説明

塗装成形体用の樹脂組成物

【課題】機械的性質や物理的性質が良く、塗装性の良い成形体を得ることができる、塗装成形体用の樹脂組成物を提供する。
【解決手段】(A)ポリアミド樹脂35〜90質量%、(B)ABS樹脂9〜50質量%、(C)カルボン酸変性AS樹脂、カルボン酸変性アクリル樹脂、カルボン酸変性マレイミド樹脂、カルボン酸変性ABS樹脂、カルボン酸変性SEBS樹脂から選ばれる2種以上を合計で1〜25質量%、さらに(D)ガラス繊維及び/又は炭素繊維を(A)、(B)、及び(C)成分の合計100質量部に対して2〜80質量部含有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗装して使用される各種成形体用として適している塗装成形体用の樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリアミド樹脂とABS樹脂からなる樹脂組成物が、自動車部品等の材料として知られている(特許文献1、2)。自動車部品等の材料には、剛性等の機械的性質、耐熱性等の物理的性質のほか、塗装性が良いことも要求される。
【0003】
特許文献1には、塗装性についての記載はなく、ガラス繊維等の繊維状充填剤は任意成分として記載されているのみである。
【0004】
特許文献2には、塗装性自体の試験はなく、塗装焼き付け後の寸法安定性についての定性試験(○×評価方式)が記載されているだけであり、特許文献1と同様に、ガラス繊維等の繊維状充填剤は任意成分として記載されているのみである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−224287号公報
【特許文献2】特開平11−286587号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、機械的性質や物理的性質が良く、塗装性の良い成形体を得ることができる、塗装成形体用の樹脂組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、課題の解決手段として、下記の各発明を提供する。
1.(A)ポリアミド樹脂35〜90質量%
(B)ABS樹脂9〜50質量%
(C)カルボン酸変性AS樹脂、カルボン酸変性アクリル樹脂、カルボン酸変性マレイミド樹脂、カルボン酸変性ABS樹脂、カルボン酸変性SEBS樹脂から選ばれる2種以上を合計で1〜25質量%
さらに(D)ガラス繊維及び/又は炭素繊維を(A)、(B)、及び(C)成分の合計100質量部に対して2〜80質量部含有する、塗装成形体用の樹脂組成物。
2.(A)ポリアミド樹脂35〜90質量%
(B)ABS樹脂9〜50質量%
(C)成分として(C−1)カルボン酸変性AS樹脂と(C−2)マレイミド系モノマーを40質量%以上含むモノマー混合物から得られたカルボン酸変性マレイミド樹脂を合計で1〜25質量%含有しており、
さらに(D)ガラス繊維及び/又は炭素繊維を(A)、(B)、及び(C)成分の合計100質量部に対して2〜80質量部含有する、塗装成形体用の樹脂組成物。
3.(A)ポリアミド樹脂35〜90量%
(B)ABS樹脂9〜50質量%
(C)成分として(C−1)カルボン酸変性AS樹脂、(C−2)マレイミド系モノマーを40質量%以上含むモノマー混合物から得られたカルボン酸変性マレイミド樹脂及び(C−3)カルボン酸変性ABS樹脂を合計で1〜25質量%含有しており、
さらに(D)ガラス繊維及び/又は炭素繊維を(A)、(B)及び(C)成分の合計100質量部に対して2〜80質量部含有する、塗装成形体用の樹脂組成物。
【発明の効果】
【0008】
本発明の塗装成形体用の樹脂組成物から得られた成形体は、剛性等の機械的性質や耐熱性等の物理的性質が良く、塗装後の塗膜の密着性も良い。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施例で使用したガラス繊維の長軸長さ/短軸長さの比率と断面形状を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<(A)成分>
