説明

塗装作業訓練装置

【課題】塗料を噴霧せずに、被塗物とハンドガンとの距離や軌跡に沿ったハンドガンの動かし方の習得可能な訓練装置を提供する。
【解決手段】塗装作業訓練装置(ハンドガン)1は、ハンドガン本体2と、ハンドガン本体2の後端部近傍の下面に下方に向けて突設されたグリップ3と、グリップ3の前部位置でハンドガン本体2に軸支されたトリガー4と、グリップ3の下方位置から導入されグリップ内3およびハンドガン本体2内に離間して配設された3条のレーザー導入光ファイバケーブルと、各レーザー導入光ファイバケーブルの先端部にそれぞれ設けられ、ハンドガン本体2の先端部に離間して配置される複数個のプローブ6a、6b、6cと、グリップ3内に配設され、各レーザー導入光ファイバケーブルの光路をオンオフし得る遮光装置7と、水を供給するホース8と、霧化用のエアホースとを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗装作業訓練装置に係わり、特に、バンパー塗装等の塗装作業を習熟するための塗装作業訓練装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、バンパー等の塗装を行うに際しては、作業者が生産ラインで正式に塗装作業を行う前に、塗装作業を習熟させるための訓練が行われている。
【0003】
従来から、この種の塗装作業の訓練は図7に示すようにして行われている。先ず、バンパー等の被塗物面100には、予め塗装機(不図示)の移動の軌跡200が描かれており、また、図示しない塗装ハンドガン(不図示)の先端部にはバンパー等の被塗物と塗装機の距離と同じ長さの棒体(不図示)が取り付けられている。
【0004】
しかして、作業者が棒体の先端部をバンパー等の被塗物面100に対して直交させた状態で被塗物面100に摺接させながら軌跡200に沿って移動させることで塗装作業の習熟が行われる。
【0005】
しかしながら、このような実際に塗料の噴霧を行わないバンパー塗装等の塗装作業訓練においては、作業者は移動軌跡200に沿った塗装ハンドガンの動かし方を習得できるものの、次のような難点があった。
【0006】
第1に、塗装ハンドガンの動かし方の習得のみとなり、塗装パターン幅(塗り幅)を体得することができない。
【0007】
第2に、このような塗装作業訓練によれば、バンパーのように被塗物が平面である場合には容易に行うことができるものの、実際の手吹き塗装においては、ボディー塗装の補正や内板塗装も行う必要があることから、ドア内面板面のような隠れた場所への塗料を入り込ませるための訓練ができない。
【0008】
第3に、このような塗装作業訓練では、実際に塗料を用いないことから、噴霧している塗料の軌跡を見ることができず、作業者は塗装作業の臨場感を習得することができない。
【0009】
なお、このようなバンパー塗装の作業訓練装置については、記載すべき先行技術文献情報は見当たらない。
【0010】
一方、他の塗装技術としては、先端に塗装機を取り付けるための多軸ロボットアームを備えた塗装ロボットで塗装するティーチング装置が知られているが(例えば、特許文献1、2参照)、かかるティーチング装置は、ロボットのティーチングに主眼をおいていることから、数値情報は得られるものの、直接作業者が塗装作業を理解することができず、また塗装作業を理解しながら塗装作業を平行して行うことができないという難点があった。
【0011】
【特許文献1】特開平10−264059号公報
【特許文献2】特開平10−264060号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上述の難点を解決するためになされたもので、実際に塗料を噴霧しなくとも、被塗物とハンドガンとの距離や軌跡に沿ったハンドガンの動かし方を習得することができる塗装作業訓練装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の第1の態様である塗装作業訓練装置は、ハンドガン本体と、ハンドガン本体内に配設される複数条のレーザー導入光ファイバケーブルと、各レーザー導入光ファイバケーブルの先端部にそれぞれ設けられ、ハンドガン本体の先端部に離間して配置されるプローブとを備えるものである。
