説明

塩、酸発生剤及びレジスト組成物

【課題】優れた形状でレジストパターンを製造することができるレジスト組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】式(I)で表される塩、この塩を含有する酸発生剤、この酸発生剤と樹脂とを含有するレジスト組成物。


[式中、R及びRは、互いに独立に、フッ素原子又はペルフルオロアルキル基;Lは、2価の飽和炭化水素基を表し、該基に含まれる−CH−は、−O−又は−CO−で置き換わっていてもよい;環Wは複素環;Rは、水素原子又は炭化水素基を表し、該基に含まれる−CH−は、−O−又は−CO−で置き換わっていてもよい;Rは、独立に炭化水素基を表し、該基に含まれる−CH−は、−O−又は−CO−で置き換わっていてもよい;mは0〜6の整数;Zは有機カチオンを表す。]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塩、酸発生剤及びレジスト組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、酸発生剤用の塩として、トリフェニルスルホニウム1−((3−ヒドロキシアダマンチル)メトキシカルボニル)ジフルオロメタンスルホナートを含むフォトレジスト組成物が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−257078号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の塩を酸発生剤として含むレジスト組成物では、レジストパターン形成時の露光マージン(EL)及びフォーカスマージン(DOF)が必ずしも満足できない場合があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下の発明を含む。
〔1〕式(I)で表される塩。

[式(I)中、
及びRは、互いに独立に、フッ素原子又は炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基を表す。
は、炭素数1〜17の2価の飽和炭化水素基を表し、該2価の飽和炭化水素基に含まれる−CH−は、−O−又は−CO−で置き換わっていてもよい。
環Wは、炭素数2〜36の複素環を表す。
は、水素原子又は炭素数1〜12の炭化水素基を表し、該炭化水素基に含まれる−CH−は、−O−又は−CO−で置き換わっていてもよい。
は、それぞれ独立に、炭素数1〜6の炭化水素基を表し、該炭化水素基に含まれる−CH−は、−O−又は−CO−で置き換わっていてもよい。
mは、0〜6の整数を表す。
は、有機カチオンを表す。]
【0006】
〔2〕Lが、式(L1−1)で表される基である〔1〕の塩。

[式(L1−1)中、Lb2は、単結合又は炭素数1〜15の2価の飽和炭化水素基を表す。
*は−C(R)(R)−との結合手を表す。]
〔3〕Zが、トリアリールスルホニウムカチオンである〔1〕又は〔2〕の塩。
【0007】
〔4〕上記〔1〕〜〔3〕のいずれか記載の塩を含有する酸発生剤。
【0008】
〔5〕上記〔4〕の酸発生剤と樹脂とを含み、該樹脂は酸に不安定な基を有し、かつアルカリ水溶液に不溶又は難溶な樹脂であり、酸との作用によりアルカリ水溶液で溶解し得る樹脂であるレジスト組成物。
〔6〕さらに塩基性化合物を含有する〔5〕のレジスト組成物。
【0009】
〔7〕(1)上記〔4〕又は〔5〕のレジスト組成物を基板上に塗布する工程、
(2)塗布後の組成物を乾燥させて組成物層を形成する工程、
(3)組成物層に露光機を用いて露光する工程、
(4)露光後の組成物層を加熱する工程、
(5)加熱後の組成物層を、現像装置を用いて現像する工程を含むレジストパターンの製造方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明の塩によれば、レジストパターン形成時の露光マージン(EL)及びフォーカスマージン(DOF)が広いレジスト組成物を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書では、特に断りのない限り、同様の置換基を有するいずれの化学構造式も、炭素数を適宜選択しながら、後述する具体的な各置換基を適用することができる。直鎖状、分岐状又は環状いずれかをとることができるものは、特記ない限りそのいずれをも含み、また、同一の基において、直鎖状、分岐状及び/又は環状の部分構造が混在していてもよい。立体異性体が存在する場合は、それらの立体異性体の全てを包含する。
さらに、「(メタ)アクリル系モノマー」とは、「CH2=CH−CO−」又は「CH2=C(CH3)−CO−」の構造を有するモノマーの少なくとも1種を意味する。同様に「(メタ)アクリレート」及び「(メタ)アクリル酸」とは、それぞれ「アクリレート及びメタクリレートの少なくとも1種」並びに「アクリル酸及びメタクリル酸の少なくとも1種」を意味する。
【0012】
<式(I)で表される塩>
本発明の塩は、式(I)で表される。

[式(I)中、
及びRは、互いに独立に、フッ素原子又は炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基を表す。
は、炭素数1〜17の2価の飽和炭化水素基を表し、該2価の飽和炭化水素基に含まれる−CH−は、−O−又は−CO−で置き換わっていてもよい。
環Wは、炭素数2〜36の複素環を表す。
は、水素原子又は炭素数1〜12の炭化水素基を表し、該炭化水素基に含まれる−CH−は、−O−又は−CO−で置き換わっていてもよい。
は、それぞれ独立に、炭素数1〜6の炭化水素基を表し、該炭化水素基に含まれる−CH−は、−O−又は−CO−で置き換わっていてもよい。
mは、0〜6の整数を表す。
は、有機カチオンを表す。]
【0013】
ペルフルオロアルキル基としては、例えば、トリフルオロメチル基、ペルフルオロエチル基、ペルフルオロプロピル基、ペルフルオロイソプロピル基、ペルフルオロブチル基、ペルフルオロsec−ブチル基、ペルフルオロtert−ブチル基、ペルフルオロペンチル基、ペルフルオロヘキシル基などが挙げられる。
【0014】
2価の飽和炭化水素基としては、直鎖状アルカンジイル基、分岐状アルカンジイル基、単環式又は多環式の2価の飽和環状炭化水素基が挙げられ、これらの基のうち2種以上を組み合わせたものでもよい。
具体的には、メチレン基、エチレン基、プロパン−1,3−ジイル基、プロパン−1,2−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ペンタン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,6−ジイル基、ヘプタン−1,7−ジイル基、オクタン−1,8−ジイル基、ノナン−1,9−ジイル基、デカン−1,10−ジイル基、ウンデカン−1,11−ジイル基、ドデカン−1,12−ジイル基、トリデカン−1,13−ジイル基、テトラデカン−1,14−ジイル基、ペンタデカン−1,15−ジイル基、ヘキサデカン−1,16−ジイル基、ヘプタデカン−1,17−ジイル基、エタン−1,1−ジイル基、プロパン−1,1−ジイル基、プロパン−2,2−ジイル基等の直鎖状アルカンジイル基;
直鎖状アルカンジイル基に、アルキル基(特に、炭素数1〜4のアルキル基、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等)の側鎖を有したもの、例えば、ブタン−1,3−ジイル基、2−メチルプロパン−1,3−ジイル基、2−メチルプロパン−1,2−ジイル基、ペンタン−1,4−ジイル基、2−メチルブタン−1,4−ジイル基等の分岐状アルカンジイル基;
シクロブタン−1,3−ジイル基、シクロペンタン−1,3−ジイル基、シクロヘキサン−1,2−ジイル基、1−メチルシクロヘキサン−1,2−ジイル基、シクロヘキサン−1,4−ジイル基、シクロオクタン−1,2−ジイル基、シクロオクタン−1,5−ジイル基等のシクロアルカンジイル基である単環式の飽和環状炭化水素基;
ノルボルナン−2,3−ジイル基、ノルボルナン−1,4−ジイル基、ノルボルナン−2,5−ジイル基、アダマンタン−1,5−ジイル基、アダマンタン−2,6−ジイル基等の多環式の飽和環状炭化水素基等が挙げられる。
また、2価の飽和環状炭化水素基は、後述する1価の飽和環状炭化水素基から任意の1つの水素原子を除いた基であってもよい。
【0015】
複素環としては、窒素原子1つ以上を含有するものであればよく、さらに1以上の窒素原子、1以上の酸素原子、1以上の硫黄原子等を含有するものであってもよい。複素環は、芳香族複素環であってもよいし、芳香族性を有さないものであってもよく、単環式、多環式、縮合環又は橋かけ環のいずれであってもよい。
複素環としては、例えば、以下の環が挙げられる。ただし、これらの複素環に含まれる−CH−は、−O−又は−CO−で置き換わっていてもよい。なかでも、式(W1)で表される環、式(W2)で表される環及び式(W3)で表される環が好ましい。*はLとの結合手を表す。

【0016】
炭化水素基としては、例えば、脂肪族炭化水素基、飽和環状炭化水素基、芳香族炭化水素基等が挙げられる。
脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、1−メチルエチル基(イソプロピル基)、n−ブチル基、1,1−ジメチルエチル基(tert−ブチル基)、2,2−ジメチルエチル基、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、1,2−ジメチルプロピル基、2,2−ジメチルプロピル基、1−エチルプロピル基、n−ペンチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、n−ヘキシル基、1−プロピルブチル基、1−メチルペンチル基、1,4−ジメチルヘキシル基、ヘプチル基、1−メチルヘプチル基、オクチル基、メチルオクチル基、メチルノニル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基等のアルキル基が挙げられる。
【0017】
飽和環状炭化水素としては、単環式又は多環式のいずれでもよい。例えば、シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロへキシル基、メチルシクロヘキシル基、ジメチルシクロへキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基)などの単環式の飽和環状炭化水素基が挙げられる。縮合した芳香族炭化水素基を水素化して得られる基(例えば、ヒドロナフチル基)、橋かけ環状炭化水素基(例えば、アダマンチル基、ノルボルニル基、メチルノルボルニル基)などの多環式の飽和環状炭化水素基が挙げられる。さらに下記のような、橋かけ環(例えばノルボルナン環)と単環(例えばシクロヘプタン環、シクロヘキサン環)又は多環(例えば、デカヒドロナフタレン環)とが縮合した基、橋かけ環同士が縮合した基;これらが組み合わせられた基(メチルシクロヘキシル基、ジメチルシクロへキシル基、メチルノルボルニル基)等が挙げられる。

芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基、p−メチルフェニル基、p−エチルフェニル基、p−tert−ブチルフェニル基、p−シクロへキシルフェニル基、p−メトキシフェニル基、p−アダマンチルフェニル基、トリル基、キシリル基、クメニル基、メシチル基、ビフェニル基、アントリル基、フェナントリル基、2,6−ジエチルフェニル基、2−メチル−6−エチルフェニル等のアリール基等が挙げられる。
【0018】
式(I)で表される塩において、R及びRは、それぞれ独立に、好ましくはトリフルオロメチル基又はフッ素原子であり、より好ましくはともにフッ素原子である。
【0019】
また、Lの2価の飽和炭化水素基における−CH−が−O−又は−CO−で置き換わった基としては、例えば、式(L1−1)〜式(L1−6)が挙げられる。Lは、好ましくは式(L1−1)〜式(L1−4)のいずれか、さらに好ましくは式(L1−1)又は式(L1−2)が挙げられる。なお、式(L1−1)〜式(L1−6)は、その左右を式(I)に合わせて記載しており、左側でC(R)(R)−と結合し、右側で環Wと結合する。以下の式(L1−1)〜式(L1−6)の具体例も同様である。
【0020】

式(L1−1)〜式(L1−6)中、
b2は、単結合又は炭素数1〜15の2価の飽和炭化水素基を表す。
b3は、単結合又は炭素数1〜12の2価の飽和炭化水素基を表す。
b4は、炭素数1〜13の2価の飽和炭化水素基を表す。
b5は、炭素数1〜15の2価の飽和炭化水素基を表す。
b6及びLb7は、それぞれ独立に、炭素数1〜15の2価の飽和炭化水素基を表す。
b8は、炭素数1〜14の2価の飽和炭化水素基を表す。
b9は、単結合又は炭素数1〜11の2価の飽和炭化水素基を表す。
b10は、炭素数1〜11の2価の飽和炭化水素基を表す。
中でも、式(L1−1)で表される2価の基、式(L1−2)で表される2価の基及び式(L1−6)で表される2価の基が好ましい。式(L1−1)で表される2価の基としては、Lb2が単結合又は−CH−である式(L1−1)で表される2価の基が好ましい。式(L1−6)で表される2価の基としては、Lb9が単結合又は−CH−である式(L1−6)で表される2価の基が好ましく、さらにLb10

である式(L1−6)で表される2価の基がより好ましい。
【0021】
式(L1−1)で表される2価の基としては、例えば以下のものが挙げられる。

【0022】
式(L1−2)で表される2価の基としては、例えば以下のものが挙げられる。

【0023】
式(L1−3)で表される2価の基としては、例えば以下のものが挙げられる。

【0024】
式(L1−4)で表される2価の基としては、例えば以下のものが挙げられる。

【0025】
式(L1−5)で表される2価の基としては、例えば以下のものが挙げられる。

【0026】
式(L1−6)で表される2価の基としては、例えば以下のものが挙げられる。

【0027】
としては、好ましくは、水素原子、メチル基、エチル基又はtert−ブトキシカルボニル基等であり、より好ましくは水素原子、メチル基又はtert−ブトキシカルボニル基等である。
としては、好ましくは、水素原子、メチル基、エチル基、メチルカルボニルオキシ基(アセチルオキシ基)、エチルカルボニルオキシ基等である。
【0028】
式(I)で表される塩としては、例えば、以下の塩が挙げられる。

【0029】

【0030】
としては、オニウムカチオン、例えば、スルホニウムカチオン、ヨードニウムカチオン、アンモニウムカチオン、ベンゾチアゾリウムカチオン、ホスホニウムカチオンなどが挙げられる。これらの中でも、スルホニウムカチオン及びヨードニウムカチオンが好ましく、アリールスルホニウムカチオンがより好ましい。
【0031】
しては、例えば、式(Z1)〜式(Z4)等が挙げられる。

【0032】
式(Z1)〜式(Z4)中、
〜Pは、それぞれ独立に、炭素数1〜30の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜36の飽和環状炭化水素基又は炭素数6〜18の芳香族炭化水素基を表す。該脂肪族炭化水素基に含まれる水素原子は、ヒドロキシ基、炭素数1〜12のアルコキシ基又は炭素数6〜18の芳香族炭化水素基で置換されていてもよく、該飽和環状炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、炭素数2〜4のアシル基又はグリシジルオキシ基で置換されていてもよく、前記芳香族炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜36の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜36の飽和環状炭化水素基又は炭素数1〜12のアルコキシ基で置換されていてもよい。PとPは、一緒になってヘテロ原子を含む環を形成してもよい。
【0033】
及びPは、それぞれ独立に、ヒドロキシ基、炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基又は炭素数1〜12のアルコキシ基を表す。
及びPは、それぞれ独立に、炭素数1〜36の脂肪族炭化水素基又は炭素数3〜36の飽和環状炭化水素基を表す。
は、水素原子、炭素数1〜36の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜36の飽和環状炭化水素基又は炭素数6〜18の芳香族炭化水素基を表す。
〜Pの脂肪族炭化水素基は、好ましくは炭素数1〜12であり、飽和環状炭化水素基は、好ましくは炭素数3〜36、より好ましくは炭素数4〜12である。
は、炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜18の飽和環状炭化水素基、炭素数6〜18の芳香族炭化水素基を表す。前記芳香族炭化水素基に含まれる水素原子は、炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数3〜18の飽和環状炭化水素基又はアルキルカルボニルオキシ基で置換されていてもよい。
とPは、それらが結合する硫黄原子とともに互いに結合して3員環〜12員環(好ましくは3員環〜7員環)を形成していてもよく、PとPは、それらが結合する−CH−CO−とともに3員環〜12員環(好ましくは3員環〜7員環)を形成していてもよく、これらの環に含まれる−CH−は、−O−、−S−、−CO−で置き換わっていてもよい。
10〜P15は、それぞれ独立に、ヒドロキシ基、炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基又は炭素数1〜12のアルコキシ基を表す。
Eは、−S−又は−O−を表す。
i、j、p、r、x及びyは、それぞれ独立に、0〜5の整数を表す。
qは0又は1を表す。
v及びwは、それぞれ独立に、0〜4の整数を表す。
iが2以上であるとき、複数のPは互いに同一でも異なってもよく、これと同様に、j、p、r、x、y、v及びwのいずれかが2であるとき、それぞれ、複数のP及びP10〜P15のいずれかは互いに同一でも異なってもよい。
【0034】
脂肪族炭化水素基及び飽和環状炭化水素基は、上記と同様のものが挙げられる。
アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペントキシ基、n−ヘキトキシ基、ヘプトキシ基、オクトキシ基、2−エチルヘキトキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、ウンデシルオキシ基、ドデシルオキシ基等が挙げられる。
ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素原子が挙げられる。
アシル基としては、例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基等が挙げられる。
アルキルカルボニルオキシ基としては、メチルカルボニルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、n−プロピルカルボニルオキシ基、イソプロピルカルボニルオキシ基、n−ブチルカルボニルオキシ基、sec−ブチルカルボニルオキシ基、tert−ブチルカルボニルオキシ基、ペンチルカルボニルオキシ基、ヘキシルカルボニルオキシ基、オクチルカルボニルオキシ基及び2−エチルヘキシルカルボニルオキシ基等が挙げられる。
【0035】
とPとが一緒になって形成するヘテロ原子を有していてもよい環としては、単環式、多環式、芳香族性、非芳香族性、飽和及び不飽和のいずれの環であってもよく、イオウ原子を1以上含むものであれば、さらに、1以上のイオウ原子及び/又は1以上の酸素原子を含んでいてもよい。
とP及びPとPが互いに結合して形成する3員環〜12員環としては、飽和環状炭化水素基、芳香族炭化水素基及びこれらの組み合わせが挙げられる。
とPが硫黄原子とともに形成する環としては、例えば、チオラン−1−イウム環(テトラヒドロチオフェニウム環)、チアン−1−イウム環、1,4−オキサチアン−4−イウム環などが挙げられる。
とPが−CH−CO−とともに形成する環としては、例えば、オキソシクロヘプタン環、オキソシクロヘキサン環、オキソノルボルナン環、オキソアダマンタン環などが挙げられる。
【0036】
式(Z1)〜式(Z4)における好ましい脂肪族炭化水素基は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、及び2−エチルヘキシル基である。
好ましい飽和環状炭化水素基は、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロデシル基、2−アルキル−2−アダマンチル基、1−(1−アダマンチル)−1−アルキル基、及びイソボルニル基である。
好ましい芳香族炭化水素基は、フェニル基、4−メチルフェニル基、4−エチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、4−シクロへキシルフェニル基、4−メトキシフェニル基、ビフェニリル基、ナフチル基である。
置換基が芳香族炭化水素基である脂肪族炭化水素基(アラルキル基)としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基、トリチル基、ナフチルメチル基、ナフチルエチル基等が挙げられる。
【0037】
式(Z1)〜式(Z4)で表されるカチオンの中でも、式(Z1)が好ましく、式(Z5)で表されるカチオンがより好ましく、トリフェニルスルホニウムカチオン(式(Z5)中、全てのzが0)がさらに好ましい。
【0038】

