説明

塗装システム及びそれを用いた塗装方法

【課題】スプレーガンの数を増加した場合でも塗装ブースの大型化を抑えて、空調のためのエネルギーの増加を抑えることを可能にする。
【解決手段】ワークを搬送する搬送ライン2と、搬送ライン2の途上に配設された塗装ブース7と、塗装ブース7内に配設された塗料噴射手段10を具備し、コンベア3を連続送りするモーター11を塗装ブース7の手前に配置し、コンベア3をタクト送りするモーター12を塗装ブース7の前方に配置し、連続送り用モーター11と塗装ブース12間に、未塗装のワークを待機させる塗装待ちエリア13を配置し、タクト送り用モーター12の前方側に、塗装済みワークを待機させる搬送待ちエリア16を配置し、ワークの塗装中は、タクト送り用モーター12を停止して塗装ブース7内はコンベアを移動せず、コンベア3により搬送されてくる未塗装のワークを塗装待ちエリア13に待機させることとした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗装システム及びそれを用いた塗装方法に係り、より詳しくは、コンベアによりワークの搬送を行う塗装システムにおいて、コンベアによるワークの搬送を継続しつつ、塗装ブース内においてはコンベアを停止してワークの塗装を行い、これにより、塗装ブースを大型化すること無く、ワークの大量塗装を可能にしたことを特徴とする塗装システム及びそれを用いた塗装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ワークを大量に塗装する場合には、コンベア上に等間隔を置いてワークを載置するとともに、コンベアを駆動してワークを搬送し、塗装ブース内において、コンベアにより搬送されてくるワークに向けて、塗装ブース内に固定したスプレーガンにより塗料を噴射する方法が採用されていた。
【0003】
しかしながら、この方法では、スプレーガンの位置が固定されているとともにワークを等間隔でコンベア上に配置しているために、ワークが存在しない箇所にも塗料を噴射することになり、塗料の無駄が多くなってしまうという問題点があった。
【0004】
そこで、過去において本発明者は、コンベアにより搬送されているワークにスプレーガンを追従させて塗装するスプレーガン追従方式の塗装方法を提案した。
【0005】
即ち、この方法では、複数丁のスプレーガンを具備した塗料噴射手段を用いており、この塗料噴射手段を、塗装対象となるワークを取り付けたワーク供給テーブルの移動に追従させ、追従させながら、追従対象の特定のワーク供給テーブルに取り付けたワークに塗料を噴射して塗装し、特定のワークの塗装が終了した後はスプレーガンを追従前の位置に戻すとともに、新たな特定のワーク供給テーブルの移動に追従させながら、この新たな特定のワーク供給テーブルに取り付けたワークに向けて塗料を噴射し、以後はこの動作を繰り返すこととしており、この方法によって、ワークが存在しない箇所にも塗料を噴射することを無くして塗料の無駄を少なくしてワークの大量塗装を可能にした。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−82068号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前述のスプレーガン追従方式を採用した場合には、塗料噴射手段に具備したスプレーガンの数が多くなった場合には塗装ブースが大型化してしまい、それによりコストが上がってしまうという問題点が考えられる。
【0008】
即ち、前述のスプレーガン追従方式では、特定のワーク供給テーブルに取り付けたワークの塗装が終了してワーク供給テーブルに追従していた塗料噴射手段が追従を終了して元の位置に戻る時点においては、塗装が終了したワークと、このワークと同数の未塗装のワークが塗装ブースに存在する必要があるため、塗料噴射手段2個分のスペースを具備した塗装ブースが必要である。
【0009】
そのために、1回における塗装量を増やすためにスプレーガンの数を増加した場合は塗装ブースが大型化してしまい、それにより、空調エネルギーが膨大になってしまいコストが上がってしまうという問題点が指摘できる。
【0010】
即ち、塗装ブース内では塗料ミストが発生するためにこの塗料ミストを排出する必要があり、そのためには、塗装ブース内の空気を排気口に向けて流して排気するとともに、排気量と同量の新鮮な空気を塗装ブース内に供給する必要があるが、塗装ブースが大型化すると、排気のためのエネルギーが増大してしまう。
【0011】
また、塗装ブース内では、塗装仕上がりを一定にするために、空調管理によってクリーンルーム内の温度、湿度を一定に維持する必要があるが、塗装ブースが大型化すると、空調のためのエネルギーも増大してしまう。
【0012】
そのために、前述したスプレーガン追従方式では、スプレーガンの数を増やした場合には塗装ブースが大型化し、それによりコストが上がってしまうという問題点がある。
【0013】
そこで、本発明は、塗料の無駄を少なくすることが可能であるとともに、スプレーガンの数を増加した場合でも塗装ブースの大型化を抑えて、空調のためのエネルギーの増加を抑えることを可能にした塗装システム及びそれを用いた塗装方法を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の塗装システムは、
ワークを搬送するための搬送ラインと、
該搬送ラインの途上に配設された、複数個のワークを収容可能な塗装ブースと、
該塗装ブース内に配設された、前記塗装ブース内に位置する複数のワークに向けて塗料を噴射するための塗料噴射手段と、を具備した塗装システムにおいて、
