説明

塩及び着色硬化性組成物

【課題】有機溶媒への溶解性が十分に満足できる、染料として有用な塩及びそれを含む着色硬化性組成物を提供する。
【解決手段】下記の式(I)、(III)等で表されるアニオンと、キサンテン骨格を有するカチオンとを含有する塩。


[式(I)中、X及びXはそれぞれ独立に、フッ素原子又は炭素数1〜4のフッ化アルキル基を表すか、又は、XとXとが結合して炭素数2〜4のフッ化アルカンジイル基を形成する。]


[式(III)中、Yは炭素数1〜4のフッ化アルカンジイル基を表す。]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、染料として有用な塩及びそれを含む着色硬化性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
染料は、例えば、繊維材料、液晶表示装置、インクジェット及び記録材料などの分野で使用されている。このような染料としては、例えば、下記式(h−1)で表される化合物が知られている(特許文献1)。

【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−100114号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来から公知の上記の塩は、有機溶媒への溶解性が十分に満足できるものではなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、下記〔1〕〜〔11〕の発明を提供するものである。
〔1〕それぞれ式(I)、(II)、(III)及び(IV)で表されるアニオンからなる群から選ばれる少なくとも1つのアニオンと、キサンテン骨格を有するカチオンとを含有する塩。

[式(I)中、X及びXはそれぞれ独立に、フッ素原子又は炭素数1〜4のフッ化アルキル基を表すか、又は、XとXとが結合して炭素数2〜4のフッ化アルカンジイル基を形成する。]

[式(II)中、X〜Xはそれぞれ独立に、フッ素原子又は炭素数1〜4のフッ化アルキル基を表す。]

[式(III)中、Yは炭素数1〜4のフッ化アルカンジイル基を表す。]

[式(IV)中、Yは炭素数1〜4のフッ化アルキル基を表す。]
〔2〕さらに、2価以上の金属イオンを形成し得る金属原子を含むn価の有機金属アニオンMn−を含有する〔1〕記載の塩。
〔3〕前記n価の有機金属アニオンMn−が、式(1)
n− nZ (1)
[式(1)中、Mn−は、上記の有機金属アニオンを表す。Zは、ヒドロン又はアルカリ金属カチオンを表す。nは1〜3の整数を表す。nが2以上の整数である場合、複数のZは互いに同一でも異なっていてもよい。]
で表される化合物にしたとき下記要件aを満たすアニオンである〔2〕記載の塩。
要件a:式(1)で表される化合物の濃度0.028g/L溶液で測定される吸光度が、400〜900nmに亘って0.05以下である。
〔4〕前記n価の有機金属アニオンMn−が、置換基を有していてもよいサリチル酸、又はアミノ基に結合したカルボキシメチル基を複数有する化合物に由来する構造を有する有機金属アニオンである〔2〕又は〔3〕記載の塩。
〔5〕前記n価の有機金属アニオンMn−に含まれる2価以上の金属イオンを形成し得る金属原子が、Al、Cr又はCoである〔2〕〜〔4〕のいずれか記載の塩。
〔6〕〔1〕〜〔5〕のいずれか記載の塩を有効成分とする染料。
〔7〕〔6〕記載の染料と重合性化合物とを含む着色硬化性組成物。
〔8〕さらに顔料を含む〔7〕記載の着色硬化性組成物。
〔9〕さらに樹脂及び重合開始剤からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む〔7〕又は〔8〕記載の着色硬化性組成物。
〔10〕〔7〕〜〔9〕のいずれか記載の着色硬化性組成物により形成されるカラーフィルタ。
〔11〕〔10〕記載のカラーフィルタを備える表示装置。
【発明の効果】
【0006】
本発明の塩は、有機溶媒への溶解性に優れる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の塩は、それぞれ下式(I)、(II)、(III)及び(IV)で表されるアニオンからなる群から選ばれる少なくとも1つのアニオンと、キサンテン骨格を有するカチオンとを含有する。

[式(I)中、X及びXはそれぞれ独立に、フッ素原子又は炭素数1〜4のフッ化アルキル基を表すか、又は、XとXとが結合して炭素数1〜4のフッ化アルカンジイル基を形成する。]

[式(II)中、X〜Xはそれぞれ独立に、フッ素原子又は炭素数1〜4のフッ化アルキル基を表す。]

[式(III)中、Yは炭素数1〜4のフッ化アルカンジイル基を表す。]

[式(IV)中、Yは炭素数1〜4のフッ化アルキル基を表す。]
【0008】
上記式(I)及び(II)においてX〜Xでそれぞれ表される炭素数1〜4のフッ化アルキル基としては、パーフルオロアルキル基が好ましく、例えば−CF、−CFCF、−CFCFCF、−CF(CF、−CFCFCFCF、−CFCF(CF、−C(CF等が挙げられる。
【0009】
上記式(I)においてXとXとが結合して形成される炭素数2〜4のフッ化アルカンジイル基としては、パーフルオロアルカンジイル基が好ましく、例えば−CFCF−、−CFCFCF−、−CFCFCFCF−等が挙げられる。
【0010】
上記式(III)においてYで表される炭素数1〜4のフッ化アルカンジイル基としては、パーフルオロアルカンジイル基が好ましく、例えば−CF−、−CFCF−、−CFCFCF−、−C(CF−、−CFCFCFCF−等が挙げられる。
【0011】
上記式(IV)においてYで表される炭素数1〜4のフッ化アルキル基としては、パーフルオロアルキル基が好ましく、例えば−CF、−CFCF、−CFCFCF、−CF(CF、−CFCFCFCF、−CFCF(CF、−C(CF等が挙げられる。
【0012】
上記式(I)で表されるアニオン(以下「アニオン(I)」という場合がある)としては、例えば下記のアニオン(I−1)〜(I−6)が挙げられる。

【0013】
上記式(II)で表されるアニオン(以下「アニオン(II)」という場合がある)としては、例えば下記のアニオン(II−1)が挙げられる。

【0014】
上記式(III)で表されるアニオン(以下「アニオン(III)」という場合がある)としては、例えば下記のアニオン(III−1)〜(III−4)が挙げられる。

【0015】
上記式(IV)で表されるアニオン(以下「アニオン(IV)」という場合がある)としては、例えば下記のアニオン(IV−1)〜(IV−4)が挙げられる。

【0016】
アニオン(I)、アニオン(II)、アニオン(III)及びアニオン(IV)からなる群から選ばれるアニオン(以下「アニオン(I)〜(IV)」という場合がある)を含有することにより、本発明の塩は、カチオンの由来となるキサンテン染料の色性能を保持しつつ、有機溶媒への溶解性を向上させることができる。中でも、アニオン(II)が好ましく、アニオン(II−1)がより好ましい。
【0017】
本発明の塩に含有されるカチオンは、キサンテン骨格を有する。好ましくは、キサンテン染料に由来するカチオンである。キサンテン染料とは、分子内にキサンテン骨格を有する染料の総称である。該キサンテン骨格上にアミノ基を少なくとも一つ有していることが好ましく、該アミノ基を二つ有していることがより好ましい。本発明の塩に含有されるカチオンは、該アミノ基の窒素原子が正電荷を帯びた構造を有するカチオンであることが好ましく、イミニウムカチオンであることがより好ましい。
【0018】
かかるキサンテン染料としては、エオシン(Eosin)系染料、フルオレセイン(Fluorescein)系染料、ローダミン(Rhodamine)系染料、ピロニン(Pyronine)系染料、ローザミン(Rosamine)系染料等が挙げられる。また、Synlett, 2010, No. 1, p. 89-92に記載されているような、キサンテン骨格の酸素原子が硫黄原子、セレン原子又はテルル原子に置換されたローダミン(Rhodamine)系染料やローザミン(Rosamine)系染料等も挙げられる。
【0019】
キサンテン染料は、通常、アニオン(I)〜(IV)以外のアニオン(好ましくは、Cl又はPF)を有するか、分子内にカルボキシラート基(−COO)やスルホナート基(−SO)等のアニオン性基を有する。
前者の場合、キサンテン染料はいわゆる塩基性染料であり、キサンテン染料に由来するカチオンは、通常、キサンテン染料からアニオン(I)〜(IV)以外のアニオンの一部又は全部(好ましくは全部)を除いたカチオンである。
後者の場合、キサンテン染料はいわゆる内部塩であり、キサンテン染料に由来するカチオンは、通常、かかる内部塩が有するアニオン性基の一部又は全部(好ましくは全部)が中和された構造のカチオンである。ここで、アニオン性基として、例えば、カルボキシラート基(−COO)が中和された基はカルボキシ基(−COOH)又はその塩(−COONa等)であり、スルホナート基(−SO)が中和された基はスルホ基(−SOH)又はその塩(−SONa等)である。
【0020】
キサンテン染料のうち塩基性染料の具体例としては、C.I.Basic Red 1、C.I.Basic Red 2、C.I.Basic Red 3、C.I.Basic Red 4、Basic Red 8、Basic Red 11、C.I.Basic Violet 10、C.I.Basic Violet 11、C.I.Basic Violet 25、及び、下式(h−1)〜(h−86)でそれぞれ表される染料等が挙げられる。
【0021】

【0022】

【0023】

【0024】

【0025】

【0026】

【0027】

【0028】

【0029】

【0030】

【0031】

【0032】

【0033】
キサンテン染料のうち内部塩の具体例としては、C.I.Mordant Red 27、及び、下式(h−100)〜(h−118)でそれぞれ表される染料等が挙げられる。
【0034】

【0035】

【0036】

【0037】
本発明の塩は、上記アニオン(I)〜(IV)と、キサンテン染料に由来するカチオンとの組み合わせを含む。かかる組み合わせの具体例を表1〜3に示す。なお、表1及び2のカチオン欄にはその由来となるキサンテン染料のうち塩基性染料を記載している。上述のとおり、本発明の塩に含まれるカチオンは、かかる塩基性染料からCl又はPFを除いたカチオンである。また、表3のカチオン欄にはその由来となるキサンテン染料のうち内部塩を記載している。上述のとおり、本発明の塩に含まれるカチオンは、かかる内部塩が有するアニオン性基が中和された構造のカチオンである。
【0038】
【表1】

【0039】
【表2】

【0040】
【表3】

【0041】
本発明の塩は、さらに、2価以上の金属イオンを形成し得る金属原子を含むn価の有機金属アニオンMn−を含有する、いわゆる混合塩であると、さらに溶解性が向上するため好ましい。かかるn価の有機金属アニオンMn−は、式(1)
n− nZ (1)
[式(1)中、Mn−は、上記の有機金属アニオンを表す。Zは、ヒドロン又はアルカリ金属カチオンを表す。nは1〜3の整数を表す。nが2以上の整数である場合、複数のZは互いに同一でも異なっていてもよい。]
で表される化合物(以下「化合物(1)」ということがある)にしたとき下記要件aを満たすアニオンであることがより好ましい。
要件a:化合物(1)の濃度0.028g/L溶液で測定される吸光度が、400〜900nmに亘って0.05以下である。
【0042】
かかる要件aにおいて、乳酸エチル、クロロホルム、N,N−ジメチルホルミアミド、イオン交換水、メタノール、エタノール及びトルエンからなる群から選ばれる少なくとも一つの溶媒に化合物(1)を溶解させて、濃度0.028g/L溶液を作製し、この溶液について400〜900nmの吸光度を測定する。該吸光度は、400〜900nm全域に亘って0.05以下であり、好ましくは0.035以下であり、さらに好ましくは0.005以下である。
【0043】
化合物(1)が要件aを満たせば、本発明の塩は、カチオンの由来となるキサンテン染料の色性能を保持しつつ、有機溶媒への溶解性をさらに向上させる傾向があり好ましい。
【0044】
式(1)においてZで表されるアルカリ金属としては、ナトリウム及びカリウム等が挙げられる。
【0045】
式(1)においてMn−で表される有機金属アニオンは、2価以上の金属イオンを形成し得る金属原子と有機化合物とが、イオン結合又は配位結合により結合した構造を有する。かかる有機化合物としては、置換基を有していてもよいサリチル酸、アミノ基に結合したカルボキシメチル基を複数有する化合物、置換基を有していてもよいベンジル酸、置換基を有していてもよいマンデル酸及び置換基を有していてもよいピコリン酸等が挙げられる。有機金属アニオンMn−としては、置換基を有していてもよいサリチル酸、又はアミノ基に結合したカルボキシメチル基を複数有する化合物に由来する構造を有する有機金属アニオンが好ましい。
【0046】
前記の置換基を有していてもよいサリチル酸としては、例えば、サリチル酸、3−メチルサリチル酸、3−tert−ブチルサリチル酸、3−アミノサリチル酸、3−クロロサリチル酸、4−ブロモサリチル酸、3−メトキシサリチル酸、2−ヒドロキシサリチル酸、3−ニトロサリチル酸、4−トリフルオロメチルサリチル酸、3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸、3,5−ジブロモサリチル酸、3,5−ジクロロサリチル酸、3,5,6−トリクロロサリチル酸、4−ヒドロキシサリチル酸、5−ヒドロキシサリチル酸等が挙げられる。
【0047】
前記のアミノ基に結合したカルボキシメチル基を複数有する化合物としては、例えば、

