説明

塗膜形成方法

【課題】観察角度によって色相が大きく変化する構造色を発現し、さらに観察角度によって明度が大きく変化するフリップフロップ性が高く、ハイライト部で高明度且つ高彩度の塗膜が得られる塗膜形成方法を提供すること。
【解決手段】本発明は、基材に鱗片状アルミニウム顔料を含むメタリック塗料組成物を塗装して得られた塗膜上に、光輝性顔料を含み構造色を発現するマルチカラー塗料組成物を塗装する塗膜形成方法及び該光輝性顔料が、多層構造の鱗片状光干渉性顔料及び/又はコレステリック液晶ポリマーからなる鱗片状光干渉性顔料である塗膜形成方法に関するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、観察角度によって色相が大きく変化する構造色を発現し、さらに観察角度によって明度が大きく変化するフリップフロップ性が高く、ハイライト部で高明度且つ高彩度の塗膜を形成する塗膜形成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
塗料を塗装する目的は、素材の保護及び美観の付与である。近年、特に自動車外板、家電製品等の分野においては、消費者の美観に対する要求が多様化してきており、観察角度によって色の見え方が変化しないソリッド塗色に加えて、光輝性顔料を用いることによって観察角度によって色の見え方が変わるメタリック塗色が多く用いられるようになってきた。
【0003】
上記メタリック塗色としては、鱗片状アルミニウム顔料の効果によって塗膜を正反射光付近で観察した場合には明るく輝き、角度をずらすと暗く沈む金属感を有する塗色や、鱗片状の基材に金属酸化物を被覆したパール顔料の効果によって正反射光付近で観察した場合にはキラキラとした粒子感があり、観察角度によっては干渉色が見られる真珠のような質感を有する塗色を挙げることができる。
【0004】
しかしながら、近年、消費者の塗色に対する要求は多様化しており、その一つとして、塗膜に当たる光の強さや観察角度によって、色が大きく変化する構造色と明度が大きく変化するフリップフロップ性を併せ持つ塗色の要求がある。
【0005】
特許文献1は、外光により色相外観が異なる塗膜の形成方法及び塗装物に関するものであり、めっき調光沢を有する被塗物上に、コレステリック液晶ポリマーからなるフレーク状干渉顔料を含有する干渉性クリヤー塗膜を形成する塗膜の形成方法が記載されている。この方法によれば、塗装膜に光が当たった時と、影の時とで異なった色相を呈する塗膜を得ることができるが、めっき調光沢を表現するため,工程が複雑であったり、被塗物が限定されるため、広範な用途に適用しにくい問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−136237号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、観察角度によって色相が大きく変化する構造色を発現し、さらに観察角度によって明度が大きく変化するフリップフロップ性に優れ、ハイライトで高明度且つ高彩度の塗膜を形成する塗膜形成方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、
1.基材に鱗片状アルミニウム顔料を含むメタリック塗料組成物を塗装して得られた塗膜上に、光輝性顔料を含み構造色を発現するマルチカラー塗料組成物を塗装する塗膜形成方法、
2.光輝性顔料が、多層構造の鱗片状光干渉性顔料、コレステリック液晶ポリマー、金属酸化物で被覆された鱗片状シリカ顔料から選択されたものであることを特徴とする1項に記載の塗膜形成方法、
3.メタリック塗料組成物が、マルチカラー塗料組成物中の光輝性顔料を含む塗膜のハイライトにおける干渉色と同系色の着色顔料を含むものであることを特徴とする1項又は2項に記載の塗膜形成方法、
4.マルチカラー塗料組成物を塗装して得られた塗膜上に、さらにトップクリヤー塗料を1層又は2層塗装する1〜3項のいずれか1項に記載の塗膜形成方法
に関する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の塗膜形成方法は、基材に鱗片状アルミニウム顔料を含むメタリック塗料組成物を塗装して得られた塗膜上に、構造色を発現する光輝性顔料を含むマルチカラー塗料組成物を塗装するものであって、観察角度によって色相が大きく変化する構造色を発現し、さらに観察角度によって明度が大きく変化するフリップフロップ性に優れ、ハイライトで高明度且つ高彩度の塗膜が得られるものであり、特に自動車外板、家電製品等の高級外観を求められている分野に有用なものである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の塗膜形成方法において、基材としては、鉄、亜鉛、アルミニウム等の金属やこれら金属の合金、及びこれらの金属によるメッキまたは蒸着が施された成型物、ならびに、ガラス、プラスチックや発泡体などによる成型物等の素材を挙げることができる。これら素材に脱脂処理や表面処理を施した処理素材を基材とすることもできる。さらに、上記基材に下塗り塗膜や中塗り塗膜を形成させた塗膜形成材を基材とすることもできる。なかでも塗膜形成材が特に好ましい。
