説明

塩化物検出用クロム不含指示デバイス

試料中の塩化物イオンを検出するための化学指示デバイス(10)が提供される。化学指示デバイス(10)は、担体マトリックス(12)と、担体マトリックス(12)上に担持された銀およびバナジウム酸塩を有する指示物質(14)とを含む。塩化物イオンを検出するための方法もまた提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改善されたクロム不含化学指示デバイス、ならびに水性試料中の塩化物イオンの存在および量を決定するためのクロムを含まない方法に関する。
【背景技術】
【0002】
塩化物イオンの検出は、健康および産業用途を含むがこれらに限定されない数々の異なる用途において重要である。多くの塩化物イオン検出用指示デバイスが、当技術分野において知られている。既知の塩化物イオン用指示デバイスの大部分は、+6の酸化状態のクロムを含有する、クロム酸銀または二クロム酸銀六価クロム(Cr(VI))化合物を指示薬として使用している。しかしながら、長期間にわたる六価クロムへの暴露は、著しい健康リスクを有することが知られている。
【0003】
例えば、六価クロムが眼および皮膚と接触した場合、六価クロムは炎症を引き起こす可能性があり、さらには、暴露が十分長期間である場合には、永久的な損傷を引き起こす可能性がある。さらに、六価クロムが皮膚の切り傷または裂傷と接触した場合、化合物は、クロム性潰瘍を引き起こす可能性があり、これは典型的には治癒するまでに長期間を要し、また目に見える傷跡が残る可能性がある。六価クロムは、吸入された場合、鼻腔、咽喉および肺に炎症を引き起こす可能性がある。さらに、六価クロムへの長期間の暴露は、粘膜への損傷、鼻血、隔壁穿孔、および肺癌発症のリスクの増加をもたらし得る。また、生体内のビタミンCに暴露されると、六価クロムは、個人の肺細胞内のDNAに重篤な損傷をもたらし得る。さらにまた、国際がん研究機関(IARC)は、六価クロムを既知のヒト発癌性物質に指定している。
【0004】
労働安全衛生管理局(OSHA)は、様々な業種における六価クロムに対する許容暴露レベルを次のように規定している:一般産業の場合0.005mg/mまたは5μg/mTWA、建設業の場合0.005mg/mまたは5μg/mTWA、および海運業の場合0.005mg/mまたは5μg/mTWA。さらに、国立労働安全衛生研究所(NIOSH)は、0.001mgCr(VI)/m10時間TWAを、推奨される暴露限度としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第6,042,543号
【特許文献2】米国特許第5,229,299号
【特許文献3】米国特許第4,650,768号
【特許文献4】米国特許第3,620,677号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記懸念に加えて、六価クロム含有デバイスはまた、使用後に慎重に取り扱い、適切に廃棄しなければならない。六価クロムは、例えばアメリカ合衆国の資源保全回収法(RCRA)、日本の化学物質排出移動量届出制度(PRTR)、欧州連合有害廃棄物指令等の多くの環境リスト上に一般的に見られる。六価クロムの暴露レベルを低減するデバイスおよび方法を使用することができるが、塩化物イオンの検出における六価クロムの使用を完全に排除することがより望ましい。現在まで、既知の従来技術は、塩化物イオンの検出のための、実行可能で安価かつ容易に視認可能なクロム不含指示物質および方法を提供するに至っていなかった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下の説明において、図面を参照しながら本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一態様による化学指示デバイスの正面図である。
【図2】本発明の一態様による、裏打ちストリップ上に支持された化学指示デバイスの正面図である。
【図3】本発明の一態様による、筐体内に配置された化学指示デバイスの側面図である。
【図4A】本発明の一態様による、開位置から閉位置に移行可能な筐体内に配置された担体マトリックスを備える、再使用可能な化学指示デバイスの正面図である。
【図4B】本発明の一態様による、開位置から閉位置に移行可能な筐体内に配置された担体マトリックスを備える、再使用可能な化学指示デバイスの正面図である。
【図5】本発明の一態様による、上に目盛が印刷された裏打ちストリップを有するデバイスの正面図である。
【図6】本発明の一態様による化学指示デバイスの背面図である。
【図7】本発明の一態様による方法を示すフロー図である。
【図8】本発明の一態様による、試料中の塩化物の未知濃度を決定するための較正曲線である。
【0009】
