説明

塗装ブース、及び塗装設備用空調ユニット

【課題】比較的に簡単な構成の空調ユニットを用いて塗装時と非塗装時とで空気の流量を的確に切り替え、塗装を効率よく行うことができる塗装ブースを提供すること。
【解決手段】塗装ブース1における天井部に空調ユニット20が配置される。空調ユニット20のベースパネル23における中央部に第1開口部材24が配置されるとともに両端部には第2開口部材25が配置されている。各開口部材24,25にはその開口面積を変更する空調用ダンパー26,27が設けられている。空調用ダンパー26,27は連結棒29を介してエアシリンダ28に接続されており、エアシリンダ28によって、連結棒29が第1位置及び第2位置の間を可逆的に移動される。その移動に伴い各空調用ダンパー26,27が変位することで各開口部材24,25の開口面積が変更される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調ユニットにより流量調整された空気を供給しながら塗装を行う塗装ブース、及び塗装設備用空調ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車ボディなどを塗装するための塗装ブースは、塗装室の上側に設けられた給気室からフィルタを介して塗装室に空調空気を流下させて塗装を行うとともに、塗装の際にオーバースプレーされた塗料ミストを含む汚染空気を床下に設けられた排気室から排気するよう構成されている。この構成により、塗装室内の作業環境の悪化や、塗料ミストのカブリによって被塗装物の品質が損なわれるといった問題が解消される。
【0003】
このように塗装ブースを構成した場合、塗装室内に流下させる空調空気の風速を速めると、塗装機から噴霧された塗料がその風速の影響を受けて大量に排気室側に吸い込まれてしまうため、被塗装物への塗料の塗着効率が低下する。一方、空調空気の風速を遅くするとその影響を受けにくくなるため、塗料の塗着効率が向上する。ここで、塗料の塗着効率を上げるために風速を0にすると、作業環境の悪化や塗料ミストのカブリによる塗装品質の悪化が問題となる。さらに、搬送コンベアの両側に配置される塗装機にも塗料が付着して汚れやすくなるといった問題も生じる。
【0004】
この対策として、塗装室において、中央部よりも側壁に近い位置で空調空気の風速を速くして、塗料の塗着効率や作業環境に応じた風速分布を実現する技術が、例えば、特許文献1に開示されている。この特許文献1の塗装ブースでは、通風パターン孔を形成した通風シートを被塗装物の上方に配置し、その通風シートを通して空調空気を流下させ、塗料の塗着効率や作業環境に応じた所望の風速分布を実現している。
【0005】
また、特許文献2,3には、塗装ブースの上方に複数のファンを設け、各ファンを回転制御する技術が開示されている。この構成において、それぞれのファンを独立して回転制御することにより、塗料の塗着効率や作業環境に応じた風速分布を実現することが可能となる。
【特許文献1】特開平8−266988号公報
【特許文献2】実開昭63−98767号公報
【特許文献3】実開昭61−143672号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記塗装ブースにおいて、塗装の効率をより向上させるためには、塗装時と非塗装時とで風速分布を切り替えることが好ましい。すなわち、塗装時には、塗装室の中央部の風速を遅くして塗料の塗着効率を高め、非塗装時には、塗装室の中央部の風速を速くして空気中に含まれる塗料ミストを迅速に排気することが好ましい。
【0007】
ところが、特許文献1の塗装ブースには、塗装時と非塗装時とで風速を切り替えるための構成は開示されていない。また、特許文献2,3の塗装ブースでは、各ファンの回転数を独立で制御することにより、塗装時と非塗装時とで風速を切り替えることは可能であるが、各ファンを回転制御するための制御装置が必要となる。またこの塗装ブースでは、ファンの駆動源として電動モータが用いられ、その電動モータとしては防爆構造を有する比較的高価なものを用いる必要があるため、設備コストが嵩むといった問題が生じる。
【0008】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、比較的に簡単な構成の空調ユニットを用いて塗装時と非塗装時とで空気の流量を的確に切り替え、塗装を効率よく行うことができる塗装ブースを提供することにある。また、別の目的は、塗装設備に供給する空気の流量を比較的に簡単な構成で的確に制御することができる塗装設備用空調ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、ブース長手方向に沿って搬送されてくるワークに対し、ブース天井部に配置された空調ユニットにより流量調整された空気を供給しながら塗装を行う塗装ブースであって、前記空調ユニットは、ブース中央部に配置された第1開口部材と、自身の変位によって前記第1開口部材の開口面積を変更する第1開口面積変更手段と、ブース中央部よりも側壁に近い位置にそれぞれ配置された第2開口部材と、自身の変位によって前記第2開口部材の開口面積を変更する第2開口面積変更手段と、前記第1及び第2の開口面積変更手段を変位させるための駆動力を付与する駆動手段と、前記第1及び第2の開口面積変更手段と前記駆動手段とを機械的に連結し、第1位置及び第2位置の間を可逆的に移動することにより前記駆動手段の駆動力を前記第1及び第2の開口面積変更手段に対して同時に伝達する駆動力伝達部材とを備え、前記駆動力伝達部材が前記第1位置に移動したとき、前記第1開口面積変更手段が前記第1開口部材の開口面積を増大させる方向に変位しかつ前記第2開口面積変更手段が前記第2開口部材の開口面積を減少させる方向に変位し、前記駆動力伝達部材が前記第2位置に移動したとき、前記第1開口面積変更手段が前記第1開口部材の開口面積を減少させる方向に変位しかつ前記第2開口面積変更手段が前記第2開口部材の開口面積を増大させる方向に変位することを特徴とする塗装ブースをその要旨とする。
