説明

塗装用型および塗装用型の製造方法および塗装用型を用いた塗装方法

【課題】任意の形状を有する被塗装物の表面にスプレーによりボカシ塗装を行なうための塗装用型であって、連続塗装ができので、コストダウンになり、同じ模様の塗装を行なうことができる塗装用型および塗装用型を容易に製造できる製造方法および塗装用型を用いて塗装する方法の提供。
【解決手段】被塗装物1の表面にスプレーによりボカシ塗装を行なうための塗装用型7であって、被塗装物1を水平に動かないように密着して保持するための第1保持装置2と、第1保持装置2に水平に動かないように密着して保持した被塗装物1の塗装面3と所定のクリアランス間隔4を隔てて覆うように構成された繊維ネット集合体5を水平に動かないように密着して保持するための第2保持装置6とを少なくとも備えたことを特徴とする塗装用型7によって課題を解決できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、任意の形状を有する被塗装物の表面にボカシ塗装を行なうために用いる塗装用型および塗装用型の製造方法および塗装用型を用いた塗装方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、プリント鋼板のように、印刷により精密な色調、風合いを有する模様を被塗装物の表面に塗装して建材などに使用することが行なわれている。しかし、被塗装物は平板でなければならないので、例えば任意の3次元の形状を有するプレス加工品などの塗装は困難であり、このような場合は平板の表面に塗装後、プレス加工などの後加工をするが、コストアップとなる問題があり、射出成形品などの場合は塗装できなかった。
【0003】
そこで、被塗装物にベース色を吹き付けして1次塗装し、次いで1次塗装した上にこのベース色と異なる色を吹き付けして、2次塗装する際に、海藻を乾燥板状とした市販のフノリや、くず繭を引き延ばして綿状にした真綿などからなるスクリーンを介在させて行なうことにより天然の大理石調塗装を行なう提案がなされている(特許文献1参照)。
【0004】
この方法によれば、任意の形状を有する被塗装物に天然の大理石調塗装を行なうことができるが、塗装をバッチ式で手動で行なうので手間や時間がかかりコストアップになる問題、また2次塗装する際に前記スクリーンが1次塗装したベースに接触するため2次塗装表面に使用した前記スクリーンのフノリなどの繊維自体の陰影が印刷される問題があり、また塗装をバッチ式で手動で行なうので同じ模様の塗装が得られないなどの問題があった。
【0005】
また、被塗装面へ模様を切り抜いた型を当てて塗料を吹き付けることで、模様を塗装する模様塗装方法が提案されている(特許文献2参照)。しかし、模様を切り抜いた型に塗料を吹き付けるので、型自体が塗装進行に従って変化するので、同一模様ができ難く、頻繁に型を交換するか、洗浄する必要が生じ、連続的に行なうことが困難であり、コストアップになる問題や、型の一部が被塗装面へ接触するのでその陰影が印刷される問題などがある。
他に、水面に塗料を流して水面に模様を作り、その模様を被塗装面に転写することにより、木目塗装、木目調塗装、石目塗装、革調、カーボン調などの塗装を行なう方法が提案されているが、同じ模様の塗装を連続的に行なうことが困難であり、コストアップになる問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平4-330967号公報
【特許文献2】特開2000−288463号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の第1の目的は、任意の形状を有する被塗装物の表面にスプレーによりボカシ塗装を行なうために用いる塗装用型であって、塗装を連続的に行なうことができるので、コストダウンを図ることが可能であり、繊維の陰影が印刷される問題がなく、また同じ模様の塗装を行なうことができる塗装用型を提供することである。
本発明の第2の目的は、本発明の塗装用型を容易に製造するための製造方法を提供することである。
本発明の第3の目的は、そのような本発明の塗装用型を用いて塗装する塗装方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは鋭意研究の結果、被塗装物を水平に動かないように密着して保持するための第1保持装置と、第1保持装置に水平に動かないように密着して保持した被塗装物の塗装面と所定のクリアランス間隔を隔てて覆うように構成された繊維ネット集合体を水平に動かないように密着して保持するための第2保持装置とを少なくとも備えた塗装用型を用いて塗装を行なう際に、まず本発明の塗装用型の第1保持装置に水平に動かないように密着して被塗装物を保持し、保持した被塗装物の上に、第2保持装置に保持された繊維ネット集合体が被塗装物の塗装面と所定のクリアランス間隔を隔てて覆うように第2保持装置を設置して、設置した第2保持装置を第1保持装置に固定した後、第2保持装置の繊維ネット集合体の上方からスプレーにより塗料を繊維ネット集合体の隙間を経て塗装面に吹き付けて塗装することにより、前記課題を解決し、低コストで、任意の形状を有する被塗装物の表面に同じ模様のボカシ塗装を連続的に行なうことが可能となることを見いだして、本発明を成すに至った。
【0009】
前記課題を解決するための本発明の請求項1は、被塗装物の表面にスプレーによりボカシ塗装を行なうための塗装用型であって、被塗装物を水平に動かないように密着して保持するための第1保持装置と、第1保持装置に水平に動かないように密着して保持した被塗装物の塗装面と所定のクリアランス間隔を隔てて覆うように構成された繊維ネット集合体を水平に動かないように密着して保持するための第2保持装置とを少なくとも備えたことを特徴とする塗装用型である。
【0010】
本発明の請求項2は、請求項1記載の塗装用型において、第1保持装置は、支持固定台と、支持固定台に被塗装物を水平に動かないように密着して保持するために支持固定台に固定されて設置された被塗装物支持手段と、第1保持装置に保持した被塗装物の上に載置した第2保持装置を水平に動かないように密着して保持するために支持固定台に固定されて設置された第2保持装置支持手段とを少なくとも備えたことを特徴とする。
【0011】
本発明の請求項3は、請求項1あるいは請求項2記載の塗装用型において、第1保持装置と第2保持装置の側面にヒンジを設置し、このヒンジを支点として第2保持装置を上方に回転させて移動できるように構成したことを特徴とする。
【0012】
本発明の請求項4は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の塗装用型において、繊維ネット集合体が、焼きなまし銅線を用いて被塗装物の塗装面と所定のクリアランス間隔を隔てて覆うように形成した後、全体を銅メッキして厚さ0.5〜2.5mmの電気銅で被覆し、必要に応じて要所の繊維同士をスポットハンダ付けすることにより製造された高強度、高硬度で保形性に優れた繊維ネット集合体であることを特徴とする。