(A))成分のポリアミド系樹脂としては、ジアミンとジカルボン酸とから形成されるポリアミド樹脂及びそれらの共重合体、具体的にはナイロン66、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン6・10)、ポリヘキサメチレンドデカナミド(ナイロン6・12)、ポリドデカメチレンドデカナミド(ナイロン1212)、ポリメタキシリレンアジパミド(ナイロンMXD6)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン46)及びこれらの混合物や共重合体;ナイロン6/66、6T成分が50モル%以下であるナイロン66/6T(6T:ポリヘキサメチレンテレフタラミド)、6I成分が50モル%以下であるナイロン66/6I(6I:ポリヘキサメチレンイソフタラミド)、ナイロン6T/6I/66、ナイロン6T/6I/610等の共重合体;ポリヘキサメチレンテレフタルアミド(ナイロン6T)、ポリヘキサメチレンイソフタルアミド(ナイロン6I)、ポリ(2−メチルペンタメチレン)テレフタルアミド(ナイロンM5T)、ポリ(2−メチルペンタメチレン)イソフタルアミド(ナイロンM5I)、ナイロン6T/6I、ナイロン6T/M5T等の共重合体が挙げられ、そのほかアモルファスナイロンのような共重合ナイロンでもよく、アモルファスナイロンとしてはテレフタル酸とトリメチルヘキサメチレンジアミンの重縮合物等を挙げることができる。
【0011】
更に、環状ラクタムの開環重合物、アミノカルボン酸の重縮合物及びこれらの成分からなる共重合体、具体的には、ナイロン6、ポリ−ω−ウンデカナミド(ナイロン11)、ポリ−ω−ドデカナミド(ナイロン12)等の脂肪族ポリアミド樹脂及びこれらの共重合体、ジアミン、ジカルボン酸とからなるポリアミドとの共重合体、具体的にはナイロン6T/6、ナイロン6T/11、ナイロン6T/12、ナイロン6T/6I/12、ナイロン6T/6I/610/12等及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0012】
<(B)成分>
(B)成分のABS樹脂は、乳化重合法、塊状重合法で製造されたものが好ましく、乳化重合後水中に分散した重合体を無機塩で凝固させた方法、塊状重合法で製造されたものが好ましい。
【0013】
<(C)成分>
(C)成分は、カルボン酸変性AS樹脂、カルボン酸変性アクリル樹脂、カルボン酸変性マレイミド樹脂、カルボン酸変性ABS樹脂、カルボン酸変性SEBS樹脂から選ばれる2種以上である。
【0014】
(C)成分の組み合わせとしては、カルボン酸変性AS樹脂と残りのいずれか1種又は2種以上の樹脂から選ばれる組み合わせ、カルボン酸変性マレイミド樹脂と、残りのいずれか1種又は2種以上の樹脂(但し、カルボン酸変性AS樹脂は除く)から選ばれる組み合わせを挙げることができる。
【0015】
(C)成分は、以下の(C−1)成分と(C−2)成分の組み合わせ、(C−1)成分、(C−2)成分及び(C−3)成分の組み合わせが好ましい。
【0016】
(C−1)成分のカルボン酸変性AS樹脂は公知のものであり、AS樹脂の末端にアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸等から選ばれるカルボン酸が結合したものを挙げることができる。
【0017】
(C−2)成分のマレイミド系モノマーを40質量%以上含むモノマー混合物から得られたカルボン酸変性マレイミド樹脂は、前記モノマー混合物から得られたマレイミド樹脂の末端にアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸等から選ばれるカルボン酸が結合したものを挙げることができる。
【0018】
前記モノマー混合物は、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−プロピルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−トルイルマレイミド、N−キシリールマレイミド、N−ナフチルマレイミド、N−t−ブチルマレイミド、N−オルトクロルフェニルマレイミド、N−オルトメトキシフェニルマレイミドから選ばれるマレイミド系単量体と、前記単量体と共重合できる他の単量体単位からなるものを挙げることができる。
【0019】
マレイミド系単量体と共重合できる他の単量体としては、スチレン、無水マレイン酸等を挙げることができる。
