説明

塗料被覆歯科用金属製品

【解決手段】本発明の塗装被覆歯科用金属製品は、歯科用金属製品に、熱可塑性樹脂を含む塗料を塗布したことを特徴としている。
【効果】本発明の塗布被覆歯科用金属製品を用いることにより、歯科用金属製品に優れた審美性、安全性、滑り性、耐汚染性、耐曲げ加工性、耐磨耗性を有する塗料被覆歯科用金属製品を賦与することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗料被覆歯科用金属製品に関する。さらに詳しくは本発明は、熱可塑性樹脂を含む塗料を塗布することにより、優れた審美性、安全性、滑り性、耐汚染性、耐曲げ加工性、耐磨耗性を有する塗料被覆歯科用金属製品に関する。
【背景技術】
【0002】
以下に、歯科用途における金属製品の利点や問題点に関して、歯科用矯正用ワイヤと歯科矯正用ブラケットを例にとって説明する。
【0003】
歯科矯正用ワイヤは歯科矯正用ブラケットと組み合わせて歯科矯正治療に用いる装置であり、高い強度や弾力性が要求されるためにほぼ全ての臨床で金属製ワイヤが用いられている。
近年、歯科審美に関する要求の高まりから、従来、金属色をしていた歯科矯正用装置を歯冠色や白色にする試みがなされ、実際、ブラケットは歯冠色、白色、或いは透明なセラミック製、或いは樹脂製品のような金属製以外の審美性ブラケットが市場に現れている。しかしながら、それらの審美性ブラケットは金属製ブラケットと比較して機械物性や耐久性、靱性に劣るため、分厚くなり、装着感などが金属製ブラケットと比較して劣る、或いは場合によっては破損してブラケット本体の取り替えを余儀なくされる等の問題点を有している。
また、歯科矯正用ワイヤは、素材に求められる強度や弾力性の要求が高いために、金属ワイヤを代替出来る材料は存在せず、依然として審美性に劣る金属製ワイヤが使用され続けている。
そのような状況で、ブラケットのみならず、ワイヤにも審美性が求められてきており、金属製ワイヤにエポキシ樹脂等の熱硬化性塗料を塗布し、歯冠色、或いは白色に近づける試み、或いは、金メッキなどにより口腔内で目立ちにくくする試みなどが行われてきた。
しかしながら、エポキシ樹脂製塗料では滑り性、耐曲げ加工性、耐摩耗性、金属に対する密着性などの点で臨床現場での要求を充分に満足できず、また、金メッキを行ったワイヤは本質的には歯と同じ色調に出来ないという問題点がある。
【0004】
特許文献1には、金属に熱可塑性樹脂粒子を塗布する技術が開示されているが、咀嚼、場合によっては歯軋り、唾液分泌、様々な食物との接触、食物による低温、高温などに曝される口腔環境への適応については、何の開示もなく、塗布対象の金属品は、平板乃至は飲料缶や電池等の円筒形など、極めて塗布し易い、単純な形状しか記載が無く、細い線状の歯科矯正用ワイヤや金属義歯床等、微細な形状や複雑な形状においても、適用出来るかについては何ら開示されていない。
以上の理由から、本質的に歯牙と同等の色調の審美性を有しながら、安全性、滑り性、耐汚染性、耐曲げ加工性、耐磨耗性を有する歯科用矯正用ワイヤと歯科矯正用ブラケットが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】WO2005/019363号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、優れた審美性、安全性、滑り性、耐汚染性、耐曲げ加工性、耐磨耗性を有する塗料被覆歯科用金属製品を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の塗料被覆歯科用金属製品は、歯科用金属製品に、熱可塑性樹脂を含む塗料を塗布したことを特徴としている。
本発明において、熱可塑性樹脂を含む塗料を塗布することによって、優れた審美性、安全性、滑り性、耐汚染性、耐曲げ加工性、耐磨耗性を有する塗料被覆歯科用金属製品を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、本発明の塗装を施した歯列矯正具の例を示す写真である。写真が白黒なので差が明確でないので、手続補足書でカラー写真を提出する。
【図2】図2は、従来の塗装を施さない歯列矯正具の例を示す写真である。写真が白黒なので差が明確でないので、手続補足書でカラー写真を提出する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に本発明の塗料被覆歯科用金属製品について具体的に説明する。
本発明の塗料被覆歯科用金属製品は、熱可塑性樹脂を含む塗料を歯科用金属製品に塗布することによって得ることが出来る。
【0010】