【0010】
請求項1に記載の発明によれば、空調ユニットにおいて、第1開口部材がブース中央部に配置され、第2開口部材がブース中央部よりも側壁に近い位置にそれぞれ配置されている。また、第1及び第2の開口面積変更手段と駆動手段とが駆動力伝達部材によって機械的に連結されており、この駆動力伝達部材が第1位置及び第2位置の間を可逆的に移動することにより、駆動手段の駆動力が第1及び第2の開口面積変更手段に対して同時に伝達される。そして、駆動力伝達部材が第1位置に移動したとき、第1開口面積変更手段によって第1開口部材の開口面積が増大され、第2開口面積変更手段によって第2開口部材の開口面積が減少される。これにより、ブース中央部の第1開口部材を通して供給される空気の流量が増大する一方、ブースの側壁側の第2開口部材を通して供給される空気の流量が減少する。また逆に、駆動力伝達部材が第2位置に移動したとき、第1開口面積変更手段によって第1開口部材の開口面積が減少され、第2開口面積変更手段によって第2開口部材の開口面積が増大される。これにより、ブース中央部の第1開口部材を通して供給される空気の流量が減少する一方、ブース側壁側の第2開口部材を通して供給される空気の流量が増大する。このようにすれば、従来技術のようなファンを用いた複雑な流量制御をする必要がなく、比較的に簡単な構成で塗装ブースに供給される空気の流量を的確に制御することができる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記駆動力伝達部材は、前記ワークの塗装時には前記第2位置に移動し、前記ワークの非塗装時には前記第1位置に移動することをその要旨とする。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、ワークの塗装時には駆動力伝達部材が第2位置に移動するため、ブース中央部における空気の流量が減少され、ワークの塗装を効率よく行うことができる。また、ブース側壁側の空気の流量が増大されるため、その側壁側に配置される塗装機に塗料が付着してその塗装機が汚れるといった問題を回避することができる。一方、ワークの非塗装時には駆動力伝達部材が第1位置に移動するため、ブース中央部における空気の流量が増大され、空気中に残留する塗料ミストを効率よく排気することができる。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2において、前記駆動力伝達部材は、剛性を有する棒状体であり、その棒状体は複数箇所に設けられた支持部材により摺動可能に支持されていることをその要旨とする。
【0014】
請求項3に記載の棒状体を駆動力伝達部材として用いることにより、複数の第1及び第2の開口面積変更手段に対して駆動手段の駆動力を確実に伝達することができる。
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項において、前記ブース長手方向に沿って、前記空調ユニットが複数配置され、それら空調ユニットは、各ユニット共通の前記駆動手段を備えることをその要旨とする。
請求項4に記載の発明によれば、複数の空調ユニットで共通に駆動手段が使用されるので、空調ユニット毎に駆動手段を設ける場合と比較して、部品数を低減することができ、塗装ブースの低コスト化を図ることができる。
【0015】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれか1項において、前記空調ユニットの最下部に配置されたマット状の第1フィルタと、前記第1及び第2の開口部面積変更手段と前記第1フィルタとの間に配置され、前記第1開口部材または前記第2開口部材を通過した空気を整流する第2フィルタとを備えたことをその要旨とする。
【0016】
請求項5に記載の発明によれば、空調ユニットの最下部にマット状の第1フィルタが配置されるとともに、第1及び第2の開口部面積変更手段と第1フィルタとの間に第2フィルタが配置されている。このように、空調ユニットは、2段のフィルタ構造を有するので、確実な整流作用が得られるとともに、駆動力伝達部材が移動する際に発生する異物などを確実に除去することができる。
【0017】
請求項6に記載の発明は、塗装設備の天井部に設置され、空気の流量を調整して下方に供給する塗装設備用空調ユニットであって、ベースパネルと、前記ベースパネルの中央部に配置され、前記ベースパネルの上面及び下面を連通させる第1開口部材と、自身の変位によって前記第1開口部材の開口面積を変更する第1開口面積変更手段と、前記ベースパネルの両端部にそれぞれ配置され、前記ベースパネルの上面及び下面を連通させる第2開口部材と、自身の変位によって前記第2開口部材の開口面積を変更する第2開口面積変更手段と、前記第1及び第2の開口面積変更手段を変位させるための駆動力を付与する駆動手段と、前記第1及び第2の開口面積変更手段と前記駆動手段とを機械的に連結し、第1位置及び第2位置の間を可逆的に移動することにより前記駆動手段の駆動力を前記第1及び第2の開口面積変更手段に対して同時に伝達する駆動力伝達部材とを備え、前記駆動力伝達部材が前記第1位置に移動したとき、前記第1開口面積変更手段が前記第1開口部材の開口面積を増大させる方向に変位しかつ前記第2開口面積変更手段が前記第2開口部材の開口面積を減少させる方向に変位し、前記駆動力伝達部材が前記第2位置に移動したとき、前記第1開口面積変更手段が前記第1開口部材の開口面積を減少させる方向に変位しかつ前記第2開口面積変更手段が前記第2開口部材の開口面積を増大させる方向に変位することを特徴とする塗装設備用空調ユニットをその要旨とする。