前記コンベアの連続駆動を可能にする連続送り用モーターを、コンベアの移動方向に見た前記塗装ブースの手前側に配置し、
前記コンベアの断続駆動を可能にするタクト送り用モーターを、コンベアの移動方向に見た前記塗装ブースの前方側に配置し、
前記搬送ラインにおける前記連続送り用モーターと塗装ブースの間に、コンベアの弛みを吸収するための第1テンション手段を備えて、該テンション手段によってコンベアの弛みを防止しつつ、未塗装のワークを塗装のために待機させる塗装待ちエリアを配置し、
前記搬送ラインにおけるコンベアの移動方向に見た前記タクト送り用モーターの前方側には、コンベアの弛みを吸収するための第2テンション手段を備えて、該テンション手段によってコンベアの弛みを防止しつつ、塗装済みのワークを搬送のために待機させる搬送待ちエリアを配置した、ことを特徴としている。
【0015】
そして、この塗装システムを用いた本発明の塗装方法は、
塗装ブース内においてワークの塗装を行っている間は、前記タクト送り用モーターを停止することで前記塗装ブース内においてはコンベアを移動させず、前記第1テンション手段によってコンベアの弛みを吸収しつつコンベアにより搬送されてくる未塗装のワークを前記塗装待ちエリアに待機させ、
塗装ブース内におけるワークの塗装が終了した後は、タクト送り用モーターを駆動し、塗装ブース内の塗装済みのワークを塗装ブース外へ移動可能な距離だけコンベアを移動して、前記第2テンション手段によってコンベアの弛みを吸収しつつ、塗装済みのワークを塗装ブースから搬送待ちエリアに移動して、搬送待ちエリア内のワークを順次搬出箇所まで搬送するとともに、前記塗装待ちエリアで待機させていたワークを塗装ブース内に搬送して前記塗装ブース内においてコンベアを搬送することなくワークの塗装を行い、以後はこれを繰り返すことを特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
本発明の塗装システム及びそれを用いた塗装方法では、複数のワークに向けて塗料を噴射する塗料噴射手段を塗装ブース内に具備することで、同時に複数のワークの塗装を可能にするとともに、コンベアの連続駆動を可能にする連続送り用モーターを塗装ブースの手前側に配置し、コンベアの断続駆動を可能にするタクト送り用モーターを塗装ブースの前方側に配置し、塗装ブース内においてワークの塗装を行っている間は、前記タクト送り用モーターを停止することで塗装ブース内においてはコンベアを移動させないこととしている。
【0017】
そのために、塗装中はワークが停止しており、塗料噴射手段を移動する必要がないので、塗装ブースは、塗料噴射手段1個分のスペースのみを有していればよく、スプレーガン追従方式と比較して、スプレーガンの数を増やした場合でも、塗装ブースが大型化することがない。
【0018】
従って、本発明によれば、塗料の無駄を少なくすることが可能であるとともに、スプレーガンの数を増加した場合でも塗装ブースの大型化を抑えて、空調エネルギーの増加を抑えることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の塗装システムの実施例の全体構成を説明するためのシステム図である。
【図2】本発明の塗装システムの実施例における塗装待ちエリアを説明するための図である。
【図3】本発明の塗装システムの実施例における塗装待ちエリアを説明するための図である。
【図4】本発明の塗装システムの実施例における塗装待ちエリアを説明するための図である。
【図5】本発明の塗装システムの実施例における塗装待ちエリアを説明するための図である。
【図6】本発明の塗装システムの実施例におけるワーク供給テーブルを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の塗装システムでは、ワークを搬送するための搬送ラインを具備しており、この搬送ラインは、コンベアを備えて構成されている。
【0021】
また、本発明の塗装システムでは、ワークを固定可能なワーク供給テーブルを複数個備えており、このワーク供給テーブルは、前記コンベアに、間隔を置いて回動自在に装着され、コンベアの駆動に伴って搬送されることとしている。
【0022】
また、本発明の塗装システムでは、搬送ライン上に塗装ブースが配設されており、前記コンベアはこの塗装ブース内を通過し、これにより、ワークが固定されたワーク供給テーブルも、前記コンベアとともに塗装ブース内を通過可能としている。
【0023】
更に、塗装ブース内には塗料噴射手段が配設されており、この塗料噴射手段は、塗装ブース内に位置する複数のワークに向けて塗料を噴射するための、複数個のスプレーガンを備えており、これにより、塗装ブース内において、複数個のワークの塗装を同時に行うことを可能にしている。
【0024】
更にまた、本発明の塗装システムでは、コンベアを連続して駆動するための連続送り用モーターを備えており、この連続送り用モーターは、コンベアの移動方向に見た場合の塗装ブースの手前側に配置している。
【0025】
また、本発明の塗装システムでは、コンベアを断続的に駆動するためのタクト送り用モーターを備えており、このタクト送り用モーターは、コンベアの移動方向に見た場合の塗装ブースの後方側に配置している。
【0026】
そして、搬送ラインにおける前記連続送り用モーターと塗装ブースの間には塗装待ちエリアを配置しており、この塗装待ちエリアは、コンベアの弛みを吸収するための第1テンション手段を備えており、このテンション手段によってコンベアの緊張を維持して弛みを防止しながら、未塗装のワークを塗装のために待機させるために用いられる。