本発明の熱可塑性樹脂を含む塗料を塗布した塗料被覆歯科用金属製品の塗布厚は、35μm以下であることが好ましく、20μm以下であることがより好ましく、15μm以下であることがさらに好ましい。前記上限値を超えると仕上がり品が所定の寸法に収める事が困難になりやすい。下限値については特に限定されるものではないが、好ましくは10nm以上、より好ましくは100nm以上、さらに好ましくは500nm以上である。前記下限値を下回ると下地の金属色を隠蔽するなどの塗布の効果を発現する事が困難になりやすい。なお、塗料被覆歯科用金属製品の熱可塑性樹脂を含む塗料を塗布した塗料被覆部分は、その性能が必要とされる部位にさえ存在すれば良く、例えば、塗料被覆部分の要求される性能が専ら審美性さえ満たしていればよい場合などには、歯牙乃至は口腔に装着した際に、外部から見える部分だけ、充分に被覆されてさえいれば問題ない場合もあり得る。つまり、歯牙、歯肉、骨組織、軟組織に密着して、通常は、外部からは視認出来ない部位は、塗料皮膜が欠けていたり、充分な厚さが無くとも問題ない場合があり得る。
【0011】
本発明の塗料被覆歯科用金属製品は、通常は細かい乃至は複雑な形状を有するものであり、非平面形状および/または非円筒形状を有するものである。但し、平面形状や円筒形状を全く排除するものではなく、非平面形状および/または非円筒形状を主体とする塗料被覆歯科用金属製品の構造のごく一部に平面状乃至は円筒状の形状の部分があっても良い。
【0012】
単純な平板乃至は太い円筒状形状は皆無である。
非平面形状および/または非円筒形状、具体的には、線状形状、複曲面形状、ねじれ面形状、錐面形状、および接線面形状よりなる群から選ばれる少なくとも1つの形状を有するものである。線状とは、特に限定されないが、例えば、直径10mm以下と考えて良いが、実際の殆ど大部分の歯科用金属製品では、直径4mm以下であると考えて良い。尚、前記直径は、トーラス形状((x2+y21/2−R)2+z2=r2、r<R)の場合においては、その小円の直径(2r)を指しており、大円の直径(2R)の方ではない。また、歯科用金属製品は真円にて構成されていると限られるものではないので、断面について、非円形状を等積変換して真円にした場合の直径を用いればよい。一方、複曲面とは、直線エレメントを有さない曲面であり、球面やトーラスなど、幾何学的な曲面もあれば、印象等により歯面や口腔の形状を忠実に再現した数式で表現し難い一般複曲面乃至は自由曲面もある。ねじれ面とは、隣接する直線エレメントがねじれの位置にある線織面、接線曲面とは隣接する直線エレメントが互いに異なった点で交わる可展面、錐面は隣接する直線エレメントが、全て一点に交わる可展面である。
【0013】
一般的には、塗料被覆歯科用金属製品の表面上の任意の点Pについて、以下の条件(A)を満たす、前記表面上の点Qが存在する形状を有する事が好ましい。
条件(A)=条件(A0)∩[条件(A1)∪条件(A2)]
条件(A0):PQ間の直線距離が20mm以下である。
条件(A1):点Qにおける該表面の最小曲率半径が5mm以下である。
条件(A2):点Qにおける該表面の最大曲率半径が1000mm以下である。
更に条件(A3)を加えて、以下の通りであることがより好ましい。
条件(A‘)=条件(A0)∩[条件(A1)∪{条件(A2)∩条件(A3)}]
条件(A3):点PQ間の曲率半径が250mm以下である。
(点PQ間の直線距離をL、曲面上の両点におけるそれぞれの法線がなす角度をθとした場合、両点間の曲率半径r=L/(2×sin(θ/2))とする。)
なお、点Qにおける該表面の最小曲率半径および最大曲率半径とは以下の通りである。即ち、3次元空間中に存在する2次元曲面の点において、その点における曲面の法線を含む任意の平面にて前記曲面を切ると曲線が得られる。即ち、当該法線を中心として当該平面を回せば、前記曲面について様々な曲線が断面として得られる。これらの曲線のうち、前記点における曲率半径が、最小のものを最小曲率半径、最大のものを最大曲率半径とする。当該曲線が直線の場合は曲率半径は無限大となる。
【0014】
また、曲面上の2点PQ間の曲率半径rについては、点PQ間の直線距離をL、曲面上の両点におけるそれぞれの法線nとnがなす角度をθとした場合、両点PQ間の曲率半径r=L/(2×sin(θ/2))とする。これは、半径rの円の、角度θの円弧の両端に渡した直線の長さLとする図形関係にあるものであると解することが出来る。
【0015】
条件(A0)は、単純な形状、例えば、平面や筒状などが、一定範囲以上、連続して存在しない事を示してしており、条件(A1)は、半径5mmを越える筒状形状ではないことを示してしており、条件(A2)∩条件(A3)は、あまり緩やかではない複曲面であることを示していると解することが出来る。
【0016】
なお、条件(A0)のPQ間の直線距離は、15mm以下であることがより好ましく、10mm以下であることがさらに好ましい。条件(A1)の点Qにおける該表面の最小曲率半径は、2mm以下であることがより好ましく、1mm以下であることがさらに好ましい。条件(A2)の点Qにおける該表面の最大曲率半径は、400mm以下であることがより好ましく、100mm以下であることがさらに好ましい。
【0017】
