説明

塗料

【課題】取り扱いが容易であるとともに、均一に希釈可能で、かつ水に希釈させても適度な粘度を維持することができる塗料を提供する。
【解決手段】糊料と粘性発現抑制剤を水に溶解させて該糊料の粘性発現を抑制することにより流動性のある液体とし、水分を含む目的物に添加されるとその粘性又はゲル化が発現されるように調整された増粘用添加液を含有することを特徴とする塗料である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、糊料を添加することによって粘性が付与された塗料に関する。
【背景技術】
【0002】
塗料は、一般に、付着性を向上させるために、適度な粘性が付与されており、近年、廃棄処理などの問題から、キサンタンガムなどの水性の増粘剤を添加することによって、適度な粘性を付与している(特許文献1)。
【0003】
一方、家庭などで使用される塗料は、保存場所などを確保するため、原液を水によって数十倍から数千倍に希釈させて使用されている。粘性が付与された塗料を水に希釈させて使用する場合、適度な粘性を維持する必要があるため、原液を高粘度に調整する必要がある。
【0004】
【特許文献1】特開2000―34429号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、高粘度に調整された塗料は、非常に扱い難く、また均一に希釈させることができないという問題がある。一方、取り扱いを容易にし、均一に希釈されるために、原液の粘度を下げると、希釈されたものの粘度が適切でなくなり、付着性が低下するという問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、取り扱いが容易であるとともに、均一に希釈可能で、かつ水に希釈させても適度な粘度を維持することができる塗料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上の目的を達成するために、本発明は、糊料と粘性発現抑制剤を水に溶解させて該糊料の粘性発現を抑制することにより流動性のある液体とし、水分を含む目的物に添加されるとその粘性又はゲル化が発現されるように調整された増粘用添加液を含有させることによって、取り扱いが容易であるとともに、均一に希釈可能で、かつ水に希釈させても適度な粘度を維持することができることを見出した。すなわち、本発明は、糊料と粘性発現抑制剤を水に溶解させて該糊料の粘性発現を抑制することにより流動性のある液体とし、水分を含む目的物に添加されるとその粘性又はゲル化が発現されるように調整された増粘用添加液を含有することを特徴とする塗料である。
【0008】
また、本発明は、同時に水分を含む目的物に添加されることによって粘性が発現される第一液及び第二液からなり、第一液及び第二液の少なくとも一方に塗料成分が含有された塗料である。
【発明の効果】
【0009】
以上の目的を達成するために、本発明は、取り扱いが容易であるとともに、均一に希釈可能で、かつ水に希釈させても適度な粘度を維持することができる塗料を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明に係る塗料に添加される増粘用添加液は、特開2000−41594号公報や特開2004−208562号公報に記載されているものを用いることができる。具体的には、以下の通りである。
【0011】
前記粘性発現抑制剤として、糊料に対する貧溶媒を用いることができ、糊料に対する貧溶媒としては、例えば、エチルアルコールやアセトン、イソプロピルアルコール、油脂、界面活性剤等を用いることができる。このような貧溶媒を糊料に添加することによって、糊料の粘性発現を抑制することができ、さらに水分を含む目的物に添加されるとその粘性又はゲル化が発現される。
【0012】
また、前記粘性発現抑制剤として、低粘性多糖類を用いることができ、低粘性多糖類としては、例えば、アラビアガム、プルラン、大豆多糖類、アラビノガラクタン等を用いることができる。このような低粘性多糖類を糊料に添加することによって、糊料の粘性発現を抑制することができ、さらに水分を含む目的物に添加されるとその粘性又はゲル化が発現される。
