説明

塞栓治療のための本質的に放射線不透過性であるポリマー生産物

本願発明の好ましい実施形態は、本質的に放射線不透過性、生体適合性および生体吸収性であるポリマー粒子ならびに体の内腔に塞栓を形成するための該粒子の使用方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、35U.S.C.§119(e)に基づいて、2004年8月13日に出願された米国仮出願60/601、677号および2003年9月25日に出願された米国仮出願60/505、951号の優先権を主張している。両出願の開示は、参考で全体を本明細書中に引用する。
発明の分野
本願発明の好ましい実施形態は、本質的に放射線不透過性、生体適合性および生体吸収性のあるポリマー粒子ならびに体の内腔に塞栓を形成するための該粒子の使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
塞栓治療デバイスおよび薬剤には、例えば、出血を制御し、外科的治療の前または間の失血を防止し、または、腫瘍および血管奇形(例えば、子宮筋腫、腫瘍(すなわち、化学塞栓術)、出血(例えば、出血を伴う外傷中)ならびに、動静脈奇形、動静脈瘻および動静脈瘤)への血液の供給を制限または遮断するために用いられる、金属性の塞栓コイル、ゲルフォーム、接着剤、油、アルコールおよび粒子ポリマーの塞栓薬が含まれる。塞栓コイルおよび粒子が、最も一般的に用いられる。
【0003】
従来の塞栓コイルは、通常、血管カテーテルによるデリバリー時の線形構造に制限されるコイル巻きされた金属ストランドである。それらは、幾何学的に予め形成した、”コイル巻きされた”状態を有し、デリバリーカテーテルから出たときに初期の状態に回復する。金属のコイルを使った、異なった設計および手続的なバリエーションは、多数あるが(例えば、米国特許第6,358,228号および第6,117,157号参照)、金属の塞栓コイルは、最初のレスポンス(血流中の物理的障害の血液動態反応に起因する血栓)および、いくつかのケースにおける追加的レスポンス(コイル材料に対し体が生物的反応を起こすことに起因する血栓)を引き起こすように構築され、ただし、血流の遮断の治療目的は、金属のコイル中および周辺で血栓が形成されることにより達成される。
【0004】
金属の塞栓コイルは、本質的に放射線不透過性および形状記憶(すなわち、配置時に予め形成したコイル巻きした状態に戻る)のようないくつかの有利な物理機械的性質を有しているにもかかわらず、慢性的な組織へのダメージ、組織過形成、血管閉塞および配置された部位の組織への永久的な留置を含んだ金属塞栓コイルの使用に関連する多くの不利益がある。
【0005】
非金属の代替品には、液体および粒子の塞栓薬が含まれる。しかしながら、これらにはまた重大な不利益が伴う。液体の塞栓剤は、一般的に促進的と反応的なシステムに分けられる。前者の場合、ポリマーは、血管デリバリー時に消失して、該ポリマーをその場所に沈殿させる生物学的に許容な溶媒に溶媒和される(例えば、米国特許第5,851,508号参照)。このような薬剤は、十分に早く沈殿しないので、固化しない(粘着性のある)ポリマー塞栓を移動させ、意図しない組織に、血管塞栓を起こさせる。これは、特に動静脈の先天性異常に関係があるもので、ただし、その材料が静脈系に簡単に入り込み、深刻な肺塞栓を引き起こしうる。促進的なポリマーをデリバリーするために、ジメチルスルホキシドのような溶媒を使用すると、もう一つの不利益がある。
【0006】
反応的な塞栓剤は、主に、シアノアクリレート化学系のバリエーションがある。食品医薬品局によって承認されたシステムの例として、CordisからのTRUFILL(登録商標)シアノアクリレート塞栓がある。ここで、液体の単量体および/またはオリゴマーのシアノアクリレート混合物が、カテーテルを通じて血管の場所に取り込まれ、この際、血液中の有効水によって重合が始まってしまう。不幸なことに、仮にデリバリー中のドウェル時間が大きすぎると、シアノアクリレートの粘着性により、カテーテルの先端と組織が結合し、深刻な影響を伴いうる。ホルムアルデヒド、これらの材料からの生体吸収性のある分解産物が有毒化学薬品を含むこと第二の懸念要素である。
【0007】
粒子治療による塞栓は、様々な大きさ、形状および組成によって構成されている。Schwarz et al.、 J. Biomater.、 25(21)、 5209−15 (2004)では、分解可能なヒドロキシ−エチル−アクリルレート(HEA)微小球が合成され、動物実験がされたことが開示されたが、実用化はされていない。典型的に、臨床用途で使用される粒子は、放射線不透過造影剤中で懸濁され、シリンジ注射を通じた血管カテーテルを通じてデリバリーされる。3つの最も一般的な粒子の塞栓薬として、現在のところ、GELFOAM(登録商標)(Pharmacia Upjohnの吸収可能なゼラチン粒子)、ポリビニルアルコール(PVA)の発泡体およびトリスアクリルゼラチンミクロスフェア(Biosphere Medical製のEMBOSPHERE(登録商標))が使われている。これらの塞栓は、金属のコイルとは異なって、本質的に放射線不透過性である。確かに、位置の目視化は、塞栓処置中、蛍光透視鏡のフロー分析からの推論に依存する。いったん体内に入ると、直接的に実際の粒子を見ることはできない。また、PVAおよびEMBOSPHEREの場合、患者の生涯を通じて、その物質が存在し続ける可能性があるため、生物的な拒否反応の危険性が増加する。GELFOAM(登録商標)の場合は、その動物由来医薬品の組織拒絶反応の可能性がある。
【0008】
粒子塞栓薬は、例えば従来の用途などで、血液の供給を制限または遮断するために使ってもよく、この用途は、例えば子宮筋腫および癌性の腫瘍(すなわち、化学塞栓術)出血(すなわち、出血を伴う外傷)に対するなどの腫瘍や血管の奇形、ならびに、動静脈奇形、動静脈瘻および動脈瘤、の治療などの、ガイドカテーテルを通じたデリバリーを含んでいる。
【0009】
生体適合性および生体吸収性のある粒子塞栓剤は、一時的であるという潜在性のある利益を有する。粒子の異物が経時的に有効に除去されるため、その組織をその影響されていない状態に戻しうる。
【0010】
放射線不透過性の粒子塞栓剤は、塞栓治療の間および後に目視できるという潜在的かつ特徴的な利益を有する。治療の間に粒子剤が目視できることにより、内科医は該粒子剤を正確に標的とする血管または組織へデリバリーすることができる。つまり、内科医はその粒子を意図していない場所に存在させないことを確かなものとすることができる。この制御レベルは、塞栓治療の安全性および効果を格段に上げうる。いったん放射線不透過性の粒子が埋め込まれると、追加的な治療は、インターベンショナルではない方法、例えば単純な放射線検査に制限してもよい。例えば、腫瘍の場合、放射線不透過性が塞栓したセクションが、腫瘍の質量および体積が経時的に減少するにつれて収束を示すので、そのサイズが追跡記録されうる。
【0011】
前記のとおり、今日では、生体適合性のある塞栓の粒子は市場で存在する。確かに、生体吸収性および生体適合性のある塞栓剤は、GELFOAM(商標登録)形式で利用可能である。しかしながら、前記のとおり、この物質の動物由来に起因する潜在的な拒絶反応が存在する。さらに、GELFOAM(商標登録)は、この用途では、食品医薬品局によって認可されたデバイスであるというわけではない。
【0012】
より生体適合性のある分解可能な粒子塞栓剤を製造することが企てられている。同様に、潜在的な実用化のために、治験的な放射線不透過性の塞栓剤が、製造され、動物実験されている。すべての場合において、ヨード造影剤または金属もしくはその塩(タングステン、硫酸バリウム等)のような外部物質が加えられなければならないか、または、本質的な放射線不透過性は生体吸収性のない組成物のハロゲン化によって付与されなければならない。
【0013】
しかしながら、これまでに、生体適合性および生体吸収性がある本質的な放射線不透過性の塞栓治療のための粒子は、着想も企てもされていない。従って、同じ場所を継続的に治療しうる一方で、現存する前記不利益を回避または軽減する粒子の塞栓剤を着想するための、塞栓治療用の、生体適合性および生体吸収性がある本質的な放射線不透過性の粒子を発展させるためのまだ対処されていない重要なニーズが残っている。
【0014】
それ故に、生体適合性および生体吸収性な放射線不透過性の塞栓剤を発展させるためのまだ対処されていない重要なニーズが残っており、これらの薬剤を作るために使われるポリマーの物質は、金属の所望の性質(例えば放射線不透過性)を有する一方で、金属コイルまたは液体および粒子の塞栓の代替品の使用に関係する前記不利益を回避または軽減する。
【発明の開示】
【0015】
発明の要約
本発明の好ましい実施形態に従って、塞栓治療品は開示される。その塞栓治療品は、生体適合性および生体吸収性があるポリマーならびに必要であれば、その立体異性体を含む粒剤を含み、ただし、そのポリマーは、塞栓生成物が本質的な放射線不透過性にするための十分に多くのハロゲン原子を含む。いくつかの好ましい実施形態において、ポリマーは、ホモポリマー、ヘテロポリマーまたはその混合物を含む。
【0016】
塞栓治療品の好ましい実施形態中の一つに、そのポリマーは式I:
【0017】
【化1】

【0018】
に記載した1以上のユニットを含み、
ただし、XはIまたはBrであり、Y1およびYは、独立的に、0、1、2、3または4であってもよく、ただし、fは、0以上1未満であり、gは、0以上1以下であり、f+gは、0以上1以下であり、
Aは、下記の式:
【0019】
【化2】

【0020】
のいずれかであり、
ただし、Rは、独立的に、水素または酸素および窒素から選択される0〜5個のヘテロ原子を含む炭素原子が1〜およそ18個の範囲のアルキル基であり、
ただし、Rは、飽和もしくは不飽和、または、置換した若しくは置換していない、最大18個くらいの炭素原子ならびに酸素および窒素から選択される0〜8個のヘテロ原子を含むアルキル、アリール、またはアルキルアリール基であり、
ただし、Bは、脂肪族の直鎖または分岐鎖のジオールまたはポリ(アルキレングリコール)ユニットであり、
ただし、RおよびRは、以下の式:
【0021】
【化3】

【0022】
から独立的に、選択されてもよく
ただし、Rは、CH=CH−、−CHJ−CHJ−および(−CH−)aからなる群から選択され、ただし、Rは、−CH=CH−、−CHJ−CHJ−および(−CH−)nからなる群から選択され、ただし、aおよびnは、独立的に、0以上8以下であり、JおよびJは、独立的に、BrまたはIであり、Rに対して、Qは、遊離のカルボキシル基を含み、各Rに対して、Qは、独立的に、水素ならびにカルボン酸エステルおよびアミドからなる群から選択され、ただし、前記エステルおよびアミドは、最大18個の炭素原子を有するアルキルおよびアルキルアリール基を有するエステルおよびアミドならびに生物学的および薬理学的に活性のあるエステルおよびアミド、からなる群から選択される。
【0023】
式Iの実施形態のバリエーションにおいて、RおよびRは、下記の群:
【0024】
【化4】

【0025】
から選択され、
ただし、それぞれのRに対するRは、独立的に、酸素および窒素から選択される0〜5個のヘテロ原子を含む炭素原子が1〜およそ18個の範囲のアルキル基であり、それぞれのRに対するRは、水素であり、
ただし、jおよびmは、独立的に、1以上8以下の整数であり、
ただし、Zは、独立的に、酸素または硫黄である。
【0026】
もう一つの、塞栓治療品の好ましい実施形態において、そのポリマーは、式II:
【0027】
【化5】

【0028】
に記載の1以上のユニットを含み、
ただし、それぞれのポリマーユニットに対するXは、独立的に、臭素またはヨウ素であり、Yは1以上4以下であり、Rは、最大18個の炭素原子ならびに酸素および窒素から選択される0〜8個のヘテロ原子を伴う、アルキル、アリールまたはアルキルアリール基である。
【0029】
式IIのポリマーのバリエーションにおいて、すべてのX基は、オルト−配向性でもよく、Yは、1または2でもよい。もう一つのバリエーションにおいては、Rはアルキル基である。
【0030】
もう一つのバリエーションにおいては、Rは、以下の構造:
【0031】
【化6】

【0032】
を有し、
ただし、それぞれのユニットに対するRは、独立的に、最大18個の炭素原子ならびに酸素および窒素から選択される0〜8個のヘテロ原子を含むアルキル、アリールまたはアルキルアリール基であり、RおよびRは、それぞれ独立的に、水素ならびに最大18個の炭素原子と、酸素および窒素から選択される0〜8個のヘテロ原子と、を有するアルキル基から選択される。
【0033】
式IIのもう一つのRのバリエーションにおいて、少なくとも一つのユニットに対するRは、ペンダントCOOR基を含み、ただし、それが存在しているときの、それぞれのユニットに対するサブグループRは、独立的に、水素または酸素および窒素から選択される0〜5個のヘテロ原子を含む炭素原子1〜およそ18個の範囲のアルキル基である。
【0034】
式IIにおけるRのもう一つのバリエーションにおいて、Rは、独立的に、以下の構造:
【0035】
【化7】

【0036】
を有し、
ただし、Rは、−CH=CH−、−CHJ−CHJ−および(−CH−)aからなる群から選択され、ただし、Rは、−CH=CH−、−CHJ−CHJ−および(−CH−)nからなる群から選択され、ただし、aおよびnは、独立的に、0以上8以下であり;ならびにJおよびJは、独立的に、臭素またはヨウ素であり;ならびにQは、水素、遊離のカルボキシル基ならびにカルボン酸エステルおよびアミドからなる群から選択され、ただし、前記エステルおよびアミドは、最大18個の炭素原子を有するアルキルおよびアルキルアリール基を有するエステルおよびアミドならびに生物学的および薬理学的に活性のあるエステルおよびアミドからなる群から選択される。
【0037】
式IIにおけるRのバリエーションにおいて、Rは、独立的に、以下の構造:
【0038】
【化8】

【0039】
を有し、
ただし、R5aは、最大18個の炭素原子ならびに酸素および窒素から選択される0〜5個のヘテロ原子を含むアルキル基であり、ただし、mは、1以上8以下の整数であり;ならびに、Rは、独立的に、水素または酸素および窒素から選択される0〜5個のヘテロ原子を含む炭素原子1〜およそ18個の範囲のアルキル基である。
【0040】
式IIにおけるRのバリエーションにおいて、それぞれのRは、独立的に、以下の構造:
【0041】
【化9】

【0042】
を有し、
ただし、jおよびmは、独立的に、1以上8以下の整数であり、Rは、独立的に、水素または酸素および窒素から選択される0〜5個のヘテロ原子を含む炭素原子1〜およそ18個の範囲のアルキル基である。
【0043】
本発明の塞栓治療品のいくつかの実施形態において、そのポリマーは、ポリ(C−Cアルキレングリコール)と共重合してもよい。好ましくは、ポリ(C−Cアルキレングリコール)が、およそ75wt%未満の重量分率で、存在することである。より好ましくは、ポリ(アルキレングリコール)が、ポリエチルグリコールであることである。
【0044】
本明細書中で開示しているポリマーのもう一つのバリエーションにおいて、前記ポリマーユニットのおよそ0.01以上0.99%以下は、ペンダント−COOH基を含む。
【0045】
式IIのもう一つのバリエーションにおいて、Rは、アリールまたはアルキルアリール基でもよい。好ましくは、Rのアリールまたはアルキルアリール基は、前記ポリマーユニットがジフェノールであるように、選択的される。
【0046】
塞栓治療品のもう一つの好ましい実施形態において、前記ポリマーは式III:
【0047】
【化10】

【0048】
に記載の1以上のユニットを含み、
ただし、それぞれのポリマーユニットに対するXは、独立的に、臭素またはヨウ素であり、Y1およびY2は、それぞれ独立的に、0以上4以下であり、それぞれのユニットに対するY1+Y2は、独立的に、1以上8以下であり、ならびにそれぞれのポリマーユニットに対するRは、独立的に、最大18個の炭素原子ならびに酸素および窒素から選択された0〜8個のヘテロ原子を含む、アルキル、アリール、またはアルキルアリール基である。
【0049】
式IIIの好ましいバリエーションにおいて、すべてのX基はオルト−配向性である。好ましくは、Y1およびY2は独立的に、2以下で、Y1+Y2は、1、2、3または4である。
【0050】
式IIIのもう一つのバリエーションにおいて、少なくとも一つのユニットに対するRがペンダントCOOR基を含んでもよく、ただし、COOR基が存在しているそれぞれのユニットに対するサブグループRは、独立的に、水素または酸素および窒素から選択される0〜5個のヘテロ原子を含む炭素原子1〜およそ18個の範囲のアルキル基である。
【0051】
式IIIのもう一つのバリエーションにおいて、Rは、独立的に、以下の構造:
【0052】
【化11】

【0053】
を有し、
ただし、Rは、−CH=CH−、−CHJ−CHJ−および(−CH−)aからなる群から選択され、Rは、−CH=CH−、−CHJ−CHJ−および(−CH−)n、からなる群から選択され、ただし、aおよびnは、独立的に、0以上8以下であり;ならびにJおよびJは、独立的に、臭素またはヨウ素であり;ならびにQは、水素、遊離のカルボキシル基ならびにカルボン酸エステルおよびアミドからなる群から選択され、ただし、前記エステルおよびアミドは、最大18個の炭素原子を有するアルキルおよびアルキルアリール基を有するエステルおよびアミドならびに生物学的および薬理学的に活性のあるエステルおよびアミドからなる群から選択される。
【0054】
式IIIのもう一つのバリエーションにおいて、Rは、独立的に、以下の構造:
【0055】
【化12】