【0020】
(C−2)成分中、マレイミド系単量体単位の含有量は、40質量%以上であり、好ましくは45質量%以上、より好ましくは50質量%以上である。
【0021】
(C−2)成分の265℃10kgでのメルトフローレート値は0.1〜5が好ましく、0.1〜3.5がより好ましく、0.1〜2.5がさらに好ましい。
【0022】
(C−3)成分のカルボン酸変性ABS樹脂は公知のものであり、ABS樹脂の末端にアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸等から選ばれるカルボン酸が結合したものを挙げることができる。
【0023】
本発明の組成物中、(A)、(B)、(C)成分の含有割合は、以下のとおりである。
【0024】
(A)成分の含有量は35〜90質量%、好ましくは48〜80質量%、より好ましくは52〜80質量%、さらに好ましくは57〜78質量%である。(A)成分の含有量は(B)成分の含有量よりも大きいことが好ましい。
【0025】
(B)成分の含有量は9〜50質量%、好ましくは15〜50質量%、より好ましくは15〜42質量%、さらに好ましくは15〜35質量%である。(B)成分の含有量は(A)成分の含有量よりも小さいことが好ましい。
【0026】
(C)成分の含有量は合計で1〜25質量%、好ましくは5〜20質量%、より好ましくは5〜18質量%、さらに好ましくは7〜18質量%である。
【0027】
(C)成分として(C−1)成分と(C−2)成分の組み合わせを含有するときは、合計で上記含有量になる範囲で、(C−1)成分と(C−2)成分が下記の比率を満たすようにする。
【0028】
(C−1)成分と(C−2)成分の質量比〔(C−1)/(C−2)〕は、1/10〜10/1、1/10〜5/1が好ましく、1/10〜2/1がより好ましい。
【0029】
(C)成分として、(C−1)成分、(C−2)成分及び(C−3)成分の組み合わせを含有するときは、合計で上記含有量になる範囲で、(C−1)成分、(C−2)成分及び(C−3)成分が下記の比率を満たすようにする。
【0030】
(C−2)成分と(C−3)成分の質量比〔(C−2)/(C−3)〕は、1/10〜10/1、1/10〜5/1が好ましく、1/10〜2/1がより好ましい。
【0031】
(C−1)/〔(C−2)+(C−3)〕の含有量の質量比は、1/10〜10/1、1/10〜5/1が好ましく、1/10〜2/1がより好ましい。
【0032】
<(D)成分>
(D)成分としては、ガラス繊維又は炭素繊維を単独で用いることができ、ガラス繊維と炭素繊維を併用することもできる。
【0033】
ガラス繊維は、E−ガラス、D−ガラスからなるガラス繊維を挙げることができ、炭素繊維は、ポリアクリロニトリル系、ピッチ系、レーヨン系等からなるものを挙げることができる。
【0034】
(D)成分のガラス繊維又は炭素繊維は、長軸長さと短軸長さの比率(長軸長さ/短軸長さ)が1.0〜5.0の範囲のものが好ましく、1.2〜5.0の範囲のものがより好ましく、2.0〜5.0の範囲のものがさらに好ましく、3.0〜5.0の範囲のものが特に好ましい。なお、長軸長さと短軸長さの比率が1.0の場合は、断面が円形であることを意味する。
【0035】
(D)成分のガラス繊維又は炭素繊維は、幅方向の断面形状が円形(図1に示すGF−1,2)のもの、楕円形、多角形(二等辺三角形、正三角形、長方形、正方形、六角形、台形、菱形等)又は前記の多角形で角のみに丸みが付けられているものでもよいが、略繭玉形(図1に示すGF−3)、略長円形(図1に示すGF−4)のものが特に好ましい。
【0036】
なお、略繭玉形は、長さ方向及び幅方向の2つの中心軸からみて、左右対称のものでもよいし、非対称(但し、近似した形状)のものでもよいことを意味し、略長円形は、長さ方向及び幅方向の2つの中心軸からみて、左右対称(但し、近似した形状)のものでもよいし、非対称のものでもよいことを意味する。
【0037】
(D)成分の含有量は、(A)、(B)及び(C)成分の合計100質量部に対して2〜80質量部であり、好ましくは2〜50質量部、より好ましくは2〜25質量部である。
【0038】
本発明の組成物は、上記課題を解決できる範囲内にて、必要に応じて、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、酸化防止剤、滑剤、可塑剤、難燃剤、離型剤等を含有することができる。