【0014】
第1の態様である塗装作業訓練装置によれば、塗料に代えて、プローブの先端部からレーザー光を出射することができることから、局所排気装置(局排)や空調のない環境下でも使用することができ、また、レーザー光をレーザー導入光ファイバケーブルで誘導していることから、実施場所が防爆に指定されていても使用することができる。さらに、隠れた場所への塗料の入り込みは、レーザー光が入るか否かで確認できることから、ドア内板面のように、塗装面が影になりそうな場合でも事前に確認することができ、また、光が外れている部位を確認することにより、塗り外しを確認することができる。
【0015】
本発明の第2の態様は、第1の態様である塗装作業訓練装置において、ハンドガン本体またはハンドガン本体に連設されたグリップには、各レーザー導入光ファイバケーブルの光路をオンオフ操作可能な遮光装置が配設されているものである。
【0016】
第2の態様である塗装作業訓練装置によれば、第1の態様である塗装作業訓練装置の作用・効果に加え、遮光装置を操作することで、レーザー導入光ファイバケーブルの光路をオンオフ操作することができる。
【0017】
本発明の第3の態様は、第1の態様または第2の態様である塗装作業訓練装置において、ハンドガン本体には、トリガーが設けられ、トリガーと遮光装置は連動するように構成されているものである。
【0018】
第3の態様である塗装作業訓練装置によれば、第1の態様または第2の態様である塗装作業訓練装置の作用・効果に加え、トリガーを機械的に引くことで、レーザー光の光路を自動的にオンオフ操作することができ、防爆場所に指定されていても訓練を行うことができる。
【0019】
本発明の第4の態様は、第1の態様乃至第3の態様の何れかの態様である塗装作業訓練装置において、ハンドガン本体の先端部には、水を噴霧するためのノズルが設けられているものである。
【0020】
第4の態様である塗装作業訓練装置によれば、第1の態様乃至第3の態様の何れかの態様の塗装作業訓練装置の作用・効果に加え、ノズルから水を噴射させレーザー光を照射すると、水の噴霧による光の散乱で光の軌跡を目視することができ、また、実際の塗装の臨場感を得ることができる。
【0021】
本発明の第5の態様は、第1の態様乃至第4の態様の何れかの態様である塗装作業訓練装置において、各プローブから、帯状または楕円状のレーザー光が出射されるものである。
【0022】
第5の態様である塗装作業訓練装置によれば、第1の態様乃至第4の態様の何れかの態様の塗装作業訓練装置の作用・効果に加え、被塗物に照射されるレーザー光を同一線上に位置するように調整することで、塗装パターン幅、塗装の塗り重ね部、ハンドガンと被塗物の距離およびハンドガンの傾きを確認することができる。
【0023】
本発明の第6の態様は、第1の態様乃至第5の態様の何れかの態様である塗装作業訓練装置において、各プローブから、異なる波長のレーザーが出射されるものである。
【0024】
第6の態様である塗装作業訓練装置によれば、第1の態様乃至第5の態様の何れかの態様の塗装作業訓練装置の作用・効果に加え、塗装パターン幅、塗装の塗り重ね部、ハンドガンと被塗物の距離およびハンドガンの傾きをより一層容易に確認することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明の第1の態様乃至第6の態様の塗装作業訓練装置によれば、次のような効果がある。
【0026】
第1に、塗料に代えて、プローブの先端部からレーザー光を出射することができることから、局所排気装置(局排)や空調のない環境下でも使用することができる。
【0027】
第2に、レーザー光をレーザー導入光ファイバケーブルで誘導していることから、実施場所が防爆に指定されていても使用することができる。
【0028】
第3に、隠れた場所への塗料の入り込みは、レーザー光が入るか否かで確認できることから、ドア内板面のように、塗装面が影になりそうな場合でも事前に確認することができる。
【0029】
第4に、光が外れている部位を確認することにより、塗り外しを確認することができる。
【0030】
第5に、ハンドガン本体またはグリップに各レーザー導入光ファイバケーブルの光路をオンオフ操作可能な遮光装置を配設した場合には、遮光装置を操作することで、レーザー導入光ファイバケーブルの光路をオンオフ操作することができる。
