説明

塗装方法

【課題】
シーリング材等の可塑剤を含有する材料表面に適する塗装方法を提供する。
【解決手段】
可塑剤含有材料の表面部及びその近傍に、固形分あたりのエポキシ当量が300〜450の範囲内のエポキシ樹脂エマルション(A)及び顔料(B)を含有する主剤(I)と、固形分あたりの活性水素当量が100〜300の範囲内であるアミン系硬化剤(II)からなる2液型の組成物である水性プライマーをエポキシ基1当量に対して活性水素基が、0.1〜1.0当量の範囲内、顔料体積濃度が60%以下となるように塗装する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シーリング材等の可塑剤を含有する材料表面に適する塗装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建築物を構成するものとして多用される各種PC板、窯業系建材、金属系建材等の建材の継ぎ部分(目地部分)には、主として雨水からの防水と外部から加わる応力による建築物のムーブメント/建材の膨脹収縮の吸収を目的としてシーリング材がほとんどの現場施工で打設されている。通常、シーリング材と建材の表面には、美観・耐久性等の面から化粧塗材が塗布され、該シーリング材の打設された目地部分を覆い隠し、一体感のある大壁の如くに仕上げられている。
【0003】
しかしながら、このような目地部分には、シーリング材の組成によって化粧塗材とシーリング材との間の付着不良による剥離、可塑化成分の滲み出しによる汚れ汚染、シーリング材の高弾性に追従できないことによる化粧塗材のクラック等の不具合が発生していた。
【0004】
こうした問題点に関して本出願人は特許文献1において特定の変性エポキシ樹脂を含む塗料組成物がシーリング材プライマーとしての適性を実現し得ることを見出した。かかる塗料組成物をシーリング材面に塗布すると、密着性、耐食性、耐衝撃性等に優れた塗膜が得られるものであるが、この塗料組成物は溶剤系であることから、このものを水性の材料に転換する要望が高まっている。
【0005】
これに対し、特許文献2には特定の水性樹脂、特定の有機質粉体及び特定のコアシェル型有機質粉体をそれぞれ特定量含む水性塗料が提案されている。
【0006】
かかる水性塗料によればシーリング材等の表面に塗布することで、シーリング材の高弾性にも追従可能なプライマー塗膜を形成することができ、該プライマー塗膜はシーリング材中に含まれる可塑剤が上層の化粧塗材による塗膜に移行することを防止することができるものであるが、一方でプライマー塗膜とサイディング材などの建材表面との付着性が十分とはいえない場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−92711号公報
【特許文献2】特開2005−324187号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、シーリング材等の可塑剤を含有する材料表面に適する塗装方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、
1. 可塑剤含有材料の表面部及びその近傍に水性プライマーを塗装する塗装方法であって、該水性プライマーが主剤(I)及びアミン系硬化剤(II)からなる2液型の組成物であって、主剤(I)が、その成分の一部としてエポキシ樹脂エマルション(A)及び顔料(B)を含有してなり、エポキシ樹脂エマルション(A)のエポキシ当量が固形分当たり300〜450の範囲内であり、アミン硬化剤(II)の活性水素当量が固形分当たり100〜300の範囲内であって、主剤(I)中に含まれるエポキシ樹脂エマルション(A)中のエポキシ基1当量に対してアミン硬化剤(II)の活性水素基が、0.1〜1.0の範囲内にあり、水性プライマーの顔料体積濃度が60%以下にあることを特徴とする塗装方法、
2. 主剤(I)が、アクリル樹脂エマルション(C)をさらに含む1項に記載の塗装方法、
3. アクリル樹脂エマルション(C)が、水酸基含有重合性不飽和モノマー(a)5〜20質量%、1分子中に少なくとも2個の重合性不飽和基を有する多ビニル化合物(b)0〜10質量%及びその他の重合性不飽和モノマー(c)70〜95質量%を含むモノマー混合物を乳化重合して得られる水酸基含有アクリル樹脂エマルションである2項に記載の塗装方法、
4. その他の重合性不飽和モノマー(c)が、その成分の少なくとも一部としてメチル(メタ)アクリレート及びメトキシエチルアクリレートから選ばれる少なくとも1種を含む3項に記載の塗装方法、
5. 目地部分に可塑剤含有材料が打設された建材の可塑剤含有材料表面部及びその近傍に、1項ないし4項のいずれか1項に記載の水性プライマーを塗装し、形成されたプライマー塗膜を含む建材表面全体に上塗り塗装してなる塗装方法、
