説明

塞栓剤からの薬物送達

【課題】腫瘍に対する化学塞栓療法のための、塞栓療法用ミクロスフェアの提供。
【解決手段】塞栓性組成物は、100μm以上の膨張直径を持つ水に溶けない水膨潤性の陰イオンポリマーと、陽イオン性カンプトテシン化合物とを含み、好ましくはイリノテカンから形成されるミクロスフェアを含む。このミクロスフェアは、好ましくは、エチレン化した不飽和陰イオンコモノマーと架橋結合されるエチレン化した不飽和ポリビニールアルコールマクロマからなり、好ましくは架橋結合ポリビニールアルコールから形成される。組成物は、高度に血管の発達した腫瘍、例えば、肝臓の結腸直腸転移等を治療するのに使用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載される本発明の範囲は、腫瘍に対する化学塞栓療法のための、塞栓療法用ミクロスフェアであって、水に溶けないポリマー及び、治療量のカンプトテシン、好ましくはイリノテカン塩酸を含むミクロスフェアの調製方法及び使用方法である。
【背景技術】
【0002】
カンプトテシン(CPT)及びその類縁体は、過去数年に渡って特定されている、新規クラスの抗癌剤である。カンプトテシンは、pHに依存して二つの形として存在する。すなわち、5以下のpHで活性を有するラクトン形と、塩基性又は生理的中性のpHでは不活性なカルボキシレート形である。カンプトテシンのA環は、下記の構造を有するコア部分の左側環である。
【0003】
【化1】