【0027】
一方、搬送ラインにおけるコンベアの移動方向に見た場合のタクト送り用モーターの前方側には搬送待ちエリアを配置しており、この搬送待ちエリアは、コンベアの弛みを吸収するための第2テンション手段を備えており、この第2テンション手段によってコンベアの緊張を維持して弛みを防止しながら、塗装済みのワークを搬送のために待機させるために用いられる。
【0028】
ここで、前記コンベアとしてはチェーンコンベアを用いるとよく、更に、このとき、前記第1テンション手段及び第2テンション手段としては、チェーンを搬送するためのスプロケットと、このスプロケットを所定の張力で一方向へ引っ張るためのエアーシリンダーを用いるとよい。
【0029】
そして、このように構成される本発明の塗装システムを用いてワークの塗装を行う本発明の塗装方法では、塗装ブース内においてワークの塗装を行うときは、タクト送り用モーターを駆動せず、塗装ブース内においてコンベアを移動させずにワークを停止させて行う。
【0030】
また、塗装ブース内においてコンベアを停止してワークの塗装を行っているときは、第1テンション手段によってコンベアの弛みを吸収しながら、コンベアによって搬送されてくる未塗装のワークを、塗装待ちエリア内に待機させる。
【0031】
更に、塗装ブース内におけるワークの塗装が終了した後は、タクト送り用モーターを駆動して、塗装ブース内の塗装済みのワークを固定したワーク供給テーブルのすべてを塗装ブース外へ移動可能な距離だけ、コンベアを移動する。
【0032】
そしてそれにより、第2テンション手段によってコンベアの弛みを吸収しながら、塗装ブース内のワーク供給テーブルを、塗装ブースから搬送待ちエリアに移動し、この搬送待ちエリアに移動したワーク供給テーブルを順次、コンベアの連続搬送によって、搬出箇所まで搬送する。
【0033】
また、それとともに、タクト送り用モーターの駆動によって、塗装ブースの外に移動したワーク供給テーブルと同数のワーク供給テーブルを、前記塗装待ちエリアから塗装ブース内に搬送して、塗装ブース内においてコンベアを搬送することなくワークの塗装を行い、以後はこれを繰り返す。
【実施例1】
【0034】
本発明の塗装システム塗装システムの実施例について図面を参照して説明すると、図1は、本実施例の塗装システムの全体構成を説明するための図であり、図において1が本実施例の塗装システムで、本実施例の塗装システムでは、携帯電話の筐体を塗装するための塗装システムとしている。但し、本発明における塗装対象は携帯電話の筐体には限定されず、いずれでもよい。
【0035】
そして、本実施例の塗装システム1では、ワークを搬送するための搬送ラインを具備しており、この搬送ラインはチェーンコンベアにより構成されている。即ち、図において2が搬送ラインであり、また図において3がチェーンコンベアであり、前記チェーンコンベア3は無端状のチェーンとしている。
【0036】
また、図において6はワーク供給テーブルであり、本実施例の塗装システム1では、前記チェーンコンベア3にワーク供給テーブル6を装着しており、このワーク供給テーブル6に、被塗装物としてのワークを固定することとし、これによって、ワーク供給テーブル6を介して、搬送ライン2上でワークを搬送可能としている。
【0037】
そして、前記搬送ライン2の任意の箇所には、隣り合う配置で、ワークのロードエリア4とアンロードエリア5とを設置しており、ロードエリア4において、前記ワーク供給テーブル6にワークを固定し、アンロードエリア5においては、前記ワーク供給テーブル6に固定した塗装処理済みのワークを取り外すこととしている。但し、前記ワークのロードエリア4及びアンロードエリア5の設置箇所は得に限定されない。
【0038】
次に、本実施例における前記ワーク供給テーブル6について説明すると、図6は前記ワーク供給テーブル6を説明するための概略斜視図であり、本実施例において前記ワーク供給テーブル6は、主軸601と、この主軸601の上端近傍に備えられたテーブル本体602とを備えており、テーブル本体602は、前記主軸601に連結された内側本体部603と、連結部605によって前記内側本体部603の外周側に連結された外側本体部604とにより構成され、外側本体部604には、先端部近傍にワークを装着可能な複数本の取付冶具606を放射状に備えており、この取付冶具606を介して、前記外側本体部604に複数個のワークを固定可能としている。
【0039】
そしてこのワーク供給テーブル6は、前記チェーンコンベア3に間隔を置いて装着されている。即ち、主軸601の下方部分が前記コンベア3に回動自在に連結されるとともに、モーター等の駆動手段に連結されたベルト等に連結されることにより、回転駆動可能としている。そしてこれにより、回転しながら、チェーンコンベア3により搬送される。
【0040】
なお、本発明においてワーク供給テーブル6は、ワークを固定可能であるとともに前記コンベア3に装着可能であればいずれの構成としてもよく、必ずしも図6に示す構成には限定されない。
【0041】
次に、図1において7は塗装ブースである。即ち、本実施例の塗装システム1では、搬送ライン2の途中に塗装ブース7が配置されており、この塗装ブース7内において、チェーンコンベア3によって塗装ブース7内に搬送されてきたワークを塗装可能としている。
【0042】