6.目地部分に可塑剤含有材料が打設された建材の全面に、1項ないし4項のいずれか1項に記載の水性プライマーを塗装し、形成されたプライマー塗膜上に上塗り塗装してなる塗装方法、に関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明方法によれば、エポキシ樹脂/アミン硬化剤系の2液型組成物からなる特定の水性プライマーをシーリング材などの可塑剤含有材料の表面に塗装することによって、可塑剤の滲みだしを防止するのに適するプライマー塗膜を形成することができる。該プライマー塗膜は、シーリング材などの可塑剤含有材料の表面だけでなく、サイディング材などの建材表面との付着性にも優れている。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明方法が適用される基材である可塑剤含有材料とは、特に制限なく可塑剤を含む材料であるが、例えばシーリング材を挙げることができる。シーリング材としては具体的にはシリコーン系シーリング材、変性シリコーン系シーリング材、ポリサルファイド系シーリング材、変性ポリサルファイド系シーリング材、ウレタン系シーリング材、SBR系シーリング材、ブチルゴム系シーリング材等を挙げることができる。
【0012】
上記可塑剤としては、例えばジブチルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジ(2−エチルヘキシル)フタレート、ブチルベンジルフタレート等のフタル酸エステル類;ジオクチルアジペート、ジオクチルセバケート、ジブチルセバケート、コハク酸イソデシル等の非芳香族二塩基酸エステル類;オレイン酸ブチル、アセチルリシリノール酸メチル等の脂肪族エステル類;トリクレジルホスフェート、トリブチルホスフェート等のリン酸エステル類;トリメリット酸エステル類;塩素化パラフィン類;アルキルジフェニル、部分水添ターフェニル、等の炭化水素系油;プロセスオイル類;エポキシ化大豆油、エポキシステアリン酸ベンジル等のエポキシ可塑剤類;をあげることができる。
【0013】
本発明方法に用いられる水性プライマーは主剤(I)及びアミン硬化剤(II)からなる2液型の組成物であり、主剤(I)は、その成分の一部としてエポキシ樹脂エマルション(A)及び顔料(B)を含有する。
【0014】
本発明において、エポキシ樹脂エマルション(A)は、エポキシ樹脂が水性媒体中に乳化分散してなるものである。
【0015】
該エポキシ樹脂としては、分子中にエポキシ基を含有する樹脂であり、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂;該ビスフェノール型エポキシ樹脂を二塩基酸等で変性したエポキシエステル樹脂;脂環式エポキシ樹脂;ポリグリコール型エポキシ樹脂;エポキシ基含有アクリル樹脂;ウレタン変性エポキシ樹脂等が挙げられ、中でもウレタン変性エポキシ樹脂が可塑剤移行防止性などの点から好適である。
【0016】
上記エポキシ樹脂の乳化は、例えば該エポキシ樹脂を例えば分子中にポリオキシアルキレン単位を有する化合物の存在下に乳化分散することによって行うことができる。
【0017】
かかるポリオキシアルキレン単位を有する化合物としては、従来公知のものを制限なく使用でき、例えば、上記エポキシ樹脂をポリオキシアルキレン化合物で変性したポリオキシアルキレン変性樹脂及び/又は該ポリオキシアルキレン変性樹脂をウレタン変性した樹脂等を挙げることができる。
【0018】
本発明において、上記エポキシ樹脂エマルション(A)は、固形分当たりのエポキシ当量が300〜450の範囲内にあることを特徴とするものであり、好ましくは350〜450の範囲内にあることが望ましい。エポキシ樹脂エマルション(A)の固形分当たりのエポキシ当量が300未満では、水性プライマーから形成される塗膜が硬くなり塗膜にクラックが発生し易いので好ましくない。一方、エポキシ樹脂エマルション(A)の固形分当たりのエポキシ当量が450を超えると、シーリング材上に形成されたプライマー塗膜の造膜性が悪く、クラックが発生し易いから好ましくない。
【0019】
本明細書においてエポキシ樹脂エマルション(A)の固形分当たりのエポキシ当量は、試料をクロロホルム及び酢酸1/1液で溶解し、該溶解液に臭化テトラエチルアンモニウム100gを酢酸400mlに溶解した溶液を10ml加え、クリスタルバイオレットを指示薬として過塩素酸酢酸溶液で滴定し、下記式により算出したものである。
【0020】
エポキシ当量(g/eq)=1000×m/(C×V)。
【0021】
m:試料固形分質量(g)、C:滴定液の過塩素酸酢酸の濃度、V:滴定量(ml)。
【0022】
また、上記エポキシ樹脂エマルション(A)の溶解性パラメーター値は9.30以上、特に9.30〜10.50の範囲内にあることがプライマー塗膜の可塑剤移行防止性の点から適している。
【0023】
本明細書において溶解性パラメータ(SP値)は、簡便な実測法である濁点滴定により測定することができ、下記のK.W.SUH、J.M.CORBETTの式(Journal of Applied Polymer Science,12,2359,1968の記載参照)に従い算出される値である。
【0024】
式 SP=(√Vml・δH+√Vmh・δD)/(√Vml+√Vmh)。
【0025】
濁点滴定では、試料0.5gをアセトン10mlに溶解した中に、n−ヘキサンを加えていき、濁点での滴定量H(ml)を読み、同様にアセトン溶液中に脱イオン水を加えたときの濁点における滴定量D(ml)を読み、これらを下記式に適用し、Vml、Vmh、δH、δDを算出する。なお、各溶剤の分子容(mol/ml)は、アセトン:74.4、n−ヘキサン:130.3、脱イオン水:18であり、各溶剤のSPは、アセトン:9.75、n−ヘキサン:7.24、脱イオン水:23.43である。
【0026】
Vml=74.4×130.3/((1−VH)×130.3+VH×74.4)
Vmh=74.4×18/((1−VD)×18+VD×74.4)
VH=H/(10+H)