【0013】
本発明の請求項5は、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の塗装用型において、繊維ネット集合体の繊維密度が平均5〜100本/10mm、繊維太さが平均0.2〜2mmであることを特徴とする。
【0014】
本発明の請求項6は、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の塗装用型において、第1保持装置および第2保持装置の少なくとも被塗装物に対応する面が、被塗装物を型にして精密電鋳法によって形成された第1保持装置および第2保持装置であることを特徴とする。
【0015】
本発明の請求項7は、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の塗装用型において、第1保持装置が複数の構造部材を組み合わせて形成された第1保持装置であり、そして第2保持装置の少なくとも被塗装物に対応する面が、被塗装物を型にして精密電鋳法によって形成された第2保持装置であることを特徴とする。
【0016】
本発明の請求項8は、次の(1)〜(5)工程を少なくとも含む工程により第1保持装置を製造し、次の(6)〜(9)工程を少なくとも含む工程により第2保持装置を製造し、両者を組み合わせて被塗装物の表面にスプレーによりボカシ塗装を行なうための塗装用型とすることを特徴とする塗装用型の製造方法である。
(1)被塗装物にアンダーカット部からなる非塗装部がある場合は、前記アンダーカット部にロウおよび/または粘土を塗布して被覆する。
(2)被塗装物の塗装面およびロウおよび/または粘土を被覆したアンダーカット部およびそれ以外の非塗装部の表面全体に導電性および剥離性を有する塗料を塗布して被覆して導電性剥離性皮膜を形成する。
(3)導電性剥離性皮膜を形成した被塗装物の全表面に銅を36〜48時間かけて電気メッキして被覆し厚さ1〜2mmの電気銅皮膜を形成する。
(4)電気銅皮膜を形成した後、電気銅皮膜を切断し、分離して、被塗装物の非塗装部の電気銅皮膜と被塗装物の塗装面の電気銅皮膜を得る。
(5)工程(4)で分離した被塗装物の非塗装部の電気銅皮膜に必要な付属品を取り付ける処理を含む後処理をして、それを第1保持装置とする。
(6)工程(4)で分離した被塗装物の塗装面の電気銅皮膜の前記塗装面に対応する箇所を切断し、分離する。
(7)工程(6)で分離した被塗装物の塗装面に対応する箇所に、繊維ネット集合体が完成後に被塗装物の塗装面と所定のクリアランス間隔を隔てて覆うように、塗装面に対応する箇所と同じ形状のスペーサを配置・セットし、焼きなまし銅線を用いて絡めるように配置・セットして3次元ネットからなる繊維ネット集合体の第1前駆体を形成し、この第1前駆体をスペーサの上に配置・セットして、スペーサの形状と同じ形状にした繊維ネット集合体の第2前駆体を形成して、固定して取り付け、スペーサを分離する。
(8)第2前駆体を形成して、固定して取り付けた、被塗装物の塗装面の電気銅皮膜および第2前駆体の全表面に銅を7〜11時間電気メッキして、厚さ0.5〜2.5mmの電気銅で被覆し、必要に応じて第2前駆体の要所の繊維同士をスポットハンダ付けすることにより高強度、高硬度で保形性に優れた繊維ネット集合体を備えた被塗装物の塗装面の電気銅皮膜とする。
(9)繊維ネット集合体を備えた被塗装物の塗装面の電気銅皮膜に必要な付属品を取り付ける処理を含む後処理をして、それを第2保持装置とする。
【0017】
本発明の請求項9は、次の(1)〜(7)工程を少なくとも含む工程により第2保持装置を製造し、次の(8)工程を少なくとも含む工程により第1保持装置を製造し、両者を組み合わせて被塗装物の表面にスプレーによりボカシ塗装を行なうための塗装用型とすることを特徴とする塗装用型の製造方法である。
(1)被塗装物の塗装面および非塗装部の表面全体に導電性および剥離性を有する塗料を塗布して被覆して導電性剥離性皮膜を形成する。
(2)導電性剥離性皮膜を形成した被塗装物の全表面に銅を36〜48時間かけて電気メッキして被覆し厚さ1〜2mmの電気銅皮膜を形成する。
(3)電気銅皮膜を形成した後、電気銅皮膜を切断し、分離して、被塗装物の非塗装部の電気銅皮膜と被塗装物の塗装面の電気銅皮膜を得る。
(4)工程(3)で分離した被塗装物の塗装面の電気銅皮膜の前記塗装面に対応する箇所を切断し、分離する。
(5)工程(4)で分離した被塗装物の塗装面に対応する箇所に、繊維ネット集合体が完成後に被塗装物の塗装面と所定のクリアランス間隔を隔てて覆うように、塗装面に対応する箇所と同じ形状のスペーサを配置・セットし、焼きなまし銅線を用いて絡めるように配置・セットして3次元ネットからなる繊維ネット集合体の第1前駆体を形成し、この第1前駆体をスペーサの上に配置・セットして、スペーサの形状と同じ形状にした繊維ネット集合体の第2前駆体を形成して、固定して取り付け、スペーサを分離する。
(6)第2前駆体を形成して、固定して取り付けた、被塗装物の塗装面の電気銅皮膜および第2前駆体の全表面に銅を7〜11時間電気メッキして、厚さ0.5〜2.5mmの電気銅で被覆し、必要に応じて第2前駆体の要所の繊維同士をスポットハンダ付けすることにより高強度、高硬度で保形性に優れた繊維ネット集合体を備えた被塗装物の塗装面の電気銅皮膜とする。
(7)繊維ネット集合体を備えた被塗装物の塗装面の電気銅皮膜に必要な付属品を取り付ける処理を含む後処理をして、それを第2保持装置とする。
(8)複数の構造部材を組み合わせて第1保持装置を製造する。
【0018】
本発明の請求項10は、塗装用型の第1保持装置に水平に動かないように密着して被塗装物を保持し、保持した被塗装物の上に、第2保持装置に保持された繊維ネット集合体が被塗装物の塗装面と所定のクリアランス間隔を隔てて覆うように第2保持装置を設置して、設置した第2保持装置を第1保持装置に固定した後、第2保持装置の繊維ネット集合体の上方からスプレーにより塗料を繊維ネット集合体の隙間を経て塗装面に吹き付けて塗装して、被塗装物の表面にボカシ塗装を行なうことを特徴とする塗装方法である。
【0019】
本発明の請求項11は、請求項10記載の塗装方法において、同じ塗装用型を用いて20〜50回塗装した後、第2保持装置に保持された繊維ネット集合体を塗料を溶解する溶剤で洗浄器具を用いずにすすぎ洗浄してから、再度使用して塗装することを150〜300回繰り返し、次に使用する際には塗料を溶解する前記溶剤を用いて洗浄器具を用いて洗浄してから、前記の方法で洗浄器具を用いずにすすぎ洗浄して再度繰り返して使用して塗装することを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明の請求項1は、被塗装物の表面にスプレーによりボカシ塗装を行なうための塗装用型であって、被塗装物を水平に動かないように密着して保持するための第1保持装置と、第1保持装置に水平に動かないように密着して保持した被塗装物の塗装面と所定のクリアランス間隔を隔てて覆うように構成された繊維ネット集合体を水平に動かないように密着して保持するための第2保持装置とを少なくとも備えたことを特徴とする塗装用型であり、
