説明

塗装可能なプライマー系

分散体、又はチップを含む、塗装可能なプライマー組成物が開示される。チップは、熱可塑性ポリマー、C〜Cアルキル化芳香族アルコールのフタル酸エステル、界面活性剤、並びに、金属炭酸塩、ホワイトメタル酸化物顔料、C〜C20脂肪族脂肪酸のアルカリ土類金属塩、低級アルキルメタクリレートポリマー、溶媒及びさび止め剤から選択される他の成分を含む分散体から生産される。塗装可能なプライマー組成物は、金属、複合材料及びポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、熱可塑性エラストマー又はエチレン−プロピレンゴムを含む熱可塑性ポリオレフィンなどの表面を塗装するのに特に適切である。ポリエチレン表面の塗装は、芳香族炭化水素、C〜Cアルケンとビニルエステルとのコポリマー及び塩素化ポリオレフィンを含む付着促進剤で予めコーティングすることによって、援助し得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、特に、熱可塑性ポリオレフィン表面、金属表面及び複合材表面を含むがそれらに限定されない表面のコーティングにおける利用のための塗装可能なプライマー系に関する。本発明はまた、ポリエチレン表面に塗布するために適切な塗装可能なプライマー系に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
コーティングは、物品の耐久性、腐食耐性、視認性及び外観を改善するために典型的に用いられる。コーティングを必要とする材料の例としては、車、海洋及び航空産業において用いられる金属及び複合材料を含むがそれらに限定されない、熱可塑性ポリオレフィン(TPO)、金属及び複合材が挙げられる。コーティングを必要とする材料の幾つかは、コーティングするのが困難である、複数のコーティングが必要である又は材料の前処理が必要である、というような、コーティングに対する課題を呈している。
【0003】
ポリエチレン、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、熱可塑性エラストマー(TPE)又はエチレン−プロピレンゴムのようなTPOは、非常に多数の消費財用の構成材料としての利用において、着々と成長してきた。特に、ポリエチレン(PE)は、おもちゃ、容器、梱包フィルム、家庭用器具の製造、及び特に、比較的不活性であり、可撓性であり、水蒸気に対して不浸透性であり、軽重量であり、耐久性がありそして比較的低費用で生産されるという主要な性質を示す自動車産業において、利用される。
【0004】
しかしながら、PEは無極性であるため、塗料のコーティング又は装飾的な印刷のコーティングを受け入れることを嫌う。大部分の塗料は極性で、そのためそれらが任意の程度の所望の付着力で付着できる前には、幾らかの程度の表面極性を持つ表面を必要とする。この問題に対する従来のアプローチは限られた成功しかしていない。
【0005】
TPO表面又は基板の塗装可能性を増進する1つのアプローチは、それを物理的又は化学的なエッチングに供することである。例えば、PE貯水槽の外表面は、塗装に先立って、ろう状の光沢のある表面を取り除くために、軽く研磨されるか又は火炎処理される。あるいは、TPO表面又は基板はプラズマを照射され得る。プライマーが非加硫ゴム基板に塗布され、照射に先立って乾燥される、この方法のバリエーションは、JP59114039A2において教示されている。一般的には効果的であるが、これらの方法は、複雑な性質であり、品質及び表面に亘るコンシステンシーの観点からは、制御することがより困難である。加えて、これらの技術は、一般的に他の代替物よりも高価である。
【0006】
別のアプローチは、いくつかのプライマーコーティングをTPO基板に塗布することである。そのようなプライマーが、短期間にわたって有効であると一般的には認識されているものの、それらは高価で、それらの塗布は、製造されたTPO物品を仕上げることにおいて、余分な工程である。加えて、プライマー系は複数のコーティングを必要とし、長い期間に亘ってTPO基板への付着を保つのに十分な結合強度を依然欠く。公知のプライマー組成物は満足できる付着を達成することができず、やがてプライマー及び/又は被覆塗料が剥離するか又は削げ落ちる結果を生じる。
【0007】
従来のプライマーは限られた成功しかしていないため、より最近の技術は、(例えば、WO9325617において教示されるように)TPOそれ自体の物理的及び/又は化学的性質を改変することであった。これは熱可塑性ポリオレフィンと他の熱可塑性ポリマーを混ぜ合わせるか、又は官能性を持たせた基をポリマー骨格に沿った一以上の極性基に接合することにより、達成できる。このアプローチは成功しているものの、それは複雑で、製造の時点で存在する基板にのみ適用できる。
【0008】
車、海洋、及び航空産業において用いられる金属及び複合材を含むがそれらに限定されない金属及び複合材料もまた、コーティングの必要がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
発明の目的
従って、本発明の目的は、先行技術の一以上の問題を克服するか又は緩和するあるいは有用な商用の代替物を提供する、表面に塗布するのに適した塗装可能なプライマー系を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
発明の要旨
現在まで、公知のプライマー組成物は、熱可塑性ポリオレフィン、金属及び複合材料などの表面への、部分的及び/又は極端に短期間の塗料付着のみを達成してきた。本発明は、種々の熱可塑性ポリオレフィン、金属及び複合材料上での使用に適した付着を持つ、新規の塗装可能なプライマー系に基づいている。
【0011】
本発明の第一の局面によれば、
熱可塑性ポリマー、
〜Cアルキル化芳香族アルコールのフタル酸エステル、
界面活性剤を含み、さらに以下からなる群より選ばれる一以上の成分を含む、分散体が提供される:
金属炭酸塩、
ホワイトメタル酸化物、
〜C20脂肪族脂肪酸のアルカリ土類金属塩、
溶媒、
さび止め剤、及び
低級アルキルメタクリレートポリマー。
【0012】
第一の局面の第一の実施形態では、低級アルキルメタクリレートポリマーは、エチルメタクリレートポリマーである。
【0013】
第一の局面の第二の実施形態では、分散体は、熱可塑性ポリマー、C〜Cアルキル化芳香族アルコールのフタル酸エステル、金属炭酸塩、ホワイトメタル酸化物顔料、C〜C20脂肪族脂肪酸のアルカリ土類金属塩、低級アルキルメタクリレートポリマー、界面活性剤及び溶媒を含む。
【0014】
第一の局面の第三の実施形態では、分散体は、熱可塑性ポリマー、C〜Cアルキル化芳香族アルコールのフタル酸エステル、ホワイトメタル酸化物顔料、界面活性剤及び溶媒を含む。
【0015】
第一の局面の第四の実施形態では、分散体は、熱可塑性ポリマー、C〜Cアルキル化芳香族アルコールのフタル酸エステル、金属炭酸塩、ホワイトメタル酸化物、C〜C20脂肪族脂肪酸のアルカリ土類金属塩、低級アルキルメタクリレートポリマー、界面活性剤、溶媒及びさび止め剤を含む。
【0016】
第一の局面の第五の実施形態では、分散体は、固形である。
【0017】
第一の局面の第六の実施形態では、分散体は、固体の粒状形である。
【0018】
第二の局面では、第一の局面の第五の実施形態の分散体及びプライマー溶媒を含むプライマーが提供される。
【0019】
第二の局面の第一の実施形態では、プライマーは、低級アルキルメタクリレートポリマー、C〜Cケトン、C〜Cエステル、C〜Cアルキル化芳香族アルコールのフタル酸エステル、ハロゲン化ポリオレフィン、及び高分子可塑剤からなる群より選ばれる成分を含む。
【0020】
第二の局面の第二の実施形態では、プライマーは、アルコール、熱可塑性ポリマー、ポリヒドロキシケイ酸マグネシウム誘導体、及び二酸化ケイ素粉体からなる群より選ばれる成分をさらに含む。
【0021】
第三の局面では、溶媒、低級アルキルメタクリレートポリマー、C〜Cケトン、C〜Cエステル、C〜Cアルキル化芳香族アルコールのフタル酸エステル、高分子可塑剤、ハロゲン化ポリオレフィン、第一の局面の第二の実施形態の分散体、及び第一の局面の第三の実施形態の分散体、を含むプライマーが提供される。
【0022】
第四の局面では、溶媒、低級アルキルメタクリレートポリマー、C〜Cケトン、C〜Cエステル、C〜Cアルキル化芳香族アルコールのフタル酸エステル、高分子可塑剤、ハロゲン化ポリオレフィン、第一の局面の第二の実施形態の分散体、第一の局面の第三の実施形態の分散体及び第一の局面の第四の実施形態の分散体、を含むプライマーが提供される。
【0023】
第五の局面では、溶媒、低級アルキルメタクリレートポリマー、C〜Cケトン、C〜Cエステル、C〜Cアルキル化芳香族アルコールのフタル酸エステル、アルコール、熱可塑性ポリマー、ポリヒドロキシケイ酸マグネシウム誘導体、二酸化ケイ素粉体、高分子可塑剤、ハロゲン化ポリオレフィン、第一の局面の第二の実施形態の分散体、及び第一の局面の第三の実施形態の分散体、を含むプライマーが提供される。
【0024】
第六の局面では、芳香族炭化水素、C〜Cアルケンとビニルエステルとのコポリマー及び塩素化ポリオレフィン、を含む付着促進剤が提供される。
【0025】
第七の局面では、以下の工程を含む、プライマーを製造する方法が提供される:
