説明

塗装方法

【目的】塗装対象となる下地に対して、塗料を塗装する際に耐候性の優れた,耐久性の良い仕上り面をつくる。
【構成】希釈割合の異なる二つの同一塗料を、希釈割合の大きい塗料を先に塗装し、後に希釈割合の小さい塗料を塗装する。希釈割合の大きい塗料の希釈が、希釈される塗料に対して、重量比10〜300%の希釈剤を混合するものであり、希釈割合の小さい塗料の希釈が、希釈される塗料に対して重量比0〜150%の希釈剤を混合するものであり、かつ二つの塗料の希釈割合に重量比10%以上の差を設けて塗装する。
【効果】同一塗料を2回以上塗装する時、同じ重量の塗料を使用した場合において、光沢に優れ、艶ムラの無い、付着性に優れ、耐久性に優れたものとすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、塗装方法特に、一般名称としてペイントあるいはトップコートと呼ばれる塗料の塗装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、金属あるいはプラステック等の吸湿性の無い下地以外、例えばコンクリート,モルタル,窯業系サイディング等の下地に対して塗料を塗装する際、稀に1回の塗装により仕上げることもあったが、通常は膜厚の確保あるいは隠ぺい,光沢等の確保の為に同一塗料を使用して、単に2回の塗装が行なわれていた。希釈割合については、施工方法(スプレー,刷毛,ローラー等)により希釈割合を変えることはあっても、その2回の塗装それぞれについて希釈割合を変えることはなかった。また、この時使用される塗料の希釈割合について説明を行っているものは存在せず、希釈割合の設定は、施工可能にあって作業性が良く、ダレあるいは色分かれ等の異常の発生が無い粘度を得る為のものであった。
従来、一つの塗料を異なった希釈により建築材に適用する塗装方法が、特開平7−171489に開示されていた。
【特許文献1】特開平7−171489号公報(特許請求の範囲 段落0004〜0007)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この発明では、従来と同一の塗料使用量にあって、塗膜の耐候性、あるいは下地を含む塗料との複合物としての耐久性が良好な仕上がり面の得られる塗装方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この出願では、上記目的を達成するために下記に列記する手段を用い、種々の下地に対して耐候性および耐久性の良好な仕上り面を得るようにしている。
【0005】
請求項1の特徴は、塗装対象となる下地に対して、希釈割合の異なる二つの同一塗料を、希釈割合の大きい塗料を塗装した後、希釈割合の小さい塗料を塗装することである。
【0006】
請求項2の特徴は、請求項1における塗料の希釈割合を数値として、明確にしたものであり、希釈割合の大きい塗料の希釈が、希釈される塗料に対して重量比10〜300%の希釈剤を混合するものであり、希釈割合の小さい塗料の希釈が、希釈される塗料に対して重量比0〜150%の希釈剤を混合するものであり、かつ2つの塗料の希釈割合に重量比10%以上の差を設けて塗装することである。
【0007】
請求項3の特徴は、請求項1または請求項2において、希釈割合の大きい塗料の塗装後、希釈割合の小さい塗料を塗装するまでの塗装間隔として、指触乾燥ないし硬化乾燥する迄の時間を設けることである。
【0008】
請求項4の特徴は、請求項1,請求項2または請求項3における下地が、コンクリート,モルタル,窯業系サイディング板,コンクリートブロック,レンガ,木毛セメント板,木片セメント板,石膏ボード等による建築物の外壁,内壁,間仕切壁,天井または構築物の表面あるいはその構成部材から選択されるものであることである。
【0009】
請求項5の特徴は、請求項1,請求項2または請求項3における下地が、建築物の外壁,内壁,間仕切壁,天井または構築物の表面あるいはその構成部材から選択されるものであり、かつ、建築用仕上塗材の主材が塗り付けられたものであることである。
【0010】
請求項6の特徴は、請求項1,請求項2または請求項3における下地が、建築物の外壁,内壁,間仕切壁,天井または構築物の表面であり、かつ、その表面に既存塗膜がある下地であることである。
【0011】
以下、この発明の要素のそれぞれを説明する。まず、この発明に用いられる塗料であるが、水あるいは溶剤を溶媒とし、これらに塗膜形成要素である顔料あるいは充填材および結合剤である油,樹脂成分を溶解あるいは分散させたものが任意に使用される。但し、油性塗料では溶媒を必要としない。塗料が塗膜になった状態から分類する名称として、クリアー塗料,エナメル塗料があり、更にそれぞれにおいて艶消し塗料,艶有り塗料がある。
【0012】
この発明では、一つの塗料を希釈割合の大きいものと小さいものにして使用される。希釈する時の割合は、希釈される塗料に対して希釈剤である水または溶剤のシンナーを、希釈割合の大きいものは、重量比10〜300%とし、希釈割合の小さいものは、重量比0〜150%となる。勿論、希釈の大小において必ず希釈の大きな塗料を先に使用することになり、希釈割合の差は10%以上の差をもって使用される。希釈割合の範囲の中、塗膜性能の面から見たときより効果的な範囲としては、希釈割合の大きい塗料の希釈を重量比10〜200%、希釈割合の小さい塗料の希釈を重量比0〜120%にして利用することが良い。
【0013】