図1を参照すると、試料中の塩化物イオンを検出するための化学指示デバイス10(デバイス10)が示されている。デバイス10は、少なくとも、担体マトリックス12と、担体マトリックス12により担持された指示物質14とを含む。有利には、本発明の指示物質14は、塩化物イオンを検出するための既知の典型的な指示物質にである六価クロム系化合物ではない。代わりに、本発明において、指示物質14は、銀およびバナジウム酸塩を有する化合物を含む。具体的実施形態において、指示物質14は、デカバナジウム酸銀を含む。水溶液中でのバナジウムからバナジウム酸塩への化学種形成は複雑である。具体的には、バナジウム酸塩は、pH依存性の自己縮合を生じる。高pHにおいて、バナジウム酸塩オキソアニオンは、VO3−として存在する。水溶液のpHが低下すると、V4−が形成し、次いでV124−が、最終的にはデカバナジウム酸塩V10286−(バナジウム酸塩の無機ポリマーである)を形成して暗橙色の種が得られる。デカバナジウム酸塩が銀含有化合物と反応すると、デカバナジウム酸銀が形成される。デカバナジウム酸銀は、同じく非常に暗い橙色を有する沈殿物である。塩化物イオン含有試料と接触すると、暗橙色のデカバナジウム酸銀は、暗橙色の背景と対比した白色沈殿物(塩化銀)の形成により、容易に変色する。このように、デバイス10は、塩化物イオンの存在下で、容易に観察可能および測定可能な比色応答を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
重要なことに、本発明者らは、銀およびバナジウム酸塩を含む化合物、例えばデカバナジウム酸銀が、中に含浸させると担体マトリックス12上に実質的に固定された状態を維持することを見出した。「実質的に固定された」とは、担体マトリックスが試料と接触した時に、担体マトリックス12のバックグラウンドと対比させて、担体マトリックス12上に沈殿した塩化銀の量の視覚的決定を行うことができるように、十分な指示物質14が担体マトリックス12上に担持された状態を維持することを意味する。さらに、「担持された」または「上に担持された」とは、指示物質14が、担体マトリックス12の表面上および/または担体マトリックス12の細孔内(担体マトリックス12が後述のように多孔質担体マトリックスである場合)に封鎖、固定および/またはその他の様式で配置されることを意味する。塩化物イオン含有試料と接触させた時のデバイス10の正確性のためには、指示物質14を少なくともある程度固定することが重要である。試料が担体マトリックス12を上昇した時に指示物質14が担体マトリックス12から洗い流される場合、偽陽性が生じる可能性がある。
【0011】
本発明者は、好適なクロム不含指示物質の開発において、いくつかの化合物は試料中の塩化物イオンの存在の比色表示を提供し得るが、これらの化合物は、典型的には担体マトリックス12から容易に洗い流され、したがって指示物質14の実行可能な選択肢ではないことを見出した。本発明者はさらに、驚くべきことに、銀およびバナジウム酸塩を含む化合物、例えばデカバナジウム酸銀は、試料が担体マトリックスの長さに沿って移動した場合でも、異なる担体マトリックス上で比較的静止した状態を維持し得ることを見出した。一実施形態において、指示物質14は、担体マトリックス上に均一に分布し、具体的実施形態において、指示物質14は、担体マトリックスの全長に沿って均一に分布している。
【0012】
担体マトリックス12は、完全または部分的に親水性または疎水性の材料であってもよい。一実施形態において、担体マトリックス12は、親水性材料を含む。一般に、担体マトリックスが親水性材料を含む場合、担体マトリックス12は、その長さに沿って流体試料が毛管作用により吸引され得るかまたは流動し得るようにする。試料が担体マトリックス12の長さに沿って移動すると、その試料中に存在するいかなる塩化物イオンも、担体マトリックス12上に担持された指示物質14と反応する。別の実施形態において、担体マトリックス12は、疎水性材料を含む。一般に、担体マトリックス12が疎水性材料を含む場合、試料は担体マトリックス12に容易には吸引されない。したがって、そのような実施形態においては、シリンジ、ポンプ、または類似のデバイスを使用して、担体マトリックス12の長さに沿って試料を移動させるために必要な力を提供してもよい。
【0013】
さらに、担体マトリックス12は、多孔質材料または非多孔質材料であってもよい。一実施形態において、担体マトリックス12は、多孔質材料を含む。具体的実施形態において、担体マトリックス12は、セルロース系材料、ガラス繊維材料、多孔質ポリマー材料、またはこれらの組合せのうちの1種または複数種を含む多孔質材料を含む。多孔質材料を使用すると、一般に、指示物質14は、多孔質材料の表面上および多孔質材料の細孔内に配置され得ることが理解される。一般に、銀源およびバナジウム酸塩源を含む溶液中に担体マトリックス12を1つまたは複数のステップで浸漬すれば、多孔質担体マトリックス上または多孔質担体マトリックス内への指示物質14の担持を達成するのに十分である。別の実施形態において、担体マトリックス12は、非多孔質材料を含む。指示物質14は、銀源およびバナジウム酸塩源を含む溶液中に非多孔質材料を1つまたは複数のステップで浸漬し、その後担体マトリックス12を乾燥させることにより、同様に担持され得る。
【0014】