式(Z5)において、P〜Pは、それぞれ独立に、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜36の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜36の飽和環状炭化水素基又は炭素数1〜12のアルコキシ基を表し、P〜Pから選ばれる2つが一緒になって単結合、−O−又は炭素数1〜4の2価の脂肪族炭化水素基を表してもよく、ヘテロ原子を含む環を形成してもよい。
z1、z2及びz3は、それぞれ独立に、0〜5の整数を表す。z1が2以上のとき、複数のPは互いに同一でも異なってもよく、z2が2以上のとき、複数のPは互いに同一でも異なってもよく、z3以上のとき、数のPは互いに同一でも異なってもよい。
【0039】
ここでの脂肪族炭化水素基は、好ましくは炭素数1〜12であり、飽和環状炭化水素基は、好ましくは炭素数4〜36である。
前記脂肪族炭化水素基は、ヒドロキシ基、炭素数1〜12のアルコキシ基又は炭素数6〜18の芳香族炭化水素基で置換されていてもよく、前記飽和環状炭化水素基は、ハロゲン原子、炭素数2〜4のアシル基又はグリシジルオキシ基で置換されていてもよい。
ヘテロ原子を含む環としては、単環式、多環式、芳香族性、非芳香族性、飽和及び不飽和のいずれの環であってもよく、イオウ原子を1以上含むものであれば、さらに、1以上のイオウ原子及び/又は1以上の酸素原子を含んでいてもよい。
なかでも、P〜Pは、それぞれ独立に、ハロゲン原子(より好ましくはフッ素原子)、ヒドロキシ基、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数1〜12のアルコキシ基を表すか、P〜Pから選ばれる2つが一緒になって−O−を表し、イオウ原子を含む環を形成することが好ましい。
z1〜z3は、それぞれ独立に、好ましくは0又は1である。
【0040】
式(Z1)又は式(Z5)で表されるカチオンとしては、以下のものが挙げられる。

【0041】

【0042】
式(Z5)で表されるカチオンのうち、イオウ原子を含む環が形成されたカチオンの具体例としては、以下のものが挙げられる。

【0043】
カチオン(Z1)の具体例としては、以下のものが挙げられる。

【0044】
カチオン(Z2)の具体例としては、以下のものが挙げられる。

【0045】
カチオン(Z3)の具体例としては、以下のものが挙げられる。

【0046】

【0047】
カチオン(Z4)の具体例としては、以下のものが挙げられる。


【0048】

【0049】

【0050】

【0051】
式(I)で表される塩は、上述のアニオン及び有機カチオンの組合せである。上述のアニオンとカチオンとは任意に組み合わせることができるが、以下で表される塩が好ましい。以下の式においては、置換基の定義は上記と同じ意味である。
【0052】

【0053】

【0054】
さらに、以下の塩がより好ましい。

【0055】

【0056】

【0057】

【0058】

【0059】

【0060】

【0061】

【0062】

【0063】
式(I)で表される塩は、当該分野で公知の方法によって製造することができる。
例えば、式(Ia−1)で表される塩と式(Ia−2)で表される化合物とを溶剤中で反応させることにより、式(I)で表される塩のLが−CO−O−である式(Ia)で表される塩を得ることができる。

[式中、R〜R、Z、W及びWは、上記と同じ意味を表す。]
用いる溶媒は、クロロホルム等が挙げられる。
式(Ia−2)で表される化合物としては、4−ヒドロキシ−1−メチルピペリジン、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、トロピン等が挙げられる。
式(Ia−1)で表される塩は、式(Ia−3)で表される塩と式(Ia−4)で表される化合物とを反応させることにより、得ることができる。
式(Ia−3)で表される塩は、例えば、特開2008−13551号公報に記載された方法で合成することができる。

【0064】
<酸発生剤>
本発明の酸発生剤は、式(I)で表される塩を含有する。式(I)で表される塩は、酸発生剤として使用する時、単独でも複数種を同時に用いてもよい。
また、本発明の酸発生剤は、さらに、式(I)で表される塩以外の公知の塩、式(I)で表される塩に含まれるカチオン及び公知のアニオンからなる塩並びに式(I)で表される塩に含まれるアニオン及び公知のカチオンからなる塩等を含んでいてもよい。
本発明の酸発生剤において、式(I)で表される塩と式(I)で表される塩以外の公知の塩とを含有する場合、式(I)で表される塩と式(I)で表される塩以外の公知の塩とは、例えば、5:95〜95:5、好ましくは10:90〜90:10、より好ましくは15:85〜85:15質量比である。
【0065】
<レジスト組成物>
本発明のレジスト組成物は、上述した酸発生剤と、樹脂とを含有する。
〈酸発生剤〉
本発明のレジスト組成物に含有される酸発生剤の含有量は、後述する樹脂(A)に対して、好ましくは1質量%以上(より好ましくは3質量%以上)、好ましくは30質量%以下(より好ましくは25質量%以下)である。
また、本発明のレジスト組成物が、式(I)で表される塩と式(I)で表される塩以外の公知の塩とを含有する酸発生剤を含有する場合、その合計含有量は、後述する樹脂に対して、好ましくは1質量%以上(より好ましくは3質量%以上)、好ましくは40質量%以下(より好ましくは35質量%以下)である。
【0066】
〈樹脂(以下「樹脂(A)」という場合がある)〉
樹脂(A)は、酸の作用によりアルカリ可溶となる樹脂である。「酸の作用によりアルカリ可溶となる」とは、酸との接触前ではアルカリ水溶液に不溶又は難溶であるが、酸との接触後にはアルカリ水溶液に可溶となることを意味する。酸の作用によりアルカリ可溶となる樹脂は、酸に不安定な基を有するモノマー(以下「酸に不安定な基を有するモノマー(a1)」という場合がある)を重合することによって製造することができる。酸に不安定な基を有するモノマー(a1)は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0067】
〈酸に不安定な基を有するモノマー(a1)〉
「酸に不安定な基」とは、酸と接触すると脱離基が脱離して、親水性基(例えば、カルボキシ基又はヒドロキシ基)を形成する基を意味する。
酸に不安定な基としては、例えば、−O−が第三級炭素原子と結合した式(1)で表されるアルコキシカルボニル基が挙げられる。以下、式(1)で表される基を「酸に不安定な基(1)」という場合がある。
【0068】

式(1)において、Ra1〜Ra3は、それぞれ独立に、炭素数1〜8の脂肪族炭化水素基又は炭素数3〜20の飽和環状炭化水素基を表すか、或いはRa1及びRa2は互いに結合して炭素数3〜20の環を形成する。*は結合手を表す(以下同じ)。
【0069】
脂肪族炭化水素基及び飽和環状炭化水素基としては、上記と同様のものが挙げられる。
式(1)では、飽和環状炭化水素基の炭素数は、好ましくは炭素数1〜16である。
【0070】
a1及びRa2が互いに結合して環を形成する場合、−C(Ra1)(Ra2)(Ra3)基としては、下記の基が挙げられる。

このような環の炭素数は、好ましくは炭素数3〜12である。
【0071】
酸に不安定な基としては、例えば、
1,1−ジアルキルアルコキシカルボニル基(式(1)中、Ra1〜Ra3がアルキル基である基、好ましくはtert−ブトキシカルボニル基)、
2−アルキルアダマンタン−2−イルオキシカルボニル基(式(1)中、Ra1、Ra2及び炭素原子がアダマンチル基を形成し、Ra3がアルキル基である基)及び
1−(アダマンタン−1−イル)−1−アルキルアルコキシカルボニル基(式(1)中、Ra1及びRa2がアルキル基であり、Ra3がアダマンチル基である基)などが挙げられる。
【0072】
また、親水性基がヒドロキシ基である場合の酸に不安定な基は、ヒドロキシ基の水素原子が、有機残基に置き換わり、アセタール構造を含む基となったものが挙げられる。このような酸に不安定な基のうち、好ましい酸に不安定な基は、例えば、以下の式(2)で表されるものが挙げられる。以下、「酸に不安定な基(2)」という場合がある。


式(2)において、Rb1及びRb2は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜12の炭化水素基を表し、Rb3は、炭素数1〜20の炭化水素基を表すか、あるいは、Rb2及びRb3は互いに結合して、それらが各々結合する炭素原子及び酸素原子とともに炭素数3〜20の環を形成する。Rb2及びRb3は互いに結合して形成される環又は該炭化水素基に含まれる−CH−は、−O−、−S−又は−CO−で置き換わっていてもよい。*は結合手を表す。
【0073】
b1〜Rb3の炭化水素基は、例えば、脂肪族炭化水素基、飽和環状炭化水素基及び芳香族炭化水素基が挙げられる。ここで、脂肪族炭化水素基、飽和環状炭化水素基及び芳香族炭化水素基は、上記と同様のものが挙げられる。
b2及びRb3は互いに結合して形成される環は、Ra1及びRa2が互いに結合して形成される環と同様のものが挙げられる。
b1〜Rb2のうち、少なくとも1つは水素原子であることが好ましい。
【0074】
酸に不安定な基(2)としては、以下の基が挙げられる。


【0075】
酸に不安定な基を有するモノマー(a1)は、好ましくは、酸に不安定な基と炭素−炭素二重結合とを有するモノマー、より好ましくは酸に不安定な基を有する(メタ)アクリル系モノマーである。
【0076】
酸に不安定な基を有する(メタ)アクリル系モノマーの中でも、炭素数5〜20の飽和環状炭化水素基を有するものが好ましい。飽和環状炭化水素基のような嵩高い構造を有するモノマーを重合して得られる樹脂を使用すれば、レジストの解像度を向上させることができる。
なお、飽和環状炭化水素基は、上記と同様のものが挙げられる。
【0077】
酸に不安定な基と飽和環状炭化水素基とを有する(メタ)アクリル系モノマーの中でも、式(a−1)で表されるアダマンチル基を有するモノマー又は式(a−2)で表されるシクロへキシル基を有するモノマーが好ましい。これらは単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0078】

式(a−1)及び式(a−2)において、Mは、それぞれ独立に、−O−又は−O−(CH2k−CO−O−を表し、kは1〜7の整数を表す。ただし、Mで列挙した−O−等は、それぞれ、左側で式(a−1)及び式(a−2)の−CO−と結合し、右側でアダマンチル基又はシクロへキシル基と結合することを意味する。
4は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表す。
5は、それぞれ独立に、炭素数1〜8の脂肪族炭化水素基又は炭素数3〜10の飽和環状炭化水素基を表し、
sは0〜14の整数を表し、tは0〜10の整数を表す。
n2は0〜3の整数を表す。
【0079】
Mは、好ましくは、−O−又は−O−(CH2f−CO−O−であり(前記fは、1〜4の整数である)、より好ましくは−O−である。
は、好ましくはメチル基である。
の脂肪族炭化水素基は、好ましくは炭素数6以下である。飽和環状炭化水素基は、好ましくは炭素数8以下、より好ましくは炭素数6以下である。
sは、好ましくは0〜3の整数、より好ましくは0又は1である。tは、好ましくは0〜3の整数、より好ましくは0又は1である。n2は、好ましくは0又は1である。
【0080】
アダマンチル基を有するモノマー(a−1)としては、例えば、以下のものが挙げられる。これらの中でも、2−メチルアダマンタン−2−イル(メタ)アクリレート、2−エチルアダマンタン−2−イル(メタ)アクリレート、及び2−イソプロピルアダマンタン−2−イル(メタ)アクリレートが好ましく、メタクリレート形態のものがより好ましい。
【0081】

