説明

塩化ビニル系樹脂成形体

【課題】優れた成形性と疲労特性とを兼ね備えた硬質の塩化ビニル系樹脂成形体を提供することを目的とする。
【解決手段】塩化ビニル系樹脂又は塩素化塩化ビニル系樹脂(A)及び塩化ビニルモノマー100重量部と、式CH=CH−SiR3−n(式中、Rは水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基、Xは炭素数1〜3のアルコキシ基、nは0〜2の整数である。)
で表されるビニルシラン化合物0.5〜10重量部とを共重合して得られる架橋性塩化ビニル系樹脂(B)を、(A):(B)=(50〜90):(50〜10)の重量比で含有する混合樹脂を主成分とする塩化ビニル系樹脂成形体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塩化ビニル系樹脂成形体に関し、より詳細には、耐久性と成形性とを兼ね備える硬質の塩化ビニル系樹脂成形体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、塩化ビニル管や塩化ビニル管継手の耐久化の手法として、例えば、塩化ビニル系樹脂管の樹脂層の厚みを肉厚化する方法、優れた機械的強度を有する高重合度化樹脂等を用いる方法等が提案されている。
例えば、特許文献1(特開2002−37972号公報)では、高重合度塩化ビニル系樹脂を用いることにより、耐衝撃性、疲労強度を向上することが開示されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、特許文献1に記載のような高重合度塩化ビニル系樹脂組成物を用いて継手を成形する際、樹脂組成物の充分なゲル化を行うために成形温度を上げると、脱塩酸により樹脂の分解が起こり、また、粘度が上昇して、射出成形時の充填不良(ショートショット)を引き起こすことがある。
【0004】
本発明は上記問題点に鑑みなされたものであり、優れた成形性と疲労特性とを兼ね備えた硬質の塩化ビニル系樹脂成形体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の塩化ビニル系樹脂成形体は、
塩化ビニル系樹脂又は塩素化塩化ビニル系樹脂(A)及び
塩化ビニルモノマー100重量部と、式
CH=CH−SiR3−n
(式中、Rは水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基、Xは炭素数1〜3のアルコキシ基、nは0〜2の整数である。)
で表されるビニルシラン化合物0.5〜10重量部とを共重合して得られる架橋性塩化ビニル系樹脂(B)を、(A):(B)=(50〜90):(50〜10)の重量比で含有する混合樹脂を主成分とすることを特徴とする。
【0006】
このような塩化ビニル系樹脂成形体では、
前記混合樹脂100重量部に対して、錫メルカプト系化合物が1.0〜10重量部、錫マレート触媒が0.1〜3.0重量部配合されてなることが好ましい。
また、錫メルカプト系化合物と錫マレート触媒との配合比率は、錫メルカプト系化合物/錫マレート触媒=4/1〜1/1であることが好ましい。
【0007】
また、本発明の塩化ビニル系樹脂成形体の製造方法では、上述した混合樹脂を用いて、射出成形法によって成形体を製造することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、優れた成形性と疲労特性とを兼ね備えた硬質の塩化ビニル系樹脂成形体を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の塩化ビニル系樹脂成形体は、混合樹脂を主成分として成形された成形体である。ここで主成分とは、成形体を構成する成分のうちで最も含有重量が多い成分又は50重量%以上の含有量を占める成分を意味する。
【0010】
混合樹脂は、塩化ビニル系樹脂又は塩素化塩化ビニル系樹脂(A)と、架橋性塩化ビニル系樹脂(B)とを含有する。
塩化ビニル系樹脂(A)は、塩化ビニル単独重合体(塩化ビニルホモポリマー)、塩化ビニルモノマーと共重合可能な不飽和結合を有するモノマーと塩化ビニルモノマー(好ましくは、50重量%以上含む)との共重合体、重合体に塩化ビニルモノマーをグラフト共重合したグラフト共重合体等が挙げられる。これら重合体は単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
【0011】