任意の形状を有する被塗装物の表面にスプレーによりボカシ塗装を連続的に行なうことができるので、コストダウンを図ることが可能であり、被塗装物の塗装面と所定のクリアランス間隔を隔てて覆って印刷するので繊維ネット集合体を構成する繊維の陰影が印刷される問題がなく、また同じ模様の塗装を約80%以上の確率で行なうことができるという顕著な効果を奏する。
【0021】
本発明の請求項2は、請求項1記載の塗装用型において、第1保持装置は、支持固定台と、支持固定台に被塗装物を水平に動かないように密着して保持するために支持固定台に固定されて設置された被塗装物支持手段と、第1保持装置に保持した被塗装物の上に載置した第2保持装置を水平に動かないように密着して保持するために支持固定台に固定されて設置された第2保持装置支持手段とを少なくとも備えたことを特徴とするものであり、
塗装用型に被塗装物が水平に動かないようにしっかりと密着して保持されるので、安定した塗装を確実に行うことができ、同じ模様の塗装をより高い確率で行なうことができるというさらなる顕著な効果を奏する。
【0022】
本発明の請求項3は、請求項1あるいは請求項2記載の塗装用型において、第1保持装置と第2保持装置の側面にヒンジを設置し、このヒンジを支点として第2保持装置を上方に回転させて移動できるように構成したことを特徴とするものであり、
ヒンジを支点として第2保持装置の開閉を容易に行なえるので、任意の形状を有する被塗装物の表面にスプレーによりボカシ塗装を効率良く、容易に、連続的に行なうことができるというさらなる顕著な効果を奏する。
【0023】
本発明の請求項4は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の塗装用型において、繊維ネット集合体が、焼きなまし銅線を用いて被塗装物の塗装面と所定のクリアランス間隔を隔てて覆うように形成した後、全体を銅メッキして厚さ0.5〜2.5mmの電気銅で被覆し、必要に応じて要所の繊維同士をスポットハンダ付けすることにより製造された高強度、高硬度で保形性に優れた繊維ネット集合体であることを特徴とするものであり、
繊維ネット集合体が高強度、高硬度で保形性に優れているので、連続的に安定して多数回にわたり使用できるので任意の形状を有する被塗装物の表面にスプレーによりボカシ塗装を確実に、より高い確率で、効率良く、容易に、連続的に行なうことができるというさらなる顕著な効果を奏する。
【0024】
本発明の請求項5は、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の塗装用型において、繊維ネット集合体の繊維密度が平均5〜100本/10mm、繊維太さが平均0.2〜2mmであることを特徴とするものであり、
任意の形状を有する被塗装物の表面にスプレーにより各種の多様なボカシ塗装を行なうことができるというさらなる顕著な効果を奏する。
【0025】
本発明の請求項6は、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の塗装用型において、第1保持装置および第2保持装置の少なくとも被塗装物に対応する面が、被塗装物を型にして精密電鋳法によって形成された第1保持装置および第2保持装置であることを特徴とするものであり、
任意の形状を有する被塗装物の表面にスプレーにより各種の多様なボカシ塗装をより精度よく行なうことができるというさらなる顕著な効果を奏する。
【0026】
本発明の請求項7は、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の塗装用型において、第1保持装置が構造部材を組み合わせて形成された第1保持装置であり、そして第2保持装置の少なくとも被塗装物に対応する面が、被塗装物を型にして精密電鋳法によって形成された第2保持装置であることを特徴とするものであり、
前記第1保持装置が構造部材を組み合わせて形成された第1保持装置であるので、容易に製造することができ、コストダウンを図ることができる上、第2保持装置の少なくとも被塗装物に対応する面が、被塗装物を型にして精密電鋳法によって形成されているので、被塗装物の表面にスプレーにより各種の多様なボカシ塗装を精度よく行なうことができるというさらなる顕著な効果を奏する。
【0027】
本発明の請求項8は、前記(1)〜(5)工程を少なくとも含む工程により第1保持装置を製造し、前記(6)〜(9)工程を少なくとも含む工程により第2保持装置を製造し、両者を組み合わせて被塗装物の表面にスプレーによりボカシ塗装を行なうための塗装用型とすることを特徴とする塗装用型の製造方法であり、
被塗装物が小型から大型まで有効であり、特に被塗装物の構造が複雑な場合には有効であり、またアンダーカット部からなる非塗装部のある被塗装物であっても、その被塗装物を塗装するための本発明の塗装用型を容易に製造することができるという顕著な効果を奏する。
【0028】
本発明の請求項9は、前記(1)〜(7)工程を少なくとも含む工程により第2保持装置を製造し、前記(8)工程を少なくとも含む工程により第1保持装置を製造し、両者を組み合わせて被塗装物の表面にスプレーによりボカシ塗装を行なうための塗装用型とすることを特徴とする塗装用型の製造方法であり、
被塗装物が小型から中型で、特に被塗装物の構造が簡単な場合には有効であり、本発明の塗装用型の第1保持装置を低コストで容易に製造することができるという顕著な効果を奏する。
【0029】
本発明の請求項10は、塗装用型の第1保持装置に水平に動かないように密着して被塗装物を保持し、保持した被塗装物の上に、第2保持装置に保持された繊維ネット集合体が被塗装物の塗装面と所定のクリアランス間隔を隔てて覆うように第2保持装置を設置して、設置した第2保持装置を第1保持装置に固定した後、第2保持装置の繊維ネット集合体の上方からスプレーにより塗料を繊維ネット集合体の隙間を経て塗装面に吹き付けて塗装して、被塗装物の表面にボカシ塗装を行なうことを特徴とする塗装方法であり、
自動車のインパネやダッシュボード、電化製品、エアコン、テレビ、パチンコ台など被塗装物の数量が多い大ロットでも、被塗装物の数量が少ない小ロットでも、任意の形状を有する被塗装物の表面にスプレーにより木目模様、水玉模様、大理石模様、幾何学模様などのボカシ塗装を連続的に、あるいは手動で、あるいは両者を組み合わせて、行なうことができるので、コストダウンを図ることが可能であり、繊維ネット集合体を構成する繊維の陰影が印刷される問題がなく、また同じ模様の塗装を約80%以上の確率で行なうことができるという顕著な効果を奏する。
【0030】
本発明の請求項11は、請求項10記載の塗装方法において、同じ塗装用型を用いて20〜50回塗装した後、第2保持装置に保持された繊維ネット集合体を塗料を溶解する溶剤で洗浄器具を用いずにすすぎ洗浄してから、再度使用して塗装することを150〜300回繰り返し、次に使用する際には塗料を溶解する前記溶剤を用いて洗浄器具を用いて洗浄してから、前記の方法で洗浄器具を用いずにすすぎ洗浄して再度繰り返して使用して塗装することを特徴とするものであり、