【0011】
上記下塗り塗膜とは、素材表面を隠蔽したり、素材に防食性及び防錆性などを付与したり、さらに後述の中塗り塗膜や上塗り塗膜と素材との密着性を向上させるために形成されるものであり、下塗り塗料を塗装し、硬化させることによって得ることができる。この下塗り塗料種としては特に限定されるものではなく、例えば、電着塗料、溶剤型プライマー等を挙げることができる。
【0012】
また、上記中塗り塗膜とは、素材表面や下塗り塗膜を隠蔽したり、付着性や耐チッピング性などを付与するために形成されるものであり、素材表面や下塗り塗膜上に、中塗り塗料を塗装し、硬化させることによって得ることができる。ここで下塗り塗膜は、乾燥硬化されたものであっても良いが未硬化のものであってもよい。この中塗り塗料種としては特に限定されるものではなく、既知のものを使用でき、例えば、熱硬化性樹脂組成物及び着色顔料を含有する有機溶剤系又は水系の中塗り塗料を好ましく使用できる。
【0013】
本発明方法において、基材として、下塗り塗膜及び/又は中塗り塗膜を形成させたものを使用する場合においては、下塗り塗膜及び/又は中塗り塗膜を加熱し、架橋硬化後に後述するメタリック塗料組成物を塗装することができるが、また、下塗り塗膜及び/又は中塗り塗膜が未硬化の状態で、該メタリック塗料組成物を塗装することもでき、本発明方法は、この場合も包含する。
【0014】
本発明の塗膜形成方法では、上記基材に鱗片状アルミニウム顔料を含むメタリック塗料組成物を塗装する。
【0015】
鱗片状アルミニウム顔料は、一般にアルミニウムをボールミルやアトライターミル中で粉砕媒液の存在下、粉砕助剤を用いて粉砕、摩砕して製造され、塗料用としては通常平均粒子径(D50)が1〜50μm程度、特に5〜20μm程度のものが、また厚さは、0.01μm〜10μm、特に0.1μm〜5μmの範囲内のものが、塗料中における安定性や形成される塗膜の仕上がりの点から使用される。上記平均粒子径は、長径を意味する。粉砕助剤としては、オレイン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸等の高級脂肪酸のほか、脂肪族アミン、脂肪族アミド、脂肪族アルコールが使用される。粉砕媒液としては通常ミネラルスピリットなどの脂肪族系炭化水素が使用される。
【0016】
鱗片状アルミニウム顔料は、粉砕助剤の種類によって、リーフィングタイプとノンリーフィングタイプに大別することができる。リーフィングタイプは、塗料組成物に配合すると塗装して得られた塗膜の表面に配列(リ−フィング)し、金属感の強い仕上がりが得られ、熱反射作用を有し、防錆力を発揮するものであるため、タンク・ダクト・配管類および屋上ル−フィングをはじめ各種建築材料などに利用されることが多い。本発明の塗膜形成方法におけるメタリック塗料組成物に含有せしめるものとしては、塗料組成物の貯蔵安定性の点から、ノンリーフィングタイプの鱗片状アルミニウム顔料を使用することが好ましい。
【0017】
本発明方法において、メタリック塗料組成物中の鱗片状アルミニウム顔料の配合量は、得られる塗膜のフリップフロップ性や仕上がり外観の点から、後述する樹脂組成物の固形分100質量部に対して、0.1〜50質量部の範囲内であることが好ましく、さらに好ましくは0.5〜40質量部の範囲内、特に好ましくは2〜20質量部の範囲内である。
【0018】
メタリック塗料組成物は、着色顔料を含有することができる。該着色顔料としては、インク用、塗料用として従来公知の顔料を1種あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。該着色顔料の具体例としては、酸化チタン、酸化鉄等の金属酸化物顔料、チタンイエロー等の複合酸化金属顔料、カーボンブラック、アゾ系顔料、キナクリドン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、ベンズイミダゾロン系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、金属キレートアゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、インダンスロン系顔料、ジオキサン系顔料、インジゴ系顔料等を挙げることができる。本発明においては、特に後述するマルチカラー塗料組成物中の光輝性顔料を含む塗膜のハイライトにおける色相と同系色の着色顔料を用いることが、複層塗膜において構造色を強調し、彩度を高める点から好ましい。
【0019】