VD=D/(10+D)
δH=9.75×10/(10+H)+7.24×H/(10+H)
δD=9.75×10/(10+D)+23.43×D/(10+D)。
【0027】
本発明において顔料(B)としては、それ自体既知の着色顔料及び体質顔料を制限なく使用することができ、これらのうち着色顔料としては、例えば、二酸化チタン等の白色顔料;カーボンブラック、アセチレンブラック、ランプブラック、ボーンブラック、黒鉛、鉄黒、アニリンブラックなどの黒色顔料;黄色酸化鉄、チタンイエロー、モノアゾイエロー、縮合アゾイエロー、アゾメチンイエロー、ビスマスバナデート、ベンズイミダゾロン、イソインドリノン、イソインドリン、キノフタロン、ベンジジンイエロー、パーマネントイエロー等の黄色顔料;パーマネントオレンジ等の橙色顔料;赤色酸化鉄、ナフトールAS系アゾレッド、アンサンスロン、アンスラキノニルレッド、ペリレンマルーン、キナクリドン系赤顔料、ジケトピロロピロール、ウォッチングレッド、パーマネントレッド等の赤色顔料;コバルト紫、キナクリドンバイオレット、ジオキサジンバイオレット等の紫色顔料;コバルトブルー、フタロシアニンブルー、スレンブルーなどの青色顔料;フタロシアニングリーンなどの緑色顔料などが挙げられ、これらはそれぞれ単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
【0028】
上記顔料は適宜選択して使用することができるが、カーボンブラックを配合せず、特に平均1次粒子径が500〜2,000nmの範囲内にある二酸化チタンを使用すると、プライマー塗膜に遮熱性を付与することも可能である。
【0029】
体質顔料としては、例えば、シリカ、バリタ粉、沈降性硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、石膏、クレー、ホワイトカーボン、珪藻土、タルク、炭酸マグネシウム、アルミナホワイト、グロスホワイト、タンカルなどが挙げられ、これらはそれぞれ単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
【0030】
本発明において、水性プライマー塗料に含まれる顔料の顔料体積濃度としては60%以下、特に30〜60%の範囲内にあることがプライマー塗膜の可塑剤移行防止性及びタック性の点から好適である。
【0031】
本明細書において、「顔料体積濃度」は、塗料中の全樹脂分と全顔料との合計固形分に占める当該顔料分の体積割合である。
【0032】
本明細書において、顔料の体積を算出する際のもとになる顔料の比重は、「塗料原料便覧第6版」(社団法人日本塗料工業会)によるものであり、また、樹脂固形分の比重は1と近似するものとする。
【0033】
本発明において上記主剤(I)は、上記エポキシ樹脂エマルション(A)を主剤(I)に含まれる樹脂固形分合計中60質量%以上、好ましくは70%以上含むことが適しているが、水性プライマーにより形成される塗膜のサイディング面に対する付着性の点から、該エポキシ樹脂エマルション(A)に加えてアクリル樹脂エマルション(C)を含んでいてもよい。
【0034】
上記アクリル樹脂エマルション(C)としては、アクリル樹脂が水性媒体中に乳化分散してなるものであり、例えば重合性不飽和モノマー混合物を乳化重合することによって製造したエマルションを挙げることができる。
【0035】
アクリル樹脂エマルション(C)としては特に、水酸基含有重合性不飽和モノマー(a)3〜20質量%、特に5〜18質量%、1分子中に少なくとも2個の重合性不飽和基を有する多ビニル化合物(b)0〜10質量%、特に1〜7質量%及びその他の重合性不飽和モノマー(c)70〜97質量%、特に75〜94質量%を含むモノマー混合物を乳化重合して得られる水酸基含有アクリル樹脂エマルションであることが望ましい。
【0036】
上記アクリル樹脂エマルション(C)において、水酸基含有重合性不飽和モノマー(a)の共重合割合が上記範囲内にあると可塑剤移行防止性とプライマー塗膜の耐水性の点から好ましく、また、1分子中に少なくとも2個の重合性不飽和基を有する多ビニル化合物(b)の共重合割合が上記範囲内にあると可塑剤移行防止性とプライマー塗膜の耐ワレ性の点から好適である。
【0037】
上記水酸基含有重合性不飽和モノマー(a)としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどのアクリル酸またはメタクリル酸の炭素数2〜8のヒドロキシアルキルエステル;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコールなどのポリエーテルポリオールと(メタ)アクリル酸などの不飽和カルボン酸とのモノエステル;ヒドロキシアルキルビニルエーテル、アリルアルコール、(メタ)アクリル酸のヒドロキシアルキルエステル、(ポリ)アルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート等とラクトン類(例えば、ε−カプロラクトン、γ−バレロラクトン)との付加物;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコールなどのポリエーテルポリオールと2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどの水酸基含有不飽和モノマーとのモノエーテル;α,β−不飽和カルボン酸と、カージュラE10(シェル化学社製)やα−オレフィンエポキシドのようなモノエポキシ化合物との付加物;グリシジル(メタ)アクリレートと酢酸、プロピオン酸、p−t−ブチル安息香酸、脂肪酸類のような一塩基酸との付加物;無水マレイン酸や無水イタコン酸のごとき酸無水基含有不飽和化合物と、エチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールなどのグリコール類とのモノエステル化物またはジエステル化物;ヒドロキシエチルビニルエーテルのごときヒドロキシアルキルビニルエーテル類、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートのような塩素を含んだ水酸基含有単量体、アリルアルコール等を挙げることができる。
