説明

塗装ブースの排気除湿リサイクル空調システム

【課題】ランニングコストを抑えることができる塗装ブースの排気除湿リサイクル空調システムを提供すること。
【解決手段】排気リサイクル空調システム1は、塗装ブース2、フレッシュ空調機3、リサイクル空調機4、ヒートポンプ5、及び制御装置6を備える。リサイクル空調機4の処理ゾーンZ1において、空気の水分が吸着剤18に吸着されて除湿される。再生ゾーンZ2には第2温水コイル27が配置されており、第2温水コイル27により、ヒートポンプ5で加熱された温水W3を利用して空気が暖められ、温風が吸着剤18に作用される。冷却ゾーンZ3には第3冷水コイル31が配置されており、第3冷水コイル31により、ヒートポンプ5で冷却された冷水W1を利用して空気が冷却され、冷風が吸着剤18に作用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気を一定方向に流しつつ被塗物に塗料を吹き付けて塗装を行う塗装ブースを備え、塗装ブースから排気される空気の一部を回収し、その空気の温度及び湿度を調節して再び塗装ブースに循環させる塗装ブースの排気除湿リサイクル空調システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車ボディなどを塗装するための塗装ブースは、塗装室の上側に設けられた給気室からフィルタを介して塗装室に空調空気を流下させて塗装を行うとともに、塗装の際にオーバースプレーされた塗料ミストを含む汚染空気を床下に設けられた排気室から排気するよう構成されている。この構成により、塗装室内の作業環境の悪化や、塗料ミストのカブリによって被塗物の品質が損なわれるといった問題が解消される。
【0003】
図2は、従来の塗装ブースの空調システム80の概略構成を示している。図2に示されるように、空調システム80は、塗装ブース81と外気空調機82と循環空調機83とを備える。外気空調機82は、塗装ブース81の外部から空気を取り込み、その空気を所定温度及び所定湿度に調節した後、ファン84を介して塗装ブース81に向けて送気する。循環空調機83は、塗装ブース81から排気される空気の一部をファン85を介して回収し、その空気を所定温度及び所定湿度に調節した後、ファン86を介して再び塗装ブース81に向けて送気する。なお、塗装ブース81から排気される空気の一部は、ファン87を介して大気に放出される。
【0004】
また、塗装ブースから排気される空気の一部を塗装ブースに循環させる上記のような空調システムは、特許文献1,2等にも開示されている。
【特許文献1】特開平5−269414号公報
【特許文献2】特開昭59−199076号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来の空調システム80に用いられている循環空調機83では、冷却器を用いて空気の温度を下げて空気に含まれる水分を除去した後、ヒータで加熱して空気を暖めることにより、空調空気が予め設定した温度及び湿度となるように制御している。この循環空調機83では、空気の冷却時及び空気の加熱時にそれぞれエネルギーが必要となる。従来では、これら冷却エネルギー及び加熱エネルギーを冷熱源及び熱源を利用して得るようにしているため、ランニングコストが嵩んでしまう。特に、自動車ボディを塗装する塗装ブース81はサイズが大きく、必要となる空調空気も膨大な量となる。このため、ランニングコストを低く抑えることができる空調システムが望まれている。
【0006】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、ランニングコストを抑えることができる塗装ブースの排気除湿リサイクル空調システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、手段1に記載の発明では、空調された空気を一定方向に流しつつ被塗物に塗料を吹き付けて塗装を行うための塗装ブースと、前記塗装ブースの外部から空気を取り込み、その空気の温度及び湿度を調節して前記塗装ブースに向けて送気する外気空調機と、前記塗装ブースから排気される空気の一部を回収し、その空気の温度及び湿度を調節して再び前記塗装ブースに向けて送気する循環空調機と熱媒体を冷却する吸熱部及び熱媒体を加熱する放熱部を有する圧縮式熱分離手段とを備え、前記循環空調機は、処理ゾーン、再生ゾーン及び冷却ゾーンに区画され、前記処理ゾーンにおいて前記空気に含まれる水分を吸着剤に吸着させて除湿する空気除湿手段と、前記処理ゾーンにおいて前記空気の温度を調節する空気温度調節手段と、前記再生ゾーンにおいて外部から取り込まれた外気を加熱するとともに加熱して得られた温風を前記処理ゾーン通過後の前記吸着剤に作用させて再生する空気加熱手段と、前記冷却ゾーンにおいて外部から取り込まれた外気を冷却するとともに冷却して得られた冷風を前記再生ゾーン通過後の前記吸着剤に作用させて冷却する空気冷却手段とを有し、前記空気冷却手段は、前記圧縮式熱分離手段の前記吸熱部で冷却された熱媒体を利用して空気を冷却する主空気冷却手段を含み、前記空気加熱手段は、前記圧縮式熱分離手段の前記放熱部で加熱された熱媒体を利用して空気を暖める主空気加熱手段を含むことを特徴とする塗装ブースの排気除湿リサイクル空調システムをその要旨とする。