【0018】
請求項6に記載の発明によれば、塗装設備用空調ユニットにおいて、第1開口部材がベースパネルの中央部に配置され、第2開口部材がベースパネルの両端部にそれぞれ配置されている。また、第1及び第2の開口面積変更手段と駆動手段とが駆動力伝達部材によって機械的に連結されており、この駆動力伝達部材が第1位置及び第2位置の間を可逆的に移動することにより、駆動手段の駆動力が第1及び第2の開口面積変更手段に対して同時に伝達される。そして、駆動力伝達部材が第1位置に移動したとき、第1開口面積変更手段によって第1開口部材の開口面積が増大され、第2開口面積変更手段によって第2開口部材の開口面積が減少される。これにより、ベースパネルの中央部の第1開口部材を通して供給される空気の流量が増大する一方、ベースパネルの両端部の第2開口部材を通して供給される空気の流量が減少する。また、駆動力伝達部材が第2位置に移動したとき、第1開口面積変更手段によって第1開口部材の開口面積が減少され、第2開口面積変更手段によって第2開口部材の開口面積が増大される。これにより、ベースパネルの中央部の第1開口部材を通して供給される空気の流量が減少する一方、ベースパネルの両端部の第2開口部材を通して供給される空気の流量が増大する。このようにすれば、従来技術のようなファンを用いた複雑な風量制御をする必要がなく、比較的に簡単な構成で塗装設備に供給される空気の流量を的確に制御することができる。
【発明の効果】
【0019】
以上詳述したように、請求項1〜5に記載の発明によると、比較的に簡単な構成の空調ユニットを用いて塗装時と非塗装時とで空気の流量を的確に切り替え、塗装を効率よく行うことができる塗装ブースを提供することができる。また、請求項6に記載の発明によると、塗装設備に供給する空気の流量を比較的に簡単な構成で的確に制御することができる塗装設備用空調ユニットを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
[第1の実施の形態]
以下、本発明を具体化した第1の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。図1は本実施の形態における塗装ブースの概略構成を示す断面図である。
【0021】
図1に示されるように、塗装ブース1は、自動車ボディ2(ワーク)に塗料を吹き付けることにより、その自動車ボディ2の表面に塗膜を形成させるためのものである。この塗装ブース1には、自動車ボディ2の塗装を行うための塗装室3と、塗装室3の上側に設けられ塗装室3にダウンフローの空気を供給するための給気室4と、塗装室3の下側に設けられその塗装室3内の空気を排気するための排気室5とが設けられている。
【0022】
塗装室3の床部7は簀子状の部材(グレーチング)で形成され、その床部7には、台車8に乗せられた自動車ボディ2を1台ずつ搬送するためのコンベア9が設けられている。また、塗装室3において、コンベア9の左右両側に塗装ロボット11が設けられ、該塗装ロボット11のアーム12に取り付けられた塗装機13で自動車ボディ2が塗装される。
【0023】
排気室5は、塗装室3内の汚染空気を、排気ファン(図示略)の吸引力によって吸引するようになっている。なお、汚染空気には、塗装室3内の塗装機13からオーバースプレーされた塗料ミストが含まれている。また、排気室5の側壁には、排気室5内にて浄化された空気を外部に排出する排気ダクト15が設けられている。その排気ダクト15から排出された空気は、図示しないファンによって圧送され、給気ダクト16を介して再び給気室4に導かれるようになっている。
【0024】
給気室4の下部(ブース天井部)には、空調ユニット20が設けられている。この空調ユニット20は、長さ6m、幅1.5m、高さ1.2mのサイズを有する。本実施の塗装ブース1では、自動車ボディ2の搬送方向(ブース長手方向)に沿って複数(具体的には、例えば16個)の空調ユニット20が配置されている。
【0025】
給気室4において、空調ユニット20の上側の空間が動圧室21となっており、その動圧室21には、給気ダクト16を通じて所定風量(例えば、1200m/分)の空調空気が供給される。動圧室21に供給された空調空気は、空調ユニット20を通して中央部及び両端部での風量が調整された後、下方の塗装室3に流下される。
【0026】
次に、本実施の形態における空調ユニット20の構成を説明する。図2は、空調ユニット20の平面図であり、図3は、空調ユニット20の側面図である。
【0027】
図2及び図3に示されるように、空調ユニット20は、平板状のベースパネル23と、そのベースパネル23の複数個所に配置される第1開口部材24及び第2開口部材25と、各開口部材24,25の開口面積を変更する空調用ダンパー26,27と、各空調用ダンパー26,27を変位させるための駆動力を付与するエアシリンダ28と、エアシリンダ28と空調用ダンパー26,27とを機械的に連結してエアシリンダ28の駆動力を各空調用ダンパー26,27に伝達する連結棒29とを備える。
【0028】
第1開口部材24及び第2開口部材25は、筒状をなし、ベースパネル23の上面及び下面を連通させる円形の開口部を有する。本実施の形態では、ベースパネル23の中央部に4つの第1開口部材24が配置されるとともに、ベースパネル23の両端部にそれぞれ1つの第2開口部材25が配置されている。なお、中央部における第1開口部材24は、2つずつ並列に配設されている。