【0004】
イリノテカンは、カンプトテシンの可溶性と特異性を改善するために開発された、カンプトテシンの改良型である。これは、米国特許第4,604,463号(特許文献1)に開示されている。カンプトテシンは、酵素トポイソメラーゼIと特異的に相互作用を持つ。トポイソメラーゼIは、可逆的に1本鎖の切断を引き起こすことによってDNAの捩れ歪を解除する。イリノテカンとその活性代謝産物SN-38は、トポイソメラーゼI-DNA複合体に結合し、これらの1本鎖切断の再結合を阻止する。最近の研究によれば、イリノテカンの細胞傷害性は、複製酵素が、トポイソメラーゼI、DNA、及びイリノテカン又はSN-38によって形成される3体複合体と相互作用を持つ際に、DNA合成時に惹起される2本鎖DNA傷害によることが明らかにされている。哺乳類細胞は、この2本鎖切断を効率的に修復できない。
【0005】
イリノテカンの酸付加塩、例えば、塩酸塩は、脂溶性の代謝産物SN-38の、やや水溶性の前駆体として役に立つ。SN-38は、カンプトテシン成分とジピペリジノ側鎖の間のカルバミン酸結合の、カルボキシルエステラーゼを介した切断によって、イリノテカンから形成される。SN-38は、ヒト及びげっ歯類の腫瘍細胞株から精製されたトポイソメラーゼIに対する阻害剤として、イリノテカンよりも約1000倍強力である。インビトロの細胞傷害性アッセイでは、イリノテカンに対するSN-38の効力は2倍から2000倍まで変動することが示された。しかしながら、SN-38の血中濃度−時間曲線下面積(AUC)は、イリノテカンの血中濃度−時間曲線下面積の2%から8%である。なぜなら、イリノテカンでは約50%が血漿タンパク質に結合するのに対して、SN-38では95%が血漿タンパク質に結合するからである。
【0006】
イリノテカンの注入は、早期性の下痢と遅発性の下痢の両方を引き起こすことがある。これらの発現は異なる機序によって仲介されている。早期性の下痢(イリノテカンの注液中に又は注液後すぐに発現する)は、コリン作動性である。これは、通常一過性であり、重症になることはめったに無い。これは、鼻炎、唾液分泌の増加、縮瞳、涙液分泌、発汗、顔面紅潮、及び腹部痙攣を引き起こす可能性がある腸ぜん動亢進の症状を伴うことがある。
【0007】
上記は、結腸直腸癌及び肝臓転移(CRM)の治療における第一選択薬の一つである。この薬剤は、通常、他の治療剤と組み合わせて静脈投与される。また、薬剤を静脈内に送達するための手段として微小粒子を用いる人もいる。この場合、微小粒子は、血管の閉塞を回避するため十分小さいものである必要がある(「癌治療におけるカンプトテシンミクロスフェアの評価」(”Evaluation of camptothecin microspheres in cancer therapy,”) Tong, Wenkai, UMIから入手可、注文番号DA3061801. (2002), 214 pp., Diss. Abstr. Int., B2003, 63(8), 3730(非特許文献1),「カンプトテシンの微小粒子又は微小滴を含む注入用製薬組成物」(“Injectable pharmaceutical composition comprising microparticles or microdroplets of camptothecin. Sands, Howard; Mishra Awadhesh. (Supergen, Inc., USA; Rtp Pharma, Inc.)、PCT国際出願(2002), 103pp.(特許文献2))。
【0008】
従来、ポリ(ラクチド-コ-グリコリド)(PLGA)ミクロスフェアが、CPTのための優れた送達ベヒクルと考えられてきた。これは、PLGA分解によって形成される酸性微小環境のためである(「抗癌剤カンプトテシンの送達システムとしてのPLGAミクロスフェアの評価」、(“Evaluation of PLGA Microspheres as Delivery System for Antitumor Agent-Camptothecin,”) Tong, Wenkai; Lejun, D’Souza, Martin, J. Drug Development and Industrial Pharmacy (2003), 29(7), 745-756(非特許文献2))、及び「カンプトテシンの持続的な放出と安定化のためのポリ(D,L-ラクティコ-コ-グリコール酸)ミクロスフェア」(“Poly(D,L-lactic-co-glycolic acid) microspheres for sustained delivery and stabilization of camptotecin,”) Ertl, B., et al., J. Contr. Rel. 1999, 61, 305-317(非特許文献3))。カンプトテシン、又はその誘導体は、ポリマーに封入され、平均直径2-70μmの放出を調節する抗癌性のミクロスフェアを提供する。(「抗癌剤を含む放出調節性ミクロスフェア」”Controlled-release microspheres containing antitumor agents,” Machida, Masaaki; Onishi, Hiroshi; Morikawa, Akinobu; Machida, Ryoji; Kurita, Akinari. 特許公開(2002) 7 pp.(非特許文献4))。このサイズの粒子は、一般に、静脈内の送達に用いられるが、インプラントとして使用されてもよいし、例えば、手術時に、直接腫瘍に注入されてもよい。(「カンプトテシンの送達方法」”Camptothecin Delivery Methods,” Hatefi, A., et al., Pharm. Res. 2002, 19(10), 1389-1399(非特許文献5))。
【0009】
またあるものは、ポリマー薬剤相互作用が、ポリマーミクロスフェアの表面形態と、インビトロにおける放出特性に及ぼす作用を調べた。イリノテカン塩酸を包含するポリラクチドミクロスフェアは、生体内での薬剤濃度を調節可能にするために、油/油乳液システムの溶媒気化法によって調製された。ポリラクチドミクロスフェアの平均直径は約50μmに維持し、一方、CPTの含量は変動した(「イリノテカン塩酸を包含するポリラクチドミクロスフェアの表面形態の変化、及びその放出特性に及ぼす作用」”Surface morphology change of polylactide microspheres enclosing Irinotecan hydrochloride and its effect on release properties.” Yoshizawa, Hidekazu; Nishino, Satoru; Natsugoe, Shoji; Aiko, Takashi; Kitamura, Yoshiro, Journal of Chemical Engineering of Japan (2003), 36(10), 1206-1211(非特許文献6))。
【0010】
分解性のポリ(ラクチド-コ-グリコリド)からのカンプトテシン誘導体(10-ヒドロキシカンプトテシン)の送達に関するもう一つの研究では、塩化メチレン-ポリマーの水性乳液が用いられた。この薬剤は、この乳液に、DMFの溶液として加えられた。ミクロスフェアは、27-82μm範囲の平均粒径を有する。その意図は、ミクロスフェアを数週間に渡って循環させ、薬剤を放出させることである。包含されたカンプトテシンは、肝臓腫瘍を塞栓するのに有用であるかもしれないが、それがどのようにして実現されたかを示す実証はない。(「ポリ(ラクチド-コ-グリコリド)ミクロスフェアの送達ベヒクルにおける10-ヒドロキシカンプトテシンの安定化」”Stabilization of 10-hydroxycamptothecin in Poly(lactide-co-glycolide) microsphere delivery vehicles,” Shenderova, A. et al., Pharm. Res. 1997, 14(10) 1406-1414(非特許文献7))。
【0011】
生分解性ミクロスフェアは、腫瘍塊に直接注入することによって薬剤を腫瘍に直接送達するために用いられた。(「グリア芽細胞腫の治療における抗癌剤の送達用としての生分解性ミクロスフェアの使用方法」”Use of biodegradable microspheres for the delivery of an anticancer agent in the treatment of glioblastoma,” Faisant, Nathalie; Benoit, Jean-Pierre; Meinei, Phillipe., WO-A-0069413(特許文献3))。このミクロスフェアはポリグリコリドから形成され、平均直径48μmである。
【0012】
薬剤のミクロスフェアへの取り込みは、循環血液中の薬剤の寿命を延ばすことが示された。(「ラットにおける徐放性CPT-11負荷ミクロスフェアの薬物速度論」”Pharmacokinetics of prolonged-release CPT-11-loaded microspheres in rats,” Machida, Y.; Onishi, H.; Kurita, A.; Hata, H.; Morikawa, A.; Machida, Y., Journal of Controlled Release (2000), 66(2-3), 159-175(非特許文献8))。ポリ(DL-乳酸)又はポリ(DL-乳酸-コ-グリコール酸)からなるCPT-11-contgミクロスフェアは、水中油気化法によって調製された。ミクロスフェアのサイズと形が調べられ、インビトロにおける放出特性から薬剤放出速度が分析された。CPT-11水溶液が、10 mg/kgでi.v.注入又はi.p.注入され、ミクロスフェアが、ラットに対しkg当たり、50 mg当量のCPT-11となるようにi.p.投与された。ミクロスフェアは約10 μmの平均直径であり、その形は球形であった。
【0013】
またあるものは、外部磁場によってミクロスフェアを標的化することを試みた(「標的薬剤送達のためのカンプトテシンミクロスフェアのインビボ評価」”In vivo evaluation of camptothecin microspheres for targeted drug delivery,” Sonavaria, Vandana J.; Jambhekar, Sunil; Maher, Timothy, Proceedings of the International Symposium on Controlled Release of Bioactive Materials (1994), 21st, 194-5(非特許文献9))。カンプトテシンを含む磁気反応性アルブミンミクロスフェアは、ラットモデルの所望の部位に、高い信頼度をもって標的化させることができる。さらに、標的化させたミクロスフェアは、磁場を取り去った後も長時間局在していた。これは、ミクロスフェアが細胞内部に取り込まれ、そして、この薬剤はその部位で放出されたことを示唆する。恐らく、ミクロスフェアは極めて小さい、約1μmほどと考えられる。
【0014】
肝臓からの結腸直腸への転移に対する待機的治療のための一つの方法は、化学塞栓療法によるものである。一つの工程では、活性薬を、カテーテルを介してその腫瘍を養う動脈に直接導入し、次いで、塞栓剤を導入して、患部に対する流れを停止又は遅延させ、それによって薬剤の流出を抑える。採用される方法には決め手はなく、使用される治療薬は様々あり、例えば、5-FU、マイトマイシンC、又は、シスプラチン、アドリアマイシン、及びマイトマイシンの混合物(CAM)が挙げられるが、これらに限定されない。意外にも、イリノテカンは全身治療の第一選択薬ではあるが、広範な化学塞栓療法としての適用はなかった。唯一、ラットにおける最近の研究のみが、イリノテカンと塞栓療法を特異的に組み合わせていた。その方法とは、薬剤の溶液と塞栓形成デンプンミクロスフェアの懸濁液とが肝臓動脈に導入される方法である(「ラットの肝臓転移に対するイリノテカンによる化学塞栓療法、及び腫瘍細胞減少の定量」”Chemoembolization of rat liver metastasis with irinotecan and quantification of tumor cell reduction,” Saenger Jan; Leible Maike; Seelig Matthias H; Berger Martin R. Journal of cancer research and clinical oncology (Germany) Apr 2004, 130(4) p203-10(非特許文献10))。この方法では、薬剤を、塞栓形成材料であるポリマーと結合させなかったので、薬剤放出の調節はできなかった。デンプンミクロスフェアは単に血管内の血流を遅らせ、約1時間以内に分解するだけであった。
【0015】
Wu, S.J. (「薬剤ミクロスフェアの基本的性質、及び肝臓癌を有するラットの標的治療に関する実験的研究」”An Experimental study of the basic properties of drug microspheres and target treatment of rats with liver tumour,” Zhonghua-Waike Za Zhi Apr 1990 28(4) 241-243(非特許文献11))は、カンプトテシン−アルブミンミクロスフェアを用いた肝動脈塞栓療法について記載する。腫瘍は壊死を起こし、腫瘍による組織の損傷はミクロスフェアによって回復した。
【0016】
膀胱癌に対する内腸骨動脈の、超選択的なカンプトテシンミクロスフェアによる塞栓療法に関する一つの臨床研究がある(Xu A; Wang, X; Yu, M., Department of Urology, General Hospital of PLA, Beijing 100853, China, Zhonghua yi xue za zhi (China) May 2000, 80(5) p358-9(非特許文献12))。ミクロスフェアの性質は詳細に特定されていない。サイズは直径約200μmであった。著者等は、膀胱癌に対する内腸骨動脈のカンプトテシンミクロスフェアによる塞栓療法の効果を評価した。手術できない進行した膀胱癌を有する18名の患者は、内腸骨動脈における、カンプトテシンミクロスフェアによる超選択的な塞栓療法によって治療された。腫瘍サイズは有意に小さくなり、腫瘍細胞は、17名の患者において様々な程度の障害を受けた。有害事象は認められなかった。著者等は、カンプトテシンミクロスフェアによる、内腸骨動脈内の塞栓療法は、手術できない進行した膀胱癌に対して、安全で有効な治療法であると結論した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】米国特許第4,604,463号
【特許文献2】“Injectable pharmaceutical composition comprising microparticles or microdroplets of camptothecin. Sands, Howard; Mishra Awadhesh. (Supergen, Inc., USA; Rtp Pharma, Inc.)、PCT国際出願(2002), 103pp.
【特許文献3】”Use of biodegradable microspheres for the delivery of an anticancer agent in the treatment of glioblastoma,” Faisant, Nathalie; Benoit, Jean-Pierre; Meinei, Phillipe., WO-A-0069413
【非特許文献】
【0018】
【非特許文献1】”Evaluation of camptothecin microspheres in cancer therapy,”) Tong, Wenkai, UMIから入手可、注文番号DA3061801. (2002), 214 pp., Diss. Abstr. Int., B2003, 63(8), 3730
【非特許文献2】“Evaluation of PLGA Microspheres as Delivery System for Antitumor Agent-Camptothecin,”) Tong, Wenkai; Lejun, D’Souza, Martin, J. Drug Development and Industrial Pharmacy (2003), 29(7), 745-756
【非特許文献3】“Poly(D,L-lactic-co-glycolic acid) microspheres for sustained delivery and stabilization of camptotecin,”) Ertl, B., et al., J. Contr. Rel. 1999, 61, 305-317
【非特許文献4】”Controlled-release microspheres containing antitumor agents,” Machida, Masaaki; Onishi, Hiroshi; Morikawa, Akinobu; Machida, Ryoji; Kurita, Akinari. 特許公開(2002) 7 pp.
【非特許文献5】”Camptothecin Delivery Methods,” Hatefi, A., et al., Pharm. Res. 2002, 19(10), 1389-1399
【非特許文献6】”Surface morphology change of polylactide microspheres enclosing Irinotecan hydrochloride and its effect on release properties.” Yoshizawa, Hidekazu; Nishino, Satoru; Natsugoe, Shoji; Aiko, Takashi; Kitamura, Yoshiro, Journal of Chemical Engineering of Japan (2003), 36(10), 1206-1211
【非特許文献7】”Stabilization of 10-hydroxycamptothecin in Poly(lactide-co-glycolide) microsphere delivery vehicles,” Shenderova, A. et al., Pharm. Res. 1997, 14(10) 1406-1414
【非特許文献8】”Pharmacokinetics of prolonged-release CPT-11-loaded microspheres in rats,” Machida, Y.; Onishi, H.; Kurita, A.; Hata, H.; Morikawa, A.; Machida, Y., Journal of Controlled Release (2000), 66(2-3), 159-175
【非特許文献9】”In vivo evaluation of camptothecin microspheres for targeted drug delivery,” Sonavaria, Vandana J.; Jambhekar, Sunil; Maher, Timothy, Proceedings of the International Symposium on Controlled Release of Bioactive Materials (1994), 21st, 194-5
【非特許文献10】”Chemoembolization of rat liver metastasis with irinotecan and quantification of tumor cell reduction,” Saenger Jan; Leible Maike; Seelig Matthias H; Berger Martin R. Journal of cancer research and clinical oncology (Germany) Apr 2004, 130(4) p203-10
【非特許文献11】”An Experimental study of the basic properties of drug microspheres and target treatment of rats with liver tumour,” Zhonghua-Waike Za Zhi Apr 1990 28(4) 241-243
【非特許文献12】Xu A; Wang, X; Yu, M., Department of Urology, General Hospital of PLA, Beijing 100853, China, Zhonghua yi xue za zhi (China) May 2000, 80(5) p358-9
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明によれば、治療で使用される組成物の製造において、pH7で陰イオンに荷電する水に溶けない水膨潤性のポリマーと、そのポリマーと解離可能な形状で静電的に結合する、陽イオンに荷電するカンプトテシン化合物とを含むミクロスフェアの新規使用方法を提供する。この方法において、組成物は血管に導入され、ミクロスフェアは血管で塞栓を形成し、形成された塞栓の粒子は、37℃で水と平衡した場合、100から1500μmの範囲のサイズであり、カンプトテシン化合物は、塞栓から放出されることを特徴とする。
【0020】
この治療方法は、一般に固形癌の治療のためのものである。本発明において、ミクロスフェアは、室温の水と平衡した場合、100μm以上の直径を有する。従って、ミクロスフェアのうち、実質的にいずれのものも100μm未満のサイズを有さないことが好ましい。サイズは200μm以下であってもよく、1500μm以下であることが好ましい。直径は、カンプトテシン化合物で負荷する前に、ミクロスフェアを測定することによって定量することが好ましい。ミクロスフェアは実質的に球形であることが好ましいが、球状であっても、さらに不規則な形であってもよい。以下の説明において、本発明者は、ミクロスフェアと粒子との相互交換について述べる。非球形の粒子の直径は、その最大直径である。
【0021】
カンプトテシン化合物は、好ましくは少なくとも水に難溶である。例えば、室温で水に少なくとも0.001g/lの濃度で溶解し、好ましくは0.002g/l以上の濃度で溶解し、より好ましくは0.01g/l以上の濃度で溶解する。カンプトテシン化合物は、pH7において陽イオンとして荷電されていることが好ましい。陽イオン基は、一次アミン基であってもよいが、二次アミン基、三次アミン基、又は四次アミン基であることが好ましい。
【0022】
一つの好適な化合物群は、下記一般式I
【化2】