条件(A3)の点PQ間の曲率半径は、100mm以下であることがより好ましく、40mm以下であることがさらに好ましい。
なお、矯正ワイヤ等の金属が自重にて視認できる程度に曲がったり、撓んだりする場合には、張った状態の形状を標準とすればよい。特に矯正ワイヤなどの場合には、その直径は好ましくは1mm以下、より好ましくは0.6mm以下である。従って、矯正ワイヤなどの場合には、条件(A1)の点Qにおける該表面の最小曲率半径は、0.5mm以下であることが特に好ましく、0.3mm以下であることが極めて好ましい。
前記条件(A0)〜条件(A3)の上限値を上回ると、塗料被覆歯科用金属製品は形状が単純すぎるか、大きすぎて、歯牙や口腔に対して、快適な装着性を得ることが困難となる。
【0018】
本発明の塗料被覆歯科用金属製品の対象となる金属の素材としては、一般的な歯科用金属であるステンレス鋼、ニッケル−チタン合金、チタン、チタン合金、コバルト−クロム合金、ニッケル−クロム合金、金合金、白金加金、金銀パラジウム合金、銀合金などがあげられるが、本発明はかかる例示のみに限定されるものではない。
【0019】
本発明の熱可塑性樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレンナフタレートなどの芳香族ポリエステル樹脂;ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリ( ブチレンサクシネート・カーボネート)、ポリ(ブチレンサクシネート・アジペート)、ポリヒドロキシブチレート、ポリ(ヒドロキシブチレート・バリレート)などの脂肪族ポリエステル樹脂;
多種類の2塩基酸および2価のアルコールより作られる結晶性および非結晶性共重合ポリエステル樹脂、1,4シクロヘキサンジメタノールあるいは長鎖のアルキルジオールで可塑化された、結晶性および非結晶性芳香族ポリエステル樹脂;
6-ナイロン、66-ナイロン、12-ナイロン、MXD6-ナイロンなどのポリアミド樹脂; ポリカーボネート樹脂;マレイン化ポリプロピレン、マレイン化TPXなどの変性ポリオレフィン樹脂などが挙げられる。
【0020】
なかでも、審美性、安全性、滑り性、耐汚染性、耐曲げ加工性、耐磨耗性等の特性に応じて選べば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、MXD6-ナイロン、ポリブチレンテレフタレート、6-ナイロン、66-ナイロン、ポリカーボネートが好ましい。ただし、これらに限定されるものではない。
前記の熱可塑性樹脂を歯科用金属材料に塗装する場合
【0021】
[1] 溶射・・・・・・高温で融解しそのままノズルから吹きつけ塗装する。
[2] エアロデポジション法・・粒子をノズルから高速で噴出し金属上で膜化させる。
[3] 粉体塗装・・・・・静電気を利用して粉体を金属に付着させ熱溶着させる。
[4] 溶解・・・・・・高温で溶剤を用いて溶解し樹脂が析出するより高温を保ちながら塗装する。
[5] スラリー塗料・熱可塑性樹脂微粒子を作成し、溶剤を用いて分散・スラリーとしたものを塗装する。
など多くの方法が考えられるが、ここでは造膜性の良い極小微粒子を用いたスラリー塗料を例に取り説明する。
【0022】
すなわち、熱可塑性樹脂を有機溶媒に加熱溶解した溶液を急冷して得られる、平均1次粒子径10〜10000nmの該熱可塑性樹脂の粒子を含む金属被覆用塗料であって、該熱可塑性樹脂が芳香族ポリエステル樹脂、脂肪族ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、変性ポリオレフィン樹脂およびポリカーボネート樹脂から選択される少なくとも1種である金属被覆用塗料を塗布して、本発明の塗料被覆歯科用金属製品を得ることが出来る。
前記につき、以下にその詳細を説明する。
【0023】
熱可塑性樹脂を溶解する溶媒としては、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶媒;アジピン酸ジメチル、グルタル酸ジメチルおよびコハク酸ジメチルなどの二塩基酸エステル系溶媒;シクロヘキサノン、イソホロン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶媒;シクロヘキサン、トルエン、キシレンなどの炭化水素系溶媒;ベンジルアルコール、シクロヘキサノールなどのアルコール系溶媒;エチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールブチルエーテル、ビス(2−メトキシエチル)エーテルなどのエーテル系溶媒、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド(DMAc)などのアミド系溶媒;N−メチル−2−ピロリドン(NMP)などのピロリドン系溶媒;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド系溶媒;ならびにこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。