【0082】

【0083】

【0084】

【0085】

【0086】

【0087】

【0088】

【0089】

【0090】
シクロへキシル基を有するモノマー(a−2)としては、例えば、以下のものが挙げられる。これらの中でも1−エチルシクロヘキサン−1−イル(メタ)アクリレートが好ましく、1−エチルシクロヘキサン−1−イルメタクリレートがより好ましい。
【0091】

【0092】
樹脂(A)が式(a−1)及び/又は式(a−2)で表されるモノマーに由来する構造単位を含む場合、これらの合計含有量は、樹脂(A)の全構造単位に対して、通常10〜95モル%であり、好ましくは15〜90モル%であり、より好ましくは20〜85モル%である。
【0093】
酸に不安定な基と炭素−炭素二重結合とを有するモノマーとしては、例えば、式(a−3)で表されるノルボルネン環を有するモノマーが挙げられる。ノルボルネン環を有するモノマー(a−3)に由来する構造単位を有する樹脂は、嵩高い構造を有するので、レジストの解像度を向上させることができる。また、樹脂の主鎖に剛直なノルボルナン環が導入されているため、レジストのドライエッチング耐性を向上させることができる。
【0094】

式(a−3)において、
は、水素原子、置換基(例えば、ヒドロキシ基)を有していてもよい炭素数1〜3の脂肪族炭化水素基、カルボキシ基、シアノ基又は基−COORを表す。Rは、炭素数1〜8の脂肪族炭化水素基又は炭素数1〜20の飽和環状炭化水素基を表し、該脂肪族炭化水素基及び該飽和環状炭化水素基の水素原子はヒドロキシ基で置換されていてもよく、該脂肪族炭化水素基及び該飽和環状炭化水素基に含まれる−CH−は−O−又は−CO−で置き換わっていてもよい。
〜Rは、それぞれ独立に、炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基又は炭素数3〜20の飽和環状炭化水素基を表すか、R及びRは互いに結合して環を形成していてもよい。該脂肪族炭化水素基及び該飽和環状炭化水素基の水素原子はヒドロキシ基等で置換されていてもよく、該脂肪族炭化水素基及び該飽和環状炭化水素基に含まれる−CH−は−O−又は−CO−で置き換わっていてもよい。
の置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ヒドロキシメチル基、2−ヒドロキシエチル基などが挙げられる。
としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、2−オキソオキソラン−3−イル基又は2−オキソオキソラン−4−イル基などが挙げられる。
【0095】
〜Rとしては、例えば、メチル基、エチル基、シクロへキシル基、メチルシクロへキシル基、ヒドロキシシクロへキシル基、オキソシクロへキシル基、アダマンチル基などが挙げられる。
、R及びこれらが結合する炭素が形成する飽和環状炭化水素基としては、シクロへキシル基、アダマンチル基などが挙げられる。
【0096】
ノルボルネン環を有するモノマー(a−3)としては、例えば、5−ノルボルネン−2−カルボン酸−tert−ブチル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸1−シクロヘキシル−1−メチルエチル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸1−メチルシクロヘキシル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸2−メチル−2−アダマンチル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸2−エチル−2−アダマンチル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸1−(4−メチルシクロヘキシル)−1−メチルエチル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸1−(4−ヒドロキシシクロヘキシル)−1−メチルエチル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸1−メチル−1−(4−オキソシクロヘキシル)エチル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸1−(1−アダマンチル)−1−メチルエチルなどが挙げられる。
【0097】
樹脂(A)が式(a−3)で表されるモノマーに由来する構造単位を含む場合、その含有量は、樹脂(A)の全構造単位に対して、通常10〜95モル%であり、好ましくは15〜90モル%であり、より好ましくは20〜85モル%である。
【0098】
酸に不安定な基と炭素−炭素二重結合とを有するモノマーとしては、式(a−4)で表されるモノマーが挙げられる。

式(a−4)において、R10は、水素原子、ハロゲン原子又はハロゲン原子を有してもよいC〜C6アルキル基を表す。
11は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜4のアシル基、炭素数2〜4のアシルオキシ基、アクリロイル基又はメタクリロイル基を表す。
hは0〜4の整数を表す。hが2以上の整数である場合、複数のR11は同一の種類の基であっても異なる種類の基であってもよい。
12及びR13はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜12の炭化水素基を表す。
は、単結合又は置換基を有していてもよい炭素数1〜17の2価の飽和炭化水素基を表し、該飽和炭化水素基に含まれる−CH−は−CO−、−O−、−S−、−SO−又は−N(R)−で置き換わっていてもよい。Rは、水素原子又は炭素数1〜6の脂肪族炭化水素基を表す。
は、炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜18の飽和環状炭化水素基又は炭素数6〜18の芳香族炭化水素基であり、該脂肪族炭化水素基、飽和環状炭化水素基及び芳香族炭化水素基は、置換基を有していてもよい。
【0099】
ハロゲン原子を有してもよいアルキル基としては、例えば、トリフルオロメチル基、ペルフルオロエチル基、ペルフルオロプロピル基、ペルフルオロイソプロピル基、ペルフルオロブチル基、ペルフルオロsec−ブチル基、ペルフルオロtert−ブチル基、ペルフルオロペンチル基、ペルフルオロヘキシル基、トリクロロメチル基、ペルブロモメチル基、ペルヨードメチル基などが挙げられる。
アルキル基、アルコキシ基等の置換基は、上記と同様のものが例示される。
アシル基としては、例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基等が挙げられる。
アシルオキシ基としては、例えば、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基等が挙げられる。
【0100】
式(a−4)中のR10及びR11におけるアルキル基は、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、炭素数1〜2のアルキル基がより好ましく、メチル基が特に好ましい。
11におけるアルコキシ基としては、炭素数1〜4のアルコキシ基が好ましく、炭素数1〜2のアルコキシ基がより好ましく、メトキシ基が特に好ましい。
及びYの基に置換されていてもよい置換基としては、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜4のアシル基、炭素数2〜4のアシルオキシ基等が挙げられる。中でも、好ましくはヒドロキシ基である。
【0101】
式(a−4)で表されるモノマーとしては、例えば、以下のモノマーが挙げられる。


【0102】

【0103】

【0104】

【0105】

【0106】

【0107】
樹脂(A)が式(a−4)で表されるモノマーに由来する構造単位を含む場合、その含有量は、樹脂(A)の全構造単位に対して、通常10〜95モル%であり、好ましくは15〜90モル%であり、より好ましくは20〜85モル%である。
【0108】
〈その他の酸不安定モノマー〉
さらに、酸不安定基と炭素−炭素二重結合とを分子内に有する他の構造単位を誘導するその他のモノマーを用いてもよい。
このようなモノマーとしては、例えば、以下のモノマーが挙げられる。

【0109】

【0110】

【0111】
樹脂(A)がその他の酸不安定モノマーに由来する構造単位を有する場合、その含有量は、樹脂(A)の全構造単位に対して、通常、10〜95モル%であり、好ましくは15〜90モル%であり、より好ましくは20〜85モル%である。
【0112】
樹脂(A)は、好ましくは、酸に不安定な基を有するモノマー(a1)と、酸に不安定な基を有さないモノマー(以下「酸安定モノマー」という場合がある)との共重合体である。酸安定モノマーは、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
樹脂(A)が酸に不安定な基を有するモノマー(a1)と酸安定モノマーとの共重合体である場合、酸に不安定な基を有するモノマー(a1)に由来する構造単位の含有量は、樹脂(A)の全構造単位に対して、好ましくは10〜80モル%、より好ましくは20〜60モル%である。アダマンチル基を有するモノマー(特に酸に不安定な基を有するモノマー(a1))に由来する構造単位の含有量は、酸に不安定な基を有するモノマー(a1)に対して15モル%以上とすることが好ましい。アダマンチル基を有するモノマーの比率が増えると、レジストのドライエッチング耐性が向上する。
【0113】
酸安定モノマーとしては、ヒドロキシ基(b)又はラクトン環(c)を有するものが好ましい。ヒドロキシ基を有する酸安定モノマー又はラクトン環を含有する酸安定モノマーに由来する構造単位を有する樹脂を使用すれば、レジストの解像度及び基板への密着性を向上させることができる。
【0114】
〈ヒドロキシ基(b)を有する酸安定モノマー〉
レジスト組成物が、KrFエキシマレーザ露光(248nm)、電子線又はEUV光などの高エネルギー線照射に用いられる場合、ヒドロキシ基を有する酸安定モノマーとして、ヒドロキシスチレン類であるフェノール性水酸基を有する酸安定モノマー(b−1)を使用することが好ましい。短波長のArFエキシマレーザ露光(193nm)などに用いられる場合は、ヒドロキシ基を有する酸安定モノマーとして、式(b−2)で表されるヒドロキシアダマンチル基を有する酸安定モノマーを使用することが好ましい。ヒドロキシ基を有する酸安定モノマーは、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0115】
フェノール性ヒドロキシ基を有するモノマーとして、式(b−1)で表されるp−又はm−ヒドロキシスチレンなどのスチレン系モノマーが挙げられる。