第1のプライマー溶液を、第1の容器中で混合する工程;
第一の局面の第五の実施形態の固形分散体を含む第2のプライマー溶液を、第2の容器中で混合する工程;
第1のプライマー溶液及び第2のプライマー溶液を一緒に混合して、プライマーを形成する工程。
【0026】
第八の局面では、以下を含む、プライマーを製造する方法が提供される:
プライマー溶媒及び低級アルキルメタクリレートポリマーを含む第1のプライマー溶液を混合すること;
〜Cケトン、C〜Cエステル、C〜Cアルキル化芳香族アルコールのフタル酸エステル、及び第1の局面の分散体を含む第2のプライマー溶液を混合すること;及び
第1のプライマー溶液及び第2のプライマー溶液を、C〜Cエステル、C〜Cケトン、プライマー溶媒、高分子可塑剤、及びハロゲン化ポリオレフィンと一緒に混合して、プライマーを形成すること。
【0027】
第八の局面の第一の実施形態では、第2のプライマー溶液は、第一の局面の第二の実施形態の分散体、及び第一の局面の第三の実施形態の分散体を含む。
【0028】
第八の局面の第二の実施形態では、第2のプライマー溶液は、第一の局面の第二の実施形態の分散体、第一の局面の第三の実施形態の分散体及び第一の局面の第四の実施形態の分散体を含む。
【0029】
本発明の第九の局面では、以下を含む、物品の表面をコーティングするための方法が提供される:
第六の局面の付着促進剤で表面をコーティングすること;及び
第一の局面の第五の実施形態のプライマーで表面をコーティングすること。
【0030】
第十の局面では、第二の局面のプライマーでコーティングされた物品が提供される。
【0031】
好ましくは、本発明の分散体、付着促進剤、及びプライマーでコーティングするための物品は、熱可塑性ポリオレフィン、金属、又は複合材料を含む。
【0032】
本明細書中で用いられる場合、「塗料(paint)」、「塗布する(painting)」及び「塗布した(painted)」とは、液体の媒体中に固体の顔料を通常含み、飾り付け又は保護用のコーティングとして用いられる、液体の混合物を用いたコーティング、被覆又は飾り付けを意味し、またそれは、表面に塗布したときに薄い乾燥した膜を形成する。
【0033】
本明細書中で用いられる場合、「低分子量」とは、250グラム/モルまでの分子における原子の原子量(国際原子量)の合計を意味する。
【0034】
本明細書中で、用語「含む(comprises)」、「含む(comprising)」又は類似の用語は、要素の一覧を含む方法、系又は装置が、それらの要素だけを含むのではなく、一覧にない他の要素を含み得るような、非制限的な包含を意味することを意図する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
詳細な説明
本発明は、高い結合強度で表面に結合する、新規の塗装可能なプライマー系に属する。洗浄は別として、本発明のプライマーは、コートする表面のいかなる前処理をも必要としない。プライマーの高い結合強度をさらに改善するためには、研磨などの手作業の機構が用いられ得る。有利には、付着促進剤に続いて、一以上の分散体を含むプライマーの塗布は、PE、PP及び他のプラスチック基板並びに金属への塗布に適切である。プライマーは、付着促進剤を必要とせずに、なお適切な付着を提供しながら、PP、他のプラスチック基板及び金属に塗布され得る。
【0036】
本発明は、一以上の分散体又は固体の分散体「チップ(chip)」を提供する。第1の180/9101か、第2の180/9020か、又は第3の180/9103チップを処方することにおいて、多数の代替の試剤が用いられ得ることが理解される。
【0037】
分散体は、液体、固体及び/又は半固体(例えば、樹脂)の形状の成分から製造されることが理解される。成分は混合され、固体「チップ」へと加工できる。分散体は、固体「チップ」の形状、他の固体の形状、半固体の形状又は液体の形状の製品として提供され得る。
【0038】
以下に提供される全ての実施例は、非限定的であり、指針として提供される。各々の成分は記述量の30%以内、より好ましくは記述量の25%以内、より好ましくは記述量の20%以内、より好ましくは記述量の15%以内、より好ましくは記述量の10%以内そしてさらにより好ましくは記述量の5%以内で変更が可能であることが理解される。
【0039】
当業者は、一以上の成分の百分率を変更する場合、それに応じて他の成分の百分率を、成分の合計が100%と等しくなるように変更しなければならないことを、容易に理解する。
【0040】
一般的な分散体又は「チップ」の処方
一般的な分散体又はチップの処方は、熱可塑性ポリマー、C〜Cアルキル化芳香族アルコールのフタル酸エステル及び界面活性剤を含む。
【0041】
熱可塑性ポリマーとしては、任意の熱可塑性セルロースポリマー、及びセルロース誘導体の任意の熱可塑性ポリマーが挙げられる。熱可塑性ポリマーは、酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース及び酢酸酪酸セルロースから選択され得る。好ましくは、熱可塑性ポリマーは、酢酸酪酸セルロースである。好ましくは、酢酸酪酸セルロースは、Eastman Chemical International Limitedから入手可能であり、そこにより製造されている、市販のCAB381−2ポリマーの形状で提供される。
【0042】
〜Cアルキル化芳香族アルコールのフタル酸エステルは、好ましくはフタル酸ブチルベンジルである。適切な市販のフタル酸ブチルベンジルは、Monsantoから入手可能なSanticizer(登録商標)160である。
【0043】
種々の界面活性剤が使用され得る。界面活性剤は、陽イオン性、陰イオン性又は非イオン性であり得る。好ましくは、界面活性剤は、長鎖脂肪酸のグリセロールエステルのアミノ誘導体のような、陽イオン性の界面活性剤である。適切には、界面活性剤は、獣脂プロパンジアミンジオレエート(tallowpropane diamine dioleate)である。
【0044】
分散体の処方のための補足成分
分散体の処方は、金属炭酸塩、ホワイトメタル酸化物、C〜C20脂肪族脂肪酸のアルカリ土類金属塩、低級アルキルメタクリレートポリマー、溶媒及びさび止め剤などの追加の成分もまた含み得る。
【0045】
金属炭酸塩は、任意の金属炭酸塩(例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、及びカルシウムの炭酸塩)であり得る。好ましくは、金属炭酸塩は、炭酸カルシウムである。炭酸カルシウムは、オーストラリアにおいてはChemiplas P/Lから入手可能な、Shiraishi Kogyo Kaisha,Ltd.によって製造されるhakuenka ccの形状で提供され得る。
【0046】
ホワイトメタル酸化物顔料が分散体中に使われる場合、それは、任意のホワイトメタル酸化物(例えば、亜鉛、マンガン及びアルミニウムの酸化物及び二酸化物、並びにホワイト「d−block」メタルの二酸化物)の形状を取り得る。適切な金属酸化物としては、市販の、Tioxide P/Lから入手可能なWhite RCL 575又はMillennium Chemicals P/Lから入手可能なTiona RCL 575のような二酸化チタンが挙げられる。
【0047】
〜C20脂肪族脂肪酸のアルカリ土類金属塩は、アルカリ土類金属の、任意のステアリン酸塩又は他のオクタデカン酸であり得る。好ましくは、ステアリン酸塩はカルシウム塩である。
【0048】
低級アルキルメタクリレートポリマーは、低級アルキルメタクリレートのポリマー又は低級アルキルメタクリレート誘導体のポリマーであり得る。「低級アルキル」とは、C〜Cアルキルを意味する。好ましくは、低級アルキルメタクリレートポリマーは、エチルメタクリレートポリマーである。低級アルキルメタクリレートポリマーは、ホモポリマー、コポリマー又はアクリルポリマーであり得る。適切なアクリルポリマーは樹脂のParaloid(登録商標)及びPlexigum(登録商標)ファミリーから選択され得、市販のParaloid(登録商標)B72、Plexigum(登録商標)N743及びPlexigum(登録商標)N742が適切である。Paraloid(登録商標)B72、Plexigum(登録商標)N743及びPlexigum(登録商標)N742はRoehm GmbH & Co.,KG D−64275 ダルムシュタット、ドイツから入手可能である。Degalan LP65/12もまた適切なポリマーであり、Roehm GmbH & Co.,KG D−64275 ダルムシュタット、ドイツから入手可能であり、またDegussa Australia P/Lからも入手可能である。
【0049】
グリセロールエステル又はグリコール誘導体ベースの溶媒から選択された溶媒、あるいはプロパノン、ブタノン及びペンタノンベースの低分子量(C〜C)ケトンが溶媒として用いられ得る。適切には、溶媒は、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、エタノール及びイソプロピルアルコールの一以上から選択される。好ましくは、溶媒は、メチルエチルケトン又は酢酸エチルである。
【0050】
