説明

塗材組成物及びコンクリート防食施工方法並びにそれによるコンクリート防食構造

【解決手段】水硬性セメントと骨材と水系エポキシ樹脂と減水剤と粘弾性調整剤とを含む水系エポキシ樹脂モルタル組成物であって、水硬性セメントと水の重量比が0.3以上0.4以下、かつ樹脂固形分が全固形分重量に対して4%以上10%以下であり、硬化物の総細孔量が0.05cc/g以上0.2cc/g以下で、混合直後の粘度が5Pa・s以上40Pa・s以下/23℃、かつT.I値が5.0〜7.0であり、また水硬性セメントが白セメントであることを特徴とする塗材組成物であり、この塗材組成物を塗付、硬化させビニルエステル樹脂塗材又はエポキシ樹脂塗材をライニングするコンクリート防食施工方法及びコンクリート防食構造である。
【効果】鏝作業性が良く、下地コンクリート及び重層されるライニング材との付着性が良好で、水分の透過が無く、強靱なコンクリート防食構造体となりライニング材に膨れや剥がれが生じない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水処理施設、農業用集落排水施設、下水道処理施設等のコンクリート構造物の保護のために塗布する耐薬品性を有する防食ライニング材の下地調整に使用される塗材組成物及び当該塗材組成物によるコンクリート防食施工方法並びにこれによって形成されるコンクリート防食構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、水処理施設、農業用集落排水施設、下水道処理施設等のコンクリート構造物の貯水槽等の槽内防食には、高い耐薬品性が要求される場合はビニルエステル樹脂塗材によるライニング材が施工され、上水道用の貯水槽等ではエポキシ樹脂塗材によるライニング材の施工が行われている。しかしこれらの塗材が施工される下地コンクリートは、短工期化により十分な養生乾燥期間を確保することが難しいためコンクリート型枠が脱型された直後であったり、乾燥が不十分な高含水率状態にあることが多く、当該状態で上記ライニング材を施工すると施工後に剥離やふくれが発生することがあった。特にビニルエステル樹脂塗材によるライニング材が施工される場合は、塗材の硬化収縮によって下地からの剥離は顕著であった。
【0003】
これに対して、コンクリートやモルタル等からなる建築構造物における表面滲出水圧のある下地表面に、反応硬化型のエポキシ樹脂エマルジヨンと水硬性セメントとの混合物からなる下地調整層を形成した後、この下地調整層の上に急速反応型弾性エポキシ樹脂塗膜を塗着することを特徴とする防湿・防水層の施工方法では、下地調整層用の混合物は、上記エポキシ樹脂エマルジヨンの固形分を25%以上で、この樹脂エマルジヨンの水分に対して400〜200重量%の範囲で水硬性セメントを混入したものが、エポキシ樹脂エマルジョンの分散媒体である水分と反応し、エマルジョンの造膜を促進させるとともに、下地から滲出してくる水分をその水和反応の過程で吸着・保水せしめ、表面滲出水圧の影響を低減させ、下地との同質性を高め、下地調整層の接着力を増強させることが開示されている(特許文献1)。
【0004】
また、コンクリート表面に乳化可能な二液反応形エポキシ樹脂又はアルカリ水存在下で反応可能なエポキシ樹脂の中から選ばれた常温硬化形エポキシ樹脂混合物、若しくはこれと細骨材、或いはセメント、水との混合物を任意の厚みで塗付することによりコンクリート打設直後から任意の材令のコンクリートまで塗布することができ、当該組成物が下地コンクリートと強固に結合したコンクリート表層の強化方法が開示されている(特許文献2)。
【0005】
また、(A)素地調整剤がエポキシ樹脂と自己乳化性を有するアミン系硬化剤及び骨材を含有し、(B)プライマー剤がエポキシ樹脂と自己乳化性を有するアミン系硬化剤及び充填材を含有し、(C)上塗り材がエポキシ樹脂とアミン系硬化剤、充填材、希釈剤、及び層状揺変剤を含有する、これら3層からなるエポキシライニング材組成物により塗布作業性と防食性に優れた素地調整材、プライマー材及び上塗り材が開示されている(特許文献3)。
【特許文献1】特公平3−79494号公報
【特許文献2】特開平7−187860号公報
【特許文献3】特開2004−136525号公報
【0006】
特許文献1ではエポキシ樹脂エマルションと混合する水硬性セメントが下地から滲出してくる水分をその水和反応の過程で吸着・保水せしめて表面滲出水圧の影響を低減させるとし、特許文献2ではコンクリート表面が打設直後の高含水率であっても、表面強化層は十分な付着力を有するとし、特許文献3では開示されている素地調整材、プライマー材、上塗り材を順次、塗膜が乾燥した時点で塗り重ねることで、接着性と防食性に優れた塗膜が得られるとしている。
【0007】
