説明

塗膜形成用樹脂組成物とこれを含有する塗膜および塗膜形成方法

【課題】無機微粒子の電気的特性などの諸特性、および、光学的特性と機械的特性に優れた塗膜を形成することができるとともに、溶媒の含有率が極めて低い塗膜形成用樹脂組成物とこれを含有する塗膜および塗膜形成方法を提供する。
【解決手段】本発明の塗膜形成用樹脂組成物は、分散媒と、無機微粒子と、前記分散媒中にてエマルション粒子を形成する活性エネルギー線硬化型樹脂とを含み、前記分散媒の含有率が7重量%以下であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無機微粒子を樹脂中に分散してなる塗膜を形成するための塗膜形成用樹脂組成物とこれを含有する塗膜および塗膜形成方法に関するものであり、更に詳しくは、光学的機能、電気的機能、磁気的機能などを発現し、ディスプレイ画面構成材料、光学フィルター構成材料、記録媒体構成材料などのディスプレイ用途、電子部品用途などに好適に用いられる塗膜を形成するための塗膜形成用樹脂組成物とこれを含有する塗膜および塗膜形成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、様々な分野において、無機微粒子の特性と樹脂の特性を活かした膜として、樹脂中に無機微粒子を分散した膜が用いられている。
これらの膜は、一般的に、分散媒に、無機微粒子と、バインダー成分である樹脂とを混合して調製した塗料を基材に塗布し、この塗料を乾燥し、場合によっては、更に塗料を加熱、あるいは紫外光に代表される活性エネルギー線を照射することにより形成される。
【0003】
このような塗料に含まれる分散媒としては、有機溶媒が多く使用されている。有機溶媒は最終的に塗膜には残らず、大気中に放出される成分であるから、環境面において好ましくないことが多い。塗料中に分散媒として含まれる有機溶媒が大気中に放出されると、環境を汚染する問題が指摘されている。したがって、塗料に含まれる分散媒に占める有機溶媒の比率を低減することが大きな課題となっている。そのため、近年、話題にされている揮発性有機化合物(volatile organic compounds、VOC)問題を視野に入れると、塗料の形態としては、水系のもの、あるいは、溶剤を含まないものが望まれている。
【0004】
水系の塗料としては、例えば、水系分散媒に、水溶性樹脂または水分散性樹脂と、無機微粒子とを分散してなるものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
溶剤を含まない塗料としては、例えば、表面処理した微粒子を、紫外線硬化樹脂あるいは電子線硬化樹脂に直接分散してなるものが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2003−105267号公報
【特許文献2】特開平8−27405号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、水系の塗料を使用した場合、この塗料に含まれる水分が種々の製品の製造工程にて問題となることがあった。例えば、アクリル樹脂をキャスト法により製造する場合、アクリル樹脂の製造工程に透明導電性塗料を適用すると、製品の中に水分が残留するという問題があった。また、水系の塗料を吸湿性樹脂からなる基材などに塗布した場合、この基材が水系の塗料に含まれる水分を吸収して、曲がるという問題があった。
また、溶剤を含まない塗料では、樹脂に微粒子を直接分散することは非常に難しいため、樹脂中において、微粒子が粗大な凝集体を形成することがあった。この微粒子の粗大な凝集体は、塗膜の諸特性に悪影響を及ぼす。例えば、樹脂に導電性微粒子を直接分散してなる塗料によって形成した透明導電膜の場合、この透明導電膜の透明性と電気導電性が著しく損なわれるという問題があった。加えて、微粒子が凝集した状態で塗膜を形成した場合、塗膜に曇りが生じることが多く、微粒子を使用することの特徴である塗膜の透明性が著しく損なわれるという問題があった。
【0006】
本発明は、前記事情に鑑みてなされたもので、無機微粒子の電気的特性などの諸特性、および、光学的特性と機械的特性に優れた塗膜を形成することができるとともに、溶媒の含有率が極めて低い塗膜形成用樹脂組成物とこれを含有する塗膜および塗膜形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、分散媒と、無機微粒子と、分散媒中にてエマルション粒子を形成する活性エネルギー線硬化型樹脂とを含む塗膜形成用樹脂組成物において、分散媒の含有率を7重量%以下とすることにより、溶媒の含有率が極めて低くとも、電気的特性、光学的特性および機械的特性に優れた塗膜を形成することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明の塗膜形成用樹脂組成物は、分散媒と、無機微粒子と、前記分散媒中にてエマルション粒子を形成する活性エネルギー線硬化型樹脂とを含み、前記分散媒の含有率が7重量%以下であることを特徴とする。