【0056】
を有し、
ただし、R5aは、最大18個の炭素原子ならびに酸素および窒素から選択される0〜5個のヘテロ原子を含むアルキル基であり、ただし、mは1以上8以下の整数で、Rは、独立的に、水素または、酸素および窒素から選択される0〜5個のヘテロ原子を含む炭素原子1〜およそ18個の範囲のアルキル基である。
【0057】
式IIIのもう一つのバリエーションにおいて、Rは、独立的に、以下の構造:
【0058】
【化13】

【0059】
を有し、
ただし、jおよびmは、独立的に、1以上8以下の整数であり、Rは、独立的に、水素または酸素および窒素から選択される0〜5個のヘテロ原子を含む炭素原子1からおよそ18個の範囲のアルキル基である。
【0060】
式IIIの好ましいバリエーションにおいて、ポリマーユニットのおよそ0.01〜およそ0.09%は、ペンダントCOOH基を含む。好ましくは、該ポリマーが、75wt%以下のポリ(C−Cアルキレングリコール)と共重合することである。より好ましくは、ポリ(C−Cアルキレングリコール)は、ポリ(エチレングリコール)である。
【0061】
もう一つの塞栓治療品の好ましい実施形態において、このポリマーは式IV:
【0062】
【化14】

【0063】
に記載の1以上のユニットを含み、
ただし、それぞれのXは、独立的に、ヨウ素または臭素であり、それぞれのジフェノールユニットに対するY1およびY2は、独立的に、0以上4以下であり、それぞれのジフェノールユニットに対するY1+Y2は、1以上8以下であり、
RおよびRのそれぞれは、独立的に、最大18個の炭素原子ならびに酸素および窒素から選択される0〜8個のヘテロ原子を含むアルキル、アリールまたはアルキルアリール基であり、ただし、Rは、ペンダントカルボキシル基を更に含み、ただし、Aは以下の式:
【0064】
【化15】

【0065】
の何れかであり、
ただし、Rは、飽和もしくは不飽和、または、置換したもしくは置換していない、およそ最大18個の炭素原子および酸素および窒素から選択される0〜8個のヘテロ原子を含むアルキル、アリール、またはアルキルアリール基であり、
Pは、およそ75%以下の重量分率を有するポリ(C−Cアルキレングリコール)ユニットであり、fは、0以上1未満であり、gは、0以上1以下であり、f+gは、0以上1以下である。
【0066】
式IVの好ましいバリエーションにおいて、Pは、およそ50%以下の重量分率で存在するポリ(エチレングリコール)であり、より好ましくは、およそ30%以下の重量分率でポリ(エチレングリコール)が存在することである。
【0067】
式IVの他の好ましいバリエーションにおいて、RおよびRの両方は、ペンダントCOOR基を含み、ただし、Rに対するサブグループRは、独立的に、酸素および窒素から選択される0〜5個のヘテロ原子を含む炭素原子1〜およそ18個の範囲のアルキル基であり、ただし、Rに対するサブグループRは、水素原子である。
【0068】
式IVの他のバリエーションにおいて、RおよびRのそれぞれは、独立的に、以下の構造:
【0069】
【化16】

【0070】
を有し、
ただし、Rは、−CH=CH−、−CHJ−CHJ−および(−CH−)a、からなる群から選択され、ただし、Rは、−CH=CH−、−CHJ−CHJ−および(−CH−)n、からなる群から選択され、ただし、aおよびnは、独立的に、0以上8以下の整数であり、JおよびJは、独立的に、臭素またはヨウ素であり、Rに対するQは、遊離のカルボキシル基を含み、Rに対するQは、独立的に、水素ならびにカルボン酸エステルおよびアミドからなる群から選択され、ただし、前記エステルおよびアミドは、生物学的および薬理学的に活性のある化合物の、最大18個の炭素原子ならびエステルおよびアミドを含むアルキルおよびアルキルアリール基のエステルおよびアミド基のからなる群から選択される。
【0071】
式IVの他の好ましいバリエーションにおいて、それぞれのRは、独立的に、以下の構造:
【0072】
【化17】

【0073】
を有し、
ただし、R5aは、最大18個の炭素原子および酸素および窒素から選択される0〜5個のヘテロ原子を含むアルキル基であり、ただし、mは、1以上8以下の整数であり、Rに対するRは、水素である。
【0074】
式IVの好ましい他のバリエーションにおいて、それぞれのRは、独立的に、以下の構造:
【0075】
【化18】

【0076】
を有し、
ただし、jおよびmは、独立的に、1以上8以下の整数であり、それぞれのRに対するRは、水素である。好ましくは、Rに対するそれぞれのカルボン酸エステルまたはアミドは、エチル、ブチルエステルまたはアミドである。式IVの他の好ましいバリエーションにおいて、前記ポリマーのAは、−C(=O)−基である。
【0077】
式IIIのもう一つの好ましいバリエーションにおいて、前記ポリマーのAは、以下の構造:
【0078】
【化19】

【0079】
を有し、
ただし、Rは、C−C12アルキル、C−C14アリールまたはC-C14アルキルアリールであり、好ましくは、Rは、Aが、天然に存在する代謝産物であるジカルボン酸の部分である選択される。より好ましくは、Rが、-CH−C(=O)−、−CH−CH−C(=O)−、−CH=CH−および(−CH−)から選択される部分であり、ただし、zは、1以上8以下の整数である。
【0080】
式IVの他の好ましいバリエーションにおいて、すべてのX基は、オルト−配向性である。好ましくは、Y1およびY2は、独立的に、2以下であり、Y1+Y2は1、2、3または4である。
【0081】
他の式IVの好ましいバリエーションにおいて、すべてのハロゲンがヨウ素である。
【0082】
式IVの他の好ましいバリエーションにおいて、fは、0.1超およそ0.3まである。好ましくは、fは、0.2超およそ0.25までである。
【0083】
式IVの他の好ましいバリエーションにおいて、前記ポリ(C−Cアルキレングリコール)の重量分率は、およそ25wt%未満である。
【0084】
式IVの他の好ましいバリエーションにおいて、gは、0.1超およそ0.35までである。より好ましくは、gは、0.2超およそ0.3まである。
【0085】
塞栓治療品のもう一つの好ましい実施形態において、該ポリマーは式V:
【0086】
【化20】

【0087】
の1以上のユニットを含み、
ただし、それぞれのXは、独立的に、ヨウ素または臭素であり、それぞれのyは、独立的に、0以上4以下であり、ただし、環置換のヨウ素および臭素の総数は、1以上8以下であり、RおよびRのそれぞれは、独立的に、最大18個の炭素原子ならびに酸素および窒素から選択される0〜8個のヘテロ原子を含むアルキル、アリールまたはアルキルアリール基であり、Rは、さらにペンダントカルボキシル基を含み、
ただし、Aは、以下の式:
【0088】
【化21】

【0089】
の何れかであり、
ただし、Rは、飽和もしくは不飽和、または、置換した若しくは置換していない、最大18個くらいの炭素原子ならびに酸素および窒素から選択される0〜5個のヘテロ原子を含むアルキル、アリールおよびアルキルアリール基であり、
Pは、およそ75wt%未満の重量分率で存在するポリ(C−Cアルキレングリコール)であり、fは、0超1未満であり、gは、0以上1以下であり、f+gは、0以上1以下である。
【0090】
好ましくは、Pは、ポリ(エチルグリコール)ユニットである。
【0091】
式Vの好ましいバリエーションにおいて、前記ポリマーのRおよびRのそれぞれは、ペンダント−COOR基を含み、ただし、それぞれのRに対する、それぞれのサブグループRは、独立的に、酸素および窒素からなる群から選択される0〜5個のヘテロ原子を含む炭素原子1〜およそ18個の範囲のアルキル基であり、それぞれのRに対する、それぞれのサブグループRは、水素原子である。
【0092】
式Vの他の好ましいバリエーションにおいて、前記ポリマーのRおよびRのそれぞれは、以下の式:
【0093】
【化22】

【0094】
であり、
ただし、R5aは、最大18個の炭素原子ならびに酸素および窒素から選択されるヘテロ原子の0〜5個のヘテロ原子を含むアルキル基であり、ただし、mは、1以上8以下の整数であり、それぞれのRに対するそれぞれのサブグループRは水素であり、かつ、それぞれのRに対するそれぞれのサブグループRは、独立的に、酸素および窒素から選択される炭素原子0〜5個のヘテロ原子を含む炭素原子1〜およそ18個の範囲のアルキル基であり、それぞれのRに対するそれぞれのサブグループRは、水素原子である。
【0095】
式Vの他の好ましいバリエーションにおいて、先述したポリマーのRに対するそれぞれのRサブグループは、エチルまたはブチルである。
【0096】
式Vの他の好ましいバリエーションにおいて、Aは、−C(=O)−基である。または、Aは、以下の式:
【0097】
【化23】

【0098】
でもよく、
ただし、Rは、C−C12アルキル、C−C14アリールまたはC−C14アルキルアリールである。
【0099】
式Vの他の好ましいバリエーションにおいて、Rは、Aが、天然に存在する代謝産物のジカルボン酸の部分であるように選択される。
【0100】
式Vの他の好ましいバリエーションにおいて、Rは、-CH−C(=O)−、−CH−CH−C(=O)−、−CH=CH−および(−CH−)zからなる群から選択される部分であり、ただし、zは、1以上8以下の整数である。
【0101】
式Vの他の好ましいバリエーションにおいて、すべてのX基は、オルト−配向性であり、yは、2または3である。
【0102】
式Vの他の好ましいバリエーションにおいて、すべてのX基がヨウ素である。
【0103】
式Vの他の好ましいバリエーションにおいて、fはおよそ0.1超およそ0.3までである。
【0104】
式Vの他の好ましいバリエーションにおいて、gは、およそ0.1超およそ0.35までである。
【0105】
本発明の好ましい塞栓治療品の実施形態において、粒剤は、注射による投与用に構成されてもよい。その粒剤は、球形粒子、幾何学的に不規則な粒子、多孔質粒子、中空粒子、固体粒子、および、およそ10ミクロン〜およそ5000ミクロンの範囲の排除直径を有する粒子、ならびに、これらの組み合わせからなる群から選択されるポリマー粒子を含んでもよい。
【0106】
または、この粒剤は、ポリマーのヒドロゲル組成物を含んでもよい。
【0107】
塞栓治療品の好ましい実施形態において、そのポリマーは、有効量の少なくとも一つの治療薬をさらに含んでもよい。好ましくは、少なくとも一つの治療薬は、化学療法薬、非ステロイド性抗炎症薬またはステロイド性抗炎症薬からなる群から選択される。
【0108】
塞栓治療品の好ましい実施形態において、このポリマーは、磁気共鳴促進剤の有効量をさらに含んでもよい。
【0109】
塞栓治療品の好ましい実施形態において、そのポリマーは、ヨウ素、臭素、バリウム、ビスマス、金、プラチナ、タンタル、タングステンおよびそれらの混合物からなる群から選択される、放射線不透過性の薬剤の有効量をさらに含んでもよい。
【0110】
塞栓治療品のもう一つの好ましい実施形態において、そのポリマーは、選択された生物学的反応を促進するために適応された、生体適合性および生体吸収性のあるポリマーコーティングをさらに含んでもよい。好ましくは、この生物学的反応は、血栓症、細胞付着、細胞増殖、炎症細胞の誘発およびマトリクスたんぱく質の沈着、血栓症の阻害、細胞付着の阻害、細胞増殖の阻害、炎症細胞の阻害およびマトリクスたんぱく質の沈着の阻害の阻害またはそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0111】
塞栓治療性生物のもう一つの好ましい実施形態において、式I:
【0112】
【化24】

【0113】
を有する粒剤を含み、
ただし、Xは、ヨウ素または臭素であり、Y1およびY2は、独立的に、0、1、2、3または4でもよく、
ただし、fは、0以上1未満であり、gは、0以上1以下であり、f+gは、0以上1以下であり、
ただし、RおよびRは、独立的に、以下の式:
【0114】
【化25】

【0115】
から選択されてもよく、
ただし、Rに対するRは、水素であり、Rに対するRは、長鎖脂肪族炭化水素であり、
ただし、jおよびmは、独立的に、1以上8以下の整数であり、
ただし、Zは、独立的に、酸素または硫黄であり、
ただし、Aは、以下の式:
【0116】
【化26】

【0117】
からなる群から選択され、
ただし、Rは、飽和もしくは不飽和、または、置換した若しくは置換していない、最大18個くらいの炭素原子および酸素および窒素から選択される0〜8個のヘテロ原子を含むアルキル、アリール、アルキルアリール基であり、
ただし、Bは脂肪族の線形または分岐ジオールまたはポリ(アルキレングリコール)ユニットである。
【0118】
体の内腔に塞栓を形成させる方法は、本発明の好ましい実施形態と一致して開示される。この方法は、体の内腔に、生体適合性および生体吸収性のあるポリマーを含んだ粒剤を含む塞栓治療品の有効量を取り込む段階を含み、ただし、このポリマーは、塞栓治療品を本質的な放射線不透過性にするための、相当数のハロゲン原子を含む。
【0119】
好ましくは、前記取り込みが、カテーテルまたはシリンジを通じて、注射によって達成される。
【0120】
本発明の好ましいもう一つの実施形態において、静脈瘤および/またはクモ状静脈の治療方法が開示されている。この方法は、前記静脈瘤および/またはクモ状静脈中に、生体適合性および生体吸収性のあるポリマーを含んだ粒剤を含む塞栓治療品の有効量を投与することを含む。ただし、このポリマーは、塞栓治療品を本質的に放射線不透過性にするための、十分な量のハロゲン原子を含む。
【0121】
好ましくは、投与の段階は、カテーテルまたはシリンジを通した注射によって達成される。
【0122】
組織への治療薬の局在的なデリバリーを強化する方法はまた、本発明の好ましい実施形態と一致して開示されている。この方法は、その組織に関係している血管に、前記組織からの血流を減少させるために十分な量の塞栓治療品を投与する段階を含み、治療薬を、治療薬の局在的なデリバリーが強くなるような塞栓治療品と分けて投与、または、組み合わせて投与する段階を含み、最初に投与された塞栓治療品が、前記血管へ再アクセスするために十分に分解された後、塞栓治療品および治療薬の投与の段階を繰り返す段階を含む。この方法中で使用される塞栓治療品は、生体適合性および生体吸収性のあるポリマーを含んだ粒剤を含み、ただし、このポリマーは、この塞栓治療品を、本質的な放射線不透過性にするための十分な数のハロゲン原子を含む。
【0123】
体の内腔を再治療する方法はまた、開示されている。この方法は、一定期間組織から血流を減少させるのに十分な量の、生体適合性および生体吸収性のあるポリマーの塞栓治療品を、前記組織に関連のある血管の領域に投与する段階と、再治療される、または、再診断の他の形式を許容するように、前記組織に関連する、ほぼ同じ血管の領域に、塞栓治療品のいずれかを、後に投与する段階と、を含む。
【0124】
本発明の塞栓治療品の一つの実施形態において、このポリマーは、天然に存在しない生体吸収性および本質的に放射線不透過性であるポリマーを含む。もう一つのバリエーションにおいて、このポリマーは、少なくとも一つのアミノ酸を含む生体吸収性および本質的に放射線不透過性であるポリマーを含む。
【0125】
図面の簡単な説明
図1A−1Cは、好ましい実施形態によると、放射線透過性のポリマーの塞栓治療組成を、外植した不潔な腎臓に注射したときの放射線写真を示している。
【0126】
図2は、好ましい実施形態によると、例えば、ポリDTEカーボネートコーティング、生体適合性のあるポリマーの塞栓治療コーティングのような化学療法薬(パクリタキセル)が、37℃で、トゥイーン20を伴ったPBSに溶解していくことを示している。
【0127】
図3a−bは、本発明の一つの好ましい実施形態によると、放射線不透過性を示す生体吸収性のあるトリ−ヨウ化チロシン誘導のポリカーボネイトフィルムの放射線の比較を示している。ポリ(I2DITE−co−20%PEG2k)カーボネイトフィルムは、ヒトの骨と同等の写真密度を有する。
【0128】
発明を実施するための最良の形態
生体吸収性、本質的に放射線不透過性であるポリマーの塞栓治療品は、本発明の好ましい実施形態に従って開示されている。それらは、例えば、子宮筋腫、腫瘍(すなわち化学塞栓術)、および出血(例えば、出血を伴う外傷中)のような腫瘍ならびに血管奇形、動静脈奇形、動静脈瘻および動脈瘤腫瘍の治療のような一般的にカテーテルを通じたデリバリーを含む従来の用途でなど、血液の供給を一時的に制限する、または、遮断するために使われうる。さらなるこれらの塞栓剤は、他の方法によってデリバリーされてよく、例えば、足および顔の両方、または、静脈瘤(皮膚表面上の膨れ上がったもの)でさえ見られる、例えばクモ状静脈(木の枝状または蜘蛛の巣状、および、赤または青色の皮膚表面に近くて、魅力がなく、または、所望しない小さな静脈)に、美容整形術を施すためには、シリンジまたは他のカテーテルでない手段を通じて直接的に体にデリバリーしてもよい。
【0129】
本発明の好ましい態様によると、塞栓治療品は、少なくともいくつかの以下の特性を有しうる。
(a)従来の放射線透視法によって目視できる十分な放射線不透過性(b)塞栓治療デリバリー性および機能性を作るための、十分な粒子の圧縮率、流れ、および浮力の属性;(c)適用する範囲に対するニーズ(例えば、血液適合性または血栓症)に細ように、調節されうる、所望の表面特性または機能性;(d)異なった時間の長さにおいて、体の内腔の閉塞を含む適応の範囲のニーズに細ように調節されうる、所望の生分解性および生体吸収特性;(e)後に、塞栓剤が、血管および前記組織のほぼ同じ場所を再治療する、または、外科手術のような再治療の他の形式を許容するのに使用されるような体の内腔中の所望する滞留時間;(f)所望の生物学的および/または生理的影響を促進するのに十分な治療上十分な量および/または(g)塞栓した体の内腔の生物学的および/または生理的影響を促進するのに十分な生体適合性および生体吸収性のあるコーティング。体の内腔の語は、本明細書中で、体の循環系を含む体の血管腔または血管(すなわち、いずれかのサイズの動脈および/または静脈)を規定するために使われる。
【0130】
本発明の一つの態様によると、生体適合性のある生体吸収性ポリマーの粒剤であり、このポリマーは、従来の放射線透視法によって、塞栓治療品を目視できるようにする相当数のハロゲン原子を有する塞栓治療品が提供される。
【0131】
本発明の好ましい実施形態は、その中に生体適合性および生体吸収性のある粒子ポリマー材料を取り込むことによって、体の内腔、好ましくは血管に塞栓を形成する、または閉塞するための組成物および方法に関する。より好ましい実施形態において、ポリマー材料は、放射線不透過性の部分、好ましくはハロゲン、および最も好ましくはヨウ素および/または臭素を取り入れる。本明細書中で使用される“生体吸収性”の語は、(化学的に分解するために、水および/または酵素の作用を通じて)微生物分解するポリマーを規定するために使われ、少なくともいくつかの分解産物は、体によって除去および/または吸収される。本明細書中で使用される”放射線不透過性”の語は、これらに限られないが、放射線検査、放射線透視、他の放射線の形態、MRI、電磁エネルギー、(CTまたはCTスキャンのような)構造的画像化、および(超音波検査法のような)機能的画像化の方法のような、画像化するための生体内分析技術によって目視できる物を含んだ物または材料を規定するために使われる。
【0132】
加えて、出願人は、本願発明に係るハロゲン化したポリマーは、放射線不透過性、生体適合性および生体吸収性を含む、塞栓治療の使用に特に有益である独特な性質の組み合わせを示すことを発見した。これらのポリマーは、例えば、米国特許第6,475,477号に記載した属の実施形態(これらは参考で全体を本明細書中に引用する)および、さらに特別にヨウ化および/または臭素化した、塞栓治療の使用のために特に有益で、独特な性質の組み合わせを示す、生体適合性のあるジフェノールおよびポリ(アルキレングリコール)を含む。米国特許第6,475,477号は、性質と特徴の様々な組み合わせを有する広範な種類のポリマーを開示しているが、出願人は、特定のポリマーが、米国特許第6,475,477号に開示しているこれらのポリマーよりも、驚くほど顕著に優れた性質の組み合わせを示すということを発見した。
【0133】
本明細書中で使用される、”塞栓治療品”は、体の内腔に塞栓を形成させる(例えば、出血を制御する、失血を防止する、および/または血流を制限または遮断する)ことに細ための、いずれかのポリマー粒剤であることを意味する。例えば、注射可能なポリマー粒剤、ポリマー粒子、ポリマーハイブリット等のような組成物を含む。
【0134】
好ましい実施形態によると、塞栓治療品は、従来採用されていた治療用でない構造材料の代りに、開示されている放射線不透過性、生体適合性および生体吸収性のあるポリマーを用いた慣用的設計を用いて調製される。このような塞栓治療品は、本質的に効果的である。好ましい実施形態によると、塞栓治療品は、従来の方法によって、塞栓させる部位に対して有効量が投与される。
【0135】
出願人は、生体適合性、生体吸収性および本質的に放射線不透過性であるポリマーの群は、アリール含有の生体適合性および生体吸収性のあるポリマーの広範な群から製造されうるということを発見した。例えば、下記の表1に記載の、生体適合性および生体吸収性のあるポリマーのすべてで、放射線不透過性が、当業者において容易に、過度の実験なしに、使用できる既知の技術によって、特に臭素化およびヨウ化のようなハロゲン化を通じて、芳香環に取り込まれうる。確かに、米国特許第6,475,477号では、この方法で作られた本質的に放射線不透過性があり、生体適合性および生体吸収性のあるポリマーの広範な群を開示している。放射線不透過性は、以下の表のように、他のポリマーの単量体成分を付与されてもよい。
【0136】
【表1−1】