なかでも、得られた懸濁液から粒子を分離した後の液をさらに熱可塑性樹脂を溶解する溶媒として繰り返し使うことが可能である点から、熱可塑性樹脂としてポリエステル樹脂を用いる場合には、アジピン酸ジメチル、グルタル酸ジメチルおよびコハク酸ジメチルからなる混合エステル系溶媒、ジメチルアセトアミド、ビス(2−メトキシエチル)エーテルが、熱可塑性樹脂としてポリアミド樹脂を用いる場合には、ホルムアミド、ベンジルアルコール、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンが、ポリカーボネート樹脂を用いる場合には、アジピン酸ジメチル、グルタル酸ジメチルおよびコハク酸ジメチルからなる混合エステル系溶媒が好ましい。
【0024】
熱可塑性樹脂を溶解する際の溶媒の温度は、70〜200℃であることが好ましい。熱可塑性樹脂が、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートである場合は、130〜190℃であることがより好ましく、140〜185℃であることがさらに好ましい。熱可塑性樹脂が、ポリ乳酸である場合は、70〜150℃であることがより好ましく、100〜140℃であることがさらに好ましい。熱可塑性樹脂が、ポリグリコール酸である場合は、130〜170℃がより好ましく、140〜160℃がさらに好ましい。熱可塑性樹脂が、MXD6-ナイロンである場合は、130〜180℃であることがより好ましく、140〜170℃であることがさらに好ましい。また、熱可塑性樹脂が、6-ナイロンである場合は、120〜180℃であることがより好ましく、130〜170℃であることがさらに好ましい。熱可塑性樹脂が66-ナイロンである場合は、150〜190℃であることがより好ましく、170〜180℃であることがさらに好ましい。熱可塑性樹脂が、12-ナイロンである場合は、120〜150℃であることがより好ましく、130〜140℃であることがさらに好ましい。熱可塑性樹脂が、ポリカーボネートである場合は、130〜180℃であることがより好ましく、140〜170℃であることがさらに好ましい。溶媒の温度が、70℃未満であると熱可塑性樹脂が溶解しないため、目的とする平均1次粒子径10〜10000nmの粒子が得られない傾向にあり、200℃をこえると熱可塑性樹脂あるいは溶媒の分解が起こり塗料が黄色に変色する傾向がある。
【0025】
熱可塑性樹脂の溶媒への配合量は、溶媒100重量部に対して、1〜20重量部が好ましく、1〜10重量部がより好ましい。配合量が1重量部未満であると、生産性の点で問題がある。また、20重量部をこえると、目的とする平均1次粒子径10〜10000nmの粒子を得ることが困難になる傾向がある。
【0026】
熱可塑性樹脂の溶液の冷却手段としては、熱交換器などの冷却装置が挙げられる。該冷却手段を使用して、70〜200℃の熱可塑性樹脂溶液を、50℃以下に冷却することが好ましく、より好ましくは45℃以下である。冷却後の溶液の温度が50℃を超えると、得られる粒子の1次粒子径が大きくなる傾向がある。
【0027】
冷却方法としては、熱可塑性樹脂の溶液そのものを熱交換器を使用して冷却する方法と、熱交換器を使用して20〜−90℃に冷却された溶媒と該熱可塑性樹脂の溶液を混合することで冷却する方法が挙げられる。冷却効率の点から、冷却された溶媒と混合する方法が好ましい。
【0028】
冷却して得られる熱可塑性樹脂の粒子の平均1次粒子径は、10〜10000nmであり、好ましくは10〜8000nmであり、より好ましくは10〜5000nm、さらに好ましくは10〜3000nmである。平均1次粒子径が10000nmを超えると、塗膜の膜厚が大きくなり、または薄膜にした場合に、連続膜にならないなどの問題が生じる傾向がある。10nm未満であると、得られた懸濁液の粘度が高くなり、分離操作が困難になる傾向がある。
【0029】
上記熱可塑性樹脂の粒子の氏の平均1次粒子径は、上述の通りであるが、このような粒子は、通常は凝集して2次粒子を形成する。こうして形成された前記粒子の平均2次粒子径は50μm以下が好ましく、1〜10μmがより好ましい。
【0030】
平均2次粒子径が50μmをこえると、塗布した際に膜厚が大きくなり、求める塗膜を得ることができない傾向がある。
【0031】
ここで、1次粒子とは、それ以上に分散できない状態の粒子をいう。また、2次粒子とは、1次粒子が凝集した状態の粒子をいう。
【0032】
粒子を含む懸濁液から、粒子を分離する方法としては、濾過、遠心分離などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。濾過するためのフィルターとしては、たとえばセラミックフィルターなどが挙げられる。
【0033】