しかしながら、これらの文献に示されたコンクリート表面に塗付する下地調整層、表面強化層、又は素地調整剤(以下下地調整層という)はコンクリートとの初期の接着性に優れてはいても、下地コンクリート内に多量の自由水が含まれている場合や、何らかの原因で水分がコンクリートに供給され続けるような場合には、仕上塗材である上塗りにふくれが発生したり、長期的には下地調整層にコンクリート中の水分が浸透して上塗りとの接着性が低下し、当該上塗りの剥離を生じることがあった。
【0008】
特に上塗りが硬化収縮を生じて下地との付着界面に大きな剥離応力が発生しやすいビニルエステル樹脂塗材の場合は、下地調整層の強度が元来十分でないことに加えて、その後下地調整層内に水分が滲出したことでさらに下地調整層の強度が低下し、このため下地調整層の表層が破壊して上塗りが下地調整層の表層と共に剥離することがあった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明が解決しようとする課題は、コンクリート型枠の脱型直後や若材齢コンクリートのような高含水率のコンクリート下地であっても付着性に優れ、強靭で、下地コンクリートからの水分の透過を防止する塗材組成物及びコンクリート防食施工方法並びにそれによるコンクリート防食構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1記載の発明は、水硬性セメントと水の重量比が0.3以上0.4以下、かつ樹脂固形分重量が全固形分重量に対して4%以上10%以下であることを特徴とする塗材組成物であり、付着性に優れ、強靱で、下地コンクリートから上昇してくる水分のライニング材裏面への透過を防ぎ、ライニング材に剥がれ、膨れ等の不具合を生じさせない。
【0011】
請求項2記載の発明は、水硬性セメントと骨材と水系エポキシ樹脂と減水剤と粘弾性調整剤を含む水系エポキシ樹脂モルタル組成物であって、硬化物の総細孔量が0.05cc/g以上0.2cc/g以下であることを特徴とする塗材組成物であり、付着性に優れ、強靱で、下地コンクリートから上昇してくる水分のライニング材裏面への透過を防ぎ、ライニング材に剥がれ、膨れ等の不具合を生じさせない。
【0012】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の塗材組成物に於いて、水系エポキシ樹脂が非乳化型のエポキシ樹脂と自己乳化型の硬化剤を配合したもので、特に下地コンクリート中に打設時の水分だけでなく断続的に多量の水分が供給される海岸の埋立地や切土上に打設された下地コンクリートであっても、下地コンクリートから上昇してくる水分のライニング材裏面への透過を長期に亘って防ぎ、ライニング材に剥がれ、膨れ等の不具合を生じさせない。
【0013】
請求項4記載の発明は、塗材組成物の混合直後における粘度が5Pa・s以上40Pa・s以下/23℃、かつT.I値が4.0〜7.0であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか記載の塗材組成物であり、鏝さばきが良く、垂直面へ塗布してもタレが生じない。
【0014】
請求項5記載の発明は、水硬性セメントが白セメントであることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか記載の塗材組成物であり、鏝さばきが良く、垂直面へ塗布してもタレが生じない。
【0015】
請求項6記載の発明は、コンクリート表面に請求項1乃至請求項5のいずれか記載の塗材組成物を塗付して硬化させ、プライマーを塗布した後、ビニルエステル樹脂塗材をライニングすることを特徴とするコンクリート防食施工方法であり、ライニング材及び下地との付着性がよく、ライニング材に膨れ等の不具合が生じることがない。
【0016】
請求項7記載の発明は、コンクリート表面に請求項1乃至請求項5のいずれか記載の塗材組成物を塗付して硬化させ、エポキシ樹脂塗材をライニングすることを特徴とするコンクリート防食施工方法であり、ライニング材及び下地との付着性がよく、ライニング材に膨れ等の不具合が生じることがない。
【0017】
請求項8記載の発明は、前記コンクリートが打設後1日以上10日以下の若材齢コンクリートであることを特徴とする請求項6又は請求項7記載のコンクリート防食施工方法であり、コンクリート打設からライニング材施工終了までの施工期間が短く、ライニング材及び下地との付着性がよく、ライニング材に剥離等の不具合が生じることがない。
【0018】
請求項9記載の発明は、コンクリート表面に請求項1乃至請求項5のいずれか記載の塗材組成物を塗付して硬化させ、プライマーを塗布した後、ビニルエステル樹脂塗材をライニングすることを特徴とするコンクリート防食構造であり、ライニング材に膨れ等の不具合が生じることがない、強靭なコンクリート防食構造となる。
【0019】
請求項10記載の発明は、コンクリート表面に請求項1乃至請求項5のいずれか記載の塗材組成物を塗付して硬化させ、エポキシ樹脂塗材をライニングすることを特徴とするコンクリート防食構造であり、ライニング材に膨れ等の不具合が生じることがない、強靭なコンクリート防食構造となる。