【0038】
1分子中に少なくとも2個の重合性不飽和基を有する多ビニル化合物(b)としては、ジアリルフタレート、ジアリルイソフタレート、トリアリルイソシアヌレート、ジアリルテトラブロムフタレート、ペンタエリスリト−ルジアリルエーテル、アリルグリシジルエーテル等のアリルモノマー;パーフルオロブチルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロイソノニルエチル(メタ)アクリレ−ト、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート等のパーフルオロアルキル(メタ)アクリレート;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ヒドロキシイソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、グリセロールアリロキシジ(メタ)アクリレート、1,1,1−トリス(ヒドロキシメチル)エタンジ(メタ)アクリレート、1,1,1−トリス(ヒドロキシメチル)エタントリ(メタ)アクリレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルトリメリテート、ジアリルテレフタレート、ジアリルフタレート、ジアリルイソフタレート、ペンタエリスリトルジアリルエ−テル、ジビニルベンゼン等の多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステル類等を挙げることができる。
【0039】
その他の重合性不飽和モノマー(c)としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、2−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、2−カルボキシプロピル(メタ)アクリレート、5−カルボキシペンチル(メタ)アクリレート等のカルボキシル基含有不飽和モノマー;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル(n−,i−,t−)、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等のアクリル酸又はメタクリル酸の炭素数1〜18のアルキルエステル又はシクロアルキルエステル;(メタ)アクリル酸メトキシブチル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシブチル等のアクリル酸又はメタクリル酸の炭素数2〜18のアルコキシアルキルエステル;エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、ペンチルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル等の鎖状アルキルビニルエーテル類;シクロペンチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル等のシクロアルキルビニルエーテル類;フェニルビニルエーテル、トリビニルフェニルエーテル等のアリールビニルエーテル類;ベンジルビニルエーテル、フェネチルビニルエーテル等のアラルキルビニルエーテル類;アリルグリシジルエーテル、アリルエチルエーテル等のアリルエーテル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、乳酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、カプロン酸ビニル、イソカプロン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ベオバモノマ−(シェル化学社製)等のビニルエステル;酢酸イソプロペニル、プロピオン酸イソプロペニル等のプロペニルエステル;エチレン、プロピレン、ブチレン、塩化ビニル等のオレフィン系化合物;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、α−クロルスチレン等のビニル芳香族化合物;N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどの含窒素アルキル(メタ)アクリレート;アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド等の重合性アミド類;2−ビニルピリジン、1−ビニル−2−ピロリドン、4−ビニルピリジンなどの芳香族含窒素モノマー;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の重合性ニトリル;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトオキシシラン、β−(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン等を挙げることができる。