【0013】
これらの低粘性多糖類が効果を示すのは、高濃度溶解液であり、例えばアラビアガムの場合、3〜50%の濃度、より望ましくは、8〜30%の濃度とし、プルランの場合、2〜20%の濃度、より望ましくは5〜10%の濃度とし、大豆多糖類の場合、3〜30%の濃度、より望ましくは7〜25%の濃度とし、アラビノガラクタンの場合、3〜50%の濃度、より望ましくは8〜30%の濃度とする。これら以下の濃度であると、糊料を加えたときに粘性が発現して流動性が悪くなり、増粘用添加液として好ましい低粘性状態に保つことができない。勿論糊料の濃度を低くすれば流動性を保つ液体が得られるが、水分を含む目的物に添加して粘性を発現させるという機能に劣ることになる。また上記濃度範囲を超えると、低粘性多糖類自身の粘性が大きくなり、それ自身流動性の低いものとなる。
【0014】
さらに、前記粘性発現抑制剤として、糊料と反応性のあるイオンを用いることができ、糊料と反応性のあるイオンとしては、例えば、カリウムやカルシウム、マグネシウム等の金属イオンを用いることができる。このような反応性のあるイオンを糊料に添加することによって、糊料の粘性発現を抑制することができ、さらに水分を含む目的物に添加されるとその粘性又はゲル化が発現される。これら反応性のあるイオンの添加量が微量であると、まず液の粘性を下げる方向に作用する。更にこれらの二価の金属イオンの反応を制御するために、金属封鎖の目的でクエン酸ナトリウムやメタリン酸ナトリウムを併用することも有効である。
【0015】
またさらに、前記粘性発現抑制剤として、低分子の糖質を用いることができ、低分子の糖質としては、例えば、砂糖あるいはエリスリトール等を用いることができる。このような低分子の糖質を高濃度で糊料に添加することによって、糊料の粘性発現を抑制することができ、さらに水分を含む目的物に添加されるとその粘性又はゲル化が発現される。
【0016】
貧溶媒、低粘性多糖類、低分子の糖質又は糊料と反応性のあるイオンと組み合わせて用いられる糊料としては、グアーガム、ローカストビーンガム、タラガム、キサンタンガム、タマリンドガム、トラガントガム、カラヤガム、コンニャクマンナン、CMCナトリウム、アルギン酸ナトリウム、ペクチン、アゾトバクタービネランジガム、カラギナン、化工澱粉、カシアガム、サイリュームシードガム、CMC及びメチルセルロースなどがあり、これらを単独で用いても良く、また二以上を組み合わせて用いても良い。
【0017】
また、前記粘性発現抑制剤として、アルギン酸ナトリウム、ペクチン及びCMCナトリウムのいずれか一以上を用い、その場合、前記糊料として、キサンタンガムを用いることができる。このようにキサンタンガムにアルギン酸ナトリウム、ペクチン及びCMCナトリウムのいずれかを添加することによって、糊料の粘性発現を抑制することができ、さらに水分を含む目的物に添加されるとその粘性又はゲル化が発現される。アルギン酸ナトリウムは、平均分子量5000〜1000000、ペクチンは、平均分子量5000〜1000000、CMCナトリウムは、平均分子量5000〜1200000であることが好ましく、このようにアルギン酸ナトリウム、ペクチン及びCMCナトリウムの平均分子量の調整は、アルギン酸ナトリウム、ペクチン及びCMCナトリウムの酸又は熱などによる加水分解により行うことができる。
【0018】
また、本発明に係る塗料用増粘用添加液において、キサンタンガムとアルギン酸ナトリウムの割合は、1:0.2〜10、キサンタンガムと平均分子量5000〜1000000のアルギン酸ナトリウムの割合は、1:0.1〜20、キサンタンガムとペクチンの割合は、1:0.2〜10、キサンタンガムと平均分子量5000〜1000000のペクチンの割合は、1:0.1〜20、キサンタンガムとCMCナトリウムの割合は、1:0.2〜10、キサンタンガムと平均分子量5000〜1200000のCMCナトリウムの割合は、1:0.1〜20であることが好ましい。