【0020】
請求項11記載の発明は、前記コンクリートが打設後1日以上10日以下の若材齢コンクリートであることを特徴とする請求項9又は請求項10記載のコンクリート防食構造であり、表面水分率が高い若材齢コンクリート上であっても、ライニング材に膨れ等の不具合が生じることがない、強靭なコンクリート防食構造となる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の塗材組成物は、水硬性セメントと骨材と水系エポキシ樹脂と減水剤と粘弾性調整剤を含む水系エポキシ樹脂モルタル組成物であって、水硬性セメントと水の重量比が0.3以上0.4以下で、かつ樹脂固形分重量が全固形分重量に対して4%以上10%以下であることで、硬化したあとの硬化物の総細孔量が0.05cc/g以上0.2cc/g以下となり、これにより下地コンクリート及び重層されるライニング材との付着性が高く、また下地コンクリートから上昇してくる水分のライニング材裏面への透過を防止して、強靱なコンクリート防食構造になり、ライニング材に剥離や膨れ等の不具合が生じることがない。ここで総細孔量とは塗材組成物中の数nmから数十μm程度の非常に小さな穴の総量をいい、水銀圧入法により水銀の注入圧と注入量から細孔分布を求め、各細孔半径ごとの体積(細孔量)を合算したものである。
【0022】
全固形分重量についてであるが、本発明が水硬性セメントを配合するものであり、水硬性セメントと水の重量比は少なくとも0.3以上0.5以下と低水セメント比の組成物であるため、水系エポキシ樹脂に含まれる水分は当該水硬性セメントの水和にその殆んどが消費されて結晶水となるため、水を含んだ全配合物の重量を全固形分重量とした。
【0023】
本発明の塗材組成物はその混合直後の粘度が5Pa・s以上40Pa・s以下/23℃、かつT.I値が4.0〜7.0であり、さらに樹脂固形分重量が4%以上10%以下であれば、鏝さばきが良く、垂直面へ塗布してもタレが生じない。さらに水硬性セメントが白セメントであると、本発明の塗材組成物は全体が白色となり、この上層に淡色系ライニング材を塗付した際にも、ライニング材の色ムラが目立ちにくく、また鏝さばきが良好となる。
【0024】
さらに本発明の塗材組成物をコンクリートに塗付した後にプライマーを塗布し、さらにビニルエステル樹脂塗材をライニングすることにより、ライニング材及び下地との付着性が良好で、ライニング材に膨れや剥離等の不具合が生じることがない強靱なコンクリート防食構造となる。
【0025】
加えて本発明の塗材組成物は、下地コンクリートが打設10日以下の若材齢であっても十分な付着性を有し、下地コンクリートから上昇してくる水分のライニング材裏面への透過が無いためライニング材等に膨れや剥離を生じることがなく、長期にわたって強靱なコンクリート防食構造を保持する。なおここでいう若材齢のコンクリートとはコンクリートを打設して10日以下であることはもちろん、これに加えて表面水分率が高い状態にあるコンクリートをいい、例えばケット水分計HI−520(測定レンジ:コンクリートレンジ)で8%以上のコンクリートをいう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明の水系エポキシ樹脂モルタル組成物は下地コンクリートの表面に塗付することにより、下地コンクリートの表面を改質する塗材組成物であり、液状エポキシ樹脂と水系硬化剤とを撹拌混合することにより強制的に乳化させた分散組成物と、水硬性セメント、骨材、減水材及び粘弾性調整剤を混合したものである。
【0027】
また、本発明の塗材組成物は、硬化物の総細孔量が0.05cc/g以上0.2cc/g以下では、その空隙は極めて小さく、連続した導管が無い。従ってライニング材であるビニルエステル樹脂塗材やエポキシ樹脂塗材の裏面に水分が供給されることが無く、ふくれの駆動力となる浸透圧が発生することがない。
【0028】
また、全固形分重量に対する樹脂固形分重量の割合が4%以上10%以下の本発明の塗材組成物は、付着性が良好で、プライマーやビニルエステル樹脂塗材或いはエポキシ樹脂塗材であるラインング材と十分な付着性を有する。
【0029】
さらには、エポキシ樹脂ライニング材を塗付する際、一般的に必要とされるプライマーが不要で、本発明である塗材組成物の表面にエポキシ樹脂ライニング材を直接塗付することが出来る。なお塗布に際しては本発明である塗材組成物の表面を目粗しすることが好ましい。
【0030】