本明細書において、光輝性顔料のハイライトにおける色相とは、以下に示す方法で測定された色とする。アクリックNo.1000クリヤー(商品名、関西ペイント社製、ニトロセルロース変性アクリルクリヤー塗料)に対して、その樹脂固形分100質量部に基づいて、光輝性顔料を固形分として15質量部となるように配合し、塗装に適正な粘度となるように専用シンナーで希釈して攪拌混合する。得られた塗料をドクターブレードを使用して、予め黒(N−2)の塗膜を形成した塗板上に、硬化塗膜として膜厚が20μmとなるように塗装する。3分間室温にて放置した後に、熱風式乾燥炉を使用して80℃の雰囲気で30分間乾燥させて得られた塗膜を、MA−68II(商品名、x−Rite社製、多角度分光光度計)を使用して、正反射光から15度の角度にて受光した分光反射率に基づくL*C*h表色系における色相角hを求める。また、着色顔料の色相とは、アクリックNo.1000クリヤーに対して、その樹脂固形分100質量部に基づいて、着色顔料を固形分として15質量部となるように配合し、十分に攪拌分散して得られた塗料をさらに塗装に適正な粘度となるように専用シンナーで希釈する。得られた塗料をドクターブレードを使用して、予めグレー(N−6)の塗膜を形成した塗板上に硬化塗膜として膜厚が20μmとなるように塗装する。3分間室温にて放置した後に、熱風式乾燥炉を使用して80℃の雰囲気で30分間乾燥させて得られた塗膜を、MA−68II(商品名、x−Rite社製、多角度分光光度計)を使用して、正反射光から45度の角度にて受光した分光反射率に基づくL*C*h表色系における色相角hを求める。
【0020】
上記着色顔料を配合する場合その配合量は、複層塗膜のフリップフロップ性を維持し、構造色の発現を阻害しない点からメタリック塗料組成物中の樹脂固形分100質量部に対して、50質量部以下であることが好ましく、さらに好ましくは0.1〜30質量部の範囲内であり、特に好ましくは0.5〜10質量部の範囲内である。
【0021】
本発明のメタリック塗料組成物には、鱗片状アルミニウム顔料及び必要に応じて配合される着色顔料のほかに、ビヒクルとして、樹脂成分を含有することができる。樹脂成分としては、熱硬化性樹脂組成物が好ましく、具体的には、例えば、水酸基などの架橋性官能基を有する、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂などの基体樹脂と、メラミン樹脂、尿素樹脂、ポリイソシアネート化合物(ブロック体も含む)などの架橋剤とを併用したものが挙げられ、これらは有機溶剤及び/又は水などの溶媒に溶解または分散させて使用することができる。
【0022】
さらに、メタリック塗料組成物には、必要に応じて、水あるいは有機溶剤等の溶媒、レオロジーコントロール剤、顔料分散剤、沈降防止剤、硬化触媒、消泡剤、表面調整剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の各種添加剤や体質顔料などを適宜配合することができる。
【0023】
本発明の塗膜形成方法において、メタリック塗料組成物は、静電スプレー塗装、エアスプレー、エアレススプレーなどの方法で塗装することができ、その膜厚は硬化塗膜に基づいて、0.5〜30μmの範囲内とするのが、塗膜の平滑性の点から好ましく、より好ましくは5〜25μmの範囲内、特に好ましくは7〜18μmの範囲内である。
【0024】
前記メタリック塗料組成物は、スプレー塗装する場合には、塗装に際して、通常、固形分含有率が15〜50質量%、好ましくは20〜40質量%、また、20℃における粘度が11〜15秒/フォードカップ#4となるように調整しておくことが好ましい。メタリック塗料組成物の塗膜それ自体は、通常約70〜約150℃の温度で架橋硬化させることができる。
【0025】
本発明の塗膜形成方法においては、メタリック塗料組成物を塗装、硬化させた塗膜上に光輝性顔料を含み構造色を発現するマルチカラー塗料組成物を塗装することができるが、メタリック塗料組成物を加熱硬化させることなく未硬化状態の塗膜上に該マルチカラー塗料組成物を塗装してもよい。
【0026】
本発明において、構造色を発現するマルチカラー塗料組成物に含まれる光輝性顔料とは、入射光の角度又は見る角度の変化によって色が変わる効果を付与するものであり、多層構造の鱗片状光干渉性顔料やコレステリック液晶ポリマーを挙げることができる。
【0027】
多層構造の鱗片状光干渉性顔料としては、例えば、マイカ、人工マイカ、ガラス、シリカ、酸化鉄、酸化アルミニウムやアルミニウム等各種金属等鱗片状基材の表面に、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、二酸化チタン、酸化鉄、硫化亜鉛、硫化亜鉛、フッ化マグネシウム、フッ化アルミニウム、フッ化ナトリウム、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、フッ化トリウム、クロミウム等の中から屈折率の異なるものを選択して3層以上の干渉被膜を形成した顔料や、これら屈折率の異なる皮膜を3層以上積層させた顔料を挙げることができる。
【0028】