等が挙げられる。
【0048】
前記の置換基を有していてもよいベンジル酸としては、例えば、

等が挙げられる。
【0049】
前記の置換基を有していてもよいマンデル酸としては、例えば、

等が挙げられる。
【0050】
前記の置換基を有していてもよいピコリン酸としては、例えば、

等が挙げられる。
【0051】
2価以上の金属イオンを形成し得る金属原子としては、Al、Cr、Co、Fe、Cu、Ni、Co、Zn、Mg、Ca及びBa等が挙げられる。
中でも、Al、Cr、及びCoが好ましい。
【0052】
有機金属アニオンMn−としては、例えば、下記のアニオン(c−1)〜アニオン(c−72)等が挙げられる。
【0053】

【0054】
【表4】

【0055】
【表5】

【0056】

【0057】
【表6】

【0058】

【0059】
【表7】

【0060】

【0061】
【表8】

【0062】

【0063】
【表9】

【0064】

【0065】
【表10】

【0066】

【0067】
【表11】

【0068】

【0069】
【表12】

【0070】
中でも、アニオンMn−としては、アニオン(c−2)、アニオン(c−6)〜アニオン(c−9)、アニオン(c−14)〜アニオン(c−17)、アニオン(c−21)、アニオン(c−22)、アニオン(c−24)〜アニオン(c−26)、アニオン(c−28)、アニオン(c−32)〜アニオン(c−35)、アニオン(c−40)〜アニオン(c−43)、アニオン(c−47)、アニオン(c−48)、アニオン(c−50)〜アニオン(c−62)、アニオン(c−65)及びアニオン(c−67)が好ましく、アニオン(c−2)、アニオン(c−21)、アニオン(c−22)、アニオン(c−26)、アニオン(c−28)、アニオン(c−47)、アニオン(c−48)、アニオン(c−52)がより好ましく、アニオン(c−28)がさらに好ましい。これらのアニオンであると、本発明の塩は有機溶剤への溶解性にさらに優れる傾向がある。
【0071】
有機金属アニオンMn−を含有する本発明の塩(混合塩)の具体例を表13に示す。
【0072】
【表13】

【0073】
本発明の塩は、キサンテン染料と、アニオン(I)〜(IV)及びヒドロンを含有する化合物、又は、アニオン(I)〜(IV)及びキサンテン染料に由来しないカチオン(好ましくはアルカリ金属カチオン)を含有する塩とを、溶媒中で混合することで製造することができる。また、さらに化合物(1)を混合すれば、本発明の塩のうち、混合塩を製造することもできる。
【0074】
混合塩に含有されるアニオンの比率は、混合させるアニオン(I)〜(IV)と化合物(1)との比率を変えることにより、適宜調整できる。
【0075】
混合時に用いる溶媒としては、N,N−ジメチルホルミアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、酢酸エチル、トルエン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、水及びクロロホルム等が挙げられる。
中でも、N,N−ジメチルホルミアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、メタノール、エタノール、イソプロパノール及び水が好ましい。これらの溶媒であると、キサンテン染料、アニオン(I)〜(IV)を含有する化合物又は塩、及び化合物(1)の溶解度が高い傾向にある。
溶媒が水である場合、キサンテン染料、アニオン(I)〜(IV)を含有する化合物又は塩、及び化合物(1)を溶解させるため、酢酸や塩酸等の酸を加えてもよい。
【0076】
キサンテン染料とアニオン(I)〜(IV)との混合は、両者を上記の溶媒に溶解させて行ってもよいし、溶解させずに行ってもよい。しかしながら、両者が溶解する溶媒を用いて、かつ溶解させて行うことにより、高い収率で本発明の塩を得ることができる。
【0077】
キサンテン染料とアニオン(I)〜(IV)との混合温度は、好ましくは0℃〜150℃、より好ましくは10℃〜120℃、さらに好ましくは20℃〜100℃である。
また、混合時間は、好ましくは1時間〜72時間、より好ましくは2時間〜24時間、さらに好ましくは3時間〜12時間である。
【0078】
混合に用いた溶媒が水と相溶する溶媒である場合は、該溶液に水を加え、さらに1〜3時間攪拌した後、析出物を濾過により取得すれば、本発明の塩を得ることができる。取得された塩は、必要に応じて水で洗浄してもよい。
混合に用いた溶媒が水と相溶しない溶媒である場合は、該溶液に水を加え、さらに1〜3時間攪拌する。その後、有機層を分液により取得すれば、本発明の塩を含む溶液を得ることができる。得られた本発明の塩を含む溶液は、必要に応じて水で洗浄してもよい。本発明の塩を含む溶液から溶媒を除去することにより、本発明の塩を得ることができる。
【0079】
さらに、本発明の塩をアセトニトリル、酢酸エチル、トルエン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、クロロホルム等の溶媒に溶解させて、再結晶により精製してもよい。
【0080】
キサンテン染料は、市販のものを用いてもよいし、例えば、細田豊著「理論製造 染料化学」,技報堂,369〜377頁、松居正樹監修「機能性色素の合成と応用技術」,シーエムシー出版,89〜96頁、Synlett, 2010, No. 1, p. 89-92、J. Organic Chemistry, 2008, Vol. 73, 8711-8718等に記載の公知の方法で製造したものを用いてもよい。
【0081】
化合物(1)は、市販のものを用いてもよいし、例えば、特公平8−10360や特開2002−258537及び実験化学講座5版22巻312−313ページ等に記載されるように、配位子となる化合物と、金属の硫酸塩や塩化物とを反応させることにより製造できる。
【0082】
かくして得られた本発明の塩は、染料として有用である。また、本発明の塩は、有機溶媒への溶解性が高いことから、特に、液晶表示装置などの表示装置のカラーフィルターに用いられる染料として有用である。
【0083】
本発明の染料は、本発明の塩を有効成分とする染料である。
【0084】
本発明の着色硬化性組成物は、着色剤(以下「着色剤(A)」という場合がある)として本発明の染料を含み、さらに重合性化合物(C)を含む。着色剤として、さらに顔料(A1)を含むことが好ましい。
本発明の着色硬化性組成物は、さらに、樹脂(B)及び重合開始剤(D)からなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましく、さらに、溶剤(E)を含むことがより好ましい。
本発明の着色硬化性組成物は、着色剤として本発明の塩とは異なる染料(以下「染料(A2)」という場合がある)を含んでもよいし、必要に応じて、重合開始助剤(D1)及び界面活性剤(F)からなる群から選ばれる少なくとも1種を含んでもよい。
【0085】
<顔料(A1)>
顔料(A1)としては、例えば、カラーインデックス(The Society of Dyers and Colourists出版)でピグメントに分類されている化合物が挙げられる。
顔料(A1)としては、例えば、C.I.ピグメントイエロー1、3、12、13、14、15、16、17、20、24、31、53、83、86、93、94、109、110、117、125、128、137、138、139、147、148、150、153、154、166、173、180、194、214などの黄色顔料;
C.I.ピグメントオレンジ13、31、36、38、40、42、43、51、55、59、61、64、65、71、73などのオレンジ色の顔料;
C.I.ピグメントレッド9、97、105、122、123、144、149、166、168、176、177、180、192、209、215、216、224、242、254、255、264、265などの赤色顔料;
C.I.ピグメントブルー15、15:3、15:4、15:6、60などの青色顔料;C.I.ピグメントバイオレット1、14、19、23、29、32、33、36、37、38などのバイオレット色顔料;
C.I.ピグメントグリーン7、10、15、25、36、47、58などの緑色顔料;
C.I.ピグメントブラウン23、25などのブラウン色顔料;
C.I.ピグメントブラック1、7などの黒色顔料等が挙げられる。
これらの顔料は、単独でも、2種以上を混合して用いてもよい。
【0086】
顔料(A1)としては、赤色顔料が好ましく、C.I.ピグメントバイオレット254がより好ましい。前記の顔料を含むことで、透過スペクトルの最適化が容易であり、カラーフィルタの耐光性及び耐薬品性が良好になる。
【0087】
顔料(A1)は、必要に応じて、ロジン処理、酸性基又は塩基性基が導入された顔料誘導体等を用いた表面処理、高分子化合物等による顔料表面へのグラフト処理、硫酸微粒化法等による微粒化処理、又は不純物を除去するための有機溶剤や水等による洗浄処理、イオン性不純物のイオン交換法等による除去処理等が施されていてもよい。
顔料(A1)は、粒径が均一であることが好ましい。顔料分散剤を含有させて分散処理を行うことで、顔料が溶液中で均一に分散した状態の顔料分散液を得ることができる。
【0088】
前記の顔料分散剤としては、例えば、カチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性、ポリエステル系、ポリアミン系、アクリル系等の界面活性剤等が挙げられる。これらの顔料分散剤は、単独でも2種以上を組み合わせて用いてもよい。顔料分散剤としては、商品名でKP(信越化学工業(株)製)、フローレン(共栄社化学(株)製)、ソルスパース(ゼネカ(株)製)、EFKA(CIBA社製)、アジスパー(味の素ファインテクノ(株)製)、Disperbyk(ビックケミー社製)などが挙げられる。
顔料分散剤を用いる場合、その使用量は、顔料(A1)に対して、好ましくは1質量%以上100質量%以下であり、より好ましくは5質量%以上50質量%以下である。顔料分散剤の使用量が前記の範囲にあると、均一な分散状態の顔料分散液が得られる傾向がある。
【0089】
<染料(A2)>
染料(A2)としては、油溶性染料、酸性染料、塩基性染料、直接染料、媒染染料、酸性染料のアミン塩や酸性染料のスルホンアミド誘導体などの染料が挙げられ、例えば、カラーインデックス(The Society of Dyers and Colourists出版)で染料に分類されている化合物や、染色ノート(色染社)に記載されている公知の染料が挙げられる。また、化学構造によれば、アゾ染料、シアニン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料、フタロシアニン染料、ナフトキノン染料、アントラキノン染料、キノンイミン染料、メチン染料、アゾメチン染料、スクワリリウム染料、アクリジン染料、スチリル染料、クマリン染料、キノリン染料及びニトロ染料等が挙げられる。これらのうち、有機溶剤可溶性染料が好ましい。
【0090】
具体的には、C.I.ソルベントイエロー4(以下、C.I.ソルベントイエローの記載を省略し、番号のみの記載とする。)、14、15、23、24、25、38、62、63、68、79、81、82、83、89、94、98、99、162;
C.I.ソルベントレッド24、45、49、90、91、118、119、122、124、125、127、130、132、160、218;
C.I.ソルベントオレンジ2、7、11、15、26、41、54、56、99;
C.I.ソルベントブルー35、37、59、67;
C.I.ソルベントグリーン1、3、4、5、7、28、29、32、33、34、35等、
酸性染料として、C.I.アシッドイエロー1、3、7、9、11、17、23、25、29、34、36、38、40、42、54、65、72、73、76、79、98、99、111、112、113、114、116、119、123、128、134、135、138、139、140、144、150、155、157、160、161、163、168、169、172、177、178、179、184、190、193、196、197、199、202、203、204、205、207、212、214、220、221、228、230、232、235、238、240、242、243、251;
C.I.アシッドレッド1、4、8、14、17、18、26、27、29、31、34、35、37、42、44、50、51、52、57、66、73、80、87、88、91、92、94、97、103、111、114、129、133、134、138、143、145、150、151、158、176、182、183、195、198、206、211、215、216、217、227、228、249、252、257、258、260、261、266、268、270、274、277、280、281、289、308、312、315、316、339、341、345、346、349、382、383、394、401、412、417、418、422、426;
C.I.アシッドオレンジ6、7、8、10、12、26、50、51、52、56、62、63、64、74、75、94、95、107、108、149、162、169、173;
C.I.アシッドブルー1、7、9、15、18、23、25、27、29、40、42、45、51、62、70、74、80、83、86、87、90、92、96、103、112、113、120、129、138、147、150、158、171、182、192、210、242、243、256、259、267、278、280、285、290、296、315、324:1、335、340;
C.I.アシッドバイオレット6B、7、9、17、19、102;
C.I.アシッドグリーン1、3、5、9、16、25、27、28、50、58、63、65、80、104、105、106、109等、
直接染料として、C.I.ダイレクトイエロー2、4、28、33、34、35、38、39、43、44、47、50、54、58、68、69、70、71、86、93、94、95、98、102、108、109、129、132、136、138、141;
C.I.ダイレクトレッド79、82、83、84、91、92、96、97、98、99、105、106、107、172、173、176、177、179、181、182、184、204、207、211、213、218、220、221、222、232、233、234、241、243、246、250;
C.I.ダイレクトオレンジ26、34、39、41、46、50、52、56、57、61、64、65、68、70、96、97、106、107;
C.I.ダイレクトブルー57、77、80、81、84、85、86、90、93、94、95、97、98、99、100、101、106、107、108、109、113、114、115、117、119、137、149、150、153、155、156、158、159、160、161、162、163、164、166、167、170、171、172、173、188、189、190、192、193、194、196、198、199、200、207、209、210、212、213、214、222、228、229、237、238、242、243、244、245、247、248、250、251、252、256、257、259、260、268、274、275、293;
C.I.ダイレクトバイオレット47、52、54、59、60、65、66、79、80、81、82、84、89、90、93、95、96、103、104;
C.I.ダイレクトグリーン25、27、31、32、34、37、63、65、66、67、68、69、72、77、79、82等、
媒染染料として、C.I.モーダント染料、例えば、C.I.モーダントイエロー5、8、10、16、20、26、30、31、33、42、43、45、56、61、62、65;
C.I.モーダントレッド1、2、3、4、9、11、12、14、17、18、19、22、23、24、25、26、30、32、33、36、37、38、39、41、43、45、46、48、53、56、63、71、74、85、86、88、90、94、95;
C.I.モーダントオレンジ3、4、5、8、12、13、14、20、21、23、24、28、29、32、34、35、36、37、42、43、47、48;
C.I.モーダントブルー1、2、3、7、8、9、12、13、15、16、19、20、21、22、23、24、26、30、31、32、39、40、41、43、44、48、49、53、61、74、77、83、84;
C.I.モーダントバイオレット1、2、4、5、7、14、22、24、30、31、32、37、40、41、44、45、47、48、53、58;
C.I.モーダントグリーン1、3、4、5、10、15、19、26、29、33、34、35、41、43、53等が挙げられる。
【0091】
また、以下の染料も挙げられる。
C.I.リアクティブイエロー2,76,116;
C.I.ディスパースイエロー54,76;
C.I.リアクティブオレンジ16;
C.I.ベーシックグリーン1;
C.I.バットグリーン1等。
【0092】
さらに、染料(A2)として特開2011−118369号公報記載の式(3)で表される化合物も挙げられる。