、及びその塩を有する。
ここで、R1は、H、低級(C1-6)アルキルであって、ヒドロキシルアミン、アルコキシ、ハロゲン、アシル基もしくはアシルオキシ基、又はハロゲンによって任意に置換される低級アルキルである。
Rは塩素又はNR2R3である。ここで、R2及びR3は、同じであるか異なり、それぞれ、水素原子、置換もしくは非置換のC1-4アルキル基、又は、置換もしくは非置換の炭素環もしくはヘテロ炭素環であるか、あるいは、R2及びR3は、それらが付着する窒素原子と共に、任意に置換されるヘテロ環を形成する。ここで、前記環は、-O-、-S-、又は>NR4を含む。R4は、水素原子、置換もしくは非置換のC1-4アルキル基、又は、置換もしくは非置換のフェニル基である。
また、-O-CO-R-という基は、カンプトテシン化合物のA環の9、10、又は11位のいずれかに位置する炭素結合に結合する。
【0023】
-O-CO-R-基は、10位で結合されていることが好ましい。
【0024】
R1は、C1-4アルキルであることが好ましく、最も好ましくはエチルであり、mは好ましくは1である。
【0025】
ハロゲン原子Rは、例えば、F、Cl、Br、又はIであり、好ましくはF又はClである。
【0026】
R1からR4は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、イン-ブチル、イソブチル、及びt-ブチルであってよく、好ましくはメチルである。
【0027】
R及びR1における置換基は、ハロゲン原子、ヒドロキシ、C1-4アルコキシ、フェノキシ、COOR6、SO3R6及びPO3(R6)2、アリール、
【化3】

、NR8R9並びにCONR8R9、QAOR5、QANR8R9、及びQAQR5から選択されることが好ましい。
【0028】
ここで、R5は、C1-4アルキル又はアリールであり、R6は、水素、ハロゲン、C1-4アルキル又はC1-4アルコキシであり、R7は、水素、ハロゲン又はC1-4アルキルであり、R8及びR9は、同じであるか異なり、それぞれ、H、又はC1-4アルキルであるか、あるいは、R8及びR9は共にC3-6アルカンジイルを示す。
【0029】
Qは、OCO、又はCOO-であり、Aは、C2-4アルカンジイルである。
【0030】
好ましくは、RはNR3R3である。ここで、R2及びR3は、窒素原子と共に5員環又は6員環を形成し、好ましくは、任意の置換基を有する飽和環を形成する。置換基は好ましくは-NR8R9である。そのような置換基において、R8及びR9は共にC4-5アルカンジイルであることが好ましい。これらの基は塩基性であり、pH7では陽イオン荷電となる傾向を持つ。最も好ましいRは、
【化4】

である。
【0031】
好適なもう一つの化合物群は、下記の一般式II
【化5】

、並びにそれらの塩及び四次元誘導体を有する。
ここで、R20及びR23は、それぞれ、ヒドロキシ又は水素であるか、あるいは、共にCH2OCH2である。
【0032】
R21及びR22のうちの一方は、Hであり、他方はCH2NR24R25である。ここで、R23及びR24は、同じであるか異なり、それぞれ、水素原子、置換もしくは非置換のC1-4アルキル基、又は、置換もしくは非置換の炭素環又はヘテロ炭素環、あるいは、R23及びR24は、それらが付着する窒素原子と共に、任意に置換ヘテロ環を形成する。この環は、-O-、-S-、又は>NR4を含む。ここで、R4は、水素原子、置換もしくは非置換のC1-4アルキル基、又は、置換もしくは非置換のフェニル基である化合物である。この請求項の好適な化合物の一例はトポテカンである。ここで、R20はヒドロキシルであり、R22及びR23は水素であり、R21はCH2NR24R25であり、R24及びR25は共にメチルである。
【0033】
ポリマーは水に溶けない物質である。薬剤は、実質的にポリマー基質の侵食によって放出され、それによって薬剤が表面から拡散するように、生分解性であってもよいが、ポリマーは、実質的に生物安定性(すなわち、非生分解性)であることが好ましい。
【0034】
ポリマーは水膨潤性である。本発明において有用な水膨潤性ポリマーは、37℃で水中で膨張させ、重量法で測定した場合、40重量%から99重量%の範囲の平衡水含量を有し、75重量%から95%の範囲の平衡水含量を有することが好ましい。
【0035】
本発明の好ましい実施形態では、塞栓療法を必要とする患者に対して投与される組成物は、液体担体の中に投じられた、水膨潤性で水に溶けないポリマー粒子の懸濁液の形態である。的確な血管塞栓療法を行うために、粒子は較正されたサイズ範囲に等級分けされていることが好ましい。粒子は、37℃の水中で平衡させた場合、100から1500μの範囲のサイズであり、100から1200μmの範囲のサイズであることがより好ましい。較正された範囲は、約100から300μm帯域の直径を有する粒子を含んでいてもよい。サイズ範囲は、例えば、100から300μmであっても、300から500μmであっても、500から700μmであっても、700から900μmであっても、900から1200μmであってもよい。好ましくは、粒子は実質的に球形である。このような粒子は、本明細書においてミクロスフェアという。
【0036】
ポリマーは、少なくとも部分的にイオン結合していてもよいが、一般に、ポリマーは共有結合している。例えば、アルブミン、アルギン酸塩、ゼラチン、デンプン、キトサン、又はコラーゲン等の天然供給源由来のポリマー(これらは全て塞栓剤として用いられている)を用いてもよいが、ポリマーは、天然に見られるポリマー又は誘導体とは実質的に無関係であることが好ましい。ポリマーは、2価以上の官能基と結合するモノマーの存在下において、不飽和モノマーをエチレン化して重合することによって形成されるのが好ましい。エチレン化した不飽和モノマーは、イオン性モノマー(双性イオン性を含む)を含んでいてもよい。
【0037】
エタフィルコンA系コンタクトレンズに使用される、ヒドロキシエチルメタクリルレート、アクリル酸、及び架橋モノマーのコポリマー(例えば、エチレングリコールジメタクリレート、又はメチレンビスアクリルアミド)を使用してもよい。N-アクリロイル-2-アミノ-2-ヒドロキシメチル-プロパン-1,3-ジオール、及びN,N-ビスアクリルアミドのコポリマーを用いてもよい。
【0038】
他のポリマーは、分離媒体又はイオン交換媒体として使用されるタイプの、例えば、イオン性置換基によって架橋されるスチレンポリマーである。
【0039】
水膨潤性で水に溶けない基質を形成するために使用されてもよい、別のタイプのポリマーは、例えば、グルタールアルデヒド等のアルデヒド型架橋剤を用いて架橋させたポリビニールアルコールである。このような産物に対し、ポリビニールアルコール(PVA)は、官能的イオン基を含む化合物を、ヒドロキシル基と反応させてペンダントイオン基を実現することによってイオン性としてもよい。ヒドロキシル基と反応させるのに好適な官能基の例としては、例えば、カルボン酸又はその誘導体等のアシル化剤、又は、エステルを形成することが可能な他の酸性基等が挙げられる。
【0040】
本発明は、ポリマー基質が、1分子当たり1個以上のエチレン化した不飽和ペンダント基を持つ、ポリビニルアルコールマクロマから、エチレン基のラジカル重合によって形成される場合に特に有用である。PVAマクロマは、例えば、非イオン性モノマー及び/又は、陰イオン性モノマーを含むイオン性モノマーを含む、エチレン化した不飽和モノマーと共重合させることによって形成されることが好ましい。
【0041】
PVAマクロマは、適当な分子量、例えば、1000から500,000D範囲の分子量で、好ましくは10,000から100,000Dの範囲の分子量で、ペンダントビニール又はアクリル基を有するPVAポリマーを供給することによって形成されてもよい。ペンダントアクリル基は、例えば、アクリル又はメタクリル酸をPVAと反応させて、いくつかのヒドロキシル基を介してエステル結合を形成することによって提供されてもよい。重合してポリビニールアルコールを形成することが可能なビニール基を付着させるための他の方法は、例えば、米国特許第4,978,713号に記載されており、好ましくは米国特許第5,508,317号及び米国特許第5,583,163号に記載されている。これより、好ましいマクロマは、環状のアセタル結合を介して、(アルク)アクリルアミノアルキル基が結合する、ポリビニールアルコールの骨格を含む。実施例1では、公認名ネルフィルコンBで知られる、そのようなマクロマの一例の合成について述べる。PVAマクロマは、1分子当たり約2個から20個のペンダントエチレン基(例えば、5から10個のペンダントエチレン基)を有することが好ましい。
【0042】
PVAマクロマが、イオン性モノマーを含むエチレン化した不飽和モノマーと共重合している場合、このイオン性モノマーは、好ましくは、下記一般式II
Y1BQ1 II
を有する。
【0043】
ここで、Y1は、
【化6】

