説明

塗装システム

【課題】塗装ブースからの排気を有効に活用可能な塗装システムを提供する。
【解決手段】塗装システム1Aは、塗装ブース3と、塗装ブース3に並設された第1湿式集塵装置4と、中継ダクト63により第1湿式集塵装置4と接続された第2湿式集塵装置5とを備えている。第1湿式集塵装置4は、水を循環させながら塗装ブース3からの排気を洗浄する。第2湿式集塵装置5は、第1湿式集塵装置4よりも集塵効率の高いものであり、水を循環させながら第1湿式集塵装置4を通過した排気をさらに洗浄する。さらに、塗装システム1Aは、第2湿式集塵装置5内の水を第1湿式集塵装置4に補給する補給路7を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗装ブースからの排気の処理に適した塗装システムに関する。
【背景技術】
【0002】
塗装ブース内ではワークに対する吹付塗装などが行われる。ワークに付着しなかった塗料は微粒子となって空気中に浮遊する。このような微粒子は塗装ミストと呼ばれる。塗装ブース内で発生した塗装ミストを大気中に放出しないために、塗装ブースからの排気を適切に処理する必要がある。例えば、特許文献1には、塗装ブースに湿式集塵装置であるベンチュリスクラバを並設し、このベンチュリスクラバで塗装ブースからの排気を洗浄する塗装システムが開示されている。
【0003】
ところで、上記のように塗装ブースに湿式集塵装置が並設された塗装システムでは、塗装ブースからの排気は湿式集塵装置で洗浄された後にそのまま屋外に排出される。塗装ブースに供給される空気は、一般に外気を所定の温度および湿度に調整したものであるため、そのような空気が湿式集塵装置を経て屋外に排出されると、その空気に与えられたエネルギーも排出されることになる。そこで、塗装ブースからの排気を有効に活用することが望まれる。
【0004】
ここで、例えば特許文献2には、塗装乾燥施設の外気ダクトおよび排気ダクトにヒートパイプからなる熱交換器を設けることが開示されている。具体的には、排気ダクトに熱交換器の蒸発部群を設け、外気ダクトに熱交換器の凝縮部群を設ける。この構成により、特許文献2に開示された装置では、排気ダクトを流れる排気から外気ダクトを流れる外気へ熱が移動し、排気から熱が回収される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−188532号公報
【特許文献2】特開平7−284714号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、塗装ミストには、種々の大きさのものがあり、微細な塗装ミストには金属粉塵で構成されるものもある。しかしながら、特許文献1の塗装システムでは、湿式集塵装置で大きな塗装ミストは除去できるとしても、金属を含む塗料粉塵などの微細な塗装ミストを除去することはできない。このため、例えば、特許文献1の塗装システムに対して、特許文献2のように排気ダクトに熱交換器の蒸発部群を設けると、蒸発部群に塗料粉塵が積層して付着するため、排気からの熱の回収が困難になる。すなわち、特許文献1の塗装システムでは、塗装ブースからの排気を有効に活用することができない。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑み、塗装ブースからの排気を有効に活用可能な塗装システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するためには、湿式集塵装置を通過した排気を、より高性能な湿式集塵装置を用いてさらに洗浄すればよい。しかしながら、単に高性能の湿式集塵装置を追加した場合には、水の使用量が極端に増える。これに対し、本発明の発明者は、高性能の湿式集塵装置にはある程度洗浄された排気が流入することに着目し、高性能の集塵装置で使用した水を再利用できるのではないかと考えた。本発明は、このような観点からなされたものである。
【0009】
