説明

塗装ガン

【課題】 塗装面が良好かつ清掃も容易にできる塗料入口部ネジを有する塗装ガンを提供する。
【解決手段】 連結する塗料送液配管1の先端部分をR形状の面取り部分1aとし、対応する塗装ガン本体7の塗料入口部側を相似のR形状の面取り部分7aとし空隙のない連結部とした塗装ガン。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗料送液配管と連結する液体の配管接続等に使用することができる塗装ガンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、塗料を使用する塗装ガンの内部構造は塗料入口部を始め、ガン本体とガンを構成する部品にはネジが切られている。塗料入口部のネジは底にまで雌ネジが切られていないため、雄ネジを組み付けたさいに塗料入口部と雄ネジとの間に隙間が生じる。
図7は液溜まり発生状態を示す従来例の概略断面図である。図7において、送液管継ぎ手1の雄ネジ1aを塗料入口部本体(塗装ガン本体)7の塗料入口部7aの雌ネジに嵌合すると、雌ネジの下方にはニードル5からの液体、例えば、塗料の液溜まり8が形成される。
この構成では、その液溜まり8に塗料が流れるため、塗料の液溜りが発生する。速乾性のある塗料を使用するとそこに乾燥した塗料の塊りができてしまい塗装不良の原因になる問題があった。現在は、塗料入口部に合わせて作られているフッ素樹脂で塗料入口部と送液管継ぎ手1の雄ネジの隙間を埋めて使用している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、塗料入口部のネジ切りを全面(全長)に行なったとしても、ネジの山の密封さようだけによって塗料の進入を完全に防止することは不可能である。
これに対して、塗料入口部と雄ネジの双方の形状を同じにして隙間を無くすことで塗料の入り込むのを塞ぎ、塗料入口部に塗料の液溜まりを防ぐことができることに本発明者は想到した。
また、ネジの形状を変更し塗料の液溜まりを防ぐことにより、フッ素樹脂を使用することも無くなり、コストダウンも図れる。よって、塗料入口部とフッ素樹脂の両方を清掃することも無くなり、作業時間の短縮が可能である。
そこで、本発明の目的は、上述した実情を考慮して、塗装面が良好かつ清掃も容易にできる塗料入口部ネジを有する塗装ガンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、塗装ガン本体に設けた凹所である塗料入口部内に塗料送液配管の送液管継ぎ手を螺着により連結する構造を備えた塗装ガンにおいて、送液管継ぎ手の先端部分にR形状の面取り部分を設け、塗装ガン本体の塗料入口部内底部に送液管継ぎ手部側の面取り部分と整合するR形状の面取り部分を設けて空隙のない連結部としたことを特徴とする。
請求項2の発明は、塗装ガン本体に設けた凹所である塗料入口部内に塗料送液配管の送液管継ぎ手を螺着により連結する構造を備えた塗装ガンにおいて、前記塗料入口部下部と、前記送液継ぎ手の下部をテーパ形状部分としたことを特徴とする。
請求項3の発明は、塗装ガン本体に設けた凹所である塗料入口部内に塗料送液配管の送液管継ぎ手を螺着により連結する構造を備えた塗装ガンにおいて、前記送液継ぎ手の底部にO−リングを嵌め込んだことを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項1、2又は3において、前記送液管継ぎ手の内部壁構造をストレートにしたことを特徴とする。
請求項5の発明は、請求項1、2、3、又は4において、前記液送管継ぎ手の材質をポリアセタールエチレンまたはポリオキシメチレンにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、塗装ガン本体の塗料入口部と雄ネジとの間に液溜まりが生じてしまう問題に対して、塗装ガン本体の塗料入口部の形状、塗装ガン本体を構成する部品形状を同等にすることで液溜りを防止できるようにする。
塗装ガンにおいては、穴の角部に溜まった塗料を清掃するさいに、ブラシを使用していたが塗料入口部7aと雄ネジ1aの形状を面取り部分にしたことで、エアーで吹くだけで容易にネジ部の汚れを落とすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。図1は本発明による塗装ガンの実施の形態の構成を示す断面図である。本発明の塗装ガンはこの塗料入口部7aと送液管継ぎ手1の雄ネジ1aとの間に液溜まりの発生を防止した点が特徴である。
図1において、塗装ガンの塗料入口部本体(塗装ガン本体)7の塗料入口部7aと送液管継ぎ手1の雄ネジ部1aとの間には、この下方に液溜まり防止フッ素樹脂2を有している。
止めネジ4は、その雄ネジ4aに、液溜まり防止フッ素樹脂2に対向する液溜まり防止フッ素樹脂3を備えている。塗料入口部7aと止めネジ4の軸線に対して、図1の右方にはニードル5が、そして左方には塗料吐出部6が配置されている。ニードル5を本体7の軸方向に貫通する孔内で進退させることにより、送液管継ぎ手1から雄ネジ部1a内の流路1a’を経由した液体塗料が塗料吐出部6から吐出される。
図2は塗料入口部形状と雄ネジ形状の第1の実施の形態を示す概略図である。図3は塗料入口部形状と雄ネジ形状の第2の実施の形態を示す概略図である。