【実施例】
【0039】
実施例及び比較例
表1に示す各成分を用い、日本製鋼社製の二軸押出機TEX30α(スクリュー径32mm)にて、250℃で溶融混練し、ストランド状に押し出した後に冷却し、切断してペレットを得た(スクリュー回転数:400rpm、投入量:50kg/時間)。ガラス繊維は、サイドフィードを用いて、途中から投入した。各例の組成物について、下記の各試験をした。結果を表1に示す。
【0040】
(1)曲げ弾性率
ISO178に準拠して測定した。
【0041】
(2)ノッチつきシャルピー衝撃試験
ISO179/1eAに準拠して測定した。
【0042】
(3)HDT
ISO75に準拠して測定した。
【0043】
(4)塗装性の評価
射出成形で作製した平板(100×100×2mm)の表面をイソプロパノールで脱脂し、2液型アクリルウレタン塗料(カシュー(株)製,ストロン100)で塗装し、乾燥(80℃×2時間)後、JIS K5400-1990の碁盤目テスト法で100マスの残目を数えて、塗装性を評価した。○表示は、100/100を示している。
【0044】
(5)そり
平らな水平面の上に、縦120mm×横120mm×厚み2mmのサイズに射出成形した平板を、その中央部が水平面と接触するように載置した。このとき、そりが生じている場合には各コーナー部が浮き上がる。
次に、各コーナー部を水平面に固定した後、固定したコーナー部に対して対角線上にあるコーナー部の水平面に対する高さ(持ち上がり高さ)を測定した。これを4つのコーナー部についても測定し、もっとも大きい持ち上がり高さについて、下記の4段階の基準で評価した。
◎:5mm未満
○:5mm以上8mm未満
△:8mm以上10mm未満
×:10mm以上
【表1】

【0045】
(C)成分を2種又は3種含んでいる実施例1〜15と、(C)成分を1種〔(C−1)成分のみ〕しか含んでいない比較例2との対比から明らかなとおり、シャルピー衝撃強度の違いが顕著であった。同様に実施例1〜15と、(C)成分を1種〔(C−2)成分のみ〕しか含んでいない比較例3との対比から明らかなとおり、塗装性の違いが顕著であった。
【0046】
実施例4(PA48質量%)、実施例5(PA52質量%)、実施例1(PA60質量%)、実施例16(PA70質量%)の順に、HDT高(1.8MPa)が高くなるため、塗装後の乾燥による熱的影響を受けに難くなるほか、より高温で乾燥できるようになるので、乾燥時間を短くできるようになる。
【0047】
実施例18、19は、ガラス繊維として、長軸長さ/短軸長さが1を超えるものを用いた例であり、特にシャルピー衝撃強度が高く、そりが小さかった。
【0048】
<(A)成分>
PA6-1:ポリアミド6:宇部興産(株) UBE ナイロン 1011FB
PA6-2:ポリアミド6:ユニチカ(株) ユニチカナイロン A1020BRL
<(B)成分>
ABS-1:乳化重合ABS樹脂(塩凝固処理)(スチレン30質量%,アクリロニトリル10質量%,ブタジエンゴム60質量%)
ABS-2:乳化重合ABS樹脂(酸凝固処理)(スチレン30質量%,アクリロニトリル10質量%,ブタジエンゴム60質量%)
ABS-3:塊状重合ABS樹脂(日本エイアンドエル(株),サンタック ST-55B)
<(C)成分>
(C-1)成分
酸変性AS:スチレン71質量%,アクリロニトリル24質量%メタクリル酸5質量%
(C-2)成分
酸変性マレイミド樹脂1:スチレン47質量%−Nフェニルマレイミド51質量%−無水マレイン酸2質量%の共重合体,ガラス転移温度196℃,重量平均分子量12万,265℃10kgでのメルトフローレート:4
酸変性マレイミド樹脂2:スチレン47質量%−Nフェニルマレイミド51質量%−無水マレイン酸2質量%の共重合体,ガラス転移温度196℃,重量平均分子量13.1万,265℃10kgでのメルトフローレート:3
酸変性マレイミド樹脂3:スチレン47質量%−Nフェニルマレイミド51質量%−無水マレイン酸2質量%の共重合体,ガラス転移温度196℃,重量平均分子量14.7万,265℃10kgでのメルトフローレート:2
(C-3)成分
酸変性ABS:スチレン41質量%,アクリロニトリル14質量%ブタジエンゴム40質量%メタクリル酸5質量%