すなわち、本発明は、塗装ブースと、前記塗装ブースに並設され、水を循環させながら前記塗装ブースからの排気を洗浄する第1湿式集塵装置と、前記第1湿式集塵装置よりも集塵効率の高い第2湿式集塵装置であって、中継ダクトにより前記第1湿式集塵装置と接続され、水を循環させながら前記第1湿式集塵装置を通過した排気をさらに洗浄する第2湿式集塵装置と、前記第2湿式集塵装置内の水を前記第1湿式集塵装置に補給する補給路と、を備える、塗装システムを提供する。
【発明の効果】
【0010】
上記の構成によれば、第1湿式集塵装置によって大きな塗装ミストを除去することができ、より高性能な第2湿式集塵装置によって小さな塗装ミストを除去することができる。このため、第2湿式集塵装置を通過した排気を有効に活用することが可能になる。しかも、補給路によって第2湿式集塵装置内の水が第1湿式集塵装置に補給されるため、第2湿式集塵装置で使用された水を第1湿式集塵装置で再利用することができる。従って、水の使用量を抑えながら、上記の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1実施形態に係る塗装システムの概略構成図
【図2】図1の塗装システムに用いられる第2湿式集塵装置の概略構成図
【図3】図2のIII−III線断面図
【図4】本発明の第2実施形態に係る塗装システムの概略構成図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0013】
(第1実施形態)
図1に、本発明の第1実施形態に係る塗装システム1Aを示す。この塗装システム1Aは、無人の塗装ブース(すなわち、塗装ブース内で塗装ロボットにより塗装作業を行う場合)に適した構成である。
【0014】
具体的に、塗装システム1Aは、塗装ブース3と、塗装ブース3に並設された第1湿式集塵装置4と、中継ダクト63により第1湿式集塵装置4と接続された第2湿式集塵装置5と、塗装ブース3に供給する空気を調整する空気調和機(エアーハンドリングユニット)2とを備えている。さらに、塗装システム1Aは、空気調和機2に外気を導く外気ダクト61と、空気調和機2で調整された空気を塗装ブース3に導く給気ダクト62と、第2湿式集塵装置5を通過した排気を空気調和機2に戻す還流ダクト65とを備えている。
【0015】
空気調和機2は、外気を所定の温度および湿度(例えば、夏では温度28℃湿度65%、冬では温度20℃湿度65%)に調整するための機器として、筐体内に、冷温水コイル22、加熱コイル23(例えば、温水コイルや蒸気コイル等)および加温スプレー24(例えば、電気ヒータや蒸気スプレーまたは超音波式加湿器等)を有している。また、筐体内には、蒸気スプレー24の下流側に送風機(ブロア)25が配設されているとともに、入口側および出口側にフィルター21,26が配設されている。
【0016】
空気調和機2で調整された空気は、給気ダクト62を通じて塗装ブース3に供給される。塗装ブース3は、給気室31と、給気室31の下方に位置する塗装室32と、塗装室32の下方に位置する排気室33とを有している。
【0017】
給気室31は、給気ダクト62を介して空気調和機2内のファン25と接続されており、ファン25によって給気ダクト62からの空気が給気室31内に送り込まれる。給気室31と塗装室32は空気の動圧を静圧に変えるためにフィルターで仕切られており、塗装室32と排気室33は網目構造の床板で仕切られている。このため、ファン25により給気室31内に送り込まれた空気は、塗装室32を全面的に上から下に吹き抜ける。
【0018】
なお、図示は省略するが、塗装室32内には、吹付塗装を行う塗装ロボットが配置されており、塗装室32と排気室33を仕切る床板には、ワークを図1の紙面と直交する方向に搬送するコンベアが設置されている。そして、コンベアによってワークが所定位置に搬送されると、そこで塗装ロボットにより吹付塗装が行われる。
【0019】