本発明の塗料被覆歯科用金属製品を白色、歯冠色、または歯肉色に調色するために上記の熱可塑性樹脂に顔料や染料などの色材を添加する。添加する色材としては、有機系染料や顔料、金属酸化物や金属ハロゲン化物等があるが、安全性、色調の安定性や塗布時の耐熱性に関して金属酸化物が好ましく、特に白色もしくは歯冠色にするために酸化チタン、ベンガラ、チタンイエロー、黒色酸化鉄、黄色酸化鉄が特に好ましい。
【0034】
また、特に上記金属酸化物に代表される無機系材料等の粒子の場合、分散された際には、前記熱可塑性樹脂粒子と同等程度の微細な粒径であることが好ましい。
【0035】
前記の金属被覆用塗料は、熱可塑性樹脂の粒子からなるものである。しかし、該熱可塑性樹脂粒子相互の混合物からなるものであっても良いし、該熱可塑性樹脂粒子に硬化剤などの添加剤を加えても良い。さらに、該熱可塑性樹脂粒子をその他の塗料に添加して使用してもよい。該熱可塑性樹脂粒子をその他の塗料に添加することで、より強靭な塗膜を形成することができるため好ましい。
【0036】
該熱可塑性樹脂粒子を添加するその他の塗料としては、一般的に塗料として用いられているものであれば、特に限定はされないが、ポリエステル樹脂、架橋アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂などからなる熱硬化型塗料を挙げることができる。
【0037】
前記の熱可塑性樹脂粒子を分散させる溶媒としては、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶媒;アジピン酸ジメチル、グルタル酸ジメチルおよびコハク酸ジメチルなどの二塩基酸エステル系溶媒:シクロヘキサノン、イソホロン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶媒;シクロヘキサン、トルエン、キシレンなどの炭化水素系溶媒;ベンジルアルコール、シクロヘキサノールなどのアルコール系溶媒;エチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールブチルエーテル、ビス(2−メトキシエチル)エーテルなどのエーテル系溶媒;ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド系溶媒;N−メチル−2−ピロリドン(NMP)などのピロリドン系溶媒および水ならびにこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されるものではなく、求める塗料に適したあらゆる有機溶剤を使用することができる。
【0038】
熱可塑性樹脂が、ポリエチレンテレフタレートである場合は、シクロヘキサノンおよびキシレン混合溶媒、アジピン酸ジメチル、グルタル酸ジメチルおよびコハク酸ジメチルからなる混合エステル系溶媒、ジメチルアセトアミドが好ましく、熱可塑性樹脂が、ポリエチレンナフタレートである場合は、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンが好ましく、熱可塑性樹脂が、MXD6-ナイロンである場合は、ジメチルアセトアミド、水が好ましく、熱可塑性樹脂が12-ナイロンである場合は、ジメチルアセトアミド、ベンジルアルコールが好ましく、熱可塑性樹脂が66-ナイロンである場合はベンジルアルコールが好ましく、熱可塑性樹脂が6-ナイロンである場合は、ジメチルアセトアミド、ベンジルアルコール、N−メチル−2− ピロリドンが好ましく、熱可塑性樹脂がポリ乳酸である場合は、ジメチルアセトアミド、酢酸エチル、酢酸ブチル、コハク酸ジメチル、メチルイソブチルケトンが好ましく、熱可塑性樹脂がポリグリコール酸である場合は、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、トルエンが好ましく、熱可塑性樹脂がポリカーボネートである場合はジメチルアセトアミド、シクロヘキサノン、アジピン酸ジメチル、グルタル酸ジメチルおよびコハク酸ジメチルからなる混合エステル系溶媒が好ましい。分散させる際に、一般的に使用されている分散剤を用いてもよい。分散剤の使用量としては、特に限定されるものではなく、求める塗膜の性能を損なわない程度で使用できるものである。
【0039】
また、必要により、たとえば、p−トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸などのスルホン酸類、アルキルリン酸などのリン酸類などの酸触媒、該酸触媒のアミンブロック体などの硬化助剤、レベリング剤、濡れ剤、消泡剤、滑剤などの添加剤などが配合されていてもよい。
【0040】
熱可塑性樹脂粒子の添加量は、塗料に含まれる全非揮発性成分中、5 重量% 以上であることが好ましく、10重量%以上であることがより好ましく、15重量%以上であることがさらに好ましく、20重量%以上であることが特に好ましい。熱可塑性樹脂の添加量が、5重量%未満であると、目的とする効果が得られない傾向にある。