塩化ビニルモノマーと共重合可能な不飽和結合を有するモノマーとしては、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン等のα−オレフィン類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;ブチルビニルエーテル、セチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチルアクリレート、フェニルメタクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類;スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル類;塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン等のハロゲン化ビニルビニル類;N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のN−置換マレイミド類、(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸、アクリロニトリル等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
【0012】
塩化ビニルをグラフト共重合する重合体としては、塩化ビニルをグラフト重合させるものであれば特に限定されず、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル−一酸化炭素共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−ブチルアクリレート−一酸化炭素共重合体、エチレン−メチルメタクリレート共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ポリウレタン、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
【0013】
塩化ビニルモノマーの重合度は、例えば、600〜2000程度が適しており、800〜1500程度が好ましい。重合度が小さ過ぎても、大きすぎても、塩化ビニル系樹脂成形体の成形性が得られにくくなる。
重合度を調整する方法としては、主に重合温度等が例示される。一般に重合温度が高いほど重合度は低くなる。
重合度は、JIS K 6720−2に準拠して測定することができる。
【0014】
塩化ビニル系樹脂の重合方法は、特に限定されず、従来公知の水懸濁重合、塊状重合、溶液重合、乳化重合等が挙げられる。具体的には、懸濁重合は、例えば、重合器に塩化ビニル系モノマー、水性媒体、分散剤及び重合開始剤を投入し、所定の重合温度に昇温して重合反応を行い、塩化ビニル系モノマーの重合転化率が70〜90重量%の所定の割合に達した後、冷却、排ガス、脱モノマーの処理を行い、塩化ビニル系樹脂を含むスラリーを得、このスラリーを脱水、乾燥することにより得ることができる。
【0015】
塩素化塩化ビニル系樹脂(A)は、上述した塩化ビニル系樹脂を後塩素化した、塩素化度が60%以上の塩化ビニル系樹脂である。
【0016】
塩素化の方法は、特に限定されず、当該分野で公知の方法を利用することができる。例えば、水懸濁熱塩素化法、水懸濁光塩素化法、溶液塩素化法等が挙げられる。なかでも、得られた後塩素化物が内部まで均一に塩素化されることから、水懸濁熱塩素化法が好ましい。
【0017】
具体的には、撹拌機及びジャケットを備えた反応器に、純水及び塩化ビニル系樹脂を投入し、その後、真空ポンプで反応器内の空気を排出し、撹拌条件下で反応器内をジャケットにより加熱し、所定の温度になった後に塩素を反応器内に導入することにより、塩化ビニル系樹脂の後塩素化を行うことができる。
【0018】
水懸濁熱塩素化法の反応器の材質は特に制限されないが、塩素及び塩化水素による腐食を抑制するため、ガラスライニング等の腐食対策がされた装置が好ましい。
水懸濁熱塩素化法の反応温度としては、70〜130℃が好ましい。低温すぎると、塩素化反応が著しく遅くなる傾向がある。高温すぎると、樹脂が熱劣化で変色しやすくなる傾向がある。さらに好ましくは、90〜120℃である。また、反応の進行状況によって、反応温度を反応途中で変更する等、多段階で温度制御を行ってもよい。
【0019】
水懸濁熱塩素化法の反応圧力は、特に限定されないが、反応系中の塩素濃度を高くするほど、塩素化反応が進みやすくなるので、反応器の耐圧設計が許す範囲内で高い方が好ましい。
【0020】
また、塩素化の際に反応速度を早くするために、過酸化水素等のラジカル発生剤を添加してもよいが、得られた後塩素化物は、主鎖に脱塩酸の基点となる構造が生成するので、可能な限り添加しないのが好ましい。
【0021】
後塩素化を行った樹脂の塩素含有率は60重量%以上が適しており、60〜75重量%程度、64〜74重量%程度、さらに66〜70重量%程度が好ましい。塩素含有率が小さすぎると十分な耐熱性、耐久性を得ることができず、大きすぎると成形加工が困難となる傾向がある。
【0022】
架橋性塩化ビニル系樹脂(B)は、塩化ビニルモノマーとビニルシラン化合物とを共重合して得られる樹脂である。
ビニルシラン化合物としては、種々のものを利用することができる。
例えば、式
CH2=CH−SiR3−n
