説明

塗料配合物、(メタ)アクリル−ポリマー及び(メタ)アクリル−ポリマーの製造用のモノマー混合物

本発明は、少なくとも1種の光重合開始剤及びアルキル基中に少なくとも1個の二重結合及び炭素原子8〜40個を有する(メタ)アクリル−モノマーから誘導された単位を有する少なくとも1種の(メタ)アクリル−ポリマーを含む塗料配合物に関する。更に本発明は、アルキル基中に少なくとも1個の二重結合及び炭素原子8〜40個を有する少なくとも1種の(メタ)アクリル−モノマー及び少なくとも1種の光重合開始剤−モノマーを含むモノマー混合物及びこのモノマー混合物の重合によって得られる(メタ)アクリル−ポリマーに関する。更に本発明は、塗膜の製法に関する。更に本発明はこの方法により得られる塗膜を含む被覆した品物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗料配合物、(メタ)アクリル−ポリマー及び(メタ)アクリル−ポリマーの製造用のモノマー混合物に関する、更に本発明は、この塗料を使用して実施される塗膜の製法及びそれによって得られる品物に関する。
【0002】
塗料、特にペイントは長い間合成によって製造されてきた。この重要な群の一つは、屡(メタ)アクリル−ポリマーを含む水性分散液をベースとしている。例えば刊行物DE−A−4105134には、結合剤としてアルキルメタクリレートを含有する水性分散液が記載されている。更にこのようなペイントはUS5750751、EP−A−1044993及びWO2006/013061から公知である。更に特に刊行物DE−A−2732693から溶剤をベースとする塗料が公知である。更に公開明細書WO98/033855には紫外線照射によって硬化させることができる反応性塗料が記載されている。
【0003】
前記塗料は、既に良好な特性スペクトルを示す。しかしこの特性スペクトルを改善することは絶えず要求されている。例えば前記配合物は、得られた塗膜がダストドライ又はクレープフリーとなるまでに比較的長い時間を要する。これは特に酸素によって酸化的に架橋させることができる塗料に言える。確かにこの乾燥時間を大量の乾燥剤の添加によって短縮することができる。しかしそれによって塗料のその他の特性、特に加工性、耐久性及び使用した乾燥剤の種類によって環境相溶性が損なわれる。加工性及び耐久性に関しては、塗料中に高い濃度の乾燥剤が含有されている場合には、空中酸素との接触によって非常に迅速に不飽和脂肪酸の架橋が起こることが分かっている。従ってこれらの塗料は、非常に短いポットライフを有し、容器を開けてから非常に短い時間内で加工せねばならない。僅かな量の乾燥剤を使用する場合には、これらの塗料は確かに良好な耐久性及び加工性を示すが、しかし塗布した塗膜がダストドライ又はタックフリーになるまでに非常に長い時間を要するので、塗布した品物を更に加工するか又は使用することができるまでに比較的長時間貯蔵する必要がある。
【0004】
WO98/033855に記載されている、紫外線照射によって硬化可能な塗料は、非常に高い照射エネルギーを用いて酸素の排除下で硬化させる必要がある。この高い光エネルギーなしに又は酸素の存在では多くの場合、耐溶剤性が僅かな塗膜が生じる。従ってこの塗料の加工には比較的費用がかさむ。
【0005】
さて本発明の課題は公知技術を考慮して、優れた特性を有する塗料配合物を提供することである。これらの特性には、特に塗料配合物の非常に良好な加工性及び耐久性が含まれる。特に塗料配合物から得られる塗膜は非常に短い時間後にダストドライ及びタックフリーであらねばならない。更に塗料配合物は、ダストドライ時間に対して、長いポットライフを有すべきであり、従って塗料配合物は容器開封後に比較的長い時間に亘って加工することができねばならない。
【0006】
更に塗料配合物から得られる塗膜は高い耐薬品性を示さねばならない。その際多くの異なる溶剤に対し並びに塩基及び酸に対して高い安定性を示さねばならない。特に有機溶剤に対して非常に高い安定性を有さねばならない。
【0007】
更に塗料配合物から得られる塗膜の硬度は広い範囲で変えることができねばならない。特に塗料配合物から特に硬い、耐引掻性の塗膜を得ることができねばならない。更に本発明による塗料配合物から得られる塗膜は、硬度に対して、比較的僅かな脆性を有するべきである。
【0008】
従って、更に本発明の課題は、特に長い貯蔵寿命及び耐久性を有する塗料配合物を提供することであった。もう一つの課題は、高い光沢を有する塗膜を生じる塗料配合物を提供することである。塗料配合物から得られる塗膜は、高い耐候性、特に耐紫外線性を有すべきである。
【0009】
性能に関して塗料は改善された相溶性を有すべきである。特に有機溶剤ができる限り僅かな量しか蒸発によって環境中へ遊離してはならない。更に塗料は僅かな残存モノマー含量を有するものでなければならない。
【0010】
もう一つの課題は、非常にコスト安であり、大規模工業により得ることができる塗料配合物を提供することである。
【0011】
これらの課題並びにその他の例として挙げてないが、本明細書で最初に検討した関連から容易に導出可能であるか又は推論可能である課題は、特許請求の範囲1項の全ての特徴を有する塗料配合物によって解決される。本発明による塗料配合物の有利な変更態様は下位請求項で保護される。塗料配合物中に含有されていてよい有利なポリマー、有利なポリマーの製造用のモノマー混合物、塗料の製法及び塗布した品物に関しては、請求項14、17、21及び23が根底をなす課題を解決する。
【0012】
従って本発明の課題は塗料配合物であり、これは配合物が少なくとも1種の光重合開始剤及びアルキル基に少なくとも1個の二重結合及び炭素原子8〜40個を有する(メタ)アクリル−モノマーから誘導された単位を有する少なくとも1種の(メタ)アクリル−ポリマーを含むことを特徴とする。
【0013】
本発明による特徴によって更に特に下記の利点を達成することができる:
本発明による塗料配合物は、優れた加工性を示す。従って本発明による塗料配合物から生成される塗膜は、比較的短時間後にダストドライ及びタックフリーになる。ダストドライ時間に比して本発明による塗料配合物は長いポットライフを有し、従って塗料は貯蔵容器開封後でも長時間貯蔵することができる。
【0014】
本発明による塗料配合物から得られる塗膜は、高い耐薬品性及び高められた耐候性並びに高い耐ブロッキング性及び迅速なタックフリー性及びダストフリー性を示す。その際水及び多くの異なる有機溶剤並びに塩基及び酸に対する高い安定性が得られる。特に多くの場合に、メチルイソブチルケトン(MIBK)及びその他の有機溶剤に対する非常に良好な安定性が得られる。従って有利な塗膜は特に家具試験(Moebeltest)DIN68861−1による試験で優れた等級に格付けされる。更に塗料は高い湿潤接着性を示す。塗料から得られる塗膜は僅かな吸水性によって優れている。支持体及び塗膜に応じて被覆された品物は更に、特に水蒸気に対して、高い透水性を有する。従って、透湿性を過度に損なうことなしに、特に繊維に塗料を塗布することができる。更に塗料配合物から得られる塗膜の硬度は広い範囲で変えることができる。特に特別に硬く、耐引掻性の塗膜を得ることができる。
【0015】
更に本発明による塗料から得られる塗膜は、硬度及び耐薬品性に対して比較的僅かな脆性を示す。
【0016】
性能に関して塗料配合物は改善された環境相溶性を示す。従って極めて僅かな量の有機溶剤が蒸発によって環境へ遊離するにすぎない。特に有利な態様では、大気中に有機溶剤は全く遊離しない。更に塗料は僅かな残存モノマー含量を有する。その際、塗料配合物は高い固体含量を含むことができる。
【0017】
更に本発明による塗料配合物は、高い光沢を有する塗膜を生じる。本発明による塗料は特に長い貯蔵寿命及び耐久性を示す。塗料配合物から得られる塗膜は、高い耐候性、特に高い耐紫外線性を示す。更に本発明による塗料は特にコスト安であり、大規模工業により得られる。
【0018】
本発明による塗料配合物は、少なくとも1種の光重合開始剤を含む。光重合開始剤は、電磁波の照射に際して活性種を生成することができる化合物である。それに制限するものではないが、通常活性種はラジカル工程を開始させることができ、それによって塗料配合物の硬化が促進されると考えられる。有利な光重合開始剤は、200〜800nmの範囲の波長を有する光の照射によって活性化され得る。
【0019】
有利な光重合開始剤は特に、少なくとも95質量%、有利には少なくとも98質量%のCAS−Nr.51728−26−8を有するエトキシル化されたペンタエリスリットテトラアクリレート(PPTTA;Akcros Chemicalsから商品名Actilane440としって市販;Cytecから商品名Ebecryl40として;Rahn AGから商品名Genomer1456として及びSartomerから商品名SR494として市販されている)及び光重合開始剤2質量%を、場合により共開始剤と組合せて含む(その際PPTTA及び場合による共開始剤の量は合計して100質量%である)配合物は、光重合開始剤が最大吸収を示す波長及び光度15mW/cmで光の照射後に完全な硬化を生じる。その際重合は酸素の排除下で、20〜60秒間照射される厚さ40〜80μmの層で行われる。この配合物から得られる塗膜は、有利にはDIN ISO 1522により測定して少なくとも40秒、特に有利には少なくとも90秒の振子硬度を有する。
【0020】
有利な光重合開始剤は、屡ケトン官能価及び芳香族基を含んでよい。屡光重合開始剤は、それに制限するものではないが、仮定有効機構によって異なっている。
【0021】
α−解裂が起こると想定されるI型の光重合開始剤には、特にチオキサントン及びこの化合物の誘導体、特にイソプロピルチオキサントン(ITX)、フルオレノン及びこの化合物の誘導体、アントラキノン及びこの化合物の誘導体、キサントン及びこの化合物の誘導体、ベンゾイン及びベンゾイン誘導体、特にベンゾインエーテル、例えばベンゾインアルキルエーテル、ベンジルケタール、特にベンジルジメチルケタール、アシルホスフィンオキシド、特に2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルホスフィンオキシド、ビスアシルホスフィンオキシド、フェニルグリオキシル酸エステル、α−アミノアルキルフェノン、α,α−ジアルコキシアセトフェノン及びα−ヒドロキシアルキルフェノン及びベンズイミダゾールが属する。
【0022】
水素移動が起こると想定されるII型の光重合開始剤には、特にベンゾフェノン及びこの化合物の誘導体、例えばアルキルベンゾフェノン、ジフェノキシベンゾフェノン、アミノ官能性化されたベンゾフェノン、例えば4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(Michlers Keton)及びハロゲン化ベンゾフェノン及びアントロン、カムファーキノン及びこの化合物の誘導体、ベンジル及びフェニルプロパンジオンが属する。II型の光重合開始剤は有利にはアミン、有利には第三アミンと組合せて使用することができる。
【0023】
更にノリッシュI1型の光重合開始剤が有利であるが、これは有利にはアミンと組合せて使用することができる。
【0024】
有利な態様によれば特に、1000g/モルより小さい、特に有利には800g/モルまでの分子量を有する低分子光重合開始剤を使用することができる。
【0025】
有利な光重合開始剤には、モノ−又はビスアシルホスフィンオキシド、例えばジフェニル−2,4,6−トリメチルベンゾイルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチル−ベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド((登録商標)IRGACU−RE819)、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド;α−ヒドロキシケトン、例えば1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン((登録商標)IRGACURE814)、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパノン((登録商標)DAROCUR1173)、2−ヒドロキシ−1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−メチル−1−プロパノン((登録商標)IRGACURE2959);α−アミノケトン、例えば2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−(4−モルホリニル)−1−プロパノン((登録商標)IRGACURE907)、2−ベンジル−2−(ジメチルアミノ)−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン((登録商標)IRGACURE369)、2−(4−メチルベンジル−2−(ジメチルアミノ)−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン、2−ベンジル−2−(ジメチルアミノ)−1−[3,4−ジメトキシフェニル]−1−ブタノン;ベンゾフェノン、例えばベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、2−メチルベンゾフェノン、2−メトキシカルボニルベンゾフェノン、4,4’−ビス(クロロメチル)ベンゾフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、メチル−2−ベンゾイルベンゾエート、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、4−(4−メチルフェノルチオ)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチル−4’−フェニルベンゾフェノン、3−メチル−4’−フェニル−ベンゾフェノン及びケタール化合物、例えば2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニル−エタノン((登録商標)IRGACURE651);モノマー又はダイマーのフェニルグリオキシル酸エステル、例えばメチルフェニルグリオキシル酸エステル、5,5’−オキソ−ジ(エチレンオキシジカルボニルフェニル)又は1,2−(ベンゾイルカルボキシ)エタンが挙げられる。特にモノ−又はビスアシルホスフィンオキシド及び/又はα−ヒドロキシケトンとの混合物が好適である。
【0026】
更に出願番号PCT/EP03/04035で2003年4月17日に欧州特許庁に出願したWO2003/091287に記載の光重合開始剤を使用することができ、従ってこの刊行物、特にその中に記載されている光重合開始剤は開示目的のために本出願に組み入れる。
【0027】
これらの光重合開始剤の化学的誘導体及びこれらの光重合開始剤の混合物も好適である。
【0028】
1000g/モル以上、特に2000g/モル以上の分子量を有する光重合開始剤を用いて特別な利点を得ることができる。
【0029】
少なくとも1000g/モルの分子量を有する光重合開始剤(以下でポリマーの光重合開始剤とも称する)は、光重合開始剤−モノマーを含む混合物の重合によって得ることができる。光重合開始剤−モノマーは、ラジカル重合可能である少なくとも1個の炭素−炭素−二重結合を有する光重合開始剤である。
【0030】
ポリマーの光重合開始剤又は共重合された光重合開始剤は、特に環境に優しく健康上問題のない塗料を生じる。それはこれらの光重合開始剤では環境への成分が移行しないからである。この特性は、食品包装用の印刷インキ又は塗料で、食品中に成分が遊離しないので、特に重要である。意外にもポリマーの光重合開始剤は、特に高い耐溶剤性及び優れた機械特性を有する塗料を生じる。更にこれらのポリマーの光重合開始剤を含む塗料は、特に良好な加工性及び耐久性を示す。
【0031】
有利な光重合開始剤−モノマーには、一般式I
【化1】

[式中、Rは水素又はメチルを表し、Xは酸素又は式NR’(式中、R’は水素又は炭素原子1〜6個を有する基である)の基であり、Zは結合又は結合基であり、Rは水素、ハロゲン、ヒドロキシ又は炭素原子1〜20個を有する基を表し、mは0〜4の範囲の整数を表し、Rは炭素原子1〜20個を有する基を表す]のケト基を有する(メタ)アクリレートが属する。
【0032】
本発明のポリマー用に式中基Rがメチルである式(I)のモノマーが特に有利である。
【0033】
有利には式(I)中基Zは、結合又は炭素原子1〜1000個、特に有利には炭素原子1〜500個を有する基である。
【0034】
有利な結合基Zには特に式(II)
【化2】

[式中、Rは、結合、酸素、硫黄又は式NR’(式中、R’は水素又は炭素原子1〜6個を有する基である)の基、O−CO−O、HN−CO−O、HN−CO−NH又は炭素原子1〜20個を有する結合基を表し;R、R、Rは相互に無関係に水素又はメチルであり、nは0〜200、有利には1〜100の整数であり、o及びpは相互に無関係に0〜2の整数である]の基が属する。
【0035】
有利には式(I)中の基Rは、水素又は炭素原子1〜20個を有する基である。式(I)中の基Rは、有利には芳香族又はヘテロ芳香族基を表し、その際アリール基、特にフェニル基が特に有利である。
【0036】
ここで基Rが芳香族又はヘテロ芳香族基であり、結合基Zが式(II)に相応するモノマーが特に有利であり、その際nは1〜20の範囲の整数である。
【0037】
本発明の特別な態様によれば、基Rは芳香族又はヘテロ芳香族基であり、結合基Zは結合である。
【0038】
本発明の特別な態様によれば、特に一般式(III)
【化3】