また、熱可塑性樹脂粒子と溶媒との割合は、特に限定されるものではなく、求める塗膜に応じて、適宜調整すればよい。
【0041】
熱可塑性樹脂粒子の分散方法としては、超音波による分散、攪拌機による分散などが挙げられる。たとえば、ホモジナイザー、ホモミキサー、ロールミル、ビーズミル、高圧型湿式微粉化装置などが挙げられる。
【0042】
2次粒子を溶媒に分散する場合、溶媒および分散方法を選択して、微粒化することが好ましく、最終的には1次粒子とすることがより好ましい。微粒化することは、塗膜厚を所望の厚さに制御することが可能となり、より滑らかな塗膜に仕上げることが可能である。
【0043】
本発明の塗料の塗装は、たとえば、スプレーコート法、ハケ塗り法、ヘラ塗り法、浸漬塗装法、電着塗装法、静電塗装法などの公知の方法によって行うことができる。
【0044】
本発明の塗料を用いて塗膜を形成する場合の該塗料の塗布量は、該塗料の乾燥後の重量が、0.1〜50g/m2であることが好ましく、好ましくは1〜50g/m2、より好ましくは3〜20g/m2 、さらに好ましくは3〜10g/m2となるように調整される。
【0045】
本発明の塗料からの塗膜の形成は、塗料を塗布した後に、加熱により溶媒を蒸発させ、その後粒子を溶融させることで行う。これにより、ピンホールがなく、均一な塗膜が形成され、審美性、安全性、滑り性、耐汚染性、耐曲げ加工性、耐磨耗性などに優れた塗膜が得られる。
【0046】
当該塗料を塗装する際の加熱温度は100〜 300℃が好ましく、150〜290℃がより好ましく、200〜285℃がさらに好ましい。前記数値範囲の下限値を下回ると、溶媒の蒸発不足や樹脂の軟化・溶融不足や結晶化不足により充分な耐久性を有する被膜が形成されない虞があり、前記数値範囲の上限値を上回ると、樹脂の着色等の樹脂物性劣化を引き起こす虞がある。
【0047】
また、加熱時間は、1〜60分が好ましく、1.5〜30分がより好ましく、2〜20分がより好ましい。前記数値範囲の下限値を下回ると、溶媒の蒸発不足や樹脂の軟化・溶融不足や結晶化不足により十分な耐久性を有する被膜が形成されない恐れがあり、前記数値範囲の上限値を上回ると、樹脂の着色等の樹脂物性劣化を引き起こす虞がある。
【0048】
加熱温度や時間、その後の冷却速度を調整することにより、塗膜の結晶性のレベルを調整することが可能である。塗布膜の強度を保つために、熱可塑性樹脂、特に芳香族系ポリエステル樹脂の場合は結晶性を有していることが好ましい。
【0049】
本発明の塗料被覆歯科用金属製品は、歯科矯正用ワイヤ、歯科矯正用ブラケット、歯科矯正用バッカルチューブ、歯科矯正用バンド、歯科矯正用リガチャー&ショーティーワイヤ、歯科矯正用クローズドコイルスプリング、歯科矯正用リンガルアタッチメント、歯科矯正用リップバンパー、歯科矯正用リテーナ、歯科矯正用エキスパンダー、歯科補綴用インレー、歯科補綴用アンレー、歯科補綴用クラウン、歯科補綴用ブリッジ、歯科義歯床用金属装置(クラスプ、リンガルバー、パラタルバー、金属床)等を本発明の塗料で被覆することによって得られる。このときの金属製品の製造方法は特に限定されるものではなく、その金属製品の形状についても歯科用途であるならば限定されない。
【0050】
本発明の塗料被覆歯科用金属製品は、優れた審美性、安全性、滑り性、耐汚染性、耐曲げ加工性、耐磨耗性を有する。
【0051】
つぎに、本発明の塗料を、実施例にもとづいて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<膜厚>
電磁誘導/過電流式膜厚計(LZ−200W、株式会社ケット科学研究所製) を用いて測定する。
<鉛筆硬度>
JIS K−5400(1990)に記載の方法に準拠し、三菱鉛筆株式会社製ユニ(商品名)を用いて測定した。
<耐溶剤性>
2ポンドハンマーの凸部にガーゼを16枚重ねて固定し、メチルエチルケトンでよく湿らせた後、塗板の上を往復させ、塗膜がはがれた時の回数を耐溶剤性とする。
<耐衝撃性>
JIS K−5400(1990)に記載の方法に準拠し、デュポン衝撃機(株式会社東洋精機製作所製)を用いて行った。その後、株式会社ニチバン製セロテープ( 登録商標)を凸部に貼付し、よくはりつけた後、塗面に対して90度の方向に急激に剥離し、凸部の塗面の状態を目視にて観察して以下の評価基準に基づいて評価する。
A・・・まったく剥離が見られない。
B・・・部分的に剥離が見られる。
C・・・全体的に剥離が見られる。
< 折り曲げ性>
マンドレルベント試験機(株式会社東洋精機製作所製)を用いて行った。測定は1T(折り曲げ試験板の間に1枚、同じ板を挟んで試験をすること)で行なった。その後、株式会社ニチバン製セロテープ(登録商標)を凸部に貼付し、よくはりつけた後、塗面に対して9 0 度の方向に急激に剥離し、凸部の塗面の状態を目視にて観察して以下の評価基準に基づいて評価する。
A・・・まったく剥離が見られない。
B・・・長さが0.5mm未満のわずかなヒゲ状の剥離が見られるが、実用上
さしつかえない。