(式中、Rは水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基、Xは炭素数1〜3のアルコキシ基、nは0〜2の整数である。)
で表わされる化合物を用いることが適している。
【0023】
ここで、Rにおける炭素数1〜3のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル基が挙げられる。
Xは、加水分解性を有する有機基であればよく、炭素数1〜3のアルコキシ基、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ基が例示される。ただし、アルコキシ基の炭素数が大きくなると、加水分解速度が遅くなる傾向があり、架橋工程に時間がかかる傾向がある。よって、メトキシ、エトキシ基が好ましく、エトキシ基がより好ましい。
【0024】
ビニルシラン化合物の具体例としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等を挙げることができる。これらのビニルシラン化合物は目的とする用途により、2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0025】
ビニルシラン化合物は、塩化ビニルモノマー100重量部に対して、0.5〜10重量部であることが好ましく、さらに5〜7重量部であることが好ましい。ビニルシラン化合物の量が少なすぎると架橋が十分に進行せず、強度が向上しない傾向がある。一方、多くなりすぎると成形時の架橋が顕著となりすぎて成形性を損なう傾向がある。
【0026】
なお、架橋性塩化ビニル系樹脂(B)は、目的に応じて塩化ビニルモノマー及びビニルシラン化合物以外のラジカル重合性モノマーをさらに追加して共重合してもよい。
このようなラジカル重合性モノマーとしては、例えば、塩化ビニルモノマーと共重合が可能なモノマーが挙げられ、ビニルモノマーのすべてが含まれる。
例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン等のα−オレフィン類:酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類:エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類:メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類等が挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
このようなモノマーを追加する場合、このモノマーは、塩化ビニルモノマー100重量部に対して、1〜10重量部であることが適しており、2〜5重量部であることが好ましい。
【0027】
架橋性塩化ビニル系樹脂の重合度は、小さ過ぎても、大きすぎても、塩化ビニル系樹脂成形体の成形性が得られにくくなるため、600〜2000が適当であり、好ましくは800〜1500である。重合度を調整する方法としては、主に重合温度等が例示される。一般に重合温度が高いほど重合度は低くなる。
【0028】
架橋性塩化ビニル系樹脂を得る方法は、特に限定されず、水懸濁重合法、乳化重合法、塊状重合法等、種々の共重合方法を用いることができる。なかでも、重合の制御のしやすさ、得られた架橋性塩化ビニル系樹脂の取り扱い性及び成形性のよさを考慮すると、水懸濁重合法であることが好ましい。
共重合の際には、塩化ビニルモノマー及びビニルシラン化合物の反応比、溶媒への分散性等により各々の重合率が変化することを考慮する必要がある。
重合反応は、ランダム共重合、ブロック共重合又はこれらを併用してもよい。
特に、水懸濁重合法を行う場合には、油溶性重合開始剤、分散剤、水溶性増粘剤、重合度調節剤等の1種以上の種々の添加剤を用いることが好ましい。
【0029】
水懸濁重合に用いられる油溶性重合開始剤は、通常、ポリ塩化ビニル系樹脂の重合に用いられている公知のラジカル開始剤を意味する。例えば、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、α−クミルパーオキシネオデカノエート等のパーエステル化合物;ジイソプロピルパーオキシカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート等のパーカーボネート化合物、デカノイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド等のパーオキシド化合物、α,α’−アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物等が挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0030】