、CH2=C(R10)-CH2-O-, CH2=C(R10)-CH2OC(O)-, CH2=C(R10)OC(O)-
CH2=C(R10)-O-, CH2=C(R10)CH2OC(O)N(R11)-, R12OOCCR10=CR10C(O)-O-
R10CH=CHC(O)O-, R10CH=C(COOR12)CH2-C(O)-O-、
【化7】

から選択される。
【0044】
ここで、R10は、水素、又はC1-4アルキル基であり、R11は、水素、又はC1-4アルキル基であり、R12は、水素又はC1-4アルキル基、又はBQ1である。ここで、B及びQ1は以下のように定義される。
A1は、-O-又はNR11-である。
K1は、-(CH2)rOC(O)-, -(CH2)rC(O)O-, -(CH2)rOC(O)O-, -(CH2)rNR13-, -(CH2)rNR13C(O)-, -(CH2)rC(O)NR13-, -(CH2)rNR13C(O)O-, -(CH2)rOC(O)NR13-, -(CH2)rNR13C(O)NR13-(ここで、R13は同じであっても異なっていてもよい)、-(CH2)rO-, -(CH2)rSO3-、あるいは、任意に原子価結合であるBと結合される。また、rは1から12であり、R13は水素又はC1-4アルキル基である。
【0045】
Bは、直鎖の又は分枝鎖のアルカンジイル、オキサアルキレン、アルカンジイルオキサアルカンジイル、又はアルカンジイルオリゴ(オキサアルカンジイル)鎖で、任意に、あるいはQ1又はY1が原子価結合Bに対して結合する末端炭素元素を含む場合に、1個以上のフッ素原子を含む重フッ化鎖を含む鎖である。
【0046】
Q1はイオン基である。
【0047】
このような化合物には、好ましくは陰イオン基Q1が含まれる。
【0048】
陰イオン基Q1は、例えば、カルボン酸塩、炭酸塩、スルフォネート、硫酸塩、硝酸塩、フォスフォネート、又はリン酸塩の基が挙げられる。モノマーは、遊離酸又は塩の形態で重合されてもよい。共役酸のpKaは5未満であることが好ましい。
【0049】
好適な陽イオン基Q1は、N+R143、P+R153、又はS+R152であることが好ましい。ここで、R14は、同じであるか異なり、それぞれ、水素、C1-4アルキル、又はアリール(好ましくはフェニル)であり、あるいは、R14のうちの二つは、それらの付着するヘテロ原子と共に、5個から7個の原子を含む飽和又は不飽和のヘテロ環を形成し、複数のR15はそれぞれOR14又はR14である。好ましくは、陽イオン基は恒久的に陽イオンである。すなわち、各R14は水素以外である。陽イオン基Qは、N+R143である。ここで、R14は、C1-4アルキルであり、好ましくはメチルである。
【0050】
双性イオン基Q1は、例えば、陰イオン電荷を持つ二価の中心と、陽イオン電荷を持つ一価の中心、又はその逆を持つことによって、あるいは、二つの陽イオン電荷の中心と一つの陰イオン電荷の中心、又はその逆を持つことによって、全体の電荷を持ってもよい。しかしながら、双性イオンは、全体電荷を持たないことが好ましく、一価の陽イオン電荷を持つ中心と、一価の陰イオン電荷を持つ中心とを有することが最も好ましい。
【0051】
本発明においてQとして用いてよい双性イオン基の例は、WO-A-0029481に開示される。
【0052】
例えば、エチレン化した不飽和モノマーが双性イオンモノマーを含む場合、これは、粒子の親水性、潤滑性、生分解性、及び/又は、血液型適合性を増す。好適な双性イオンモノマーは、本発明者の以前の刊行物WO-A-9207885, WO-A-9416748, WO-A-9416749、及びWO-A-9520407に記載されている。双性イオンモノマーは、2-メタクリロイルオキシ-2’-トリメチルアンモニウムエチルリン酸内部塩(MPC)である。
【0053】
一般式Iのモノマーでは、Y1は、好ましくはCH2=CR10COA-基である。ここで、R10は、H又はメチルであり、好ましくはメチルであり、A1は好ましくはNHである。Bは、1から12個の炭素原子からなるアルカンジイル基であり、好ましくは2から6個の炭素原子からなるアルカンジイル基である。このようなモノマーはアクリルモノマーである。
【0054】
エチレン化した不飽和モノマーは、希釈モノマー(例えば、非イオン性モノマー)を含有していてもよい。このようなモノマーは、酸性基のpKaを調節するために、産物の親水性もしくは疎水性を調節するために、ポリマー中に疎水性領域を提供するために、又は、単に不活性な希釈剤として働くために有用である。非イオン性希釈モノマーの例としては、例えば、アルキル(アルク)アクリレート、及び(アルク)アクリルアミド、特に、1から12個の炭素原子を有するアルキル基を含む化合物、ヒドロキシ、及び、ジヒドロキシ置換アルキル(アルク)アクリレート、及び、-(アルク)アクリルアミド、ビニールラクタム、スチレン、及びその他の芳香族モノマーが挙げられる。
【0055】
ポリマー基質では、陰イオンのレベルは、g当たり0.1から10meqの範囲にあることが好ましく、少なくともg当たり1.0meqであることが好ましい。好ましい陰イオンは、強酸(例えば、硫酸塩、スルフォネート、リン酸塩、及びフォスフォネート)から得られる。
【0056】
PVAマクロマが、他のエチレン化した不飽和モノマーと共重合される場合、PVAマクロマの、他のモノマーに対する重量比は、好ましくは50:1から1:5の範囲、より好ましくは20:1から1:2の範囲である。このエチレン化した不飽和モノマーでは、陰イオンモノマーは、好ましくは10から100 mole%の範囲の量として、少なくとも25 mole%存在することが好ましい。
【0057】
架橋ポリマーは、例えば、連続的不混和性担体における分散相となるモノマーの小滴として重合することによって、そのまま粒状形として形成されてもよい。膨張した時に所望のサイズを持つ粒子を生産するのに好適な油中水重合の例は公知である。例えば、米国特許第4,224,427号は、懸濁剤の存在下に、水溶性モノマーを連続的溶媒相中に分散させることによって、最大5mm直径の均一な球形ビーズ(小球)を形成するための工程を記載している。分散相粒子のサイズの調節を可能とするように、安定化剤及び界面活性剤があってもよい。重合化の後、架橋ミクロスフェアを公知の手段によって回収し、洗浄し、任意に滅菌する。好ましくは、粒子(例えば、ミクロスフェア)は、水性液中で膨張させ、そのサイズに従って分類される。
【0058】
カンプトテシン化合物は、好ましくは、ある一定期間に渡って薬剤の放出を調節できるポリマーと結合される。この期間は、数分から数週であってもよいが、好ましくは少なくとも最大数日、好ましくは最大72時間である。薬剤は、ポリマーに対して静電的に結合される。ポリマー中に陰イオン基が存在することによって、陽イオンに荷電されるカンプトテシン活性剤の放出を調節することが可能となる。
【0059】
製薬活性剤は、種々の技術によってポリマー基質に取り込まれてよい。一つの方法では、活性剤は、重合の前又は架橋結合の前に、ポリマーの前駆体(例えば、モノマー、又はマクロマ混合物)、又は架橋性ポリマー及び架橋混合物と混合されてもよい。あるいは、活性剤は、ポリマーが架橋されて後に、ポリマーに負荷されてもよい。例えば、粒状の乾燥ポリマーを、活性剤の溶液、好ましくは、水溶液、又はアルコール(例えば、エタノール溶液)において膨張させ、任意に、その後、未吸収剤の除去及び/又は溶媒の気化を行ってもよい。活性剤の、有機溶媒(例えば、アルコール)、さらに好ましくは水溶液を、移動ベッドの粒子の上に噴霧し、それによって、薬剤が、溶媒除去と同時に、粒子の本体に吸収されるようにしてもよい。最も好都合なことに、本発明者は、連続液体ベヒクル、例えば、水に懸濁させた膨張粒子を、薬剤の水性アルコール液と単に接触させるだけで、薬剤は粒子の本体に吸収されることを見出した。粒子の中に薬剤を固定する技術は、負荷する懸濁液のpHを、活性剤が比較的不溶な形になる値に変位させることによって、負荷のレベル、例えば沈殿を増すことが可能である。その後、膨張ベヒクルを除去するか、あるいは、都合よければ、その後塞栓剤として使用される際産物の一部として粒子と共に保持されてもよい。あるいは、膨張粒子は、スラリーの形で膨張形として、すなわち、膨張粒子の外側には全く又はほとんど液体が無い状態で使用されてもよい。別態様として、粒子の懸濁液から、残余の全ての薬剤負荷液を取り除いてもよく、かつ、粒子は、製薬産物を乾燥するのに用いられる古典的な技術のうち任意のものを用いて乾燥させてよい。この乾燥は、室温又は上昇温、減圧又は真空における空気乾燥、古典的な凍結乾燥、大気圧凍結乾燥、表層流体の溶液強化分散(SEDS)が挙げられるが、これらに限定されない。あるいは、薬剤負荷ミクロスフェアは、一連の工程において水を置換する有機溶媒を用いて脱水し、次に、この比較的揮発性の高い有機溶媒を蒸発させてもよい。溶媒は、薬剤に対して非溶媒的であるものが選ばれる。
【0060】
簡単に言うと、代表的な古典的凍結乾燥工程は以下のように開始される。すなわち、サンプルは、部分的に塞栓されたガラス瓶に分液され、ガラス瓶は、凍結乾燥器内の、冷却した温度調節棚の上に置かれる。その棚の温度を下げ、サンプルを、均一な、定められた温度で凍結する。完全に凍結した後、乾燥器の圧を定められた圧に下げ、一次乾燥を始める。一次乾燥中、水蒸気を凍結質量から昇華によって次第に除去し、一方、棚の温度は一定の低温に調節する。二次乾燥は、棚の温度を上げ、チェンバー圧をさらに下げことによって開始する。これによって、半乾燥質量に吸収される水分は、残留含水量が所望のレベルに下がるまで除去される。瓶は、そのまま、必要に応じて、保護的雰囲気の下に密封される。
【0061】
大気圧凍結乾燥は、凍結産物の上に極めて乾燥した空気を急速に循環させることによって実現される。古典的凍結乾燥工程に比べ、真空しない凍結乾燥はいくつかの利点を持つ。循環乾燥ガスは、洗濯物が風の強い日には速く乾くのと同じやり方で、凍結サンプルからの熱と質量の移動の強化を実現する。この領域における多くの作業は食品生産に関わり、揮発性芳香族化合物の保持が向上することが観察されているが、これが、生物学的物質の乾燥にどのような利点を持つかはまだ決定されていない。特に興味があるのは、大気圧噴霧乾燥工程を用いることによって、固形物ではなく、微細な、さらさらと流動する粉末が得られるという事実である。ミクロン以下の直径を持つ粒子を入手することが可能である。これは、一般に粉砕によって得られるものよりも10倍小さい。高い表面積を持つ粒状性は、簡単に再水和することが可能な産物をもたらす。現在、吸引及び経皮の応用に要求される粒子径に関する微細な調節は不可能であるが、この領域ではその可能性がある。
【0062】
組成物は、投与の直前にポリマー及びカンプトテシン化合物から製造されてもよいが、組成物は事前に形成されるのが好ましい。乾燥ポリマー−カンプトテシン粒子は、使用の直前に水和してもよい。あるいは、供給される組成物は、完全に混合されており、好ましくは、カンプトテシン化合物を吸収し、水、例えば、生理的食塩水、及び粒子外液体(例えば、生食液)を吸収させたポリマー粒子を含む。
【0063】
投与される組成物におけるカンプトテシン化合物のレベルは、mlの組成物当たり0.1から500mgの範囲であり、好ましくはml当たり10から100mgの範囲である。好ましくは、この化学塞栓療法は、1から5回繰り返され、各投薬において、投与されるカンプトテシン化合物の量は、ml当たり0.1から100mgの範囲であり、好ましくはml当たり10から100mgの範囲である。一般の塞栓療法において投与される組成物の量は1から6mlである。1投薬当たり投与されるカンプトテシン化合物の合計量は好ましくは、10から1000mgの範囲であり、より好ましくは50から250mgの範囲である。以下の実施例に示す放出データに基づいて、本発明者は、上記の用量は、腫瘍の血管において治療に有効な濃度になり、有効なレベルの細胞内送達が起こり、それによって治療効果が発揮される、と考えている。カンプトテシンの全身投与による副作用は回避されなければならない。
【0064】
