説明

塗膜テープエンド部の構造

【課題】薄膜化した塗膜テープにおいても、インクの浮きや剥離が起こらない塗膜テープエンド部の構造を提供すること。
【解決手段】コアとエンドテープ一端部を連結するための第1の片面接着テープと、エンドテープ多端部と塗膜テープの一端部を接続する第2の片面接着テープの厚みを25μm以下にした。前記第2の片面接着テープ、前記エンドテープ及び前記塗膜テープが重なる接着部の総厚みに対する前記第2の片面接着テープの厚みは20%以上70%以下で、前記エンドテープと前記第1の片面接着テープが重なる接着部の総厚みに対する前記第1の片面接着テープの厚みと、前記塗膜テープと前記第2の片面接着テープが重なる接着部の総厚みに対する前記第2の片面接着テープの厚みは、各30%以上70%以下である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗膜テープエンド部の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、文字修正用塗膜、接着用粘着材膜、装飾用塗膜等を被転写面に押圧転写するための塗膜転写具が知られている。この塗膜転写具には、テープ基材上に塗膜層が設けられた塗膜テープが用いられる。
塗膜転写具の使用に際し、使用者がテープの終了を認識できるように、塗膜テープの端にはテープエンド部がある。塗膜テープエンド部は、コアと塗膜テープとの間にポリエステル等の材質からなるエンドテープが接続された構造となっており、その構造の一例が、特許文献1に開示されている。
【0003】
コアとエンドテープ、及びエンドテープと塗膜テープとの連結は、図1に示すような片面接着テープを用いて行われる。図1に示すように、コア、エンドテープ及び塗膜テープの接着部6、7、8は、テープが重ねて貼り合わされた構造になっている。
上記のテープエンド構造を持つ塗膜テープをロール状(重ね巻き)にした場合、上記接着部6、7、8の厚みが不均一であるために、これらの接着部分にテープ巻圧が集中する。その結果、基材から塗膜が剥離し易くなり、転写面のインク浮きや、基材背面にインクが付着することがある。この状態の転写具を用いた場合、転写時において転写ヘッド先端面にインクが溜まるため、転写ヘッド先端が均等に転写面に押さえつけることができなかったり、テープ走行に抵抗が加わり転写そのものができなくなるという問題がある。
片面接着テープの厚みが60μm程度の場合、塗膜テープの厚みが38μm程度であれば、上記の問題は生じない。
【0004】
【特許文献1】特開平6−115229号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、塗膜転写具が小型化し、塗膜テープの薄膜化が進むと、テープ基材の弾性反発力(腰強さ)が弱くなるため、テープの重ね貼り部分において塗膜剥離の問題が発生しやすくなる。
さらに、コア径が小径化されることにより、テープ巻圧が狭い範囲により集中しやすくなる。
従って、塗膜テープが薄膜化された場合には、従来の塗膜テープエンド部の構造では上述した問題が解決されない。
【0006】
本発明は、上記の点に鑑み、薄膜化した塗膜テープにおいても、インクの浮きや剥離が起こらない塗膜テープエンド部の構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、コアと、エンドテープと、前記コアと前記エンドテープ一端部を連結するための第1の片面接着テープと、前記エンドテープ他端部と塗膜テープの一端部を接続する第2の片面接着テープとからなり、
前記第1の片面接着テープと前記第2の片面接着テープの厚みが各25μm以下で、前記第2の片面接着テープ、前記エンドテープ及び塗膜テープが重なる接着部の総厚みに対する前記第2の片面接着テープの厚みが20%以上70%以下で、
前記エンドテープと前記第1の片面接着テープが重なる接着部の総厚みに対する前記第1の片面接着テープの厚みと、塗膜テープと前記第2の片面接着テープが重なる接着部の総厚みに対する前記第2の片面接着テープの厚みが各30%以上70%以下であることを特徴とする塗膜テープエンド部の構造により、前記の課題を解決した。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、塗膜テープが薄膜化した場合においても、テープの巻圧が前記接着部に集中することがなくなるため、テープの張力が一定に保たれる。その結果、基材から塗膜が剥離することが無くなり、転写面のインク浮きや剥離による、転写ヘッド先端面へのインク溜まりやテープ走行への負荷といった塗膜転写具の動作不良が無くなり、きれいな塗膜転写面が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明を図1〜図3に基づいて詳しく説明する。図1は、本発明の塗膜テープエンド部の構造の一例を示す展開拡大側面図、図2は図1の塗膜テープエンド部の構造の斜視図、図3は、図1の塗膜テープエンド部の構造において、テープをコアに巻いたときの様子を表す拡大側面図である。
【0010】
図1において、1はコア、2はエンドテープである。第1の片面接着テープ3は、前記コア1の外周面にその一端が接着され、前記コア1と前記エンドテープ2との接続部の上部に接着されている(接着部6)。前記エンドテープ2の他端部には、塗膜テープ4の一端部が接着され、前記エンドテープ2と前記塗膜テープ4との接続部の下部に、第2の片面接着テープ5が接着されている(接着部7、8)。前記塗膜テープ4の厚みは、塗膜転写具の小型化に対応して従来の38μmよりも薄くなり、28μm程度である。また、エンドテープ2の厚みは12μm〜25μmである。
【0011】
図1、2に示すように、接着部6及び8はテープが2層構造、接着部7はテープが3層構造になっており、他の部分と比べて厚みがある構造になる。厚み60μmの従来の接着テープを用いて、塗膜テープをロール状(重ね巻き)にした場合、前記各接着部6、7、8の厚みが他の部分と比較して不均一となり、部分的にテープの巻圧が集中する。
【0012】
本発明においては、第1及び第2の片面接着テープの厚みを従来の60μmから25μm程度にまで薄くすることによって、接着部6、7、8の厚みを薄くし、これによって張力が塗膜テープに均等にかかるようにした。
【0013】
第2の片面接着テープ5、エンドテープ2及び塗膜テープ4が重なる接着部7の総厚みに対する第2の片面接着テープ5の厚みは、20%以上70%以下である。また、エンドテープ2と第1の片面接着テープ3が重なる接着部6の総厚みに対する第1の片面接着テープ3の厚みと、塗膜テープ4と第2の片面接着テープ5が重なる接着部8の総厚みに対する第2の片面接着テープ5の厚みは、各30%以上70%以下である。
各接着テープの厚みが重ね貼り部分の総厚みに対して20%(30%)を下回った場合、接合部が剥がれる可能性があり、塗膜転写具の動作不良を起こす場合がある。
【実施例】
【0014】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明する。但し、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
【0015】
(実施例1)
第1及び第2の片面接着テープ3、5の厚みを各25μmとし、塗膜テープ4の基材としてPET6μm、コア径0.6cmのコア及び厚さ12μmのポリエステル系エンドテープを用いて、基材(6μmのPET)を含めた塗膜の厚みが28μmの塗膜テープを製造した。
【0016】
(実施例2)
実施例1において、第1及び第2の片面接着テープ3、5の厚みを各25μmから各15μmに替え、それ以外は実施例1と同様にして塗膜テープを製造した。
【0017】
(比較例1)
実施例1において、第1及び第2の片面接着テープ3、5の厚みを各25μmから各60μmに替え、それ以外は実施例1と同様にして塗膜テープを製造した。
【0018】
(比較例2)
実施例1において、第1及び第2の片面接着テープ3、5の厚みを各25μmから各50μmに替え、それ以外は実施例1と同様にして塗膜テープを製造した。
【0019】
実施例1〜比較例2の塗膜テープを用いた塗膜転写具のテープ走行試験を行った。塗膜剥離が目視にて認められなかった場合は○、塗膜剥離が起こった場合は×とした。評価結果を表1に示す。
【0020】
【表1】