さび止め剤は、アルカリ土類金属のヒドロキシホスファイト化合物から選択された任意の金属ヒドロキシホスファイト及び金属タンニン酸塩及びリン酸の金属誘導体であり得る。好ましくは、さび止め剤は、Nalzin 2のような亜鉛のヒドロキシ化合物である。Nalzin 2は、Rheox Inc.Coから入手可能であり、オーストラリアにおいてはISM P/Lによって販売されている。
【0051】
第一の分散体の処方(180/9101)
第一の分散体は、全て上記の通りの、金属炭酸塩、ホワイトメタル酸化物顔料、C〜C20脂肪族脂肪酸のアルカリ土類金属塩、熱可塑性ポリマー、低級アルキルメタクリレートポリマー、C〜Cアルキル化芳香族アルコールのフタル酸エステル、界面活性剤、及び溶媒を含む。
【0052】
好ましくは、金属炭酸塩は、分散体の19.175と10.325重量部との間で存在する炭酸カルシウムである。より好ましくは、金属炭酸塩は、分散体の17.7と11.8重量部との間、より好ましくは16.225と13.275重量部との間で存在する。より好ましくはなお、金属炭酸塩は、分散体の14.75重量部存在する。
【0053】
好ましくは、ホワイトメタル酸化物は、市販のWhite RCL 575のような二酸化チタンである。好ましくは、ホワイトメタル酸化物は、分散体の8.229と4.431重量部との間で存在する。より好ましくは、ホワイトメタル酸化物は、分散体の7.596と5.064重量部との間、さらにより好ましくは6.963と5.697重量部との間で存在する。より好ましくは、ホワイトメタル酸化物は、分散体の6.33重量部存在する。
【0054】
好ましくは、C〜C20脂肪族脂肪酸のアルカリ土類金属塩は、分散体の0.455と0.245重量部との間、より好ましくは0.42と0.28重量部との間、より好ましくは0.385と0.315重量部との間で存在するステアリン酸カルシウムであり、より適切には分散体のおよそ0.35重量部存在する。
【0055】
好ましくは、熱可塑性ポリマーは、分散体の2.782と1.498重量部との間、より好ましくは2.568と1.712重量部との間で存在する酢酸酪酸セルロースである。よりいっそう好ましくは、熱可塑性ポリマーは、分散体の2.354と1.916重量部との間で存在し、好ましくはなお、分散体の2.14重量部存在する。
【0056】
好ましくは、低級アルキルメタクリレートポリマーは、分散体の2.782と1.498重量部との間で存在するPlexigum(登録商標)N743である。好ましくは、低級アルキルメタクリレートポリマーは、分散体の2.568と1.712重量部との間、より好ましくは、2.354と1.916重量部との間で存在する。好ましくはなお、低級アルキルメタクリレートポリマーは分散体の2.14重量部存在する。
【0057】
〜Cアルキル化芳香族アルコールのフタル酸エステルは、好ましくは分散体の1.17と0.63重量部との間で存在するフタル酸ブチルベンジルである。より好ましくは、C〜Cアルキル化芳香族アルコールのフタル酸エステルは、1.08と0.72重量部との間、より好ましくは0.99と0.81重量部との間で存在し、さらにより好ましくは分散体の0.9重量部存在する。
【0058】
好ましくは、界面活性剤は、分散体の0.221と0.119重量部との間で存在する、獣脂プロパンジアミンジオレエートである。より好ましくは、界面活性剤は、0.204と0.136重量部との間で存在し、より好ましくは0.187と0.153重量部との間で存在し、よりいっそう好ましくは、分散体の0.2重量部存在する。
【0059】
好ましくは、溶媒は、分散体の3.64と1.96重量部との間で存在するメチルエチルケトンである。好ましくは、ケトンは、分散体の3.36と2.24重量部との間、さらにより好ましくは、3.08と2.52重量部との間で存在する。よりいっそう好ましくは、ケトンは、分散体の2.8重量部存在する。
【0060】
第二の分散体の処方(180/9020)
第二の分散体は、全て上記の通りの、ホワイトメタル酸化物顔料、熱可塑性ポリマー、C〜Cアルキル化芳香族アルコールのフタル酸エステル、界面活性剤、及び溶媒を含む。
【0061】
好ましくは、ホワイトメタル酸化物顔料は、分散体の32.5と17.5重量部との間で存在する二酸化チタンである。好ましくは、ホワイトメタル酸化物顔料は、分散体の30と20重量部との間、より好ましくは27.5と22.5重量部との間で存在する。いっそう好ましくは、上記二酸化物は、分散体の25重量部存在する。
【0062】
好ましくは、熱可塑性ポリマーは、分散体の8.45と4.55重量部との間、より好ましくは分散体の7.8と5.2重量部との間で存在する酢酸酪酸セルロースである。さらにより好ましくは、熱可塑性ポリマーは、7.15と5.85重量部との間で存在し、いっそう好ましくは、分散体の6.5重量部存在する。
【0063】
好ましくは、C〜Cアルキル化芳香族アルコールのフタル酸エステルは、分散体の2.08と1.12重量部との間、より好ましくは分散体の1.92と1.28重量部との間で存在するフタル酸ブチルベンジルである。さらにより好ましくは、C〜Cアルキル化芳香族アルコールのフタル酸エステルは、分散体の1.76と1.44重量部との間で存在し、よりいっそう好ましくは、分散体の1.6重量部存在する。
【0064】
好ましくは、界面活性剤は、分散体の0.325と0.175重量部との間で存在する獣脂プロパンジアミンジオレエートである。より好ましくは、界面活性剤は、0.3と0.2重量部との間、より好ましくは0.275と0.225重量部との間で存在し、さらにより好ましくは、界面活性剤は分散体の0.25重量部存在する。
【0065】
好ましくは、溶媒は、分散体の4.94と2.66重量部との間で存在する。より適切には、溶媒は、分散体の4.56と3.04重量部との間で存在し、さらにより適切には、分散体の4.18と3.42重量部との間で存在する。よりいっそう適切には、溶媒は、分散体の3.8重量部存在する。
【0066】
好ましくは、溶媒は、メチルエチルケトン、エタノール及びイソプロピルアルコールを含む。好ましくは、メチルエチルケトンは、分散体の0.78と0.42重量部との間で存在する。より適切には、メチルエチルケトンは、分散体の0.72と0.48重量部との間で存在し、さらにより適切には、分散体の0.66と0.54重量部との間で存在する。よりいっそう適切には、メチルエチルケトンは分散体の0.6重量部存在する。
【0067】
好ましくは、イソプロピルアルコールは、分散体の1.56と0.84重量部との間、より好ましくは、分散体の1.44と0.96重量部との間で存在する。さらにより好ましくは、イソプロピルアルコールは、分散体の1.32と1.08重量部との間で存在し、いっそう好ましくは、分散体の1.2重量部存在する。
【0068】
好ましくは、エタノールは、分散体の2.6と1.4重量部との間で存在する。よりいっそう好ましくは、エタノールは、分散体の2.4と1.6重量部との間、さらにより好ましくは、分散体の2.2と1.8重量部との間で存在する。好ましくはなお、エタノールは分散体の2重量部存在する。
【0069】
第三の分散体の処方(180/9103)
第三の分散体の処方は、第一の分散体の処方(180/9101)について上記したとおりの種類及び量の、金属炭酸塩、及びC〜C20脂肪族脂肪酸のアルカリ土類金属塩を含む。
【0070】
第三の分散体の処方はまた、第一の分散体の処方について記載した種類のホワイトメタル酸化物を含む。第三の分散体の処方においては、ホワイトメタル酸化物は、好ましくは分散体の5.2と2.8重量部との間、より好ましくは分散体の4.8と3.2重量部との間、よりいっそう好ましくは分散体の4.4と3.6重量部との間で存在する。より好ましくは、ホワイトメタル酸化物は、分散体の4.0重量部存在する。
【0071】
第三の分散体の処方はまた、第一の分散体の処方について記載した種類の熱可塑性ポリマーを含む。第三の分散体の処方においては、熱可塑性ポリマーは、好ましくは分散体の2.847と1.533重量部との間、より好ましくは分散体の2.628と1.752重量部との間、よりいっそう好ましくは分散体の2.409と1.971重量部との間、さらにより好ましくは2.19重量部の量で存在する。
【0072】
第三の処方はまた、低級アルキルメタクリレートポリマー、好ましくはDegalan LP65/12を含む。第三の分散体の処方においては、低級アルキルメタクリレートポリマーは、好ましくは分散体の2.847と1.533重量部との間、より好ましくは分散体の2.628と1.752重量部との間、よりいっそう好ましくは分散体の2.409と1.971重量部との間、さらにより好ましくは分散体の2.2重量部の量で存在する。
【0073】
第三の分散体の処方はまた、上の一般的な分散体又は「チップ」の処方について記載した種類のC〜Cアルキル化芳香族アルコールのフタル酸エステルを含む。第三の分散体の処方においては、C〜Cアルキル化芳香族アルコールのフタル酸エステルは、好ましくは1.209と0.651重量部との間、より好ましくは1.116と0.744重量部との間、より好ましくは1.023と0.837重量部との間で存在する。さらにより好ましくは、C〜Cアルキル化芳香族アルコールのフタル酸エステルは、第三の分散体において0.93重量部の量で存在する。
【0074】