【0009】
本発明の塗膜形成用樹脂組成物は、前記無機微粒子の平均一次粒子径が3nm以上かつ100nm以下であり、前記エマルション粒子の平均粒子径が10nm以上かつ100μm以下であることが好ましい。
本発明の塗膜形成用樹脂組成物は、モノマーあるいはオリゴマーを添加してなることが好ましい。
本発明の塗膜形成用樹脂組成物は、前記無機微粒子が、金属を含有する微粒子であることが好ましい。
本発明の塗膜形成用樹脂組成物は、前記金属を含有する微粒子が、金、白金、銀、銅、錫、ニッケル、鉄、鉛、亜鉛、ルテニウム、パラジウム、チタン、ジルコニウム、アンチモン、インジウムの群から選択された1種または2種以上を含有することが好ましい。
【0010】
本発明の塗膜は、本発明の塗膜形成用樹脂組成物を含有してなることを特徴とする。
【0011】
本発明の塗膜形成方法は、分散媒に、無機微粒子と、活性エネルギー線硬化型樹脂とを混合して、前記活性エネルギー線硬化型樹脂のエマルション粒子を生成し、次いで、前記分散媒を散逸させて前記分散媒の含有率が7重量%以下の塗膜形成用樹脂組成物を調製し、前記塗膜形成用樹脂組成物を基材上に塗布し、この塗布した塗膜形成用樹脂組成物に活性エネルギー線を照射して塗膜を形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の塗膜形成用樹脂組成物によれば、分散媒と、無機微粒子と、前記分散媒中にてエマルション粒子を形成する活性エネルギー線硬化型樹脂とを含み、前記分散媒の含有率が7重量%以下であるので、分散媒の含有率が極めて低くても、活性エネルギー線硬化型樹脂中における無機微粒子の分散状態を良好に保つことができる。したがって、この塗膜形成用樹脂組成物により形成した塗膜において、マトリックスとなる活性エネルギー線硬化型樹脂中における無機微粒子の含有率が非常に低い場合でも、幅広い塗布環境条件下で、透明性、導電性、機械的強度などに優れた塗膜を再現性よく作製することが可能となる。また、本発明の塗膜形成用樹脂組成物は、分散媒の含有率が極めて低いため、例えば、有機溶媒が環境を汚染する問題、キャスト法で作製されるアクリル樹脂の製造工程に適用した場合に製品の中に溶媒が残留する問題、吸湿性樹脂からなる基材に塗布した場合に基材が曲がる問題などを解決することができる。
【0013】
本発明の塗膜形成方法によれば、分散媒に、無機微粒子と、活性エネルギー線硬化型樹脂とを混合して、前記活性エネルギー線硬化型樹脂のエマルション粒子を生成し、次いで、前記分散媒を散逸させて前記分散媒の含有率が7重量%以下の塗膜形成用樹脂組成物を調製し、前記塗膜形成用樹脂組成物を基材上に塗布し、この塗布した塗膜形成用樹脂組成物に活性エネルギー線を照射して塗膜を形成するので、可視光線に対する平均透過率が高く、ヘーズ値が低く、導電性に優れた、透明な塗膜を形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の塗膜形成用樹脂組成物とこれを含有する塗膜および塗膜形成方法を実施するための最良の形態について説明する。
なお、この形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
【0015】
本発明の塗膜形成用樹脂組成物は、分散媒と、無機微粒子と、前記分散媒中にてエマルション粒子を形成する活性エネルギー線硬化型樹脂とを含み、分散媒の含有率が7重量%以下の樹脂組成物である。
この塗膜形成用樹脂組成物における分散媒の含有率は7重量%以下であり、3重量%以下が好ましく、1重量%以下がより好ましく、0.1重量%以下がさらに好ましい。
この塗膜形成用樹脂組成物における分散媒の含有率を7重量%以下とした理由は、分散媒が環境を汚染することなく、この塗膜形成用樹脂組成物を用いてキャスト法により塗膜を形成した場合、塗膜に分散媒が残留することなく、この塗膜形成用樹脂組成物を吸湿性樹脂からなる基材などに塗布した場合、基材が曲がることがないからである。
【0016】
なお、この塗膜形成用樹脂組成物における分散媒の含有率は、カールフィッシャー型水分測定法あるいはガスクロマトグラフィー法によって測定される。