一実施形態において、指示物質14は、担体マトリックス12の2段階浸漬工程により、担体マトリックス12上に担持される。まず、銀源、例えば硝酸銀を含む第1の溶液中に担体マトリックス12を浸漬し、乾燥させることができる。次いで、デカバナジウム酸塩を含有する第2の溶液中に担体マトリックス12を浸漬することができる。デカバナジウム酸塩は、バナジウム酸塩源から提供される。担体マトリックス12を第2の溶液中に浸漬した後、担体マトリックス12を再び乾燥させる。第1の溶液からの銀は、第2の溶液中でバナジウム酸塩イオンと反応し、橙色沈殿物、例えばデカバナジウム酸銀を生成する。次いで、担体マトリックス12を、所望によりストリップに切断することができる。
【0015】
任意の好適なバナジウム酸塩源を利用して、指示物質14用のある量のバナジウム酸塩を提供することができる。バナジウム酸塩は、銀源からの銀と反応し、銀およびバナジウム酸塩を含む化合物、例えばデカバナジウム酸銀の形態の指示物質14を形成する。上述したように、水溶液中のバナジウムの化学種形成は複雑である。バナジウム酸塩は自己縮合するため、異なる出発材料からの同じ条件のpH、イオン強度、およびバナジウム濃度の溶液を区別することは、不可能ではないにしても困難である。したがって、指示物質14を調製するための出発材料は、メタバナジウム酸ナトリウム、オルトバナジウム酸カリウム、または酸化バナジウムを含むがこれらに限定されない、任意の好適なバナジウム酸塩源であってもよい。例えば、デカバナジウム酸塩合成は、多くのバナジウム系出発材料を用いて、多くの経路を介して生じ得る。
【0016】
さらに、任意の好適な銀源を利用して、銀およびバナジウム酸塩を含む化合物、例えばデカバナジウム酸銀を形成するバナジウム酸塩源との反応用の、ある量の銀を提供することができる。一実施形態において、銀源は、銀塩、例えば硝酸銀である。硝酸銀の濃度は、デバイス10の異なる機能範囲に対応するために大きく変動し得ることが、当業者に理解される。一実施形態において、デバイス10の製造で使用されるバナジウムの量は、銀とバナジウム酸塩との間の完全な反応を確実とするために、使用される銀の量より少なくとも2:1のモル比で過剰である。具体的実施形態において、デカバナジウム酸銀は、以下の等式に従い、硝酸銀およびデカバナジウム酸塩から生成される。
6AgNO+V10286−→Ag1028+6NO
(暗橙色)
【0017】
任意選択的に、指示物質14の生成において、銀およびバナジウム酸塩を互いに反応させる際、好適な乾燥剤を成分に添加することができる。一実施形態において、乾燥剤は、担体マトリックス12上の成分の均一な乾燥を補助するエタノールである。
【0018】
一実施形態において、デカバナジウム酸塩は3〜6のpH範囲で特に良好に形成するため、デカバナジウム酸塩の形成を促進するために、バナジウム酸塩源はまた、バナジウム酸塩源のpHを3〜6のpHまで調節するのに十分な酸性化剤とともに提供されてもよい。任意の好適な化合物を酸性化剤として提供することができる。一実施形態において、酸性化剤は、硫酸アルミニウムである。さらに、本明細書に記載のようなデバイスの使用に干渉することのない任意の他の好適な酸、例えば硝酸、酢酸、または硫酸が使用されてもよい。
【0019】
また、デカバナジウム酸銀は、特に、硫化物、他のハロゲン化物、および水酸化物と反応して正の干渉をもたらし得ることが理解される。有利には、本発明者は、硫酸アルミニウム等のアルミニウム含有化合物が、特に高pH状態において干渉除去剤として作用し、水酸化銀形成を防止することを見出した。したがって、担体マトリックス12は、アルミニウム含有化合物をさらに含み得ることが理解される。アルミニウム含有化合物は、干渉除去剤として作用して、高pH試料においてデカバナジウム酸銀が水酸化物と反応するのを防止することができる。さらに、硫化物に対し選択的である、また塩化物以外のハロゲン化物に対しより大きな選択性を有する、他の干渉除去剤が利用され得ることが企図される。
【0020】
指示物質14を備える担体マトリックス12が塩化物イオン含有試料と接触すると、塩化物イオンは、指示物質14中の銀と反応して塩化銀を生成する。一実施形態において、指示物質14はデカバナジウム酸銀を含み、以下の式に従い、塩化物イオンとの反応が生じる。
6Cl+Ag1028→6AgCl+V10286−
(暗橙色) (白色)
【0021】
得られる塩化銀生成物は白色であり、担体マトリックス12上の暗橙色のデカバナジウム酸銀から容易に区別される。また、このようにして、塩化銀は、デバイス10の外部から視認可能な白色ピークを形成する。
【0022】
十分な量の試料をデバイス10に導入した後、沈殿した塩化銀の程度と、様々な濃度を有する1組の塩化物標準試料から計算した塩化物濃度との間の実験的に得られた直線関係に基づき、試料中の塩化物の量を決定することができる。既知の異なる濃度の塩化物イオンをそれぞれ含有する一連の液体試料を分析することにより、測定された試料中塩化物濃度との間の関係を表す直線回帰式を導出することができる。既知の塩化物濃度の各試料に対して、観察される沈殿物の領域、例えば高さを測定することができる。直線回帰分析を行うことができ、得られた標準曲線を使用して、未知の量の塩化物イオンを有する試験試料中の塩化物イオン濃度を計算することができる。例えば、一実施形態において、視認され得る塩化銀ピークの高さを、関連付けられた目盛と比較して、試料中の塩化物イオンの量を決定することができる。
【0023】