【0137】
【表1−2】

【0138】
表1に記載されたすべての米国特許および調製の方法は、これらは参考で全体を本明細書中に引用する。米国特許第6,602,497号のポリエーテルは、塞栓治療で使用される前に、架橋結合を必要とする。しかしながら、適切な架橋結合法は、本質的に公知であり、当業者に、過度な実験を必要としない。
【0139】
“オルト−配向性”の語の意味は、フェノキシアルコール基に対する配向を規定ために、本明細書中で使用される。
【0140】
“本質的に放射線不透過性”の語の意味は、本明細書中で、ハロゲン属とこのポリマーの共有結合によって、本質的に放射線不透過性のポリマーを規定するために用いられる。故に、この語は、金属およびそれらの錯体のようなハロゲン属または他の放射線不透過性の薬剤を単純にブレンドしただけのポリマーを含むわけではない。
【0141】
表1のポリマーのハロゲン化の組成変異は、以下の式によって一般的に表現される。下記に示した合成法の範囲は、表1に記載したものを超えるものであることを理解される。
【0142】
様々なポリマーの式は、ホモポリマー、へテロポリマーおよびそれらの立体異性体を含んだものであることを理解される。ホモポリマーは、本明細書中で、すべての同じモノマーのタイプを含むポリマーを規定するために使われる。ヘテロポリマーは、本明細書中で、2以上の異なったタイプのモノマーから構成されるポリマー、いわゆるコポリマーを規定するために使われる。ヘテロポリマーまたはコポリマーは、ブロック、ランダムおよび交互などとして知られる種類を有していてもよい。さらに、様々なポリマーの式の提示に関して、本発明に係る塞栓治療品は、ホモポリマー、ヘテロポリマーおよび/またはこのようなポリマーのブレンドからなってもよい。
【0143】
好ましいポリマー
本発明の一つの好ましい実施形態に関して、ホモポリマー、コポリマーおよびそれらのブレンドを含む、本質的に放射線不透過性、生体適合性および生体吸収性のあるポリマーを含む塞栓治療品が、開示され、ただし、ポリマーは、以下のユニット(式I):
【0144】
【化27】

【0145】
の1以上を含み、
ただし、Xは、ヨウ素または臭素であり、Y1およびY2は、独立的に、0、1、2、3または4であってもよく、
ただし、fおよびgは、fが、1未満であり、f+gが0以上1以下である条件で、組成/性能の要求命令として、0〜1の範囲であり、
RおよびRは、独立的に、以下の式:
【0146】
【化28】

【0147】
から選択されてもよく、
ただし、Rは、−CH=CH−、−CHJ−CHJ−および(−CH−)a、からなる群から選択され、ただし、Rは、−CH=CH−、−CHJ−CHJ−および(−CH−)nからなる群から選択され、ただし、aおよびnは、独立的に、0以上8以下であり、JおよびJは、独立的に、臭素またはヨウ素であり、Rに対するQは、遊離のカルボキシル基を含み、Rに対するQは、水素、カルボン酸エステルおよびアミドからなる群から選択され、ただし、前記エステルおよびアミドは、生物学的および薬理学的に活性のある化合物の、最大18個の炭素ならびエステルおよびアミドを含む、アルキルおよびアルキルアリール基のエステルおよびアミドからなる群から選択される。
【0148】
式Iのより好ましい実施形態において、RおよびRは、独立的に、以下の群:
【0149】
【化29】

【0150】
から選択されてもよく、
ただし、それぞれのRに対するRは、水素であり、それぞれのRに対するRは、独立的に、長鎖脂肪族炭化水素であり、いくつかの実施形態においては、酸素および窒素から選択される0〜5個のヘテロ原子を含む1〜およそ18個の炭素原子の範囲のアルキル基であり、
ただし、jおよびmは、独立的に、1〜8以下の整数であり、
ただし、Zは、独立的に、酸素または硫黄であり、
Aは、以下の式:
【0151】
【化30】

【0152】
のいずれかであり、
ただし、Rは、前記と同様の定義であり、
ただし、Rは、飽和もしくは不飽和、または、置換したもしくは置換していない、最大18個くらいの炭素原子ならびに酸素および窒素から選択される0〜8個のヘテロ原子を含むアルキル、アリール、またはアルキルアリール基であり、
ただし、Bは、脂肪族の直鎖または分岐鎖のジオールまたはポリ(アルキレングリコール)ユニットである。
【0153】
本発明の一つの実施形態において、本質的に放射線不透過性、生体適合性および生体吸収性のあるポリマーが、式II:
【0154】
【化31】

【0155】
に記載された1以上のユニットを含むことによって塞栓治療品が提供され、
ただし、それぞれのポリマーユニットに対するXは、独立的に臭素またはヨウ素であり、Yは、1〜4以下であり、Rは、最大18個の炭素原子ならびに酸素および窒素から選択される0〜8個のヘテロ原子を含むアルキル、アリール、またはアルキルアリール基である。
【0156】
が、アルキルのとき、それは、好ましくは、以下の構造:
【0157】
【化32】

【0158】
を有し、
ただし、それぞれのユニットに対するRは、独立的に、最大18個の炭素原子ならびに酸素および窒素から選択される0〜8個のヘテロ原子を含むアルキル、アリールまたはアルキルアリール基であり、RおよびRは、それぞれ独立的に、水素、ならびに、最大18個の炭素原子と酸素および窒素から選択される0〜8個のヘテロ原子とを有するアルキル基から選択される。
【0159】
それぞれのRは、好ましくは、ペンダントCOOR基を含み、ただし、サブグループRは、先に定義した通りである。一つの実施形態において、Rは、以下の式:
【0160】
【化33】

【0161】
であり、
ただし、Rは、−CH=CH−、−CHJ−CHJ−および(−CH)aからなる群から選択され、ただし、Rは、−CH=CH−、−CHJ−CHJ−および(−CH−)nからなる群から選択され、ただし、aおよびnは、独立的に、0〜8であり、JおよびJは、独立的に、BrまたはIであり、Qは、水素、遊離のカルボキシル基ならびにカルボン酸エステルおよびアミドからなる群から選択され、ただし、前記エステルおよびアミドは、最大18個の炭素原子を有するアルキルおよびアルキルアリール基を有するエステルおよびアミドならびに生物学的および薬理学的に活性のあるエステルおよびアミドからなる群から選択される。
【0162】
より好ましくは、それぞれのRは、独立的に、以下の構造:
【0163】
【化34】

【0164】
を有し、
ただし、R5aは、先に定義した通りであり、COOR基は、本明細書中で規定されBのと同様である、ただし、mは、1〜8の整数である。
【0165】
もう一つの好ましい実施形態において、Rは、以下の式:
【0166】
【化35】

【0167】
であり、
ただし、jおよびmは、独立的に、1〜8の整数であり、COOR基は、Rに関して本明細書中に記載している通りである。
【0168】
アリールまたはアルキルアリール種を含む好ましいポリマーの実施形態は、式IIで記載されたユニットは、ジフェノールであるように選択される。
【0169】
本発明のもうひとつの好ましい実施形態において、ジフェノールポリマーは、式III:
【0170】
【化36】

【0171】
に記載の1以上のジフェノールユニットを含んでもよく、
ただし、XおよびRは、式IおよびIIに関して本明細書中に記載したものと同じであり、Y1およびY2は、独立的に、0〜4であり、Y1+Y2は、1〜8である。
【0172】
このポリマーの実施形態のより好ましいバージョンにおいて、ジフェノールポリマーは、式IV:
【0173】
【化37】

【0174】
に記載された1以上のユニットを含み、
ただし、それぞれのXは、独立的に、ヨウ素または臭素であり、それぞれのジフェノールユニットに対するY1およびY2は、独立的に、0〜4であり、それぞれのジフェノールユニットに対するY1+Y2は、1〜8であり、
RおよびRは、それぞれ独立的に、最大18個の炭素原子ならびに酸素および窒素から選択される0〜8個のヘテロ原子を伴う、アルキル、アリールまたはアルキルアリール基であり、ただし、Rは、ペンダントカルボキシル基をさらに含み、
Aは、以下の式:
【0175】
【化38】

【0176】
のいずれかであり、
ただし、Rは、飽和もしくは不飽和、または、置換したもしくは置換していない、最大18個くらいの炭素原子ならびに酸素および窒素から選択される0〜8個のヘテロ原子を含むアルキル、アリール、またはアルキルアリール基であり、Pは、ポリ(C−Cアルキレングリコール)ユニットであり、fは、0〜1であり、gは、0〜1であり、f+gは、0〜1であり、ポリ(アルキレングリコール)の重量分率は、およそ75%以下である。Pは、好ましくは、およそ50%以下、より好ましくは30%以下の重量分率で存在するポリ(エチレングリコール)である。
【0177】
RおよびRは、好ましくは、ペンダントCOOR基をそれぞれ含み、ただし、Rに対するサブグループRは、独立的に、水素または酸素および窒素から選択される0〜5個のヘテロ原子を含む炭素原子が1〜およそ18個の範囲のアルキル基であり、Rに対するサブグループRは、水素原子である。
【0178】
一つの好ましい実施形態において、RおよびRは、それぞれ独立的に、以下の構造:
【0179】
【化39】

【0180】
を有し、
ただし、Rは、−CH=CH−、−CHJ−CHJ−および(−CH−)からなる群から選択され、ただし、Rは、−CH=CH−、−CHJ−CHJ−および(−CH−)からなる群から選択され、ただし、aおよびnは、独立的に、0〜8であり、JおよびJは、独立的に、臭素またはヨウ素であり、Rに対するQは、遊離のカルボキシル基を含み、Rに対するQは、独立的に、水素ならびにカルボン酸エステルおよびアミドからなる群から選択され、ただし、前記エステルおよびアミドは、最大18個の炭素原子を有するアルキルおよびアルキルアリール基を有するエステルおよびアミドならびに生物学的および薬理学的に活性のあるエステルおよびアミドからなる群から選択される。
【0181】
より好ましくは、RおよびRは、独立的に、以下の構造:
【0182】
【化40】

【0183】
を有し、
ただし、R5aは、式IIに関して、先に定義した通りであり、COOR基は、RおよびRに対して、本明細書中に記載した通りであり、より好ましい実施形態において、RおよびR種は、以下の式:
【0184】
【化41】

【0185】
から選択されてもよく、
ただし、jおよびmは、独立的に、1〜8の整数であり、COOR基は、RおよびRに関して本明細書中に記載している通りである。
【0186】
このポリマーもう一つのバリエーションにおいて、Rに対するそれぞれのサブグループRは、エチルまたはブチルである。
【0187】
もうひとつの実施形態において、Aは、−C(=O)−である。
【0188】
もうひとつの実施形態において、Aは、以下の式:
【0189】
【化42】

【0190】
であり、
ただし、Rは、飽和もしくは不飽和、または、置換したもしくは置換していない、最大18個くらいの炭素原子ならびに酸素および窒素から選択される0〜8個のヘテロ原子を含むアルキル、アリール、またはアルキルアリール基であり、より好ましくは、C4−C12アルキル、C8−C14アリール、またはC8−C14アルキルアリールである。もうひとつの好ましい実施形態において、Rは、−CH−C(=O)−、−CH−CH−C(=O)−、−CH=CH−および(−CH−)から選択され、ただし、zは、0〜8である。
【0191】
本発明によるポリマーには、ヨウ素および臭素が双方とも環置換基として、存在する実施形態がある。
【0192】
好ましい実施形態のもう一つの態様によると、式V:
【0193】
【化43】

【0194】
に記載の1以上のユニットを含む環置換されたポリマーから形成される塞栓治療品が与えられ、
ただし、それぞれのXは、独立的に、ヨウ素または臭素であり、それぞれのyは、独立的に、1または2であり、RおよびRは、独立的に、最大18個の炭素原子ならびに酸素および窒素から選択される0〜8個のヘテロ原子を含むアルキル、アリールまたはアルキルアリール基であり、A、P、fおよびgは、式IVに関して上述したものと同じである。
【0195】
好ましくは、RおよびRはそれぞれ、ペンダントCOOR基を含み、ただし、Rに対するサブグループRは、独立的に、酸素または窒素から選択される0〜5個のヘテロ原子を含む炭素原子が1〜およそ18個の範囲のアルキル基であり、Rに対するサブグループRは、水素原子である。より好ましくは、RおよびRのぞれぞれは、以下の式:
【0196】
【化44】

【0197】
であり、
ただし、R5aは、式IIに関して、先に定義した通りであり、COOR基は、RおよびRに関して、本明細書中に記載している通りである。
【0198】
様々なポリマーの式の提示は、概要であり、式IVおよびVのポリマー構造は、Pの位置に関するランダムコポリマーとして示され、異なったサブユニットは、ポリマーのバックボーンを通じて、ランダムな配列で発現されうると理解される。ほとんどのケースでは、Aは、Pまたはフェノール環につながっている。
【0199】
典型的には、Pは、およそ10000以下、より典型的には、およそ4000以下の分子量を有するポリ(アルキレングリコール)ユニットである。Pは、好ましくは、およそ1000〜およそ2000の分子量を有するポリ(エチレングリコール)ユニットである。
【0200】
Aがカルボニル(C=O)であるとき、好ましい実施形態の式IVのポリマーは、ポリカーボネートを有し、式Vのポリマーは、ポリ(炭酸アミド)を有する。Aが、以下の式:
【0201】
【化45】