塗料を塗装するに当っては、二つの希釈割合の異なる塗料のうち、希釈割合の大きいものを先に塗装し、次に相対的に希釈割合の小さいものを塗装することとなる。塗装現場においては、稀に行なわれているが3回以上の塗装を行なう際は、希釈の大きな塗料を1回塗装することにより効果が得られる。この希釈割合の大きな塗料を先に塗装することにより、下地の吸込みを均一にし、ピンホールを埋めるという作用,効果があり、特に凹凸のある下地に対して適用する時その効果が大となる。
【0014】
この発明の塗装方法を実施するその対象には、新築物件の下地あるいは改装物件の下地がある。新築物件の下地の例としては、コンクリート,モルタル,窯業系サイディング板,コンクリートブロック,レンガ,木毛セメント板,木片セメント板,石膏ボード等による建築物の外壁,内壁,間仕切壁または構築物の表面あるいはその構成部材から選択されるものがある。
【0015】
この発明では、上記の下地に対して、直接塗装される場合もあるが、JIS A6909にもある建築用仕上塗材の主材が塗り付けられたものの場合においても実施可能である。ここで言う主材とは、建築用仕上塗材における複層仕上塗材あるいは厚付け仕上塗材における主材の他、薄付け仕上塗材に上塗材を組み合せる場合の模様形成のための塗材およびJISの規定外の組成であっても主材および上塗材を組み合せて使用されるものも含む。
【0016】
更には、改装物件の下地においても実施可能である。改装物件の場合は、上記した新築の種々の下地に対して、建築用仕上塗材あるいは木部用塗料,金属用塗料などが塗装されたものあるいは改装の下地調整塗材が塗り付けられたものがある。これら改装の工事を行う時に、既に塗装されている種々の塗膜のことを既存塗膜とする。
【0017】
上記した種々の下地は、吸水性を有している時の方が効果が表れ易い。実際、塗装作業を行う現場では吸水性という言葉より「吸い込みのある」あるいは「吸い込みの無い」下地として表現されることがある。下地に吸水性が無い時、金属あるいはプラスチック製品に塗装するのと同じとなり、希釈を変えた塗料を塗装することによる効果が表われ難い。この発明において吸水性があるという場合、その程度は平方メートル当り,1回当り50〜250gの塗料を塗装した時に、垂直面においてタレが生じないものを言う。改装下地等のように、部分的に吸水性の大きい部分と吸水性の小さい部分の両者が存在する下地でも、この発明の効果を得ることができる。
【0018】
希釈割合の異なる二つの同一塗料を塗装する場合における塗装間隔は、先の塗装による塗料が指触乾燥ないし硬化乾燥する迄の時間である。通常は、溶剤を希釈剤とする塗料にあっては3分以上、水を希釈剤とする塗料にあっては3〜10分の塗料間隔時間を設けることで、先に塗装された塗料の塗膜が総て溶解することがなく、二層の塗膜が形成されるので、塗装間隔を空けた価値がある。
【0019】
この発明の塗装方法では、従来同一希釈割合の塗料を2回塗装するのに比べ、希釈割合の大きい塗料を先に塗装することになる。このことにより、種々の下地の吸込みを均一にし、塗料のアンカーリングに優れたものとなり、次に塗装される希釈割合の小さめの塗料が塗膜をつくる時、塗膜欠損のない良好な仕上り面が得られることとなる。
【発明の効果】
【0020】
この発明の塗装方法を利用した場合、従来と同一の使用量(所要量)において耐水性,温冷繰り返し試験,密着性試験,促進耐候性試験等の耐久性あるいは光沢の発現において、良好な結果が得られる。また、この塗装方法は新規の下地に利用する場合は勿論、改装を行う場合においても有効な結果を得ることができる。
【実施例】
【0021】
実施例1では、珪酸カルシウム板下地に対して、アクリル樹脂エナメルをエアースプレー塗装した。塗装時の希釈は、1回目は塗料15Kgに対して、シンナーを使用し、重量比140%(23リットル)の割合により、2回目は塗料15Kgに対してシンナーを使用し、重量比90%(約15リットル)の割合により希釈した。塗装間隔は、20℃65%RH条件下において3時間空けることとした。所要量は1回目0.13Kg/m2,2回目0.15Kg/m2により塗装した。
【0022】
実施例2では、実施例1と同一の下地,同一の塗料,同一の環境下において塗装をし、実施例1と異った点は、塗料の希釈を変更した。1回目は塗料15Kgに対して、シンナーによる希釈を重量比250%(41リットル)の割合とし、2回目は塗料15Kgに対してシンナーによる希釈を重量比100%(約16リットル)の割合とした。塗装間隔は実施例と同じく20℃65%RH条件下において、3時間空けることとした。所要量については、1回目0.13Kg/m2,2回目0.15Kg/m2として塗装した。
【0023】
比較例1では、実施例1と同一の下地,同一の塗料,同一の環境下において塗装をし、実施例1と異なった点は、塗料の希釈を2回とも塗料15Kgに対して、シンナー希釈を使用し重量比90%(約15リットル)にして塗装を行った。所要量についても1回目0.14Kg/m2,2回目0.14Kg/m2と同じにして塗装した。
【0024】
比較例2では、実施例1と同一の下地、同一の塗料、同一の環境下において塗装をし、実施例1と異なった点は、塗装間隔を1回目の塗装が行った後、追っかけ(時間的には1分程)により2回目の塗装を行った。所要量については、実施例1と同じにして塗装を行った。
【0025】