本発明のエポキシ樹脂は、液状であり、常温硬化するものであればよく、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、ジアリールスルホン型エポキシ樹脂、ヒドロキノン型エポキシ樹脂およびそれらの変性物などを単独あるいは併せて用いてもよく、また、希釈剤を用いて液状化してもよい。また好ましくはエポキシ樹脂が水に乳化せず不溶なものが良く、本願ではこれを非乳化型と称している。最も多く配合するエポキシ樹脂の軟化点は、35℃以下が好ましく、このような液状エポキシ樹脂としては、液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂が、汎用性、コスト等で適当である。なおこれらのエポキシ樹脂組成物の市販品例としてジョリエースJEX210A(アイカ工業(株)製エポキシ樹脂、商品名、エポキシ当量180、固形分100%、粘度0.7Pa・s/25℃)がある。
【0031】
本発明の水系硬化剤は、前記エポキシ樹脂と混合し、また水分を良好に分散させることができるものであればよく、下記脂肪族ポリアミン、脂環式ポリアミン等を選択し、単独或いは組み合わせて使用する。
【0032】
脂肪族ポリアミンは、アミノ基及びイミノ基を分子中に少なくとも2個以上有する脂肪族化合物であり、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ジエチルアミノプロピルアミン、ヘキサメチレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、ポリオキシプロピレンジアミン、イミノビスヘキシルアミン等がある。
【0033】
脂環式ポリアミンは、アミノ基及びイミノ基を分子中に少なくとも2個以上有する脂環式化合物であり、キシリレンジアミン、3,9ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、N−アミノエチルピペラジン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン等がある。
【0034】
この他、ポリエーテル等の親水性主鎖をエポキシ樹脂に導入し、過剰のアミンを反応させた自己乳化型硬化剤、脂肪族ポリアミンのエチレンオキサイド付加物、エポキシ樹脂付加物、ポリエチレンポリアミン変性物等の変性脂肪族ポリアミンや脂環式ポリアミンのモノグリシジルエーテル付加物、エポキシ樹脂付加物、アクリルニトリル付加物、フェノールホルマリン変性物(マンニッヒ変成物)、脂肪酸グリシジルエーテル付加物の変性脂環式ポリアミンやポリエチレンポリアミンへの脂肪酸、ポリエチレンポリアミンへのダイマー酸、キシリレンジアミン−ダイマー酸等の縮合反応生成物であるポリアミドアミン並びにこれらの変性物等が挙げられる。前記自己乳化型硬化剤の市販品例としてジョリエースJEX210B(アイカ工業(株)製エポキシ樹脂硬化剤、商品名、活性水素当量750、固形分18%水溶液、粘度7mPa・s/25℃)がある。
【0035】
本発明においてビニルエステル樹脂をライニングする際に硬化した塗材組成物に塗布するプライマーには、一般公知のプライマーが使用でき、たとえば一液湿気硬化型ウレタンプライマー、常温硬化型エポキシプライマー、不飽和ポリエステル系プライマーを挙げることが出来る。
【0036】
本発明の塗材組成物は樹脂固形分重量が4%以上10%以下であって、その混合直後の粘度が5Pa・s以上40Pa・s以下/23℃でT.I値が4.0〜7.0で鏝さばきが良く垂直面へ塗布してもタレが生じることがないが、ここで言うT.I値はJIS A6024のチクソトロピックインデックスの試験方法に準じ、BH型回転粘度計の2rpmの粘度を20rpmの粘度で除したときの値である。T.I値が4.0〜7.0の際は垂直面に塗付した場合タレが生ぜず作業性が良好である。粘度はBH型回転粘度計で6号ローター20rpm時の粘度(ただし粘度が50Pa・s以上の場合は7号ローター20rpm時の粘度)、5Pa・s未満40Pa・s超では鏝さばきが不良となる。
【0037】
水硬性成分はセメント、水硬性ポゾランであり、セメントとしては、水硬性セメントであれば特に限定されることはない。普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、耐硫酸塩ポルトランドセメント、白色ポルトランドセメント等の各種ポルトランドセメントや高炉セメント、シリカセメント、フライアッシュセメント等の混合セメントや、アルミン酸石灰質セメント、ケイ酸アルミン酸石灰質セメント、リン酸セメント等がある。白セメントすなわち白色ポルトランドセメントが、流動性が良い点で好ましい。水硬性ポゾランとしてメタカオリンが挙げられる。市販メタカオリンとしてはメタマックスHRM((株)デグサコンストラクション、商品名)がある。
【0038】