繊維ネット集合体を常に清浄な状態に維持しながら、任意の形状を有する被塗装物の表面にスプレーにより各種の多様なボカシ塗装を行なうので、より精度よく美しい塗装を行なうことができるというさらなる顕著な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の塗装用型の第1保持装置、第2保持装置の一例を模式的に説明する図である。
【図2】本発明の塗装用型の繊維ネット集合体の一例を模式的に説明図である。
【図3】(1)〜(9)は、本発明の塗装用型の製造工程の一例を説明する説明図である。
【図4】(1)〜(3)は、本発明の塗装方法の一例を説明する説明図である。
【図5】(1)〜(9)は、本発明の塗装用型の製造工程の他の例を説明する説明図である。
【図6】(1)〜(3)は、本発明の塗装方法の他の例を説明する説明図である。
【図7】(1)〜(9)は、本発明の塗装用型の製造工程の他の例を説明する説明図である。
【図8】(1)〜(3)は、本発明の塗装方法の他の例を説明する説明図である。
【図9】(1)〜(4)は、本発明の塗装方法の他の例を説明する説明図である。
【図10】本発明の塗装用型の第1保持装置、第2保持装置の試作品の例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、図面を用いて本発明を詳細に説明する。
図1は、本発明の塗装用型の第1保持装置、第2保持装置の一例を模式的に説明する図である。
図1において、1は被塗装物を示し、2は被塗装物1を水平に動かないように密着して保持するための第1保持装置を示し、3は第1保持装置2に水平に動かないように密着して保持した被塗装物1の塗装面を示し、5は被塗装物1の塗装面3と所定のクリアランス間隔4を隔てて覆うように構成された繊維ネット集合体を示し、6は繊維ネット集合体5を水平に動かないように密着して保持するための第2保持装置を示す。
7は、第1保持装置2と第2保持装置6とを備えた本発明の塗装用型を示す。
【0033】
前記クリアランス間隔4は被塗装物1の塗装面3と繊維ネット集合体5とのクリアランス間隔であり、所定のクリアランス間隔4を隔てて繊維ネット集合体5で覆ってスプレーして塗装すれば、塗装面3に繊維ネット集合体5の繊維が接触しないので、繊維ネット集合体5を構成する繊維5の陰影が印刷されなくなる。
本発明におけるクリアランス間隔は、繊維ネット集合体を構成する繊維が被塗装物の表面に接触して、繊維の陰影が被塗装物に印刷される問題を防止するために必要な構成要件であり、また繊維の陰影が被塗装物に印刷されると同じ模様の塗装が得られなくなるので、同じ模様の塗装を行なうためにも必要な構成要件である。
【0034】
スプレーして塗装する回数は1回以上であり、複数回塗装して重ね塗りすることもできる。複数回塗装する際には同じ塗料を使用することもできるが、色の異なる塗料を使用することもできる。最外層にはクリア塗料を用いるなどして保護層を設けることもできる。
【0035】
前記クリアランス間隔4は平均0.2〜8mmが好ましく、クッキリとしたボカシ模様を得るためには0.5〜5mmがさらに好ましい。前記クリアランス間隔4が0.2mm未満では、できないことはないが、技術的に困難を伴うので、コストアップになる恐れがあり、8mmを超えるとボケが進み、クッキリとしたボカシ模様が得られなくなる恐れがある。
【0036】
本発明で使用する塗料は特に限定されるものではなく、具体的には、例えば、合成ゴムあるいは天然ゴム系塗料、熱可塑性樹脂系塗料、熱硬化性樹脂系塗料、光硬化性樹脂系塗料、電子線硬化性樹脂系塗料などあるいはこれらの2種以上の塗料などを挙げることができ、これらは水性塗料、油性塗料などであってよい。
【0037】
第1保持装置2は、支持固定台2−1と、支持固定台2−1に被塗装物1を水平に動かないように密着して保持するために支持固定台2−1に固定されて設置された被塗装物支持手段2−2と、第1保持装置2に保持した被塗装物1の上に設置した第2保持装置6を水平に動かないように密着して保持するために支持固定台2−1に固定されて設置された第2保持装置支持手段8とを備えている。
【0038】
支持固定台2−1に固定されて設置された被塗装物支持手段2−2は、第1保持装置2の所定の箇所に設けられた挿入孔11−2に挿入されて被塗装物1を水平に動かないように密着して保持している。
【0039】
支持固定台2−1に固定されて設置された第2保持装置支持手段8は、第1保持装置2の所定の箇所に設けられた貫通孔10を貫通して、第2保持装置6の所定の箇所に設けられた挿入孔11−1に挿入されて第2保持装置6を水平に動かないように密着して保持している。
【0040】
12は繊維ネット集合体5を第2保持装置6の所定の位置に固定するための繊維ネット固定部材を示す。14は作業用のハンドルを示す。
前記繊維ネット固定部材12としては、具体的には、例えば、各種接着剤、ハンダ、ボルトなどを挙げることができる。
【0041】
第1保持装置2と第2保持装置6の側面にヒンジ9を設置し、ハンドル14を持って、ヒンジ9を支点として第2保持装置6を上方に回転させて移動できるように構成されている。
【0042】
図2は、本発明の塗装用型1の繊維ネット集合体5の一例を模式的に説明する図である。
15は金属線からなる繊維、16はハンダなどによる繊維の固定部、17は繊維ネット集合体5の多数の間隙を示す。
繊維の例として金属線の例を挙げたが、繊維の材質も、被塗装物や塗装の目的に合わせて選定されるので特に限定されず、金属以外には、具体的には、例えば、プラスチック、ガラス、セラミックス、炭素繊維、セルロースなどあるいはこれらの2種以上の組み合わせを挙げることができる。被塗装物の形態およびどのようなボカシ塗装を行なうのかによって、適切な繊維を選定し、繊維の組み合わせを設計することが好ましい。
使用する塗料に犯されて強度や形状が変化するような場合には、その繊維に導電性塗料を用いて導電性皮膜を形成し、さらにその上に例えば電気銅を電気メッキして補強して使用することもできる。
【0043】
繊維ネット集合体5の繊維密度は特に限定されないが、平均5〜100本/10mm、であることが好ましく、より好ましくは平均20〜50本/10mmである。5本/10mm未満では、塗装が疎になって良好なボカシ塗装ができない恐れがあり、100本/10mmを超えると密過ぎて塗料が塗装面に至らず良好なボカシ塗装ができない恐れがある。
【0044】
繊維ネット集合体5の繊維太さは特に限定されないが、平均0.2〜2mmであることが好ましく、より好ましくは平均0.5〜1.5mmである。0.2未満では、繊維強度が低く、剛性が低く、連続使用すると良好なボカシ塗装ができない恐れがある。2mmを超えると繊維強度が大きく、剛性が高すぎて取り扱いが困難となる恐れがある。