【0040】
上記水酸基含有アクリル樹脂エマルションにおいて、上記その他の重合性不飽和モノマー(c)が、その成分の少なくとも一部としてメチル(メタ)アクリレート及びメトキシエチルアクリレートから選ばれる少なくとも1種を含むことが可塑剤移行防止性の点から好ましい。
【0041】
かかるモノマーの使用量としては、その他の重合性不飽和モノマー(c)中に80質量%以下、特に5〜60質量%の範囲内にあることが適している。
【0042】
また、上記その他の重合性不飽和モノマー(c)が、その成分の一部としてカルボキシル基含有重合性不飽和モノマーを含むことが、可塑剤移行防止性の点から好ましい。
【0043】
かかるカルボキシル基含有重合性不飽和モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、2−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、2−カルボキシプロピル(メタ)アクリレート、5−カルボキシペンチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0044】
かかるカルボキシル基含有重合性不飽和モノマーの使用量としては、その他の重合性不飽和モノマー(c)中に0.5〜10質量%、特に1〜5質量%の範囲内にあることが適している。
【0045】
上記アクリル樹脂エマルション(C)は、上記例示のモノマー成分の全量を乳化重合させたいわゆる単層型であってもよいし、異なる組成のモノマー成分を段階的に乳化重合させたいわゆる多層型(2段階重合の場合はコアシェル型ということもある)であってもよい。
【0046】
上記アクリル樹脂エマルション(C)の溶解性パラメータ値は9.30以上特に、9.30〜10.50の範囲内にあることが水性プライマーにより形成される塗膜の可塑剤移行防止性の点から適している。
【0047】
上記主剤(I)がアクリル樹脂エマルション(C)を含む場合の含有量としては、主剤(I)に含まれる樹脂固形分合計中にアクリル樹脂エマルション(C)の樹脂固形分が40質量%以下、特に30質量%以下となるような割合であることがサイディング面に対する付着性などの点から好ましい。
【0048】
上記主剤(I)は必要に応じて、上記エポキシ樹脂エマルション(A)及びアクリル樹脂エマルション(C)以外の樹脂、塗料用添加剤を含ませることができる。該塗料用添加剤としては、造膜助剤、中和剤、増粘剤、帯電防止剤、軟化剤、抗菌剤、香料、硬化触媒、pH調整剤、調湿剤、粉状もしくは微粒子状の活性炭、光触媒酸化チタン、水性撥水剤、分散剤、消泡剤、防腐剤、防カビ剤、凍結防止剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、造膜助剤、亜鉛ウィスカ、硬化促進剤、アルデヒド吸着剤、ワックス、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、水酸化アルミニウム等の難燃化剤などが挙げられる。
【0049】
これらのうち造膜助剤としては、例えば2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールジイソブチレート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノ2−エチルヘキサノエート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールジ2−エチルヘキサノエートなどのエステル系化合物、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテルなどのポリプロピレングリコールのモノアルキルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテルなどのポリエチレングリコールのジアルキルエーテル等が挙げられ、これらは単独でまたは2種以上組み合わせて使用することができる。
【0050】
該造膜助剤を使用する場合の使用量としては、可塑剤移行防止性の点から水性プライマーに含まれる樹脂固形分を基準として0.1〜20質量%、特に1〜10質量%の範囲内に調整されることが適している。
【0051】
アミン硬化剤(II)
