塗被紙用水性分散体及び塗被紙の製造方法
【課題】
優れたダスティング防止効果を有する材料を提供することである。
【解決手段】
140℃における溶融粘度が50〜5000mPa・s、20℃における密度が0.90〜0.96g/cm3、25℃における針入度が1〜80dmmであるポリオレフィン(A)と水性分散媒とを含有してなることを特徴とする塗被紙用水性分散体を用いる。さらに金属石鹸(B)を含有し、ポリオレフィン(A)と金属石鹸(B)との含有重量比(A/B)が0.1〜9であることが好ましい。金属石鹸(B)を構成する金属原子はカルシウム、マグネシウム及び亜鉛からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。
優れたダスティング防止効果を有する材料を提供することである。
【解決手段】
140℃における溶融粘度が50〜5000mPa・s、20℃における密度が0.90〜0.96g/cm3、25℃における針入度が1〜80dmmであるポリオレフィン(A)と水性分散媒とを含有してなることを特徴とする塗被紙用水性分散体を用いる。さらに金属石鹸(B)を含有し、ポリオレフィン(A)と金属石鹸(B)との含有重量比(A/B)が0.1〜9であることが好ましい。金属石鹸(B)を構成する金属原子はカルシウム、マグネシウム及び亜鉛からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は塗被紙用水性分散体及び塗被紙の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
塗被紙をキャレンダー処理又はバッキングロール処理する際、ダスティング防止のため、脂肪酸金属塩を塗被紙用の潤滑剤として用いることが知られている(特許文献1及び2)。
【0003】
一方、近年、製紙メーカーではより効率的な生産とコストダウンを図るべく、塗被設備の広幅、高速化を進めている。優れた印刷特性を備えた印刷用塗被紙を高速で製造する方法として、金属ロールを100℃以上に加温して塗被紙を加圧・平滑化する方法が知られている(特許文献3)。
【特許文献1】特開昭59−230632号公報
【特許文献2】特開平8−60598号公報
【特許文献3】特開昭54−125712号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の潤滑剤では100℃以上の高温時でのダスティング防止効果が不十分であるいう問題がある。すなわち、本発明の目的は、優れたダスティング防止効果を有する材料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の水性分散体の特徴は、140℃における溶融粘度が50〜5000mPa・s、20℃における密度が0.90〜0.95g/cm3、25℃における針入度が1〜80dmmであるポリオレフィン(A)と、水性分散媒とを含有してなる点を要旨とする。
【0006】
本発明の塗被塗料の特徴は、上記の塗被紙用水性分散体と、顔料及びバインダーとを含有してなり、塗被紙用水性分散体の含有量が顔料100重量部に対して0.05〜10重量部である点を要旨とする。
【0007】
本発明の塗被紙の製造方法の特徴は、上記の塗被塗料を原紙に塗被し、乾燥した後、100〜200℃の表面温度を持つロールで、キャレンダー処理する工程を含む点を要旨とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の塗被紙用水性分散体は、優れたダスティング防止効果を発揮する。したがって、優れた印刷特性を有する塗被紙を高速で容易に得ることができる。
本発明の塗被塗料は、上記の塗被紙用水性分散体を含有するため、優れたダスティング防止効果を発揮する。したがって、優れた印刷特性を有する塗被紙を高速で容易に得ることができる。
本発明の塗被紙の製造方法の特徴は、上記の塗被塗料を使用するため、優れたダスティング防止効果を発揮する。したがって、優れた印刷適正を有する塗被紙を高速で容易に得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
ポリオレフィン(A)の140℃における溶融粘度(mPa・s)は、50〜5000が好ましく、さらに好ましくは180〜700、特に好ましくは180〜400である。この範囲であると、ダスティング防止効果がさらに良好となる。溶融粘度は、JIS K6862‐1984に準拠して測定される。
【0010】
ポリオレフィン(A)の20℃における密度(g/cm3)は、0.90〜0.96が好ましく、さらに好ましくは0.92〜0.95、特に好ましくは0.92〜0.94である。この範囲であると、ダスティング防止効果がさらに良好となる。密度はJIS K2249‐1995に準拠して測定される。
【0011】
ポリオレフィン(A)の25℃における針入度(dmm)は、1〜80が好ましく、さらに好ましくは1〜15、特に好ましくは2〜8である。この範囲であると、ダスティング防止効果がさらに良好となる。針入度はJIS K2235‐1991に準拠して測定される。
【0012】
ポリオレフィン(A)としては、ポリエチレン、酸化ポリエチレン、酸変性ポリエチレン、ポリプロピレン、酸化ポリプロピレン、酸変性ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びエチレン−(メタ)アクリル酸共重合体等が用いられる。なお、(メタ)アクリル酸は、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を意味する。
【0013】
ポリエチレンとしては、エチレンの重合により得られるもの、一般成型用ポリエチレンの熱分解(低分子量化)により得られるもの、一般成型用ポリエチレンを製造する際に副生する低分子量ポリエチレンの分離精製により得られるものがあるが、いずれの方法で得られたものでも使用できる。
【0014】
酸化ポリエチレンとしては、上記のポリエチレンを空気酸化及び/又はオゾン酸化等により酸化(カルボキシ基、水酸基及び/又はホルミル基を導入)したもの等が使用できる。
【0015】
酸変性ポリエチレンとしては、上記のポリエチレンに不飽和二重結合含有カルボン酸(α,β−不飽和モノカルボン酸及びα,β−不飽和ジカルボン酸等)等をグラフトさせたカルボン酸変性ポリエチレン等が使用できる。
【0016】
α,β−不飽和モノカルボン酸としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸及び2−エチルアクリル酸等が挙げられる。
【0017】
α,β−不飽和ジカルボン酸としては、マレイン酸、無水マレイン酸、マロン酸、コハク酸、イタコン酸及びフマル酸等が挙げられる。
【0018】
ポリプロピレンとしては、プロピレンの重合により得られるもの、一般成型用ポリプロピレンの熱分解(低分子量化)により得られるもの、一般成型用ポロプロピレンを製造する際に副生する低分子量ポリプロピレンの分離精製により得られるものがあるが、いずれの方法で得られたものでも使用できる。
【0019】
酸化ポリプロピレンとしては、上記のポリプロピレンを空気酸化及び/又はオゾン酸化等により酸化(カルボキシ基、水酸基及び/又はホルミル基を導入)したもの等が使用できる。
【0020】
酸変性ポリプロピレンとしては、上記のポリプロピレンに不飽和二重結合含有カルボン酸(α,β−不飽和モノカルボン酸及びα,β−不飽和ジカルボン酸等)等をグラフトさせたカルボン酸変性ポリプロピレン等が使用できる。
【0021】
エチレン−酢酸ビニル共重合体としては、エチレン及び酢酸ビニルの共重合(乳化重合、塊状重合又は溶液重合等)により得られるもの等が使用できる。
【0022】
エチレン−酢酸ビニル共重合体中の酢酸ビニル単位の含有量(重量%)は、乳化分散体の経時安定性及び水希釈安定性の観点等から、エチレン−酢酸ビニル共重合体の重量に基づいて、1〜40が好ましく、さらに好ましくは2〜30、特に好ましくは3〜25である。
【0023】
エチレン−酢酸ビニル共重合体中のエチレン単位の含有量(重量%)は、乳化分散体の経時安定性及び水希釈安定性の観点等から、エチレン−酢酸ビニル共重合体の重量に基づいて、60〜99が好ましく、さらに好ましくは70〜98、特に好ましくは75〜97である。
【0024】
エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体としては、エチレンと(メタ)アクリル酸との共重合(乳化重合、塊状重合又は溶液重合等)により得られるものが使用できる。
【0025】
エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体中の(メタ)アクリル酸単位の含有量(重量%)は、乳化分散体の経時安定性及び水希釈安定性の観点等から、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体の重量に基づいて、1〜30が好ましく、さらに好ましくは2〜28、特に好ましくは3〜25である。
【0026】
エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体中のエチレン単位の含有量(重量%)は、乳化分散体の経時安定性及び水希釈安定性の観点等から、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体の重量に基づいて、70〜99が好ましく、さらに好ましくは72〜98、特に好ましくは75〜97である。
【0027】
ポリオレフィンにカルボキシ基を含む場合、全部又は一部のカルボキシ基は塩を形成していてもよい。すなわち、ポリオレフィンにカルボキシ基を含む場合、カルボキシ基の全部又は一部はカルボキシレート基であってもよい。
この場合、塩としては、アンモニウム塩{アンモニア、アルキルアミン(モノエチルアミン、モノブチルアミン及びトリエチルアミン等)又はアルカノールアミン(モノエタノールアミン、ジエタノールアミン及びトリエタノールアミン等)等の塩}、アルカリ金属塩(リチウム、ナトリウム又はカリウム等の塩)及びアルカリ土類金属塩(マグネシウム、カルシウム又は亜鉛等の塩)等が挙げられる。これらのうち、アンモニア、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム又は亜鉛の塩である。
【0028】
これらのポリオレフィンのうち、酸化ポリエチレン、酸変性ポリプロピレン及びエチレン−酢酸ビニル共重合体が好ましく、さらに好ましくは酸化ポリエチレン及び酸変性ポリプロピレンである。これらのポリオレフィンはそれぞれ単独で使用してもよいし、複数のものを任意に組み合わせて使用してもよい。
【0029】
水性分散媒としては、水性液体であれば制限なく使用でき、水(工業用水、水道水及び脱イオン水等)及び水と水易溶性溶媒とから構成される水溶液等が使用できる。
【0030】
水易溶性溶媒としては、25℃における水100g対する溶解度が3以上の有機液体等が含まれ、炭素数1〜5のアルコール(メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコール及びグリセリン等)、炭素数1〜5のケトン(アセトン、メチルエチルケトン、ジオキサン及びテトラヒドロフラン等)、炭素数2〜4のエステル(ギ酸メチル、酢酸メチル及び酢酸エチル等)、及びその他の溶剤(2−エトキシエタノール、2−ブトキシオキシエタノール、2−フェノキシエタノール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、エチルセロソルブ及びブチルセロソルブ等)等が挙げられる。
【0031】
水と水易溶性溶媒とから構成される水溶液中の水に対する水易溶性溶媒の含有重量比(水易溶性溶媒/水)は、0.6以下が好ましく、さらに好ましくは0.1以下、特に好ましくは0.05以下である。
【0032】
これらの水性分散媒のうち、水が好ましく、さらに好ましくは水道水及び脱イオン水である。
【0033】
水性分散媒のpHは、5〜12が好ましく、さらに好ましくは5.5〜10、特に好ましくは6〜8である。pHがこの範囲であると、水性分散体の経時安定性(凝集、分離、ゲル化及び増粘等)がさらに良好となる。
【0034】
なお、pHは、JIS K0802−1996年に準拠して、銀/塩化銀電極を用いたガラス電極式pH測定機{たとえば、株式会社堀場製作所のカスタニーLAB pHメーター}により、測定温度を25℃として測定される。
【0035】
水性分散媒のpHは、陽イオン交換樹脂や陰イオン交換樹脂を通過させることにより調整することができ、また、適当な酸又は塩基の添加によっても調整できる。酸としては、塩酸、硫酸及び硝酸等の強酸が好ましく、さらに好ましくは塩酸及び硫酸である。塩基としてはアンモニア、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムが好ましく、さらに好ましくはアンモニア、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムである。
【0036】
ポリオレフィン(A)の含有量(重量%)は、ポリオレフィン(A)及び水性分散媒の合計重量に基づいて、0.5〜70が好ましく、さらに好ましくは1〜65、特に好ましくは3〜60である。この範囲であると水性分散体の経時安定性(特に凝集性や分離性)さらに良好となる。
【0037】
水性分散媒の含有量(重量%)は、ポリオレフィン(A)及び水性分散媒の合計重量に基づいて、30〜99.5が好ましく、さらに好ましくは35〜99、特に好ましくは40〜97である。この範囲であると、水性分散体の経時安定性(凝集及び分離等)がさらに良好となる。
【0038】
本発明の塗被紙用水性分散体には、さらに金属石鹸(B)を含有することが好ましい。金属石鹸(B)を含有すると、ダスティング防止効果がさらに良好となる。
【0039】
金属石鹸(B)としては、炭素数8〜38のカルボン酸金属塩等が含まれる。
炭素数8〜38のカルボン酸としては、飽和脂肪酸(カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸及びモンタン酸等)、不飽和脂肪酸(オクテン酸、テトラデセン酸、ヘキサデセン酸、オレイン酸、エライジン酸、エルカ酸、ステアロール酸、リノール酸及びリノレン酸等)、オキシカルボン酸(12−ヒドロキシステアリン酸及びリシノール酸等)、脂環式カルボン酸(アレプレスチン酸、アレプリン酸、α−シクロヘキシルステアリン酸及びゴルリン酸等)、芳香族カルボン酸(γ−フェニル酪酸、δ−フェニル吉草酸及びε−フェニルカプロン酸等)、二塩基酸(アゼライン酸、セバシン酸及びオレイン酸のダイマー等)等が挙げられる。