多層構造の鱗片状光干渉性顔料は、多層構造を構成する材料の屈折率や各層の厚さによって、反射する光の波長域が決定されるので、特定の入射・反射方向に対し決まった波長の光だけ強く反射されるため、色が観察角度によって変化する構造色を発現可能なものである。
【0029】
コレステリック液晶ポリマーは、例えば、メタクリロイロキシ基またはアクリロイロキシ基を側鎖に有するポリオルガノシロキサン等の三次元架橋性ポリマーと液晶性物質を基材に、分子をそれぞれ平行な層に整えた後、螺旋構造とするために、電場または磁場により少しずつ異なる分子配向となるように層状に積み重ね、重合反応によって配向した分子を固定化し薄膜層を三次元架橋させた後、基材から分離し、続いて所望の粒子サイズに粉砕することにより得られたものを挙げることができる。
【0030】
コレステリック液晶ポリマーは、螺旋構造を有しているため螺旋構造のピッチ幅、液晶の屈折率によって反射する光の波長域が決定され、特定範囲の波長の反射光が、光波長に相当するピッチの螺旋構造に偏光した光線成分に分割され、螺旋の回転方向に従って反射成分と透過成分となる。観察角度によって、螺旋のピッチが異なるため、色が変化する構造色が発現する。
【0031】
本発明において、光輝性顔料は、塗膜の仕上がり性の点から、長手方向の平均粒子径(D50)が1〜50μmの範囲内のものを使用することが好ましく、3〜30μmの範囲内のものを使用することがより好ましく、5〜25μmの範囲内のものを使用することが特に好ましい。また厚さは、0.01μm〜10μmの範囲内のものを使用することが好ましく、0.1μm〜5μmの範囲内のものを使用することが特に好ましい。
【0032】
上記光輝性顔料の含有量は、複層塗膜において金属感を維持して構造色を発現する観点から、マルチカラー塗料組成物中の樹脂組成物の固形分100質量部に対して、0.1〜50質量部の範囲内であることが好ましく、さらに好ましくは0.5〜40質量部の範囲内、特に好ましくは2〜20質量部の範囲内である。
【0033】
本発明におけるマルチカラー塗料組成物は、着色顔料を含有することができる。該着色顔料としては、インク用、塗料用として従来公知の顔料を1種あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。該着色顔料の具体例としては、上記メタリック塗料組成物に配合せしめることができるものとして挙げたものを使用することができ、上記メタリック塗料組成物と同様に、マルチカラー塗料組成物中の光輝性顔料を含む塗膜のハイライトにおける色相と同系色の着色顔料を用いることが、複層塗膜において構造色の発現を強調し、彩度を高める点から好ましい。
【0034】
上記着色顔料を配合する場合その配合量は、複層塗膜のフリップフロップ性を維持し、構造色の発現を阻害しない点からマルチカラー塗料組成物中の樹脂固形分100質量部に対して、50質量部以下であることが好ましく、さらに好ましくは0.1〜30質量部の範囲内であり、特に好ましくは0.5〜10質量部の範囲内である。
【0035】
本発明のマルチカラー塗料組成物には、構造色を発現する光輝性顔料及び必要に応じて配合される着色顔料のほかに、ビヒクルとして、樹脂成分を含有することができる。樹脂成分としては、前記メタリック塗料組成物に配合せしめることができるものとして挙げたものを使用することができる。
【0036】
さらに、マルチカラー塗料組成物には、必要に応じて、水あるいは有機溶剤等の溶媒、レオロジーコントロール剤、顔料分散剤、沈降防止剤、硬化触媒、消泡剤、表面調整剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の各種添加剤や体質顔料などを適宜配合することができる。
【0037】
本発明方法におけるマルチカラー塗料組成物は、前述の成分を混合分散せしめることによって調製することができる。
【0038】
本発明の塗膜形成方法において、マルチカラー塗料組成物は、静電スプレー塗装、エアスプレー、エアレススプレーなどの方法で塗装することができ、その膜厚は硬化塗膜に基づいて、0.5〜30μmの範囲内とするのが、塗膜の平滑性の点から好ましく、より好ましくは5〜25μmの範囲内、特に好ましくは7〜18μmの範囲内である。
【0039】
本発明のマルチカラー塗料組成物は、複層塗膜においてフリップフロップ性と構造色の発現を両立させる観点から、可視光領域における光線透過率が、40%以上であることが好ましく、より好ましくは50%以上である。塗膜の光線透過率とは、具体的には、硬化塗膜として30μmとなるように平滑なPTFE板に塗装後、乾燥硬化させた後に剥離して得られた塗膜を分光光度計「MPS−2450」(商品名:島津製作所製)にて測定した可視光領域(波長400nm〜700nm)における光線透過率の平均値である。可視光領域の光線透過率とは、可視光光線を透過する割合であって、数値が大きいほど透明度が高いことを意味する。
【0040】