ここで、前記塗装ブース7について説明すると、本実施例において前記塗装ブース7は、搬送ライン2の途中において、前記チェーンコンベア3が通過可能な配置で備えられており、これにより、ワークを固定したワーク供給テーブル6は、チェーンコンベア3によって塗装ブース7内に搬送され、塗装ブース7内で塗装された後に、再びチェーンコンベア3によって搬送されて、塗装ブースから出されることとしている。
【0043】
そして、前記塗装ブース7内には支持用レール8が備えられており、この支持用レール8には、ロボットアーム9が取り付けられている。
【0044】
また、前記ロボットアーム9には、支持アーム1001が連結され、この支持アーム1001には、複数個のスプレーガン1002が装着され、支持アーム1001と、この支持アーム1001に取り付けたスプレーガン1002によって、塗料噴射手段10が構成されている。
【0045】
そして、各スプレーガン1002には、図示しない塗料供給手段が一端に連結された塗料ホースの他端が連結され、これにより、スプレーガン1002から塗料を噴射可能としている。
【0046】
また、本実施例において前記塗料噴射手段10は、図にも示されるように、8個のスプレーガン1002を有しており、一方、前記塗装ブース7は、8個のワーク供給テーブル6を同時に収容可能なスペースを有しており、これにより、塗装ブース7内においては、8個のワーク供給テーブル6を同時に収容し、それぞれのワーク供給テーブル6を回転しながら、それぞれのワーク供給テーブル6に固定したワークに向けて、8個のスプレーガン1002から塗料を噴射可能としている。
【0047】
但し、本発明の塗装システムでは、必ずしもロボットアームを用いる必要はない。従って、例えば、床置き型の塗装ロボット等を用いてもよい。また、スプレーガンの数は特に限定されず、塗装ブース7内に収容可能なワーク供給テーブルの数も8個には限定されない。
【0048】
次に、図において11と12は、前記チェーンコンベア3を駆動するためのモーターである。即ち、本実施例の塗装システム1では、チェーンコンベア3の移動方向に見た場合の、前記塗装ブース7の手前側と後方側にそれぞれ、チェーンコンベア3を駆動するためのモーターを配設している。
【0049】
そして、チェーンコンベア3の移動方向に見た場合の塗装ブース7の手前側に配設したモーター11は、チェーンコンベア3を連続して駆動するための連続送り用モーター11としている。
【0050】
一方、チェーンコンベア3の移動方向に見た場合の塗装ブース7の前方側に配設したモーター12は、前記チェーンコンベア3を断続的に駆動するためのタクト送り用モーターとしている。
【0051】
ここで、前記タクト送り用モーター12の作用について説明すると、本実施例において前記タクト送り用モーター12は、ワーク供給テーブル8個分の距離だけチェーンコンベア3を連続して駆動し、これにより、それぞれに未塗装のワークを装着した8個のワーク供給テーブル6を、塗装ブース7内に搬送することとしている。
【0052】
また、塗装ブース7内においてワークの塗装が行われている間は駆動を停止しており、これにより、塗装ブース7内においてワークの塗装を行っている間は、塗装ブース7内においてはチェーンコンベア3のチェーンを移動しないこととしている。
【0053】
そして、塗装ブース7内におけるワークの塗装が終了した後に、再び、ワーク供給テーブル8個分の距離だけチェーンコンベア3を連続して駆動し、塗装の終了したワークを塗装ブース7から塗装ブース7の外に移動するとともに未塗装のワークを塗装ブース7内に搬送し、塗装ブース7内におけるワークの塗装が終了するまで、駆動を停止して塗装ブース7内におけるチェーンを移動しないこととし、その後は、チェーンコンベアの駆動と停止を繰り返すこととしている。
【0054】
従って、本実施例の塗装システム1では、ワークの塗装中は、塗装ブース7内のワーク供給テーブル6の位置が固定しているために塗料噴射手段9を移動する必要がないので、塗装ブース7は、1個の塗料噴射手段9を収容可能なスペースのみを有していればよく、スプレーガン追従方式と比較して、スプレーガンの数を増やした場合でも、塗装ブースが大型化することがなく、空調エネルギーの増加を抑えることが可能である。
【0055】
次に、図において13は塗装待ちエリアである。即ち、本実施例の塗装システム1では、前記搬送ライン2において、前記連続送り用モーター11と前記塗装ブース7の間に塗装待ちエリア13を配設し、塗装ブース7内においてワークの塗装が行われている間は、前記連続送り用モーター11の駆動に伴ってチェーンコンベア3により搬送されてきたワークを、次のタクト送り用モーター12の駆動まで、塗装待ちエリア13に待機させておくこととしている。
【0056】
即ち、本実施例の塗装システム1では、塗装ブース7内でワークの塗装を行っている間は塗装ブース7内ではチェーンコンベア3を停止しているが、その一方、連続送り用モーター11によって、常にチェーンコンベア3を駆動しているために、何らの手当てもしない場合には、チェーンコンベア3によって、未塗装のワークが装着されたワーク供給テーブル6が塗装ブース7内に順次搬送されてきてしまい、それによって、塗装ブース7内に収容可能数を超えたワーク供給テーブル6が搬送されてしまいワークの塗装に支障が生じてしまうとともに、塗装ブース7内において、チェーンコンベア3に弛みが発生してしまう。
【0057】
そこで、本実施例の塗装システム1では、前記搬送ライン2において、前記連続送り用モーター11と前記塗装ブース7の間に塗装待ちエリア13を配設しており、塗装ブース7内においてワークの塗装が行われている間は、塗装ブース7内にワークが搬送されないようにしている。