水懸濁重合に用いられる分散剤は、塩化ビニル系樹脂の共重合を効率的に行う目的で添加される。例えば、ポリ(メタ)アクリル酸塩、(メタ)アクリル酸塩−アルキルアクリレート共重合体、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリ酢酸ビニル及びその部分ケン化物、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、デンプン、無水マレイン酸−スチレン共重合体等が挙げられる。これらは単独または2種以上組み合わせて用いることができる。
【0031】
水懸濁重合法の具体的な製造方法としては、例えば、撹拌機及びジャケットを備えた反応容器に、純水、分散剤、疎水性重合開始剤、水溶性増粘剤、ビニルシラン化合物、必要に応じて重合度調節剤を投入し、真空ポンプで重合器内の空気を排出し、さらに撹拌条件下で塩化ビニル及び必要に応じて他のビニルモノマーを投入し、反応容器内をジャケットにより加熱し、塩化ビニルモノマー及びビニルシラン化合物のグラフト共重合を行う方法が挙げられる。
【0032】
塩化ビニル系樹脂の共重合は発熱反応のため、ジャケット温度を変えることにより反応容器内の温度、つまり重合温度を制御することが可能である。
反応終了後、未反応の塩化ビニルを除去してスラリー状にし、さらに脱水乾燥することが好ましい。
【0033】
上述した水懸濁重合法により得られたポリ塩化ビニル系樹脂の平均粒子径、空隙率等は特に制限されないが、加工性やハンドリング性を考慮すると、平均粒子径は80〜200μm、空隙率は20〜35容量%の範囲が好ましい。
【0034】
本発明における混合樹脂は、塩化ビニル系樹脂又は塩素化塩化ビニル系樹脂(A)と、架橋性塩化ビニル系樹脂(B)とを含有する。これらの含有比率は、(A):(B)=(50〜90):(50〜10)の重量比であることが適しており、(70〜90):(30〜10)であることが好ましい。
【0035】
架橋性塩化ビニル系樹脂(B)が少なすぎると、引張疲労試験(測定温度23℃、応力 20Mpa、周波数5Hz)における破壊回数が低くなる傾向がある。架橋性塩化ビニル系樹脂(B)が多すぎると、混合樹脂(A+B)の溶融粘度が大きくなり、成形性を損なう可能性がある。
【0036】
本発明の混合樹脂には、さらに、錫メルカプト系化合物と、錫マレート触媒とを含有していてもよい。
このような錫メルカプト系化合物は、錫メルカプト系化合物がシロキサン触媒となりうる錫金属を含むにもかかわらず、シロキサン触媒の効果を発揮せず、熱安定剤としてのみ作用する。ここでシロキサン触媒とはビニルシラン化合物による架橋を促進するもので、互いにSi−OHをもつ化合物からSi−O−Si結合(シロキサン結合)する際の反応を促進する触媒となるものを意味する。
【0037】
一方、錫マレート触媒は、シロキサン触媒として作用する化合物であり、通常、単独で用いるとそれらの化合物由来の水酸基が関与し、架橋反応が進行する。
【0038】
従って、本発明においては、成形時の熱安定性を確保しながら、成形後に架橋率を制御することができ、それによって成形体の耐久性を向上させるために、錫メルカプト系化合物と錫マレート触媒との双方を組み合わせて用いる。
【0039】
このような錫メルカプト系化合物は、シロキサン触媒としては作用しない錫メルカプト系化合物を用いることが好ましい。このような錫メルカプト系化合物としては、例えば、ジメチル錫メルカプト、ジオクチル錫メルカプト、ジブチル錫メルカプト等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0040】
錫マレート触媒としては、例えば、ジメチル錫マレート、ジオクチル錫マレート、ジブチル錫マレート等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0041】
また、必要に応じて他の錫系触媒を併用することもできる。錫マレート触媒と併用する錫系触媒としては錫ラウレート触媒が挙げられる。例えば、ジブチル錫ラウレート、ジブチル錫ラウレートポリマー、ジオクチル錫ラウレート等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。ラウレート触媒は樹脂中の流動性が良好で、錫マレート触媒との併用効果が期待できる。
【0042】
錫メルカプト系化合物は、混合樹脂100重量部に対して、1.0〜10重量部配合することが好ましく、1.0〜3.0重量部がより好ましい。
錫マレート系化合物は、混合樹脂100重量部に対して、0.1〜3重量部配合することが好ましく、0.5〜1.0重量部がより好ましい。
【0043】
さらに、錫メルカプト系化合物と錫マレート触媒との配合比率は、錫メルカプト/錫マレート系化合物=4/1〜1/1程度とすることが好ましい。錫マレート触媒の比率が高すぎると架橋反応を促進する傾向にある。従って、このような範囲とすることにより、錫メルカプト系化合物によって、架橋率の制御が可能となる。