[式(3)中、Ra1〜Ra18は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜8の1価の脂肪族炭化水素基、ニトロ基、フェニル基、−SONHRa30、−SO-、−COORa30又は−SOa30を表す。
a19及びRa20は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、エチル基又はアミノ基を表す。
a30は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜10の1価の炭化水素基を表し、該炭化水素基に含まれる−CH−は、−O−又は−CO−で置き換わっていてもよい。
は、Cr又はCoを表す。
は、1〜5の整数を表す。
は、ヒドロン、1価の金属カチオン又はキサンテン骨格を有する化合物に由来する1価のカチオンを表す。]
【0093】
式(3)で表される化合物のうち、特開2011−118369号公報記載の、それぞれ式(3a−1)、(3a−5)、(3a−7)、(3a−8)、(3a−13)、(3a−16)、(3a−23)又は(z−1)で表される化合物が好ましく、式(3a−23)で表される赤色染料がより好ましい。

【0094】
これらの染料の中でも、赤色染料が好ましく、C.I.ソルベントレッド130及び上記式(3)で表される化合物がより好ましい。
これらの染料は、所望するカラーフィルタの分光スペクトルに合わせて適宜選択すればよい。これらの染料は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0095】
本発明の塩と顔料(A1)と染料(A2)との合計量の含有量は、固形分の総量に対して、好ましくは5〜60質量%であり、より好ましくは8〜55質量%であり、さらに好ましくは10〜50質量%であり、前記の範囲にあると、カラーフィルタとしたときの色濃度が十分であり、かつ組成物中に樹脂(B)や重合性化合物(C)を必要量含有させることができるので、機械的強度機械的強度が十分なパターンを形成することができる。ここで、本明細書における「固形分の総量」とは、着色硬化性組成物の総量から溶剤の含有量を除いた量のことをいう。固形分の総量及びこれに対する各成分の含有量は、例えば、液体クロマトグラフィー又はガスクロマトグラフィーなどの公知の分析手段で測定することができる。
【0096】
<樹脂(B)>
樹脂(B)としては、特に限定されるものではなく、どのような樹脂を用いてもよい。樹脂(B)は、アルカリ可溶性樹脂であることが好ましく、(メタ)アクリル酸から導かれる構造単位を含む樹脂であることがより好ましい。ここで、(メタ)アクリル酸は、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を表す。
【0097】
好ましい樹脂(B)としては、以下の樹脂[K1]〜[K6]等が挙げられる。
樹脂[K1]不飽和カルボン酸及び不飽和カルボン酸無水物からなる群から選ばれる少なくとも1種(a)(以下「(a)」という場合がある)と、炭素数2〜4の環状エーテル構造とエチレン性不飽和結合とを有する単量体(b)(以下「(b)」という場合がある)との共重合体。
樹脂[K2](a)と(b)と、(a)と共重合可能な単量体(c)(ただし、(a)及び(b)とは異なる。)(以下「(c)」という場合がある)との共重合体
樹脂[K3](a)と(c)との共重合体
樹脂[K4](a)と(c)との共重合体に(b)を反応させて得られる樹脂。
樹脂[K5](b)と(c)との共重合体に(a)を反応させて得られる樹脂。
樹脂[K6](b)と(c)との共重合体に(a)を反応させ、さらにカルボン酸無水物を反応させて得られる樹脂。
【0098】
(a)としては、具体的には、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、o−、m−、p−ビニル安息香酸等の不飽和モノカルボン酸類;
マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸、3−ビニルフタル酸、4−ビニルフタル酸、3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸、1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸、ジメチルテトラヒドロフタル酸、1、4−シクロヘキセンジカルボン酸等の不飽和ジカルボン酸類;
メチル−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸、5−カルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジカルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−カルボキシ−5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−カルボキシ−5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−カルボキシ−6−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−カルボキシ−6−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン等のカルボキシ基を含有するビシクロ不飽和化合物類;
無水マレイン酸、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、3−ビニルフタル酸無水物、4−ビニルフタル酸無水物、3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸無水物、1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物、ジメチルテトラヒドロフタル酸無水物、5,6−ジカルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン無水物(ハイミック酸無水物)等の不飽和ジカルボン酸類無水物;
【0099】
こはく酸モノ〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル〕、フタル酸モノ〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル〕等の2価以上の多価カルボン酸の不飽和モノ〔(メタ)アクリロイルオキシアルキル〕エステル類;
α−(ヒドロキシメチル)アクリル酸のような、同一分子中にヒドロキシ基及びカルボキシ基を含有する不飽和アクリレート類等が挙げられる。
これらのうち、共重合反応性の点やアルカリ水溶液への溶解性の点から、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸等が好ましい。
【0100】
(b)は、例えば、炭素数2〜4の環状エーテル構造(例えば、オキシラン環、オキセタン環及びテトラヒドロフラン環からなる群から選ばれる少なくとも1種)とエチレン性不飽和結合とを有する重合性化合物をいう。(b)は、炭素数2〜4の環状エーテルと(メタ)アクリロイルオキシ基とを有する単量体が好ましい。
尚、本明細書において、「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸及びメタクリル酸よりなる群から選ばれる少なくとも1種を表す。「(メタ)アクリロイル」及び「(メタ)アクリレート」等の表記も、同様の意味を有する。
【0101】
(b)としては、例えば、オキシラニル基とエチレン性不飽和結合とを有する単量体(b1)(以下「(b1)」という場合がある)、オキセタニル基とエチレン性不飽和結合とを有する単量体(b2)(以下「(b2)」という場合がある)、テトラヒドロフリル基とエチレン性不飽和結合とを有する単量体(b3)(以下「(b3)」という場合がある)等が挙げられる。
【0102】
(b1)は、例えば、直鎖状又は分枝鎖状の不飽和脂肪族炭化水素をエポキシ化した構造を有する単量体(b1−1)(以下「(b1−1)」という場合がある)、不飽和脂環式炭化水素をエポキシ化した構造を有する単量体(b1−2)(以下「(b1−2)」という場合がある)が挙げられる。
【0103】
(b1−1)としては、グリシジル(メタ)アクリレート、β−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、β−エチルグリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルビニルエーテル、o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、p−ビニルベンジルグリシジルエーテル、α−メチル−o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、α−メチル−m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、α−メチル−p−ビニルベンジルグリシジルエーテル、2,3−ビス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,4−ビス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,5−ビス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,6−ビス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,3,4−トリス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,3,5−トリス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,3,6−トリス(グリシジルオキシメチル)スチレン、3,4,5−トリス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,4,6−トリス(グリシジルオキシメチル)スチレン等が挙げられる。
【0104】
(b1−2)としては、ビニルシクロヘキセンモノオキサイド、1,2−エポキシ−4−ビニルシクロヘキサン(例えば、セロキサイド2000;ダイセル化学工業(株)製)、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート(例えば、サイクロマーA400;ダイセル化学工業(株)製)、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート(例えば、サイクロマーM100;ダイセル化学工業(株)製)、式(V)で表される化合物及び式(VI)で表される化合物等が挙げられる。

[式(V)及び式(VI)中、R及びRは、水素原子、又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、該アルキル基に含まれる水素原子は、ヒドロキシ基で置換されていてもよい。
及びXは、単結合、−R−、*−R−O−、*−R−S−又は*−R−NH−を表す。
は、炭素数1〜6のアルカンジイル基を表す。
*は、Oとの結合手を表す。]
【0105】
炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等が挙げられる。
水素原子がヒドロキシで置換されたアルキル基としては、ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基、1−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシプロピル基、1−ヒドロキシ−1−メチルエチル基、2−ヒドロキシ−1−メチルエチル基、1−ヒドロキシブチル基、2−ヒドロキシブチル基、3−ヒドロキシブチル基、4−ヒドロキシブチル基等が挙げられる。
及びRとしては、好ましくは水素原子、メチル基、ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基が挙げられ、より好ましくは水素原子、メチル基が挙げられる。
【0106】
アルカンジイル基としては、メチレン基、エチレン基、プロパン−1,2−ジイル基、プロパン−1,3−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ペンタン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,6−ジイル基等が挙げられる。
及びXとしては、好ましくは単結合、メチレン基、エチレン基、*−CH−O−及び*−CHCH−O−が挙げられ、より好ましくは単結合、*−CHCH−O−が挙げられる(*はOとの結合手を表す)。
【0107】
式(V)で表される化合物としては、式(V−1)〜式(V−15)で表される化合物等が挙げられる。好ましくは式(V−1)、式(V−3)、式(V−5)、式(V−7)、式(V−9)、式(V−11)〜式(V−15)が挙げられる。より好ましくは式(V−1)、式(V−7)、式(V−9)、式(V−15)が挙げられる。
【0108】

【0109】

【0110】
式(VI)で表される化合物としては、式(VI−1)〜式(VI−15)で表される化合物等が挙げられる。好ましくは式(VI−1)、式(VI−3)、式(VI−5)、式(VI−7)、式(VI−9)、式(VI−11)〜式(VI−15)が挙げられる。より好ましくは式(VI−1)、式(VI−7)、式(VI−9)、式(VI−15)が挙げられる。
【0111】