その上、第三の処方はまた、上の一般的な分散体又は「チップ」の処方について記載した種類の界面活性剤を含む。第三の分散体の処方においては、界面活性剤は、好ましくは分散体の0.195と0.105重量部との間で存在し、より好ましくは分散体の0.18と0.12重量部との間で存在し、より好ましくは分散体の0.165と0.135重量部との間で存在する。より好ましくはなお、界面活性剤は、分散体の0.15重量部存在する。
【0075】
第三の分散体はまた、上の分散体の処方のための補足成分について記載したように、溶媒を含む。好ましくは、溶媒は、分散体の2.6と1.4重量部との間で存在する酢酸エチルである。好ましくは、溶媒は、分散体の2.4と1.6重量部との間、さらにより好ましくは、2.2と1.8重量部との間で存在する。よりいっそう好ましくは、溶媒は、分散体の2.0重量部存在する。
【0076】
その上、第三の分散体の処方は、上の分散体の処方のための補足成分において記載したようなさび止め剤を含む。好ましくは、さび止め剤は、分散体の3.25と1.95重量部との間、より好ましくは分散体の3.0と2.0重量部との間、より好ましくは2.75と2.25重量部との間、よりいっそう好ましくは、分散体の2.5重量部存在する亜鉛のヒドロキシホスファイトである。
【0077】
プライマー
上の分散体の一以上は、表面への塗布用のプライマーに組み込まれ得る。
【0078】
一般的なプライマー
プライマー処方の好ましい成分について提示された百分率の量は、最終的なプライマー処方における百分率の量である。
【0079】
一般的なプライマーは、特定のプライマー(例えば、下で議論されるようなホワイトプライマー(white primer)、金属プライマー、及びプラスチックハイフィル(hi fill)プライマー)の製造において用いられ得る。一般的なプライマーが特定のプライマーを製造するために用いられる場合、下の一般的なプライマーについて特定している量で、一般的なプライマーの成分が混合されることが理解される。
【0080】
プライマーは参照のし易さのためだけに、「ホワイトプライマー」、「金属プライマー」及び「プラスチックハイフィルプライマー」と呼ぶが、それらはこれらの特定の用途に制限されない。例えば、「金属プライマー」は、プラスチック、セラミック、複合材料又は他の非金属材料に塗布され得る。同様に、「プラスチックハイフィルプライマー」は、金属、セラミック、複合材料又は他の非金属材料に塗布され得る。
【0081】
一般的なプライマー組成物
一以上の分散体に加えて、一般的なプライマーの処方は、好ましくは、プライマー溶媒、低級アルキルメタクリレートポリマー、C〜Cケトン、C〜Cエステル、C〜Cアルキル化芳香族アルコールのフタル酸エステル、高分子可塑剤及びハロゲン化ポリオレフィンを含む。
【0082】
好ましくは、プライマーは、プライマーの懸濁化液体又は媒体として用いられるプライマー溶媒を含む。適切なプライマー溶媒は、芳香族炭化水素である。好ましくは、芳香族炭化水素は、キシロール及びトルオールから選択される。好ましくは、芳香族炭化水素は、トルオール及びキシロールの両方を含む。好ましくは、プライマー溶媒は、プライマーの39と21%との間、より好ましくはプライマーの36と24%との間、より好ましくはプライマーの33と27%との間、よりいっそう好ましくはプライマーの30%存在する。
【0083】
好ましくは、トルオールは、プライマーの27.95と15.05%との間、より好ましくはプライマーの25.8と17.2%との間、より好ましくはプライマーの23.65と19.35%との間、さらにより好ましくはプライマーの21.5%である。
【0084】
好ましくは、キシロールは、プライマーの11.18と6.02%との間、より好ましくはプライマーの10.32と6.88%との間、より好ましくは9.46と7.74との間、さらにより好ましくはプライマーの8.6%存在する。
【0085】
好ましくは、プライマーとしては、上の一般的な分散体について記載したような低級アルキルメタクリレートポリマーが挙げられる。好ましくは、低級アルキルメタクリレートポリマーは、プライマーの9.1と4.9%との間、より好ましくは8.4と5.6%との間で存在する。好ましくはなお、低級アルキルメタクリレートポリマーは7.7と6.3%との間で存在し、さらにより好ましくは、低級アルキルメタクリレートポリマーは、プライマーの7%存在する。
【0086】
プライマーは、好ましくは、プロパノン、ブタノン及びペンタノンより選択されるC〜Cケトンを含む。適切には、C〜Cケトンは、ブタノンベースである。好ましくは、C〜Cケトンは、プライマーの29.25と15.75%との間、より好ましくはプライマーの27と18%との間、より好ましくは24.75と20.25との間、さらにより好ましくはプライマーの22.5%存在する。
【0087】
より適切には、C〜Cケトンは、メチルイソブチルケトン及びメチルエチルケトンの両方を含む。好ましくは、メチルイソブチルケトンは、プライマーの8.06と4.34%との間、より好ましくはプライマーの7.44と4.96%との間、より好ましくはプライマーの6.82と5.58%との間で存在する。よりいっそう好ましくは、メチルイソブチルケトンは、プライマーの6.2%存在する。
【0088】
好ましくは、メチルエチルケトンは、プライマーの21.19と11.41%との間、より好ましくはプライマーの19.56と13.04%との間、より好ましくは、プライマーの17.93と14.67%との間で存在する。よりいっそう好ましくは、メチルエチルケトンは、プライマーの16.3%存在する。
【0089】
プライマーは、好ましくは、メチル、エチル、プロピル及びブチル鎖ベースのC〜Cエステルを含む。ジエチルエーテル及び酢酸エチルのような低分子量アセテートもまた適切である。適切には、C〜Cエステルエステルは、酢酸n−ブチルである。好ましくは、C〜Cエステルは、プライマー中に28.08と15.12%との間で存在する。より好ましくは、C〜Cエステルは、25.92と17.28%との間、さらにより好ましくは、23.76と19.44%との間で存在する。好ましくはなお、C〜Cエステルはプライマーの21.6%存在する。
【0090】
好ましくは、一般的な分散体又は「チップ」の処方について記載したとおりのC〜Cアルキル化芳香族アルコールのフタル酸エステルが、一般的なプライマーの処方に用いられる。好ましくは、C〜Cアルキル化芳香族アルコールのフタル酸エステルは、プライマーの0.182と0.098%との間で存在する。より好ましくは、C〜Cアルキル化芳香族アルコールのフタル酸エステルは、プライマーの0.168と0.112%との間、より好ましくは、0.154と0.126%との間で存在する。さらにより好ましくは、C〜Cアルキル化芳香族アルコールのフタル酸エステルはプライマーの0.14%存在する。
【0091】
好ましくは、プライマーは、非移行性高分子可塑剤から選択された高分子可塑剤を含む。適切には、高分子可塑剤は、市販の高分子可塑剤Replas 150である。Replas 150は、Townsend Chemicals、メルボルン、ビクトリア州、オーストラリアから入手可能である。
【0092】
好ましくは、高分子可塑剤は、プライマーの1.82と0.98%との間、より好ましくは1.68と1.12%との間、より好ましくは1.54と1.26%との間で存在する。好ましくはなお、塩素化ポリオレフィンが、1.4%存在する。
【0093】
好ましくは、プライマーは、様々な百分率のキシレンを含むポリオレフィンから選ばれるハロゲン化ポリオレフィンを、固体として含む。適切なハロゲン化ポリオレフィンとしては、塩素化ポリオレフィン343−3(キシレン中50%固体)及び塩素化ポリオレフィン153−2(キシレン中25%固体)が挙げられる。適切には、塩素化ポリオレフィンは市販の塩素化ポリオレフィンCP343−3である。CP343−3及びCP153−2はEastman Chemical Limitedにより製造されており、そこから入手可能である。
【0094】
好ましくは、ハロゲン化ポリオレフィンはプライマーの1.3と0.7%との間、より好ましくは、1.2と0.8%との間、より好ましくはプライマーの1.1と0.9%との間で存在する。好ましくはなお、ハロゲン化ポリオレフィンは1%存在する。
【0095】
ホワイトプライマー
一般的なプライマー組成物の成分は、ホワイトプライマーを製造するために、上で特定されている範囲内の量において、他の成分と組み合わせられ得る。一般的なプライマー組成物の成分に加えて、ホワイトプライマーは、好ましくは、第一の分散体及び第二の分散体を含む。プライマーの成分について提示される全ての百分率の値は、プライマー組成物中の百分率である。
【0096】
好ましくは、第一の分散体は、ホワイトプライマーの20.8と11.2%との間、より好ましくはホワイトプライマーの19.2と12.8%との間、よりいっそう好ましくはホワイトプライマーの17.6と14.4%との間、さらにより好ましくは金属プライマーの16%存在する。
【0097】
好ましくは、第二の分散体は、ホワイトプライマーの0.52と0.28%との間、より好ましくはホワイトプライマーの0.48と0.32%との間、よりいっそう好ましくはホワイトプライマーの0.44と0.36%との間、さらにより好ましくはホワイトプライマーの0.4%存在する。
【0098】
金属プライマー