また、錫メルカプト化合物と錫マレート触媒との合計部数は混合樹脂100重量部に対して、1.0〜10重量部配合することが適しており、1.0〜3.0重量部が好ましい。
【0044】
本発明の塩化ビニル系成形体を形成する成分として、混合樹脂に、成形時の架橋進行を制御させる目的で、必要に応じてさらに熱安定剤を添加してもよい。
このような熱安定剤は、錫マレート系又は錫ラウレート系化合物と併せて添加してもよいし、あらかじめ錫マレート系又は錫ラウレート系化合物と混合して、混合系安定剤を作成し、これを添加してもよい。
熱安定剤としては、上述した錫マレート系又は錫ラウレート系化合物とは異なるものであり、例えば、ステアリン酸鉛、二塩基性亜リン酸鉛、三塩基性硫酸鉛等の鉛系安定剤、カルシウム−亜鉛系安定剤、バリウム−亜鉛系安定剤、バリウム−カドミウム系安定剤等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0045】
塩化ビニル系成形体には、塩化ビニル又は塩素化塩化ビニル系樹脂、混合樹脂、錫メルカプト系化合物、錫マレート、錫ラウレート触媒以外に、さらに必要に応じて、シロキサン触媒、安定化助剤、滑剤、加工助剤、酸化防止剤、光安定剤、顔料等の各種添加剤の1種又は2種以上が添加されていてもよい。
【0046】
シロキサン触媒としては、例えば、カルボン酸金属塩、チタンキレート化合物、チタン酸アルキル、ジルコン酸アルキル等の金属有機化合物、有機塩基、有機酸等を用いることができる。具体的な例としては、カルボン酸金属塩として、ジブチル錫ジオクトエート、ジブチル錫ジアセテート、オクタン酸第一錫、オクタン酸鉛、2−エチルヘキサン酸亜鉛、ブテン酸コバルト、オクタン酸コバルト、2−エチルヘキサン酸鉄、チタン酸テトラブチル、チタン酸エチレングリコール等が挙げられる。有機塩基としては、エチルアミン、ヘキシルアミン、ジブチルアミン、エチレンジアミン等が挙げられる。有機酸としては、p−トルエンスルホン酸、酢酸等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0047】
シロキサン触媒の添加量は、塩化ビニル系樹脂と架橋性塩化ビニル系樹脂の混合樹脂100重量部に対して0〜5重量部が好ましい。添加量を多くしても一定のところで触媒効果が平衡するからである。
【0048】
安定化助剤としては、特に限定されず、例えば、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ豆油エポキシ化テトラヒドロフタレート、エポキシ化ポリブタジエン、リン酸エステル等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0049】
滑剤としては、特に限定されず、例えば、モンタン酸ワックス、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、ステアリン酸、ステアリルアルコール、ステアリン酸ブチル等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0050】
加工助剤としては、特に限定されず、例えば、重量平均分子量10万〜200万のアルキルアクリレート/アルキルメタクリレート共重合体であるアクリル系加工助剤が挙げられ、具体的には、n−ブチルアクリレート/メチルメタクリレート共重合体、2−エチルヘキシルアクリレート/メチルメタクリレート/ブチルメタクリレート共重合体等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0051】
光安定剤としては、特に限定されず、例えば、サリチル酸エステル系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系等の紫外線吸収剤、あるいはヒンダードアミン系の光安定剤等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0052】
顔料としては、特に限定されず、例えば、アゾ系、フタロシアニン系、スレン系、染料レーキ系等の有機顔料、酸化物系、クロム酸モリブデン系、硫化物・セレン化物系、フェロシアン化物系等の無機顔料等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0053】
添加剤の添加方法及び添加順序は、特に限定されるものではなく、任意の方法及び順序とすることができる。例えば、添加方法としては、特に限定されず、塩化ビニル系樹脂に、ホットブレンド法、コールドブレンド法等により添加することができる。
【0054】
本発明の塩化ビニル系樹脂成形体は、上述した混合樹脂を用いて成形される。