一般に、指示物質14を形成する成分、例えばバナジウム酸塩源および銀源の濃度は、同様の量の塩化物イオンを有する試料の試験に対応するために、必要に応じて減少または増加させることができることが、当業者に理解される。例えば、比較的高い塩化物イオン濃度を有することが予測される試験試料は、デバイス10において比較的多量の指示物質14を必要とする。
【0024】
上述のデバイス10は、自立式であってもよく、あるいは、好適な筐体部品内に組み込まれるか、または好適な筐体部品上に、もしくは好適な筐体部品によって支持されてもよい。本明細書に記載のような担体マトリックス12上の指示物質14を有するデバイスの構造は、任意の具体的実施形態に限定されないことが理解される。例示的な筐体部品としては、以下に記載のもの、ならびに、参照により本明細書にその全内容が組み込まれる、米国特許第6,042,543号(特許文献1)、米国特許第5,229,299号(特許文献2)、米国特許第4,650,768号(特許文献3)、および米国特許第3,620,677号(特許文献4)に記載のものが挙げられる。一実施形態において、自立式担体マトリックスを備えるデバイス10は、自立式であり、図1に示されるように構築される。別の実施形態において、担体マトリックス12は、単一の裏打ち材料上に配置されてもよい。さらに別の実施形態において、担体マトリックス12は、部分的または全体的に担体マトリックス12を包囲する筐体内に配置されてもよい。これらの実施形態のいずれにおいても、第1の担体マトリックス12の使用後に、後続の第2の試験試料への暴露のために第2の担体マトリックスを筐体内に設置することができるように、デバイス10は、担体マトリックス12が筐体から取り外し可能であるように構成され得る。
【0025】
図2は、本発明による指示デバイスの別の実施形態を示す。デバイス101は、上に担体マトリックス12を支持するための単一の裏打ちストリップ16の形態の筐体を備える。単一の裏打ちストリップ16は、典型的には、不透水性材料から形成される。裏打ちストリップ16に好適な不透水性材料は、当技術分野において周知であり、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル等を含むがこれらに限定されない合成ポリマーを含み得る。具体的実施形態において、不透水性材料は、Mylar(登録商標)の商品名で一般に販売されている二軸配向ポリエチレンテレフタレート(boPET)ポリエステルフィルムである。不透水性材料を使用することにより、デバイス101が試料マトリックスに挿入されるか、または別の様式で試料がデバイス101内に導入された場合、試料は裏打ちストリップ16により実質的に吸収されないか、または完全に吸収されない。担体マトリックス12は、接着剤等により裏打ちストリップ16に固定して保持され得るか、または、タブ21等の任意の好適な構造により裏打ちストリップ16に着脱可能に保持され得る。裏打ちストリップ16に着脱可能に保持される場合、担体マトリックス12は、第1の試験試料への暴露後に裏打ちストリップ16から取り外すことができ、新たな担体マトリックスを、後続の第2の試験試料への暴露のために裏打ちストリップ16に保持することができることが企図される。
【0026】
図3は、本発明による指示デバイスの別の実施形態を示す。デバイス102は、上部裏打ちストリップ20および下部裏打ちストリップ22を備える筐体18を含む。担体マトリックス12は、前述したように、その上に担持された指示物質14を備える。さらに、2つの裏打ちストリップが存在する場合、デバイス102は、典型的には、試料を担体マトリックス12と接触させるための、任意の好適なサイズの1つまたは複数の開口部、例えば開口部24を備える。一実施形態において、開口部24は、図示されるように、試料を担体マトリックス12と接触させるため、底部26の上部裏打ちストリップ20と下部裏打ちストリップ22との間に画定される。このように、分析する試料を、デバイス102の底部26を通して導入することができ、また毛管作用により担体マトリックス12を上昇させることができる。あるいは、開口部24は、デバイス102の外縁のうちの1つもしくは複数、デバイス10の中央部、またはデバイス102上の任意の他の好適な場所に配置されてもよい。上部裏打ちストリップ20および下部裏打ちストリップ22は、好ましくは不透水性材料から形成され、一実施形態において、指示物質14とデバイス102内に導入された試料中の塩化物イオンとの反応による指示物質14のいかなる色の変化も、デバイス102の外部から容易に観察され得るように、実質的に半透明または実質的に透明な不透水性材料、例えばMylar(登録商標)材料から形成される。
【0027】
デバイス102がその底部26に開口部24を含む場合、デバイス102は、その上部30に、通気孔として作用するとともに、デバイス102が試料マトリックス内に配置された時に、開口部24内に入り担体マトリックス12を上昇する試料の移動を補助する、開口部28をさらに含んでもよい。あるいは、担体マトリックス12は、デバイスの長さ全体にわたり延在し、その一端に開口部を提供し、その反対端に通気孔として作用する第2の開口部を提供し得る。さらに代替として、デバイス102の通気のために、上部裏打ちストリップ20および下部裏打ちストリップ22のうちの1つまたは複数に、複数の穴が提供されてもよい。
【0028】