本発明方法に使用されるアミン硬化剤(II)は、上記主剤(I)と相溶可能で、エポキシ基と反応可能な活性水素基を分子中に2個以上有する化合物であり、例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ポリオキシプロピレンジアミン、ポリオキシプロピレントリアミン等の鎖状脂肪族アミン、メンセンジアミン、イソホロンジアミン、ビス(4−アミノ−3−メチルジシクロヘキシル)メタン、ジアミノジシクロヘキシルメタン、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、N−アミノエチルピペラジン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキオサスピロ(5.5)ウンデカン、m−キシレンジアミン等の環状脂肪族アミン、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、ジアミノジエチルジメチルフェニルメタン、α,α’−ビス(4−アミノフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン等の芳香族ポリアミンなどのポリアミン硬化剤、これらポリアミン類とダイマー酸などのジカルボン酸とを常法によって反応させて得られるポリアミドポリアミン硬化剤、または、これらポリアミン類にエポキシ樹脂を付加させたエポキシ付加変性ポリアミン硬化剤あるいはアクリロニトリル等を付加させたミカエル付加変性ポリアミン硬化剤などがあげられる。
【0052】
上記アミン硬化剤(II)は、固形分当たりの活性水素当量が100〜400の範囲内にあるものであり、さらには100〜350の範囲内にあることが好適である。この範囲外ではプライマー塗膜の可塑剤移行防止性が低下し、好ましくない。
【0053】
本明細書においてポリアミンの活性水素当量とは、活性水素1個あたりの分子量を意味する。
【0054】
上記アミン硬化剤(II)の配合割合は、プライマー塗膜の可塑剤移行防止性、クラックの発生抑制などの観点から、主剤(I)中に含まれるエポキシ樹脂エマルジョン中のエポキシ基1当量に対してアミン硬化剤(II)の活性水素が通常、0.1〜1.0当量の範囲内となるものであり、特に0.3〜0.9当量の範囲内となるような割合で選択されることが望ましい。
【0055】
本発明方法に使用される水性プライマー塗料は上記主剤(I)及びアミン硬化剤(II)からなる2液型の組成物であり、使用直前に主剤(I)およびアミン硬化剤(II)を混合することによって容易に調製することができ、主剤(I)及びアミン硬化剤(II)の2液混合乾燥質量で10〜200g/m、好ましくは20〜150g/mの範囲内となるようにして前記の基材の表面に塗装することができる。その塗装は、それ自体既知の塗装手段、例えば、エアスプレー、エアレススプレー、刷毛塗り、ローラー塗り等で行うことができる。
【0056】
基材が目地部分に可塑剤含有材料が打設された建材である場合には、可塑剤含有材料表面部及びその近傍(例えば可塑剤含有材料表面幅より3〜10mm広く)に、上記水性プライマーを塗装し、形成されたプライマー塗膜を含む建材表面全体に上塗り塗装をしてもよいし、該建材の全面に上記水性プライマーを塗装し、形成されたプライマー塗膜上に上塗り塗装をしてもよい。
【0057】
上塗り塗装に用いられる上塗り塗料としては従来公知のアクリル系樹脂、アクリルシリコン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、シリコン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、ポリエステル系樹脂、アルキッド系樹脂、生分解性樹脂等の樹脂種よりなる水系又は溶剤系の樹脂を樹脂バインダーとして含んでなる塗料を挙げることができ、それ自体既知の塗装手段で塗装をすることができる。
【実施例】
【0058】
以下、実施例、比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。なお、下記例中の「部」および「%」はそれぞれ「質量部」および「質量%」を意味する。
【0059】
アクリルエマルションの製造
製造例1
容量2リットルの4つ口フラスコに脱イオン水300部、「Newcol 707SF」(商品名、日本乳化剤社製、ポリオキシエチレン鎖を有するアニオン性界面活性剤、不揮発分30%)0.1部を加え、窒素置換後、85℃に保った。この中に下記組成をエマルション化してなるプレエマルションのうち3質量%分及び下記触媒水溶液のうち30質量%分を添加し、攪拌した。添加20分後から下記プレエマルションの97質量%分と下記触媒水溶液の70質量%分を4時間かけて滴下した。
≪プレエマルション≫
脱イオン水 287部、
メタクリル酸 8部、
スチレン 496部、
n−ブチルアクリレート 120部、
アクリル酸 16部、
ヒドロキシエチルメタクリレート 120部、
1,6ヘキサンジオールジアクリレート 40部、
「Newcol 707SF」 53部、
≪触媒水溶液≫
過硫酸アンモニウム 1.5部、
脱イオン水 120部、
滴下終了後、脱イオン水56部を加え、これをさらに2時間80℃に保持した後、40℃以下に降温した。次いでアンモニア水でpH8〜9に調整し、固形分50%のアクリルエマルションAを得た。該エマルションAのSP値は9.47であった。
【0060】
製造例2
容量2リットルの4つ口フラスコに脱イオン水300部、Newcol 707SF(商品名、日本乳化剤社製、ポリオキシエチレン鎖を有するアニオン性界面活性剤、不揮発分30%)0.1部を加え、窒素置換後、85℃に保った。この中に下記組成をエマルション化してなるプレエマルションのうち3質量%分及び下記触媒水溶液のうち30質量%分を添加し、攪拌した。添加20分後から下記プレエマルションの97質量%分と下記触媒水溶液の70質量%分を4時間かけて滴下した。
【0061】
≪プレエマルション≫
脱イオン水 287部、
メタクリル酸 8部、
スチレン 360部、
n−ブチルアクリレート 256部、
アクリル酸 16部、
ヒドロキシエチルメタクリレート 120部、