減水剤は陰イオン系、非イオン系、陽イオン系又は両性イオン系のAE剤とリグニンスルホン酸塩系、高級多価アルコールのスルホン酸塩系、オキシ有機酸、アルキルアリールスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル系、ポリカルボン酸系又はポリオール複合体の減水剤、これらの複合または混合したものが使うことができるが、最も効果を有するものに変性ポリカルボン酸系又はポリエーテル・ポリカルボン酸系の高性能AE減水剤がある。変性ポリカルボン酸系AE減水剤の市販品例としてはMelflux AP101F((株)デグサコンストラクション、商品名)が、ポリエーテル・ポリカルボン酸系の高性能AE減水剤の市販品例としてはMelflux2641F((株)デグサコンストラクション、商品名)が挙げられる。これらのAE減水剤は水硬性セメント100部に対し0.1重量部から1重量部を配合することで水硬性セメントを十分に分散させた上で塗材組成物の粘度を低下させ、次に示す粘弾性調整剤をさらに配合することによって本発明の所定の粘度とT.I値に調整することが出来る。
【0039】
粘弾性調整剤は、塗材組成物のダレを防止する目的で配合するものであり、一般に無機系、金属石鹸系、天然物系、セルロース誘導体系、ポリカルボン酸系、ポリエーテル誘導体系、ポリビニル系があり、本発明に於いては高分子の強固な網目構造を有する高分子型が最も好ましい。市販粘弾性調整剤としては高分子型のVPWR40F((株)デグサコンストラクション、商品名)がある。配合量はセメント100部に対して0.05〜0.15重量部の割合で混合され、この範囲であれば垂直面への塗付時にタレが生ぜず塗付作業性が良好となる。
【0040】
骨材は通常水硬性材料と混合して使用できるものであれば良いが、鏝さばきを良好とするにはJISG5901の48号〜150号のけい砂であることが好ましく、前記、水硬性セメントと水の重量比、及び全固形分重量に対する樹脂固形分重量にて配合成分と配合量が確定するので、実際には残る成分となる。骨材は粒径等が同じであれば、等しい効果が得られるものの、コスト、入手性から、けい砂が最適となる。JISG5901の150号より細かいと粘度が高くなり、鏝作業性が低下し、48号より大きいと強度、収縮による割れ、骨材の凹凸により表面仕上り性が劣る結果となる。市販品としては東北珪砂6、7号(北日本産業(株)、商品名)等がある。
【0041】
配合物の混合形態として、エポキシ樹脂、水系硬化剤、水、水硬性成分、骨材、減水剤、粘弾性調整剤が主たる配合物であるが、2液、1粉体とするのが使用に際して好ましい。すなわち、水系硬化剤と水、エポキシ樹脂、骨材と減水剤と粘弾性調整剤と水硬性成分とするのが、混合・分散不十分、特性の失活、計量ミス・誤差を防ぐには好ましいが、別個に配合しても構わない。
【0042】
本発明の塗材組成物はコンクリートに1.0〜6.0kg/m塗付できるが、2.0kg/m程度が塗付作業性の点で適当である。1.0kg/m未満では下地上に均一な厚みに塗付することが難しく、6.0kg/m超では垂直面に塗布することが難しくなる。コンクリートが打設後10日以上のコンクリート下地に対しては、コンクリート表面の水分が揮散してコンクリート表面の細孔が空洞状態になっていることから、塗付した塗材組成物の水分だけがコンクリート表面に吸い込まれて水成分が減少し塗付した塗材組成物の組成が硬化前に変化して硬化不良となる恐れがあり、これを防止するため予めプライマーとして、本発明の樹脂部(エポキシ樹脂と水系硬化剤及び水を混合したもの)を0.1kg/m程度塗付するか、当該樹脂部に普通ポルトランドセメンとを1:1で配合し、金鏝で下地コンクリート表面に擦り込むように塗布しておくことが望ましい。
【0043】
本発明の塗材組成物を塗付後、重層できるライニング材としてはビニルエステル樹脂塗材及びエポキシ樹脂塗材に限定されない。例えば衝突混合型のポリウレア樹脂塗材やローラー刷毛で塗付可能なポリウレア樹脂塗材であってもよく、これらのポリウレア樹脂塗材は、本発明の塗材組成物が硬化後、エポキシプライマーを塗付した上で吹付け又はローラー刷毛により塗付する。ライニング材の市販品としてはビニルエステル樹脂塗材としてジョリエースJE−2503(アイカ工業(株)、商品名)、エポキシ樹脂塗材としてダイナミックレジンC333(アイカ工業(株)、商品名)等がある。
【0044】
以下、実施例及び比較例にて詳細に説明する。
【実施例1】
【0045】
攪拌機にジョリエースJEX210A(アイカ工業(株)製エポキシ樹脂、商品名、エポキシ当量180、固形分100%、粘度0.7Pa・s/25℃)100重量部とジョリエースJEX210B(アイカ工業(株)製エポキシ樹脂硬化剤、商品名、活性水素当量750、固形分18%水溶液、粘度7mPa・s/25℃)400重量部を入れ、けい砂(JISけい砂100号)400重量部、ホワイトセメント(太平洋セメント(株)、白色ポルトランドセメント)820重量部、減水剤Melflux AP101F((株)デグサコンストラクション、商品名、変成ポリカルボン酸系減水剤)5重量部、粘弾性調整剤としてVPWR40F((株)デグサコンストラクション、商品名)を1重量部配合し、水硬性セメントと水の重量比0.4、樹脂固形分重量が全固形分重量に対して10%の塗材組成物を調製し、実施例1とした。