【0040】
上記のカルボン酸の混合物である天然油脂から得られる脂肪酸混合物を使用することもできる。天然油脂としては、植物由来の油脂(亜麻仁油、オリーブ油、カカオ脂、ゴマ油、米糠油、サフラワー油、大豆油、ツバキ油、コーン油、菜種油、パーム油、パーム核油、ひまし油、ひまわり油、綿実油及びヤシ油等)及び動物由来の油脂(牛脂、豚脂、乳脂、魚脂、鯨油等)が挙げられる。
【0041】
これらカルボン酸のうち、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、オレイン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸のダイマー、牛脂由来の脂肪酸及びヤシ油由来の脂肪酸が好ましい。また、カルボン酸はそれぞれ単独で使用してもよいし、複数のものを任意に組み合わせて使用してもよい。
【0042】
カルボン酸金属塩の金属としては、カルシウム、マグネシウム及び亜鉛が好ましく、さらに好ましくはマグネシウム及び亜鉛、特に好ましくは亜鉛である。
【0043】
金属石鹸(B)として、脂肪酸アルカリ金属(ナトリウム及びカリウム等)塩及び脂肪酸アンモニウム塩は、水中にミセルを形成して溶解してしまい、ポリオレフィン(A)と複合粒子を形成しにくいため、ダスティング防止効果を十分に発揮することができないため、好ましくない。
【0044】
金属石鹸(B)を含有する場合、ポリオレフィン(A)と金属石鹸(B)との含有重量比(A/B)は、0.1〜9が好ましく、さらに好ましくは0.25〜8、特に好ましくは0.5〜4である。この範囲であると、ダスティング防止効果がさらに良好となる。
【0045】
本発明の水性分散体には、さらに界面活性剤及び/又は水溶性高分子を含有することができる。界面活性剤及び/又は水溶性高分子を含有すると、本発明の水性分散体の製造や保存の際、分離、沈降及び凝集物の発生等を効率よく防止することができ、また、分散粒子の体積平均粒子径や水性分散体の粘度の大幅な変化を効率よく抑制することができる。
【0046】
界面活性剤としては、公知の界面活性剤(ノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤及び両性界面活性剤)が使用できる。
【0047】
ノニオン性界面活性剤としては、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油脂肪酸エステル、ジグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、ポリエーテル変成シリコーン、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンプロピレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンベンジルエステル、ポリオキシエチレンヒマシ油エーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油エーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミド及びポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール等が挙げられる。
【0048】
アニオン性活性剤としては、アルキルエーテル硫酸エステル塩、硫酸化油、硫酸化脂肪酸エステル、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル・スルホコハク酸部分エステル塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩、高級アルコール硫酸エステル塩、脂肪族モノカルボン酸塩、ポリオキシアルキルエーテルカルボン酸塩、N−アシルサルコシン塩、N−アシルグルタミン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩−ホルムアルデヒド縮合物、アルキルナフタレンスルホン酸塩、N−メチル−N−アシルタウリン酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩及びポリオキシエチレンアルキルフェニルリン酸塩等が挙げられる。
【0049】
塩としては、アンモニア塩、アルキルアミン(モノエチルアミン、モノブチルアミン及びトリエチルアミン等)塩及びアルカノールアミン(モノエタノールアミン、ジエタノールアミン及びトリエタノールアミン等)塩等のアミン塩、並びにアルカリ金属(リチウム、ナトリウム及びカリウム等)塩及びアルカリ土類金属(マグネシウム、カルシウム及び亜鉛等)塩等が挙げられる。
【0050】
カチオン性界面活性剤としては、モノアルキルアミン塩、ジアルキルアミン塩、トリアルキルアミン塩、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩及びアルキルベンジルジメチルアンモニウム塩等が挙げられる。
【0051】
塩としては、ハロゲン(フッ素、塩素及びヨウ素等)、ハロゲン酸化物(亜塩素酸、過塩素酸、過フッ素酸及び過ヨウ素酸等)、窒素酸化物、硫黄酸化物、リン酸化物、又は元素の周期律表第13族金属の酸化物(アルミン酸、チタン酸及びタングステン酸等)の塩等が挙げられる。
【0052】
両性界面活性剤としては、アルキルベタイン、脂肪酸アミドプロピルベタイン、2−アルキル−N−カルボキシルメチル−N−ヒドロキシエチル−イミダゾリニウムベタイン、アルキルジエチレントリアミノ酢酸、ジアルキルジエチレントリアミノ酢酸、アルキルアミンオキシド等が挙げられる。
【0053】
水溶性高分子としては、公知の水溶性高分子等が使用でき、天然高分子(セルロース、プルラン、アルギン酸ナトリウム、アラビアガム、グアーガム、カラギーナン、ゼラチン、カードラン、寒天、デンプン、キサンタンガム、ウェランガム、ラムザンガム、トラガントガム、キャロブガム、ローカストビーンガム、ペクチン、デキストラン、カゼイン、アルブミン及びアガロース等)、半合成高分子(メチルセルロース、エチルセルロース、ニトロセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、セルロース硫酸ナトリウム、カルボキシメチルエチルセルロース、カルボキシメチルデンプン及びアルギン酸プロピレングリコールエステル等)、合成高分子{ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、ポリオキシエチレンプロピレン共重合体、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリ(メタ)アクリル酸(塩)、ポリスチレンスルホン酸(塩)、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物(塩)、(メタ)アクリルアミド及び(メタ)アクリル酸の共重合体(塩)、(メタ)アクリル酸及びマレイン酸の共重合体(塩)、スチレン及びマレイン酸の共重合体(塩)、スチレン及び(メタ)アクリル酸の共重合体(塩)}等が挙げられる。
【0054】
なお、塩としては、アンモニア塩、アルキルアミン(モノエチルアミン、モノブチルアミン及びトリエチルアミン等)塩及びアルカノールアミン(モノエタノールアミン、ジエタノールアミン及びトリエタノールアミン等)塩等のアミン塩、アルカリ金属(リチウム、ナトリウム及びカリウム等)塩及びアルカリ土類金属(マグネシウム、カルシウム及び亜鉛等)塩等が挙げられる。また、完全に塩となっていてもよいし、あるいは部分的に塩となっていてもよい。
【0055】
これらの界面活性剤及び/又は水溶性高分子の複数種を組み合わせて使用する際には、本発明の水性分散体の凝集や分離等の防止の観点等から、同じイオン性を組み合わせ、ノニオン性と他のイオン性との組合せ、又はノニオン性と他の複数の同じイオン性の組合せが好ましい。
【0056】
界面活性剤及び/又は水溶性高分子を含有させる場合、この含有量(重量%)は、ポリオレフィン(A)及び金属石鹸(B)の合計重量{金属石鹸(B)を使用しない場合、当然、金属石鹸の重量は合計重量には含まれない。}に基づいて、0.01〜50が好ましく、さらに好ましくは0.03〜30、特に好ましくは0.05〜20である。この範囲であると、水性分散体のダスティング防止効果への悪影響を抑えることができる。
【0057】
本発明の水性分散体には、さらに添加剤を含有させることができる。添加剤としては、酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐水化剤、汚染防止剤、帯電防止剤、粘度調整剤、pH調整剤、浸透剤、レベリング剤、架橋剤、防腐防黴剤、殺菌剤、消泡剤、香料、染料及び顔料等が含まれる。
【0058】
添加剤を含有させる場合、この含有量(重量%)は、水性分散体の重量に基づき、0.01〜5が好ましく、さらに好ましくは0.03〜4、特に好ましくは0.05〜3である。
【0059】
本発明の水性分散体の製造方法としては、ポリオレフィン(A)を界面活性剤及び/又は水溶性高分子の存在下、攪拌混合機又は乳化分散機により、水性分散媒に分散させる方法や、特開2002−69302号公報又は特開平6−136304号公報等に記載の方法と同様にして、水性分散媒、ポリオレフィン(A)、塩基、界面活性剤及び/又は水溶性高分子を反応容器に入れ、ポリオレフィン(A)の融点以上に加熱し攪拌混合機又は乳化分散機により乳化・分散した後冷却する方法等が適用できる。
【0060】
添加剤を含有する場合、水性分散媒に分散させる前、分散させた後のいずれでも添加混合することができる(以下、同様である。)。
【0061】
本発明の水性分散体に、金属石鹸(B)を含有する場合、本発明の水性分散体の製造方法としては特に制限はないが、(1)ポリオレフィン(A)及び金属石鹸(B)を予め溶融混合した後、この溶融混合物を乳化分散する方法、(2)ポリオレフィン(A)を乳化分散したのち、ポリオレフィン(A)の乳化分散体中に、引き続き金属石鹸(B)を乳化分散する方法、(3)金属石鹸(B)を乳化分散したのち、金属石鹸(B)の乳化分散体中に、引き続きポリオレフィン(A)を乳化分散する方法、(4)ポリオレフィン(A)及び金属石鹸(B)の一部を乳化分散し、引き続き残りの金属石鹸(B)を乳化分散する方法、(5)金属石鹸(B)及びポリオレフィン(A)の一部を乳化分散し、引き続き残りのポリオレフィン(A)を乳化分散する方法、(6)ポリオレフィン(A)の水性分散体と金属石鹸(B)の水性分散体とを個別に製造し、両者を混合する方法等が適用できる。
【0062】
上記の方法において、ポリオレフィン(A)の乳化・分散方法としては、ポリオレフィン(A)を界面活性剤及び/又は水溶性高分子の存在下、攪拌混合機又は乳化分散機により水性分散媒に分散させる方法や、特開2002−69302号公報又は特開平6−136304号公報等に記載の方法と同様にして、水性分散媒、ポリオレフィン(A)、塩基、界面活性剤及び/又は水溶性高分子を反応容器に入れ、ポリオレフィン(A)の融点以上に加熱し攪拌混合機又は乳化分散機により乳化・分散した後冷却する方法等が適用できる。
【0063】
なお、(3)及び(5)の方法の場合、水性分散媒の代わりに金属石鹸(B)の水性分散体、又はポリオレフィン(A)及び金属石鹸(B)の水性分散体を用いる。
【0064】
上記の方法において、金属石鹸(B)の乳化・分散方法としては、金属石鹸(B)を界面活性剤及び/又は水溶性高分子の存在下、攪拌混合機又は乳化分散機により水性分散媒に分散させる方法や、水性分散媒、金属石鹸(B)、塩基、界面活性剤及び/又は水溶性高分子を反応容器に入れ、金属石鹸(B)の融点以上に加熱し攪拌混合機又は乳化分散機により乳化分散した後冷却する方法、並びに公知の溶融法、半溶融法又は複分解法(例えば特公昭63−57414号公報等)等が適用できる。
【0065】
なお、(2)及び(4)の方法の場合、水性分散媒の代わりにポリオレフィン(A)の水性分散体、又はポリオレフィン(A)及び金属石鹸(B)の水性分散体を用いる。
【0066】
(1)、(4)及び(5)の方法において、ポリオレフィン(A)及び金属石鹸(B)を予め溶融混合した後、この溶融混合物を乳化分散する場合、溶融混合温度は、ポリオレフィン(A)及び金属石鹸(B)のうち最も高い融点以上であることが好ましく、さらに好ましくは最も高い融点よりさらに10℃高い温度以上、特に好ましくは最も高い融点よりさらに15℃高い温度以上であり、また、250℃以下が好ましく、さらに好ましくは230℃以下、特に好ましくは220℃以下である。
【0067】
なお、ポリオレフィン(A)及び金属石鹸(B)からなる溶融混合物の乳化分散方法としては、上記と同様の方法が適用できる。
【0068】
(6)の方法において、ポリオレフィン(A)の水性分散体と、金属石鹸(B)の水性分散体とを混合する方法としては、各々の水性分散体を任意の順で混合容器に仕込んだ後、公知の攪拌混合機を用いて混合する方法、各々の水性分散体を徐々に混合容器に投入しながら混合する方法、及び何れか一方の水性分散体を混合容器に仕込んだ後他方の水性分散体を徐々に投入しながら混合する方法等が適用できる。
【0069】
(6)の方法において、混合温度としては、0〜100℃が好ましく、さらに好ましくは10〜80℃であり、特に好ましくは20〜60℃である。
【0070】
(6)の方法において、攪拌混合機としては、インペラ型攪拌機(プロペラ型翼攪拌機、パドル型翼攪拌機及びタービン型翼攪拌機)、ニーダー、ラインミキサー及びプラネタリーミキサー等が使用できる。
【0071】
本発明の塗被塗料は、上記の塗被紙用水性分散体を含有すれば制限ないが、上記の塗被紙用水性分散体、顔料及びバインダーを含有することが好ましい。
【0072】
水性分散体の含有量(重量%)は、顔料100重量部に対して、0.05〜10が好ましく、さらに好ましくは0.1〜5、特に好ましくは0.2〜1.5である。この範囲であると、ダスティング防止効果がさらに良好となる。
【0073】
顔料としては、無機顔料及び有機顔料が含まれる。