一般的なプライマー組成物の成分は、金属プライマーを製造するために、上で特定された量において、他の成分と組み合わせられ得る。一般的なプライマー組成物の成分に加えて、金属プライマーは、好ましくは、第一の分散体、第二の分散体、及び第三の分散体を含む。
【0099】
好ましくは、第一の分散体は、金属プライマーの17.94と9.66%との間、より好ましくは、金属プライマーの16.56と11.04%との間、よりいっそう好ましくは、金属プライマーの15.18と12.42%との間、さらにより好ましくは、ホワイトプライマーの13.8%存在する。
【0100】
好ましくは、第二の分散体は、金属プライマーの0.52と0.28%との間、より好ましくは、金属プライマーの0.48と0.32%との間、よりいっそう好ましくは、金属プライマーの0.44と0.36%との間、さらにより好ましくは、金属プライマーの0.4%存在する。
【0101】
好ましくは、第三の分散体は、金属プライマーの2.73と1.47%との間、より好ましくは、金属プライマーの2.52と1.68%との間、よりいっそう好ましくは、金属プライマーの2.31と1.89%との間、さらにより好ましくは、金属プライマーの2.1%存在する。
【0102】
プラスチックハイフィルプライマー
一般的なプライマー組成物の成分は、プラスチックハイフィルプライマーを製造するために、上の範囲の特定された量において、他の成分と組み合わせられ得る。一般的なプライマー組成物の成分に加えて、プラスチックハイフィルプライマーは、好ましくは、第一の分散体、第二の分散体、アルコール、熱可塑性ポリマー、ポリヒドロキシケイ酸マグネシウム誘導体、及び二酸化ケイ素粉体を含む。
【0103】
好ましくは、第一の分散体は、プラスチックハイフィルプライマーの16.9と9.1%との間、より好ましくは、プラスチックハイフィルプライマーの15.6と10.4%との間、よりいっそう好ましくは、プラスチックハイフィルプライマーの14.3と11.7%との間、さらにより好ましくは、プラスチックハイフィルプライマーの13%存在する。
【0104】
好ましくは、第二の分散体は、プラスチックハイフィルプライマーの0.325と0.175%との間、より好ましくは、プラスチックハイフィルプライマーの0.3と0.2%との間、よりいっそう好ましくは、プラスチックハイフィルプライマーの0.275と0.225%との間、さらにより好ましくは、プラスチックハイフィルプライマーの0.25%存在する。
【0105】
好ましくは、プライマー中のアルコール(プライマーアルコール又はアルコール溶媒)はC〜C脂肪族の一級アルコールである。好ましくは、アルコールは、n−ブタノールである。好ましくは、アルコールは、プラスチックハイフィルプライマーの2.6と1.4%との間、より好ましくは、プラスチックハイフィルプライマーの2.4と1.6%との間、よりいっそう好ましくは、プラスチックハイフィルプライマーの2.2と1.8%との間、さらにより好ましくは、プラスチックハイフィルプライマーの2%存在する。
【0106】
好ましくは、熱可塑性ポリマーは、上の一般的な分散体又は「チップ」の処方について定義したような熱可塑性ポリマーである。好ましくは、熱可塑性ポリマーは、市販のCAB 381−2ポリマーである。
【0107】
好ましくは、熱可塑性ポリマーは、プラスチックハイフィルプライマーの0.195と0.105%との間、より好ましくは、プラスチックハイフィルプライマーの0.18と0.12%との間、よりいっそう好ましくは、プラスチックハイフィルプライマーの0.165と0.135%との間、さらにより好ましくは、プラスチックハイフィルプライマーの0.15%存在する。
【0108】
好ましくは、ポリヒドロキシケイ酸マグネシウム誘導体は、任意のポリヒドロキシケイ酸マグネシウム誘導体である。より好ましくは、ポリヒドロキシケイ酸マグネシウム誘導体は、Bronson and Jacobs Pty Ltd.、オーストラリア、シドニーのから入手可能なCAS番号14807−96−6のようなタルクである。
【0109】
好ましくは、ポリヒドロキシケイ酸マグネシウム誘導体は、プラスチックハイフィルプライマーの12.87と6.93%との間、より好ましくは、プラスチックハイフィルプライマーの11.88と7.92%との間、よりいっそう好ましくは、プラスチックハイフィルプライマーの10.89と8.91%との間、さらにより好ましくは、プラスチックハイフィルプライマーの9.9%存在する。
【0110】
好ましくは、二酸化ケイ素粉体は、任意の二酸化ケイ素粉体である。より好ましくは、二酸化ケイ素粉体は、Degussaから入手可能なAcematt OK 412のような、有機的に表面処理した二酸化ケイ素粉体である。
【0111】
好ましくは、二酸化ケイ素粉体は、プラスチックハイフィルプライマーの0.26と0.14%との間、より好ましくは、プラスチックハイフィルプライマーの0.24と0.16%との間、よりいっそう好ましくは、プラスチックハイフィルプライマーの0.22と0.18%との間、さらにより好ましくは、プラスチックハイフィルプライマーの0.2%存在する。
【0112】
付着促進剤
PEのような、コーティングが困難な表面へのプライマーの付着を促進させるため、表面は、付着促進剤でコーティングし、次いで一般的なプライマー又は特定のプライマーでコーティングすることができる。好ましくは、付着促進剤は、芳香族炭化水素、C〜Cアルケンとビニルエステルとのコポリマー及び塩素化ポリオレフィンを含む。
【0113】
芳香族炭化水素は、好ましくは、アルキル化芳香族炭化水素を含む全ての芳香族炭化水素を含む。好ましくは、芳香族炭化水素はトルオール及びキシロールの一方又は両方である。好ましくは、芳香族炭化水素は、付着促進剤の95と57.75%との間、より好ましくは90と66との間、より好ましくは85と74.25%との間、よりいっそう好ましくは82.5%存在する。
【0114】
より好ましくは、芳香族炭化水素はトルオール及びキシロールの両方を含む。好ましくは、トルオールは、付着促進剤の90と50.75との間で存在し、キシロールは、13と7%との間で存在し、より好ましくは、トルオールは、87と58%との間で存在し、キシロールは、12と8%との間で存在し、より好ましくは、トルオールは、79.75と65.25%との間で存在し、キシロールは、11と9%との間で存在し、よりいっそう好ましくは、トルオールは、付着促進剤組成物の72.5%存在し、キシロールは、10%存在する。
【0115】
エチレン酢酸ビニルのようなC〜Cアルケンとビニルエステルとのコポリマーは、付着促進剤の処方において用いられる。適切なC〜Cアルケンとビニルエステルとのコポリマーとしては、DuPont E.I.DuPont−de Namours and Co.Inc.から入手可能なElvax 260が挙げられる。好ましくは、C〜Cアルケンとビニルエステルとのコポリマーは、付着促進剤の3.25と1.75%との間、より好ましくは3と2%との間で存在し、より好ましくは、コポリマーは、付着促進剤の2.75と2.25%との間、さらにより好ましくは、2.5%存在する。
【0116】
好ましくは、用いられる塩素化ポリオレフィンは、市販の塩素化ポリオレフィン153−2(キシレン中25%)である。好ましくは、塩素化ポリオレフィンは、付着促進剤の19.5と10.5%との間、より好ましくは18と12%との間、さらにより好ましくは、付着促進剤16.5と13.5%との間で存在する。いっそう好ましくは、塩素化ポリオレフィンは、付着促進剤の15%存在する。
【0117】
プライマーを製造する方法
好ましくは、第1のプライマー溶液を第1の容器中で混合し、第2のプライマー溶液を第2の容器中で混合し、次いで第1のプライマー溶液及び第2のプライマー溶液を、プライマーを作製するために一緒に混合することによって、プライマーは作製される。第2の容器は第1の容器と同一の容器又は異なる容器であり得る。好ましくは、プライマーを作製するために、第1のプライマー溶液及び第2のプライマー溶液と一緒に、他の成分が混合される。
【0118】
第1のプライマー溶液、第2のプライマー溶液及び他の成分のうちの二以上が、同一の成分(例えば、同一のプライマー溶媒)を含み得ることが理解される。当業者は、第1のプライマー溶液、第2のプライマー溶液及び他の成分中の成分の割り当ては、プライマー溶液について必要な総量に合計で達する必要があることを理解している。例えば、成分の一部を第1のプライマー溶液に加え、同一成分の一部を第二の成分に加え、同一成分の残りをその他の成分に加え得る。
【0119】
第1のプライマー溶液
好ましくは、第1のプライマー溶液は、プライマー溶媒及び低級アルキルメタクリレートポリマーを含む。全ての%量は、第1のプライマー溶液中の%である。
【0120】
好ましくは、第1のプライマー溶液のプライマー溶媒は、トルオールである。好ましくは、プライマー溶媒は、第1のプライマー溶液の71.5から38.5%の量存在し、より好ましくは、その量は、66から4%であり、より好ましくは、その量は、60.5から49.5%であり、よりいっそう好ましくは、その量は、第1のプライマー溶液の55%である。
【0121】
好ましくは、低級アルキルメタクリレートポリマーは、第1のプライマー溶液の58.55から31.5%の量存在し、より好ましくは、その量は、54から36%であり、より好ましくは、その量は、49.5〜40.5%であり、よりいっそう好ましくは、その量は、第1のプライマー溶液の45%である。