【0017】
分散媒としては、活性エネルギー線硬化型樹脂との化学的反応性が低く、活性エネルギー線硬化型樹脂から除去することが可能であり、少なくとも10℃から40℃の温度範囲で流動性を保つものが用いられる。このような分散媒としては、例えば、水、アルコール、グリコールなどの極性溶媒が挙げられる。これらの分散媒の中でも、少なくとも水を80重量%以上含む水性分散媒が好ましい。その理由は、後述の無機微粒子のうち、半導体金属酸化物の微粒子は、極性溶媒の中で良好な分散状態を保つからである。
【0018】
無機微粒子としては、特に限定されるものではなく、本発明の塗膜形成用樹脂組成物により形成した塗膜に要求される特性に応じて適宜選択されるが、親水性のものが好ましい。
導電性の塗膜を作製する場合、無機微粒子としては、金属を含有する微粒子が用いられる。この金属を含有する微粒子としては、金属微粒子、金属酸化物微粒子、金属硫化物微粒子などが挙げられる。
金属微粒子としては、金(Au)、白金(Pt)、銀(Ag)、銅(Cu)、錫(Sn)、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、鉛(Pb)、亜鉛(Zn)、ルテニウム(Ru)、パラジウム(Pd)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、アンチモン(Sb)、インジウム(In)の群から選択された1種または2種以上を含有するものが挙げられる。
【0019】
金属酸化物微粒子としては、酸化スズ、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化アンチモン、酸化鉄、酸化鉛、酸化ルテニウム、複合金属酸化物の群から選択された1種または2種以上の成分を含有するものが挙げられる。
複合金属酸化物としては、アンチモン添加酸化スズ(ATO)、スズ添加酸化インジウム(ITO)、アルミニウム添加酸化亜鉛(AZO)、ジルコン(ZrSiO)などが挙げられる。
これらの金属酸化物微粒子のうち、例えば、錫、アンチモンまたはインジウムのいずれか1種を含有する金属酸化物微粒子である、アンチモン添加酸化スズ(ATO)、スズ添加酸化インジウム(ITO)、酸化スズのようにバンドギャップが3.0eV以上である半導体金属酸化物は、可視光線の透過性と導電性を併せ持つ金属酸化物であり、透明導電膜を形成するうえで好適である。
【0020】
このような半導体金属酸化物の微粒子は、ある一定の固形分濃度範囲において、その分散液がゾル状態からゲル状態に変化する性質、すなわち、ゾル−ゲル相転移を起こす性質があることが好ましい。また、この半導体金属酸化物の微粒子は、その表面が親水性であることが好ましい。さらに、この半導体金属酸化物の微粒子を水に分散させた分散液は、固形分濃度範囲が10重量%以上かつ50重量%以下の場合、ゾル−ゲル相転移を起こす性質を有するものであることがより好ましい。ゾル-ゲル相転移は、例えば、粘度の急激な変化として観測される。
【0021】
また、半導体金属酸化物の微粒子は、水系分散媒に単独で分散した場合、良好に分散することが好ましい。
そして、半導体金属酸化物の微粒子は、活性エネルギー線硬化型樹脂と共に分散媒に分散させた場合、ある一定の固形分濃度範囲において、異種の微粒子が凝集した凝集体(ヘテロ凝集体)を形成しないものであることが好ましい。
【0022】
このような性質の半導体金属酸化物の微粒子は、表面電荷を帯びていることが好ましい。また、pHが6以上かつ8以下の水に、この半導体金属酸化物の微粒子を分散した場合、半導体金属酸化物の微粒子の表面電荷は−80mV以上かつ−20mV以下であることが好ましく、−60mV以上かつ−30mV以下であることがより好ましい。
この表面電荷は、例えば、電気泳動、レーザードップラー型ゼータ電位計を用いて測定される。
【0023】
金属硫化物微粒子としては、硫化鉛、硫化銀、硫化カドミウムなどが挙げられる。
【0024】
無機微粒子の平均一次粒子径は、3nm以上かつ100nm以下であることが好ましく、3nm以上かつ30nm以下であることがより好ましく、3nm以上かつ10nm以下であることがさらに好ましい。
無機微粒子の平均一次粒子径が3nm未満では、この塗膜形成用樹脂組成物中における分散性が悪くなり、また、粒子間の接触抵抗により導電性が劣化する。一方、無機微粒子の平均一次粒子径が100nmを超えると、無機微粒子が光の散乱を引き起こし、この塗膜形成用樹脂組成物により塗膜を形成した場合、その透明性が損なわれる。