実施例3では、押出成形による窯業系サイディング下地に対して、ウレタン樹脂エナメルをエアレススプレー塗装した。塗装時の希釈は、1回目は主材15Kg,硬化剤1Kgに対して、シンナーを使用し重量比80%(約13リットル)の割合により、2回目は主材15Kg,硬化剤1Kgに対して、シンナーを使用し重量比50%(約9リットル)の割合により希釈した。塗装間隔は、20℃65%RH条件下において24時間空けることとした。所要量は1回目0.13Kg/m2,2回目0.15Kg/m2により塗装した。
【0026】
比較例3では、実施例3と同一の下地,同一の塗料,同一の環境下において塗装をし、実施例3と異なった点は、塗料の希釈を2回とも塗料の主材15Kg,硬化剤1Kgに対して、シンナーを使用し重量比50%(約9リットル)の割合にして塗装を行った。所要量は1回目0.14Kg/m2,2回目0.14Kg/m2により塗装した。
【0027】
実施例4では、フレキシブルボード下地に対して、合成樹脂エマルションである下塗材を所要量0.16Kg/m2により塗装し、1時間後に建築用仕上塗材のうち複層仕上塗材の主材に相当する塗材を所要量1.2Kg/m2により吹付け塗装し、24時間の間隔時間を空け、先の実施例1において利用したアクリル樹脂エナメルを、上塗材として実施例1と同じ方法により塗装した。但し、所要量は1回目0.14Kg/m2,2回目0.16Kg/m2により塗装した。
【0028】
実施例5では、実施例4と同じフレキシブルボード下地を利用し、下塗材および複層仕上塗材の主材に相当する塗材を吹付け塗装し、更に間隔時間を空けるところまでは同じとし、上塗りの塗装を合成樹脂エマルション系の水性塗料とした。合成樹脂の種類はアクリル系であり、スチレンを含まないものを利用した。塗装時の希釈は、1回目は塗料15Kgに対して、水を重量比16%(2.4Kg)の割合により、2回目は塗料15Kgに対して水を重量比5%(0.75Kg)の割合により希釈した。塗装間隔は、20℃65%RH条件下において5時間空けることとした。所要量は1回目0.18Kg/m2,2回目0.22Kg/m2により塗装した。
【0029】
実施例6では、押出成形による窯業系サイディング下地に対して、合成樹脂エマルションである下塗材を所要量0.15Kg/m2により塗装し、1時間後に建築用仕上塗材のうち、陶石リシンと呼ばれる骨材個有の色を生かした骨材着色形の厚付け仕上塗材(菊水化学工業(株)製の商品名「ナチュラルトーン」の色番NT−6のもの)を所要量5Kg/m2により吹付け塗装した。24時間経過後に、ウレタン樹脂クリアー塗料を上塗材としてエアースプレーにより塗装した。塗装時の希釈は、1回目は主材15Kg,硬化剤1.5Kgに対して、シンナーを使用し重量比30%(約5リットル)の割合により、2回目は主材15Kg,硬化剤1.5Kgに対して、シンナーを使用し重量比10%(約2リットル)の割合により希釈した。塗装間隔は、20℃65%RH条件下において3時間空けることとした。所要量は1回目0.1Kg/m2,2回目0.12Kg/m2により塗装した。
【0030】
比較例4では、実施例6における上塗り塗料であるウレタン樹脂クリアー塗料を、1回目と2回目の希釈を1回目10%,2回目30%にして塗装した。所要量は1回目0.12Kg/m2,2回目0.1Kg/m2とし、その塗装間隔時間は、実施例6と同じ3時間とした。
【0031】
比較例5では、実施例6における上塗り塗料の塗装を、主材15Kg,硬化剤1.5Kgに対して、シンナーを使用し重量比30%(約5リットル)の割合により希釈し、この希釈が大きめの塗料を2回、塗装間隔を3時間空けて塗装した。所要量は1回目0.11Kg/m2,2回目0.11Kg/m2として塗装した。
【0032】
実施例7では、プレキャストコンクリート板に合成樹脂エマルション系の複層仕上塗材が塗装された曝露板に対して、この発明の方法を実施した。改装下地となる旧塗膜のある面は、塗装後約5年が経過した面であり、仕上材の一部にはチョーキングが確認されたので、前もって高圧水洗処理を行った。塗装する塗料は実施例1と同じものを使用し、希釈割合,塗装間隔も同じとした、但し、所要量は1回目0.11Kg/m2,2回目0.13Kg/m2へと変更した。
【0033】
実施例8では、プレキャストコンクリート板に合成樹脂エマルション系の厚付け仕上塗材が塗装された曝露板に対して、この発明の方法を実施した。改装下地となる旧塗膜のある面は、塗装後約3年が経過した面であった。前もって、高圧水洗処理を行った上に、合成樹脂エマルション系の下地調整塗材を所要量1.0Kg/m2により圧送機により塗り付けておいた。下地調整塗材を塗装後、間隔を24時間空けた後に、実施例4の手順により複層仕上塗材の3つの塗材,下塗材,主材,上塗材を順を追って塗装した。上塗材は実施例1に使用したものと同じものを利用し、所要量は実施例4に説明した通りとした。
【0034】
上記した実施例と比較例における耐候性,耐久性の違いは、透水性試験,耐水性試験,温冷繰り返し試験,碁盤目テープ法による密着性,促進耐候性試験を行ない確認した。以下に、それぞれの試験方法と試験の評価結果を記す。
【0035】
透水性試験試験体の作成は、12×12cmにカットした各種下地に対して、実施例あるいは比較例にある仕様に沿って塗装したものを、20℃65%RH条件下において14日間養生する。但し、実施例7,実施例8はカットせず、そのまま利用した。試験は、JIS A6909−1995の透水試験B法に規定される透水試験器具をシリコーンシーリング材によって止め付け、48時間以上放置した後、水を試験器具のロート内へ、試験体の表面から約250mmの高さまで注入し、水頭高さにおける試験開始時との差を透水量として求め、開始後6時間と24時間後の変化をみて測定した。
【0036】
【表1】