【0122】
好ましくは、ホワイトプライマー溶液とプラスチックハイフィルプライマーを混合するための第一の溶液は、低級アルキルメタクリレートポリマーとしてPlexigum(登録商標)N743を含む。好ましくは、金属プライマーを混合するための第一の溶液は、低級アルキルメタクリレートポリマーとしてDegalan LP65/12を含む。
【0123】
第2のプライマー溶液
好ましくは、第2のプライマー溶液は、全て上記のような、C〜Cケトン、C〜Cエステル、C〜Cアルキル化芳香族アルコールのフタル酸エステル、及び一以上の分散体を含む。全ての%量は、第2のプライマー溶液中の%量である。
【0124】
好ましくは、C〜Cケトンは、メチルイソブチルケトン及びメチルエチルケトンの一方又は両方を含む。好ましくは、C〜Cケトンは、第2のプライマー溶液の35.49と19.11%との量存在し、より好ましくは、その量は、32.76と21.84%であり、より好ましくは、その量は、30.03から24.57%であり、よりいっそう好ましくは、その量は、第2のプライマー溶液中27.3%である。
【0125】
好ましい通りに、メチルイソブチルケトン及びメチルエチルケトンがC〜Cケトンを構成するとすれば、好ましくは、メチルイソブチルケトンは、第2のプライマー溶液の20.8と11.2%との間の量存在し、メチルエチルケトンは、第2のプライマー溶液の14.69と7.91との間の量存在し、より好ましくは、その量は、19.2と12.8%との間のメチルイソブチルケトン及び13.56と9.04%との間のメチルエチルケトンであり、より好ましくは、その量は、17.6と14.4%との間のメチルイソブチルケトン及び12.43と10.17%との間のメチルエチルケトンであり、よりいっそう好ましくは、その量は、第2のプライマー溶液中、16%のメチルイソブチルケトン及び11.3%のメチルエチルケトンである。
【0126】
好ましくは、C〜Cエステルは、第2のプライマー溶液の39と21%との間の量存在し、より好ましくは、その量は、36と24%との間、より好ましくは、その量は、33と24%との間、よりいっそう好ましくは、その量は、第2のプライマー溶液の30%である。
【0127】
好ましくは、C〜Cアルキル化芳香族アルコールのフタル酸エステルは、第2のプライマー溶液の0.468と0.252%との間の量存在し、より好ましくは、その量は、0.432と0.288%との間、より好ましくは、その量は、0.396と0.324%との間、よりいっそう好ましくは、その量は、第2のプライマー溶液の0.36%である。
【0128】
好ましくは、分散体は、製造されているプライマー溶液について好ましい%量を満たす量で、第2のプライマー溶液中に含まれる。当業者は、上のプライマー中の分散体について提示されている百分率値に基づいて、その量を容易に計算できる。
【0129】
第1のプライマー溶液及び第2のプライマー溶液の混合
プライマー溶液を製造するために、第1のプライマー溶液及び第2のプライマー溶液と混合される成分は、好ましくは、上記の種類の全てのC〜Cエステル、C〜Cケトン、プライマー溶媒、高分子可塑剤、及びハロゲン化ポリオレフィンを含む。全ての%量は、プライマー溶液を製造するために、第1のプライマー溶液及び第2のプライマー溶液と混合される成分の%量である。
【0130】
好ましくは、プライマー溶液のうちの、20.15と10.85%との間の量の第1のプライマー溶液と、50.31と27.09%との間の量の第2のプライマー溶液とが、プライマー溶液を製造するために混合され、より好ましくは、それらの量は、18.6と12.4%との間の第1のプライマー溶液、46.44と30.96%との間の第2のプライマー溶液、より好ましくは、それらの量は、17.05と13.95%との間の第1のプライマー溶液、42.57と34.83%との間の第2のプライマー溶液である。よりいっそう好ましくは、第1のプライマー溶液は、最終的なプライマー中に15.5%の量存在し、第2のプライマー溶液は、最終的なプライマー中に38.7%の量存在する。
【0131】
好ましくは、C〜Cエステルは13と7%との間の量、より好ましくは、12と8%との間の量、より好ましくは11と9%との間の量、よりいっそう好ましくは、10%の量存在する。
【0132】
好ましくは、C〜Cケトンは、15.6と8.4%との間の量存在し、より好ましくは、C〜Cケトンは、14.4と9.6%との間の量存在し、より好ましくは、C〜Cケトンは、13.2と10.8%との間の量存在し、さらにより好ましくは、C〜Cケトンは、12%の量存在する。
【0133】
好ましくは、プライマー溶媒は、27.95と15.05%との間の量存在し、より好ましくは、プライマー溶媒は、25.8と17.2%との間の量存在し、より好ましくは、その量は、プライマー溶液の23.65と19.35%との間、さらにより好ましくは21.5%の量である。
【0134】
好ましくは、高分子可塑剤は、1.82と0.98%との間の量、より好ましくは1.68と1.12%との間の量存在し、より好ましくは、その量は、1.54と1.26%との間であり、さらにより好ましくは、高分子可塑剤は、1.4%の量存在する。
【0135】
好ましくは、ハロゲン化ポリオレフィンは、1.3と0.7%との間の量、より好ましくは1.2と0.85%との間の量、より好ましくは1.1と0.9%との間の量、さらにより好ましくは、1.0%の量存在する。
【0136】
本発明がより詳細に理解され得るために、当業者は以下の非限定的な好ましい実施形態を参照される。
【実施例】
【0137】
本発明の塗装可能なプライマー系は、一以上の分散体又は「チップ」を含有するプライマーを含む。塗装可能なプライマー系はまた、付着促進剤を含み得る。
【0138】
実施例1
分散体組成物
【表1】

【0139】
【表2】

【0140】
【表3】

【0141】
実施例2
分散体の乾式製粉プロセス
実施例1の分散体組成物を、以下の方法によって生産する。炭酸カルシウム、二酸化チタン及びステアリン酸カルシウムを、第1の容器中へと混ぜ合わせる。この混合物は、製粉に先立って顔料粒子をコーティングするため、それぞれの「液体混物」又は溶媒をかけて湿らせる。
【0142】
第2の容器中で、一以上の粉末化した樹脂及びフタル酸ブチルベンジルを一緒に混ぜ合わせる。第一及び第三の分散体を処方することにおいては、酢酸酪酸セルロース及びアクリルポリマー樹脂を用いるのに対し、第二の分散体においては、酢酸酪酸セルロース樹脂(のみ)を用いる。
【0143】
上の前もって混合された組成物を、一緒に混ぜ合わせるために、ミルの上に置く。両容器の得られた混物は、プラスチシンタイプの材料を形成する。この材料を、ミルからシート状で取り出し、小さい部分(例えば、160mm×250mm)へと切断する。次いで、ミルのロールを、完全に閉じるか又はしっかりと締め付け、切断したシートをミルの中に入れる。事前に切断した切片は、連続的に切断されてニップを通して元に戻される薄いシートを形成する。材料を、全ての溶媒が飛ばされるまで、連続的に挽くと、ミルから取り出されるべき乾燥したシートが残る。次いで、このシートを粒状にして、プライマーを製造するのに使える状態の「チップ」を形成する。
【0144】
ホワイト顔料(例えば、二酸化チタン)を、第一の分散体の試剤中に用いることは好ましくはあるものの、第二の分散体もまたホワイト顔料を含有し得るために、それは必須ではない。具体的には、ホワイト顔料は、所望により白色の色がついた不透明な仕上がりを提供するため、第二の分散体中に必要に応じそして全体的に存在し得る。
【0145】
プライマー中に第一及び第二の分散体の両方を用いることのオプションとして、もし第二の分散体からの酢酸酪酸セルロース樹脂成分に相当する量を第一の分散体の処方に加えるならば、第一の分散体を単独で用い得る。
【0146】
有利には、分散体を形成するためのこの新規の乾式製粉の方法は、さもなければ適切な微細な状態に混ぜ合わせるのが困難な樹脂及び他の材料を効率的に分散し、全ての成分を、固体の形状を生じさせるように製粉する。このプロセスは、仕上がったプライマーの、高品質な状態及び流動性を提供する。
【0147】
伝統的なビーズミル法の有効性と、上に概説した乾式ミルプロセスの有効性を比較するために、一以上の成分を含有するプライマー全体を、伝統的なビーズミル法及び乾式ミルプロセスの両方を通過させた。各プライマーを、バンパーバー上に噴きつけた。伝統的なビーズミル法を用いたプライマーによって達成された付着は、乾式ミルプロセスを用いたものと類似していた。しかしながら、ビーズミル法を用いたプライマーはより劣った分散を示し、その組成物は大いに粗く、ざらざらしていた。プライマーの紙やすり仕上げは、引き続くスプレー塗料の塗布には不適切であることが見出された。その一方で、乾式ミル法で生産されたプライマーは、均一に分散し、即座に塗装可能な、ガラスのような仕上がりを産み出した。
【0148】
上の乾式製粉プロセスを、他の処方に用いられる従来の液体分散「ミル製粉(mill grind)」液体分散法と対比した。このプロセスでは、成分を、溶媒及び可塑剤中に溶解し、次いで、この混合物を、容器中でお互い及び材料に対して連続的に衝突する磁製ビーズを含有するシリンダーを通過させる。摩擦性のビーズミルの作用は、混合物内に成分を分散するよう作用する。しかしながら、従来の方法における成分分散の度合いは、本発明者らの新規な乾式ミル法のものと比較すると、より低い。