なお、本発明において、無機微粒子の平均一次粒子径とは、粉末X線回折測定から得られる平均結晶粒子径のことである。
【0025】
また、この塗膜形成用樹脂組成物では、固形分中の無機微粒子の含有率が1.0重量%以上かつ10重量%以下であることが好ましく、2.0重量%以上かつ8.0重量%以下であることがより好ましい。
無機微粒子の含有率が1.0重量%未満では、微粒子間のつながりが悪くなるため、十分な導電性が発現しない。一方、無機微粒子の含有率が10重量%を超えると、微粒子の分散不良を招き、最終的に塗膜の曇り度(ヘーズ)に悪影響を及ぼす。
【0026】
活性エネルギー線硬化型樹脂は、紫外線、電子線などの活性エネルギー線を照射することにより目的とする反応生成物が得られる樹脂、または、その樹脂の前駆体であり、例えば、モノマーやオリゴマーなどの反応性物質が挙げられる。
このような活性エネルギー線硬化型樹脂としては、例えば、UV硬化型アクリル樹脂、マレイミド基を含有するアクリル樹脂、ウレタン結合を有するアクリル樹脂などが挙げられる。
【0027】
また、活性エネルギー線硬化型樹脂は、分散媒に混合した場合、分散媒中にて、O/W型(オイルインウオーター型)またはW/O型(ウオーターインオイル型)のエマルション粒子を形成する。
O/W型のエマルション粒子を形成する活性エネルギー線硬化型樹脂としては、水酸基やカルボキシル基などの極性基を有する水溶性あるいは水分散性樹脂の前駆体であることが好ましい。具体的に、O/W型のエマルション粒子を形成する活性エネルギー線硬化型樹脂としては、水系の紫外線硬化型アクリルエマルション樹脂、自己分散型エマルション樹脂、マレイミド基をアクリルエマルションなどが挙げられる。このようなO/W型のエマルション粒子を形成する活性エネルギー線硬化型樹脂は、表面が親水性の無機微粒子と組み合わせることにより、良好な分散状態が得られる。
W/O型のエマルション粒子を形成する活性エネルギー線硬化型樹脂としては、例えば、ウレタンアクリレートなどが挙げられる。
【0028】
このような活性エネルギー線硬化型樹脂としては、各種の界面活性剤を用いることにより分散媒中にてエマルションを形成する強制乳化型ではなく、分散媒に混合するのみで、分散媒中にてエマルションを形成する自己分散型であることが好ましい。その理由は、この塗膜形成用樹脂組成物に、無機微粒子の分散性を阻害する界面活性剤などの成分を添加する必要がないからである。
【0029】
また、分散媒中にて活性エネルギー線硬化型樹脂が形成するエマルション粒子のゼータ電位は、無機微粒子のゼータ電位と極性が同じであることが好ましい。その理由は、エマルション粒子と無機微粒子とのゼータ電位の極性が異なる場合、両者が凝集して凝集体を形成し、無機微粒子の分散性が損なわれるからである。
なお、エマルション粒子や無機微粒子の表面電荷は、例えば、電気泳動、レーザードップラー型ゼータ電位計を用いて測定される。
【0030】
また、活性エネルギー線硬化型樹脂が分散媒中にて形成するエマルション粒子の平均粒子径は、10nm以上かつ100μm以下であることが好ましく、100nm以上かつ1μm以下であることがより好ましい。
エマルション粒子の平均粒子径が10nm以上であることが好ましい理由は、無機微粒子の平均一次粒子径とエマルション粒子の平均粒子径の比率が一定値以上の場合、無機微粒子の含有率が低い塗膜形成用樹脂組成物において、無機微粒子とエマルション粒子とが接触あるいは近接していても、無機微粒子は分散性に優れるからである。これは、無機微粒子の平均一次粒子径とエマルション粒子の平均粒子径の比率が一定値以上の場合、無機微粒子の比率が高い相と低い相が分離した微細な構造体を形成することによるものと推定される。一方、エマルション粒子の大きさが100μm以下であることが好ましい理由は、無機微粒子とエマルション粒子を混合、分散した際、安定な分散体が得られないからである。これは、エマルション粒子の表面の表面張力、および、エマルション粒子の熱運動に起因するものと推定される。
【0031】
また、この塗膜形成用樹脂組成物では、活性エネルギー線硬化型樹脂の固形分中の含有率が90重量%以上かつ99重量%以下であることが好ましく、92重量%以上かつ98重量%以下であることがより好ましい。
活性エネルギー線硬化型樹脂の含有率が90重量%未満では、微粒子の分散不良を招き、最終的に塗膜の曇り度(ヘーズ)に悪影響を及ぼす。一方、活性エネルギー線硬化型樹脂の含有率が99重量%を超えると、微粒子間のつながりが悪くなるため、十分な導電性が発現しない。
【0032】