塞栓組成物は、腫瘍塞栓療法に対して、通常の方法に従って混合することができる。従って、組成物は、投与の直前に、画像剤(例えば、放射線不透過性物質)と共に、本発明の放射線技術者によって投与される。さらに、又はそれとは別に、カンプトテシン化合物に加えて、粒子に放射線不透過性物質をあらかじめ負荷してもよい。従って、あらかじめ形成された混合物として提供される、ポリマー及び製薬活性剤は、送達装置のための容器として使用される注射器において、放射線不透過な画像剤と事前に混合されてもよい。組成物は、例えば、マイクロカテーテル装置から、適当な動脈内に投与されてもよい。好適な粒子サイズの範囲の選択は、塞栓療法の最終的な部位に依存するが、介在する放射線技術者によって、通常通り実行されてもよい。
【0065】
本発明は、例えば、原発性肝臓癌(肝細胞癌、HCC)、肝臓(結腸直腸、胸部、内分泌腺)への転移、並びに、腎臓、骨、乳房、膀胱、前立腺、結腸、及び肺の腫瘍等、血管が過剰に増殖していることによって塞栓療法を施行できる原発性の腫瘍及び続発性の腫瘍の治療において有効であることが期待される。
【0066】
本発明は、以下の実施例においてさらに具体的に説明される。結果のいくつかは添付の図面に示され、さらに詳細に実施例で記載される。図面の簡単な説明も与えられる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】図1は、実施例1に記載されるように、いくつかの異なるビーズに対するイリノテカンの負荷を示す。
【図2】図2は、実施例1に記載の負荷させたビーズから、リン酸緩衝生理食塩水への溶出を示す。
【図3】図3は、実施例1に記載の負荷させたビーズからの、イリノテカンの、水に対する溶出プロファイルを示す。
【図4】図4は、実施例2に例示される負荷能を示す。
【図5】図5は、実施例3に記載されるように定量した場合の、ビーズサイズの変化を示す。
【図6】図6は、実施例4に例示されるように、薬剤負荷に対する、ビーズサイズ及びイオン基含量の作用を示す。
【図7】図7は、実施例6に記載されるように調製されたゲル小球からのイリノテカンの溶出を示す。
【図8】図8は、実施例7に記載の結果を示す。
【図9】図9は、実施例9に記載の化学発光の結果を示す。
【図10】図10は、実施例9に記載の試行実験後における肝臓の腫瘍細胞数を示す。
【図11】図11は、実施例9に記載される、コントロールのラット、及び試験後のラットの肝臓の写真を示す。
【発明を実施するための形態】
【0068】
<参照実施例:ミクロスフェア調製の概略法>
ネルフィルコンBマクロマ合成
ミクロスフェア合成の第1段階は、広く使用される水溶性ポリマーPVAから、ネルフィルコンB、すなわち重合性マクロマを調製することを含む。Mowiol 8-88ポリ(ビニールアルコール)(PVA)粉末(88%加水分解、12%アセテート含量、平均分子量約67,000D)(150 g)(Clariant, Charlotte, ノースカロライナ州、米国)を、2 lガラス反応瓶に加える。穏やかに攪拌しながら、1000 mlの水を加え、攪拌回転数を400 rpmまで上げた。PVAを完全に溶解させるために、温度を2-3時間99±9℃に上げる。室温まで冷却する時、N-アクリロイルアミノアセタルデヒド(NAAADA)(Chiba Vision、ドイツ)(PVA1 g当たり、2.49 g又は0.104 mmol)を、加えてPVA溶液と混合し、次いで、濃塩酸(100 ml)を加えた。これは、トランスエステルとの交換によってPVAに対するNAAADAの付加を触媒する。反応を室温で6-7時間進行させ、次に2.5M水酸化ナトリウム溶液を用いてpH7.4に中和することによって停止した。得られた塩化ナトリウム・プラス・未反応NAAADAは、ダイアフィルトレーションによって除去される(工程2)。
【0069】
<マクロマのダイアフィルトレーション>
ダイアフィルトレーション(接線流ろ過)は、精製すべき入力液を、膜表面に連続的に循環し、不要の物質(NaCl、NAAADA)を通過させて廃液に導き、一方、膜は、保存物質の通過を阻止するのに十分な孔径を持つので、保存物質は循環内に留まる。
【0070】
ネルフィルコンBのダイアフィルトレーションは、3000の分子量カットオフの孔径を持つ0.1 m2セルロース膜を積層させた、ステンレスチールPellicon 2 Miniホールダー(Millipore Corporation, Bedford、マサチューセッツ州、米国)を用いて行った。Mowiol 8-88は、重量平均分子量67000を持つ。従って、これらの膜を浸透する能力が制限される。
【0071】
マクロマを含むフラスコに、磁気攪拌棒を投入し、スターラープレートの上に置いた。溶液は、Easy Load IIポンプヘッドを装着したMasterflex LSペリスタルティックポンプ、及びLS24クラスVIのチューブを介してダイアフィルトレーションアッセンブリに導いた。ネルフィルコンは、浸透を加速するために約50 psiの圧の下に膜の上を循環させる。溶液が、約1000 mlに濃縮された時に、内容量を、同じ速度で水を加えることによって一定に維持し、ろ液は、6000 mlの余分液が加わるまで廃液貯留に収集する。一旦そのレベルに達したならば、溶液を、25℃で1700-3400 cPの粘度を持つ20-23%の固体となるまで濃縮した。ネルフィルコンの特性は、GFC、NMR、及び粘度によって明らかにされる。
【0072】
<ミクロスフェア合成>
ミクロスフェアは、懸濁重合法によって合成される。この方法では、水相(ネルフィルコンB)を、有機相(酢酸ブチル)に加える。ただし、両相は互いに混ざらない。急速に混合させることによって、水相は分散され小滴を形成する。小滴のサイズと安定性は、攪拌速度、粘度、水相/有機相の比、及び両相間の界面エネルギーに影響を及ぼす安定化剤と界面活性剤の使用、等の要因によって調節することが可能である。二つのシリーズのミクロスフェア、すなわち、低AMPS及び高AMPSシリーズが製造される。これらの処方は下記に示す通りである。
【0073】
<A:高AMPS>
水相:約21% w/wのネルフィルコンB液(約400±50 g)
約50% w/wの2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルフォネートNa塩
(140±10 g)
精製水(137±30 g)
過硫酸カリウム(5.22±0.1 g)
テトラメチルエチレンジアミンTMEDA(6.4±0.1 ml)
有機相:n-ブチルアセテート(2.7±0.3L)
酢酸エチルに溶解の10% w/wセルロースアセテートブチレート(46±0.5 g)
精製水(19.0±0.5 ml)
【0074】
<B:低AMPS>
水相:約21% w/wネルフィルコンB液(約900±100 g)
約50% w/w 2-アクリルアミノ-2-メチルプロパンスルフォネートNa塩(30.6±6 g)
精製水(426±80 g)
過硫酸カリウム(20.88±0.2 g)
TMEDA(25.6±0.5 L)
有機相:n-ブチルアセテート(2.2±0.3 L)
酢酸エチルに溶解の10% w/wセルロースアセテートブチレート(CAB)(92±1.0 g)
精製水(16.7±0.5 ml)
【0075】
ジャケット付き4000 mlの反応容器を、反応温度を連続監視するフィードバックセンサーによるコンピュータ制御浴(Julabo PN 9-300-650)を用いて加熱する。
【0076】
酢酸ブチルは、25℃で反応器に加え、次いでCAB液と水を加える。PVAマクロマを加える前に、システムを15分間窒素を通気する。分散PVA液の架橋は、TMEDAを加え、窒素雰囲気下、温度を55℃に3時間上げることによって始める。架橋は、TMEDAのアミノ基が、過硫酸カリウムの過酸化基と反応して活性分子を生成するレドックス起動重合によって起こる。次に、これらの活性分子は重合を起動し、PVAとAMPSの上の二重結合を架橋し、分散するPVA-AMPS小滴を変形して、不溶のポリマーミクロスフェアとする。25℃に冷却後、産物を、精製のためにフィルター反応器に移し、ここで酢酸ブチルをろ過除去する。次に、下記が行われる。すなわち、
*2 x 300 mlの酢酸エチルで洗い、酢酸ブチルとCABを除去する。
*30分酢酸エチルで平衡させ、ろ過。
*減圧ろ過の下に2 x 300 mlの酢酸エチルで洗う。
*アセトンで30分平衡させ、ろ過して酢酸エチル、CAB、及び水を除去する。
*減圧ろ過の下に2 x 300 mlのアセトンで洗う。
*一晩アセトンで平衡させる。
*真空下2 x 300 mlのアセトンで洗う。
*真空乾燥、2時間、55℃で残留溶媒を除去する。
【0077】
<染色>
この工程は任意に行う。この工程は、薬剤が着色活性剤と共に負荷される場合(活性剤が色を呈するので)、一般に不要であるが、下記の実施例8からも明らかなように利点があるので本明細書では言及しておく。水和されると、ミクロスフェアは、約90%(w/w)の水を含むので、視認するのが困難なことがある。臨床場面における視認性を助けるために、小球は、反応性青#4染料(RB4)によって青色に染められる。RB4は、水溶性のクロロトリアジン染料で、これは、アルカリ条件下で、PVA骨格のペンダントヒドロキシル基と反応して共有的エーテル結合を形成する。この反応は、pH12(NaOH)で行われるが、その際生成されるHClは中和されてNaClをもたらす。
【0078】
染色の前に、小球を十分に再水和し、35 gの分液に分けられる(個別に処理される)。染色液を、0.8 gのRB4を、2.5MのNaOH液(25 ml)及び水(15 ml)に溶解して調製し、これを、1 l生食液当たり80 gの小球の、2 lの小球に加える。20分混合の後、産物を32 μmふるいで収集し、すすぎ流し、未反応染料の大部分を除去する。
【0079】
<抽出>
結合していないRB4、又は非特異的に吸着されたRB4を全て除去するために、高度の抽出工程を用いる。
*2 lの水で5分平衡させる。ふるいで収集し、すすぎ流す。5回繰り返す。
*0.29%(w/w)生食液に溶解した、80 mMのリン酸水素二ナトリウムの2 l液で平衡させる。30分煮沸点で加熱する。冷却し、ふるいで収集し、1 l生食液で洗浄する。2回以上繰り返す。
*冷却し、ふるいで収集し、2 lの水で10分平衡させる。
*収集し、1 lのアセトンで30分脱水する。
*全ての分液を合わせ、2 lのアセトンで一晩平衡させる。
【0080】
<ふるい分け>
製造されるミクロスフェア産物は、サイズにおいて100から1200ミクロンの範囲を持つので、下記に掲げる指定の分布を得るために、ある範囲のメッシュサイズを使用し、ふるい分けによって分画しなければならない。
1. 100 - 300 μm
2. 300 - 500 μm
3. 500 - 700 μm
4. 700 - 900 μm
5. 900 - 1200 μm
【0081】
ふるい分けの前に、溶媒を全て除去するために小球を真空乾燥する。次に、60℃の水で平衡させ、完全に再水和する。この小球を、メッシュサイズが32から1000 μmの範囲に渡る38 cm(15インチ)のステンレススチールふるいトレイを備えた、316Lステンレススチールvortisieveユニット(MM Industries, Salem、オハイオ州)を用いてふるいにかける。ろ過された生食液は、ユニットを通じて再循環され分画を助ける。32ミクロンふるいに収集される小球は捨てられる。
【0082】
[実施例1]
<塞栓療法ビーズに対するイリノテカンの負荷及び塞栓療法ビーズからのイリノテカンの溶出>
下記のミクロスフェア(「ビーズ」)産物を試験した。
1. 高AMPSミクロスフェア(”Gelsphere GS”)(実施例1の記載にならって製造)。粒径分画100から300 μm, 500 - 700 μm, 及び900 - 1200 μm。平衡水含量94%(発明)
2. Contour SE。市販の塞栓療法産物で、非イオン性ポリビニールアルコールミクロスフェアを含む。粒径分画500 - 700 μm、平衡水含量40%(参照)
3. 低AMPSミクロスフェア(”BeadBlock-BB”)実施例1の記載にならって製造。粒径分画100から300 μm。平衡水含量は94%(発明)。