[式中、Rは水素又はメチルを表し、Xは酸素又は式NR’(式中、R’は水素又は炭素原子1〜6個を有する基である)の基であり、Zは結合又は結合基であり、Rは水素、ハロゲン、ヒドロキシ又は炭素原子1〜20個を有する基を表し、mは0〜4の範囲の整数であり、Rは水素、ハロゲン、ヒドロキシ又は炭素原子1〜20個を有する基を表し、rは0〜5の範囲の整数を表す]のケト基を有する(メタ)アクリレートを使用することができる。
【0039】
炭素原子1〜20個を有する基には、これに制限するものではないが、特に(C1−C20)−アルキル、(C1−C20)−アルコキシ、(C1−C20)−アルクチオ、(C1−C20)−アルケニル、(C1−C20)−アルキニル、アリール又はヘテロシクリルが属するが、その際、アリール−又は複素環式基は非置換であっても又は3個まで、弗素の場合には最大数まで、同一又は異なる基を有していてよく、前記アルキル−、アルケニル−又はアルキニル基中で1個以上の、有利には3個までの隣接してない飽和炭素単位がヘテロ原子単位、例えば酸素又は硫黄によって置換されていてよく、更にこれらの場合により前記したように変性された炭化水素基が環を形成することができ、前記変性を有するか又は変性なしのこれらの炭化水素基は、場合により1個以上の、有利には3個まで、ハロゲンの場合には最大数まで、ヒドロキシ(−OH)、カルボキシ(−COOH)、ホルミル、シアノ(−CN)、スルホネート(SOH)、ハロゲン、有利には弗素、アリール、アリールオキシ、アリールチオ、(C3−C8)−シクロアルコキシ、(C3−C8)−シクロアルキルチオ、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルオキシ又は(C1−C2)−アルコキシカルボニルの群から成る同一又は異なる基で置換されていてよく、その際脂環式、芳香族又は複素環式環系は前記置換基で非置換であってもよいし又は3個まで、弗素の場合には最大数まで、同一又は異なる置換基を有していてよい。
【0040】
用語"(C1−C20)−アルキル"は、炭素原子1〜20個を有する枝なし又は枝分かれ炭化水素基、例えばメチル−、エチル−、プロピル−、イソプロピル−、1−ブチル−、2−ブチル−、2−メチルプロピル−又はt−ブチル基;並びに例えばペンチル−、2−メチルブチル−、1,1−ジメチルプロピル−、ヘキシル−、ヘプチル−、オクチル−又は1,1,3,3−テトラメチルブチル−基;並びに例えばノニル−、1−デシル−、2−デシル−、ウンデシル−、ドデシル−、ペンタデシル−又はエイコシル−基であり;用語"(C1−C20)−アルコキシ"は、酸素原子を介して結合している炭素原子1〜20個を有するアルキル基;用語"(C1−C20)−アルクチオ"は、硫黄原子を介して結合している炭素原子1〜20個を有するアルキル基;用語"(C2−C20)−アルケニル"は、例えばビニル−、アリル−、2−メチル−2−プロペニル−又は2−ブテニル−基;並びに例えば2−ペンテニル−、2−デセニル−又は2−エイコセニル−基;用語"(C2−C20)−アルキニル"は、例えばエチニル−、プロパルギル−、2−メチル−2−プロピニル又は2−ブチニル−基;並びに例えば2−ペンチニル−又は2−デシニル−基;用語"アリール"は、C原子有利には6〜14個、特に6〜12個を有する同素環状芳香族基、例えばフェニル、ナフチル又はビスフェニルイル、有利にはフェニルである。
【0041】
用語"アリールオキシ"は、例えばフェノキシ−又は1−又は2−ナフチルオキシ−基であり;用語"アリールチオ"は、例えばフェニルチオ−又は1−又は2−ナフチルチオ−基であり;用語"(C3−C8)−シクロアルコキシ"は、酸素原子を介して結合しているシクロプロピル−、シクロブチル−、シクロペンチル−、シクロヘキシル−、シクロヘプチル−又はシクロオクチル基であり;用語"(C3−C8)−シクロアルキルチオ"は、硫黄原子を介して結合しているシクロプロピル−、シクロブチル−、シクロペンチル−、シクロヘキシル−、シクロヘプチル−又はシクロオクチル基である。
【0042】
用語"ヘテロシクリル"は、ヘテロ芳香族又はヘテロ脂肪族環系であるが、その際"ヘテロ芳香族環系"は、少なくとも1個のCH基がNによって置換されており及び/又は少なくとも2個の隣接するCH−基がS、NH又はOによって置換されているアリール基、例えばチオフェン、フラン、ピロール、チアゾール、オキサゾール、イミダゾール、イソチアゾール、イソキサゾール、ピラゾール、1,3,4−オキサジアゾール、1,3,4−チアジアゾール、1,3,4−トリアゾール、1,2,4−オキサジアゾール、1,2,4−チアジアトール、1,2,4−トリアゾール、1,2,3−トリアゾール、1,2,3,4−テトラゾール、ベンゾ[b]チオフェン、ベンゾ[b]フラン、インドール、ベンゾ[c]チオフェン、ベンゾ[c]フラン、イソインドール、ベンゾキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンズイミダゾール、ベンズイソキサゾール、ベンズイソチアゾール、ベンゾピラゾール、ベンゾチアジアゾール、ベンゾトリアゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、カルバゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、1,3,5−トリアジン、1,2,4−トリアジン、1,2,4,5−トリアジン、キノリン、イソキノリン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、1,8−ナフチリジン、1,5−ナフチリジン、1,6−ナフチリジン、1,7−ナフチリジン、フタラジン、ピリドピリミジン、プリン、プテリジン又は4H−キノリジンであり;用語"複素脂肪族環系"は、少なくとも1個の炭素−単位がO、S又は基NR''により置換されており、R''が水素、(C1−C4)−アルキル又はアリールを表すシクロアルキル基を表し;用語"ヘテロシクリルオキシ"は、酸素原子を介して結合している前記複素環式基であり;及び(C1−C2)−アルコキシカルボニルは、メトキシカルボニル−又はエトキシカルボニル基である。
【0043】
極めて特に有利には、ポリマーの光重合開始剤を製造するために、4−ヒドロキシ−ベンゾフェノンメタクリレート、有利には4−ヒドロキシベンゾフェノン13EO−メタクリレート及び/又はメタクリルオキシベンゾフェノン、特に4−メタクリロイルオキシベンゾフェノンを使用する。
【0044】
一般式(I)又は(III)のケト基を有する前記(メタ)アクリレートは、例えば(メタ)アクリレートのエステル交換又は(メタ)アクリルのヒドロキシ基又はアミノ基を有する相応する芳香族ケト化合物、特にベンゾフェノン化合物を用いるエステル化によって製造することができる。更に、ヒドロキシ−又はアミン基を含む芳香族ケト化合物、特にベンゾフェノン化合物を、反応性(メタ)アクリレート、特に(メタ)アクリロイルハロゲン化物又は(メタ)アクリル酸無水物と反応させることができる。更に、特に有利な光重合開始剤−モノマーが出願番号89200652.9で1989年3月14日に欧州特許庁に出願したEP−A−333291に記載されているが、その際その中に記載されている光重合開始剤及びその製法は開示目的のために本出願に組み入れる。更に前記式(I)による光重合開始剤モノマーは、例えば商品名Ebecryl(登録商標)P36及びEbecryl(登録商標)P38として市販されている。
【0045】
ポリマーの光重合開始剤を製造するために、光重合開始剤モノマーとラジカル共重合させることができるその他のモノマーを使用することができる。この共重合性モノマーには、特に酸基を有するモノマー、エステル基を含むモノマーA及びスチレンモノマーが属する。
【0046】
酸基含有モノマーは、前記光重合開始剤モノマーとラジカル共重合させることができる化合物である。これには、例えばスルホン酸基を有するモノマー、例えばビニルスルホン酸;ホスホン酸基を有するモノマー、例えばビニルホスホン酸及び不飽和カルボン酸、例えばメタクリル酸、アクリル酸、フマル酸及びマレイン酸が属する。メタクリル酸及びアクリル酸が特に有利である。酸基含有モノマーは、単独で又は2、3又はそれ以上の酸基含有モノマーの混合物として使用することができる。
【0047】
有利なエステル基を含むモノマーAには、特に光重合開始剤モノマーとは異なる(メタ)アクリレート、フマレート、マレエート及び/又は酢酸ビニルが属する。用語(メタ)アクリレートには、メタクリレート及びアクリレート並びに両方から成る混合物が含まれる。これらのモノマーは広く知られている。
【0048】
前記コモノマーには特に、アルキル基中に二重結合又はヘテロ原子を有さない、アルキル基中に炭素原子1〜10個を有する(メタ)アクリレートが属する。
【0049】
アルキル基中に二重結合又はヘテロ原子を有さない、アルキル基中に炭素原子1〜10個を有する(メタ)アクリレートには、特に線状又は枝分かれアルキル基を有する(メタ)アクリレート、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソ−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソ−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート及びペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、3−イソ−プロピルヘプチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート;及びシクロアルキル(メタ)アクリレート、例えばシクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート及びイソボルニル(メタ)アクリレートが属する。アルキル基中に炭素原子1〜10個を有する前記(メタ)アクリレートは、単独又は混合物として使用することができる。
【0050】
その他の種類のコモノマーは、飽和アルコールから誘導され、アルキル基中にヘテロ原子を有さないアルキル基中に少なくとも11個の炭素原子を有する(メタ)アクリレート、例えばウンデシル(メタ)アクリレート、5−メチルウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、2−メチルドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、5−メチルトリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、2−メチルヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、5−イソ−プロピルヘプタデシル(メタ)アクリレート、4−t−ブチルオクタデシル(メタ)アクリレート、5−エチルオクタデシル(メタ)アクリレート、3−イソ−プロピルオクタデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、ノナデシル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレート、セチルエイコシル(メタ)アクリレート、ステアリルエイコシル(メタ)アクリレート、ドコシル(メタ)アクリレート及び/又はエイコシルテトラトリアコンチル(メタ)アクリレート;シクロアルキル(メタ)アクリレート、例えば2,4,5−トリ−t−ブチル−3−ビニルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、2,3,4,5−テトラ−t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート;複素環式(メタ)アクリレート、例えば2−(1−イミダゾリル)エチル(メタ)アクリレート、2−(4−モルホリニル)エチル(メタ)アクリレート、1−(2−メタクリロイルオキシエチル)−2−ピロリドン、2−(3−オキサゾリジニル)エチルメタクリレート;(メタ)アクリル酸のニトリル及びその他の窒素含有メタクリレート、例えばN−(メタクリロイルオキシエチル)ジイソブチルケチミン、N−(メタクリロイルオキシエチル)ジヘキサデシルケチミン、メタクリロイルアミドアセトニトリル、2−メタクリロイルオキシエチルメチルシンナミド、シアノメチルメタクリレート;アリール(メタ)アクリレート、例えばベンジル(メタ)アクリレート又はフェニル(メタ)アクリレート(その際アリール基は各々非置換であってもよいし又は4個まで置換されていてよい);アルキル基中にヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレート、特に2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、有利には2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、例えば2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート及び3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、有利にはヒドロキシプロピルメタアクリレート(HPMA)、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、有利にはヒドロキシブチルメタアクリレート(HBMA)、3,4−ジヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2,5−ジメチル−1,6−ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオール(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート及び(メタ)アクリル酸のポリアルコキシル化誘導体、特にプロピレンオキシド単位2〜10個、有利には3〜6個を有するポリプロピレングリコール−モノ(メタ)アクリレート、有利にはプロピレンオキシド単位約5個を有するポリプロピレングリコール−モノメタクリレート(PPM5)、エチレンオキシド単位2〜10個、有利には3〜6個を有するポリエチレングリコール−モノ(メタ)アクリレート、有利にはエチレンオキシド単位約5個を有するポリエチレングリコール−モノメタクリレート(PEM5)、ポリブチレングリコール−モノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコール−モノ(メタ)アクリレート;(メタ)アクリルアミド、特にN−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、t−ブチルアミノエチルメタクリレート、メタクリルアミド及びアクリルアミド;グリセリンカーボネートメタクリレート;2−カルバモイルオキシエチルメタクリレート及び飽和脂肪酸又は脂肪酸アミドから誘導される(メタ)アクリレート、例えば(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル−パルミチン酸エステル、(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル−ステアリン酸エステル及び(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル−ラウリン酸エステル、ペンタデシロイルオキシ−2−エチル(メタ)アクリル酸アミド、ヘプタデシロイルオキシ−2−エチル(メタ)アクリル酸アミド、(メタ)アクリロイルオキシ−2−エチル−ラウリン酸アミド、(メタ)アクリロイルオキシ−2−エチル−ミリスチン酸アミド、(メタ)アクリロイルオキシ−2−エチル−パルミチン酸アミド、(メタ)アクリロイルオキシ−2−エチル−ステアリン酸アミド、(メタ)アクリロイルオキシ−2−プロピル−ラウリン酸アミド、(メタ)アクリロイルオキシ−2−プロピル−ミリスチン酸アミド、(メタ)アクリロイルオキシ−2−プロピル−パルミチン酸アミド及び(メタ)アクリロイルオキシ−2−プロピル−ステアリン酸アミドである。
【0051】
その他の種類のコモノマーは、架橋性モノマーである。このモノマーは、ラジカル重合で同様の反応性を有する二重結合少なくとも2個を有する。これには、特にジオール又は多官能価アルコールから誘導される(メタ)アクリレート、例えばグリコールジ(メタ)アクリレート、例えばエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラ−及びポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオール(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオール(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、エトキシル化ビスフェノールAのジメタクリレート及びジウレタンジメタクリレート;3個以上の二重結合を有する(メタ)アクリレート、例えばグリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリットテトラ(メタ)アクリレート及びジペンタエリスリットペンタ(メタ)アクリレートが属する。
【0052】
コモノマーには更に、ビニルエステル、例えば酢酸ビニル、塩化ビニル、ビニルフェルザテート、エチレンビニルアセテート、エチレンビニルクロライド;マレイン酸誘導体、例えば無水マレイン酸、マレイン酸のエステル、例えばマレイン酸ジメチルエステル、無水メチルマレイン酸;及びフマル酸誘導体、例えばフマル酸ジメチルエステルが属する。
【0053】
その他の種類のコモノマーは、スチレンモノマー、例えばスチレン、側鎖にアルキル置換基を有する置換されたスチレン、例えばα−メチルスチレン及びα−エチルスチレン、環にアルキル置換基を有する置換されたスチレン、例えばビニルトルエン及びp−メチルスチレン、ハロゲン化スチレン、例えばモノクロロスチレン、ジクロロスチレン、トリブロモスチレン及びテトラブロモスチレンである。
【0054】
複素環式ビニル化合物、例えば2−ビニルピリジン、3−ビニルピリジン、2−メチル−5−ビニルピリジン、3−エチル−4−ビニルピリジン、2,3−ジメチル−5−ビニルピリジン、ビニルピリミジン、ビニルピペリジン、9−ビニルカルバゾール、3−ビニルカルバゾール、4−ビニルカルバゾール、1−ビニルイミダゾール、2−メチル−1−ビニルイミダゾール、N−ビニルピロリドン、2−ビニルピロリドン、N−ビニルピロリジン、3−ビニルピロリジン、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルブチロラクタム、ビニルオキソラン、ビニルフラン、ビニルチオフェン、ビニルチオラン、ビニルチアゾール及び水素化ビニルチアゾール、ビニルオキサゾール及び水素化ビニルオキサゾール;マレインイミド、メチルマレインイミド;ビニル−及びイソプレニルエーテル;及びビニルハロゲニド、例えば塩化ビニル、弗化ビニル、塩化ビニリデン及び弗化ビニリデンがコモノマーのもう一つの例である。
【0055】
本発明のもう一つの態様によれば、ポリマーの光重合開始剤の製造用に光重合開始に対する促進作用を有するモノマーを使用することができる。これらのモノマーには、少なくとも1個のエチレン性不飽和二重結合を有する特に促進剤−アミンが属する。これらのモノマーには、特に2−ジメチルアミノエチルメタクリレート(DMAEMA)及びジメチルアミノプロピルメタクリレート(DMAPMA)が属する。
【0056】
本発明の特別な変更態様によれば、ポリマーの光重合開始剤は、光重合開始に対して促進作用を有するモノマーから誘導された単位を0〜10質量%、特に有利には1〜5質量%及び極めて特に有利には1.5〜4質量%有することができる。
【0057】
ポリマーの光重合開始剤の分子量は、広い範囲であってよい。通常分子量の重量平均は通常少なくとも1000g/モル、有利には少なくとも2000g/モル及び極めて特に有利には少なくとも5000g/モルである。本発明の第一の態様によれば、例えば比較的高い分子量を有するポリマーの光重合開始剤を使用することができる。このポリマーの光重合開始剤は、特に乳化重合によって得ることができるが、その際この光重合開始剤は例えば100000〜10000000g/モルの範囲、特に有利には200000〜500000g/モルの範囲の分子量の重量平均を有していてよい。エマルジョンポリマーは、屡有機溶剤を全く必要とせず、特に僅かな残存モノマー含量しか有さないので、特に高い環境相溶性によって優れている。
【0058】
光重合開始剤−モノマーから誘導される単位のポリマーの光重合開始剤中の含量は、広い範囲であってよい。従って、完全に光重合開始剤−モノマーから誘導された単位から成る化合物を使用することができる。従ってポリマーの光重合開始剤は、光重合開始剤−モノカーから誘導された単位をポリマーの光重合開始剤の質量に対して0.1〜100質量%、有利には0.5〜50質量%及び極めて特に有利には1〜10質量%含有することができる。
【0059】
ポリマーの光重合開始剤は有利にはラジカル重合によって得ることができる。従ってこれらのポリマーを有する各々の単位の質量分はポリマーの製造用に使用された相応するモノマーの質量分から得られる。それは開始剤又は分子量調整剤から誘導される群の質量分は通常無視することができるからである。
【0060】
更に本発明による塗料は、アルキル基中に少なくとも1個の二重結合及び炭素原子8〜40個を有する(メタ)アクリル−モノマーから誘導された単位を有する少なくとも1種の(メタ)アクリル−ポリマーを含む。
【0061】
アルキル基中に少なくとも1個の二重結合及び炭素原子8〜40個を有する(メタ)アクリル−モノマーは、そのアルキル基が芳香族系の一部ではない炭素−炭素−二重結合少なくとも1個及び炭素原子8〜40個を有する(メタ)アクリル酸のエステル又はアミドである。用語(メタ)アクリル酸は、メタクリル酸及びアクリル酸並びにその混合物である。アルキル−又はアルコール−又はアミド基は、有利には炭素原子10〜30個、特に有利には12〜20個を有し、その際この基には、ヘテロ原子、特に酸素−、窒素又は硫黄原子が含まれていてよい。アルキル基は、炭素−炭素−二重結合を1個、2個、3個又はそれ以上有することができる。(メタ)アクリル−ポリマーを製造する際の重合条件は、重合でアルキル基の二重結合ができる限り大きな割合で保たれるように選択する。これは例えばアルコール基中に含まれる二重結合の立体障害によって行うことができる。更に(メタ)アクリル−モノマーのアルキル基中に含有される二重結合の少なくとも一部、有利には全部が、ラジカル重合で(メタ)アクリル基より僅かな反応性を有し、従ってアルキル基中に有利にはその他の(メタ)アクリル基が何も含有されていない。
【0062】
(メタ)アクリル−ポリマーの製造用に使用される、アルキル基中に少なくとも1個の二重結合及び炭素原子8〜40個を有する(メタ)アクリル−モノマーのヨウ素価は、有利には少なくとも50、特に有利には少なくとも100及び極めて特に有利には少なくとも125gヨウ素/100g(メタ)アクリル−モノマーである。
【0063】
このような(メタ)アクリル−モノマーは一般式(IV)
【化4】