他の(C)成分
酸変性アクリル樹脂:旭化成ケミカルズ(株)デルペット980N
酸変性SEBS樹脂:旭化成ケミカルズ(株)タフテックM1943
<(D)成分>
GF-1:ガラス繊維,日本電気硝子(株)製のECS-03-T-120,長軸長さ/短軸長さ=1.0(断面が円形)(図1参照)
GF-2:ガラス繊維,オーウェンスコーニングジャパン(株)製のRES03-TP27,長軸長さ/短軸長さ=1.0(断面が円形)(図1参照)
GF-3:ガラス繊維,日東紡績(株),CSH 3PA-870S,長軸長さ/短軸長さ=2.0(断面が略繭玉形)(図1参照)
GF-4:ガラス繊維3,日東紡績(株),CSG 3PA-820S,長軸長さ/短軸長さ=4.0(断面が略長円形)(図1参照)
CF-1:炭素繊維:東邦テナックス(株)社製のHTA-C6-UEL1
<その他の成分>
酸化防止剤1:リン系酸化防止剤,チバジャパン(株)製のIRGAFOS168
酸化防止剤2:イオウ系酸化防止剤,住友化学工業(株)製のスミライザーTPS
酸化防止剤3:フェノール系酸化防止剤,チバジャパン(株)製のIRGANOX1010
滑剤1:ステアリン酸カルシウム,堺化学工業(株)製のSC-PG
滑剤2:エチレンビスステアリン酸アマイド,日油(株)製のアルフロー H50S
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明の塗装成形体用の樹脂組成物は、自動車の内装部品及び外装部品等の成形用材料として利用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ポリアミド樹脂35〜90質量%
(B)ABS樹脂9〜50質量%
(C)カルボン酸変性AS樹脂、カルボン酸変性アクリル樹脂、カルボン酸変性マレイミド樹脂、カルボン酸変性ABS樹脂、カルボン酸変性SEBS樹脂から選ばれる2種以上を合計で1〜25質量%
さらに(D)ガラス繊維及び/又は炭素繊維を(A)、(B)、及び(C)成分の合計100質量部に対して2〜80質量部含有する、塗装成形体用の樹脂組成物。
【請求項2】
(A)ポリアミド樹脂35〜90質量%
(B)ABS樹脂9〜50質量%
(C)成分として(C−1)カルボン酸変性AS樹脂と(C−2)マレイミド系モノマーを40質量%以上含むモノマー混合物から得られたカルボン酸変性マレイミド樹脂を合計で1〜25質量%含有しており、
さらに(D)ガラス繊維及び/又は炭素繊維を(A)、(B)、及び(C)成分の合計100質量部に対して2〜80質量部含有する、塗装成形体用の樹脂組成物。
【請求項3】
(A)ポリアミド樹脂35〜90量%
(B)ABS樹脂9〜50質量%
(C)成分として(C−1)カルボン酸変性AS樹脂、(C−2)マレイミド系モノマーを40質量%以上含むモノマー混合物から得られたカルボン酸変性マレイミド樹脂及び(C−3)カルボン酸変性ABS樹脂を合計で1〜25質量%含有しており、
さらに(D)ガラス繊維及び/又は炭素繊維を(A)、(B)及び(C)成分の合計100質量部に対して2〜80質量部含有する、塗装成形体用の樹脂組成物。
【請求項4】
(D)成分のガラス繊維又は炭素繊維が、幅方向の断面の長軸長さと短軸長さの比率(長軸長さ/短軸長さ)が1.2〜5.0の範囲のものである、請求項1〜3のいずれか1項記載の塗装成形体用の樹脂組成物。
【請求項5】
(D)成分のガラス繊維又は炭素繊維が、幅方向の断面の長軸長さと短軸長さの比率(長軸長さ/短軸長さ)が2.0〜5.0の範囲のものである、請求項1〜3のいずれか1項記載の塗装成形体用の樹脂組成物。
【請求項6】
(D)成分のガラス繊維又は炭素繊維が、幅方向の断面形状が略繭玉形又は略長円形のものである、請求項1〜5のいずれか1項記載の塗装成形体用の樹脂組成物。

【図1】
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【公開番号】特開2010−285598(P2010−285598A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−87450(P2010−87450)
【出願日】平成22年4月6日(2010.4.6)
【出願人】(501041528)ダイセルポリマー株式会社 (144)
【Fターム(参考)】