水に溶解して増粘又はゲル化が抑制されている場合において、キサンタンガムとアルギン酸ナトリウムの組合せのこれらの水溶液中の含有量は、1〜30%、好ましくは2〜15%、キサンタンガムと平均分子量5000〜1000000のアルギン酸ナトリウムの組合せのこれらの水溶液中の含有量は、1〜40%、好ましくは2〜20%、キサンタンガムとペクチンの組合せのこれらの水溶液中の含有量は、1〜30%、好ましくは2〜15%、キサンタンガムと平均分子量5000〜1000000のペクチンの組合せのこれらの水溶液中の含有量は、1〜40%、好ましくは2〜20%、キサンタンガムとCMCナトリウムの組合せのこれらの水溶液中の含有量は、1〜30%、好ましくは2〜15%、キサンタンガムと平均分子量5000〜1200000のCMCナトリウムの組合せのこれらの水溶液中の含有量は、1〜40%、好ましくは2〜20%であることが好ましい。
【0019】
また、本発明に係る塗料において、前記第一液及び第二液の組み合わせが、カラギナン溶液及びローカストビーンガム溶液、カラギナン溶液及び塩化カリウム溶液、キサンタンガム溶液及びローカストビーンガム溶液、キサンタンガム溶液及びグアーガム溶液、ペクチン溶液及びカルシウムイオンを含む溶液、並びにアルギン酸ナトリウム溶液及びカルシウムイオンを含む溶液のいずれかであることが好ましい。前記第一液及び第二液は、同時に溶解させて粘性を発現させても良く、いずれか一方を水に溶解させた後にそれに他方を添加して粘性を発現させても良く、また、それぞれを水に溶解させた後に両者を混合させて粘性を発現させても良い。また、塗料成分は、前記第一液及び第二液のいずれか一方に含有させても良く、双方に同一又は異なる成分を含有させても良く、双方それぞれに含有された成分を合わせることによって塗料として機能するようにしても良い。
【0020】
本発明に係る塗料は、水性塗料及びエマルション塗料であり、本発明に係る塗料の組成物として、上記増粘用添加液のほか、通常水性塗料及びエマルション塗料に使用される塗料形成成分を配合することができる。
【0021】
塗料形成成分としては、例えば、アマニ油、キリ油、大豆油、脱水ヒマシ油、ボイル油、スタンド油などの植物油類、およびアルキド樹脂、ビニルブチラール樹脂、エポキシ樹脂、タールエポキシ樹脂、ウレタン樹脂、タールウレタン樹脂、アルキルシリケート樹脂、塩化ゴム樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、各種水溶性樹脂などの樹脂類、および顔料、染料などの着色剤、および可塑剤、乾燥剤、表面調製剤、色分かれ防止剤、消泡剤、レオロジー調製剤、紫外線調製剤、界面活性剤などの改質剤・添加剤があげられるが特に限定するものではない。塗膜形成助成分としては水、加工油類、鉱油類、天然樹脂類、天然物誘導体類、合成樹脂類、炭化水素溶剤、アルコール類、エステル類、ケトン類、グリコール類、グリコール誘導体などがあげられるが特に限定するものではない。
【0022】
増粘用添加液の添加時期は、特に限定されるものではない。また添加方法についても特に限定されるものではない。本発明の対象となる水性塗料およびエマルション塗料とは、特に限定するものではないが、例えば建物用、建築資材用、構造物用、船舶用、道路車両用、電気機械用、機械用、金属製品用、木工製品用、家庭用、道路標示用などの各種塗料としてブリキ、アルミニウム、ティンフリースチール、鉄、亜鉛、銅、亜鉛メッキ鋼板、合金メッキ合板などの金属、これらの金属にリン酸塩処理やクロメート処理を施した化学処理金属、木材、プラスチック、コンクリート、アスファルトなどに塗布することができる。さらに、水は、必須成分であるが、水は、塗布時に含有していればよい。
【実施例】
【0023】
増粘用添加液1
先ず、アルギン酸ナトリウム(キミカ社製)10重量部を水・エチルアルコール混合溶媒(重量比1:1)100重量部に溶解することによって、本発明に係る塗料の実施例に配合する増粘用添加液1を作製した。この増粘用添加液1の粘度をB型粘度計(芝浦システム(株)製ビストメトロン:回転数60rpm、ローターNo1、測定温度25℃)で測定したところ、15.5mPa・sであった。また、この増粘用添加液1に表1に示す割合で水を加えて希釈し、その粘度を測定したところ(ローターNo3)、粘性が発現したことを確認できた。
【0024】
【表1】