また、上記の塗膜形成用樹脂組成物には、流動性、この塗膜形成用樹脂組成物により形成した塗膜の導電性、この塗膜の基材に対する密着性、この塗膜の機械的強度などを改善する目的で、上記の活性エネルギー線硬化型樹脂とは異なる樹脂の前駆体であるモノマーあるいはオリゴマーを添加してもよい。
例えば、塗膜形成用樹脂組成物に、活性エネルギー線硬化型樹脂とは異なる樹脂の前駆体であるモノマーあるいはオリゴマーを添加することにより、この塗膜形成用樹脂組成物により形成した塗膜の導電性を向上することができる理由は、この塗膜中において、上記の無機微粒子の比率が高い相と、樹脂成分の比率が高い相とを形成することによって、有効な導電路が形成される効果、あるいは、所謂ダブルパーコレーション効果などによるものと推定される。
【0033】
このように、塗膜形成用樹脂組成物の流動性、塗膜の導電性、塗膜の密着性、塗膜の機械的強度などを改善する目的で、塗膜形成用樹脂組成物に添加する樹脂の前駆体であるモノマーとしては、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、N−ビニルピロリドン、ジメチルアクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド、N−ビニルホルムアミドなどが挙げられる。
また、塗膜形成用樹脂組成物に添加する樹脂の前駆体であるオリゴマーとしては、上記モノマー骨格からなるオリゴマーなどが挙げられる。
【0034】
活性エネルギー線硬化型樹脂とは異なる樹脂の前駆体であるモノマーあるいはオリゴマーの添加量は、上記の無機微粒子を100重量部とした場合、50重量部以下であることが好ましい。その理由は、上記のモノマーあるいはオリゴマーの添加量が多過ぎると、塗膜形成用樹脂組成物において、無機微粒子の相互作用を阻害すると推定されるからである。
【0035】
さらに、上記の塗膜形成用樹脂組成物には、粘度を調整する目的で、上記の活性エネルギー線硬化型樹脂とは異なる樹脂の前駆体であるモノマーあるいはオリゴマーを添加してもよい。
このように、塗膜形成用樹脂組成物の粘度を調整する目的で、塗膜形成用樹脂組成物に添加する樹脂の前駆体であるモノマーあるいはオリゴマーとしては、塗膜形成用樹脂組成物を希釈するために用いられるn−ビニルピロリドンなどの水溶性のアクリル系モノマー、低粘度のアクリル系オリゴマーなどが挙げられる。
また、これらのモノマーやオリゴマーが重合したポリマーも同様に用いることができる。また、本発明の塗膜形成用樹脂組成物は、流動性の調整のために加熱して使用することもできる。さらに、加熱温度は適宜選択されるが、40℃以上が好ましい。
【0036】
この塗膜形成用樹脂組成物には、重合開始剤として、一般的な光重合開始剤が用いられる。
光重合開始剤としては、1,2α−ヒドロキシアルキルフェノン類、1,3α−アミノアルキルキフェノン類、4,2−オキシフェニル酢酸エステル類などが挙げられる。
重合開始剤の添加量は、活性エネルギー線硬化型樹脂100重量部に対して、0.1重量部以上かつ10重量部以下であることが好ましい。
【0037】
この実施形態の塗膜形成用樹脂組成物では、無機微粒子が活性エネルギー線硬化型樹脂のエマルション粒子の表面に付着しているので、分散媒の含有率が7重量%以下であっても、活性エネルギー線硬化型樹脂中に無機微粒子が均一に分散している。また、この実施形態の塗膜形成用樹脂組成物では、無機微粒子が、活性エネルギー線硬化型樹脂の網目状の間隙に残留する分散媒中に分散しているので、分散媒の含有率が7重量%以下であっても、活性エネルギー線硬化型樹脂中に無機微粒子が均一に分散している。さらに、この実施形態の塗膜形成用樹脂組成物は、分散媒が活性エネルギー線硬化型樹脂の網目状の間隙に残留するので、分散媒の含有率が7重量%以下であっても、塗工することが可能である。
【0038】
次に、この塗膜形成用樹脂組成物の製造方法の一例について説明する。
先ず、上記の無機微粒子のうち金属酸化物微粒子を、水熱合成法を用いて、反応前駆体に含まれるアルカリ成分および塩成分の含有率を調整し、加熱温度を150℃以上かつ400℃以下とすることにより作製する。
例えば、酸化スズ微粒子を作製する場合、加熱温度を150℃以上かつ400℃以下とすることが好ましい。
また、アンチモンの含有率が0.01重量%以上かつ15重量%以下のアンチモン添加酸化スズ(ATO)を作製する場合、加熱温度を250℃以上かつ400℃以下とすることが好ましい。この加熱温度の範囲が好ましい理由は、加熱温度を250℃以下とした場合、異種元素を均一に含有し、結晶性の高いアンチモン添加酸化スズ(ATO)が得られ難い。一方、加熱温度を400℃以上とした場合、アンチモン添加酸化スズ(ATO)の生産性が低下する。