前記マルチカラー塗料組成物は、スプレー塗装する場合には、塗装に際して、通常、固形分含有率が15〜50質量%、好ましくは20〜40質量%、また、20℃における粘度が11〜15秒/フォードカップ#4となるように調整しておくことが好ましい。マルチカラー塗料組成物の塗膜それ自体は、通常約70〜約150℃の温度で架橋硬化させることができる。
【0041】
本発明においては、前記マルチカラー塗料組成物を塗装して得られた塗膜上にさらにトップクリヤー塗料を1層もしくは2層以上塗装して、トップクリヤー塗膜を形成させることができる。
【0042】
本発明方法においては、マルチカラー塗料組成物を塗装、硬化させた塗膜上に後述のトップクリヤー塗料を塗装することができるが、マルチカラー塗料組成物を加熱硬化させることなく未硬化状態の塗膜上にトップクリヤー塗料を塗装することができる。マルチカラー塗料組成物の塗膜それ自体は約70〜約150℃の温度で硬化乾燥させることができる。
【0043】
本発明のトップクリヤー塗料としては、従来公知のものが制限なく使用できる。例えば、基体樹脂及び架橋剤を含有する液状もしくは粉体状の塗料組成物が適用できる。基体樹脂の例としては、水酸基、カルボキシル基、シラノ−ル基、エポキシ基などの架橋性官能基を含有する、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、フッ素樹脂、ウレタン樹脂、シリコン含有樹脂などが挙げられる。架橋剤としては、前記基体樹脂の官能基と反応しうるメラミン樹脂、尿素樹脂、ポリイソシアネ−ト化合物、ブロックポリイソシアネ−ト化合物、エポキシ化合物又は樹脂、カルボキシル基含有化合物又は樹脂、酸無水物、アルコキシシラン基含有化合物又は樹脂等が挙げられる。また、必要に応じて、水や有機溶剤等の溶媒、硬化触媒、消泡剤、紫外線吸収剤等の添加剤を適宜配合することができる。
【0044】
本発明におけるトップクリヤー塗料としては、透明性を損なわない範囲内において、着色顔料及び/又は染料を配合したカラークリヤー塗料を使用することができる。着色顔料及び染料としては、インク用、塗料用として従来公知のものを1種あるいは2種以上を組み合わせて配合することができる。その添加量は、適宜決定されて良いが、トップクリヤー塗料中のビヒクル形成樹脂組成物100質量部に対して、30質量部以下とすることが好ましく、より好ましくは0.1〜10質量部の範囲内である。
【0045】
本発明において、トップクリヤー塗料を2層以上塗装する場合には、特に1層目に上記カラークリヤー塗料を塗装することができる。
【0046】
本発明におけるトップクリヤー塗料は、静電塗装、エアスプレ−、エアレススプレ−などの方法で塗装することができ、その膜厚は硬化塗膜に基づいて5〜40μmの範囲内とするのが好ましい。
【0047】
本発明においては、前記メタリック塗料組成物及び/又はマルチカラー塗料組成物を加熱硬化せしめることなくトップクリヤー塗料を塗装した場合においては、トップクリヤー塗料を塗装後、これらの塗料を同時に加熱硬化せしめることができる。トップクリヤー塗料の塗膜それ自体は約70〜約150℃の温度で架橋硬化させることができる。
【実施例】
【0048】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、「部」及び「%」はいずれも質量基準によるものである。
次に、実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。
(製造例1)水酸基含有アクリル樹脂の製造
温度計、サーモスタット、撹拌器、還流冷却器及び滴下装置を備えた反応容器にエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート50部を仕込み、撹拌混合し、135℃に昇温した。次いで下記のモノマー/重合開始剤の混合物を3時間かけて、同温度に保持した反応容器内に滴下し、滴下終了後1時間熟成を行なった。その後、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート10部、2,2‘−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)0.6部からなる混合物を同温度に保持した1時間30分かけて滴下し、さらに2時間熟成した。次にエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートを減圧下で留去し、水酸基価54mgKOH/g、数平均分子量20,000、樹脂固形分65質量%の水酸基含有アクリル樹脂を得た。ここで数平均分子量とは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって標準ポリスチレンの検量線を用いて測定したものを意味する。
モノマー/重合開始剤の混合物:
メチルメタクリレ−ト38部、エチルアクリレ−ト17部、n−ブチルアクリレ−ト17部、ヒドロキシエチルメタクリレ−ト7部、ラウリルメタクリレ−ト20部及びアクリル酸1部及び2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)2部からなる混合物。