【0021】
表1に示すように、片面接着テープの厚みが25μm以下の場合(実施例1、2)、塗膜テープが28μmの薄さであっても、インクの剥離が起こらないことが分かる。これは、重ね貼り部分(接着部6、7、8)の厚みが従来よりも薄くなることによって、塗膜テープの巻圧が接着部6、7、8に集中することがなくなるため、テープの張力が一定に保たれるからであると考えられる。片面接着テープの厚みが従来の50μm及び60μmの場合には、上記接着部6、7、8の厚みが不均一となり、塗膜剥離が起こる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の塗膜テープエンド部の構造の一例を示す展開拡大側面図。
【図2】図1の塗膜テープエンド部の構造の斜視図。
【図3】図1の塗膜テープエンド部の構造において、テープをコアに巻いたときの様子を表す拡大側面図。
【符号の説明】
【0023】
1:コア
2:エンドテープ
3:第1の片面接着テープ
4:塗膜テープ
5:第2の片面接着テープ
6:接着部(エンドテープ2と第1の片面接着テープ3の重ね貼り部分)
7:接着部(エンドテープ2と塗膜テープ4と第2の片面接着テープ5の重ね貼り部分)
8:接着部(塗膜テープ4と第2の片面接着テープ5の重ね貼り部分)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コアと、エンドテープと、前記コアと前記エンドテープ一端部を連結するための第1の片面接着テープと、前記エンドテープ他端部と塗膜テープの一端部を接続する第2の片面接着テープとからなり、
前記第1の片面接着テープと前記第2の片面接着テープの厚みが各25μm以下で、
前記第2の片面接着テープ、前記エンドテープ及び塗膜テープが重なる接着部の総厚みに対する前記第2の片面接着テープの厚みが20%以上70%以下で、
前記エンドテープと前記第1の片面接着テープが重なる接着部の総厚みに対する前記第1の片面接着テープの厚みと、前記塗膜テープと前記第2の片面接着テープが重なる接着部の総厚みに対する前記第2の片面接着テープの厚みが各30%以上70%以下であることを特徴とする、
塗膜テープエンド部の構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−15621(P2006−15621A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−196293(P2004−196293)
【出願日】平成16年7月2日(2004.7.2)
【出願人】(000237237)フジコピアン株式会社 (130)
【Fターム(参考)】