【0112】

【0113】
式(V)で表される化合物及び式(VI)で表される化合物は、それぞれ単独で用いることができる。また、それらは、任意の比率で混合することができる。混合する場合、その混合比率はモル比で、好ましくは式(V):式(VI)で、5:95〜95:5、より好ましくは10:90〜90:10、さらに好ましくは20:80〜80:20である。
【0114】
オキセタニル基とエチレン性不飽和結合とを有する単量体(b2)としては、オキセタニル基と(メタ)アクリロイルオキシ基とを有する単量体がより好ましい。(b2)としては、3−メチル−3−メタクリルロイルオキシメチルオキセタン、3−メチル−3−アクリロイルオキシメチルオキセタン、3−エチル−3−メタクリロイルオキシメチルオキセタン、3−エチル−3−アクリロイルオキシメチルオキセタン、3−メチル−3−メタクリロイルオキシエチルオキセタン、3−メチル−3−アクリロイルオキシエチルオキセタン、3−エチル−3−メタクリロイルオキシエチルオキセタン、3−エチル−3−アクリロイルオキシエチルオキセタン等が挙げられる。
【0115】
テトラヒドロフリル基とエチレン性不飽和結合とを有する単量体(b3)としては、テトラヒドロフリル基と(メタ)アクリロイルオキシ基とを有する単量体がより好ましい。(b3)としては、具体的には、テトラヒドロフルフリルアクリレート(例えば、ビスコートV#150、大阪有機化学工業(株)製)、テトラヒドロフルフリルメタクリレート等が挙げられる。
【0116】
(b)としては、得られるカラーフィルタの耐熱性、耐薬品性等の信頼性をより高くすることができる点で、(b1)であることが好ましい。さらに、着色組成物の保存安定性が優れるという点で、(b1−2)がより好ましい。
【0117】
(c)としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル(メタ)アクリレート(当該技術分野では、慣用名として「ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート」といわれている。また、「トリシクロデシル(メタ)アクリレート」という場合がある。)、トリシクロ[5.2.1.02,6]デセン−8−イル(メタ)アクリレート(当該技術分野では、慣用名として「ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート」といわれている。)、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、プロパルギル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ナフチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類;
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル類;
マレイン酸ジエチル、フマル酸ジエチル、イタコン酸ジエチル等のジカルボン酸ジエステル;
【0118】
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ヒドロキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ヒドロキシメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(2’−ヒドロキシエチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−エトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジヒドロキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジ(ヒドロキシメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジ(2’−ヒドロキシエチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジメトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジエトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ヒドロキシ−5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ヒドロキシ−5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ヒドロキシメチル−5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−tert−ブトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−シクロヘキシルオキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−フェノキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ビス(tert−ブトキシカルボニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ビス(シクロヘキシルオキシカルボニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン等のビシクロ不飽和化合物類;
【0119】
N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−スクシンイミジル−3−マレイミドベンゾエート、N−スクシンイミジル−4−マレイミドブチレート、N−スクシンイミジル−6−マレイミドカプロエート、N−スクシンイミジル−3−マレイミドプロピオネート、N−(9−アクリジニル)マレイミド等のジカルボニルイミド誘導体類;
【0120】
スチレン、α−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−メトキシスチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリルアミド、メタクリルアミド、酢酸ビニル、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン等が挙げられる。
これらのうち、共重合反応性及び耐熱性の点から、スチレン、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ベンジルマレイミド、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン等が好ましい。
【0121】
樹脂[K1]において、それぞれに由来する構造単位の比率は、樹脂[K1]を構成する全構造単位中、以下の範囲にあることが好ましい。
(a)に由来する構造単位;2〜60モル%
(b)に由来する構造単位;40〜98モル%
であることが好ましく、
(a)に由来する構造単位;10〜50モル%
(b)に由来する構造単位;50〜90モル%
であることがより好ましい。
樹脂[K1]の構造単位の比率が、上記の範囲にあると、着色硬化性組成物の保存安定性、パターンを形成する際の現像性、及び得られるパターンの耐溶剤性に優れる傾向がある。
【0122】
樹脂[K1]は、例えば、文献「高分子合成の実験法」(大津隆行著 発行所(株)化学同人 第1版第1刷 1972年3月1日発行)に記載された方法及び当該文献に記載された引用文献を参考にして製造することができる。
【0123】
具体的には、(a)及び(b)の所定量、重合開始剤及び溶剤等を反応容器中に入れて、例えば、窒素により酸素を置換することにより、脱酸素雰囲気にし、攪拌しながら、加熱及び保温する方法が挙げられる。なお、ここで用いられる重合開始剤及び溶剤等は、特に限定されず、当該分野で通常使用されているものを使用することができる。例えば、重合開始剤としては、アゾ化合物(2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等)や有機過酸化物(ベンゾイルペルオキシド等)が挙げられ、溶剤としては、各モノマーを溶解するものであればよく、着色硬化性組成物の溶剤として後述する溶剤(E)等が挙げられる。
【0124】
なお、得られた共重合体は、反応後の溶液をそのまま使用してもよいし、濃縮あるいは希釈した溶液を使用してもよいし、再沈殿等の方法で固体(粉体)として取り出したものを使用してもよい。特に、この重合の際に溶剤として、後述する溶剤(E)を使用することにより、反応後の溶液をそのまま使用することができ、製造工程を簡略化することができる。
【0125】
樹脂[K2]において、それぞれに由来する構造単位の比率は、樹脂[K2]を構成する全構造単位中、
(a)に由来する構造単位;2〜45モル%
(b)に由来する構造単位;2〜95モル%
(c)に由来する構造単位;1〜65モル%
であることが好ましく、
(a)に由来する構造単位;5〜40モル%
(b)に由来する構造単位;5〜80モル%
(c)に由来する構造単位;5〜60モル%
であることがより好ましい。
樹脂[K2]の構造単位の比率が、上記の範囲にあると、着色硬化性組成物の保存安定性、パターンを形成する際の現像性、並びに、得られるパターンの耐溶剤性、耐熱性及び機械強度に優れる傾向がある。
【0126】
樹脂[K2]は、例えば、樹脂[K1]の製造方法として記載した方法と同様に製造することができる。
【0127】
樹脂[K3]において、それぞれに由来する構造単位の比率は、樹脂[K3]を構成する全構造単位中、
(a)に由来する構造単位;2〜60モル%
(c)に由来する構造単位;40〜98モル%
であることが好ましく、
(a)に由来する構造単位;10〜50モル%
(c)に由来する構造単位;50〜90モル%
であることがより好ましい。
樹脂[K3]は、例えば、樹脂[K1]の製造方法として記載した方法と同様に製造することができる。
【0128】
樹脂[K4]は、(a)と(c)との共重合体を得て、(b)が有する炭素数2〜4の環状エーテルを(a)が有するカルボン酸及び/又はカルボン酸無水物に付加させることにより製造することができる。
まず(a)と(c)との共重合体を、樹脂[K1]の製造方法として記載した方法と同様に製造する。この場合、それぞれに由来する構造単位の比率は、樹脂[K3]で挙げたもの同じ比率であることが好ましい。
【0129】
次に、前記共重合体中の(a)に由来するカルボン酸及び/又はカルボン酸無水物の一部に、(b)が有する炭素数2〜4の環状エーテルを反応させる。
(a)と(c)との共重合体の製造に引き続き、フラスコ内雰囲気を窒素から空気に置換し、(b)、カルボン酸又はカルボン酸無水物と環状エーテルとの反応触媒(例えばトリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等)及び重合禁止剤(例えばハイドロキノン等)等をフラスコ内に入れて、例えば、60〜130℃で、1〜10時間反応することにより、樹脂[K4]を製造することができる。
(b)の使用量は、(a)100モルに対して、5〜80モルが好ましく、より好ましくは10〜75モルである。この範囲にすることにより、着色硬化性組成物の保存安定性、パターンを形成する際の現像性、並びに、得られるパターンの耐溶剤性、耐熱性、機械強度及び感度のバランスが良好になる傾向がある。環状エーテルの反応性が高く、未反応の(b)が残存しにくいことから、樹脂[K4]に用いる(b)としては(b1)が好ましく、さらに(b1−1)が好ましい。
前記反応触媒の使用量は、(a)、(b)及び(c)の合計量100質量部に対して0.001〜5質量部が好ましい。前記重合禁止剤の使用量は、(a)、(b)及び(c)の合計量100質量部に対して0.001〜5質量部が好ましい。
仕込方法、反応温度及び時間等の反応条件は、製造設備や重合による発熱量等を考慮して適宜調整することができる。なお、重合条件と同様に、製造設備や重合による発熱量等を考慮し、仕込方法や反応温度を適宜調整することができる。
【0130】
樹脂[K5]は、第一段階として、上述した樹脂[K1]の製造方法と同様にして、(b)と(c)との共重合体を得る。上記と同様に、得られた共重合体は、反応後の溶液をそのまま使用してもよいし、濃縮あるいは希釈した溶液を使用してもよいし、再沈殿等の方法で固体(粉体)として取り出したものを使用してもよい。
(b)及び(c)に由来する構造単位の比率は、前記の共重合体を構成する全構造単位の合計モル数に対して、以下の範囲にあることが好ましい。
(b)に由来する構造単位;5〜95モル%
(c)に由来する構造単位;5〜95モル%
であることが好ましく、
(b)に由来する構造単位;10〜90モル%
(c)に由来する構造単位;10〜90モル%
であることがより好ましい。
【0131】
さらに、樹脂[K4]の製造方法と同様の条件で、(b)と(c)との共重合体が有する(b)に由来する環状エーテルに、(a)が有するカルボン酸又はカルボン酸無水物を反応させることにより、樹脂[K5]を得ることができる。
前記の共重合体に反応させる(a)の使用量は、(b)100モルに対して、5〜80モルが好ましい。環状エーテルの反応性が高く、未反応の(b)が残存しにくいことから、樹脂[K5]に用いる(b)としては(b1)が好ましく、さらに(b1−1)が好ましい。
【0132】
樹脂[K6]は、樹脂[K5]に、さらにカルボン酸無水物を反応させた樹脂である。環状エーテルとカルボン酸又はカルボン酸無水物との反応により発生するヒドロキシ基に、カルボン酸無水物を反応させる。
カルボン酸無水物としては、無水マレイン酸、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、3−ビニルフタル酸無水物、4−ビニルフタル酸無水物、3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸無水物、1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物、ジメチルテトラヒドロフタル酸無水物、5,6−ジカルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン無水物(ハイミック酸無水物)等が挙げられる。カルボン酸無水物の使用量は、(a)の使用量1モルに対して、0.5〜1モルが好ましい。
【0133】
樹脂(B)としては、具体的に、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体、3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02.6]デシルアクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体等の樹脂[K1];グリシジル(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体、グリシジル(メタ)アクリレート/スチレン/(メタ)アクリル酸共重合体、3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02.6]デシルアクリレート/(メタ)アクリル酸/N−シクロヘキシルマレイミド共重合体、3−メチル−3−(メタ)アクリルロイルオキシメチルオキセタン/(メタ)アクリル酸/スチレン共重合体等の樹脂[K2];ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン/(メタ)アクリル酸共重合体、(メタ)アクリル酸/ベンジル(メタ)アクリレート/スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸/ベンジル(メタ)アクリレート/イソボルニル(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/スチレン/ベンジル(メタ)アクリレート/N−フェニルマレイミド共重合体等の樹脂[K3];ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体にグリシジル(メタ)アクリレートを付加させた樹脂、トリシクロデシル(メタ)アクリレート/スチレン/(メタ)アクリル酸共重合体にグリシジル(メタ)アクリレートを付加させた樹脂、トリシクロデシル(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体にグリシジル(メタ)アクリレートを付加させた樹脂等の樹脂[K4];トリシクロデシル(メタ)アクリレート/グリシジル(メタ)アクリレートの共重合体に(メタ)アクリル酸を反応させた樹脂、トリシクロデシル(メタ)アクリレート/スチレン/グリシジル(メタ)アクリレートの共重合体に(メタ)アクリル酸を反応させた樹脂等の樹脂[K5];トリシクロデシル(メタ)アクリレート/グリシジル(メタ)アクリレートの共重合体に(メタ)アクリル酸を反応させた樹脂にさらにテトラヒドロフタル酸無水物を反応させた樹脂等の樹脂[K6]等が挙げられる。
これらの樹脂は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0134】
中でも、樹脂(B)としては、樹脂[K1]、樹脂[K2]及び樹脂[K3]が好ましい。
【0135】
樹脂(B)のポリスチレン換算の重量平均分子量は、好ましくは3,000〜100,000であり、より好ましくは5,000〜50,000であり、さらに好ましくは5,000〜30,000である。分子量が前記の範囲にあると、塗膜硬度が向上し、残膜率も高く、未露光部の現像液に対する溶解性が良好で、解像度が向上する傾向がある。
樹脂(B)の分子量分布[重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)]は、好ましくは1.1〜6であり、より好ましくは1.2〜4である。
【0136】
樹脂(B)の酸価は、好ましくは50〜170mg−KOH/gであり、より好ましくは60〜150、さらに好ましくは70〜135mg−KOH/gである。ここで酸価は樹脂(B)1gを中和するに必要な水酸化カリウムの量(mg)として測定される値であり、例えば水酸化カリウム水溶液を用いて滴定することにより求めることができる。
【0137】
樹脂(B)の含有量は、固形分の総量に対して、好ましくは7〜65質量%であり、より好ましくは13〜60質量%であり、さらに好ましくは17〜55質量%である。樹脂(B)の含有量が、前記の範囲にあると、パターンが形成でき、また解像度及びパターンの残膜率が向上する傾向がある。
【0138】
<重合性化合物(C)>
重合性化合物(C)は、熱、あるいは、重合開始剤(D)から発生する活性ラジカル及び/又は酸によって重合しうる化合物であり、例えば、重合性のエチレン性不飽和結合を有する化合物等が挙げられ、好ましくは(メタ)アクリル酸エステル化合物である。
【0139】
中でも、重合性化合物(C)としては、エチレン性不飽和結合を3つ以上有する重合性化合物であることが好ましい。このような重合性化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート、テトラペンタエリスリトールデカ(メタ)アクリレート、テトラペンタエリスリトールノナ(メタ)アクリレート、トリス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、エチレングリコール変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エチレングリコール変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、プロピレングリコール変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、プロピレングリコール変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。光重合性化合物(C)は、単独でも2種以上を組み合わせて用いてもよい。
中でも、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート及びジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートが好ましい。
【0140】
重合性化合物(C)の重量平均分子量は、好ましくは150以上2,900以下、より好ましくは250〜1,500以下である。
【0141】
重合性化合物(C)の含有量は、固形分の総量に対して、7〜65質量%であることが好ましく、より好ましくは13〜60質量%であり、さらに好ましくは17〜55質量%である。重合性化合物(C)の含有量が、前記の範囲にあると、パターン形成時の残膜率及びパターンの耐薬品性が向上する傾向がある。
【0142】
<重合開始剤(D)>
重合開始剤(D)は、光や熱の作用により活性ラジカル、酸等を発生し、重合を開始しうる化合物であれば特に限定されることなく、公知の重合開始剤を用いることができる。
重合開始剤(D)としては、O−アシルオキシム化合物、アルキルフェノン化合物、トリアジン化合物、アシルホスフィンオキサイド化合物及びビイミダゾール化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む重合開始剤がり好ましく、O−アシルオキシム化合物を含む重合開始剤がより好ましい。
【0143】
O−アシルオキシム化合物は、式(d1)で表される部分構造を有する化合物である。以下、*は結合手を表す。