[式中、基Rは、水素又はメチルを表し、Xは無関係に酸素又は式NR’(式中、R’は水素又は炭素原子1〜6個を有する基である)の基を表し、Rは、少なくとも1個のC−C−二重結合を有し、炭素原子8〜40個、有利には10〜30個及び特に有利には12〜20個を有する線状又は枝分かれした基を表す]に相応する。アルキル基中に少なくとも1個の二重結合及び炭素原子8〜40個を有する(メタ)アクリル−モノマーは、例えば(メタ)アクリル酸のエステル化、(メタ)アクリロイルハロゲン化物又は(メタ)アクリル酸無水物の反応又は(メタ)アクリレートの少なくとも1個の二重結合及び炭素原子8〜40個を有するアルコールとの反応によって得られる。従って(メタ)アクリルアミドはアミンとの反応によって得ることができる。反応は例えば、Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry第5版(CD−ROM)又はF.−B.Chen、G.Bufkin、"Crosslinkable Emulsion Polymers by Autooxidation I"、Journal of Applied Polymer Science、第30巻、4571−4582(1985)に記載されている。
【0064】
このために好適なアルコールには、特にオクテノール、ノネノール、デセノール、ウンデセノール、ドデセノール、トリデセノール、テトラデセノール、ペンタデセノール、ヘキサデセノール、ヘプタデセノール、オクタデセノール、ノナデセノール、イコセノール、ドコセノール、オクタ−ジエン−オール、ノナ−ジエン−オール、デカ−ジエン−オール、ウンデカ−ジエン−オール、ドデカ−ジエン−オール、トリデカ−ジエン−オール、テトラデカ−ジエン−オール、ペンタデカ−ジエン−オール、ヘキサデカ−ジエン−オール、ヘプタデカ−ジエン−オール、オクタデカ−ジエン−オール、ノナデカ−ジエン−オール、イコサ−ジエン−オール及び/又はドコサ−ジエン−オールが属する。これらのいわゆる脂肪族アルコールは部分的に市販されているか又は脂肪酸から得ることができ、その際、この反応は例えばF.−B.Chen、G.Bufkin、Journal of Applied Polymer Science、第30巻、4571−4582(1985)に記載されている。
【0065】
この方法から得られる有利な(メタ)アクリレートには、特にオクタ−ジエニル−(メタ)アクリレート、オクタデカ−ジエニル−(メタ)アクリレート、オクタデカン−トリエニル−(メタ)アクリレート、ヘキサデセニル(メタ)アクリレート、オクタデセニル(メタ)アクリレート及びヘキサデカ−ジエニル−(メタ)アクリレートが属する。
【0066】
アルキル基中に少なくとも1個の二重結合及び炭素原子8〜40個を有する(メタ)アクレートは、不飽和脂肪酸と、アルキル基中に反応性基、特にアルコール基を有する(メタ)アクリレートとの反応によっても得ることができる。反応性基には、特にヒドロキシ基並びにエポキシ基が属する。従って、例えばヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、例えば3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3,4−ジヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2,5−ジメチル−1,6−ヘキサジオール(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオール(メタ)アクリレート;又はエポキシ基含有(メタ)アクリレート、例えばグリシジル(メタ)アクリレートを前記(メタ)アクリレートの製造用の出発物質として使用することができる。
【0067】
前記(メタ)アクリレートとの反応用に好適な脂肪酸は、多くは市販されており、天然の起源から得られる。これらには、特にウンデシレン酸、パルミトレン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、イコセン酸、セトレイン酸、エルカ酸、ネルボン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、チムノドン酸、クルパノドン酸及び/又はセルボン酸が属する。
【0068】
この方法により得られる有利な(メタ)アクリレートには、特に(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル−リノール酸エステル、(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル−リノレン酸エステル及び(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル−オレイン酸エステルが属する。
【0069】
不飽和脂肪酸と、アルキル基中に反応性基、特にアルコール基を有する(メタ)アクリレートとの反応は、自体公知であり、例えばDE−A−4105134、DE−A−2513516、DE−A−2638544及びUS5750751に記載されている。
【0070】
有利な態様によれば、一般式(V)
【化5】

[式中、Rは水素又はメチル基、X及びXは無関係に酸素又は式NR’(式中R’は水素又は炭素原子1〜6個を有する基である)の基であり、その際少なくとも基X及びXの1個は式NR’(式中R’は水素又は炭素原子1〜6個を有する基である)の基を表すという条件であり、Zは結合基であり、R10は炭素原子9〜25個を有する不飽和基である]の(メタ)アクリル−モノマーを使用することができる。
【0071】
更に、一般式(VI)
【化6】

[式中、Rは水素又はメチル基であり、Xは酸素又は式NR’(式中R’は水素又は炭素原子1〜6個を有する基である)の基であり、Zは結合基であり、R’は水素又は炭素原子1〜6個を有する基であり、R10は炭素原子9〜25個を有する不飽和基である]の(メタ)アクリル−モノマーを使用することによって目ざましい利点を得ることができる。
【0072】
用語"炭素原子1〜6個を有する基"は、炭素原子1〜6個を有する基を表す。これには芳香族及びヘテロ芳香族基並びにアルキル−、シクロアルキル−、アルコキシ−、シクロアルコキシ−、アルケニル−、アルカノイル−、アルコキシカルボニル基並びにヘテロ脂肪族基が含まれる。その際、前記基は枝分かれしていてもよいし、枝なしであってもよい。更にこれらの基は置換基、特にハロゲン原子又はヒドロキシ基を有することができる。
【0073】
有利には、基R’はアルキル基を表す。有利なアルキル基には、メチル−、エチル−、プロピル−、イソプロピル−、1−ブチル−、2−ブチル−、2−メチルプロピル−又はt−ブチル−基が属する。
【0074】
式(V)及び(VI)中の基Zは、有利には炭素原子1〜10個、有利には1〜5個、極めて特に有利には2〜3個を含む結合基を表す。これには特に線状又は枝分かれした、脂肪族又は脂環式の基、例えばメチレン−、エチレン−、プロピレン−、イソ−プロピレン−、n−ブチレン−、イソ−ブチレン−、t−ブチレン−又はシクロヘキシレン−基が属し、その際エチレン基が特に有利である。
【0075】
式(V)及び(VI)中の基R10は、炭素原子9〜25個を有する不飽和基を表す。これらの基は、特にアルケニル−、シクロアルケニル−、アルケノキシ−、シクロアルケノキシ−、アルケノイル−並びにヘテロ脂肪族基を表す。更にこれらの基は、置換基、特にハロゲン原子又はヒドロキシ基を有することができる。有利な基には、特にアルケニル基、例えばノネニル−、デセニル−、ウンデセニル−、ドデセニル−、トリデセニル−、テトラデセニル−、ペンタデセニル−、ヘキサデセニル−、ヘプタデセニル−、オクタデセニル−、ノナデセニル、エイコセニル−、ヘンエイコセニル−、ドコセニル−、オクタジエニル−、ノナジエニル、デカジエニル−、ウンデカジエニル、ドデカジエニル−、トリデカジエニル−、テトラデカジエニル−、ペンタデカジエニル−、ヘキサデカジエニル−、ヘプタデカジエニル−、オクタデカジエニル−、ノナデカジエニル−、エイコサジエニル−、ヘンエイコサジエニル−、ドコサジエニル−、トリコサジエニル−及び/又はヘプタデカトリエニル−基が属する。
【0076】
式(V)又は(VI)による有利な(メタ)アクリル−モノマーには、特にヘプタデセニロイルオキシ−2−エチル−(メタ)アクリル酸アミド、ヘプタデカジエニロイルオキシ−2−エチル−(メタ)アクリル酸アミド、ヘプタデカトリエニロイルオキシ−2−エチル−(メタ)アクリル酸アミド、ヘプタデセニロイルオキシ−2−エチル−(メタ)アクリル酸アミド、(メタ)アクリロイルオキシ−2−エチルパルミトレイン酸アミド、(メタ)アクリロイルオキシ−2−エチル−オレイン酸アミド、(メタ)アクリロイルオキシ−2−エチル−イコセン酸アミド、(メタ)アクリロイルオキシ−2−エチル−セトレイン酸アミド、(メタ)アクリロイルオキシ−2−エチル−エルカ酸アミド、(メタ)アクリロイルオキシ−2−エチル−リノール酸アミド、(メタ)アクリロイルオキシ−2−エチル−リノレン酸アミド、(メタ)アクリロイルオキシ−2−プロピル−パルミトレイン酸アミド、(メタ)アクリロイルオキシ−2−プロピル−オレイン酸アミド、(メタ)アクリロイルオキシ−2−プロピル−イコセン酸アミド、(メタ)アクリロイルオキシ−2−プロピル−セトレイン酸アミド、(メタ)アクリロイルオキシ−2−プロピル−エルカ酸アミド、(メタ)アクリロイルオキシ−2−プロピル−リノール酸アミド及び(メタ)アクリロイルオキシ−2−プロピル−リノレン酸アミドが属する。
【0077】
式(V)又は(VI)による特に有利なモノマーは、メタクリロイルオキシ−2−エチル−オレイン酸アミド、メタクリロイルオキシ−2−エチル−リノール酸アミド及び/又はメタクリロイルオキシ−2−エチル−リノレン酸アミドである。
【0078】
式(V)又は(VI)による(メタ)アクリル−モノマーは特に多段工程法により得られる。第1工程で、例えば1種以上の不飽和脂肪酸又は脂肪酸をアミン、例えばエチレンジアミン、エタノールアミン、プロピレンジアミン又はプロパノールアミンと反応させてアミドにすることができる。第2工程で、式(V)又は(VI)のモノマーを得るために、アミドのヒドロキシ基又はアミン基を(メタ)アクリレート、例えばメチル(メタ)アクリレートと反応させる。Xが式NR’(式中、R’は水素又は炭素原子数1〜6個を有する基である)の基であり、Xが酸素を表すモノマーを製造するために、相応して先ずアルキル(メタ)アクリレート、例えばメチル(メタ)アクリレートを前記アミンの一つと反応させて、アルキル基中にヒドロキシ基を有する(メタ)アクリルアミドにすることができ、これを引き続いて飽和脂肪酸と反応させて、式(V)又は(VI)による(メタ)アクリル−モノマーにする。(メタ)アクリレートを用いるアルコールのエステル交換又は(メタ)アクリル酸アミドの製造は、特にCN1355161、DE2129425(出願番号P2129425.7でドイツ特許庁に1971年6月14日に出願)、DE3423443(出願番号P3423443.8でドイツ特許庁に1984年6月26日に出願)又はEP−A−0534666(出願番号EP9230842.6で欧州特許庁に1992年9月16日に出願)に記載されており、その際これらの刊行物中に記載の反応条件並びにそこに記載の触媒等は開示目的のために本出願に組み入れる。更にこれらの反応は、"Synthesis of Acrylic Esters by Transesterification"、J.Haken(1967)に記載されている。
【0079】
その際、得られるアルキル基中にヒドロキシ基を有する中間生成物、例えばカルボン酸アミドは精製することができる。本発明の特別な態様によれば、得られた中間生成物を費用のかさむ精製なしに反応させて式(V)又は(VI)の(メタ)アクリル−モノマーにすることができる。
【0080】
更に、炭素原子8〜40個、有利には10〜30個、特に有利には12〜20個及びアルキル基中に少なくとも1個の二重結合を有する(メタ)アクリル−モノマーには、特に一般式(VII)
【化7】