4. Embosphere。市販の塞栓療法剤で、N-アクリロイル-2-アミノ-2-ヒドロキシメチル-プロパン-1,3-ジオール-コ-N,N-ビスアクリルアミド)コポリマーで、ゼラチン及びグルタールアルデヒドと架橋させたもの、粒子サイズは、100-300 μm, 500から700 μmのサイズ範囲を持つ。このポリマーは、中性pHでは、ゼラチン含量によりネットで陽性電荷を持つ(FR-A-7723223)。平衡水含量91%(参照)
5. Amberlite ira400(強度の塩基性ゲル型レジン、四次元アンモニウム官能性、平均サイズ= 510 μm, WC = 52.44%)(参照)
6. Amberlyst 36(湿)、極めて強度の酸性、スルフォン酸官能性、水素形、平均サイズ= 667 μm, WC= 57.25)(発明)
7. Ultra-drivalon 250-4000 μm(PVA粒子)(参照)
【0083】
イリノテカン塩酸・三水和物(Campto, Aventis)を20 mg/mlで用いた。この処方における他の成分としてはソルビトール及び乳酸が挙げられる。カンプトテシン化合物の濃度は、369 nmにおけるUV分光光度計によって定量した。
【0084】
1 mlの各ビーズスラリーを、計算された量の1 mlのイリノテカン液(20 mg/ml)と混合し、室温で2時間回転混合した。残留する溶液濃度を369 nmのUVで測定しイリノテカン濃度を定量した。ビーズに負荷された薬剤の量は消去法で決めた。図1は、試験されるミクロスフェアの負荷特性を示す。明らかに、イオン性成分を有するビーズは、顕著な量の薬剤を負荷することが可能である(特にGelSphere及びAmberlyst)。負荷は、Gelsphereで特に急速である(5 - 10分)が、一方、Amberlystは〜60分を要した。これらのビーズは、溶液から、薬剤の20 mg濃度全体を積極的に負荷する。他の塞栓療法剤は、溶液から僅かに5 - 7 mgを負荷できるに過ぎず、これは、事実上平衡分配作用であって、ビーズと薬剤の間には何ら特異的相互作用の無いことを示す。
【0085】
イリノテカンは、前述のように、1 mlの負荷ビーズから200 mlのPBSバッファーに室温で2時間溶出させた。結果(図2)は、全てのビーズについてほぼ同じ溶出を示し、全体の90%以上の溶出が最初の10分で得られ、かつ、2時間以内に完了した。ただし、Amberlyst36湿を例外とする。このものは、比較的ゆっくりした溶出プロフィールを示し、最初の2時間に40%が溶出した。これは、高レベルの、強度に酸性のスルフォン酸成分によるものである。
【0086】
図3は、様々のイリノテカン負荷ビーズから水に向かう溶出プロフィールの比較を示す。1 mlの負荷ビーズから、100 mlの水(HPLC級)に30分溶出させた。Contour SE及びEmbospheresビーズは、最初の10分以内に100%溶出を示したが、一方、GelSphereビーズは、全体負荷の1%未満の溶出を示した。これは、溶出が、イオン交換機構によって駆動されることを示し、かつ、本発明の小球を水和形として処方することが可能であることを示唆する。なぜなら、純水内に投入しても、保存中、時間につれて薬剤が媒体中の溶出によって失われることを恐れる必要がないからである。この特質は、現在市販のミクロスフェア塞栓療法剤では可能と考えられない。
【0087】
[実施例2]
<GelSpheresの負荷能力の研究>
イリノテカン負荷含量と負荷効率を、GelSpheres, 500-700 μmを用いて定量した。ビーズスラリーを、計算量のイリノテカン液(20 mg/ml)と混合し、少なくとも4時間回転混合した。溶液を369 nmのUVで測定しイリノテカン濃度、ビーズにおける薬剤負荷を定量した(消去法)。図4の直線は、ビーズにおけるイリノテカン含量が、低濃度(50 mg/ml未満)では表示の負荷量と共に直線的増加することを示す。この上では、負荷効率は著明に低下するが、これはビーズの飽和を示す。
【0088】
[実施例3]
<イリノテカン負荷によるサイズ変化>
イリノテカン負荷によるGelSpereサイズの変化を、光学的ビデオ顕微鏡を備えたImage-ProPlus 4.5を用いて測定した。負荷条件は、GelSphereのサイズ500 - 700 μm、イリノテカン負荷液の濃度、室温で20 mg/ml(Campto)、一晩ローラミキサーで攪拌。図5は、ビーズ内部に結合する薬剤の濃度が増加するにつれてビーズサイズの低下があることを示す。これは、イオン基と相互作用を持つ薬剤によってヒドロゲル構造から水が押し出されることと関連する。
【0089】
[実施例4]
<薬剤負荷に対する、ビーズサイズ及びイオン基含量の作用>
種々のサイズの高AMPS GelSpheres及び低AMPS BeadBlockに対するイリノテカン負荷速度の比較。負荷条件は、1 mlの各ビーズスラリー(100 - 300 μmのGelSpheres及びBeadBlock)を、2.5 mlのイリノテカン溶液(20 mg/ml)と混合した。混合液を回転混合し、溶液の濃度を369 nmのUVで測定した。図6は、異なるサイズのGelSphereが、類似の、極めて高速で負荷することを示す。低AMPS小球はより少ない薬剤しか負荷しない。これは、ミクロスフェアのイオン成分の濃度が低いためである。
【0090】
[実施例5]
<イリノテカン負荷GelSphereの凍結乾燥>
1 mlのGelSphereビーズを、Campto(20 mg/ml)溶液と混合し、3時間回転混合した。残余の溶液をピペットで除去しビーズスラリーを残し、これを凍結乾燥して乾燥産物とした。薬剤液の量を変えることによって様々な負荷レベルが実現される。
【0091】
[実施例6]
<凍結乾燥GelSphereからのイリノテカンの溶出>
実施例5のように調製した、様々のカンプトテシンを負荷させた凍結乾燥GelSphereからイリノテカンをPBSバッファーに溶出させた。結果を図7に示す。溶出速度は、非凍結乾燥サンプルと比較すると、凍結乾燥後は低下した。また、高い薬剤負荷は、低いものに比べてより緩慢な溶出を示した。
【0092】
[実施例7]
<処方イリノテカン塩酸及び非処方イリノテカン塩酸の溶出の比較>
1 mlのビーズスラリーを、Campto処方と混合し、3-4時間ローラー混合した。別の負荷実験では、1 mlのビーズに、個体のイリノテカン塩酸生のままの薬剤を、ビーズスラリーと、粉末薬剤と2 mlの水とを混合することによって負荷させ、3-4時間回転混合した、この時間において、薬剤はゆっくりと溶解し、活発にビーズに取り込まれた。イリノテカンを、900 - 1200 μmの様々のGelSphereから、200 mlのPBSバッファーに溶出させた。図8に示す溶出曲線は、処方から負荷させたビーズ、又は生の薬剤を用いて負荷させたビーズとの間に有意な差を示さない。
【0093】
[実施例8]
<薬剤負荷の表示>
GelSphereミクロスフェアは、反応性青4染料によって青色に着色されるので、使用時、インターベンションの放射線技術者により簡単に視認することが可能である。ミクロスフェアは青色に着色されるが、この色は、イリノテカンがビーズに負荷された時点でトルコ石の色に変位する。これは、負荷ビーズと未負荷ビーズを区別するための視覚的インディケーターとして使用することが可能である。着色の変化は、凍結乾燥イリノテカン負荷ビーズではさらに明瞭になる。
【0094】
[実施例9]
<CC531-lacZラット肝臓転移モデルにおけるイリノテカン及びドキソルビシン負荷GelSphereの、前臨床実験の要約>
本試行実験の目的は、イリノテカン負荷ビーズ又は、ドキソルビシン負荷ビーズを用いた場合の、ラット肝臓転移モデルでの化学塞栓療法における薬剤溶出ビーズの効力を評価することであった。本実験の目的は、化学塞栓療法によって治療されるラットにおける腫瘍軽減の実行性、軽減を定量すること、及び、本式研究に使用されるべき薬剤の用量を決定することであった。
【0095】
本実験では、ラットモデルが化学塞栓療法にとって好適なモデルとして選ばれた。その理由は、以前にこのモデルを用いて、44%のラットに完全な寛解、及び66%の平均腫瘍負荷の減少という点でイリノテカンの著明な活性があることが明らかにされていたからである(Saenger et al., 上述)。このモデルにおいて、CC531-lacZ細胞を、門脈注入によって、雄性WAG/Rijラットに移植し、腫瘍細胞の検出は、ラットのβ-ガラクトシダーゼ活性によって行った。これは、化学的発光アッセイによる細胞数の定量を可能にする。
【0096】
ラットの血管サイズが小さいため、また、以前の実験と一致させるために、75 μm±25 μmのサイズを持つミクロスフェア産物も用いた。ミクロスフェアは、特にこの実験のために、実施例1(高Amps)に詳述した方法によって調製し、着色し、正規の手順通りに滅菌した。
【0097】
塞栓療法の直前に、薬剤をミクロスフェアと混合する。
【0098】
薬剤とミクロスフェアは、負荷のために30から60分放置し、負荷のために5から10分置きに攪拌した。別態様として、薬剤とミクロスフェアは、負荷を助長するために回転式ミキサーの上に設置した。
【0099】
0日目に、腫瘍細胞をラットモデルの門脈に注入する。8日目に開腹術を行う。これにより肝臓における腫瘍細胞の視覚的コントロールが可能になる。腫瘍陽性であることが判明した動物には、8日目に肝臓動脈から塞栓療法治療を実施する。21日目、実験を停止する。動物の肝臓重量を定量し、腫瘍細胞数を発光測定によって定量するまで肝臓をしっかりと凍結した。
【0100】
本試験では、以下の用量のイリノテカンを用いた。すなわち、60 mg/kg, 30 mg/kg, 及び15 mg/kgである。結果を図9に示す。図9は、コントロール(n=9)、60 mg/kg及び15 mg/kg(n=3)のイリノテカン負荷ビーズグループにおける、肝臓腫瘍生細胞数の平均値及び中央値を示す。
【0101】
化学的発光アッセイを用い、コントロール動物及び試験動物における腫瘍生細胞数を測定した。図9は、60 mg/kgのイリノテカン用量で化学塞栓療法を受けたラットにおいて、腫瘍生細胞において2倍以上の低下が存在することを示す。15 mg/kgグループでは、腫瘍細胞数がより高くなっているようであるけれども、コントロールグループでは、ある数の腫瘍細胞が壊死的になっているのに対し、15 mg/kgグループでは、腫瘍の増殖速度は緩やかになり、その結果、壊死率が低くなり、それが、この時点では生腫瘍細胞数の上昇をもたらすことに注意しなければならない。
【0102】
30 mg/kgのイリノテカンによる追加実験によって、ラット肝臓における腫瘍細胞の完全な消失が示された(図10)。図10は、コントロールと30 mg/kgイリノテカングループにおける、肝臓の腫瘍細胞数の平均値及び中央値を示す。
【0103】
図11は、屠殺時における肝臓の所見を示す。コントロール肝臓(A)は、肝臓全体に渡るびまん性腫瘍の所見と肝臓容量の増大を示す。60(B)又は30(C)mg/kgのイリノテカンによる化学塞栓療法後における動物の肝臓は、見かけ上健康な所見を示し、検出可能な腫瘍も、肝臓容量の増加も無いことを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミクロスフェアの使用方法であって、
前記ミクロスフェアは、治療で使用される組成物の製造において、pH7で陰イオンに荷電する水に溶けない水膨潤性のポリマーと、前記ポリマーと解離可能な形状で静電的に結合する、陽イオンに荷電するカンプトテシン化合物とを含み、
前記組成物は、血管に導入され、
前記ミクロスフェアは、血管で塞栓を形成し、
形成された前記塞栓の粒子は、37℃の水と平衡した場合、100から150μmの範囲のサイズであり、
前記カンプトテシン化合物は、前記塞栓から放出されること、
を特徴とするミクロスフェア使用方法。
【請求項2】
前記治療が、固形癌に用いられることを特徴とする請求項1に記載の使用方法。
【請求項3】
前記カンプトテシン化合物が、好ましくは下記一般式I
【化1】