【実施例2】
【0046】
実施例1の白色ポルトランドセメントを普通ポルトランドセメント(太平洋セメント(株)製)に換えた以外同じに行い、実施例2とした。
【実施例3】
【0047】
実施例1のけい砂を830重量部とし、水硬性セメントと水の重量比0.4、樹脂固形分重量8%とした以外同じに行い、実施例3とした。
【実施例4】
【0048】
実施例3のホワイトセメント1090重量部、けい砂を560重量部とし、水硬性セメントと水の重量比0.3、樹脂固形分重量8%とした以外同じに行い、実施例4とした。
【実施例5】
【0049】
実施例3のホワイトセメントを1385重量部、けい砂を825重量部とし、水160重量部を追加し、水硬性セメントと水の重量比0.35、樹脂固形分重量6%とした以外同じに行い、実施例5とした。
【実施例6】
【0050】
実施例3のホワイトセメントを2120重量部、けい砂を1265重量部とし、水を415重量部を追加し、水硬性セメントと水の重量比0.35、樹脂固形分重量4%とした以外同じに行い、実施例6とした。
【実施例7】
【0051】
実施例3のホワイトセメントを1090重量部、けい砂を1280重量部とし、水硬性セメントと水の重量比0.3、樹脂固形分重量6%とした以外同じに行い、実施例7とした。
【実施例8】
【0052】
実施例3のけい砂を1550重量部とし、水硬性セメントと水の重量比0.4、樹脂固形分重量6%とした以外同じに行い、実施例8とした。
【実施例9】
【0053】
実施例1のホワイトセメントを4330重量部、けい砂を2580重量部とし、水1190重量部を追加し、水硬性セメントと水の重量比0.35、樹脂固形分重量2%とした以外同じに行い、実施例1とした。
【実施例10】
【0054】
実施例1のホワイトセメントを660重量部、けい砂を990量部とし、水硬性セメントと水の重量比0.5、樹脂固形分重量8%とした以外同じに行い、実施例10とした。
【0055】
比較例1
塗材組成物なし、下塗りを行わないものとして比較例1とした。
【0056】
表1に実施例及び比較例の結果を示す。
【0057】
【表1】

【0058】
評価方法
【0059】
総細孔量:本発明の塗材組成物をガラスシャーレ内に厚さ3mmで流し込み、24時間後にシャーレ内より取り出した後、ハンマーで細かく砕く。次にふるいにより2.5〜5.0mmの破砕片を取り出し真空脱水とドライアイスによるトラップ処理(D−dry処理)をして、塗材組成物中の水分を除去した上で水銀圧入法により測定した。測定には島津製作所製自動ポロシメータオートポアIV9500を使用した。
【0060】
耐ふくれ性:水硬性セメントと水の重量比0.8のコンクリートをφ200×150mmの円柱型とし、材齢1日、4日、10日のものを調製する。この上面に実施例の塗材組成物を2.0kg/m塗付1日後、プライマーである一液湿気硬化型ウレタンプライマーのジョリエースJU‐1270(アイカ工業(株)、商品名)を0.1kg/m塗付し、指触乾燥後、ビニルエステル樹脂塗材としてジョリエースJE2503を0.4kg/m塗布し直ちにJR−94KM(ガラスマット#380、アイカ工業(株)、商品名)を貼り付け含浸させ、更にビニルエステル樹脂塗材ジョリエースJE2503を0.6kg/m塗布することによりビニルエステル樹脂塗材でライニングした。またこれとは別に当該ビニルエステル樹脂塗材の代わりにエポキシ樹脂塗材としてダイナミックレジンC−333を0.7kg/m塗布し、硬化後更に同塗材を0.7kg/m塗布し、エポキシ樹脂塗材によりライニングした。これらを7日間23℃にて静置後、試験体とし、試験体の上面より、10mmを残して、28日30℃温水に浸漬する。発生したふくれの状態を目視にて観察するとともにふくれを透明なシートに写し取る。中央部100φ部分をふくれ観察部位とし、100φ部分に発生したふくれ面積を100φ部分の面積で除してふくれ面積%とする。各材齢全てのふくれ面積%が1%未満のものを○、前記以外を×とする。
【0061】
鏝作業性:90×90cmの8mm厚フレキシブル板を水平に置き、これに塗材組成物を塗付し評価する。全ての目隠しサンプルを官能評価し、金鏝が重くないものを○とし、それ以外のものを×とした。金鏝が重くないというのは、金鏝にかかる力がおおよそ1N以下となるものである。
【0062】
タレ性:JISA5371付属書2普通平板呼び300の規定に適合する300×300×60mmのコンクリート平板表面を高圧水洗して表面の脆弱部を除去する。平板の表面が垂直になるように保持したまま塗材組成物を金鏝で塗り付け、タレが生じないものを○、それ以外を×とした。
【0063】
遮水性:厚さ1mmの塩ビ板の上に塗材組成物を2kg/m(1mm厚み)で塗布し、48時間後に塩ビ板を脱型する。その後塗材組成物を7日間養生して試験体とし下地の無い塗材組成物層のみで JISA6909の透水試験B法の透水量を測定した。0.2ml以下で防水性能を有すると判断し、これを○とした。