例えば、本発明の塩化ビニル系樹脂成形体の製造方法の一つとして、混合樹脂(任意に、錫メルカプト系化合物、錫マレート及び/又は錫ラウレート触媒、その他の添加剤等)を混合して得られた樹脂組成物をそのまま用いてもよいが、これら成分の混合物を、ベント孔を有する押出機に導入し、押出成形法で一旦ペレット化することが好ましい。押出機は溶融混練時のせん断発熱が少ない2軸押出機が好適である。
【0055】
ペレット作製時の押出成形時の樹脂温度は150℃〜180℃が適しており、160℃〜170℃が好ましい。樹脂温度が低すぎると、塩化ビニル系樹脂のゲル化が不十分となり物性に影響を及ぼす。継手表面の光沢を向上するためには高い方が好ましい。一方、樹脂温度が高すぎると、塩化ビニル系樹脂の分解、架橋を促進する可能性がある。
【0056】
さらに、ペレット押出成形時、押出機途中のベント孔より減圧することが適している。減圧する手段としては、例えば、真空ポンプを用いる。減圧した真空度は、通常、ベント孔と接続した配管途中にある真空ゲージで測定することができる。
大気圧を基準(0mmHg)として、真空度が最も高い(最も減圧されて圧力が低い)状態では、真空ゲージは760mmHgを指すが、押出成形時の真空度は400mmHg以上、760mmHg以下とすることが適しており、700mmHg以上とすることが好ましい。400mmHgより大きな真空度、例えば、300mmHgではペレット内の水分除去が不十分となり、射出成形時の外観が十分ではなくなる。
【0057】
さらに、このペレット品を用いて射出成形を行う。射出成形機のダイヘッドの温度は175℃〜200℃とすることが適しており、180℃〜190℃とすることが好ましい。ダイヘッド温度が低すぎると、溶融粘度が高くなり、先端の剪断発熱でヤケが発生することがある。一方、ダイヘッド温度が高すぎると先端で架橋が進行し、充填不良を起こす可能性がある。
【0058】
塩化ビニル系成形体は成形後、必要に応じて水分の存在下において架橋処理を行う。水分の供給方法は特に限定されず、系内の水分、空気中の水分によっても架橋させることができる。また、加熱により架橋速度を著しく促進することができるため、熱水により架橋処理を行ってもよい。加熱方法は特に限定されないが、水分の供給を同時に行うことから、60℃以上の温水、水蒸気、加圧水蒸気を供給することが好ましい。
【0059】
架橋処理は、処理後のゲル分率が10%以上、100%以下となるように行うことが好ましい。ゲル分率が小さすぎる場合には、引張疲労強度が不十分となることがあるため、より好ましくは、50%以上である。
【0060】
塩化ビニル系樹脂成形体の架橋度合いはゲル分率により測定することができる。
ゲル分率は特定の溶剤に試料を溶解させ、その重量変化率より算出される。ゲル分率が大きくなると、架橋が進行していることを示す。
具体的には、試料をテトラヒドロフラン(THF)中に16時間抽出したときの重量変化率であり、
(ゲル分率)=(THF抽出後の試料重量)/(THF抽出前の試料重量)
で定義される。
【0061】
ゲル分率は射出成形した後、架橋処理する前でも測定できる。成形した直後のゲル分率は小さい方がよい。成形機内で架橋が進むと成形異常や成形体の外観不良が発生することがある。このため、成形直後のゲル分率は5%以下が好ましい。なお、ペレット作製時等の低い押出成形温度では架橋はほぼ進まず、ゲル分率はゼロに近い値となる。
【0062】
ここで、成形直後とは、塩化ビニル系樹脂成形体の最終形状に成形した後であって、通常、成形機から排出され、後述するような、成形体の物性を変化させるための何らかの処理が行われる前を指す。このような処理としては、例えば、架橋処理、具体的には、水分の存在下での架橋処理等が挙げられる。
以下、本発明の実施例について説明するが、下記の例に限定されるものではない。なお、実施例における部は、特に断りのない限り重量基準の値を示す。また、表中の各成分の組成は、特に断りのない限り重量部を示す。
【0063】
実施例1〜3及び4〜6
(塩化ビニル系樹脂(A))
塩化ビニル系樹脂は、市販品である徳山積水工業(株)社製のTS800E(重合度800)を用いた。
(架橋性塩化ビニル系樹脂(B)の合成)
攪拌機の備えられたジャケット付25リットルの耐圧重合器に、イオン交換水133部、ビニルエトキシシラン及び塩化ビニルモノマーをそれぞれ表1に示す所定重量部、油溶性ラジカル開始剤としてジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカルボネート0.05部、界面活性剤としてポリプロピレンオキサイドオレイルエーテル1部、水溶性増粘剤としてポリ塩化アルミニウム0.1部を供給した。
【0064】
重合器を密閉して空気を排除した後、塩化ビニルモノマー100部を圧入し、次いで、攪拌しながら、63℃(重合度800、実施例1〜3)又は58℃(重合度1000、実施例4〜6)まで昇温し、重合器内の温度を63℃(重合度800、実施例1〜3)又は58℃(重合度1000、実施例4〜6)に保持しながら水懸濁重合を行った。