式(b−1)において、
14は、水素原子、ハロゲン原子又はハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基を表す。
15は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜4のアシル基、炭素数2〜4のアシルオキシ基、アクリロイル基又はメタクリロイル基を表す。
bは0〜4の整数を表す。bが2以上の整数である場合、複数のR15は互いに同一であっても異ってもよい。
【0116】
14におけるアルキル基としては、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、炭素数1〜2のアルキル基がより好ましく、メチル基が特に好ましい。
また、アルコキシ基としては、炭素数1〜4のアルコキシ基が好ましく、炭素数1〜2のアルコキシ基がより好ましく、メトキシ基が特に好ましい。
【0117】
このようなフェノール性ヒドロキシ基を有するモノマー(b−1)に由来する構造単位を有する共重合樹脂は、フェノール性ヒドロキシ基がアセチルオキシ基に置き換わったものに相当するアセチルオキシスチレン類及び共重合させるモノマーをラジカル重合した後、酸によって脱アセチルすることによって製造することができる。
フェノール性ヒドロキシ基を有するモノマー(b−1)としては、例えば、以下のモノマーが挙げられる。なかでも、4−ヒドロキシスチレン又は4−ヒドロキシ−α−メチルスチレンが特に好ましい。
【0118】

【0119】

【0120】

【0121】
樹脂(A)が式(b−1)で表されるモノマーに由来する構造単位を含む場合、その含有量は、樹脂(A)の全構造単位に対して、通常5〜90モル%であり、好ましくは10〜85モル%であり、より好ましくは15〜80モル%である。
【0122】
ヒドロキシアダマンチル基を有する酸安定モノマーとしては、式(b−2)で表されるモノマーが挙げられる。
【0123】

式(b−2)において、Mは、−O−又は−O−(CH2k−CO−O−を表し、kは1〜7の整数を表す。
16は、水素原子又はメチル基を表す。
17及びR18は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基又はヒドロキシ基を表す。
cは、0〜10の整数を表す。
【0124】
は、好ましくは、−O−、−O−(CH2f−CO−O−であり(前記fは、1〜4の整数である)、より好ましくは−O−である。
16は、好ましくはメチル基である。
17は、好ましくは水素原子である。
18は、好ましくは水素原子又はヒドロキシ基である。
cは、好ましくは0〜3の整数、より好ましくは0又は1である。
【0125】
ヒドロキシアダマンチル基を有する酸安定モノマーとしては、例えば、以下のものが挙げられる。中でも、3−ヒドロキシアダマンタン−1−イル(メタ)アクリレート、3,5−ジヒドロキシアダマンタン−1−イル(メタ)アクリレート及び(メタ)アクリル酸1−(3,5−ジヒドロキシアダマンタン−1−イルオキシカルボニル)メチルが好ましく、3−ヒドロキシアダマンタン−1−イル(メタ)アクリレート及び3,5−ジヒドロキシアダマンタン−1−イル(メタ)アクリレートがより好ましく、3−ヒドロキシアダマンタン−1−イルメタクリレート及び3,5−ジヒドロキシアダマンタン−1−イルメタクリレートがさらに好ましい。
【0126】

【0127】

【0128】


【0129】

【0130】
樹脂(A)が式(b−2)で表されるモノマーに由来する構造単位を含む場合、その含有量は、樹脂(A)の全構造単位に対して、通常3〜40モル%であり、好ましくは5〜35モル%であり、より好ましくは5〜30モル%であり、さらに好ましくは5〜20モル%である。式(b−2)で表されるモノマーに由来する構造単位の含有量が上記の範囲内であると、レジストパターン形成時のフォーカスマージンが広い傾向があるため好ましい。
【0131】
〈ラクトン環(c)を有する酸安定モノマー〉
酸安定モノマーが有するラクトン環(c)は、例えば、β−プロピオラクトン環、γ−ブチロラクトン環、δ−バレロラクトン環のような単環でもよく、単環式のラクトン環と他の環との縮合環でもよい。これらラクトン環の中で、γ−ブチロラクトン環及びγ−ブチロラクトン環と他の環との縮合環が好ましい。
【0132】
ラクトン環を有する酸安定モノマーは、例えば、式(c−1)、式(c−2)又は式(c−3)で表される。これらの1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0133】

式(c−1)〜式(c−3)において、
は、それぞれ独立に、−O−又は−O−(CH2k−CO−O−を表し、kは1〜7の整数を表す。
19は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表す。
20は、炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基を表し、
21及びR22は、それぞれ独立に、カルボキシ基、シアノ基又は炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基を表す。
dは0〜5の整数を表す。
e及びgは、それぞれ独立に0〜3の整数を表す。
d、e又はgが2以上のとき、それぞれ、複数のR20、R21又はR22は、互いに同一でも異なってもよい。
【0134】
は、それぞれ独立に、−O−、−O−(CH2−CO−O−であることが好ましく(前記fは、1〜4の整数である)、より好ましくは−O−である。但し、Mで列挙した−O−等は、それぞれ、左側で式(c−1)〜式(c−3)の−CO−と結合し、右側でラクトン環と結合することを意味する。
19は、好ましくはメチル基である。
20は、好ましくはメチル基である。
21及びR22は、それぞれ独立に、好ましくはカルボキシ基、シアノ基又はメチル基である。
d、e及びgは、それぞれ独立に、好ましくは0〜2、より好ましくは0又は1である。
【0135】
γ−ブチロラクトン環を有する酸安定モノマー(c−1)としては、例えば、以下のものが挙げられる。

【0136】

【0137】

【0138】
γ−ブチロラクトン環とノルボルナン環との縮合環を有する酸安定モノマー(c−2)としては、例えば、以下のものが挙げられる。

【0139】

【0140】

【0141】

【0142】

【0143】

【0144】

【0145】
γ−ブチロラクトン環とシクロヘキサン環との縮合環を有する酸安定モノマー(c−3)としては、例えば、以下のものが挙げられる。
【0146】

【0147】

【0148】

【0149】

【0150】
ラクトン環(c)を有する酸安定モノマーの中でも、(メタ)アクリル酸(5−オキソ−4−オキサトリシクロ[4.2.1.03,7]ノナン−2−イル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロ−2−オキソ−3−フリル、(メタ)アクリル酸2−(5−オキソ−4−オキサトリシクロ[4.2.1.03,7]ノナン−2−イルオキシ)−2−オキソエチルが好ましく、メタクリレート形態のものがより好ましい。
【0151】
樹脂(A)が式(c−1)、式(c−2)又は式(c−3)で表されるモノマーに由来する構造単位を含む場合、その含有量は、樹脂(A)の全構造単位に対して、それぞれ通常5〜50モル%であり、好ましくは10〜45モル%であり、より好ましくは15〜40モル%である。
樹脂(A)がラクトン環(c)を有する酸安定モノマーに由来する構造単位を含む場合、その合計含有量は、樹脂(A)の全構造単位に対して、通常5〜60モル%であり、好ましくは15〜55モル%である。
【0152】
〈その他の酸安定モノマー〉
その他の酸安定モノマーとしては、例えば、式(d−1)で表される無水マレイン酸、式(d−2)で表される無水イタコン酸又は式(d−3)で表されるノルボルネン環を有する酸安定モノマーなどが挙げられる。
【0153】

式中、R23及びR24は、それぞれ独立に、水素原子、置換基(例えば、ヒドロキシ基)を有していてもよい炭素数1〜3の脂肪族炭化水素基、シアノ基、カルボキシ基又は基−COOR25を表すか、R23及びR24は互いに結合して−CO−O−CO−を形成し、R25は、炭素数1〜36の脂肪族炭化水素基又は炭素数3〜36の飽和環状炭化水素基を表し、該脂肪族炭化水素基及び該飽和環状炭化水素基の−CH−は、−O−又は−CO−で置き換わっていてもよい。但し−COOR25が酸不安定基となるものは除く(即ちR25は、第三級炭素原子が−O−と結合するものを含まない)。
【0154】
23及びR24の置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ヒドロキシメチル基、2−ヒドロキシエチル基などが挙げられる。
25の脂肪族炭化水素基は、好ましくは炭素数1〜8、より好ましくは炭素数1〜6であり、飽和環状炭化水素基は、好ましくは炭素数4〜36、より好ましくは炭素数4〜12である。R25としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、2−オキソ−オキソラン−3−イル基、2−オキソ−オキソラン−4−イル基などが挙げられる。
【0155】
ノルボルネン環を有する酸安定モノマー(d−3)としては、例えば、2−ノルボルネン、2−ヒドロキシ−5−ノルボルネン、5−ノルボルネン−2−カルボン酸、5−ノルボルネン−2−カルボン酸メチル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸2−ヒドロキシ−1−エチル、5−ノルボルネン−2−メタノール、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物などが挙げられる。
【0156】
樹脂が式(d−1)、式(d−2)又は式(d−3)で表されるモノマーに由来する構造単位を含む場合、その含有量は、樹脂(A)の全構造単位に対して、通常2〜40モル%であり、好ましくは3〜30モル%であり、より好ましくは5〜20モル%である。
【0157】
好ましい樹脂(A)は、少なくとも、酸に不安定な基を有するモノマー(a)、ヒドロキシ基を有する酸安定モノマー(b)及び/又はラクトン環(c)を有する酸安定モノマーを重合させた共重合体である。この好ましい共重合体において、酸に不安定な基を有するモノマー(a)は、より好ましくはアダマンチル基を有するモノマー(a−1)及びシクロへキシル基を有するモノマー(a−2)の少なくとも1種(さらに好ましくはアダマンチル基を有するモノマー(a−1))であり、ヒドロキシ基を有する酸安定モノマー(b)は、好ましくはヒドロキシアダマンチル基を有する酸安定モノマー(b−2)であり、ラクトン環(c)を有する酸安定モノマーは、より好ましくはγ−ブチロラクトン環を有する酸安定モノマー(c−1)及びγ−ブチロラクトン環とノルボルナン環との縮合環を有する酸安定モノマー(c−2)の少なくとも1種である。
【0158】
樹脂(A)は、公知の重合法(例えば、ラジカル重合法)によって製造することができる。
樹脂(A)の重量平均分子量は、好ましくは、2,500以上(より好ましくは3,000以上、さらに好ましくは3,500以上)、50,000以下(より好ましくは30,000以下、さらに好ましくは10,000以下)である。
【0159】
樹脂(A)の含有量は、組成物の固形分中80質量%以上99質量%以下であることが好ましい。なお本明細書において「組成物中の固形分」とは、溶剤を除いた組成物成分の合計を意味する。組成物中の固形分及びこれに対する樹脂(A)の含有量は、例えば液体クロマトグラフィー又はガスクロマトグラフィーなどの公知の分析手段で測定できる。
【0160】
〈塩基性化合物(以下「塩基性化合物(C)」という場合がある)〉
本発明のレジスト組成物は、さらに、塩基性化合物(C)を含有することが好ましい。塩基性化合物(C)の含有量は、レジスト組成物の固形分量を基準に、0.01〜1質量%程度であることが好ましい。
【0161】
塩基性化合物(C)は、好ましくは塩基性の含窒素有機化合物(例えばアミン及びアンモニウム塩)である。アミンは、脂肪族アミンでも、芳香族アミンでもよい。脂肪族アミンは、第一級アミン、第二級アミン及び第三級アミンのいずれも使用できる。芳香族アミンは、アニリンのような芳香族環にアミノ基が結合したもの及びピリジンのような複素芳香族アミンのいずれでもよい。好ましい塩基性化合物(C)として、式(C2)で表される芳香族アミン、特に式(C2−1)で表されるアニリンが挙げられる。
【0162】