【0031】
第6に、トリガーと遮光装置を連動するように構成した場合には、トリガーを機械的に引くことで、レーザー光の光路を自動的にオンオフ操作することができ、防爆場所に指定されていても訓練を行うことができる。
【0032】
第7に、ハンドガン本体の先端部に水を噴霧するためのノズルを設けた場合には、ノズルから水を噴射させレーザー光を照射すると、水の噴霧による光の散乱で光の軌跡を目視することができ、また、実際の塗装の臨場感を得ることができる。
【0033】
第8に、各プローブから、帯状または楕円状のレーザー光を出射させる場合には、被塗物に照射されるレーザー光を同一線上に位置するように調整することで、塗装パターン幅、塗装の塗り重ね部、ハンドガンと被塗物の距離およびハンドガンの傾きを確認することができる。
【0034】
第9に、各プローブから、異なる波長のレーザーを出射させる場合には、塗装パターン幅、塗装の塗り重ね部、ハンドガンと被塗物の距離およびハンドガンの傾きをより一層容易に確認することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、本発明の塗装作業訓練装置を適用した最良の実施の形態例について、図面を参照して説明する。
【0036】
図1は、本発明の実施例における塗装作業訓練装置の一例を示す模式図を示している。
【0037】
図1(a)において、本発明における塗装作業訓練装置(ハンドガン)1は、幅寸法H(図1(b)参照)が40mm程度のハンドガン本体2と、ハンドガン本体2の後端部近傍の下面に下方に向けて突設されたグリップ3と、グリップ3の前部位置でハンドガン本体2に軸支されたトリガー4と、グリップ3の下方位置から導入されグリップ内3およびハンドガン本体2内に離間して配設された3条のレーザー導入光ファイバケーブル5a、5b、5cと、各レーザー導入光ファイバケーブル5a、5b、5cの先端部にそれぞれ設けられ、ハンドガン本体2の先端部に離間して配置される複数個のプローブ6a、6b、6cと、グリップ3内に配設され、各レーザー導入光ファイバケーブル5a、5b、5cの光路をオンオフし得る遮光装置7と、水を供給するホース8と、霧化用のエアホース9とを備えている。
【0038】
3条のレーザー導入光ファイバケーブル5a、5b、5cは図2(b)、(c)に示すように、それぞれ図示しない光源からグリップ3内の遮光装置7に跨って配設される下部側レーザー導入光ファイバケーブル51a、51b、51cと、遮光装置7からハンドガン本体2の先端部に跨って配設される上部側レーザー導入光ファイバケーブル52a、52b、52cとで構成され、上部側レーザー導入光ファイバケーブル52a、52b、52cの各先端部にはプローブ6a、6b、6cが設けられている。
【0039】
ハンドガン本体2の先端部中心には、図1(b)、(c)に示すように、水を噴射させるためのノズル21が設けられており、このノズル21の外周には、断面視縦長(図中鉛直線方向の寸法が広幅)の帯状のレーザー光を出射し得る3個のプローブ6a、6b、6c(以下、プローブ6aを「第1のプローブ」、プローブ6bを「第2のプローブ」、プローブ6cを「第3のプローブ」という。)が円周方向に離間して配置されている。この実施例では、第1、第3のプローブ6a、6cがノズル21から見て図中左側であって、同一の鉛直線上でかつノズル21の中心を通る水平線を挟んで対称の位置に離間して配置され、第2のプローブ6bがノズル21から見て図中右側であって前記水平線上に配置されている。
【0040】
また、第1〜第3のプローブ6a、6b、6cからそれぞれ異なる波長のレーザー光が出射されるように構成されている。この実施例では、第1、第3のプローブ6a、6cからそれぞれ同一色、例えば赤のレーザー光が出射され、第2のプローブ6bから第1、第3のプローブ6a、6cから出射されるレーザー光と異なる色、例えば緑のレーザー光が出射されるように構成されている。なお、帯状のレーザー光はレーザー導入光ファイバケーブルを構成する光ファイバの端面を加工することにより、若しくは光ファイバの出射端面に配置したレンズを組み合わせることにより作製することができる。