【0058】
ここで、前記塗装待ちエリア13について図2を参照して説明すると、本実施例において前記塗装待ちエリア13は、第1テンション手段を有しており、この第1テンション手段によって、塗装ブース7の手前においてチェーンコンベア3のチェーンを常に緊張させ、塗装ブース7内においてワークの塗装が行われている間は、塗装ブース7内にチェーンが移動しないようにしている。
【0059】
即ち、図2において14が第1テンション手段であり、本実施例において前記第1テンション手段14は、チェーンコンベア3のチェーンが係止しているスプロケットとしており、このスプロケット14を、一定方向への移動及び元の位置への復元を自在とし、移動方向を、チェーンコンベア3の延伸方向としている。
【0060】
そして、前記スプロケット14は、駆動手段としてのエアーシリンダー15によって、前記延伸方向へ常に所定の力によって引かれている。そのため、連続送り用モーター11の駆動によって塗装待ちエリア13まで移動してきたチェーンは、塗装ブース7の手前において、エアーシリンダー15の張力によって延伸方向へ引かれているスプロケット14とともに延伸方向へ伸びていき、それによって、チェーンコンベア3のチェーンの緊張が維持されて弛みの発生を防止可能としている。
【0061】
この作用を示した図が図3〜図5であり、図3では、塗装待ちエリア13内に3個のワーク供給テーブル6が待機しており、塗装待ちエリア13内に位置するチェーンが短いために、スプロケット14は、延伸方向へ移動することができずに、エアーシリンダー15による延伸方向への張力に対抗して下方に位置している。
【0062】
一方、この後、タクト送り用モーター12が停止している間に連続送り用モーター11の駆動によって塗装待ちエリア13までワーク供給テーブル6が搬送されてくると、図4〜図5に示すように、エアーシリンダー15によって延伸方向へ引かれているスプロケット14は、ワーク供給テーブル6の搬送に伴って塗装ブース7内に位置するチェーンが徐々に長くなるに従って、チェーンが長くなった分だけ、エアーシリンダー15の力によって延伸方向へ移動していく。
【0063】
そうすると、このスプロケット14に係止しているチェーンもまた延伸方向へ伸びていき、これによって、塗装待ちエリア13内において、チェーンコンベア3のチェーンの緊張が維持されて弛みの発生を防止することができ、未塗装のワークが装着されたワーク供給テーブル6が塗装ブース7内に順次搬送されてしまうことを防止することができる。
【0064】
従って、本実施例の塗装システム1では、塗装ブース7内でチェーンが停止している場合に、連続送り用モーター11の駆動によってチェーンが塗装待ちエリア13内に移動してきたときに、エアーシリンダー15の張力によってスプロケット14が延伸方向に引かれるため、このスプロケット14に係止されているチェーンも延伸方向に引かれ、これにより、コンベアチェーンの弛みを吸収しつつチェーンコンベアにより搬送されてくる未塗装のワークを塗装待ちエリア13に待機させることができる。
【0065】
また、前記第1テンション手段14としてのスプロケットは、延伸方向への移動及び元の位置への復元を自在としているために、タクト送り用モーター12の駆動によって、塗装待ちエリア13内のワーク供給テーブルが所定数だけ塗装ブース7内に搬送されていき、塗装待ちエリア13内のチェーンが短くなると、チェーンに引かれながら反延伸方向へ移動していき、これによりスムーズな搬送を可能にしている。
【0066】
なお、図からも明らかなように、本実施例においては、連続送り用モーター11を塗装待ちエリア13内に配設しているが、必ずしもその必要はなく、連続送り用モーター11を塗装待ちエリア13の外側に配設しても良い。
【0067】
次に、図において16は搬送待ちエリアである。即ち、本実施例の塗装システム1では、前記搬送ライン2において、前記チェーンコンベア3の移動方向に見た前記タクト送り用モーター12の後方側に搬送待ちエリア16を配設し、塗装ブース7内におけるワークの塗装が終了した後に、タクト送り用モーター12の駆動によってワーク供給テーブル8個分の距離だけチェーンコンベア3を駆動して塗装ブース7内の塗装済みのワークを塗装ブース7の外に移動した際に、前記チェーンコンベア3の移動方向に見た塗装ブース7の前方側においてチェーンが弛んでしまうことを防止して、塗装済みのワークを搬送のために待機させることとしている。
【0068】
即ち、本実施例の塗装システム1では、塗装ブース7内におけるワークの塗装が終了した後に、タクト送り用モーター12の駆動によってワーク供給テーブル8個分の距離だけチェーンコンベア3を連続して駆動し、未塗装のワークを装着した8個のワーク供給テーブル6を塗装ブース7内に搬送するとともに、塗装の終了したワークを装着した8個のワーク供給テーブル6を塗装ブース7内から塗装ブース7の外に移動することとしているが、そのとき、連続送り用モーター11は、タクト送り用モーター12の駆動速度よりも遅い速度で駆動するため、何らの手当てもしない場合には、タクト送り用モーター12の後方側においては、チェーンに弛みが発生してしまう。
【0069】
そこで、本実施例の塗装システム1では、前記チェーンコンベア3の移動方向に見た前記タクト送り用モーター12の前方側に搬送待ちエリア16を配設しており、タクト送り用モーター12の駆動によって塗装ブース7内から同時に塗装ブース7の外側に移動された8個のワーク供給テーブルを、搬送待ちエリア16に待機させることとしている。そして、この搬送待ちエリア16に待機させたワーク供給テーブルは、連続送り用モーター11の駆動によって順次、搬送待ちエリア16から出てアンロードエリア5まで搬送されていく。