式(C2)及び式(C2−1)において、
Arは、芳香族炭化水素基を表す。
及びTは、それぞれ独立に、水素原子、脂肪族炭化水素基(好ましくは、アルキル基)、飽和環状炭化水素基(好ましくは、シクロアルキル基)、芳香族炭化水素基を表す。該脂肪族炭化水素基、該飽和環状炭化水素基又は該芳香族炭化水素基に含まれる水素原子は、ヒドロキシ基、アミノ基又は炭素数1〜6のアルコキシ基で置換されていてもよく、該アミノ基は、炭素数1〜4のアルキル基で置換されていてもよい。
は、脂肪族炭化水素基(好ましくは、アルキル基)、アルコキシ基、飽和環状炭化水素基(好ましくは、シクロアルキル基)、芳香族炭化水素基を表す。該脂肪族炭化水素基、該アルコキシ基、該飽和環状炭化水素基及び該芳香族炭化水素基に含まれる水素原子は、上記と同様の基で置換されていてもよい。
oは0〜3の整数を表す。oが2以上のとき、複数のTは、互いに同一でも異なってもよい。
【0163】
式(C2)及び式(C2−1)では、脂肪族炭化水素基は、好ましくは炭素数1〜6程度である。
飽和環状炭化水素基は、好ましくは炭素数5〜10程度である。
芳香族炭化水素基は、好ましくは炭素数6〜10程度である。
アルコキシ基は、好ましくは炭素数1〜6程度である。
【0164】
芳香族アミン(C2)としては、例えば、1−ナフチルアミン及び2−ナフチルアミンなどが挙げられる。
アニリン(C2−1)としては、例えば、アニリン、ジイソプロピルアニリン、2−,3−又は4−メチルアニリン、4−ニトロアニリン、N−メチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、ジフェニルアミンなどが挙げられる。これらの中でもジイソプロピルアニリン(特に、2,6−ジイソプロピルアニリン)が好ましい。
【0165】
また、塩基性化合物(C)としては、式(C3)〜式(C11)で表される化合物が挙げられる。

式(C3)〜式(C11)において、
、T、T及びoは、上記と同じ意味である。
は、それぞれ独立に、脂肪族炭化水素基、飽和環状炭化水素基又はアルカノイル基を表す。脂肪族炭化水素基は、好ましくは炭素数1〜6程度であり、飽和環状炭化水素基は、好ましくは炭素数3〜6程度であり、アルカノイル基は、好ましくは炭素数2〜6程度である。
uは0〜8の整数を示す。o又はuが2以上の整数であるとき、複数のT又はTは、それぞれ互いに同一でも異なってもよい。
Aは、それぞれ独立に、2価の脂肪族炭化水素基(好ましくはアルキレン基)、−CO−、−C(=NH)−、−C(=NR36)−、−S−、−S−S−又はこれらの組合せを表す。2価の脂肪族炭化水素基は、好ましくは炭素数1〜6程度である。R36は、炭素数1〜4のアルキル基を表す。
ここで、アルカノイル基としては、例えば、アセチル基、エチルカルボニル基、ヘプチルカルボニル基等が挙げられる。
【0166】
化合物(C3)としては、例えば、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチルアミン、ジノニルアミン、ジデシルアミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリヘプチルアミン、トリオクチルアミン、トリノニルアミン、トリデシルアミン、メチルジブチルアミン、メチルジペンチルアミン、メチルジヘキシルアミン、メチルジシクロヘキシルアミン、メチルジヘプチルアミン、メチルジオクチルアミン、メチルジノニルアミン、メチルジデシルアミン、エチルジブチルアミン、エチルジペンチルアミン、エチルジヘキシルアミン、エチルジヘプチルアミン、エチルジオクチルアミン、エチルジノニルアミン、エチルジデシルアミン、ジシクロヘキシルメチルアミン、トリス〔2−(2−メトキシエトキシ)エチル〕アミン、トリイソプロパノールアミン、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、4,4’−ジアミノ−1,2−ジフェニルエタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジエチルジフェニルメタンなどが挙げられる。
【0167】
化合物(C4)としては、例えば、ピペラジンなどが挙げられる。
化合物(C5)としては、例えば、モルホリンなどが挙げられる。
化合物(C6)としては、例えば、ピペリジン及び特開平11−52575号公報に記載されているピペリジン骨格を有するヒンダードアミン化合物などが挙げられる。
化合物(C7)としては、例えば、2,2’−メチレンビスアニリンなどが挙げられる。
化合物(C8)としては、例えば、イミダゾール、4−メチルイミダゾールなどが挙げられる。
化合物(C9)としては、例えば、ピリジン、4−メチルピリジンなどが挙げられる。
化合物(C10)としては、例えば、1,2−ジ(2−ピリジル)エタン、1,2−ジ(4−ピリジル)エタン、1,2−ジ(2−ピリジル)エテン、1,2−ジ(4−ピリジル)エテン、1,3−ジ(4−ピリジル)プロパン、1,2−ジ(4−ピリジルオキシ)エタン、ジ(2−ピリジル)ケトン、4,4’−ジピリジルスルフィド、4,4’−ジピリジルジスルフィド、2,2’−ジピリジルアミン、2,2’−ジピコリルアミンなどが挙げられる。
化合物(C11)としては、例えば、ビピリジンなどが挙げられる。
アンモニウム塩としては、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトライソプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、テトラヘキシルアンモニウムヒドロキシド、テトラオクチルアンモニウムヒドロキシド、フェニルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、3−(トリフルオロメチル)フェニルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラ−n−ブチルアンモニウムサリチラート及びコリン等が挙げられる。
【0168】
〈溶剤(以下「溶剤(E)」という場合がある)〉
本発明のレジスト組成物は、溶剤(E)を含有していてもよい。溶剤(E)を含有する本発明のレジスト組成物は、薄膜レジストを製造するために適している。
溶剤(E)の含有量は、組成物中90質量%以上(好ましくは92質量%以上、より好ましくは94質量%以上)、99.9質量%以下(好ましくは99質量%以下)である。溶剤(E)の含有量は、例えば液体クロマトグラフィー又はガスクロマトグラフィーなどの公知の分析手段で測定できる。
【0169】
溶剤(E)としては、例えば、エチルセロソルブアセテート、メチルセロソルブアセテート及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートのようなグリコールエーテルエステル類;プロピレングリコールモノメチルエーテルのようなグリコールエーテル類;乳酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル及びピルビン酸エチルのようなエステル類;アセトン、メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノン及びシクロヘキサノンのようなケトン類;γ−ブチロラクトンのような環状エステル類;などを挙げることができる。溶剤(E)は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0170】
〈その他の成分(以下「その他の成分(F)」という場合がある)〉
本発明のレジスト組成物は、必要に応じて、その他の成分(F)を含有していてもよい。成分(F)に特に限定はなく、レジスト分野で公知の添加剤、例えば、増感剤、溶解抑止剤、界面活性剤、安定剤、染料などを利用できる。
【0171】
〈レジストパターンの製造方法〉
本発明のレジストパターンの製造方法は、
(1)上述した本発明のレジスト組成物を基板上に塗布する工程、
(2)塗布後の組成物を乾燥させて組成物層を形成する工程、
(3)組成物層に露光機を用いて露光する工程、
(4)露光後の組成物層を加熱する工程、
(5)加熱後の組成物層を、現像装置を用いて現像する工程を含む。
【0172】
レジスト組成物の基体上への塗布は、スピンコーターなど、通常、用いられる装置によって行うことができる。
【0173】
乾燥は、例えば、ホットプレート等の加熱装置を用いて溶剤等の揮発成分を蒸発させて除去すること(いわゆるプリベーク)により行うか、あるいは減圧装置を用いて行し、乾燥された組成物層を形成する。この場合の温度は、例えば、50〜200℃程度が例示される。また、圧力は、1〜1.0×10Pa程度が例示される。
【0174】
得られた組成物層を、通常、露光機を用いて露光する。この際、液浸露光機を用いてもよい。通常、求められるパターンに相当するマスクを介して露光が行われる。露光光源としては、KrFエキシマレーザ(波長248nm)、ArFエキシマレーザ(波長193nm)、F2エキシマレーザ(波長157nm)のような紫外域のレーザ光を放射するもの、固体レーザ光源(YAG又は半導体レーザ等)からのレーザ光を波長変換して遠紫外域または真空紫外域の高調波レーザ光を放射するもの等、種々のものを用いることができる。露光機は、電子線、超紫外光(EUV)を照射するものであってもよい。
【0175】
露光後の組成物層を、脱保護基反応を促進するために加熱処理(いわゆるポストエキスポジャーベーク)する。加熱温度としては、通常50〜200℃程度、好ましくは70〜150℃程度である。
加熱後の組成物層を、通常、現像装置を用いて、アルカリ現像液を利用して現像する。
ここで用いられるアルカリ現像液は、この分野で用いられる各種のアルカリ性水溶液であればよい。例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドや(2−ヒドロキシエチル)トリメチルアンモニウムヒドロキシド(通称コリン)の水溶液等が挙げられる。
現像後、超純水でリンスし、基板及びパターン上に残った水を除去することが好ましい。
【0176】
〈用途〉
本発明のレジスト組成物は、特に、化学増幅型フォトレジスト組成物に有用であり、半導体の微細加工、液晶、サーマルヘッド等の回路基板の製造、さらにその他のフォトファブリケーション工程等、広範な用途に好適に利用することができる。特に、ArFやKrFなどのエキシマレーザリソグラフィならびにArFエキシマレーザ液浸露光リソグラフィ、電子線(EB)露光リソグラフィ、EUV露光リソグラフィに好適な化学増幅型フォトレジスト組成物として用いることができる。また、ドライ露光などにも用いることができる。さらに、ダブルイメージングにも用いることができ、工業的に有用である。
【実施例】
【0177】
以下、本発明を実施例によって詳細に説明する。例中、含有量及び使用量を表す%及び部は、特記ないかぎり質量基準である。
実施例において、化合物の構造は、質量分析(LC;Agilent製1100型、MASS;Agilent製LC/MSD型)で確認した。
重量平均分子量は、ポリスチレンを標準品として、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(東ソー株式会社製HLC−8120GPC型、カラムは”TSKgel Multipore HXL−M”3本、溶媒はテトラヒドロフラン)により求めた値である。
カラム:TSKgel Multipore HXL-M x 3 + guardcolumn(東ソー社製)
溶離液:テトラヒドロフラン
流量:1.0mL/min
検出器:RI検出器
カラム温度:40℃
注入量:100μl
分子量標準:標準ポリスチレン(東ソー社製)
【0178】
実施例1:式(B1)で表される塩の合成