【0202】
であるとき、
好ましい実施形態の式IVのポリマーは、ポリアリーレートを含み、式Vのポリマーは、ポリ(エステルアミド)を含む。
【0203】
式IVがポリアリーレートを、式Vが、ポリ(エステルアミド)を定義する実施形態において、Rは、飽和もしくは不飽和、または、置換したもしくは置換していない、最大18個くらいの炭素原子ならびに酸素および窒素から選択される0〜8個のヘテロ原子を含むアルキル、アリール、またはアルキルアリール基である。好ましい実施形態において、Rは、およそ2〜およそ12個の炭素原子を含むアルキル基である。いくつかの好ましい実施形態において、Rは、直鎖または分岐鎖のアルキル基である。より好ましい実施形態において、Rは、−CH−CH−、−CH−CH−CH−CH−または−CH−CH−CH−CH−CH−CH−である。R基は、いずれかの適切な官能基に置換されてもよく、好ましくは、前記官能基は、重合中に、他のモノマー化合物と交差反応しない、もしくは、しようとしないもの、または、下記に記載の重合を通じてポリマーの形成を顕著に妨げない、もしくは、しようとしないものである。交差反応が起こりうる場合、当業者は、保護基の使用などの方法、または他の周知の方法を用いて、所望の化合物を得ることができる。
【0204】
特定の好ましい実施形態において、Rは、式IVおよびV中のA部分は、天然に存在する代謝産物または高い生体適合性を有する化合物であるジカルボン酸から誘導されるように選択される。例えば、いくつかの実施形態において、Rは、式III中のポリアリーレートA部分は、クレブス回路として知られている細胞呼吸の経路の中間のジカルボン酸から誘導されるように、選択される。このようなジカルボン酸は、セバシン酸、アジピン酸、シュウ酸、マロン酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸およびアゼライン酸を含む。したがって、Rは、より好ましくは、−CH=CH−および(−CH−)から選択される部分であり、ただし、zは、0〜8の整数であり、好ましくは、4〜8以下である。
【0205】
特定の実施形態において、式IVおよびV中のXは、好ましくは、ヨウ素である。特定の実施形態において、存在するとき、式IVおよびV中のPは、好ましくは、ポリ(エチレングリコール)ユニットである。式IVおよびV中において、fは、好ましくは、0.1超およそ0.3までであり、存在しているとき、より好ましくは、0.2超およそ0.25までの範囲である。式IVおよびVに記載に示されるように、特記しない限り、報告されているモル分率は、式IVおよびVのポリマーユニット中のジカルボン酸または−C(=O)−ユニット、カルボン酸エステルモノマーユニット、遊離カルボン酸ユニット、ならびに、ポリ(アルキレングリコール)ユニットの総モル量に基づく。
【0206】
出願人は、好ましい実施形態のポリマー中のデスアミノチロシルチロシン(DT)ユニットのような遊離のカルボン酸ユニットのモル分率は、本発明の塞栓治療組成物の分解/再吸収を調節するのと同様に調節されうることを知得した。例えば、出願人は、およそ35%の遊離のカルボン酸ユニット(モル分率:およそ0.35)を含むこのポリマーは、およそ15日で、およそ90%吸収され、これは、塞栓治療薬として、臨床上望ましいことを知得した。つまり、カルボン酸ユニットのモル分率が高くなればなるほど、体内の塞栓治療薬の寿命が短くなる。塞栓治療薬の寿命が、数週間〜数ヶ月必要とされるという特定の実施形態においては、およそ0.2〜およそ0.3までの”g”値の範囲を有するポリマーが所望されるという傾向にある。好ましい実施形態によると、カルボン酸ユニットから誘導される式IVおよびV中の繰り返しユニット、モル分率”g”は、およそ0.1超およそ0.3以下の範囲であり、好ましくは、およそ0.2超およそ0.3までである。しかしながら、本発明はまた、ゆっくりと吸収する組成物、および、gが0であるポリマーから調製されるデバイスを含む。
【0207】
塞栓治療薬に対する特定の好ましい実施形態において、採用されたコポリマーは、およそ20,000〜およそ200,000、好ましくは、およそ50,000〜およそ150,000、より好ましくは、およそ75,000〜およそ100,000の重量平均分子量(Mw)を有する。コポリマーの多分散性(P)値は、およそ1.5〜およそ2.5の範囲であり、大抵、およそ2である。塞栓治療薬用の、対応するコポリマーの数平均分子量(Mn)は、上述したように計算され、およそ10,000〜およそ100,000であり、より好ましくは、およそ25,000〜およそ75,000であり、さらに好ましくは、およそ37,500〜およそ50,000である。分子量は、さらなる補正なしに、ポリスチレンスタンダードに関するゲル透過クロマトグラフィー(GPC)で測定する。
【0208】
製造方法
式IVに記載の塞栓治療ポリマーは、様々な方法を通して調製されうる。前記の通り、式IVに記載の該ポリマーは、定義した相対量中で、必要であれば、ペンダントCOOR基を伴うジフェノール酸エステルユニット、ペンダントCOOH基を伴うジフェノールユニットおよびポリ(アルキレングリコール)ユニットを含む、環置換のジフェノールポリカーボネートまたはポリアリーレートを含む。従って、遊離のカルボキシル基ポリマーは、ポリ(アルキレングリコール)および1以上の環置換のジフェノールのモノマー化合物(所望のペンダントCOOH基のモル分率と同等の化学量論的な量であって、サブグループRが、保護基、好ましくはターシャリーブチルエステル基であるペンダントCOOR基を伴うモノマー化合物の量を含む)を所望の割合で重合し、次いで、脱保護反応により、ターシャリーブチルエステル保護基を除去して、ペンダントCOOH基を形成する、ことを含む方法によって調製される。
【0209】
式Vのポリ(炭酸アミド)およびポリ(エステルアミド)は、同様に、ポリ(アルキレングリコール)およびペンダントCOOR基(所望のペンダントCOOH基のモル分率と同等の化学量論的な量であって、サブグループRは、保護基、好ましくはターシャリーブチルエステル基であるペンダントCOOR基を伴うモノマー化合物の量を含む)を伴う、環置換の脂肪族−芳香族ジヒドロキシ酸エステルユニットと、所望の割合で重合される。
【0210】
好ましい実施形態に係る、ポリカーボネートまたはポリアリーレートポリマーを調製するために使用される適切な方法の例は、米国特許第5,099,060号、第5,587,507号、第5,658,995号、第5,670,602号、第6,120,491号、および第6,475,477号に開示され、これらは参考で全体を本明細書中に引用する。触媒や溶媒に関する、他の適切な工程は、当該分野において既知であり、Schnell氏による、Chemistry and Physics of polycarbonates、(Interscience、 New York 1964)で教示され、これらは参考で全体を本明細書中に引用する。
【0211】
ポリカーボネートは、同時係属中でJoachim B. Kohn、Durgadas Bolikal、Aaron F. Pesnell、 Joan Zeltinger、 Donald K. Brandom および Eric Schmidによって、2004年8月13日付けで出願された、発明の名称“Radiopaque polymeric Medical devices"の米国特許出願(Attorney Docket No. P27、286 USA)が開示している新規な重合方法を使って生産されうり、これらは参考で全体を本明細書中に引用する。簡単に言うと、この方法は、0.1Mのピリジンまたはトリエチルアミンを含んだジクロロメタン中で、ジフェノールモノマーおよびポリエチレングリコールを溶解させる。トルエン中のホスゲンの溶液を、一定の割合で加え、次いで、クエンチし、このポリマーを作り上げる。残っているピリジンを(もし使用していれば)、アンバーリスト(商標)15のような、強酸性樹脂と共に、テトラヒドロフラン(THF)ポリマー溶液を攪拌することによって、除去する。この方法は、式IIに記載のいずれのポリカーボネートに対しても、広範に適用できる。
【0212】
本ポリマーを作るのに使用されるジフェノールモノマーの調製方法は、例えば、米国特許第5,587,507号および第5,670,602号に開示されている。特に、このような文献に、エチル(DTE)、ブチル(DTB)、ヘキシル(DTH)、オクチル(DTO)、ベンジル(DTBn)および他のエステルを含んだデスアミノチロシルチロシンエステルに加えて、エステルでないデスアミノチロシルチロシンの遊離のカルボン酸(DT)の調製が開示されている。ヨウ素および臭素置換のジフェノールモノマーは、例えば、明細書中に開示されているいずれかの手続を経て、両方もしくはいずれかのフェノール環がヨウ素または臭素置換した2つのフェノール化合物を一緒にカップリングし、または、いずれかの適切なヨウ化または臭素化法を経てカップリングした後に、ヨウ化または臭素化されたジフェノールを形成することによって、調製されうる。
【0213】
式Vのポリ(エステルアミド)およびポリ(炭酸アミド)ならびに、環状のヨウ化または臭素化されたモノマーを含む、重合される原料である脂肪族−芳香族ジヒドロキシモノマーを調製する方法は、米国特許第6,284,862号で開示され、これらは参考で全体を本明細書中に引用する。開示されたポリ(炭酸アミド)重合工程は、モノマー溶液を通じて、泡立てた、気体ホスゲンとホスゲンのトルエン溶液を置換する前記工程を使うことにより適用されうる。
【0214】
いずれかの前記工程を本明細書中の使用のために適用させる一方で、(DTモノマーのような)遊離のカルボキシル基を有するモノマーからペンダント遊離カルボキシル基を有する、好ましい実施形態に係る、ポリカーボネート、ポリアリーレート、ならびにポリ(エステルアミド)およびポリ(炭酸アミド)の調製は、コモノマーとモノマーカルボキシル基との交差反応によって起こりうる。したがって、特定の好ましい実施形態において、好ましい実施形態に係るポリマーは、ポリ(アルキレングリコール)を伴うヨウ化または臭素化された環置換のアルキルエステルモノマー、および、ヨウ化または臭素化された環置換をまた有してもよい一時的に保護された遊離の酸モノマー(一時的な保護基を使って、遊離の酸性官能基を覆う)を重合させて、一時的な保護基は、対応する遊離のカルボキシル基を生産するために選択的に除去できる、ポリカーボネート、ポリアリーレートおよび、ポリ(エステルアミド)またはポリ(炭酸アミド)ポリマーのユニットを形成することによって調製される。この方法は、ペンダント遊離カルボキシル基が所望されている式IIのいずれのポリマーにも広範に適用することができる。
【0215】
広範な適当な保護/脱保護方法のいずれもが、例えば、米国特許第6,120,491号に記載の、DTBn部分をDT部分に変換させる方法を含む、好ましい実施形態のポリマーのデバイスを調製の使用に適応しうり、これらは参考で全体を本明細書中に引用する。遊離のカルボキシル基を伴うポリ(エステルアミド)およびポリ(炭酸アミド)は、対応するベンジルエステルコポリマーの水素添加分解によって調製されることによる類似の方法は、前記米国特許第6,284,862号に記載されている。換言すると、米国特許第6,120,491号の方法は、遊離のペンダントカルボキシル基が所望される、式IIのいずれのポリマーにも拡張することができる。好ましい実施形態において、好ましい実施形態のポリマーは、発明の名称”Radiopaque porymeric Medical devices”として、Joachim B. Kohn、 Durgadas Bolikal、 Aaron F. Pesnell、 Joan Zeltinger、 Donald K. Brandom and Eric Schmidによって、2004年8月13日付で出願された、出願人が共通する米国特許出願60/601、743号の新規な脱保護法を使って、生産されうる。加水分解に不安定なポリマー上の、ターシャリーブチルエステル保護基が選択的に除去され、ターシャリーブチルエステル基の代わりに、遊離のカルボキシル基に新しいポリマーが提供される。
【0216】
このポリマーは、効果量の酸を含む、適切な溶媒中にポリマーを溶解することによって、酸に接触する。脱保護されるポリマーが溶解しうる適切な不活性溶媒のいずれも、本方法に係る提供される段階の反応混合物中で用いられうる。適切な溶媒の例は、これに制限されないが、クロロホルム、ジクロロメタン、THFおよびジメチルホルムアミドなどを含む。特定されたより好ましい実施形態において、溶媒は、ジクロロメタンを含む。
【0217】
酸分解によって提供されたポリマーのカルボキシル基からターシャリーブチル保護基の選択的な除去を促進させることができる適切な弱酸のいずれもが、この方法を用いられうる。適切な弱酸の例は、およそ0〜およそ4のpKを有する酸、ギ酸、トリフルオロ酢酸、およびクロロ酢酸などを含む。特定された好ましい実施例の弱酸は、トリフルオロ酢酸である。
【0218】
使用される弱酸の量は、ポリマーの溶解度を妨げずに、溶媒に加えられる最大量であるべきである。この弱酸は、そこで、ポリマー可溶性の溶媒としての機能を果たしうる。この実施形態において、好ましい酸はギ酸である。
【0219】
接触段階またはその部分は、酸分解を通じてターシャリーブチル保護基を選択的に、効果的に除去するのに有効な適当な条件下で行われうる。当業者は、容易に、過度の実験なしに、ターシャリーブチル基を選択的に除去できる好ましい実施形態に係る、接触段階で使われる酸分解法の広範な範囲のいずれをも適応しうる。例えば、特定の好ましい実施形態において、接触段階は、25℃、1atmの条件下で行う。
【0220】
本明細書での開示を踏まえて、当業者は、容易に、ターシャリーブチルで保護された遊離のカルボン酸繰り返しユニットを含む対応するポリマーから、様々な遊離のカルボキシル基を伴った加水分解に不安定なポリマー、ならびに、特に、例えば様々な医療機器に使う、好ましい実施形態に係るポリマーを生産しうる。
【0221】
重合および脱保護の後に、好ましい実施形態に係る適切なポリマーの製造は、好ましい実施形態に係る方法において使用される塞栓治療組成物およびデバイスを生産するための様々な既知の方法のいずれかで達成しうる。例えば、特定の実施形態において、体の内腔に、好ましくは血管に、塞栓を形成させる、または閉塞を起こさせる組成物に使用するのに適する粒子の形状にする。好ましい粒子の例は、これに限られないが、球形粒子、幾何学的に不規則な粒子、多孔質粒子、固体粒子、中空粒子、および、およそ10〜およそ3000ミクロンの範囲、さらに好ましくは、およそ40〜2400ミクロンの範囲の排除直径を有する粒子、を含む。他の塞栓治療品において、そのポリマーは、体の内腔に塞栓を形成するまたは閉塞する際に用いるヒドロゲルにしてもよい。
【0222】
ポリマー粒子やヒドロゲルのようなものを生産する従来の様々な方法のいずれもが、好ましい実施形態での使用に適応されうる。本明細書での開示を踏まえて、当業者は、容易に、過度の実験なしに、好ましい実施形態に係る塞栓治療品を生産することができる。
【0223】
ポリマー粒子は、例えば、典型的には、適切な界面活性剤を含む多量の水に、小さなゲージの針を通じて、ジメチルスルホキシド(DMSO)のような、ポリマーを溶解させる希薄溶液(約5wt%)を加えることによって調製される。選択される針のゲージによって、ポリマーの粒径が決定される。沈殿したポリマー球は、滴下漏斗を通じたろ過によって分けられ、空気乾燥させ、次いで、極低温で粉砕させ、凝集体の形成を防ぐために選択された高温(約50℃)で、真空乾燥させる。
【0224】
当業者であれば、過度の実験なしに、塞栓治療ポリマー粒子を生産するための既知の工程の好ましい実施形態において使用されるポリマーを適用しうる。粒径は、塞栓治療の適応によって異なるであろう。ポリマーの粒径は、典型的には、およそ10〜3000ミクロン、より典型的には、以下の群:およそ45〜およそ90ミクロン(μm)、およそ90〜およそ190ミクロン(μm)、およそ190〜およそ300ミクロン(μm)、およそ300〜およそ500ミクロン(μm)、およそ500〜およそ710ミクロン(μm)、およそ710〜およそ1000ミクロン(μm)、およそ1000〜およそ1400ミクロン(μm)、およそ1400〜およそ2000ミクロン(μm)、およそ2000〜およそ2400ミクロン(μm)およそ2400〜およそ3000ミクロン(μm)である。
【0225】
好ましい実施形態で使われているPEG含有のポリマーは、ミクロンサイズの粒子を形成するための狭いゲージの針を通じて、流路に対して非常に適した表面性質を与えることが知得された。
【0226】
ポリマーの配合
前記塞栓治療品および方法のもうひとつの好ましい実施形態において、このポリマーは、有効量の磁気共鳴造影剤の少なくとも一つをと共に配合される。前記塞栓治療品および方法のさらにもうひとつの好ましい実施形態において、このポリマーは、少なくともひとつの治療薬および少なくとも一つの磁気共鳴造影剤と共に配合される。前記塞栓治療品および方法のさらにもうひとつの好ましい実施形態において、このポリマーは、放射線不透過性の薬剤、例えば、これらに限られないが、臭素、バリウム、ビスマス、金、プラチナ、タンタル、タングステン、およびそれらの混合物と共に配合される。
【0227】
好ましい態様において、本質的に放射線不透過性、生体適合性および生体吸収性であるポリマーは、球形粒子の形をして作ってもよい。または、そのポリマーは、幾何学的に不規則な粒子の形をして作ってもよい。球形または幾何学的に不規則な粒子のいずれかは、特性的にはヒドロゲルであってもよく、この際、粒子は、多孔質、固体または中空である。この粒子は、およそ10〜およそ5000ミクロンの範囲の排除直径を有してもよく、好ましくは、およそ40〜およそ3000ミクロン、より好ましくは、およそ45〜およそ2400ミクロンである。この粒子は、1以上の前記で開示された治療薬、磁気共鳴造影剤および放射線不透過性の薬剤を取り込んでもよい。
【0228】
好ましい磁気共鳴促進剤の例は、これらに限られないが、酸化ガドリニウム、塩化ガドリニウム、その混合物およびそれらと同等のもののようなガドリニウム塩を含む。磁気共鳴促進剤を含んだ組成物およびデバイスにおいて、過度の実験なく当業者によってもう一度決定されうる放射線撮影に十分な磁気共鳴造影剤の量が用いられうる。
【0229】
特定の実施形態において、好ましい実施形態の塞栓治療組成物およびデバイスは、放射線不透過な薬剤をさらに含む。特定の実施形態において、塞栓治療組成物およびデバイスはまた、放射線不透過な薬剤が予め加えられた、式IIのポリマーに係る、ヨウ化および臭素化されていない類似体から形成される組成物およびデバイスを含む。好ましい実施形態は、この類似体のような式IIのポリマーを含みうる。放射線不透過な薬剤は、放射線不透過像を強化させるために、式IIのポリマーに加えられうる。好ましい放射線不透過な薬剤の例は、これらに限られないが、ヨウ素金属、有機ヨウ化合物、臭素、硫酸バリウム、酸化ビスマス、金、プラチナ、タンタル、タングステン、その混合物などを含む。
【0230】
塞栓治療方法
好ましい実施形態のもう一つの態様によると、体の内腔に、本明細書中に開示している、本質的に放射線不透過性、生体適合性および生体吸収性であるポリマーから調製された塞栓治療品の有効量を取り入れることによって、体の内腔に、塞栓を形成させる方法を開示している。
【0231】
前記塞栓治療品のもうひとつの好ましい実施形態において、生体適合性のある塞栓粒子の、吸収する本質的に放射線不透過性である組成物は、癌性の腫瘍の特別な治療および再治療のために配合してもよい。吸収の方法は、多重の化学療法にも許容される。さらに、好ましい塞栓治療品に係る柔軟な化学は、下記に詳細に説明するようにポリマー構造を変えることによって血管中の滞留時間を簡単に改善できるように、吸収特性を調節する。例えば、吸収するように化学的に配合された本発明の塞栓粒子は、癌性の組織への化学療法薬の適用を制限するために、化学療法薬を併用して埋め込んでもよい。このような癌細胞への集中的な攻撃は、特に、肝臓癌の場合の例に所望されうる。化学療法薬は、粒子上、粒子中に存在する、および/または、粒子ポリマーに結合する、および/または、デリバリー溶液中でなど、ポリマーを伴って取り込まれうる。このような方法で、薬剤は、治療効果を有しうる。塞栓薬剤の吸収および血管の再疎通の際、この工程は、繰り返されうる。本質的に放射線不透過性である粒子は、その粒子の、それだけでなく、治療薬の、さらに制御されたデリバリーを許容し、現在では不可能とされ、いまだ満たされていない医学的な強いニーズの多様な治療のアプローチを許容する。
【0232】
故に、好ましい実施形態のもう一つの態様によると、(1)組織に関連のある血管に、前記組織からの血流を減少させるために十分な、本明細書中で開示されている、本質的に、放射線不透過性、生体適合性および生体吸収性であるポリマーから調製される塞栓治療品の量を投与すること、(2)治療薬を、前記血管に、治療薬の局在的なデリバリーが強くなるように、前記塞栓治療品と分けて、または、組み合わせて投与すること、ならびに(3)最初に投与された塞栓治療品が、前記血管への再アクセスするために、十分に分解させた後、前記塞栓治療品および前記治療薬の投与の段階を繰り返すことによって、組織への治療薬の局在的なデリバリーを強化させる方法が、開示される。
【0233】
本発明に係るもうひとつの好ましい実施形態によると、体の内腔に塞栓を形成する方法が開示される。この方法は、生体適合性および生体吸収性のあるポリマーを含む、有効量の組成物を体の内腔に取り込むことを含み、この際、このポリマーは、ヨウ素、臭素、バリウム、ビスマス、金、プラチナ、タンタル、タングステンおよびこれらの混合物を含む。より好ましくは、この方法は、血管に、粒子を放射線不透過性にするために十分なハロゲン原子を含んだ、生体適合性および生体吸収性のあるポリマーを含む塞栓治療粒子を取り込む段階を含む。
【0234】
特定の実施形態において、腫瘍、血管奇形(例えば子宮筋腫、腫瘍(すなわち化学塞栓)、出血(例えば出血を伴う外傷))、ならびに、動静脈奇形、動静脈瘻および動静脈瘤に、塞栓を形成させるとき、これらの生体吸収性および本質的に放射線不透過性である塞栓薬剤は、ガイドカテーテルのような従来のデリバリーシステムによってデリバリーしてもよい。もう一つの実施形態において、これらの生体吸収性および本質的に放射線不透過性の塞栓薬剤は、あまり一般的ではないデリバリーシステム、例えば、シリンジまたは他のカテーテルシステムではないものを通して直接体の内腔に注射をすることによってデリバリーして、クモ状静脈および/または静脈瘤に対する美容整形術を提供することもできる。確かに、表面の静脈に直接注射を行うことは、ポリマーの塞栓治療品が、放射線不透過性を有している必要がない。したがって、このようなクモ状静脈および/または静脈瘤に対する美容整形術の用途に対して、本発明に係る実施形態に従うハロゲン化されていないポリマーは、有効性を伴って用いられうる。治療薬の付加および/またポリマーベースのデリバリーはまた、このような整形治療の適応のようなものに対して、有利に用いられうる。
【0235】
好ましい実施形態は、式IIのポリマーから調製される塞栓を形成する組成物を体の内腔に取り込むことを含む体の内腔に塞栓を形成させる方法をさらに提供する。特定の好ましい実施形態によると、有効量の組成物は、以下:球形粒子、幾何学的に不規則な粒子、多孔質粒子、中空粒子、固体粒子、およそ10〜およそ3000ミクロンの範囲、さらに好ましくは、およそ40〜2400ミクロンの範囲の排除直径を有する粒子、ヒドロゲル、ならびにこれらの組み合わせを一つ以上含むことが採用される。体の内腔に塞栓を形成させるために塞栓治療組成物を、体の内腔に取り込む適切な従来の方法のいずれも、好ましい実施形態中での使用に適応しうる。例えば、体の内腔にPVA塞栓を取り込む従来の方法は、PVAの塞栓に対する好ましい実施形態の組成物に置換して使われうる。
【0236】
治療薬
前記塞栓治療品および方法の好ましい実施形態によると、所定の治療効果を発揮する十分な有効量の、少なくとも一つの治療薬(例えば、薬剤および/または生物剤)を伴って形成されうる。本明細書中で使われる“薬剤”の語は、特定の物理的(代謝)レスポンスを刺激する疾患の緩和、治療、または、予防を目的とする物質を含む。本明細書中で使用される“生物剤”の語は、生体系中の構造的および/または機能的活動を有するいずれかの物質、例えば、これらに制限されないが、器官、組織または細胞ベースの誘導体、細胞、ウイルス、ベクター、器官内で、天然、遺伝子組み換えされた、および合成されたいずれかの配列およびサイズの核酸(動物、植物、微生物およびウイルス)、抗体、ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、cDNA、腫瘍遺伝子、タンパク質、ペプチド、アミノ酸、リポタンパク質、糖タンパク質、脂質、炭水化物、多糖類、脂質、リポソーム、または、例えば、レセプターおよびリガンドのような他の細胞成分もしくは細胞小器官、を含む。本明細書中で使用される“生物剤”の語は、ヒトの疾患または怪我の予防、治療または治癒に適用しうる、ウイルス、血清、毒素、抗毒素、ワクチン、血液、血液成分もしくは血液粒剤、アレルギー誘発性の生産物もしくは類似体の生産物、または、アルスフェナミンもしくはその誘導体(または、三価の有機ヒ素化合物のいずれか)を、さらに含む(per Section 351(a) of the Public Health Service Act (42 U.S.C. 262(a))。“生物剤の”の語は、1)生物学的に活性な、ペプチド、タンパク質、炭水化物、ビタミン、脂質もしくは天然に存在する、または、遺伝子組み換えの生物、抗体、組織もしくは細胞株によって生産される、若しくは、から精製される核酸、またはこれらの分子の合成された類似体を含む、本明細書中で使用される“生体分子;”2)核酸(デオキシリボ核酸(DNA)またはリボ核酸(RNA)のいずれか)、遺伝要素、遺伝子、因子、対立遺伝子、オペロン、構造遺伝子、調節遺伝子、作動遺伝子、遺伝子相補作用、ゲノム、遺伝暗号、コドン、アンチコドン、メッセンジャーRNA(mRNA)、トランスファーRNA(tRNA)、リボソームの染色体外遺伝要素、プラズマジーン、プラスミド、トランスポゾン、遺伝子突然変異、遺伝子配列、エクソンおよびイントロンを含む、本明細書中で使用される“遺伝物質”、ならびに、3)マニピュレーションを行った細胞、組織、または器官のような本明細書中で使用される“プロセスを受けた生物剤(processed biologics)”、をさらに含みうる。この治療薬は、また、ビタミンもしくはミネラル物質または他の天然元素を含みうる。
【0237】
好ましくは、治療薬の量は、これらに限られないが、所望の生物学的反応および/または生理学的反応を促進するため、または、例えば、細胞の治癒もしくは塞栓を起こした体の内腔の治癒を補助する細胞外マトリックスを生産する細胞の治癒に影響を及ぼすように塞栓した組織の他の場所に影響を及ぼすために、化学療法薬、非ステロイド性抗炎症薬および/またはステロイド性抗炎症薬として、作用するのに十分な量をいう。
【0238】
治療薬は、表面の少なくとも一つの領域上の塞栓治療薬品に、または、場合によっては塞栓治療薬品中に取り込まれうり、これにより、このような薬剤の局所放出を提供しうる。いくつかの好ましい実施形態において、この治療薬は、薄いポリマーコーティングまたは粒子表面上の他の担体からデリバリーされる。もう一つの好ましいバリエーションにおいて、治療薬は、ポリマーコーティングによる手段によってデリバリーされる。他の好ましい塞栓治療品の実施形態において、治療薬は、少なくとも一つの領域または一つの塞栓治療品の表面からデリバリーされる。他の好ましい塞栓治療品の実施形態において、薬剤は、ポリマーとブレンドするように、または、当業者に既知の他の手段によって混合するように、治療薬を塞栓治療品に含ませる。他の好ましい実施形態において、治療薬は、粒子をコーティングするために用いるポリマーまたは他の担体に化学的に結合してもよく、および/または、粒子ポリマーの少なくとも一部に結合してもよく、および/または、別のリンカーまたはリガンドの手段によって間接的に粒子ポリマーに結合してもよい。もう一つのバリエーションにおいて、塞栓治療品は、例えば、粒子表面の少なくとも部分にコーティングされた1以上の治療薬、または、ポリマーマトリックス内に混合された1以上の治療薬、のような1以上の治療薬を含みうる。
【0239】
前記塞栓治療品および方法のもう一つの好ましい実施形態において、塞栓治療品は、所望の生物学的影響および/または生理的影響を促進するのに十分な生体適合性および生体吸収性コーティングであるコーティングの有効量と共に配合されてもよい。
【0240】
特定の実施形態において、好ましい実施形態に係る塞栓治療組成物およびデバイスは、先に本明細書中で定義された治療薬(例えば、薬剤および/または生物剤)ならびに/または磁気共鳴促進剤、をさらに含む。治療薬の量は、好ましくは、これらに限られないが、所望の生物学的反応および/または生理学的反応を促進するため、または、例えば、細胞の治癒もしくは治癒を補助する細胞外マトリックスを生産するもの治癒に影響を及ぼすように塞栓した組織の他の場所に影響を及ぼすために、化学療法薬、非ステロイド性抗炎症薬および/またはステロイド性抗炎症薬として、作用するのに十分な量をいう。
【0241】
治療薬は、表面の少なくとも一つの領域上の塞栓治療品に、または、場合によっては、塞栓治療品中に取り込みうり、これにより、このような薬剤の局所放出を提供する。いくつかの好ましい実施形態において、治療薬は、ポリマー粒子表面上の薄いポリマーコーティングからデリバリーされる。もう一つの好ましいバリエーションにおいて、治療薬は、ポリマーコーティングではない手段からデリバリーされる。塞栓治療品の他の好ましい実施形態において、治療薬は、塞栓治療品の少なくとも一つの領域または一つの表面からデリバリーされる。他の好ましい塞栓治療品の実施形態において、薬剤とポリマーをブレンドする、または、当業者に既知の他の手段によって、治療薬を塞栓治療品に含ませる。
【0242】
本発明の好ましい態様による治療薬は、宿主の作用部位について分類してもよく、例えば、細胞外または特定の膜レセプター上の部位で、細胞膜で、細胞質中および細胞核中で作用する。治療薬は、極性を有するものであっても、または、正味の負電荷若しくは正電荷若しくは中性の電荷を有してもよい;疎水性、親水性若しくは両性であっても、または水に対して強い親和性を有してもよい。放出は、制御された放出機構、拡散、および、静脈注射によってデリバリーされる他の薬剤との相互作用、エアゾールまたは経口で起こりうる。放出はまた、磁界、電場の適用または超音波の使用によって起こりうる。
【0243】
適切な治療薬の例は、これらに制限されないが、化学療法薬、非ステロイド性抗炎症薬、およびステロイド性抗炎症薬を含む。好ましい化学療法薬の例は、これらに制限されないが、タキサン、タキシニン、タクソール、パクリタキセル、ジオキソルビシン(dioxorubicin)、シスプラチナ、アドリアマイシン、ブレオマイシンなどである。好ましい非ステロイド性抗炎症化合物の例は、これらに限られないが、Rofexcoxib、CelecoxibおよびValdecoxib等の、アスピリン、デキサメタゾン、イブプロフェン、ナプロキセンおよびCOX−2(シクロオキシゲナーゼ2)阻害剤がある。好ましいステロイド性抗炎症化合物の例は、これらに限られないが、デキサメタゾン、ベクロメタゾン、ヒドロコルチゾン、プレドニゾン等がある。
【0244】
適切な量の1以上の治療薬のいずれを使ってもよい。好ましくは、局所的な治療効果を有するのに効果的な量の治療薬が採用され、それは、過度の実験なく当業者によって容易に決定できる。
【0245】
表面コーティングを有する塞栓治療品
治療薬をデリバリーしうる、例えば栓塞形成性のコラーゲンもしくはフィブロネクチンまたは撥性(リペラント)ホスホリルコリンのような塞栓治療品への生物学的ポリマーをデリバリーしうる塞栓治療品に加えて、塞栓治療品は、特定の臨床効果で望まれる塞栓を形成された体の内腔での生物学的反応を促進するために、予め決定された生体吸収性ポリマーを伴ってデリバリーされても、このようなポリマーでコーティングされてもよい。さらに、コーティングは、塞栓治療粒子を含んで使われるポリマーの表面特性をマスクするためにさらに使用してもよい。さらに、コーティングは、ポリ(アルキレングリコール)を含んでもよい、または、含まなくてもよい、いずれかのハロゲン化されていない、または、ハロゲン化された、生体適合性および生体吸収性のあるいずれかのポリマーの広範な群から選択されうる。これらのポリマーは、ホモポリマーおよびヘテロポリマー、これらの立体異性体および/またはこのようなポリマーのブレンドを含んだ組成変異を含みうる。これらのポリマーは、例えば、これらに制限されないが、ポリカーボネート、ポリアリーレート、ポリ(エステルアミド)、ポリ(炭酸アミド)、トリメチレンカーボネート、ポリカプロラクトン、ポリジオキサン、ポリヒドロキシ酪酸塩、ポリヒドロキシ吉草酸塩、ポリグリコリド、ポリラクチドならびにこれらの立体異性体およびグリコリド/ラクチドコポリマーのようなコポリマーを含みうる。好ましい実施形態において、塞栓治療品は、例えば出血の場合、血栓形成を促進させるために、フィブリノゲンまたはプラズマタンパク質に対する高い吸収親和性を示すポリマーでコーティングされる。例えば、ポリ(DTEカーボネート)および(I2DTEカーボネート)は、高いレベルでフィブリノゲン吸収を促進させ、このコーティングは、赤血球の外膜の負電荷に引き寄せられる正電荷を有するポリマーをさらに含んでもよく、その結果ヒトの正常凝血プロセスを誘発する。もうひとつの好ましい実施形態において、例えば、子宮筋腫を治療する場合、治癒、組織の再吸収および塞栓した組織の再構築、を促進させるために、塞栓治療品が細胞(例えば、間葉細胞、線維芽細胞、間質細胞および実質細胞)に対して親和性を示すポリマーでコーティングされる。さらにもう一つの好ましい実施形態において、例えば、腫瘍を新生することで知られている微細血管の内皮細胞のような特定の細胞の付着および/または増殖を防ぐポリマーでコーティングされ、この場合には、塞栓生産物上のポリマーコーティングは、より塞栓した腫瘍の新生を、より遅らせるか、または阻害させる。もうひとつの好ましい実施形態において、細胞を引き寄せる、および/または、細胞の増殖、および/または、修復組織(例えば肉芽組織)の形成を補助する細胞外マトリックス分子の沈着を促進させるポリマーでコーティングする。これは、治癒を成功すること、および/または、線維性結合組織の形成することへと導くマクロンファージのような炎症細胞のアトラクション、を含みうる。好ましい実施形態において、動静脈奇形および動静脈瘤の場合などでは組織の沈着を促進させるポリマーでコーティングする。
【0246】
以下に説明される制限されない例は、本発明の特定の態様を明らかにしている。これらの説明は、範囲を狭めて解釈してはいけなく、好ましい実施形態を例示するものである。特に記載がない限り、すべての部およびパーセントは、重量部および重量パーセントであり、温度は摂氏である。
【0247】
実施例
使用された学名および略語
以下の略語は、様々なヨウ化された化合物を特定するために用いられる。THは、チロシンエチルエステル、DATは、デスアミノチロシン、およびDTEは、デスアミノチロシルチロシンエチルエステルを表している。DTEのホスゲン化によって得られるポリマーは、ポリ(DTEカーボネート)として示される。略語の前の”I”は、モノヨウ化を示し(ITEは、モノ−ヨウ化TEを表す)、略語の前の”I”は、ジヨウ化(IDATは、ジヨウ化DATを表す)を示している。DTEにおいて、仮に、Dの前に”I”があれば、それは、DAT上にヨウ素があることを意味し、仮に、Dの後に”I”があれば、それは、ヨウ素がチロシン環上にあることを意味する(例えば、DITEは、チロシン環上の2つのヨウ素原子を有するDTEを意味する。)。以下の図は、この命名法をより詳しく説明している。
【0248】
【化46】