無機顔料としては、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、クレー、焼成クレー、カオリン、焼成カオリン、サチンホワイト、酸化チタン、酸化アルミニウム、合成シリカ、含水ケイ酸、無水ケイ酸、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、アルミノケイ酸ソーダ、アルミノケイ酸マグネシウム、ケイソウ土、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、酸化亜鉛、硫酸カルシウム、タルク、活性白土及び珪藻土等が挙げられる。
【0074】
有機顔料としては、プラスチックピグメント{ポリスチレン(重量平均分子量1,000〜1,000,000)、スチレン/ブタジエン共重合体(共重合モル比2/8、重量平均分子量5,000〜1,000,000)、スチレン/アクリル共重合体(共重合モル比3/7、重量平均分子量2,000〜500,000)、ポリアクリル酸エチル(重量平均分子量5,000〜500,000)}等が挙げられる。
【0075】
これらの顔料は1種でも2種以上の混合物としても使用できる。これらの顔料のうち、重質炭酸カルシウム及び軽質炭酸カルシウムを含むことが好ましい。
【0076】
重質炭酸カルシウム及び/又は軽質炭酸カルシウムを含む場合、この含有量(重量%)は、顔料の重量に基づいて、30〜100が好ましく、さらに好ましくは40〜90、特に好ましくは60〜80である。この範囲であると、印刷物の白色度やインキ受理性がさらに良好となる。
【0077】
重質及び/又は軽質炭酸カルシウム以外の顔料をさらに含む場合、この含有量(重量%)は、顔料の重量に基づいて、70以下が好ましく、さらに好ましくは10〜60、特に好ましくは20〜40である。この範囲であると、塗被紙の白色度がさらに良好となる。
【0078】
顔料の体積平均粒子径(μm)は、0.05〜10が好ましく、さら好ましくは0.08〜5、特に好ましくは0.1〜3である。この範囲であると、印刷物の平滑性やインキ着肉性がさらに良好となる。
【0079】
塗被塗料に含まれるバインダーとしては、通常の塗被塗料に使用されるバインダーが使用でき、合成バインダー及び天然バインダーが含まれる。
【0080】
合成バインダーとしては、スチレン/ブタジエン共重合体、スチレン/アクリル酸エチル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸、エチレン/酢酸ビニル共重合体、メチルメタクリレート/ブタジエン共重合体、ブチルアクリレート、ポリビニルアルコール、無水マレイン酸及びアクリル酸/メチルメタクリレート共重合体等が挙げられる。
【0081】
天然バインダーとしては、酸化澱粉、エステル化澱粉、酵素変成澱粉、冷水可溶性澱粉、リン酸エステル化澱粉、ヒドロキシエチル化澱粉、カゼイン及び大豆蛋白等が挙げられる。
【0082】
バインダーは1種でも2種以上の混合物としても使用できる。バインダーを含む場合、この含有量(重量%)は、顔料の重量に基づいて、3〜25が好ましく、さらに好ましくは5〜20、特に好ましくは7〜18である。この範囲であると、塗被層の強度がさらに十分なものとなり、また、インキ受理性、着肉性等の印刷適性がさらに良好となる。
【0083】
塗被塗料には、顔料分散剤[ポリ(メタ)アクリル酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム及びヘキサメタリン酸ナトリウム等]、耐水化剤、保水剤、流動性改良剤、消泡剤(鉱物油消泡剤及びシリコーン消泡剤等)、湿潤剤、酸化防止剤、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、着色剤(染料及びカーボンブラック等)及び防腐剤等の通常の塗被塗料に配合される各種助剤を必要に応じて適宜含有することができる。これらを含有する場合、この含有量(重量%)は、塗被塗料の重量に基づき、0.001〜5が好ましく、さらに好ましくは0.01〜4、特に好ましくは0.1〜3である。
【0084】
塗被塗料の濃度(重量%)は、塗被装置や所望する塗被量によって異なるが、20〜80が好ましく、さらに好ましくは30〜75、特に好ましくは40〜70である。この範囲にあると、塗被塗料の安定性がさらに良好となり、また、取り扱いがさらに容易となる。ここで、濃度とは、ポリオレフィン(A)、並びに必要により含有する金属石鹸(B)、顔料及び/又はバインダーの濃度を意味する。
【0085】
塗被塗料は、通常の調整方法により得ることができ、たとえば、上記の水性分散体、顔料、バインダー、水及び必要により上記各種助剤を、上記濃度となるように混合して調製することができる。
【0086】
本発明の塗被紙用水性分散体を適用できる塗被紙としては、アート紙、上質コート紙、中質コート紙、上質軽量コート紙、中質軽量コート紙、キャストコート紙、エンボス紙、アートポスト紙、ファンシーコーテッド紙、純白ロールコート、ダルコート紙、マットコート紙、インクジェット用紙、微塗被上質紙及び微塗被印刷紙等が挙げられる。これらのうち、アート紙、上質コート紙、ダルコート紙、マットコート紙、微塗被上質紙及び微塗被印刷紙に適しており、さらに微塗被上質紙及び微塗被印刷紙に好適である。
【0087】
塗被紙に用いられる原紙としては、通常のパルプから製造される一般の上質紙又は中質紙等が用いられる。パルプとしては、化学パルプ、機械パルプ、古紙パルプ及び非木材パルプ等が含まれる。化学パルプとしては、CGP(ケミグラウンドパルプ)、SCP(セミケミカルパルプ)、SP(サルファイトパルプ)、KP(クラフトパルプ)及びAP(アルカリパルプ)等;機械パルプとしては、GP(砕木パルプ)、RMP(リファイナーメカニカルパルプ)及びTMP(サーモメカニカルパルプ)等;古紙パルプとしては、離解パルプ、脱インキパルプ等;非木材パルプとしては、パガス、ケナフ、アシ、ワラ、麻又はリンター等の非木材繊維を原料としたパルプ、ナイロン、ビニロン、テトロン、アクリル、レーヨン、ポリオレフィン等の合成繊維をパルプ状にした合成パルプ等が挙げられる。
【0088】
原紙としては、一般の顔料塗被紙製造に用いられる坪量40〜300g/m2 のパルプ繊維を主体とする原紙又は合成紙が使用できる。
【0089】
塗被塗料を原紙に塗被して塗被紙を製造する場合、通常の塗工機が使用でき、ブレードコーター、エアナイフコーター、逆回転ロールコーター、正回転ロールコーター、カーテンフローコーター、ロッドコーター、グラビアコーター、ダイコーター、スプレーコーター、静電コーター、ノッチバーコーター、エアドクターコーター及びサイズプレスコーター等が挙げられる。これらの塗工機によって、原紙の片面又は両面に、単層又は二層以上の塗被層を塗被できる。
【0090】
塗被塗料の塗被量(g/m2)は、片面あたり乾燥質量(乾燥温度135℃、乾燥時間20秒)で3〜40が好ましく、さらに好ましくは4〜30、特に好ましくは5〜20である。
【0091】
さらに塗被紙は、白紙光沢の調整や印刷適性向上のため、キャレンダー処理(仕上処理)を行ってもよい。キャレンダー処理(仕上処理)には、表面処理装置(キャレンダー;たとえば、スーパーキャレンダー、マットキャレンダー、ソフトニップキャレンダー及びマシンキャレンダー等)が使用できる。
【0092】
キャレンダーのロールの表面温度(℃)は、100〜200が好ましく、さらに好ましくは110〜160、特に好ましくは130〜150である。この範囲にあると平滑性がさらに向上する。なお、公知の水性分散体を用いた場合、この温度範囲でキャレンダー処理すると、ダスティング防止効果が著しく悪い。
【0093】
キャレンダー処理に供される塗被紙の水分率(重量%)は、8〜15が好ましく、さらに好ましくは8〜12、特に好ましくは9〜11である。
原紙の水分率は、乾燥により、調整することができる。
【0094】
キャレンダー処理前の塗被紙の水分率を上記範囲としたのは、8重量%未満であるとキャレンダー処理によっても充分な平滑性が得られない場合があるからであり、15重量%を超えると、キャレンダー処理時のロール汚れが悪化する場合がある。
【0095】
塗被方式には、原紙製造工程(抄紙工程)と塗被工程とが独立した設備で製造する方式(オフマシンコーター方式)と、原紙製造工程(抄紙工程)及び塗被工程が一体となった設備で連続的に製造する方式(オンマシンコーター方式)とに分類される。
【0096】
オフマシンコーター方式において、原紙は原紙製造マシンで製造され一旦リールで巻き取られ、次いで該原紙巻取りを独立した塗工設備に移動し原紙を巻きもどしながらコーターで塗工する。一方、オンマシンコーター方式において、原紙製造工程に引き続き塗被工程があるために、原紙は巻き取られることなく連続して塗被される。したがってオンマシンコーター方式は、工数、運転人員及びエネルギー効率面等でオフマシンコーター方式よりも優れている。
【0097】
オフマシンコーター方式では上塗り、下塗りともブレードコーターによるダブル塗工が一般化しつつあり、平滑な塗被表面を形成するには非常に有効な塗被方式である。本発明の塗被塗料は、オンマシン塗工により原紙に塗被することが好ましい。
【0098】
最新のオンマシンコーターでの構成は下塗をロールコーターで両面同時塗被し、その後ブレードコーターで上塗りを片面づつ行う方式のダブル塗工方式であり、塗被工程だけみればシンプルな構成となる。本発明の塗被塗料は、この方法で塗被されることがさらに好ましい。
【実施例】
【0099】
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、以下、特記しない限り部は重量部を、%は重量%を意味する。
【0100】
<実施例1>
ポリレフィン(A1){酸化ポリエチレン、商品名:210−MP、三井化学株式会社、溶融粘度(140℃)80mPa・s、密度(20℃)0.94g/cm3、針入度(25℃)3dmm}36部、ノニオン性界面活性剤{商品名:イオネット S−80、三洋化成工業株式会社、「イオネット」は同社の登録商標である。}2部、ノニオン性界面活性剤{商品名:ブラウノンSR−710、青木油脂工業株式会社}2部、水酸化カリウム{試薬1級、和光純薬工業株式会社}0.7部及び脱イオン水59.3部をプロペラ型攪拌翼付耐圧密閉容器に仕込み、密閉状態で100℃まで昇温後、同温度で3時間攪拌混合した。次いで、高圧ホモジナイザー(圧力:98MPa)で30分間処理すると共に、直ちに25℃以下(20〜25℃)に急冷することにより、本発明の塗被紙用水性分散体(1)を得た。
【0101】
<実施例2>
「ポリオレフィン(A1)」を「ポリオレフィン(A2){ポリエチレン、商品名:420P、三井化学株式会社、溶融粘度(140℃)650mPa・s、密度(20℃)0.93g/cm3、針入度(25℃)3dmm}」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の塗被紙用水性分散体(2)を得た。
【0102】
<実施例3>
「ポリオレフィン(A1)」を「ポリオレフィン(A3){ポリエチレン、商品名:A−C715、アライドシグナル社、溶融粘度(140℃)4000mPa・s、密度(20℃)0.92g/cm3、針入度(25℃)2.5dmm}」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の塗被紙用水性分散体(3)を得た。
【0103】
<実施例4>
「ポリオレフィン(A1)」を「ポリオレフィン(A4){ポリエチレン、商品名:A−C16、アライドシグナル社、溶融粘度(140℃)200mPa・s、密度(20℃)0.91g/cm3、針入度(25℃)5.5dmm}」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の塗被紙用水性分散体(4)を得た。
【0104】
<実施例5>
「ポリオレフィン(A1)」を「ポリオレフィン(A5){酸化ポリエチレン、商品名:4202E、三井化学株式会社、溶融粘度(140℃)300mPa・s、密度(20℃)0.95g/cm3、針入度(25℃)5dmm}」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の塗被紙用水性分散体(5)を得た。
【0105】
<実施例6>
「ポリオレフィン(A1)」を「ポリオレフィン(A6){酸化ポリエチレン、商品名:AC−680、アライドシグナル社、溶融粘度(140℃)250mPa・s、密度(20℃)0.93g/cm3、針入度(25℃)1.5dmm}」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の塗被紙用水性分散体(6)を得た。
【0106】
<実施例7>
「ポリオレフィン(A1)」を「ポリオレフィン(A7){酸化ポリエチレン、商品名:AC−655、アライドシグナル社、溶融粘度(140℃)210mPa・s、密度(20℃)0.93g/cm3、針入度(25℃)2.5dmm}」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の塗被紙用水性分散体(7)を得た。
【0107】
<実施例8>
「ポリオレフィン(A1)」を「ポリオレフィン(A8){酸化ポリエチレン、商品名:AC−656、アライドシグナル社、溶融粘度(140℃)185mPa・s、密度(20℃)0.92g/cm3、針入度(25℃)9dmm}」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の塗被紙用水性分散体(8)を得た。
【0108】
<実施例9>
「ポリオレフィン(A1)」を「ポリオレフィン(A9){酸化ポリエチレン、商品名:220MP、三井化学株式会社、溶融粘度(140℃)80mPa・s、密度(20℃)0.93g/cm3、針入度(25℃)14dmm}」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の塗被紙用水性分散体(9)を得た。
【0109】
<実施例10>
「ポリオレフィン(A1)」を「ポリオレフィン(A10){エチレン‐酢ビ共重合体、商品名:A−C430、アライドシグナル社、溶融粘度(140℃)600mPa・s、密度(20℃)0.93g/cm3、針入度(25℃)80dmm}」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の塗被紙用水性分散体(10)を得た。