1,6−ヘキサンジオールジアクリレート 40部、
メトキシエチルアクリレート 40部、
「Newcol 707SF」 53部、
≪触媒水溶液≫
過硫酸アンモニウム 1.5部、
脱イオン水 120部、
滴下終了後、脱イオン水56部を加え、これをさらに2時間80℃に保持した後、40℃以下に降温した。次いでアンモニア水でpH8〜9に調整し、固形分50%のアクリルエマルションBを得た。該エマルションBのSP値は9.39であった。
【0062】
アクリル変性エポキシ樹脂の製造(比較例用)
製造例3
加熱装置、撹拌機、温度計、還流冷却管、窒素ガス導入装置及び滴下ロートを備えた4ツ口フラスコにミネラルスピリット704部を仕込み、窒素ガスを導入しながら加熱撹拌し、130℃になったところでモノマー混合物(アクリル酸60部、スチレン60部、エチルアクリレート60部、イソブチルメタクリレート720部、2−エチルヘキシルメタクリレート300部、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート96部)を3時間にわたって均一に滴下し、滴下後2時間熟成を行ない、カルボキシル基含有アクリル樹脂溶液(a)を得た。次に別の反応容器に、「jER828」(ジャパンエポキシレジン社製品、商品名、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量187)112.5部、「バーサダイム216」(ヘンケル白水(株)製品、商品名、ダイマー酸、酸価195mgKOH/g)37.5部及びテトラエチルアンモニウムブロマイド0.03部を仕込み、窒素気流下で130℃に加熱し、約3時間反応を行ないエポキシエステル樹脂を得た。次いで上記カルボキシル基含有アクリル樹脂溶液(a)250部及びテトラエチルアンモニウムブロマイド0.06部を仕込み、120℃に加熱して約2時間反応を行ない、樹脂酸価が0.3mgKOH/g以下になったところでミネラルスピリット100部を添加し、アクリル変性エポキシ樹脂溶液を得た。得られたアクリル変性エポキシ樹脂溶液の不揮発分濃度は61%、エポキシ当量は803(固形分)であった。
【0063】
プライマー塗料の製造
製造例4〜22
表1に示す成分を攪拌混合して各ベース塗料を得た。次いで表1に示す配合にて硬化剤を使用直前に配合、攪拌して各プライマー塗料(C1)〜(C19)を得た。
【0064】
【表1】

【0065】
(注1)「EM−0526」;商品名、旭電化社製、ウレタン変性エポキシ樹脂を含有するエポキシ樹脂エマルション、固形分45%、固形分当たりのエポキシ当量378、SP値9.8、
(注2)「101−50」;商品名、旭電化社製、エポキシ樹脂を含有するエポキシ樹脂エマルション、固形分50%、固形分当たりのエポキシ当量500、SP値9.8、
(注3)「EM−1―60L」;商品名、旭電化社製、エポキシ樹脂を含有するエポキシ樹脂エマルション、固形分65%、固形分当たりのエポキシ当量208、SP値9.5、
(注4)「EP110」;商品名、ジャパンエポキシレジン社製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂をキシレンで固形分70%に溶解した溶液、固形分当たりのエポキシ当量500、
(注5)「JR605」;商品名、テイカ社製、チタン白、平均1次粒子径250nm、比重4.1、
(注6)「JR1000」;商品名、テイカ社製、チタン白、平均1次粒子径1000nm、比重4.1、
(注7)体質顔料:比重2.7の炭酸カルシウム、
(注8)消泡剤:「SNデフォ−マ−A63」、商品名、サンノプコ社製、
(注9)分散剤:「DISPER BYK−190」、商品名、BYK社製、
(注10)増粘剤:「アデカノールUH−420」、商品名、旭電化社製、
(注11)造膜助剤:「TEXANOL」、商品名、イーストマンケミカル社製、2、2、4−トリメチルペンタンジオールモノイソブチレート、
(注12)「EH203」;商品名、旭電化社製、変性ポリアミン、固形分あたりの活性水素当量130、
(注13)「エピリンク360」;商品名、エアープロダクツ社製、変性ポリアミド、固形分あたりの活性水素当量120、
(注14)「8537WY60」;商品名、ヘキシオン社製、変性ポリアミン、固形分あたりの活性水素当量174、
(注15)「TXS−53C」;商品名、富士化成工業社製、変性ポリアミン、固形分あたりの活性水素当量84、
(注16)「バーサミドJP260」;商品名、コグニスジャパン社製、固形分65%、ポリアミン、固形分当たりの活性水素当量293、
(注17)「バーサミドJP−433K」;商品名コグニスジャパン社製、固形分90%、ケチミン、固形分当たりの活性水素当量184。
【0066】
≪シーリング材≫
A:「ハマタイトスーパーII」(商品名、横浜ゴム社製、2液型変性シリコンシーリング材)、
B:「ペンギンシール2500」(商品名、サンスター技研社製、2液型変性シリコンシーリング材)、
C:「PSシール」(商品名、コニシ社製、2成分ポリサルファイド系)。
【0067】
試験板の作製
実施例1〜12及び比較例1〜7
下地板として10mm×5mm角の目地溝を有するフレキシブル板を作成し、各種組成のシーリング材を目地溝に盛りつけてから、室温で3日間乾燥させた後、シーリング材表面及びその表面幅より5mm広い部分に渡り上記製造例で得たプライマー(C1)〜(C19)を100g/m2の塗布量で刷毛にて塗装した。これを1日間乾燥させた後に試験板全面に「アクアグロス白」(関西ペイント(株)社製、商品名、アクリル水性塗料)をローラー塗り(塗布量:150g/m×1回)して耐ワレ性試験とタック性の試験に対する試験板とした。