【0008】
従って、上記手段1に記載の発明によれば、圧縮式熱分離手段において、吸熱エネルギーと放熱エネルギーが効率よく発生され、各エネルギーを利用して吸熱部では熱媒体が冷却され、放熱部では熱媒体が加熱される。また、循環空調機において、塗装ブースから排気される空気の一部が回収され、その空気の温度及び湿度が調節されて再び前記塗装用ブースに向けて送気される。本発明の循環空調機は、処理ゾーン、再生ゾーン及び冷却ゾーンに区画されている。そして、循環空調機の処理ゾーンでは、空気除湿手段により空気に含まれる水分が吸着剤に吸着されて除湿され、空気温度調節手段により空気の温度が調節される。また、再生ゾーンでは、圧縮式熱分離手段の放熱部で加熱された熱媒体を利用して、空気加熱手段の主空気加熱手段により、外部から取り込まれた外気が暖められる。これにより得られた温風が処理ゾーン通過後の吸着剤に作用されることで空気除湿手段の除湿能力が再生される。そして、冷却ゾーンでは、圧縮式熱分離手段の吸熱部で冷却された熱媒体を利用して、空気冷却手段の主空気冷却手段により、外部から取り込まれた外気が冷却される。これにより得られた冷風が再生ゾーン通過後の吸着剤に作用され冷却される。このように、循環空調機において、空気に含まれる水分を吸着剤に吸着させて湿度を調節し、その吸着剤の再生及び冷却に必要となる放熱エネルギー及び吸熱エネルギーを圧縮式熱分離手段で得るように構成することにより、空調システムのランニングコストを低く抑えることができる。
【0009】
手段2に記載の発明は、上記手段1において、前記空気冷却手段は、補助冷熱源で冷却された熱媒体を利用して前記空気を冷却する副空気冷却手段をさらに含むことをその要旨とする。
【0010】
従って、上記手段2に記載の発明によれば、外部から取り込まれた外気の温度が高く、圧縮式熱分離手段の吸熱部の吸熱エネルギーだけでは吸着剤の冷却を十分に行えない場合、副空気冷却手段により、補助冷熱源で冷却された熱媒体を利用して空気が冷却され、冷却された冷風によって吸着剤が確実に冷却される。
【0011】
手段3に記載の発明は、上記手段1または2において、前記空気加熱手段は、補助熱源で加熱された熱媒体により前記空気を暖める副空気加熱手段をさらに含むことをその要旨とする。
【0012】
従って、上記手段3に記載の発明によれば、圧縮式熱分離手段の放熱部の放熱エネルギーだけでは空気を十分に暖められない場合、副空気加熱手段により、補助熱源で加熱された熱媒体を利用して空気が暖められ、暖められた温風によって吸着剤が確実に再生される。
【0013】
手段4に記載の発明は、上記手段3において、前記空気冷却手段において、前記主空気冷却手段は前記副空気冷却手段の上流側に配置され、前記空気加熱手段において、前記主空気加熱手段は前記副空気加熱手段の上流側に配置されることをその要旨とする。
【0014】
従って、上記手段4に記載の発明によれば、主空気冷却手段は副空気冷却手段の上流側に配置されているので、主空気冷却手段によって空気を効率よく冷却することができる。また、主空気加熱手段は副空気加熱手段の上流側に配置されているので、主空気加熱手段によって空気を効率よく加熱することができる。
【0015】
手段5に記載の発明は、上記手段1乃至4のいずれかにおいて、前記空気温度調節手段は、前記空気除湿手段の下流側に配置され、その空気除湿手段にて除湿された空気の温度を調整するものであり、前記圧縮式熱分離手段の前記吸熱部で冷却された熱媒体を利用して前記空気を冷却する第1温度調節部と、前記圧縮式熱分離手段の前記放熱部で加熱された熱媒体を利用して前記空気を暖める第2温度調節部とを有することをその要旨とする。
【0016】
従って、上記手段5に記載の発明によれば、空気除湿手段で除湿された空気の温度が設定温度よりも高い場合には、空気温度調節手段の第1温度調節部により、圧縮式熱分離手段の吸熱部で冷却された熱媒体を利用して空気が冷却される。一方、空気除湿手段で除湿された空気の温度が設定温度よりも低い場合には、空気温度調節手段の第2温度調節部により、圧縮式熱分離手段の放熱部で加熱された熱媒体を利用して空気が暖められる。このように、空気温度調節手段で必要となるエネルギーを圧縮式熱分離手段で得るように構成することにより、空調システムのエネルギー効率をより高めることができる。
【0017】
手段6に記載の発明は、上記手段5において、前記空気温度調節手段は、前記補助冷熱源で冷却された熱媒体を利用して空気を冷却する第3温度調節部、及び、前記補助熱源で加熱された熱媒体を利用して空気を暖める第4温度調節部から選択される少なくとも一方をさらに有することをその要旨とする。
【0018】
従って、上記手段6に記載の発明によれば、空気温度調節手段において、圧縮式熱分離手段の吸熱エネルギーを利用した第1温度調節部だけでは空気を十分に冷やせない場合、第3温度調節部により、補助冷熱源で冷却された熱媒体を利用して空気を冷却することができる。また、圧縮式熱分離手段の放熱エネルギーを利用した第2温度調節部だけでは空気を十分に暖められない場合、第4温度調節部により、補助熱源で加熱された熱媒体を利用して空気を暖めることができる。