(製造例2)アクリル樹脂エマルションの製造
温度計、サーモスタット、撹拌器、還流冷却器及び滴下装置を備えた反応容器に脱イオン水130質量部、アクアロンKH−10(商品名、界面活性剤、第一工業製薬社製)0.52質量部を仕込み、窒素気流中で撹拌混合し、80℃に昇温した。次いで下記のモノマー乳化物(1)のうちの全量の1%量及び6%過硫酸アンモニウム水溶液5.3質量部とを反応容器内に導入し80℃で15分間保持した。その後、残りのモノマー乳化物(1)を3時間かけて、同温度に保持した反応容器内に滴下し、滴下終了後1時間熟成を行なった。その後、下記のモノマー乳化物(2)を1時間かけて反応容器内に滴下し、1時間熟成した後、5%ジメチルエタノールアミン水溶液40質量部を反応容器に徐々に加えながら30℃まで冷却し、100メッシュのナイロンクロスで濾過しながら排出し、平均粒子径100nm(サブミクロン粒度分布測定装置「COULTER N4型」(ベックマン・コールター社製)を用いて、脱イオン水で希釈し20℃で測定した。)、固形分濃度30%のアクリル樹脂エマルションを得た。得られたアクリル樹脂は、酸価が33mgKOH/g、水酸基価が25mgKOH/gであった。
【0049】
モノマー乳化物(1):脱イオン水42質量部、アクアロンKH−10 0.72質量部、メチレンビスアクリルアミド2.1質量部、スチレン2.8質量部、メチルメタクリレート16.1質量部、エチルアクリレート28質量部及びn−ブチルアクリレート21質量部を混合攪拌して得られたモノマー乳化物(1)。
【0050】
モノマー乳化物(2):脱イオン水18質量部、アクアロンKH−10 0.31質量部、過硫酸アンモニウム0.03質量部、メタクリル酸5.1質量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート5.1質量部、スチレン3質量部、メチルメタクリレート6質量部、エチルアクリレート1.8質量部及びn−ブチルアクリレート9質量部を混合攪拌して得られたモノマー乳化物(2)。
(製造例3)ポリエステル樹脂の製造
温度計、サーモスタット、攪拌装置、還流冷却器及び水分離器を備えた反応容器に、トリメチロールプロパン109質量部、1,6−ヘキサンジオール141質量部、ヘキサヒドロ無水フタル酸126質量部及びアジピン酸120質量部を仕込み、160℃から230℃に達するまでの時間を3時間となるように昇温させた後、230℃で4時間縮合反応させた。その後、得られた縮合反応生成物の温度を170℃に下げ、カルボキシル基を付加するために、さらに無水トリメリット酸38.3質量部を加え、170℃で30分間反応させた後、2−エチル−1−ヘキサノールで希釈し、固形分濃度70%であるポリエステル樹脂溶液を得た。得られたポリエステル樹脂は、酸価が46mgKOH/g、水酸基価が150mgKOH/g、重量平均分子量が6,400であった。ここで重量平均分子量とは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって標準ポリスチレンの検量線を用いて測定したものを意味する。
(製造例4)着色顔料分散体の調製
225ml容マヨネーズビンに、Heliogen Green L8730(商品名、塩素化銅フタロシアニン緑顔料、BASF社製)を7.4部、製造例3で得られたポリエステル樹脂溶液53部及び脱イオン水50部を配合し、さらに1.5mm径のジルコニアビーズ130部を投入して密栓し、振とう型ペイントコンディショナーを使用して120分分散した。分散後100メッシュの金網濾過を行なってジルコニアビーズを除去して、着色顔料分散体を得た。
(製造例5)鱗片状アルミニウム顔料液の調製
ステンレス製ビーカー内において、アルミペーストGX−180(商品名、鱗片状アルミニウム顔料ペースト、固形分74質量%、平均粒子径16.9μm、旭化成メタル社製)135部、エチレングリコールモノブチルエーテル95質量部を攪拌混合して、高濃度光輝性顔料液1を得た。
(製造例6)マルチカラー光輝性顔料液の調製
ステンレス製ビーカー内において、Helicone HC Scarabeus(商品名、コレステリック液晶ポリマー、ハイライトの緑〜シェードの青に色変化、ワッカー社製)を100部、エチレングリコールモノブチルエーテル130部を攪拌混合して、マルチカラー光輝性顔料液を得た。
(マルチカラー顔料のハイライトの色及び着色顔料の色測定)
実施例及び比較例に使用するマルチカラー光輝性顔料のハイライトの色と着色顔料の色を以下の要領で測定し、結果を表1に示した。
【0051】
【表1】

【0052】