[式中、Rは水素又はメチル基を表し、Xは酸素又は式NR’(式中、R’は水素又は炭素原子数1〜6個を有する基である)の基を表し、R11は炭素原子1〜22個を有するアルキレン基を表し、Yは酸素、硫黄又は式NR''(式中、R''は水素又は炭素原子数1〜6個を有する基である)の基を表し、R12は炭素原子少なくとも8個及びC−C−二重結合少なくとも2個を有する不飽和基である]のモノマーが属する。
【0081】
式(VII)中、基R11は、炭素原子1〜22個、有利には1〜10個、特に有利には2〜6個を有するアルキレン基を表す。基R11は、本発明の特別な態様によれば炭素原子2〜4個、特に有利には2個を有するアルキレン基を表す。炭素原子1〜22個を有するアルキレン基には、特にメチレン−、エチレン−、プロピレン−、イソ−プロピレン−、n−ブチレン−、イソ−ブチレン−、t−ブチレン−又はシクロヘキシレン基が属し、その際エチレン基が特に有利である。
【0082】
基R12は、芳香族系の一部ではない少なくとも2個のC−C−二重結合を含む。有利には、基R12は、正確に2個の炭素−炭素−結合を有する炭素原子正確に8個を有する基を表す。基R12は、有利にはヘテロ原子を全く有さない線状炭化水素基を表す。本発明の特別な態様によれば、式(VII)中の基R12は、末端二重結合を含むことができる。本発明のもう一つの変更態様では、式(VII)中の基R12は、末端炭素−炭素−二重結合を全く有さなくてよい。基R12中に含有される二重結合は、有利には共役結合であってよい。本発明のもう一つの有利な態様によれば、基R12中に含有される二重結合は、共役結合していない。少なくとも2個の二重結合を有する有利な基R12には、特にオクタ−2,7−ジエニル基、オクタ−3,7−ジエニル基、オクタ−4,7−ジエニル基、オクタ−5,7−ジエニル基、オクタ−2,4−ジエニル基、オクタ−2,5−ジエニル基、オクタ−2,6−ジエニル基、オクタ−3,5−ジエニル基、オクタ−3,6−ジエニル基及びオクタ−4,6−ジエニル基が属する。
【0083】
一般式(VII)の(メタ)アクリル−モノマーには、特に2−[((2−E)オクタ−2,7−ジエニル)メチルアミノ]エチル−2−メチルプロプ−2−エノエート、2−[((2−Z)オクタ−2,7−ジエニル)メチルアミノ]エチル−2−メチルプロプ−2−エノエート、2−[((3−E)オクタ−3,7−ジエニル)メチルアミノ]エチル−2−メチルプロプ−2−エノエート、2−[((4−Z)オクタ−4,7−ジエニル)メチルアミノ]エチル−2−メチルプロプ−2−エノエート、2−[(オクタ−2,6−ジエニル)メチルアミノ]エチル−2−メチルプロプ−2−エノエート、2−[(オクタ−2,4−ジエニル)メチルアミノ]エチル−2−メチルプロプ−2−エノエート、2−[(オクタ−3,5−ジエニル)メチルアミノ]エチル−2−メチルプロプ−2−エノエート、2−[((2−E)オクタ−2,7−ジエニル)メチルアミノ]エチル−(メタ)アクリル酸アミド、2−[((2−Z)オクタ−2,7−ジエニル)メチルアミノ]エチル−(メタ)アクリル酸アミド、2−[((3−E)オクタ−3,7−ジエニル)メチルアミノ]エチル−(メタ)アクリル酸アミド、2−[((4−Z)オクタ−4,7−ジエニル)メチルアミノ]エチル−(メタ)アクリル酸アミド、2−[(オクタ−2,6−ジエニル)メチルアミノ]エチル−(メタ)アクリル酸アミド、2−[(オクタ−2,4−ジエニル)メチルアミノ]エチル−(メタ)アクリル酸アミド、2−[(オクタ−3,5−ジエニル)メチルアミノ]エチル−(メタ)アクリル酸アミド、2−[((2−E)オクタ−2,7−ジエニル)エチルアミノ]エチル−2−メチルプロプ−2−エノエート、2−[((2−Z)オクタ−2,7−ジエニル)エチルアミノ]エチル−2−メチルプロプ−2−エノエート、2−[((3−E)オクタ−3,7−ジエニル)エチルアミノ]エチル−2−メチルプロプ−2−エノエート、2−[((4−Z)オクタ−4,7−ジエニル)エチルアミノ]エチル−2−メチルプロプ−2−エノエート、2−[(オクタ−2,6−ジエニル)エチルアミノ]エチル−2−メチルプロプ−2−エノエート、2−[(オクタ−2,4−ジエニル)エチルアミノ]エチル−2−メチルプロプ−2−エノエート、2−[(オクタ−3,5−ジエニル)エチルアミノ]エチル−2−メチルプロプ−2−エノエート、2−[((2−E)オクタ−2,7−ジエニル)メチルアミノ]エチル−プロプ−2−エノエート、2−[((2−Z)オクタ−2,7−ジエニル)メチルアミノ]エチル−プロプ−2−エノエート、2−[((3−E)オクタ−3,7−ジエニル)メチルアミノ]エチル−プロプ−2−エノエート、2−[((4−E)オクタ−4,7−ジエニル)メチルアミノ]エチル−プロプ−2−エノエート、2−[(オクタ−2,6−ジエニル)メチルアミノ]エチル−プロプ−2−エノエート、2−[(オクタ−2,4−ジエニル)メチルアミノ]エチル−プロプ−2−エノエート、2−[(オクタ−3,5−ジエニル)メチルアミノ]エチル−プロプ−2−エノエート、2−((2−E)オクタ−2,7−ジエニルオキシ)エチル−2−メチルプロプ−2−エノエート、2−((2−Z)オクタ−2,7−ジエニルオキシ)エチル−2−メチルプロプ−2−エノエート、2−((3−E)オクタ−3,7−ジエニルオキシ)エチル−2−メチルプロプ−2−エノエート、2−((4−E)オクタ−4,7−ジエニルオキシ)エチル−2−メチルプロプ−2−エノエート、2−(オクタ−2,6−ジエニルオキシ)エチル−2−メチルプロプ−2−エノエート、2−(オクタ−2,4−ジエニルオキシ)エチル−2−メチルプロプ−2−エノエート、2−(オクタ−3,5−ジエニルオキシ)エチル−2−メチルプロプ−2−エノエート、2−((2−E)オクタ−2,7−ジエニルオキシ)エチル−プロプ−2−エノエート、2−((2−Z)オクタ−2,7−ジエニルオキシ)エチル−プロプ−2−エノエート、2−((3−E)オクタ−3,7−ジエニルオキシ)エチル−プロプ−2−エノエート、2−((4−E)オクタ−4,7−ジエニルオキシ)エチル−プロプ−2−エノエート、2−(オクタ−2,6−ジエニルオキシ)エチル−プロプ−2−エノエート、2−(オクタ−2,4−ジエニルオキシ)エチル−プロプ−2−エノエート及び2−(オクタ−3,5−ジエニルオキシ)エチル−プロプ−2−エノエートが属する。
【0084】
式(V)による前記(メタ)アクリル−モノマーは、特に(メタ)アクリル酸又は(メタ)アクリレート、特にメチル(メタ)アクリレート又はエチル(メタ)アクリレートをアルコール及び/又はアミンと反応させる方法によって得られる。この反応は前記してある。
【0085】
(メタ)アクリル酸又は(メタ)アクリレートと反応させる出発物質は、有利には式(VIII)
【化8】

[式中、Xは酸素又は式NR’(式中、R’は水素又は炭素原子1〜6個を有する基である)の基を表し、R11は炭素原子1〜22個を有するアルキレン基を表し、Yは酸素、硫黄又は式NR''(式中、R''は水素又は炭素原子1〜6個を有する基を表す)の基を表し、R12は炭素原子少なくとも8個を有する少なくとも2個不飽和の基である]に相応する。
【0086】
有利な基R’、R''、R11、Y及びR12の意味に関しては、式(VII)に記載したものを参照にされたい。
【0087】
式(VIII)による有利な出発物質には、(メチル(オクタ−2,7−ジエニル)アミノ)エタノール、(エチル(オクタ−2,7−ジエニル)アミノ)エタノール、2−オクター2,7−ジエニルオキシエタノール、(メチル(オクタ−2,7−ジエニル)アミノ)エチルアミン、(メチル(オクタ−3,7−ジエニル)アミノ)エタノール、(エチル(オクタ−3,7−ジエニル)アミノ)エタノール、2−オクタ−3,7−ジエニルオキシエタノール、(メチル(オクタ−3,7−ジエニル)アミノ)エチルアミノ、(メチル(オクタ−4,7−ジエニル)アミノ)エタノール、(エチル(オクタ−4,7−ジエニル)アミノ)エタノール、2−オクタ−4,7−ジエニルオキシエタノール、(メチル(オクタ−4,7−ジエニル)アミノ)エチルアミン、(メチル(オクタ−5,7−ジエニル)アミノ)エタノール、(エチル(オクタ−5,7−ジエニル)アミノ)エタノール、2−オクタ−5,7−ジエニルオキシエタノール、(メチル(オクタ−5,7−ジエニル)アミノ)エチルアミン、(メチル(オクタ−2,6−ジエニル)アミノ)エタノール、(エチル(オクタ−2,6−ジエニル)アミノ)エタノール、2−オクタ−2,6−ジエニルオキシエタノール、(メチル(オクタ−2,6−ジエニル)アミノ)エチルアミン、(メチル(オクタ−2,5−ジエニル)アミノ)エタノール、(エチル(オクタ−2,5−ジエニル)アミノ)エタノール、2−オクタ−2,5−ジエニルオキシエタノール、(メチル(オクタ−2,5−ジエニル)アミノ)エチルアミン、(メチル(オクタ−2,4−ジエニル)アミノ)エタノール、(エチル(オクタ−2,4−ジエニル)アミノ)エタノール、2−オクタ−2,4−ジエニルオキシエタノール、(メチル(オクタ−2,4−ジエニル)アミノ)エチルアミン、(メチル(オクタ−3,6−ジエニル)アミノ)エタノール、(エチル(オクタ−3,6−ジエニル)アミノ)エタノール、2−オクタ−3,6−ジエニルオキシエタノール、(メチル(オクタ−3,6−ジエニル)アミノ)エチルアミン、(メチル(オクタ−3,5−ジエニル)アミノ)エタノール、(エチル(オクタ−3,5−ジエニル)アミノ)エタノール、2−オクタ−3,5−ジエニルオキシエタノール、(メチル(オクタ−3,5−ジエニル)アミノ)エチルアミン、(メチル(オクタ−4,6−ジエニル)アミノ)エタノール、(エチル(オクタ−4,6−ジエニル)アミノ)エタノール、2−オクタ−4,6−ジエニルオキシエタノール及び(メチル(オクタ−4,6−ジエニル)アミノ)エチルアミンが属する。式(VIII)による出発物質は、単独又は混合物として使用することができる。
【0088】
式(VIII)による出発物質は、特に1,3−ブタジエンのテロメリゼーションの公知方法によって得られる。その際、用語"テロメリゼーション"は、共役二重結合を有する化合物の求核剤の存在における反応を意味する。出願番号PCT/EP2003/006356で欧州特許庁に2003年6月17日に出願された刊行物WO2004/002931、出願番号PCT/EP2002/10971で2002年10月1日に出願されたWO03/031379及び出願番号PCT/EP2002/04909で2002年5月4日に出願されたWO02/100803に記載の方法、特に反応に使用される触媒及び反応条件、例えば圧力及び温度は、開示目的のために本出願に組み入れる。
【0089】
有利には1,3−ブタジエンのテロメリゼーションは、元素の周期系の第8から第10族の金属を含む金属化合物を触媒として使用して行うことができるが、その際パラジウム化合物、特にパラジウムカルベン錯体(これは前記刊行物に詳説されている)を特に有利に使用することができる。
【0090】
求核剤としては、特にジアルコール、例えばエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール;ジアミン、例えばエチレンジアミン、N−メチル−エチレンジアミン、N,N’−ジメチルエチレンジアミン又はヘキサメチレンジアミン;又はアミノアルコール、例えばアミノエタノール、N−メチルアミノエタノール、N−エチルアミノエタノール、アミノプロパノール、N−メチルアミノプロパノール又はN−エチルアミノプロパノールを使用することができる。
【0091】
求核剤として(メタ)アクリル酸を使用する場合には、例えばオクタジエニル(メタ)アクリレートを得ることができ、これは特に炭素原子8〜40個を有する(メタ)アクリル−モノマーとして好適である。
【0092】
テロメリゼーションを行う際の温度は、10〜180℃の間、有利には30〜120℃の間、特に有利には40〜100℃の間である。反応圧力は、1〜300バール、有利には1〜120バール、特に有利には1〜64バール及び極めて特に有利には1〜20バールである。
【0093】
オクタ−2,7−ジエニル基を有する化合物からの異性体の製造は、オクタ−2,7−ジエニル基を有する化合物中に含有されている二重結合の異性体化によって行うことができる。
【0094】
本発明により使用される(メタ)アクリル−ポリマーは、有利にはアルキル基中に少なくとも1個の二重結合及び炭素原子8〜40個を有する(メタ)アクリル−モノマーから誘導された単位を、(メタ)アクリル−ポリマーの質量に対して、0.5〜60質量%、有利には1〜30質量%、特に有利には1.5〜20質量%及び極めて特に有利には2〜15質量%含む。
【0095】
(メタ)アクリル−ポリマーは、有利にはラジカル重合によって得ることができる。従ってこれらのポリマーを有する各々の単位の質量分は、ポリマーの製造用に使用される相応するモノマーの質量分から得られる。それは開始剤又は分子量調整剤から誘導される基の質量分は通常無視することができるからである。
【0096】
アルキル基中に少なくとも1個の二重結合及び炭素原子8〜40個を有する前記(メタ)アクリル−モノマーは、単独又は2種以上のモノマーの混合物として使用することができる。
【0097】
前記モノマーの他に、モノマー混合物はこれらと共重合可能であるその他のモノマーを含有することができる。これらの共重合性モノマーには、特に光重合開始剤−モノマー、酸基を有するモノマー、エステル基を含むモノマーB(これはアルキル基中に少なくとも1個の二重結合及び炭素原子8〜40個を有する前記(メタ)アクリルモノマーとは異なる)及びスチレンモノマーが属する。
【0098】
本発明により使用可能な(メタ)アクリル−ポリマーを製造するための有利なモノマーの群は酸基を有する。これらのモノマーは、ポリマーの光重合開始剤と関連して前記してあるので、そこを参照にされたい。
【0099】
有利なエステル基を含むモノマーBには、特に(メタ)アクリレート、フマレート、マレエート及び/又はビニルアセテートが属する。
【0100】
前記コモノマーには特に、アルキル基中に二重結合又はヘテロ原子を全く有さず、アルキル基中に炭素原子1〜10個を有する(メタ)アクリレートが属する。これらのモノマーは、ポリマーの光重合開始剤と関連して前記してあるので、そこを参照にされたい。
【0101】
アルキル基中に二重結合又はヘテロ原子を全く有さず、アルキル基中に炭素原子1〜10個を有する(メタ)アクリレートから誘導された単位を、有利には(メタ)アクリル−ポリマーの質量に対して、1〜99質量%、有利には10〜70質量%及び特に有利には20〜60質量%含有する(メタ)アクリル−ポリマーが目ざましい利点を示す。
【0102】
酸基含有モノマーから誘導された単位を、(メタ)アクリル−ポリマーの全質量に対して0〜10質量%、有利には0.5〜8質量%及び特に有利には1〜5質量%有する(メタ)アクリル−ポリマーが特に有利である。
【0103】
その他のコモノマー、特に飽和アルコールから誘導され、アルキル基中にヘテロ原子を全く有さない、アルキル基中に炭素原子少なくとも11個を有する(メタ)アクリレート;複素環式(メタ)アクリレート;(メタ)アクリル酸のニトリル及びその他の窒素含有メタクリレート;アリール(メタ)アクリレート;アルキル基中にヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレート;(メタ)アクリル酸のポリアルコキシル化誘導体;グリセリンカーボネートメタクリレート;2−カルバモイルオキシエチルメタクリレート;飽和脂肪酸又は脂肪酸アミドから誘導される(メタ)アクリレート;ビニルエステル;スチレンモノマー;複素環式ビニル化合物;マレインイミド、メチルマレインイミド;ビニル−及びイソプレニルエーテル;及びビニルハロゲニドは前記されており、従ってそこを参照にされたい。
【0104】
本発明の特別な変更態様によれば、(メタ)アクリル−ポリマーは、スチレンモノマー、特にスチレン、側鎖中にアルキル置換基を有する置換されたスチレン、環にアルキル置換基を有する置換されたスチレン及び/又はハロゲン化スチレンから誘導された単位を、(メタ)アクリル−ポリマーの全質量に対して、0〜60質量%、特に有利には5〜50質量%、極めて特に有利には10〜40質量%有することができる。
【0105】
更に、(メタ)アクリレート基と同じ反応性を有する2個以上の炭素−炭素−二重結合を有する(メタ)アクリレートを非常に僅かな割合で有するモノマー混合物が有利である。本発明の特別な変更態様によれば、2個以上の(メタ)アクリレート基を有する化合物の割合は、モノマーの全質量に対して有利には最高5質量%、特に最高2質量%、特に有利には最高1質量%、特に有利には最高0.5質量%、極めて特に有利には最高0.1質量%に限られる。
【0106】
本発明の特別な態様によれば、光重合開始剤及び(メタ)アクリル−ポリマーは、結合を介して相互に結合しており、従って(メタ)アクリル−ポリマーは光重合開始剤−モノマーから誘導された単位を有する。
【0107】
従って(メタ)アクリル−ポリマーを製造するためのモノマー混合物は、光重合開始剤−モノマーを含有することができる。これらのモノマーは前記してあるので、その箇所を参照にされたい。特に、(メタ)アクリル−ポリマーの全質量に対して0〜10質量%、有利には0.5〜8質量%、特に有利には1〜5質量%の、光重合開始剤−モノマーから誘導された単位を有する(メタ)アクリル−ポリマーが有利である。
【0108】
アルキル基中に少なくとも1個の炭素−炭素−二重結合及び炭素原子8〜40個を有する少なくとも1種の(メタ)アクリル−モノマー及び少なくとも1種の光重合開始剤−モノマーを含むモノマー混合物は新規であり、従って同じく本発明の目的である。その際特に一般式(I)のケト基を有する前記(メタ)アクリレートを使用することができる。
【0109】
本発明の特別な態様によれば、アルキル基中に少なくとも1個の二重結合及び炭素原子8〜40個を有する(メタ)アクリル−モノマー対光重合開始剤−モノマーの質量比は、30:1〜1:1の範囲、特に有利には20:1〜5:1の範囲である。
【0110】
本発明のもう一つの態様によれば、(メタ)アクリル−ポリマーを製造するために、光重合開始剤に対する促進作用を示すモノマーを使用することができる。これらのモノマーには、少なくとも1個のエチレン性不飽和二重結合を有する促進剤−アミンが属する。このモノマーには、特に2−ジメチルアミノエチルメタクリレート(DMAEMA)及びジメチルアミノプロピルメタクリレート(DMAPMA)が属する。
【0111】
各々モノマーの質量に対して、アルキル基中に少なくとも1個の二重結合及び炭素原子8〜40個を有する(メタ)アクリレート0.5〜60質量%、特に有利には1〜30質量%、光重合開始剤−モノマー1〜5質量%、特に有利には1.5〜4質量%、酸基含有モノマー0〜10質量%、特に0.5〜8質量%及びアルキル基中に炭素原子1〜10個を有する(メタ)アクリレート5〜98.9質量%、特に有利には10〜70質量%を含む、有利なモノマー混合物が特に有利である。
【0112】
本発明により使用される(メタ)アクリル−ポリマーの分子量は、広い範囲であってよい。通常、重量平均分子量は、少なくとも1000g/モル、有利には少なくとも2000g/モル及び極めて特に有利には少なくとも5000g/モルである。本発明による第1態様によれば、例えば比較的高い分子量を有する(メタ)アクリル−ポリマーを使用することができる。この(メタ)アクリル−ポリマーは、特に乳化重合によって得ることができるが、その際この(メタ)アクリル−ポリマーは例えば100000〜10000000g/モルの範囲、特に有利には200000〜500000g/モルの範囲の重量平均分子量を有してよい。エマルジョンポリマーは、屡有機溶剤を全く必要とせず、特に僅かな残存モノマー含量を有し得るので、特に高い環境相溶性によって優れている。
【0113】
本発明のもう一つの態様によれば、僅かな分子量を有する(メタ)アクリル−ポリマーを使用することもできる。この(メタ)アクリル−ポリマーは、例えば1000〜150000g/モル、特に4000〜100000g/モルの範囲、特に有利には5000〜50000g/モルの範囲の重量平均分子量を有してよい。僅かな分子量を有するポリマーは、屡有機溶剤を有する塗料配合物中に使用される。有機溶剤を有する塗料配合物は、広い温度−及び湿度範囲にわたって良好な加工性を示す。性能に関してこれらの(メタ)アクリル−ポリマーを有する塗料配合物は、改善された環境相溶性を示す。従って、規定の加工性で溶剤含量を比較的僅かに選択することができるので、極めて僅かな量の有機溶剤しか蒸発によって環境に放出されない。
【0114】
更に、1〜5の範囲、特に有利には2〜3の範囲の多分散性指数M/Mを有する(メタ)アクリル−ポリマーが有利である。分子量は、PMMA−標準に対するゲル透過クロマトグラフィー(GPC)を用いて求めることができる。
【0115】
本発明により使用されるポリマーのガラス転移温度は、有利には−60℃〜100℃、特に−30℃〜70℃の範囲、特に有利には−20〜40℃の範囲、極めて特に有利には0〜25℃の範囲である。ガラス転移温度は、ポリマーを製造するために使用されるモノマーの種類及び割合により影響される。ポリマーのガラス転移温度Tgは、公知方法で示差走査熱量計(DSC)を用いて、特にDIN EN ISO11357により測定することができる。有利には、ガラス転移温度は1分当たり10℃の加熱速度で第2加熱曲線のガラス段階の中点として測定することができる。更にガラス転移温度Tgは、フォックス方程式(Fox−Gleichung)を用いて前以て近似算出することもできる。Fox T.G.、Bull.Am.Physics Soc.1、3、123頁(1956)によれば、下記が適用される:
【数1】