【0037】
耐水性試験試験体の作成は、7.5×15cmにカットした各種下地に対して、実施例あるいは比較例にある仕様に沿って塗装を行ない、裏面および側面をエポキシ系塗料にてシールする。この試験でも、プレキャストコンクリート板を下地とした実施例ではカットをせず行った。20℃65%RH条件下において14日間養生したものを試験体とし、塗装面の半分が水に漬かるように試験体を半没させる。10日間半没状態により経過させた後、試験体を水より取り出し、ウエス等で表面をふき取り、直ちに目視にて試験体表面の状態を観察し、塗膜のはがれ,ひび割れ,膨れの有無,変色,光沢低下等の異常の有無を確認した。
【0038】
【表2】

【0039】
温冷繰り返し試験先の耐水性試験と同じ大きさ,同じ手順により作製した試験体を用意する。試験の手順は、JIS A6909−1995の温冷繰り返し試験に規定される方法に準拠した。試験体を20℃±2℃の水中に浸せきした後、直ちに−20℃±3℃の恒温器中で3時間冷却し、次いで、50℃±3℃の恒温器中で3時間加温し、この24時間を1サイクルとする操作を10回繰り返した後、直後の表面状態を観察した。確認事項については、前記試験にあるはがれ,ひび割れ,膨れ,変色,光沢低下の有無などである。
【0040】
【表3】