【0029】
空調用ダンパー26,27は、各開口部材24,25の上端部にそれぞれ設けられている。空調用ダンパー26,27は、スライド式のダンパーであり、各開口部材24,25を通過する風量を調整するために水平方向(図2,3の左右方向)にスライドして各開口部材24,25の開口面積を変更するスライド板30,31を有する。本実施の形態では、第1開口部材24の空調用ダンパー26(第1開口面積変更手段)は、第1開口部材24に対して右側にスライド板30がスライドするように設けられている。一方、第2開口部材25の空調用ダンパー27は、第2開口部材25に対して左側にスライド板31がスライドするように設けられている。
【0030】
各空調用ダンパー26,27のスライド板30,31は接続金具33,34を介して連結棒29に接続されている。
【0031】
連結棒29は、剛性を有する金属材料を用いて四角柱状に形成された棒状体であって、自動車ボディ2の搬送方向と直交するブース幅方向(給気室4の幅方向)に沿って設けられている。連結棒29の両端部は、給気室4の側壁を貫通してその外部に突出している。この連結棒29は、複数個所に設けられたガイドローラ35(支持部材)によってその長手方向に摺動可能に支持されている。本実施の形態では、給気室4の外部において連結棒29の両端となる位置、及び給気室4の内部における第1開口部材24と第2開口部材25との中間位置にガイドローラ35がそれぞれ設けられている。
【0032】
本実施の形態において、エアシリンダ28は、給気室4の外部において給気ダクト16の接続部とは反対側となる位置に配置されている。そして、そのエアシリンダ28のロッド36が連結棒29の基端部(図2,3の左側の端部)に接続されている。このエアシリンダ28は、図示しないエアポンプから供給されるエアによって動作し、ロッド36をシリンダ本体37から伸縮させることで連結棒29を水平方向に可逆的に移動(図2,3の左右方向に往復動)させる。
【0033】
エアシリンダ28の下方には、その先端側及び基端側となる位置にエンドストッパ38が設けられている。エアシリンダ28の動作に伴い連結棒29が移動され、その連結棒29の上部に固定された当接部材39がエンドストッパ38に当接することで連結棒29の移動が規制される。具体的には、エアシリンダ28のロッド36がシリンダ本体37から押し出されたとき、そのロッド36によって連結棒29が図3の左側に移動し、当接部材39が左側(先端側)のエンドストッパ38に当接した位置で連結棒29が停止する。一方、エアシリンダ28のロッド36がシリンダ本体37側に戻るときには、そのロッド36によって連結棒29が図3の右側に移動し、当接部材39が右側(基端側)のエンドストッパ38に当接した位置で連結棒29が停止する。
【0034】
ここで、図4(a)に示されるように、連結棒29が右側の位置(第1位置)に移動したとき、中央部側の第1開口部材24に設けられた空調用ダンパー26は、スライド板30が開口を開ける方向(開口面積を増大させる方向)に変位する。一方、側壁側の第2開口部材25に設けられた空調用ダンパー27は、スライド板31が開口を閉じる方向(開口面積を減少させる方向)に変位する。
【0035】
また、図4(b)に示されるように、連結棒29が左側の位置(第2位置)に移動したとき、中央部側の第1開口部材24に設けられた空調用ダンパー26は、スライド板30が開口を閉じる方向(開口面積を減少させる方向)に変位する。一方、側壁側の第2開口部材25に設けられた空調用ダンパー27は、スライド板31が開口を開ける方向(開口面積を増大させる方向)に変位する。
【0036】
図3に示されるように、各開口部材24,25の下方には、各開口部材24,25を通過した空気を整流するバッグフィルタ41(第2フィルタ)が着脱可能に装着されている。このバッグフィルタ41は、ポリプロピレンなどの合成樹脂繊維からなり、各開口部材24,25の下側の開口を覆うように装着されている。さらに、このバッグフィルタ41の下流側となる空調ユニット20の最下部には、マット状のフィルタ42(第1フィルタ)が配置されている。このマット状のフィルタ42は、ポリプロピレンなどの合成樹脂繊維からなり、塗装室3の天井面に沿って平行に設けられている。
【0037】
次に、本実施の形態の塗装ブース1の作用について説明する。
【0038】
図1に示されるように、塗装ブース1において、コンベア9により塗装機13に対応した位置(塗装ゾーン)に自動車ボディ2が搬入される。そして、塗装機13よって自動車ボディ2の塗装を開始する直前に、エアシリンダ28によって連結棒29が左側の第2位置に移動される。このとき、ベースパネル23の中央部に設けられている第1開口部材24において、連結棒29の移動により空調用ダンパー26のスライド板30が閉じる方向に変位することで、その開口面積が減少される。また、ベースパネル23の両端部に設けられている第2開口部材25において、連結棒29の移動により空調用ダンパー27のスライド板31が開く方向に変位することで、その開口面積が増大される。これにより、ベースパネル23の中央部の第1開口部材24を通して供給される空気の風量が減少する一方、ベースパネル23の両端部の第2開口部材25を通して供給される空気の流量が増大する。
【0039】
この場合、図5(a)に示されるように、給気ダクト16から動圧室21に供給された1200m/分の空調空気のうちの200m/分の空調空気が中央部の各第1開口部材24を通して塗装室3に流下される。そして、残りの1000m/分の空調空気のうちの500m/分の空調空気が右側の第2開口部材25を通して塗装室3に流下されるとともに、500m/分の空調空気が左側の第2開口部材25を通して塗装室3に流下される。