【0149】
上で記載したような液体分散法の従来の方法によって、また、公知の押し出し技術によって、分散体を代替的に生産し得ることが当業者により理解され得る。
【0150】
実施例3
ポリエチレン付着促進剤組成物
トルオール(50.0%)を、乾燥条件下で、ウォータージャケット中で加熱(65〜70℃)する。溶液を放置し(10〜15分)、次いで、連続的に混合しながら、それに樹脂Elvax 260(2.5%)を加える。いったん完全な溶解度が得られたら、失われたあらゆるトルオールを補うために、その混合物を(重量によって)再調節する。次いで、トルオール(7.5%)及びキシロール(25%)の混合物を加える。冷却した混合物に、塩素化ポリオレフィンCP 153−2(キシレン中25%)(15.0%)を加え、攪拌する。
【0151】
実施例4
プライマー組成物
ホワイトプライマー
下の括弧内の重量の量は、加えた重量であり、下の百分率量は、プライマー中の%である。
【0152】
下のプライマーの成分について提供する量は、非限定的な例である。非限定的な例を指針のために提供し、各々の成分は記述量の30%以内、より好ましくは記述量の25%以内、より好ましくは記述量の20%以内、より好ましくは記述量の15%以内、より好ましくは記述量の10%以内、さらにより好ましくは記述量の5%以内で変動することが可能であることが理解される。
【0153】
当業者は、一以上の成分の百分率を変動させる場合、成分の合計(some)が100%と等しくなるように、他の成分の百分率をそれに応じて変動させなければならないことを、容易に理解する。
【0154】
Plexigum N743(44.83kg、6.9%)をゆっくりとトルオール(55.17kg、8.5%)に加えて混ぜ合わせ(2分)、その混合物を攪拌して、第1のプライマー溶液を形成する。
【0155】
別々の反応容器中で、連続的に攪拌している混合物に次の各々を加える:
メチルイソブチルケトン(11.2kg、4.3%)
酢酸ブチル(21.0kg、8.1%)
メチルエチルケトン(8.0kg、3.06%)
フタル酸ブチルベンジル(Santicizer(登録商標)160)(0.36kg、0.14%)。
【0156】
上の溶液に、上に記載の第一の分散体(180/9101チップ)(41.34kg、16%)及び第二の分散体(180/9020チップ)(1.03kg、0.4%)の両方を上の混合物にゆっくりと加え、粘稠な混合物を得る。
【0157】
この粘稠な混合物に次を加える:
メチルイソブチルケトン(4.8kg、1.86%)
酢酸n−ブチル(9.0kg、3.5%)
メチルエチルケトン(3.27kg、1.3%)
次いで、溶液を混合して、第2のプライマー溶液を形成する。
【0158】
第1のプライマー溶液及び第2のプライマー溶液を、次いで第3の反応容器中で組み合わせる。第1のプライマー溶液を、プライマー溶液の15.40%を構成するような量で加え、第2のプライマー溶液を、プライマー溶液の38.70%を構成するような量で加える。第1及び第2のプライマー溶液を、次のものをゆっくりと加えながら混合する:
酢酸n−ブチル(10.0kg、10%)
メチルエチルケトン(11.90kg、11.90%)
トルオール(13.0kg、13.0%)
高分子可塑剤(例えば、Replas 150)(1.4kg、1.4%)
ハロゲン化ポリオレフィン(例えば、CP 343−3)(1.0kg、1.0%)
キシロール(8.6kg、8.6%)
【0159】
金属プライマー
金属プライマーを、ホワイトプライマーについて概説したように、上の金属プライマーについて詳述したような成分及び調節した成分量で作製する。上に詳述したように、金属プライマーは第一(180/9101)、第二(180/9020)及び第三(180/9103)の分散体を含有する。
【0160】
プラスチックハイフィルプライマー
下の百分率量はプラスチックハイフィルプライマー中の%である。Plexigum N743(6.0%)をトルオール(15.95%)にゆっくり加え、混ぜ合わせ(2分)、混合物を攪拌して、第1のプライマー溶液を形成する。
【0161】
別々の反応容器中で、連続的に攪拌している混合物に次の各々を加える:
メチルイソブチルケトン(6.0%)
酢酸ブチル(20.0%)
メチルエチルケトン(15.0%)
フタル酸ブチルベンジル(Santicizer(登録商標)160)(0.15%)
n−ブタノール(2.0%)
熱可塑性ポリマー(CAB 381−2)(0.15%)
高分子可塑剤(Replas 150)(1.0%)
【0162】
上の溶液に、上に記載の第一の分散体(180/9101チップ)(13%)及び第二の分散体(180/9020チップ)(0.25%)の両方を、上の混合物にゆっくりと加え、粘稠な混合物を得る。
【0163】
この粘稠な混合物の成分を完全に溶解したら、粘稠な混合物に次のものを加える:
ポリヒドロキシケイ酸マグネシウム誘導体(9.9%)
次いで、この溶液を混合して、第2のプライマー溶液を形成する。
【0164】
第1のプライマー溶液及び第2のプライマー溶液を、次いで第三の反応容器中で合わせる。プライマー溶液の67.45%を構成する第2のプライマー溶液の量に対して、第1のプライマー溶液を、プライマー溶液の21.95%を構成するような量で加える。第1及び第2のプライマー溶液を、次のものをゆっくりと加えながら混合する:
二酸化ケイ素粉体(例えば、OK 412)(0.20%)
ハロゲン化ポリオレフィン(例えば、CP 343−3)(1.0%)
キシロール(9.4%)
【0165】
本発明は種々の表面に塗布するのに適切な塗装可能なプライマー系を提供する。例えば、付着促進剤及び続いてのプライマーの両方の塗布が、PE基板への塗布に適切である。あるいは、プライマーは、付着促進剤の必要なく、PP及び他のプラスチック基板に、そして車、海洋、及び航空産業において用いられる金属及び複合材料を含む金属並びに複合材料に、(単独で)塗布され得、依然として基板への強い付着を提供する。有利には、プライマーは可撓性で、色合いをつけることができる。このような方法で、色合いをつけることは、プライマーの被覆によって必要とされるトップコート塗料を低減させることを可能とすることにより、吹き付け塗装者を援助する。
【0166】
プライマー中の第三の分散体の包含は、プライマーが金属及び複合材料、より詳細には、車、海洋、及び航空産業において用いられる金属及び複合材料に満足に付着することを許容する。第三の分散体を含むプライマーは、航空産業、海洋産業及び自動車産業に適応する。第三の分散体を含むプライマーは、新しいパネル及びすでに塗布されたパネルの金属表面に十分な付着を提供する。第三の分散体を含むプライマーの塗布の前には、パネル表面はまずプレップゾル(prepsol)又は洗浄溶媒で拭くべきである。
【0167】
実施例5
使用方法
付着促進剤を、塗布に先立って振とうし、漉す。コーティングされるべき表面(例えば、PE)を、洗浄溶媒又はシンナー(例えば、アセトン又はアクリルシンナー)で、徹底的に拭く。洗浄溶媒又はシンナーは、気化除去するか又は清潔な布で取り除く。付着促進剤の中程度に湿ったコーティングを2回塗布して、各付着促進剤のコーティングの間に60秒の気化除去を許容する。ポリオレフィン表面を、好ましくはベーキング(例えば、45分、45℃)によって、加熱する。このベーキング又は「硬化(curing)」工程は必須ではないが、ポリオレフィン表面への付着促進剤の架橋効果をそれは促進するので、好ましい。ポリオレフィン表面を、室温まで冷却する。
【0168】
一以上の固体の分散体又は「チップ」を含むプライマーを、振とう(約30秒)し、漉し、1又は2つの中程度のプライマーコーティングを塗布して、各々の塗布の間に、一分間の気化除去時間を許容する。所望により、より高度な仕上げを達成するために、塗装に先立つこすり又はやすりかけの前に、乾燥のためのより長い時間(例えば、10分)を用い得る。ポリオレフィンは、これで、トップコーティングで塗装するための準備が適切に整う。適切なトップコーティングを、有色の染色剤(tint)又は塗料、汚れ止めの塗料剤、あるいは、他のトップコーティング(例えば、アクリル、2液(two−pack)ポリウレタン、ポリエステル又はセルロースベースの樹脂)から選択する。
【0169】
プライマーはまた、付着促進剤の使用なしでも表面上に用いられ得る。
【0170】
実施例6
付着能力の評価
ASTM D3359−87のクロスハッチ及びテープ剥離試験を用いて、PE基板への塗料付着を評価した。本試験は、塗装された基板を鋭利な刃の器具(例えば、かみそりの刃)で切断することを伴う。縦(例えば、10)及び横(例えば、10)の筋を切り、切断によりパターン化された、100〜2mmの正方形又は長方形を得る。糸を通した粘着テープを、切った部分に付着し、刃のとがっていない方をテープ上でこすり、テープが完全に全ての形成された長方形に付着することを保証する。テープをすばやい動作で取り除く。テープによって取り除かれた長方形の数が、付着のレベルを決定する。5%の損失は許容可能で、完全な付着と分類できる。
【0171】