[式中、xはモノマーの質量分率(質量%/100)を表し、Tgはモノマーnのホモポリマーのガラス転移温度(ケルバン)を表す]。その他に有用な情報については、当業者はPolymer Handbook第2版、J.Wiley&Sons、ニューヨーク(1975)を参照することができ、極めて一般的なホモポリマーに関するTg値が示される。このハンドブックによれば、例えばポリ(メチルメタクリレート)は378K、ポリ(ブチルメタクリレート)は297K、ポリ(イソボルニルメタクリレート)は383K、ポリ(イソボルニルアクリレート)は367K及びポリ(シクロヘキシルメタクリレート)は356Kのガラス転移温度を有する。その際、ポリマーは一つ以上の異なるガラス転移温度を有し得る。従ってこれらのデータは、アルキル基中に少なくとも1個の二重結合及び炭素原子8〜40個を有する少なくとも1種の(メタ)アクリル−モノマーを含む混合物の、有利には本発明によるモノマー混合物の重合により得られる区分に通用する。ポリマーの光重合開始剤を使用する場合には、有利なガラス転移温度は同じく前記範囲である。
【0116】
(メタ)アクリル−ポリマー及び/又はポリマーの光重合開始剤の構造は多くの用途及び特性に重要ではない。従って、ポリマー、特にエマルジョンポリマーは、ランダムコポリマー、グラジエントコポリマー、ブロックコポリマー及び/又はグラフトコポリマーであってよい。ブロックコポリマー又はグラジエントコポリマーは、例えばモノマー組成を連鎖生長反応中に不連続的に変えることによって得ることができる。本発明の有利な態様によれば、エマルジョンポリマー、特に(メタ)アクリル−ポリマーは、モノマー組成が重合を通して実質的に一定であるランダムポリマーである。しかしながらモノマーは異なる共重合パラメーターを有していてよいので、正確な組成はポリマーのポリマー鎖で変動し得る。
【0117】
ポリマーは、例えば水性分散液中で一定の組成を有する粒子を形成する均質なポリマーであってよい。この場合に有利にはエマルジョンポリマーであるポリマーは、モノマー混合物の重合によって得られる1つ以上のセグメントから構成されていてよい。
【0118】
もう一つの実施態様によれば、ポリマーは、1個、2個、3個又はそれ以上のシェルを有してよいコア−シェル−ポリマーであってよい。シェルは、共有結合を介してコア又は内側のシェルと結合していてよい。更にシェルはコア又は内側のシェル上で重合されていてよい。
【0119】
有利に使用されるエマルジョンポリマーの最も外側のシェルは、有利には最も外側のシェルの質量に対して、有利には5〜50質量%、特に有利には15〜28質量%の、アルキル基中に少なくとも1個の二重結合及び炭素原子8〜40個を有する(メタ)アクリル−モノマーから誘導された単位を含むことができる。もう一つの態様によれば、最も外側のシェルが、最も外側のシェルの質量に対して0〜15質量%、特に有利には1〜7質量%の、光重合開始剤−モノマーから誘導された単位を含むコア−シェル−構造を有するポリマーの光重合開始剤を使用することができる。
【0120】
有利に使用される(メタ)アクリル−ポリマーのヨウ素価は、DIN53241−1により測定して、有利にはポリマー100g当たりヨウ素1〜300gの範囲、有利にはポリマー100g当たりヨウ素2〜250gの範囲、特に有利にはポリマー100g当たりヨウ素5〜100gの範囲、極めて特に有利にはポリマー100g当たりヨウ素10〜50gの範囲である。
【0121】
有利には(メタ)アクリル−ポリマーは、0.1〜40mgKOH/g、有利には1〜20mgKOH/gの範囲、極めて特に有利には2〜10mgKOH/gの範囲の酸価を有することができる。酸価は、DIN EN ISO2114によって分散液を用いて測定することができる。ポリマーの光重合開始剤を使用する場合には、これは有利には、(メタ)アクリル−ポリマー用に前記した範囲内にある酸価を有してよい。
【0122】
(メタ)アクリル−ポリマーのヒドロキシル価は、有利には0〜150mgKOH/g、特に有利には20〜120mgKOH/gの範囲、極めて特に有利には40〜100mgKOH/gの範囲であってよい。ヒドロキシル価は、DIN EN ISO4629により測定することができる。特に有利な態様によれば、有利には0〜150mgKOH/g、特に有利には20〜120mgKOH/gの範囲、極めて特に有利には40〜100mgKOH/gの範囲のヒドロキシル価を有するポリマーの光重合開始剤を使用することができる。
【0123】
本発明により使用される(メタ)アクリル−ポリマー及び/又はポリマーの光重合開始剤は、特に溶液重合、塊状重合又は乳化重合によって得ることができるが、その際ラジカル乳化重合によって意外な利点を得ることができる。これは、Ullmanns’s Encyclopedia of Industrial Chemistry、第6版に記載されている。
【0124】
慣用のラジカル重合の方法の他に、ポリマーを製造するために、類似の制御ラジカル重合法、例えばATRP(=Atom Transfer Radical Polymerisation)、NMP(Nitroxide−mediated Polymerisation)又はRAFT(=Reversible Addition Fragmentation Chain Transfer)を使用することもできる。
【0125】
乳化重合法は、特にUllmanns’ Encyclopedia of Industrial Chemistry、第5版に記載されている。通常このために水相を製造するが、これは水の他に常用の添加物、特に乳化剤及び保護コロイドをエマルジョンを安定させるために含むことができる。
【0126】
この水相に次いでモノマーを添加し、水相中で重合させる。その際、均質なポリマー粒子の製造では、モノマー混合物を時間間隔に亘って連続的に又はバッチ法で添加することができる。
【0127】
乳化重合は、例えばChemistry and Technology of Emulsion Polymerisation、A.M.van Herk(編集者)、Blackwell Publishing、Oxford 2005及びJ.O’Donnell、E.W.Kaler、Macromolecular Rapid Communications 2007、28(14)、1445−1454に記載されているミニ−又はマイクロエマルジョンとして実施することができる。ミニエマルジョンは、通常補助安定剤又は膨潤剤の使用を特徴とするが、その際屡長鎖のアルカン又はアルカノールを使用する。ミニエマルジョンの液滴サイズは、有利には0.05〜20μmの範囲である。マイクロエマルジョンの液滴サイズは、有利には1μmより下の範囲であり、その際これによって50nmの大きさより下の粒子を得ることができる。マイクロエマルジョンの場合には、屡付加的な界面活性剤、例えばヘキサノール又は類似化合物を使用する。
【0128】
水相中のモノマー含有相の分散は、公知手段を用いて行うことができる。これには、特に機械的方法並びに超音波の使用が属する。
【0129】
均質なエマルジョンポリマーの他に、コア−シェル−ポリマーを製造することもできる。このためにモノマー混合物の組成を少しづづ変えることができ、その際組成を変える前に重合を、各々使用されるモノマー混合物の全質量に対して有利には少なくとも80質量%、特に有利には少なくとも95質量%の変換率まで重合させる。コア−シェル−ポリマーはここでは、コア−シェル−構造を例えば電子顕微鏡によって示さないが、2段階以上の乳化重合によって製造されたポリマーを表す。各段階の重合の反応進行の追跡は、公知方法で、例えば重量測定によるか又はガスクロマトグラフィーにより行うことができる。
【0130】
コアを製造するためのモノマー配合物は、有利には50〜100質量%の(メタ)アクリレートを含むが、その際特に有利にはアクリレート及びメタクリレートの混合物を使用する。本発明の特別な態様によれば、コア中のアクリレート対メタクリレートの質量比は、1以上、特に有利には2以上であってよい。コアの製造後に、これに有利には、アルキル基中に少なくとも1個の二重結合及び炭素原子8〜40個を有する(メタ)アクリル−モノマー0.5〜60質量%、特に有利には2〜30質量%、特には5〜20質量%を含むモノマー混合物をグラフトするか又はコア上で重合させることができる。
【0131】
乳化重合は、有利には0〜120℃の範囲、特に有利には30〜100℃の範囲の温度で行う。その際、60℃より高く90℃より低い範囲、有利には70℃より高く85℃より低い範囲、有利には75℃より高く85℃より低い範囲の重合温度が特に有利であると実証された。
【0132】
重合開始は、乳化重合用に慣用の開始剤を用いて行う。好適な有機開始剤は、例えばヒドロペルオキシド、例えばt−ブチル−ヒドロペルオキシド又はクメンヒドロペルオキシドである。好適な無機開始剤は、過酸化水素並びにペルオキシ二硫酸のアルカリ金属−及びアンモニウム塩、特にペルオキソ二硫酸アンモニウム、ペルオキソ二硫酸ナトリウム及びペルオキソ二硫酸カリウムである。好適なレドックス開始剤系は、例えば第三アミンと過酸化物又はナトリウムジスルフィド及びペルオキソ二硫酸のアルカリ金属−及びアンモニウム塩、特にペルオキソ二硫酸ナトリウム及びペルオキソ二硫酸カリウムの組合せである。更に詳細は、専門文献、特にH.Rauch−Puntigam、Th.Voelker、"Acryl−und Methacrylverbindungen"、Springer、Heidelberg、1967又はKirk−Othmer、Encyclopedia of Chemical Technology、第1巻、386頁以降、J.Wiley、New York、1978を参照にされたい。本発明の範囲で有機及び/又は無機開始剤の使用が特に有利である。
【0133】
前記開始剤は、単独又は混合物で使用することができる。これは、有利には各々の段階のモノマーの全質量に対して0.05〜3.0質量%の量で使用する。ラジカル流を重合経過中並びに種々の重合温度で一定に保つために、重合を異なる半減期の異なる重合開始剤の混合物を用いて有利に行うこともできる。
【0134】
バッチの安定化は、有利には乳化剤及び/又は保護コロイドを用いて行う。有利には、低い分散粘度を得るために、エマルジョンを乳化剤によって安定化させる。乳化剤の全量は、使用されるモノマー全質量に対して、有利には0.1〜15質量%、特に1〜10質量%、特に有利には2〜5質量%である。本発明の特別な態様によれば、乳化剤の一部を重合中に添加することができる。
【0135】
特に好適な乳化剤は、アニオン又は非イオン性乳化剤又はその混合物、特に−アルキルスルフェート、例えばアルキル基中に炭素原子8〜18個を有するようなもの、アルキル基中に炭素原子8〜18個及び酸化エチレン単位1〜50個を有するアルキル−及びアルキルアリールエーテルスルフェート;−スルホネート、有利にはアルキル基中に炭素原子8〜18個を有するアルキルスルホネート、アルキル基中に炭素原子8〜18個を有するアルキルアリールスルホネート、スルホコハク酸の1価のアルコール又はアルキル基中に炭素原子4〜15個を有するアルキルフェノールとのエステル又は半エステル;場合によりこのアルコール又はアルキルフェノールは酸化エチレン単位1〜40個でエトキシル化されていてよい;−ホスホン酸部分エステル及びそのアルカリ−及びアンモニウム塩、有利にはアルキル基又はアルキルアリール基中に炭素原子8〜20個及び酸化エチレン単位1〜5個を有するアルキル−及びアルキルアリールホスフェート;−有利にはアルキル基中に炭素原子8〜20個及び酸化エチレン単位8〜40個を有する、アルキルポリグリコールエーテル;−有利にはアルキル−及びアルキルアリール基中に炭素原子8〜20個及び酸化エチレン8〜40個を有する、アルキルアリールポリグリコールエーテル;−有利には酸化エチレン−又は酸化プロピレン単位8〜40個を有する、酸化エチレン/酸化プロピレン−コポリマー、有利にはブロックコポリマーである。
【0136】
特に有利なアニオン乳化剤には、特に脂肪アルコールエーテルスルフェート、ジイソオクチルスルホスクシネート、ラウリルスルフェート、C15−パラフィンスルホネートが属するが、その際これらの化合物は、通常アルカリ金属塩、特にナトリウム塩として使用することができる。これらの化合物は特に商品名、Disponil(登録商標)FES32、Aerosol(登録商標)OT75、Texapon(登録商標)K1296及びStatexan(登録商標)K1としてCognis GmbH、Cytec Industries,Inc.及びBayer AGの会社から市販されている。
【0137】
有利な非イオン性乳化剤は、特に酸化エチレン単位30個を有するt−オクチルフェノールエトキシレート、有利にはアルキル基中に炭素原子8〜20個及び酸化エチレン単位8〜40個を有する脂肪アルコールポリエチレングリコールである。これらの乳化剤は、商品名Triton(登録商標)X305(Fluka)、Tergitol(登録商標)15−S−7(Sigma−Aldrich Co.)、Marlipal(登録商標)1618/25(Sasol Germany)及びMarlipal(登録商標)O13/400(Sasol Germany)として市販されている。
【0138】
アニオン乳化剤及び非イオン性乳化剤の混合物を有利に使用することができる。有利にはアニオン乳化剤対非イオン乳化剤の質量比は、20:1〜1:20の範囲、有利には2:1〜1:10、特に有利には1:1〜1:5の範囲であってよい。その際硫酸塩、特に脂肪アルコールエーテルスルフェート、ラウリルスルフェート、又はスルホン酸塩、特にジイソオクチルスルホスクシネート又はパラフィンスルホネートをアニオン乳化剤として及び各々有利にはアルキル基中に炭素原子8〜20個及び酸化エチレン単位8〜40個を有するアルキルフェノールエトキシレート又は脂肪アルコールポリエチレングリコールエーテルを非イオン性乳化剤として含む混合物が極めて特に有利であると実証された。
【0139】
場合により乳化剤は保護コロイドとの混合物で使用することもできる。好適な保護コロイドには、特に部分的に鹸化されたポリビニルアセテート、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチル−、メチル−、ヒドロキシエチル−、ヒドロキシプロピル−セルロース、デンプン、蛋白質、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリビニルスルホン酸、メラミンホルムアルデヒドスルホネート、ナフタリンホルムアルデヒドスルホネート、スチレン−マレイン酸−及びビニルエーテルマレイン酸−コポリマーが含まれる。保護コロイドを使用する場合には、これを有利にはモノマーの全量に対して0.01〜1.0質量%の量で行う。保護コロイドは重合開始前に前以て装入するか又は添加することができる。開始剤は前以て装入するか又は添加することができる。更に開始剤の一部を前以て装入し、残りを添加することもできる。
【0140】
有利には重合は、バッチを重合温度に加熱し、有利には水溶液で、開始剤の前装入及び/又は添加によって、開始させる。その際、モノマーの一部を反応器中に前装入し、残りを特定の時間間隔で添加することができる。通常、反応器中に前装入したモノマー分を重合させ、その後初めて供給を開始するのが有利である。規定のモノマー量を前装入する代わりに、例えば1〜5%のモノマーを添加した後に、供給を数分間中断することができる。乳化剤及びモノマーの添加は別々に行うことができるし又は有利には混合物として、特に水中のエマルジョンとして行うことができる。
【0141】
乳化重合は、広いpH範囲で行うことができる。有利には2〜9の間である。特別な態様では、重合をpH値4〜8、特に6〜8で行う。同じく分散液を重合後に使用するために有利なpH範囲に調節することができる。着色塗料系では範囲は通常8−9又はそれ以上である。
【0142】
ポリマーの分子量は、広い限度で重要ではない。特に良好な機械特性を有する硬質の、耐溶剤性の塗料が所望される場合には、できる限り高い分子量が有利である。THFに不溶性である高い割合のポリマーを有する有利なエマルジョンポリマーは、前記した方法で得ることができる。高い分子量を得るための反応パラメーターは公知である。従ってここで特に分子量調節剤の使用は省略することができる。
【0143】
特に良好かつ簡単に加工することができる塗料は、比較的僅かな分子量を有するポリマーを有することができ、その際耐溶剤性及びこの塗料の硬度は比較的高いレベルである。有利には特に良好な加工性を有するこれらのポリマーは、1000000g/モルより下、有利には500000g/モルより下、特に有利には250000g/モルより下の分子量を有することができる。分子量は、PMMA−標準に対してゲル透過クロマトグラフィー(GPC)を用いて測定することができる。
【0144】
僅かな分子量を有するポリマー、特にエマルジョンポリマーは、分子量調節剤を反応混合物中に重合の前又はその間に添加することによって得ることができる。このために硫黄不含の分子量調節剤及び/又は硫黄含有分子量調節剤を使用することができる。
【0145】
硫黄不含の分子量調節剤には、これに制限するものではないが、例えば二量体のα−メチルスチレン(2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン)、脂肪族及び/又は脂環式アルデヒドのエノールエーテル、テルペン、β−テルピネン、テルピノーレン、1,4−シクロヘキサジエン、1,4−ジヒドロナフタリン、1,4,5,8−テトラヒドロナフタリン、2,5−ジヒドロフラン、2,5−ジメチルフラン及び/又は3,6−ジヒドロ−2H−ピランが属し、二量体のα−メチルスチレンが有利である。
【0146】
硫黄含有分子量調節剤としては、有利にはメルカプト化合物、ジアルキルスルフィド、ジアルキルジスルフィド及び/又はジアリールスルフィドを使用することができる。例として下記の重合調節剤を挙げる:ジ−n−ブチルスルフィド、ジ−n−オクチルスルフィド、ジフェニルスルフィド、チオジグリコール、エチルチオエタノール、ジイソプロピルジスルフィド、ジ−n−ブチル−ジスルフィド、ジ−n−ヘキシルジスルフィド、ジアセチルジスルフィド、ジエタノールスルフィド、ジ−t−ブチルトリスルフィド及びジメチルスルホキシド。
【0147】
分子量調節剤として有利に使用される化合物は、メルカプト化合物、ジアルキルスルフィド、ジアルキルジスルフィド及び/又はジアリールスルフィドである。これらの化合物の例は、エチルチオグリコレート、2−エチルヘキシルチオグリコレート、システイン、2−メルカプトエタノール、3−メルカプトプロパノール、3−メルカプトプロパン−1,2−ジオール、1,4−メルカプトブタノール、メルカプト酢酸、3−メルカプトプロピオン酸、メルカプトコハク酸、チオグリセリン、チオ酢酸、チオ尿酸及びアルキルメルカプタン、例えばn−ブチルメルカプタン、n−ヘキシルメルカプタン又はn−ドデシルメルカプタンである。特に有利に使用される重合調節剤は、メルカプトアルコール及びメルカプトカルボン酸である。分子量調節剤は、有利には重合で使用されるモノマーに対して0.05〜10、特に有利には0.1〜5質量%の量で使用する。重合では勿論重合調節剤の混合物を使用することもできる。
【0148】
更に重合はこれによって得られるポリマーの最低塗膜形成温度(MFT)を減少させるために分子量調節剤を使用して行うことができる。この有利な態様によれば、分子量調節剤の割合を計算して、(メタ)アクリル−ポリマー又は本発明による塗料が、最高60℃、特に有利には最高50℃、極めて特に有利には最高40℃の最低塗膜形成温度(MFT)(これはDIN ISO2115により測定することができる)を有するようにすることができる。分子量調節剤の割合が高ければそれだけ最低塗膜形成温度は低い。高い分子量を有するポリマーの光重合開始剤を使用する場合には、その最低塗膜形成温度は有利には前記範囲であってよい。
【0149】
粒子半径の調節は特に乳化剤の割合によって影響され得る。この割合が高ければ、特に重合の開始時で、それだけ小さな粒子が得られる。
【0150】
エマルジョンポリマー、特に(メタ)アクリル−ポリマーは全く架橋してないか又は極めて僅かにしか架橋してないので、20℃でテトラヒドロフラン(THF)中に可溶性分はエマルジョンポリマーの質量に対して60質量%より上である。もう一つの有利な態様では、エマルジョンポリマーは、エマルジョンポリマーの質量に対して2〜60質量%、特に有利には10〜50質量%、極めて特に有利には20〜40質量%の20℃でTHF中に可溶性分を有することができる。可溶性分を測定するための、酸素遮断下で乾燥させたポリマーの試料を、試料の質量に対して200倍量の溶剤中で20℃で4時間貯蔵する。酸素の遮断用に試料を例えば窒素下で又は真空中で乾燥させることができる。引き続き溶液から不溶性分を、例えば濾過によって分離する。溶剤の蒸発後、残分の質量を測定する。例えば真空下で乾燥させたエマルジョンポリマーの試料0.5gをTHF150ml中で4時間貯蔵することができる。
【0151】
エマルジョンポリマーの粒子半径は広い範囲であってよい。従って特に10〜500nm、有利には10〜100nm、特に有利には20〜60nmの範囲の粒子半径を有するエマルジョンポリマーを使用することができる。特に50nmより下の粒子半径が、塗膜形成及び塗料特性に有利である。粒子の半径は、PCS(Photon Correlation Spektroscopy)によって測定することができ、その際記載データはr50値(粒子の50%が小さく、50%が大きい)に関する。このために例えばBeckman Coulter N5 Submicron Particle Size Analyzerを使用することができる。
【0152】
高い膨潤率を有するエマルジョンポリマーが特に目ざましい利点を示す。有利なエマルジョンポリマー、特に(メタ)アクリル−ポリマーは、少なくとも2、特に少なくとも4、特に有利には少なくとも6、極めて特に有利には少なくとも8の膨潤率を示す。膨潤率を測定するために、先ず水中のエマルジョンポリマーの粒子半径(r)を前記方法で測定する。次いで溶剤/水−混合物(THF/水=90:10)中のエマルジョンポリマーを膨潤させ、粒度(マイクロゲル)をCoulter Nanosizer N5を用いる測定により定量化する(r溶剤)。通常このために、分散液中でTHF/水=90:10の容量比に調節するために、相応する量のテトラヒドロフラン(THF)を分散液中に加える。測定を20℃で行うが、その際分散液は溶剤(THF)添加後に5分間膨潤させる。得られた粒子半径(r溶剤及びr)から算出した粒子体積の商を膨潤率(QF)と定義する:
【数2】