【0040】
このように、空調ユニット20によって塗装室3に流下させる風量を調整した後、塗装機13により塗料を噴霧することで自動車ボディ2の塗装が行われる。この塗装時において、自動車ボディ2がある中央部ではダウンフローの空気の風速が遅くなるので、噴霧された塗料が自動車ボディ2に効率よく塗着し、塗装機13がある両端部ではダウンフローの空気の風速が速くなるので、噴霧された塗料が塗装機13に付着することが防止される。
【0041】
そして、この自動車ボディ2の塗装が完了し、塗装機13による塗料の噴霧を停止して自動車ボディ2を搬出するとき(非塗装時)には、エアシリンダ28により連結棒29が右側の第1位置に移動され、空調ユニット20の中央部及び両端部における風量が切り替えられる。なお、連結棒29の移動前後において、給気ダクト16から動圧室21に供給される空気の流量は、一定の風量(1200m/分の風量)に維持されている。
【0042】
詳しくは、ベースパネル23の中央部の第1開口部材24において、連結棒29の移動により空調用ダンパー26のスライド板30が開く方向に変位することで、その開口面積が増大される。また、ベースパネル23の両端部の第2開口部材25において、連結棒29の移動により空調用ダンパー27のスライド板31が閉じる方向に変位することで、その開口面積が減少される。これにより、ベースパネル23の中央部の第1開口部材24を通して供給される空気の風量が増大する一方、ベースパネル23の両端部の第2開口部材25を通して供給される空気の流量が減少する。
【0043】
この場合、図5(b)に示されるように、給気ダクト16から動圧室21に供給された1200m/分の空調空気のうちの800m/分の空調空気が中央部の各第1開口部材24を通して塗装室3に流下される。そして、残りの400m/分の空調空気のうちの200m/分の空調空気が右側の第2開口部材25を通して塗装室3に流下されるとともに、200m/分の空調空気が左側の第2開口部材25を通して塗装室3に流下される。
【0044】
このように、空調ユニット20によって風量を切り替えることにより、中央部におけるダウンフローの空気の風速が速くなるので、空気中に含まれる塗料ミストが効率よく排気される。
【0045】
従って、本実施の形態によれば以下の効果を得ることができる。
【0046】
(1)本実施の形態の塗装ブース1では、空調ユニット20においてエアシリンダ28を駆動して連結棒29を水平方向の第1位置または第2位置に移動させることにより、空調用ダンパー26,27のスライド板30,31がスライドして第1開口部材24及び第2開口部材25の開口面積を同時に変更することができる。具体的には、塗装時において、連結棒29を第2位置に移動させることにより、中央部の第1開口部材24の開口面積を減少させるとともに両端部の第2開口部材25の開口面積を増大させることができる。この場合、中央部の風量が減少するため、自動車ボディ2に塗料を効率よく塗着させることができ、両端部の風量が増大するため、塗料が付着して塗装機13が汚れるといった問題を回避することができる。また、非塗装時には、連結棒29を第1位置に移動させることにより、中央部の第1開口部材24の開口面積を増大させるとともに両端部の第2開口部材25の開口面積を減少させることができる。この場合、中央部の風量が増大するため、空気に含まれる塗料ミストを迅速に排気することができ、次に搬入される未塗装の自動車ボディ2に塗料ミストが付着して塗装品質が悪化するといった問題を防止することができる。このように、本実施の形態の空調ユニット20を用いれば、従来技術のようなファンを用いた複雑な流量制御をする必要がなく、比較的に簡単な構成で空気の流量を的確に制御することができる。
【0047】
(2)本実施の形態の空調ユニット20では、第1開口部材24及び第2開口部材25よりも上方に剛性を有する連結棒29が配置され、複数個所に設けられたガイドローラ35によってその連結棒29が長手方向に摺動可能に支持されている。この連結棒29を駆動力伝達部材として用いることにより、ベースパネル23の中央部及び両端部に配置される複数の空調用ダンパー26,27に対してエアシリンダ28の駆動力を確実に伝達することができる。よって、複数の空調用ダンパー26,27を正確に駆動でき、空気の流量を的確に制御することができる。
【0048】
(3)本実施の形態の空調ユニット20では、最下部に配置されたマット状のフィルタ42と各空調用ダンパー26,27との間にバッグフィルタ41が配設されている。このように、空調ユニット20は、2段のフィルタ構造を有するので、確実な整流作用が得られるとともに、連結棒29が移動する際にガイドローラ35との摺動部などにおいて異物が発生したとしても、その異物を確実に除去することができる。
【0049】
(4)本実施の形態の空調ユニット20の場合、エアシリンダ28を駆動手段として用いているので、従来技術のように電動モータでファンを回転制御する場合と比較して、駆動のための構成が簡素なものとなり、かつ、その駆動制御自体も単純なもので済む。よって、設備コストを抑えることができるとともに、電気代などのランニングコストも低減することができる。
【0050】
(5)本実施の形態の場合、エアシリンダ28は塗装ブース1における給気室4の外部に設けられているので、そのエアシリンダ28に用いられている潤滑オイルなどの油分が給気室4内の空気に混入するといった問題を回避することができる。また、給気室外に設置する態様であれば引火のおそれもないため、そのエアシリンダ28に強いて防爆対策を講じなくてもよくなる。さらに、給気室4の外部において給気ダクト16の接続部とは反対側となる位置にエアシリンダ28が配置されているので、エアシリンダ28の動作時に給気ダクト16が邪魔になるといった問題は生じない。またこの場合、エアシリンダ28の周囲に十分な作業スペースが確保されるため、そのメンテナンスを容易に行うことができる。