O−アシルオキシム化合物としては、例えば、N−ベンゾイルオキシ−1−(4−フェニルスルファニルフェニル)ブタン−1−オン−2−イミン、N−ベンゾイルオキシ−1−(4−フェニルスルファニルフェニル)オクタン−1−オン−2−イミン、N−ベンゾイルオキシ−1−(4−フェニルスルファニルフェニル)−3−シクロペンチルプロパン−1−オン−2−イミン、N−アセトキシ−1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタン−1−イミン、N−アセトキシ−1−[9−エチル−6−{2−メチル−4−(3,3−ジメチル−2,4−ジオキサシクロペンタニルメチルオキシ)ベンゾイル}−9H−カルバゾール−3−イル]エタン−1−イミン、N−アセトキシ−1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−3−シクロペンチルプロパン−1−イミン、N−ベンゾイルオキシ−1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−3−シクロペンチルプロパン−1−オン−2−イミン等が挙げられる。イルガキュアOXE01、OXE02(以上、BASF社製)、N−1919(ADEKA社製)等の市販品を用いてもよい。
【0144】
アルキルフェノン化合物は、式(d2)で表される部分構造又は式(d3)で表される部分構造を有する化合物である。これらの部分構造中、ベンゼン環は置換基を有していてもよい。

【0145】
式(d2)で表される部分構造を有する化合物としては、例えば、2−メチル−2−モルホリノ−1−(4−メチルスルファニルフェニル)プロパン−1−オン、2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−2−ベンジルブタン−1−オン、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン等が挙げられる。イルガキュア369、907、379(以上、BASF社製)等の市販品を用いてもよい。
式(d3)で表される部分構造を有する化合物としては、例えば、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕プロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−イソプロペニルフェニル)プロパン−1−オンのオリゴマー、α,α−ジエトキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール等が挙げられる。
感度の点で、アルキルフェノン化合物としては、式(d2)で表される部分構造を有する化合物が好ましい。
【0146】
トリアジン化合物としては、例えば、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシナフチル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−ピペロニル−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシスチリル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(フラン−2−イル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン等が挙げられる。
【0147】
アシルホスフィンオキサイド化合物としては、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等が挙げられる。イルガキュア819(チバ・ジャパン社製)等の市販品を用いてもよい。
【0148】
ビイミダゾール化合物としては、例えば、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(2,3−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール(例えば、特開平6−75372号公報、特開平6−75373号公報等参照。)、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(アルコキシフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(ジアルコキシフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(トリアルコキシフェニル)ビイミダゾール(例えば、特公昭48−38403号公報、特開昭62−174204号公報等参照。)、4,4’5,5’−位のフェニル基がカルボアルコキシ基により置換されているイミダゾール化合物(例えば、特開平7−10913号公報等参照)等が挙げられる。
【0149】
さらに重合開始剤(D)としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン化合物;ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、3,3’,4,4’−テトラ(tert−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン等のベンゾフェノン化合物;9,10−フェナンスレンキノン、2−エチルアントラキノン、カンファーキノン等のキノン化合物;10−ブチル−2−クロロアクリドン、ベンジル、フェニルグリオキシル酸メチル、チタノセン化合物等が挙げられる。これらは、後述の重合開始助剤(D1)(特にアミン類)と組み合わせて用いることが好ましい。
【0150】
酸を発生する酸発生剤としては、例えば、4−ヒドロキシフェニルジメチルスルホニウムp−トルエンスルホナート、4−ヒドロキシフェニルジメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−アセトキシフェニルジメチルスルホニウムp−トルエンスルホナート、4−アセトキシフェニル・メチル・ベンジルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムp−トルエンスルホナート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニルヨードニウムp−トルエンスルホナート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート等のオニウム塩類や、ニトロベンジルトシレート類、ベンゾイントシレート類等が挙げられる。
【0151】
重合開始剤(D)の含有量は、樹脂(B)及び重合性化合物(C)の合計量100質量部に対して、好ましくは0.1〜30質量部であり、より好ましくは1〜20質量部である。重合開始剤(D)の含有量が、前記の範囲にあると、高感度化して露光時間が短縮される傾向があるため生産性が向上する。
【0152】
重合開始剤(D)は、さらに重合開始助剤(D1)を含んでいてもよい。重合開始助剤(D1)は、重合開始剤によって重合が開始された光重合性化合物の重合を促進するために用いられる化合物、もしくは増感剤である。
重合開始助剤(D1)としては、アミン化合物、アルコキシアントラセン化合物、チオキサントン化合物及びカルボン酸化合物等が挙げられる。
【0153】
アミン化合物としては、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸2−ジメチルアミノエチル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、N,N−ジメチルパラトルイジン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(通称ミヒラーズケトン)、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(エチルメチルアミノ)ベンゾフェノン等が挙げられ、中でも4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンが好ましい。EAB−F(保土谷化学工業(株)製)等の市販品を用いてもよい。
【0154】
アルコキシアントラセン化合物としては、9,10−ジメトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジメトキシアントラセン、9,10−ジエトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジエトキシアントラセン、9,10−ジブトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジブトキシアントラセン等が挙げられる。
【0155】
チオキサントン化合物としては、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン等が挙げられる。
【0156】
カルボン酸化合物としては、フェニルスルファニル酢酸、メチルフェニルスルファニル酢酸、エチルフェニルスルファニル酢酸、メチルエチルフェニルスルファニル酢酸、ジメチルフェニルスルファニル酢酸、メトキシフェニルスルファニル酢酸、ジメトキシフェニルスルファニル酢酸、クロロフェニルスルファニル酢酸、ジクロロフェニルスルファニル酢酸、N−フェニルグリシン、フェノキシ酢酸、ナフチルチオ酢酸、N−ナフチルグリシン、ナフトキシ酢酸等が挙げられる。
重合開始助剤(D1)は、単独でも2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0157】
これらの重合開始助剤(D1)を用いる場合、その使用量は、樹脂(B)及び重合性化合物(C)の合計量100質量部に対して、好ましくは0.1〜30質量部、より好ましくは1〜20質量部である。重合開始助剤(D1)の量がこの範囲にあると、さらに高感度でパターンを形成することができ、パターンの生産性が向上する傾向にある。
【0158】
<溶剤(E)>
溶剤(E)は、特に限定されず、当該分野で通常使用される溶剤を用いることができる。例えば、エステル溶剤(分子内に−COO−を含み、−O−を含まない溶剤)、エーテル溶剤(分子内に−O−を含み、−COO−を含まない溶剤)、エーテルエステル溶剤(分子内に−COO−と−O−とを含む溶剤)、ケトン溶剤(分子内に−CO−を含み、−COO−を含まない溶剤)、アルコール溶剤、芳香族炭化水素溶剤、アミド溶剤、ジメチルスルホキシド等の中から選択して用いることができる。
【0159】
エステル溶剤としては、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、2−ヒドロキシイソブタン酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、ギ酸ペンチル、酢酸イソペンチル、プロピオン酸ブチル、酪酸イソプロピル、酪酸エチル、酪酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、シクロヘキサノールアセテート及びγ−ブチロラクトンなどが挙げられる。
【0160】
エーテル溶剤としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、3−メトキシ−1−ブタノール、3−メトキシ−3−メチルブタノール、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4−ジオキサン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、アニソール、フェネトール及びメチルアニソールなどが挙げられる。
【0161】
エーテルエステル溶剤としては、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−エトキシプロピオン酸メチル、2−エトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−エトキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート及びジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートなどが挙げられる。
【0162】
ケトン溶剤としては、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、アセトン、2−ブタノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、4−メチル−2−ペンタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン及びイソホロンなどが挙げられる。
【0163】
アルコール溶剤としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール及びグリセリンなどが挙げられる。
【0164】
芳香族炭化水素溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン及びメシチレンなどが挙げられる。
【0165】
アミド溶剤としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド及びN−メチルピロリドンなどが挙げられる。
【0166】
これらの溶剤は、単独でも2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
上記の溶剤のうち、塗布性、乾燥性の点から、1atmにおける沸点が120℃以上180℃以下である有機溶剤が好ましい。溶剤(E)としては、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン及びN,N−ジメチルホルムアミドが好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、乳酸エチル及び3−エトキシプロピオン酸エチルがより好ましい。
【0167】
溶剤(E)の含有量は、着色硬化性組成物の総量に対して、好ましくは70〜95質量%であり、より好ましくは75〜92質量%である。言い換えると、着色硬化性組成物の固形分は、好ましくは5〜30質量%、より好ましくは8〜25質量%である。溶剤(E)の含有量が前記の範囲にあると、塗布時の平坦性が良好になり、またカラーフィルタを形成した際に色濃度が不足しないために表示特性が良好となる傾向がある。
【0168】
<界面活性剤(F)>
【0169】
界面活性剤(F)としては、フッ素原子又はシリコン原子を有する界面活性剤が適している。具体的には、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤及びフッ素原子を有するシリコーン系界面活性剤からなる群から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
【0170】
前記のシリコーン系界面活性剤としては、シロキサン結合を有する界面活性剤などが挙げられる。具体的には、トーレシリコーンDC3PA、同SH7PA、同DC11PA、同SH21PA、同SH28PA、同SH29PA、同SH30PA、ポリエーテル変性シリコンオイルSH8400(商品名:トーレシリコーン;東レ・ダウコーニング(株)製)、KP321、KP322、KP323、KP324、KP326、KP340、KP341(信越化学工業(株)製)、TSF400、TSF401、TSF410、TSF4300、TSF4440、TSF4445、TSF−4446、TSF4452、TSF4460(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)などが挙げられる。
【0171】
前記のフッ素系界面活性剤としては、フルオロカーボン鎖を有する界面活性剤などが挙げられる。具体的には、フロラード(商品名)FC430、同FC431(住友スリーエム(株)製)、メガファック(商品名)F142D、同F171、同F172、同F173、同F177、同F183、同F489、同F554、同R30(DIC(株)製)、エフトップ(商品名)EF301、同EF303、同EF351、同EF352(三菱マテリアル電子化成(株)製)、サーフロン(商品名)S381、同S382、同SC101、同SC105(旭硝子(株)製)、E5844((株)ダイキンファインケミカル研究所製)、BM−1000、BM−1100(いずれも商品名:BM Chemie社製)などが挙げられる。
【0172】
前記のフッ素原子を有するシリコーン系界面活性剤としては、シロキサン結合及びフルオロカーボン鎖を有する界面活性剤などが挙げられる。具体的には、メガファック(登録商標)R08、同BL20、同F475、同F477、同F443(DIC(株)製)などがあげられる。
【0173】
これらの界面活性剤は、単独でも2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
界面活性剤(F)の含有量は、着色硬化性組成物の総量に対して、好ましくは0.001質量%以上0.2質量%以下であり、好ましくは0.002質量%以上0.1質量%以下、より好ましくは0.01質量%以上0.05質量%以下である。尚、この含有量に、前記顔料分散剤の含有量は含まれない。界面活性剤(F)の含有量が前記の範囲にあると、塗膜の平坦性を良好にすることができる。
【0174】
<その他の成分>
本発明の着色硬化性組成物は、必要に応じて、充填剤、他の高分子化合物、密着促進剤、酸化防止剤、光安定剤、連鎖移動剤等の種々の添加剤を含んでもよい。
【0175】
<着色硬化性組成物の製造方法>
本発明の着色硬化性組成物は、例えば、本発明の染料及び重合性化合物(C)、並びに必要に応じて用いられる樹脂(B)、重合開始剤(D)、重合開始助剤(D1)、界面活性剤(F)及びその他成分を、溶剤(E)と混合することにより調製できる。
顔料(A1)を含む場合、顔料(A1)を予め溶剤(E)と混合し、顔料の平均粒子径が0.2μm以下程度となるまで、ビーズミルなどを用いて分散させることが好ましい。この際、必要に応じて前記顔料分散剤、樹脂(B)の一部又は全部を配合してもよい。得られた顔料分散液に、本発明の塩、樹脂(B)の残り及び重合性化合物(C)、並びに、必要に応じて使用される重合開始剤(D)、溶剤(E)の残り、界面活性剤(F)及びその他の成分等を、所定の濃度となるように混合することにより、目的の着色硬化性組成物を調製できる。
本発明の塩、及び、染料(A2)を含む場合の染料(A2)は、予め溶剤(E)にそれぞれ溶解させてもよい。該溶液は、孔径0.01〜1μm程度のフィルタでろ過することが好ましい。
混合後の着色硬化性組成物は、孔径0.01〜10μm程度のフィルタでろ過することが好ましい。
【0176】
<パターンの製造方法>
本発明の着色感光性組成物を用いてカラーフィルタのパターンを製造する方法としては、フォトリソグラフ法、インクジェット法、印刷法等が挙げられる。中でも、フォトリソグラフ法が好ましい。フォトリソグラフ法は、前記着色感光性組成物を基板に塗布し、乾燥させて組成物層を形成し、フォトマスクを介して該組成物層を露光して、現像する方法である。フォトリソグラフ法において、露光の際にフォトマスクを用いないこと、及び/又は現像しないことにより、塗膜を形成してもよい。
作製するパターンの膜厚は、特に限定されず、目的や用途等に応じて適宜調整することができ、例えば、0.1〜30μm、好ましくは0.1〜20μm、さらに好ましくは0.5〜6μmである。
【0177】
基板としては、石英ガラス、ホウケイ酸ガラス、アルミナケイ酸塩ガラス、表面をシリカコートしたソーダライムガラスなどのガラス板や、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレンテレフタレートなどの樹脂板、シリコン、前記基板上にアルミニウム、銀、銀/銅/パラジウム合金薄膜などを形成したものが用いられる。これらの基板上には、別のカラーフィルタ層、樹脂層、トランジスタ、回路等が形成されていてもよい。
【0178】
フォトリソグラフ法による各色画素の形成は、公知又は慣用の装置や条件で行うことができる。例えば、下記のようにして作製することができる。
まず、着色感光性組成物を基板上に塗布し、加熱乾燥(プリベーク)及び/又は減圧乾燥することにより溶剤等の揮発成分を除去して乾燥させ、平滑な組成物層を得る。
塗布方法としては、スピンコート法、スリットコート法、スリット アンド スピンコート法等が挙げられる。
加熱乾燥を行う場合の温度は、30〜120℃が好ましく、50〜110℃がより好ましい。また加熱時間としては、10秒間〜60分間であることが好ましく、30秒間〜30分間であることがより好ましい。
減圧乾燥を行う場合は、50〜150Paの圧力下、20〜25℃の温度範囲で行うことが好ましい。
組成物層の膜厚は、特に限定されず、用いる材料、用途等によって適宜調整することができ、例えば、0.1〜20μmであり、好ましくは0.5〜6μmである。
【0179】
次に、組成物層は、目的のパターンを形成するためのフォトマスクを介して露光される。該フォトマスク上のパターンは特に限定されず、目的とする用途に応じたパターンが用いられる。
露光に用いられる光源としては、250〜450nmの波長の光を発生する光源が好ましい。例えば、350nm未満の光を、この波長域をカットするフィルタを用いてカットしたり、436nm付近、408nm付近、365nm付近の光を、これらの波長域を取り出すバンドパスフィルタを用いて選択的に取り出したりしてもよい。具体的には、水銀灯、発光ダイオード、メタルハライドランプ、ハロゲンランプ等が挙げられる。
露光面全体に均一に平行光線を照射したり、フォトマスクと基材との正確な位置合わせを行うことができるため、マスクアライナ及びステッパ等の露光装置を使用することが好ましい。
【0180】
露光後の組成物層を現像液に接触させて現像することにより、基板上にパターンが形成される。現像により、組成物層の未露光部が現像液に溶解して除去される。現像液としては、例えば、水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化テトラメチルアンモニウム等のアルカリ性化合物の水溶液が好ましい。これらのアルカリ性化合物の水溶液中の濃度は、好ましくは0.01〜10質量%であり、より好ましくは0.03〜5質量%である。さらに、現像液は、界面活性剤を含んでいてもよい。
現像方法は、パドル法、ディッピング法及びスプレー法等のいずれでもよい。さらに現像時に基板を任意の角度に傾けてもよい。
現像後は、水洗することが好ましい。
【0181】
さらに、得られたパターンに、ポストベークを行うことが好ましい。ポストベーク温度は、150〜250℃が好ましく、160〜235℃がより好ましい。ポストベーク時間は、0.5〜10分間が好ましく、1〜5分間がより好ましい。
【0182】
かくして得られたパターンは、カラーフィルタとして有用である。
本発明の着色感光性組成物から、特に明度に優れたカラーフィルタを作製することができる。該カラーフィルタは、表示装置(例えば、液晶表示装置、有機EL装置等)、電子ペーパー、固体撮像素子等に用いられるカラーフィルタとして有用である。
【実施例】
【0183】
以下、実施例によって本発明の着色感光性組成物についてより詳細に説明する。例中の「%」及び「部」は、特記ない限り、質量%及び質量部である。
【0184】
以下の実施例において、化合物の組成を元素分析(VARIO-EL;(エレメンタール(株)製))で確認した。
【0185】
実施例1
カリウムトリストリフルオロメタンスルホニルメチド((CFSOCK、セントラル硝子(株)製)1.00部を水60部に溶解させた溶液(s1)を作成した。別途、式(h−1)で表される化合物1.36部を水100部に溶解させた溶液(t1)を作製した。室温にて、溶液(s1)と溶液(t1)とを混合し、2時間攪拌した。該混合液にイオン交換水500部を加え、さらに1時間攪拌した。その後、析出物を吸引濾過で取得し、イオン交換水100部で洗浄し、塩(X−3)を1.50部得た。
【0186】