【0039】
次いで、上記の分散媒に、上記の無機微粒子と、上記の活性エネルギー線硬化型樹脂とを混合して、分散媒中にて活性エネルギー線硬化型樹脂のエマルション粒子を生成し、分散媒、無機微粒子および活性エネルギー線硬化型樹脂のエマルション粒子からなる分散液を調製する。
【0040】
次いで、この分散液から分散媒を散逸させて、分散媒の含有率が7重量%以下の塗膜形成用樹脂組成物を調製する。
上記の分散液から分散媒を散逸させるには、ロータリーエバポレーターなどを用いて分散液から分散媒を揮発させる方法、あるいは、減圧濾過法により、所定の含有率になるように分散液から分散媒を除去する方法が用いられる。
【0041】
また、この塗膜形成用樹脂組成物には、上記の樹脂の前駆体であるモノマーあるいはオリゴマーを添加してもよい。
これらのモノマーあるいはオリゴマーは、活性エネルギー線硬化型樹脂と共に添加されるか、あるいは、上記の分散液から分散媒を所定の濃度に散逸させた後、塗膜形成用樹脂組成物に添加される。
【0042】
次いで、このようにして得られた塗膜形成用樹脂組成物に、所定量の重合開始剤を添加する。
【0043】
このように、無機微粒子と活性エネルギー線硬化型樹脂を、分散媒中にて混合することにより、無機微粒子が活性エネルギー線硬化型樹脂のエマルション粒子の表面に付着する。したがって、その後、上記の分散液から分散媒を散逸させ、分散媒の含有率を7重量%以下と、極めて少なくしても、活性エネルギー線硬化型樹脂中に無機微粒子が均一に分散した塗膜形成用樹脂組成物が得られる。
あるいは、上記の分散液から分散媒を散逸させるに伴って、無機微粒子が、活性エネルギー線硬化型樹脂の網目状の間隙に生じる分散媒層に移動することにより、活性エネルギー線硬化型樹脂中に無機微粒子が均一に分散した塗膜形成用樹脂組成物が得られる。
いずれにしても、分散媒中にてエマルション粒子を形成する活性エネルギー線硬化型樹脂を用いることにより、分散媒を散逸させるに伴って、活性エネルギー線硬化型樹脂の網目状の間隙に分散媒が残留するようになる。したがって、この塗膜形成用樹脂組成物は、分散媒の含有率が極めて少ないにもかかわらず、塗工することが可能となる。
【0044】
次いで、基材上に塗膜形成用樹脂組成物を塗布し、基材上に塗布した塗膜形成用樹脂組成物に活性エネルギー線を照射して塗膜を形成する。
基材上に塗膜形成用樹脂組成物を塗布するには、特に限定されないが、例えば、スピンコート法、ディップコート法、フローコート法、キャップコート法、スリットコート法、スプレーコート法、グラビアコート法など、通常のコーティング法を適用することができる。
また、活性エネルギー線としては、例えば、強度500mJ/cmの紫外線が用いられる。
【0045】
このようにして形成された塗膜は、可視光線に対する平均透過率が90%以上、ヘーズが0.3%以下、表面抵抗値が1011Ω/□以下の透明導電膜であり、特に、演色性を改良した光源下にて曇りが生じないものである。
なお、演色性を改良した光源とは、例えば、3波長型蛍光灯である。本発明の効果を確認する方法としては、30cm程度の距離を隔てて、塗膜に30W程度の3波長型蛍光灯の光を照射し、塗膜の曇りを肉眼で識別する方法が用いられる。
【実施例】
【0046】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
以下に本発明の塗膜形成用樹脂組成物の調製およびこれを用いた塗膜形成の実施例を具体的に述べる。しかし、ここに挙げる実施例はあくまで一例でありこれらの方法に限定されることはない。
【0047】
「実施例1」
純水に、平均一次粒子径が8nmのアンチモン添加酸化スズ微粒子(ATO、住友大阪セメント製)を攪拌しながら加え、アンチモン添加酸化スズの20重量%の水分散液スラリーを調製した。
次いで、この水分散液スラリー3gと、ウレタンアクリレート系樹脂エマルション(UV−W−101、日本合成化学社製)100gとを混合した後、ロータリーエバポレーターを用いて水分を除去し、アンチモン添加酸化スズとウレタンアクリレート系樹脂エマルションの混合物を調製した。なお、ウレタンアクリレート系樹脂エマルションの平均粒子径は200nmであった。
次いで、この混合物70gを、n−ビニルピロリドン30gにより希釈した後、さらに光重合開始剤(イルガキュア500、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)を、ウレタンアクリレート系樹脂エマルション100重量部に対して5重量部添加して、塗膜形成用樹脂組成物を得た。