【0051】
(6)本実施の形態の場合、空調用ダンパー26,27において、スライド板30,31が空気の流路と直交する方向にスライド(水平方向に移動)することで、各開口部材24,25の開口面積を迅速に変更することができ、空気の流量を的確に切り替えることができる。
【0052】
[第2の実施の形態]
次に、本発明を具体化した第2の実施の形態を説明する。図6は、本実施の形態の空調ユニット50の平面図であり、図7は、その空調ユニット50の側面図である。本実施の形態の空調ユニット50も、上記第1実施の形態と同様に、塗装ブース1の天井部において、自動車ボディ2の搬送方向(ブース長手方向)に沿って複数(図6では4個)配置されている。本実施の形態では、各空調ユニット50における空気の風量が1つのエアシリンダ28(駆動手段)によって調整できるよう構成されている。
【0053】
詳しくは、図6及び図7に示されるように、空調ユニット50のベースパネル23において、中央部に第1開口部材51が配置されるとともに、両端部に第2開口部材52が配置されている。第1開口部材51の上部には、その開口面積を変更する空調用ダンパー53(第1開口面積変更手段)が設けられるとともに、第2開口部材52の上部には、その開口面積を変更する空調用ダンパー54(第2開口面積変更手段)が設けられている。
【0054】
第1開口部材51の空調用ダンパー53は、複数のダンパー羽根55と開度調整軸57とを備え、第2開口部材52の空調用ダンパー54は、複数のダンパー羽根56と開度調整軸58とを備える。空調用ダンパー53は空調用ダンパー54よりもサイズが大きく、それらサイズに応じて各ダンパー羽根55,56と開度調整軸57,58とが形成されている。空調用ダンパー53,54において、開度調整軸57,58は、図示しない軸受けによりフレーム部材59,60に対して回転可能に支持されており、その開度調整軸57,58は、図示しない駆動機構を介して各ダンパー羽根55,56に連結されている。そして、空調用ダンパー53,54において、開度調整軸57,58が回転されることにより、各ダンパー羽根55,56の開度(水平方向に対する角度)が調整されるようになっている。
【0055】
また、各空調ユニット50において、第1開口部材51における空調用ダンパー53の開度調整軸57と、第2開口部材52における空調用ダンパー54の開度調整軸58とは、同軸線上に配置されており、連結棒61を介してそれぞれ連結されている。また、その同軸線上の端部(図6,7では左側の端部)に位置する連結棒61は、給気室4の側壁を貫通してその外部に突出している。そして、給気室4の外部において、各連結棒61は駆動力伝達棒62(駆動力伝達部材)を介してエアシリンダ28に接続され、エアシリンダ28の駆動力によって、各空調用ダンパー53,54の開度調整軸57,58が同時に回転するように構成されている。
【0056】
具体的には、塗装ブース1の外部において、自動車ボディ2の搬送方向に沿って、複数の回転ローラ64(支持部材)が等間隔に設けられ、それら回転ローラ64の上に駆動力伝達棒62が配置されている。駆動力伝達棒62は、剛性を有する金属材料を用いて四角柱状に形成された棒状体であり、この駆動力伝達棒62の一方の端部にエアシリンダ28のロッド36が接続されている。
【0057】
給気室4の外部に突出している連結棒61は、その給気室4の外部に設けられている一対の軸受け部材65によって回転可能に支持されている。そして、連結棒61には円板状のスプロケット66が固定されており、そのスプロケット66には、その径方向外側となる所定位置に係合ピン67が突設されている(図8参照)。また、駆動力伝達棒62の上面には、その係合ピン67を挟み込むように係合部材68が設けられている。本実施の形態において、この係合部材68は、各空調ユニット50に対応した位置となる4箇所にそれぞれ設けられている。
【0058】
そして、エアシリンダ28のロッド36をシリンダ本体37から伸縮させることで、駆動力伝達棒62を水平方向に可逆的に移動(往復動)させる。ここで、例えば、図8(a)に示す第1位置から図8(b)に示す第2位置に駆動力伝達棒62が移動すると、係合部材68によって係合ピン67(スプロケット66)が回動され、それにより連結棒61が所定の角度(例えば、60°の角度)だけ回転される。このように、本実施の形態では、駆動力伝達棒62の往復直線移動が連結棒61の往復回転移動に変換される。そして、この連結棒61の回転が各空調用ダンパー53,54の開度調整軸57,58に伝達されて各ダンパー羽根55,56の開度が調整される。
【0059】
具体的には、自動車ボディ2の塗装時には、エアシリンダ28によって駆動力伝達棒62を図8(a)の第1位置から図8(b)の第2位置に移動させる。このとき、連結棒61を介して各空調用ダンパー53,54の開度調整軸57,58が回転されることにより、ベースパネル23の中央部の第1開口部材51において、空調用ダンパー53の各ダンパー羽根55が閉じる方向に変位することで、その開口面積が減少される。また、ベースパネル23の両端部の第2開口部材52において、空調用ダンパー54の各ダンパー羽根56が開く方向に変位するで、その開口面積が増大される。これにより、ベースパネル23の中央部の第1開口部材51を通して供給される空気の風量が減少する一方、ベースパネル23の両端部の第2開口部材52を通して供給される空気の流量が増大する。