【0187】

【0188】
実施例2
カリウムトリストリフルオロメタンスルホニルメチド((CFSOCK、セントラル硝子(株)製)1.30部を水30部に溶解させた溶液(s2)を作成した。別途、式(h−2)で表される化合物1.64部を水300部に溶解させた溶液(t2)を作製した。室温にて、溶液(s2)と溶液(t2)とを混合し、4時間攪拌した。析出物を吸引濾過で取得し、イオン交換水100部で洗浄し、塩(X−6)を2.20部得た。
【0189】

【0190】

【0191】
実施例3
カリウムトリストリフルオロメタンスルホニルメチド((CFSOCK、セントラル硝子(株)製)1.50部を水50部に溶解させた溶液(s3)を作成した。別途、式(h−3)で表される化合物1.78部を水100部に溶解させた溶液(t3)を作製した。室温にて、溶液(s3)と溶液(t3)とを混合し、その後80℃に昇温し、6時間攪拌した。該混合液を室温まで冷却した後、イオン交換水900部を加え、さらに1時間攪拌した。析出物を吸引濾過で取得し、イオン交換水100部とヘキサン50部で洗浄し、塩(X−9)を2.50部得た。
【0192】

【0193】

【0194】
実施例4
CFCFCFCFSOK(EF−42、三菱マテリアル電子化成(株)製)0.91部を5wt%酢酸水溶液60部に溶解させた溶液(s4)を作成した。室温にて、(h−1)で表される化合物1.50部を溶液(s4)に添加し、3時間攪拌した。析出物を吸引濾過で取得し、イオン交換水100部で3回洗浄し、塩(X−2)を1.74部得た。
【0195】

【0196】
実施例5
式(f−1)で表される化合物(BONTRON(登録商標)E−108、オリヱント化学工業(株)製)1.70部をN,N−ジメチルホルミアミド77部に溶解させた溶液(s5)を作成した。室温にて、式(h−1)で表される化合物3.00部と、カリウムトリストリフルオロメタンスルホニルメチド((CFSOCK、セントラル硝子(株)製)0.22部とを溶液(s5)に添加し、8時間攪拌した。イオン交換水306部に、該混合液を加え、さらに1時間攪拌した。その後、析出物を吸引濾過で取得し、イオン交換水20部で3回洗浄した。得られた固形物をヘキサン51部に添加し、1時間攪拌した。不溶物を吸引濾過で取得し、ヘキサン15部で3回洗浄し塩(X−104)を2.10部得た。
【0197】

【0198】

【0199】
実施例6
式(h−1)で表される化合物36.8部をN,N−ジメチルホルミアミド730部に溶解させた溶液(s6)を作成した。室温にて、溶液(s6)にビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム(東京化成工業(株)製)8.6部を添加し、4時間攪拌した。該混合液に、さらに式(f−1)で表される化合物(BONTRON(登録商標)E−108、オリヱント化学工業(株)製)24.3部を添加し、続けて8時間攪拌した。イオン交換水3649部に、該混合液を加え、さらに1時間攪拌した。その後、析出物を吸引濾過で取得し、イオン交換水182部で3回洗浄した。得られた固形物をヘキサン486部に添加し、1時間攪拌した。不溶物を吸引濾過で取得し、ヘキサン97部で3回、続いてイオン交換水91部で1回洗浄し塩(X−100)を36.7部得た。
【0200】

【0201】
尚、原料として用いた式(f−1)で表される化合物0.35gをクロロホルムに溶解して体積を250cm3とし、そのうちの2cmをクロロホルムで希釈して100cmとして、濃度0.028g/Lの溶液を調整し、該溶液について、紫外可視分光光度計(V−650DS;日本分光(株)製)(石英セル、光路長;1cm)を用いて400〜900nmにおける極大吸収波長及び極大吸収波長での吸光度を測定したところ、極大吸収波長は425nmであり、吸光度は0.0019であった。
【0202】
実施例7
式(h−66)で表される化合物(特開平10−97732公報の実施例A50に記載される方法に準じて得た)3.00部をN,N−ジメチルホルミアミド45部に溶解させた溶液に、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム(東京化成工業(株)製)1.70部を加え、室温にて、4時間攪拌した。該混合液にイオン交換水225部を加え、さらに1時間攪拌した。その後、析出物を吸引濾過で取得し、イオン交換水20部で3回洗浄し、塩(X−33)を3.80部得た。
【0203】