【0249】
吸収試験
ポリマー分解率は、Abramson st al.、 “Small changes in polymer structure can dramatically increase degradation rates: the effect of free carboxylate groups on the properties of tyrosine−derived polycarbonates、” Sixth World Biomaterials Congress Transactions、 Society for Biomaterials 26th Annual Meeting、 Abstract 1164 (2000)、に記載のその物質およびその方法を使って、インビボまたはインビトロで測定し、これらは参考で全体を本明細書中に引用する。
【0250】
実施例1 ポリ(60%IDTE−co−20%IDT−co−20%PEG2Kカーボネート)の調製
メカニカルスターラー、温度計、還流冷却器、ゴム製のセプタムを備えた三口丸底フラスコに、IDTEを18.3g(0.03mol)、IDTtBuを6.38g(0.01mol)、PEG2000を20g(0.01mol)およびジクロロメタンを300ml加えた。攪拌していると、透明な黄色い液体が得られた。これに、ピリジンを15.1ml(0.15mol)加えた。ガス気密性のプラスチックのシリンジに、トルエン中のホスゲン20%溶液(0.0576mol)を30ml入れ、シリンジポンプを使って3時間かけて反応フラスコに加えた。分子量は、GPCによって反応混合物のアリコートを分析することによって決定した。追加のホスゲン溶液(最大10%)が、所望の分子量を得るために必要であった。反応混合物は、THFを110mlおよび水10mlを使ってクエンチした。高速のワーリングブレンダー中で、冷やした2−プロパノール1.5Lに、反応混合物を加えることによって、ポリマーを沈殿させた。
【0251】
得られた粘着性のポリマーは、2回に分けて、2−プロパノール0.5Lと粉砕した。細粒状ポリマー粒子は、ろ過によって分けられ、真空オーブン中で乾燥させた。ターシャリーブチル保護基を除去するために、ポリマーをトリフルオロ酢酸中に溶解させ、20%の溶液を得た。室温で4時間、その溶液を攪拌後、ポリマーを2−プロパノールを加え、余分なTFAを除去するために、2−プロパノールとさらに、粉砕することで沈殿させた。生産物をろ過で分け、IPAで洗浄し、真空オーブンで乾燥させた。
【0252】
当業者は、放射線不透過性の臭素置換されたポリマーは、出発物質でヨウ素と臭素を置換することによって同様にして調製できる。
【0253】
実施例2 ポリ(I2DTE−co−2.5モル%PEG2Kカーボネート)の調製
97.5%モルパーセントのIDTE、および、分子量2000の2.5%ポリ(エチレングリコール)を含むポリマー(ポリ(97.5%IDTE−co−2.5%PEG2Kカーボネート))は、以下のように調製された。メカニカルスターラー、温度計、還流冷却器、ゴム製のセプタムを備えた三口丸底フラスコに、IDTEを29.7g(0.0488mol)、PEG2000を2.5g(0.00125mol)、およびジクロロメタンを215ml加えた。攪拌していると、透明な黄色い液体が得られた。これに、ピリジンを15.1ml(0.15mol)加えた。ガス気密性のプラスチックのシリンジに、トルエン中のホスゲン20%溶液(0.0576mol)を30ml入れ、シリンジポンプを使って3時間かけて反応フラスコに加えた。分子量は、GPCによって反応混合物のアリコートを分析することによって決定した。追加のホスゲン溶液(最大10%)を、所望の分子量を得るために加えた。反応混合物は、THFを110mlおよび水10mlを使ってクエンチした。高速のワーリングブレンダー中で、冷やした2−プロパノール1.5Lに、反応混合物を加えることによって、ポリマーを沈殿させた。得られた粘着性のポリマーは、2回に分けて、2−プロパノール0.5Lと粉砕した。細粒状ポリマー粒子は、ろ過によって分けられ、真空オーブン中で乾燥させた。
【0254】
実施例3 塞栓治療粒子の形成
実施例2のポリマーの5%w/wDMSO溶液は、DMSO12.35g中にポリマー0.650gを溶解することによって調製した。沈殿溶液は、ALCONOX界面活性剤の10vol%水溶液(濃縮液由来)3mlを300mlの水に加えることによって調製した。沈殿溶液を600mlの容器に入れ、ゆっくり(<100RPM)攪拌した。DMSOポリマー溶液を沈殿溶液に、26ゲージの針を通じてシリンジから滴下して加えることで、ポリマー球を沈殿させた。26ゲージの針をシリコンコーティングが研磨しきるまで研磨した。それは、表面張力を減少させ、結果的に、分注時にポリマーの滴を小さくする。
【0255】
沈殿したポリマー球は、フィルターした滴下漏斗によって分けられ、空気乾燥させた。そして、この球体は、COを加えながら、およそ20、000RPMで、コーヒー・グラインダー中で、低温で粉砕した。この粉砕した粒子は、強い真空下の真空オーブン中で、50℃で一晩乾燥させた。乾燥した球体は、手動で、以下の粒子範囲:
90−180ミクロンの直径
180−300ミクロンの直径
300−500ミクロンの直径
500−710ミクロンの直径
のふるいにかけた。
【0256】
実施例4 インビボ評価または粒子放射線不透過性
実施例3の塞栓治療粒子の急性放射線不透過性は、豚の腎動脈床に注射をすることによって評価した。この粒子を、末端の腎動脈床に挿入したカテーテルを通じて注射した。
【0257】
腎動脈床へのアクセスは、0.035”ワイヤー上の5Fカテーテルを使って達成された。小口径カテーテルを、より準選択的な注射を提供するために、末端の血管へと進ませた。基準の血管造影図は、画像化された(taken on cine)。塞栓治療粒子は、ビーカー中で、300mgの粒子に対して、およそ5ccとなるように生理食塩水と混合し、3ccのシリンジに吸い込んだ。充填した3ccのシリンジおよび1ccの空のシリンジは、三方活栓に装着した。粒子の沈殿は、2つのシリンジの間で、サスペンションを前後に往復させることによって防いだ。
【0258】
その活栓のアセンブリは、置換された5−Fr(0.038”ID)多目的カテーテルに装着した。このシリンジの含有物は、早くて強い注射をされた。血流がターゲットとする場所でとまるまで、ローディングおよび注射の操作を繰り返した。血流の停止は、造影剤を注射することによって確認された。
【0259】
シリンジの含有物は、以下の粒子質量
90−180um 110mg
180−300um 221mg
300−500um 233mg
500−710um 122mg
それぞれのサイズの範囲のまだ決定されていない量は、カテーテル塞栓を原因として、注射されなかった。
【0260】
粒子は、造影剤を加えない場合の注射時に、放射線透視法において全体的に目視できた。粒子は、造影剤が注射の溶液に入っていないにもかかわらず、造影剤の通り道が現れるように、黒の背景に対して、短い白の亀裂のような放射線透視の観察面上に現れた。造影剤を伴った追加の注射は、血管床の効果的な塞栓を示した。
【0261】
腎臓は、外植され、生体外でレントゲン写真を撮った(図1Aおよび1B)。図1Aにおいて、腎動脈の大きな枝、約4番目(about fourth order)、(直径およそ2〜3ミリメートル)は、塞栓治療物質(矢印)で満たされているのが見て取れる。市販のポリマー球で満たされた同じ動脈は、放射線では見ることができないであろう。図1Bにおいて、小さな腎動脈(矢印)はまた、100〜300ミクロンの粒子で満たされていることが見て取れる。
【0262】
この図は、好ましい実施形態の本質的に放射線不透過性の粒子は、X線上で腎動脈の異なった枝に実質的に均一に分布する目視できるキャストを形成することを示している。塞栓治療は、相対的に危険であり、粒子のデリバリーのほぼ完全なる制御が必要となる。デリバリーの最終地点をより正確に決定するために、リアルタイムでこれらの配置をモニターできるため、X線によって目視できる粒子は、目視できないものに比較して、より制御ができる。粒子の分布の瞬間的なフィードバックによって、粒径分布の較正ができ、結果的により正確にデリバリーさせる。好ましい実施形態に係る粒子はまた、X線によって、塞栓した組織および次のポリマーの吸収をモニターでき、現在採用されている生検法および間接的な評価方法を置換できる。
【0263】
前記は、好ましい実施形態のポリマーが、本質的に放射線不透過性である非永久的な生体適合性のある塞栓治療薬として強い望みがあることを示す。標準量より少ない量を使ったにもかかわらず、効果的な塞栓形成は、動的な透視検査による目視、および、血管床中の本質的に放射線不透過性である粒子量の透明なX線の識別によって、実現された。注目すべきは、造影剤が、塞栓形成の前および後だけに、注射されたので、粒子のX線不透過性が、ポリマーの固有特性の結果となりうる。
【0264】
実施例5 インビトロ溶離の動力学
これは、特定のポリマーからの薬物の放出を目的として、溶解の均一性を確かなものにするために、37℃で、”シンク”条件下で攪拌しながら、生理化学の特徴および溶媒抽出要求に基づいて、決定される。ポリマー(下記の表)中の治療用物質(例えば、薬剤)は、ポリマー膜の表面にコーティングされてもよく、これらの試験中で塞栓治療品エミュレートする膜をプレスする前に、ポリマーに埋め込んでも、ブレンドしてもよい。
【0265】
膜のサイズは、定量のために薬物負荷および検出限界に適応させるため、調節される。典型的な手順は、化合物の抽出または沈殿を含みうり、次いで、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を使って、定量する。3%ウシ血清アルブミン(BSA)またはリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中のトゥイーン20のような適切な溶出溶媒が使われる。溶出は、24時間〜28日の間であればよい。溶出後、膜および/または溶媒の薬剤含量を分析する。HPLC分析による物質収支決定を使って、それぞれの薬物について溶出速度を算出する。全体的な溶出像に対するそれぞれの時点で測定した数量を使って、溶出した百分率を算出する。
【0266】
【表2】