塗装ブース3の側方に並設された第1湿式集塵装置4は、下部に水溜まり40を有し、その水を循環させながら塗装ブース3からの排気を洗浄するものである。本実施形態では、第1湿式集塵装置4として、塗装ブース3からの排気を水に接触させながら通過させるスロート部41を有するベンチュリスクラバが採用されている。
【0020】
より詳しくは、第1湿式集塵装置4は、スロート部41を通じて塗装ブース3の排気室33と連通する洗浄室4aと、洗浄室4aの上方に配置された送風機45とを有している。洗浄室4aは、側壁42により塗装室32と隔てられている。換言すれば、第1湿式集塵装置4は、側壁42を塗装ブース3と共有している。また、洗浄室4a内には、側壁42の下端との間にスロート部41を形成する渦巻板が下部に設置されているとともに、その上側に、排気から水滴を分離するためのエリミネータが複数段設置されている。
【0021】
さらに、第1湿式集塵装置4は、側壁42の上端から塗装ブース3側に水をオーバーフローさせるための樋43と、水溜まり40の水を樋43に汲み上げるポンプ(図示せず)とを有している。そして、ポンプが稼働すると、樋43からのオーバーフローにより側壁42の塗装ブース3側の壁面にウォーターカーテンが形成される。ウォーターカーテンを形成した水は、側壁42の下端から落下する際に、塗装ブース3からの排気と共に洗浄室4aに吸引される。
【0022】
第1湿式集塵装置4で洗浄された排気は、中継ダクト63を通じて第2湿式集塵装置5に送られる。第2湿式集塵装置5は、第1湿式集塵装置4よりも集塵効率の高いものであり、水を循環させながら第1湿式集塵装置4を通過した排気をさらに洗浄する。本実施形態では、第2湿式集塵装置5として、空気中で微細水滴を発生させる微細水滴発生装置が採用されており、第2湿式集塵装置5内ではレナード効果により空気がイオン化されて負イオンが生成される。ここで、「微細水滴」とは、直径1μm以下の水滴のことをいう。なお、微細水滴発生装置は、直径0.5μm以下の活性化微細水滴を多量に発生させることが好ましい。
【0023】
具体的に、第2湿式集塵装置5は、第1湿式集塵装置4を通過した排気を螺旋状に旋回させる容器51を有している。容器51内の下部には、水溜まり50が形成されており、容器51の上方には、中継ダクト63と接続されたチャンバ55が設けられている。なお、容器51には、図略の給水管が接続されており、容器51内へは図略の水源から水が供給される。
【0024】
また、第2湿式集塵装置5は、後述するように容器51内で噴射された微細水滴を含む排気から水分を分離するサイクロン式の気液分離部5Aを有している。この気液分離部5Aの上部には、図3に示すように気液分離部5Aの周壁の接線方向に沿って供給管5Bの一端が接続されており、供給管5Bの他端は、容器51の水溜まり50の僅かに上の部分に接続されている。このため、容器51内で螺旋状に旋回した後の排気が供給管5Bを通じて気液分離部5Aに旋回流を形成するように供給される。また、気液分離部5Aの下部は、戻し管5Cを介して容器51の水溜まり50と連通している。このため、気液分離部5Aで排気から分離された水分は、戻し管5Cにより水溜まり50に戻される。さらに、気液分離部5Aには、水分が分離された排気を導出する導出管5aが中央に設けられており、この導出管5aに還流ダクト65が接続されている。
【0025】
容器51は、図2および図3に示すように、鉛直方向に延びる円形筒状の周壁52と、周壁52で囲まれる空間を上下から塞ぐ天井壁53および底壁54とを有している。天井壁53には、チャンバ55内に流入した排気を容器51内に流入させる流入口53aが同一円周上に等角度間隔で設けられている。さらに、各流入口53aの下方には、流入口53aからの排気の流入方向を規定して旋回流を形成するための、容器51の中心から見て同一方向に傾斜するガイド板53bが設けられている。本実施形態では、2つの流入口53aが180°間隔で設けられており、容器51内では二層の旋回流が形成されるようになっている。なお、容器51内には、旋回流をサポートするためのサポート板52aが適所に設けられている。
【0026】