【0110】
<実施例11>
「ポリオレフィン(A1)」を「ポリオレフィン(A11){酸化ポリエチレン、商品名:A−C629、アライドシグナル社、溶融粘度(140℃)200mPa・s、密度(20℃)0.93g/cm3、針入度(25℃)5.5dmm}」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の塗被紙用水性分散体(11)を得た。
【0111】
<実施例12>
「ポリオレフィン(A1)」を「ポリオレフィン(A12){エチレン−アクリル酸共重合体、商品名:A−C540、アライドシグナル社、溶融粘度(140℃)575mPa・s、密度(20℃)0.93g/cm3、針入度(25℃)2dmm}」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の塗被紙用水性分散体(12)を得た。
【0112】
<実施例13>
「ポリオレフィン(A1)」を「ポリオレフィン(A13){エチレン−アクリル酸共重合体、商品名:A−C5120、アライドシグナル社、溶融粘度(140℃)650mPa・s、密度(20℃)0.94g/cm3、針入度(25℃)8dmm}」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の塗被紙用水性分散体(13)を得た。
【0113】
<実施例14>
「ポリオレフィン(A1)」を「ポリオレフィン(A14){ポリエチレン、商品名:A−C6、アライドシグナル社、溶融粘度(140℃)375mPa・s、密度(20℃)0.92g/cm3、針入度(25℃)4dmm}」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の塗被紙用水性分散体(14)を得た。
【0114】
<実施例15>
「ポリオレフィン(A1)36部」を「ポリオレフィン(A11)18部及びポリオレフィン(A6)18部{溶融粘度(140℃)225mPa・s、密度(20℃)0.93g/cm3、針入度(25℃)3.5dmm}」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の塗被紙用水性分散体(15)を得た。
【0115】
<実施例16>
水酸化カルシウム{試薬特級、和光純薬工業株式会社}30.6部、水240部、ノニオン性界面活性剤{商品名:ナロアクティー N-120、三洋化成工業株式会社、「ナローアクティー」は同社の登録商標である。}20部を25℃にてホモミキサーで均一混合した後、ホモミキサーを回転させながら、ステアリン酸{試薬特級、和光純薬工業株式会社}142部を30分間で連続滴下しながら、40〜60℃を維持させて反応させた。引き続き、ステアリン酸71部を30分間で連続滴下しながら50〜60℃を維持させて反応させた後、さらに、50℃でステアリン酸71部を90分かけて連続滴下しながら、50〜60℃を維持させて反応させた。次いで、50〜60℃にて30分間熟成攪拌させることにより、金属石鹸(B1)の水性分散体(BB1)を得た。
【0116】
実施例11で得た水性分散体(11)50部と、金属石鹸(B1)の水性分散体(BB1)50部とを混合容器に仕込み、25℃でパドル型低速攪拌機(周速100m/分)により20分攪拌することにより、本発明の塗被紙用水性分散体(16)を得た。
【0117】
<実施例17>
「水酸化カルシウム」を「水酸化マグネシウム{和光純薬工業株式会社}」に変更したこと以外、実施例16と同様にして、金属石鹸(B2)の水性分散体(BB2)を得た。
【0118】
「水性分散体(BB1)」を「水性分散体(BB2)」に変更したこと以外、実施例16と同様にして、本発明の塗被紙用水性分散体(17)を得た。
【0119】
<実施例18>
「水酸化カルシウム」を「水酸化亜鉛{和光純薬工業株式会社}」に変更したこと以外、実施例16と同様にして、金属石鹸(B3)の水性分散体(BB3)を得た。
【0120】
「水性分散体(BB1)」を「水性分散体(BB3)」に変更したこと以外、実施例16と同様にして、本発明の塗被紙用水性分散体(18)を得た。
【0121】
<実施例19>
「水酸化カルシウム30.6部」を「水酸化カルシウム15.3部及び水酸化マグネシウム15.3部」に変更したこと以外、実施例16と同様にして、金属石鹸(B4)の水性分散体(BB4)を得た。
【0122】
「水性分散体(BB1)」を「水性分散体(BB4)」に変更したこと以外、実施例16と同様にして、本発明の塗被紙用水性分散体(19)を得た。
【0123】
<実施例20>
「水酸化カルシウム30.6部」を「水酸化カルシウム15.3部及び水酸化亜鉛15.3部」に変更したこと以外、実施例16と同様にして、金属石鹸(B5)の水性分散体(BB5)を得た。
【0124】
「水性分散体(BB1)」を「水性分散体(BB5)」に変更したこと以外、実施例16と同様にして、本発明の塗被紙用水性分散体(20)を得た。
【0125】
<実施例21>
「水酸化カルシウム30.6部」を「水酸化マグネシウム15.3部及び水酸化亜鉛15.3部」に変更したこと以外、実施例16と同様にして、金属石鹸(B6)の水性分散体(BB6)を得た。
【0126】
「水性分散体(BB1)」を「水性分散体(BB6)」に変更したこと以外、実施例16と同様にして、本発明の塗被紙用水性分散体(21)を得た。
【0127】
<実施例22>
水性分散体(11)の量を「50部」から「12部」に変更したこと、及び「水性分散体(BB1)50部」を「水性分散体(BB3)79」に変更したこと以外、実施例16と同様にして、本発明の塗被紙用水性分散体(22)を得た。
【0128】
<実施例23>
水性分散体(11)の量を「50部」から「30部」に変更したこと、及び「水性分散体(BB1)50部」を「水性分散体(BB3)79」に変更したこと以外、実施例16と同様にして、本発明の塗被紙用水性分散体(23)を得た。
【0129】
<実施例24>
水性分散体(11)の量を「50部」から「41部」に変更したこと、及び「水性分散体(BB1)50部」を「水性分散体(BB3)54」に変更したこと以外、実施例16と同様にして、本発明の塗被紙用水性分散体(24)を得た。
【0130】
<実施例25>
水性分散体(11)の量を「50部」から「85部」に変更したこと、及び「水性分散体(BB1)50部」を「水性分散体(BB3)14」に変更したこと以外、実施例16と同様にして、本発明の塗被紙用水性分散体(25)を得た。
【0131】
<実施例26>
水性分散体(11)の量を「50部」から「97部」に変更したこと、及び「水性分散体(BB1)8部」を「水性分散体(BB3)10」に変更したこと以外、実施例16と同様にして、本発明の塗被紙用水性分散体(21)を得た。
【0132】
<実施例27>
水性分散体(11)の量を「50部」から「109部」に変更したこと、及び「水性分散体(BB1)50部」を「水性分散体(BB3)8」に変更したこと以外、実施例16と同様にして、本発明の塗被紙用水性分散体(27)を得た。
【0133】
<比較例1>
「ポリオレフィン(A1)」をポリオレフィン{ポリエチレン、商品名:110P、三井化学株式会社、溶融粘度(140℃)20mPa・s、密度(20℃)0.92g/cm3、針入度(25℃)25dmm}」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、比較用の塗被紙用水性分散体(H1)を得た。
【0134】
<比較例2>
「ポリオレフィン(A1)」をポリオレフィン{ポリエチレン、商品名:720P、三井化学株式会社、溶融粘度(140℃)6000mPa・s、密度(20℃)0.92g/cm3、針入度(25℃)3dmm}」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、比較用の塗被紙用水性分散体(H2)を得た。
【0135】
<比較例3>
「ポリオレフィン(A1)」をポリオレフィン{酸化ポリエチレン、商品名:A−C6702、アライドシグナル社、溶融粘度(140℃)35mPa・s、密度(20℃)0.85g/cm3、針入度(25℃)90dmm}」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、比較用の塗被紙用水性分散体(H3)を得た。
【0136】
<比較例4>
「ポリオレフィン(A1)」をポリオレフィン{酸化ポリエチレン、商品名:200P、三井化学株式会社、溶融粘度(140℃)500mPa・s、密度(20℃)0.97g/cm3、針入度(25℃)1dmm}」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、比較用の塗被紙用水性分散体(H4)を得た。
【0137】
<比較例5>
「ポリオレフィン(A1)」をポリオレフィン{ポリエチレン、商品名:A−C9、アライドシグナル社、溶融粘度(140℃)450mPa・s、密度(20℃)0.93g/cm3、針入度(25℃)0.5ddm}」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、比較用の塗被紙用水性分散体(H5)を得た。
【0138】
<比較例6>
「ポリオレフィン(A1)」をポリオレフィン{ポリエチレン、商品名:A−C1702、アライドシグナル社、溶融粘度(140℃)30mPa・s、密度(20℃)0.88g/cm3、針入度(25℃)98dmm}」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、比較用の塗被紙用水性分散体(H6)を得た。
【0139】
<比較例7>
「水性分散体(11)」を「比較用の水性分散体(H3)」に変更したこと以外、実施例16と同様にして、比較用の塗被紙用水性分散体(H7)を得た。
【0140】
<比較例8>
実施例16で得られた金属石鹸(B1)の水性分散体(BB1)を比較用の塗被紙用水性分散体(H8)とした。
【0141】
<比較例9>
実施例17で得られた金属石鹸(B2)の水性分散体(BB2)を比較用の塗被紙用水性分散体(H9)とした。
【0142】
実施例及び比較例で得た水性分散体について、ダスティング防止効果、粘着防止性及びピック強度を以下の評価測定方法により測定し、これらの結果を表1及び2に示した。
【0143】
<ダスティング防止効果>
体積平均粒子径0.8μmの軽質炭酸カルシウム(奥多摩工業株式会社、タマパールTP−222H、「タマパール」は同社の登録商標である。)40部及びカオリン(ENGELHARD MINERAL&CHEMICALS社、ウルトラホワイト90)60部を分散剤(サンノプコ株式会社、SNディスパーサント5040)0.2部、水酸化ナトリウム0.1部及び水65部を、ホモディスパー{株式会社島崎製作所、ROTARY AJITER SH2Z}を使用して3000rpmで30分攪拌混合・分散させて、分散体を得た。次いで、この分散体にスチレン−ブタジエンラテックス(JSR株式会社、JSR0696、「JSR」は同社の登録商標である。)10部及び酸化澱粉(日本食品加工株式会社、MS−3600)3部を加えた後、評価用試料0.5部を加えて、ホモディスパーを使用して3000rpmで15分攪拌混合し、濃度65重量%の塗被塗料を得た。
【0144】
次に、上記塗被塗料を坪量64g/m2の上質紙原紙(コクヨ株式会社、KB−34)に塗被量が15g/m2になるように枚葉式ブレードコーターを用いて塗被ムラが出ないように速度300m/sで塗被し、135℃で20秒間乾燥して塗被紙(30×20cm)を得た。同時にブランクとして、評価用試料を含まない塗被塗料(ブランク)を作成し、同様に塗布、乾燥した塗被紙(ブランク)を作成した。
得られた塗被紙をキャレンダーのロール表面温度を表1又は2に示した温度に調整して、線圧150kg/cmのスーパーキャレンダー{丸協技研有限会社}に1回通紙し、チルドロール面の汚れを観察して、10点法{10(良)〜1(劣)}で評価した。
【0145】
<離型性>
スチレン−ブタジエンラテックス(JSR株式会社、JSR0696)12部に、評価用試料0.5部及び水18部を加えて攪拌混合し、濃度25重量%の塗被塗料を得た。
【0146】
坪量64g/m2の上質紙原紙(コクヨ株式会社、KB−34)に上記塗被塗料をNo.12バーコーター(R.D.S WEBSTER N.Y社)で塗被し、135℃にて20秒乾燥し、塗被紙(30×20cm)を作成した。ブランクとして、塗工紙用潤滑剤を含まない塗被塗料(ブランク)を作成し、同様に塗布、乾燥した塗被紙(ブランク)を作成した。
【0147】
次いで、キャレンダーのロール表面温度を表1又は2に示した温度に調整して、線圧100kg/cmでスーパーキャレンダーに通紙し、ニップ通過2秒後にチルドロールにはりついた塗被紙のチルドロール面からの剥離強度を引張り強度測定機{日本特殊測器株式会社、LRU‐20N}を用いて測定した。剥離強度が弱いほうが、離型性に優れる。
【0148】
<ピック強度>
ダスティング防止性評価の際に塗被した塗被紙を、キャレンダーのロール表面温度を表1又は2に示した温度に調整して、線圧80kg/cmでスーパーキャレンダーに2回通紙し、印刷適性試験機{石川島産業機械株式会社、RI‐1型}を用いて塗被紙のピック強度を測定し、10点法{10(良)〜1(劣)}で評価した。
【0149】
【表1】
【0150】
【表2】
【技術分野】
【0001】
本発明は塗被紙用水性分散体及び塗被紙の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
塗被紙をキャレンダー処理又はバッキングロール処理する際、ダスティング防止のため、脂肪酸金属塩を塗被紙用の潤滑剤として用いることが知られている(特許文献1及び2)。
【0003】
一方、近年、製紙メーカーではより効率的な生産とコストダウンを図るべく、塗被設備の広幅、高速化を進めている。優れた印刷特性を備えた印刷用塗被紙を高速で製造する方法として、金属ロールを100℃以上に加温して塗被紙を加圧・平滑化する方法が知られている(特許文献3)。
【特許文献1】特開昭59−230632号公報
【特許文献2】特開平8−60598号公報