【0204】

【0205】
実施例8
ビス(フルオロスルホニル)イミド カリウム塩(三菱マテリアル電子化成(株)製)1.00部を水20部に溶解させた溶液に、式(h−1)で表される化合物2.79部を水110部に溶解させた溶液を加え、室温にて、2時間攪拌した。析出物を吸引濾過で取得し、イオン交換水20部で3回洗浄し、塩(X−54)を1.50部得た。
【0206】

【0207】
実施例9
ビス(ノナフルオロブタンスルホニル)イミド カリウム塩(三菱マテリアル電子化成(株)製)1.50部をN,N−ジメチルホルミアミド50部に溶解させた溶液に、式(h−1)で表される化合物1.48部をN,N−ジメチルホルミアミド250部に溶解させた溶液を加え、室温にて、2時間攪拌した。該混合液に10%食塩水300部を加え、さらに1時間攪拌した。その後、析出物を吸引濾過で取得し、イオン交換水20部で3回洗浄し、塩(X−55)を1.29部得た。
【0208】

【0209】
実施例10
1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロプロパン−1,3−ジスルホンイミドカリウム(東京化成(株)製)1.40部を水70部に溶解させた溶液に、式(h−1)で表される化合物3.04部を水130部に溶解させた溶液を加え、室温にて、2時間攪拌した。析出物を吸引濾過で取得し、イオン交換水20部で3回洗浄し、塩(X−56)を3.60部得た。
【0210】

【0211】
実施例11
混合中に混合物の温度が30℃以下になるように、98%硫酸50部に2−(4−ジエチルアミノ−2−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸(東京化成工業(株)製)7.83部を徐々に加えて混合した。得られた溶液を5℃まで冷却し、そこに3−(イソプロピルアミノ)フェノール(特開平9−169708号公報に記載された方法に準じて製造)5.37部を加えた。その後、この混合物を5℃で65時間撹拌した。反応混合物を氷水250部中に添加し、析出物を吸引濾過で取得した。残渣をクロロホルム180部に溶解し、イオン交換水300部を加え、さらに10%水酸化ナトリウム水溶液で水層をpH10として、1時間撹拌した。クロロホルム層を分取し、イオン交換水200部で洗浄し、硫酸マグネシウムで脱水した。硫酸マグネシウムを除去して得た溶液からクロロホルムを減圧下で留去し、式(hx−83)で表される化合物を5.50部得た。
【0212】

【0213】
式(hx−83)で表される化合物3.00部、トリエチレングリコール(東京化成工業(株)製)3.16部、ジメチルアミノピリジン(和光純薬工業(株)製)0.24部、(1S)−(+)−10−カンファースルホン酸(関東化学(株)製)0.18部に脱水クロロホルム30部を加え、室温で1時間攪拌した。30℃を超えないように、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド 塩酸塩((株)同仁化学研究所製)1.83部を脱水クロロホルム7.2部に溶解した溶液を滴下し、室温で5時間攪拌した。該クロロホルム溶液を、1N塩酸300部、次いで10%食塩水200部で分液、硫酸マグネシウムで脱水した。硫酸マグネシウムを除去して得た溶液からクロロホルムを減圧下で留去し、下記式(h−83)で表される化合物を3.59部得た。
【0214】

【0215】
1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロプロパン−1,3−ジスルホン酸二カリウム塩(三菱マテリアル電子化成(株)製)1.00部を水35部に溶解させた溶液に、式(h−83)で表される化合物2.90部を水280部に溶解させた溶液を加え、室温にて、2時間攪拌した。析出物を吸引濾過で取得し、イオン交換水20部で3回洗浄し、塩(X−57)を2.23部得た。
【0216】

【0217】
実施例12
C.I.Basic Violet 11(Aizen Cathilon Brilliant Pink CD−BH、保土谷化学工業(株)製)15.00部を水300部に溶解させた溶液に、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム(東京化成工業(株)製)8.49部を水50部に溶解させた溶液を30分かけて滴下し、室温にて、3時間攪拌した。析出物を吸引濾過で取得し、イオン交換水600部で3回洗浄し、塩(X−58)を18.10部得た。
【0218】

【0219】
実施例13
C.I.Basic Violet 11(Aizen Cathilon Brilliant Pink CD−BH、保土谷化学工業(株)製)5.00部をN,N−ジメチルホルミアミド62部に溶解させた溶液(s13)を作成した。室温にて、溶液(s13)にビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム(東京化成工業(株)製)1.70部を添加し、3時間攪拌した。該混合液に、さらに式(f−1)で表される化合物(BONTRON(登録商標)E−108、オリヱント化学工業(株)製)3.10部を添加し、続けて8時間攪拌した。イオン交換水497部に、該混合液を加え、さらに1時間攪拌した。その後、析出物を吸引濾過で取得し、イオン交換水50部で3回洗浄した。得られた固形物をヘキサン20部に添加し、1時間攪拌した。不溶物を吸引濾過で取得し、ヘキサン50部で3回、続いてイオン交換水50部で1回洗浄し塩(X−126)を7.40部得た。
【0220】

【0221】
実施例14
Basic Violet 10(ローダミンB、東京化成工業(株)製)10.00部、メタノール(和光純薬工業(株)製)2.14部、ジメチルアミノピリジン(和光純薬工業(株)製)0.77部、(1S)−(+)−10−カンファースルホン酸(関東化学(株)製)0.58部に脱水クロロホルム120部を加え、室温で1時間攪拌した。30℃を超えないように、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド 塩酸塩((株)同仁化学研究所製)5.80部を脱水クロロホルム49.3部に溶解した溶液を滴下し、室温で3時間攪拌した。該クロロホルム溶液を、1N塩酸107部、次いで10%食塩水171部で分液、硫酸マグネシウムで脱水した。硫酸マグネシウムを除去して得た溶液からクロロホルムを減圧下で留去し、下記式(h−4)で表される化合物を8.70部得た。
【0222】

【0223】
式(h−4)で表される化合物2.50部を水50部に溶解させた溶液に、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム(東京化成工業(株)製)1.46部を水10部に溶解させた溶液を30分かけて滴下し、室温にて、3時間攪拌した。析出物を吸引濾過で取得し、イオン交換水100部で3回洗浄し、塩(X−59)を3.10部得た。
【0224】

【0225】
実施例15
氷浴下で、Basic Violet 10(ローダミンB、東京化成工業(株)製)10.00部に、脱水クロロホルム50部、N,N−ジメチルホルミアミド3.05部を加え、氷浴下で1時間攪拌した。氷浴下で塩化チオニル(和光純薬工業(株)製)5.46部を滴下し、その後40℃に昇温し、3時間攪拌した。室温まで冷却した後、氷浴下で、ピロリジン(和光純薬工業(株)製)5.94部を滴下し、その後40℃に昇温し、2時間攪拌した。該混合液を室温まで冷却した後、イオン交換水100部とクロロホルム150部を加え、分液してクロロホルム層を分け取った。水層にクロロホルム150部を加え、分液してクロロホルム層を分け取った。2つのクロロホルム層を合わせ、硫酸マグネシウムで脱水した。硫酸マグネシウムを除去して得た溶液からクロロホルムを減圧下で留去し、得られた固体を酢酸エチル142部で洗浄し、下記式(h−65)で表される化合物を10.76部得た。
【0226】

【0227】
式(h−65)で表される化合物3.50部をN,N−ジメチルホルミアミド35部に溶解させた溶液に、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム(東京化成工業(株)製)1.89部を加え、室温にて、3時間攪拌した。イオン交換水280部に、該混合液を加え、さらに1時間攪拌した。その後、析出物を吸引濾過で取得し、イオン交換水30部で3回洗浄し、塩(X−32)を10.20部得た。
【0228】

【0229】
実施例16
式(h−65)で表される化合物3.00部をN,N−ジメチルホルミアミド30部に溶解させた溶液(s16)を作成した。室温にて、溶液(s16)にビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム(東京化成工業(株)製)1.29部を添加し、30分間攪拌した。該混合液に、さらに式(f−8)で表される化合物(BONTRON(登録商標)E−81、オリヱント化学工業(株)製)0.62部を添加し、続けて8時間攪拌した。イオン交換水240部に、該混合液を加え、さらに1時間攪拌した。その後、析出物を吸引濾過で取得し、イオン交換水30部で3回洗浄した。得られた固形物をヘキサン20部に添加し、1時間攪拌した。不溶物を吸引濾過で取得し、ヘキサン20部で3回、続いてイオン交換水20部で1回洗浄し塩(X−127)を3.70部得た。
【0230】

【0231】

【0232】
実施例17
式(h−66)で表される化合物3.00部をN,N−ジメチルホルミアミド30部に溶解させた溶液(s17)を作成した。室温にて、溶液(s17)にビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム(東京化成工業(株)製)1.26部を添加し、30分間攪拌した。該混合液に、さらに式(f−8)で表される化合物(BONTRON(登録商標)E−81、オリヱント化学工業(株)製)0.60部を添加し、続けて3時間攪拌した。イオン交換水240部に、該混合液を加え、さらに1時間攪拌した。その後、析出物を吸引濾過で取得し、イオン交換水30部で3回洗浄した。得られた固形物をヘキサン20部に添加し、1時間攪拌した。不溶物を吸引濾過で取得し、ヘキサン20部で3回、続いてイオン交換水20部で1回洗浄し塩(X−128)を4.10部得た。
【0233】

【0234】
実施例18
式(h−2)で表される化合物2.00部を水20部に溶解させた溶液に、1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロプロパン−1,3−ジスルホン酸二カリウム塩(三菱マテリアル電子化成(株)製)0.68部を加え、室温にて、3時間攪拌した。イオン交換水160部に、該混合液を加え、さらに1時間攪拌した。その後、析出物を吸引濾過で取得し、イオン交換水30部で3回洗浄し、塩(X−60)を1.80部得た。
【0235】

【0236】
実施例19
式(h−1)で表される化合物15.00部を水300部に溶解させた溶液に、ノナフルオロブタンスルホン酸カリウム(三菱マテリアル電子化成(株)製)8.30部を加え、室温にて、3時間攪拌した。イオン交換水1500部に、該混合液を加え、さらに1時間攪拌した。その後、析出物を吸引濾過で取得し、イオン交換水300部で3回洗浄し、塩(X−61)を17.10部得た。
【0237】

【0238】
〔吸光度の測定〕
実施例1〜19でそれぞれ得られた塩又は塩の混合物0.35gをクロロホルムに溶解して体積を250cm3とし、そのうちの2cmをクロロホルムで希釈して100cmとして、濃度0.028g/Lの溶液を調整した。該溶液について、紫外可視分光光度計(V−650DS;日本分光(株)製)(石英セル、光路長;1cm)を用いて極大吸収波長(λmax)及び極大吸収波長(λmax)での吸光度を測定した。結果を表14に示す。
【0239】
【表14】

【0240】
〔溶解性の評価〕
実施例1〜6でそれぞれ得られた塩、並びに、式(h−1)、(h−2)及び(h−3)でそれぞれ表される化合物について、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下、PGMEAと略す)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(以下、PGMEと略す)、乳酸エチル(以下、ELと略す)、N,N−ジメチルホルミアミド(以下、DMFと略す)への溶解度を、以下のようにして求めた。
50mLサンプル管中、下記の割合で化合物と上記溶媒とを混合し、その後、サンプル管を密栓し、30℃で3分間超音波振とう機にて振とうさせた。ついで室温で30分間放置後、濾過し、その残渣を目視で観察した。残渣として不溶物が確認できなかった場合、溶解性は良好であると判断し、不溶物が確認できた場合は、溶解性は不良であると判断した。表15に溶解性は良好であると判断した最大濃度を記した。結果を表15に示す。×は1%で不良であることを意味する。
1% 塩又は混合物0.01g、溶媒1g
3% 塩又は混合物0.03g、溶媒1g
5% 塩又は混合物0.05g、溶媒1g
7% 塩又は混合物0.07g、溶媒1g
10% 塩又は混合物0.10g、溶媒1g
15% 塩又は混合物0.15g、溶媒1g
20% 塩又は混合物0.20g、溶媒1g
【0241】
【表15】

【0242】
実施例7〜19で得られた塩及び式(h−66)、(h−83)、(h−4)、(h−65)で表される化合物、及びBasic Violet 11について、同様に溶解性の評価を行った。結果を表16に示す。
【0243】
【表16】