容器51内の中央には、噴射管56が天井壁53から垂れ下がるように設置されており、噴射管56には、容器51の内周面(正確には周壁52の内周面)に水を衝突させることにより微細水滴を発生させる噴射ノズル57が、同一平面上に等角度間隔でかつ上下に所定のピッチで並ぶように設けられている。
【0027】
さらに、第2湿式集塵装置5は、水溜まり50の水を噴射管56に供給する供給路58を有しており、供給路58には、噴射ノズル57から噴射される水の圧力(例えば、147kPa〜343kPa)を規定するためのポンプ59が設けられている。
【0028】
図1に戻って、容器51の下部は、補給路7によって第1湿式集塵装置4と接続されている。補給路7には、ポンプ71が設けられており、このポンプ71が稼働すると、第2湿式集塵装置5内の水が補給路7を通じて第1湿式集塵装置4に補給される。水溜まり50の中では、第2湿式集塵装置5による洗浄により排気中から除去された金属を含む塗料粉塵などが沈殿する。それ故に、補給路7の上流端は、水溜まり50の水位の半分よりも上側の水を抜き出しできるように容器51の周壁52に接続されている。これにより、比較的に澄んだ水が第1湿式集塵装置4に補給される。
【0029】
なお、水溜まり50に貯まった沈殿物を含む全ての水を水溜まり40に供給してもよく、補給路7の一部に沈殿物を除去する装置を設けてもよい。
【0030】
さらに、本実施形態の塗装システム1Aでは、中継ダクト63から、当該中継ダクト63を流れる排気の一部を屋外へ排出するための分岐ダクト64が分岐している。そして、中継ダクト63における分岐ダクト64が分岐する位置よりも下流側および分岐ダクト64には、分岐ダクト64を通じて排出される排気量を調節するための分岐ダンパー81a,81bが設けられている。
【0031】
本実施形態の分岐ダンバー81a,81bは、電動式であり、制御装置8と接続されている。また、制御装置8は、塗装ブース3の塗装室32内の微粒子(溶剤)の濃度を検出する濃度センサ83と接続されている。そして、制御装置8は、濃度センサ83で検出される濃度に基づいて分岐ダンパー81a,81bを制御する。具体的には、塗装室32内の微粒子(溶剤)の濃度が爆発限界の4分の1以下に抑えられるように、分岐ダンパー81a,81bが制御される。
【0032】
なお、分岐ダンパー81a,81bとしては、固定式の可変風量のダンパー(いわゆるVD)を経済的な面から用いても構わない。
【0033】
また、第2湿式集塵装置5による洗浄で、気液分離させる手段として、図示しないが、エリミネータ(例えば、住友ベークライト株式会社製のミスト捕集材)を用いてもよい。
【0034】
以上説明した本実施形態の塗装システム1Aによれば、第1湿式集塵装置4によって大きな塗装ミスト(例えば直径が数十ミクロン以上の微粒子)を除去することができ、より高性能な第2湿式集塵装置5によって小さな塗装ミストを除去することができる。このため、第2湿式集塵装置5を通過した排気を有効に活用することが可能になる。本実施形態では、還流ダクト65により第2湿式集塵装置5を通過した排気を空気調和機2に戻すことにより、空気調和機2で外気の調整に要するエネルギーを少なくすることができる。
【0035】
ここで、第2湿式集塵装置5としては、第1湿式集塵装置4よりも集塵効率の高いものであれば種々のものを採用可能である。例えば、第1湿式集塵装置4よりも気液接触時間の長い大型のベンチュリスクラバを用いてもよい。ただし、本実施形態のように容器51内で微細水滴、特に直径0.5μm以下の活性化微細水滴を多量に含む微細水滴を発生させる微細水滴発生装置を用いれば、ベンチュリスクラバと比較して集塵効率が約3倍高くなる。
【0036】
さらに、微細水滴発生装置では、容器51内で空気がイオン化されて負イオンが生成される。負イオンは、塗装ミスト中の臭い成分を分解する。従って、本実施形態のように第2湿式集塵装置5として微細水滴発生装置を採用すれば、排気を脱臭する効果も得ることができる。
【0037】