【特許文献3】特開昭54−125712号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の潤滑剤では100℃以上の高温時でのダスティング防止効果が不十分であるいう問題がある。すなわち、本発明の目的は、優れたダスティング防止効果を有する材料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の水性分散体の特徴は、140℃における溶融粘度が50〜5000mPa・s、20℃における密度が0.90〜0.95g/cm3、25℃における針入度が1〜80dmmであるポリオレフィン(A)と、水性分散媒とを含有してなる点を要旨とする。
【0006】
本発明の塗被塗料の特徴は、上記の塗被紙用水性分散体と、顔料及びバインダーとを含有してなり、塗被紙用水性分散体の含有量が顔料100重量部に対して0.05〜10重量部である点を要旨とする。
【0007】
本発明の塗被紙の製造方法の特徴は、上記の塗被塗料を原紙に塗被し、乾燥した後、100〜200℃の表面温度を持つロールで、キャレンダー処理する工程を含む点を要旨とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の塗被紙用水性分散体は、優れたダスティング防止効果を発揮する。したがって、優れた印刷特性を有する塗被紙を高速で容易に得ることができる。
本発明の塗被塗料は、上記の塗被紙用水性分散体を含有するため、優れたダスティング防止効果を発揮する。したがって、優れた印刷特性を有する塗被紙を高速で容易に得ることができる。
本発明の塗被紙の製造方法の特徴は、上記の塗被塗料を使用するため、優れたダスティング防止効果を発揮する。したがって、優れた印刷適正を有する塗被紙を高速で容易に得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
ポリオレフィン(A)の140℃における溶融粘度(mPa・s)は、50〜5000が好ましく、さらに好ましくは180〜700、特に好ましくは180〜400である。この範囲であると、ダスティング防止効果がさらに良好となる。溶融粘度は、JIS K6862‐1984に準拠して測定される。
【0010】
ポリオレフィン(A)の20℃における密度(g/cm3)は、0.90〜0.96が好ましく、さらに好ましくは0.92〜0.95、特に好ましくは0.92〜0.94である。この範囲であると、ダスティング防止効果がさらに良好となる。密度はJIS K2249‐1995に準拠して測定される。
【0011】
ポリオレフィン(A)の25℃における針入度(dmm)は、1〜80が好ましく、さらに好ましくは1〜15、特に好ましくは2〜8である。この範囲であると、ダスティング防止効果がさらに良好となる。針入度はJIS K2235‐1991に準拠して測定される。
【0012】
ポリオレフィン(A)としては、ポリエチレン、酸化ポリエチレン、酸変性ポリエチレン、ポリプロピレン、酸化ポリプロピレン、酸変性ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びエチレン−(メタ)アクリル酸共重合体等が用いられる。なお、(メタ)アクリル酸は、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を意味する。
【0013】
ポリエチレンとしては、エチレンの重合により得られるもの、一般成型用ポリエチレンの熱分解(低分子量化)により得られるもの、一般成型用ポリエチレンを製造する際に副生する低分子量ポリエチレンの分離精製により得られるものがあるが、いずれの方法で得られたものでも使用できる。
【0014】
酸化ポリエチレンとしては、上記のポリエチレンを空気酸化及び/又はオゾン酸化等により酸化(カルボキシ基、水酸基及び/又はホルミル基を導入)したもの等が使用できる。
【0015】
酸変性ポリエチレンとしては、上記のポリエチレンに不飽和二重結合含有カルボン酸(α,β−不飽和モノカルボン酸及びα,β−不飽和ジカルボン酸等)等をグラフトさせたカルボン酸変性ポリエチレン等が使用できる。
【0016】
α,β−不飽和モノカルボン酸としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸及び2−エチルアクリル酸等が挙げられる。
【0017】
α,β−不飽和ジカルボン酸としては、マレイン酸、無水マレイン酸、マロン酸、コハク酸、イタコン酸及びフマル酸等が挙げられる。
【0018】
ポリプロピレンとしては、プロピレンの重合により得られるもの、一般成型用ポリプロピレンの熱分解(低分子量化)により得られるもの、一般成型用ポロプロピレンを製造する際に副生する低分子量ポリプロピレンの分離精製により得られるものがあるが、いずれの方法で得られたものでも使用できる。
【0019】
酸化ポリプロピレンとしては、上記のポリプロピレンを空気酸化及び/又はオゾン酸化等により酸化(カルボキシ基、水酸基及び/又はホルミル基を導入)したもの等が使用できる。
【0020】
酸変性ポリプロピレンとしては、上記のポリプロピレンに不飽和二重結合含有カルボン酸(α,β−不飽和モノカルボン酸及びα,β−不飽和ジカルボン酸等)等をグラフトさせたカルボン酸変性ポリプロピレン等が使用できる。
【0021】
エチレン−酢酸ビニル共重合体としては、エチレン及び酢酸ビニルの共重合(乳化重合、塊状重合又は溶液重合等)により得られるもの等が使用できる。
【0022】
エチレン−酢酸ビニル共重合体中の酢酸ビニル単位の含有量(重量%)は、乳化分散体の経時安定性及び水希釈安定性の観点等から、エチレン−酢酸ビニル共重合体の重量に基づいて、1〜40が好ましく、さらに好ましくは2〜30、特に好ましくは3〜25である。
【0023】
エチレン−酢酸ビニル共重合体中のエチレン単位の含有量(重量%)は、乳化分散体の経時安定性及び水希釈安定性の観点等から、エチレン−酢酸ビニル共重合体の重量に基づいて、60〜99が好ましく、さらに好ましくは70〜98、特に好ましくは75〜97である。
【0024】
エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体としては、エチレンと(メタ)アクリル酸との共重合(乳化重合、塊状重合又は溶液重合等)により得られるものが使用できる。
【0025】
エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体中の(メタ)アクリル酸単位の含有量(重量%)は、乳化分散体の経時安定性及び水希釈安定性の観点等から、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体の重量に基づいて、1〜30が好ましく、さらに好ましくは2〜28、特に好ましくは3〜25である。
【0026】
エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体中のエチレン単位の含有量(重量%)は、乳化分散体の経時安定性及び水希釈安定性の観点等から、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体の重量に基づいて、70〜99が好ましく、さらに好ましくは72〜98、特に好ましくは75〜97である。
【0027】
ポリオレフィンにカルボキシ基を含む場合、全部又は一部のカルボキシ基は塩を形成していてもよい。すなわち、ポリオレフィンにカルボキシ基を含む場合、カルボキシ基の全部又は一部はカルボキシレート基であってもよい。
この場合、塩としては、アンモニウム塩{アンモニア、アルキルアミン(モノエチルアミン、モノブチルアミン及びトリエチルアミン等)又はアルカノールアミン(モノエタノールアミン、ジエタノールアミン及びトリエタノールアミン等)等の塩}、アルカリ金属塩(リチウム、ナトリウム又はカリウム等の塩)及びアルカリ土類金属塩(マグネシウム、カルシウム又は亜鉛等の塩)等が挙げられる。これらのうち、アンモニア、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム又は亜鉛の塩である。
【0028】
これらのポリオレフィンのうち、酸化ポリエチレン、酸変性ポリプロピレン及びエチレン−酢酸ビニル共重合体が好ましく、さらに好ましくは酸化ポリエチレン及び酸変性ポリプロピレンである。これらのポリオレフィンはそれぞれ単独で使用してもよいし、複数のものを任意に組み合わせて使用してもよい。
【0029】
水性分散媒としては、水性液体であれば制限なく使用でき、水(工業用水、水道水及び脱イオン水等)及び水と水易溶性溶媒とから構成される水溶液等が使用できる。
【0030】
水易溶性溶媒としては、25℃における水100g対する溶解度が3以上の有機液体等が含まれ、炭素数1〜5のアルコール(メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコール及びグリセリン等)、炭素数1〜5のケトン(アセトン、メチルエチルケトン、ジオキサン及びテトラヒドロフラン等)、炭素数2〜4のエステル(ギ酸メチル、酢酸メチル及び酢酸エチル等)、及びその他の溶剤(2−エトキシエタノール、2−ブトキシオキシエタノール、2−フェノキシエタノール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、エチルセロソルブ及びブチルセロソルブ等)等が挙げられる。
【0031】
水と水易溶性溶媒とから構成される水溶液中の水に対する水易溶性溶媒の含有重量比(水易溶性溶媒/水)は、0.6以下が好ましく、さらに好ましくは0.1以下、特に好ましくは0.05以下である。
【0032】
これらの水性分散媒のうち、水が好ましく、さらに好ましくは水道水及び脱イオン水である。
【0033】
水性分散媒のpHは、5〜12が好ましく、さらに好ましくは5.5〜10、特に好ましくは6〜8である。pHがこの範囲であると、水性分散体の経時安定性(凝集、分離、ゲル化及び増粘等)がさらに良好となる。
【0034】
なお、pHは、JIS K0802−1996年に準拠して、銀/塩化銀電極を用いたガラス電極式pH測定機{たとえば、株式会社堀場製作所のカスタニーLAB pHメーター}により、測定温度を25℃として測定される。
【0035】
水性分散媒のpHは、陽イオン交換樹脂や陰イオン交換樹脂を通過させることにより調整することができ、また、適当な酸又は塩基の添加によっても調整できる。酸としては、塩酸、硫酸及び硝酸等の強酸が好ましく、さらに好ましくは塩酸及び硫酸である。塩基としてはアンモニア、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムが好ましく、さらに好ましくはアンモニア、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムである。
【0036】
ポリオレフィン(A)の含有量(重量%)は、ポリオレフィン(A)及び水性分散媒の合計重量に基づいて、0.5〜70が好ましく、さらに好ましくは1〜65、特に好ましくは3〜60である。この範囲であると水性分散体の経時安定性(特に凝集性や分離性)さらに良好となる。
【0037】
水性分散媒の含有量(重量%)は、ポリオレフィン(A)及び水性分散媒の合計重量に基づいて、30〜99.5が好ましく、さらに好ましくは35〜99、特に好ましくは40〜97である。この範囲であると、水性分散体の経時安定性(凝集及び分離等)がさらに良好となる。
【0038】
本発明の塗被紙用水性分散体には、さらに金属石鹸(B)を含有することが好ましい。金属石鹸(B)を含有すると、ダスティング防止効果がさらに良好となる。
【0039】
金属石鹸(B)としては、炭素数8〜38のカルボン酸金属塩等が含まれる。
炭素数8〜38のカルボン酸としては、飽和脂肪酸(カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸及びモンタン酸等)、不飽和脂肪酸(オクテン酸、テトラデセン酸、ヘキサデセン酸、オレイン酸、エライジン酸、エルカ酸、ステアロール酸、リノール酸及びリノレン酸等)、オキシカルボン酸(12−ヒドロキシステアリン酸及びリシノール酸等)、脂環式カルボン酸(アレプレスチン酸、アレプリン酸、α−シクロヘキシルステアリン酸及びゴルリン酸等)、芳香族カルボン酸(γ−フェニル酪酸、δ−フェニル吉草酸及びε−フェニルカプロン酸等)、二塩基酸(アゼライン酸、セバシン酸及びオレイン酸のダイマー等)等が挙げられる。
【0040】
上記のカルボン酸の混合物である天然油脂から得られる脂肪酸混合物を使用することもできる。天然油脂としては、植物由来の油脂(亜麻仁油、オリーブ油、カカオ脂、ゴマ油、米糠油、サフラワー油、大豆油、ツバキ油、コーン油、菜種油、パーム油、パーム核油、ひまし油、ひまわり油、綿実油及びヤシ油等)及び動物由来の油脂(牛脂、豚脂、乳脂、魚脂、鯨油等)が挙げられる。
【0041】
これらカルボン酸のうち、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、オレイン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸のダイマー、牛脂由来の脂肪酸及びヤシ油由来の脂肪酸が好ましい。また、カルボン酸はそれぞれ単独で使用してもよいし、複数のものを任意に組み合わせて使用してもよい。
【0042】
カルボン酸金属塩の金属としては、カルシウム、マグネシウム及び亜鉛が好ましく、さらに好ましくはマグネシウム及び亜鉛、特に好ましくは亜鉛である。
【0043】
金属石鹸(B)として、脂肪酸アルカリ金属(ナトリウム及びカリウム等)塩及び脂肪酸アンモニウム塩は、水中にミセルを形成して溶解してしまい、ポリオレフィン(A)と複合粒子を形成しにくいため、ダスティング防止効果を十分に発揮することができないため、好ましくない。
【0044】
金属石鹸(B)を含有する場合、ポリオレフィン(A)と金属石鹸(B)との含有重量比(A/B)は、0.1〜9が好ましく、さらに好ましくは0.25〜8、特に好ましくは0.5〜4である。この範囲であると、ダスティング防止効果がさらに良好となる。
【0045】
本発明の水性分散体には、さらに界面活性剤及び/又は水溶性高分子を含有することができる。界面活性剤及び/又は水溶性高分子を含有すると、本発明の水性分散体の製造や保存の際、分離、沈降及び凝集物の発生等を効率よく防止することができ、また、分散粒子の体積平均粒子径や水性分散体の粘度の大幅な変化を効率よく抑制することができる。
【0046】
界面活性剤としては、公知の界面活性剤(ノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤及び両性界面活性剤)が使用できる。