図3に示されるデバイス102を製造するために、任意の好適な方法により、上部裏打ちストリップ20と下部裏打ちストリップ22との間に担体マトリックス12を貼り付けることができる。一実施形態において、上部裏打ちストリップ20、下部裏打ちストリップ22、および担体マトリックス12は、互いに配列され、加圧および/または加熱によりラミネート加工される。具体的実施形態において、ラミネート加工後に製造されたラミネート加工シートを切断して複数のデバイスを製造することができるように、上部裏打ちストリップ20、下部裏打ちストリップ22、および担体マトリックス12は、シート形態で提供される。あるいは、指示物質14を備える担体マトリックス12を所望の長さのストリップに切断して、上部裏打ちストリップ20および下部裏打ちストリップ22のシート間、ならびに/または実質的に同じ寸法を有する上部裏打ちストリップ20および下部裏打ちストリップ22のストリップ間にラミネート加工することができる。さらに、後述のように信号ストリング(signal string)またはフィルタが提供される場合、信号ストリングまたはフィルタは、所望により、上部裏打ちストリップ20と下部裏打ちストリップ22との間にラミネート加工することができる。
【0029】
図4A〜4Bは、本発明による指示デバイスの別の実施形態を示す。デバイス103は、頂面側34および底面側36を備える筐体32を備える。担体マトリックス12は、頂面側34と底面側36との間に形成された空洞38内に配置される。頂面側34および底面側36のうちの少なくとも一方は、各試験後に使用者が担体マトリックス12を交換することができるように、例えばヒンジ40を介して、図4Aに示されるような開位置42から図4Bに示されるような閉位置44まで相対的に移行可能である。このようにして、単一の筐体、例えば筐体32には、複数の試料を試験するために、複数の担体マトリックスが提供され得る。担体マトリックスを筐体32内の所定位置に一時的に保持するために、または必要に応じて頂面側34および底面側36を閉位置に維持するために、タブ、留め金等の任意の好適な構造が提供され得る。閉位置44にある場合、デバイス103は、典型的には、デバイス103の底部に画定された1つまたは複数の開口部、例えば開口部124を含む。あるいは、開口部は、任意の他の好適な場所にあってもよく、またデバイス103は、単一の筐体を複数の交換可能な担体マトリックスとともに使用することができるようにするための、任意の好適な構成であってもよい。
【0030】
本発明の別の態様において、図5に示されるように、本明細書に記載のデバイスはいずれも、その上に配置された目盛を有する裏打ちストリップを含み得る。図5は、上部裏打ちストリップ20が、その上に配置された目盛46を含む、図3のデバイス102を示す。目盛46は、様々な濃度を有する試料に対応するために、または使用者の所望の範囲に対応するために、任意の好適な範囲および関連した印を有してもよい。目盛46は、当技術分野において知られた任意の好適な印刷またはエッチング方法により、上部裏打ちストリップ20(または他の裏打ちストリップ)上に提供され得る。図5に示される実施形態において、目盛46は1から10までの読みがあり、使用者は、既知の異なる濃度の塩化物イオンをそれぞれ含有する一連の液体試料の分析から得られたチャートまたは較正曲線との比較により、試料中の塩化物イオンの量を決定するために使用され得る目盛値を得ることができる。このように、デバイス102は、試料中の塩化物イオンの存在に対する測定可能な比色応答を提供する。一実施形態において、試料からの塩化銀形成の程度を容易に目盛46と比較することができるように、目盛は、実質的に半透明または実質的に透明な裏打ちストリップ上に提供される。
【0031】
図5に示される実施形態の代替の実施形態において、図5に示される目盛と同様の目盛を、デバイス10とは別個の構成要素として提供し、(存在する場合には)生成した白色塩化銀ピークの隣に設置して目盛値を測定することができる。例えば、目盛を備える別個の構成要素は、その上に印刷された目盛を有する、実質的に半透明または実質的に透明な材料のストリップであってもよい。デバイス10および別個の目盛とともに、目盛値を試験試料中の塩化物イオンの所定量と関連付ける較正曲線が提供されてもよい。デバイス10の製造において、紙の製造ロットのそれぞれが、独自の較正曲線を有し得ることが理解される。
【0032】
本発明の別の態様によれば、本明細書に記載のデバイスのいずれの実施形態も、図6に示されるような信号ストリング48を備えることができる。図6に示されるように、デバイス104は、滴定の完了を示すために、デバイス104の上部49に配置された信号ストリング48を備える。換言すれば、信号ストリング48は、試料が出発点、例えば開口部49から、信号ストリング48の場所まで移動したことを示す。試料が信号ストリング48に到達したら、試験は実質的に完全に終了である。さらに、信号ストリング48が配置されるデバイス104の上部51上(例えば、裏打ちストリップのうちの一方)に穴50を提供し、例えばデバイス104の底部53の開口部49を通して試料がデバイス104に進入する際に空気を逃がすことができる通気孔として作用させてもよい。一実施形態において、信号ストリング48には、水性流体に反応する染料が含浸されてもよい。