【0153】
高い膨潤率は特に僅かな架橋を有するエマルジョンポリマーを示す。相応して特に、低い割合の2個以上の(メタ)アクリレート基を有するモノマー混合物から得られたエマルジョンポリマーは高い膨潤率を示す。
【0154】
アルキル基中に少なくとも1個の二重結合及び炭素原子8〜40個を有する(メタ)アクリル−モノマーから誘導された単位を有する少なくとも1種の(メタ)アクリル−ポリマーを、有利には40〜80質量%、特に有利には50〜75質量%含有する塗料が特に特別有利である。
【0155】
本発明による塗料は、乾燥剤を全く必要としないが、しかしその際これが場合による成分として配合物中に含まれていてよい。これには特に有機金属化合物、例えば遷移金属、コバルト、マンガン、バナジウム、鉛、ジルコニウム;アルカリ−又はアルカリ土類金属、例えばリチウム、カリウム及びカルシウムの金属石鹸が属する。例えばコバルトナフタレート及びコバルトアセテートが挙げられる。乾燥剤は単独又は混合物として使用することができ、その際、特にコバルト−、ジルコニウム−及びリチウム塩を含有する混合物が特に有利である。
【0156】
有利な塗料中の乾燥剤の割合は、ポリマー含量に対して有利には0〜5質量%の範囲、特に有利には1〜3質量%の範囲であってよい。
【0157】
本発明の特別な態様によれば、促進剤−アミンを使用することができる。この化合物は前記されており、特に出願番号PCT/EP03/04035で2003年4月17日に出願されたWO2003/091287に記載されているので、これらの刊行物、特にその中に記載の促進剤は開示目的のために本出願に組み入れる。
【0158】
有利な促進剤−アミンには、低分子量アミン、ポリマーのアミン及び重合性アミンが属する。
【0159】
NDEA(N−メチル−ジエタノールアミン)又はDMAEMA(2−ジエチルアミノエチルメタクリレート)と一緒に使用するのが特に有利である。
【0160】
本発明の特別な態様によれば、塗料は溶剤を含むことができる。これらの塗料は特に広い温度−及び湿度範囲に亘って加工することができる。その際、溶剤の概念は広い範囲に解する。特に有利な溶剤には、特に芳香族炭化水素、例えばトルエン、キシレン;エステル、特にアセテート、有利にはブチルアセテート、エチルアセテート、プロピルアセテート;ケトン、有利にはエチルメチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン又はシクロヘキサノン;アルコール、特にイソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール;エーテル、特にグリコールモノメチルエーテル、グリコールモノエチルエーテル、グリコールモノブチルエーテル;脂肪族、有利にはペンタン、ヘキサン、シクロアルカン及び置換されたシクロアルカン、例えばシクロヘキサン;脂肪族及び/又は芳香族から成る混合物、有利にはナフサ;ベンジン、バイオジーゼルが属するが、しかし可塑剤、例えば低分子量ポリプロピレングリコール又はフタレートが属する。有利な塗料中の溶剤の割合は、特に0〜50質量%の範囲、特に有利には1〜20質量%の範囲であってよい。
【0161】
更に固体含量が有利には少なくとも50質量%、特に有利には少なくとも60質量%である塗料配合物が、驚くほど良好な加工性を示す。この記載は特に有機溶剤を含む塗料配合物に言える。もう一つの態様によれば、本発明による塗料配合物は、比較的高い割合の水を含み、その際水性懸濁液が特に有利な塗料配合物である。有利には水性懸濁液は、10〜70質量%、特に有利には20〜60質量%の範囲の固体含量を有する。この塗料配合物は屡、有機溶剤を非常に僅かな割合でしか含まないか、有利には全く含まない。有利な水性分散液は、揮発性有機成分(VOC)、例えば残存モノマー又は有機溶剤を最高5質量%、特に有利には最高2質量%含有する。従ってこれらの塗料配合物は特に高い環境相溶性によって優れている。
【0162】
更に本発明による塗料は、通常の添加物、特に紫外線安定剤、流れ調整助剤及び殺生物剤を含有することができる。
【0163】
塗料の動的粘度は固体含量に左右され、広い範囲を含んでよい。従ってこれは高いポリマー含量では10000mPasより上であってよい。有利には動的粘度は、DIN EN ISO 2555で25℃で測定して(Brookfield)、通常10〜4000mPas、有利には10〜1000mPas、極めて特に有利には10〜500mPasである。
【0164】
更に本発明は、本発明による塗料を支持体に塗布し、硬化させる塗膜の製法を提供する。
【0165】
本発明による塗料配合物は、通常の塗布法、特にロール塗又は噴霧法によって塗布することができる。更に塗料配合物の塗布用に浸漬法も好適である。塗料配合物の硬化は、乾燥及び空中酸素を用いる酸化架橋によって行われる。
【0166】
有利な方法によれば、支持体に塗布された塗料配合物を先ず100〜800nm、有利には200〜800nm、特に有利には350〜780nmの範囲の波長を有する光を用いて硬化させるが、その際照度は、DIN5050−1 1992−05により測定して、9.1〜100mW/cmの範囲、特に有利には0.5〜80mW/cmの範囲である。照射は自然光を用いて行うことができる。有利な態様によれば、照射は市販の装置を用いて行うことができる。これらは例えばCetelon−Nanotechnikから名称LUMIFORM(登録商標)で市販されている。
【0167】
本発明による塗料配合物は、特にペイント、ワニス、シーラント、接着剤及び印刷インキの製造用に使用することができる。
【0168】
有利に本発明による塗料を塗布することができる支持体には、特に木材、金属、特に鉄及び鋼鉄並びにプラスチックが挙げられる。
【0169】
更に本発明は、本発明による方法によって得られる被覆した品物を提供する。これらの品物の被覆は優れた特性スペクトルを特徴とする。
【0170】
本発明による塗料から得られる塗膜は、高い耐溶剤性を示し、その際特にごく僅かな割合だけが溶剤によって塗膜から溶けない。有利な塗膜は特にメチルイソブチルケトン(MIBK)に対して高い安定性を示す。従ってMIBKを用いる処理後に質量損失は、最高50質量%、有利には最高35質量%である。MIBKの吸収は、使用した塗料の質量に対して、有利には最高1000質量%、特に有利には最高600質量%である。これらの値は、温度約25℃及び少なくとも4時間の作用時間で測定し、その際架橋させた完全に乾燥した塗膜で測定する。
【0171】
本発明による塗料から得られる塗膜は、高い機械安定性を示す。有利には振子硬度は、DIN ISO 1522により測定して、少なくとも15秒、有利には少なくとも25秒である。
【0172】
更に本発明による塗料から得られる有利な塗膜は、驚くほど高い接着強さを示し、これは特にクロスカット法により測定することができる。従ってDIN EN ISO 2409の基準により0−1、特に有利には0の等級が得られる。
【0173】
次に本発明を実施例及び比較例につき詳説するが、本発明はこれに制限されるものではない。
【0174】
LiCl/Ca(OH)−触媒下の反応による4−ヒドロキシベンゾフェノン13EO−メタクリレートの製造
4−ヒドロキシベンゾフェノン13EO(BASFのPE5442)700g及びMMA713gを量り、攪拌及び空気導入下で120℃に加熱し、水分除去のためMMA約100mlを溜去した。次いで冷却し、触媒としてLiCl0.3g及びCa(OH)1.4g及び溜去したMMAに相応する量を添加し、再び120℃に4時間加熱した。その際メタノールを溜去した。この時間の後に、攪拌下で(約80℃に)冷却し、Tonsil L80FF(Sued−Chemie)6.8gを添加し、攪拌下で室温に冷却した。次いでバッチをSeitz T1000圧濾機で濾過した(φ14cm;1バール、濾過時間約45分間)。次いで真空中で回転蒸発器で濃縮した。
【0175】
無水メタクリル酸及び4−ヒドロキシベンゾフェノンからの4−メタクリロイルオキシベンゾフェノンの製造
KPG攪拌、還流冷却器、熱電対、空気導入、Anschuetzアタッチメント、滴下ロート及び油浴を有する4l四首丸底フラスコ中に、4−ヒドロキシベンゾフェノン695.9g、無水メタクリル酸618.4g、濃HSO1.99g(1.08ml)を量り入れ、次いで攪拌下で90℃に加熱した。90℃の反応時間は約6時間であった。次いで60℃に冷却し、HSOを中和するために水10gに溶かしたNaOH1.8g並びに無水メタクリル酸の加水分解用にメタノール22.4gを添加した。引き続き60℃で1時間攪拌し、次いでバッチを攪拌(金属羽根攪拌機、攪拌モーター)下で弱いジェットで水3lに注入した。1/2時間攪拌し、次いで沈澱をガラスフィルターフリットを用いて吸引濾過し、なおHO各々2lで2回後洗浄し(ビーカー中で金属羽根攪拌機で攪拌モーターを用いて各々約15分間攪拌)、引き続き吸引濾過器で乾燥吸引した。固体を引き続き5日間空気乾燥させた。
【0176】
メタクリロイルオキシ−2−エチル−脂肪酸アミドの混合物の製造
攪拌スリーブ及び攪拌モーターを有するサーベル攪拌機、窒素導入、塔底温度計及び蒸留ブリッジを具備した四首丸底フラスコ中で、脂肪酸メチルエステル混合物206.3g(0.70モル)、エタノールアミン42.8g(0.70モル)及びLiOH0.27g(0.26%)を前以て装入した。脂肪酸メチルエステル混合物には、6質量%の飽和C12〜C16脂肪酸メチルエステル、2.5質量%の飽和C17〜C20脂肪酸メチルエステル、52質量%の1個不飽和のC18脂肪酸メチルエステル、1.5質量%の1個不飽和のC20〜C24脂肪酸メチルエステル、36質量%の多不飽和C18脂肪酸メチルエステル、2質量%の多不飽和C20〜C24脂肪酸メチルエステルが含まれていた。
【0177】
反応混合物を150℃に加熱した。2時間以内にメタノール19.5mlを溜去した。得られた反応生成物は、86.5%の脂肪酸エタノールアミンを含んでいた。得られた反応混合物を後処理せずに更に加工した。
【0178】
冷却後、メチルメタクリレート1919g(19.2モル)、LiOH3.1g及びヒドロキノンモノメチルエーテル500ppm及びフェノチアジン500ppmから成る抑制剤混合物を添加した。
【0179】
攪拌下で反応装置を10分間窒素でフラッシュした。次いで反応混合物を加熱沸騰させた。メチルメタクリレート/メタノール共沸混合物を分離し、引き続き塔頂部温度を徐々に100℃に高めた。反応終了後、反応混合物を約70℃に冷却し、濾過した。
【0180】
回転蒸発器で過剰のメチルメタクリレートを分離した。生成物370gが得られた。
【0181】
実施例1
供給法による4−メタクリロイルオキシベンゾフェノン1.50質量%及びメタクリロイルオキシ−2−エチル−脂肪酸アミド15質量%を有する分散液の製造
BA−co−MMA−メタクリロイルオキシ−2−エチル−脂肪酸アミド−4−メタクリロイルオキシベンゾフェノン−メタクリル酸=45−37.5−15−1.5−1
先ず2lPE−ビーカーにブチルアクリレート(BA)180g、メチルメタクリレート(MMA)150g、メタクリロイルオキシ−2−エチル−脂肪酸アミド−混合物60g、メタクリル酸(MAS)4g、4−メタクリロイルオキシベンゾフェノン6.81g、アンモニウム−ペルオキソジスルフェート(APS)1.2g、Disponil FES32(30%)12.0g及び水359.03gをUltra−Turraxを用いて4000rpmで3分間乳化させた。
【0182】
水浴で温度調整することができ、金属櫂形攪拌機を有する1lRettberg反応器中で、水230g及びDisponil FES32(30%)0.3gを前装入し、80℃に加熱し、水10gに溶かしたアンモニウムペルオキソジスルフェート(APS)0.3gを加えた。APS添加5分後に、前に製造したエマルジョンを240分以内に(間隔:供給3分間、中断4分間、残り供給237分間)添加した。攪拌速度は120rpmであった。
【0183】
供給終了後80℃で1時間後攪拌した。その後室温に冷却し、分散液をメッシュの大きさ0.09mmのVA−篩で濾過した。
【0184】
粒子半径の測定は、PCS(Photon Correlation Spektroscopy)により行ったが、その際記載データはr50値(粒子の50%がより小さく、50%がより大きい)に関する。このためにBeckman Coulter N5 Submicron Particle Size Analyzerを使用した。
【0185】
製造したエマルジョンは、固体含量40±1%、pH値5.8、粘度11mPas及びrN5−値64nmを有した。
【0186】
塗料は、NH溶液を用いてpH値約9に調節し、乾燥剤を加えた(2.5%Nuodex Web Combi AQ)。
【0187】
こうして得た塗料の特性を、耐溶剤性用の試験を用いて調べた。厚さ0.5mmの分散液塗膜を製造するために、計算量の分散液(面積及び乾燥含量によって)を相応するガラス板上に注ぎ、窓台上又は紫外線ランプ下で照射した。紫外線照射用の塗膜は、暗所で一夜前以て乾燥させた。
【0188】
紫外線照射用に2個の紫外線ランプ(TL20W/05(Philips)λmax=370nm及び出力0.9mW/cm)を有する装置を使用した。ランプと分散液塗膜の距離は約5.5cmであった。
【0189】
耐溶剤性の測定は、メチルイソブチルケトン(MIBK)を用いて行ったが、その際試料をMIBKで室温で4時間膨潤させた。引き続き試料を溶剤から取出し、過剰の溶剤を除去した。
【0190】
次いで試料を1時間約140℃で乾燥させた。第1表に記載した値は、MIBKを用いて処理した後の塗膜の質量に関し、ここでは"真の膨潤"とも称する。
【0191】
得られた結果を第1表に記載する。
【0192】
実施例2
供給法による4−メタクリロイルオキシベンゾフェノン3.0質量%及びメタクリロイルオキシ−2−エチル−脂肪酸アミド15質量%を有する分散液の製造
BA−co−MMA−メタクリロイルオキシ−2−エチル−脂肪酸アミド−4−メタクリロイルオキシベンゾフェノン−メタクリル酸=45−36−15−3−1
先ず2lPE−ビーカーにブチルアクリレート(BA)180g、メチルメタクリレート(MMA)144g、メタクリロイルオキシ−2−エチル−脂肪酸アミド−混合物60g、メタクリル酸(MAS)4g、4−メタクリロイルオキシベンゾフェノン13.62g、アンモニウム−ペルオキソジスルフェート(APS)1.2g、Disponil FES32(30%)12.0g及び水358.89gをUltra−Turraxを用いて4000rpmで3分間乳化させた。
【0193】
水浴で温度調整することができ、金属櫂形攪拌機を有する1lRettberg反応器中で水230g及びDisponil FES 32(30%)0.3gを前装入し、80℃に加熱し、水10gに溶かしたアンモニウムペルオキソジスルフェート(APS)0.3gを加えた。APS添加5分後に、前に製造したエマルジョンを240分以内に(間隔:供給3分間、中断4分間、残り供給237分間)添加した。攪拌速度は120rpmであった。
【0194】
供給終了後80℃で1時間後攪拌した。その後室温に冷却し、分散液をメッシュの大きさ0.09mmのVA−篩で濾過した。
【0195】
製造したエマルジョンは、固体含量40±1%、pH値6.0、粘度12mPas及びrN5−値67nmを有した。
【0196】
塗料は、NH溶液を用いてpH値約9に調節し、乾燥剤を加えた(2.5%Nuodex Web Combi AQ)。
【0197】
こうして得た塗料の特性を、耐溶剤性用に実施例1に記載した方法で調べた。得られた結果は、第1表に表す。
【0198】
比較例1
供給法によるメタクリロイルオキシ−2−エチル−脂肪酸アミド15質量%を有する分散液の製造
BA−co−MMA−メタクリロイルオキシ−2−エチル−脂肪酸アミド−メタクリル酸=45−39−15−1
先ず2lPE−ビーカーにブチルアクリレート(BA)180g、メチルメタクリレート(MMA)156g、メタクリロイルオキシ−2−エチル−脂肪酸アミド−混合物60g、メタクリル酸(MAS)4g、アンモニウム−ペルオキソジスルフェート(APS)1.2g、Disponil FES 32(30%)12.0g及び水359.18gをUltra−Turraxを用いて4000rpmで3分間乳化させた。
【0199】
水浴で温度調整することができ、櫂形攪拌機を有する2lガラス反応器中で水230g及びDisponil FES 32(30%)0.3gを前装入し、80℃に加熱し、水10gに溶かしたアンモニウムペルオキソジスルフェート(APS)0.3gを加えた。APS添加5分後に、前に製造したエマルジョンを240分以内に(間隔:供給3分間、中断4分間、残り供給237分間)添加した。
【0200】
供給終了後1時間80℃で後攪拌した。その後室温に冷却し、分散液をメッシュの大きさ0.09mmのVA−篩で濾過した。
【0201】
製造したエマルジョンは、固体含量40±1%、pH値5.6、粘度22mPas及びrN5−値70nmを有した。
【0202】
塗料は、NH溶液を用いてpH値約9に調節し、乾燥剤を加えた(2.5%Nuodex Web Combi AQ)。
【0203】
こうして得た塗料の特性を、耐溶剤性用に実施例1に記載した方法で調べた。得られた結果は、第1表に表す。
【0204】
比較例2
供給法による4−メタクリロイルオキシベンゾフェノン1.58質量%を有する分散液の製造
BA−co−MMA−メタクリロイルオキシベンゾフェノン−メタクリル酸=48.42−49−1.58−1
先ずPE−ビーカー中でブチルアクリレート(BA)242.1g、メチルメタクリレート(MMA)245.0g、メタクリロイルオキシベンゾフェノン8.97g、メタクリル酸(MAS)5g、アンモニウム−ペルオキソジスルフェート(APS)0.9g、Disponil FES 32(30%)3.33g及び水305.71gをUltra−Turraxを用いて4000rpmで3分間乳化させた。
【0205】
水浴で温度調整することができ、櫂形攪拌機を有するガラス反応器に、水190g及びDisponil FES 32(30%)0.42gを前装入し、80℃に加熱し、水10gに溶かしたアンモニウムペルオキソジスルフェート(APS)0.1gを加えた。APS添加5分後に、前に製造したエマルジョンを240分以内に(間隔:供給3分間、中断4分間、残り供給237分間)添加した。
【0206】
供給終了後1時間80℃で後攪拌した。その後室温に冷却し、分散液をメッシュの大きさ0.09mmのVA−篩で濾過した。
【0207】
製造したエマルジョンは、固体含量50±1%、pH値9.3(NH溶液で調節後)、粘度90mPas及びrN5−値74nmを有した。
【0208】
こうして得た塗料の特性を、耐溶剤性用に実施例1に記載した方法で調べた。得られた結果は、第1表に表す。
【0209】
比較例3
供給法による4−メタクリロイルオキシベンゾフェノン3.17質量%を有する分散液の製造
BA−co−MMA−メタクリロイルオキシベンゾフェノン−メタクリル酸=46.83−49−3.17−1
先ずPE−ビーカー中で、ブチルアクリレート(BA)234.15g、メチルメタクリレート(MMA)245.0g、4−メタクリロイルオキシベンゾフェノン18.0g、メタクリル酸(MAS)5g、アンモニウム−ペルオキソジスルフェート(APS)0.9g、Disponil FES32(30%)3.33g及び水305.34gをUltra−Turraxを用いて4000rpmで3分間乳化させた。
【0210】
水浴で温度調整することができ、櫂形攪拌機を有するガラス反応器に水190g及びDisponil FES32(30%)0.42gを前装入し、80℃に加熱し、水10gに溶かしたアンモニウムペルオキソジスルフェート(APS)0.1gを加えた。APS添加5分後に、前に製造したエマルジョンを240分以内に(間隔:供給3分間、中断4分間、残り供給237分間)添加した。
【0211】
供給終了後1時間80℃で後攪拌した。その後室温に冷却し、分散液をメッシュの大きさ0.09mmのVA−篩で濾過した。
【0212】
製造したエマルジョンは、固体含量50±1%、pH値9.2(NH溶液で調節後)、粘度103.5mPas及びrN5−値70nmを有した。
【0213】
こうして得た塗料の特性を、耐溶剤性用に実施例1に記載した方法で調べた。得られた結果は、第1表に表す。
【0214】
比較例4
供給法によるベンゾフェノンメタクリレート3.0質量%を有する分散液の製造
BA−co−MMA−ベンゾフェノンMA−メタクリル酸=57−39−3−1
先ずPE−ビーカー中でブチルアクリレート(BA)570g、メチルメタクリレート(MMA)390.0g、4−メタクリロイルオキシベンゾフェノン34.06g、メタクリル酸(MAS)10g、アンモニウム−ペルオキソジスルフェート(APS)3.0g、Disponil FES 32(30%)6.67g及び水615.23gをUltra−Turraxを用いて4000rpmで3分間乳化させた。
【0215】
水浴で温度調整することができ、金属櫂形攪拌機を有する2lRettberg反応器に水390g及びDisponil FES32(30%)0.833gを前装入し、80℃に加熱し、水10gに溶かしたアンモニウムペルオキソジスルフェート(APS)0.75gを加えた。APS添加5分後に、前に製造したエマルジョンを240分以内に(間隔:供給3分間、中断4分間、残り供給237分間)添加した。
【0216】
供給終了後1時間80℃で後攪拌した。その後室温に冷却し、分散液をメッシュの大きさ0.09mmのVA−篩で濾過した。
【0217】
製造したエマルジョンは、固体含量50±1%、pH値7.65、粘度125mPas及びrN5−値67nmを有した。
【0218】
こうして得た塗料の特性を、耐溶剤性用に実施例1に記載した方法で調べたが、その際塗料は前以てNH溶液を用いてpH値約9に調節した。得られた結果は、第1表に表す。
【0219】
第1表:塗料の特性
【表1】