図4は塗料入口部形状と雄ネジ形状の第3の実施の形態を示す概略図である。図5は塗料入口部形状と雄ネジ形状の第4の実施の形態を示す概略図である。
図2の第1の実施の形態においては、塗料入口部7a内壁と、送液管継ぎ手1の雄ネジ1a底部(角隅部)をR形状の面取り部分7b、1bにすることで、今までは角隅部等をブラシで擦って清掃していたが、エアーで吹くだけで容易に落とすことが可能になった。
図3では、塗料入口部7aの内壁と、送液管継ぎ手1の外周下部(雄ネジ1aの下部)の形状をテ―パ形状部分7c、1cにしたことで圧着力が上がり、低粘度の塗料でも隙間に入り込まず塗料入口部7aと雄ネジ1aとの間の液溜まりを防止する。
図4では図2の形状を利用して、送液管継ぎ手1の雄ネジ1aの下部(下面)にO−リング9を入れることによって、低粘度から高粘度の塗料でも液溜まりを防止することできる。送液管継ぎ手1の雄ネジ1aの底部に設けた環状の溝内にO−リング9を嵌め込むことによって、雄ネジ1a下部に隙間があるとしても液溜まりを防止することができる。
【0007】
図5は送液管継ぎ手1の雄ネジ1aの内部壁構造をストレートにすることによって、塗料の流れをスムーズにし角部に発生しやすい滞留の要因をなくすことによって塗料の液溜まりを防止できる。即ち、雄ネジ1aの内部流路1a’は前記各実施形態では段差を有していたが、ストレート形状にした点が特徴的である。
また、送液管継ぎ手1の雄ネジ1a部分の材質をポリアセタールエチレンまたはポリオキシメチレンにすることにより、多少の隙間があったとしても締め込むことによって、塗料入口部7aの形状にならい隙間を埋め、液溜まりを防止することができ、安価に製作もできる。
図6はφ20のローラ形状に導電性塗料を塗装した場合の塗料カスによる異物不良率をグラフで示す図である。図6に示すように、第1の実施の形態を反映後、塗料カスによる異物不良率が0.3〜0.4%レベルに半減していることが判る。
従来の空隙のある接続形状の場合0.6〜0.7%の発生率である。このように空隙のない接続形状としたことで液溜まりを防止し、塗装時の異物発生を抑え、被塗装物の外観品質を向上させることができる。
塗装ガンにおいては、送液管継ぎ手1の雄ネジ1aの材質をポリアセタールエチレンまたはポリオキシメチレンにしたことで、締め込むことにより塗料入口部7aの形状にならい隙間を埋め、液溜まりを防止できる。また、安価に製作できる。
このように本発明によれば、塗装ガン本体の塗料入口部と雄ネジとの間に液溜まりが生じてしまう問題に対して、塗装ガン本体の塗料入口部の形状、塗装ガン本体を構成する部品形状を同等にすることで液溜りを防止できるようにする。
また、穴の角部に溜まった塗料を清掃するさいに、従来ブラシを使用していたが塗料入口部7aと雄ネジ1aの形状を面取り部分にしたことで、エアーで吹くだけで容易にネジ部の汚れを落とすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明による塗装ガンの実施の形態の構成を示す断面図である。
【図2】塗料入口部形状と雄ネジ形状の第1の実施の形態を示す概略図である。
【図3】塗料入口部形状と雄ネジ形状の第2の実施の形態を示す概略図である。
【図4】塗料入口部形状と雄ネジ形状の第3の実施の形態を示す概略図である。
【図5】塗料入口部形状と雄ネジ形状の第4の実施の形態を示す概略図である。
【図6】φ20のローラ形状に導電性塗料を塗装した場合の塗料カスによる異物不良率をグラフで示す図である。
【図7】液溜まり発生状態を示す従来例の概略断面図である。
【符号の説明】
【0009】
1 送液管継ぎ手
1a 雄ネジ(送液管継ぎ手1の)
1b R形状の面取り部分
1c テーパ形状部分
2 液溜まり防止フッ素樹脂
3 液溜まり防止フッ素樹脂
4 止めネジ
5 ニードル
6 塗料塗出部
7 塗料入口部本体(塗装ガン本体)
7a 塗料入口部
7b R形状の面取り部分
7c テーパ形状部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗装ガン本体に設けた塗料入口部内に塗料送液配管の送液管継ぎ手を螺着により連結する構造を備えた塗装ガンにおいて、
送液管継ぎ手の先端部分にR形状の面取り部分を設け、塗装ガン本体の塗料入口部内底部に送液管継ぎ手部側の面取り部分と整合するR形状の面取り部分を設けて空隙のない連結部としたことを特徴とする塗装ガン。
【請求項2】
塗装ガン本体に設けた塗料入口部内に塗料送液配管の送液管継ぎ手を螺着により連結する構造を備えた塗装ガンにおいて、
前記塗料入口部下部と、前記送液継ぎ手の下部をテーパ形状部分としたことを特徴とする塗装ガン。
【請求項3】
塗装ガン本体に設けた塗料入口部内に塗料送液配管の送液管継ぎ手を螺着により連結する構造を備えた塗装ガンにおいて、
前記送液継ぎ手の底部にO−リングを嵌め込んだことを特徴とする塗装ガン。
【請求項4】
前記送液管継ぎ手の内部壁構造をストレートにしたことを特徴とする請求項1、2、又は3に記載の塗装ガン。
【請求項5】
前記液送管継ぎ手の材質をポリアセタールエチレンまたはポリオキシメチレンにしたことを特徴とする請求項1、2、3、又は4に記載の塗装ガン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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