重合器内圧が降下を始めてから30分経過してからジャケットに冷却水を通して重合器を冷却した。その後、未反応の塩化ビニルモノマー等を除去し、重合スラリーを取り出した。これをイオン交換水で洗浄し、乾燥して架橋性塩化ビニル系樹脂(B)を得た。
【0065】
(塩化ビニル系樹脂成形体の作製)
表1に示すように、得られた塩化ビニル系樹脂(A)及び架橋性塩化ビニル系樹脂(B)の混合樹脂100重量部に対して、
安定剤としてオクチル錫マート(商品名「TVS #8604」、日東化成工業社製)、
安定剤としてオクチル錫ラウレート(「ONZ 7F」、日東化成工業社製)、
滑剤として「モノグリMB」(日本油脂社製)、
滑剤として「Hiwax405MP」(三井化学社製)、
加工助剤(商品名「PA20」、カネカ社製)
を、それぞれ表1に示す量でスーパーミキサー(100L、カワタ社製)にて攪拌混合して塩化ビニル系樹脂組成物を得た。
【0066】
得られた塩化ビニル系樹脂組成物を、直径30mmの2軸異方向回転押出機(OSC−30)に供給し、樹脂温度165℃、ベント孔での減圧した時の真空度で、直径1mm程度のペレットを得た。
【0067】
得られたペレットについて、JISK7199の試験方法A2に準拠して、東洋精機(株)製のキャピログラフ1Bを用いて、温度が195℃、キャピラリーダイ内径Dが1mm、長さLが1mm、L/D=1の条件下で、粘度を測定した。剪断速度が1200/sの時の混合樹脂品及び塩化ビニルホモポリマー品の粘度をそれぞれ測定し、混合樹脂品/塩化ビニルホモポリマー品の比とし、キャピロ粘度比を計算した。
【0068】
また、得られたペレットを100t射出成形機(日本製鋼所社製)に供給し、ダイヘッド温度185℃で射出成形して、引張ダンベルを作製した。その後、60℃の熱水に、表1に示す所定時間暴露することにより塩化ビニル系樹脂成形体を得た。
熱水処理前後のゲル分率は表1に示すとおりである。
また、以下の物性を測定し、評価した。
【0069】
(1)射出成形性
ノズル温度185℃での条件化で、JISK6742(2004年度版)に準拠した引張ダンベルを成形した際に、良品を○、成形機内の圧力が高く、表面状態が平滑な成形品が得られなり、ショートショット、成形できなかったものを×とし判断した。
【0070】
(2)疲労強度
上記引張ダンベルに、試験条件23℃、最大応力20Mpa、周波数5Hzの条件で、繰り返し引張り荷重(20Mpa→0Mpa→20Mpa)を負荷し、破断するまでの繰り返し回数を測定した。
【0071】
比較例1
架橋性塩化ビニル系樹脂(A)のみ100重量部としたこと以外は実施例1と同様にして成形を行った。疲労性の向上は見られなかった。
【0072】
比較例2及び3
架橋性塩化ビニル系樹脂(B)を70又は90重量部としたこと以外は実施例1と同様にして成形を行ったが、ショートショットとなった。
【0073】
比較例4〜6
架橋性塩化ビニル系樹脂(B)のみ100重量部としたこと以外は実施例1と同様にして成形した。しかし、流動性が悪く、ダンベルについては、架橋が進行しすぎて、外観もザラザラの状態であった。
【0074】
比較例7
表1に示す塩化ビニル系樹脂(重合度2000)を使用したこと以外は実施例1と同様にして塩化ビニル系樹脂成形体を得た。
なお、ここでの塩化ビニル系樹脂は、水懸濁重合の際の重合温度を43℃にすること、ビニルエトキシシランを添加しなかったこと以外は、実施例1と同様にして塩化ビニル系樹脂の合成を行った。
【0075】
比較例8及び9
表1に示す塩化ビニル系樹脂(A)と比較例7の塩化ビニル系樹脂(重合度2000)とを混合し使用したこと以外は実施例1と同様にして塩化ビニル系樹脂成形体を得た。
【0076】
【表1】

【0077】
実施例7〜12
(塩素化塩化ビニル系樹脂A)
塩素化塩化ビニル系樹脂は、市販品である徳山積水工業(株)社製のHA31K(重合度800、塩素化度67.3%)を用いた。
【0078】
(架橋性塩化ビニル系樹脂(B)の製造)
攪拌機の備えられたジャケット付25リットルの耐圧重合器に、イオン交換水133部、ビニルエトキシシラン及び塩化ビニルモノマーを、それぞれ表2に示す所定重量部、油溶性ラジカル開始剤としてジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカルボネート0.05部、界面活性剤としてポリプロピレンオキサイドオレイルエーテル1部、水溶性増粘剤としてポリ塩化アルミニウム0.1部を供給した。
重合器を密閉して空気を排除した後、塩化ビニルモノマー100部を圧入し、次いで、攪拌しながら、63℃(重合度800、実施例7〜9)又は58℃(重合度1000、実施例10〜12)まで昇温し、重合器内の温度を63℃(重合度800、実施例7〜9)又は58℃(重合度1000、実施例10〜12)に保持しながら水懸濁重合を行った。 重合器内圧が降下を始めてから30分経過してからジャケットに冷却水を通して重合器を冷却した。その後、未反応の塩化ビニルモノマー等を除去し、重合スラリーを取り出し、これをイオン交換水で洗浄し、乾燥して架橋性塩化ビニル系樹脂(B)を得た。