マルチカラー光輝性顔料のハイライトの色は、アクリックNo.1000クリヤー(商品名、関西ペイント社製、ニトロセルロース変性アクリルクリヤー塗料)に対してその樹脂固形分100質量部に基づいて、光輝性顔料を固形分として15質量部となるように配合し、塗装に適正な粘度となるように専用シンナーで希釈して攪拌混合する。得られた塗料をドクターブレードを使用して、予め黒(N−2)の塗膜を形成した塗板上に、硬化塗膜として20μmとなるように塗装する。3分間室温にて放置した後に、熱風式乾燥炉を使用して80℃の雰囲気で30分間乾燥させて得られた塗膜を、MA−68II(商品名、x−Rite社製、多角度分光光度計)を使用して、塗膜をX−Rite社製のMA−68II(商品名、多角度分光光度計)を使用して、正反射光に対して15°で受光した分光反射率に基づいて測定したL*C*h表色系における色相角度hで示した。
【0053】
また、着色顔料の色とは具体的には、アクリックNo.1000クリヤーに対してその樹脂固形分100質量部に基づいて、着色顔料を固形分として15質量部となるように配合し、十分に攪拌分散して得られた塗料をさらに塗装に適正な粘度となるように専用シンナーで希釈し、得られた塗料をドクターブレードを使用して、予めグレー(N−6)の塗膜を形成した塗板上に硬化塗膜として20μmとなるように塗装する。3分間室温にて放置した後に、熱風式乾燥炉を使用して乾燥させて得られた塗膜を、X−Rite社製のMA−68II(商品名)を使用して、正反射光に対して45°で受光した分光反射率に基づいて測定したL*C*h表色系における色相角度hで示した。
【0054】
(製造例7〜10)メタリック塗料1〜4の調製
製造例1で得られた水酸基含有アクリル樹脂75部、ユーバン28−60(商品名、ブチルエーテル化メラミン樹脂、三井化学社製)25部からなる樹脂成分100部(固形分)あたり、光輝性顔料(鱗片状アルミニウム顔料)及び着色顔料を表2に示す比率で配合して攪拌混合し、塗装に適正な粘度に希釈して、固形分約25%のメタリック塗料1〜3(有機溶剤型塗料)を調製した。
【0055】
【表2】

【0056】
(製造例11〜16)マルチカラー塗料1〜6の調製
製造例1で得られた水酸基含有アクリル樹脂75部、ユーバン28−60(商品名、ブチルエーテル化メラミン樹脂、三井化学社製)25部からなる樹脂成分100部(固形分)あたり、光輝性顔料(鱗片状アルミニウム顔料、マルチカラー光輝性顔料)及び着色顔料を表2に示す比率で配合して攪拌混合し、塗装に適正な粘度に希釈して、固形分約25%のマルチカラー塗料1〜6(有機溶剤型塗料)を調製した。
【0057】
(製造例17)メタリック塗料5の調製
製造例2で得られたアクリル樹脂エマルション100部、製造例3で得られたポリエステル樹脂溶液50部、製造例5で得られた着色顔料分散体を14.9部、製造例5で得られた鱗片状アルミニウム顔料液を34.6部及びサイメル325(商品名、日本サイテックインダストリーズ社製、メラミン樹脂、固形分80%)37.5部を均一に混合し、さらに、プライマルASE−60(商品名、ロームアンドハース社製、ポリアクリル酸系増粘剤)、2−(ジメチルアミノ)エタノール及び脱イオン水を加えてpH8.0、塗料固形分25%、20℃におけるフォードカップNo.4による粘度40秒のメタリック塗料7を調製した。
【0058】
メタリック塗料7の鱗片状アルミニウム顔料及び着色顔料の比率は、メタリック塗料2と同一である。
【0059】
(製造例18)マルチカラー塗料7の調製
製造例2で得られたアクリル樹脂エマルション100部、製造例3で得られたポリエステル樹脂溶液56.4部、製造例5で得られた着色顔料分散体を1.5部、製造例7で得られたマルチカラー光輝性顔料液を11.5部及びサイメル325(商品名、日本サイテックインダストリーズ社製、メラミン樹脂、固形分80%)37.5部を均一に混合し、さらに、プライマルASE−60(商品名、ロームアンドハース社製、ポリアクリル酸系増粘剤)、2−(ジメチルアミノ)エタノール及び脱イオン水を加えてpH8.0、塗料固形分25%、20℃におけるフォードカップNo.4による粘度40秒のマルチカラー塗料8を調製した。
【0060】
マルチカラー塗料7のマルチカラー光輝性顔料及び着色顔料の比率は、マルチカラー塗料2と同一である。
(マルチカラー塗料を塗装して得られた塗膜の可視光領域における光線透過率測定)
上記マルチカラー塗料1〜7を塗装して得られた塗膜の可視光領域における光線透過率を以下の要領で測定し、結果を表3に示した。
【0061】
マルチカラー塗料1〜7を硬化塗膜として30μmとなるように平滑なPTFE板にドクターブレードを使用して塗装後、室温にて15分間放置し、その後に熱風乾燥機を使用して140°の雰囲気で30分加熱して硬化乾燥させた後に剥離して得られた塗膜を分光光度計「MPS−2450」(商品名:島津製作所製)にて可視光領域(波長400nm〜700nm)の光線透過率を測定した。
【0062】
【表3】

【0063】
実施例1〜7、比較例1〜3
(試験板の作成)
基材の調整