【0267】
ポリマー表面にコーティングされた、または、ポリマー中に埋め込まれた、および、膜中に押し込まれた様々なポリマー(表2)を伴う薬物溶離は、薬物溶離を図示している。図2は、ポリ−DTE−カーボネートから化学療法薬が溶離することを示している。他の生体適合性および生体吸収性ポリマーは、この目的に使われうる。このポリカーボネートの実施例において、薬物溶離は、DAT環上においてヨウ素でポリマーを修飾させる、または、ポリマーのバックボーンへPEGを加えることによって、調整されうる。
【0268】
実施例6 ポリ(IDTE−co−2.5モル%PEG2kアジピン酸塩)の調製
ジフェノールIDTE(2.97g、4.87mmol)、PEG2000(0.250g、0.125mmol)、アジピン酸(0.731g、5.04mmol)およびDPTS(ジメチルアミノピリジル−パラトルエンスルホン酸、触媒)0.4g、テフロンラインカップの茶色の100mlボトルに量り取った。ジクロロメタン40mlをまた、そのボトルに加え、しっかりと栓をする。そのボトルを10〜15分攪拌し、ジイソプロピルカルボジイミドを2.5ml(2.02g、16mmol)加え、2時間攪拌を継続する。サンプルのアリコートを取り出して、適当に処理した後、GPCで分析する。およそ100,000の分子量が望ましい。いったん所望の分子量に達すると、2−プロパノール200mlを攪拌しながら反応混合物に加える。沈殿物を収集し、窒素下で乾燥させる。その沈殿物をさらにジクロロメタン20mlに溶解し、200mlメタノールで沈殿させる。そして、そのポリマーを窒素下で乾燥させた後、真空オーブンで乾燥させる。
【0269】
実施例7 ポリ(60%IDTE−co−20%IDT−co−20%PEG2kアジピン酸塩)の重合
ジオール成分(IDTE1.83g、3.00mmol、IDTtB0.638g、1.00mmolおよびPEG2000、2.000g、1.00mmol)、二塩基酸(アジピン酸0.731g、5mmol)およびDPTS0.4gを、テフロンラインカップを伴う茶色の100mlボトルに量り取った。ジクロロメタン40mlをまた、そのボトルに加え、しっかりと栓をする。そのボトルを10〜15分攪拌し、ジイソプロピルカルボジイミドを2.5ml(2.02g、16mmol)加え、2時間攪拌を継続する。サンプルのアリコートを取り出して、適当に処理した後、GPCで分析した。およそ100,000の分子量が望ましい。所望の分子量に達したらすぐに、2−プロパノール200mlを攪拌しながら反応混合物に加える。沈殿物を収集し、窒素下で乾燥させる。その沈殿物をさらにジクロロメタン20mlに溶解し、200mlメタノールで沈殿させる。そして、そのポリマーを窒素下で乾燥させた後、真空オーブンで乾燥させる。
【0270】
脱保護:結果物たるポリマーをトリフルオロ酢酸(10%w/v)に溶解し、一晩攪拌する。次の日にそのポリマーを、混合のためのブレンダーを使って、イソプロパノール中に沈殿させる。そのポリマーを新鮮なイソプロパノールで2回粉砕させ、洗浄の間にフリットフィルターでろ過する。そして、ポリマーを窒素下で乾燥させ、次いで、真空オーブン中で乾燥させる。
【0271】
実施例8:ポリ(IDTE−co−2.5モル%PEG2kセバシン酸塩)の調製
ジフェノールIDTE(2.97g、4.87mmol)、PEG2000(0.250g、0.125mmol)、セバシン酸(1.01g、5.00mmol)およびDPTS(ジメチルアミノピリジル−パラトルエンスルホン酸、触媒)0.4gを、テフロンラインカップを伴う茶色の100mlボトルに量り取った。ジクロロメタン40mlをまた、そのボトルに加え、しっかりと栓をする。そのボトルを10〜15分攪拌し、ジイソプロピルカルボジイミドを2.5ml(2.02g、16mmol)加え、2時間攪拌を継続する。サンプルのアリコートを取り出し、適切に処理した後、GPCで分析する。およそ100,000の分子量が望ましい。所望の分子量に達したらすぐに、2−プロパノール200mlを攪拌しながら反応混合物に加える。沈殿物を収集し、窒素下で乾燥させる。その沈殿物をさらにジクロロメタン20mlに溶解し、200mlメタノールで沈殿させる。そして、そのポリマーを窒素下で乾燥させ、真空オーブンで乾燥させる。
【0272】
実施例9:トリヨウ化−DTE(IDITE)の調製
トリヨウ化モノマー(IDITE)は、公知文献に記載と類似の方法である、DATの代わりにIDATに、および、TEの代わりにITEに使用することによって、調製された。典型的な手順において、3−ヨードチロシンエチルエステル(ITE)を85.8g(0.255mol)、IDATを104g(0.250mol)および1−ヒドロキシベンゾトリアゾールを3g(0.025mol)、1L丸底フラスコ中で、500mLのテトラフィドロフランと、攪拌した。このフラスコを、アイスバス中で10〜18℃まで冷却し、EDCIを50g(0.255mol)加え、15〜22℃で1時間攪拌した。次いで、反応混合物を周辺温度で5時間攪拌した。この反応混合物を250mlまで、濃縮し、1Lの水および1Lの酢酸エチルと共に攪拌した。下の水層を分けて、分液漏斗を使って廃棄した。有機層は、順次に、500mlの0.4M HCl、5%重炭酸ナトリウム溶液および20%および塩化ナトリウムでそれぞれ洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、有機層は、シロップ状になるまで濃縮し、ヘキサンと攪拌し、粉末にした。灰色がかった固体が得られる。生産物は、HPLCおよびH NMRによって特徴付けられる。
【0273】
実施例10:テトラヨウ化されたDTE(IDITE)の調製
95%エタノール300ml中で、DTE(16.4g、0.046mol)を溶解させた。攪拌しながら、溶液に46g(0.19mol)のPyIClを加えた。固体がゆっくりと溶解し、明るい黄色の溶液になったら、その溶液を2時間攪拌した。攪拌しながら、30分かけて、10gのチオ硫酸ナトリウムを含んだ1Lの水に、それを加えた。灰色がかった固体を分離し、ろ過により分け、脱イオン水で数回洗浄した。
【0274】
湿った固体(wet cake)(ca 150g)を、それが溶解するまで、1.5Lのエタノールと熱し、室温まで冷却させた。形成された白い結晶性固体は、ろ過によって分け、95%エタノールと洗浄し、乾燥させた。乾燥した生産物32g(81%)を得た。生産物は、HPLCおよびH NMRによって特徴づけた。
【0275】
実施例11:ポリ(エチレングリコール)を含むトリヨウ化ポリマー
80%モルパーセントのIDITEおよび分子量2000の20%ポリ(エチレングリコール)を含むポリマーは、(ポリ(80%IDITE−co−20%PEG2Kカーボネート))のは、以下のように調製された。メカニカルスターラー、温度計、還流冷却器、ゴム製のセプタムを備えた三口丸底フラスコに、IDTEを6.0g(8.1mol)、PEG2000を4.1g(2.05mmol)、ジクロロメタンを66ml、およびピリジンを3.1ml(39mmol)加えた。攪拌していると、透明なほぼ無色の液体が得られた。ガス気密性のプラスチックのシリンジに、トルエン中にホスゲンの20%溶液(12.5mol)の6.5mlを入れ、シリンジポンプを使って3時間かけて反応フラスコに加えた。分子量は、GPCによって反応混合物のアリコートを分析することによって決定した。分子量200,000のポリスチレンが得られた。反応混合物は、テトラヒドロフランを55mlおよび水5mlを使ってクエンチした。高速のワーリングブレンダー中で、冷やした2−プロパノール1Lに、反応混合物を加えることによって、ポリマーを沈殿させた。得られた粘着性のポリマーは、2−プロパノール0.5Lと2回に分けて粉砕した。細粒状ポリマー粒子は、ろ過によって分けられ、真空オーブン中で乾燥させた。
【0276】
実施例12:ポリ(エチレングリコール)を含んだテトラヨウ化ポリマー
80%モルパーセントのIDITEおよび分子量2000の20%ポリ(エチレングリコール)を含むポリマー(ポリ(80%IDITE−co−20%PEG2Kカーボネート))のは、以下のように調製された。メカニカルスターラー、温度計、還流冷却器、ゴム製のセプタムを備えた、三口丸底フラスコに、IDTEを、1.55g(1.80mmol)、PEG2000を0.9g(0.45mmol)、ジクロロメタンを20ml、およびピリジンを0.68ml(8.6mmol)加えた。攪拌していると、透明なほぼ無色の液体が得られた。ガス気密性のプラスチックのシリンジに、トルエン(2.7mmol)中のホスゲンの20%溶液の1.4mlを入れ、これを、シリンジポンプを使って3時間かけて反応フラスコに加えた。分子量は、GPCによって反応混合物のアリコートを分析することによって決定した。分子量25,000のポリスチレンが得られた。反応混合物は、テトラヒドロフランを18mlおよび水2mlを使ってクエンチした。マグネチックスターラーを使って、ビーカー中で冷却した200mlの2−プロパノールに、反応混合物を加えることによって、沈殿させた。得られた粘着性のポリマーを、200mlの2−プロパノールと粉砕した。得られたポリマーは、おそらく低い分子量および高ポリ(エチレングリコール)含量のための粘着性のままであった。
【0277】
図3a−bは、放射線不透過性および生体吸収性のある、ジヨウ化およびトリヨウ化チロシン由来のポリカーボネート膜の放射線の比較を示している。ポリ(IDITE−co−20%PEG2k)カーボネートの114ミクロンの膜は、ヒトの骨と同等の光学濃度(photo−density)を有している。ポリ(80%IDTE−co−20%PEG2k)カーボネートのそれは、より低い光学濃度(photo−density)を有する。
【0278】
実施例13:ポリマーの表面へのフィブリノゲン吸着
ポリマーの表面へのヒトフィブリノゲン吸着の経時変化は、スウェーデンのGoeteborg製のQuartz Crystal Microbalance with Dissipation monitoring (QCM−D、 Q−Sense AB、 model D300)を使って測定した。
【0279】
QCM−Dは、重量法であって、表面に接着する液体中の物質の質量をリアルタイムで測定するのに役に立つ。水晶表面に結合する質量の増加は、結晶の振動周波数の減少を引き起こす。さらに、このデバイスは、表面吸着の質量によって、誘導される消失の変化を測定することができる。
【0280】
水晶振動子(Q−Sense、 Cat # QSX−301)は、ポリマー溶液(ジクロロメタン中の1% ポリマー)でスピンコーティングされた。ステンレス・スティール(Q−Sense、 Cat # QSX−304)の薄膜でコーティングされた、市場で市販の水晶振動子を、比較のために含有させた。典型的な実験を始めるために、この水晶振動子をQCM−D装置に入れて、37℃で、リン酸緩衝生理食塩水中(PBS)でインキュベートした。安定したベースラインに達した後、フィブリノゲン溶液が注射され、吸着された質量によって誘発される、振動数および消失シフトは、リアルタイムで測定された。フィブリノゲン溶液は、結合飽和に達する(振動数および消失値のより顕著な変化がないことによって示唆される)まで、インキュベートされた。フィブリノゲンのないPBSは、すべてのリンス段階に使われ、吸着工程後のセンサー表面から、結合していないフィブリノゲンを除去した。ヒトフィブリノゲンは、Calbiochem(Cat # 341576)から購入し、PBS中で希釈し、3mg/mlの終末濃度にした。すべての実験は3回行って、すべては12%(標準誤差)未満の標準偏差であった。
【0281】
水晶振動子は、以下のクリーニング工程を適用することによって最大10回、再利用しうる:水晶振動子とH(30%)、NHOHおよび超純水を1:1:5の割合で混合したものからなるクリーニング溶液(80℃、15分)で処理した。その後、水晶振動子は、よく超純水でリンスし、窒素で乾燥させた。最終的に、水晶振動子は、UVおよびオゾンに、15分さらした(UVO cleaner、 Jelight Company、 Irvine、 CA、 USA)。
【0282】
表3は、インビトロでのフィブリノゲン吸着に関する、異なったステントポリマー形成の比較評価を要約したものである。フィブリノゲンは、鍵となる血液タンパク質である。血液と接触する人工表面上のフィブリノゲン吸着の度合いは、広範に、上述した表面の血液適合しやすさの信頼性のある指標であるとみなされる。生医学工学における分野で周知である一般的な法則として、物質にフィブリノゲンの吸着するレベルが小さければ小さいほど、物質の血液適合性のレベルが高くなる。
【0283】
【表3】