【0041】
遮光装置7は、図2に示すように、グリップ3内の上端部側に水平に配置され、上部側レーザー導入光ファイバケーブル52a、52b、52cを所定の間隔で保持するための上部保持部材71と、上部保持部材71の下部側に平行に離間して配置され、下部レーザー導入光ファイバケーブル51a、51b、51cを所定の間隔で保持するための下部保持部材72と、上下部保持部材71、72の間隙Gに挿脱自在に配設される平板状の遮光部材73とを備えており、この遮光部材73には後述する連動部材10が取り付けられている。
【0042】
上下部保持部材71、72は断面視矩形状の棒状部材から成り、上部保持部材71には上部側レーザー導入光ファイバケーブル52a、52b、52cをそれぞれ装着し得る上部挿入孔(不図示)が離間して配設され、下部保持部材72には上部挿入孔と対応する位置に下部レーザー導入光ファイバケーブル51a、51b、51cをそれぞれ装着し得る下部挿入孔(不図示)が離間して配設されている。しかして、上部保持部材71の各上部挿入孔にはそれぞれ対応する上部側レーザー導入光ファイバケーブル52a、52b、52cの下端部側が装着され、下部保持部材72の各下部挿入孔にはそれぞれ対応する下部側レーザー導入光ファイバケーブル51a、51b、51cの上端部側が装着されている。なお、上部側レーザー導入光ファイバケーブル52a、52b、52cの下端部および下部側レーザー導入光ファイバケーブル51a、51b、51cの上端部、すなわち、対向するように配置された一対の上下部レーザー導入光ファイバケーブルの対向端面は切断された状態でそれぞれ露出しており、下部側レーザー導入光ファイバケーブル51a、51b、51c側の上端面からそれぞれ出射されるレーザー光は隙間(空間)Gを介してそれぞれ対応する上部側レーザー導入光ファイバケーブル52a、52b、52cの下端面に入射されるように構成されている。なお、各下部側レーザー導入光ファイバケーブル51a、51b、51cの下端部側には図示しないレーザー光源が接続されている。
【0043】
連動部材10は所定長の例えば平板状の連結部材10aを備えており、当該連結部材10aの一端側は遮光部材73の例えば側縁部前方側に連結され、他端側はコイル状のバネ部材等から成る弾性部材(不図示)を介してトリガー4に連結されている。
【0044】
なお、図1、2図中、符号11はグリップ3の前部位置でトリガー4の下端部と対応する位置に設けられたストッパ、12はハンドガン本体2とホース8との連結部、13はグリップ3の下端部においてホース8を把持する把持部材、14は3条のレーザー導入光ファイバケーブルを纏めるための締結バンドを示している。
【0045】
次に、このように構成された塗装作業訓練装置1の動作について説明する。
【0046】
図2において、先ず、トリガー4を矢印方向15に引くと連動部材10としての連結部材10aを介して遮光部材73が一対の上下部保持部材71、72の隙間Gから抜き出され、遮光部材73がグリップ3外に引き出される。これにより、光路がオン(導入)されることになる。具体的には、下部側レーザー導入光ファイバケーブル51a、51b、51cの上端面から出射されるレーザー光が隙間(空間)Gをとおり上部側レーザー導入光ファイバケーブル52a、52b、52cの下端面に入射される。これにより、第1〜第3のプローブ6a、6b、6cから図3(a)に示すように、帯状のレーザー光La、Lb、Lcが出射され、バンパー等の被塗物面16に同一の線上(鉛直線上)に並ぶようにレーザー光La、Lb、Lcが照射される。この実施例では、被塗物16面に規定の距離、すなわち被塗物面16とハンドガン本体3の先端部との距離が200mm程度でレーザー光La、Lb、Lcが同一の線上(鉛直線上)に並ぶように第1〜第3のプローブ6a、6b、6cの設置角度が調整される。なお、帯状のレーザー光La、Lb、Lcの幅(図中鉛直方向の幅)は、レーザー光La、Lb、Lcの色の境界が塗り重ね部若しくはパターン内の膜厚分布に合わせて設定されている。なお、通常、実際のスプレー塗装に於いては塗装条件に合わせて均一な膜厚になるようにパターン幅内で規定の長さで塗り重ねて塗装される。
【0047】