脱脂及びりん酸亜鉛処理した鋼板(JISG3141、大きさ400×300×0.8mm)にカチオン電着塗料「エレクロン9400HB」(商品名:関西ペイント株式会社製、エポキシ樹脂ポリアミン系カチオン樹脂に硬化剤としてブロックポリイソシアネ−ト化合物を使用したもの)を硬化塗膜に基づいて膜厚20μmになるように電着塗装し、170℃で20分加熱して架橋硬化させて電着塗膜を得た。
【0064】
得られた電着塗面に、中塗塗料「ル−ガベ−ク中塗りグレ−」(商品名:関西ペイント株式会社製、ポリエステル樹脂・メラミン樹脂系、有機溶剤型)をエアスプレーにて硬化塗膜に基づいて膜厚30μmになるように塗装し、140℃で30分加熱して架橋硬化させて、中塗塗膜を形成した塗板を基材とした。
塗装
(1)で調製した基材に表4に示した工程で、以下に示す要領にてメタリック塗料及びマルチカラー塗装し、さらにトップクリヤー塗料を塗装して試験板を作成した。
【0065】
REAガンを用いて、ブ−ス温度25℃、湿度75%の条件で、硬化塗膜として、10μmとなるようにメタリック塗料を塗装し、室温にて15分間放置し、ついで、マルチカラー塗料をブ−ス温度25℃、湿度75%の条件で、硬化塗膜として、10μmとなるように塗装し、ついでこれらの未硬化塗面にクリヤー塗料(ル−ガベ−ククリヤ−、関西ペイント製、商品名、アクリル樹脂・アミノ樹脂系、有機溶剤型)をミニベル型回転式静電塗装機を用いて、ブ−ス温度25℃、湿度75%の条件で硬化塗膜として、25〜35μmとなるように塗装した。塗装後、室温にて15分間放置した後に、熱風循環式乾燥炉内を使用して、140℃で30分間加熱し、複層塗膜を同時に乾燥硬化せしめて試験板を得た。比較例1〜3については、基材にメタリック塗料又はマルチカラー塗料を硬化塗膜として、15μmとなるように上記と同様に塗装し、ついでトップクリヤー塗料を同様に塗装した後に硬化乾燥せしめて試験板を作成した。
(意匠性の評価)
上記試験板の意匠性を以下の要領にて評価し、結果を表4に示した。
【0066】
【表4】

【0067】
(1)観察角度による色相変化
目視:作成した塗板を、人工太陽灯(セリック社製、色温度6500K)で照明し、試験板の照明に対する角度を変えて観察して、ハイライト(正面)〜シェード(スカシ)への色相変化を目視にて評価した。
5:色相変化が顕著である。
4:色相変化が大きい。
3:色相変化がある。
2:色相変化が少ない。
1:色相変化がない。
(2)フリップフロップ
目視:作成した塗板を、人工太陽灯(セリック社製、色温度6500K)で照明し、試験板の照明に対する角度を変えて観察して、ハイライト(正面)〜シェード(スカシ)への明度変化を目視にて評価した。
4:明度変化が大きい。
3:明度変化がある。
2:明度変化が少ない。
1:明度変化がない。
FF値:作成した塗板をX−Rite社製のMA−68II(商品名)を使用して、正反射光に対して15°と45°の受光角度で測定した分光反射率に基づいて、XYZ表色系におけるY値を計算し、計算値に基づいてさらに以下の計算を行なって算出した。
FF値=2*(15Y−45Y)/(15Y+45Y)
ここで15Y:15°の分光反射率に基づいて計算したY値
45Y:45°の分光反射率に基づいて計算したY値
(3)ハイライト明度及びハイライト彩度
作成した塗板をX−Rite社製のMA−68II(商品名)を使用して、正反射光に対して15°との受光角度で測定した分光反射率に基づいて、L*a*b*表色系における明度L*及び彩度C*を計算した。さらに彩度を明度で除した彩度効率を計算した。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明の塗膜形成方法は、各種工業製品、特に自動車車体の外板に適用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材に鱗片状アルミニウム顔料を含むメタリック塗料組成物を塗装して得られた塗膜上に、光輝性顔料を含み構造色を発現するマルチカラー塗料組成物を塗装する塗膜形成方法。
【請求項2】
光輝性顔料が、多層構造の鱗片状光干渉性顔料、コレステリック液晶ポリマー、金属酸化物で被覆された鱗片状シリカ顔料から選択されたものであることを特徴とする請求項1に記載の塗膜形成方法。
【請求項3】
メタリック塗料組成物が、マルチカラー塗料組成物中の光輝性顔料を含む塗膜のハイライトにおける干渉色と同系色の着色顔料を含むものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の塗膜形成方法。
【請求項4】
マルチカラー塗料組成物を塗装して得られた塗膜上に、さらにトップクリヤー塗料を1層又は2層塗装する請求項1〜3のいずれか1項に記載の塗膜形成方法。

【公開番号】特開2011−5481(P2011−5481A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−65330(P2010−65330)
【出願日】平成22年3月22日(2010.3.22)
【出願人】(000001409)関西ペイント株式会社 (815)
【Fターム(参考)】