【0033】
本発明の別の態様によれば、デバイス104は、粒子状物質がデバイスに進入するのを防止し、また指示物質14に対するpH干渉を低減または排除するために、図6に示されるようなフィルタ52をさらに含んでもよい。指示物質14は、高pH干渉(例えばpH>10)を受ける可能性がある。いくつかの場合において、例えば、試料のpHは、12〜13まで高くなり得る。これは一般に、セメント試料の場合である。そのような高pH試料においては、試料がデバイス104に進入する前またはその後にフィルタ52が試料と接触して試料のpHを低下させる任意の好適な場所で、フィルタ52をデバイス104内に組み込むことが望ましくなり得る。一実施形態において、フィルタ52は、デバイスに進入する試料が指示物質14と接触する前にフィルタと接触するように、開口部49に隣接して、例えば開口部49の内側、前方または後方に配置される。
【0034】
フィルタ52は、Whatman,Inc.から入手可能な濾紙等、当技術分野において知られた任意の好適な研究室グレードの濾紙を含み得る。pH干渉を排除するために、フィルタ52は、試料中の塩化物の測定に干渉しない複数種のアニオンを生成する成分で前処理されてもよい。一実施形態において、フィルタ52は、硝酸亜鉛または硫酸マグネシウム等の好適な酸性化合物で前処理される。別の実施形態において、フィルタ52は、水の存在下で硫酸イオンを提供する硫酸アルミニウムで前処理される。一実施形態において、処理済のフィルタ52は、フィルタ52を通過する任意の試料のpHを、指示物質14に対する最適なpHである3〜6のpHに調整するのに効果的である。上述したように、フィルタ52はまた、デバイス10を閉塞し得る、またはデバイス10の正常動作に別の様式で干渉し得る粒子状物質を除去するという追加的利点を有する。フィルタ52により、デバイス10を使用して、セメント試料を含むさらなる種類の試料を最適に試験することができる。
【0035】
上記説明は、塩化物イオンを検出するためのデバイスの使用について述べたものである。しかしながら、本明細書に記載のデバイスのいかなる実施形態も、硫化物および塩化物以外のハロゲン化物ともまた反応し得ることが理解される。したがって、所望により、試料中の他のハロゲン化物および硫化物の存在を検出するために、デバイス10を上述と同様の様式で利用することができる。
【0036】
一般に、塩化物イオンを有する疑いのある試料を、本明細書に記載のデバイスの任意の実施形態の底部に導入する場合、試料が担体マトリックス12の底縁にのみ、または、高くても担体マトリックス12の底縁より若干上までにのみ接触することが望ましい。例えば、図1に示される実施形態において、および親水性担体マトリックス12の場合において、試料が受動的に担体マトリックス12を上昇するのに十分な程度まで、担体マトリックス12の底縁を試料と接触させることが望ましい。任意選択的に、デバイスの担体マトリックス12をある特定の深さを超えて試験試料中に含浸するべきではないことを使用者に伝えるために、任意の好適な印を使用することができる。これらの印は、図2に示されるような担体マトリックスを横断する水平線21を含んでもよく、または、図2にも示されているようなタブ21のうちの最も下のタブ等、マークとして機能し得る任意の好適な構成要素であってもよい。図3の実施形態において、上部裏打ちストリップ20および下部裏打ちストリップ22は、本質的に、試料を担体マトリックスの底縁にのみ導入させる。
【0037】
図7を参照すると、上述のデバイス10を使用して試料中の塩化物を検出するための方法200が示されている。方法200は、塩化物イオンを有する疑いのある試料を、担体マトリックス12上に担持された銀およびバナジウム酸塩を含む支持物質14を有する担体マトリックス12と接触させるステップ202を含む。さらに、方法は、試料中の塩化物を指示物質14の銀と反応させて、担体マトリックス12の長さに沿ってある量の塩化銀を形成するステップ204を含む。さらに、方法は、担体マトリックス12の長さに沿って形成された塩化銀の量に基づき、試料中の塩化物の量を決定するステップを含む。試料は、受動的(例えば毛管作用による)または能動的(例えばシリンジによる)方法によって、担体マトリックス12の少なくとも一部にわたり移動し得る。本明細書において使用される場合、担体マトリックス12の長さとは、担体マトリックス12の任意の方向における距離を暗示する。
【0038】
担体マトリックスの長さに沿って形成された塩化銀の量は、指示長さと呼ぶことができる。例えば、試料が図3に示されるようなデバイス102の底部26においてデバイスに進入する場合、例えば、試料は、毛管作用により、担体マトリックスの長さに沿って担体マトリックスの上部まで流動し得る。この指示長さは、塩化銀形成の高さとみなすことができる。あるいは、試料がデバイス102等のデバイスの内部、例えば中央部に導入され、円の形態で半径方向外向きに流動する場合、塩化銀がそれに沿って形成する指示長さは、塩化銀が沈殿した円の半径または直径とみなすことができる。具体的な一実施形態において、決定するステップ106は、担体マトリックス12の長さに沿って形成された塩化銀の量(例えば指示長さ)を、所定の塩化物濃度を有する複数の標準試料から作成された較正曲線の値と比較するステップを含む。