、及びその塩を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の使用方法。
(ここで、R1は、H、低級(C1-6)アルキルであって、ヒドロキシルアミン、アルコキシ、ハロゲン、アシル基もしくはアシルオキシ基、又はハロゲンによって任意に置換される低級アルキルである。
Rは塩素又はNR2R3である。ここで、R2及びR3は、同じであるか異なり、それぞれ、水素原子、置換もしくは非置換のC1-4アルキル基、又は、置換又は非置換の炭素環もしくはヘテロ炭素環であるか、あるいは、R2及びR3は、それらが付着する窒素原子と共に、任意に置換されるヘテロ環を形成する。ここで、前記環は、-O-、-S-、又は>NR4を含む。R4は、水素原子、置換もしくは非置換のC1-4アルキル基、又は、置換もしくは非置換のフェニル基である。
また、-O-CO-R-という基は、カンプトテシン化合物のA環の9、10、又は11位のいずれかに位置する炭素結合に結合する。)
【請求項4】
RはNR2R3であり、
R2及びR3は、前記窒素原子と共に、任意に置換されるヘテロ環を形成すること、
を特徴とする請求項3に記載の使用方法。
【請求項5】
Rは、
【化2】

であることを特徴とする請求項4に記載の使用方法。
【請求項6】
RCOOは10位で置換されることを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載の使用方法。
【請求項7】
R1がエチルであり、
mが1であること、
を特徴とする請求項3〜6のいずれかに記載の使用方法。
【請求項8】
前記粒子が、200から1200μmの範囲のサイズであることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の使用方法。
【請求項9】
前記ポリマーが、架橋結合したポリビニールアルコールであることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の使用方法。
【請求項10】
前記ポリマーが、1分子当たり1個以上のエチレン化した不飽和ペンダント基を有するポリビニールアルコールマクロマから、前記エチレン基のラジカル重合によって形成されることを特徴とする請求項9に記載の使用方法。
【請求項11】
前記PVAマクロマが、エチレン化した不飽和モノマーと共重合されることを特徴とする請求項10に記載の使用方法。
【請求項12】
前記モノマーは、下記一般式II
Y1BQ1 II
を有するイオン性モノマーを含有することを特徴とする請求項11に記載の使用方法。
(ここで、Y1は、
【化3】