PE基板に塗布した付着促進剤及びプライマーを用いた試験では、24及び48時間後にそれぞれ3%及び0%の損失を示した。金属基板(ステンレス鋼、軟鋼、アルミニウム、電気めっき軟鋼(自動車の新しいパネル))に塗布した金属プライマーを用いた試験では、24及び48時間後に0%の損失を示した。
【0172】
促進耐候試験
標準の試験方法論(Architectural & Industrial Coatings、ペンリス市、オーストラリア)を用いて、試験PE基板に対する促進耐候試験を完了した。試験においては、500時間が4年間の風化作用と同等とみなし、風化作用によって引き起こされる付着損失の劣化に近づけた。試験は、PEに対するホワイトプライマーの付着は、試験の風化作用のプロセスによって影響されなかったことを示した。
【0173】
クロスハッチ法を実行したところ、4年間の促進風化作用後には付着の損失はゼロを示した。
【0174】
実地試験
厳しい環境(すなわち、ナラボー(Nullabor)砂漠)を連続的に走行して横断するトラックのPEのブルバー(bull bar)に対して、実験的な実地試験を行った。これらのトラックは、野生の動物群(例えば、カンガルー)、道端の柱及び種々の空中の物体(例えば、石のかけら)との持続的な複数の衝撃を有する。塗料の完全性の解析は、衝撃を受けた領域上又は周辺に観察可能な塗料の剥離を示さなかった。
【0175】
有利には、本発明の塗装可能なプライマー系は、既存のPE基板に塗布し得、物品の製造時に組み込む必要がない(すなわち、既存の品物に塗布し得る)。
【0176】
塗装可能な本プライマー系の用途は、種々の分野において見出され得る。
【0177】
塗装可能なプライマー系は、水中ブイ、ボート、コンセプトカーを含む車の外部構造並びに、ブルバー、バンパーバー、非金属性の「スマートバー(smart bar)」、及びサイドミラーを含む、セミトレーラー、馬運車(horse float)及び類似の乗り物の任意のプラスチック成分のような自動車の部品の形状のPE基板への塗布に適切である。
【0178】
塗装可能なプライマー系のさらなる用途は、市販及び小売市場に適切な、マーケティング又は博覧会展示品のような、他の製造済みのPEデバイスにおいてまた見出され得る。現在、そのような展示品は、基板が回転成型された時に色が導入されるが、色合いは滑らかさ又は仕上がりといった意味で劣っている。ゆえに、そのようなPE展示品等は、塗装可能な本プライマー系を用いて塗装して「自動車」品質の仕上がりを提供し得、従ってその会社に、他のどれをも超える強い視覚的マーケティングの有利性を可能とし得ることが意図される。
【0179】
現在、藻の迅速な成長は、海洋の環境で連続的に藻にさらされている船舶及び水中ブイのような物体に対して、防汚コーティングの目的での連続的な整備を必要とさせる。この整備が行われないと、ブイは不安定になり、それによって視認性が減少し、ゆえに安全性も減少する。藻の成長は、表面抵抗を通じて、快速艇等の性能を低下させる。
【0180】
現在まで、PE水中ブイ及び水中船舶は、防汚コーティング又は塗料の弱い付着力のために、防汚剤でうまくコーティングすることができなかった。したがって、塗装可能なプライマー系が、船体及びブイのような物体に防汚剤を行うのに用いられ得ることが、容易に明らかであり得る。さらに有利には、安全性を高めるために、従来のチント成形で得られるものに比べて、それらにより明るい外観を与えるために、水路のブイを塗装し得る。
【0181】
塗装可能なプライマー系はまた、車、海洋及び航空産業において用いられる金属及び複合材料のような、金属及び複合材料への塗布に適切である。
【0182】
上の組成は、気温及び湿度のような、混合物内の溶解度に影響し得る種々の処方条件に適応させるために、変動させ得ることが当業者により理解され得る。塗装可能な本プライマー系は、ギプロック(gyprock)、コンクリート、金属、セラミックのような非プラスチック基板をコーティングするのに用いられ得ることも理解され得る。
【0183】
本発明は本明細書中に詳細に説明した実施形態に限定されるものではないこと、並びに本発明の広範囲な精神及び範囲とそれでもなお矛盾しない様々な他の実施形態が、意図され得ることが当業者により理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性ポリマー、C〜Cアルキル化芳香族アルコールのフタル酸エステル、界面活性剤を含み、さらに以下からなる群より選ばれる1以上の成分を含む、分散体:
金属炭酸塩
ホワイトメタル酸化物、
〜C20脂肪族脂肪酸のアルカリ土類金属塩、
溶媒、
さび止め剤、及び
低級アルキルメタクリレートポリマー。
【請求項2】
低級アルキルメタクリレートポリマーが、エチルメタクリレートポリマーである、請求項1記載の分散体。
【請求項3】
熱可塑性ポリマー、C〜Cアルキル化芳香族アルコールのフタル酸エステル、金属炭酸塩、ホワイトメタル酸化物顔料、C〜C20脂肪族脂肪酸のアルカリ土類金属塩、低級アルキルメタクリレートポリマー、界面活性剤及び溶媒を含む、請求項1記載の分散体。
【請求項4】
熱可塑性ポリマー、C〜Cアルキル化芳香族アルコールのフタル酸エステル、ホワイトメタル酸化物顔料、界面活性剤、及び溶媒を含む、請求項1記載の分散体。
【請求項5】
熱可塑性ポリマー、C〜Cアルキル化芳香族アルコールのフタル酸エステル、金属炭酸塩、ホワイトメタル酸化物、C〜C20脂肪族脂肪酸のアルカリ土類金属塩、低級アルキルメタクリレートポリマー、界面活性剤、溶媒及びさび止め剤をさらに含む、請求項1記載の分散体。
【請求項6】
固形である、請求項1記載の分散体。
【請求項7】
粒状形である、請求項6記載の分散体。
【請求項8】
請求項6記載の分散体及びプライマー溶媒を含む、プライマー。
【請求項9】
低級アルキルメタクリレートポリマー、C〜Cケトン、C〜Cエステル、C〜Cアルキル化芳香族アルコールのフタル酸エステル、ハロゲン化ポリオレフィン、及び高分子可塑剤からなる群より選ばれる成分をさらに含む、請求項8記載のプライマー。
【請求項10】
アルコール、熱可塑性ポリマー、ポリヒドロキシケイ酸マグネシウム誘導体、及び二酸化ケイ素粉体からなる群より選ばれる成分をさらに含む、請求項8記載のプライマー。
【請求項11】
プライマー溶媒、低級アルキルメタクリレートポリマー、C〜Cケトン、C〜Cエステル、C〜Cアルキル化芳香族アルコールのフタル酸エステル、高分子可塑剤、ハロゲン化ポリオレフィン、請求項3記載の分散体、及び請求項4記載の分散体を含む、プライマー。
【請求項12】
プライマー溶媒、低級アルキルメタクリレートポリマー、C〜Cケトン、C〜Cエステル、C〜Cアルキル化芳香族アルコールのフタル酸エステル、高分子可塑剤、ハロゲン化ポリオレフィン、請求項3記載の分散体、請求項4記載の分散体、及び請求項5記載の分散体を含む、プライマー。
【請求項13】
プライマー溶媒、低級アルキルメタクリレートポリマー、C〜Cケトン、C〜Cエステル、C〜Cアルキル化芳香族アルコールのフタル酸エステル、アルコール、熱可塑性ポリマー、ポリヒドロキシケイ酸マグネシウム誘導体、二酸化ケイ素粉体、高分子可塑剤、ハロゲン化ポリオレフィン、請求項3記載の分散体、及び請求項4記載の分散体を含む、プライマー。
【請求項14】
芳香族炭化水素、C〜Cアルケンとビニルエステルとのコポリマー及び塩素化ポリオレフィンを含む、付着促進剤。
【請求項15】
第1のプライマー溶液を、第1の容器中で混合する工程;
請求項6記載の分散体を含む第2のプライマー溶液を、第2の容器中で混合する工程;
第1のプライマー溶液及び第2のプライマー溶液を一緒に混合して、プライマーを形成する工程
を含む、プライマーを製造する方法。
【請求項16】
プライマー溶媒及び低級アルキルメタクリレートポリマーを含む第1のプライマー溶液を混合すること;
〜Cケトン、C〜Cエステル、C〜Cアルキル化芳香族アルコールのフタル酸エステル、及び請求項1記載の分散体を含む第2のプライマー溶液を混合すること;及び
第1のプライマー溶液及び第2のプライマー溶液を、C〜Cエステル、C〜Cケトン、プライマー溶媒、高分子可塑剤、及びハロゲン化ポリオレフィンと一緒に混合して、プライマーを形成すること
を含む、プライマーを製造する方法。
【請求項17】
第2のプライマー溶液が、請求項3記載の分散体、及び請求項4記載の分散体を含む、請求項16記載のプライマーを製造する方法。
【請求項18】
第2のプライマー溶液が、請求項3記載の分散体、請求項4記載の分散体及び請求項5記載の分散体を含む、請求項16記載のプライマーを製造する方法。
【請求項19】
請求項14記載の付着促進剤で表面をコーティングすること;及び
請求項6記載のプライマーで表面をコーティングすること
を含む、物品の表面をコーティングするための方法。
【請求項20】
請求項8記載のプライマーでコーティングされた物品。

【公表番号】特表2007−526371(P2007−526371A)
【公表日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−501061(P2007−501061)
【出願日】平成17年3月2日(2005.3.2)
【国際出願番号】PCT/AU2005/000300
【国際公開番号】WO2005/085341
【国際公開日】平成17年9月15日(2005.9.15)
【出願人】(506297278)ポリ コート プロプライエタリィ リミテッド (1)
【Fターム(参考)】