【0039】
本発明の態様は、いかなる様式にも限定されることを意図しない以下の例により実証される。
【実施例】
【0040】
例1
この例は、本発明による化学指示デバイスの製造を例示する。Whatman,Inc.から提供されたセルロース紙を利用して、2段階浸漬工程でセルロース紙の含浸済マトリックスを調製した。第1の浸漬溶液は、脱イオン(DI)水、硝酸銀、およびエタノールを以下の量で含有していた。
溶液1
DI水 900mL
硝酸銀 5.20グラム
SDAエタノール(度数200) 100mL
【0041】
セルロース紙を溶液1に浸漬して第1の浸漬済マトリックスを生成した後、第1の浸漬マトリックスを乾燥させ、第1の浸漬済マトリックスが第2の溶液中に浸漬され得るように延伸する。一般に、セルロース紙には非常に迅速に浸透する。
【0042】
第2の溶液は、脱イオン水、メタバナジウム酸カリウム、硫酸アルミニウム、およびエタノールを以下の量で含有していた。
溶液2
DI水 800mL
メタバナジウム酸カリウム 10グラム
硫酸アルミニウム 30グラム
SDAエタノール(度数200) 200mL
【0043】
溶液1からの銀は、溶液2中で形成されたデカバナジウム酸塩イオンと反応して、セルロース紙内に含浸された橙色沈殿物、すなわちデカバナジウム酸銀を生成した。次いで、セルロース紙を乾燥させた。次いで、最終的な乾燥後の紙を2.6’’ストリップ幅に切断してから、続いて1/5’’幅に切断した。その後、最終的な乾燥後のストリップを、ほぼ同じサイズのMylar(登録商標)材料の2つのストリップに挟んでラミネート加工し、デバイスを製造した。デバイスの開口部は、意図的にMylar(登録商標)材料の2つのストリップの底部が互いにラミネートされないようにすることにより形成した。次いで、100ppmの塩化物イオンを含む試料中にデバイスを入れることにより、最終的なデバイスを試験した。この例において、5.2グラムの硝酸銀により、0%〜0.5%のNaCl溶液中の塩化物を検出することができるデバイスが製造される。試料中の塩化物イオンは、セルロース紙上に生成した酸化バナジウムと反応して、特定の高さの白色ピークを形成した。次いで、白色ピークをMylar(登録商標)ストリップのうちの1つに位置する任意単位の目盛と比較し、関連する較正グラフから濃度を決定した。
【0044】
例2
この例は、本発明による別の化学指示デバイスの製造を例示する。Whatman,Inc.から提供されたセルロース紙を利用して、2段階浸漬工程でセルロース紙の含浸済マトリックスを調製した。第1の浸漬溶液は、硝酸銀5.2グラム、DI水900mL、エチルアルコール100mL、および硝酸アルミニウム28グラムを含有していた。セルロース紙を溶液1に浸漬して第1の浸漬済マトリックスを生成した後、第1の浸漬マトリックスを乾燥させ、第1の浸漬済マトリックスが第2の溶液中に浸漬され得るように延伸した。
【0045】
第2の溶液は、DI水800mL、メタバナジウム酸アンモニウム9.6グラム、酢酸5.0mL、およびエチルアルコール200mLを含有していた。溶液1からの銀は、溶液2からのバナジウム酸塩と反応して、セルロース紙内に含浸された橙色沈殿物、すなわちデカバナジウム酸銀を生成した。次いで、セルロース紙を乾燥させて最終的なデバイスを形成し、例1において上述したように使用した。
【0046】
例3
上記例1において製造したデバイスを使用して、未知試料中の塩化物の量を決定するための較正曲線を作成した。塩化物0〜3500ppmの範囲の1組の標準試料を使用して、図8の図のY軸および表1に示されるような0〜10単位の範囲の目盛を設定した。この目盛は、デバイスの担体マトリックスを覆うストリップ上に提供されてもよく、または別個の構成要素として提供されてもよい。以下に記載される五(5)種の選択された標準試料を利用して、塩化物イオンの未知の濃度を決定するための較正曲線を作成した。各標準試料に対するエラーバーもまた、図8に示されている。未知試料の目盛の読みを得ることにより、図8の曲線におけるY軸およびX軸を参照して、試料中の塩化物の量を容易に決定することができる。
【0047】
【表1】

【0048】
本明細書において本発明の様々な実施形態を示し説明したが、そのような実施形態は、例示のみを目的として提供されることが明らかである。本明細書における発明から逸脱せずに、数々の変形、変更および置換を行うことができる。したがって、本発明は、添付の特許請求の精神および範囲によってのみ制限されることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料中の塩化物イオンを検出するための化学指示デバイスであって、
担体マトリックスと、
試料に暴露するための、担体マトリックスにより担持された銀およびバナジウム酸塩を含む指示物質と
を備える化学指示デバイス。
【請求項2】
バナジウム酸塩が、デカバナジウム酸塩を含み、指示物質が、デカバナジウム酸銀を含む、請求項1に記載の化学指示デバイス。
【請求項3】
担体マトリックスが、セルロース系材料、ガラス繊維材料、または多孔質ポリマー材料のうちの少なくとも1種を含む、請求項1に記載の化学指示デバイス。