【0019】
手段7に記載の発明は、上記手段1乃至6のいずれかにおいて、前記塗装ブース及び前記循環空調機を含んで構成される空気循環流路において、前記循環空調機の出口点、または前記外気空調機及び循環空調機から排出される空気の合流点以降の位置に配置される温度センサ及び湿度センサと、前記温度センサ及び前記湿度センサによって得られた温度及び湿度の情報に基づいて、前記空気の温度及び湿度が予め設定された温度及び湿度となるよう前記空気除湿手段、前記空気温度調節手段、前記空気冷却手段及び前記空気加熱手段を制御する循環空調機制御手段とを備えたことをその要旨とする。
【0020】
従って、上記手段7に記載の発明によれば、温度センサ及び湿度センサによって、循環空調機の出口点、または外気空調機及び循環空調機から排出される空気の合流点以降の温度及び湿度の情報が取得され、循環空調機制御手段によりその温度及び湿度の情報に基づいて、空気除湿手段、空気温度調節手段、空気冷却手段及び空気加熱手段が制御される。このようにすれば、循環空調機から塗装ブースに供給する空調空気を塗装に最適な温度及び湿度に調節することができる。
【0021】
手段8に記載の発明は、上記手段7において、前記循環空調機制御手段は、前記副空気冷却手段よりも前記主空気冷却手段を優先して稼動させるよう前記空気冷却手段を制御し、前記副空気加熱手段よりも前記主空気加熱手段を優先して稼動させるよう前記空気加熱手段を制御することをその要旨とする。
【0022】
従って、上記手段8に記載の発明によれば、循環空調機制御手段により、主空気冷却手段が優先されて稼動され、空気の冷却に必要なエネルギーが不足する場合には副空気冷却手段によってその不足するエネルギーが補助される。また、循環空調機制御手段により、主空気加熱手段が優先されて稼動され、空気の加熱に必要なエネルギーが不足する場合には、副空気加熱手段によってその不足するエネルギーが補助される。このように空気冷却手段及び空気加熱手段を制御することにより、空調システムのエネルギー効率を高めることができる。
【発明の効果】
【0023】
以上詳述したように、請求項1〜8に記載の発明によると、塗装ブースの排気除湿リサイクル空調システムのランニングコストを抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明を具体化した一実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。図1は、本実施の形態における塗装ブースの排気除湿リサイクル空調システムを示す概略構成図である。
【0025】
図1に示されるように、排気リサイクル空調システム1は、塗装ブース2とフレッシュ空調機3(外気空調機)とリサイクル空調機4(循環空調機)とヒートポンプ5(圧縮式熱分離手段)と制御装置6(循環空調機制御手段)とを備える。
【0026】
塗装ブース2は、被塗物(例えば、自動車部品など)の塗装を行うための塗装室11と、塗装室11の上側に設けられ塗装室11にダウンフロー(上方から下方に向かう一定方向)の空気を供給するための給気室12と、塗装室11の下側に設けられその塗装室11内の空気を排気するための排気室13とを備える。本実施の形態の塗装ブース2において、フレッシュ空調機3から排出される空気A1とリサイクル空調機4から排出される空気A2とは給気室12で混合された後、ダウンフローの空調空気として塗装室11に供給されている。
【0027】
そして、塗装室11において、図示しない塗装機から塗料ミストを噴射することで被塗物の塗装が行われる。このとき、塗装機からオーバースプレーされて飛散した塗料ミストは、塗装室11内に作用するダウンフローの空調空気によって塗装室11から排気室13に排出される。排気室13では、ブース循環水を使用して空気中に含まれる塗料ミストが捕捉され塗料が回収される。また、排気室13から排出される空気A3の一部は、送風ファン15によってリサイクル空調機4に送られる一方、残りの空気は送風ファン16によって大気に放出される。
【0028】
なお、本実施の形態において、リサイクル空調機4に回収される空気A4のリサイクル率は、例えば40%〜80%程度である。また、フレッシュ空調機3に取り込まれる空気A0とほぼ同量の空気A3が送風ファン16を通して大気に放出されるようになっている。
【0029】
フレッシュ空調機3は、外部からの空気A0を所定温度(例えば、23℃)及び所定湿度(例えば、70%RH)に調節する空調機であり、フィルタ、ヒータ、加湿器、冷却器等を備える。フレッシュ空調機3において、外部から取り込まれた空気A0は、フィルタで浄化された後、ヒータ、加湿器、冷却器等によって調温・調湿される。そして、所定温度及び所定湿度に調節された空気A1がフレッシュ空調機3から塗装ブース2に送られる。
【0030】