C・・・長さが0 5mm以上の剥離が見られる。
D・・・セロテープ(登録商標)の貼付前に、すでに剥離が見られる。
<耐摩耗性>
学振式堅牢摩耗試験機((株)安田製)を用い、10mmφの面に重さ1000gの荷重を載せ、カナキン3号布により100回往復摩耗させた後の試験片表面を目視にて観察し、下記評価基準で評価した。
A:傷の幅が0.0〜0.5mm(0〜5%)である場合
B:傷の幅が0.6〜2.5mm(6〜50%)である場合
C:傷の幅が2.6〜9.5mm(51〜95%)である場合
D:傷の幅が9.6〜10.0mm(96〜100%)である場合
【0052】
〔実施例1〕
平均1次粒子径 300nmポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)粒子の8%ジメチルアセトアミド分散液:100g(樹脂固形量8g)に酸化チタン(株式会社 テイカ JR−301平均粒径0.3μm):10.4gおよび2mmビーズ:100gを240gマヨネーズビンに量り取り、ペイントシェーカーを用いて24時間分散した。さらにカルナバワックス分散液1g(SL506 ジプロピレングルコールモノ−n−ブチルエーテル中分散物 固形分18. 5% サンノプコ株式会社製)を加えてよく攪拌、濾過して塗料1とした(製造実施例1)。
【0053】
得られた塗料をバーコーター#34を用いて無塗装のアルミニウム板(5052材、板厚0.23mm、12cm×20cm)に、乾燥後の膜厚が5μmになるように塗装(乾燥後塗布量7.0g/m2)し、260℃に設定した熱風循環式オーブン(株式会社佐竹製作所製) に2分間入れ乾燥した。
【0054】
〔実施例2〜10〕
各種樹脂粒子分散液の樹脂固形分8gに対して製造実施例1と同様量の酸化チタンおよびカルナバワックスを加え同じくビーズ分散を行い 表1に示す製造実施例2〜10の金属被覆用塗料を得た。
得られた塗料は実施例1と同様に塗装して、それぞれの設定温度で塗膜化し、試験板を作製した。
【0055】
〔実施例11〜13〕
各種樹脂粒子分散液の樹脂固形分8gに対してカルナバワックス1g(S L 506 ジプロピレングルコールモノ−n−ブチルエーテル中分散物 固形分18.5 %;サンノプコ株式会社製)を加え同じくビーズ分散を行い表1に示す実施例11〜13の金属被覆用塗料を得た。
得られた塗料は実施例1と同様に塗装して、それぞれの設定温度で塗膜化し、試験板を作製した。
得られた塗膜の性能試験の結果を表2に示した。
【0056】
【表1】

【0057】
変性PEN樹脂・・・2,6ナフタレンジカルボン酸 80モル% テレフタル酸 20モル% 1,4シクロヘキサンジメタノール(CHDM) 40モル% エチレングリコール 60モル% 樹脂
DMAC・・・・・・・・・・・ジメチルアセトアミド
NMP・・・・・・・・・・・・・n−メチル−2−ピロリドン
〔実施例14〕
実施例1で調製した塗料100重量部に顔料としてチタンイエロー0.062重量部ベンガラ茶0.0005重量部、合成鉄黄0.16重量部を添加して、歯冠色に色調調整した塗料を準備した。
【0058】
【表2】

【0059】
この塗料を、歯科矯正用Ni-Tiワイヤ(サーマロイワイヤ:(株)ロッキーマウンテンモリタ製)及び歯科矯正用ブラケット(シナジーブラケット:(株)ロッキーマウンテンモリタ製)に15μm±5μmの厚さで塗布し、歯冠色を有するワイヤ及びブラケットとした。
【0060】
この歯冠色ワイヤ、及びブラケットを歯科教育用顎模型に装着し、無塗装ワイヤ及びブラケットを装着した場合とその審美性について比較した〔(写真1:歯冠色ワイヤ、及びブラケット)及び(写真2:無塗装ワイヤ及びブラケット)〕。
その結果、歯冠色ワイヤ、及びブラケットを装着した場合の審美性が無塗装ワイヤ及びブラケットを装着した場合よりも遥かに高い事を確認した。
【0061】
〔実施例15〕
実施例1で調製した塗料をステンレス線#22(直径0.7mm)、及び#28(直径0.35mm:共にワカイ産業(株)製 SUS304-W1)に膜厚10μm±2μmで塗装し、260℃に設定した熱風循環式オーブン(株式会社佐竹製作所製)に2分間入れ乾燥した。
このものは、以下に記す<ワイヤ用塗料の傷つき試験>、及び<塗膜のワレ試験>を行い、その結果を表4、および表5に示した。
<ワイヤ用塗料の傷つき試験(ラビング法>
1ポンドハンマーに塗料を塗装したステンレス線をセロテープで固定し、ボール紙(北越紀州製紙社製)の上を往復させ、下地が見えるまでの回数を調べた。
<塗膜のワレ試験(屈伸法)>
塗料を塗装したステンレス線を折り曲げたりのばしたりし、塗膜が割れるまでの回数を調べた。
【0062】
〔実施例16〕
実施例3で調製した塗料をステンレス線#22(直径0.7mm)、及び#28(直径0.35mm:共にワカイ産業(株)製 SUS304-W1)に膜厚10μm±2μmで塗装し、260℃に設定した熱風循環式オーブン(株式会社佐竹製作所製)に2分間入れ乾燥した。