式(B1−1)で表される塩を、特開2008−127367号公報に記載された方法で合成した。
式(B1−1)で表される塩10.00部及びアセトニトリル60.00部を仕込み、40℃で30分間攪拌し、式(B1−2)で表される化合物4.44部を仕込み、50℃で1時間攪拌することにより、式(B1−3)で表される化合物を含む溶液を得た。得られた式(B1−3)で表される化合物を含む溶液に、式(B1−4)で表される化合物2.63部を仕込み、23℃で1時間攪拌した。得られた反応マスに、クロロホルム80部及びイオン交換水30部を仕込み、攪拌、分液を行った。水洗を5回行った。得られた有機層に活性炭1.00部を仕込み、23℃で30分間攪拌し、ろ過した。ろ液を濃縮し、得られた濃縮物に、アセトニトリル25部を添加して溶解し、濃縮した。得られた残渣にtert−ブチルメチルエーテル30部を加えて攪拌し、30分間攪拌し、ろ過することにより、式(B1)で表される塩4.48部を得た。
【0179】
式(B1)で表される塩の同定;
MS(ESI(+)Spectrum):M 263.1
MS(ESI(−)Spectrum):M 272.0
【0180】
実施例2:式(B2)で表される塩の合成

式(B1−1)で表される塩を、特開2008−127367号公報に記載された方法で合成した。
式(B1−1)で表される塩10.00部及びアセトニトリル60.00部を仕込み、40℃で30分間攪拌し、式(B1−2)で表される化合物4.44部を仕込み、50℃で1時間攪拌することにより、式(B1−3)で表される化合物を含む溶液を得た。得られた式(B1−3)で表される化合物を含む溶液に、式(B2−4)で表される化合物2.95部を仕込み、23℃で1時間攪拌した。得られた反応マスに、クロロホルム80部及びイオン交換水30部を仕込み、攪拌、分液を行った。水洗を5回行った。得られた有機層に活性炭1.00部を仕込み、23℃で30分間攪拌し、ろ過した。ろ液を濃縮し、得られた濃縮物に、アセトニトリル30部を添加して溶解し、濃縮した。得られた残渣にtert−ブチルメチルエーテル40部を加えて攪拌し、30分間攪拌し、ろ過することにより、式(B2)で表される塩4.09部を得た。
【0181】
式(B2)で表される塩の同定;
MS(ESI(+)Spectrum):M 263.1
MS(ESI(−)Spectrum):M 314.1
【0182】
実施例3:式(B3)で表される塩の合成

式(B1−1)で表される塩を、特開2008−127367号公報に記載された方法で合成した。
式(B1−1)で表される塩10.00部及びアセトニトリル60.00部を仕込み、40℃で30分間攪拌し、式(B1−2)で表される化合物4.44部を仕込み、50℃で1時間攪拌することにより、式(B1−3)で表される化合物を含む溶液を得た。得られた式(B1−3)で表される化合物を含む溶液に、式(B2−4)で表される化合物3.22部を仕込み、23℃で1時間攪拌した。得られた反応マスに、クロロホルム80部及びイオン交換水30部を仕込み、攪拌、分液を行った。水洗を5回行った。得られた有機層に活性炭1.00部を仕込み、23℃で30分間攪拌し、ろ過した。ろ液を濃縮し、得られた濃縮物に、アセトニトリル30部を添加して溶解し、濃縮した。得られた残渣にtert−ブチルメチルエーテル50部を加えて攪拌し、30分間攪拌し、ろ過することにより、式(B3)で表される塩7.79部を得た。
【0183】
式(B3)で表される塩の同定;
MS(ESI(+)Spectrum):M 263.1
MS(ESI(−)Spectrum):M 298.1
【0184】
実施例4:式(B4)で表される塩の合成

式(B1−1)で表される塩を、特開2008−127367号公報に記載された方法で合成した。
式(B1−1)で表される塩10.00部及びアセトニトリル60.00部を仕込み、40℃で30分間攪拌し、式(B1−2)で表される化合物4.44部を仕込み、50℃で1時間攪拌することにより、式(B1−3)で表される化合物を含む溶液を得た。得られた式(B1−3)で表される化合物を含む溶液に、式(B2−4)で表される化合物4.59部を仕込み、23℃で1時間攪拌した。得られた反応マスに、クロロホルム80部及びイオン交換水30部を仕込み、攪拌、分液を行った。水洗を5回行った。得られた有機層に活性炭1.00部を仕込み、23℃で30分間攪拌し、ろ過した。ろ液を濃縮し、得られた濃縮物に、アセトニトリル30部を添加して溶解し、濃縮した。得られた残渣にtert−ブチルメチルエーテル50部を加えて攪拌し、30分間攪拌し、ろ過することにより、式(B4)で表される塩6.86部を得た。
【0185】
式(B4)で表される塩の同定;
MS(ESI(+)Spectrum):M 263.1
MS(ESI(−)Spectrum):M 358.1
【0186】
実施例5:式(B5)で表される塩の合成

式(B5−1)で表される化合物50.00部及びテトラヒドロフラン250部を、反応器中に仕込み、30℃で30分間攪拌し、トリメチルシリルクロリド50.23部を滴下した。得られた混合液を0℃まで冷却し、式(B5−2)で表される化合物(純度32% 東京化成製)157.20部を30分かけて滴下した。さらに、これを23℃まで昇温し、同温度で1時間攪拌した。得られた反応混合物に、1N塩酸125部を仕込み、攪拌・静置し、分液することで水層を回収した。回収された水層に、tert−ブチルメチルエーテル125部を加えて攪拌・静置し、分液することで水層を回収した。回収された水層に、クロロホルム125部を加えて攪拌・静置し、分液することで有機層を回収した。回収された有機層をろ過し、得られたろ液を濃縮した。濃縮残渣に、アセトニトリル28.33部及びtert−ブチルメチルエーテル354.15部を仕込み、23℃で30分間攪拌し、析出した結晶をろ過することにより、式(B5−3)で表される化合物53.00部を得た。

式(B5−4)で表される化合物13.12部及びクロロホルム73.86部を、反応器中に仕込み、30℃で30分間攪拌し、式(B5−3)で表される塩20.71部及びイオン交換水62.27部を添加した。次いで、35%塩酸6.90部を滴下し、23℃で12時間攪拌した。得られた反応混合物に、28%アンモニア水12.00部を滴下し、これを分液することで有機層を回収した。回収された有機層に、イオン交換水50部を仕込み、攪拌、静置及び分液といった水洗操作を計5回行った。得られた有機層に活性炭2.00部を仕込み、23℃で30分間攪拌し、ろ過した。ろ液を濃縮し、得られた濃縮物に、アセトニトリル30部及びtert−ブチルメチルエーテル150部を加えて攪拌し、ろ過して、式(B5−5)で表される塩14.28部を得た。
【0187】

【0188】
式(B5−5)で表される塩10.32部及びアセトニトリル61.91部を仕込み、40℃で30分間攪拌し、式(B1−2)で表される化合物4.44部を仕込んだ。これを50℃で1時間攪拌することにより、式(B5−6)で表される化合物を含む溶液を得た。得られた式(B5−6)で表される化合物を含む溶液に、式(B1−4)で表される化合物2.63部を仕込み、23℃で1時間攪拌した。得られた反応マスに、クロロホルム100部及びイオン交換水50部を仕込み、攪拌、分液を行った。水洗を5回行った。得られた有機層に活性炭1.00部を仕込み、23℃で30分間攪拌し、ろ過した。ろ液を濃縮し、得られた濃縮物に、アセトニトリル30部を添加して溶解し、濃縮した。得られた残渣にtert−ブチルメチルエーテル30部を加えて攪拌し、30分間攪拌し、ろ過することにより、式(B5)で表される塩10.81部を得た。
【0189】
式(B5)で表される塩の同定;
MS(ESI(+)Spectrum):M 277.1
MS(ESI(−)Spectrum):M 272.0
【0190】
実施例6:式(B6)で表される塩の合成