リサイクル空調機4は、排気室13から排出された空気A3を所定温度(例えば、23℃)及び所定湿度(例えば、70%RH)に調節する空調機である。なお、排気室13から排出される空気A3は、温度が例えば22℃程度であり湿度が85%RH程度である。リサイクル空調機4は、処理ゾーンZ1、再生ゾーンZ2及び冷却ゾーンZ3に区画されている。リサイクル空調機4内部には、空気に含まれる水分を吸着剤18に吸着させて除湿するためのデシカントロータ19(空気除湿手段)が設けられており、このデシカントロータ19が所定速度で回転することにより、吸着剤18が処理ゾーンZ1、再生ゾーンZ2、冷却ゾーンZ3の順に通過するようになっている。
【0031】
処理ゾーンZ1において、デシカントロータ19の下流側には、空気の温度を調節するための空気温度調節手段として、第1冷水コイル21、第2冷水コイル22、第1温水コイル23、及び第1蒸気コイル24が設けられている。さらに、処理ゾーンZ1における蒸気コイル24の下流側には、空調後の空気A2を塗装ブース2に送風するための送風ファン26が設けられている。
【0032】
再生ゾーンZ2において、デシカントロータ19の上流側には、外部から取り込まれた外気A5を加熱するための空気加熱手段として、第2温水コイル27及び第2蒸気コイル28が設けられている。さらに、再生ゾーンZ2におけるデシカントロータ19の下流側には、デシカントロータ19を通過した温風を外部に排気するための送風ファン29が設けられている。
【0033】
冷却ゾーンZ3において、デシカントロータ19の上流側には、外部から取り込まれた外気A6を冷却するための空気冷却手段として、第3冷水コイル31及び第4冷水コイル32が設けられている。さらに、冷却ゾーンZ3におけるデシカントロータ19の下流側には、デシカントロータ19を通過した冷風を外部に排気するための送風ファン30が設けられている。
【0034】
処理ゾーンZ1の第1冷水コイル21及び冷却ゾーンZ3の第3冷水コイル31には、ヒートポンプ5から冷水W1が供給され、処理ゾーンZ1の第2冷水コイル22及び冷却ゾーンZ3の第4冷水コイル32には、冷熱源33から冷水W2が供給される。また、処理ゾーンZ1の第1温水コイル23及び再生ゾーンZ2の第2温水コイル27には、ヒートポンプ5から温水W3が供給され、処理ゾーンZ1の第1蒸気コイル24及び再生ゾーンZ2の第2蒸気コイル28には、熱源34から蒸気S1が供給されている。
【0035】
ヒートポンプ5は、冷媒が流れる冷媒流路50を有している。冷媒流路50は環状をなす閉じられた流路であり、冷媒流路50上には、凝縮器51(放熱部)、蒸発器52(吸熱部)、コンプレッサ53、及び膨張弁54が設置されている。凝縮器51は、冷媒流路50と温水流路56との間で熱交換をする熱交換器であり、冷媒流路50を流れる冷媒の熱が温水流路56を流れる水に伝達(放熱)されるようになっている。また、蒸発器52は、冷媒流路50と冷水流路57との間で熱交換をする熱交換器であり、冷媒流路50を流れる冷媒に冷水流路57を流れる水の熱が伝達(吸熱)されるようになっている。
【0036】
コンプレッサ53は、凝縮器51の上流側(及び蒸発器52の下流側)に配置されており、冷媒流路50内を流れる冷媒を圧縮して凝縮器51に送るようになっている。また、膨張弁54は、凝縮器51の下流側(及び蒸発器52の上流側)に配置されており、冷媒流路50を開状態または閉状態に切り替えるようになっている。膨張弁54は、開状態に切り替えられた際に、蒸発器52に冷媒を供給可能とするようになっている。
【0037】
ヒートポンプ5において、温水流路56内を流れる水の加熱、及び、冷水流路57を流れる水の冷却は、以下の順次で行われる。先ず、膨張弁54を閉状態に切り替えた状態でコンプレッサ53を駆動し、冷媒を凝縮器51に送る。このとき、冷媒は膨張弁54によってせき止められているため、冷媒が凝縮器51に送られるのに伴って冷媒が圧縮され、凝縮器51付近の冷媒が高温となる。その結果、凝縮器51において、冷媒流路50内の冷媒の熱が温水流路56の水に伝達され、温水流路56内を流れる水が温水W3となる。この温水W3は、温水流路56を通して第1温水コイル23及び第2温水コイル27に供給される。
【0038】
また、凝縮器51の冷媒が圧縮されるのに伴って、蒸発器52付近の冷媒が膨張されて低温となる。その結果、蒸発器52において、冷水流路57内の水の熱が冷媒流路50内の冷媒に伝達され、冷水流路57内を流れる水が冷水W1となる。この冷水W1は、冷水流路57を通して第1冷水コイル21及び第3冷水コイル31に供給される。
【0039】
本実施の形態では、温水流路56の途中に流量調節弁(図示略)が設けられており、その流量調節弁が駆動されることにより第1温水コイル23と第2温水コイル27とに供給される温水W3の供給量が調節される。これによって、第1温水コイル23や第2温水コイル27における空気の加熱能力が制御される。また、冷水流路57の途中にも流量調節弁(図示略)が設けられており、その流量調節弁が駆動されることにより第1冷水コイル21と第3冷水コイル31とに供給される冷水W1の供給量が調節される。これによって、第1冷水コイル21や第3冷水コイル31における空気の冷却能力が制御される。
【0040】