【請求項4】
担体マトリックスが、筐体内に配置され、筐体は、筐体内の担体マトリックスの交換を可能とするために、担体マトリックス周囲で開位置から閉位置に移行するように構成される、請求項1に記載の化学指示デバイス。
【請求項5】
担体マトリックスが、単一の裏打ちストリップの上に配置される、請求項1に記載の化学指示デバイス。
【請求項6】
担体マトリックスが、上部裏打ちストリップおよび下部裏打ちストリップを有する筐体内に配置され、デバイスが、試料をデバイスに進入させて指示物質に接触させるための、筐体における開口部をさらに備える、請求項1に記載の化学指示デバイス。
【請求項7】
上部裏打ちストリップおよび下部裏打ちストリップのうちの少なくとも一方が、実質的に半透明または実質的に透明な材料から形成される、請求項6に記載の化学指示デバイス。
【請求項8】
デバイスへの進入後に試料を濾過するための、開口部に隣接して配置されたフィルタをさらに備え、フィルタは、硝酸亜鉛、硫酸マグネシウム、または硫酸アルミニウムのうちの少なくとも1種で前処理されている、請求項6に記載の化学指示デバイス。
【請求項9】
担体マトリックスにより担持されたアルミニウム化合物をさらに備える、請求項1に記載の化学指示デバイス。
【請求項10】
指示物質が、担体マトリックス上に均一に分布し、指示物質が、担体マトリックス上に実質的に固定されている、請求項1に記載の化学指示デバイス。
【請求項11】
クロムを含まない、請求項1に記載の化学指示デバイス。
【請求項12】
試料中の塩化物を検出するための方法であって、
塩化物イオンを有する疑いのある試料を、担体マトリックス上に担持された銀およびバナジウム酸塩を含む指示物質を有する担体マトリックスと接触させるステップと、
試料中の塩化物を指示物質の銀と反応させて、担体マトリックスの長さに沿ってある量の塩化銀を形成するステップと、
担体マトリックスの長さに沿って形成された塩化銀の量に基づき、試料中の塩化物の量を決定するステップと
を含む方法。
【請求項13】
バナジウム酸塩が、デカバナジウム酸塩を含み、指示物質が、デカバナジウム酸銀を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
銀が、銀源により提供され、バナジウム酸塩が、バナジウム酸塩源により提供され、指示物質が、銀源とバナジウム酸塩源との間の反応により形成されるデカバナジウム酸銀を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
バナジウム酸塩源が、メタバナジウム酸塩、オルトバナジウム酸塩、または酸化バナジウムのうちの少なくとも1種を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
バナジウム酸塩が、デカバナジウム酸塩を含み、デカバナジウム酸塩は、デカバナジウム酸塩を提供するようにバナジウム酸塩源のpHを3から6のpHに調節することによりバナジウム酸塩源から提供される、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
担体マトリックスを、銀源およびバナジウム酸塩源と接触させることにより指示物質を調製するステップをさらに含み、銀に対するバナジウムのモル比は、少なくとも2:1である、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
アルミニウム含有化合物を、銀源またはバナジウム酸塩源のうちの少なくとも一方に添加して、干渉除去剤として作用させるステップをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
指示物質が、まず硝酸銀を含む第1の溶液中に担体マトリックスを浸漬して第1の浸漬済マトリックスを提供し、続いてデカバナジウム酸塩を含む第2の溶液に第1の浸漬済マトリックスを浸漬して第2の浸漬済マトリックスを提供することにより形成される、請求項12に記載の方法。
【請求項20】
指示物質が、クロムを含まない状態に維持される、請求項12に記載の方法。
【請求項21】
前記決定するステップが、担体マトリックスの長さに沿って形成された塩化物の量を、所定の塩化物濃度を有する複数の標準試料から作成された較正曲線の値と比較するステップを含む、請求項12に記載の方法。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4A】
image rotate

【図4B】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公表番号】特表2012−528330(P2012−528330A)
【公表日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−513067(P2012−513067)
【出願日】平成22年3月1日(2010.3.1)
【国際出願番号】PCT/US2010/025798
【国際公開番号】WO2010/138224
【国際公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【出願人】(510255772)
【Fターム(参考)】