【0284】
表3に関して、アイテム1(ステインレス・スティール)は、臨床上使用されるその低い血栓形成レベルおよび、よい血液適合性として知られている材料を示す。ステンレス・スティールは、コントロールとしての役割があり、フィブリノゲン吸着の許容レベルを有する。表3中のアイテム2は、ダクロンであり、血管の用途で、限られた医療の実用性を有する塞栓剤として知られている。ダクロンは、すべての検査物質の中でフィブリノゲン吸着の一番高いレベルを有する。アイテム3は、ポリ(DTEカーボネート)であり、式Iに示された、ポリマー中の原料物質である。フィブリノゲン吸着の高いレベルは、このポリマーは血液接触医療機器中で用いるための有用な候補にはならないことを示している。ヨウ素単体(アイテム4)または、DTユニット単体(アイテム5)の取り込みのいずれかは、フィブリノゲン吸着のレベルを減少させる傾向にある。
【0285】
前記のものは、同時に起こるヨウ素、DTおよびPEGの取り込みは、強いポリマーを機械的に提供する必要性と依然として両立できるPEGレベルにおいて、フィブリノゲン吸着の大幅な減少に帰着することを示している。一般的な規則中で、出願人は、さらにもう一つの予期できない実験を与えている:アイテム6および7の比較は、非常に小さいポリマー組成物内のPEGの量の増加が、タンパク質吸着の進歩性および予測不可能な効果を有しうることを示している。ポリマー組成物6へのフィブリノゲン吸着は、十分に低いので、低い塞栓の適用に使う有望な候補材料としての組成物としての適格があり、一方で、およそ0.9モル%という低いPEGが、ポリマー組成物7へ付加されることにより、臨床上用いられるステンレス・スティールよりも、その血液適合性に関して、よりよいであろうポリマー組成物を提供した。
【0286】
表3中のポリマー組成物7は、本出願人によって初めて分かるもうひとつの重要な設計原理を示している:ヨウ素およびPEGが、同時に、式Iに示されるポリマー組成物に取り込まれるとき、PEGの非常に低いモル比は、フィブリノゲンの表面吸着を劇的に減少させるために十分である。出願人は、ポリマー組成物の機械的な特性におけるヨウ素およびPEGの前記効果と組み合わせて、ポリマーの機械的および生物学的特性の両方を、同時に最適化する方法を知得した。したがって、血栓形成レベル(すなわち、血管細胞およびタンパク質ならびに、血栓形成に関連する他の分子に対する親和性を増加および減少)は、ヨウ素の相対的なレベルならびにPEG、DTおよびDTEのパーセントを変えることによって、塞栓治療品に対して処理することができる。
【0287】
加えて、塞栓治療品はデリバリーされうる、または、特定の臨床効果に対して所望する塞栓形成した内腔での生物学的反応を促進することを予定した、他の生体適合性および生体再吸収性ポリマーをコーティングしうる。このコーティングは、チロシン誘導のポリカーボネート、チロシン誘導のポリアリーレート、ポリエステルアミド、ポリ炭酸アミド、トリメチレンカーボネート、ポリカプロラクトン、ポリジオキサン、ポリヒドロキシ酪酸塩、および、ポリヒドロキシ吉草酸塩、ポリグリコリド、ポリラクチド、ならびに、例えばグリコリド/ラクチドコポリマーのような、生体適合性および生体吸収性のあるポリマーに対するそれらの立体異性体およびコポリマーの使用を含んだいずれか一つ、または、これらの組み合わせ、を含むいずれかの生体適合性および生体吸収性のあるポリマーからなる広範な群から選択されうる。このコーティングは、生物学的反応を誘引および/または阻害するような挙動をしうる。
【0288】
ある例において、塞栓治療品のバルク、本実施例では粒子、は、ヨウ化ポリカーボネート組成物中で高いPEGのパーセントを含みうり、これにより、カテーテルを通じて局在化したデリバリーに対して、所望する粒子の圧縮性および弾力性が得られる。さらに、この粒子は、所望する塞栓形成に対して、キトサンまたはポリ(DTEカーボネート)のようなフィブリノゲン吸収コーティングを含みうる。このような粒子は、薬物乾燥器、スプレーコーターおよびディップコーターなどを使用してもよい、医療機器業界で使われている上塗り(上部コーティング)方法によって、および、製薬業界で使われている、例えば標準粉体コーティング(粉体塗装)方法のような当業者に既知である方法および技術のいずれかを使って、生産することができる。
【0289】
このような方法および技術の例は、以下に開示されている。Ravina et al.、 “Arterial Embolization to Treat Uterine Myomata、” Lancet、 346、 671−672 (Sep. 9、 1995); Hilal et al.、 “Therapeutic percutaneous embolization for extra−axial vascular lesions of the head、 neck、 and spine、” J. Neurosurg. 43(3)、 275−287 (1975); Solomon et al.、 “Chemoembolization of hepatocellular carcinoma with cisplatin、 doxorubicin、 mitomycin−C、 ethiodol、 and polyvinyl alcohol: prospective evaluation of response and survival in a U.S. population、” J Vasc Interv Radiol.、 10(6)、 793−8 June 1999); Tseng et al.、 “Angiographic embolization for epistaxis: a review of 114 cases.” Laryngoscope、 108(4 Pt 1)、 615−9 (April 1998); Kerber et al.、 “Flow−controlled therapeutic embolization: a physiologic and safe technique、”Am. J. Roentgenol.、 134(3)、 557−61 (March 1980); Latchaw et al.、“Polyvinyl Foam Embolization of Vascular and Neoplastic Lesions of the Head、 Neck and Spine、” Radiology、 131、 669−679 (1978); and Tadavarthy、 et al.、 “Polyvinyl Alcohol (Ivalon) A New Embolic Material、” Am. J. Roentgenol.: Radium Therapy and Nuclear Medicine、 125、 609−616(1975)。
【0290】
多くの本発明およびそのバリエーションに係る好ましい実施形態は、詳細に説明されているが、当業者であれば容易に、使用の修正および他の方法を用いることができる。したがって、本発明はこれに限定されず、本発明が属する技術分野において通常の知識を有するものであれば本発明の思想と精神を逸脱することなく、本発明を修正または変更できるであろう。
【0291】
【表4】

【0292】
【表5】

【0293】
【表6】

【図面の簡単な説明】
【0294】
【図1】図1A−1Cは、好ましい実施形態によると、放射線透過性のポリマーの塞栓治療組成を、外植した不潔な腎臓に注射したときの放射線写真を示している。
【図2】図2は、好ましい実施形態によると、例えば、ポリDTEカーボネートコーティング、生体適合性のあるポリマーの塞栓治療コーティングのような化学療法薬(パクリタキセル)が、37℃で、トゥイーン20を伴ったPBSに溶解していくことを示している。
【図3】図3a−bは、本発明の一つの好ましい実施形態によると、放射線不透過性を示す生体吸収性のあるトリ−ヨウ化チロシン誘導のポリカーボネイトフィルムの放射線の比較を示している。ポリ(I2DITE−co−20%PEG2k)カーボネイトフィルムは、ヒトの骨と同等の写真密度を有する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体適合性および生体再吸収性のあるポリマーならびに必要であれば、それらの立体異性体を含む粒剤であって、前記ポリマーは、塞栓治療品を本質的に放射線不透過性にする相当数のハロゲン原子を有する、塞栓治療品。
【請求項2】
前記ポリマーは、ホモポリマー、ヘテロポリマーまたはそれらのブレンドを、さらに含む請求項1に記載の塞栓治療品。
【請求項3】
前記ポリマーは、式I:
【化1】

に記載の1以上のユニットを含み、
ただし、X=ヨウ素または臭素であり;Y1およびY2は、独立して、0、1、2、3または4であってもよく;
fは、0以上1未満であり;gは、0以上1以下であり;f+gは、0以上1以下であり;
Aは、下記の式:
【化2】

のいずれかであり、
ただし、独立的に、Rは、水素または酸素および窒素から選択される0〜5個のヘテロ原子を含む炭素原子が1〜およそ18個の範囲のアルキル基であり;
ただし、Rは、飽和もしくは不飽和、または、置換した若しくは置換していない、最大18個くらいの炭素原子ならびに酸素および窒素から選択される0〜8個のヘテロ原子を含むアルキル、アリール、またはアルキルアリール基であり;
ただし、Bは、脂肪族の直鎖または分岐鎖のジオールまたはポリ(アルキレングリコール)ユニットであり;
ただし、RおよびRは、以下の式:
【化3】

から独立的に、選択されてもよく、
ただし、Rは、CH=CH−、−CHJ−CHJ−および(−CH−)からなる群から選択され;ただし、Rは、−CH=CH−、−CHJ−CHJ−および(−CH−)からなる群から選択され;ただし、aおよびnは、独立的に、0以上8以下であり;JおよびJは、独立的に、臭素またはヨウ素であり;Rに対して、Qは、遊離のカルボキシル基を含み、それぞれのRに対して、Qは、独立的に、水素ならびにカルボン酸エステルおよびアミドからなる群から選択され、ただし、前記エステルおよびアミドは、最大18個の炭素原子を有するアルキルおよびアルキルアリール基を有するエステルおよびアミドならびに生物学的および薬理学的に活性のあるエステルおよびアミド、からなる群から選択される、請求項1に記載の塞栓治療品。
【請求項4】
RおよびRは、下記の群:
【化4】

から選択され、
ただし、それぞれのRに対するRは、独立的に、酸素および窒素から選択される0〜5個のヘテロ原子を含む炭素原子が1〜およそ18個の範囲のアルキル基であり、それぞれのRに対するRは、水素であり;
ただし、jおよびmは、独立的に、1以上8以下の整数であり;
ただし、Zは、独立的に、酸素または硫黄である、請求項3に記載の塞栓治療品。
【請求項5】
前記ポリマーは、式II:
【化5】

に記載の、1以上のユニットを含み、
ただし、それぞれのポリマーユニットに対するXは、独立的に、臭素またはヨウ素であり、Yは1以上4以下であり、Rは、最大18個の炭素原子ならびに酸素および窒素から選択される0〜8個のヘテロ原子を伴う、アルキル、アリールまたはアルキルアリール基である、請求項1に記載の塞栓治療品。
【請求項6】
すべてのX基は、オルト−配向性であって、Yは、1または2である、請求項5に記載の塞栓治療品。
【請求項7】
が、アルキル基である、請求項5に記載の塞栓治療品。
【請求項8】
が、以下の構造:
【化6】

を有し、
ただし、それぞれのユニットに対するRは、独立的に、最大18個の炭素原子ならびに酸素および窒素から選択される0〜8個のヘテロ原子を含むアルキル、アリールまたはアルキルアリール基であり;RおよびRは、それぞれ独立的に、水素ならびに最大18個の炭素原子と、酸素および窒素から選択される0〜8個のヘテロ原子と、を有するアルキル基から選択される、請求項7に記載の塞栓治療品。
【請求項9】
少なくとも一つのユニットに対するRは、ペンダントCOOR基を含み、ただし、前記ペンダントCOOR基が存在しているときの、それぞれのユニットに対するサブグループRは、独立的に、水素または酸素および窒素から選択される0〜5個のヘテロ原子を含む炭素原子1〜およそ18個の範囲のアルキル基である、請求項8に記載の塞栓治療品。
【請求項10】
は、独立的に、以下の構造を有し、
【化7】

ただし、Rは、−CH=CH−、−CHJ−CHJ−および(−CH−)aからなる群から選択され、ただし、Rは、−CH=CH−、−CHJ−CHJ−および(−CH−)nからなる群から選択され、ただし、aおよびnは、独立的に、0以上8以下であり;ならびに、JおよびJは、独立的に、臭素またはヨウ素であり;ならびにQは、水素、遊離のカルボキシル基ならびにカルボン酸エステルおよびアミドからなる群から選択され、ただし、前記エステルおよびアミドは、最大18個の炭素原子を有するアルキルおよびアルキルアリール基を有するエステルおよびアミドならびに生物学的および薬理学的に活性のあるエステルおよびアミドからなる群から選択される、請求項8に記載の塞栓治療品。
【請求項11】
は、独立的に、以下の構造:
【化8】

を有し、
ただし、R5aは、最大18個の炭素原子ならびに酸素および窒素から選択される0〜5個のヘテロ原子を含むアルキル基であり;ただし、mは、1以上8以下の整数であり;ならびにRは、独立的に、水素または酸素および窒素から選択される0〜5個のヘテロ原子を含む炭素原子1〜およそ18個の範囲のアルキル基である、請求項8に記載の塞栓治療品。
【請求項12】
それぞれのRは独立的に、以下の構造:
【化9】

を有し、
ただし、jおよびmは、独立的に、1以上8以下の整数であり、Rは、独立的に、水素または酸素および窒素から選択される0〜5個のヘテロ原子を含む炭素原子1〜およそ18個の範囲のアルキル基である、請求項8に記載の塞栓治療品。
【請求項13】
前記ポリマーは、ポリ(C−Cアルキレングリコール)と共重合する、請求項3〜12のいずれか1項に記載の塞栓治療品。
【請求項14】
前記ポリ(C−Cアルキレングリコール)は、およそ75wt%未満の重量分率で存在する、請求項13に記載の塞栓治療品。
【請求項15】
前記ポリ(C−Cアルキレングリコール)は、ポリ(エチレングリコール)である、請求項14に記載の塞栓治療品。
【請求項16】
ポリマーユニットのおよそ0.01以上0.99%以下は、ペンダント−COOH基を含む、請求項13に記載の塞栓治療品。
【請求項17】
は、アリールまたはアルキルアリール基である、請求項5に記載の塞栓治療品。
【請求項18】
のアリールまたはアルキルアリール基は、前記ポリマーユニットが、ジフェノールであるように選択的される、請求項17に記載の塞栓治療品。
【請求項19】
前記ポリマーは式III:
【化10】