さらに、熱源34から蒸気S1を供給する蒸気流路58の途中にも流量調節弁(図示略)が設けられており、その流量調節弁が駆動されることにより第1蒸気コイル24と第2蒸気コイル28とに供給される蒸気S1の供給量が調節される。これにより、第1蒸気コイル24や第2蒸気コイル28における空気の加熱能力が制御される。また、冷熱源33から冷水W2を供給する冷水流路59の途中にも流量調節弁(図示略)が設けられており、その流量調節弁が駆動されることにより第2冷水コイル22と第4冷水コイル32とに供給される冷水W2の供給量が調節される。これにより、第2冷水コイル22や第4冷水コイル32における空気の冷却能力が制御される。
【0041】
本実施の形態では、塗装ブース2及びリサイクル空調機4を含んで構成される空気循環流路60において、リサイクル空調機4の入口付近に温度センサ61及び湿度センサ62が設けられるとともに、リサイクル空調機4の出口付近に温度センサ63及び湿度センサ64が設けられている。また、リサイクル空調機4内の処理ゾーンZ1において、デシカントロータ19の下流側(及び第1冷水コイル21の上流側)に温度センサ65が設けられている。さらに、再生ゾーンZ2において、第2温水コイル27の上流側に温度センサ66が設けられるとともに第2蒸気コイル28の下流側(及びデシカントロータ19の上流側)に温度センサ67が設けられている。また、冷却ゾーンZ3において、第3冷水コイル31の上流側に温度センサ68が設けられるとともに第4冷水コイル32の下流側(及びデシカントロータ19の上流側)に温度センサ69が設けられている。そして、各センサ61〜69は、制御装置6に接続されている。
【0042】
制御装置6は、CPU71、ROM72、RAM73等からなる周知のコンピュータにより構成され、各センサ61〜69の検出値に基づいて、リサイクル空調機4を制御する。
【0043】
具体的には、リサイクル空調機4の処理ゾーンZ1において、塗装ブース2の排気室13から排出された空気A3の一部がデシカントロータ19を通過することで除湿され、さらに第1冷水コイル21、第2冷水コイル22、第1温水コイル23、第1蒸気コイル24を通過することで温度調節される。そして、調温・調湿された空気A2は送風ファン26によって塗装ブース2に送られる。ここで、制御装置6は、各センサ61〜65の検出値に応じて得られる空気の温度や湿度に基づいて、デシカントロータ19の回転速度を制御することでデシカントロータ19の除湿能力を調整するとともに、流量調節弁(図示略)やヒートポンプ5を駆動制御することで第1冷水コイル21及び第2冷水コイル22の冷却能力や第1温水コイル23及び第1蒸気コイル24の加熱能力を調節する。その結果、所定の設定温度(例えば、23℃)及び設定湿度(例えば、70%RH)に保たれた空気A2が塗装ブース2に送られる。
【0044】
また、リサイクル空調機4の再生ゾーンZ2では、外部から取り込まれた外気A5が第2温水コイル27及び第2蒸気コイル28を通過することで加熱され、それにより得られた温風がデシカントロータ19の吸着剤18に作用される。これにより、デシカントロータ19の吸着剤18から水分を放出させて、デシカントロータ19の除湿能力を回復させる。そして、デシカントロータ19を通過して高湿状態となった空気は送風ファン29によって外部に排気される。ここで、制御装置6は、各温度センサ66,67の検出値に応じて得られる外気の温度及び温風の温度に基づいて、温水流路56及び蒸気流路58の流量調節弁(図示略)を駆動制御することにより第2温水コイル27及び第2蒸気コイル28の加熱能力を調節する。その結果、デシカントロータ19の吸着剤18に作用する温風の温度が一定に保たれる。
【0045】
さらに、リサイクル空調機4の冷却ゾーンZ3では、外部から取り込まれた外気A6が第3冷水コイル31及び第4冷水コイル32を通過することで冷却され、それにより得られた冷風がデシカントロータ19の吸着剤18に作用される。これにより、デシカントロータ19の吸着剤18を冷却する。そして、デシカントロータ19を通過した空気は送風ファン30によって外部に排気される。ここで、制御装置6は、各温度センサ68,69の検出値に応じて得られる外気の温度及び冷風の温度に基づいて、冷水流路57,59の流量調節弁(図示略)を駆動制御することにより第3冷水コイル31及び第4冷水コイル32の冷却能力を調節する。その結果、デシカントロータ19の吸着剤18に作用する冷風の温度が一定に保たれる。
【0046】
なお、本実施の形態の空調システム1では、エネルギー効率を高めるために、ヒートポンプ5の冷水W1は、処理ゾーンZ1の第1冷水コイル21よりも冷却ゾーンZ3の第3冷水コイル31に優先的に供給されるようになっている。また、ヒートポンプ5の温水W3は、処理ゾーンZ1の第1温水コイル23よりも再生ゾーンZ2の第2温水コイル27に優先的に供給されるようになっている。
【0047】
従って、本実施の形態によれば以下の効果を得ることができる。
【0048】
(1)本実施の形態の排気リサイクル空調システム1では、リサイクル空調機4において、空気に含まれる水分をデシカントロータ19の吸着剤18に吸着させて湿度を調節し、その吸着剤18の再生及び冷却に必要となる放熱エネルギー及び吸熱エネルギーをヒートポンプ5を用いて得るように構成している。このようにすれば、エネルギーを効率よく利用することができ、空調システム1のランニングコストを低く抑えることができる。