式(B6−1)で表される塩6.03部及びアセトニトリル30.00部を仕込み、23℃で30分間攪拌した。その後、式(B1−2)で表される化合物1.70部を添加し、60℃で1時間攪拌した。得られた反応溶液をろ過し、回収されたろ液を濃縮した。得られた濃縮物に、クロロホルム30部及びイオン交換水15部を加え、23℃で30分間攪拌した。その後、静置し、分液して有機層を得た。得られた有機層に、イオン交換水15部を加え、23℃で30分間攪拌した。この水洗の操作をさらに3回行った。得られた有機層に活性炭1.00部を仕込み、23℃で30分間攪拌し、ろ過した。ろ液を濃縮し、得られた濃縮物に、tert−ブチルメチルエーテル100部を加えて攪拌し、ろ過することにより、式(B6−2)で表される塩6.12部を得た。
【0191】

【0192】
式(B6−2)で表される化合物8.00部、ジメチルホルムアミド48.00部及び式(B1−4)で表される化合物1.60部を仕込み、23℃で30分間攪拌し、炭酸カリウム0.24部を仕込み、23℃で2時間攪拌した。得られた反応物に、クロロホルム100部及びイオン交換水30.00部を仕込み、攪拌、分液を行った。水洗を6回行った。得られた有機層に活性炭1.00部を仕込み、23℃で30分間攪拌し、ろ過した。ろ液を濃縮し、得られた濃縮物に、アセトニトリル20部を添加して溶解し、濃縮した。その後、これに、tert−ブチルメチルエーテル50部を加えて攪拌し、上澄液を除去した。得られた残渣をクロロホルムに溶解し、濃縮することにより、式(B6)で表される塩4.88部を得た。
【0193】
式(B6)で表される塩の同定;
MS(ESI(+)Spectrum):M 263.1
MS(ESI(−)Spectrum):M 480.2
【0194】
実施例7:式(B7)で表される塩の合成

【0195】
式(B1−1)で表される塩10.00部及びアセトニトリル60.00部を仕込み、40℃で30分間攪拌し、式(B1−2)で表される化合物4.44部を仕込み、50℃で1時間攪拌することにより、式(B1−3)で表される化合物を含む溶液を得た。得られた式(B1−3)で表される化合物を含む溶液に、式(B7−1)で表される化合物2.95部を仕込み、23℃で1時間攪拌した。得られた反応マスに、クロロホルム80部及びイオン交換水30部を仕込み、攪拌、分液を行った。水洗を5回行った。得られた有機層に活性炭1.00部を仕込み、23℃で30分間攪拌し、ろ過した。ろ液を濃縮し、得られた濃縮物に、アセトニトリル25部を添加して溶解し、濃縮した。得られた残渣にtert−ブチルメチルエーテル30部を加えて攪拌し、30分間攪拌し、ろ過することにより、式(B7)で表される塩7.48部を得た。
【0196】
式(B7)で表される塩の同定;
MS(ESI(+)Spectrum):M 263.1
MS(ESI(−)Spectrum):M 286.1
【0197】
樹脂の合成において使用したモノマーを下記に示す。

【0198】
合成例1:樹脂A1の合成
モノマーE、モノマーF、モノマーB、モノマーC及びモノマーDを、モル比30:14:6:20:30の割合で仕込んだ。次いで、全モノマーの合計質量に対して、1.5質量倍のジオキサンを加えた。得られた混合物に、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリルとアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)とを全モノマーの合計モル数に対して、それぞれ、1.00mol%と3.00mol%との割合で添加し、これを73℃で約5時間加熱した。その後、反応液を、大量のメタノールと水との混合溶媒(4:1)に注いで沈殿させる操作を3回行うことにより精製し、重量平均分子量が約8.1×10である共重合体を収率65%で得た。得られた共重合体は、次式の構造単位を有するものであり、これを樹脂A1とした。
【0199】

【0200】
合成例2:樹脂A2の合成
モノマーA、モノマーB及びモノマーCを、モル比50:25:25の割合で仕込み、次いで、全モノマーの合計質量に対して、1.5質量倍のジオキサンを加えた。得られた混合物に、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリルとアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)とを全モノマーの合計モル数に対して、それぞれ、1mol%と3mol%との割合で添加し、これを80℃で約8時間加熱した。その後、反応液を、大量のメタノールと水との混合溶媒(3:1)に注いで沈殿させる操作を3回行うことにより精製し、重量平均分子量が約9.2×10である共重合体を収率60%で得た。この共重合体は、次式の構造単位を有するものであり、これを樹脂A2とした。
【0201】

【0202】
(レジスト組成物の調製)
表1に示すように、以下の各成分を混合して溶解することにより得られた混合物を孔径0.2μmのフッ素樹脂製フィルタで濾過することにより、レジスト組成物を調製した。
【0203】
【表1】

【0204】
<樹脂>
樹脂A1〜A2
<酸発生剤>
酸発生剤B1:式(B1)で表される塩
酸発生剤B2:式(B2)で表される塩
酸発生剤B3:式(B3)で表される塩
酸発生剤B4:式(B4)で表される塩
酸発生剤B5:式(B5)で表される塩
酸発生剤B6:式(B6)で表される塩
酸発生剤B7:式(B7)で表される塩
酸発生剤X1:

酸発生剤X2:

【0205】
<塩基性化合物:クエンチャー>
クエンチャーC1:2,6−ジイソプロピルアニリン
<溶剤>
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 265部
2−ヘプタノン 20.0部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 20.0部
γ−ブチロラクトン 3.5部
【0206】
(レジストパターンの製造)
12インチのシリコン製ウェハ上に、有機反射防止膜用組成物[ARC−29;日産化学(株)製]を塗布して、205℃、60秒の条件でベークすることによって、厚さ78nmの有機反射防止膜を形成した。次いで、有機反射防止膜の上に、上記のレジスト組成物を、乾燥(プリベーク)後の膜厚が110nmとなるようにスピンコートした。
得られたシリコンウェハをダイレクトホットプレート上にて、表1の「PB」欄に記載された温度で60秒間プリベーク(PB)した。このようにレジスト組成物膜を形成したウェハに、液浸露光用ArFエキシマレーザステッパー[XT:1900Gi;ASML社製、NA=1.35、2−poles on axis照明(σout=0.97、σin=0.77、Y偏光]を用いて、露光量を段階的に変化させてラインアンドスペースパターンを液浸露光した。なお、液浸媒体としては超純水を使用した。
露光後、ホットプレート上にて、表1の「PEB」欄に記載された温度で60秒間ポストエキスポジャーベーク(PEB)を行った。
さらに、2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で60秒間のパドル現像を行い、レジストパターンを得た。
【0207】
各レジスト組成物からのレジストパターン形成において、50nmのラインアンドスペースパターンの線幅が1:1となる露光量を実効感度とした。
【0208】
(露光マージン評価(EL))
実効感度±10%の露光量範囲において露光量を横軸に、その露光量で形成された50nmのラインパターンの線幅を縦軸にプロットした。該プロットから求めた回帰直線の傾きの絶対値が、
1.1nm/(mJ/cm)以下であるものを◎、
1.3nm/(mJ/cm)以下のものを○、
1.3nm/(mJ/cm)を超え、1.5nm/(mJ/cm)以下のものを△、
1.5nm/(mJ/cm)を超えるものを×とした。
【0209】
(フォーカスマージン評価(DOF))
実効感度において、フォーカスを段階的に変化させてレジストパターンを形成し、得られたレジストパターンの線幅が50nm±5%の幅にあるフォーカス範囲(47.5〜52.5nm)を指標(DOF)とした。DOFが、
0.17μmを超えるものを◎、
0.14μmを超えるものを○、
0.09μmを超え、0.14μm以下のものを△、
0.14μm未満であるものを×とした。
これらの結果を表2に示す。
【0210】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0211】
本発明のレジスト組成物によれば、レジストパターン形成時の露光マージン(EL)及びフォーカスマージン(DOF)が広い。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)で表される塩。

[式(I)中、
及びRは、互いに独立に、フッ素原子又は炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基を表す。
は、炭素数1〜17の2価の飽和炭化水素基を表し、該2価の飽和炭化水素基に含まれる−CH−は、−O−又は−CO−で置き換わっていてもよい。
環Wは、炭素数2〜36の複素環を表す。
は、水素原子又は炭素数1〜12の炭化水素基を表し、該炭化水素基に含まれる−CH−は、−O−又は−CO−で置き換わっていてもよい。
は、それぞれ独立に、炭素数1〜6の炭化水素基を表し、該炭化水素基に含まれる−CH−は、−O−又は−CO−で置き換わっていてもよい。
mは、0〜6の整数を表す。
は、有機カチオンを表す。]
【請求項2】
が、式(L1−1)で表される基である請求項1記載の塩。

[式(L1−1)中、Lb2は、単結合又は炭素数1〜15の2価の飽和炭化水素基を表す。
*は−C(R)(R)−との結合手を表す。]
【請求項3】
が、トリアリールスルホニウムカチオンである請求項1又は2記載の塩。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか記載の塩を含有する酸発生剤。
【請求項5】
請求項4記載の酸発生剤と樹脂とを含み、該樹脂は酸に不安定な基を有し、かつアルカリ水溶液に不溶又は難溶な樹脂であり、酸との作用によりアルカリ水溶液で溶解し得る樹脂であるレジスト組成物。
【請求項6】
さらに塩基性化合物を含有する請求項5記載のレジスト組成物。
【請求項7】
(1)請求項4又は5記載のレジスト組成物を基板上に塗布する工程、
(2)塗布後の組成物を乾燥させて組成物層を形成する工程、
(3)組成物層に露光機を用いて露光する工程、
(4)露光後の組成物層を加熱する工程、
(5)加熱後の組成物層を、現像装置を用いて現像する工程、
を含むレジストパターンの製造方法。

【公開番号】特開2013−28540(P2013−28540A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−142717(P2011−142717)
【出願日】平成23年6月28日(2011.6.28)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】