、CH2=C(R10)-CH2-O-、CH2=C(R10)-CH2OC(O)-、CH2=C(R10)OC(O)-、CH2=C(R10)-O-、CH2=C(R10)CH2OC(O)N(R11)-、R12OOCCR10=CR10C(O)-O-、R10CH=CHC(O)O-、R10CH=C(COOR12)CH2-C(O)-O-、
【化4】

から選択される。ここで、R10は、水素又はC1-4アルキル基であり、R11は、水素又はC1-4アルキル基であり、R12は、水素又はC1-4アルキル基、又はBQ1である。ここで、B及びQ1は下記のように定義される。A1は、-O-又はNR11-であり、K1は、-(CH2)rOC(O)-、-(CH2)rC(O)O-、-(CH2)rOC(O)O-、-(CH2)rNR13-、-(CH2)rNR13C(O)-、-(CH2)rC(O)NR13-、-(CH2)rNR13C(O)O-、-(CH2)rOC(O)NR13-、-(CH2)rNR13C(O)NR13-の基であり(R13は同じであっても異なっていてもよい)、-(CH2)rO-、-(CH2)rSO3-であり、あるいは、任意に、原子価結合であるBと結合する。rは1から12であり、R13は水素又はC1-4アルキル基である。
Bは、直鎖又は分枝鎖アルカンジイル、オキサアルキレン、アルカンジイルオキサアルカンジイル、又はアルカンジイルオリゴ(オキサアルカンジイル)鎖で、任意に、又は、Q1又はY1が原子価結合Bに結合する末端炭素元素を含む場合に、1個以上のフッ素原子を含む重フッ化鎖を含む鎖である。
Q1は陰イオン基である。)
【請求項13】
Q1が、カルボン酸塩、炭酸塩、スルフォネート、硫酸塩、硝酸塩、フォスフォネート、又はリン酸塩の基であることを特徴とする請求項12に記載の使用方法。
【請求項14】
Y1が、CH2=CR10COA1-基であり、
R10が、H又はメチルであり、好ましくはメチルであり、
A1は好ましくはNHであり、
Bは、2から6個の炭素原子を有するアルカンジイル基であること、
を特徴とする請求項12又は13に記載の使用方法。
【請求項15】
投与される組成物が、画像剤を含み、好ましくは放射線不透過剤を含むことを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載の使用方法。
【請求項16】
ミクロスフェアを含む組成物であって、
前記ミクロスフェアは、pH7で陰イオンに荷電する水に溶けない水膨潤性のポリマーと、前記ポリマーと解離可能な形状で静電的に結合する、陽イオンに荷電するカンプトテシン化合物とを含み、
前記ミクロスフェアは、室温で水と平衡した場合、100μm以上の直径であること、
を特徴とする組成物。
【請求項17】
前記カンプトテシン化合物が、下記一般式I
【化5】

、及びその塩を有することを特徴とする請求項16に記載の組成物。
(ここで、R1は、H、低級(C1-6)アルキルであって、ヒドロキシルアミン、アルコキシ、ハロゲン、アシル基もしくはアシルオキシ基、又はハロゲンによって任意に置換される低級アルキルである。
Rは塩素又はNR2R3である。ここで、R2及びR3は、同じであるか異なり、それぞれ、水素原子、置換もしくは非置換のC1-4アルキル基、又は、置換もしくは非置換の炭素環もしくはヘテロ炭素環であるか、あるいは、R2及びR3は、それらが付着する窒素原子と共に、任意に置換されるヘテロ環を形成する。ここで、前記環は、-O-、-S-、又は>NR4を含む。R4は、水素原子、置換もしくは非置換のC1-4アルキル基、又は、置換もしくは非置換のフェニル基である。
また、-O-CO-R-という基は、カンプトテシン化合物のA環の9、10、又は11位のいずれかに位置する炭素結合に結合する。)
【請求項18】
RはNR2R3であり、
R2及びR3は、前記窒素原子と共に、任意に置換されるヘテロ環を形成すること、
を特徴とする請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
Rは、
【化6】

であることを特徴とする請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
RCOOは10位で置換されることを特徴とする請求項17〜19のいずれかに記載の組成物。
【請求項21】
R1がエチルであり、
mが1であること、
を特徴とする請求項17〜20のいずれかに記載の組成物。
【請求項22】
前記ポリマーが、架橋結合したポリビニールアルコールであることを特徴とする請求項17〜21のいずれかに記載の組成物。
【請求項23】
前記ポリマーが、37℃で水と平衡した場合、100から1500μmの範囲のサイズであり、より好ましくは200から1200μmの範囲のサイズであることを特徴とする請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
前記PVAマクロマが、エチレン化した不飽和モノマーと共重合されることを特徴とする請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
前記モノマーは、下記一般式II
Y1BQ1 II
を有するイオン性モノマーを含有することを特徴とする請求項24に記載の組成物。
(ここで、Y1は、
【化7】

、CH2=C(R10)-CH2-O-、CH2=C(R10)-CH2OC(O)-、CH2=C(R10)OC(O)-、CH2=C(R10)-O-、CH2=C(R10)CH2OC(O)N(R11)-、R12OOCCR10=CR10C(O)-O-、R10CH=CHC(O)O-、R10CH=C(COOR12)CH2-C(O)-O-、
【化8】

から選択される。ここで、R10は、水素又はC1-4アルキル基であり、R11は、水素又はC1-4アルキル基であり、R12は、水素又はC1-4アルキル基、又はBQ1である。ここで、B及びQ1は下記のように定義される。A1は、-O-又はNR11-であり、K1は、-(CH2)rOC(O)-、-(CH2)rC(O)O-、-(CH2)rOC(O)O-、-(CH2)rNR13-、-(CH2)rNR13C(O)-、-(CH2)rC(O)NR13-、-(CH2)rNR13C(O)O-、-(CH2)rOC(O)NR13-、-(CH2)rNR13C(O)NR13-の基であり(R13は同じであっても異なっていてもよい)、-(CH2)rO-、-(CH2)rSO3-であり、あるいは、任意に、原子価結合であるBと結合する。rは1から12であり、R13は水素又はC1-4アルキル基である。
Bは、直鎖又は分枝鎖アルカンジイル、オキサアルキレン、アルカンジイルオキサアルカンジイル、又はアルカンジイルオリゴ(オキサアルカンジイル)鎖で、任意に、又は、Q1又はY1が原子価結合Bに結合する末端炭素元素を含む場合に、1個以上のフッ素原子を含む重フッ化鎖を含む鎖である。
Q1は陰イオン基である。)
【請求項26】
Q1が、カルボン酸塩、炭酸塩、スルフォネート、硫酸塩、硝酸塩、フォスフォネート、又はリン酸塩の基であることを特徴とする請求項25に記載の組成物。
【請求項27】
Y1が、CH2=CR10COA1-基であり、
R10が、H又はメチルであり、好ましくはメチルであり、
A1は好ましくはNHであり、
Bは、2から6個の炭素原子を有するアルカンジイル基であること、
を特徴とする請求項25又は26に記載の組成物。
【請求項28】
液体懸濁剤、好ましくは、薬学的に受容可能な液体、より好ましくは水性液体、最も好ましくは水を含有することを特徴とする請求項17〜27のいずれかに記載の組成物。
【請求項29】
画像剤、好ましくは放射線不透過画像剤を含むことを特徴とする請求項17〜28のいずれかに記載の組成物。
【請求項30】
実質的に乾燥した微粒子型、好ましくは凍結乾燥形状であることを特徴とする請求項17〜27に記載の組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図11】
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【図5】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−236840(P2012−236840A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−167295(P2012−167295)
【出願日】平成24年7月27日(2012.7.27)
【分割の表示】特願2007−529390(P2007−529390)の分割
【原出願日】平成17年9月6日(2005.9.6)
【出願人】(303039785)バイオコンパティブルズ ユーケー リミテッド (23)
【Fターム(参考)】