次に、トリガー4を離すと連動部材10としての弾性部材(不図示)の作用により遮光部材73が原位置に復帰し、これにより光路がオフ(遮光)されることになる。
【0048】
ここで、ハンドガン(手吹き塗装作業訓練装置)距離の判断基準について説明する。先ず、この実施例では、ハンドガン本体2の幅が40mm程度で、レーザー光La、Lb、Lcが約200mm先で同一の線上(鉛直線上)に位置させるため、帯状のレーザー光La、Lb、Lcの出射角度θはそれぞれ5.7°程度とされている。
【0049】
このような状態において、プローブ6a、6b、6cから出射される帯状のレーザー光La、Lb、Lcの被塗物面16への照射状況を目視にて確認する。
【0050】
ハンドガン距離は、レーザー光源の条件から、図4(a)に示すように、ハンドガン距離が規定の距離(200mm)より近ければ第1〜第3のプローブ6a、6b、6cに係るレーザー光La、Lb、Lc間の隙間gが空き、ハンドガン距離が規定の距離より遠ければ、図4(c)に符合gで示すように、レーザー光La、Lb、Lcが重なり、ハンドガン距離が適切(規定の距離と同等の距離)であれば、図4(b)に示すように、レーザー光La、Lb、Lcの隙間gや重なりgがなく同一の線上(鉛直線上)に並ぶように照射されることになる。これにより、作業者は被塗物面16に図4(b)に示すようなレーザー光La、Lb、Lcが照射された場合にハンドガン距離が適正であると確認することができる。
【0051】
次に、ハンドガンの左右の傾きは、帯状のレーザー光La、Lb、Lc、すなわち若干厚み(断面視縦長(図中水平線方向の寸法が狭幅))を有するレーザー光La、Lb、Lcをハンドガンの左右から被塗物面16に照射していることから、ハンドガンが右に傾けば図5(c)に示すように、赤色のレーザー光Lbが太くてかつ緑色のレーザー光La、Lcが細くなり、これに対して、ハンドガンが左に傾けば図5(a)に示すように緑色のレーザー光Lbが太くてかつ赤色のレーザー光La、Lcが細くなり、ハンドガンの傾きが適正であれば、図5(b)に示すように赤色のレーザー光La、Lcおよび緑色のレーザー光Lbが同一に線上に並ぶように同一の幅となる。これにより、作業者は被塗物面16に図5(b)に示すようなレーザー光La、Lb、Lcが照射された場合にハンドガンの傾きが適正であると確認することができる。
【0052】
以上のように、本発明の塗装作業訓練装置によれば、第1に、塗料に代えて、プローブ6a、6b、6cの先端部からレーザー光La、Lb、Lcを出射することができることから、局所排気装置(局排)や空調のない環境下でも使用することができ、第2に、レーザー光La、Lb、Lcをレーザー導入光ファイバケーブル5a、5b、5cで誘導していることから、実施場所が防爆に指定されていても使用することができ、第3に、隠れた場所への塗料の入り込みは、レーザー光La、Lb、Lcが入るか否かで確認できることから、ドア内板面のように、塗装面が影になりそうな場合でも事前に確認することができ、第4に、光が外れている部位を確認することにより、塗り外しを確認することができ、第5に、ハンドガン本体2またはグリップ3に各レーザー導入光ファイバケーブル5a、5b、5cの光路をオンオフ操作可能な遮光装置7を配設した場合には、遮光装置7を操作することで、レーザー導入光ファイバケーブル5a、5b、5cの光路をオンオフ操作することができ、第6に、トリガー4と遮光装置7とを連動するように構成した場合には、トリガー4を機械的に引くことで、レーザー光La、Lb、Lcの光路を自動的にオンオフ操作することができ、防爆場所に指定されていても訓練を行うことができ、第7に、ハンドガン本体2の先端部に水を噴霧するためのノズル21を設けた場合には、ノズル21から水を噴射させレーザー光La、Lb、Lcを照射すると、水の噴霧による光の散乱で光の軌跡を目視することができ、また、実際の塗装の臨場感を得ることができ、第8に、各プローブ6a、6b、6cから、帯状または楕円状のレーザー光La、Lb、Lcが出射される場合には、被塗物面16に照射されるレーザー光La、Lb、Lcを同一線上に位置するように調整することで、塗装パターン幅、塗装の塗り重ね部、ハンドガン1と被塗物面16の距離およびハンドガン1の傾きを確認することができ、第9に、各プローブ6a、6b、6cから、異なる波長のレーザーが出射される場合には、塗装パターン幅、塗装の塗り重ね部、ハンドガン1と被塗物面16の距離およびハンドガン1の傾きをより一層容易に確認することができる。