【0045】
繊維として焼きなまし銅線を用いて被塗装物1の塗装面3と所定のクリアランス間隔4を隔てて覆うように形成した焼きなまし銅線を保持した第2保持装置を形成した後、全体を銅メッキして第2保持装置の所定の箇所や繊維の表面を厚さ0.5〜2.5mm、好ましくは1.0〜2.0mmの電気銅で被覆し、要所の繊維同士をスポットハンダ付け16すると、高強度、高硬度で保形性に優れた繊維ネット集合体5を保持した第2保持装置が容易に得られるので好ましい。
【0046】
銅メッキの厚さが0.5mm未満では、高強度、高硬度で保形性に優れた繊維ネット集合体5が得られない恐れがあり、2.5mmを超えると強度が大きく、剛性が高すぎて取り扱いが困難となる恐れがある。
【0047】
図3に本発明の塗装用型の製造工程の一例を示す。
本発明においては、まず次の(1)〜(5)工程を少なくとも含む工程により第1保持装置を製造し、次いで(6)〜(9)工程を少なくとも含む工程により第2保持装置を製造し、両者を組み合わせて本発明の塗装用型とする。
【0048】
工程(1)において、被塗装物1のアンダーカット部20からなる非塗装部30にパラフィン系ロウあるいはさらにこのロウにカルナバワックスや密ろうなどを配合したロウなどのロウ(具体的には、例えば、鈴善株式会社、商品名「パラフィン」あるいはこの「パラフィン」に鈴善株式会社の赤の染料を配合した赤色パラフィンなどを挙げることができる)および/または充填材としての粘土(具体的には、例えば、新日本造形株式会社、彫塑用粘土を挙げることができる)31を塗布して被覆する。
被塗装物1の表面は、必要に応じて酸洗い、水洗、乾燥などの前処理をしておくことが好ましい。
アンダーカット部20からなる非塗装部30にロウおよび/または粘土31を塗布して被覆するのは、後述する電鋳後、型抜きを容易にするためである。
アンダーカット部20の大きさが小さい場合は、ロウだけで十分である。アンダーカット部20が深く大きい場合は、粘土を塗り、充填した後、その上にロウを塗ると、後述するメッキ浴中などで粘土が溶解してしまわず、耐久性が付与されるので、両者を使用することが好ましい。
この例では、被塗装物1にアンダーカット部20からなる非塗装部30がある例を示した。しかし、アンダーカット部20に塗装することもできる。この場合は、特に限定されないが、アンダーカット部20以外の箇所を後述するようにして塗装終了後、次いで、再度本発明の方法によりアンダーカット部20に塗装する2段階法によるのが好ましい。
【0049】
工程(2)において、被塗装物1の塗装面3およびロウおよび/または粘土31を被覆した部分を含む非塗装部30の表面全体に導電性および剥離性を有する塗料(具体的には、例えば、藤倉応用化学株式会社、ギンロウ、ブロンズパウダーを挙げることができる)を塗布して被覆して導電性剥離性皮膜32を形成する。
【0050】
工程(3)において、導電性剥離性皮膜32を形成した被塗装物1の全表面に銅を36〜48時間かけて電気メッキして被覆し厚さ1〜2mmの電気銅皮膜33を形成する。
メッキ条件としては、例えば、被塗装物1の全表面を硝酸で表面処理し、水洗後、含リン銅を使用して作成した硫酸銅、硫酸、光沢剤などを含む水溶液からなる20℃から30℃の範囲で中心温度が25〜27℃に制御された600リットルのメッキ浴を使用し、1.5V〜7.0V、30Ampでメッキする例を挙げることができる。
【0051】
工程(4)において、電気銅皮膜33を形成した後、電気銅皮膜33を切断し、被塗装物1を分離して、被塗装物1の非塗装部30の電気銅皮膜33−1と、被塗装物1の塗装面3の電気銅皮膜33−2を得る。
【0052】
工程(5)において、分離した被塗装物1の非塗装部30の電気銅皮膜33−1に必要な付属品34を取り付けるなどの後処理をして、それを第1保持装置2とする。
ロウは加熱して溶解して除去でき、粘土は水洗して除去できる。導電性剥離性皮膜32も除去することができるが、厚さが薄いので差し支えなければ残しておこくことができる。
【0053】
工程(6)において、工程(4)で分離した被塗装物1の塗装面3の電気銅皮膜33−2の前記塗装面3に対応する箇所(図中に破線で示した箇所)を切断し、分離する。
33−2−1は、電気銅皮膜33−2の前記塗装面3に対応する箇所(図中に破線で示した箇所)を切断し、分離した後の電気銅皮膜である。
【0054】
工程(7)において、工程(6)で分離した被塗装物1の塗装面3に対応する箇所に、繊維ネット集合体5が完成後に被塗装物1の塗装面3と所定のクリアランス間隔4を隔てて覆うように、塗装面3に対応する箇所と同じ形状のスペーサ36を配置・セットし、一方、焼きなまし銅線を用いて絡めるように配置・セットして3次元ネットからなる繊維ネット集合体の第1前駆体35を形成し、この第1前駆体35をスペーサ36の上に配置・セットして、スペーサ36の形状と同じ形状にした繊維ネット集合体の第2前駆体37を形成して、固定して取り付け、スペーサ36を分離する。
【0055】
スペーサ36としては、工程(6)において、図中に破線で示した箇所を切断し、分離したので、それを使用することもできるが、プラスチックなどで前記塗装面3に対応する箇所と同じ形状のスペーサ36を作って使用することもでき、また、両者を組み合わせてスペーサ36を作って使用することもできる。
電気銅皮膜33−2−1と繊維ネット集合体の第2前駆体37の接合部13は、各種接着剤、ハンダ、ボルトなどの繊維ネット固定部材12で固定することが好ましい。
【0056】
工程(8)において、電気銅皮膜33−2−1に第2前駆体37を形成した後、両者の全表面に銅を7〜11時間電気メッキして、電気銅皮膜33−2−1および各繊維の表面を厚さ0.5〜2.5mmの電気銅38で被覆する。電気銅皮膜33−2−1と繊維ネット集合体の第2前駆体37の接合部13は、この電気メッキよってもしっかりと固定される。
図2に示したように第2前駆体37の要所の繊維同士をスポットハンダ付け16することにより高強度、高硬度で保形性に優れた繊維ネット集合体5とすることが好ましい。
図示しないスポットハンダ付け16する際には、分離したスペーサ36を補強材として第2前駆体37の裏面に当てがって行ない、終了後スペーサ36を分離することが好ましい。
【0057】
工程(9)において、必要な付属品40を取り付けるなどの後処理をして、それを第2保持装置6とする。
【0058】
第1保持装置2と第2保持装置6とを組み合わせて本発明の塗装用型7とする。
【0059】
図4に示したように、本発明の塗装用型7を用いて塗装するには、(1)まず塗装用型7の第1保持装置2に水平に動かないように密着して被塗装物1を保持する。
【0060】
(2)次いで、保持した被塗装物1の上に、第2保持装置6に保持された繊維ネット集合体5が被塗装物1の塗装面3と所定のクリアランス間隔4を隔てて覆うように第2保持装置6を設置して、設置した第2保持装置6を第1保持装置2に固定する。
【0061】