【0049】
(2)本実施の形態の排気リサイクル空調システム1では、再生ゾーンZ2において、第2温水コイル27の下流側に第2蒸気コイル28が配設されている。従って、外部から取り込まれた外気A5の温度が低く、ヒートポンプ5からの温水W3を利用した第2温水コイル27の放熱エネルギーだけでは空気を十分に暖められない場合、熱源34で加熱された蒸気S1を利用して第2蒸気コイル28により空気を温めることができる。そして、十分に暖められた温風によってデシカントロータ19の吸着剤18を確実に再生することができる。
【0050】
(3)本実施の形態の排気リサイクル空調システム1では、冷却ゾーンZ3において、第3冷水コイル31の下流側に第4冷水コイル32が設けられている。従って、外部から取り込まれた外気A6の温度が高く、ヒートポンプ5からの冷水W1を利用した第3冷水コイル31の吸熱エネルギーだけでは空気を十分に冷やせない場合、冷熱源33で冷却された冷水W2を利用して第4冷水コイル32により空気を冷却することができる。そして、十分に冷やされた冷風によってデシカントロータ19の吸着剤18を確実に冷やすことができる。
【0051】
(4)本実施の形態の排気リサイクル空調システム1では、再生ゾーンZ2において、ヒートポンプ5を熱源とする第2温水コイル27が第2蒸気コイル28の上流側に配置されているので、その第2温水コイル27によって空気を効率よく暖めることができる。また、冷却ゾーンZ3において、ヒートポンプ5を冷熱源とする第3冷水コイル31が第4冷水コイル32の上流側に配置されているので、その第3冷水コイル32によって空気を効率よく冷却することができる。
【0052】
(5)本実施の形態の排気リサイクル空調システム1では、リサイクル空調機4の処理ゾーンZ1において、デシカントロータ19の下流側に第1冷水コイル21及び第2冷水コイル22が設けられているとともに、第1温水コイル23及び第1蒸気コイル24が設けられている。デシカントロータ19の吸着剤18は空気中の水分を吸着する際に発熱するため、吸着剤18で除湿された空気の温度が設定温度よりも高くなる場合がある。この場合、第1冷水コイル21及び第2冷水コイル22によって空気を冷却することができる。また逆に、除湿された空気の温度が設定温度よりも低くなる場合、第1温水コイル23及び第1蒸気コイル24により空気を暖めることができる。
【0053】
(6)本実施の形態の排気リサイクル空調システム1において、ヒートポンプ5の冷水W1は、処理ゾーンZ1の第1冷水コイル21よりも冷却ゾーンZ3の第3冷水コイル31に優先的に供給されるようになっている。このため、第1冷水コイル21では十分な冷却能力を確保できない場合がある。この場合には、第1冷水コイル21の下流側に設けた第2冷水コイル22により冷熱源33の冷水W2を利用して空気を確実に冷却することができる。また、ヒートポンプ5の温水W3は、処理ゾーンZ1の第1温水コイル23よりも再生ゾーンZ2の第2温水コイル27に優先的に供給されるようになっている。このため、第1温水コイル23で十分な加熱能力を確保できない場合がある。この場合には、第1温水コイル23の下流側に設けた第1蒸気コイル24により熱源34の蒸気S1を利用して空気を確実に暖めることができる。
【0054】
(7)本実施の形態の排気リサイクル空調システム1では、塗装ブース2及びリサイクル空調機4を含んで構成される空気循環流路60において、リサイクル空調機4における空気の入口付近及び出口付近に温度センサ61,63及び湿度センサ62,64が配置されるとともに、空調機4内に温度センサ65が配置されている。そして、各センサ61〜65で取得される温度及び湿度の情報が制御装置6に取得され、温度及び湿度の情報に基づいて、デシカントロータ19の除湿能力、各冷水コイル21,22の冷却能力、第1温水コイル23の加熱能力、及び第1蒸気コイル24の加熱能力を制御することができる。このようにすれば、リサイクル空調機4から塗装ブース2に供給する空気A2を塗装に最適な温度及び湿度に調節することができる。
【0055】
(8)本実施の形態の排気リサイクル空調システム1では、制御装置6は、再生ゾーンZ2における第2蒸気コイル28よりも第2温水コイル27を優先して稼動させるようヒートポンプ5及び流量調節弁を制御している。また、制御装置6は、冷却ゾーンZ3における第4冷水コイル32よりも第3冷水コイル31を優先して稼動させるようヒートポンプ5及び流量調節弁を制御している。このようにすれば、ヒートポンプ5で発生するエネルギーを第2温水コイル27及び第3冷水コイル31で無駄なく利用することができ、空調システム1のエネルギー効率を高めることができる。
【0056】
なお、本発明の実施の形態は以下のように変更してもよい。
【0057】