【0220】
結果は意外にも、光重合開始剤を不飽和基を有する単位を含むポリマーと組合せることによって、耐溶剤性の著しい改善が達成されることを実証する。これは特にMIBK吸収の驚くほど高い減少から明らかである。例えば光重合開始剤含量を2倍することによって、170%から138%への膨潤減少を達成することができる。即ち、減少は約18.8%(170−138)/170100%)である。不飽和基を有する単位の存在なしでは光重合開始剤を2倍にする場合に約1.5%((258−254)/254100)の改善しか達成されない。
【0221】
比較例5
付加的な安定剤を用いる供給法によるメタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル−リノール酸エステル15質量%を有する分散液の製造
BA−co−MMA−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル−リノール酸エステル−メタクリル酸=45−39−15−1
先ず2lPE−ビーカー中でブチルアクリレート(BA)382.50g、メチルメタクリレート(MMA)331.50g、メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル−リノール酸エステル−混合物146.53g、メタクリル酸(MAS)8.50g、アンモニウム−ペルオキソジスルフェート(APS)2.55g、Disponil FES32(30%)5.67g及び水540.84gをUltra−Turraxを用いて4000rpmで4分間乳化させた。メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル−リノール酸エステルは、リノール酸とグリシジルメタクリレートとの反応によって得られた。
【0222】
水浴で温度調整することができ、櫂形攪拌機を有する2lRettberg反応器に水330g及びDisponil FES32(30%)0.708gを前装入し、80℃に加熱し、水10gに溶かしたアンモニウムペルオキソジスルフェート(APS)0.638gを加えた。APS添加5分後に、ここへ前に製造したエマルジョンを240分以内に(間隔:供給3分間、中断4分間、残り供給237分間)添加した。
【0223】
供給終了後80℃で1時間後攪拌した。その後分散液を50℃に冷却し、25%アンモニア溶液を加えた(水含量に対して0.055質量%)。引き続きTriton X305を水含量に対して3質量%添加した。次いでエマルジョンを室温に冷却し、25%アンモニア溶液を添加した(水含量に対して0.145質量%)。アンモニア添加後に、分散液をメッシュの大きさ125μmの篩で濾過した。
【0224】
製造したエマルジョンは、固体含量49±1%、pH値9.1、粘度289mPas及び粒子半径63nmを有した。
【0225】
塗料に乾燥剤を加えた(2.5%Nuodex Web Combi AQ、固体含量に対して)。
【0226】
実施例3及び4並びに比較例6
実施例3及び4並びに比較例6による分散液を、比較例5で記載した処方により製造したが、その際その他のモノマー組成を使用した。これらは第2表にまとめてあるが、分散液の特性も記載した。
【0227】
第2表
【表2】