【0053】
図6は、ドア内板部の塗装状態を示している。同図に示すように、本発明のハンドガン(手吹き塗装作業訓練装置1)を使用することでドアの影になり、塗料が入り込まない部位と、塗り外し部位を作業訓練の段階で確認することができ、作業者が握るハンドガンの角度を事前に調整することができる。
【0054】
なお、これまで本発明について、図面に示した特定の実施の形態をもって本発明を説明しているが、本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではなく、本発明の効果を奏する限り、これまで知られているいかなる構成であっても採用することができる。
【0055】
例えば、前述の実施例では、第1〜第3のプローブから出射されるレーザー光として、帯状のレーザー光を使用しているが、第1〜第3のプローブから楕円状のレーザー光を出射させてもよい。
【0056】
また、前述の実施例では、3条のレーザー導入光ファイバケーブルの先端部にそれぞれプローブを配置しているが、2条若しくは4条以上のレーザー導入光ファイバケーブルの先端部にそれぞれプローブを配置してもよい。
【0057】
さらに、前述の実施例では、グリップ内に遮光装置を配設しているが、ハンドガン本体内に配設してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の塗装作業訓練装置の一例を示す模式図。
【図2】本発明の塗装作業訓練装置における遮光装置の一例を拡大して示す模式図。
【図3】本発明の塗装作業訓練装置におけるプローブからのレーザー光の照射パターン幅の一例を示す説明図。
【図4】本発明の塗装作業訓練装置におけるハンドガン距離の判断基準の一例を示す説明図。
【図5】本発明の塗装作業訓練装置におけるハンドガンの左右の傾きの判断基準の一例を示す説明図。
【図6】本発明の塗装作業訓練装置におけるドア内板部の塗装状態の一例を示す説明図。
【図7】従来のハンドガンにおける被塗部の軌跡を示す説明図。
【符号の説明】
【0059】
1・・・塗装作業訓練装置(ハンドガン)
2・・・ハンドガン本体
21・・・ノズル
3・・・グリップ
4・・・トリガー
5a、5b、5c・・・レーザー導入光ファイバケーブル
6a、6b、6c・・・プローブ
7・・・遮光装置
La、Lb、Lc・・・レーザー光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンドガン本体と、前記ハンドガン本体内に配設される複数条のレーザー導入光ファイバケーブルと、前記各レーザー導入光ファイバケーブルの先端部にそれぞれ設けられ、前記ハンドガン本体の先端部に離間して配置されるプローブとを備えることを特徴とする塗装作業訓練装置。
【請求項2】
前記ハンドガン本体または前記ハンドガン本体に連設されたグリップには、前記各レーザー導入光ファイバケーブルの光路をオンオフ操作可能な遮光装置が配設されていることを特徴とする請求項1記載の塗装作業訓練装置。
【請求項3】
前記ハンドガン本体には、トリガーが設けられ、前記トリガーと前記遮光装置は連動するように構成されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の塗装作業訓練装置。
【請求項4】
前記ハンドガン本体の先端部には、水を噴霧するためのノズルが設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項3何れか1項記載の塗装作業訓練装置。
【請求項5】
前記各プローブから、帯状または楕円状のレーザー光が出射されることを特徴とする請求項1乃至請求項4何れか1項記載の塗装作業訓練装置。
【請求項6】
前記各プローブから、異なる波長のレーザーが出射されることを特徴とする請求項1乃至請求項5何れか1項記載の塗装作業訓練装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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