・上記実施の形態では、リサイクル空調機4の再生ゾーンZ2において、主空気加熱手段としての第2温水コイル27に加えて副空気加熱手段としての第2蒸気コイル28を設けるものであったが、第2温水コイル27のみにて十分な加熱能力を確保できる場合は第2蒸気コイル28を省略してもよい。また、冷却ゾーンZ3において、主空気冷却手段としての第3冷水コイル31に加えて副空気冷却手段としての第4冷水コイル32を設けるものであったが、第3冷水コイル31のみにて十分な冷却能力を確保できる場合は第4冷水コイル32を省略してもよい。さらに、処理ゾーンZ1における空気温度調節手段として、第1冷水コイル21、第2冷水コイル22、第1温水コイル23、及び第1蒸気コイル24を設けるものであったが、これに限定されるものではない。例えば、ヒートポンプ5を熱源とする第1冷水コイル21や第1温水コイル23を省略して、第2冷水コイル22と第1蒸気コイル24とにより空気温度調節手段を構成してもよい。また、第2冷水コイル22や第1蒸気コイル24を省略して、第1冷水コイル21と第1温水コイル23とにより空気温度調節手段を構成してもよい。
【0058】
・上記実施の形態では、リサイクル空調機4の処理ゾーンZ1において、デシカントロータ19の下流側に、第1冷水コイル21、第2冷水コイル22、第1温水コイル23、及び第1蒸気コイル24(空気温度調節手段)を設ける構成であったが、これに限定されるものではない。例えば、デシカントロータ19の上流側に各コイル21〜24を設け、空気の除湿前に温度調節を行うように構成してもよい。
【0059】
・上記実施の形態では、リサイクル空調機4の出口点に温度センサ63及び湿度センサ64を設け、その出口点での空気A2の温度及び湿度に基づいて、リサイクル空調機4を制御するものであったが、これに限定されるものではない。例えば、各空調機3,4から排出される空気A1,A2の合流点となる塗装ブース2の給気室12に温度センサ63及び湿度センサ64を設け、各センサ63,64にて検出された温度及び湿度に基づいて、リサイクル空調機4を制御してもよい。
【0060】
・上記実施の形態では、圧縮式熱分離手段としてヒートポンプ5を用いたが、これに限定されるものではなく、エアコンや冷蔵庫等に使用されている圧縮式の熱交換器を用いてもよい。ただし、上記実施の形態のようにヒートポンプ5を用いた場合、放熱エネルギーと吸熱エネルギーとについてほぼ等しいエネルギーを発生させることができるので、エネルギー効率を高めることができる。
【0061】
・上記実施の形態では、冷熱源33や熱源34をリサイクル空調機4の専用熱源として用いていたが、冷熱源33や熱源34をフレッシュ空調機3と共有する構成としてもよい。また、冷熱源33や熱源34では、熱媒体として冷水W2や蒸気S1を用いたが、これ以外のガスや液体などを用いてもよい。
【0062】
次に、特許請求の範囲に記載された技術的思想のほかに、前述した実施の形態によって把握される技術的思想を以下に列挙する。
【0063】
(1)上記手段1乃至8のいずれかにおいて、前記空気除湿手段は、回転速度に応じて除湿能力が調整可能なデシカントロータであることを特徴とする塗装ブースの排気除湿リサイクル空調システム。
【0064】
(2)上記手段7または8において、前記再生ゾーンの入口点に配置される温度センサを備え、前記循環空調機制御手段は、前記温度センサの検出値によって得られた前記入口点の温度情報に基づいて、前記空気加熱手段を制御することを特徴とする塗装ブースの排気除湿リサイクル空調システム。
【0065】
(3)上記手段7または8において、前記冷却ゾーンの入口点に配置される温度センサを備え、前記循環空調機制御手段は、前記温度センサの検出値によって得られた前記入口点の温度情報に基づいて、前記空気冷却手段を制御することを特徴とする塗装ブースの排気除湿リサイクル空調システム。
【0066】
(4)上記手段3において、前記補助冷熱源及び補助熱源は、前記外気空調機にて空気を空調するために用いられるものであることを特徴とする塗装ブースの排気除湿リサイクル空調システム。
【0067】
(5)上記手段1乃至8のいずれかにおいて、前記圧縮式熱分離手段は、前記冷却部として蒸発器を有するとともに、前記温熱部として凝縮器を有するヒートポンプであることを特徴とする塗装ブースの排気除湿リサイクル空調システム。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明を具体化した一実施の形態の塗装ブースの排気除湿リサイクル空調システムを示す概略構成図。
【図2】従来の塗装ブースの排気除湿リサイクル空調システムを示す概略構成図。
【符号の説明】
【0069】
1…排気リサイクル空調システム
2…塗装ブース
3…外気空調機としてのフレッシュ空調機
4…循環空調機としてのリサイクル空調機
5…圧縮式熱分離手段としてのヒートポンプ
6…循環空調機制御手段としての制御装置
21…第1温度調節部としての第1冷水コイル
22…第3温度調節部としての第2冷水コイル
23…第2温度調節部としての第1温水コイル
24…第4温度調節部としての第1蒸気コイル
27…主空気加熱手段としての第2温水コイル
28…副空気加熱手段としての第2蒸気コイル
31…主空気冷却手段としての第3冷水コイル
32…副空気冷却手段としての第4冷水コイル