しかも、直径0.5μm以下の活性化微細水滴は、塗装ミストの容器51への付着を防止する効果があるとともに、容器51に付着した塗装ミストを剥離させる効果もある。従って、容器51をクリーンな状態に保つことができる。
【0038】
また、本実施形態では、分岐ダクト64を通じて排気の一部が屋外へ排出されるようになっているが、第2湿式集塵装置5で処理すべき排気の量の能力(溶剤の濃度に応じた第2湿式集塵装置5での処理能力)により、屋外への排出量を少なくすることが可能である。
【0039】
<変形例>
図1に示すように還流ダクト65によって排気が循環するように構成された前記実施形態では、溶剤成分は湿式集塵装置4,5で除去されないために塗装ブース3に戻されてしまう。しかし、還流ダクト65の途中に、溶剤成分を燃焼させる燃焼装置(例えば、ゼオライトを用いた溶剤濃縮装置または溶剤を酸化分解する装置)を設ければ、塗装ブース3の塗装室32内で作業員が塗装作業することが可能になる。
【0040】
また、分岐ダンパー81a,81bは手動式であってもよい。この場合、例えば、中継ダクト63を流れる排気の半分程度が第2湿式集塵装置5で処理されるように、分岐ダンパー81a,81bを調節してもよい。
【0041】
さらに、第2湿式集塵装置5のチャンバ55は省略可能であり、中継ダクト63の下流端を周壁52の接線方向に沿って当該周壁52の上部または下部に接続し、中継ダクト63からの流速を利用して旋回流を形成するようにしてもよい。
【0042】
(第2実施形態)
図4に、本発明の第2実施形態に係る塗装システム1Bを示す。この塗装システム1Aは、有人の塗装ブース(すなわち、塗装ブース内で作業員により塗装作業を行う場合)に適した構成である。なお、第1実施形態と同一構成部分には同一符号を付して、その説明を省略する。
【0043】
本実施形態では、還流ダクト65(図1参照)が設けられておらず、代わりに、第2湿式集塵装置5を通過した排気を屋外へ排出するための排気ダクト66が設けられている。また、排気ダクト66と外気ダクト61とに跨って、外気ダクト61を流れる外気と排気ダクト66を流れる排気とを熱交換させる熱交換器9が設けられている。なお、本実施形態では、分岐ダンパー81a,81bが手動式である。
【0044】
熱交換器9は、外気を流す一次流路と排気を流す二次流路とを内部に有するものである。
【0045】
本実施形態では、熱交換器9により排気と外気とで熱交換させることにより、排気からエネルギーを回収することができる。例えば、夏の気温が高いときには排気によって外気を冷却することができ、冬の気温が低いときには排気によって外気を温めることができる。その他の効果は、第1実施形態と同様である。
【0046】
なお、本実施形態のように排気ダクト66を通じて排気を全て排出する場合は、分岐ダクト64は省略可能である。
【0047】
(その他の実施形態)
図1および図4では、第1湿式集塵装置4が塗装ブース3の側方に並設されているが、第1湿式集塵装置4の並設位置は特に限定されない。例えば、第1湿式集塵装置4が塗装ブース3の下方に並設されていてもよい。
【0048】
また、第1湿式集塵装置4は、ウォーターカーテンを形成するベンチュリスクラバに限らず、水を循環させるもの(すなわち水溜まりの水が塗装ブースからの排気の洗浄に使用された後にまた水溜まりに戻るもの)であれば種々のものが採用可能である。例えば、ポンプを用いずにエリミネータのみで水を循環させるベンチュリスクラバ、または、塗装ブース3からの排気を流す流路の途中に複数本のパイプによりスロート部を形成し、水溜まりの水をそのスロート部に噴霧するベンチュリスクラバなどを用いてもよい。
【0049】
さらに、第2湿式集塵装置5として、容器51内で微細水滴を発生させる微細水滴発生装置に代えてベンチュリスクラバを用いる場合にも、上述した種々のベンチュリスクラバが採用可能である。
【符号の説明】
【0050】
1A,1B 塗装システム
2 空気調和機
3 塗装ブース
4 第1湿式集塵装置(ベンチュリスクラバ)
41 スロート部