このものは、以下に記す<ワイヤ用塗料の傷つき試験>、及び<塗膜のワレ試験>を行い、その結果を、表4、および表5に示した。
【0063】
〔比較例1〕
金属用に一般的に用いられている熱硬化型樹脂塗料(エポキシフェノール樹脂塗料:酸化チタン入り)をステンレス線#22(直径0.7mm)、及び#28(直径0.35mm:共にワカイ産業(株)製 SUS304-W1)に膜厚10μm±2μmで塗装し、熱風循環式オーブン(株式会社佐竹製作所製)に入れ、表3の条件で乾燥した。
このものは、以下に記す<ワイヤ用塗料の傷つき試験>、及び<塗膜のワレ試験>を行い、その結果を表4、および表5に示した。
【0064】
〔比較例2〕
金属用に一般的に用いられている熱硬化型樹脂塗料(アクリルアミノ樹脂塗料:酸化チタン入り)をステンレス線#22(直径0.7mm)、及び#28(直径0.35mm:共にワカイ産業製 SUS304-W1)に膜厚10μm±2μmで塗装し、熱風循環式オーブン(株式会社佐竹製作所製)に入れ、表3の条件で乾燥した。
このものは、以下に記す<ワイヤ用塗料の傷つき試験>、及び<塗膜のワレ試験>を行い、その結果を表4、および表5に示した。
【0065】
〔比較例3〕
金属用に一般的に用いられている熱硬化型樹脂塗料(ポリエステルアミノ樹脂塗料:酸化チタン入り)をステンレス線#22(直径0.7mm)、及び#28(直径0.35mm:共にワカイ産業(株)製 SUS304-W1)に膜厚10μm±2μmで塗装し、熱風循環式オーブン(株式会社佐竹製作所製)に入れ、表3の条件で乾燥した。
このものは、以下に記す<ワイヤ用塗料の傷つき試験>、及び<塗膜のワレ試験>を行い、その結果を表4に示した。
【0066】
【表3】

【0067】
【表4】

【0068】
【表5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯科用金属製品に、熱可塑性樹脂を含む塗料を塗布したことを特徴とする塗料被覆歯科用金属製品。
【請求項2】
上記塗布された塗膜厚が35μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の塗料被覆歯科用金属製品。
【請求項3】
上記熱可塑性樹脂が、芳香族ポリエステル樹脂、脂肪族ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂および変性ポリオレフィン樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも一種類の樹脂である請求項1記載の塗料被覆歯科用金属製品。
【請求項4】
塗料被覆歯科用金属製品が、非円筒形状および/または非平面形状を有することを特徴とする請求項1または2記載の塗料被覆歯科用金属製品。
【請求項5】
塗料被覆歯科用金属製品の表面上の任意の点Pについて、以下の条件(A)を満たす、塗料被覆歯科用金属製品の表面上の点Qが存在する形状を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかの項記載の塗料被覆歯科用金属製品;
条件(A)=条件(A0)∩[条件(A1)∪条件(A2)]
条件(A0):PQ間の直線距離が20mm以下である。
条件(A1):点Qにおける該表面の最小曲率半径が5mm以下である。
条件(A2):点Qにおける該表面の最大曲率半径が1000mm以下である。
【請求項6】
塗料被覆歯科用金属製品が、歯科矯正用ワイヤ、歯科矯正用ブラケット、歯科矯正用バッカルチューブ、歯科矯正用バンド、歯科矯正用リガチャー&ショーティーワイヤ、歯科矯正用クローズドコイルスプリング、歯科矯正用リンガルアタッチメント、歯科矯正用リップバンパー、歯科矯正用リテーナ、歯科矯正用エキスパンダー、歯科補綴用インレー、歯科補綴用アンレー、歯科補綴用クラウン、歯科補綴用ブリッジ、歯科義歯床用金属装置(クラスプ、リンガルバー、パラタルバー、金属床)である請求項1記載の塗料被覆歯科用金属製品。
【請求項7】
線状形状を有していることを特徴とする請求項1または請求項4記載の塗料被覆歯科用金属製品。
【請求項8】
上記線状形状の直径が1mm以下であることを特徴とする請求項7項記載の塗料被覆歯科用金属製品。
【請求項9】
熱可塑性樹脂を含む塗料の色調が、白色、歯冠色、または歯肉色である請求項1記載の塗料被覆歯科用金属製品。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−210378(P2012−210378A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−78485(P2011−78485)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(591176225)桜宮化学株式会社 (22)
【出願人】(592093578)サンメディカル株式会社 (61)
【Fターム(参考)】