【0070】
ここで、前記搬送待ちエリア16について説明すると、本実施例において前記搬送待ちエリア16の構成は、前述した塗装待ちエリア13の構成とほぼ同じであるため、図2乃至図5を参照して説明すると、前記搬送待ちエリア16は、第2テンション手段を有しており、この第2テンション手段によって、常にチェーンコンベア3のチェーンを緊張させて弛みの発生を防止している。
【0071】
即ち、図において17が第2テンション手段であり、本実施例において前記第2テンション手段17は、前記第1テンション手段14と同様に、チェーンコンベア3のチェーンが係止しているスプロケットとしており、一定方向へ往復移動自在とし、この移動方向を、チェーンコンベア3の延伸方向としている。
【0072】
即ち、前述した第1テンション手段14と同様に、前記スプロケット17は、駆動手段としてのエアーシリンダー18によって、前記延伸方向へ常に所定の力によって引かれている。そのため、タクト送り用モーター12の駆動によって塗装ブース7の外側に移動してきたワーク供給テーブル8個分を固定する距離のチェーンは、タクト送り用モーター12の前方において、エアーシリンダー18の張力によって延伸方向へ引かれているスプロケット17とともに延伸方向へ伸びていき、それによって、チェーンコンベア3のチェーンの緊張を維持して弛みの発生を防止可能としている。この作用は前述の塗装待ちエリア13の場合と同様である。
【0073】
従って、本実施例の塗装システム1では、塗装ブース7内におけるワークの塗装が終了し、タクト送り用モーター12の駆動によって、ワーク供給テーブル8個が固定された距離のチェーンが塗装ブース7内から塗装ブース7の外側に移動してきたときに、エアーシリンダー18の張力によってスプロケット17が延伸方向に引かれるため、このスプロケット17に係止されているチェーンも延伸方向に引かれるために、コンベアの弛みを吸収しつつコンベアにより搬送されてくる塗装済みのワークを、搬送待ちエリア16に待機させることができる。この、タクト送り用モーター12の駆動によって移動してきたワーク供給テーブル8個が搬送待ちエリア16に待機している状態が図2の状態である。
【0074】
また、前記第2テンション手段17としてのスプロケットは、延伸方向への移動及び元の位置への復元を自在としているために、連続送り用モーター11の駆動によって、搬送待ちエリア16内のワーク供給テーブルが搬送待ちエリア16の外へ搬送されていき搬送待ちエリア16内のチェーンが短くなるに従って、短くなっていくチェーンに引かれながら反延伸方向へ移動していき、これによりスムーズな搬送を可能にしている。連続送り用モーター11の駆動によって搬送待ちエリア16内のワーク供給テーブル6が順次搬送待ちエリア16の外へ搬送されていった状態が図5、図4、図3の状態である。
【0075】
なお、図からも明らかなように、本実施例においては、タクト送り用モーター21を搬送待ちエリア13内に配設しているが、必ずしもその必要はなく、タクト送り用モーター12を、コンベアの移動方向に見た場合の前記塗装待ちエリア13の手前側に配設しても良い。
【0076】
次に、このように構成される本実施例の塗装システム1を用いた本発明の塗装方法の実施例について説明すると、前述の塗装システムを用いてワークの塗装を行う場合には、連続送り用モーター11を駆動してコンベアチェーンを移動していくとともに、ロードエリア4において、コンベアチェーンの移動とともに搬送されてくる、ワークを装着していない空のワーク供給テーブルに、未塗装のワークを固定していく。
【0077】
また、未塗装のワークが固定された最初のワーク供給テーブル6が塗装待ちエリア13に搬送されてくるまでは、タクト送り用モーター12もまた連続送り用モーター11と同スピードで連続駆動し、すべてのコンベアチェーンが均等に移動するようにしておく。
【0078】
そして、未塗装のワークが固定された最初のワーク供給テーブル6が塗装待ちエリア13まで搬送されてきた時点で、タクト送り用モーター12の駆動を停止して、塗装待ちエリア13まで搬送されてきてワーク供給テーブル6を順次、塗装待ちエリア13に待機させておく。そのため、コンベアの駆動する際には、搬送待ちエリア16内においては、8個以上のワーク供給テーブルが待機する状態にしておき、タクト送り用モーター12の駆動を停止したときに、チェーンの連続移動に支障が生じないようにしておくとよい。
【0079】
そして、塗装待ちエリア13に8個以上のワーク供給テーブル6が待機された後に(図2の状態)、タクト送り用モーター12を駆動して、塗装待ちエリア13内に待機しているワーク供給テーブルの中の8個を、同時に、塗装ブース7内に搬送し、8個のワーク供給テーブル6の塗装ブース7内への搬送が終了した時点で再び、タクト送り用モーター12の駆動を停止する。
【0080】
なお、タクト送り用モーター12を駆動するときに塗装待ちエリア13に待機しているワーク供給テーブル6の数は限定されず、タクト送り用モーター12を駆動して8個のワーク供給テーブルを同時に塗装ブース内へ搬送可能な数であればよい。従って、タクト送り用モーター12を駆動する際には、塗装待ちエリア13に8個以上のワーク供給テーブル6が待機されてあればよい。
【0081】