【0079】
(塩化ビニル系樹脂成形体の作製)
表2に示すように、得られた塩素化塩化ビニル系樹脂(A)及び架橋性塩化ビニル系樹脂(B)の混合樹脂100重量部に対して、
安定剤としてオクチル錫マート(商品名「TVS #8604」、日東化成工業社製)、
安定剤としてオクチル錫ラウレート(「ONZ 7F」、日東化成工業社製)、
滑剤として「モノグリMB」(日本油脂社製)、
滑剤として「Hiwax405MP」(三井化学社製)、
加工助剤(商品名「PA20」、カネカ社製)
を、それぞれ表1に示す量でスーパーミキサー(100L、カワタ社製)にて攪拌混合して塩化ビニル系樹脂組成物を得た。
【0080】
得られた塩化ビニル系樹脂組成物を、上記と同様に、直径1mm程度のペレットとし、JISK7199の試験方法A2に準拠して、上記と同様に、粘度測定を行って、キャピロ粘度比を計算した。
【0081】
また、上記と同様に射出成形して、引張ダンベルを作製した。その後、90℃の熱水に表2に示す所定時間暴露することにより架橋硬質塩化ビニル系樹脂成形体を得た。
熱水処理前後のゲル分率は表2に示すとおりである。
また、実施例1等と同様に、射出成形性、疲労強度、さらにビカット軟化温度を測定し、評価した。
【0082】
(3)ビカット軟化温度
成型品サンプルを用い、熱可塑性プラスチックのビカット軟化温度試験方法(JIS K 7206)に則り、10N加重、昇温速度10℃/hrにて、ビカット軟化温度を測定した。
【0083】
比較例10
塩素化塩化ビニル系樹脂(A)のみ100重量部とした以外は実施例7と同様にして成形を行った。疲労性の向上は見られなかった。
【0084】
比較例11及び12
比較例7に示す塩化ビニル系樹脂(重合度2000)を使用したこと以外は実施例7と同様にして塩化ビニル系樹脂成形体を得た。
【0085】
【表2】

【0086】
表1及び表2に結果から、塩化ビニル系樹脂又は塩素化塩化ビニル系樹脂(A)と、架橋性塩化ビニル系樹脂(B)との混合樹脂を使用して継手等の成形体を形成することにより、耐疲労性と射出成形性との双方に優れた塩化ビニル系樹脂成形体を得ることができることを確認した。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明は、塩化ビニル系樹脂を使用することを期待するあらゆる分野において利用することができる。特に、長期耐久性を必要とする管、継手等の成形等に好適に用いることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0088】
【特許文献1】特開2002−37972号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塩化ビニル系樹脂又は塩素化塩化ビニル系樹脂(A)及び
塩化ビニルモノマー100重量部と、式
CH=CH−SiR3−n
(式中、Rは水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基、Xは炭素数1〜3のアルコキシ基、nは0〜2の整数である。)
で表されるビニルシラン化合物0.5〜10重量部とを共重合して得られる架橋性塩化ビニル系樹脂(B)を、(A):(B)=(50〜90):(50〜10)の重量比で含有する混合樹脂を主成分とすることを特徴とする塩化ビニル系樹脂成形体。
【請求項2】
前記混合樹脂100重量部に対して、錫メルカプト系化合物が1.0〜10重量部、錫マレート触媒が0.1〜3.0重量部配合されてなる請求項1に記載の塩化ビニル系樹脂成形体。
【請求項3】
錫メルカプト系化合物と錫マレート触媒との配合比率は、錫メルカプト系化合物/錫マレート触媒=4/1〜1/1である請求項1又は2に記載の塩化ビニル系樹脂成形体。
【請求項4】
塩化ビニル系樹脂又は塩素化塩化ビニル系樹脂(A)及び
塩化ビニルモノマー100重量部と、式
CH=CH−SiR3−n
(式中、Rは水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基、Xは炭素数1〜3のアルコキシ基、nは0〜2の整数である。)
で表されるビニルシラン化合物0.5〜10重量部とを共重合して得られる架橋性塩化ビニル系樹脂(B)を、(A):(B)=(50〜90):(50〜10)の重量比で含有する混合樹脂を用いて、射出成形法によって成形体を製造する塩化ビニル系樹脂成形体の製造方法。

【公開番号】特開2010−265365(P2010−265365A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−116777(P2009−116777)
【出願日】平成21年5月13日(2009.5.13)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】