5 第2湿式集塵装置(微細水滴発生装置)
50 水溜まり
51 容器
52 周壁
53 天井壁
53a 流入口
55 チャンバ
57 噴射ノズル
61 外気ダクト
62 給気ダクト
63 中継ダクト
64 分岐ダクト
65 還流ダクト
66 排気ダクト
7 補給路
81a,81b 分岐ダンパー
9 熱交換器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗装ブースと、
前記塗装ブースに並設され、水を循環させながら前記塗装ブースからの排気を洗浄する第1湿式集塵装置と、
前記第1湿式集塵装置よりも集塵効率の高い第2湿式集塵装置であって、中継ダクトにより前記第1湿式集塵装置と接続され、水を循環させながら前記第1湿式集塵装置を通過した排気をさらに洗浄する第2湿式集塵装置と、
前記第2湿式集塵装置内の水を前記第1湿式集塵装置に補給する補給路と、
を備える、塗装システム。
【請求項2】
前記第1湿式集塵装置は、前記塗装ブースからの排気を水に接触させながら通過させるスロート部を有するベンチュリスクラバである、請求項1に記載の塗装システム。
【請求項3】
前記ベンチュリスクラバは、前記塗装ブースと側壁を共有し、前記側壁の前記塗装ブース側の壁面にウォーターカーテンを形成するものである、請求項2に記載の塗装システム。
【請求項4】
前記第2湿式集塵装置は、前記第1湿式集塵装置を通過した排気を螺旋状に旋回させる容器と、前記容器内に配設され、前記容器の内周面に水を衝突させることにより微細水滴を発生させる噴射ノズルと、を有する微細水滴発生装置である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の塗装システム。
【請求項5】
前記容器内の下部には、水溜まりが形成されており、
前記補給路の上流端は、前記水溜まりの水位の半分よりも上側の水を抜き出しできるように前記容器の周壁に接続されている、請求項4に記載の塗装システム。
【請求項6】
前記微細水滴発生装置は、前記容器の上方に設けられ、前記中継ダクトと接続されたチャンバをさらに有しており、
前記容器の天井壁には、前記チャンバ内に流入した排気を前記容器内に流入させる流入口が同一円周上に等角度間隔で設けられている、請求項4または5に記載の塗装システム。
【請求項7】
前記中継ダクトから分岐し、前記中継ダクトを流れる排気の一部を排出するための分岐ダクトをさらに備え、
前記中継ダクトにおける前記分岐ダクトが分岐する位置よりも下流側および前記分岐ダクトには、前記分岐ダクトを通じて排出される排気量を調節するための分岐ダンパーが設けられている、請求項1〜6のいずれか一項に記載の塗装システム。
【請求項8】
前記塗装ブースに供給する空気を調整する空気調和機と、
前記第2湿式集塵装置を通過した排気を前記空気調和機に戻す還流ダクトと、
をさらに備える、請求項7に記載の塗装システム。
【請求項9】
前記塗装ブース内の微粒子の濃度を検出する濃度センサをさらに備え、
前記分岐ダンパーは、電動式であり、前記濃度センサで検出される濃度に基づいて制御される、請求項8に記載の塗装システム。
【請求項10】
前記塗装ブースに供給する空気を調整する空気調和機と、
前記空気調和機に外気を導く外気ダクトと、
前記第2湿式集塵装置を通過した排気を排出するための排気ダクトと、
前記外気ダクトを流れる外気と前記排気ダクトを流れる排気とを熱交換させる熱交換器と、
をさらに備える請求項1〜7のいずれか一項に記載の塗装システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−110500(P2011−110500A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−269383(P2009−269383)
【出願日】平成21年11月27日(2009.11.27)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】