次に、未塗装のワークを装着した8個のワーク供給テーブルを塗装ブース7内に搬送した後に、塗装ブース7内に搬送したワーク供給テーブル6に装着したワークへ向けて、スプレーガン1002から塗料を噴射してワークの塗装を行い、このワークの塗装を行っている間は、前記タクト送り用モーター12を停止し、前記塗装ブース7内においてはコンベアチェーンを移動しない。
【0082】
一方、塗装待ちエリア13においては、前述したような機構で、前記第1テンション手段14によってコンベアチェーンの弛みを吸収しつつ、チェーンコンベアにより搬送されてくるワーク供給テーブル6を塗装待ちエリア13に待機させて、これにより、未塗装のワークを前記塗装待ちエリア13に待機させる。
【0083】
そして、塗装ブース7内におけるワークの塗装が終了した後に、タクト送り用モーター12を駆動して、塗装ブース7内の塗装済みのワークを装着した8個のワーク供給テーブル6を塗装ブース7外へ移動可能な距離だけコンベアチェーンを移動して、前記第2テンション手段17によってコンベアチェーンの弛みを吸収しつつ、塗装済みのワークを装着したワーク供給テーブル6を塗装ブース7から搬送待ちエリア16に移動する。
【0084】
また、それとともに、タクト送り用モーター12の前記駆動によって、前記塗装待ちエリア13で待機させていた8個のワーク供給テーブル6を塗装ブース7内に搬送して、塗装ブース7内において、コンベアを搬送することなく、搬送したワーク供給テーブルに装着した未塗装のワークへ向けてスプレーガン1002から塗料を噴射してワークの塗装を行う。
【0085】
一方、前記搬送待ちエリア16に移動したワーク供給テーブルは、連続送り用モーター11の駆動に伴うチェーンの移動に従って、順次、搬出エリア5まで搬送する。
【0086】
そして以後は、塗装ブース7内におけるワークの塗装が終了するごとのタクト送り用モーター12の駆動を繰り返して、コンベアチェーンの緊張を維持して弛みの発生を防止しつつ、塗装ブース7内において、チェーンを移動することなく8個のワーク供給テーブルに装着したワークの塗装を行い、それとともに、連続送り用モーター12の駆動によって、未塗装のワークを装着したワーク供給テーブルの塗装待ちエリア13への搬送、搬送待ちエリア16に待機させている塗装済みのワークを装着したワーク供給テーブルのアンロードエリア5までの搬送を繰り返す。
【0087】
このように、本実施例の塗装システムでは、塗装ブース内においてワークの塗装を行っている間は、塗装ブース内においてはコンベアを移動させずにワーク供給テーブルを停止しているため、塗料噴射手段を移動する必要がない。
【0088】
そのため、スプレーガン追従方式と異なり、塗装ブースは塗料噴射手段1個分のスペースのみを有していればよく、スプレーガンの数を増やした場合でも、塗装ブースが大型化することがない。
【0089】
従って、本実施例によれば、塗料の無駄を少なくすることが可能であるとともに、スプレーガンの数を増加した場合でも塗装ブースの大型化を抑えて、空調エネルギーの増加を抑えることが可能である。
【0090】
なお、前述の説明では、スプレーガンの数を8個に設定し、塗装ブース内において8個のワーク供給テーブルに装着したワークを同時に塗装したが、本発明においては、スプレーガンの数は特に限定されず、9個以上でもよく、あるいは、8個未満にしても良い。
【0091】
また、前述の説明では、第1、第2テンション手段としてスプロケットを用いて、このスプロケットをエアーシリンダーで一定方向へ引くことでコンベアチェーンの緊張を維持して弛みを防止したが、本発明では必ずしもこの方法には限定されず、コンベアチェーンの緊張を維持して弛みを防止可能な方法であればいずれを採用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0092】
本発明の塗装システム及びそれを用いた塗装方法では、ワークを装着したワーク供給テーブルを多数個、塗装ブース内に配置して、ワークの大量塗装を行う際に、塗装ブースの大型化を防止して空調エネルギーを少なくすることを目的としているために、大量のワークを塗装ブース内で同時に塗装する塗装システム及び塗装方法の全般に適用可能である。
【符号の説明】
【0093】
1 塗装システム
2 搬送ライン
3 チェーンコンベア
4 ロードエリア
5 アンロードエリア
6 ワーク供給テーブル
601 主軸
602 テーブル本体
603 内側本体
604 外側本体
605 連結部
606 取付治具
7 塗装ブース
8 支持用レール
9 ロボットアーム
10 塗料噴射手段
1001 支持アーム
1002 スプレーガン
11 連続送り用モーター
12 タクト送り用モーター
13 塗装待ちエリア
14 第1テンション手段(スプロケット)
15 エアーシリンダー
16 搬送待ちエリア
17 第2テンション手段(スプロケット)
18 エアーシリンダー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを搬送するための搬送ライン(2)と、
該搬送ライン(2)の途上に配設された、複数個のワークを収容可能な塗装ブース(7)と、
該塗装ブース(7)内に配設された、前記塗装ブース(7)内に位置する複数のワークに向けて塗料を噴射するための塗料噴射手段(10)と、を具備した塗装システムにおいて、
前記コンベア(3)の連続駆動を可能にする連続送り用モータ(11)を、コンベアの移動方向に見た前記塗装ブース(7)の手前側に配置し、
前記コンベア(3)の断続駆動を可能にするタクト送り用モータ(12)を、コンベアの移動方向に見た前記塗装ブース(7)の前方側に配置し、
前記搬送ライン(2)における前記連続送り用モーター(11)と塗装ブース(12)の間に、