に記載の1以上のユニットを含み、
ただし、それぞれのポリマーユニットに対するXは、独立的に、臭素またはヨウ素であり、Y1およびY2は、それぞれ独立的に、0以上4以下であり、それぞれのユニットに対するY1+Y2は、独立的に、1以上8以下であり、ならびに、それぞれのポリマーユニットに対するRは、独立的に、最大18個の炭素原子ならびに酸素および窒素から選択された0〜8個のヘテロ原子を含む、アルキル、アリール、またはアルキルアリール基である、請求項1に記載の塞栓治療品。
【請求項20】
すべてのX基は、オルト−配向性である、請求項19に記載の塞栓治療品。
【請求項21】
Y1およびY2は、独立的に、2以下であり、Y1+Y2は、1、2、3または4である、請求項19に記載の塞栓治療品。
【請求項22】
少なくとも一つのユニットに対するRがペンダント−COOR基を含み、ただし、前記COOR基が存在しているそれぞれのユニットに対するサブグループRは、独立的に、水素または酸素および窒素から選択される0〜5個のヘテロ原子を含む炭素原子1〜およそ18個の範囲のアルキル基である、請求項19に記載の塞栓治療品。
【請求項23】
は、独立的に、以下の構造:
【化11】

を有し、
ただし、Rは、−CH=CH−、−CHJ−CHJ−および(−CH−)aからなる群から選択され、Rは、−CH=CH−、−CHJ−CHJ−および(−CH−)n、からなる群から選択され、ただし、aおよびnは、独立的に、0以上8以下であり;ならびにJおよびJは、独立的に、臭素またはヨウ素であり;ならびにQは、水素、遊離のカルボキシル基ならびにカルボン酸エステルおよびアミドからなる群から選択され、ただし、前記エステルおよびアミドは、最大18個の炭素原子を有するアルキルおよびアルキルアリール基を有するエステルおよびアミドならびに生物学的および薬理学的に活性のあるエステルおよびアミドからなる群から選択される、請求項19に記載の塞栓治療品。
【請求項24】
は、独立的に、以下の構造:
【化12】

を有し、
ただし、R5aは、最大18個の炭素原子ならびに酸素および窒素から選択される0〜5個のヘテロ原子を含むアルキル基であり、ただし、mは、1以上8以下の整数であり、Rは、独立的に、水素または、酸素および窒素から選択される0〜5個のヘテロ原子を含む炭素原子1〜およそ18個の範囲のアルキル基である、請求項19に記載の塞栓治療品。
【請求項25】
は、独立的に、以下の構造:
【化13】

を有し、
ただし、jおよびmは、独立的に、1以上8以下の整数であり、Rは、独立的に、水素または酸素および窒素から選択される0〜5個のヘテロ原子を含む炭素原子1からおよそ18個の範囲のアルキル基である、請求項19に記載の塞栓治療品。
【請求項26】
前記ポリマーユニットのおよそ0.01〜およそ0.09%は、ペンダントCOOH基を含む、請求項19に記載の塞栓治療品。
【請求項27】
前記ポリマーは、75wt%以下のポリ(C−Cアルキレングリコール)と共重合する、請求項19に記載の塞栓治療品。
【請求項28】
前記ポリ(C−Cアルキレングリコール)は、ポリ(エチレングリコール)である、請求項27に記載の塞栓治療品。
【請求項29】
前記ポリマーは式IV:
【化14】

に記載の1以上のユニットを含み、
ただし、それぞれのXは、独立的に、ヨウ素または臭素であり、それぞれのジフェノールユニットに対するY1およびY2は、独立的に、0以上4以下であり;それぞれのジフェノールユニットに対するY1+Y2は、1以上8以下であり;
RおよびRのそれぞれは、独立的に、最大18個の炭素原子ならびに酸素および窒素から選択される0〜8個のヘテロ原子を含むアルキル、アリールまたはアルキルアリール基であり;ただし、Rは、ペンダントカルボキシル基を更に含み、ただし、Aは以下の式:
【化15】

のいずれかであり、
ただし、Rは、飽和もしくは不飽和、または、置換したもしくは置換していない、およそ最大18個の炭素原子および酸素および窒素から選択される0〜8個のヘテロ原子を含むアルキル、アリール、またはアルキルアリール基であり、
Pは、およそ75%以下の重量分率を有するポリ(C−Cアルキレングリコール)ユニットであり、fは、0以上1未満であり、gは、0以上1以下であり、f+gは、0以上1以下である、請求項1に記載の塞栓治療品。
【請求項30】
Pは、およそ50%以下の重量分率で存在するポリ(エチレングリコール)である、請求項29に記載の塞栓治療品。
【請求項31】
Pは、およそ30%以下の重量分率でポリ(エチレングリコール)が存在する、請求項29に記載の塞栓治療品。
【請求項32】
RおよびRの両方は、ペンダントCOOR基を含み、ただし、Rに対するサブグループRは、独立的に、酸素および窒素から選択される0〜5個のヘテロ原子を含む炭素原子1〜およそ18個の範囲のアルキル基であり;ただし、Rに対するサブグループRは、水素原子である、請求項29に記載の塞栓治療品。
【請求項33】
RおよびRのそれぞれは、独立的に、以下の構造:
【化16】

を有し、
ただし、Rは、−CH=CH−、−CHJ−CHJ−および(−CH−)a、からなる群から選択され、ただし、Rは、−CH=CH−、−CHJ−CHJ−および(−CH−)n、からなる群から選択され、ただし、aおよびnは、独立的に、0以上8以下の整数であり、JおよびJは、独立的に、臭素またはヨウ素であり;Rに対するQは、遊離のカルボキシル基を含み、Rに対するQは、独立的に、水素ならびにカルボン酸エステルおよびアミドからなる群から選択され、ただし、前記エステルおよびアミドは、生物学的および薬理学的に活性のある化合物の、最大18個の炭素原子ならびエステルおよびアミドを含むアルキルおよびアルキルアリール基のエステルおよびアミド基のからなる群から選択される、請求項29に記載の塞栓治療品。
【請求項34】
それぞれのRは、独立的に、以下の構造:
【化17】

を有し、
ただし、R5aは、最大18個の炭素原子および酸素および窒素から選択される0〜5個のヘテロ原子を含むアルキル基であり;ただし、mは、1以上8以下の整数であり、Rに対するRは、水素であり、それぞれのRに対するRは、独立的に、酸素および窒素から選択される0〜5個のヘテロ原子を含む炭素原子1〜およそ18個の範囲のアルキル基である、請求項29に記載の塞栓治療品。
【請求項35】
それぞれのRは、独立的に、以下の構造:
【化18】

を有し、
ただし、jおよびmは、独立的に、1以上8以下の整数であり、それぞれのRに対するRは、水素であり、それぞれのRに対して、Rは、独立的に、酸素および窒素から選択される0〜5個のヘテロ原子を含む炭素原子1〜およそ18個の範囲のアルキル基である、請求項29に記載の塞栓治療品。
【請求項36】
前記ポリマーのRに対するそれぞれのサブグループRは、エチルまたはブチルのいずれかである、請求項34または35に記載の塞栓治療品。
【請求項37】
前記ポリマーのAは、−C(=O)−基である、請求項29に記載の塞栓治療品。
【請求項38】
前記ポリマーのAは、以下の構造:
【化19】

を有し、
ただし、Rは、C−C12アルキル、C−C14アリールまたはC−C14アルキルアリールである、請求項29に記載の塞栓治療品。
【請求項39】
は、Aが、天然に存在する代謝産物であるジカルボン酸の部分であるように選択される、請求項38に記載の塞栓治療品。
【請求項40】
前記ポリマーのRは、−CH−C(=O)−、−CH−CH−C(=O)−、−CH=CH−および(−CH−)から選択される部分であり、ただし、zは、1以上8以下の整数である、請求項38に記載の塞栓治療品。
【請求項41】
すべてのX基は、オルト−配向性である、請求項29に記載の塞栓治療品。
【請求項42】
Y1およびY2は、独立的に、2以下であり、Y1+Y2は、1、2、3または4である、請求項29に記載の塞栓治療品。
【請求項43】
すべてのX基は、ヨウ素である、請求項42に記載の塞栓治療品。
【請求項44】
fは、0.1超およそ0.3までである、請求項29に記載の塞栓治療品。
【請求項45】
fは、0.2超およそ0.25までである、請求項44に記載の塞栓治療品。
【請求項46】
前記ポリ(C−Cアルキレングリコール)の重量分率は、およそ25wt%未満である、請求項29に記載の塞栓治療品。
【請求項47】
gは、およそ0.1超およそ0.35までである、請求項29に記載の塞栓治療品。
【請求項48】
gは、およそ0.2超およそ0.3までである、請求項47に記載の塞栓治療品。
【請求項49】
前記ポリマーは、式V:
【化20】

の1以上のユニットを含み、
ただし、それぞれのXは、独立的に、ヨウ素または臭素であり、それぞれのyは、独立的に、0以上4以下であり、ただし、環置換のヨウ素および臭素の総数は、1以上8以下であり、RおよびRのそれぞれは、独立的に、最大18個の炭素原子ならびに酸素および窒素から選択される0〜8個のヘテロ原子を含むアルキル、アリールまたはアルキルアリール基であり、Rは、さらにペンダントカルボキシル基を含み、
ただし、Aは、以下の式:
【化21】

の何れかであり、
ただし、Rは、飽和もしくは不飽和、または、置換した若しくは置換していない、最大18個くらいの炭素原子ならびに酸素および窒素から選択される0〜5個のヘテロ原子を含むアルキル、アリールおよびアルキルアリール基であり、
Pは、およそ75wt%未満の重量分率で存在するポリ(C−Cアルキレングリコール)であり、fは、0超1未満であり;gは、0以上1以下であり;f+gは、0以上1以下である、請求項1に記載の塞栓治療品。
【請求項50】
Pは、ポリ(エチレングリコール)ユニットである、請求項49に記載の塞栓治療品。
【請求項51】
前記ポリマーのRおよびRのそれぞれは、ペンダント−COOR基を含み、ただし、それぞれのRに対する、それぞれのサブグループRは、独立的に、酸素および窒素からなる群から選択される0〜5個のヘテロ原子を含む炭素原子1〜およそ18個の範囲のアルキル基であり、それぞれのRに対する、それぞれのサブグループRは、水素原子である、請求項49に記載の塞栓治療品。
【請求項52】
前記ポリマーのRおよびRのそれぞれは、以下の式:
【化22】

であり、
ただし、R5aは、最大18個の炭素原子ならびに酸素および窒素から選択されるヘテロ原子の0〜5個のヘテロ原子を含むアルキル基であり、ただし、mは、1以上8以下の整数であり、それぞれのRに対するそれぞれのサブグループRは水素であり、かつ、それぞれのRに対するそれぞれのサブグループRは、独立的に、酸素および窒素から選択される炭素原子0〜5個のヘテロ原子を含む炭素原子1〜およそ18個の範囲のアルキル基である、請求項49に記載の塞栓治療品。
【請求項53】
それぞれのRに対するそれぞれのサブグループRは、エチルまたはブチルのいずれかである、請求項52に記載の塞栓治療品。
【請求項54】
Aは、−C(=O)−基である、請求項49に記載の塞栓治療品。
【請求項55】
Aは、以下の式:
【化23】

であり、
ただし、Rは、C−C12アルキル、C−C14アリールまたはC−C14アルキルアリールである、請求項49に記載の塞栓治療品。
【請求項56】
は、Aが、天然に存在する代謝産物のジカルボン酸の部分であるように選択される、請求項49に記載の塞栓治療品。
【請求項57】
は、−CH−C(=O)−、−CH−CH−C(=O)−、−CH=CH−および(−CH−)zからなる群から選択される部分であり、ただし、zは、1以上8以下の整数である、請求項56に記載の塞栓治療品。
【請求項58】
すべてのX基は、オルト−配向性であり、yは、2または3である、請求項49に記載の塞栓治療品。
【請求項59】
すべてのX基は、ヨウ素である、請求項58に記載の塞栓治療品。
【請求項60】
fは、およそ0.1超およそ0.3までである、請求項49に記載の塞栓治療品。
【請求項61】
gは、およそ0.1超およそ0.35までである、請求項49に記載の塞栓治療品。
【請求項62】
粒剤は、注射による投与用に構成される、請求項1に記載の塞栓治療品。
【請求項63】
前記粒剤は、球形粒子、幾何学的に不規則な粒子、多孔質粒子、中空粒子、固体粒子および、およそ10ミクロン〜およそ5000ミクロンの範囲の排除直径を有する粒子、ならびに、これらの組み合わせからなる群から選択されるポリマー粒子を含む、請求項1に記載の塞栓治療品。
【請求項64】
前記粒剤は、ポリマーのヒドロゲル組成物を含む、請求項1に記載の塞栓治療品。
【請求項65】
前記ポリマーは、有効量の少なくとも一つの治療薬をさらに含む、請求項1に記載の塞栓治療品。
【請求項66】
少なくとも一つの前記治療薬は、化学療法薬、非ステロイド性抗炎症薬またはステロイド性抗炎症薬からなる群から選択される、請求項65に記載の塞栓治療品。
【請求項67】
前記粒剤は、磁気共鳴促進剤の有効量をさらに含む、請求項1に記載の塞栓治療品。
【請求項68】
前記粒剤は、ヨウ素、臭素、バリウム、ビスマス、金、プラチナ、タンタル、タングステンおよびそれらの混合物からなる群から選択される、放射線不透過性の薬剤の有効量をさらに含む、請求項1に記載の塞栓治療品。
【請求項69】
前記粒剤は、選択された生物学的反応を促進するために適応された、生体適合性および生体吸収性のあるポリマーコーティングをさらに含む、請求項1に記載の塞栓治療品。
【請求項70】
前記生物学的反応は、血栓症、細胞付着、細胞増殖、炎症細胞の誘発およびマトリクスたんぱく質の沈着、血栓症の阻害、細胞付着の阻害、細胞増殖の阻害、炎症細胞の阻害およびマトリクスたんぱく質の沈着の阻害またはそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項69に記載の塞栓治療品。
【請求項71】
式I:
【化24】

を有する粒剤を含み、
ただし、Xは、ヨウ素または臭素であり、Y1およびY2は、独立的に、0、1、2、3または4でもよく;
ただし、fおよびgは、0〜1の範囲でもよく;
ただし、RおよびRは、独立的に、以下の式:
【化25】

から選択されてもよく、
ただし、それぞれのRに対するそれぞれのサブグループRは、水素であり、それぞれのRに対するサブグループRは、独立的に、長鎖脂肪族炭化水素であり;
ただし、jおよびmは、独立的に、1以上8以下の整数であり;
ただし、Zは、独立的に、酸素または硫黄であり;
ただし、Aは、以下の式:
【化26】

からなる群から選択され、
ただし、Rは、飽和もしくは不飽和、または、置換した若しくは置換していない、最大18個くらいの炭素原子および酸素および窒素から選択される0〜8個のヘテロ原子を含むアルキル、アリール、アルキルアリール基であり;
ただし、Bは脂肪族の線形または分岐ジオールまたはポリ(アルキレングリコール)ユニットである、塞栓治療品。
【請求項72】
体の内腔に、請求項1に記載の塞栓治療品の有効量を取り込む段階を含む、体の内腔に塞栓を形成させる方法。
【請求項73】
前記取り込みは、カテーテルまたはシリンジのいずれかを通じて、注射によって達成される、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
静脈瘤および/またはクモ状静脈中に、請求項1に記載の塞栓治療品の有効量を投与することを含む、前記静脈瘤および/またはクモ状静脈の治療方法。
【請求項75】
前記投与は、カテーテルまたはシリンジのいずれかを通じて、注射によって達成される、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
組織に関係している血管に、前記組織からの血流を減少させるために十分な量の請求項1に記載の塞栓治療品を投与する段階と、
治療薬を、前記血管に、治療薬の局在的なデリバリーが強くなるように、請求項1に記載の塞栓治療品と分けて投与、または、組み合わせて投与する段階と、
最初に投与された塞栓治療品が、前記血管へ再アクセスするために十分に分解された後、前記塞栓治療品および前記治療薬の投与の前記段階を繰り返す段階と、
を含む、組織への治療薬の局在的なデリバリーを強化する方法。
【請求項77】
一定期間組織から血流を減少させるのに十分な量の、請求項1に記載の塞栓治療品を、前記組織に関連のある血管の領域に投与する段階と、
前記組織が再治療される、または、再診断の他の形式を許容するように、前記組織に関連するほぼ同じ血管の領域に、塞栓治療品のいずれかを、後に投与する段階と、
を含む体の内腔を再治療する方法。
【請求項78】
前記ポリマーは、天然に存在しない生体吸収性および本質的に放射線不透過性であるポリマーを含む、請求項1に記載の塞栓治療品。
【請求項79】
前記ポリマーは、少なくとも一つのアミノ酸を含む生体吸収性および本質的に放射線不透過性であるポリマーを含む、請求項1に記載の塞栓治療品。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公表番号】特表2007−506791(P2007−506791A)
【公表日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−528308(P2006−528308)
【出願日】平成16年9月27日(2004.9.27)
【国際出願番号】PCT/US2004/031770
【国際公開番号】WO2005/030268
【国際公開日】平成17年4月7日(2005.4.7)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(505421375)ラトガース,ザ ステート ユニバーシティ (9)
【Fターム(参考)】