33…補助冷熱源としての冷熱源
34…補助熱源としての熱源
51…放熱部としての凝縮器
52…吸熱部としての蒸発器
63…温度センサ
64…湿度センサ
A0,A1,A2,A3,A4…空気
A5,A6…外気
S1…熱媒体としての蒸気
W1,W2…熱媒体としての冷水
W3…熱媒体としての温水

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空調された空気を一定方向に流しつつ被塗物に塗料を吹き付けて塗装を行うための塗装ブースと、
前記塗装ブースの外部から空気を取り込み、その空気の温度及び湿度を調節して前記塗装ブースに向けて送気する外気空調機と、
前記塗装ブースから排気される空気の一部を回収し、その空気の温度及び湿度を調節して再び前記塗装ブースに向けて送気する循環空調機と
熱媒体を冷却する吸熱部及び熱媒体を加熱する放熱部を有する圧縮式熱分離手段と
を備え、
前記循環空調機は、処理ゾーン、再生ゾーン及び冷却ゾーンに区画され、前記処理ゾーンにおいて前記空気に含まれる水分を吸着剤に吸着させて除湿する空気除湿手段と、前記処理ゾーンにおいて前記空気の温度を調節する空気温度調節手段と、前記再生ゾーンにおいて外部から取り込まれた外気を加熱するとともに加熱して得られた温風を前記処理ゾーン通過後の前記吸着剤に作用させて再生する空気加熱手段と、前記冷却ゾーンにおいて外部から取り込まれた外気を冷却するとともに冷却して得られた冷風を前記再生ゾーン通過後の前記吸着剤に作用させて冷却する空気冷却手段とを有し、
前記空気冷却手段は、前記圧縮式熱分離手段の前記吸熱部で冷却された熱媒体を利用して空気を冷却する主空気冷却手段を含み、前記空気加熱手段は、前記圧縮式熱分離手段の前記放熱部で加熱された熱媒体を利用して空気を暖める主空気加熱手段を含む
ことを特徴とする塗装ブースの排気除湿リサイクル空調システム。
【請求項2】
前記空気冷却手段は、補助冷熱源で冷却された熱媒体を利用して前記空気を冷却する副空気冷却手段をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の塗装ブースの排気除湿リサイクル空調システム。
【請求項3】
前記空気加熱手段は、補助熱源で加熱された熱媒体により前記空気を暖める副空気加熱手段をさらに含むことを特徴とする請求項1または2に記載の塗装ブースの排気除湿リサイクル空調システム。
【請求項4】
前記空気冷却手段において、前記主空気冷却手段は前記副空気冷却手段の上流側に配置され、前記空気加熱手段において、前記主空気加熱手段は前記副空気加熱手段の上流側に配置されることを特徴とする請求項3に記載の塗装ブースの排気除湿リサイクル空調システム。
【請求項5】
前記空気温度調節手段は、前記空気除湿手段の下流側に配置され、その空気除湿手段にて除湿された空気の温度を調整するものであり、前記圧縮式熱分離手段の前記吸熱部で冷却された熱媒体を利用して前記空気を冷却する第1温度調節部と、前記圧縮式熱分離手段の前記放熱部で加熱された熱媒体を利用して前記空気を暖める第2温度調節部とを有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の塗装ブースの排気除湿リサイクル空調システム。
【請求項6】
前記空気温度調節手段は、前記補助冷熱源で冷却された熱媒体を利用して空気を冷却する第3温度調節部、及び、前記補助熱源で加熱された熱媒体を利用して空気を暖める第4温度調節部から選択される少なくとも一方をさらに有することを特徴とする請求項5に記載の塗装ブースの排気除湿リサイクル空調システム。
【請求項7】
前記塗装ブース及び前記循環空調機を含んで構成される空気循環流路において、前記循環空調機の出口点、または前記外気空調機及び循環空調機から排出される空気の合流点以降の位置に配置される温度センサ及び湿度センサと、
前記温度センサ及び前記湿度センサによって得られた温度及び湿度の情報に基づいて、前記空気の温度及び湿度が予め設定された温度及び湿度となるよう前記空気除湿手段、前記空気温度調節手段、前記空気冷却手段及び前記空気加熱手段を制御する循環空調機制御手段と
を備えたことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の塗装ブースの排気除湿リサイクル空調システム。
【請求項8】
前記循環空調機制御手段は、前記副空気冷却手段よりも前記主空気冷却手段を優先して稼動させるよう前記空気冷却手段を制御し、前記副空気加熱手段よりも前記主空気加熱手段を優先して稼動させるよう前記空気加熱手段を制御することを特徴とする請求項7に記載の塗装ブースの排気除湿リサイクル空調システム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−121783(P2010−121783A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−292939(P2008−292939)
【出願日】平成20年11月17日(2008.11.17)
【出願人】(000110343)トリニティ工業株式会社 (147)
【Fターム(参考)】