【0047】
ノニオン性界面活性剤としては、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油脂肪酸エステル、ジグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、ポリエーテル変成シリコーン、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンプロピレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンベンジルエステル、ポリオキシエチレンヒマシ油エーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油エーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミド及びポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール等が挙げられる。
【0048】
アニオン性活性剤としては、アルキルエーテル硫酸エステル塩、硫酸化油、硫酸化脂肪酸エステル、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル・スルホコハク酸部分エステル塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩、高級アルコール硫酸エステル塩、脂肪族モノカルボン酸塩、ポリオキシアルキルエーテルカルボン酸塩、N−アシルサルコシン塩、N−アシルグルタミン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩−ホルムアルデヒド縮合物、アルキルナフタレンスルホン酸塩、N−メチル−N−アシルタウリン酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩及びポリオキシエチレンアルキルフェニルリン酸塩等が挙げられる。
【0049】
塩としては、アンモニア塩、アルキルアミン(モノエチルアミン、モノブチルアミン及びトリエチルアミン等)塩及びアルカノールアミン(モノエタノールアミン、ジエタノールアミン及びトリエタノールアミン等)塩等のアミン塩、並びにアルカリ金属(リチウム、ナトリウム及びカリウム等)塩及びアルカリ土類金属(マグネシウム、カルシウム及び亜鉛等)塩等が挙げられる。
【0050】
カチオン性界面活性剤としては、モノアルキルアミン塩、ジアルキルアミン塩、トリアルキルアミン塩、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩及びアルキルベンジルジメチルアンモニウム塩等が挙げられる。
【0051】
塩としては、ハロゲン(フッ素、塩素及びヨウ素等)、ハロゲン酸化物(亜塩素酸、過塩素酸、過フッ素酸及び過ヨウ素酸等)、窒素酸化物、硫黄酸化物、リン酸化物、又は元素の周期律表第13族金属の酸化物(アルミン酸、チタン酸及びタングステン酸等)の塩等が挙げられる。
【0052】
両性界面活性剤としては、アルキルベタイン、脂肪酸アミドプロピルベタイン、2−アルキル−N−カルボキシルメチル−N−ヒドロキシエチル−イミダゾリニウムベタイン、アルキルジエチレントリアミノ酢酸、ジアルキルジエチレントリアミノ酢酸、アルキルアミンオキシド等が挙げられる。
【0053】
水溶性高分子としては、公知の水溶性高分子等が使用でき、天然高分子(セルロース、プルラン、アルギン酸ナトリウム、アラビアガム、グアーガム、カラギーナン、ゼラチン、カードラン、寒天、デンプン、キサンタンガム、ウェランガム、ラムザンガム、トラガントガム、キャロブガム、ローカストビーンガム、ペクチン、デキストラン、カゼイン、アルブミン及びアガロース等)、半合成高分子(メチルセルロース、エチルセルロース、ニトロセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、セルロース硫酸ナトリウム、カルボキシメチルエチルセルロース、カルボキシメチルデンプン及びアルギン酸プロピレングリコールエステル等)、合成高分子{ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、ポリオキシエチレンプロピレン共重合体、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリ(メタ)アクリル酸(塩)、ポリスチレンスルホン酸(塩)、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物(塩)、(メタ)アクリルアミド及び(メタ)アクリル酸の共重合体(塩)、(メタ)アクリル酸及びマレイン酸の共重合体(塩)、スチレン及びマレイン酸の共重合体(塩)、スチレン及び(メタ)アクリル酸の共重合体(塩)}等が挙げられる。
【0054】
なお、塩としては、アンモニア塩、アルキルアミン(モノエチルアミン、モノブチルアミン及びトリエチルアミン等)塩及びアルカノールアミン(モノエタノールアミン、ジエタノールアミン及びトリエタノールアミン等)塩等のアミン塩、アルカリ金属(リチウム、ナトリウム及びカリウム等)塩及びアルカリ土類金属(マグネシウム、カルシウム及び亜鉛等)塩等が挙げられる。また、完全に塩となっていてもよいし、あるいは部分的に塩となっていてもよい。
【0055】
これらの界面活性剤及び/又は水溶性高分子の複数種を組み合わせて使用する際には、本発明の水性分散体の凝集や分離等の防止の観点等から、同じイオン性を組み合わせ、ノニオン性と他のイオン性との組合せ、又はノニオン性と他の複数の同じイオン性の組合せが好ましい。
【0056】
界面活性剤及び/又は水溶性高分子を含有させる場合、この含有量(重量%)は、ポリオレフィン(A)及び金属石鹸(B)の合計重量{金属石鹸(B)を使用しない場合、当然、金属石鹸の重量は合計重量には含まれない。}に基づいて、0.01〜50が好ましく、さらに好ましくは0.03〜30、特に好ましくは0.05〜20である。この範囲であると、水性分散体のダスティング防止効果への悪影響を抑えることができる。
【0057】
本発明の水性分散体には、さらに添加剤を含有させることができる。添加剤としては、酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐水化剤、汚染防止剤、帯電防止剤、粘度調整剤、pH調整剤、浸透剤、レベリング剤、架橋剤、防腐防黴剤、殺菌剤、消泡剤、香料、染料及び顔料等が含まれる。
【0058】
添加剤を含有させる場合、この含有量(重量%)は、水性分散体の重量に基づき、0.01〜5が好ましく、さらに好ましくは0.03〜4、特に好ましくは0.05〜3である。
【0059】
本発明の水性分散体の製造方法としては、ポリオレフィン(A)を界面活性剤及び/又は水溶性高分子の存在下、攪拌混合機又は乳化分散機により、水性分散媒に分散させる方法や、特開2002−69302号公報又は特開平6−136304号公報等に記載の方法と同様にして、水性分散媒、ポリオレフィン(A)、塩基、界面活性剤及び/又は水溶性高分子を反応容器に入れ、ポリオレフィン(A)の融点以上に加熱し攪拌混合機又は乳化分散機により乳化・分散した後冷却する方法等が適用できる。
【0060】
添加剤を含有する場合、水性分散媒に分散させる前、分散させた後のいずれでも添加混合することができる(以下、同様である。)。
【0061】
本発明の水性分散体に、金属石鹸(B)を含有する場合、本発明の水性分散体の製造方法としては特に制限はないが、(1)ポリオレフィン(A)及び金属石鹸(B)を予め溶融混合した後、この溶融混合物を乳化分散する方法、(2)ポリオレフィン(A)を乳化分散したのち、ポリオレフィン(A)の乳化分散体中に、引き続き金属石鹸(B)を乳化分散する方法、(3)金属石鹸(B)を乳化分散したのち、金属石鹸(B)の乳化分散体中に、引き続きポリオレフィン(A)を乳化分散する方法、(4)ポリオレフィン(A)及び金属石鹸(B)の一部を乳化分散し、引き続き残りの金属石鹸(B)を乳化分散する方法、(5)金属石鹸(B)及びポリオレフィン(A)の一部を乳化分散し、引き続き残りのポリオレフィン(A)を乳化分散する方法、(6)ポリオレフィン(A)の水性分散体と金属石鹸(B)の水性分散体とを個別に製造し、両者を混合する方法等が適用できる。
【0062】
上記の方法において、ポリオレフィン(A)の乳化・分散方法としては、ポリオレフィン(A)を界面活性剤及び/又は水溶性高分子の存在下、攪拌混合機又は乳化分散機により水性分散媒に分散させる方法や、特開2002−69302号公報又は特開平6−136304号公報等に記載の方法と同様にして、水性分散媒、ポリオレフィン(A)、塩基、界面活性剤及び/又は水溶性高分子を反応容器に入れ、ポリオレフィン(A)の融点以上に加熱し攪拌混合機又は乳化分散機により乳化・分散した後冷却する方法等が適用できる。
【0063】
なお、(3)及び(5)の方法の場合、水性分散媒の代わりに金属石鹸(B)の水性分散体、又はポリオレフィン(A)及び金属石鹸(B)の水性分散体を用いる。
【0064】
上記の方法において、金属石鹸(B)の乳化・分散方法としては、金属石鹸(B)を界面活性剤及び/又は水溶性高分子の存在下、攪拌混合機又は乳化分散機により水性分散媒に分散させる方法や、水性分散媒、金属石鹸(B)、塩基、界面活性剤及び/又は水溶性高分子を反応容器に入れ、金属石鹸(B)の融点以上に加熱し攪拌混合機又は乳化分散機により乳化分散した後冷却する方法、並びに公知の溶融法、半溶融法又は複分解法(例えば特公昭63−57414号公報等)等が適用できる。
【0065】
なお、(2)及び(4)の方法の場合、水性分散媒の代わりにポリオレフィン(A)の水性分散体、又はポリオレフィン(A)及び金属石鹸(B)の水性分散体を用いる。
【0066】
(1)、(4)及び(5)の方法において、ポリオレフィン(A)及び金属石鹸(B)を予め溶融混合した後、この溶融混合物を乳化分散する場合、溶融混合温度は、ポリオレフィン(A)及び金属石鹸(B)のうち最も高い融点以上であることが好ましく、さらに好ましくは最も高い融点よりさらに10℃高い温度以上、特に好ましくは最も高い融点よりさらに15℃高い温度以上であり、また、250℃以下が好ましく、さらに好ましくは230℃以下、特に好ましくは220℃以下である。
【0067】
なお、ポリオレフィン(A)及び金属石鹸(B)からなる溶融混合物の乳化分散方法としては、上記と同様の方法が適用できる。
【0068】
(6)の方法において、ポリオレフィン(A)の水性分散体と、金属石鹸(B)の水性分散体とを混合する方法としては、各々の水性分散体を任意の順で混合容器に仕込んだ後、公知の攪拌混合機を用いて混合する方法、各々の水性分散体を徐々に混合容器に投入しながら混合する方法、及び何れか一方の水性分散体を混合容器に仕込んだ後他方の水性分散体を徐々に投入しながら混合する方法等が適用できる。
【0069】
(6)の方法において、混合温度としては、0〜100℃が好ましく、さらに好ましくは10〜80℃であり、特に好ましくは20〜60℃である。
【0070】
(6)の方法において、攪拌混合機としては、インペラ型攪拌機(プロペラ型翼攪拌機、パドル型翼攪拌機及びタービン型翼攪拌機)、ニーダー、ラインミキサー及びプラネタリーミキサー等が使用できる。
【0071】
本発明の塗被塗料は、上記の塗被紙用水性分散体を含有すれば制限ないが、上記の塗被紙用水性分散体、顔料及びバインダーを含有することが好ましい。
【0072】
水性分散体の含有量(重量%)は、顔料100重量部に対して、0.05〜10が好ましく、さらに好ましくは0.1〜5、特に好ましくは0.2〜1.5である。この範囲であると、ダスティング防止効果がさらに良好となる。
【0073】
顔料としては、無機顔料及び有機顔料が含まれる。
無機顔料としては、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、クレー、焼成クレー、カオリン、焼成カオリン、サチンホワイト、酸化チタン、酸化アルミニウム、合成シリカ、含水ケイ酸、無水ケイ酸、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、アルミノケイ酸ソーダ、アルミノケイ酸マグネシウム、ケイソウ土、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、酸化亜鉛、硫酸カルシウム、タルク、活性白土及び珪藻土等が挙げられる。
【0074】
有機顔料としては、プラスチックピグメント{ポリスチレン(重量平均分子量1,000〜1,000,000)、スチレン/ブタジエン共重合体(共重合モル比2/8、重量平均分子量5,000〜1,000,000)、スチレン/アクリル共重合体(共重合モル比3/7、重量平均分子量2,000〜500,000)、ポリアクリル酸エチル(重量平均分子量5,000〜500,000)}等が挙げられる。
【0075】
これらの顔料は1種でも2種以上の混合物としても使用できる。これらの顔料のうち、重質炭酸カルシウム及び軽質炭酸カルシウムを含むことが好ましい。
【0076】
重質炭酸カルシウム及び/又は軽質炭酸カルシウムを含む場合、この含有量(重量%)は、顔料の重量に基づいて、30〜100が好ましく、さらに好ましくは40〜90、特に好ましくは60〜80である。この範囲であると、印刷物の白色度やインキ受理性がさらに良好となる。
【0077】
重質及び/又は軽質炭酸カルシウム以外の顔料をさらに含む場合、この含有量(重量%)は、顔料の重量に基づいて、70以下が好ましく、さらに好ましくは10〜60、特に好ましくは20〜40である。この範囲であると、塗被紙の白色度がさらに良好となる。
【0078】
顔料の体積平均粒子径(μm)は、0.05〜10が好ましく、さら好ましくは0.08〜5、特に好ましくは0.1〜3である。この範囲であると、印刷物の平滑性やインキ着肉性がさらに良好となる。
【0079】
塗被塗料に含まれるバインダーとしては、通常の塗被塗料に使用されるバインダーが使用でき、合成バインダー及び天然バインダーが含まれる。
【0080】
合成バインダーとしては、スチレン/ブタジエン共重合体、スチレン/アクリル酸エチル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸、エチレン/酢酸ビニル共重合体、メチルメタクリレート/ブタジエン共重合体、ブチルアクリレート、ポリビニルアルコール、無水マレイン酸及びアクリル酸/メチルメタクリレート共重合体等が挙げられる。