コンベア(3)の弛みを吸収するための第1テンション手段(14)を備えて、該テンション手段(14)によってコンベア(3)の弛みを防止しつつ、未塗装のワークを塗装のために待機させる塗装待ちエリア(13)を配置し、
前記搬送ライン(2)におけるコンベアの移動方向に見た前記タクト送り用モーター(12)の前方側に、
コンベア(3)の弛みを吸収するための第2テンション手段(17)を備えて、該第2テンション手段(17)によってコンベア(3)の弛みを防止しつつ、塗装済みのワークを搬送のために待機させる搬送待ちエリア(16)を配置し、
塗装ブース(7)内においてワークの塗装を行っている間は、前記タクト送り用モーター(12)を停止することで前記塗装ブース(7)内においてはコンベア(3)を移動させず、前記第1テンション手段(14)によってコンベアの弛みを吸収しつつコンベア(3)により搬送されてくる未塗装のワークを前記塗装待ちエリア(13)に待機させ、
塗装ブース(7)内におけるワークの塗装が終了した後は、タクト送り用モータ(12)を駆動し、塗装ブース(7)内の塗装済みのワークを塗装ブース(7)外へ移動可能な距離だけコンベア(3)を移動して、前記第2テンション手段(17)によってコンベア(3)の弛みを吸収しつつ、塗装済みのワークを塗装ブース(7)から搬送待ちエリア(16)に移動して、搬送待ちエリア(16)内のワークを順次搬出箇所まで搬送するとともに、前記塗装待ちエリア(13)で待機させていたワークを塗装ブース(7)内に搬送して前記塗装ブース(7)内においてコンベア(3)を搬送することなくワークの塗装を行い、以後はこれを繰り返すことを可能にしたことを特徴とする塗装システム。
【請求項2】
前記コンベア(3)がチェーンコンベアであることを特徴とする請求項1に記載の塗装システム。
【請求項3】
前記第1テンション手段及び第2テンション手段が、チェーンを搬送するためのスプロケット(14、17)であるとともに、該スプロケット(14、17)をエアーシリンダー(15、18)によって所定の力で一方向へ引っ張ることを特徴とする請求項2に記載の塗装システム。
【請求項4】
ワークを搬送するための搬送ライン(2)と、
該搬送ライン(2)の途上に配設された、複数個のワークを収容可能な塗装ブース(7)と、
該塗装ブース(7)内に配設された、前記塗装ブース(7)内に位置する複数のワークに向けて塗料を噴射するための塗料噴射手段(10)と、
コンベアの移動方向に見た前記塗装ブース(7)の手前側に配置した、前記コンベア(3)の連続駆動を可能にする連続送り用モータ(11)と、
コンベアの移動方向に見た前記塗装ブース(7)の前方側に配置した、前記コンベア(3)の断続駆動を可能にするタクト送り用モータ(12)と、
前記搬送ライン(2)における前記連続送り用モーター(11)と塗装ブース(7)の間に配置した、コンベア(3)の弛みを吸収するための第1テンション手段(14)を備え、該テンション手段(14)によってコンベア(3)の弛みを防止しつつ、未塗装のワークを塗装のために待機させる塗装待ちエリア(13)と、
前記搬送ライン(2)におけるコンベア(3)の移動方向に見た前記タクト送り用モーター(12)の前方側に配置した、コンベア(3)の弛みを吸収するための第2テンション手段(17)を備え、該第2テンション手段(17)によってコンベア(3)の弛みを防止しつつ、塗装済みワークを搬送のために待機させる搬送待ちエリア(16)と、を具備した塗装システムを用いた塗装方法であって、
塗装ブース(7)内においてワークの塗装を行っている間は、前記タクト送り用モーター(12)を停止することで前記塗装ブース(7)内においてはコンベア(3)を移動させず、前記第1テンション手段(14)によってコンベア(3)の弛みを吸収しつつコンベア(3)により搬送されてくる未塗装のワークを前記塗装待ちエリア(13)に待機させ、
塗装ブース(7)内におけるワークの塗装が終了した後は、タクト送り用モータ(12)を駆動し、塗装ブース(7)内の塗装済みのワークを塗装ブース(7)外へ移動可能な距離だけコンベア(3)を移動して、前記第2テンション手段(17)によってコンベア(3)の弛みを吸収しつつ、塗装済みのワークを塗装ブース(7)から搬送待ちエリア(17)に移動して、搬送待ちエリア(17)内のワークを順次搬出箇所まで搬送するとともに、前記塗装待ちエリア(13)で待機させていたワークを塗装ブース(7)内に搬送して前記塗装ブース(7)内においてコンベア(3)を搬送することなくワークの塗装を行い、以後はこれを繰り返すことを特徴とした塗装方法。
【請求項5】
前記コンベア(3)としてチェーンコンベアを用いたことを特徴とする請求項4に記載の塗装方法。
【請求項6】
前記第1テンション手段及び第2テンション手段として、チェーンを搬送するためのスプロケット(14、17)を用いるとともに、該スプロケット(14、17)をエアーシリンダー(15、18)によって所定の力で一方向へ引っ張ることを特徴とする請求項5に記載の塗装方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−40450(P2012−40450A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−180735(P2010−180735)
【出願日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【出願人】(593081224)タクボエンジニアリング株式会社 (23)
【Fターム(参考)】