)の官能基Xおよび防汚成分(B)の官能基YまたはYにおける加水分解性アルキルシリケート残基が、−SiR3−m(OR(式中、Rは炭素数1〜18のフッ素原子を含んでいてもよい非加水分解性の炭化水素基;Rは炭素数1〜18の炭化水素基;mは1〜3の整数)で示されるケイ素含有官能基である請求の範囲第3項〜第5項のいずれかに記載の塗料組成物。
【請求項7】
前記硬化剤(C)が、イソシアネート化合物、アミノ化合物、エポキシ化合物、有機酸、ヒドラジド化合物、アジリジン化合物、カルボジイミド化合物および/またはSi(OR(Rは炭素数1〜10の非フッ素アルキル基)、RSi(OR(RおよびRは同じかまたは異なり、炭素数1〜10の非フッ素アルキル基)、これらの単独縮合オリゴマーおよびこれらの共縮合コオリゴマーよりなる群から選ばれた少なくとも1種である請求の範囲第1項〜第6項のいずれかに記載の塗料組成物。
【請求項8】
前記樹脂(A)が有する官能基Xが水酸基であり、防汚成分(B)が有する官能基YまたはYが水酸基またはアミノ基であり、硬化剤(C)がイソシアネート化合物である請求の範囲第1項記載の塗料組成物。
【請求項9】
前記防汚成分(B)が有する官能基YまたはYがアミノ基である請求の範囲第8項記載の塗料組成物。
【請求項10】
前記樹脂(A)が有する官能基Xが水酸基であり、防汚成分(B)が有する官能基YまたはYがアミノ基であり、硬化剤(C)としてイソシアネート化合物と、Si(OR(Rは炭素数1〜10の非フッ素アルキル基)、単独縮合オリゴマーおよび/または共縮合コオリゴマーとを併用してなる請求の範囲第1項記載の塗料組成物。
【請求項11】
前記樹脂(A)の水酸基価が10〜300mgKOH/gである請求の範囲第8項〜第10項のいずれかに記載の塗料組成物。
【請求項12】
前記樹脂(A)が、フッ素含有率10質量%以上の水酸基含有フッ素樹脂である請求の範囲第8項〜第11項のいずれかに記載の塗料組成物。
【請求項13】
前記防汚成分(B)のアミノ当量が1000以上である請求の範囲第9項〜第12項のいずれかに記載の塗料組成物。
【請求項14】
前記硬化剤(C)が、加水分解性アルキルシリケート残基を有するイソシアネート化合物である請求の範囲第8項〜第13項のいずれかに記載の塗料組成物。
【請求項15】
前記樹脂(A)が有する官能基Xがカルボキシル基であり、防汚成分(B)が有する官能基YまたはYがカルボキシル基、アミノ基またはエポキシ基であり、硬化剤(C)がアミノ化合物、エポキシ化合物、アジリジン化合物またはカルボジイミド化合物である請求の範囲第1項記載の塗料組成物。
【請求項16】
前記樹脂(A)が有する官能基Xがアミノ基であり、防汚成分(B)が有する官能基YまたはYがアミノ基またはカルボキシル基であり、硬化剤(C)がエポキシ化合物または有機酸である請求の範囲第1項記載の塗料組成物。
【請求項17】
前記樹脂(A)が有する官能基Xがカルボニル基またはカルボキシル基であり、防汚成分(B)が有する官能基YまたはYがアミノ基またはカルボキシル基であり、硬化剤(C)がエポキシ化合物またはヒドラジド化合物である請求の範囲第1項記載の塗料組成物。
【請求項18】
前記樹脂(A)が有する官能基Xがエポキシ基であり、防汚成分(B)が有する官能基YまたはYがアミノ基またはエポキシ基であり、硬化剤(C)が有機酸またはアミノ化合物である請求の範囲第1項記載の塗料組成物。
【請求項19】
(A)官能基Xを含有する合成樹脂および(B)防汚成分を含み、かつ硬化剤を含まない組成物であって、防汚成分(B)が(B1)官能基Xと反応し得る官能基Yを有する液状のポリジアルキルシロキサン、または(B2)官能基Xと反応し得る官能基Yを有する液状のフルオロポリエーテルである塗料組成物。
【請求項20】
前記樹脂(A)が、官能基含有フッ素樹脂、官能基含有非フッ素アクリル樹脂、官能基含有ポリエステル樹脂、官能基含有ウレタン樹脂および/または官能基含有エポキシ樹脂である請求の範囲第19項記載の塗料組成物。
【請求項21】
前記樹脂(A)が有する官能基Xが、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基、アミノ基、カルボニル基、ニトリル基および/または加水分解性アルキルシリケート残基である請求の範囲第19項または第20項記載の塗料組成物。
【請求項22】
前記ポリジアルキルシロキサン(B1)が有する官能基Yが、水酸基、アミノ基、エポキシ基、カルボキシル基、チオール基、−(CO)−(CO)(Rは炭素数1〜8のアルキル基、aとbは同じかまたは異なり1〜40の整数)および/または加水分解性アルキルシリケート残基である請求の範囲第19項〜第21項のいずれかに記載の塗料組成物。
【請求項23】
前記フルオロポリエーテル(B2)が有する官能基Yが、水酸基、アミノ基、エポキシ基、カルボキシル基、チオール基、ニトリル基、ヨウ素原子および/または加水分解性アルキルシリケート残基である請求の範囲第19項〜第21項のいずれかに記載の塗料組成物。
【請求項24】
前記樹脂(A)の官能基Xおよび防汚成分(B)の官能基YまたはYにおける加水分解性アルキルシリケート残基が、−SiR3−m(OR(式中、Rは炭素数1〜18のフッ素原子を含んでいてもよい非加水分解性の炭化水素基;Rは炭素数1〜18の炭化水素基;mは1〜3の整数)で示されるケイ素含有官能基である請求の範囲第21項〜第23項のいずれかに記載の塗料組成物。
【請求項25】
前記樹脂(A)が有する官能基Xが加水分解性アルキルシリケート残基であり、防汚成分(B)が有する官能基YまたはYが水酸基または加水分解性アルキルシリケート残基である請求の範囲第19項記載の塗料組成物。
【請求項26】
前記樹脂(A)が有する官能基Xが水酸基であり、防汚成分(B)が有する官能基YまたはYが加水分解性アルキルシリケート残基である請求の範囲第19項記載の塗料組成物。
【請求項27】
さらに硬化触媒(D)を含む請求の範囲第1項〜第26項のいずれかに記載の塗料組成物。
【請求項28】
前記樹脂(A)が官能基含有フルオロオレフィン樹脂である請求の範囲第1項〜第27項のいずれかに記載の塗料組成物。
【請求項29】
前記樹脂(A)と防汚成分(B)との配合割合が、樹脂(A)100重量部に対して防汚成分(B)が0.01重量部以上で50重量部以下である請求の範囲第1項〜第28項のいずれかに記載の塗料組成物。
【請求項30】
有機溶剤を含む有機溶剤型塗料に調製されてなる請求の範囲第1項〜第29項のいずれかに記載の塗料組成物。
【請求項31】
水性媒体に分散された水性分散型塗料に調製されてなる請求の範囲第1項〜第29項のいずれかに記載の塗料組成物。

【国際公開番号】WO2004/067658
【国際公開日】平成16年8月12日(2004.8.12)
【発行日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−504681(P2005−504681)
【国際出願番号】PCT/JP2004/000525
【国際出願日】平成16年1月22日(2004.1.22)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】