(3)そして、第2保持装置6の繊維ネット集合体5の上方から矢印で示したようにスプレーにより塗料を繊維ネット集合体5の隙間17を経て塗装面3に吹き付けて塗装する。
塗装後、乾燥、硬化、仕上げなどを行なって被塗装物1の表面3にボカシ塗装を行なった製品を得ることができる。
図11に本発明の塗装方法により得られたボカシ模様の一例を示す。
【0062】
図5に本発明の塗装用型の他の製造工程の例を示す。
図6に本発明の塗装方法の他の例を示す。
まず図5に示したように、工程(1)において、被塗装物1の非塗装部30と塗装面3とがプラスチックなどの板材39によって両者がそれぞれ区画されるように被塗装物1を板材39に設置し、板材39に被塗装物1を取り付ける。
板材39としては、具体的には、例えば、ポリプロピレン樹脂やポリ塩化ビニル樹脂などのプラスチック板や銅や真鍮などの金属板などを挙げることができる。
【0063】
工程(1)において、板材39に被塗装物1を取り付けた後、(2)〜(5)工程(前記図3の(2)〜(5)工程と同じ)を少なくとも含む工程により第1保持装置2を製造し、次いで(6)〜(9)工程(前記図3の(6)〜(9)工程と同じ。しかし工程(9)において、付属品40を取り付ける代わりに、板材39を利用して付属品とする工程を少なくとも含む工程により第2保持装置6を製造し、両者を組み合わせて本発明の塗装用型7とする。
図5に示した前記(2)〜(5)工程および前記(6)〜(9)工程については図3で説明したので説明を省略する。
【0064】
そして、図6に示したように、本発明の塗装用型7を用いて塗装するには、
(1)まず塗装用型7の第1保持装置2に水平に動かないように密着して被塗装物1を保持する。
(2)次いで、保持した被塗装物1の上に、第2保持装置6に保持された繊維ネット集合体5が被塗装物1の塗装面3と所定のクリアランス間隔4を隔てて覆うように第2保持装置6を設置して、設置した第2保持装置6を第1保持装置2に固定する。
(3)そして、第2保持装置6の繊維ネット集合体5の上方からスプレーにより塗料を矢印で示したように繊維ネット集合体5の隙間17を経て塗装面3に吹き付けて塗装する。
塗装後、乾燥、硬化、仕上げなどを行なって被塗装物1の表面3にボカシ塗装を行なった製品を得ることができる。
【0065】
図7に本発明の塗装用型の他の製造工程の例を示す。
図8に本発明の塗装方法の他の例を示す。
図7の工程(1)〜(8)は、前記図5の工程(5)を除く工程(1)〜(9)と同じであり、精密電鋳法を用いて、第2保持装置6を製造する。
【0066】
そして、図7の工程(9)において、被塗装物1を水平に動かないように密着して保持するための第1保持装置2を精密電鋳法を用いずに、複数の構造部材を組み合わせて作成する。
第1保持装置2を精密電鋳法を用いずに作成する場合は、被塗装物1が小型であるか、中型であり、その構造が比較的に簡単な場合に適しており、被塗装物1の下方向、左右方向および高さ方向の位置決めや寸法とりを精度よく行なって、被塗装物1を水平に動かないように密着して保持できるように設計して、そして複数の構造部材を組み合わせて作成することが肝要である。
第1保持装置2を精密電鋳法を用いて作成する場合は、被塗装物1が小型であってもよいが、通常は中型であるか、大型であり、いずれにしてもその構造が比較的に複雑な場合に適しており、被塗装物1を水平に動かないように密着して保持できるように設計して、作成することが肝要である。
【0067】
図7の工程(9)において、第1保持装置2は、支持固定台2−1と、支持固定台2−1に被塗装物1を水平に動かないように密着して保持するために支持固定台2−1に固定されて設置された被塗装物支持手段2−2を備えており、被塗装物支持手段2−2の先端部に付属品34が設けられている。
付属品34は、第1保持装置2に保持した被塗装物1の上に載置した第2保持装置6を水平に動かないように密着して保持するための第2保持装置支持手段である。
第1保持装置2と第2保持装置6を組み合わせて本発明の塗装用型7とする。
【0068】
そして、図8に示したように、本発明の塗装用型7を用いて塗装するには、
(1)まず塗装用型7の第1保持装置2に水平に動かないように密着して被塗装物1を保持する。
(2)次いで、保持した被塗装物1の上に、第2保持装置6に保持された繊維ネット集合体5が被塗装物1の塗装面3と所定のクリアランス間隔4を隔てて覆うように第2保持装置6を設置して、設置した第2保持装置6を第1保持装置2に固定する。
(3)そして、第2保持装置6の繊維ネット集合体5の上方からスプレーにより塗料を矢印で示したように繊維ネット集合体5の隙間17を経て塗装面3に吹き付けて塗装する。
塗装後、乾燥、硬化、仕上げなどを行なって被塗装物1の表面3にボカシ塗装を行なった製品を得ることができる。
【0069】
図9に本発明の塗装方法の他の例を示す。
図9中の2は、被塗装物1を水平に動かないように密着して保持するための第1保持装置であり、前記のような精密電鋳法を用いずに複数の構造部材を組み合わせて作成されたものである。
図9中の6は、被塗装物1の塗装面3と図示しない所定のクリアランス間隔4を隔てて覆うように構成された繊維ネット集合体5を水平に動かないように密着して保持するための第2保持装置であり、前記のような精密電鋳法を用いて作成されたものである。
第1保持装置2と第2保持装置6を組み合わせて本発明の塗装用型7とする。
【0070】
図9中の9は、第1保持装置2と第2保持装置6の側面に設置されたヒンジであり、図9中の14は、第1保持装置2と第2保持装置6の他の側面に設置されたハンドルであり、第2保持装置6のハンドル14を手で持って、このヒンジ9を支点として第2保持装置6を上方に回転させて移動できるように構成されている。
【0071】
そして、図9に示したように、本発明の塗装用型7を用いて塗装するには、
(1)まず第1保持装置2に水平に動かないように密着して被塗装物1を保持する。
(2)次いで、保持した被塗装物1の上に、第2保持装置6のハンドル14を手で持って、ヒンジ9を支点として第2保持装置6を回転させて、第2保持装置6に保持された繊維ネット集合体5が被塗装物1の塗装面3と図示しない所定のクリアランス間隔4を隔てて覆うように設置し、両ハンドル14を手で持って第2保持装置6を第1保持装置2に固定する。
(3)そして、第2保持装置6の繊維ネット集合体5の上方からスプレーにより塗料を矢印で示したように繊維ネット集合体5の図示しない隙間17を経て塗装面3に吹き付けて塗装する。
(4)次いで、第2保持装置6のハンドル14を手で持って、ヒンジ9を支点として第2保持装置6を上方に回転させて、塗装した被塗装物1を矢印方向に取り出す。
塗装後、乾燥、硬化、仕上げなどを行なって被塗装物1の表面3にボカシ塗装を行なった製品を得ることができる。
【0072】
図10は、本発明の塗装用型の第1保持装置、第2保持装置の試作品の例を説明する図である。
本発明の塗装用型7は、第1保持装置2と第2保持装置6を組み合わせて形成されている。