【0041】
密着性試験密着性試験では、実施例7,実施例8を除きJIS K5400の付着性にある碁盤目テープ法の試験に準じて、下地あるいは主材,厚付け仕上塗材との密着を試験した。碁盤目は、2mm間隔とし、ます目,5×5の方眼のうち、どれだけはがれずにすんだかをJIS記載の評価0点から10点までの評価基準に沿って評価した。試験体の作成については、平担な面が必要であるため、実施例4あるいは実施例6などのように、複層仕上塗材の主材あるいは厚付け仕上塗材を用いるものにあっては、これらを厚さ1mmコテ塗りにより塗布し、その後、上塗材を塗装して作成した。また、密着性試験を行う試験体は、塗装後14日間養生しただけの標準状態および前記耐水性試験にある水中に浸せきさせた部分,前記温冷繰り返し試験を行った後のものとし、それぞれの試験体について密着性試験を行った。
【0042】
【表4】

【0043】
促進耐候性試験促進耐候性試験では、実施例7,実施例8を除き、試験体の大きさを5×15cmとし、サンシャインカーボンアーク灯式のウェザーメーターに500時間照射させることにより、控の試験体との比較により、変色の程度,表面のひび割れ及びはがれの有無を確認した。促進耐候性の試験自体については、JIS A6909−1995に記載のある耐候性試験A法に準拠して行った。
【0044】
【表5】

【0045】
また、艶の出方を実施例1,実施例2,比較例1,比較例2,実施例3,比較例3,実施例5の上塗り塗料について比較した。尚、艶の出方は下地板をフレキシブルボード下地とし、上塗り塗料のみをそれぞれの希釈割合,塗装間隔時間を設けて塗装した。評価に当っては、7.5×15cmのフレキシブルボードに塗装した試験体の60度入射角による鏡面光沢度を測定した。
【0046】
【表6】




【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗装対象となる下地に対して、希釈割合の異なる二つの同一塗料を、希釈割合の大きい塗料を塗装した後、希釈割合の小さい塗料を塗装することを特徴とする塗装方法。
【請求項2】
希釈割合の大きい塗料の希釈が、希釈される塗料に対して、重量比10〜300%の希釈剤を混合するものであり、希釈割合の小さい塗料の希釈が、希釈される塗料に対して重量比0〜150%の希釈剤を混合するものであり、かつ二つの塗料の希釈割合に重量比10%以上の差を設けて塗装することを特徴とする特許請求項1記載の塗装方法。
【請求項3】
希釈割合の大きい塗料の塗装後、希釈割合の小さい塗料の塗装までの塗装間隔として、指触乾燥ないし硬化乾燥する迄の時間を設けることを特徴とする特許請求項1または請求項2記載の塗装方法。
【請求項4】
下地が、コンクリート,モルタル,窯業系サイディング板,コンクリートブロック,レンガ,木毛セメント板,木片セメント板,石膏ボード等による建築物の外壁,内壁,間仕切壁,天井または構築物の表面あるいはその構成部材から選択されるものであることを特徴とする特許請求項1,請求項2または請求項3記載の塗装方法。
【請求項5】
下地が、建築物の外壁,内壁,間仕切壁,天井または構築物の表面あるいはその構成部材から選択されるものであり、かつ、その表面に建築用仕上塗材の主材が塗り付けられたものであることを特徴とする特許請求項1,請求項2または請求項3記載の塗装方法。
【請求項6】
下地が、建築物の外壁,内壁,間仕切壁,天井または構築物の表面であり、既存塗膜がある下地であることを特徴とする特許請求項1,請求項2または請求項3記載の塗装方法。


【公開番号】特開2006−198621(P2006−198621A)
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−107786(P2006−107786)
【出願日】平成18年4月10日(2006.4.10)
【分割の表示】特願平9−84580の分割
【原出願日】平成9年3月17日(1997.3.17)
【出願人】(000159032)菊水化学工業株式会社 (121)
【Fターム(参考)】