得られた塗膜形成用樹脂組成物の水分含有率を、カールフィッシャー水分測定装置(三菱化学社製)を用いて測定したところ、この塗膜形成用樹脂組成物の水分含有率は0.5重量%以下であった。
次いで、バーコーター(14番)により、アクリル板(アクリルライトL、三菱レイヨン社製)上に、この塗膜形成用樹脂組成物を塗布した後、この塗膜形成用樹脂組成物に強度500mJ/cmの紫外線を照射して、この塗膜形成用樹脂組成物を硬化させ、塗膜を形成した。
【0048】
「実施例2」
平均一次粒子径が20nmのアルミニウム添加酸化亜鉛微粒子(AZO、住友大阪セメント製)を用いた以外は実施例1と同様にして、塗膜形成用樹脂組成物を得た。この塗膜形成用樹脂組成物の水分含有率は0.5重量%以下であった。
次いで、実施例1と同様にして、アクリル板上に、この塗膜形成用樹脂組成物を塗布して、この塗膜形成用樹脂組成物からなる塗膜を形成した。
【0049】
「実施例3」
平均一次粒子径が70nmのスズ添加酸化インジウム微粒子(ITO、住友大阪セメント製)を用いた以外は実施例1と同様にして、塗膜形成用樹脂組成物を得た。この塗膜形成用樹脂組成物の水分含有率は0.5重量%以下であった。
次いで、実施例1と同様にして、アクリル板上に、この塗膜形成用樹脂組成物を塗布して、この塗膜形成用樹脂組成物からなる塗膜を形成した。
【0050】
「実施例4」
平均一次粒子径が20nmの酸化スズ微粒子(SnO、住友大阪セメント製)を用いた以外は実施例1と同様にして、塗膜形成用樹脂組成物を得た。この塗膜形成用樹脂組成物の水分含有率は0.5重量%以下であった。
次いで、実施例1と同様にして、アクリル板上に、この塗膜形成用樹脂組成物を塗布して、この塗膜形成用樹脂組成物からなる塗膜を形成した。
【0051】
「実施例5」
平均一次粒子径が5nmの銀微粒子(Ag、住友大阪セメント製)を用いた以外は実施例1と同様にして、塗膜形成用樹脂組成物を得た。この塗膜形成用樹脂組成物の水分含有率は0.5重量%以下であった。
次いで、実施例1と同様にして、アクリル板上に、この塗膜形成用樹脂組成物を塗布して、この塗膜形成用樹脂組成物からなる塗膜を形成した。
【0052】
「実施例6」
平均一次粒子径が2nmのアンチモン添加酸化スズ微粒子(ATO、住友大阪セメント製)を用いた以外は実施例1と同様にして、塗膜形成用樹脂組成物を得た。この塗膜形成用樹脂組成物の水分含有率は0.5重量%以下であった。
次いで、実施例1と同様にして、アクリル板上に、この塗膜形成用樹脂組成物を塗布して、この塗膜形成用樹脂組成物からなる塗膜を形成した。
【0053】
「実施例7」
平均粒子径が1500nmのウレタンアクリレート系樹脂エマルション(UV−W−101、日本合成化学社製)を用いた以外は実施例1と同様にして、塗膜形成用樹脂組成物を得た。この塗膜形成用樹脂組成物の水分含有率は0.5重量%以下であった。
次いで、実施例1と同様にして、アクリル板上に、この塗膜形成用樹脂組成物を塗布して、この塗膜形成用樹脂組成物からなる塗膜を形成した。
【0054】
「実施例8」
純水に、平均一次粒子径が8nmのアンチモン添加酸化スズ微粒子(ATO、住友大阪セメント製)を攪拌しながら加え、アンチモン添加酸化スズの20重量%の水分散液スラリーを調製した。
次いで、この水分散液スラリー3gと、ウレタンアクリレート系樹脂エマルション(UV−W−101、日本合成化学社製)100gとを混合した後、ロータリーエバポレーターを用いて水分を除去し、アンチモン添加酸化スズとウレタンアクリレート系樹脂エマルションの混合物を調製した。なお、ウレタンアクリレート系樹脂エマルションの平均粒子径は200nmであった。
次いで、この混合物70gに、光重合開始剤(イルガキュア500、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)を、ウレタンアクリレート系樹脂エマルション100重量部に対して5重量部添加して、塗膜形成用樹脂組成物を得た。
得られた塗膜形成用樹脂組成物の水分含有率を、カールフィッシャー水分測定装置(三菱化学社製)を用いて測定したところ、この塗膜形成用樹脂組成物の水分含有率は0.5重量%以下であった。
次いで、この塗膜形成用樹脂組成物を40℃に加熱し、バーコーター(14番)により、アクリル板(アクリルライトL、三菱レイヨン社製)上に塗布した後、この塗膜形成用樹脂組成物に強度500mJ/cmの紫外線を照射して、この塗膜形成用樹脂組成物を硬化させ、塗膜を形成した。