【0064】
上塗り付着性1:上記耐ふくれ性試験終了後の試験体のうちビニルエステル樹脂塗材をライニングした試験体を使用し、試験終了後ヒーターの電源を遮断し水温を23℃とする。この状態で24時間放置し、水中から試験体を取り出し、カッターナイフにて前記ビニルエステル樹脂塗材が3cm×5cm残るようにその周囲を除去する。その上で残ったビニルエステル樹脂塗材の短辺側(3cm)部分の塗材(図1及び図2においては塗材10)と塗材組成物層(図1及び図2においては被塗物11)との界面に図1及び図2に示す付着力測定器の刃先1を挿入させ、刃先1に荷重することによりビニルエステル樹脂塗材と塗材組成物層との界面に刃先1をさらに挿入進展させ、ビニルエステル樹脂塗材を塗材組成物表層から剥離させ、剥離時の荷重を付着力とし付着性を評価した。付着力測定器の正面図を図1に、同平面図を図2に示す。刃先角度は11°とし、本付着力測定器での測定値が10N/cm以上を○とし、それ以外を×とする。
【0065】
上塗り付着性2:上記耐ふくれ性試験終了後の試験体のうちエポキシ樹脂塗材をライニングした試験体を使用し、試験終了後ヒーターの電源を遮断し水温を23℃とする。この状態で24時間放置し、水中から試験体を取り出し、カッターナイフにて前記エポキシ樹脂塗材が3cm×5cm残るようにその周囲を除去する。その上で残ったエポキシ樹脂塗材の短辺側(3cm)部分の塗材(図1及び図2においては塗材10)と塗材組成物層(図1及び図2においては被塗物11)との界面に図1及び図2に示す付着力測定器の刃先1を挿入させ、刃先1に荷重することによりエポキシ樹脂塗材と塗材組成物層との界面に刃先1をさらに挿入進展させ、エポキシ樹脂塗材を塗材組成物表層から剥離させ、剥離時の荷重を付着力とし付着性を評価した。付着力測定機の正面図を図1に、同平面図を図2に示す。刃先角度は11°とし、本付着力測定機での測定値が10N/cm以上を○とし、それ以外を×とする。
【0066】
評価結果のまとめ:実施例1乃至実施例6ではすべての評価結果が良好であった。従って総細孔量が0.05cc/g以上0.2cc/g以下であって、水硬性セメントと水の重量比が0.3以上0.4以下、かつ樹脂固形分重量が全固形分重量に対して4%以上10%以下であって、粘度が5Pa・s以上40Pa・s以下/23℃、かつT.I値が4.0〜7.0であれば、防食ライニング材下地に好適に使用でき、高含水率のコンクリート下地であっても付着性に優れ、強靭で、下地コンクリートからの水分の透過を防止する塗材組成物及びコンクリート防食施工方法並びにそれによるコンクリート防食構造となる。実施例7及び実施例8は粘度が高いため鏝作業性の評価は×であったが総細孔量が0.2cc/g以下であり、水硬性セメントと水の重量比が0.5以下であるため耐ふくれ性は良好で、夏季等の高温時には使用ができる塗材組成物である。実施例9は樹脂固形分重量が2.0%と低いことから下地に塗布した際、水分が急速に下地に吸い込まれ、その結果鏝作業性が×評価である。しかし上塗り付着性1及び上塗り付着性2の評価は○であり、鏝作業性が良好でなくても施工可能な狭い範囲の施工であれば使用できる。実施例10は水硬性セメントと水の重量比が0.5と高く、T.I値も高いため鏝作業性が×評価であったが、総細孔量が0.2cc/g以下であるため耐ふくれ性は○評価であり、実施例9と同様に鏝作業性を気にしない狭い範囲の施工であれば使用可能である。
【0067】
以下、上記上塗り付着性1で使用した付着力測定器の概念の詳細を示す。
【0068】
図1及び図2に示した付着力測定器であるが、当該付着力測定器は刃先(刃物)1と、刃先1に角度(図1においては11°)を保持させる支持輪2と、刃先1を先端方向に被測定物である塗材10側に連結棒6及び秤外筒8を介して押し付けるための取っ手3と、この押力の最大を測定する器具4(筒状のばね秤)からなる。当該付着力測定器は、被塗物11に塗材10が塗付されて硬化した後、所定の幅に切り出された被測定物である塗材10の端部において、塗材10と被塗物11の付着界面に刃先1の先端を、取って3を手で握りながら押し付け、塗材10が被塗物11より剥離する際の最大応力を、押力の最大を測定する器具4によって測定するものである。
【0069】