【0025】
増粘用添加液2
次に、アラビアガム(CNI社製)10重量部を水85重量部に溶解し、このアラビアガム溶液にキサンタンガム6重量部を加えて溶解することによって、本発明に係る塗料の実施例に配合する増粘用添加液2を作製した。この増粘用添加液2に表2に示す割合で水を加えて希釈し、その粘度を測定したところ(ローターNo3)、粘性が発現したことを確認できた。
【0026】
【表2】

【0027】
増粘用添加液3
次に、予め食塩5重量部を加えた食塩水100重量部に冷水可溶性カラギナン(伊那食品工業社製)5重量部を溶解することによって、本発明に係る塗料の実施例に配合する増粘用添加液3を作製した。この増粘用添加液3に表3に示す割合で水を加えて希釈し、その粘度を測定したところ(ローターNo4)、粘性が発現したことを確認できた。
【0028】
【表3】

【0029】
増粘用添加液4
次に、タラガム(伊那食品工業社製)10重量部を糖度70のソルビトール液(日研化成社製)100重量部に溶解することによって、本発明に係る塗料の実施例に配合する増粘用添加液4を作製した。この増粘用添加液4に表4に示す割合で水を加えて希釈し、その粘度を測定したところ(ローターNo3)、粘性が発現したことを確認できた。
【0030】
【表4】

【0031】
増粘用添加液5
次に、寒天(伊那食品工業社製)5重量部を糖度70%のソルビトール液(日研化成社製)100重量部と水50重量部を加えた液に分散し加熱溶解し、得られた溶液から水60重量部を蒸発することによって、本発明に係る塗料の実施例に配合する増粘用添加液5を作製した。この増粘用添加液5に表5に示す割合で水を加えて希釈し、その粘度を測定したところ(ローターNo3)、粘性が発現したことを確認できた。
【0032】
【表5】

【0033】
増粘用添加液6
次に、ジェランガム(CPケルコ社製)2重量部を水100部に加熱溶解後、食塩10重量部を加えることによって、本発明に係る塗料の実施例に配合する増粘用添加液6を作製した。この増粘用添加液6に表6に示す割合で水を加えて希釈し、その粘度を測定したところ(ローターNo3)、粘性が発現したことを確認できた。
【0034】
【表6】

【0035】
増粘用添加液7
次に、平均分子量2400000のアルギン酸Na(大日本住友製薬社製)3重量部とキサンタンガム(CPケルコ社製)の3重量部を水100重量部に溶解することによって、本発明に係る塗料の実施例に配合する増粘用添加液7を作製した。この増粘用添加液7に表7に示す割合で水を加えて希釈し、その粘度を測定したところ(ローターNo3)、粘性が発現したことを確認できた。
【0036】
【表7】

【0037】
増粘用添加液8
次に、平均分子量3200000のCMC-Na(第一工業製薬社製)3重量部とキサンタンガム(CPケルコ社製)の3重量部を水100重量部に溶解することによって、本発明に係る塗料の実施例に配合する増粘用添加液8を作製した。この増粘用添加液8に表8に示す割合で水を加えて希釈し、その粘度を測定したところ(ローターNo3)、粘性が発現したことを確認できた。
【0038】
【表8】