【0228】
実施例5
本発明によるもう一つの分散液を比較例5及び6の分散液の混合によって製造したが、その際50:50の質量比を使用した。しかし乾燥剤はポリマー分散液の混合後に初めて添加した。
【0229】
実施例3から5及び比較例5及び6で得られた塗料の特性試験
実施例3から5及び比較例5及び6で得られた塗料の性能を異なる方法により調べた。このために不粘着試験、摩耗試験、振子硬度測定試験(Koenigによる)、DIN EN ISO2409規格によるクロスハッチ試験及び光沢試験を行った。更に乾燥時間を測定した。
【0230】
ブロッキング点の測定試験
ブロッキング点は、厚さ0.5mmのポリマー塗膜を用いて測定したが、その際計算した量のクリアラッカー(面積及び乾燥含量によって)を相応するシリコーン縁を有するガラス板上に注ぎ、暗闇で一夜予備乾燥させた。次いで紫外線ランプ下で照射を行った。
硬化パラメーター:
ランプの数:4
ランプの種類/出力:Philips、TL 20W/05
試料との距離:5.5cm
測定したUV出力:0.9mW/cm
【0231】
ブロッキング点を測定するために、塗膜から約100×20mmの大きさの切片を切り取った。約0.5mmの厚さの塗膜をHostaphanフィルム上に接着させ、中央で折り畳み、2枚のガラス板の間に入れた。こうして製造した塗膜に500gの重りを付けて、正確に50g/cmの荷重が生じるようにした。重りは前以て予備加熱して30℃から始めて最高150℃にし、試験試料を乾燥箱中でこの温度で1時間負荷した。
【0232】
ブロッキング点は、塗膜が付着するが、粘着していないので、引き離す際に表面が損傷しない温度を表す。
【0233】
摩耗試験
振子硬度を測定するための塗膜を、四方塗膜アプリケーターを用いてガラス板上に表示未乾燥塗膜厚200μmで塗布し、引き続き前記したように(ブロッキング点の測定用の試験を参照にされたい)日光又は紫外線を用いて照射を行った。照射時間は7日間であった。
【0234】
摩耗装置(Gardner straight line washability and abrasion machine)を用いて溶剤(ベンジン BP80−110℃又はアセトン)を浸漬させたフェルトストリップで塗膜表面を拭いた。蠕動ポンプで溶剤を塗膜表面に流動速度2mL/分で完全には乾燥しないように一滴一滴添加した。
【0235】
事例1:塗膜片が剥離/摩耗するまでに必要な往復行程の数。露出した場所はまだ完全に塗膜で囲まれていなければならない(最高1500往復行程)。
【0236】
事例2:(括弧中の値):塗膜は摩耗方向でほぼまっすぐに完全に擦る(この値は事例1が起こらない場合に記載する;最高2500往復行程)。
【0237】
振子硬度(Koenigによる)
振子硬度を測定するための塗膜を、四方塗膜アプリケーターを用いてガラス板上に表示未乾燥塗膜厚200μmで塗布し、引き続き前記したように(ブロッキング点の測定用の試験を参照にされたい)紫外線を用いる照射を行った。照射時間は28日間であった。測定はKoenigによりBYK Mallinckrodt社の振子硬度装置を用いて実施した。塗布した塗膜の異なる場所で各二度測定し、次いで平均値を求めた。結果は、係数1.4をかけることによって必要な変動を換算後秒で記載した。記載値は28日後の測定に関する。
【0238】
クロスハッチ試験
試験を実施するために、未乾燥塗膜厚200μmを有する塗膜を四方塗膜アプリケーターを用いて黄色クロメート処理したAl板(Fa.Henkel、Alodine 1200)上に塗布した。次いで塗膜を紫外線下で硬化させた(ブロッキング点の測定用の試験を参照にされたい)。
【0239】
6枚の平行な刃を有するクロスハッチ装置を用いて、2つの切片を相互に直角に塗膜を通して誘導した。得られたクロスハッチパターンに粘着テープ(Tesa(登録商標))を貼り付け、引き剥がした。評価はDIN EN ISO 2409により行った。
【0240】
光沢試験
未乾燥塗膜厚200μmを有する塗膜を四方塗膜アプリケーターを用いて塗布した。支持体として黒色試験金属板(Metopac、Fa.Lenetta)を使用した。塗膜を紫外線下で4週間照射した(ブロッキング点の測定用の試験を参照にされたい)。塗膜の光沢を28日後にErichsen社の装置Picogloss(Modell 503)を用いて入射角85°で測定した。5回測定を行い、最高値及び最低値を捨て、残りの測定値の平均を求めた。
【0241】
乾燥試験(タックフリー時間;DIN53150による)
塗膜を四方塗膜アプリケーターを用いてアルミニウム板(Fa.Henkel、Alodine 1200)上に温度調整室中で23℃及び約25%相対湿度で表示未乾燥塗膜厚100μmで塗布し、次いで直ちに試験を行った。タック−フリー時間を測定するために、紙片(80g/cm)及びゴム盤を塗膜表面上に載せ、重り(20g)を60秒間載せた。次いで重り及びゴム盤を除去し、アルミニウム板を3−5cmの高さから垂直に表面に落とした。紙片が離れ落ちた際に、乾燥度2が得られた。
【0242】
第3表:実施例3から5及び比較例5及び6で得られた塗料の特性
【表3】

【0243】
第3表(続き):実施例3から5及び比較例5及び6で得られた塗料の特性
【表4】

【0244】
前記データは、本発明による塗料の特性プロフィールの相乗的な改善を示す。ポリマー中に比較可能な割合の光重合開始剤及び不飽和単位が存在する場合には、塗膜の強度に関して予期しなかった大きな改善が得られた。特に実施例3は、最高の振子硬度及び摩耗試験で最良の評価を示す。更に実施例4及び5のデータは、塗料が比較例の塗料に対して優れた特性プロフィールを有することを実証する。例えば実施例4及び5の塗膜は比較例5に相応するブロッキング温度を示す。比較例6の塗膜は、実質的に低い温度を示すが、しかしその際この塗膜はクロスハッチ試験では比較例5の塗膜より良好な評価である。実施例4及び5の塗膜はこの接着の減少を示さない。その際実施例3で得られた塗膜の有利な特性は比較例5の塗膜に比較して明らかである。両方の比較例に比して非常に高い振子硬度及び優れた耐摩耗性は、想定される脆性に基づいて、接着が比較例5より僅かであるに違いないことを示す。しかし意外にも、実施例3による塗料が比較例5の塗料より若干良好な接着を有することが示される。意外にも特に実施例5の塗膜は非常に高い光沢値を有する。
【0245】
更に摩耗試験の結果は、耐摩耗性を改善するために比較例の塗料を紫外線によって硬化させる必要があることを示す。これは特に比較例5の塗料で明らかに言える。意外にも本発明の実施例は、紫外線なしでも優れた強度を示す。従って、アルキル基中に少なくとも1個の二重結合及び炭素原子8〜40個を有する(メタ)アクリル−モノマーから誘導された単位を有する(メタ)アクリル−ポリマーの存在は、同様に塗料中に存在する光重合開始剤の活性の目ざましい上昇をもたらす。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配合物が、少なくとも1種の光重合開始剤及びアルキル基中に少なくとも1個の二重結合及び炭素原子8〜40個を有する(メタ)アクリル−モノマーから誘導された単位を有する少なくとも1種の(メタ)アクリル−ポリマーを含むことを特徴とする、塗料配合物。
【請求項2】
光重合開始剤が200〜800nmの範囲の波長を有する光の照射によって活性化可能であることを特徴とする、請求項1に記載の塗料配合物。
【請求項3】
光重合開始剤が1000g/モルより小さい分子量を有する化合物であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の塗料配合物。
【請求項4】
光重合開始剤が1000g/モル以上の分子量を有する化合物であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の塗料配合物。
【請求項5】
(メタ)アクリル−ポリマーが、アルキル基中に少なくとも1個の二重結合及び炭素原子8〜40個を有する(メタ)アクリル−モノマーから誘導された単位を、0.5〜60質量%含むことを特徴とする、前記請求項の少なくとも1項に記載の塗料配合物。
【請求項6】
(メタ)アクリル−ポリマーがヨウ素1〜300gの範囲のヨウ素価を有することを特徴とする、前記請求項の少なくとも1項に記載の塗料配合物。
【請求項7】
(メタ)アクリル−ポリマーが−20〜40℃の範囲のガラス転移温度を有することを特徴とする、前記請求項の少なくとも1項に記載の塗料配合物。
【請求項8】
(メタ)アクリル−ポリマーがエマルジョンポリマーであることを特徴とする、前記請求項の少なくとも1項に記載の塗料配合物。
【請求項9】
(メタ)アクリル−ポリマーが、20℃でテトラヒドロフラン−水混合物を用いて測定して少なくとも2の膨潤率を有することを特徴とする、前記請求項の少なくとも1項に記載の塗料配合物。
【請求項10】
光重合開始剤及び(メタ)アクリル−ポリマーが結合を介して相互に結合しており、従って(メタ)アクリル−ポリマーが光重合開始剤−モノマーから誘導された単位を有することを特徴とする、前記請求項の少なくとも1項に記載の塗料配合物。
【請求項11】
(メタ)アクリル−ポリマーが、DIN EN ISO 2114により測定して、0.1〜40mgKOH/gの範囲の酸価を有することを特徴とする、前記請求項の少なくとも1項に記載の塗料配合物。
【請求項12】
塗料配合物がアミン促進剤を含むことを特徴とする、前記請求項の少なくとも1項に記載の塗料配合物。
【請求項13】
塗料配合物が水性分散液であることを特徴とする、前記請求項の少なくとも1項に記載の塗料配合物。
【請求項14】
(メタ)アクリル−ポリマーが、アルキル基中に少なくとも1個の二重結合及び炭素原子8〜40個を有する(メタ)アクリル−モノマーから誘導された単位及び光重合開始剤−モノマーから誘導された単位を含むことを特徴とする、塗料配合物の製造用の(メタ)アクリル−ポリマー。
【請求項15】
(メタ)アクリル−ポリマーがエマルジョンポリマーであることを特徴とする、請求項14に記載の(メタ)アクリル−ポリマー。
【請求項16】
(メタ)アクリル−ポリマーがコア−シェル−ポリマーであることを特徴とする、請求項14又は15に記載の(メタ)アクリル−ポリマー。
【請求項17】
モノマー混合物が、アルキル基中に少なくとも1個の二重結合及び炭素原子8〜40個を有する少なくとも1種の(メタ)アクリル−モノマー及び少なくとも1種の光重合開始剤−モノマーを含むことを特徴とする、請求項14から16までのいずれか1項に記載の(メタ)アクリル−ポリマーの製造用のモノマー混合物。
【請求項18】
光重合開始剤−モノマーが、一般式I
【化1】

[式中、Rは水素又はメチルを表し、Xは酸素又は式NR’(式中、R’は水素又は炭素原子1〜6個を有する基である)の基であり、Zは結合又は結合基であり、Rは水素、ハロゲン、ヒドロキシ又は炭素原子1〜20個を有する基を表し、mは0〜4の範囲の整数を表し、Rは炭素原子1〜20個を有する基を表す]のケト基を有する(メタ)アクリレートであることを特徴とする、請求項17に記載のモノマー混合物。
【請求項19】
アルキル基中に少なくとも1個の二重結合及び炭素原子8〜40個を有する(メタ)アクリル−モノマー対光重合開始剤−モノマーの質量比が、30:1〜1:1の範囲であることを特徴とする、請求項17又は18に記載のモノマー混合物。
【請求項20】
モノマー混合物が、各々モノマーの質量に対して、アルキル基中に少なくとも1個の二重結合及び炭素原子8〜40個を有する(メタ)アクリレート1〜30質量%、光重合開始剤−モノマー1〜5質量%、酸基含有モノマー0.1〜10質量%及びアルキル基中に炭素原子1〜10個を有する(メタ)アクリレート5〜98.9質量%を含むことを特徴とする、請求項17から19までの少なくとも1項に記載のモノマー混合物。
【請求項21】
請求項1から13までのいずれか1項に記載の塗料配合物を支持体に塗布し、硬化させることを特徴とする、塗膜の製法。
【請求項22】
支持体上に塗布した塗料配合物を200〜800nmの範囲の波長を有する光を照射することによって硬化させ、その際照度が0.1〜100mW/cmの範囲であることを特徴とする、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
請求項21又は22に記載の方法によって得られる被覆した品物。

【公表番号】特表2012−522087(P2012−522087A)
【公表日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−502625(P2012−502625)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【国際出願番号】PCT/EP2010/054139
【国際公開番号】WO2010/112474
【国際公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【出願人】(390009128)エボニック レーム ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (293)
【氏名又は名称原語表記】Evonik Roehm GmbH
【住所又は居所原語表記】Kirschenallee, D−64293 Darmstadt, Germany
【Fターム(参考)】