【0081】
天然バインダーとしては、酸化澱粉、エステル化澱粉、酵素変成澱粉、冷水可溶性澱粉、リン酸エステル化澱粉、ヒドロキシエチル化澱粉、カゼイン及び大豆蛋白等が挙げられる。
【0082】
バインダーは1種でも2種以上の混合物としても使用できる。バインダーを含む場合、この含有量(重量%)は、顔料の重量に基づいて、3〜25が好ましく、さらに好ましくは5〜20、特に好ましくは7〜18である。この範囲であると、塗被層の強度がさらに十分なものとなり、また、インキ受理性、着肉性等の印刷適性がさらに良好となる。
【0083】
塗被塗料には、顔料分散剤[ポリ(メタ)アクリル酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム及びヘキサメタリン酸ナトリウム等]、耐水化剤、保水剤、流動性改良剤、消泡剤(鉱物油消泡剤及びシリコーン消泡剤等)、湿潤剤、酸化防止剤、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、着色剤(染料及びカーボンブラック等)及び防腐剤等の通常の塗被塗料に配合される各種助剤を必要に応じて適宜含有することができる。これらを含有する場合、この含有量(重量%)は、塗被塗料の重量に基づき、0.001〜5が好ましく、さらに好ましくは0.01〜4、特に好ましくは0.1〜3である。
【0084】
塗被塗料の濃度(重量%)は、塗被装置や所望する塗被量によって異なるが、20〜80が好ましく、さらに好ましくは30〜75、特に好ましくは40〜70である。この範囲にあると、塗被塗料の安定性がさらに良好となり、また、取り扱いがさらに容易となる。ここで、濃度とは、ポリオレフィン(A)、並びに必要により含有する金属石鹸(B)、顔料及び/又はバインダーの濃度を意味する。
【0085】
塗被塗料は、通常の調整方法により得ることができ、たとえば、上記の水性分散体、顔料、バインダー、水及び必要により上記各種助剤を、上記濃度となるように混合して調製することができる。
【0086】
本発明の塗被紙用水性分散体を適用できる塗被紙としては、アート紙、上質コート紙、中質コート紙、上質軽量コート紙、中質軽量コート紙、キャストコート紙、エンボス紙、アートポスト紙、ファンシーコーテッド紙、純白ロールコート、ダルコート紙、マットコート紙、インクジェット用紙、微塗被上質紙及び微塗被印刷紙等が挙げられる。これらのうち、アート紙、上質コート紙、ダルコート紙、マットコート紙、微塗被上質紙及び微塗被印刷紙に適しており、さらに微塗被上質紙及び微塗被印刷紙に好適である。
【0087】
塗被紙に用いられる原紙としては、通常のパルプから製造される一般の上質紙又は中質紙等が用いられる。パルプとしては、化学パルプ、機械パルプ、古紙パルプ及び非木材パルプ等が含まれる。化学パルプとしては、CGP(ケミグラウンドパルプ)、SCP(セミケミカルパルプ)、SP(サルファイトパルプ)、KP(クラフトパルプ)及びAP(アルカリパルプ)等;機械パルプとしては、GP(砕木パルプ)、RMP(リファイナーメカニカルパルプ)及びTMP(サーモメカニカルパルプ)等;古紙パルプとしては、離解パルプ、脱インキパルプ等;非木材パルプとしては、パガス、ケナフ、アシ、ワラ、麻又はリンター等の非木材繊維を原料としたパルプ、ナイロン、ビニロン、テトロン、アクリル、レーヨン、ポリオレフィン等の合成繊維をパルプ状にした合成パルプ等が挙げられる。
【0088】
原紙としては、一般の顔料塗被紙製造に用いられる坪量40〜300g/m2 のパルプ繊維を主体とする原紙又は合成紙が使用できる。
【0089】
塗被塗料を原紙に塗被して塗被紙を製造する場合、通常の塗工機が使用でき、ブレードコーター、エアナイフコーター、逆回転ロールコーター、正回転ロールコーター、カーテンフローコーター、ロッドコーター、グラビアコーター、ダイコーター、スプレーコーター、静電コーター、ノッチバーコーター、エアドクターコーター及びサイズプレスコーター等が挙げられる。これらの塗工機によって、原紙の片面又は両面に、単層又は二層以上の塗被層を塗被できる。
【0090】
塗被塗料の塗被量(g/m2)は、片面あたり乾燥質量(乾燥温度135℃、乾燥時間20秒)で3〜40が好ましく、さらに好ましくは4〜30、特に好ましくは5〜20である。
【0091】
さらに塗被紙は、白紙光沢の調整や印刷適性向上のため、キャレンダー処理(仕上処理)を行ってもよい。キャレンダー処理(仕上処理)には、表面処理装置(キャレンダー;たとえば、スーパーキャレンダー、マットキャレンダー、ソフトニップキャレンダー及びマシンキャレンダー等)が使用できる。
【0092】
キャレンダーのロールの表面温度(℃)は、100〜200が好ましく、さらに好ましくは110〜160、特に好ましくは130〜150である。この範囲にあると平滑性がさらに向上する。なお、公知の水性分散体を用いた場合、この温度範囲でキャレンダー処理すると、ダスティング防止効果が著しく悪い。
【0093】
キャレンダー処理に供される塗被紙の水分率(重量%)は、8〜15が好ましく、さらに好ましくは8〜12、特に好ましくは9〜11である。
原紙の水分率は、乾燥により、調整することができる。
【0094】
キャレンダー処理前の塗被紙の水分率を上記範囲としたのは、8重量%未満であるとキャレンダー処理によっても充分な平滑性が得られない場合があるからであり、15重量%を超えると、キャレンダー処理時のロール汚れが悪化する場合がある。
【0095】
塗被方式には、原紙製造工程(抄紙工程)と塗被工程とが独立した設備で製造する方式(オフマシンコーター方式)と、原紙製造工程(抄紙工程)及び塗被工程が一体となった設備で連続的に製造する方式(オンマシンコーター方式)とに分類される。
【0096】
オフマシンコーター方式において、原紙は原紙製造マシンで製造され一旦リールで巻き取られ、次いで該原紙巻取りを独立した塗工設備に移動し原紙を巻きもどしながらコーターで塗工する。一方、オンマシンコーター方式において、原紙製造工程に引き続き塗被工程があるために、原紙は巻き取られることなく連続して塗被される。したがってオンマシンコーター方式は、工数、運転人員及びエネルギー効率面等でオフマシンコーター方式よりも優れている。
【0097】
オフマシンコーター方式では上塗り、下塗りともブレードコーターによるダブル塗工が一般化しつつあり、平滑な塗被表面を形成するには非常に有効な塗被方式である。本発明の塗被塗料は、オンマシン塗工により原紙に塗被することが好ましい。
【0098】
最新のオンマシンコーターでの構成は下塗をロールコーターで両面同時塗被し、その後ブレードコーターで上塗りを片面づつ行う方式のダブル塗工方式であり、塗被工程だけみればシンプルな構成となる。本発明の塗被塗料は、この方法で塗被されることがさらに好ましい。
【実施例】
【0099】
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、以下、特記しない限り部は重量部を、%は重量%を意味する。
【0100】
<実施例1>
ポリレフィン(A1){酸化ポリエチレン、商品名:210−MP、三井化学株式会社、溶融粘度(140℃)80mPa・s、密度(20℃)0.94g/cm3、針入度(25℃)3dmm}36部、ノニオン性界面活性剤{商品名:イオネット S−80、三洋化成工業株式会社、「イオネット」は同社の登録商標である。}2部、ノニオン性界面活性剤{商品名:ブラウノンSR−710、青木油脂工業株式会社}2部、水酸化カリウム{試薬1級、和光純薬工業株式会社}0.7部及び脱イオン水59.3部をプロペラ型攪拌翼付耐圧密閉容器に仕込み、密閉状態で100℃まで昇温後、同温度で3時間攪拌混合した。次いで、高圧ホモジナイザー(圧力:98MPa)で30分間処理すると共に、直ちに25℃以下(20〜25℃)に急冷することにより、本発明の塗被紙用水性分散体(1)を得た。
【0101】
<実施例2>
「ポリオレフィン(A1)」を「ポリオレフィン(A2){ポリエチレン、商品名:420P、三井化学株式会社、溶融粘度(140℃)650mPa・s、密度(20℃)0.93g/cm3、針入度(25℃)3dmm}」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の塗被紙用水性分散体(2)を得た。
【0102】
<実施例3>
「ポリオレフィン(A1)」を「ポリオレフィン(A3){ポリエチレン、商品名:A−C715、アライドシグナル社、溶融粘度(140℃)4000mPa・s、密度(20℃)0.92g/cm3、針入度(25℃)2.5dmm}」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の塗被紙用水性分散体(3)を得た。
【0103】
<実施例4>
「ポリオレフィン(A1)」を「ポリオレフィン(A4){ポリエチレン、商品名:A−C16、アライドシグナル社、溶融粘度(140℃)200mPa・s、密度(20℃)0.91g/cm3、針入度(25℃)5.5dmm}」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の塗被紙用水性分散体(4)を得た。
【0104】
<実施例5>
「ポリオレフィン(A1)」を「ポリオレフィン(A5){酸化ポリエチレン、商品名:4202E、三井化学株式会社、溶融粘度(140℃)300mPa・s、密度(20℃)0.95g/cm3、針入度(25℃)5dmm}」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の塗被紙用水性分散体(5)を得た。
【0105】
<実施例6>
「ポリオレフィン(A1)」を「ポリオレフィン(A6){酸化ポリエチレン、商品名:AC−680、アライドシグナル社、溶融粘度(140℃)250mPa・s、密度(20℃)0.93g/cm3、針入度(25℃)1.5dmm}」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の塗被紙用水性分散体(6)を得た。
【0106】
<実施例7>
「ポリオレフィン(A1)」を「ポリオレフィン(A7){酸化ポリエチレン、商品名:AC−655、アライドシグナル社、溶融粘度(140℃)210mPa・s、密度(20℃)0.93g/cm3、針入度(25℃)2.5dmm}」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の塗被紙用水性分散体(7)を得た。
【0107】
<実施例8>
「ポリオレフィン(A1)」を「ポリオレフィン(A8){酸化ポリエチレン、商品名:AC−656、アライドシグナル社、溶融粘度(140℃)185mPa・s、密度(20℃)0.92g/cm3、針入度(25℃)9dmm}」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の塗被紙用水性分散体(8)を得た。
【0108】
<実施例9>
「ポリオレフィン(A1)」を「ポリオレフィン(A9){酸化ポリエチレン、商品名:220MP、三井化学株式会社、溶融粘度(140℃)80mPa・s、密度(20℃)0.93g/cm3、針入度(25℃)14dmm}」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の塗被紙用水性分散体(9)を得た。
【0109】
<実施例10>
「ポリオレフィン(A1)」を「ポリオレフィン(A10){エチレン‐酢ビ共重合体、商品名:A−C430、アライドシグナル社、溶融粘度(140℃)600mPa・s、密度(20℃)0.93g/cm3、針入度(25℃)80dmm}」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の塗被紙用水性分散体(10)を得た。
【0110】
<実施例11>
「ポリオレフィン(A1)」を「ポリオレフィン(A11){酸化ポリエチレン、商品名:A−C629、アライドシグナル社、溶融粘度(140℃)200mPa・s、密度(20℃)0.93g/cm3、針入度(25℃)5.5dmm}」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の塗被紙用水性分散体(11)を得た。
【0111】
<実施例12>
「ポリオレフィン(A1)」を「ポリオレフィン(A12){エチレン−アクリル酸共重合体、商品名:A−C540、アライドシグナル社、溶融粘度(140℃)575mPa・s、密度(20℃)0.93g/cm3、針入度(25℃)2dmm}」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の塗被紙用水性分散体(12)を得た。
【0112】
<実施例13>
「ポリオレフィン(A1)」を「ポリオレフィン(A13){エチレン−アクリル酸共重合体、商品名:A−C5120、アライドシグナル社、溶融粘度(140℃)650mPa・s、密度(20℃)0.94g/cm3、針入度(25℃)8dmm}」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の塗被紙用水性分散体(13)を得た。
【0113】
<実施例14>
「ポリオレフィン(A1)」を「ポリオレフィン(A14){ポリエチレン、商品名:A−C6、アライドシグナル社、溶融粘度(140℃)375mPa・s、密度(20℃)0.92g/cm3、針入度(25℃)4dmm}」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の塗被紙用水性分散体(14)を得た。
【0114】
<実施例15>
「ポリオレフィン(A1)36部」を「ポリオレフィン(A11)18部及びポリオレフィン(A6)18部{溶融粘度(140℃)225mPa・s、密度(20℃)0.93g/cm3、針入度(25℃)3.5dmm}」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の塗被紙用水性分散体(15)を得た。
【0115】
<実施例16>