【0039】
増粘用添加液9
次に、平均分子量487000のLM-ペクチン(CPケルコ社製)3重量部とキサンタンガム(CPケルコ社製)の3重量部を水100重量部に溶解することによって、本発明に係る塗料の実施例に配合する増粘用添加液9を作製した。この増粘用添加液9に表9に示す割合で水を加えて希釈し、その粘度を測定したところ(ローターNo3)、粘性が発現したことを確認できた。
【0040】
【表9】

【0041】
増粘用添加液10
次に、平均分子量2400000のアルギン酸Na(大日本住友製薬社製)を加水分解することにより平均分子量42000とし、この平均分子量42000のアルギン酸Naの3重量部とキサンタンガム(CPケルコ社製)の3重量部を水100重量部に溶解することによって、本発明に係る塗料の実施例に配合する増粘用添加液10を作製した。この増粘用添加液10に表10に示す割合で水を加えて希釈し、その粘度を測定したところ(ローターNo3)、粘性が発現したことを確認できた。
【0042】
【表10】

【0043】
増粘用添加液11
次に、平均分子量3200000のCMC-Na(第一工業製薬社製)を加水分解することにより平均分子量80000とし、この平均分子量80000のCMC-Naの3重量部とキサンタンガム(CPケルコ社製)の3重量部を水100重量部に溶解することによって、本発明に係る塗料の実施例に配合する増粘用添加液11を作製した。この増粘用添加液11に表11に示す割合で水を加えて希釈し、その粘度を測定したところ(ローターNo3)、粘性が発現したことを確認できた。
【0044】
【表11】

【0045】
増粘用添加液12
次に、平均分子量487000のLM-ペクチン(CPケルコ社製)を加水分解することにより平均分子量370000とし、この平均分子量370000のLM-ペクチンの3重量部とキサンタンガム(CPケルコ社製)の3重量部を水100重量部に溶解することによって、本発明に係る塗料の実施例に配合する増粘用添加液12を作製した。この増粘用添加液12に表12に示す割合で水を加えて希釈し、その粘度を測定したところ(ローターNo3)、粘性が発現したことを確認できた。
【0046】
【表12】