【0060】
また、自動車ボディ2の非塗装時には、エアシリンダ28によって駆動力伝達棒62を図8(b)の第2位置から図8(a)の第1位置に移動させる。このとき、連結棒61を介して各空調用ダンパー53,54の開度調整軸57,58が回転されることにより、ベースパネル23の中央部の第1開口部材51において、空調用ダンパー53の各ダンパー羽根55が開く方向に変位することで、その開口面積が増大される。また、ベースパネル23の両端部の第2開口部材52において、空調用ダンパー54の各ダンパー羽根56が閉じる方向に変位するで、その開口面積が減少される。これにより、ベースパネル23の中央部の第1開口部材51を通して供給される空気の風量が増大する一方、ベースパネル23の両端部の第2開口部材52を通して供給される空気の流量が減少する。
【0061】
このように、本実施の形態の空調ユニット50を用いても、上記第1の実施の形態と同様に、比較的に簡単な構成で空気の流量を的確に制御することができる。また、本実施の形態では、複数の空調ユニット50において、共通のエアシリンダ28を使用して風量調整を行っているので、上記第1実施の形態のように、空調ユニット20毎にエアシリンダ28を設ける場合と比較して、部品数を低減することができ、塗装ブース1の低コスト化を図ることができる。さらに、複数の空調ユニット50における空気の風量を同じタイミングで正確に切り替えることができる。
なお、本発明の各実施の形態は以下のように変更してもよい。
【0062】
・上記第1の実施の形態では、開口面積変更手段としての空調用ダンパー26,27は、スライド板30,31が水平方向に往復動して開閉するものであったが、これに限定されるものではなく、回転式のシャッター(回転蓋)で開閉する構成の開口面積変更手段に変更してもよい。さらに、蓋部材が上下方向に動いて開閉する構成の開口面積変更手段を用いてもよい。
【0063】
・上記各実施の形態では、駆動力伝達部材として連結棒29や駆動力伝達棒62を用いたが、これら連結棒29や駆動力伝達棒62のような剛性もしくは非伸縮性を有する棒状体以外に、例えば板状の部材を用いてもよい。勿論、駆動力伝達部材としては、1つの部材で一体的に構成する必要はなく、ギヤ、カム、クランク軸などを組み合わせて構成したり、ワイヤや弾性体(バネやゴム)などを介在させたりしてもよい。
【0064】
・上記各実施の形態のように、駆動手段としてエアシリンダ28をブース外部に設ける場合には、防爆構造のものを用いる必要はない。また、駆動手段をブース外部に設ける場合、エアシリンダ28に代えて電動モータを用いてもよい。勿論、防爆構造の電動モータを用いる場合には、ブース内部に設けてもよい。
【0065】
・上記第1の実施の形態では、空調ユニット20毎に専用のエアシリンダ28を備えるものであったが、駆動力が十分に確保できる場合は、第2の実施の形態と同様に、複数の空調ユニット20において共通のエアシリンダ28を用いて各空調ユニット20の連結棒29を移動させるように構成してもよい。
【0066】
・上記第1の実施の形態の空調ユニット20では、ベースパネル23における中央部に4つの第1開口部材24が配置され、両端部にはそれぞれ1つの第2開口部材25が配置されるものであったが、これら開口部材24,25の個数は適宜変更してもよい。また、第1開口部材24と第2開口部材25とは同じサイズ及び形状であったが、それらサイズや形状は適宜変更してもよい。さらに、第2の実施の形態の空調ユニット50においても、第1開口部材51及び第2開口部材52のサイズや形状などを変更してもよい。
【0067】
・上記各実施の形態の塗装ブース1は、ワークとしての自動車ボディ2を塗装するものであったが、バンパーや空力付加物(スポイラーなど)の大型の自動車部品を塗装するものであってもよい。勿論、塗装ブースは自動車部品以外の部品を塗装するものでもよい。
【0068】
・上記各実施の形態では、塗装ブース1に空調ユニット20,50を用いたが、塗装設備における塗装ブース1以外の場所であって上方からの送風を行う場所、例えば、乾燥室、冷却室、補修室などでの空調のために当該空調ユニット20,50を用いてもよい。
【0069】
次に、特許請求の範囲に記載された技術的思想のほかに、前述した各実施の形態によって把握される技術的思想を以下に列挙する。
【0070】
(1)請求項3において、前記駆動力伝達部材の棒状体はブース幅方向に沿って設けられ、前記支持部材は、前記棒状体を載置してその長手方向に摺動させるガイドローラであることを特徴とする塗装ブース。
【0071】
(2)請求項1乃至5のいずれか1項において、前記駆動手段は、ブース外部に設けられることを特徴とする塗装ブース。
【0072】
(3)請求項1乃至5のいずれか1項において、前記駆動手段はエアシリンダであり、そのエアシリンダのロッド先端が前記棒状体に連結されていることを特徴とする塗装ブース。
【0073】
(4)請求項1乃至5のいずれか1項において、前記駆動力伝達部材が第1位置及び第2位置の間を移動したとき、その移動前後において、前記各開口部材を通して供給される空気の総風量は一定であることを特徴とする塗装ブース。
【0074】
(5)請求項1乃至5のいずれか1項において、前記第1及び第2の開口部面積変更手段は、前記空気の流路と直交する方向に移動して前記開口面積を変更するスライド板を有することを特徴とする塗装ブース。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明を具体化した一実施の形態の塗装ブースを示す断面図。
【図2】第1の実施の形態の空調ユニットを示す平面図。
【図3】第1の実施の形態の空調ユニットを示す側面図。