水酸化カルシウム{試薬特級、和光純薬工業株式会社}30.6部、水240部、ノニオン性界面活性剤{商品名:ナロアクティー N-120、三洋化成工業株式会社、「ナローアクティー」は同社の登録商標である。}20部を25℃にてホモミキサーで均一混合した後、ホモミキサーを回転させながら、ステアリン酸{試薬特級、和光純薬工業株式会社}142部を30分間で連続滴下しながら、40〜60℃を維持させて反応させた。引き続き、ステアリン酸71部を30分間で連続滴下しながら50〜60℃を維持させて反応させた後、さらに、50℃でステアリン酸71部を90分かけて連続滴下しながら、50〜60℃を維持させて反応させた。次いで、50〜60℃にて30分間熟成攪拌させることにより、金属石鹸(B1)の水性分散体(BB1)を得た。
【0116】
実施例11で得た水性分散体(11)50部と、金属石鹸(B1)の水性分散体(BB1)50部とを混合容器に仕込み、25℃でパドル型低速攪拌機(周速100m/分)により20分攪拌することにより、本発明の塗被紙用水性分散体(16)を得た。
【0117】
<実施例17>
「水酸化カルシウム」を「水酸化マグネシウム{和光純薬工業株式会社}」に変更したこと以外、実施例16と同様にして、金属石鹸(B2)の水性分散体(BB2)を得た。
【0118】
「水性分散体(BB1)」を「水性分散体(BB2)」に変更したこと以外、実施例16と同様にして、本発明の塗被紙用水性分散体(17)を得た。
【0119】
<実施例18>
「水酸化カルシウム」を「水酸化亜鉛{和光純薬工業株式会社}」に変更したこと以外、実施例16と同様にして、金属石鹸(B3)の水性分散体(BB3)を得た。
【0120】
「水性分散体(BB1)」を「水性分散体(BB3)」に変更したこと以外、実施例16と同様にして、本発明の塗被紙用水性分散体(18)を得た。
【0121】
<実施例19>
「水酸化カルシウム30.6部」を「水酸化カルシウム15.3部及び水酸化マグネシウム15.3部」に変更したこと以外、実施例16と同様にして、金属石鹸(B4)の水性分散体(BB4)を得た。
【0122】
「水性分散体(BB1)」を「水性分散体(BB4)」に変更したこと以外、実施例16と同様にして、本発明の塗被紙用水性分散体(19)を得た。
【0123】
<実施例20>
「水酸化カルシウム30.6部」を「水酸化カルシウム15.3部及び水酸化亜鉛15.3部」に変更したこと以外、実施例16と同様にして、金属石鹸(B5)の水性分散体(BB5)を得た。
【0124】
「水性分散体(BB1)」を「水性分散体(BB5)」に変更したこと以外、実施例16と同様にして、本発明の塗被紙用水性分散体(20)を得た。
【0125】
<実施例21>
「水酸化カルシウム30.6部」を「水酸化マグネシウム15.3部及び水酸化亜鉛15.3部」に変更したこと以外、実施例16と同様にして、金属石鹸(B6)の水性分散体(BB6)を得た。
【0126】
「水性分散体(BB1)」を「水性分散体(BB6)」に変更したこと以外、実施例16と同様にして、本発明の塗被紙用水性分散体(21)を得た。
【0127】
<実施例22>
水性分散体(11)の量を「50部」から「12部」に変更したこと、及び「水性分散体(BB1)50部」を「水性分散体(BB3)79」に変更したこと以外、実施例16と同様にして、本発明の塗被紙用水性分散体(22)を得た。
【0128】
<実施例23>
水性分散体(11)の量を「50部」から「30部」に変更したこと、及び「水性分散体(BB1)50部」を「水性分散体(BB3)79」に変更したこと以外、実施例16と同様にして、本発明の塗被紙用水性分散体(23)を得た。
【0129】
<実施例24>
水性分散体(11)の量を「50部」から「41部」に変更したこと、及び「水性分散体(BB1)50部」を「水性分散体(BB3)54」に変更したこと以外、実施例16と同様にして、本発明の塗被紙用水性分散体(24)を得た。
【0130】
<実施例25>
水性分散体(11)の量を「50部」から「85部」に変更したこと、及び「水性分散体(BB1)50部」を「水性分散体(BB3)14」に変更したこと以外、実施例16と同様にして、本発明の塗被紙用水性分散体(25)を得た。
【0131】
<実施例26>
水性分散体(11)の量を「50部」から「97部」に変更したこと、及び「水性分散体(BB1)8部」を「水性分散体(BB3)10」に変更したこと以外、実施例16と同様にして、本発明の塗被紙用水性分散体(21)を得た。
【0132】
<実施例27>
水性分散体(11)の量を「50部」から「109部」に変更したこと、及び「水性分散体(BB1)50部」を「水性分散体(BB3)8」に変更したこと以外、実施例16と同様にして、本発明の塗被紙用水性分散体(27)を得た。
【0133】
<比較例1>
「ポリオレフィン(A1)」をポリオレフィン{ポリエチレン、商品名:110P、三井化学株式会社、溶融粘度(140℃)20mPa・s、密度(20℃)0.92g/cm3、針入度(25℃)25dmm}」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、比較用の塗被紙用水性分散体(H1)を得た。
【0134】
<比較例2>
「ポリオレフィン(A1)」をポリオレフィン{ポリエチレン、商品名:720P、三井化学株式会社、溶融粘度(140℃)6000mPa・s、密度(20℃)0.92g/cm3、針入度(25℃)3dmm}」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、比較用の塗被紙用水性分散体(H2)を得た。
【0135】
<比較例3>
「ポリオレフィン(A1)」をポリオレフィン{酸化ポリエチレン、商品名:A−C6702、アライドシグナル社、溶融粘度(140℃)35mPa・s、密度(20℃)0.85g/cm3、針入度(25℃)90dmm}」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、比較用の塗被紙用水性分散体(H3)を得た。
【0136】
<比較例4>
「ポリオレフィン(A1)」をポリオレフィン{酸化ポリエチレン、商品名:200P、三井化学株式会社、溶融粘度(140℃)500mPa・s、密度(20℃)0.97g/cm3、針入度(25℃)1dmm}」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、比較用の塗被紙用水性分散体(H4)を得た。
【0137】
<比較例5>
「ポリオレフィン(A1)」をポリオレフィン{ポリエチレン、商品名:A−C9、アライドシグナル社、溶融粘度(140℃)450mPa・s、密度(20℃)0.93g/cm3、針入度(25℃)0.5ddm}」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、比較用の塗被紙用水性分散体(H5)を得た。
【0138】
<比較例6>
「ポリオレフィン(A1)」をポリオレフィン{ポリエチレン、商品名:A−C1702、アライドシグナル社、溶融粘度(140℃)30mPa・s、密度(20℃)0.88g/cm3、針入度(25℃)98dmm}」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、比較用の塗被紙用水性分散体(H6)を得た。
【0139】
<比較例7>
「水性分散体(11)」を「比較用の水性分散体(H3)」に変更したこと以外、実施例16と同様にして、比較用の塗被紙用水性分散体(H7)を得た。
【0140】
<比較例8>
実施例16で得られた金属石鹸(B1)の水性分散体(BB1)を比較用の塗被紙用水性分散体(H8)とした。
【0141】
<比較例9>
実施例17で得られた金属石鹸(B2)の水性分散体(BB2)を比較用の塗被紙用水性分散体(H9)とした。
【0142】
実施例及び比較例で得た水性分散体について、ダスティング防止効果、粘着防止性及びピック強度を以下の評価測定方法により測定し、これらの結果を表1及び2に示した。
【0143】
<ダスティング防止効果>
体積平均粒子径0.8μmの軽質炭酸カルシウム(奥多摩工業株式会社、タマパールTP−222H、「タマパール」は同社の登録商標である。)40部及びカオリン(ENGELHARD MINERAL&CHEMICALS社、ウルトラホワイト90)60部を分散剤(サンノプコ株式会社、SNディスパーサント5040)0.2部、水酸化ナトリウム0.1部及び水65部を、ホモディスパー{株式会社島崎製作所、ROTARY AJITER SH2Z}を使用して3000rpmで30分攪拌混合・分散させて、分散体を得た。次いで、この分散体にスチレン−ブタジエンラテックス(JSR株式会社、JSR0696、「JSR」は同社の登録商標である。)10部及び酸化澱粉(日本食品加工株式会社、MS−3600)3部を加えた後、評価用試料0.5部を加えて、ホモディスパーを使用して3000rpmで15分攪拌混合し、濃度65重量%の塗被塗料を得た。
【0144】
次に、上記塗被塗料を坪量64g/m2の上質紙原紙(コクヨ株式会社、KB−34)に塗被量が15g/m2になるように枚葉式ブレードコーターを用いて塗被ムラが出ないように速度300m/sで塗被し、135℃で20秒間乾燥して塗被紙(30×20cm)を得た。同時にブランクとして、評価用試料を含まない塗被塗料(ブランク)を作成し、同様に塗布、乾燥した塗被紙(ブランク)を作成した。
得られた塗被紙をキャレンダーのロール表面温度を表1又は2に示した温度に調整して、線圧150kg/cmのスーパーキャレンダー{丸協技研有限会社}に1回通紙し、チルドロール面の汚れを観察して、10点法{10(良)〜1(劣)}で評価した。
【0145】
<離型性>
スチレン−ブタジエンラテックス(JSR株式会社、JSR0696)12部に、評価用試料0.5部及び水18部を加えて攪拌混合し、濃度25重量%の塗被塗料を得た。
【0146】
坪量64g/m2の上質紙原紙(コクヨ株式会社、KB−34)に上記塗被塗料をNo.12バーコーター(R.D.S WEBSTER N.Y社)で塗被し、135℃にて20秒乾燥し、塗被紙(30×20cm)を作成した。ブランクとして、塗工紙用潤滑剤を含まない塗被塗料(ブランク)を作成し、同様に塗布、乾燥した塗被紙(ブランク)を作成した。
【0147】
次いで、キャレンダーのロール表面温度を表1又は2に示した温度に調整して、線圧100kg/cmでスーパーキャレンダーに通紙し、ニップ通過2秒後にチルドロールにはりついた塗被紙のチルドロール面からの剥離強度を引張り強度測定機{日本特殊測器株式会社、LRU‐20N}を用いて測定した。剥離強度が弱いほうが、離型性に優れる。
【0148】
<ピック強度>
ダスティング防止性評価の際に塗被した塗被紙を、キャレンダーのロール表面温度を表1又は2に示した温度に調整して、線圧80kg/cmでスーパーキャレンダーに2回通紙し、印刷適性試験機{石川島産業機械株式会社、RI‐1型}を用いて塗被紙のピック強度を測定し、10点法{10(良)〜1(劣)}で評価した。
【0149】
【表1】
【0150】
【表2】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
140℃における溶融粘度が50〜5000mPa・s、20℃における密度が0.90〜0.96g/cm3、25℃における針入度が1〜80dmmであるポリオレフィン(A)と水性分散媒とを含有してなることを特徴とする塗被紙用水性分散体。
【請求項2】
さらに金属石鹸(B)を含有し、ポリオレフィン(A)と金属石鹸(B)との含有重量比(A/B)が0.1〜9である請求項1に記載の水性分散体。
【請求項3】
金属石鹸(B)を構成する金属原子がカルシウム、マグネシウム及び亜鉛からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項2に記載の水性分散体。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の塗被紙用水性分散体と、顔料及びバインダーとを含有してなり、塗被紙用水性分散体の含有量が顔料100重量部に対して0.05〜10重量部である塗被塗料。
【請求項5】
請求項4に記載の塗被塗料を原紙に塗被し、乾燥した後、100〜200℃の表面温度を持つロールで、キャレンダー処理する工程を含む塗被紙の製造方法。
【請求項6】
キャレンダー処理前の塗被紙の水分が8〜15重量%である請求項5に記載の塗被紙の製造方法。
【請求項7】
オンマシン塗工により原紙に塗被する請求項5又は6に記載の塗被紙の製造方法。
【請求項1】
140℃における溶融粘度が50〜5000mPa・s、20℃における密度が0.90〜0.96g/cm3、25℃における針入度が1〜80dmmであるポリオレフィン(A)と水性分散媒とを含有してなることを特徴とする塗被紙用水性分散体。
【請求項2】
さらに金属石鹸(B)を含有し、ポリオレフィン(A)と金属石鹸(B)との含有重量比(A/B)が0.1〜9である請求項1に記載の水性分散体。
【請求項3】
金属石鹸(B)を構成する金属原子がカルシウム、マグネシウム及び亜鉛からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項2に記載の水性分散体。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の塗被紙用水性分散体と、顔料及びバインダーとを含有してなり、塗被紙用水性分散体の含有量が顔料100重量部に対して0.05〜10重量部である塗被塗料。
【請求項5】
請求項4に記載の塗被塗料を原紙に塗被し、乾燥した後、100〜200℃の表面温度を持つロールで、キャレンダー処理する工程を含む塗被紙の製造方法。
【請求項6】
キャレンダー処理前の塗被紙の水分が8〜15重量%である請求項5に記載の塗被紙の製造方法。
【請求項7】
オンマシン塗工により原紙に塗被する請求項5又は6に記載の塗被紙の製造方法。
【公開番号】特開2009−215665(P2009−215665A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−58628(P2008−58628)
【出願日】平成20年3月7日(2008.3.7)
【出願人】(000106438)サンノプコ株式会社 (124)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年3月7日(2008.3.7)
【出願人】(000106438)サンノプコ株式会社 (124)
【Fターム(参考)】
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