【0055】
「比較例」
平均一次粒子径が8nmのアンチモン添加酸化スズ微粒子(ATO、住友大阪セメント製)0.2g、メチルエチルケトン(関東化学社製)17g、シクロヘキサノン(関東化学社製)2g、および、バインダー樹脂として、ポリエステル樹脂(エリーテル、ユニチカ社製)0.8gを混合した後、超音波分散機を用いて、アンチモン添加酸化スズ微粒子を分散させ塗料を調製した。
得られた塗料の水分含有率を、カールフィッシャー水分測定装置(三菱化学社製)を用いて測定したところ、この塗料の水分含有率は0.5重量%以下であった。
次いで、バーコーター(14番)により、アクリル板(アクリルライトL、三菱レイヨン社製)上に、この塗料を塗布した後、この塗料を100℃にて1分間加熱して硬化させ、塗膜を形成した。
【0056】
「塗膜の評価」
実施例1〜8および比較例それぞれの塗膜について、表面抵抗、全光線透過率、ヘーズ、耐摩耗性および鉛筆硬度の5点について、下記の装置または方法により評価を行った。
(1)表面抵抗
三菱化学(株)社製「ロレスタAP」(4端子法)を用いて測定した。
(2)全光線透過率
東京電色社製「Automatic Haze Meter HIII DP」を用いて測定した。
(3)ヘーズ
東京電色社製「Automatic Haze Meter HIII DP」を用いて測定した。
(4)耐摩耗性
#0000のスチールウールに750g/cmの荷重を付加しつつ、塗膜の表面上を10回往復させ、その後、塗膜の表面に発生した傷の本数を目視にて測定した。
(5)鉛筆硬度
日本工業規格:JIS K 5600−5−4「引っかき硬度(鉛筆法)」に準拠し、鉛筆硬度を測定した。
以上の評価結果を表1に示す。
【0057】
【表1】

【0058】
これらの評価結果によれば、実施例1〜8の塗膜は、表面抵抗、全光線透過率、ヘーズ、耐摩耗性および鉛筆硬度ともに優れていることが分かった。
一方、比較例の塗膜では、ヘーズ、耐摩耗性および鉛筆硬度が実施例1〜8と比べて劣っていた。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
分散媒と、無機微粒子と、前記分散媒中にてエマルション粒子を形成する活性エネルギー線硬化型樹脂とを含み、前記分散媒の含有率が7重量%以下であることを特徴とする塗膜形成用樹脂組成物。
【請求項2】
前記無機微粒子の平均一次粒子径が3nm以上かつ100nm以下であり、前記エマルション粒子の平均粒子径が10nm以上かつ100μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の塗膜形成用樹脂組成物。
【請求項3】
モノマーあるいはオリゴマーを添加してなることを特徴とする請求項1または2に記載の塗膜形成用樹脂組成物。
【請求項4】
前記無機微粒子は、金属を含有する微粒子であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の塗膜形成用樹脂組成物。
【請求項5】
前記金属を含有する微粒子は、金、白金、銀、銅、錫、ニッケル、鉄、鉛、亜鉛、ルテニウム、パラジウム、チタン、ジルコニウム、アンチモン、インジウムの群から選択された1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項4に記載の塗膜形成用樹脂組成物。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項に記載の塗膜形成用樹脂組成物を含有してなることを特徴とする塗膜。
【請求項7】
分散媒に、無機微粒子と、活性エネルギー線硬化型樹脂とを混合して、前記活性エネルギー線硬化型樹脂のエマルション粒子を生成し、次いで、前記分散媒を散逸させて前記分散媒の含有率が7重量%以下の塗膜形成用樹脂組成物を調製し、前記塗膜形成用樹脂組成物を基材上に塗布し、この塗布した塗膜形成用樹脂組成物に活性エネルギー線を照射して塗膜を形成することを特徴とする塗膜形成方法。



【公開番号】特開2007−326970(P2007−326970A)
【公開日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−159675(P2006−159675)
【出願日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【出願人】(000183266)住友大阪セメント株式会社 (1,342)
【Fターム(参考)】