【図4】(a)は第1位置での空調用ダンパーの開閉状態を示し、(b)は第2位置での空調用ダンパーの開閉状態を示す説明図。
【図5】(a)は塗装時における風量を示し、(b)は非塗装時における風量を示す説明図。
【図6】第2の実施の形態の空調ユニットを示す平面図。
【図7】第2の実施の形態の空調ユニットを示す側面図。
【図8】(a)は第1位置における駆動力伝達棒を示し、(b)は第2位置における駆動力伝達棒を示す説明図。
【符号の説明】
【0076】
1…塗装ブース
2…ワークとしての自動車ボディ
20,50…空調ユニット
23…ベースパネル
24,51…第1開口部材
25,52…第2開口部材
26,53…第1開口面積変更手段としての空調用ダンパー
27,54…第2開口面積変更手段としての空調用ダンパー
28…駆動手段としてのエアシリンダ
29…駆動力伝達部材としての連結棒
35…支持部材としてのガイドローラ
41…第2フィルタとしてのバッグフィルタ
42…第1フィルタとしてのフィルタ
62…駆動力伝達部材としての駆動力伝達棒

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブース長手方向に沿って搬送されてくるワークに対し、ブース天井部に配置された空調ユニットにより流量調整された空気を供給しながら塗装を行う塗装ブースであって、
前記空調ユニットは、
ブース中央部に配置された第1開口部材と、
自身の変位によって前記第1開口部材の開口面積を変更する第1開口面積変更手段と、
ブース中央部よりも側壁に近い位置にそれぞれ配置された第2開口部材と、
自身の変位によって前記第2開口部材の開口面積を変更する第2開口面積変更手段と、
前記第1及び第2の開口面積変更手段を変位させるための駆動力を付与する駆動手段と、
前記第1及び第2の開口面積変更手段と前記駆動手段とを機械的に連結し、第1位置及び第2位置の間を可逆的に移動することにより前記駆動手段の駆動力を前記第1及び第2の開口面積変更手段に対して同時に伝達する駆動力伝達部材と
を備え、
前記駆動力伝達部材が前記第1位置に移動したとき、前記第1開口面積変更手段が前記第1開口部材の開口面積を増大させる方向に変位しかつ前記第2開口面積変更手段が前記第2開口部材の開口面積を減少させる方向に変位し、
前記駆動力伝達部材が前記第2位置に移動したとき、前記第1開口面積変更手段が前記第1開口部材の開口面積を減少させる方向に変位しかつ前記第2開口面積変更手段が前記第2開口部材の開口面積を増大させる方向に変位する
ことを特徴とする塗装ブース。
【請求項2】
前記駆動力伝達部材は、前記ワークの塗装時には前記第2位置に移動し、前記ワークの非塗装時には前記第1位置に移動することを特徴とする請求項1に記載の塗装ブース。
【請求項3】
前記駆動力伝達部材は、剛性を有する棒状体であり、その棒状体は複数箇所に設けられた支持部材により摺動可能に支持されていることを特徴とする請求項1または2に記載の塗装ブース。
【請求項4】
前記ブース長手方向に沿って、前記空調ユニットが複数配置され、それら空調ユニットは、各ユニット共通の前記駆動手段を備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の塗装ブース。
【請求項5】
前記空調ユニットの最下部に配置されたマット状の第1フィルタと、前記第1及び第2の開口部面積変更手段と前記第1フィルタとの間に配置され、前記第1開口部材または前記第2開口部材を通過した空気を整流する第2フィルタとを備えたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の塗装ブース。
【請求項6】
塗装設備の天井部に設置され、空気の流量を調整して下方に供給する塗装設備用空調ユニットであって、
ベースパネルと、
前記ベースパネルの中央部に配置され、前記ベースパネルの上面及び下面を連通させる第1開口部材と、
自身の変位によって前記第1開口部材の開口面積を変更する第1開口面積変更手段と、
前記ベースパネルの両端部にそれぞれ配置され、前記ベースパネルの上面及び下面を連通させる第2開口部材と、
自身の変位によって前記第2開口部材の開口面積を変更する第2開口面積変更手段と、
前記第1及び第2の開口面積変更手段を変位させるための駆動力を付与する駆動手段と、
前記第1及び第2の開口面積変更手段と前記駆動手段とを機械的に連結し、第1位置及び第2位置の間を可逆的に移動することにより前記駆動手段の駆動力を前記第1及び第2の開口面積変更手段に対して同時に伝達する駆動力伝達部材と
を備え、
前記駆動力伝達部材が前記第1位置に移動したとき、前記第1開口面積変更手段が前記第1開口部材の開口面積を増大させる方向に変位しかつ前記第2開口面積変更手段が前記第2開口部材の開口面積を減少させる方向に変位し、
前記駆動力伝達部材が前記第2位置に移動したとき、前記第1開口面積変更手段が前記第1開口部材の開口面積を減少させる方向に変位しかつ前記第2開口面積変更手段が前記第2開口部材の開口面積を増大させる方向に変位する
ことを特徴とする塗装設備用空調ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−106872(P2009−106872A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−282498(P2007−282498)
【出願日】平成19年10月30日(2007.10.30)
【出願人】(000110343)トリニティ工業株式会社 (147)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】