【0047】
実施例1乃至12
次に、増粘用添加液1乃至12それぞれ20重量部にアクリル酸共重合体13重量部及びメラミン樹脂1.5重量部を加えて混合することによって、実施例1乃至12に係る塗料を作製した。増粘用添加液1乃至12は、いずれも粘性発現が抑制されており、粘度が低いので容易にこれら塗料成分と混合することができた。比較例1として、増粘添加物1乃至12の代わりにグアーガム(伊那食品工業(株)製)の1%液を用いて塗料を同様に作製した。
【0048】
これら実施例1乃至12に係る塗料、並びに比較例1に係る塗料を水で60%に希釈して使用した。実施例1乃至12に係る塗料は、いずれも粘性発現が抑制されており、粘度が低いので容易に水に均一に希釈させることができ、また水に希釈させることによって、粘性が発現され、適度な粘性を有する塗料を用時調整することができた。一方、比較例1に係る塗料は、希釈前は粘度が高いため、分散性が悪く、希釈されると粘性がなくなり、塗料として適度な粘性が得られなかった。
【0049】
実施例13乃至24
次に、増粘用添加液1乃至12それぞれ20重量部に水性樹脂10重量部,アミノ樹脂2重量部,ジエチルエタノールアミン0.5重量部を加えて混合することによって、実施例13乃至24に係る塗料を作製した。増粘用添加液1乃至12は、いずれも粘性発現が抑制されており、粘度が低いので容易にこれら塗料成分と混合することができた。比較例2として増粘添加物1乃至12の代わりにグアーガム(伊那食品工業(株)製)の1%液を用いて塗料を同様に作製した。
【0050】
これら実施例13乃至24に係る塗料、並びに比較例2に係る塗料を水で60%に希釈して使用した。実施例13乃至24に係る塗料は、いずれも粘性発現が抑制されており、粘度が低いので容易に水に均一に希釈させることができ、また水に希釈させることによって、粘性が発現され、適度な粘性を有する塗料を用時調整することができた。一方、比較例2に係る塗料は、希釈前は粘度が高いため、分散性が悪く、希釈されると粘性がなくなり、塗料として適度な粘性が得られなかった。
【0051】
実施例25
次に、実施例25に係る塗料として、第一液及び第二液を用意した。すなわち、5重量部のLMペクチン、6重量部のクエン酸、4重量部のクエン酸ナトリウムを100重量部の水に溶解し、これにアクリル酸共重合体30重量部を加えることによって第一液を作製し、乳酸カルシウム5重量部を水100重量部に溶解し、これにメラミン樹脂3重量部を加えることによって第二液を作製した。
【0052】
次に、実施例25に係る塗料である第一液30重量部と第二液20重量部を水60重量部に分散して希釈した。実施例25に係る塗料である第一液及び第二液は、いずれも粘度が低いので容易に水に均一に混合させることができ、また水に希釈させることによって、粘性が発現され、適度な粘性を有する塗料を用時調整することができた。
【0053】
実施例26
次に、実施例26に係る塗料として、第一液及び第二液を用意した。すなわち、水とエタノールの混合溶媒(混合重量比は水:エタノール=3:2)100重量部にアルギン酸Na10重量部を溶解し、これにアクリル酸共重合体30重量部を加えることによって第一液を作製し、乳酸Ca5重量部を水100重量部に溶解し、これにメラミン樹脂3重量部を加えることによって第二液を作製した。
【0054】
次に、実施例26に係る塗料である第一液10重量部と第二液10重量部を水60重量部に分散して希釈した。実施例26に係る塗料である第一液及び第二液は、いずれも粘度が低いので容易に水に均一に混合させることができ、また水に希釈させることによって、粘性が発現され、適度な粘性を有する塗料を用時調整することができた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
糊料と粘性発現抑制剤を水に溶解させて該糊料の粘性発現を抑制することにより流動性のある液体とし、水分を含む目的物に添加されるとその粘性又はゲル化が発現されるように調整された増粘用添加液を含有することを特徴とする塗料。
【請求項2】
前記粘性発現抑制剤は、貧溶媒、低粘性多糖類、低分子の糖質及糊料と反応性のあるイオンのいずれかであることを特徴とする請求項1の塗料。
【請求項3】
前記糊料は、グアーガム、ローカストビーンガム、タラガム、キサンタンガム、タマリンドガム、トラガントガム、カラヤガム、コンニャクマンナン、CMCナトリウム、アルギン酸ナトリウム、ペクチン、アゾトバクタービネランジガム、カラギナン、化工澱粉、カシアガム、サイリュームシードガム、CMC及びメチルセルロースのいずれか一以上であることを特徴とする請求項2記載の塗料。
【請求項4】
前記粘性発現抑制剤は、アルギン酸ナトリウム、ペクチン及びCMCナトリウムのいずれか一以上であり、前記糊料は、キサンタンガムであることを特徴とする請求項1記載の塗料。
【請求項5】
同時に水分を含む目的物に添加されることによって粘性が発現される第一液及び第二液からなり、第一液及び第二液の少なくとも一方に塗料成分が含有された塗料。
【請求項6】
前記第一液及び第二液の組み合わせが、カラギナン溶液及びローカストビーンガム溶液、カラギナン溶液及び塩化カリウム溶液、キサンタンガム溶液及びローカストビーンガム溶液、キサンタンガム溶液及びグアーガム溶液、ペクチン溶液及びカルシウムイオンを含む溶液、並びにアルギン酸ナトリウム溶液及びカルシウムイオンを含む溶液のいずれかであることを特徴とする請求項5記載の塗料。

【公開番号】特開2008−260884(P2008−260884A)
【公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−105938(P2007−105938)
【出願日】平成19年4月13日(2007.4.13)
【出願人】(000118615)伊那食品工業株式会社 (95)
【Fターム(参考)】