(*)耐ワレ性試験
上記各試験板に対して水漬浸(23℃)18hr→−20℃×3hr→50℃×3hrを1サイクルとする温冷サイクル試験を合計10サイクル行った後、塗膜外観を確認した。
◎:塗膜にワレが全く生じていない(顕微鏡:100倍に拡大してもワレなし。)、
○:塗膜にワレが生じていないもの(顕微鏡:100倍すると僅かにワレが見られる。)、
△:目地部上に設けられた塗膜に目視で確認できるワレが発生している、
×:塗膜に全面にワレが生じている。
(*)タック試験
試験室温50℃条件下で試験板の目地部上に設けられた塗膜を指触し、下記基準にて評価した。
◎:全くタック感が認められない、
○:僅かにタック感が認められる、
△:指紋跡が残るタック感がある、
×:粘着性が著しく、手に塗膜が付着する。
【0068】
(*)吸DOP測定
上記製造例で得られた各プライマー塗料によるフリーフィルム(30mm×30mm)をフタル酸ジオクチル(DOP)の溶液に24時間漬浸させ、漬浸前後の質量変化から吸DOP率を計算した。値が低いほど良好である。
(*)サイディング面への付着性
ニチハ社製のモエンサイディングM(アクリルウレタン塗装)を付着試験するサイディング板とし、このものに対して、上記製造例で得た各プライマー塗料(C1)〜(C19)を100g/mの塗布量で刷毛にて全面に塗装した。これを1日間乾燥させた後に試験体全面に「アクアグロス白」(関西ペイント(株)社製、商品名、アクリル水性塗料)をローラー塗り(塗布量:150g/m×1回)して試験体とした。該試験体を23℃で1週間養生を行った。その後、塗膜表面から素地までに達するXカットをカッターで行った面に対して粘着テープを付着させ、テープを強く剥がした際の塗膜の付着性を下記基準で評価した。
◎:テープ接触面が全く剥がれることが無かった、
○:テープ接触面のうち5%以内の剥離があった、
△:テープ接触面のうち10%以上の剥離があった、
×:テープ接触面が全面剥がれた。
(*)遮熱性試験
上記製造例で得た各プライマー塗料の乾燥膜厚1,000μmの遊離塗膜(50mm×70mm)を、発泡スチロール製の箱の上面に設けられた遊離塗膜と同じ大きさの穴に設置した。該遊離塗膜から15cm離れた所に光源「レフランプ」(商品名、東芝(株)製、100W、赤外線を含む光を発する白熱電球)を、遊離塗膜の表面と裏面及び箱の内部に熱電対温度計を夫々設置した。次に光源の電源を入れ、遊離塗膜表面に光を照射しながら、塗膜の表面、裏面及び箱内部の各温度を測定し、各温度が一定値に収束したときの各温度を調べた。箱内部温度が低いほど遮熱効果が高いことを意味する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可塑剤含有材料の表面部及びその近傍に水性プライマーを塗装する塗装方法であって、該水性プライマーが主剤(I)及びアミン系硬化剤(II)からなる2液型の組成物であって、主剤(I)が、その成分の一部としてエポキシ樹脂エマルション(A)及び顔料(B)を含有してなり、エポキシ樹脂エマルション(A)のエポキシ当量が固形分当たり300〜450の範囲内であり、アミン硬化剤(II)の活性水素当量が固形分当たり100〜300の範囲内であって、主剤(I)中に含まれるエポキシ樹脂エマルション(A)中のエポキシ基1当量に対してアミン硬化剤(II)の活性水素基が、0.1〜1.0の範囲内にあり、水性プライマーの顔料体積濃度が60%以下にあることを特徴とする塗装方法。
【請求項2】
主剤(I)が、アクリル樹脂エマルション(C)をさらに含む請求項1に記載の塗装方法。
【請求項3】
アクリル樹脂エマルション(C)が、水酸基含有重合性不飽和モノマー(a)5〜20質量%、1分子中に少なくとも2個の重合性不飽和基を有する多ビニル化合物(b)0〜10質量%及びその他の重合性不飽和モノマー(c)70〜95質量%を含むモノマー混合物を乳化重合して得られる水酸基含有アクリル樹脂エマルションである請求項2に記載の塗装方法。
【請求項4】
その他の重合性不飽和モノマー(c)が、その成分の少なくとも一部としてメチル(メタ)アクリレート及びメトキシエチルアクリレートから選ばれる少なくとも1種を含む請求項3記載の塗装方法。
【請求項5】
目地部分に可塑剤含有材料が打設された建材の可塑剤含有材料表面部及びその近傍に、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の水性プライマーを塗装し、形成されたプライマー塗膜を含む建材表面全体に上塗り塗装してなる塗装方法。
【請求項6】
目地部分に可塑剤含有材料が打設された建材の全面に請求項1ないし4のいずれか1項に記載の水性プライマーを塗装し、形成されたプライマー塗膜上に上塗り塗装してなる塗装方法。

【公開番号】特開2010−247070(P2010−247070A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−99466(P2009−99466)
【出願日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【出願人】(000001409)関西ペイント株式会社 (815)
【Fターム(参考)】