【0244】
実施例20
〔着色硬化性組成物の調製〕
(A)着色剤:塩(X−3):実施例1で合成した塩 20部
(B−1)樹脂:メタクリル酸/ベンジルメタクリレート共重合体(モル比;30/70;重量平均分子量10700、酸価70mgKOH/g) 70部
(C−1)重合性化合物:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬社製) 30部
(D−1)重合開始剤:ベンジルジメチルケタール(イルガキュア651;BASFジャパン社製) 15部
(E−1)溶剤:N,N−ジメチルホルムアミド 680部
を混合して着色硬化性組成物を得る。
【0245】
〔カラーフィルタの作製〕
ガラス上に、上記で得た着色硬化性組成物をスピンコート法で塗布し、揮発成分を揮発させる。冷却後、パターンを有する石英ガラス製フォトマスク及び露光機を用いて光照射する。光照射後に、水酸化カリウム水溶液で現像し、オーブンで230℃に加熱してカラーフィルタを得る。
【0246】
実施例21
実施例1で合成した塩(X−3)を、実施例5で合成した塩の混合物(X−104)に代える以外は、実施例20と同様にして、着色組成物及びカラーフィルタを得る。
【0247】
実施例22
実施例1で合成した塩(X−3)を、実施例6で合成した塩の混合物(X−100)に代える以外は、実施例20と同様にして、着色組成物及びカラーフィルタを得る。
【0248】
表15及び16の結果から、実施例の塩は有機溶媒に対して高い溶解度を示すことがわかる。また、当該塩を含む着色組成物は、異物の発生が少なく、高品質なカラーフィルタを作製することが可能である。
【0249】
合成例1
<樹脂溶液B−2の合成>
撹拌機、温度計、還流冷却器及び、滴下ロートを備えた1Lのフラスコ内に窒素を0.02L/分で流して窒素雰囲気とし、2−ヒドロキシプロパン酸エチル305質量部を入れ、撹拌しながら70℃まで加熱した。次いで、メタクリル酸60質量部、3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02.6]デシルアクリレート(下記式(V−1)で表される化合物及び式(VI−1)で表される化合物を、モル比で、50:50で混合。)240質量部及び、2−ヒドロキシプロパン酸エチル140質量部に溶解して溶液を調製し、該溶解液を、滴下ロートを用いて4時間かけて、70℃に保温したフラスコ内に滴下した。一方、重合開始剤2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)30質量部を2−ヒドロキシプロパン酸エチル225質量部に溶解した溶液を、別の滴下ロートを用いて4時間かけてフラスコ内に滴下した。重合開始剤の溶液の滴下が終了した後、4時間、70℃に保持し、その後室温まで冷却して、重量平均分子量Mwが1.3×10、固形分が33質量%、固形分酸価が34mgKOH/gの樹脂溶液(B−2)を得た。
【0250】

【0251】

【0252】
上記の樹脂のポリスチレン換算重量平均分子量の測定については、GPC法を用いて、以下の条件で行った。
装置 ;HLC−8120GPC(東ソー(株)製)
カラム ;TSK−GELG2000HXL
カラム温度 ;40℃
溶媒 ;THF
流速 ;1.0mL/min
被検液固形分濃度;0.001〜0.01%
注入量 ;50μL
検出器 ;RI
装置 ;HLC−8120GPC(東ソー(株)製)
カラム ;TSK−GELG2000HXL
カラム温度 ;40℃
溶媒 ;THF
流速 ;1.0mL/min
被検液固形分濃度;0.001〜0.01%
注入量 ;50μL
検出器 ;RI
校正用標準物質 ;TSK STANDARD POLYSTYRENE
F−40、F−4、F−1、A−2500、A−500
(東ソー(株)製)
【0253】
本実施例で用いる成分は以下の通りであり、以下、省略して表示することがある。
(A−1)着色剤:実施例6で得られた塩(X−100)
(A−2)着色剤:式(3a−23)で表される赤色染料
(A−3)着色剤:特開2011−118369号公報記載の式(z−1)で表される化合物
(A−4)着色剤:C.I.ピグメント・レッド254
(A−5)着色剤:実施例7で得られた塩(X−33)
(B−2)樹脂:合成例1で得られた樹脂溶液
(C−1)重合性化合物:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬(株)製;KAYARAD DPHA)
(D−2)重合開始剤:N−1919(ADEKA社製)
(D1−1)重合開始助剤:DETX(2,4−ジエチルチオキサントン、日本化薬社製)
(E−2)溶剤:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
(E−3)溶剤:プロピレングリコールモノメチルエーテル
(F−1)界面活性剤:メガファックF554(DIC(株)製)
【0254】
実施例23
〔着色硬化性組成物1の調製〕
(A−4) 75.6質量部
アクリル系顔料分散剤 43.7質量部
(E−2) 546質量部
を混合し、ビーズミルを用いて顔料を十分に分散させ、分散液を得た。
(A−1) 16.6質量部
(E−2) 315質量部
を混合し、溶液を得た。
(B−2) 50質量部(固形換算)
(C−1) 50質量部
(D−2) 18質量部
(D1−1) 2質量部
(E−2) 396質量部
(E−3) 315質量部
(F−1) 0.1質量部
を上記分散液及び溶液と混合して着色硬化性組成物1を得た。
【0255】
実施例24
〔着色硬化性組成物2の調製〕
(A−4) 79.4質量部
アクリル系顔料分散剤 45.9質量部
(E−2) 574質量部
を混合し、ビーズミルを用いて顔料を十分に分散させ、分散液を得た。
(A−1) 12.1質量部
(E−2) 231質量部
を混合し、溶液を得た。
(A−2) 1.9質量部
(B−2) 50質量部(固形換算)
(C−1) 50質量部
(D−2) 18質量部
(D1−1) 2質量部
(E−2) 470質量部
(E−3) 319質量部
(F−1) 0.1質量部
を上記分散液及び溶液と混合して着色硬化性組成物2を得た。
【0256】
実施例25
〔着色硬化性組成物3の調製〕
(A−4) 76.8質量部
アクリル系顔料分散剤 44.4質量部
(E−2) 555質量部
を混合し、ビーズミルを用いて顔料を十分に分散させ、分散液を得た。
(A−1) 11.1質量部
(E−2) 211質量部
を混合し、溶液を得た。
(A−3) 4.6質量部
(B−2) 50質量部(固形換算)
(C−1) 50質量部
(D−2) 18質量部
(D1−1) 2質量部
(E−2) 497質量部
(E−3) 316質量部
(F−1) 0.1質量部
を上記分散液及び溶液と混合して着色硬化性組成物3を得た。
【0257】
実施例26
実施例25において、(A−3)に代えて(A−2)を用いる以外は実施例13と同様にして着色硬化性組成物4を得た。
【0258】
実施例27
実施例24において、(A−2)に代えて(A−3)を用いる以外は実施例12と同様にして着色硬化性組成物5を得た。
【0259】
実施例28
〔着色硬化性組成物6の調製〕
(A−4) 75.9質量部
アクリル系顔料分散剤 44.0質量部
(E−2) 549質量部
を混合し、ビーズミルを用いて顔料を十分に分散させ、分散液を得た。
(A−5) 4.9質量部
(E−2) 92質量部
を混合し、溶液を得た。
(B−2) 50質量部(固形換算)
(C−1) 50質量部
(D−2) 18質量部
(D1−1) 2質量部
(E−2) 562質量部
(E−3) 301質量部
(F−1) 0.1質量部
を上記分散液及び溶液と混合して着色硬化性組成物6を得た。
【0260】
〔パターンの形成〕
2インチ角のガラス基板(イーグルXG;コーニング社製)上に、着色硬化性組成物1をスピンコート法で塗布したのち、100℃で3分間プリベークした。冷却後、この着色硬化性組成物を塗布した基板とパターンを有する石英ガラス製フォトマスクとの間隔を100μmとして、露光機(TME−150RSK;トプコン(株)製)を用いて、大気雰囲気下、150mJ/cmの露光量(365nm基準)で光照射した。光照射後、上記塗膜を、非イオン系界面活性剤0.12%と水酸化カリウム0.04%を含む水系現像液に23℃で80秒間浸漬現像し、水洗後、オーブン中、230℃で20分間ポストベークを行った。放冷後、得られたパターンの膜厚を、膜厚測定装置(DEKTAK3;日本真空技術(株)製))を用いて測定したところ、2.3μmであった。
【0261】
〔色度評価〕
得られたガラス基板上のパターンについて、測色機(OSP−SP−200;オリンパス(株)製)を用いて分光を測定し、C光源の等色関数を用いてCIEのXYZ表色系におけるxy色度座標(Bx、By)及び明度を測定した。結果を表17に示す。
【0262】
〔コントラスト評価〕
フォトマスクの使用なしで露光する以外はパターンの形成と同様の操作を行い、得られたガラス基板上の塗膜について、コントラスト測色機(CT−1;壺坂電機社製、検出器;BM−5A、光源;F−10)を用いて、ブランク値を30000としてコントラストを測定した。ガラス基板上の塗膜を、偏光フィルム(POLAX−38S;ルケオ社製)ではさんだものをサンプルとした。結果を表17に示す。
【0263】
〔評価〕
得られた着色硬化性組成物2〜6について、同様に着色硬化性塗膜を作成し、色度、明度及び、コントラストを評価した結果を表17に示す。
【0264】
〔評価〕
得られた着色硬化性組成物2〜6について、同様に着色硬化性塗膜を作成し、色度、明度及び、コントラストを評価した結果を表17に示す。
【0265】
【表17】

【産業上の利用可能性】
【0266】
本発明の塩は、有機溶媒への溶解性に優れる。
本発明の塩は、染料として有用であり、モル吸光係数が高く、かつ有機溶媒への高い溶解性を示すことから、特に、液晶表示装置等の表示装置のカラーフィルタに用いられる染料として有用である。
また、本発明の塩と重合性化合物とを含む着色硬化性組成物は、カラーフィルタをその構成部品の一部として備える表示装置(例えば、公知の液晶表示装置、有機EL装置等)、固体撮像素子等の種々の着色画像に関連する機器の製造に、公知の態様で利用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ式(I)、(II)、(III)及び(IV)で表されるアニオンからなる群から選ばれる少なくとも1つのアニオンと、キサンテン骨格を有するカチオンとを含有する塩。

[式(I)中、X及びXはそれぞれ独立に、フッ素原子又は炭素数1〜4のフッ化アルキル基を表すか、又は、XとXとが結合して炭素数2〜4のフッ化アルカンジイル基を形成する。]

[式(II)中、X〜Xはそれぞれ独立に、フッ素原子又は炭素数1〜4のフッ化アルキル基を表す。]

[式(III)中、Yは炭素数1〜4のフッ化アルカンジイル基を表す。]

[式(IV)中、Yは炭素数1〜4のフッ化アルキル基を表す。]
【請求項2】
さらに、2価以上の金属イオンを形成し得る金属原子を含むn価の有機金属アニオンMn−を含有する請求項1記載の塩。
【請求項3】
前記n価の有機金属アニオンMn−が、式(1)
n− nZ (1)
[式(1)中、Mn−は、上記の有機金属アニオンを表す。Zは、ヒドロン又はアルカリ金属カチオンを表す。nは1〜3の整数を表す。nが2以上の整数である場合、複数のZは互いに同一でも異なっていてもよい。]
で表される化合物にしたとき下記要件aを満たすアニオンである請求項2記載の塩。
要件a:式(1)で表される化合物の濃度0.028g/L溶液で測定される吸光度が、400〜900nmに亘って0.05以下である。
【請求項4】
前記n価の有機金属アニオンMn−が、置換基を有していてもよいサリチル酸、又はアミノ基に結合したカルボキシメチル基を複数有する化合物に由来する構造を有する有機金属アニオンである請求項2又は3記載の塩。
【請求項5】
前記n価の有機金属アニオンMn−に含まれる2価以上の金属イオンを形成し得る金属原子が、Al、Cr又はCoである請求項2〜4のいずれか記載の塩。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか記載の塩を有効成分とする染料。
【請求項7】
請求項6記載の染料と重合性化合物とを含む着色硬化性組成物。
【請求項8】
さらに顔料を含む請求項7記載の着色硬化性組成物。
【請求項9】
さらに樹脂及び重合開始剤からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む請求項7又は8記載の着色硬化性組成物。
【請求項10】
請求項7〜9のいずれか記載の着色硬化性組成物により形成されるカラーフィルタ。
【請求項11】
請求項10記載のカラーフィルタを備える表示装置。

【公開番号】特開2013−67776(P2013−67776A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−136587(P2012−136587)
【出願日】平成24年6月18日(2012.6.18)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】