第1保持装置2は、図示しない被塗装物1を水平に動かないように密着して保持するための装置であり、第1保持装置2は、前記のような精密電鋳法を用いずに複数の構造部材を組み合わせて作成されている。
第1保持装置2は、支持固定台2−1と、支持固定台2−1に図示しない被塗装物1を水平に動かないように密着して保持するために支持固定台2−1に固定されて設置された被塗装物支持手段2−2を備えている。
【0073】
第2保持装置6は、前記図7の工程(1)〜(8)と同じ工程を経て精密電鋳法を用いて、作成されている。
図10中の9は、第1保持装置2と第2保持装置6の側面に設置されたヒンジであり、ヒンジ9を支点として第2保持装置6を上方に回転させて移動できるように構成されている。
【0074】
そして、図示しないが、本発明の塗装用型7を用いて塗装するには、
(1)まず塗装用型7の第1保持装置2に水平に動かないように密着して図示しない被塗装物1を保持する。
(2)次いで、保持した図示しない被塗装物1の上に、ヒンジ9を支点として第2保持装置6を回転させて移動して、第2保持装置6に保持された繊維ネット集合体5が図示しない被塗装物1の塗装面3と図示しない所定のクリアランス間隔4を隔てて覆うように第2保持装置6を設置して、設置した第2保持装置6を第1保持装置2に固定する。
(3)そして、第2保持装置6の繊維ネット集合体5の上方からスプレーにより塗料を繊維ネット集合体5の図示しない隙間17を経て図示しない被塗装物1の塗装面3に吹き付けて塗装する。
塗装後、乾燥、硬化、仕上げなどを行なってボカシ塗装を行なった製品を得ることができる。
【0075】
本発明で用いる被塗装物としては、用いる被塗装物に合わせて作製した本発明の塗装用型を使用して塗装するので、任意の形状や大きさを有する被塗装物を用いることができる。
被塗装物の材質も、その材質に合わせて塗料を選択して使用するので特に限定されず、具体的には、例えば、プラスチック、金属、ガラス、セラミックス、木、紙、布、固形食品などあるいはこれらの2種以上の組み合わせを挙げることができる。
【0076】
本発明で用いる被塗装物の塗装に用いるスプレー法や装置は特に限定されるものでなく、具体的には、例えば、公知の装置(具体的には、例えば、株式会社明治機械製作所、超小型ハンドスプレーガンFMII−GR、やFMII−Gを挙げることができる)および方法を用いることができる。
塗装はバッチ式でもよく、連続的に塗装することも可能であり、両者を組み合わせてして塗装することもできる。
塗装における各種の条件は、被塗装物にボカシ塗装を行なって、被塗装物に精度よく密着して、耐久性のあるボカシ塗装皮膜を形成できればよく、塗装条件は予めテスト塗装するなどして決定して適宜最適な条件を決めることができる。
【0077】
本発明で用いる第1保持装置、第2保持装置、支持固定台、被塗装物支持手段、第2保持装置支持手段などは、ステンレスなど公知の材料を用いて公知の方法で作成することができる。
【0078】
本発明で用いるヒンジやハンドルなども、公知のものを用いることができる。
【0079】
本発明において、所定のクリアランス間隔を形成するための好ましい形成方法について、前記のようにスペーサを用いる方法を例示したが、スペーサを用いずに被塗装物に合わせて最適な方法を選択して行なうことができる。
【0080】
上記実施の形態の説明は、本発明を説明するためのものであって、特許請求の範囲に記載の発明を限定し、或は範囲を減縮するものではない。又、本発明の各部構成は上記実施の形態に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明の塗装用型は、被塗装物の表面にスプレーによりボカシ塗装を行なうための塗装用型であって、被塗装物を水平に動かないように密着して保持するための第1保持装置と、第1保持装置に水平に動かないように密着して保持した被塗装物の塗装面と所定のクリアランス間隔を隔てて覆うように構成された繊維ネット集合体を水平に動かないように密着して保持するための第2保持装置とを少なくとも備えたことを特徴とする塗装用型であり、
自動車のインパネやダッシュボード、電化製品、エアコン、テレビ、パチンコ台など被塗装物の数量が多い大ロットでも、被塗装物の数量が少ない小ロットでも、任意の形状を有する被塗装物の表面にスプレーにより木目模様、水玉模様、大理石模様、幾何学模様などのボカシ塗装を連続的に、あるいは手動で塗装することができるので、コストダウンを図ることが可能であり、被塗装物の塗装面と所定のクリアランス間隔を隔てて覆って印刷するので繊維ネット集合体を構成する繊維の陰影が印刷される問題がなく、また同じ模様の塗装を約80%以上の確率で行なうことができるという顕著な効果を奏するので、産業上の利用価値が高い。
【符号の説明】
【0082】
1 被塗装物
2 第1保持装置
2−1 支持固定台
2−2 被塗装物支持手段
3 塗装面
4 クリアランス間隔
5 繊維ネット集合体
6 第2保持装置
7 塗装用型
8 第2保持装置支持手段
9 ヒンジ
10 貫通孔
11−1、11−2 挿入孔
12 繊維ネット固定部材
13 接合部
14 ハンドル
15 金属線
16 繊維の固定部
17 間隙
20 アンダーカット部
30 非塗装部
31 ロウおよび/または粘土
32 導電性剥離性皮膜
33 電気銅皮膜
33−1 非塗装部の電気銅皮膜
33−2 塗装面の電気銅皮膜
34 付属品
35 第1前駆体
36 スペーサ
37 第2前駆体
38 電気銅
39 板材
40 付属品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被塗装物の表面にスプレーによりボカシ塗装を行なうための塗装用型であって、被塗装物を水平に動かないように密着して保持するための第1保持装置と、第1保持装置に水平に動かないように密着して保持した被塗装物の塗装面と所定のクリアランス間隔を隔てて覆うように構成された繊維ネット集合体を水平に動かないように密着して保持するための第2保持装置とを少なくとも備えたことを特徴とする塗装用型。
【請求項2】
第1保持装置は、支持固定台と、支持固定台に被塗装物を水平に動かないように密着して保持するために支持固定台に固定されて設置された被塗装物支持手段と、第1保持装置に保持した被塗装物の上に載置した第2保持装置を水平に動かないように密着して保持するために支持固定台に固定されて設置された第2保持装置支持手段とを少なくとも備えたことを特徴とする請求項1記載の塗装用型。
【請求項3】
第1保持装置と第2保持装置の側面にヒンジを設置し、このヒンジを支点として第2保持装置を上方に回転させて移動できるように構成したことを特徴とする請求項1あるいは請求項2記載の塗装用型。
【請求項4】
繊維ネット集合体が、焼きなまし銅線を用いて被塗装物の塗装面と所定のクリアランス間隔を隔てて覆うように形成した後、全体を銅メッキして厚さ0.5〜2.5mmの電気銅で被覆し、必要に応じて要所の繊維同士をスポットハンダ付けすることにより製造された高強度、高硬度で保形性に優れた繊維ネット集合体であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の塗装用型。