押力の最大を測定する器具4は秤外筒8に秤内筒9が擦動自在に内接され、該秤内筒9の下側前後には連結棒6が略垂直に固着され、該連結棒6には刃先1と一体となったカワスキが固着されている。秤内筒9は秤外筒8の内部において秤外秤8の取って3側の端部にコイルバネ(図示せず)によって張着されている。従って秤内筒9の後端部(図1において右側)は秤外筒8の開放右端(図1において右側)より突出し、刃先1が塗材10に押し付けられると、その押力が大きくなるにつれ、秤内筒9の後端部が序々に秤外筒8の開放右端から遠ざかるように摺動する。つまり、前記コイルバネ(図示せず)が伸展することによって刃先1が塗材10に押し付けられる力も大きくなることになる。測定時において秤内筒9が最大に摺動した時点が刃先1が塗材10に最も大きな力で押されたこととなり、その際塗材10は被塗物11より剥離することになる。この秤内筒9の最大の摺動位置が置き針5によって秤外筒8の所定位置に添着されて、塗材10が被塗物11より剥離して秤内筒9が秤外筒8内にすべて収納され図1の状態になった後でも、置き針5が置かれた位置によって刃先1が塗材10に押し付けられた力を読み取ることが出来るものである。なお12は秤外筒8の下部前後に渡って細長に設けられた秤外筒の切り欠き部であり、この秤外筒の切り欠き部12を連通して連結部6が秤内筒9と固着されている。また7は両側に配置された2個の支持輪2を回転自在に固着する支持輪台であり、前記刃先1と一体となったカワスキの下側に固着されている。刃先1の角度は当該支持輪2の位置を前後することや支持輪2の直径を変化させることにより変えることが出来る。つまり支持輪2の位置を図1において左側に移動させ、又は支持輪2の直径を小さくすることにより刃先1の角度を小さくすることが出来る。
【0070】
なお押力の最大を測定する器具4は図1及び図2では円筒状のバネ秤を用いたが、デジタルセンサー式でも構わない。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】付着力測定器の正面図である。
【図2】付着力測定器の平面図である。
【符号の説明】
【0072】
1 刃先(刃物)
2 支持輪
3 取っ手(秤外筒に固定する。)
4 押力の最大を測定する器具
5 置き針(最大値を示す針)
6 連結棒(刃物と秤内筒を固定する。)
7 支持輪台(刃先方向に前後させることに角度を変える。)
8 秤外筒
9 秤内筒
10 塗材
11 被塗物
12 秤外筒の切り欠き部



【特許請求の範囲】
【請求項1】
水硬性セメントと骨材と水系エポキシ樹脂と減水剤と粘弾性調整剤を含む水系エポキシ樹脂モルタル組成物であって、水硬性セメントと水の重量比が0.3以上0.4以下、かつ樹脂固形分重量が全固形分重量に対して4%以上10%以下であることを特徴とする塗材組成物
【請求項2】
水硬性セメントと骨材と水系エポキシ樹脂と減水剤と粘弾性調整剤を含む水系エポキシ樹脂モルタル組成物であって、硬化物の総細孔量が0.05cc/g以上0.2cc/g以下であることを特徴とする塗材組成物
【請求項3】
前記水系エポキシ樹脂は、非乳化型のエポキシ樹脂と自己乳化型の硬化剤とを配合したものであることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の塗材組成物
【請求項4】
前記塗材組成物の混合直後における粘度が5Pa・s以上40Pa・s以下/23℃、かつT.I値が4.0〜7.0であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか記載の塗材組成物
【請求項5】
前記塗材組成物の水硬性セメントが白セメントであることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか記載の塗材組成物
【請求項6】
コンクリート表面に請求項1乃至請求項5のいずれか記載の塗材組成物を塗付して硬化させ、プライマーを塗布した後、ビニルエステル樹脂塗材をライニングすることを特徴とするコンクリート防食施工方法
【請求項7】
コンクリート表面に請求項1乃至請求項5のいずれか記載の塗材組成物を塗付して硬化させ、エポキシ樹脂塗材をライニングすることを特徴とするコンクリート防食施工方法
【請求項8】
前記コンクリートが打設後1日以上10日以下の若材齢コンクリートであることを特徴とする請求項6又は請求項7記載のコンクリート防食施工方法
【請求項9】
コンクリート表面に請求項1乃至請求項5のいずれか記載の塗材組成物を塗付して硬化させ、プライマーを塗布した後、ビニルエステル樹脂塗材をライニングすることを特徴とするコンクリート防食構造
【請求項10】
コンクリート表面に請求項1乃至請求項5のいずれか記載の塗材組成物を塗付して硬化させ、エポキシ樹脂塗材をライニングすることを特徴とするコンクリート防食構造
【請求項11】
前記コンクリートが打設後1日以上10日以下の若材齢コンクリートであることを特徴とする請求項9又は請求項10記載のコンクリート防食構造



【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−143776(P2009−143776A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−324362(P2007−324362)
【出願日】平成19年12月17日(2007.12.17)
【出願人】(000100698)アイカ工業株式会社 (566)
【Fターム(参考)】