【請求項5】
繊維ネット集合体の繊維密度が平均5〜100本/10mm、繊維太さが平均0.2〜2mmであることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の塗装用型。
【請求項6】
第1保持装置および第2保持装置の少なくとも被塗装物に対応する面が、被塗装物を型にして精密電鋳法によって形成された第1保持装置および第2保持装置であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の塗装用型。
【請求項7】
前記第1保持装置が複数の構造部材を組み合わせて形成された第1保持装置であり、そして前記第2保持装置の少なくとも被塗装物に対応する面が、被塗装物を型にして精密電鋳法によって形成された第2保持装置であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の塗装用型。
【請求項8】
次の(1)〜(5)工程を少なくとも含む工程により第1保持装置を製造し、次の(6)〜(9)工程を少なくとも含む工程により第2保持装置を製造し、両者を組み合わせて被塗装物の表面にスプレーによりボカシ塗装を行なうための塗装用型とすることを特徴とする塗装用型の製造方法。
(1)被塗装物にアンダーカット部からなる非塗装部がある場合は、前記アンダーカット部にロウおよび/または粘土を塗布して被覆する。
(2)被塗装物の塗装面およびロウおよび/または粘土を被覆したアンダーカット部およびそれ以外の非塗装部の表面全体に導電性および剥離性を有する塗料を塗布して被覆して導電性剥離性皮膜を形成する。
(3)導電性剥離性皮膜を形成した被塗装物の全表面に銅を36〜48時間かけて電気メッキして被覆し厚さ1〜2mmの電気銅皮膜を形成する。
(4)電気銅皮膜を形成した後、電気銅皮膜を切断し、分離して、被塗装物の非塗装部の電気銅皮膜と被塗装物の塗装面の電気銅皮膜を得る。
(5)工程(4)で分離した被塗装物の非塗装部の電気銅皮膜に必要な付属品を取り付ける処理を含む後処理をして、それを第1保持装置とする。
(6)工程(4)で分離した被塗装物の塗装面の電気銅皮膜の前記塗装面に対応する箇所を切断し、分離する。
(7)工程(6)で分離した被塗装物の塗装面に対応する箇所に、繊維ネット集合体が完成後に被塗装物の塗装面と所定のクリアランス間隔を隔てて覆うように、塗装面に対応する箇所と同じ形状のスペーサを配置・セットし、焼きなまし銅線を用いて絡めるように配置・セットして3次元ネットからなる繊維ネット集合体の第1前駆体を形成し、この第1前駆体をスペーサの上に配置・セットして、スペーサの形状と同じ形状にした繊維ネット集合体の第2前駆体を形成して、固定して取り付け、スペーサを分離する。
(8)第2前駆体を形成して、固定して取り付けた、被塗装物の塗装面の電気銅皮膜および第2前駆体の全表面に銅を7〜11時間電気メッキして、厚さ0.5〜2.5mmの電気銅で被覆し、必要に応じて第2前駆体の要所の繊維同士をスポットハンダ付けすることにより高強度、高硬度で保形性に優れた繊維ネット集合体を備えた被塗装物の塗装面の電気銅皮膜とする。
(9)繊維ネット集合体を備えた被塗装物の塗装面の電気銅皮膜に必要な付属品を取り付ける処理を含む後処理をして、それを第2保持装置とする。
【請求項9】
次の(1)〜(7)工程を少なくとも含む工程により第2保持装置を製造し、次の(8)工程を少なくとも含む工程により第1保持装置を製造し、両者を組み合わせて被塗装物の表面にスプレーによりボカシ塗装を行なうための塗装用型とすることを特徴とする塗装用型の製造方法。
(1)被塗装物の塗装面および非塗装部の表面全体に導電性および剥離性を有する塗料を塗布して被覆して導電性剥離性皮膜を形成する。
(2)導電性剥離性皮膜を形成した被塗装物の全表面に銅を36〜48時間かけて電気メッキして被覆し厚さ1〜2mmの電気銅皮膜を形成する。
(3)電気銅皮膜を形成した後、電気銅皮膜を切断し、分離して、被塗装物の非塗装部の電気銅皮膜と被塗装物の塗装面の電気銅皮膜を得る。
(4)工程(3)で分離した被塗装物の塗装面の電気銅皮膜の前記塗装面に対応する箇所を切断し、分離する。
(5)工程(4)で分離した被塗装物の塗装面に対応する箇所に、繊維ネット集合体が完成後に被塗装物の塗装面と所定のクリアランス間隔を隔てて覆うように、塗装面に対応する箇所と同じ形状のスペーサを配置・セットし、焼きなまし銅線を用いて絡めるように配置・セットして3次元ネットからなる繊維ネット集合体の第1前駆体を形成し、この第1前駆体をスペーサの上に配置・セットして、スペーサの形状と同じ形状にした繊維ネット集合体の第2前駆体を形成して、固定して取り付け、スペーサを分離する。
(6)第2前駆体を形成して、固定して取り付けた、被塗装物の塗装面の電気銅皮膜および第2前駆体の全表面に銅を7〜11時間電気メッキして、厚さ0.5〜2.5mmの電気銅で被覆し、必要に応じて第2前駆体の要所の繊維同士をスポットハンダ付けすることにより高強度、高硬度で保形性に優れた繊維ネット集合体を備えた被塗装物の塗装面の電気銅皮膜とする。
(7)繊維ネット集合体を備えた被塗装物の塗装面の電気銅皮膜に必要な付属品を取り付ける処理を含む後処理をして、それを第2保持装置とする。
(8)複数の構造部材を組み合わせて第1保持装置を製造する。
【請求項10】
塗装用型の第1保持装置に水平に動かないように密着して被塗装物を保持し、保持した被塗装物の上に、第2保持装置に保持された繊維ネット集合体が被塗装物の塗装面と所定のクリアランス間隔を隔てて覆うように第2保持装置を設置して、設置した第2保持装置を第1保持装置に固定した後、第2保持装置の繊維ネット集合体の上方からスプレーにより塗料を繊維ネット集合体の隙間を経て塗装面に吹き付けて塗装して、被塗装物の表面にボカシ塗装を行なうことを特徴とする塗装方法。
【請求項11】
同じ塗装用型を用いて20〜50回塗装した後、第2保持装置に保持された繊維ネット集合体を塗料を溶解する溶剤で洗浄器具を用いずにすすぎ洗浄してから、再度使用して塗装することを150〜300回繰り返し、次に使用する際には塗料を溶解する前記溶剤を用いて洗浄器具を用いて洗浄してから、前記の方法で洗浄器具を用いずにすすぎ洗浄して再度繰り返して使用して塗装することを特徴とする請求項10記載の塗装方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−206001(P2012−206001A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−72619(P2011−72619)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(509193371)
【出願人】(510217253)
【出願人】(507132880)
【Fターム(参考)】